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特許7433051IL-2スーパーアゴニスト、アゴニスト、およびそれらの融合体の使用および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】IL-2スーパーアゴニスト、アゴニスト、およびそれらの融合体の使用および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/20 20060101AFI20240209BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20240209BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240209BHJP
【FI】
A61K38/20
A61K39/395 N
A61P43/00 121
A61K47/62
A61K47/68
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019571410
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 IB2018000760
(87)【国際公開番号】W WO2018234862
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/521,957
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/679,687
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316012337
【氏名又は名称】メディシナ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィダイ シャフィック
(72)【発明者】
【氏名】マーチャント ファハル
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/164815(WO,A1)
【文献】特表2014-500868(JP,A)
【文献】国際公開第2016/030350(WO,A1)
【文献】特表2017-506264(JP,A)
【文献】国際公開第2016/146894(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/090320(WO,A1)
【文献】特表2008-501349(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0250837(US,A1)
【文献】Annals of Oncology,2016年,27 (Supplement 9),ix123-ix125 396PD,doi:10.1093/annonc/mdw588
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 45/00
A61P 43/00
A61K 38/20
A61K 47/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を治療するための医薬組成物であって、
以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインであって、その番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、IL-2ムテインを含み、
前記IL-2ムテインが配列番号9のアミノ酸配列を含み、
抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体との組み合わせで投与されることによって特徴付けられる、
医薬組成物。
【請求項2】
癌を治療するための医薬組成物であって、
抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体を含み、
以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインであって、その番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従い、かつ配列番号9のアミノ酸配列を含むIL-2ムテインとの組み合わせで投与されることによって特徴付けられる、
医薬組成物。
【請求項3】
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、およびMK-3475(ペンブロリズマブ)、セミプリマブ(REGN2810)、SHR-1210(CTR20160175およびCTR20170090)、SHR-1210(CTR20170299およびCTR20170322)、JS-001(CTR20160274)、IBI308(CTR20160735)、ならびにBGB-A317(CTR20160872)からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記抗CTLA-4抗体が、イピリムマブおよびトレメリムマブからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記IL-2ムテインが、融合タンパク質である、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項6】
前記融合タンパク質が、Fc抗体断片に連結された前記IL-2を含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記Fc抗体断片が、ヒトFc抗体断片である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記Fc抗体断片が、N297A置換を含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記融合タンパク質が、アルブミンに連結された前記IL-2を含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記癌が、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、黒色腫、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、および脳癌からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記癌が、結腸癌である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記IL-2ムテインが、前記抗PD-1抗体または前記抗CTLA-4抗体と融合した、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
薬学的に許容される担体を更に含む、請求項1~12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
T細胞またはNK細胞の単離された集団を含む薬学的製剤であって、
前記T細胞または前記NK細胞が、核酸またはベクターを含み、
前記核酸が、以下の免疫細胞標的化または発現構築物:
配列番号9のアミノ酸配列を含むインターロイキン-2受容体β(IL-2Rβ)結合タンパク質を含み、
前記IL-2Rβ結合タンパク質が以下のアミノ酸置換;L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含み、その番号付けが配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、免疫細胞標的化または発現構築物
をコードする核酸であり、
前記ベクターが、前記核酸を含むベクターであり、かつ、
IL-2受容体を発現する細胞を含む癌細胞と接触させること、および
抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体と組み合わせて使用されることによって特徴付けられる、
IL-2受容体を発現する細胞を含む癌細胞に標的化された薬学的製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2017年6月19日に出願された米国特許出願第62/521,957号および2018年6月1日に出願された第62/679,687号に対する優先権を主張するものであり、そのすべては参照により本明細書へそのすべてが明白に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン2(IL-2)は、活性化されたCD4+T細胞によって主に産生される多能性サイトカインであり、正常な免疫応答の産生に重要な役割を果たす。IL-2は、活性化Tリンパ球の増殖および拡大を促進し、B細胞の成長を増強し、単球およびナチュラルキラー細胞を活性化する。これらの活性のおかげで、IL-2が試験され、認可された癌治療として使用されている(アルデスロイキン、Proleukin(登録商標))。真核細胞では、ヒトIL-2は153アミノ酸の前駆体ポリペプチドとして合成され、そこから20アミノ酸が除去されて、成熟分泌型IL-2が生成される(Taniguchi 1983)。組換えヒトIL-2は、E.coli(Rosenberg 1984)、昆虫細胞(Smith 1985)、および哺乳類COS細胞(Taniguchi 1983)において産生されてきた。
【0003】
インターロイキン-2(IL-2)は、T細胞成長因子として最初に同定された4つのαらせん状束I型サイトカインである(Morganら、Science 193:1007(1976))が、その後、幅広い作用があることが示されている。IL-2はTヘルパー分化を促進し(Zhuら、Annual review of immunology 28:445(2010);Liaoら、Nat Immunol 9:1288(2008);およびLiaoら、Nat Immunol 12:551(2011))、制御性T(Treg)細胞の発達を促進し(Chengら、Immunol Rev 241:63(2011))、ナチュラルキラーおよびリンホカイン活性化キラー活性を誘導し(Liaoら、Immunity 38:13(2013))、活性化誘導細胞死(AICD)を仲介する(Lenardoら、Nature 353:858(1991))。
【0004】
IL-2は、3つの異なる受容体、インターロイキン2受容体アルファ(IL-2Rα;CD25)、インターロイキン2受容体ベータ(IL-2Rβ;CD122)、およびインターロイキン2受容体ガンマ(IL-2Rγ;CD132;一般的なガンマ鎖)と相互作用することにより作用する。同定された最初の受容体はIL-2Rαであり、これはT細胞活性化時に現れる55kDのポリペプチド(p55)であり、元々Tac(T活性化)抗原と呼ばれていた。IL-2Rαは約10-8MのKでIL-2に結合し、「低親和性」IL-2受容体としても知られている。IL-2Rαのみを発現する細胞へのIL-2の結合は、検出可能な生物学的応答を引き起さない。ほとんどの場合、IL-2は、3つの異なる受容体、IL-2Rα、IL-2Rβ、およびIL-2Rγを介して作用する。休止T細胞などのほとんどの細胞は、それらがIL-2に対する親和性が低いIL-2RβおよびIL-2Rγのみを発現するため、IL-2に応答しない。刺激すると、休止T細胞は比較的親和性の高いIL-2受容体IL-2Rαを発現する。IL-2のIL-2Rαへの結合により、この受容体は順次IL-2RβおよびIL-2Rγの係合を引き起こし、T細胞活性化をもたらす。IL-2Rβに対する結合親和性が強化されたために作用が増強されたIL-2「スーパーカイン」が以前に開発された(Levinら、Nature 484:529(2012))。
【0005】
IL-2スーパーアゴニストを含むIL-2に関する豊富な知識にもかかわらず、抗PD-1抗体との併用療法および腫瘍溶解性ウイルスまたはCAR-T細胞との併用療法を含む、癌の治療のためのより良い併用療法のための技術が、依然として必要とされている。本発明はこの必要性を満たし、癌の治療のためのIL-2スーパーアゴニストまたはアゴニストの併用療法、特に、野生型IL-2に従って番号付された置換L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含むIL-2ムテインと抗PD-1抗体との併用を提供する。
【発明の概要】
【0006】
IL-2は免疫系に幅広い影響を及ぼし、免疫活性化と恒常性維持の両方の調節に重要な役割を果たす。免疫系刺激剤として、本発明のIL-2ムテインは、癌の治療のために抗PD-1抗体と組み合わせて使用されることが見出された。
【0007】
別の態様では、抗PD-1抗体または阻害剤と組み合わせてIL-2ムテインを投与することを含む、癌を有する対象を治療する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に開示されるIL-2ムテインのいずれか1つを含む薬学的組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、アミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを有するIL-2ムテインを含む。
【0008】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、(i)抗PD-1抗体または阻害剤と、(ii)以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含むIL-2ムテインであって、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従うものであるIL-2ムテインと、を含む併用治療を投与することを含む、癌を治療する方法を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体または阻害剤は、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、およびMK-3475(ペンブロリズマブ)、セミプリマブ(REGN2810)、SHR-1210(CTR20160175およびCTR20170090)、SHR-1210(CTR20170299およびCTR20170322)、JS-001(CTR20160274)、IBI308(CTR20160735)、BGB-A317(CTR20160872)、ならびに米国特許公開第2017/0081409号で列挙されているPD-1抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体または阻害剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ、およびデュルバルマブからなる群から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、F42A置換をさらに含むIL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較してCD25に対して低下した結合親和性を示す。
【0011】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはK43N置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、K43N置換をさらに含むIL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較してCD25に対して低下した結合親和性を示す。
【0012】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、Y45A置換をさらに含むIL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較してCD25に対して低下した結合親和性を示す。
【0013】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、E62A置換をさらに含むIL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較してCD25に対して低下した結合親和性を示す。
【0014】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、アルブミンに連結した前述のIL-2を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、Fc抗体断片に連結した前述のIL-2を含む。いくつかの実施形態では、Fc抗体断片はヒトFc抗体断片である。いくつかの実施形態では、Fc抗体断片はN297A置換を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、癌は、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、黒色腫、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、および脳癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、癌は結腸癌である。
【0016】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較してIL-2Rβに対して増加した結合能力を示す。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較してIL-2Rβに対してより高い結合親和性を示す。
【0017】
前記IL-2ムテインが、野生型ヒトIL-2と比較してCD25に対して減少した結合親和性を示す、請求項3~7のいずれか1項に記載の方法。
【0018】
別の態様では、本明細書に記載のIL-2ムテインまたはIL-2ムテイン融合タンパク質のいずれか1つおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、アミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを有するIL-2ムテインを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、抗PD-1抗体または阻害剤、本明細書に記載のIL-2ムテインのいずれか、および薬学的に許容される担体を含む。
【0020】
本発明はまた、インターロイキン-2受容体β(IL-2Rβ)結合タンパク質を含む免疫細胞標的化または発現構築物を提供し、ここで、前述の結合タンパク質のIL-2Rβの平衡解離定数は野生型ヒトIL-2(hIL-2)のものよりも小さく;少なくとも1つの他の標的化部分を含む免疫細胞標的化または発現構築物に連結されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、免疫細胞標的化または発現構築物は、T細胞、例えばCD8+T細胞またはCD4+T細胞に対して細胞傷害性効果を示す。
【0022】
いくつかの実施形態では、構築物はキメラ抗原受容体(CAR)であり、IL-2ムテインは膜貫通ドメインに融合され、細胞内シグナル伝達領域に連結されている。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達領域はCD3シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、CD28シグナル伝達ドメイン、CD137シグナル伝達ドメイン、OX-40シグナル伝達ドメイン、ICOSシグナル伝達ドメイン、DAP10シグナル伝達ドメインのうちの1つ以上を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインまたは他の標的化部分は、TCR複合体に関連するタンパク質に結合するリガンドに融合され、T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドに融合される。
【0024】
いくつかの実施形態では、TCR複合体に関連するタンパク質はCD3である。
【0025】
いくつかの態様において、T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドは、CD4細胞質ゾルドメインおよびCD4膜貫通ドメインを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、構築物は、IL-2または他の標的化部分のムテインに高親和性で結合するキメラ抗原受容体成分を含む抗体結合T細胞受容体(ACTR)である。
【0027】
いくつかの実施形態では、CAR成分はCD16を含み、IL-2ムテインまたは他の標的化部分はFc配列に融合している。
【0028】
いくつかの実施形態では、構築物は、T細胞受容体の成分に結合する抗体の可変領域に融合したIL-2ムテインを含む二重特異性T細胞交換体(BiTE)である。
【0029】
いくつかの実施形態では、T細胞受容体のBiTE成分はCD3である。
【0030】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型hIL-2に従って番号付けされた、以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記の構築物をコードする(endocding)核酸が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、核酸を含むベクターが提供される。
【0033】
いくつかの実施形態では、上記の構築物またはベクターを含むT細胞が提供される。いくつかの態様では、T細胞はCD4T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD8T細胞である。
【0034】
いくつかの実施形態では、上記の構築物またはベクターを含むNK細胞が提供される。
【0035】
上記の免疫細胞の単離された集団も提供される。
【0036】
上記の免疫細胞集団を含む薬学的製剤も提供される。
【0037】
いくつかの実施形態では、IL-2受容体を発現する細胞を含むIL-2受容体を発現する細胞を標的とする方法が提供され、その方法は、細胞を上記の免疫細胞集団を含む製剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、接触はインビトロである。いくつかの実施形態では、接触はインビボである。
【0038】
本発明はまた、癌を治療する方法を提供し、この方法は、癌を有する個体を上記の免疫細胞集団を含む製剤の有効用量と接触させることを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、膠芽腫、髄芽腫、乳癌、頭頸部癌、腎臓癌、卵巣癌、カポジ肉腫、急性骨髄性白血病、B系列悪性腫瘍、結腸直腸、膵臓、腎臓、または中皮腫である。
【0040】
本発明はまた、癌細胞をIL-2ムテイン腫瘍溶解性ウイルスの組み合わせと接触させることを含む、IL-2ムテインタンパク質を癌細胞に対して標的化するための方法を提供し、その組み合わせは、腫瘍溶解性ウイルスによりコンジュゲートまたは発現されるIL-2ムテインを含み、その腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞を標的化することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、接触はインビトロで起こる。いくつかの実施形態では、接触はインビボで起こる。
【0042】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルス、自己複製アルファウイルス、ワクシニアウイルス、セネカバレー(Seneca Valley)ウイルス、ニューカッスル(Newcastle)病ウイルス、マラバ(Maraba)ウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ヘルペスウイルス(HSV-1およびHSV-2を含む)、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、コクサッキー(coxsackie)ウイルス、レンチウイルス、モルビリウイルス、インフルエンザウイルス、シンビス(Sinbis)ウイルス、粘液腫ウイルス、およびレトロウイルスからなる群から選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、ワクシニアウイルスゲノムは、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子における置換および/または部分的に欠失したチミジンキナーゼ遺伝子を提供する少なくとも1つのヌクレオチドの欠失を切除するオープンリーディングフレームによって不活性化されるチミジンキナーゼ遺伝子を含み、ワクシニア成長因子遺伝子は欠失しており、改変されたワクシニアウイルスベクターは、本明細書に記載のIL-2ムテインをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、インビボ接触により、腫瘍溶解性ウイルスにコンジュゲートしていないIL-2ムテインタンパク質の濃度と比較して、腫瘍微小環境におけるIL-2ムテインタンパク質の濃度の増加が生じる。
【0045】
いくつかの実施形態では、改変された腫瘍溶解性ウイルスは、治療上の利点を改善するために、IL-2ムテインを、腫瘍関連マクロファージおよびMDSC(骨髄由来サプレッサー細胞)などの腫瘍微小環境(TME)の免疫抑制細胞に対して標的化する。
【0046】
いくつかの実施形態では、改変腫瘍溶解性ウイルスは、IL-2ムテインを、1つ以上の腫瘍抗原を発現する1つ以上の免疫抑制細胞に標的化する。
【0047】
いくつかの実施形態では、改変腫瘍溶解性ウイルスは、IL-2ムテインをTMEに標的化する。
【0048】
いくつかの態様では、IL-2ムテインタンパク質はエフェクターT細胞および/またはNK細胞を増強する。
【0049】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはTreg活性を抑制する。
【0050】
いくつかの態様では、IL-2は、以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。
【0051】
本発明によれば、ベクターがワクシニアウイルスゲノムを含み、そのチミジンキナーゼ遺伝子が、チミジンキナーゼ遺伝子(TK)遺伝子における置換および/または部分的に欠失したチミジンキナーゼ遺伝子を提供する少なくとも1つのヌクレオチドの欠失を切除するオープンリーディングフレームによって不活性化され、ワクシニア成長因子遺伝子が欠失しており、改変されたワクシニアウイルスベクターが、本明細書に記載のIL-2ムテインをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む、という点を特徴とする、改変されたワクシニアウイルスベクターも提供される。
【0052】
本発明によれば、(i)コードされたE1Aポリペプチドのアミノ酸122~129をコードするヌクレオチドが場合により欠失された改変された核酸と、(ii)本明細書に記載のIL-2ムテインをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットと、を含む改変された腫瘍溶解性アデノウイルスも提供される。
【0053】
いくつかの実施形態では、治療上の利点を改善するために、IL-2ムテインは、改変された腫瘍溶解性ウイルスを、腫瘍関連マクロファージおよびMDSC(骨髄由来サプレッサー細胞)などの腫瘍微小環境(TME)の免疫抑制細胞に指向させる。
【0054】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインタンパク質は、改変された腫瘍溶解性ウイルスを1つ以上の腫瘍抗原に指向させる。
【0055】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインタンパク質は、改変された腫瘍溶解性ウイルスをTMEに指向させる。
【0056】
いくつかの態様では、IL-2ムテインタンパク質はエフェクターT細胞およびNK細胞を増強する。
【0057】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはTreg活性を抑制する。
【0058】
本発明はまた、IL-2ムテインを発現することができるおよび腫瘍溶解性ウイルスを、それらを必要とする対象に投与することを含む、癌を治療する方法を提供する。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルス、自己複製アルファウイルス、ワクシニアウイルス、セネカバレー(Seneca Valley)ウイルス、ニューカッスル(Newcastle)病ウイルス、マラバ(Maraba)ウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ヘルペスウイルス(HSV-1およびHSV-2を含む)、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、コクサッキー(coxsackie)ウイルス、レンチウイルス、モルビリウイルス、インフルエンザウイルス、シンビス(Sinbis)ウイルス、粘液腫ウイルス、およびレトロウイルスからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】H9は抗PD-1免疫療法と相乗作用する。併用療法は、用量依存的な様式で強固な応答を生み出す。抗PD-1抗体を10mg/kgで、4日ごとに3回(10mg/kg IV q4dx3)、静脈内投与した。H9(アミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを有するIL-2ムテイン、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う)を、5μgq.d.または25μgq.d.の示された投与量(投与量はμg/マウス)で、同じ投与レジメンに従って、投与した。次に、MC38結腸癌モデルマウスを腫瘍移植後最大40日間監視した。抗PD-1抗体とH9の組み合わせにより、低投与量と高投与量の両方で治癒の数が増加し、H9の25ugq.dの投与量で実質的に増加した。
図2】IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4配列の例を提供する。
図3】例示的なH9-Fc融合配列を提供する。
図4】IL-13Rα1-およびIL-13Rα2-特異的IL-13バリアントの比較分析。ヒトIL-13およびIL-13Rα1およびIL-13Rα2選択的バリアント配列は、示された残基番号について示される。速度論的および親和性パラメータは、表面プラズモン共鳴により決定された。
図5】H9-Fcは、主要な免疫細胞に対する効力を改善し、H9およびH9-Fcは、腫瘍細胞殺傷に関与する主要なエフェクターT細胞、特にCD8+T細胞に対する効力を大いに改善した。H9およびそのFcバリアントは、Tregに対する効力を失わないが、抗腫瘍エフェクターCD8+T細胞の相対的な活性化を大幅に増加させることができる。
図6】H9-Fcは同様のインビボ効力を有し、H9に対してPKプロファイルが拡張されている。H9の拡張されたPKバリアントについての最適化された用量とスケジュールが同定された。H9-Fcは、マウスで使用される抗PD-1抗体と同様のスケジュールである隔週のスケジュールで効果的なB16F10腫瘍制御を可能とする。したがって、本発明者らは、毎週または2週間に1回のH9-Fc投与を予測する。皮下投与:皮下H9-Fcは、将来の免疫療法薬のために有利な投与アプローチである。チェックポイント阻害剤、プロロイキンおよび競合IL-2療法(NKTR-214、ALKS 4230)はすべて、IV点滴を必要とし、診療所での長時間の投与と監視時間が必要である。皮下投与は、一般的な標的の癌治療のために患者が一般的に好む迅速で便利な投与を提供する。
図7】本発明の組み合わせで使用するための例示的な抗PD-1抗体。
図8】本発明の組み合わせで使用するための例示的な抗PD-L1抗体。
図9】例示的な腫瘍溶解性ウイルス。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本開示をより容易に理解するために、特定の用語および語句が、本明細書全体を通して以下で定義される。
【0061】
定義
本明細書で引用されたすべての参考文献は、完全に記載されているかのようにその全体が参照により組み込まれる。別に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.、J.Wiley&Sons(New York、NY 2001);March、Advanced Organic Chemistry Reactions、Mechanisms and Structure 5th ed.、J.Wiley&Sons(New York、NY 2001);ならびにSambrookおよびRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3rd ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor、NY 2001)は、本開示で使用される多くの用語に対する一般的なガイドを当業者に提供する。必要に応じて、市販のキットと試薬の使用を伴う手順は、特に明記されていない限り、一般的に、製造元が定義したプロトコルおよび/またはパラメータに従って実施される。
【0062】
本明細書で使用する場合、「IL-2」は、天然または組換えに関わらず、野生型IL-2を意味する。成熟ヒトIL-2は、Fujitaら、PNAS USA、80、7437-7441(1983)に記載されているように、133個のアミノ酸配列(追加の20個のN末端アミノ酸からなるシグナルペプチドより少ない)として生じる。ヒトIL-2のアミノ酸配列(配列番号1、全長)はGenbankアクセッションロケーターNP_000577.2において見出される。成熟ヒトIL-2のアミノ酸配列は、配列番号2に示されている(ヒト野生型成熟;置換の位置番号付けはこの配列に基づく)。マウス(Mus musculus)IL-2アミノ酸配列は、Genbankアクセッションロケーター(配列番号3)において見出される。成熟マウスIL-2のアミノ酸配列は、配列番号4に示される。
配列番号1 MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT
配列番号2
APTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT
配列番号3
MYSMQLASCVTLTLVLLVNSAPTSSSTSSSTAEAQQQQQQQQQQQQHLEQLLMDLQELLSRMENYRNLKLPRMLTFKFYLPKQATELKDLQCLEDELGPLRHVLDLTQSKSFQLEDAENFISNIRVTVVKLKGSDNTFECQFDDESATVVDFLRRWIAFCQSIISTSPQ
配列番号4
APTSSSTSSSTAEAQQQQQQQQQQQQHLEQLLMDLQELLSRMENYRNLKLPRMLTFKFYLPKQATELKDLQCLEDELGPLRHVLDLTQSKSFQLEDAENFISNIRVTVVKLKGSDNTFECQFDDESATVVDFLRRWIAFCQSIISTSPQ
【0063】
本明細書で使用される場合、「IL-2ムテイン」は、インターロイキン-2タンパク質に対する特異的置換がなされたIL-2ポリペプチドを意味する。IL-2ムテインは、天然のIL-2ポリペプチド鎖の1つ以上の部位または他の残基におけるアミノ酸の挿入、欠失、置換、および改変によって特徴付けられる。本開示によれば、そのような挿入、欠失、置換および改変はいずれも、IL-2Rβ結合活性を保持するIL-2ムテインをもたらす。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸の置換を含むことができる。
【0064】
ムテインには、IL-2の他の位置(すなわち、ムテインの二次または三次構造に対する影響が最小限であるもの)における保存的改変および置換も含まれる。そのような保存的置換には、The Atlas of Protein Sequence and Structure 5(1978)においてDayhoffにより、およびEMBO J.、8:779-785(1989)においてArgosにより記載されているものが含まれる。例えば、次のグループの1つに属するアミノ酸は保存的変更を表す:群I:ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr;群II:cys、ser、tyr、thr;群III:val、ile、leu、met、ala、phe;群IV:lys、arg、his;Group V:phe、tyr、trp、his;and Group VI:asp、glu。
【0065】
「IL-2に従って番号付けされた」とは、野生型IL-2の成熟配列においてそのアミノ酸が通常存在する位置を参照して選択されたアミノ酸を同定することを意味し、例えば、R81は、配列番号2に存在する81番目のアミノ酸であるアルギニンを指す。L80は、配列番号2に存在する80番目のアミノ酸であるロイシンを指す。L85は、配列番号2に存在する85番目のアミノ酸であるロイシンを指す。I86は、配列番号2に存在する86番目のアミノ酸であるイソロイシンを指す。I92は、配列番号2に存在する92番目のアミノ酸であるイソロイシンを指す。F42は、配列番号2に存在する42番目のアミノ酸であるフェニルアラニンを指す。K43は、配列番号2に存在する43番目のアミノ酸であるリジンを指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、本開示方法で使用される遺伝的にコードされたL-鏡像異性アミノ酸についての省略形は従来のものであり、表1において以下の通りである。
【表1】
【0067】
「親水性アミノ酸」とは、Eisenbergら、1984、J.Mol。Biol.179:125-142の正規化されたコンセンサス疎水性スケールに従ってゼロ未満の疎水性を示すアミノ酸を指す。遺伝的にコードされた親水性アミノ酸には、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、Glu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)、およびArg(R)が含まれる。
【0068】
用語「IL-2Rαβγ受容体を有する細胞型」は、この受容体型を有することが知られている細胞、すなわち、T細胞、活性化T細胞、B細胞、活性化単球、活性化NK細胞を意味する。用語「IL-2Rβγ受容体を有する細胞型」は、その受容体型を有することが知られている細胞、すなわち、B細胞、休止単球、および休止NK細胞を意味する。
【0069】
