(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】成形ロールの温度制御装置
(51)【国際特許分類】
B29C 43/52 20060101AFI20240209BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20240209BHJP
B29C 43/58 20060101ALI20240209BHJP
B29C 43/24 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B29C43/52
F16C13/00 C
B29C43/58
B29C43/24
(21)【出願番号】P 2019212573
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水沼 巧治
(72)【発明者】
【氏名】桶 亮太
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-168222(JP,A)
【文献】特開2004-195888(JP,A)
【文献】特開平1-196310(JP,A)
【文献】特開昭54-43349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/52
F16C 13/00
B29C 43/58
B29C 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒の流路である熱媒流路が内部に形成され、前記熱媒流路を流れる前記熱媒との間で熱交換が可能な成形ロールと、
前記熱媒流路に接続され、前記熱媒流路から流出した前記熱媒が流れる戻り経路と前記熱媒流路に流入する前記熱媒が流れる流入経路とを有する熱媒経路と、
前記戻り経路を流れる前記熱媒の温度を検出する戻り温度センサと、
前記戻り温度センサで検出した前記熱媒の温度に基づいて、前記流入経路から前記熱媒流路に流入する前記熱媒の流量を調節する流量調節部と、
を備え
、
前記熱媒流路には、内側に断熱材が配置されることを特徴とする成形ロールの温度制御装置。
【請求項2】
前記流入経路を流れる前記熱媒の温度を検出する流入温度センサと、
前記流入温度センサで検出した前記熱媒の温度に基づいて、前記流入経路を流れる前記熱媒の温度を調節する温度調節装置と、
を備える請求項1に記載の成形ロールの温度制御装置。
【請求項3】
前記温度調節装置は、前記流入温度センサで検出した前記熱媒の温度が所定の設定温度より高い場合は前記熱媒の冷却の度合いを増加させ、前記流入温度センサで検出した前記熱媒の温度が前記設定温度より低い場合は前記熱媒の冷却の度合いを低下させる請求項2に記載の成形ロールの温度制御装置。
【請求項4】
前記成形ロールに配置され、前記成形ロールの外周面の温度を上昇させることができるロールヒータと、
前記成形ロールの外周面の温度を検出するロール温度センサと、
を備え、
前記ロールヒータは、前記ロール温度センサで検出した前記成形ロールの外周面の温度に基づいて、前記成形ロールの外周面の温度を調節する請求項1~3のいずれか1項に記載の成形ロールの温度制御装置。
【請求項5】
前記流量調節部は、前記ロールヒータの電力量が所定の設定電力量より多い場合は、前記熱媒流路に向かって前記流入経路を流れる前記熱媒の流量を減少させ、前記ロールヒータの電力量が前記設定電力量より少ない場合は、前記熱媒流路に向かって前記流入経路を流れる前記熱媒の流量を増加させる請求項4に記載の成形ロールの温度制御装置。
【請求項6】
前記流入経路を流れる前記熱媒の温度を調節する温度調節装置を備え、
前記温度調節装置は、前記ロールヒータの電力量が所定の設定電力量より多い場合は前記熱媒の冷却の度合いを低下させ、前記ロールヒータの電力量が前記設定電力量より少ない場合は前記熱媒の冷却の度合いを増加させる請求項4または5に記載の成形ロールの温度制御装置。
【請求項7】
前記ロール温度センサで検出する前記成形ロールの外周面の温度は、前記ロール温度センサで一定の時間検出した検出結果を平均化したものを前記ロール温度センサで検出した前記成形ロールの外周面の温度として使用し、
前記戻り温度センサで検出する前記熱媒の温度は、前記ロール温度センサでの検出結果を平均化する時間よりも長い時間、前記戻り温度センサで検出した前記熱媒の温度の検出結果を平均化したものを、前記戻り温度センサで検出した前記熱媒の温度として使用する請求項4~6のいずれか1項に記載の成形ロールの温度制御装置。
【請求項8】
前記熱媒経路は、前記流入経路側から前記戻り経路に前記熱媒を流すバイパス経路を有し、
前記流量調節部は、前記戻り経路側から流れてきた前記熱媒のうち、前記流入経路に流す前記熱媒の割合と、前記バイパス経路に流す前記熱媒の割合とを調節することにより、前記流入経路から前記熱媒流路に流入する前記熱媒の流量を調節する請求項1~7のいずれか1項に記載の成形ロールの温度制御装置。
【請求項9】
前記流量調節部は、前記戻り温度センサで検出した前記熱媒の温度が所定の設定温度より高い場合は、前記熱媒流路に向かって前記流入経路を流れる前記熱媒の流量を増加させ、前記戻り温度センサで検出した前記熱媒の温度が前記設定温度より低い場合は、前記熱媒流路に向かって前記流入経路を流れる前記熱媒の流量を減少させる請求項1~8のいずれか1項に記載の成形ロールの温度制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形ロールの温度制御装置に関し、成形ロールを冷却水で冷却する成形ロールの温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂シートまたはフィルム等(以下、単にシートと呼ぶ)の処理物の成形を行いながら搬送する成形ロールでは、成形ロールの温度を調節することができるように構成されているものがある。このような成形ロールでは、温度の調節を行うことができるように、加熱や冷却を行う手段が備えられている。例えば、特許文献1に記載されたローラの温度制御装置では、成形ロールとして用いられる誘電発熱ジャケットローラに、電磁誘導によってローラを発熱させるためのコイルと、冷却水が流れるU字管とが備えられており、コイルでの電磁誘導による発熱と冷却水を流すことによる冷却とを調節することにより、ローラの温度の調節が可能になっている。また、特許文献2に記載された熱処理ローラの温度制御装置では、成形ロールとして用いられるローラには、熱媒として使用される熱媒が通る熱媒通流路が形成され、加熱または冷却された油が熱媒通流路を通流することにより、ローラの温度の調節が可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭54-43349号公報
【文献】特開2004-195888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、成形ロールの温度の調整には、油や水等の流体を熱媒として使用し、熱媒をロール内に流してロールとの間で熱交換を行わせることにより温度を調節することができるが、油は水と比較して比熱が小さいため、熱媒として油を使用する際には、流量を多くする必要がある。このため、ロールとの間で熱交換を行わせることによってロールの温度を調節する熱媒には、油と比較して少ない流量でもロールとの間で熱交換を行うことができる水を用いることが好ましくなっている。水は、油よりも比熱が大きいため、ロールとの間で熱交換を行い易くなっており、また、粘度が油よりも低いため、熱媒の流路を流す際に、水は油よりも流路を流れ易くなっている。このため、熱媒に水を用いた場合、熱媒である水とロールとの間で効率良く熱交換を行わせることができ、高速(大押出質量)での成形においても高い精度で成形ロールの温度を調節することができる。
