(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】懸架システムを備えた音響パネルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H04R 7/26 20060101AFI20240209BHJP
H04R 9/06 20060101ALI20240209BHJP
H04R 9/00 20060101ALI20240209BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20240209BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20240209BHJP
H04R 7/24 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H04R7/26
H04R9/06 Z
H04R9/00 C
H04R7/04
H04R9/02 101B
H04R9/02 101C
H04R7/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019212944
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】102018000010947
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516007814
【氏名又は名称】アスク インダストリーズ ソシエタ ペル アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ASK INDUSTRIES SOCIETA’ PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】サンチージ,カルロ
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-092430(JP,A)
【文献】登録実用新案第3092691(JP,U)
【文献】特開2001-340811(JP,A)
【文献】特開2001-359188(JP,A)
【文献】特開2007-129574(JP,A)
【文献】特表2001-507898(JP,A)
【文献】特開2012-151821(JP,A)
【文献】特開平08-084395(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0381461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 7/00- 7/26
H04R 9/00- 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面を備える1つだけの音響パネル(4)と、
前記音響パネル(4)を周囲で取り囲むフレーム(3)と、
前記フレーム(3)と一体の支持体(2)と、
前記支持体(2)に固定される1つだけの磁気ユニット(1)と、
前記音響パネル(4)に固定される1つだけのボイスコイル(6)と、および、
前記フレーム(3)と一体の支持構造体(8)とを備える音響パネルアセンブリ(20
0)において、
前記音響パネルアセンブリ(200)は、前記支持構造体(8)に接続されている複数のばね(7;207;307)を備え、前記ばね(7;207、307)は、前記音響パネル(4)を弾性的に支持するように前記音響パネル(4)の前記背面の異なる位置で接続されいることを特徴とする音響パネルアセンブリ(200)
であって、
前記支持構造体(8)は、複数の開口部(80)を備えた格子として成形され、前記ばね(7)は、前記支持構造体(8)の前記開口部(80)の少なくとも一部に配置される、音響パネルアセンブリ(200)。
【請求項2】
前記支持構造体の前記開口部(80)はラインおよびカラムのパターンにしたがって配置され、全開口部(80)は同一寸法を有し、前記磁気ユニット(1)は前記開口部(80)のうち1箇所に配置され、前記ばね(7)は残りの前記開口部(80)に配置される、請求項
1に記載の音響パネルアセンブリ(200)。
【請求項3】
前記磁気ユニットの前記支持体(2)は前記支持構造体(8)と一体であり、前記磁気ユニット(1)は前記支持構造体(8)の前記開口部(80)のうち1箇所に配置される、請求項
1または
2に記載の音響パネルアセンブリ(200)。
【請求項4】
前記ばね(7)は、前記支持構造体(8)と一体となって統合的に作製される、請求項1~
3のうちいずれか一項に記載の音響パネルアセンブリ(200)。
【請求項5】
各ばね(7)は柔軟な弾性材料でできているダンパ(75a、75b)からなる減衰手段(75)を備え、前記ダンパ(75a、75b)は前記ばね(7)の上方および下方に配置される、請求項1~