本明細書でポリペプチドまたはDNA配列に関して使用される「同一性」という用語は、2つの分子間のサブユニット配列同一性を指す。両方の分子のサブユニット位置が同じ単量体サブユニット(すなわち、同じアミノ酸残基またはヌクレオチド)によって占められている場合、分子はその位置で同一である。2つのアミノ酸または2つのヌクレオチド配列間の類似性は、同一の位置の数の直接的な関数である。一般に、配列は、最高次の一致が得られるように整列される。必要に応じて、公開された手法と、GCSプログラムパッケージ(Devereuxら、Nucleic Acids Res.12:387、1984)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschulら、J.Molecular Biol.215:403、1990)などの広く利用可能なコンピュータプログラムとを用いて、同一性を算出することができる。配列同一性は、the University of Wisconsin Biotechnology Center(1710 University Avenue、Madison、Wis.53705)のthe Genetics Computer Groupの配列分析ソフトウェアパッケージなどの配列分析ソフトウェアをそのデフォルトパラメータとともに使用して測定することができる。
【0070】
用語「ポリペプチド」、「タンパク質」または「ペプチド」は、その長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関係なく、アミノ酸残基の任意の鎖を指す。
【0071】
本開示の変異体IL-2ポリペプチドが「実質的に純粋」である場合、それらは目的のポリペプチド、例えば変異体IL-2アミノ酸配列を含有するポリペプチドの少なくとも約60重量%(乾燥重量)であり得る。例えば、ポリペプチドは、目的のポリペプチドの少なくとも約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%または約99重量%であり得る。純度は、任意の適切な標準法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析によって測定できる。
【0072】
「アゴニスト」は、標的と相互作用して、標的の活性化の増加を引き起こすかまたはそれを促進する化合物である。
【0073】
「部分アゴニスト」は、アゴニストと同じ標的と相互作用するが、部分アゴニストの投与量を増やしても、アゴニストほど大きな生化学的および/または生理学的効果をもたらさない化合物である。
【0074】
「スーパーアゴニスト」(「スーパーカイン」とも呼ばれる)は、標的受容体の内因性アゴニストよりも大きな最大の応答を生み出すことができるアゴニストの一種であり、したがって100%を超える効力を有する。
【0075】
「作動可能に連結された」とは、目的のヌクレオチド配列(すなわち、IL-2ムテインをコードする配列)が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする(例えば、インビトロ転写/翻訳系、またはベクターが宿主細胞に導入された場合の宿主細胞において)方法で調節配列(複数可)に連結されることを意味することを意図する。「調節配列」には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。例えば、Genedel(1990)in Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press、San Diego、Calif.)を参照されたい。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞でヌクレオチド配列の構成的発現を指示するもの、および特定の宿主細胞でのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることを当業者は理解するであろう。本発明の発現構築物を宿主細胞に導入して、それにより、本明細書に開示されるヒトIL-2ムテインを産生するか、またはその生物学的に活性なバリアントを産生することができる。
【0076】
用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書で互換的に使用される。そのような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫も指すことが理解される。突然変異または環境の影響により、特定の改変が後続の世代で発生する可能性があるため、そのような子孫は実際には親細胞と同一ではないかもしれないが、本明細書で使用される用語の範囲内になお含まれる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、パーティクルガン、または電気穿孔を含む、外来核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するための様々な技術的に認められた技術を指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語には、薬学的投与に相容性のある、生理食塩水、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれるが、これらに限定されない。補助的な活性化合物(例えば、抗生物質)も組成物に組み込むことができる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「抗PD-1抗体」という用語は、阻害性抗体を含む、PD-1に結合する任意の抗体を指す。「抗PD-1阻害剤」とは、PD-1に結合してそれを阻害する阻害剤を指す。そのような抗PD-1抗体および/または阻害剤には、とりわけ、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、およびMK-3475が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書で使用される場合、「癌」(または「癌性」)、「過剰増殖性」、および「新生物の」という用語は、自律成長(すなわち、急速に増殖する細胞成長を特徴とする異常な様子または状態)を有する細胞を指す。過剰増殖性および新生物の疾患状態は、病的として分類されてもよく(すなわち、疾患状態を特徴付けるまたは構成する)、またはそれらは非病的として分類されてもよい(すなわち、正常からの逸脱であるが疾患状態に関連しない)。この用語は、組織病理学的型または侵襲性の段階に関係なく、すべての型の癌性成長または発癌プロセス、転移組織または悪性形質転換細胞、組織、または臓器を含むことを意味する。「病的過剰増殖性」細胞は、悪性腫瘍の成長を特徴とする疾患状態で生じる。非病理学的過剰増殖性細胞の例には、創傷修復に関連する細胞の増殖が含まれる。「癌」または「新生物」という用語は、肺、乳房、甲状腺、リンパ腺およびリンパ組織、生殖系、胃腸器官、および泌尿生殖路に影響を及ぼすものを含む様々な臓器系の悪性腫瘍、ならびにほとんどの結腸癌、腎細胞癌、前立腺癌および/または精巣腫瘍、非小細胞肺癌、小腸の癌および食道の癌などの悪性腫瘍を含むと一般に考えられている腺癌を指すために使用される。癌は一般に、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、黒色腫、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、および脳癌を含むことができる。
【0081】
「癌」という用語は、技術的に認識されており、呼吸器系癌腫、胃腸系癌腫、泌尿生殖器系癌腫、精巣癌腫、乳癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫、および黒色腫を含む上皮または内分泌組織の悪性腫瘍を指す。「腺癌」は、腺組織に由来するか、腫瘍細胞が認識可能な腺構造を形成する癌腫を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「造血性新生物障害」という用語は、例えば骨髄、リンパ系または赤血球系、またはそれらの前駆細胞から生じる造血起源の過形成/新生物細胞を含む疾患を指す。好ましくは、疾患は低分化急性白血病(例えば、赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病)から生じる。追加の例示的な骨髄障害には、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)が含まれるが、これらに限定されない(Vaickus、L.(1991)Crit Rev.in Oncol./Hemotol11:267-97において評論されている);リンパ系悪性腫瘍には、B系統ALLおよびT系統ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、毛様細胞白血病(HLL)およびワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)が含まれるが、これらに限定されない。悪性リンパ腫の追加の形態には、非ホジキンリンパ腫およびそれらの変異形、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病およびリード・ステムバーグ病が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用される「治療」、「治療する」などの用語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指す。その効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという点で予防的であり、かつ/または疾患および/または疾患に起因する副作用の部分的または完全な治癒という点で治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患のあらゆる治療を包含し、以下:(a)疾患または疾患を獲得する危険性があると前診断されたが、まだ疾患を有すると診断されていない対象において疾患が生じるのを予防すること、(b)疾患を抑制すること、すなわち、疾患の発達を阻止すること、および(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすこと、を含む。治療的有効量は、腫瘍数、腫瘍サイズを減少させる、および/または生存を増加させる量であり得る。
【0084】
「個体」、「対象」、および「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、サルおよびヒト、スポーツ用哺乳動物(例えば、ウマ)、家畜用哺乳動物(例えば、ヒツジ、ヤギなど)、ペット用哺乳動物(イヌ、ネコなど)、およびげっ歯類(例えば、マウス、ラットなど)を含むヒトおよび非ヒト霊長類を含むがこれらに限定されない哺乳類を指す。
【0085】
「薬学的に許容される」および「生理学的に許容される」という用語は、1つ以上の投与経路、インビボ送達または接触に適した生物学的に許容される製剤、気体、液体または固体、またはそれらの混合物を意味する。「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」組成物は、生物学的またはその他の点で望ましくない材料ではなく、例えば、材料は、実質的に望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく対象へ投与することができる。したがって、そのような薬学的組成物は、例えば、IL-2ムテインを対象に投与する際に使用することができる。特に、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、抗PD-1と組み合わせて癌を有する対象に投与される。いくつかの実施形態では、投与されるIL-2ムテインは、位置F42Aに置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、投与されるIL-2ムテインは、位置K43Nに置換をさらに含む。
【0086】
本明細書で使用される場合、「単位剤形」という語句は、治療される対象についての単位用量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、1つ以上の用量で投与された場合に、所望の効果(例えば、予防または治療効果)を生み出す薬学的担体(賦形剤、希釈剤、ビヒクルまたは充填剤)と任意で関連する所定量を含む。いくつかの実施形態では、治療効果は腫瘍の数を軽減することである。いくつかの実施形態では、治療効果は腫瘍の大きさを縮小することである。いくつかの実施形態では、治療効果は生存率を高めることである。
【0087】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、例えば、液体組成物、または凍結乾燥または凍結乾燥状態の組成物を含むアンプルおよびバイアル内にあってもよく、例えば、滅菌液体担体は、インビボでの投与または送達の前に添加され得る。個々の単位剤形は、複数回投与キットまたは容器に含めることができる。抗PD-1抗体と組み合わせたIL-2ムテイン、およびその薬学的組成物は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために単一または複数の単位剤形に包装することができる。
【0088】
「治療的有効量」は、実験および/または臨床試験を通じて決定可能な比較的広い範囲に収まる。例えば、インビボ注射の場合、例えば、対象の組織または脈管構造(例えば、肝臓組織または静脈)への直接注射。他の有効な投与量は、用量反応曲線を確立する日常的な試行を通じて、当業者によって容易に確立され得る。
【0089】
「有効量」または「十分な量」とは、単回投与または複数回投与で、単独または組み合わせて、1つ以上の他の組成物(薬物などの治療薬)、治療、プロトコル、または治療レジメン薬(例えば、ワクチンレジメンを含む)を用いて、任意の期間(長期または短期)の検出可能な応答、測定可能なまたは検出可能な程度の、または任意の期間(例えば、数分、数時間、数日、数ヶ月、数年、または治癒までの間)の対象の期待されるまたは望ましい結果または利益を提供する量を指す。
【0090】
治療のための「有効量」または「十分な量」の用量(例えば、改善または治療的利益または改良を提供するための)は、疾患の進行または悪化の減少、軽減、阻害、抑止、制限または制御も満足な結果ではあるが、典型的には、疾患の1つ、複数またはすべての有害症状、結果または合併症、例えば、疾患により引き起こされるかまたはそれに関連する1つ以上の有害症状、障害、病気、病理、または合併症に対して測定可能な程度の応答を提供するのに有効である。いくつかの実施形態では、有効量は、腫瘍の数を軽減するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、腫瘍の大きさを縮小するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、生存率を高めるのに十分な量である。
【0091】
「予防」およびその文法的変形は、対象への接触、投与またはインビボ送達が疾患に先立つものである方法を意味する。対象への投与またはインビボ送達は、疾患により引き起こされるかまたはそれに関連する有害症状、状態、合併症などの発症前に実施することができる。例えば、スクリーニング(例えば、遺伝的)を使用して、そのような対象を記載の方法および使用の候補として特定することができるが、対象は疾患を発現しない場合がある。したがって、そのような対象が疾患の症状を発現しないとしても、そのような対象には、疾患に至る機能性遺伝子産物(タンパク質)の量の不足または欠損について、または異常な部分的機能性または非機能性遺伝子産物(蛋白質)の産生について、陽性とスクリーニングされた者、ならびに疾患に至る異常な、または欠陥のある(突然変異)遺伝子産物(タンパク質)について陽性とスクリーニングされた対象を含む。
【0092】
I.詳細な説明
本明細書では、IL-2Rβ受容体に対する結合能が増加し、抗PD-1抗体との併用治療での使用が見出されている、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインが記載される。いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2(配列番号2;野生型hIL-2)に従って番号付けされたL80F、R81D、L85V、I86VおよびI92Fを含むIL-2ムテインはH9と呼ばれる。そのようなIL-2ムテインは、例えば、癌の治療のために抗PD-1抗体と組み合わせた場合に用途が見出される。また、そのようなIL-2ムテインをコードする核酸、そのようなIL-2ムテインの作製方法、そのようなIL-2ムテインを含む薬学的組成物、およびそのようなIL-2ムテインを使用する治療方法も提供される。
【0093】
A.IL-2ムテイン
置換されたアミノ酸残基(複数可)は、必ずしもそうではないが、典型的には以下の群:グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;フェニルアラニン、チロシン内に置換を含む保存的置換であり得る。これらの突然変異は、IL-2Rβおよび/またはIL-2Rγと接触するアミノ酸残基で起こり得る。
【0094】
より具体的には、1つ以上の位置で突然変異(保存的または非保存的、付加(複数可)または欠失(複数可)による)を行うことができる。例えば、突然変異は、I24V、P65H、Q74R、Q74 H、Q74N、Q74S、L80F、L80V、R81I、R81T、R81D、L85V、I86V、I89V、I92F、V93Iであり得る。例示的なIL-2ムテインの配列は以下の通りである:5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16。
【0095】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたL80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたF42A、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたF42A、Y45A、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたF42A、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたF42A、Y45A、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたE62A、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたY45A、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたY45AおよびE62Aを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、IL-2Rβ結合の増加および/または増強をもたらすIL-2ムテイン中の置換には、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたL80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fが含まれる。いくつかの実施形態では、本発明で使用するためのIL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含み、IL-2Rβ結合の増加を示す。いくつかの実施形態では、本発明で使用するためのIL-2ムテインは、位置F42Aに置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、本発明で使用するためのIL-2ムテインは、位置K43Nに置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、ムテインは、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92F、ならびにF42A、Y45A、およびE62Aからなる群から選択される1つ以上の置換を含み、これらのすべては野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比較される。
【0097】
いくつかの実施形態では、IL-2Rβ結合親和性を増加しているアミノ酸置換には、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fが含まれる。いくつかの実施形態では、IL-2Rβ結合親和性を増加させるアミノ酸置換には、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fが含まれる。
【0098】
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比較してIL-2Rβに対してより高い結合親和性を有する対象IL-2ムテインは、アミノ酸置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは次のアミノ酸配列を有する:
【0099】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2Rβ/IL-2Rγヘテロ二量体化に依存している1つ以上のシグナル伝達経路を刺激する能力を増加した。いくつかの実施形態では、対象IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較して、IL-2Rβ+細胞においてSTAT5リン酸化を刺激する能力が増強されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2Rβ+細胞におけるSTAT5リン酸化を、野生型IL-2が同細胞におけるSTAT5リン酸化を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上のレベルで刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2Rβ+細胞におけるSTAT5リン酸化を、野生型IL-2が同細胞におけるSTAT5リン酸化を刺激するレベルと比較して、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、またはそれ以上のレベルで刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2Rβ+細胞はT細胞である。特定の実施形態では、T細胞はCD8+T細胞である。いくつかの実施形態では、CD8+T細胞は新たに単離されたCD8+T細胞である。他の実施形態では、CD8+T細胞T細胞は、活性化CD8+T細胞である。他の実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比較して、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較して、IL-2Rβ+細胞においてERK1/ERK2シグナル伝達を刺激する能力が増強されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2Rβ+細胞におけるpERK1/ERK2シグナル伝達を、野生型IL-2が同細胞におけるpERK1/ERK2シグナル伝達を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上のレベルで刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2Rβ+細胞におけるpERK1/ERK2リン酸化を、野生型IL-2が同細胞におけるpERK1/ERK2リン酸化を刺激するレベルと比較して、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、またはそれ以上のレベルで刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2Rβ+細胞はT細胞である。特定の実施形態では、T細胞はCD8+T細胞である。いくつかの態様では、CD8+T細胞は、新たに単離されたCD8+T細胞である。他の実施形態では、CD8+T細胞T細胞は、活性化CD8+T細胞である。他の実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比較して、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0101】
STAT5およびERK1/2シグナル伝達は、例えば、当該分野で公知の任意の適切な方法を使用して、STAT5およびERK1/2のリン酸化により測定することができる。例えば、STAT5およびERK1/2リン酸化は、本明細書に記載のフローサイトメトリー分析と組み合わせて、これらの分子のリン酸化バージョンに特異的な抗体を使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較して、IL-2Rβ+細胞においてPI 3-キナーゼシグナル伝達を刺激する能力が増強されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2Rβ+細胞におけるPI 3-キナーゼシグナル伝達を、野生型IL-2が同細胞におけるPI 3-キナーゼシグナル伝達を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上のレベルで刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2Rβ+細胞におけるPI 3-キナーゼシグナル伝達を、野生型IL-2が同細胞におけるPI 3-キナーゼシグナル伝達を刺激するレベルと比較して、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、またはそれ以上のレベルで刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2Rβ+細胞はT細胞である。特定の実施形態では、T細胞はCD8+T細胞である。いくつかの態様では、CD8+T細胞T細胞は、活性化CD8+T細胞である。他の実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比較して、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。PI3-キナーゼシグナル伝達は、当該分野で公知の任意の適切な方法を使用して測定することができる。例えば、PI 3-キナーゼシグナル伝達は、本明細書に記載のフローサイトメトリー分析と併せて、ホスホ-S6リボソームタンパク質に特異的な抗体を使用して測定することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはCD8+T細胞におけるIL-2および/またはIL-15 STAT5リン酸化の刺激因子である。いくつかの実施形態では、ムテインは、IL-2および/またはIL-15により誘導されるCD8+T細胞の増殖のプロモーターである。いくつかの実施形態では、ムテインは、IL-2依存性のTCR誘導細胞増殖の刺激因子である。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比較して、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0103】
IL-2は、Th1、Th9、およびTreg T細胞の分化を促進し、Th17の分化を阻害する。したがって、特定の動作理論に縛られることはないが、IL-2スーパーアゴニストとして機能するIL-2ムテインは、Th1、Th9、および/またはTreg細胞分化を促進するか、Th17細胞分化を阻害することができると考えられる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはIL-2依存性Th1、Th9および/またはTreg分化のプロモーターである。いくつかの実施形態では、ムテインはTh17分化の阻害剤である。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比較して、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比較して、CD25より少ないおよび/または独立してシグナル伝達する(例えば、CD25結合が減少または除去されている)。いくつかの実施形態では、CD25に関する低減されたおよび/または独立したシグナル伝達は、Tregの刺激を制限しながらエフェクターT細胞の優先的活性化を可能にする。いくつかの実施形態では、CD25に関する低減されたおよび/または独立したシグナル伝達は、毒性の低減を可能にする。いくつかの実施形態では、ムテインは、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92F、ならびにF42A、Y45A、およびE62Aからなる群から選択される1つ以上の置換を含み、これらのすべては野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比較される。
【0105】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、アネルギー性NK細胞に対する応答性を増加および/または回復させることができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、腫瘍微小環境内のアネルギー性NK細胞に対する応答性を増加および/または回復させることができる。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比較して、置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、ムテインは、ナチュラルキラー(NK)細胞のIL-2依存性活性化の阻害剤阻害剤である。NK細胞のIL-2活性化は、当技術分野で知られている任意の適切な方法、例えば、本明細書に記載のIL-2誘導CD69発現および/または細胞毒性を測定することにより測定することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、IL-2Rβ結合親和性における増加は、IL-2Rβに対する野生型ヒトIL-2結合親和性よりも大きい、IL-2Rβに対する任意の結合親和性である。いくつかの実施形態では、結合親和性は、IL-2Rβに対する野生型ヒトIL-2結合親和性と比較して、IL-2Rβに対する結合親和性において、2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、150倍、170倍、190倍、200倍、220倍、240倍、またはそれ以上の増加である。
【0108】
いくつかの実施形態では、IL-2Rβに対する結合能力の増加は、IL-2Rβに対する野生型ヒトIL-2結合能力よりも大きい、IL-2Rβに対する任意の結合能力である。いくつかの実施形態では、結合能力は、IL-2Rβに対する野生型ヒトIL-2結合能力と比較して、IL-2Rβに対する結合能力において、2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、150倍、170倍、190倍、200倍、220倍、240倍、またはそれ以上の増加である。
【0109】
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比較してIL-2Rβに対してより高い結合親和性を有する対象IL-2ムテインはまた、CD25への低下した結合を示し、アミノ酸置換F42A、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、結合親和性の低下は、約220倍、すなわち、野生型ヒトIL-2についての約6.6nMのKdから、F42A、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むムテインについての約1.4μMまでである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは次のアミノ酸配列を有する:
【0110】
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比較してIL-2Rβに対してより高い結合親和性を有する対象IL-2ムテインはまた、CD25への低下した結合を示し、アミノ酸置換K43N、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、結合親和性の低下は、位置43においてK43N置換を伴うグリコシル化が可能となるためである。アスパラギンをリジンに置き換えることにより(K43N)、K43N、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fのアミノ酸置換を含むIL-2ムテインにおけるCD25結合が減少および/または除去される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは次のアミノ酸配列を有する:
【0111】
いくつかの態様では、CD25に対する結合親和性の低下は、野生型ヒトIL-2結合親和性よりも低い、CD25に対する任意の結合親和性である。いくつかの実施形態では、結合親和性は、CD25に対する野生型ヒトIL-2結合親和性と比較して、CD25に対する結合親和性において、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、150倍、170倍、190倍、200倍、220倍、240倍、またはそれ以上の減少である。
【0112】
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比較してIL-2Rβに対してより高い結合親和性およびCD25に対してより低い結合親和性を有する対象IL-2ムテインは、アミノ酸置換F42A、Y45A L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは次のアミノ酸配列を有する:
【0113】
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比較してIL-2Rβに対してより高い結合親和性およびCD25に対してより低い結合親和性を有する対象IL-2ムテインは、アミノ酸置換F42A、E62A L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは次のアミノ酸配列を有する:
【0114】
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比較してIL-2Rβに対してより高い結合親和性およびCD25に対してより低い結合親和性を有する対象IL-2ムテインは、アミノ酸置換F42A、Y45A、E62A L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは次のアミノ酸配列を有する:
【0115】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10のいずれか1つと95%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10のいずれか1つと98%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10のいずれか1つと99%同一である。
【0116】
さらなる例示的なIL-2配列を以下の表に提供する。
【表2】
【0117】
B.IL-2ムテイン融合タンパク質
IL-2ムテインは、対象IL-2ムテインおよび異種ポリペプチド(すなわち、IL-2またはその変異体ではないポリペプチド)を含む融合またはキメラポリペプチドとして調製することができる(例えば、米国特許第6,451,308を参照されたい)。例示的な異種ポリペプチドは、インビボでキメラポリペプチドの循環半減期を増加することができ、したがって、変異体IL-2ポリペプチドの特性をさらに高めることができる。様々な実施形態では、循環半減期を増加させるポリペプチドは、ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン、PEG、PEG誘導体、またはIgG重鎖可変領域を欠く抗体のIgGサブクラスのFc領域であり得る。例示的なFc領域は、補体固定およびFc受容体結合を阻害する変異を含むことができ、または溶解性であってもよく、すなわち抗体依存性補体溶解(ADCC;USSN 08/355,502、1994年12月12日出願)などの別の機序を介して補体に結合または細胞を溶解することができる。
【0118】
「Fc領域」は、IgGをパパインで消化することにより生成されるIgGのC末端ドメインに相同である天然に生じるまたは合成のポリペプチドであり得る。IgG Fcは、約50kDaの分子量を有する。変異体IL-2ポリペプチドは、Fc領域全体、またはそれが一部であるキメラポリペプチドの循環半減期を延長する能力を保持するより小さな部分を含むことができる。さらに、全長または断片化されたFc領域は、野生型分子のバリアントであり得る。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン融合タンパク質(例えば、本明細書に記載のIL-2ムテイン)は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域を含む(例えば、図2A~2Bの配列を参照されたい)。いくつかの実施形態では、Fc領域は置換N297Aを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、異種融合ポリペプチドに直接または間接的に連結している。
【0120】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはFc領域に直接連結している。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、GGGGSなどのリンカーペプチドを介してFc領域に連結している。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGGGS)nであり、nは1~10の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーはGGGGSである。いくつかの実施形態では、リンカーはGGGGSGGGGS(配列番号16)である。いくつかの実施形態では、リンカーはGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号17)である。いくつかの実施形態では、リンカーはGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号18)である。いくつかの実施形態では、リンカーはGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号19)である。
【0121】