【0005】
しかし、水は、油と比較して沸点が低いため、ロールとの間で熱交換を行う熱媒として水を用いる場合、高温になったロールと熱交換を行った際に沸点の温度を超え易くなる虞がある。例えば、高温になった成形ロールを冷却するために、ロールに形成される熱媒の流路に熱媒として水を流すと、水はロールとの間の熱交換によって温度が上昇するが、水の温度が沸点を超えると、水は沸騰して水蒸気になる。水が沸騰して水蒸気になると、体積が急激に膨張するため装置内で衝撃音が発生したり、冷却水を流すポンプを安定して運転することが出来なくなったりする等の弊害が発生する。これらため、熱媒として水を使用してロールとの間で効率良く熱交換を行わせ、高い精度で成形ロールの温度を調節するためには、改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より高い精度で温度制御を行うことのできる成形ロールの温度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る成形ロールの温度制御装置は、熱媒の流路である熱媒流路が内部に形成され、前記熱媒流路を流れる前記熱媒との間で熱交換が可能な成形ロールと、前記熱媒流路に接続され、前記熱媒流路から流出した前記熱媒が流れる戻り経路と前記熱媒流路に流入する前記熱媒が流れる流入経路とを有する熱媒経路と、前記戻り経路を流れる前記熱媒の温度を検出する戻り温度センサと、前記戻り温度センサで検出した前記熱媒の温度に基づいて、前記流入経路から前記熱媒流路に流入する前記熱媒の流量を調節する流量調節部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る成形ロールの温度制御装置は、より高い精度で温度制御を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る成形装置の模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る成形ロールの断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る成形ロールの温度制御装置の構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る成形ロールの温度制御装置の変形例であり、熱媒流路に断熱材を配置した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る成形ロールの温度制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
<成形装置1>
図1は、実施形態に係る成形装置1の模式図である。
図1に示す成形装置1は、本実施形態に係る成形ロール30の温度制御装置100(
図5参照)が適用される成形装置1になっており、例えば、樹脂フィルム等、樹脂材料からなるシート状の部材の成形を行うことが可能になっている。成形装置1は、押出ユニット10と、成形ロールユニット20とを有している。押出ユニット10は、溶融した樹脂材料を成形ロールユニット20に対して供給し、成形ロールユニット20は、押出ユニット10から供給された樹脂材料をシート状に成形することによって、シート状の部材である成形シートSの成形を行うことが可能になっている。
【0012】
このうち、押出ユニット10は、押出機11と、Tダイ12とを備えており、押出機11とTダイ12とは、接続管13を介して互いに接続されている。押出機11は、原料供給装置(図示省略)から供給された、成形装置1によって成形を行う成形シートSの原料である樹脂材料を、溶融混練する。押出機11は、1つまたは複数のスクリューを有する混練押出機が用いられる。例えば、2つのスクリューを有する二軸混練押出機では、樹脂材料を2つのスクリューで攪拌することによりスラリー状にしてから、溶融混練する。押出機11は、これらのように、樹脂材料をスクリューで攪拌することにより、均質、且つ、均一な溶融混練を行う。押出機11によって溶融混練した樹脂材料は、接続管13を通して溶融状態でTダイ12に送る。
【0013】
Tダイ12は、押出機11から供給された溶融状態の樹脂材料を、スリット状の吐出口(図示省略)から吐出することにより、シート状に広げて吐出可能になっている。押出ユニット10は、溶融状態の樹脂材料を成形ロールユニット20に対して、Tダイ12でシート状に広げた状態で供給する。
【0014】
成形ロールユニット20は、第1ロール21と、第2ロール22と、第3ロール23とを有している。第1ロール21と、第2ロール22と、第3ロール23とは、いずれも略円柱形の形状で形成されており、円柱の中心軸を中心として回転可能になっている。即ち、第1ロール21と、第2ロール22と、第3ロール23とは、それぞれ円柱の中心軸を回転軸21r、22r、23rとして回転可能になっている。
【0015】
また、第1ロール21と、第2ロール22と、第3ロール23とは、回転軸21r、22r、23rが水平方向に延び、且つ、回転軸21r、22r、23rの延在方向が互いに並行となる向きで配置されている。さらに、第1ロール21と、第2ロール22と、第3ロール23とは、隣り合うロールの外周面同士が近接する位置関係で、第1ロール21、第2ロール22、第3ロール23の順で並んで配置されている。
【0016】
また、第1ロール21と、第2ロール22と、第3ロール23とは、回転軸21r、22r、23rの延在方向が、スリット状に形成されるTダイ12の吐出口の長手方向に並行な向きで、Tダイ12の下方に配置されている。詳しくは、成形ロールユニット20は、第1ロール21と第2ロール22との間の部分、即ち、第1ロール21の外周面と第2ロール22の外周面とが最も接近する部分が、Tダイ12の吐出口の下方に位置する位置関係で、Tダイ12の下方に配置されている。その際に、第1ロール21と第2ロール22とは、それぞれ回転軸21r、22rの延在方向がTダイ12の吐出口の長手方向に並行な向きで配置されているため、第1ロール21の外周面と第2ロール22の外周面との間の空隙も、Tダイ12の吐出口の長手方向に並行な向きに延びて形成されている。
【0017】
これらのように配置される第1ロール21と、第2ロール22と、第3ロール23とのうち、第1ロール21と第2ロール22とは、それぞれの外周面における、互いに対向する部分同士が上方から下方に向かう方向に、回転軸21r、22rを中心として回転可能になっている。また、第3ロール23は、外周面における第1ロール21に対向する部分が、下方から上方に向かう方向に、回転軸23rを中心として回転可能になっている。
【0018】
Tダイ12からシート状に広げた状態で成形ロールユニット20に供給される樹脂材料は、第1ロール21の外周面と第2ロール22の外周面との間で、双方の外周面によって押圧されながら、第1ロール21及び第2ロール22の回転に伴って上方から下方に搬送される。第1ロール21と第2ロール22との間を通った樹脂材料は、さらに、第2ロール22の外周面と第3ロール23の外周面との間で、第2ロール22及び第3ロール23の回転に伴って下方から上方に搬送される。
【0019】
Tダイ12から成形ロールユニット20に供給される樹脂材料は、これらのように第1ロール21、第2ロール22、第3ロール23によって押圧されながら搬送される際に、冷却固化され、所望の厚さの成形シートSとして成形される。成形ロールユニット20で成形された成形シートSは、成形ロールユニット20から下流側に装置に搬送され、最終的な製品に向けて適宜必要な処理が施される。
【0020】
<成形ロール30>
図2は、実施形態に係る成形ロール30の断面図である。成形ロールユニット20が有する第2ロール22は、以下に説明する成形ロール30として構成されている。成形ロール30は、略円筒形の形状で形成され、外周面32で成形シートS(