4のうちいずれか一項に記載の音響パネルアセンブリ(200)。
【請求項6】
各ばね(7)は、
前記音響パネル(4)に固定される中心部分(70)と、
前記中心部分(70)に対して正反対の位置で前記支持構造体(8)に固定される2つの周辺部分(71、72)と、および、
前記中心部分(70)と前記周辺部分(71、72)を接続する湾曲形状を有する2本のアーム(73、74)とを備える、請求項1~
5のうちいずれか一項に記載の音響パネルアセンブリ(200)。
【請求項7】
各ばね(207)は、センタリング装置または波形の断面を備えた円盤形状を有するスパイダを備え、中心部分(270)は前記支持構造体(8)に固定され、周辺環状部分(271)は前記音響パネル(4)に固定された状態である、請求項1~
5のうちいずれか一項に記載の音響パネルアセンブリ(200)。
【請求項8】
前記支持構造体(8)は、ばね(307)として作用する複数の直線の弾性タブを備え、前記ばね(307)は前記支持構造体(8)から突出して、前記音響パネル(4)に固定される一端部(370)を有する、請求項1~
5のうちいずれか一項に記載の音響パネルアセンブリ(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸架システムを備えた音響パネルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
音響パネルは、分布振動モード形スピーカ(DML)としても定義され、いわゆる「分布モード」にて、広範囲にわたる可聴周波数で音を再生し、パネルの構造/本体に伝播する屈曲波を生成する。音響応答は、パネルのベンディングおよびリップリングによって発生し、励振デバイスによって生成されて、空中に送信される可聴周波数の範囲で分配される。
【0003】
明らかに、このような動作および音響発生機構によって、パネルに使用される材料の特性の選択は、剛性、減衰、および自己雑音に関して、品質の良さおよび高忠実度を備えた音声応答を得るための根幹をなす。
【0004】
DMLパネルの認識されている特徴は、ラウンドスピーカとは異なるものであり、DMLパネルが上の幅の広い音声周波数範囲を超える拡散された、無指向性音場を発するという事実であり、これに反して、音響パネルは、一般的に、低周波の貧弱な再生によって損なわれる。
【0005】
公知であるように、所与の遷移周波数まで、メンブレンの寸法(直径)に応じたラウドスピーカのメンブレンの運動は、ピストン運動に等しく、すなわち、メンブレンのすべての位置は同位相で動く。
【0006】
遷移周波数より高い周波数に対して、音はメンブレンのベンディングおよびリッピングを用いて再生され、音を「特色づける」傾向があり、時として憂慮すべき方法で、その忠実度を低下させる。明らかに、この場合でも、正しい材料の選択が、音を特徴づけて、その忠実度を確保することが根幹をなす。
【0007】
公知であるように、従来のDMLパネルは、音響パネルの本体に直接固定される起振機/加振機を用いて応力が加えられる。パネルに使用される最も多くの一般的な材料は、典型的には、ハニカム構造を備えて、積層した複合型の材料であり、2つの被覆され/積層した表面の間に配置されたハニカムコアを備え、「スキン」として定められている。
【0008】
音響パネルは、それらが円錐形メンブレンを備えたラウンドスピーカとは異なった、薄い厚みを有するといった事実によって特徴付けられる。このような特徴のため、音響パネルは好ましく、実際に浅い空間に取り付ける場合には唯一の解決策である。
【0009】
このような機械的な要件は、自動車の設置の場合に特に重要であり、一般的に、ドア、背もたれシート、自動車の屋根/ヘッドライナ、ウィンドスクリーンを固定するために使用されるピラー、およびダッシュボードにおいて浅い空間を有する。
【0010】
図1は、従来技術による音響パネルアセンブリ(100)を図示する。磁気ユニット(1)は、一般的に弾性のある端部からなる周辺懸架部(5)を用いて音響パネル(4)を支持する周辺外部フレーム(3)に堅固に接続しているブリッジ型ブラケット(2)によって支持される。可動式ボイスコイル(6)は、円筒状ボイスコイル巻型(60)を用いて音響パネル(4)に堅固に接続している。ボイスコイル(6)は、磁気ユニット(1)によって発生する間隙(T)へ移動することができる。ボイスコイル(6)が電流によって交差するときに、それは、軸方向移動を決定する間隙(T)に力(ローレンツ力)を受ける。磁気ユニット(1)は、好ましくは従来技術にしたがってパネルの中心の外に配置されるが、パネルの中心に取り付けられる。
【0011】
図2は、周辺弾性懸架部のいくつかの実施形態を図示しており、周辺弾性懸架部は、ラウドスピーカ技術から公知であり、