Fc領域は「溶解性」または「非溶解性」であり得るが、典型的には非溶解性である。非溶解性Fc領域は、通常、高親和性Fc受容体結合部位およびC´1q結合部位を欠いている。マウスIgG Fcの高親和性Fc受容体結合部位は、IgG Fcの235位にLeu残基を含む。したがって、Fc受容体結合部位は、Leu 235を変異または欠失させることにより破壊できる。例えば、Leu 235をGluで置換することにより、Fc領域が高親和性Fc受容体に結合する能力が阻害される。マウスのC´1q結合部位は、IgGのGlu 318、Lys 320、およびLys 322残基を変異または欠失させることにより、機能的に破壊することができる。例えば、Glu 318、Lys 320、およびLys 322をAla残基で置換することにより、IgG1 Fcは抗体依存性補体溶解を指示できなくなる。対照的に、溶解性IgG Fc領域は、高親和性Fc受容体結合部位およびC´1q結合部位を有する。高親和性Fc受容体結合部位はIgG Fcの235位のLeu残基を含み、C´1q結合部位はIgG1のGlu 318、Lys 320、およびLys 322残基を含む。溶解性IgG Fcは、これらの部位に野生型残基または保存的アミノ酸置換を有する。溶解性IgG Fcは、抗体依存性細胞傷害性または補体指向性細胞溶解(CDC)のために細胞を標的にすることができる。ヒトIgGについての適切な変異も知られている(例えば、Morrisonら、The Immunologist 2:119-124、1994;およびBrekkeら、The Immunologist 2:125、1994を参照されたい)。
【0122】
他の実施形態では、キメラポリペプチドは、対象のIL-2ムテインと、FLAG配列などの抗原タグとして機能するポリペプチドとを含むことができる。FLAG配列は、本明細書に記載されているように、ビオチン化された高度に特異的な抗FLAG抗体によって認識される(Blanarら、Science 256:1014、1992;LeClairら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8145、1992も参照されたい)。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、C末端c-mycエピトープタグをさらに含む。
【0123】
他の実施形態では、キメラポリペプチドは、変異体IL-2ポリペプチドと、Aga2pアグルチニンサブユニットなどの変異体IL-2ポリペプチドの発現を増強するかまたはそれらの細胞局在化を指示するように機能する異種ポリペプチドとを含む(例えば、BoderおよびWittrup、Nature Biotechnol。15:553-7、1997)。
【0124】
他の実施形態では、変異体IL-2および抗体またはその抗原結合部分を含むキメラポリペプチドを生成することができる。キメラタンパク質の抗体または抗原結合成分は、標的化部分として役立ち得る。例えば、キメラタンパク質を特定の細胞サブセットまたは標的分子に局在化させるために使用できる。サイトカイン抗体キメラポリペプチドを産生する方法は、例えば、米国特許第6,617,135号に記載されている。
【0125】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、PD-1受容体とそのリガンド、PD-L1との間の相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含み、および/またはPD-1/PD-L1シグナル伝達経路の成分に対する抗体である。PD-1に結合し、PD-1とそのリガンドであるPD-L1との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する当技術分野で公知の抗体は、本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適している。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD-1に特異的に結合する。例えば、PD-1を標的とし、本発明で使用できる抗体には、例えば、ニボルマブ(BMS-936558、Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(ランブロリズマブ、MK03475またはMK-3475、Merck)、ヒト化抗PD-1抗体JS001(ShangHai JunShi)、モノクローナル抗PD-1抗体TSR-042(Tesaro、Inc.)、ピジリズマブ(抗PD-1 mAb CT-011、Medivation)、抗PD-1モノクローナル抗体BGB-A317(BeiGene)、および/または抗PD-1抗体SHR-1210(ShangHai HengRui)、ヒトモノクローナル抗体REGN2810(セミプリマブ、Regeneron)、ヒトモノクローナル抗体MDX-1106(Bristol-Myers Squibb)、および/またはヒト化抗PD-1 IgG4抗体PDR001(Novartis)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、PD-1抗体はクローン:RMP1-14(ラットIgG)-BioXcellカタログ番号BP0146に由来する。他の適切な抗体には、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第8,008,449号に開示されている抗PD-1抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD-L1に特異的に結合し、PD-1との相互作用を阻害し、それにより免疫活性を増加させる。PD-L1に結合し、PD-1とPD-L1との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する当技術分野で公知の任意の抗体は、本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適している。例えば、PD-L1を標的とし、臨床試験中の抗体には、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)およびMPDL3280A(Genetech)が含まれる。PD-L1を標的とする他の適切な抗体は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,943,743号に開示されている。PD-1またはPD-L1に結合し、PD-1/PD-L1相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示されるキメラでの使用に適していることは、当業者には理解されるであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗PD-1抗体への融合を含む。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗PD-L1抗体への融合を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、CTLA-4を標的とし、そのCD80およびCD86との相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。CTLA-4を標的とする例示的な抗体には、FDA承認済みのイピリムマブ(MDX-010、MDX-101、Bristol-Myers Squibb)、および現在ヒト試験中のトレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675、206、Pfizer)が含まれる。CTLA-4を標的とする他の適切な抗体は、参照により本明細書に組み入れられるWO 2012/120125、米国特許第6,984720号、第6,682,7368号、および米国特許出願第2002/0039581号、第2002/0086014号、および第2005/0201994号に開示されている。CTLA-4に結合し、そのCD80およびCD86との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗CTLA-4抗体への融合を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、LAG-3を標的とし、そのMHCクラスII分子との相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。LAG-3を標的とする例示的な抗体は、現在ヒト試験中のIMP321(Immutep)である。LAG-3を標的とする他の適切な抗体は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2011/0150892号に開示されている。LAG-3に結合し、そのMHCクラスII分子との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗LAG-3抗体への融合を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、B7-H3またはB7-H4を標的とする抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。B7ファミリーには任意の定義された受容体はないが、これらのリガンドは腫瘍細胞または腫瘍浸潤細胞にて上方制御される。B7-H3を標的とする例示的な抗体は、現在ヒト試験中のMGA271(Macrogenics)である。B7ファミリーメンバーを標的とする他の適切な抗体は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2013/0149236号に開示されている。B7-H3またはH4に結合し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示されるキメラでの使用に適していることは、当業者には理解されるであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗B7-H3またはB7-H4抗体への融合を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、TIM-3を標的とし、そのガレクチン9との相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。TIM-3を標的とする適切な抗体は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2013/0022623号に開示されている。TIM-3に結合し、そのガレクチン9との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの態様では、キメラポリペプチドは、抗TIM-3抗体への融合を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、4-1BB/CD137を標的とし、そのCD137Lとの相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。4-1BB/CD137に結合し、そのCD137Lまたは別のリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗4-1BB/CD137抗体への融合を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、GITRを標的とし、そのリガンドとの相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。GITRに結合し、そのGITRLまたは別のリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの態様では、キメラポリペプチドは、抗GITR抗体への融合を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、OX40を標的とし、そのリガンドとの相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。OX40に結合し、そのOX40Lまたは別リガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗OX40抗体への融合を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、CD40を標的とし、そのリガンドとの相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。CD40に結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗CD40抗体への融合を含む
【0134】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、ICOSを標的とし、そのリガンドとの相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。ICOSに結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの態様では、キメラポリペプチドは、抗ICOS抗体への融合を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、CD28を標的とし、そのリガンドとの相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。CD28に結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗CD28抗体への融合を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、IFNαを標的とし、そのリガンドとの相互作用を破壊する抗体またはその抗原結合部分への融合を含む。IFNαに結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示されるキメラポリペプチドでの使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗IFNα抗体への融合を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、腫瘍抗原または腫瘍抗原を標的とするポリペプチドへの融合を含む。一般に、腫瘍抗原は、腫瘍細胞をそれらの正常な細胞対応物から区別することを可能にし、例えば、腫瘍特異的抗原(TSA)および腫瘍関連抗原(TAA)を含み得る。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、癌原遺伝子および/または腫瘍抑制因子、ならびに過剰発現または異常発現した細胞タンパク質、発癌性ウイルスによって産生される腫瘍抗原、癌胎児性抗原、細胞表面糖脂質および糖タンパク質の変化、および/または細胞型特異的分化抗原である。そのような腫瘍抗原には、黒色腫抗原、癌精巣抗原、上皮腫瘍抗原、細胞周期調節タンパク質、前立腺特異的抗原(例えば、米国特許第5,538,866号に開示されているような前立腺癌腫抗原を含む)、リンパ腫(米国特許第4,816,249号;第5,068,177号;および第5,227,159号)が含まれ得る。腫瘍抗原には、例えば、2G3および369F10に結合したHMWムチン、c-erbB-2関連腫瘍抗原(およそ42kDまたは55kDの糖タンパク質)、およそ113F1に結合した40、60、100および200kDの抗原、9-O-アセチルGD3、p97、アルファフェトプロテイン(AFP)(例えば、胚細胞腫瘍および/または肝細胞癌についての)、癌胎児性抗原(CEA)(例えば、腸癌、時に肺癌または乳癌についての)、CA-125(例えば、卵巣癌についての)、MUC-1(例えば、乳癌についての)、上皮腫瘍抗原(ETA)(例えば、乳癌についての)、チロシナーゼ(例えば、悪性黒色腫についての)、黒色腫関連抗原(MAGE)(例えば、悪性黒色腫についての)、癌/精巣抗原1(CTAG1B)、黒色腫関連抗原1(MAGEA1)、異常なRas産物、異常なp53産物、サイクリンの過剰発現(例えば、サイクリンB1を含む)、フィブロネクチンの突然変異、MUC1糖タンパク質の翻訳後変化、分泌腫瘍抗原(例えば、ガングリオシドを含む)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0138】
他の融合は、アポトーシス促進性ペイロードとの融合を含み得る。そのような例示的な配列は、以下の表に提供される。いくつかの実施形態では、および本明細書に記載のIL-2ムテインは、アポトーシス促進性ペイロード、例えばBAD、BAX、BAK、BIK、および/またはBID配列に融合される。いくつかの実施形態では、アポトーシス促進性ペイロードは、Bcl-2ドメイン含有ペプチドおよび/またはBAD、BAX、BAK、BIK、および/またはBID配列の配列である。例示的なアポトーシス促進性融合を以下の表3に提供する。
【表3】
いくつかの特定の実施形態では、IL-2アンタゴニストは、癌の治療のためにアポトーシス促進性ペイロードに融合され得る。「アンタゴニスト」とは、例えばアゴニストの活性を予防、低減、阻害、または中和することにより、アゴニストの作用に対抗する化合物である。「アンタゴニスト」は、同定されたアゴニストが存在しない場合でも、標的、例えば標的受容体の構成的活性を予防、阻害、または減少させることもできる。典型的には、野生型IL-2と比較された場合にアゴニストまたはスーパーアゴニスト活性を有するIL-2ムテインが本発明の癌治療方法で使用されるが、そのようなアンタゴニストがアポトーシス促進性ペイロードに融合される場合、アンタゴニスト特性を有するIL-2ムテインを使用することができる。いくつかの実施形態では、IL-2アンタゴニストは、配列番号2の野生型IL-2と比較して、以下のアミノ酸置換L18R、Q22E、Q126T、およびS130Rを含む。いくつかの実施形態では、IL-2アンタゴニストは、配列番号2の野生型IL-2と比較して、以下のアミノ酸置換L18R、Q22E、L80F、R81D、L85V、I86V、およびQ126Tを含む。いくつかの実施形態では、IL-2アンタゴニストは、配列番号2の野生型IL-2と比較して、以下のアミノ酸置換L18R、Q22E、L80F、R81D、L85V、I86V、Q126T、およびS130Rを含む。上記で提供されたものなどのアポトーシス促進性ペイロードと融合することができる例示的なアンタゴニストは、以下の表4で提供される。
【表4A】
【0139】
他の融合は、CD8細胞、NK細胞およびアネルギー性NK細胞の活性化の延長に使用するための抗アポトーシス性ペイロードとの融合も含むことができ、そのような例示的な配列を以下の表に示す。T細胞のこのような活性化の延長は、癌治療の治療法においての有益性を証明することができる。
【表4B】
【0140】
他の例示的なIL-2融合には、以下の表に列挙されたものを含む。
【表5】
【0141】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン-Fc融合物は、以下の配列の1つを含む:
【表6】
【0142】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号12~配列番号15および/または配列番号20~配列番号80のいずれか1つ(例えば、本明細書で提供されるIL-2配列のいずれか)と90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号12~配列番号15および/または配列番号20~配列番号80のいずれか1つ(例えば、本明細書で提供されるIL-2配列のいずれか)と95%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号12~配列番号15および/または配列番号20~配列番号80のいずれか1つ(例えば、本明細書で提供されるIL-2配列のいずれか)と98%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号12~配列番号15および/または配列番号20~配列番号80のいずれか1つ(例えば、本明細書で提供されるIL-2配列のいずれか)と99%同一である。
【0143】
C.IL-2との融合のためのIL-4、IL-13 IL-10、IL-12、IL15、およびIL-18
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に記載されるようなIL-4ムテインに融合させることができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に記載されるようなIL-13ムテインに融合させることができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインをIL-10に融合させることができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインをIL-12に融合させることができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインをIL-15に融合させることができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインをIL-18に融合させることができる。いくつかの実施形態では、そのような融合は、癌細胞および/または癌幹細胞を特異的に標的とし、癌幹細胞成長を低減または阻害するとともに、腫瘍微小環境(TME)内の免疫抑制細胞を標的とするように機能する。
【0144】
任意のIL-13配列またはそのバリアントが、本明細書に記載のIL-2ムテインとの融合において使用され得る。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。例示的なIL-13ポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128、ならびに以下の表に提供されている。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つで提供される通りである。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号81である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号82である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号83である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号84である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号85である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号86である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号87である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号88である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号89である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号90である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号91である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号92である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号93である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号94である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド配列は配列番号95である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号96である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号97である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号98である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号99である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド配列は配列番号100である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号101である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号102である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号103である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号104である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号105である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号106である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号107である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号108である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号109である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号110である。いくつかの実施形態では、ポリペプチド配列は配列番号111である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号112である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号113である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号114である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号115である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号116である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号117である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号118である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号119である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号120である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号121である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号122である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号123である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号124である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号125である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号126である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号127である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は配列番号128である。IL-13 いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つと95%同一である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つと98%同一である。いくつかの実施形態では、IL-13ポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つと99%同一である。
【0145】
いくつかの実施形態では、配列番号81~配列番号128のいずれか1つが、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに連結される。いくつかの実施形態では、配列番号81は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号82は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号83は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号84は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号85は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号86は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号87は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号88は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号89は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号90は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号91は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号92は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号93は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号94は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号94は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号96は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号97は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号98は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号99は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号100は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号101は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号102は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号103は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号104は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号105は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号106は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号107は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号108は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号109は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号110は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号111は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号112は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号113は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号114は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号115は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号116は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号117は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号118は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号119は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号120は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号121は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号122は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号123は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号124は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号125は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号126は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号127は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号128は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明のIL-13ペプチドは、アミノ酸置換:(1)L10F、L10I、L10V、L10A、L10D、L10T、L10H;(2)R11S、R11N、R11H、R11L、R11I;(3)I14L、I14F、114V、I14M;(4)V18L、V18F、V18I;(5)E12A、(6)R65D、(7)R86K、R86T、R86M;(8)D87E、D87K、D87R、D87G、D87S;(9)T88I、T88K、T88R;(10)K89R、K89T、K89M;(11)L101 F、L101I、L101Y、L101H、L101N;(12)K104R、K104T、K104M;(13)K105T、K105A、K105R、K105E;(14)F107L、F107I、F107V、F107M;および(15)R108K、R108T、R108Mの1つ以上を含み、これらの置換は、IL-13Rα1とIL-13Rα2の一方または両方の親和性の変化を引き起こす。他の実施形態では、改変された残基は、上記で定義された接触残基の組み合わせセット内の2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上であるが、14以下のアミノ酸にある。国際特許公開第WO2013/112871号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換には、図4に提供されるものが含まれるがこれらに限定されない。
【0147】
改変のセットには、以下の特定の変更:(1)L10H;L10A;(2)R11L;(4)V18I;(7)R86M;R86K;R86T;(8)D87K;D87G;(9)T88R、T88S;T88K;(10)K89R;(11)L101N;(12)K104R;(13)K105A;K105E;(14)R108K.が含まれ得る。いくつかの実施形態では、改変は、列挙された特定の変更のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、改変はL10Hを含む。いくつかの実施形態では、改変はL10Aを含む。いくつかの実施形態では、改変はR11Lを含む。いくつかの実施形態では、改変はV18Iを含む。いくつかの実施形態では、改変はR86Mを含む。いくつかの実施形態では、改変はR86Kを含む。いくつかの実施形態では、改変はR86Tを含む。いくつかの実施形態では、改変はD87Kを含む。いくつかの実施形態では、改変はD87Gを含む。いくつかの実施形態では、改変はT88Rを含む。いくつかの実施形態では、改変はT88Sを含む。いくつかの実施形態では、改変はT88Kを含む。いくつかの実施形態では、改変はK89Rを含む。いくつかの実施形態では、改変はL101Nを含む。いくつかの実施形態では、改変はK104Rを含む。いくつかの実施形態では、改変はK105Aを含む。いくつかの実施形態では、改変はK105Eを含む。いくつかの実施形態では、改変はR108Kを含む。いくつかの態様では、1つ以上の改変を含むポリペプチドは、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換には、図4に提供されるものが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。
【0148】
天然のIL-13配列と比較してIL-13Rα1に対するIL-13Rα2への結合の選択性を高める特定の改変のセットには、以下が含まれるがこれらに限定されない:
●[L10D、R11I、V18I、R86K、D87K、k89R、R108K](例えば、C2、例えば、配列番号31または配列番号49)
●[L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A、R108K](例えば、C3、例えば、配列番号32または配列番号50)
●[L10V、K89R、L101N、K105E、R108T](例えば、C4、例えば、配列番号33または配列番号31)
●[R11S、I14M、T88S、L101N、K105A、R108K](例えば、C7、例えば、配列番号34または配列番号52)
●[L10H、R11L、V18I、R86K、D87E、K89R、L101N、K105T、R108K](C9、例えば、配列番号53)