図1参照)の成形を行うロール本体部31と、ロール本体部31よりも小さい径で軸状に形成され、ロール本体部31の軸方向における両側に配置されるロール支持部33とを有している。成形ロール30は、ロール本体部31の軸方向における両側に配置されるロール支持部33が、それぞれ外側軸受51によって支持されており、これにより成形ロール30は、外側軸受51によって回転自在に支持されている。このように、外側軸受51によって回転自在に支持される成形ロール30には、モータ等の回転駆動機構(図示省略)が連結されており、成形ロール30は、回転駆動機構から与えられる駆動力により回転可能になっている。
【0021】
また、成形ロール30は、駆動軸35と固定軸36とを備えており、ロール本体部31とロール支持部33とは、駆動軸35が有する部位になっている。換言すると、駆動軸35は、ロール本体部31とロール支持部33とを有して構成されており、回転駆動機構から与えられる駆動力により回転可能になっている。一方、固定軸36は、駆動軸35の内側に、回転不可の状態で配置されている。
【0022】
詳しくは、駆動軸35は、略円筒状の形状で形成され、固定軸36は、外径が駆動軸35の内径よりも小さい略円柱状の形状で形成されており、円柱の中心軸が、駆動軸35の円筒の中心軸に一致する向きで、駆動軸35の内側に配置されている。なお、これらの中心軸は、成形ロール30として構成される第2ロール22の回転軸22r(
図1参照)と一致している。
【0023】
駆動軸35の内側に配置される固定軸36は、駆動軸35におけるロール本体部31の位置の内側から、2箇所のロール支持部33のうちの一方のロール支持部33の内側に亘って配置されている。固定軸36の長さ方向における両端付近には、固定軸36と駆動軸35との間に内側軸受52が配置されており、固定軸36は、内側軸受52によって駆動軸35に対して相対回転自在に駆動軸35の内側に配置されている。即ち、駆動軸35は、固定軸36に対して相対回転が可能になっており、これにより、駆動軸35は、回転不可の状態で配置される固定軸36に対して、固定軸36の外周側で回転可能になっている。
【0024】
これらのように形成される成形ロール30の内部には、熱媒の流路である熱媒流路40と、成形ロール30の外周面32の温度の均一化を図るためのヒートパイプ41とが形成されている。熱媒流路40は、内部に熱媒が流れる通路状に形成されており、成形ロール30は、熱媒流路40を流れる熱媒との間で熱交換が可能になっている。本実施形態では、成形ロール30は、熱媒流路40を流れる熱媒との間で熱交換を行うことにより、冷却可能になっており、熱媒としては水が用いられている。即ち、熱媒流路40を流れる熱媒は、成形ロール30を冷却する冷却水になっている。また、ヒートパイプ41は、内部に気液二相の熱媒が封入されており、当該熱媒の潜熱移動により、成形ロール30の外周面32の温度の均一化を図る部位になっている。これらの熱媒流路40とヒートパイプ41とは、いずれも駆動軸35に形成されている。
【0025】
ヒートパイプ41は、駆動軸35が有するロール本体部31に形成されている。詳しくは、ヒートパイプ41は、ロール本体部31の外周面32の直近の位置で、ロール本体部31の円筒の中心軸に並行な向きに延びる穴状の形状で形成されており、ロール本体部31の長さ方向における一端の近傍付近から、他端の近傍付近に亘って配置されている。ヒートパイプ41は、長さ方向における両端が閉塞されることにより密閉された空間を形成しており、ヒートパイプ41に封入される熱媒は、この密閉された空間に封入されている。ヒートパイプ41に封入される気液二相の熱媒としては、例えば、水が用いられる。
【0026】
熱媒流路40は、駆動軸35が有するロール本体部31から、駆動軸35における、内側に固定軸36が配置されていない側のロール支持部33にかけて形成されている。詳しくは、熱媒流路40におけるロール本体部31に形成される部分は、ヒートパイプ41よりもロール本体部31の径方向における内側の位置に配置されている。また、熱媒流路40におけるロール本体部31に形成される部分は、ヒートパイプ41と同様に、ロール本体部31の円筒の中心軸に並行な向きに延びる穴状の形状で形成されており、ロール本体部31の長さ方向における一端の近傍付近から、他端の近傍付近に亘って配置されている。
【0027】
図3は、
図2のA-A断面図である。また、熱媒流路40は、ロール本体部31に形成される部分では、U字状の形状で形成されている。つまり、熱媒流路40は、ロール本体部31に形成される部分では、ロール本体部31の円周方向において隣り合う穴同士の一端が連結されており、これにより、熱媒流路40は、U字状の形状で形成されている。換言すると、熱媒流路40は、ロール本体部31に形成される部分では、ロール本体部31の円筒の中心軸に並行な向きに延びつつ、ロール本体部31の長さ方向における一端付近で折り返されている。熱媒流路40における折り返される部分は、ロール本体部31の長さ方向における、内側に固定軸36が配置されるロール支持部33が位置する側の端部付近になっている。
【0028】
熱媒流路40は、ロール本体部31の位置で折り返される側の反対側に位置する部分では、2本の穴の状態でそれぞれ独立して、ロール本体部31から、内側に固定軸36が配置されていない側のロール支持部33にかけて形成されている。成形ロール30における、内側に固定軸36が配置されていない側のロール支持部33の端部には、ロータリージョイント55が配置されており、ロール支持部33に形成される熱媒流路40の2本の穴は、それぞれ独立してロータリージョイント55に連通している。ロータリージョイント55には、熱媒流路40に対して熱媒を供給する熱媒経路70の戻り経路71と流入経路72とが接続されており、熱媒流路40の2本の穴は、ロータリージョイント55を介して戻り経路71と流入経路72とに接続されている。
【0029】
図4は、
図2のB-B断面図である。成形ロール30の駆動軸35に形成されるヒートパイプ41と熱媒流路40とは、それぞれ複数が、駆動軸35における円筒の中心軸を中心とする円周方向に等間隔で配置されている。
【0030】
また、成形ロール30の固定軸36には、成形ロール30の外周面32の温度を上昇させることができるロールヒータ45が配置されている。ロールヒータ45は、固定軸36における、駆動軸35が有するロール本体部31の内側に位置する部分に配置されている。ロールヒータ45は、ロール本体部31の内周面に対向する位置に配置されてコイル状に形成されており、ロール本体部31で誘導電流を発生させることにより、成形ロール30の外周面32を上昇させることが可能になっている。つまり、コイル状に形成されるロールヒータ45は、交流電圧が印加されると交番磁束が発生し、交番磁束がロール本体部31を通過することにより、ロール本体部31で誘導電流が発生する。ロール本体部31は、この誘導電流によりジュール熱が発生し、外周面32を含む所定の範囲の温度が上昇する。即ち、ロール本体部31を含む駆動軸35は、金属材料からなり、ロールヒータ45は、金属材料からなるロール本体部31に対してジュール熱を発生させることにより、外周面32の温度を上昇させることが可能になっている。
【0031】
ロールヒータ45は、成形ロール30の外部に配置されるロールヒータ導線61に対して、リード線L1を介して接続されており、ロールヒータ45は、ロールヒータ導線61とリード線L1とを介して、成形ロール30の外部に配置される交流電源(図示省略)に接続されている。これにより、ロールヒータ45には、交流電源によって交流電圧を印加することが可能になっている。
【0032】