図1のもののような音響パネルで使用されることができる。
図2aは、M形部分を備えた周辺懸架部(5a)を図示する。
図2bは、外向きの凹部を有する半円形部分を備えた周辺懸架部(5b)を図示する。
図2cは、内向きの凹部を有する半円形部分を備えた周辺懸架部(5c)を図示する。
図2dおよび2eは、発泡クロスから得られて、音響パネル(4)の周辺を囲んで配置される懸架部(5d、5e)を図示する。
図2fは、空気で満たされ、音響パネル(4)の上方および下方に配置される管状弾性要素からなる2つの支持体(50)を備える懸架部(5f)を図示する。
【0012】
周辺懸架部は、モールド内に音響パネルを配置し、ゴム、シリコーン、または発泡体のような注入可能な弾性材料を射出することで、共成形されることができる。あるいは、周辺懸架部を、別に作製して、接着剤によってパネルの周辺に接着することができる。
【0013】
さらに、周辺懸架部を、求められる形状を得るために、樹脂によって処理され、適切に熱圧される布地から作製することができる。さらに、音響パネルのいくつかの周辺領域のみが、プロジェクト要件によって決定される音響特性にしたがって、弾性的に懸架され得る。
【0014】
米国特許出願公開第2003/0081799号(特許文献1)は、より良好な信号雑音比(S/N)、周波数応答、特に低周波でのより良好な拡大、およびより良好なパワーハンドリングを得るために:音響パネルによって生成される音を改善するのための好適な材料を開示する。
【0015】
米国特許出願公開第2003/0081800号(特許文献2)は、従来のラウドスピーカの実現で知られている技術を用いて、特に低周波での音響応答をさらに改良している音響パネルの励振および懸架システムを開示する。このようにして、限られた電源による電気信号用の分布振動モード形スピーカ(DML)として動作するハイブリッド音響システムが得られる。これに対して、外側の周辺境界部の弾性懸架システムのため、音響パネルは、高音量レベル、特に低周波に対してピストンモードで動作する。
【0016】
音響応答をより規則的に行うために、磁気ユニットは、音響パネルの非中央位置に配置され、したがって、アイドル状態でのパネルの軸に対して非平行方向にパネルを移動させる傾向があるパネルの不安定な運動(ピッチング)の一助となる。米国特許出願公開第2003/0081800号(特許文献2)に開示されている周辺弾性懸架部は、実用的な実施形態において、音響パネルの安定した軸方向移動を保証するものではなく、動作中に間隙に擦りつけるためにボイスコイルに危険が伴い、音の歪みを引き起こす。
【0017】
このような欠点は、米国特許第9660596号(特許文献3)によって部分的に解決されており、それは、音響パネルの軸方向移動をより安定にするために、一つ以上の磁気ユニット(一つ以上の励振位置)を使用する複雑な構成を開示する。複数の磁気ユニットを使用することで、パネル中央を貫く軸に対して作用する励振力によって生じる機械的モーメントを打ち消けそうとする試みである。実際には、上記機械的モーメントは、その軸と平行ではない運動(ピッチング)によってパネルを移動する傾向がある。
【0018】
米国特許第5025474号(特許文献4)には、後方の音響キャビネットに接続している画像投影スクリーンを備えたラウドスピーカシステムが開示されている。ラウドスピーカシステムは、互いにおよび典型的なU字形状の周辺弾性懸架部を備えたフレームに接続する複数の音響パネルを備えている。各音響パネルは、磁気ユニットおよびボイスコイルを備える従来の駆動部によって励振される。音響パネルは、異なる可聴周波帯域を再生するために、異なる寸法を有する。キャビネットの一部は、開放または閉ざすことができ、音響パネルの後方に配置される。このような文献は、壁から音響パネルの距離によってキャビネットの最善の開閉比を得ることを意図している。ボイスコイルに接続している従来の懸架部およびセンタリングシステムは、駆動部のボイスコイルの対応する変位と互換性のあるパネルを動かすために、間隙で使用される。
【0019】
米国特許第5025474号(特許文献4)では、支持構造体に、音響パネル表面の異なる位置で接続されるばねを開示していない。米国特許第5025474号(特許文献4)では、シリコーンゴムでできている弾性要素を開示しており、2枚の隣接した音響パネルの端部の間に配置される。上記弾性要素は、ばねの剛性を有さず、ばねとして作用しない。弾性要素は、様々なパネルを弾性的に接続するために使用され、画像投影スクリーンは、平滑面を得るように固定され、パネルの相対移動を減らして、スクリーンに投射される外形の変形を回避する。
【0020】