●[L10H、R86T、D87G、T88R、R108K](C11、例えば、配列番号38または配列番号55)
●[L10A、V18F、R86K、D87K、K89R、L101I、K104R、R108K](D7、例えば、配列番号40または配列番号57)
●[L10T/D;R11I;V18I;R86K;D87K/G;T88S;K89R;L101Y;K104R;K105T;R108K]
●[L10A/V;R86T;D87G;T88K;K89R;L101N;K104R;K105A/E;R108K/T]
【0149】
いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、K89R、L101N、K105E、R108Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、I14M、T88S、L101N、K105A、およびR108K(C7、例えば配列番号35または配列番号52)を含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10H、R11L、V18I、R86K、D87E、K89R、L101N、K105T、およびR108K(C9、例えば配列番号36または配列番号53)を含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10H、R86T、D87G、T88R、およびR108K(C11、例えば配列番号38または配列番号55)を含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10A、V18F、R86K、D87K、K89R、L101I、K104R、およびR108K(D7、例えば、配列番号40または配列番号57)を含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10T/D、R11I、V18I、R86K、D87K/G、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T、およびR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10T、R11I、V18I、R86K、D87K、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T、およびR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10T、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T、およびR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10D、R11I、V18I、R86K、D87K、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T、およびR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10D、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T、R108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10A/V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A/E、およびR108K/Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A、およびR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105E、およびR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A、およびR108Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105E、およびR108Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A、およびR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105E、およびR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A、dR108Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105E、およびR108Tを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は90%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は95%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は98%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は99%同一である。いくつかの実施形態では、1つ以上の改変を含むポリペプチドは、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに連結している。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換には、図4に提供されるものが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。
【0150】
天然のIL-13配列と比較してIL-13Rα2に対するIL-13Rα1への結合の選択性を高める特定の改変のセットには、以下が含まれるがこれらに限定されない:
●[L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T]
●[R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T]
●[L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T]
●[L10V/I;D87S;T88S;K89R;L101H/F;K104R;K105T]
●[L10I;V18I;R86T;D87G;T88S;K89R;L101Y/H;K104R;K105A]
●[L10V;V18I;D87S;T88S;L101F;K104R;K105T]
●[V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A]
●[R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M]
これらの置換は、場合により、置換[E12A/G/S、R65D/E]と組み合わされる。
【0151】
いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、およびK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、およびK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、およびK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、およびK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、およびK105Aを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、およびK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、およびK105Aを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、およびF107Mを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12A、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12A、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12A、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12A、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12G、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12G、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12G、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12G、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12G、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12G、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12G、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12S、およびR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12A、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12A、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65Dを含む。
いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12A、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12A、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12G、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12G、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12G、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12G、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12G、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12G、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12G、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12S、およびR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12A、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12G、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12G、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12G、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12G、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12G、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12G、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12G、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A/G/S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12S、およびR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変のセットは、L10V、E12A、V18I、R65D、D87S、T88S、L101F、K104R、およびK105Tを含む(例えば、IL-13dn;配列番号38を参照されたい)。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は90%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は95%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は98%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は99%同一である。いくつかの実施形態では、1つ以上の改変を含むポリペプチドは、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに連結している。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換には、図4に提供されるものが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。
【0152】
IL-13配列の表を以下に示す。
【表7】
【0153】
任意のIL-4配列またはそのバリアントが、本明細書に記載のものを含むIL-2ムテインまたはバリアントとの融合において使用され得る。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。例示的なポリペプチド配列は、本明細書で提供されるものいずれかを含む配列番号130~配列番号135において提供される。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は、配列番号130~配列番号135のいずれか1つで提供される通りである。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は配列番号130である。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は配列番号131である。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は配列番号132である。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は配列番号133である。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は配列番号134である。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は配列番号135である。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は、配列番号130~配列番号135のいずれか1つと98%同一である。いくつかの実施形態では、IL-4ポリペプチド配列は、配列番号130~配列番号135のいずれか1つと99%同一である。いくつかの実施形態では、配列番号130~配列番号135のいずれか1つが、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに連結される。いくつかの実施形態では、配列番号130は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号131は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号132は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号133は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号134は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号135は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。
【0154】
IL-4配列の表を以下に示す。
【表8】
【0155】
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインをIL-10、IL-12、IL-15、および/またはIL-18配列に融合させることができる。いくつかの実施形態では、このような融合は、融合構築物をNK細胞および/またはCD8+細胞に特異的に標的させるように機能する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、配列番号136は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号137は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号138は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号139は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号140は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、配列番号141は、本明細書に記載のIL-2またはIL-2ムテインに結合している。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、以下の表の配列番号136~141に提供されるようなIL-IL-10、IL-12、IL-15、および/またはIL-18配列に融合することができる。
【表9】
【0156】
例示的なIL-2ムテインの配列は、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、サイトカイン-サイトカイン融合体は、以下の表に含まれるものの1つである。
【表10】
【0158】
D.IL-2ムテインの組換え発現、発現ベクター、および宿主細胞
種々の実施形態では、本発明の実施において使用されるポリペプチドは合成であるか、または組換え核酸分子の発現により産生される。ポリペプチドがキメラ(例えば、少なくとも1つの変異IL-2ポリペプチドおよび異種ポリペプチドを含む融合タンパク質)である場合、それは、IL-2ムテインのすべてまたは一部をコードする1つの配列と、異種ポリペプチドのすべてまたは一部をコードする第2の配列とを含むハイブリッド核酸分子によってコードされ得る。例えば、本明細書に記載の対象IL-2ムテインは、細菌で発現したタンパク質の精製を促進するヘキサヒスチジンタグ、または真核細胞で発現したタンパク質の精製を促進するヘマグルチニンタグに融合され得る。
【0159】
IL-2ムテインをコードするDNA配列を構築し、適切に形質転換された宿主でそれらの配列を発現させる方法には、PCR支援突然変異誘発技術の使用が含まれるが、これに限定されない。IL-2ポリペプチドに対するアミノ酸残基の欠失または付加からなる突然変異も、標準的な組換え技術を使用して行うことができる。欠失または付加の場合、IL-2をコードする核酸分子は、適切な制限エンドヌクレアーゼで任意に消化される。得られた断片は、直接発現させるか、例えば、第2の断片にそれを連結することによりさらに操作することができる。核酸分子の2つの末端が互いに重なり合う相補的ヌクレオチドを含む場合、連結は促進され得るが、平滑末端断片も連結され得る。PCRで生成された核酸を使用して、様々な変異配列を産生することもできる。
【0160】
完全なアミノ酸配列を使用して、逆翻訳遺伝子を構築できる。IL-2ムテインをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次に連結することができる。個々のオリゴヌクレオチドは、通常、相補的なアセンブリのために5´または3’突出部分を含有する。
【0161】
組換え分子生物学的技術によって変更された核酸分子の発現を介して変異体ポリペプチドを生成することに加えて、対象IL-2ムテインを化学的に合成することができる。化学合成ポリペプチドは、当業者によって日常的に産生される。
【0162】
(合成、部位特異的突然変異誘発、または別の方法により)組み立てられると、IL-2ムテインをコードするDNA配列が発現ベクターに挿入され、所望の形質転換された宿主においてIL-2ムテインの発現に適した発現制御配列に作動可能に連結され得る。適切なアセンブリは、ヌクレオチド配列決定、制限マッピング、および適切な宿主における生物学的に活性なポリペプチドの発現によって確認することができる。当該分野で周知のように、宿主においてトランスフェクトされた遺伝子の高い発現レベルを得るために、遺伝子は、選択された発現宿主において機能する転写および翻訳発現制御配列に作動可能に連結される必要がある。
【0163】
IL-2ムテインをコードするDNA配列は、部位特異的突然変異誘発、化学合成または他の方法のいずれによって調製されたものであるかに関わらず、シグナル配列をコードするDNA配列を含むこともできる。そのようなシグナル配列は、存在する場合、IL-2ムテインの発現のために選択された細胞によって認識されるものでなければならない。それは、原核生物、真核生物、またはその2つの組み合わせであり得る。それは、また、天然のIL-2のシグナル配列でもあり得る。シグナル配列の包含は、IL-2ムテインをそれが作られた組換え細胞から分泌することが望ましいかどうかに依存する。選択された細胞が原核細胞である場合、DNA配列はシグナル配列をコードしないことが一般に好ましい。選択された細胞が真核細胞である場合、一般的にシグナル配列をコードすることが好ましく、野生型IL-2シグナル配列を使用することが最も好ましい。
【0164】
E.腫瘍溶解性ウイルス標的化部位
いくつかの例では、本明細書に記載のIL-2ムテインを利用して、腫瘍溶解性ウイルスを標的化することができる(例えば、Allenら、Mol.Ther。16:1556-64、2008を参照されたい)。いくつかの例では、腫瘍溶解性ウイルスを使用して、IL-2ムテインを腫瘍またはTMEに標的化することができる。アデノウイルスおよび自己複製アルファウイルス、ならびに腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを含む多数のウイルスを腫瘍溶解性ウイルスとして使用することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2013038066、特に図17を参照されたい)。他の腫瘍溶解性ウイルスには、セネカバレーウイルス、ニューカッスル病ウイルス(ニューカッスルウイルスとも呼ばれる)、マラバウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ヘルペスウイルス(HSV-1を含む)、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、コクサッキーウイルス、レンチウイルス、モルビリウイルス、インフルエンザウイルス、シンビスウイルス、粘液腫ウイルスおよび/またはレトロウイルス(例えば、Twumasi-Boatengら、「Oncolytic viruses as engineering platforms for combination immunotherapy」、Nature Reviews Cancer、2018およびKaufmanら、Cancer Immunotherapy、14:642-662(2015)を参照されたい、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)が含まれる。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルス、自己複製アルファウイルス、ワクシニアウイルス、セネカバレーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、マラバウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ヘルペスウイルス(HSV-1およびHSV-2を含む)、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、コクサッキーウイルス、レンチウイルス、モルビリウイルス、インフルエンザウイルス、シンビスウイルス、粘液腫ウイルス、およびレトロウイルスを含むが、これらに限定されない。IL-2スーパーカイン(本明細書に記載のH9およびIL-2バリアント)はまた、T細胞/OVをTMEに指向させるために使用することができる。IL-2バリアント(H9など)はエフェクターT細胞およびNK細胞を増強できるが、IL-2バリアントはT reg活性を抑制できる。他の腫瘍溶解性ウイルスには、例えば、癌細胞に優先的に感染する複製条件付き単純ヘルペスウイルスの腫瘍内注射を伴うoncoVex/T-VECが含まれ得る。また、GM-CSFを発現するように設計されたウイルスは、癌細胞内で複製してその溶解を引き起こし、新しいウイルスと一連の腫瘍抗原を放出し、その過程でGM-CSFを分泌する。そのような腫瘍溶解性ウイルスワクチンは、腫瘍微小環境におけるDCの機能を強化して、抗腫瘍免疫応答を刺激する。これらの腫瘍溶解性ウイルスを使用して、本明細書に記載のIL-2ムテインを腫瘍に標的化または送達することができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示される任意のIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたL80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、本明細書に記載のIL-2ムテインを発現することができる導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされた以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインを発現することができる導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされた以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、治療用ペイロードとして発現される導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、治療用ペイロードは、本明細書に記載のIl-2である。いくつかの実施形態では、治療用ペイロードは、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされた以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインである。
【0165】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスである。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスベクターは、ウイルス粒子が細胞内成熟ウイルス(IMV)、細胞内エンベロープウイルス(IEV)、細胞関連エンベロープウイルス(CEV)、または細胞外エンベロープウイルス(EEV)型であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス粒子は、EEVまたはIMV型である。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス粒子は、EEV型である。
【0166】
一般的に、腫瘍細胞で優先的に複製し、少なくとも1つの導入遺伝子(例えば、本明細書に記載のIL-2ムテイン)を発現し、抗腫瘍効果およびアポトーシス誘導を促進し、対象の宿主免疫応答を調節する前述のベクターを含む腫瘍溶解性ワクシニアウイルス組換え体および細胞および薬学的組成物の構築。本発明によれば、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたは腫瘍溶解性アデノウイルスを標的とし、および/またはIL-2ムテインを発現させるために、腫瘍溶解性アデノウイルスおよび腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを本明細書に記載のIL-2発現または標的化部分と組み合わせることができる。腫瘍溶解は腫瘍抗原を放出し、共刺激の危険信号を提供する。ただし、ウイルスを武装することにより、有効性をさらに向上させることができる。例えば、CD40リガンド(CD40L、CD154)は、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することが知られており、それは、いくつかの免疫機構も引き起こす。これらの1つは、細胞傷害性T細胞の活性化と免疫抑制の低下につながるTヘルパー1型(Thl)応答である。本発明は、本発明のIL-2ムテインを発現する腫瘍溶解性ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明のIL-2標的化部分で標的化された(例えば、「武装された」)腫瘍溶解性ウイルスを提供する。
【0167】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、ワクシニアウイルスゲノムを含む改変されたワクシニアウイルスベクター、ウイルス粒子、宿主細胞、薬学的組成物、およびキットであり、ここで、そのチミジンキナーゼ遺伝子は、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子における置換および/または部分的に欠失したチミジンキナーゼ遺伝子を提供する少なくとも1つのヌクレオチドの欠失を切除するオープンリーディングフレームのいずれかによって不活性化され、ワクシニア成長因子遺伝子は欠失しており、改変されたワクシニアウイルスベクターは、非ウイルスタンパク質(例えば、発現させることができる本明細書に記載のIL-2ムテイン)をコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。別の態様では、対象における免疫応答の誘発のため、哺乳動物の悪性細胞増殖の阻害方法にて使用するため、癌の治療または予防における使用のため、対象における改変されたワクシニアウイルスの存在の検出のため、および場合によりアデノウイルスと組み合わせたin situ癌ワクチンとして、癌治療のために使用することができる、改変されたワクシニアウイルスベクター、ウイルス粒子、薬学的組成物またはキットが提供される。いくつかの実施形態では、本発明は、ワクシニアウイルスゲノムを含む改変されたワクシニアウイルスを生成する方法であって、そのチミジンキナーゼ遺伝子が、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子における置換および/または部分的に欠失したチミジンキナーゼ遺伝子を提供する少なくとも1つのヌクレオチドの欠失を切除するオープンリーディングフレームによって不活性化され、そのワクシニア成長因子遺伝子が欠失しており、その改変されたワクシニアウイルスベクターが、非ウイルスタンパク質(例えば、本明細書に記載のIL-2ムテイン)をコードする少なくとも1つの核酸配列を含む方法であり、ワクシニアウイルス粒子の産生を維持し、改変されたワクシニアベクターを運搬することができるプロデューサー細胞を提供する工程と、ウイルスの複製および生成に適した条件下でプロデューサー細胞を培養する工程と、ウイルス粒子を収集する工程とを含む方法を提供する。
【0168】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載のIL-2ムテインをコードする核酸を伴うかまたはそれを含む腫瘍溶解性ウイルスを投与する方法を提供し、ここで、そのIL-2ムテインは、腫瘍位置で発現されるか、対象において全身的に発現される。いくつかの実施形態では、本発明はまた、本明細書に記載のIL-2ムテインで「武装」または標的化された腫瘍溶解性ウイルスを投与する方法を提供する。投与経路は、当然、腫瘍の位置および性質により異なり、例えば、皮内、経皮、非経口、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、局所的(例えば、腫瘍に近接して、特に、血管系または隣接する血管系を用いて)、経皮、気管内、腹腔内、動脈内、膀胱内、腫瘍内、吸入、灌流、洗浄、および経口投与を含む。組成物は、特定の投与経路に対して製剤化される。
【0169】
1.腫瘍溶解性ワクシニアウイルス
ワクシニアウイルスは、ポックスウイルス科(Poxviridae)のオルソポックスウイルス属の一員である。それは、大きな二本鎖DNAゲノム(約200kb、約200遺伝子)を有し、複雑な形態形成経路により、各感染細胞から異なる形態の感染性ビリオンが生成される。ウイルス粒子は、コアの周りに脂質膜(複数可)を含有する。ウイルスコアは、ウイルス構造タンパク質、密に圧縮されたウイルスDNAゲノム、および転写酵素を含有する。ワクシニアウイルスの寸法は、約360x270x250nmであり、重量は約5-10fgである。遺伝子は、小さな非コーディングDNAで密に詰まっており、オープンリーディングフレーム(ORF)はイントロンを欠失している。3つのクラスの遺伝子(初期、中間、後期)が存在する。初期遺伝子(約100遺伝子;即時および遅延型)は、主に免疫調節およびウイルスDNA複製に関連するタンパク質をコードする。中間遺伝子は、後期遺伝子(例えば、転写因子)の発現に必要な調節タンパク質をコードし、後期遺伝子は、次の感染を開始するために新しいビリオン内にパッケージ化されるウイルス粒子と酵素を作るのに必要なタンパク質をコードする。ワクシニアウイルスは細胞の細胞質内で複製する。
【0170】
ワクシニアウイルスの様々な株が同定されている(一例として、Copenhagen、modified virus Ankara(MVA)、Lister、Tian Tan、Wyeth(= New York City Board of Health)、Western Reserve(WR))。WRワクシニアのゲノム配列が決定されている(アクセッション番号AY243312)。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、コペンハーゲン、改変ウイルスアンカラ(MVA)、リスター(Lister)、ティアンタン(Tian Tan)、ワイス(Wyeth)、またはウェスタンリザーブ(Western Reserve)(WR)ワクシニアウイルスである。
【0171】
異なる形態のウイルス粒子は、ウイルス生活環において異なる役割を有する。いくつかの形態のウイルス粒子が存在する:細胞内成熟ウイルス(IMV)、細胞内エンベロープウイルス(IEV)、細胞関連エンベロープウイルス(CEV)、細胞外エンベロープウイルス(EEV)。EEV粒子には、トランスゴルジネットワークに由来する余分な膜がある。この外膜には2つの重要な役割がある:a)それは、内部IMVを免疫攻撃から保護し、b)ウイルスの細胞表面への結合を仲介する。
【0172】
CEVおよびEEVは、宿主由来の膜に包まれることにより、ウイルスが宿主抗体および補体を回避するのに役立つ。IMVおよびEEV粒子は、生物学的特性にいくつかの違いがあり、ウイルスの生活環で異なる役割を果たす。EEVおよびIMVは異なる(未知の)受容体に結合し(1)、それらは異なる機序で細胞に入る。EEV粒子はエンドサイトーシスを介して細胞に入り、プロセスはpH感受性である。内部移行後、EEVの外膜は酸性化されたエンドソーム内で破裂し、露出したIMVはエンドソーム膜と融合し、ウイルスコアは細胞質に放出される。一方、IMVは細胞膜とウイルス膜の融合により細胞に入り、このプロセスはpHに依存しない。これに加えて、CEVは細胞表面からアクチン尾部の形成を誘導し、これはビリオンを未感染の隣接細胞に向かって駆動させる。
【0173】
さらに、EEVは抗体(NAb)による中和と補体毒性に対して耐性があるが、IMVは耐性がない。したがって、EEVはインビトロおよびインビボでの長距離伝播を仲介する。コメット阻害試験は、遊離EEVがEEV NAbで中和できない場合でも、感染細胞からのEEVの放出がEEV NAbによって阻止され、コメット形状のプラークが見られないため、EEV特異抗体を測定する1つの方法となった。EEVはIMV粒子と比較して特異的感染率がより高く(粒子/pfu比がより低い)、このため、EEVは治療用途の興味深い候補となる。しかし、EEVの外膜は非常に壊れやすい構造であり、EEV粒子の取り扱いには注意が必要であり、治療用途に必要な量のEEV粒子を入手することは困難である。EEV外膜は低pH(pH約6)で破裂する。EEVの外膜が破裂すると、エンベロープ内のウイルス粒子はIMVとして完全な感染力を保持する。
【0174】
一部の宿主細胞由来タンパク質は、EEV調製物と共局在するが、IMVとは共局在せず、細胞由来タンパク質の量は、宿主細胞株とウイルス株に依存する。例えば、WR EEVはVV IHD-J株と比較してより多くの細胞由来タンパク質を含む。宿主細胞由来のタンパク質は、EEV粒子の生物学的効果を改変することができる。一例として、EEVの表面に宿主膜タンパク質CD55を組み込むと、補体毒性に対する耐性が得られる。本発明において、EEV粒子の表面のヒトA549細胞由来タンパク質は、ウイルスをヒト癌細胞に標的化できることが示されている。同様の現象は、ヒト免疫不全ウイルス1型を用いた研究で実証されており、そこでは、宿主由来のICAM-1糖タンパク質がウイルス感染性を増加させた。IEV膜には少なくとも9つのタンパク質が含まれ、そのうち2つはCEV/EEVには存在しない。F12LおよびA36Rタンパク質は、細胞表面へのIEV輸送に関与し、それらは後に残され、CEV/EEV(9、11)の一部ではない。(IEV)/CEV/EEVでは7つのタンパク質F13L、A33R、A34R、A56R、B5R、E2、(K2L)が共通である。ワクシニアウイルスのウェスタンリザーブ株の場合、通常、ウイルス粒子の最大1%がEEVであり、プロデューサー細胞の腫瘍溶解の前に培養上清に放出される。50倍以上のEEV粒子がワクシニアの国際保健部門(International Health Department)(IHD)-J株から放出される。ただし、IHDはヒトの癌治療での使用については研究されていない。IHD-W表現型は、主にA34R EEVレクチン様タンパク質内の点突然変異に起因した。また、A34Rの欠失は、放出されるEEVの数を増加させる。EEV粒子は、感染6時間後に細胞表面で最初に検出でき(CEVとして)、5時間後に上清で検出できる(IHD-J株)。低い感染多重度(MOI)を伴う感染は、高ウイルス量と比較してより高い比率のEEVをもたらす。CEVとEEVのバランスは、宿主細胞とウイルス株の影響を受ける。
【0175】