さらに、成形ロール30には、外周面32の温度を検出するロール温度センサ46が備えられている。ロール温度センサ46は、駆動軸35のロール本体部31に配置されており、ロール本体部31の外周面32の直近の位置で、駆動軸35の円筒の中心軸を中心とする円周方向における、ヒートパイプ41同士の間に配置されている。ロール温度センサ46は、このようにロール本体部31の外周面32の直近の位置に配置されることにより、外周面32の温度を検出することが可能になっている。ロール温度センサ46は、成形ロール30の外部に配置されるロール温度センサ導線62に対して、リード線L2と回転トランス60とを介して、電気的に接続されている。
【0033】
詳しくは、回転トランス60は、成形ロール30におけるロータリージョイント55が配置される側の端部の反対側の端部に配置されており、ロール温度センサ導線62は、成形ロール30の外部から、回転トランス60に接続されている。また、ロール温度センサ46に接続されるリード線L2は、回転トランス60に接続されており、回転トランス60は、駆動軸35の回転時に駆動軸35と一体に回転するリード線L2と、ロール温度センサ導線62との間で、電気信号を送ることができる。これにより、リード線L2とロール温度センサ導線62とは、回転トランス60とを介して電気的に接続されており、即ち、ロール温度センサ46に対して電気的に接続されている。
【0034】
成形ロール30の固定軸36に配置されるロールヒータ45は、ロール温度センサ46で検出した成形ロール30の外周面32の温度に基づいて、成形ロール30の外周面32の温度を調節することが可能になっている。つまり、ロールヒータ45に交流電圧を印加する交流電源は、ロール温度センサ46で検出した成形ロール30の外周面32の温度に基づいて、ロールヒータ45に印加する電圧や、ON、OFFの制御を行うことにより、成形ロール30の外周面32の温度を調節する。
【0035】
<温度制御装置100>
図5は、実施形態に係る成形ロール30の温度制御装置100の構成を示す模式図である。成形ロール30の温度制御装置100は、戻り温度センサ81と、流入温度センサ82と、流量計83と、温度調節装置84と、ポンプ90と、流量調節部95とを備える温調ユニット105と、熱媒が流れる熱媒経路70とを備えている。
【0036】
このうち、熱媒経路70は、成形ロール30に形成される熱媒流路40(
図2参照)に接続される熱媒の経路になっており、熱媒流路40から流出した熱媒である冷却水が流れる戻り経路71と、熱媒流路40に流入する冷却水が流れる流入経路72とを有している。熱媒経路70が有する戻り経路71と流入経路72とは、成形ロール30の端部に配置されるロータリージョイント55(
図2参照)にそれぞれ接続されることにより、ロータリージョイント55を介して成形ロール30の熱媒流路40に接続されている。これにより、熱媒経路70の戻り経路71には、熱媒流路40から流出した冷却水が流れることが可能になっており、熱媒経路70の流入経路72と熱媒流路40との間では、流入経路72から熱媒流路40に対して冷却水が流入することが可能になっている。このため、戻り経路71と流入経路72とを有する熱媒経路70と、成形ロール30の熱媒流路40とは、冷却水が循環する循環経路を構成している。
【0037】
温調ユニット105が有する温度調節装置84は、熱媒経路70を流れる冷却水との間で熱交換を行うことにより、流入経路72を流れる冷却水の温度を調節することが可能になっている。詳しくは、温度調節装置84は、熱交換器85と、冷媒流路86と、流量調整バルブ87と、モータバルブ88とを有して構成されている。このうち、熱交換器85は、冷媒流路86の一部を熱媒経路70に隣接させる状態で熱媒経路70上に配置されている。冷媒流路86は、熱媒経路70を流れる冷却水との間で熱交換を行う冷媒が流れる流路になっている。熱交換器85は、熱媒経路70を流れる冷却水と、冷媒流路86を流れる冷媒との間で熱交換を行うことにより、熱媒経路70を流れる冷却水を冷却することが可能になっている。流量調整バルブ87は、冷媒流路86おける熱交換器85に冷媒が流入する側の部分に配置されており、冷媒流路86を流れる冷媒の流量を調節するバルブになっている。モータバルブ88は、流量調整バルブ87を作動させて流量調整バルブ87の開度を調節する駆動手段になっている。温度調節装置84は、モータバルブ88を駆動させて流量調整バルブ87を作動させることにより、冷媒流路86を流れる冷媒の流量を調節することができ、熱媒経路70を流れる冷却水を熱交換器85で冷却する際における冷却の度合いを調節することができる。これにより、温度調節装置84は、熱媒経路70を流れる冷却水の温度を調節することができ、流入経路72を流れる冷却水の温度を調節することができる。
【0038】
ポンプ90は、熱媒経路70に配置されており、熱媒経路70を流れる冷却水を、戻り経路71側から流入経路72側に流すことが可能になっている。これにより、成形ロール30の熱媒流路40から流出した冷却水は、戻り経路71及び流入経路72を通って、再び熱媒流路40に流入する。本実施形態では、ポンプ90は、熱媒経路70を流れる冷却水の流れ方向における、熱交換器85の下流側に配置されている。
【0039】
流量調節部95は、流入経路72から熱媒流路40に流入する冷却水の流量を調節することが可能になっている。本実施形態では、熱媒経路70は、流入経路72側から戻り経路71に冷却水を流すバイパス経路75を有しており、流量調節部95は、バイパス経路75に流す冷却水の流量を三方弁96によって調節することにより、流入経路72から熱媒流路40に流入する冷却水の流量を調節する。詳しくは、バイパス経路75は、熱媒経路70を流れる冷却水の流れ方向におけるポンプ90の下流側の位置と、熱交換器85の上流側の位置とを接続し、双方の間をバイパスして冷却水を流すことができる経路になっている。また、流量調節部95は、三方弁96とモータバルブ97とを有しており、三方弁96は、熱媒経路70におけるポンプ90の下流側の位置で、流入経路72側とバイパス経路75とに分岐する部分に配置されている。
【0040】
三方弁96は、このようにバイパス経路75に分岐する部分に配置されることにより、ポンプ90側から流れてきた冷却水を、流入経路72側のみ、またはバイパス経路75側のみ、または流入経路72側とバイパス経路75側とに分岐させて流すことを、適宜切り替えることができる。このため、三方弁96は、戻り経路71側から流れてきた冷却水のうち、流入経路72に流す冷却水の割合と、バイパス経路75に流す冷却水の割合とを調節することが可能になっている。モータバルブ97は、このように構成される三方弁96を作動させ、戻り経路71側から流れてきた冷却水を流す方向を切り替えたり、流す割合を調節したりすることができる。これにより、流量調節部95は、流入経路72から熱媒流路40に流入する冷却水の流量を調節することができる。
【0041】
戻り温度センサ81は、熱媒経路70を流れる冷却水の流れ方向における熱交換器85の上流側に配置されており、戻り経路71を流れる冷却水の温度を検出することが可能になっている。また、流入温度センサ82は、熱媒経路70を流れる冷却水の流れ方向における三方弁96の下流側に配置されており、流入経路72を流れる冷却水の温度を検出することが可能になっている。
【0042】
戻り温度センサ81や流入温度センサ82で検出する温度のうち、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度は、流量調節部95での冷却水の流量の調節に用いられる。即ち、流量調節部95は、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度に基づいて、流入経路72から熱媒流路40に流入する冷却水の流量を調節する。また、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度は、温度調節装置84での冷却水の温度の調節に用いられる。即ち、温度調節装置84は、流入温度センサ82で検出した冷却水の温度に基づいて、流入経路72を流れる冷却水の温度を調節する。