実際には、米国特許第5025474号(特許文献4)のラウドスピーカシステムが70インチの総放射面を有し、100dB/mの相当な音圧レベルを達成するために、+/-0.3mm~+/-0.5mmを含んだ範囲で最小限の変位を必要とすると考えられなければならない。したがって、このようなラウドスピーカシステムは、各音響パネルの表面の規則的な広範囲の運動を必要とはせず、したがって、パネルの広範囲の運動を制御するばねを備えることができず、明らかに、パネルの異なる位置でパネル表面の広範囲の運動を制御する方法についていかなる指針も提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】米国特許出願公開第2003/0081799号
【文献】米国特許出願公開第2003/0081800号
【文献】米国特許第9660596号
【文献】米国特許第5025474号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、複数の磁気ユニットの使用を避けて、パネルの安定した軸方向移動を可能にする懸架システムを備えた音響パネルを開示することによって、従来技術の欠点を排除することである。
【0023】
別の目的は、低周波の良好な再生および中間高周波までの可聴帯域の拡張によって、ハイブリッドモード、すなわち「分布モード」および「ピストンモード」で音響パネルを動作させるのに適しているこのような音響パネルアセンブリを開示することである。
【0024】
他の目的は、安価で作製が容易な厚さの薄いこのような音響パネルアセンブリを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
これらの目的は、独立請求項1の特徴を備えた本発明によって達成される。
【0026】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項より明らかとなる。
【0027】
本発明の音響パネルアセンブリは、独立請求項に記載される。
【0028】
本発明のさらなる特徴は、以下の詳細な説明により明らかとなり、それは単に実施例を参照するのみで、限定的なものではなく、ここでは、実施例が添付図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来技術による音響パネルアセンブリの軸方向の断面図である。
【
図2】従来技術による音響パネルで使用される6種類の周辺弾性懸架部からなる断面図である。
【
図3】本発明による音響パネルアセンブリの上面図である。
【
図4】
図3の音響パネルアセンブリの底面図である。
【
図5】
図4と同じ図であり、支持構造体の変形例を図示する。
【
図6】支持構造体のばねの別形体からなる平面図である。
【
図7】
図7の断面VII~VIIに沿った軸方向の図である。
【
図8】音響アセンブリパネルからなる実施形態の底面図であり、支持構造体のばねは、支持構造体と一体となって形成される。
【
図9】音響アセンブリパネルからなる実施形態の底面図であり、支持構造体のばねは、支持構造体と一体となって形成される。
【
図10】支持構造体のばねの第2の実施形態を図示する音響パネルアセンブリからなる底面図である。
【
図11】支持構造体のばねの第3の実施形態を図示する音響パネルアセンブリからなる底面図である。
【
図12】支持構造体のばねの第3の実施形態を図示する音響パネルアセンブリからなる底面図である。
【
図13】音響パネルアセンブリからなる第2の実施形態の底面図であり、ばねはフレームに接続している。
【
図14】
図13の音響パネルアセンブリの別形体からなる底面図であり、ばねとして作用する弾性タブを図示する。
【
図16】音響パネルアセンブリからなる第3の実施形態の底面図であり、弾性アームは、ばねとして作用して、フレーム中に得られる。
【
図17】音響パネルアセンブリからなる第4の実施形態の底面図であり、弾性アームは、ばねとして作用して、音響パネルの周辺部分で得られる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図3~12を参照すると、本発明による音響パネルアセンブリの第1の実施形態が記載されおり、それは参照番号200によって全般的に示される。
【0031】
ここで
図3および4を参照すると、音響パネルアセンブリ(200)は、
-音響パネル(4)と、
-当該音響パネル(4)を周囲で取り囲むフレーム(3)と、
-当該フレーム(3)と一体の支持体(2)と、
-当該支持体(2)に固定される磁気ユニット(1)と、
-当該音響パネル(4)に固定されるボイスコイル(6)とを備える。
【0032】
フレーム(3)は、矩形形状を有することができる。
【0033】
音響パネル(4)は平らな矩形形状で示されるが、それは非平面の非矩形形状を有し得る。例えば、音響パネル(4)は、例えばドア、コックピット、ピラーなどの内部のような、一般に非平面形状を有する自動車の一部から構成され得る。