ワクシニアは天然痘の撲滅のために使用され、その後、外来遺伝子の発現ベクターとして、および感染症や癌の組換え生ワクチンとして使用されてきた。ワクシニアウイルスは、ヒトで最も広く使用されているポックスウイルスであるため、ヒトで使用するための安全性データは広範囲にわたる。世界中の天然痘ワクチン接種プログラムの間に、何十万人もが改変ワクシニアウイルス株で安全にワクチン接種されており、非常にまれに重篤な有害事象が報告されている。それらは、全身性ワクシニア(体内でのワクシニアの全身性の広がり)、多形性紅斑(毒性/アレルギー反応)、ワクシニア性湿疹(皮膚の広範囲の感染)、進行性ワクシニア(組織破壊)、およびワクシニア後脳炎である。
【0176】
1960年代から1990年代にかけて、44人の黒色腫患者全員が野生型ワクシニアウイルスの初期臨床試験において治療を受け、注射された腫瘍の全体的な客観的反応率は50%だった。また、いくつかの有益な免疫学的反応が見られた(36)。野生型ワクシニアウイルスは、膀胱癌、肺癌、腎臓癌、および骨髄腫の治療のためにも使用されており、軽度の有害事象のみが見られた。GM-CSFをコードする腫瘍溶解性ワイエス株ワクシニアウイルスであるJX-594は、3つの第I相試験で首尾よく評価され、無作為化第II相試験の予備的な結果が科学会議で発表された。
【0177】
ワクシニアウイルスは、いくつかの特徴のために、癌遺伝子治療にとって魅力的である。それは、癌細胞に向かう天然の向性を持ち、ウイルス遺伝子の一部を欠失することで選択性を有意に高めることができる。本発明は、2つのウイルス遺伝子、ウイルスチミジンキナーゼ(TK)およびワクシニア成長因子(VGF)が少なくとも部分的に欠失している二重欠失ワクシニアウイルス(vvdd)の使用に関する。TKおよびVGF遺伝子は、ウイルスが正常細胞で複製するために必要とされるが、癌細胞では必要とされない。部分的なTK欠失は、活動を付与するTK領域において設計することができる。
【0178】
TK欠失ワクシニアウイルスは、DNA合成および複製のために分裂細胞に存在する細胞ヌクレオチドプールに依存する。いくつかの実施形態では、TK欠失は休止細胞におけるウイルス複製を有意に制限し、活発に分裂する細胞(例えば、癌細胞)においてのみ効率的なウイルス複製が起こることを可能にする。VGFは感染細胞から分泌され、分裂促進因子として作用することにより、周囲の細胞に対してパラクリンプライミング効果を有する。VGF欠失ワクシニアウイルスの複製は、休止(非癌)細胞で高度に弱毒化されている。TKおよびVGFの欠失の効果は相乗的であることが示されている。
【0179】
2.腫瘍溶解性アデノウイルス
一般に、アデノウイルスは、36kbの直線状、二本鎖DNAウイルスである(GrunhausおよびHorwitz、1992)。「アデノウイルス」または「AAV」という用語は、AAV1型(AAV1)、AAV2型(AAV2)、AAV3型(AAV3)、AAV4型(AAV4)、AAV5型(AAV5)、AAV6型(AAV6)、AAV7型(AAV7)、AAV8型(AAV8)、AAV9型(AAV9)、AAV9_hu14、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、およびヒツジAAVを含む。「霊長類AAV」は霊長類に感染できるAAVを指し、「非霊長類AAV」は非霊長類哺乳類に感染できるAAVを指し、「ウシAAV」はウシ哺乳類に感染できるAAVを指す。
【0180】
宿主細胞のアデノウイルス感染により、アデノウイルスDNAがエピソーム的に維持され、それにより、ベクターの組み込みに伴う潜在的な遺伝毒性が低下する。また、アデノウイルスは構造的に安定しており、大規模な増幅後にゲノムの再配列は検出されていない。アデノウイルスは、細胞周期の段階に関係なく、事実上すべての上皮細胞に感染することができる。(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS2006/0147420を参照されたい。)さらに、アデノウイルスのE1aおよびE4領域は、ヒト細胞の効率的かつ生産的な感染に不可欠である。E1a遺伝子は、増殖性感染において転写される第1のウイルス遺伝子であり、その転写は他の任意のウイルス遺伝子産物の作用に依存しない。ただし、残りの初期ウイルス遺伝子の転写には、E1a遺伝子の発現が必要である。E1aプロモーターは、E1a遺伝子の発現の調節に加えて、ウイルスDNAの複製の開始に必要な部位だけでなく、ウイルスゲノムのパッケージングのためのシグナルも統合している。Schmid、S.I.、およびHearing、P.in Current Topics in Microbiology and Immunology、vol。199:pages 67-80(1995)を参照されたい。
【0181】
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍溶解性アデノウイルスである。天然に生じるウイルスを操作して腫瘍細胞における腫瘍溶解効果をもたらすことが確立されている(Wildner、2001;Jacotat、1967;Kim、2001;Geoergerら、2002;Yanら、2003;Vileら、2002、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。アデノウイルスの場合、アデノウイルスゲノム内の特定の欠失は、正常な静止細胞内で複製する能力を弱めることができるが、腫瘍細胞で複製する能力は保持する。そのような条件付き複製アデノウイルスの1つであるΔ24は、Fueyoら(2000)によって記載されており、米国特許出願第2003/0138405号でも参照され、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。Δ24アデノウイルスは、アデノウイルス5型(Ad-5)に由来し、E1A遺伝子のCR2部分に24塩基対の欠失を含有する。例えば、WO2001/036650A2(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0182】
腫瘍溶解性アデノウイルスは、デルタ24などの条件付き複製アデノウイルス(CRAD)を含み、それは、生物療法薬としての使用のための候補となるためのいくつかの特性を有する。そのような特性の1つは、許容細胞または組織で複製する能力であり、それは、腫瘍溶解性ウイルスの元の投入量を増幅し、直接的な抗腫瘍効果をもたらす隣接する腫瘍細胞に薬剤が広がるのを補助する。
【0183】
いくつかの実施形態では、デルタ24の腫瘍溶解性成分は、武装したデルタ24を生成するための導入遺伝子発現アプローチを伴う。武装したデルタ24アデノウイルスは、腫瘍内でのバイスタンダー効果の生成または強化、ならびに/または患者または腫瘍関連組織および/もしくは細胞における腫瘍溶解性アデノウイルスの検出/イメージングの生成または強化に使用できる。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性アデノウイルスと様々な導入遺伝子戦略(例えば、およびIL-2ムテインの発現)との組み合わせは、例えば、様々な難治性腫瘍に対する潜在的能力を含む潜在的な治療能力を改善し、画像化能力の改善をもたらす。特定の実施形態では、腫瘍溶解性アデノウイルスは、複製欠損アデノウイルス、別の腫瘍溶解性ウイルス、複製コンピテントアデノウイルス、および/または野生型アデノウイルスとともに投与され得る。その各々を、他のアデノウイルスと同時に、その前または後に、投与することができる。
【0184】
いくつかの実施形態では、E1aアデノウイルスベクターは、CAATボックス、TATAボックス、および転写開始のための開始部位を含む塩基性アデノウイルスE1aプロモーターを、腫瘍特異性を示し、好ましくはE2F応答性である、より好ましくはは、ヒトE2F-1プロモーターである塩基性プロモーターで置換することを含む。したがって、このウイルスは、E2F応答性プロモーターからの転写を活性化する分子を欠失しているか、またはそのような分子が機能しない細胞で抑制される。転写因子E2Fとしてこのクラスに分類される正常な非分裂細胞または静止細胞は、pRbまたは網膜芽細胞腫タンパク質に結合し、そのため、E2FはE2F応答性プロモーターに結合して活性化するために利用できなくなる。対照的に、遊離E2Fを含有する細胞は、E2Fに基づく転写を支持するはずである。そのような細胞の一例は、生産的なウイルス感染の発生を可能にするpRb機能を欠く腫瘍細胞である。いくつかの実施形態では、E1aアデノウイルスベクターは、本明細書に記載のIL-2部分を使用して標的化される。
【0185】
E1aプロモーターにあるエンハンサー配列、パッケージングシグナル、およびDNA複製開始部位の保持により、pRb機能を欠く新生細胞でアデノウイルス感染が野生型レベルに進行することが確実となる。本質的に、改変されたE1aプロモーターは、腫瘍特異的な転写活性化を付与し、実質的な腫瘍特異的な殺傷をもたらすが、正常細胞での安全性を高める。
【0186】
いくつかの実施形態では、E1aアデノウイルスベクターは、内因性E1aプロモーターをE2F応答性プロモーターで置き換えることにより調製され、アデノウイルス5ゲノムのヌクレオチド375の上流の要素はインタクトなままである。ヌクレオチド番号付けは、例えば、Schmid、S.I.、およびHearing、P Current Topics in Microbiology and Immunology、vol。199:pages 67-80(1995)により記載されている通りである。これには、ウイルスゲノムのパッケージングのために同定された7つのAリピートモチーフのすべてが含まれる。ヌクレオチド375からヌクレオチド536までの配列は、BsaAIからBsrBI制限開始部位によって欠失されるが、E1Aタンパク質の翻訳開始コドンの上流の23塩基対をなお保持する。既知の材料および方法を使用して、欠失された内因性E1aプロモーター配列の代わりに、E2F応答性プロモーター、好ましくはヒトE2F-1が使用される。E2F-1プロモーターは、実施例1に記載されるように単離され得る。
【0187】
E4領域は、アデノウイルス感染の後期に起こる多くの事象に関与しており、効率的なウイルスDNA複製、後期mRNA蓄積およびタンパク質合成、スプライシング、および宿主細胞のタンパク質合成のシャットオフのために必要とされる。E4転写ユニットのほとんどが欠損しているアデノウイルスは、深刻な複製欠陥があり、一般に、高力価を達成するにはE4補完細胞株において増殖させる必要がある。E4プロモーターはウイルスゲノムの右端近くに位置し、複数のオープンリーディングフレーム(ORF)の転写を支配している。このプロモーターでは、最大転写活性の媒介に重要な多くの調節要素が特徴づけられている。これらの配列に加えて、E4プロモーター領域は、ウイルスDNA複製に必要な調節配列を含有する。E4プロモーターおよびこれらの調節配列の位置の描写は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,001,596号の図2および3に見ることができる。
【0188】
いくつかの実施形態では、腫瘍特異性を示すことが実証されているもの、好ましくはE2F応答性プロモーター、より好ましくはヒトE2F-1プロモーターで置換されたE4塩基性プロモーターを有するアデノウイルスベクター。E4発現を駆動するためにE2F応答性プロモーターが好ましい理由は、E1aプロモーターがE2F応答性プロモーターで置換されたE1aアデノウイルスベクターの文脈で上記で議論されたものと同じである。pRbの腫瘍抑制機能は、E2F-1プロモーターなどのE2F応答性プロモーターを抑制する能力と相関している(Adams、P.D.、およびW.G.Kaelin、Jr.1995、Cancer Biol.6:99-108;Sellers、W.R.、およびW.G.Kaelin.1996、Biochim Biophys Acta 1996 Dec.9;1288(3):E-1内で公開された正誤表、Biochim Biophys Acta.1288:M1-5.Sellers、W.R.,J.W.Rodgers、およびW.G.Kaelin、Jr.1995、Proc Natl Acad Sci USA.92:11544-8.)。ヒトE2F-1プロモーターは、広範囲にわたって特徴付けられており、pRb/p107、E2F-1/-2/-3、およびG1サイクリン/cdk複合体、およびE1Aを含むpRbシグナル伝達回路に対して応答性があることが示されている(Johnson、D.G.、K.Ohtani、およびJ.R.Nevins.1994、Genes Dev.8:1514-25;Neuman、E.、E.K.Flemington、W.R.Sellers,およびW.G.Kaelin、Jr.1995.Mol Cell Biol.15:4660;Neuman、E.、W.R.Sellers,J.A.McNeil,J.B.Lawrence、およびW.G.Kaelin、Jr.1996、Gene.173:163-9.)。この調節のすべてではないにしても、ほとんどは、E2F-1プロモーター内に存在する複数のE2F部位の存在に起因する。したがって、この(これらの)改変(複数可)を運ぶウイルスは、インタクトな(野生型)pRb経路を含有する正常細胞では弱毒化されるが、pRbの抑制機能を欠く細胞では正常な感染/複製プロファイルを示すと予想される。この変異ウイルスの正常な感染/複製プロファイルを維持するために、本発明者らは、E4プロモーターの遠位端で逆方向末端反復(ITR)を保持したが、これは、ウイルスDNA複製に必要なすべての調節要素が含まれているためである(Hatfield、L.およびP.Hearing.1993、J.Virol.67:3931-9;Rawlins、D.R.、P.J.Rosenfeld、R.J.Wides、M.D.Challberg、およびT.J.Kelly、Jr.1984、Cell.37:309-19;Rosenfeld、P.J.、E.A.O´Neill、R.J.Wides、およびT.J.Kelly.1987、Mol Cell Biol.7:875-86;Wides、R.J.、M.D.Challberg、D.R.Rawlins、およびT.J.Kelly.1987、Mol Cell Biol.7:864-74)。これにより、このウイルスに感染したpRb経路欠損腫瘍細胞で野生型レベルのウイルスの獲得が容易となる。
【0189】
いくつかの実施形態では、E4プロモーターはウイルスゲノムの右端近くに位置し、それは、複数のオープンリーディングフレーム(ORF)の転写を支配している(Freyer、G.A.、Y.Katoh、および1984、Nucleic Acids Res.12:3503-19;Tigges、M.A.、およびH.J.Raskas.1984。アデノウイルス2初期領域4 mRNAのスプライスジャンクション:複数のスプライス部位が18~24のRNAを生成する。J.Virol.50:106-17;Virtanen、A.P.Gilardi、A.Naslund、J.M.LeMoullec、U.Pettersson、およびM.Perricaudet.1984、J.Virol.51:822-31.)。転写活性を媒介する多くの調節要素がこのプロモーターにおいて特徴づけられた(Berk、A.J.1986、Annu Rev Genet.20:45-79;Gilardi、P.、およびM.Perricaudet.1986、Nucleic Acids Res.14:9035-49;Gilardi、P.、およびM.Perricaudet.1984、Nucleic Acids Res.12:7877-88;Hanaka、S.、T.Nishigaki、P.A.Sharp、およびH.Handa.1987、Mol Cell Biol.7:2578-87;Jones、C.、およびK.A.Lee.1991、Mol Cell Biol.11:4297-305;Lee、K.A.、およびM.R.Green.1987、EmboJ.6:1345-53)。これらの配列に加えて、E4プロモーター領域には、ウイルスDNA複製に関与する要素が含まれている(Hatfield、L.、およびP.Hearing.1993、J Virol.67:3931-9;Rawlins、D.R.、P.J.Rosenfeld、R.J.Wides、M.D.Challberg、およびT.J.Kelly、Jr.1984、Cell.37:309-19;Rosenfeld、P.J.、E.A.O´Neill、R.J.Wides、およびT.J.Kelly.1987、Mol Cell Biol.7:875-86;Wides、R.J.、M.D.Challberg、D.R.Rawlins、およびT.J.Kelly.1987、Mol Cell Biol.7:864-74)。E4プロモーターとこれらの調節配列の位置の描写は、図1および2で参照され得る。また、Jones、C.、およびK.A.Lee.Mol Cell Biol.11:4297-305(1991)も参照されたい。これらの考慮事項を念頭に置いて、E4プロモーターシャトルは、ヌクレオチド35,576のXhoI部位とヌクレオチド35,815のSpeI部位の2つの新規制限エンドヌクレアーゼ部位を作成することにより設計された(図3を参照されたい)。XhoIとSpeIの両方で消化すると、35,581から35,817のヌクレオチドが除去される。これにより、E4転写に対して最大の影響を与えることが示されているすべての配列を含む、E4転写開始部位に対して-208~+29の塩基が効果的に除去される。特に、これは、プロモーター活性化に対して最も有意な効果があることが実証されているE4F結合部位の2つの逆方向反復を包含する。ただし、3つのSp1結合部位すべて、5つのATF結合部位のうち2つ、およびウイルスDNA複製に重要なNF1およびNFIII/Oct-1結合部位の両方が保持される。
【0190】
いくつかの実施形態では、E2F応答性プロモーターはヒトE2F-1プロモーターである。pRb経路への応答を媒介するE2F-1プロモーター中の主要な調節要素は、インビトロおよびインビボの両方でマッピングされている(Johnson、D.G.、K.Ohtani、およびJ.R.Nevins.1994、Genes Dev.8:1514-25;Neuman、E.、E.K.Flemington、W.R.Sellers、およびW.G.Kaelin、Jr.1995、Mol Cell Biol.15:4660;Parr、M.J.、Y.Manome、T.Tanaka、P.Wen、D.W.Kufe、W.G.Kaelin、Jr.、およびH.A.Fine.1997、Nat Med.3:1145-9)。したがって、本発明者らは、転写開始部位に対して塩基対-218~+51に由来するヒトE2F-1プロモーター断片を、SpeIおよびXhoI部位をそれらに組み込むプライマーを用いるPCRにより単離した。これにより、E4プロモーターシャトル内に存在する同じ部位が作成され、E4プロモーターをE2F-1プロモーターで直接置換可能となる。
【0191】
F.変異体IL-2をコードする核酸分子
いくつかの実施形態では、単独または上記のようなキメラポリペプチドの一部としての対象IL-2ムテインは、核酸分子の発現により得ることができる。IL-2ムテインが野生型IL-2ポリペプチドとの同一性という点で説明できるように、それらをコードする核酸分子は必然的に野生型IL-2をコードする核酸分子と特定の同一性を有する。例えば、対象IL-2ムテインをコードする核酸分子は、野生型IL-2(例えば、配列番号2)をコードする核酸と少なくとも50%、少なくとも65%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも95%(例えば、99%)同一であり得る。
【0192】
提供される核酸分子は、天然に生じる配列か、または天然に生じるものとは異なるが、遺伝暗号の縮重のために、同じポリペプチドをコードする配列を含むことができる。これらの核酸分子は、RNAまたはDNA(例えば、ゲノムDNA、cDNA、またはホスホロアミダイトに基づく合成によって生成されるような合成DNA)、またはこれらの種の核酸内のヌクレオチドの組み合わせまたは改変からなり得る。さらに、核酸分子は、二本鎖または一本鎖(すなわち、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれか)であり得る。
【0193】
核酸分子は、ポリペプチドをコードする配列に限定されず、コード配列(例えば、IL-2のコード配列)の上流または下流にある非コード配列の一部またはすべても含めることができる。分子生物学の当業者は、核酸分子を単離するための日常的な手順に精通している。それらは、例えば、制限エンドヌクレアーゼによるゲノムDNAの処理により、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の実行により生成され得る。核酸分子がリボ核酸(RNA)である場合、分子は、例えば、インビトロ転写により生成され得る。
【0194】
本開示の例示的な単離された核酸分子は、天然状態ではそのようなものとして見出されない断片を含み得る。したがって、本開示は、核酸配列(例えば、変異体IL-2をコードする配列)がベクター(例えば、プラスミドもしくはウイルスベクター)または異種細胞のゲノム(もしくは天然の染色体位置以外の位置にある相同細胞のゲノム)に組み込まれているものなどの組換え分子を包含する。
【0195】
上記のように、対象IL-2ムテインはキメラポリペプチドの一部として存在し得る。上記の異種ポリペプチドに加えて、またはその代わりに、対象の核酸分子は、「マーカー」または「レポーター」をコードする配列を含有することができる。マーカーまたはレポーター遺伝子の例には、β-ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(ネオ、G418)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシンB-ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、lacz(β-ガラクトシダーゼをコードする)、およびキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)が含まれる。当業者は、追加の有用な試薬、例えば、マーカーまたはレポーターの機能を果たすことができる追加の配列を認識するであろう。
【0196】
対象の核酸分子は、哺乳動物の細胞などの任意の生物細胞から得られたIL-2をコードするDNAに突然変異を導入することにより得ることができる。したがって、対象核酸(およびそれらがコードするポリペプチド)は、マウス、ラット、モルモット、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウサギ、サル、ヒヒ、イヌ、またはネコのものであり得る。一実施形態では、核酸分子はヒトのものである。
【0197】
G.キメラ抗原受容体(CARS)
標的免疫療法は、悪性腫瘍の治療における有望な研究分野として浮上しており、近年大きな関心を集めている。確かに、CD19悪性細胞を標的とする組み換えまたは遺伝子改変されたT細胞を用いる、リンパ腫患者の治療法が報告されている。これにより、遺伝子療法および免疫療法の標的として癌細胞に存在する抗原への注目が高まっている。これらのCARSは、本明細書に記載のIL-2ムテインを腫瘍に標的化または送達するために使用することができ、または全身IL-2ムテイン発現さえ可能にすることができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示される任意のIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたL80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0198】
特定の腫瘍抗原を特異的に標的とするための自己または同種T細胞またはNK細胞の遺伝子操作は、ほとんどの腫瘍細胞による細胞傷害性免疫応答誘導の失敗を回避する戦略を提供する。いくつかの実施形態では、これらの遺伝子操作されたT細胞またはNK細胞を使用して、例えばIL-2ムテインが腫瘍位置で発現されるように、本明細書に記載のIL-2ムテインを腫瘍に標的化することができる。これらの技術は、ヒト免疫細胞の遺伝的改変に基づいており、細胞は白血球アフェレーシスによって患者またはドナーから抽出することができる。特定の細胞、通常はT細胞は精製され、目的の癌抗原を標的とする受容体を発現するように操作される。操作は、レトロウイルス、レンチウイルス、トランスポゾン、mRNA電気穿孔などによる形質導入を利用してもよい。免疫細胞は、所望の用量まで拡大され、患者に導入され得る。操作された細胞は、細胞媒介性毒性(細胞傷害性T細胞)を介して、および/または腫瘍の免疫認識、サイトカイン放出、免疫細胞動員により癌細胞に対する免疫応答を誘発することにより、癌細胞を特異的に殺傷することができる。
【0199】
例えば、悪性腫瘍の免疫遺伝子療法へのキメラ抗原受容体(CAR)の適用は、抗体またはリガンド結合ドメインがT細胞受容体のゼータシグナル伝達鎖と融合する有望な戦略である。結果として生じるCAR免疫細胞は、遺伝子改変T細胞受容体によって認識される表面抗原または受容体(複数可)を発現する腫瘍を攻撃する新特異性によってリダイレクトされ、高度に調節された方法で正常な宿主免疫応答を介して腫瘍を攻撃する細胞療法を提供する。これらの細胞は脳および全身循環中を自由に循環し、共局在化およびバイオアベイラビリティの必要性を問題としない。
【0200】
多世代のCAR免疫細胞が開発されている。CARは、腫瘍特異的scFv抗体または他の細胞外リガンド結合ドメインと、TCR関連CD3ζシグナル伝達ドメインまたは共刺激タンパク質受容体からの別の細胞内シグナル伝達ドメインとの融合によって作成される。この構造により、CARはB細胞抗原受容体の腫瘍特異性を持ち、MHC結合とは無関係にT細胞抗原受容体を介してT細胞を活性化することができる。第1世代のCARには1つの細胞内シグナル伝達ドメインが含まれ、通常はTCRシグナル伝達を可能にするCD3ζシグナル伝達ドメインを伴う。第2世代CARは、2つの細胞内シグナル伝達ドメイン:CD3ζシグナル伝達ドメインと結合したCD28または4-1BBシグナル伝達ドメインのいずれかを含む共刺激ドメインを有する。この配置により、CARのscFv領域による抗原認識時にT細胞の活性化と増殖が可能となる。第3世代CARは、2つの共刺激ドメインと1つのCD3ζシグナル伝達ドメインを有する。第1の共刺激ドメインはCD28または4-1BBドメインのいずれかであり、第2の共刺激ドメインはCD28、4-1BBまたはOX40ドメインのいずれかからなる。第4世代の「武装したCAR T細胞」は、第2世代のCARとサイトカインおよび共刺激リガンドを含む様々な遺伝子の追加を組み合わせて、CAR T細胞の殺腫瘍効果を高める。例えば、Batleviら(2016)Nature Reviews Clinical Oncology 13:25-40を参照されたい。米国特許第7,741,465号および国際特許公開第WO2014/127261号も参照されたい。これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0201】
T細胞標的化への代替アプローチには、参照により本明細書に具体的に組み込まれる「Trifunctional T cell antigen Coupler and Methods and Uses thereof」と題する国際出願第WO2015/117229号に記載のT細胞抗原連結体(coupler)が含まれる。T細胞抗原連結体系は、3つの連結ドメイン:標的特異的ポリペプチドリガンド;TCR複合体に関連するタンパク質に結合するリガンド、例えば、T細胞活性化を刺激するCD3(TCR、T細胞受容体)に対するscFv結合;およびT細胞受容体シグナル伝達ドメイン、例えば、T細胞活性化を増幅するCD4膜貫通および細胞内ドメイン、を含む。TCRを介してT細胞の活性化を刺激することにより、TACはT細胞の重要な分子機構と連携するように操作された。
【0202】
抗体連結T細胞受容体は、T細胞標的化への別のアプローチである。ACTRは、CARおよび確立されたモノクローナル抗体腫瘍治療薬に対するハイブリッドアプローチである。ACTRは、Fc受容体CD16の高親和性バリアントを介して抗体の重鎖に結合できる典型的なCAR構築物から構成されている。ACTR-T細胞は、特定の癌抗原を標的とするリガンドを結合することにより、腫瘍を標的化することができる。T細胞の活性化はCARモジュールによって実行される。
【0203】
二重特異性T細胞交換体(BiTE)は、T細胞のTCRに結合でき、2つのモジュール:癌標的化リガンド;およびT細胞を腫瘍に橋渡しするCD3結合scFvドメインを介して腫瘍細胞を標的化できる、二重特異性抗体である。
【0204】
IL13にコンジュゲートした細菌毒素、ナノ粒子、腫瘍溶解性ウイルスを含むIL13Rα2に対する標的化療法、ならびにモノクローナル抗体、IL13Rα2パルス樹状細胞、IL13Rα2標的化キメラ抗原受容体を使用する免疫療法が開発されている(Kahlonら(2004)Cancer Research.64(24):9160-9166;Kongら(2012)Clinical Cancer Research.18(21):5949-5960;Thaciら(2014)Neuro-Oncology;およびclinical trials NCT02208362、NCT00730613およびNCT01082926を参照されたい)。いくつかの実施形態では、これらの標的化療法を使用して、IL-2ムテインを腫瘍に送達することができる。
【0205】
IL-13活性の選択的変化を提供する生物学的性質は、T細胞特異性の操作による特定の癌の治療を含む多くの治療目的にとって興味深い。本発明はこの問題に対処するものである。
【0206】
キメラ抗原受容体(CAR);T細胞抗原連結体(TAC);抗体共役T細胞受容体(ACTR);およびIL-13またはIL-4スーパーカインが標的特異的リガンドを提供する二重特異性T細胞交換体(BiTE)を含むがこれらに限定されない標的組成物を用いて、抗腫瘍免疫エフェクター細胞、例えばT細胞、NK細胞などを増強するための方法および組成物が提供される。さらなる実施形態では、免疫エフェクター細胞はIL-2ムテインを発現する。
【0207】
IL-2スーパーカイン配列を含む免疫細胞標的化または発現構築物が提供され、本明細書に記載の任意のIL-2配列を含むことができる。スーパーカインは、免疫細胞を少なくとも1つの受容体を発現する細胞、例えば腫瘍細胞に標的化するのに有用である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示される任意のIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたL80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0208】
構築物のIL-2スーパーカインまたはムテイン成分は、少なくとも約50のアミノ酸の長さ、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約115のアミノ酸の長さ、最大で膜貫通ドメインにある野生型タンパク質の全長、すなわち約116のアミノ酸の長さであり得る。例えば、スーパーカインまたはムテインは、CARのヒンジ、膜貫通またはシグナル伝達ドメインに融合され得る。例示的なポリペプチド配列が提供される。
【0209】
スーパーカインまたはムテインとして含まれるのは、これらの配列と90%、95%、98%または99%同一であるアミノ酸および核酸コード配列、これらの配列を含むが3´または5´末端に追加のヌクレオチドを含む、例えば、3、6、9、12以上のヌクレオチドなどの任意の数の追加のヌクレオチドまたはコドン、または最大約12、20、50または100の追加のヌクレオチドを含むより長い配列、および遺伝暗号の縮重に起因してこれらの核酸と同じアミノ酸配列をコードする任意の配列である。特に、所望の宿主による発現のためにコドン最適化された(CO)配列は、本発明の一部として企図される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は90%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は95%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は98%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は99%同一である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物に連結されている。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、CD3-ζ、CD28、DAP10、OX-40、ICOSおよびCD137に由来する1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物または発現は、CD3-ζに由来する1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、CD28に由来する1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、DAP10に由来する1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、OX-40に由来する1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、CD137に由来する1つ以上のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、本明細書で提供されるものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、配列番号2から配列番号38で提供されるものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。
【0210】
1.NK細胞
いくつかの実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。NK細胞は、NKG2D、CD16、および自然細胞傷害性受容体(NCR)、例えば、NKp44、NKp46、NKp30を含む複数の細胞表面受容体を介して、感染または形質転換された細胞を認識する。これらの受容体は、パーフォリンおよびグランザイムを含有する細胞溶解性顆粒の放出を開始する免疫チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有し、ならびにIFN-γおよびTNF-αなどのサイトカインおよびケモカインの産生および放出を媒介する、DAP10、DAP12、CD3ζなどのシグナル伝達アダプタータンパク質を活性化する。重要なことは、NK細胞媒介細胞毒性は自己HLAの提示に依存しないことである。したがって、NK細胞は、同種環境で使用でき、市販の細胞製品を潜在的に提供できるその能力のために、細胞に基づく癌治療法として著しい臨床的関心を保持している。
【0211】
ナチュラルキラー細胞は、HLAマッチングを必要としないため、養子免疫療法についてT細胞の使用の代替となり、同種エフェクター細胞として使用することができる。養子移入された同種NK細胞の臨床試験は、これらの細胞が数週間から数ヶ月間患者で生存できることを示している。さらに、NK細胞でのCARの発現により、これらの細胞は、通常NK細胞感受性がより高い血液悪性腫瘍(特に、急性骨髄性白血病)と比較して、NK細胞媒介活性に抵抗することが多い固形腫瘍をより効果的に殺傷することができる。NK細胞標的化に有用なCARには、例えば、CD3ζを唯一のシグナル伝達ドメインとして含有する第1世代のCAR構築物が含まれる。第2および第3世代のCARもNK細胞で有用である。いくつかの実施形態では、NK細胞活性化受容体であるNKG2Dの外部ドメインは、CD3ζに直接連結している。
【0212】
改変用のNK細胞には、細胞株または末梢血NK細胞が含まれ、これらは、単純な採血またはより多くの細胞が必要な場合はアフェレーシスによってドナーから単離できる。活性化されたPB-NK細胞は、CD16、NKp44、NKp46などのより広い範囲の活性化受容体、およびNK細胞ライセンシングに重要な役割を果たすKIRを発現する。さらに、PB-NK細胞は細胞に照射することなく投与できるため、インビボで拡大する能力を有する。CAR発現に適したNK細胞の別の源は、ヒト多能性幹細胞(人工多能性幹細胞(iPSC)またはヒト胚性幹細胞(hESC)の両方)に由来するNK細胞である。これらのNK細胞はPB-NK細胞と同様の表現型を示し、hESC/iPSC-NK細胞は臨床スケールで増殖させることができる。
【0213】
2.キメラ抗原受容体(CAR)
スーパーカイン配列に加えて、CARは、CD3ζについてのシグナル伝達ドメインと、CARを発現する免疫細胞のリサイクル、生存、および/または拡大をさらに促進する1つ以上の共刺激受容体のシグナル伝達ドメインとを含有している。共刺激受容体のシグナル伝達ドメインは、細胞内で活性化シグナルを生成する各受容体タンパク質の細胞内部分である。例としては、天然CD28分子のアミノ酸180~220および天然4-1BB分子のアミノ酸214~255が挙げられる。
【0214】
スーパーカインをシグナル伝達領域に連結するための適切なヒンジおよび膜貫通領域の例には、免疫グロブリンの定常(Fc)領域、ヒトCD8a、および標的細胞への接近および結合を改善するために標的化部位を細胞表面から遠ざけるように働く人工リンカーが含まれ得るが、これらに限定されない。適切な膜貫通ドメインの例には、白血球CDマーカー、好ましくはCD4またはCD28の膜貫通ドメインが含まれる。細胞内受容体シグナル伝達ドメインの例には、T細胞抗原受容体複合体、好ましくはCD3のゼータ鎖が含まれるが、膜中にCARを固定するのに十分な任意の膜貫通領域を使用することができる。当業者は、多数の膜タンパク質において膜貫通ドメインを生成する多数の膜貫通領域および構造要素(親油性アミノ酸領域など)を認識しており、したがって、任意の都合の良い配列で代用することができる。CAR発現細胞の機能および活性を改善するのに適したT細胞共刺激シグナル伝達受容体には、CD28、CD137、およびOX-40が含まれるが、これらに限定されない。
【0215】
CD28を介したシグナル伝達は、IL2の産生および増殖に必要であるが、T細胞の機能および活性を維持する上で主要な役割を果たしていない。CD137(CD28の活性化後に発現する腫瘍壊死因子受容体ファミリーのメンバー)およびOX-40は、T細胞の長期生存およびT細胞の蓄積を駆動するのに関与している。これらの受容体のリガンドは通常、樹状細胞や活性化マクロファージなどの専門的な抗原提示細胞上で発現されるが、腫瘍細胞では発現されない。CD4T細胞中にCD28および/または4-1BBシグナル伝達ドメインを組み込んだCARを発現させると、CD3ζシグナル伝達ドメインのみを含有するCARを発現するものと比較して、これらの細胞の活性および抗腫瘍効力が増強され、この構築物は、第2または第3世代CARと称することができる。
【0216】
目的のCAR構築物として含まれているのは、タンデムCARであり、例えば、Hegdeら(2016)J.ClinInvest 126(8):3036-3052を参照されたく、これは参照により本明細書に具体的に組み込まれる。そのような構築物では、腫瘍特異的抗原の結合部分がIL-13スーパーカインと縦列に組み合わされる。結合部分は、例えば、当技術分野で公知のHER-2、EGFR、CD20などを含むがこれらに限定されない腫瘍細胞抗原に特異的なscFvであってもよい。