【0043】
また、流量計83は、熱媒経路70を流れる冷却水の流量を検出することができ、熱媒経路70を流れる冷却水の流れ方向における、流入温度センサ82の下流側に配置されている。流量計83は、流量調節部95の三方弁96よりも下流に配置されているため、熱媒経路70の流入経路72を通って成形ロール30の熱媒流路40に流入する冷却水の流量を検出することが可能になっている。
【0044】
温調ユニット105は、各種の処理を行う制御装置(図示省略)を備えており、ロール温度センサ46、戻り温度センサ81、流入温度センサ82、流量計83の検出結果を取得することができ、これらの検出結果に基づいて、ロールヒータ45、温度調節装置84、ポンプ90、流量調節部95の制御を行うことが可能になっている。
【0045】
<成形ロール30の温度制御装置100の動作>
本実施形態に係る成形ロール30の温度制御装置100は、以上のような構成を含み、以下、その作用について説明する。実施形態に係る成形ロール30を成形ロールユニット20の第2ロール22として備える成形装置1では、成形シートSの成形を行う際には、溶融状態の樹脂材料を、Tダイ12のスリット状の吐出口から吐出し、成形ロールユニット20の第1ロール21と第2ロール22との間の部分に供給する。
【0046】
ここで、第2ロール22である成形ロール30は、樹脂材料が接触する外周面32の温度を調節することが可能になっている。つまり、成形ロール30は、ロールヒータ45によって外周面32の温度を上昇させることができる一方で、熱媒流路40を流れる冷却水によって、外周面32の温度を低下させることができる。
【0047】
本実施形態に係る成形ロール30の温度制御装置100では、成形シートSの成形を行う際には、成形ロール30に樹脂材料が供給される前に、ロールヒータ45によって外周面32の温度を、予め成形に適した温度に調節すると共に、成形ロール30の熱媒流路40に冷却水を流す。即ち、ポンプ90を作動させ、また、熱媒経路70の流入経路72側に冷却水が流れるように流量調節部95を作動させることにより、成形ロール30の熱媒流路40と熱媒経路70との間で、冷却水を循環させる。
【0048】
熱媒流路40に冷却水を流しつつ、成形ロール30の外周面32の温度を、ロールヒータ45によって成形シートSの成形に適した温度に調節する。その際に、成形ロール30のロール本体部31には、気液二相の熱媒が封入されたヒートパイプ41が形成されているため、ロール本体部31の長さ方向における全範囲に亘って、ヒートパイプ41によって効率良く熱伝達が行われることにより、成形ロール30の外周面32の温度は均一化される。また、成形シートSの成形を行う際には、さらに回転駆動機構によって、成形ロール30の駆動軸35を回転させた状態で、Tダイ12から樹脂材料を供給する。これにより、樹脂材料は固化しながら、成形ロールユニット20における下流側に位置する第3ロール23側に搬送され、成形シートSとして成形される。
【0049】
その際に、樹脂材料は、溶融して温度が高い状態で成形ロール30の外周面32に供給されるため、高温の樹脂材料が外周面32に接触することにより、外周面32の温度が上昇する。このため、成形ロール30の温度制御装置100では、ロールヒータ45の電力量を調節したり、成形ロール30の熱媒流路40と熱媒経路70との間で循環する冷却水の流量や温度を調節したりすることより、成形ロール30の外周面32の温度を、成形シートSの成形に適した温度の範囲内に収めるようにする。これらの調整は、ロール温度センサ46で検出する成形ロール30の外周面32の温度や、戻り温度センサ81や流入温度センサ82で検出する冷却水の温度に基づいて行う。
【0050】
例えば、ロール温度センサ46で検出した成形ロール30の外周面32の温度が、所定の設定温度より高い場合は、ロールヒータ45の電力量を低下させることにより、誘導電流による外周面32の温度上昇を低下させる、または、温度上昇を行わない。また、ロール温度センサ46で検出した成形ロール30の外周面32の温度が、所定の設定温度より低い場合は、ロールヒータ45の電力量を増加させることにより、誘導電流によって外周面32の温度を上昇させる。
【0051】
また、冷却水の温度は、熱媒経路70を流れる冷却水と冷媒流路86を流れる冷媒との間で熱交換を行う温度調節装置84によって、流入温度センサ82で検出した冷却水の温度に基づいて調節する。具体的には、温度調節装置84は、流入温度センサ82で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より高い場合は、冷媒流路86を流れる冷媒の流量を増やすことにより、熱媒経路70を流れる冷却水を熱交換器85で冷却する際における冷却の度合いを増加させる。反対に、流入温度センサ82で検出した冷却水の温度が設定温度より低い場合は、冷媒流路86を流れる冷媒の流量を減らすことにより、熱媒経路70を流れる冷却水を熱交換器85で冷却する際における冷却の度合いを低下させる。
【0052】
つまり、熱媒経路70は、成形ロール30の熱媒流路40との間で冷却水を循環させるが、熱媒流路40を流れる冷却水は、成形ロール30との間で熱交換を行う。このため、成形ロール30の温度が高い場合は、冷却水の温度も高くなり、成形ロール30の温度が低い場合は、冷却水の温度も低くなる。
【0053】
従って、流入温度センサ82で検出した冷却水の所定の設定温度が高い場合は、成形ロール30の外周面32の温度も高いと判断することができるため、この場合は、冷媒流路86を流れる冷媒の流量を流量調整バルブ87で増加させて、熱媒経路70を流れる冷却水を熱交換器85で冷却する際における冷却の度合いを増加させる。これにより、成形ロール30の外周面32の温度を、冷却水によってより低下させることができるようにする。また、流入温度センサ82で検出した冷却水の所定の設定温度が低い場合は、成形ロール30の外周面32の温度も低いと判断することができるため、この場合は、冷媒流路86を流れる冷媒の流量を流量調整バルブ87で減少させて、熱媒経路70を流れる冷却水を熱交換器85で冷却する際における冷却の度合いを低下させる。これにより、成形ロール30の外周面32の温度を、冷却水によって低下させる度合いを低下させる。
【0054】
また、冷却水の流量は、熱媒経路70の流入経路72から熱媒流路40に流入する冷却水の流量を、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度に基づいて、流量調節部95によって調節する。具体的には、流量調節部95は、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より高い場合は、熱媒流路40に向かって流入経路72を流れる冷却水の流量を増加させ、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が設定温度より低い場合は、熱媒流路40に向かって流入経路72を流れる冷却水の流量を減少させる。
【0055】
つまり、戻り温度センサ81で温度を検出する冷却水は、成形ロール30の熱媒流路40を流れる冷却水が成形ロール30との間で熱交換を行った後の冷却水であるため、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度が高い場合は、現在の冷却水の流量では、成形ロール30を冷却しきれていないことを示している。このため、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より高い場合は、成形ロール30の熱媒流路40に流す冷却水の流量を増加させ、多くの冷却水で成形ロール30を冷却できるようにする。