【0034】
ボイスコイル(106)は、磁気ユニット(1)によって発生する磁界に置かれる。ボイスコイル(6)が電流によって交差するときに、ボイスコイル(6)は間隙でローレンツ力を受け、それによって、その軸方向移動が生じる。
【0035】
支持構造体(8)はフレーム(3)と一体であり、複数のばね(7)は支持構造体に接続している。音響パネルは背面を有し、ばね(7)は音響パネル(4)を音響パネル背面の異なる位置に弾性力をもって支持する。特に磁気ユニット(1)が音響パネル(4)の中心の外に配置されるときに、ばね(7)は音響パネル(4)の軸方向移動を確実にする。
【0036】
ばね(7)は、異なる厚みを有し、その結果として異なる剛性を有することができる。さらに、それらは、音響パネルの中心を通過し、音響パネルの平面にある2本の直交する軸に対する音響パネル(4)の機械的モーメントのバランスを確保するために、異なる形状を有することができて、異なる位置に配置されることができる。
【0037】
図4の実施例において、ばねの支持構造体(8)は、複数の開口部(80)を備える格子である。ばね(7)は、上記開口部(80)の少なくとも一部の内側に配置されている。このような場合には、磁気ユニット(1)の支持体(2)は、ばねの支持構造体(8)と一体である。実際には、磁気ユニット(1)は、ばねの支持構造体(8)の開口部(80)に配置されている。
【0038】
図4は、4本のラインおよび4本のカラムのパターンによって配置される16個の開口部(80)を備えた支持構造体(8)を図示する。全開口部(80)は、同一寸法を有する。
【0039】
磁気ユニットは、支持構造体(1)の開口部(80)に配置されており、音響パネル(4)の全表面に一様に及ぶように、ばね(7)を残りの全開口部に配置する。
【0040】
実験的な検査によって、各ばね(7)は、音響パネルアセンブリ(200)の動作中に各ばね(7)に及ぼした力を測定するために、張力計に接続することができる。このように、音響パネル(4)の運動によって各ばねに生じる効果を、決定することができる。音響パネルの動作がばね(7)のうちいくつかによって負の影響を受ける場合、いくつかのばねを取り除く可能性またはいくつかのばねの弾性値を変更する可能性を考慮することができ、音響パネルアセンブリの最適な動作を得るように、他のばねと比較して異なる形状、異なる材料、または異なる厚みを備えたばねを使用する。
【0041】
図4は、ネジのような、固定手段(M1)を用いてフレーム(3)に固定する支持構造体(8)を図示する。明らかに、支持構造体の固定手段(M1)は、接着、溶接、または取り付け部品からなることができる。あるいは、支持構造体(8)は、フレーム(3)と一体となって得られることができる。
【0042】
図4は、ネジのような、固定手段(M2)を用いて支持構造体(8)に固定するばね(7)を図示する。明らかに、ばねの固定手段(M2)は、接着、溶接、または取り付け部品からなることができる。あるいは、ばね(7)は、支持構造体(8)と一体となって得られることができる。
【0043】
説明の便宜上、各ばね(7)は、
音響パネル(4)に固定される中心部分(70)と、
当該中心部分(70)と比較して正反対の位置で支持構造体(8)に固定される2つの周辺部分(71、72)とを備える。
【0044】
中心部分(70)は、ばねがS字状を有するように、C字状のように湾曲形状を備えた2本のアーム(73、74)を用いて周辺部分(71、72)に接続している。
【0045】
図4の実施例において、ばね(7)は、すべて同一方向に配置され、すなわち、各ばねにおいて、周辺部分(71、72)を通過する直線、およびばねの中心部分(70)は、フレーム(3)の一方と常に平行である。
【0046】
図5は別形体を図示しており、支持構造体(8)の開口部(80)は異なる寸法を有し、ばね(7)は開口部(80)の一部にのみ配置される。
【0047】
いくつかのばねが、支持構造体(80)に、および、フレーム(3)に接続している。
【0048】
いくつかのばね(7)は、フレーム(3)のみに角度をつけて接続している。このような場合には、周辺部分(71、72)を通過する直線およびばねの中心部分(70)は、フレーム(3)の枠に対して45°傾けられる。
【0049】
ばね(7)を、フレーム(3)および支持構造体(8)のように同じプラスチック材料で作製することができる。あるいは、ばね(7)を、共成形技術を用いたフレーム(3)および支持構造体(8)のプラスチック材料とは異なるプラスチック材料で作製することができる。ばねの異なる厚みおよび異なる形状を、音響パネル(4)の異なる領域で分化した弾性力を得るために、プラスチック注入技術によって容易に得ることができる。いずれにせよ、ばねの製造コストは、成形または共成型技術によって下げることができる。