【0217】
様々な実施形態では、抗原結合ドメインは、標的細胞、例えば癌細胞上の抗原に結合する。抗原結合ドメインは、腫瘍標的抗原などであるがこれに限定されない抗原に結合することができる。場合によっては、抗原結合ドメインは1つ以上の抗原に結合する。例示的な抗原結合ドメインは、D19;CD123;CD22;CD30;CD171;CS-1(CD2サブセット1、CRACC、SLAMF7、CD319、および19A24とも呼ばれる);C型レクチン様分子-1(CLL-1またはCLECL1);CD33;上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII);ガングリオシドG2(GD2);ガングリオシドGD3;TNF受容体ファミリーB細胞成熟(BCMA);Tn抗原((Tn Ag)または(GalNAcα Ser/Thr));前立腺特異的膜抗原(PSMA);受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1);Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3);腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72);CD38;CD44v6;癌胎児性抗原(CEA);上皮細胞接着分子(EPCAM);B7H3(CD276);KIT(CD117);インターロイキン-13受容体サブユニットアルファ-2(IL-13Rα2またはCD213A2);;メソセリン;インターロイキン11受容体アルファ(IL-11Ra);前立腺幹細胞抗原(PSCA);プロテアーゼセリン21(TestisinまたはPRSS21);血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2);Lewis(Y)抗原;CD24;血小板由来成長因子受容体ベータ(PDGFR-ベータ);ステージ特異的胚抗原-4(SSEA-4);CD20;葉酸受容体アルファ;受容体チロシンプロテインキナーゼERBB2(Her2/neu);ムチン1,細胞表面関連(MUC1);上皮成長因子受容体(EGFR);神経細胞接着分子(NCAM);プロスターゼ(Prostase);前立腺酸性ホスファターゼ(PAP);伸長因子2変異(ELF2M);エフリンB2;線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP);インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX);プロテアソーム(プロソーム、マクロパイン)サブユニット,ベータ型9(LMP2);糖タンパク質100(gp100);ブレークポイントクラスター領域(BCR)およびAbelsonマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1(Abl)(bcr-abl)からなる癌遺伝子融合タンパク質;チロシナーゼ;エフリン型-A受容体2(EphA2);フコシルGM1;シアリルルイス接着分子(sLe);ガングリオシドGM3(aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer);トランスグルタミナーゼ5(TGS5);高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA);o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2);葉酸受容体ベータ;腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248);腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R);クローディン6(CLDN6);甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR);Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D);染色体Xオープンリーディングフレーム61(CXORF61);CD97;CD179a;未分化リンパ腫キナーゼ(ALK);ポリシアル酸;胎盤特異的1(PLAC1);globoHグリコセラミド(GloboH)の六糖部分;乳腺分化抗原(NY-BR-1);ウロプラキン2(UPK2);A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1);アドレナリン受容体ベータ3(ADRB3);パネキシン3(PANX3);Gタンパク質共役受容体20(GPR20);リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K);嗅覚受容体51E2(OR51E2);TCRガンマ代替リーディングフレームタンパク質(TARP);ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1);癌/精巣抗原1(NY-ESO-1);癌/精巣抗原2(LAGE-1a);黒色腫関連抗原1(MAGE-A1);12番染色体12p上に位置するETS転座バリアント遺伝子6(ETV6-AML);精子タンパク質17(SPA17);X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1);アンジオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie2);黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1);黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2);Fos関連抗原1;腫瘍タンパク質p53(p53);p53変異体;プロスタイン;生存(surviving);テロメラーゼ;前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1またはGalectin8)、T細胞1によって認識される黒色腫抗原(MelanAまたはMART1);ラット肉腫(Ras)変異体;ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT);肉腫転座ブレークポイント;アポトーシスの黒色腫阻害剤(ML-IAP);ERG(膜貫通プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子);N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(NA17);ペアボックスタンパク質Pax-3(PAX3);アンドロゲン受容体;サイクリンB1;v-myc鳥類骨髄細胞腫ウイルス腫瘍遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN);RasホモログファミリーメンバーC(RhoC);チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2);シトクロムP4501B1(CYP1B1);CCCTC-結合因子(ジンクフィンガータンパク質)様(BORISまたは刷り込み部位の調節因子の同胞、T細胞3により認識される扁平細胞癌腫抗原(SART3);ペアボックスタンパク質Pax-5(PAX5);プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1);リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK);Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4);滑膜肉腫、Xブレークポイント2(SSX2);高度糖化エンドポイントのための受容体(RAGE-1);腎遍在1(RU1);腎遍在2(RU2);レグマイン;ヒトパピローマウイルスE6(HPVE6);ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7);腸のカルボキシルエステラーゼ;熱ショックタンパク質70-2変異(mut hsp70-2);CD79a;CD79b;CD72;白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1);IgA受容体のFc断片(FCARまたはCD89);白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2);CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF);C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A);骨髄間質細胞抗原2(BST2);EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2);リンパ球抗原75(LY75);グリピカン-3(GPC3);Fc受容体様5(FCRL5);ならびに免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド1(IGLL1)を含むがこれに限定されない抗原に結合できる。
【0218】
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、非ヒト抗体、ナノボディ、単鎖可変断片(scFv)、F(ab´)2、Fab´、Fab、Fvなどを含む。抗原結合ドメインは、CARの膜貫通ドメイン結合され得る。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインをコードする核酸は、CARの膜貫通ドメインをコードする核酸に作動可能に連結される。
【0219】
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、膜結合または膜貫通タンパク質に由来し得る。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、膜結合または膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインの野生型アミノ酸配列と比較して、1つ以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のアミノ酸改変(例えば、置換、挿入、および欠失)を含む。CARの膜貫通ドメインの非限定的な例は、T細胞受容体、CD28、CD3イプシロン(CD3ξ)、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、またはエリスロポエチン受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖の少なくとも膜貫通領域(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、ヒト免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域、例えば、IgG4Fcヒンジを含む。他の実施形態では、膜貫通ドメインは、疎水性アミノ酸残基(例えば、ロイシンおよびバリン)を含む組換えまたは合成ドメインである。場合によっては、膜貫通ドメインは、ドメインの片端または両端にフェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンを含む。
【0220】
膜貫通ドメインは、抗原結合ドメインをCARの細胞内シグナル伝達ドメインに連結する。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインをコードする核酸は、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸に作動可能に連結される膜貫通ドメインをコードする核酸に作動可能に連結される。
【0221】
いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、シグナル活性化またはシグナル伝達ドメインを含む。そのようなものとして、細胞内シグナル伝達ドメインは、シグナル、例えば、活性化シグナルを変換もしくは伝達するか、または細胞内の細胞応答を媒介するのに十分なタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインの任意の部分を含む。非限定的な例には、TCR、CD2、CD3ゼータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD7、CD27、CD86、一般的なFcRガンマ、FcRベータ、CD79a、CD79b、FcガンマRIIa、DAP10、DAP12、T細胞受容体(TCR)、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3,CD83に特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD127、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(触覚)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、それらの任意の誘導体、バリアント、または断片が含まれる。特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3、CD27、CD28、CD127、ICOS、4-1BB(CD137)、PD-1、T細胞受容体(TCR)、それらの任意の誘導体、またはそれらの任意のバリアントなどからの共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(触覚)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a,およびCD83に特異的に結合するリガンドからなる群から選択される。
【0222】
3.BiTES
二重特異性T細胞係合体(Bi-specific T-cell engager)(BiTE)は、CD3に特異的に結合する抗体可変領域に融合したIL-13スーパーカインを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、単鎖可変断片(scFv)の抗体可変領域。スーパーカインは、リンカーを介して可変領域に融合され得る。場合によりFc領域が提供される。
【0223】
4.TAC
TAC構築物は、TCR複合体に関連するタンパク質に結合するリガンドに融合され、T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドに融合される、IL-2スーパーカインを含む。ドメインはリンカーで区切られてもよい。TCR複合体に関連するタンパク質はCD3であり得る。TCR複合体に関連するタンパク質に結合するリガンドは、単鎖抗体であり得る。TCR複合体に関連するタンパク質に結合するリガンドは、UCHT1またはそのバリアントであり得る。T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドは、細胞質ゾルドメインおよび膜貫通ドメインを含み得る。細胞質ゾルドメインは、CD4細胞質ゾルドメインであり、膜貫通ドメインは、CD4膜貫通ドメインであり得る。
【0224】
5.ACTR
ACTRは、CARおよび確立されたモノクローナル抗体腫瘍治療薬に対するハイブリッドアプローチである。ACTRは、Fc受容体CD16の高親和性バリアントを介して抗体の重鎖に結合できる典型的なCAR構築物から構成されている。スーパーカインは、CARによって認識される部分に融合され、これには、CD16に対して高い親和性を持つ抗体のFc領域が含まれるが、これに限定されない。
【0225】
免疫細胞標的化または発現構築物コード配列は、組換えDNA技術を含む、当技術分野で知られている任意の手段によって生成することができる。キメラ受容体のいくつかの領域をコードする核酸は、当技術分野で知られている分子クローニングの標準的な手法(ゲノムライブラリースクリーニング、PCR、プライマー支援ライゲーション、部位特異的突然変異誘発など)により都合よく調製し、完全なコード配列に組み立てることができる。得られたコード領域を発現ベクターに挿入し、適切な発現宿主細胞株、例えば、初代培養、細胞株、iPSC由来細胞などを含む同種または自己Tリンパ球、同種または自己NK細胞の集団を形質転換するために使用できる。この方法は、インビトロ(例えば、無細胞系)、培養中、例えばインビトロまたはエクスビボの細胞において使用することができる。例えば、IL-2スーパーカインCAR発現細胞は、培養培地中、インビトロで培養し、増殖させることができる。
【0226】
非IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、特定の腫瘍細胞を標的とするように免疫細胞に特異的に指向させるように使用できる。CD4またはCD8 エフェクターT細胞などの抗腫瘍エフェクター細胞は、CD3ζ、CD28、DAP10、OX-40、ICOS、CD137に由来する1つ以上のシグナル伝達ドメインを含むスーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物をT細胞に導入することにより、そのような腫瘍細胞を認識するようにリダイレクトされるように生成される。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載のIL-2ムテインを発現することができる導入遺伝子をさらに含むことができる。IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、腫瘍細胞を含むIL-2R発現細胞を標的化するように免疫細胞を特異的に指向させることができる。CD4またはCD8エフェクターT細胞などの抗腫瘍エフェクター細胞は、CD3ζ、CD28、DAP10、OX-40、ICOS、CD137に由来する1つ以上のシグナル伝達ドメインを含むIL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物をT細胞に導入することにより、そのような腫瘍細胞を認識するようにリダイレクトされるように生成される。
【0227】
IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、例えば、当該分野で公知のような非ウイルスプラスミドベクターおよび電気穿孔法;ウイルスベクターおよび感染方法などを使用して、ヒト免疫細胞に感染またはトランスフェクトされる。共刺激シグナル伝達ドメインを含むCARは、養子療法プロトコルの臨床的有効性を大幅に改善できる方法で、抗腫瘍活性の持続時間および/または保持を強化し得る。CD4およびCD8T細胞エフェクター機能、ならびにNK細胞機能は、これらの受容体を介して駆動されることができ、したがって、これらの細胞型は本発明での使用が想定される。本発明のIL13スーパーカインCARを発現するCD8T細胞は、これらの細胞の他の機能の中でも、標的細胞の溶解および標的細胞の存在下でIL-2を産生するために使用され得る。CD4およびCD8T細胞のいずれかまたは両方での適切な共刺激CARの発現は、養子免疫療法のため、したがって、強化されたおよび/または長い生存期間および抗腫瘍活性を示す専門的なヘルパーおよびキラーT細胞のいずれかまたは両方からなる、最も効果的な細胞集団を提供するために使用される。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、図2で提供されるものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、本明細書で提供される任意のものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。
【0228】
本発明のポリペプチドは、さらに改変することができ、例えば、様々な目的のために多種多様な他のオリゴペプチドまたはタンパク質に結合させることができる。例えば、プレニル化、アセチル化、アミド化、カルボキシル化、グリコシル化、ペグ化などにより翻訳後修飾される。このような修飾には、グリコシル化の修飾、例えば、その合成およびプロセシングまたはさらなるプロセシング工程中にポリペプチドのグリコシル化パターンを修飾することにより作成されるもの、例えば、哺乳類のグリコシル化または脱グリコシル化酵素などのグリコシル化に影響する酵素にポリペプチドを曝露させることにより作成されるものも含み得る。
【0229】
当業者に周知の方法を使用して、コード配列および適切な転写/翻訳制御シグナルを含有するT細胞標的化構築物発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ組換え/遺伝子組換えが含まれる。あるいは、目的のポリペプチドをコードできるRNAを化学的に合成してもよい。当業者は、本発明のポリペプチドのいずれかに適したコード配列を提供するために、周知のコドン使用表および合成方法を容易に利用することができる。核酸は、実質的な純度で単離および取得され得る。通常、DNAまたはRNAのいずれかとしての核酸は、他の天然に生じる核酸配列を実質的に含むことなく得られてもよく、一般に少なくとも約50%であり、通常は少なくとも約90%純粋であり、典型的には、例えば、天然に生じる染色体上では通常関連付けられない1つ以上のヌクレオチドが隣接している「組換え」型である。本発明の核酸は、線状分子として、または環状分子内に提供することができ、自律的に複製する分子(ベクター)内または複製配列のない分子内に提供することができる。核酸の発現は、それ自体または当該分野で公知の他の調節配列によって調節され得る。本発明の核酸は、当該分野で利用可能な種々の技術を使用して適切な宿主細胞に導入され得る。
【0230】
本発明によれば、免疫細胞標的化または発現構築物ベクターおよび免疫細胞標的化または発現構築物改変細胞は、例えばヒトの治療などの治療用途に適した薬学的組成物で提供することができる。いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物は、本発明の1つ以上の治療物質またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物を含む。いくつかの他の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、別の治療薬、例えば別の抗腫瘍薬と組み合わせた、本発明の1つ以上の治療物質を含む。
【0231】
本発明の治療物質は、しばしば、活性治療薬および別の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物として投与される。そのような製剤は、1つ以上の非毒性の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、および/またはアジュバントを含むことができる。好ましい形態は、意図される投与様式および治療用途に依存する。組成物は、所望の製剤に応じて、動物またはヒト投与用の薬学的組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルとして定義される、薬学的的に許容される非毒性担体または希釈剤も含み得る。希釈剤は、組み合わせの生物活性に影響を与えないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理的リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、およびハンクス液である。さらに、薬学的組成物または製剤は、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療的、非免疫原性の安定剤などを含んでもよい。
【0232】
さらに他のいくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物は、タンパク質などの大きくゆっくりと代謝される高分子、キトサンなどの多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびコポリマー(例えば、ラテックス官能化セファロースTM、アガロース、セルロースなど)、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および脂質凝集体(油滴またはリポソームなど)も含むことができる。
【0233】
CAR免疫細胞の最大耐量(MTD)は、臨床試験の開発中に決定されてもよく、例えば、経験的に決定されるように、最大約10T細胞/kg体重、最大約10細胞/kg体重、最大約10細胞/kg体重、最大約5×10細胞/kg体重、最大約10細胞/kg体重、最大約5×10 細胞/kg体重、またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐量(MTD)は、最大約10T細胞/体重kgである。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐量(MTD)は、最大約10T細胞/体重kgである。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐量(MTD)は、最大約10T細胞/体重kgである。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐量(MTD)は、最大約10T細胞/体重kgである。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐量(MTD)は、最大約5×10T細胞/体重kgである。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐量(MTD)は、最大約5×10T細胞/体重kgである。
【0234】
本明細書に記載の細胞の毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法により、例えば、LD50(集団の50%致死量)またはLD100(集団の100%致死量)を決定することにより、決定することができる。毒性効果と治療効果との用量比が治療指数である。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトでの使用において毒性でない投与量範囲を策定する際に使用することができる。本明細書に記載の投与量は、毒性がほとんどまたは全くない有効量を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、用いられる投与剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。正確な製剤、投与経路、および用量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる。
【0235】
用量漸増試験の後、拡大コホートの患者はMTDの免疫細胞で治療される。例示的な治療レジメンは、2週間に1回、または1か月に1回、または3~6か月に1回の投与を伴う。本発明の治療物質は通常、複数の機会に投与される。単回投与の間隔は、毎週、毎月、または毎年である。患者中の治療物質の血中濃度を測定することにより示されるように、間隔は不規則であり得る。
【0236】
予防的用途では、例えば、患者の寛解を維持するために、比較的低い投与量が、長期間にわたって比較的まれな間隔で投与され得る。一部の患者は、生涯にわたって治療を受け続ける。他の治療用途では、疾患の進行が軽減または終了するまで、好ましくは、患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高い投与量が必要になる場合がある。その後、患者に予防レジメンを実施することができる。
【0237】
免疫細胞標的化または発現構築物とともに投与および/またはともに製剤化できる追加の治療薬の例には、宿主中の腫瘍細胞および他の望ましくない細胞を排除するために治療的に使用され、電離放射線の送達および化学療法剤の投与などの治療の使用を含む、抗増殖療法、または細胞減少療法が含まれる。化学療法剤は、当技術分野で周知であり、従来の用量およびレジメンで、または低い用量もしくはレジメンで、使用され、例えば、化合物ダウノルビシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、エピルビシン、イダルビシン、アナマイシン、MEN10755を含む、アントラサイクリンなどのトポイソメラーゼ阻害剤を含む。他のトポイソメラーゼ阻害剤には、ポドフィロトキシン類似体であるエトポシドおよびテニポシド、およびアントラセンジオン、ミトキサントロンおよびアムサクリンが含まれる。他の抗増殖剤は、微小管の集合を妨害し、例えば、ビンカアルカロイドのファミリーである。ビンカアルカロイドの例には、ビンブラスチン、ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE);ビンデシン;ビンドリン;ビンカミンなどが含まれる。DNA損傷剤には、ヌクレオチド類似体、アルキル化剤などが含まれる。アルキル化剤には、ナイトロジェンマスタード、例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)など;およびニトロ源、例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)、ストレプトゾシン、クロロゾトシンなどが含まれる。ヌクレオチド類似体には、ピリミジン、例えば、シタラビン(CYTOSAR-U)、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル(5-FU),フロクスウリジン(FUdR)など;プリン、例えば、チオグアニン(6-チオグアニン),メルカプトプリン(6-MP)、ペントスタチン,フルオロウラシル(5-FU)など;および葉酸類似体,例えば、メトトレキサート、10-プロパルギル-5,8-ジデアザフォレート(PDDF、CB3717)、5,8-ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF),ロイコボリンなどが含まれる。他の目的の化学療法剤には、金属複合体、例えば、シスプラチン(cis-DDP)、カルボプラチン,オキサリプラチンなど;尿素、例えば、ヒドロキシ尿素およびヒドラジン、例えば、N-メチルヒドラジンが含まれる。
【0238】
例えば、電離放射線(IR)は、治療される領域の細胞を損傷または破壊するエネルギーを蓄積することにより、癌患者の約60%を治療するために使用され、本発明の目的のために、従来の用量およびレジメン、または低い用量で送達され得る。細胞への放射線損傷は非特異的であり、DNAに複雑な影響を及ぼす。治療の有効性は、正常細胞に対してよりも大きな癌細胞に対する細胞傷害に依存する。放射線療法は、あらゆる種類の癌の治療に使用できる。放射線療法の種類によっては、X線やガンマ線などの光子が含まれる。癌細胞に放射線を照射するための別の技法は、内部放射線療法であり、これは、放射性インプラントを腫瘍または体腔に直接配置することにより、放射線量を小さな領域に集中させる。電離放射線の適切な線量は、少なくとも約2Gy~約10Gy以下の範囲、通常は約5Gyであり得る。紫外線照射の適切な線量は、少なくとも約5J/m~約50J/m以下の範囲、通常は約10J/mであり得る。試料は、紫外線照射後少なくとも約4時間~約72時間以内、通常は約4時間で収集され得る。
【0239】
治療は、例えばCD40、OX40などの免疫共刺激分子を刺激する薬剤、および/または(iii)例えばCTLA-4、PD-1、PD-L1などの免疫抑制分子を拮抗する薬剤を含む免疫調節性調節剤と組み合わせてもよい。活性薬剤は、宿主内の癌細胞の枯渇に対して相加的または相乗的効果をもたらすために一定期間内に投与される。投与方法には、全身投与、腫瘍内投与などが含まれるが、これらに限定されない。
【0240】
いくつかの実施形態では、癌はチェックポイント阻害剤、例えば、PD-1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、TIM-3アンタゴニスト、BTLAアンタゴニスト、VISTAアンタゴニスト、LAG3アンタゴニストなどに反応する癌タイプであるため、個々の癌が、併用療法による治療のために選択される。いくつかの実施形態では、そのような免疫調節剤は、CTLA-4、PD1またはPDL1アンタゴニスト、例えば、アベルマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、イピリムマブなどである。いくつかのそのような実施形態では、癌は、黒色腫または小細胞肺癌であるが、これらに限定されない。いくつかのそのような実施形態では、癌は、高い新抗原、または突然変異誘発の負荷を有するタイプである(参照により本明細書に具体的に組み込まれるVogelsteinら(2013)Science 339(6127):1546-1558を参照されたい)。
【0241】
いくつかの実施形態では、癌は免疫応答アゴニスト、例えば、CD28アゴニスト、OX40アゴニスト、GITRアゴニスト、CD137アゴニスト、CD27アゴニスト、HVEMアゴニストなどに応答する癌タイプであるため、個々の癌が、本発明の併用療法による治療のために選択される。いくつかの実施形態では、そのような免疫調節剤は、OX40、CD137、またはGITRアゴニスト、例えば、トレメリムマブなどである。いくつかのそのような実施形態では、癌は、黒色腫または小細胞肺癌であるが、これらに限定されない。いくつかのそのような実施形態では、癌は、高い新抗原、または突然変異誘発の負荷を有するタイプである。
【0242】
いくつかの実施形態では、併用療法には、PD-1に結合し、PD-1およびそのリガンドPD-L1との相互作用を破壊して、抗腫瘍免疫応答を刺激する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD-1に特異的に結合する。例えば、PD-1を標的とし、本発明で使用できる抗体には、例えば、ニボルマブ(BMS-936558、Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(ランブロリズマブ、MK03475またはMK-3475、Merck)、ヒト化抗PD-1抗体JS001(ShangHai JunShi)、モノクローナル抗PD-1抗体TSR-042(Tesaro、Inc.)、ピジリズマブ(抗PD-1 mAb CT-011、Medivation)、抗PD-1モノクローナル抗体BGB-A317(BeiGene)、および/または抗PD-1抗体SHR-1210(ShangHai HengRui)、ヒトモノクローナル抗体REGN2810(Regeneron)、ヒトモノクローナル抗体MDX-1106(Bristol-Myers Squibb)、および/またはヒト化抗PD-1 IgG4抗体PDR001(Novartis)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、PD-1抗体はクローン:RMP1-14(ラットIgG)-BioXcellカタログ番号BP0146に由来する。他の適切な抗体には、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第8,008,449号に開示されている抗PD-1抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD-L1に特異的に結合し、PD-1との相互作用を阻害し、それにより免疫活性を増加させる。PD-L1に結合し、PD-1とPD-L1との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する当技術分野で公知の任意の抗体は、本明細書に開示される併用治療法における使用に適している。例えば、PD-L1を標的とし、臨床試験中の抗体には、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)およびMPDL3280A(Genetech)が含まれる。PD-L1を標的とする他の適切な抗体は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,943,743号に開示されている。PD-1またはPD-L1に結合し、PD-1/PD-L1相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されるであろう。
【0243】
いくつかの実施形態では、併用療法には、CTLA-4に結合し、そのCD80およびCD86との相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。CTLA-4を標的とする例示的な抗体には、FDA承認済みのイピリムマブ(MDX-010、MDX-101、Bristol-Myers Squibb)、および現在ヒト試験中のトレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675、206、Pfizer)が含まれる。CTLA-4を標的とする他の適切な抗体は、参照により本明細書に組み入れられるWO 2012/120125、米国特許第6,984720号、第6,682,7368号、および米国特許出願第2002/0039581号、第2002/0086014号、および第2005/0201994号に開示されている。CTLA-4に結合し、そのCD80およびCD86との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、併用療法には、LAG-3に結合し、そのMHCクラスII分子との相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。LAG-3を標的とする例示的な抗体は、現在ヒト試験中のIMP321(Immutep)である。LAG-3を標的とする他の適切な抗体は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2011/0150892号に開示されている。LAG-3に結合し、そのMHCクラスII分子との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0244】
いくつかの実施形態では、併用療法には、TIM-3に結合し、そのガレクチン9との相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。TIM-3を標的とする適切な抗体は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2013/0022623号に開示されている。TIM-3に結合し、そのガレクチン9との相互作用を破壊し、抗腫瘍免疫応答を刺激する任意の抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0245】
いくつかの実施形態では、併用療法には、4-1BB/CD137に結合し、そのCD137Lとの相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。4-1BB/CD137に結合し、そのCD137Lまたは別のリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0246】