【0056】
さらに、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度が高い場合は、成形ロール30の熱媒流路40内でも冷却水の温度が高くなり易い状態であることを示している。冷却水の温度が高くなり過ぎると、冷却水は沸騰して水蒸気となり、体積が急激に膨張することによって衝撃音が発生したり、ポンプ90を安定して運転することが出来なくなったりする等の弊害が発生する虞がある。このため、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より高い場合は、成形ロール30の熱媒流路40に流す冷却水の流量を増加させて冷却水の温度が高くなり過ぎないようにし、冷却水が沸騰して水蒸気になることを抑制する。本実施形態では、このように戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度に基づいて成形ロール30の熱媒流路40に流す冷却水の流量を調節する動作は、他の調整動作より優先させて行う。
【0057】
これらとは反対に、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度が低い場合は、現在の冷却水の流量では、成形ロール30を冷却し過ぎていることを示している。このため、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より低い場合は、成形ロール30の熱媒流路40に流す冷却水の流量を減少させ、成形ロール30を冷却する冷却水を減少させることにより、成形ロール30を冷却し過ぎないようにする。
【0058】
流量調節部95での冷却水の流量の調整は、モータバルブ97によって三方弁96を作動させることにより行う。具体的には、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より高い場合は、モータバルブ97によって三方弁96を作動させることにより、バイパス経路75に流す冷却水の割合を低下させ、流入経路72に流す冷却水の割合を増加させる。一方、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より低い場合は、流量調節部95は、モータバルブ97によって三方弁96を作動させることにより、バイパス経路75に流す冷却水の割合を増加させ、流入経路72に流す冷却水の割合を低下させる。
【0059】
また、冷却水の温度や流量の調節は、流入温度センサ82や戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度のみでなく、成形ロール30の外周面32の温度を上昇させるロールヒータ45の電力量も用いて行う。つまり、温調ユニット105は、ロールヒータ45に供給される電力量を検出すると共に、検出した電力量に基づいて、流量調節部95や温度調節装置84の制御を行うことが可能になっている。
【0060】
例えば、ロールヒータ45の電力量が多い場合は、成形ロール30の外周面32の温度が低いため成形ロール30の外周面32の温度を上昇させる必要がある状況であることを示している。このため、この場合は、成形ロール30の外周面32の温度を上昇させることができるように、流量調節部95で冷却水の流量を調節したり、温度調節装置84で冷却水の温度を調節したりする。反対に、ロールヒータ45の電力量が少ない場合は、成形ロール30の外周面32の温度が高いため成形ロール30の外周面32の温度を低下させる必要がある状況であることを示している。このため、この場合は、成形ロール30の外周面32の温度を低下させることができるように、流量調節部95で冷却水の流量を調節したり、温度調節装置84で冷却水の温度を調節したりする。
【0061】
具体的には、流量調節部95は、ロールヒータ45の電力量が所定の設定電力量より多い場合は、熱媒流路40に向かって流入経路72を流れる冷却水の流量を減少させ、ロールヒータ45の電力量が設定電力量より少ない場合は、熱媒流路40に向かって流入経路72を流れる冷却水の流量を増加させる。即ち、流量調節部95は、ロールヒータ45の電力量に基づいて、モータバルブ97によって三方弁96を作動させ、バイパス経路75に流す冷却水の割合を増加させて流入経路72に流す冷却水の割合を低下させたり、バイパス経路75に流す冷却水の割合を低下させて流入経路72に流す冷却水の割合を増加させたりする。
【0062】
また、温度調節装置84は、ロールヒータ45の電力量が所定の設定電力量より多い場合は、冷却水を熱交換器85で冷却する際における冷却の度合いを低下させ、ロールヒータ45の電力量が前記設定電力量より少ない場合は、冷却水を熱交換器85で冷却する際における冷却の度合いを増加させる。冷却水の温度や流量の調節は、熱媒経路70を流れる冷却水の温度のみでなく、これらのようにロールヒータ45の電力量も参照して行う。
【0063】
これらのように、成形ロール30の外周面32の温度に基づいてロールヒータ45の電力量を調節したり、戻り温度センサ81や流入温度センサ82で検出する冷却水の温度に基づいて冷却水の流量や温度を調節したりする際には、一定時間の検出値を平均化して用いる。例えば、ロール温度センサ46で検出する成形ロール30の外周面32の温度は、ロール温度センサ46で一定の時間検出した検出結果を平均化したものを、ロール温度センサ46で検出した成形ロール30の外周面32の温度として使用する。
【0064】
同様に、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度は、戻り温度センサ81で一定の時間検出した冷却水の温度の検出結果を平均化したものを、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度として使用する。その際に、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度の平均化の時間は、ロール温度センサ46で検出する成形ロール30の外周面32の温度の平均化の時間よりも長い時間で設定する。つまり、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度は、ロール温度センサ46での検出結果を平均化する時間よりも長い時間、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度の検出結果を平均化したものを、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度として使用する。
【0065】
例えば、ロール温度センサ46で検出する成形ロール30の外周面32の温度の平均化の時間は10秒以下とし、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度の平均化の時間は1分から10分程度とするのが好ましい。つまり、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度の平均化の時間は、ロール温度センサ46で検出する成形ロール30の外周面32の温度の平均化の時間に対して数倍程度以上であるのが望ましい。ロールヒータ45での成形ロール30の外周面32の温度の調節や、流量調節部95や温度調節装置84での冷却水の流量、温度の調節は、これらのように、各検出値を平均化したものを用いて行う。
【0066】
<実施形態の効果>