【0050】
ばね(7)は、金属ばねであり、支持構造体(8)に作用させ、または支持構造体(8)と共に成形されることができる。金属ばねが使われる場合、異なる厚みまたは形状の選択によって、音響パネル背面に分化した力の分布が決定される。
【0051】
図6および7は、ばねの望ましくない弾性振動を弱めるために好適な減衰手段(75)を提供するばね(7)の改良されたものを図示する。減衰手段(75)は、ばね(7)の上および下に配置される円盤形状の2つのダンパ(75a、75b)を備える。各ダンパ(75a、75b)は、ゴム、発泡体、またはシリコーンのような柔軟な弾性材料で作製される。
【0052】
第1のダンパ(75a)は、ばねの中心部分(70)周辺に配置されて、ばねの中心部分(70)に係合するシャンク(76)およびダンパ(75)を保持するためにシャンク(76)から放射状に突き出しているフランジ(77)を備えている蓋を用いて保持される。第2のダンパ(75b)は、音響パネル(4)とばね(7)との間に配置される。
【0053】
図8および9は、音響パネルアセンブリ(200)の2つの実施形態を図示しており、フレーム(3)、支持体(2)、支持構造体(8)、およびばね(7)は、プラスチック射出成形を用いて一体となって作製される。
【0054】
図13は、第2の実施形態によるばね(207)を図示する。このような場合には、ばね(207)はスパイダからなり、それはスピーカのボイスコイルを弾性的に支持するために通常使用される。ばね(207)は、波形の断面を備えた円盤形状を有する。ばね(207)は、支持構造体(8)に固定される中心部分(270)および音響パネル(4)に固定される周辺環状部分(271)を有する。このような場合には、支持構造体(8)は、フレーム(3)および磁気ユニットの支持体(2)に接続しているブラケットを備える。
【0055】
図11および12は、第3の実施形態によるばね(307)を図示する。このような場合には、直線の弾性タブは、ばね(307)として作用して、支持構造体(8)から突き出ている。各ばね(307)の一端(370)は、音響パネル(4)に固定する。
【0056】
図13は、第2の実施形態による音響パネルアセンブリ(300)を図示しており、ばね(7)は、フレーム(3)および音響パネル(4)に接続している。支持体(2)は、フレーム(3)に接続している湾曲したブラケットである。このような場合には、ばね(7)はフレーム(3)の4つ角の対応関係においてフレーム(3)に接続しているのみで、ばねの支持構造体は設けられていない。
【0057】
図14および15は、
図13の音響パネルアセンブリ(300)の別形体を図示しており、弾性タブは、ばね(107)として作用して、フレーム(3)から音響パネル(4)の前方へおよび音響パネル(4)の後方へ突き出している。ばね(107)は、接着または溶接のような固定手段(M3)を用いて音響パネル(4)に固定される波形形状および平面的な末端部分(170)を有する。音響パネル(4)の領域によって選択されて、弾性的に支持されるばね(107)は、長さ(L1)および幅(W)を有する。
【0058】
図16は、第3の実施形態による音響パネルアセンブリ(400)を図示する。このような場合には、弾性アームは、ばね(407)として作用して、フレームの周辺部分(33)を、音響パネル(4)に固定されるフレームの中心部分(30)に弾性的に接続している。ばね(407)として作用する上記弾性アームは、フレーム中の貫通したノッチ(31、32)を用いて得られる。ばね(407)として作用する各弾性アームは、フレームの中心部分(30)に接続した内側部分(470)、およびフレームの周辺部分(33)に接続した外側部分(471)を有する。
【0059】
ばね(407)として作用する弾性アームは、例えば、フレーム(3)のような同一材料もしくは異なる材料における射出成形または共成形を用いて、フレーム(3)と一体的に得られることができる。
【0060】
図17は、第4の実施形態によって音響パネルアセンブリ(500)を図示する。
【0061】
このような場合には、弾性的にばね(507)として作用する弾性アームは、音響パネルの中心部分(40)を、フレーム(3)に固定される音響パネル(4)の周辺部分(4e)に接続している。ばね(507)として作用する上記弾性アームは、音響パネル中の貫通したノッチ(41、42)を用いて得られる。ばね(407)として作用する各弾性アームは、音響パネルの中心部分(40)に接続した内側部分(570)、および、音響パネルの周辺部分(43)に接続した外部部分(571)を有する。
【0062】
多数の等価な変形および変更を、本発明の本実施形態になすことができ、それは、当業者の分野の範囲内であり、いずれにせよ、添付の特許請求の範囲によって開示されるような本発明の範囲内に入る。