いくつかの実施形態では、併用療法には、GITRに結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。GITRに結合し、そのGITRLまたは別のリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0247】
いくつかの実施形態では、併用療法には、OX40に結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。OX40に結合し、そのOX40Lまたは別のリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0248】
いくつかの実施形態では、併用療法には、CD40に結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。CD40に結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0249】
いくつかの実施形態では、併用療法には、ICOSに結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。ICOSに結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0250】
いくつかの実施形態では、併用療法には、CD28に結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。CD28に結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0251】
いくつかの実施形態では、併用療法には、IFNαに結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊する、当技術分野で公知の抗体が含まれる。IFNαに結合し、そのリガンドとの相互作用を破壊し、全体として抗腫瘍活性をもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激する抗体が本明細書に開示される併用治療法における使用に適していることは、当業者には理解されよう。
【0252】
「抗癌治療薬」とは、癌細胞の増殖および/または転移を予防または遅延させる化合物、組成物、または治療(手術など)である。そのような抗癌治療には、手術(例えば、腫瘍の全部または一部の除去)、化学療法薬の治療、放射線、遺伝子治療、ホルモン操作、免疫療法((例えば、治療抗体および癌ワクチン)、およびアンチセンスまたはRNAiオリゴヌクレオチド療法が含まれるが、これらに限定されない。有用な化学療法薬の例には、ヒドロキシ尿素、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、イホスファミド、ダノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ナベルビンRTM。(ビノレルビン)、エトポシド、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、シトシン、アラビノシド、ブレオマイシン、ネオカルシノスタチン、スラミン、タキソール、マイトマイシンC、アバスチン、ハーセプチン、RTM、フルロウラシル、およびテモゾラミドなどが含まれるが、これらに限定されない。化合物は、2つ以上の化学療法剤を使用する標準的な併用療法での使用にも適している。抗癌治療には、将来開発される新規化合物または治療が含まれることを理解されたい。
【0253】
上記の薬学的組成物および/または製剤は、意図する目的を達成するのに有効な量の1つ以上の治療物質を含む。したがって、「治療的有効量」という用語は、癌の症状を改善する治療物質の量を指す。化合物の治療的有効な用量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、治療的有効量は、本明細書に記載されているような細胞培養アッセイまたは動物モデルのいずれかで最初に推定することができる。動物モデルを使用して、適切な濃度範囲および投与経路を決定することもできる。次いで、そのような情報を使用して、当業者に公知の標準的な方法を使用して、ヒトを含む他の動物における投与のための有用な用量および経路を決定することができる。
【0254】
本発明の組成物および使用説明書を含むキットも本発明の範囲内である。キットは、少なくとも1つの追加試薬、例えば、化学療法薬、抗腫瘍抗体などをさらに含んでもよい。キットは通常、キットの内容物の使用目的を示すラベルを含む。ラベルという用語には、キット上またはキットに付属する任意の書面または記録材料、または他の方法でキットに付属するものが含まれる。
【0255】
本発明を十分に説明してきたが、本発明の精神または範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載のIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含むIL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で提供されるものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含むIL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物を含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞標的化または発現構築物は、本明細書で提供されるものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。
【0256】
6.例示的な免疫細胞標的化または発現構築物の実施形態
免疫細胞標的化または発現構築物は、インターロイキン-2受容体β(IL-2Rβ)結合タンパク質を含み、ここで、前述の結合タンパク質のIL-2Rβの平衡解離定数は、野生型ヒトIL-2(hIL-2)のものよりも小さく;免疫細胞標的化または発現構築物に連結されている。
【0257】
いくつかの実施形態では、免疫細胞標的化または発現構築物は、T細胞、例えばCD8+T細胞またはCD4+T細胞に対して細胞傷害性効果を示す。
【0258】
いくつかの実施形態では、構築物はキメラ抗原受容体(CAR)であり、IL-2スーパーカインは膜貫通ドメインに融合され、細胞内シグナル伝達領域に連結されている。
【0259】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達領域はCD3シグナル伝達ドメインを含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、CD28シグナル伝達ドメイン、CD137シグナル伝達ドメイン、OX-40シグナル伝達ドメイン、ICOSシグナル伝達ドメイン、DAP10シグナル伝達ドメインのうちの1つ以上を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、構築物はT細胞抗原連結体(TAC)であり、IL-2スーパーカインは、TCR複合体に関連するタンパク質に結合するリガンドに融合され;T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドに融合されている。
【0262】
いくつかの実施形態では、TCR複合体に関連するタンパク質はCD3である。
【0263】
いくつかの態様において、T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドは、CD4細胞質ゾルドメインおよびCD4膜貫通ドメインを含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、構築物は、IL-2スーパーカインに高親和性で結合するキメラ抗原受容体成分を含む抗体結合T細胞受容体(ACTR)である。
【0265】
いくつかの実施形態では、CAR成分はCD16を含み、IL-2スーパーカインはFc配列に融合している。
【0266】
いくつかの実施形態では、構築物は、T細胞受容体の成分に結合する抗体の可変領域に融合したIL-2スーパーカインを含む二重特異性T細胞交換体(BiTE)である。
【0267】
いくつかの実施形態では、T細胞受容体のBiTE成分はCD3である。
【0268】
いくつかの実施形態では、IL-2Rβ結合タンパク質は、野生型hIL-2に従って番号付けされた以下のアミノ酸置換:L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のおよびIL-2をコードする核酸が提供される。いくつかの実施形態では、核酸を含むベクターが提供される。
【0270】
いくつかの実施形態では、上記のいずれかによる構築物を含むT細胞が提供される。いくつかの実施形態では、上記のいずれかによる構築物を含むNK細胞が提供される。いくつかの態様では、T細胞はCD4T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD8T細胞である。
【0271】
上記の免疫細胞の単離された集団も提供される。上記の免疫細胞集団を含む薬学的製剤も提供される。
【0272】
H.変異IL-2遺伝子産物の発現
上記の核酸分子は、例えば、ベクターで形質導入された細胞においてそれらの発現を指示することができるベクター内に含まれ得る。したがって、対象IL-2ムテインに加えて、対象IL-2ムテインをコードする核酸分子を含有する発現ベクターおよびこれらのベクターでトランスフェクトされた細胞は、好ましい実施形態に含まれる。
【0273】
もちろん、すべてのベクターおよび発現制御配列が、本明細書に記載のDNA配列を発現するために同等に首尾よく機能するとは限らないことを理解されたい。また、すべての宿主が同じ発現系で同等に首尾よく機能するとは限らない。しかしながら、当業者は、過度の実験を行うことなく、これらのベクター、発現制御配列および宿主の中から選択することができる。例えば、ベクターを選択する場合、ベクターは宿主中で複製する必要があるため、宿主を考慮する必要がある。ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、および抗生物質マーカーなど、ベクターによってコードされた他のタンパク質の発現も考慮する必要がある。例えば、使用できるベクターには、IL-2ムテインをコードするDNAをコピー数で増幅できるものが含まれる。そのような増幅可能なベクターは、当技術分野で周知である。それらには、例えば、DHFR増幅(例えば、Kaufman、米国特許第4,470,461号、KaufmanおよびSharp、「Construction of a Modular Dihydrafolate Reductase cDNA Gene:Analysis of Signals Utilized for Efficient Expression」、Mol.Cell.Biol.、2、pp.1304-19(1982)を参照されたい)またはグルタミンシンテターゼ(「GS」)増幅(例えば、米国特許第5,122,464号および欧州公開出願第338,841号を参照されたい)により増幅できるベクターが含まれる。
【0274】
いくつかの実施形態では、本開示のヒトIL-2ムテインは、ベクター、好ましくは発現ベクターから発現されるであろう。ベクターは、宿主細胞における自律複製に有用であるか、または宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製される(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)ことができる。発現ベクターは、作動可能に連結されているコーディング配列の発現を指示することができる。一般的に、組換えDNA技術で有用な発現ベクターは、多くの場合、プラスミド(ベクター)の形態である。しかしながら、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)などの他の形態の発現ベクターも含まれる。
【0275】
例示的な組換え発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択され、発現される核酸配列に作動可能に連結された、1つ以上の調節配列を含むことができる。
【0276】
発現構築物またはベクターは、原核生物または真核生物の宿主細胞におけるIL-2ムテインまたはそのバリアントの発現のために設計することができる。
【0277】
ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術により、原核細胞または真核細胞に導入できる。宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションに適した方法は、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、N.Y.)および他の標準的な分子生物学実験マニュアルにおいて見出され得る。
【0278】
原核生物におけるタンパク質の発現は、構成的または誘導可能なプロモーターを含有するベクターを用いて大腸菌(Escherichia coli)で最も頻繁に実施される。E.coliにおける組換えタンパク質発現を最大化するための戦略は、例えば、Gottesman(1990)Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press、San Diego、Calif.)、pp.119-128およびWadaら(1992)Nucleic Acids Res.20:2111-2118において見出され得る。IL-2ムテインまたはそのバリアントを細胞から成長、収穫、破壊、または抽出するプロセスは、例えば、米国特許第4,604,377号;第4,738,927号;第4,656,132号;第4,569,790号;第4,748,234号;第4,530,787号;第4,572,798号;第4,748,234号;第4,931,543号に実質的に記載されておおり、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0279】
いくつかの実施形態では、組換えIL-2ムテインまたはその生物学的に活性なバリアントは、酵母またはヒト細胞などの真核生物で作製することもできる。適切な真核生物宿主細胞には、昆虫細胞((培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)でタンパク質の発現に利用できるバキュロウイルスベクターの例には、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell Biol.3:2156-2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(1989)Virology 170:31-39)が含まれる);酵母細胞(酵母S.cerenvisiaeでの発現用ベクターの例には、pYepSec1(Baldariら(1987)EMBOJ.6:229-234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz(1982)Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultzら(1987)Gene 54:113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation、San Diego、Calif.)、およびpPicZ(Invitrogen Corporation、San Diego、Calif.)が含まれる);または哺乳動物細胞(哺乳動物発現ベクターには、pCDM8(Seed(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBOJ.6:187:195)が含まれる)が含まれる。適切な哺乳動物細胞には、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞が含まれる。哺乳動物細胞では、発現ベクターの制御機能は多くの場合ウイルス調節要素によって提供される。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40に由来する。原核細胞および真核細胞の両方に適した他の発現系については、Chapters 16および17、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、N.Y.)を参照されたい。Goeddel(1990)Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press、San Diego、Calif.)を参照されたい。
【0280】
本開示のヒトIL-2ムテインをコードする配列は、目的の宿主細胞における発現のために最適化され得る。配列のGC含有量は、宿主細胞で発現している既知の遺伝子を参照して計算されるような、特定の細胞宿主の平均レベルに調整できる。コドン最適化の方法は、当技術分野で周知である。IL-2ムテインコード配列内のコドンは、宿主細胞での発現を高めるように最適化することができ、結果として、コード配列内のコドンの約1%、約5%、約10%、約25%、約50%、約75%、または最大100%が、特定の宿主細胞での発現のために最適化される。
【0281】
使用に適したベクターには、細菌用のT7に基づくベクター(例えば、Rosenbergら、Gene 56:125、1987を参照されたい)、哺乳動物細胞用のpMSXND発現ベクター(LeeおよびNathans、J.Biol。Chem。263:3521、1988)、および昆虫細胞用のバキュロウイルス由来のベクター(例えば、Clontech、Palo Alto、Calif.からの発現ベクターpBacPAK9)が含まれる。
【0282】
いくつかの実施形態では、そのようなベクター中の対象IL-2ムテインをコードする核酸挿入物は、例えば、発現が求められる細胞型に基づいて選択されるプロモーターに作動可能に連結することができる。
【0283】
発現制御配列を選択する際には、様々な要因も考慮する必要がある。これらには、例えば、特に潜在的な二次構造に関して、配列の相対的強度、その制御性、および対象IL-2ムテインをコードする実際のDNA配列との適合性が含まれる。宿主は、選択されたベクターとの適合性、本発明のDNA配列によってコードされる産物の毒性、分泌特性、ポリペプチドを正しく折りたたむ能力、発酵または培養要件、およびDNA配列によってコード化された産物の精製容易さを考慮して選択されるべきである。
【0284】
これらのパラメータ内で、当業者は、例えばCHO細胞またはCOS7細胞を使用して、発酵または大規模動物培養で所望のDNA配列を発現する様々なベクター/発現制御配列/宿主の組み合わせを選択することができる。
【0285】
いくつかの実施形態では、発現制御配列および発現ベクターの選択は、宿主の選択に依存し得る。多種多様な発現宿主/ベクターの組み合わせを使用することができる。真核生物宿主に有用な発現ベクターには、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス、およびサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターが含まれる。細菌宿主に有用な発現ベクターには、col El、pCRI、pER32z、pMB9、およびそれらの誘導体を含むE.coli由来のプラスミドなどの細菌プラスミド、より広範な宿主プラスミド、例えば、RP4、phage DNA、例えば、ファージラムダの多数の誘導体、例えば、NM989、および他のDNAファージ、例えば、M13および糸状一本鎖DNAファージが含まれる。酵母細胞に有用な発現ベクターには、2μプラスミドおよびその誘導体が含まれる。昆虫細胞に有用なベクターには、pVL 941およびpFastBac(商標)1(GibcoBRL、Gaithersburg、Md)Cateら、「Isolation Of The Bovine And Human Genes For Mullerian Inhibiting Substance And Expression Of The Human Gene In Animal Cells」、Cell、45、pp.685-98(1986)が含まれる。
【0286】
さらに、これらのベクターでは、様々な任意の発現制御配列を使用できる。そのような有用な発現制御配列には、前述の発現ベクターの構造遺伝子に関連する発現制御配列が含まれる。有用な発現制御配列の例には、例えば、SV40またはアデノウイルスの初期および後期プロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、ファージラムダの主要なオペレーターおよびプロモーター領域、例えば、PL、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、例えば、PhoA、酵母のα-交配系のプロモーター、バキュロウイルスの多面体プロモーター、および原核細胞または真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御するために知られている他の配列、ならびにそれらの様々な組み合わせが含まれる。
【0287】
T7プロモーターは細菌で使用でき、ポリヘドリンプロモーターは昆虫細胞で使用でき、サイトメガロウイルスまたはメタロチオネインプロモーターは哺乳類細胞で使用できる。また、高等真核生物の場合、組織特異的および細胞型特異的プロモーターが広く利用可能である。これらのプロモーターは、体内の所定の組織または細胞型で核酸分子の発現を指示する能力からそのように名付けられている。当業者は、核酸の発現を指示するために使用できる多くのプロモーターおよび他の調節要素を熟知しているだろう。
【0288】
挿入された核酸分子の転写を促進する配列に加えて、ベクターは複製起点、および選択マーカーをコードする他の遺伝子を含むことができる。例えば、ネオマイシン耐性(neo)遺伝子は、それが発現される細胞にG418耐性を付与し、トランスフェクトされた細胞の表現型選択を可能にする。当業者は、所定の調節要素または選択可能マーカーが特定の実験状況での使用に適しているかどうかを容易に決定することができる。
【0289】
本発明で使用できるウイルスベクターには、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ベクター、ヘルペスウイルス、シミアンウイルス40(SV40)、およびウシパピローマウイルスベクター(例えば、Gluzman(Ed.)、Eukaryotic Viral Vectors、CSH Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.を参照されたい)が含まれる。
【0290】
本明細書に開示される対象IL-2ムテインをコードする核酸分子を含有および発現する原核細胞または真核細胞も本発明の特徴である。本発明の細胞は、トランスフェクトされた細胞、すなわち核酸分子、例えば、変異体IL-2ポリペプチドをコードする核酸分子が組換えDNA技術によって導入された細胞である。そのような細胞の子孫も本発明の範囲内であると見なされる。
【0291】
発現系の正確な成分は重要ではない。例えば、IL-2ムテインは、細菌E.coliなどの原核生物宿主において、または昆虫細胞(例えば、Sf21細胞)もしくは哺乳動物細胞(例えば、CHO、HEK293、COS細胞、NIH 3T3細胞、もしくはHeLa細胞)などの真核生物宿主において、産生させることができる。これらの細胞は、the American Type Culture Collection(Manassas、Va.)を含む多くの供給元から入手できる。発現系を選択する際に重要なのは、成分が相互に適合性があるかということのみである。専門家または当業者は、そのような決定を下すことができる。さらに、発現系の選択にガイダンスが必要な場合、当業者は、Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、New York、N.Y.、1993)およびPouwelsら(Cloning Vectors:A Laboratory Manual、1985 Suppl.1987)を参考にしてもよい。
【0292】
発現されたポリペプチドは、通常の生化学的手順を使用して発現系から精製することができ、例えば、本明細書に記載の治療薬として使用することができる。
【0293】
いくつかの実施形態では、得られたIL-2ムテインは、ムテインを産生するために使用される宿主生物に応じてグリコシル化または非グリコシル化される。細菌が宿主として選択される場合、産生されるIL-2ムテインはグリコシル化されない。一方、真核細胞はIL-2ムテインをグリコシル化するが、おそらく天然IL-2がグリコシル化されるのと同じ方法ではない。形質転換された宿主によって産生されたIL-2ムテインは、任意の適切な方法に従って精製することができる。IL-2を精製するために様々な方法が知られている。例えば、Current Protocols in Protein Science、Vol 2.Eds:John E.Coligan、Ben M.Dunn、Hidde L.Ploehg、David W.Speicher、Paul T.Wingfield、Unit 6.5(Copyright 1997、John Wiley and Sons、Inc.を参照されたい。IL-2ムテインは、陽イオン交換、ゲルろ過、および/または逆相液体クロマトグラフィーを使用して、E.coli中で産生された封入体から分離可能であり、または所定のムテインを産生する哺乳動物または酵母の培養液のいずれかからの馴化培地から分離可能である。
【0294】
IL-2ムテインをコードするDNA配列を構築する別の例示的な方法は、化学合成によるものである。これには、記載された特性を示すIL-2ムテインをコードするタンパク質配列の化学的手段によるペプチドの直接合成が含まれる。この方法は、IL-2Rα、IL-2Rβおよび/またはIL-2RγとIL-2との相互作用に影響を与える位置に天然および非天然アミノ酸の両方を組み込むことができる。あるいは、所望のIL-2ムテインをコードする遺伝子は、オリゴヌクレオチド合成機を使用する化学的手段により合成することができる。そのようなオリゴヌクレオチドは、所望のIL-2ムテインのアミノ酸配列に基づいて設計され、好ましくは、組換えムテインが産生される宿主細胞で好まれるコドンを選択する。これに関して、遺伝暗号が縮重していること、つまりアミノ酸が2つ以上のコドンによってコードされている可能性があることはよく認識されている。例えば、Phe(F)は、TICまたはTTTの2つのコドンによってコード化され、Tyr(Y)は、TACまたはTATによってコード化され、his(H)は、CACまたはCATによってコード化される。Trp(W)は、単一のコドンTGGによってコード化される。したがって、特定のIL-2ムテインをコードする所与のDNA配列について、そのIL-2ムテインをコードする多くのDNA縮重配列が存在することが理解されよう。例えば、ムテインH9の好ましいDNA配列に加えて、示されているIL-2ムテインをコードする多くの縮重DNA配列が存在することが理解されよう。これらの縮重DNA配列は、本開示の範囲内であると見なされる。したがって、本発明の文脈における「その縮重バリアント」とは、特定のムテインをコードし、それにより発現を可能にするすべてのDNA配列を意味する。
【0295】
IL-2ムテインの生物学的活性は、当該分野で公知の任意の適切な方法によってアッセイされ得る。そのようなアッセイには、PHA芽球増殖およびNK細胞増殖が含まれる。
【0296】
I.抗PD-1抗体および組み合わせ
本明細書に記載される発明および方法に従って使用するための抗PD-1抗体には、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、およびMK-3475(ペンブロリズマブ)、セミプリマブ(REGN2810)、SHR-1210(CTR20160175およびCTR20170090)、SHR-1210(CTR20170299およびCTR20170322)、JS-001(CTR20160274)、IBI308(CTR20160735)、BGB-A317(CTR20160872)、ならびに米国特許公開第2017/0081409号で列挙されているPD-1抗体を含むが、これらに限定されない。承認された2つの抗PD-1抗体、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標);MK-3475-033)、およびニボルマブ(Opdivo(登録商標);CheckMate078)、ならびに開発中のさらに多くのものが存在し、これらは本明細書に記載の組み合わせにおいて使用できる。例示的な抗PD-1抗体配列は図10に示されており、これらのうちのいずれもが、本明細書に記載のIL-2との併用方法において使用することができる。
【0297】
いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、抗PD-1抗体または阻害剤と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、ニボルマブと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、ペンブロリズマブと組み合わせて使用される。いくつかの態様では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、セミプリマブと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、BMS-936558と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、MDX-1106と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、ONO-4538と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、AMP224と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、CT-011と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、MK-3475と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。
【0298】
いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、参照した抗体のいずれかと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはさらにE62A置換を含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示される任意のIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体と組み合わせて使用されるIL-2ムテインは、本明細書に記載の融合ムテインである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体と組み合わせて使用されるIL-2ムテインは、本明細書に記載の融合ムテインである。
【0299】
J.抗PD-L1抗体および組み合わせ
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のIL-2ムテインのいずれかを抗PD-1抗体と組み合わせて使用することができる。3つの承認された抗PD-L1抗体、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標);MPDL3280A)、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標);MSB001071 8C)、およびデュルバルマブ(MEDI4736)、ならびに開発中の他の抗PD-L1抗体が存在する。多数の抗PD-L1抗体が利用可能であり、またさらに多くのものが開発中であり、これらは本明細書に記載の抗IL-2ムテインと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、PD-L1抗体は、米国特許公開第2017/0281764号、ならびに国際特許公開第WO2013/079174(アベルマブ)、およびWO2010/077634(または米国特許出願第20160222117号、もしくは米国特許第8,217,149号;アテゾリズマブ)に記載されるものである。いくつかの実施形態において、PD-L1抗体は、配列番号34の重鎖配列、および配列番号36の軽鎖配列(US2017/281764から)を含む。いくつかの実施形態において、PD-L1抗体はアテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標);MPDL3280A;IMpower110)である。いくつかの実施形態において、PD-L1抗体はアベルマブ(BAVENCIO(登録商標);MSB001071 8C)である。いくつかの実施形態において、PD-L1抗体はデュルバルマブ(MEDI4736)である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、例えば、アテゾリズマブ(IMpower133)、BMS-936559/MDX-1105、および/またはRG-7446/MPDL3280A、および/またはYW243.55.S70、ならびに本明細書の図11に提供される例示的な抗PD-L1抗体のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、参照した抗体のいずれかと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはさらにE62A置換を含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示される任意のIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体と組み合わせて使用されるIL-2ムテインは、本明細書に記載の融合ムテインである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体と組み合わせて使用されるIL-2ムテインは、本明細書に記載の融合ムテインである。
【0300】
K.他の免疫療法の組み合わせ
本発明の方法に従って使用するための他の抗体および/または免疫療法には、イピリムマブ、トレメリムマブなどの抗CTLA4 mAb;BMS-936559/MDX-1105、MEDI4736、RG-7446/MPDL3280Aなどの抗PD-L1アンタゴニスト抗体;IMP-321などの抗LAG-3;CP-870,893、ルカツムマブ、ダセツズマブなどの抗CD40 mAbを含む免疫刺激タンパク質を標的とするアゴニスト抗体;BMS-663513ウレウマブ(抗4-1BB抗体;例えば、米国特許第7,288,638号および第8,962,804号を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)などの抗CD137mAb(抗4-1-BB抗体);リリルマブ(抗KIR mAB;IPH2102/BMS-986015;NK細胞阻害性受容体を阻止する)およびPF-05082566(ウトミルマブ;例えば、米国特許第8,821,867号;第8,337,850号;および第9,468,678号、ならびに国際特許出願公開第WO 2012/032433号を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる);抗OX40 mAb(例えば、WO2006/029879またはWO2010/096418を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる);TRX518などの抗GITR mAb(例えば、米国特許第7,812,135号を参照されたい。その全体は参照により本明細書に組み込まれる);ベリルマブCDX-1127などの抗CD27 mAb(例えば、WO2016/145085および米国特許公開第US2011/0274685号および第US2012/0213771号を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)抗ICOS mAb(例えば、MEDI-570、JTX-2011,および抗TIM-3抗体(例えば、WO2013/006490または米国特許公開第2016/0257758号を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、参照した抗体のいずれかと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはさらにE62A置換を含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示される任意のIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。
【0301】
他の抗体には、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、黒色腫、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、および脳癌に対するモノクローナル抗体も含まれる(一般的にwww.clinicaltrials.govを参照されたい)。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、参照した抗体のいずれかと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示される任意のIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。
【0302】
抗体には、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)用の抗体も含まれる。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)のための抗体と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。
【0303】
L.治療方法