以上の実施形態に係る成形ロール30の温度制御装置100は、熱媒経路70が有する戻り経路71を流れる冷却水の温度を検出する戻り温度センサ81と、成形ロール30の熱媒流路40に流入する冷却水の流量を調節する流量調節部95とを備えるため、戻り経路71を流れる冷却水の温度に基づいて、成形ロール30の熱媒流路40に流入する冷却水の流量を調節することができる。これにより、成形ロール30の熱媒流路40を流れる冷却水の温度が、高くなり過ぎることを抑制することができ、冷却水が沸騰して水蒸気になることを抑制することができる。この結果、より高い精度で温度制御を行うことができる。
【0067】
また、熱媒経路70が有する流入経路72を流れる冷却水の温度を検出する流入温度センサ82と、流入経路72を流れる冷却水の温度を調節する温度調節装置84とを備えるため、流入経路72を流れる冷却水の温度に基づいて、流入経路72を流れる冷却水の温度を調節することができる。これにより、成形ロール30を冷却するために成形ロール30の熱媒流路40を流れる冷却水の温度が、高くなり過ぎたり低くなり過ぎたりすることを抑制でき、成形ロール30の外周面32の温度を、より確実に成形シートSの成形に適した温度にすることができる。この結果、より高い精度で温度制御を行うことができる。
【0068】
また、温度調節装置84は、流入温度センサ82で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より高い場合は冷却水の冷却の度合いを増加させるため、成形ロール30の外周面32の温度が高くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、成形シートSの成形を行う際において、例えば、高温の樹脂材料が成形ロール30の外周面32に接触することにより外周面32の温度が高くなり易い状況でも、外周面32の温度を短時間で低下させることができ、樹脂材料を適切に冷却固化させることができる。また、温度調節装置84は、流入温度センサ82で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より低い場合は冷却水の冷却の度合いを低下させるため、成形ロール30の外周面32の温度が低くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、成形シートSの成形を行う際において、例えば、成形ロール30の外周面32に接触する樹脂材料の温度が比較的低めであることにより、樹脂材料の固化が速くなり過ぎる状況でも、外周面32の温度を上昇させ易くすることができ、樹脂材料を冷却固化が速くなり過ぎることを抑制できる。これらの結果、より高い精度で温度制御を行うことができ、成形シートSの成形をより適切に行うことができる。
【0069】
また、成形ロール30は、ロールヒータ45とロール温度センサ46とを有し、ロールヒータ45は、ロール温度センサ46で検出した成形ロール30の外周面32の温度に基づいて、成形ロール30の外周面32の温度を調節するため、外周面32の温度を、より直接的に調節することができる。これにより、成形ロール30の外周面32の温度を、より高い精度で、成形シートSの成形に適した温度にすることができる。この結果、より高い精度で温度制御を行うことができる。
【0070】
また、流量調節部95は、ロールヒータ45の電力量が所定の設定電力量より多い場合は、熱媒流路40に向かって流入経路72を流れる冷却水の流量を減少させるため、成形ロール30の外周面32の温度が低いことによってロールヒータ45の電力量が多くなる状況では、冷却水による冷却量を低減することができる。これにより、成形ロール30の外周面32の温度をロールヒータ45で上昇させる際における電力量を、極力抑えることができる。また、流量調節部95は、ロールヒータ45の電力量が所定の設定電力量より少ない場合は、熱媒流路40に向かって流入経路72を流れる冷却水の流量を増加させるため、成形ロール30の外周面32の温度が高いためロールヒータ45の電力量を抑えている状況では、冷却水による冷却量を増加させることができる。これにより、温度が高くなった成形ロール30の外周面32の温度を、冷却水によって早期に低下させることができる。これらの結果、ロールヒータ45の電力消費量を抑えつつ、成形ロール30の外周面32の温度を、より確実に適切な温度にすることができる。
【0071】
また、温度調節装置84は、ロールヒータ45の電力量が所定の設定電力量より多い場合は、冷却水の冷却の度合いを低下させるため、成形ロール30の外周面32の温度が低いことによってロールヒータ45の電力量が多くなる状況では、冷却水による冷却量を低減することができる。これにより、成形ロール30の外周面32の温度をロールヒータ45で上昇させる際における電力量を、極力抑えることができる。また、温度調節装置84は、ロールヒータ45の電力量が所定の設定電力量より少ない場合は、冷却水の冷却の度合いを増加させるため、成形ロール30の外周面32の温度が高いためロールヒータ45の電力量を抑えている状況では、冷却水による冷却量を増加させることができる。これにより、温度が高くなった成形ロール30の外周面32の温度を、冷却水によって早期に低下させることができる。これらの結果、ロールヒータ45の電力消費量を抑えつつ、成形ロール30の外周面32の温度を、より確実に適切な温度にすることができる。
【0072】
また、ロール温度センサ46で検出する成形ロール30の外周面32の温度や、戻り温度センサ81で検出する冷却水の温度は、それぞれ一定の時間検出した検出結果を平均化したものを、制御で使用する検出値として用いるため、検出値が短時間で頻繁に変化することの起因するハンチングを抑制することができる。また、戻り温度センサ81での検出結果を平均化する時間は、ロール温度センサ46での検出結果を平均化する時間よりも長い時間とすることにより、制御が煩雑になることを抑制することができる。つまり、戻り温度センサ81での検出結果を用いて行う冷却水の流量の調節は、ロール温度センサ46での検出結果を用いて行うロールヒータ45での成形ロール30の外周面32の温度の調節と比較して、調節を行った際における外周面32の温度変化の応答性が低くなっている。このため、戻り温度センサ81での検出結果を平均化する時間を、ロール温度センサ46での検出結果を平均化する時間よりも長い時間とすることにより、成形ロール30の外周面32の温度を調節する際の実効性は確保しつつ、制御の頻度を低減することができる。この結果、制御の簡素化を図りつつ、より高い精度で温度制御を行うことができる。
【0073】
また、熱媒経路70はバイパス経路75を有し、流量調節部95は、流入経路72に流す冷却水の割合と、バイパス経路75に流す冷却水の割合とを調節することにより、流入経路72から成形ロール30の熱媒流路40に流入する冷却水の流量を調節するため、熱媒流路40に流す冷却水の流量を、容易に調節することができる。また、成形ロール30の熱媒流路40側に流さない冷却水は、戻り経路71側に流すため、熱媒流路40で成形ロール30との間で熱交換を行うことにより冷却水の温度が高くなった場合でも、温度が高い戻り経路71の冷却水と、バイパス経路75から冷却水を合流させることにより、戻り経路71の冷却水の温度を低下させることができる。これにより、成形ロール30との間で熱交換を行った後の冷却水が流れることにより、高温の冷却水が流れ易い戻り経路71中の冷却水の温度を低下させることができ、温度が高くなり過ぎることによって冷却水が沸騰して水蒸気になることを抑制することができる。この結果、より容易に、高い精度で温度制御を行うことができる。
【0074】
また、流量調節部95は、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より高い場合は、熱媒流路40に向かって流入経路72を流れる冷却水の流量を増加させるため、成形ロール30の外周面32の温度が高くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、成形シートSの成形を行う際において、例えば、高温の樹脂材料が成形ロール30の外周面32に接触することにより外周面32の温度が高くなり易い状況でも、外周面32の温度を短時間で低下させることができ、樹脂材料を適切に冷却固化させることができる。また、流量調節部95は、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度が所定の設定温度より低い場合は、熱媒流路40に向かって流入経路72を流れる冷却水の流量を減少させるため、成形ロール30の外周面32の温度が低くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、成形シートSの成形を行う際において、例えば、成形ロール30の外周面32に接触する樹脂材料の温度が比較的低めであることにより、樹脂材料の固化が速くなり過ぎる状況でも、外周面32の温度を上昇させ易くすることができ、樹脂材料を冷却固化が速くなり過ぎることを抑制できる。これらの結果、より高い精度で温度制御を行うことができ、成形シートSの成形をより適切に行うことができる。
【0075】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、温度調節装置84は、冷却水の温度を低下させるのみであるが、温度調節装置84は、冷却水を加熱するヒータを用いてもよい。即ち、温度調節装置84は、熱媒経路70を流れる冷却水を冷却するのみでなく、熱媒経路70を流れる冷却水をヒータで加熱することにより、成形ロール30の外周面32の温度を上昇させる際の補助に使ったり、成形シートSの成形時における冷却水の温度制御に使用したりしてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、流量調節部95は、三方弁96とモータバルブ97とを有し、バイパス経路75に流す冷却水の割合を調節することにより、流入経路72に流す冷却水の流量を調節しているが、流量調節部95は、これ以外の構成であってもよい。流量調節部95は、例えば、冷却水を戻り経路71から流入経路72に送るポンプ90に、冷却水の流量を調節することができるものを用いることによって構成してもよい。冷却水の流量を調節するポンプ90としては、例えば、ポンプ90の回転数をインバータで制御して流量を調整することができるものを用いてもよく、または、可変容量ポンプを用いて流量を調整できるようにしてもよい。流量調節部95は、流量調節部95の構成に関わらず、流入経路72に流す冷却水の流量を連続的に調節することができるものが望ましい。
【0077】
また、上述した実施形態では、成形ロール30の熱媒流路40と熱媒経路70とを冷却水が循環するように構成されているが、冷却水は循環しなくてもよい。例えば、熱媒経路70の戻り経路71と流入経路72とが接続されることなく分離し、成形ロール30の熱媒流路40から戻り経路71に流出した冷却水は戻り経路71から排水してもよい。この場合、流入経路72から成形ロール30の熱媒流路40に流入させる冷却水は、例えば、水道水を流入経路72から熱媒流路40に流入させるようにし、戻り温度センサ81で検出した冷却水の温度に基づいて冷却水の流量を調節する流量調節部95は、水道水の流量を調節するようにしてもよい。
【0078】
図6は、実施形態に係る成形ロール30の温度制御装置100の変形例であり、熱媒流路40に断熱材40aを配置した状態を示す説明図である。また、上述した実施形態では、成形ロール30の熱媒流路40は、金属材料からなる駆動軸35に形成される穴状の通路になっているが、熱媒流路40には、内側に断熱材40aを入れて、熱媒流路40を流れる冷却水と駆動軸35を形成する金属部分とが直接接触しないようにしてもよい。つまり、冷却水が沸騰して水蒸気になると、ポンプ90を安定して運転することが出来なくなるため、温度が高くなった成形ロール30と熱媒流路40を流れる冷却水との間で熱交換を行われる際でも、冷却水の温度が沸点を超えないようにする必要がある。熱媒流路40を流れる冷却水の温度上昇を抑えるための手法としては、冷却水の流量を増加させることが挙げられるが、冷却水の流量を増やして流速を早くすると、冷却水の熱容量が大きくなり過ぎてしまい、成形ロール30の外周面32の温度が低くなり過ぎてしまう虞がある。冷却水の熱容量を抑えるため、熱媒流路40の穴の直径を小さくすると、熱媒流路40を流れる冷却水の流量が少なくなり、冷却水の熱容量が小さくなるため、冷却水は成形ロール30との熱交換によって温度が上昇し易くなり、沸点に近付き易くなってしまう虞がある。
【0079】
これに対し、熱媒流路40の内側に断熱材40aを入れて、熱媒流路40を流れる冷却水と駆動軸35を形成する金属部分とが直接接触しないようにした場合には、成形ロール30の熱は冷却水に伝わり難くなり、冷却水は温度が上昇し難くなる。断熱材40aとしては、金属と比較して熱伝導率が低く、且つ、耐熱性が高い部材を用いるのが好ましい。このように、熱媒流路40の内側に断熱材40aを入れて成形ロール30の熱が冷却水に伝わり難くなるようにすることにより、熱媒流路40の穴の直径を小さくすることなく、成形ロール30の外周面32の温度が低くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、成形ロール30の外周面32の温度を低下させ過ぎることを抑制しつつ、冷却水の流量を確保して冷却水の熱容量を確保することができるため、冷却水による冷却性能自体は確保しつつ、冷却水が沸騰して水蒸気になることを抑制することができる。この結果、より確実に、高い精度で温度制御を行うことができる。
【0080】
また、上述した実施形態では、成形ロールユニット20における第2ロール22のみが、温度制御装置100で温度の調節を行う成形ロール30として形成されているが、第1ロール21や第3ロール23も、温度制御装置100で温度の調節を行う成形ロール30として形成されていてもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、成形ロールユニット20の第1ロール21と第2ロール22と第3ロール23とは、回転軸21r、22r、23rが水平方向に延びる向きで配置されているが、第1ロール21と第2ロール22と第3ロール23とは、これ以外の向きで配置されていてもよい。成形ロールユニット20の第1ロール21と第2ロール22と第3ロール23とは、回転軸21r、22r、23rが鉛直方向に延びる向きで配置されていたり、回転軸21r、22r、23rが水平方向と鉛直方向とに対して斜めに延びる向きで配置されていたりしてもよい。成形ロールユニット20は、Tダイ12から供給された樹脂材料を所望の厚さの成形シートSとして成形することができるように構成されていれば、第1ロール21、第2ロール22、第3ロール23の配置の向きは問わない。
【符号の説明】
【0082】
1…成形装置、10…押出ユニット、11…押出機、12…Tダイ、13…接続管、20…成形ロールユニット、21…第1ロール、21r…回転軸、22…第2ロール、22r…回転軸、23…第3ロール、23r…回転軸、30…成形ロール、31…ロール本体部、32…外周面、33…ロール支持部、35…駆動軸、36…固定軸、40…熱媒流路、40a…断熱材、41…ヒートパイプ、45…ロールヒータ、46…ロール温度センサ、51…外側軸受、52…内側軸受
55…ロータリージョイント、60…回転トランス、61…ロールヒータ導線、62…ロール温度センサ導線、70…熱媒経路、71…戻り経路、72…流入経路、75…バイパス経路、81…戻り温度センサ、82…流入温度センサ、83…流量計、84…温度調節装置、85…熱交換器、86…冷媒流路、90…ポンプ、95…流量調節部、96…三方弁、97…モータバルブ、100…温度制御装置、105…温調ユニット、S…成形シート