いくつかの実施形態では、対象IL-2ムテイン、および/またはそれらを発現する核酸を対象に投与して、異常アポトーシスまたは分化プロセスに関連する障害(例えば、能動免疫または受動免疫を生じることによる、例えば、癌などの細胞増殖性障害または細胞分化障害)を治療することができる。そのような疾患の治療において、開示されたIL-2ムテインは、血管漏出症候群の減少などの有利な特性を有し得る。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示される任意のIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1配列番号5;5-2配列番号6;6-6配列番号7;A2配列番号8;B1配列番号9;B11配列番号10;C5配列番号11;D10配列番号12;E10配列番号13;G8配列番号14;H4配列番号15;およびH9配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従って番号付けされたL80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは融合タンパク質である。いくつかの態様では、IL-2ムテインはCAR-T構築物により関連付けられる、および/または発現される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、腫瘍溶解性ウイルスによって発現され、および/または腫瘍溶解性ウイルスと関連している。
【0304】
細胞増殖および/または分化障害の例には、癌(例えば、癌腫、肉腫、転移性障害、または造血性腫瘍性障害、例えば、血病)が含まれる。転移性腫瘍は、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、黒色腫、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、および脳癌のものを含むがこれらに限定されない多数の原発腫瘍型から生じる可能性がある。
【0305】
変異体IL-2ポリペプチドを使用して、腎癌腫または黒色腫を含むあらゆる種類の癌、またはあらゆるウイルス性疾患を発症している、その発症が疑われる、または発症する危険性が高い患者を治療することができる。例示的な癌腫には、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸および卵巣の組織から形成されるものが含まれる。この用語には癌肉腫も含まれ、これには癌性および肉腫性組織で構成される悪性腫瘍が含まれる。
【0306】
増殖性疾患の追加の例には、造血性腫瘍性疾患が含まれる。
【0307】
あるいは、または患者への直接投与の方法に加えて、いくつかの実施形態では、変異体IL-2ポリペプチドをエクスビボ法で使用することができる。例えば、細胞(例えば、末梢血リンパ球、または患者から単離され、培養中に置かれたまたは維持されたリンパ球の精製された集団)を培養培地でインビトロで培養することができ、接触工程は、IL-2変異体を培養培地へ添加することにより影響を受ける。培養工程は、例えば、目的の抗原(例えば、癌抗原またはウイルス抗原)に反応する細胞集団の増殖を刺激するか、またはそれを拡大するために、細胞を他の薬剤で刺激または処理するさらなる工程を含むことができる。次に、細胞は処理後に患者に投与される。
【0308】
治療方法について本明細書で開示されるIL-2ムテインと組み合わせて使用するための抗PD-1抗体には、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、およびMK-3475が含まれるが、これらに限定されない。
【0309】
いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のために抗PD-1抗体または阻害剤と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のためにニボルマブと組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のためにBMS-936558と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のためにMDX-1106と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のためにONO-4538と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のためにAMP224と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のためにCT-011と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のためにMK-3475と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはK43N置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはさらにF42A置換を含み、その番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。
【0310】
いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のために、イピリムマブ、トレメリムマブなどの抗CTLA4 mAb;BMS-936559/MDX-1105、MEDI4736、RG-7446/MPDL3280Aなどの抗PD-L1アンタゴニスト抗体;IMP-321などの抗LAG-3;CP-870,893、ルカツムマブ、ダセツズマブなどの抗CD40 mAbを含む免疫刺激タンパク質を標的とするアゴニスト抗体;BMS-663513ウレウマブ(抗4-1BB抗体;例えば、米国特許第7,288,638号および第8,962,804号を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)などの抗CD137mAb(抗4-1-BB抗体);リリルマブ(抗KIR mAB;IPH2102/BMS-986015;NK細胞阻害性受容体を阻止する)およびPF-05082566(ウトミルマブ;例えば、米国特許第8,821,867号;第8,337,850号;および第9,468,678号、ならびに国際特許出願公開第WO2012/032433号を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる);抗OX40 mAb(例えば、WO 2006/029879またはWO2010/096418を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる);TRX518などの抗GITR mAb(例えば、米国特許第7,812,135号を参照されたい。その全体は参照により本明細書に組み込まれる);ベリルマブCDX-1127などの抗CD27 mAb(例えば、WO2016/145085および米国特許公開第US 2011/0274685号および第US2012/0213771号を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)抗ICOS mAb(例えば、MEDI-570、JTX-2011,および抗TIM-3抗体(例えば、WO2013/006490または米国特許公開第2016/0257758号を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)を含むがこれらに限定されない、抗体および/または免疫療法と組み合わせて使用される。
【0311】
いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のために、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、黒色腫、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、脳癌(一般的にwww.clinicaltrials.govを参照されたい)に対するモノクローナル抗体を含むことができる別の抗体と組み合わせて使用される。
【0312】
いくつかの実施形態では、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインは、癌の治療のために、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)のための抗体(複数可)と組み合わせて使用される。
【0313】
M.薬学的組成物および投与方法
いくつかの実施形態では、対象IL-2ムテインおよび核酸は、薬学的組成物を含む組成物に組み込むことができる。そのような組成物は、典型的には、ポリペプチドまたは核酸分子および薬学的に許容される担体を含む。そのような組成物は、抗PD-1抗体も含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、融合タンパク質である、および/またはCAR-T構築物と関連する、および/または腫瘍溶解性ウイルスによって発現されるか、もしくはそれに関連する、IL-2ムテインを含む。
【0314】
抗PD-1抗体およびIL-2ムテインは、単一の組成物として、2つの別個の組成物として同時に、および/または2つの別個の組成物として連続的に投与することができる。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体または阻害剤およびIL-2ムテインは、単一の共組成物(すなわち、ともに製剤化される)として一緒に投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体または阻害剤およびIL-2ムテインは、2つの別個の組成物(すなわち、別個の製剤)として同時に投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体または阻害剤およびIL-2ムテインは、別個の組成物(すなわち、別個の製剤)として連続的に投与される。いくつかの態様では、抗PD-1抗体または阻害剤およびIL-2ムテインが別個の組成物として連続的に投与される場合、抗PD-1抗体または阻害剤はIL-2ムテインの前に投与される。いくつかの態様では、抗PD-1抗体または阻害剤およびIL-2ムテインが別々の組成物として連続的に投与される場合、IL-2ムテインは抗PD-1抗体または阻害剤の前に投与される。いくつかの態様では、抗PD-1抗体には、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、およびMK-3475が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはK43N置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。
【0315】
記載されている他の免疫療法薬およびIL-2ムテインは、単一の組成物として、2つの別個の組成物として同時に、および/または2つの別個の組成物として連続的に投与することができる。いくつかの実施形態では、他の免疫療法薬およびIL-2ムテインは、単一の共組成物(すなわち、ともに製剤化される)として一緒に投与される。いくつかの実施形態では、他の免疫療法薬およびIL-2ムテインは、2つの別個の組成物(すなわち、別個の製剤)として同時に投与される。いくつかの実施形態では、他の免疫療法薬およびIL-2ムテインは、別個の組成物(すなわち、別個の製剤)として連続的に投与される。いくつかの態様では、他の免疫療法薬およびIL-2ムテインが別個の組成物として連続的に投与される場合、抗PD-1抗体または阻害剤はIL-2ムテインの前に投与される。いくつかの態様では、他の免疫療法薬およびIL-2ムテインが別々の組成物として連続的に投与される場合、IL-2ムテインは他の免疫療法薬の前に投与される。いくつかの態様では、IL-2ムテインは、ヒト野生型IL-2(配列番号2)に従って番号付けされた置換L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはK43N置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはF42A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはY45A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインはE62A置換をさらに含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う。
【0316】
薬学的組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される。本発明の抗PD-1抗体および/または変異体IL-2ポリペプチドは経口投与されてもよいが、例えば、静脈内投与を含む非経口経路で投与される可能性が高い。非経口投与経路の例には、例えば、静脈内、皮内、皮下、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が含まれる。非経口用途に使用される溶液または懸濁液には、次の成分:注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールやメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度調整剤が含まれる。pHは、一塩基性および/または二塩基性リン酸ナトリウム、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる(例えば、約7.2~7.8、例えば、7.5のpHに)。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回投与用バイアルに封入できる。
【0317】
注射用途に適した薬学的組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)、または滅菌注射溶液もしくは分散液の即時調製用の分散液および滅菌粉末が含まれる。静脈内投与の場合、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、注射を容易に可能とする程度に流動性である必要がある。それは、製造および貯蔵の条件下で安定している必要があり、細菌や真菌などの微生物の汚染作用から保護する必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合は必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウムの使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましいだろう。注射可能な組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることによりもたらすことができる。
【0318】
滅菌注射液は、必要な量の活性化合物を、必要に応じて上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに適切な溶媒に組み込み、その後ろ過滅菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製され、滅菌ビヒクルは、基本的な分散媒および上に列挙したものからの必要な他の成分を含む。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、以前に滅菌濾過されたその溶液から、活性成分および任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0319】
経口組成物は、使用される場合、一般に不活性希釈剤または食用担体を含む。経口治療投与の目的のために、活性化合物を賦形剤と混合し、錠剤、トローチ、またはカプセル、例えばゼラチンカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物は、うがい薬として使用するために液体担体を使用して調製することもできる。薬学的に適合する結合剤、および/またはアジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、以下の成分、または類似の性質の化合物:微結晶セルロース、トラガカントゴム、ゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogel(商標)、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotes(商標)などの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖やサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ風味などの香味料のいずれかを含むことができる。
【0320】
吸入による投与の場合、抗PD-1抗体および/またはIL-2ムテイン、またはそれらをコードする核酸は、適切な噴射剤、例えば、二酸化炭素などの気体を含む加圧容器またはディスペンサー、またはネブライザーからエアゾールスプレーの形態で送達される。そのような方法には、米国特許第6,468,798号に記載されているものが含まれる。
【0321】
抗PD-1抗体および/またはIL-2ムテインまたは核酸の全身投与は、経粘膜または経皮手段によるものであってもよい。経粘膜または経皮投与の場合、浸透するバリアに適した浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は一般に当技術分野で知られており、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用により達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物は、当技術分野で一般的に知られているような軟膏、薬用軟膏、ゲル、またはクリームに製剤化される。
【0322】
いくつかの実施形態では、化合物(抗PD-1抗体および/または変異体IL-2ポリペプチドまたは核酸)は、直腸送達のために、坐薬(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を伴う)または保留浣腸の形態で調製することもできる。
【0323】
いくつかの実施形態では、化合物(対象IL-2ムテインまたは核酸)は、McCaffreyら(Nature 418:6893,2002),Xiaら(Nature Biotechnol.20:1006-1010,2002),またはPutnam(Am.J.Health Syst.Pharm.53:151-160,1996,erratum at Am.J.Health Syst.Pharm.53:325,1996)に記載されている方法を含むがこれらに限定されない、当該分野において知られている方法を用いるトランスフェクションまたは感染により投与することもできる。
【0324】
一実施形態では、抗PD-1抗体および/またはIL-2ムテインまたは核酸は、例えば、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤などのように、抗PD-1抗体および/または変異体IL-2ポリペプチドが身体から迅速に排出されないように保護する担体とともに調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤は、標準的な技術を使用して調製することができる。材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals、Incから商業的にも入手可能である。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化されたリポソームを含む)も薬学的に許容される担体として使用可能である。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されているように、当業者に知られている方法に従って調製することができる。
【0325】
このような抗PD-1抗体、IL-2ムテイン、または核酸化合物の用量、毒性、および治療効果は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法により、例えば、LD50(集団の50%致死量)またはED50(集団の50%に治療効果のある用量)を決定するために、決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは、LD50/ED50の比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。有毒な副作用を示す化合物を使用してもよいが、感染していない細胞への潜在的な損傷を最小限に抑え、それにより副作用を減らすために、そのような化合物を罹患組織の部位に標的化する送達系を設計するように注意する必要がある。
【0326】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトでの使用のための投与量範囲を策定する際に使用することができる。かかる化合物の用量は、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、用いられる投与剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。本発明の方法において使用される任意の化合物について、治療的有効量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養において決定されるような IC50(すなわち、症状の最大半量の阻害に到達する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、用量を動物モデルで策定することができる。かかる情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
【0327】
本明細書で定義されるように、対象IL-2ムテインの治療的有効量(すなわち、有効用量)および/または抗PD-1抗体または阻害剤は、選択されたポリペプチドまたは抗体に依存する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの単回投与量は、投与され得る患者の体重1kgあたり約0.001mg/kg~0.1mg/kgの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体または阻害剤の単回投与量は、投与され得る患者の体重1kgあたり約1mg/kg~20mg/kg、または約5mg/kg~約15mg/kg、または約10mg/kgの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、約0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、5.0mg/kg、10.0mg/kgの抗PD-1抗体または阻害剤および/またはIL-2ムテインの用量が投与できる。いくつかの実施形態では、600,000IU/kgが投与される(IUは、リンパ球増殖バイオアッセイによって決定でき、インターロイキン-2(ヒト)について世界保健機構の第1の国際標準によって確立された国際単位(IU)で表される)。投与量は、PROLEUKIN(登録商標)について処方された量と同等であり得るが、それよりも少ないことが予想される。組成物は、1日おきに1回を含む、1日に1回以上~週に1回以上投与することができる。当業者は、疾患または障害の重症度、以前の治療、対象の一般的な健康および/または年齢、および存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない、特定の因子が対象を効果的に治療するために必要な用量およびタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するであろう。さらに、治療的有効量の対象IL-2ムテインによる対象の治療は、単一の治療を含むことができ、または一連の治療を含むことができる。一実施形態では、組成物は8時間ごとに5日間投与され、その後2~14日間、例えば9日間の休薬期間が続き、その後8時間ごとにさらに5日間の投与が続く。いくつかの実施形態では、投与は4日ごとに3回投与される。
【0328】
薬学的組成物は、投与のための説明書とともに容器、パック、またはディスペンサー内に含めることができる。
【0329】
以下の実施例は、本明細書で提供される本発明の特定の実施形態を説明するために提供され、限定するものとして解釈されるべきではない。
例示的な実施形態
1.癌を治療する方法であって、
(i)抗PD-1抗体もしくは阻害剤、または抗PD-L1抗体もしくは阻害剤と、
(ii)以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含むIL-2ムテインであって、その番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、IL-2ムテインと、を含む、併用治療を投与することを含む、方法。
2.前記抗PD-1抗体もしくは阻害剤が、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、およびMK-3475(ペンブロリズマブ)、セミプリマブ(REGN2810)、SHR-1210(CTR20160175およびCTR20170090)、SHR-1210(CTR20170299およびCTR20170322)、JS-001(CTR20160274)、IBI308(CTR20160735)、BGB-A317(CTR20160872)、および米国特許公開第2017/0081409号で列挙されているPD-1抗体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
3.前記抗PD-L1抗体もしくは阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブ、およびデュルバルマブからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
4.前記IL-2ムテインが、F42A置換をさらに含み、その番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
5.前記IL-2ムテインが、K43N置換をさらに含み、その番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
6.前記IL-2ムテインが、F42A置換をさらに含み、その番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
7.前記IL-2ムテインが、Y45A置換をさらに含み、その番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
8.前記IL-2ムテインが、E62A置換をさらに含み、その番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
9.前記IL-2ムテインが融合タンパク質である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
10.前記融合タンパク質が、Fc抗体断片に連結された前記IL-2を含む、請求項9に記載の方法。
11.前記Fc抗体断片が、ヒトFc抗体断片である、請求項10に記載の方法。
12.前記Fc抗体断片が、N297A置換を含む、請求項10に記載の方法。
13.前記融合タンパク質が、アルブミンに連結された前記IL-2を含む、請求項9に記載の方法。
14.前記癌が、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、黒色腫、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、および脳癌からなる群から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
15.前記癌が、結腸癌である、請求項14に記載の方法。
16.前記IL-2ムテインが、野生型ヒトIL-2と比較して、IL-2Rβに対して増加した結合能力を示す、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
17.前記IL-2ムテインが、野生型ヒトIL-2と比較して、IL-2Rβに対してより高い結合親和性を示す、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
18.前記IL-2ムテインが、野生型ヒトIL-2と比較して、CD25に対して減少した結合親和性を示す、請求項4~8のいずれか1項に記載の方法。
19.抗PD-1抗体または阻害剤と、請求項1~13または16~18のいずれかに記載のIL-2ムテインと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
20.インターロイキン-2受容体β(IL-2Rβ)結合タンパク質を含む免疫細胞標的化または発現構築物であって、前述の結合タンパク質のIL-2Rβの平衡解離定数が、野生型ヒトIL-2(hIL-2)のものよりも小さく、少なくとも1つの他の標的化部分を含む免疫細胞標的化または発現構築物に連結されている、免疫細胞標的化または発現構築物。
21.前記免疫細胞標的化または発現構築物が、T細胞、例えばCD8+T細胞またはCD4+T細胞に対して細胞傷害性効果を示す、請求項20に記載の構築物。
22.前記構築物が、キメラ抗原受容体(CAR)であり、前記IL-2ムテインが、膜貫通ドメインに融合され、細胞内シグナル伝達領域に連結されている、請求項20~21のいずれか1項に記載の構築物。
23.前記細胞内シグナル伝達領域がCD3シグナル伝達ドメインを含む、請求項22に記載の構築物。
24.前記細胞内シグナル伝達領域が、CD28シグナル伝達ドメイン、CD137シグナル伝達ドメイン、OX-40シグナル伝達ドメイン、ICOSシグナル伝達ドメイン、DAP10シグナル伝達ドメインのうちの1つ以上を含む、請求項23に記載の構築物。
25.前記構築物が、T細胞抗原連結体(TAC)であり、前記IL-2ムテインまたは他の標的化部分が、TCR複合体に関連するタンパク質に結合するリガンドに融合され;T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドに融合されている、請求項21に記載の構築物。
26.前記TCR複合体に関連する前記タンパク質が、CD3である、請求項25に記載の構築物。
27.前記T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドが、CD4細胞質ゾルドメインおよびCD4膜貫通ドメインを含む、請求項26に記載の構築物。
28.前記構築物が、IL-2ムテインまたは他の標的化部分に高親和性で結合するキメラ抗原受容体成分を含む、抗体結合T細胞受容体(ACTR)である、請求項20に記載の構築物。
29.前記CAR成分が、CD16を含み、前記IL-2ムテインが、Fc配列に融合している、請求項20に記載の構築物。
30.前記構築物が、T細胞受容体の成分に結合する抗体の可変領域に融合したIL-2ムテインまたは他の標的化部分を含む、二重特異性T細胞交換体(BiTE)である、請求項20に記載の構築物。
31.前記T細胞受容体のBiTE成分が、CD3である、請求項30に記載の構築物。
32.IL-2Rβ結合タンパク質が、野生型hIL-2に従って番号付けされた以下のアミノ酸置換:L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含む、請求項31に記載の構築物。
33.請求項20~32のいずれか1項に記載の構築物をコードする、核酸。
34.請求項33に記載の核酸構築物を含む、ベクター。
35.請求項33に記載の構築物または請求項34に記載のベクターを含む、T細胞。
36.請求項33に記載の構築物または請求項34に記載のベクターを含む、NK細胞。
37.T細胞がCD4T細胞である、請求項35に記載のT細胞。
38.T細胞がCD8T細胞である、請求項35に記載のT細胞。
39.請求項35または請求項36に記載の免疫細胞の単離された集団。
40.請求項39に記載の免疫細胞集団を含む薬学的製剤。
41.IL-2受容体を発現する細胞を含む癌細胞を標的化する方法であって、細胞を請求項40に記載の製剤と接触させることを含む、方法。
42.前記接触がインビトロである、請求項41に記載の方法。
43.前記接触がインビボである、請求項41に記載の方法。
44.癌を治療する方法であって、癌を有する個体を請求項40に記載の製剤の有効量と接触させることを含む、方法。
45.前記癌が、白血病、リンパ腫、膠芽腫、髄芽腫、乳癌、頭頸部癌、腎臓癌、卵巣癌、カポジ肉腫、急性骨髄性白血病、B系列悪性腫瘍、結腸直腸、膵臓、腎臓、または中皮腫である、請求項44に記載の方法。
46.癌細胞をIL-2ムテイン腫瘍溶解性ウイルスの組み合わせと接触させることを含む、IL-2ムテインタンパク質を癌細胞に対して標的化するための方法であって、その組み合わせが、腫瘍溶解性ウイルスにコンジュゲートされるか、またはそれにより発現されるIL-2ムテインを含み、その腫瘍溶解性ウイルスが、癌細胞を標的化することができる、方法。
47.前記接触がインビトロで起こる、請求項46に記載の方法。
48.前記接触がインビボで起こる、請求項46に記載の方法。
49.前記腫瘍溶解性ウイルスが、アデノウイルス、自己複製アルファウイルス、ワクシニアウイルス、セネカバレー(Seneca Valley)ウイルス、ニューカッスル(Newcastle)病ウイルス、マラバ(Maraba)ウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ヘルペスウイルス(HSV-1およびHSV-2を含む)、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、コクサッキー(coxsackie)ウイルス、レンチウイルス、モルビリウイルス、インフルエンザウイルス、シンビス(Sinbis)ウイルス、粘液腫ウイルス、およびレトロウイルスからなる群から選択される、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
50.前記ワクシニアウイルスゲノムが、チミジンキナーゼ遺伝子(TK)遺伝子における置換および/または部分的に欠失したチミジンキナーゼ遺伝子を提供する少なくとも1つのヌクレオチドの欠失を切除するオープンリーディングフレームによって不活性化されるチミジンキナーゼ遺伝子を含み、ワクシニア成長因子遺伝子は欠失しており、改変されたワクシニアウイルスベクターは、本明細書に記載のIL-2ムテインをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む、請求項47に記載の方法。
51.前記インビボ接触により、腫瘍溶解性ウイルスにコンジュゲートしていないIL-2ムテインタンパク質の濃度と比較して、腫瘍微小環境におけるIL-2ムテインタンパク質の濃度の増大が生じる、請求項48に記載の方法。
52.前記改変された腫瘍溶解性ウイルスが、治療上の利点を改善するために、IL-2ムテインを、腫瘍関連マクロファージおよびMDSC(骨髄由来サプレッサー細胞)などの腫瘍微小環境(TME)の免疫抑制細胞に対して標的化する、請求項46または48~51のいずれか1項に記載の方法。
53.前記改変された腫瘍溶解性ウイルスが、IL-2ムテインを1つ以上の腫瘍抗原を発現する1つ以上の免疫抑制細胞に対して標的化する、請求項46または48~52のいずれか1項に記載の方法。
54.前記改変された腫瘍溶解性ウイルスが、IL-2ムテインをTMEに対して標的化する、請求項46または48~53のいずれか1項に記載の方法。
55.前記IL-2ムテインタンパク質がエフェクターT細胞および/またはNK細胞を増強する、請求項46または48~54のいずれか1項に記載の方法。
56.前記IL-2ムテインがTreg活性を抑制する、請求項46または48~55のいずれか1項に記載の方法。
57.前記IL-2が、以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含み、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、請求項46または48~56のいずれか1項に記載の方法。
58.ベクターがワクシニアウイルスゲノムを含み、そのチミジンキナーゼ遺伝子が、チミジンキナーゼ遺伝子(TK)遺伝子における置換および/または部分的に欠失したチミジンキナーゼ遺伝子を提供する少なくとも1つのヌクレオチドの欠失を切除するオープンリーディングフレームによって不活性化され、ワクシニア成長因子遺伝子が欠失しており、改変されたワクシニアウイルスベクターが、本明細書に記載のIL-2ムテインをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む、という点を特徴とする、改変されたワクシニアウイルスベクター。
59.(i)コードされたE1Aポリペプチドのアミノ酸122~129をコードするヌクレオチドが場合により欠失された改変された核酸と、(ii)本明細書に記載のIL-2ムテインをコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットと、を含む、改変された腫瘍溶解性アデノウイルス。
60.前記IL-2ムテインが、治療上の利点を改善するために、改変された腫瘍溶解性ウイルスを、腫瘍関連マクロファージおよびMDSC(骨髄由来サプレッサー細胞)などの腫瘍微小環境(TME)の免疫抑制細胞に指向させる、請求項58または請求項59に記載の改変されたウイルス。
61.前記IL-2ムテインタンパク質が、改変された腫瘍溶解性ウイルスを1つ以上の腫瘍抗原に指向させる、請求項58または請求項59に記載の改変されたウイルス。
62.前記IL-2ムテインタンパク質が、改変された腫瘍溶解性ウイルスをTMEに指向させる、請求項58または請求項59に記載の改変されたウイルス。
63.前記IL-2ムテインタンパク質が、エフェクターT細胞およびNK細胞を増強する、請求項58または請求項59に記載の改変されたウイルス。
64.前記IL-2ムテインが、Treg活性を抑制する、請求項58または請求項59に記載の改変されたウイルス。
65.IL-2ムテインを発現することができるおよび腫瘍溶解性ウイルスを、それらを必要とする対象に投与することを含む、癌を治療する方法。
66.前記IL-2ムテインが、以下のアミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを含み、その番号付けが配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う、請求項65に記載の方法。
67.前記腫瘍溶解性ウイルスが、アデノウイルス、自己複製アルファウイルス、ワクシニアウイルス、セネカバレーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、マラバウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ヘルペスウイルス(HSV-1およびHSV-2を含む)、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、コクサッキーウイルス、レンチウイルス、モルビリウイルス、インフルエンザウイルス、シンビスウイルス、粘液腫ウイルス、およびレトロウイルスからなる群より選択される、請求項65~66のいずれか1項に記載の方法。
【実施例
【0330】
実施例1:H9は、マウスMC38結腸癌モデルにおいて抗PD-1免疫療法と相乗作用する。
この実施例は、併用療法が用量依存的に強固な応答もたらすことを示すデータを提供する。
【0331】
以下の表11は、この実施例で使用されるH9 IL-2ムテインについての置換マトリックスを示す。
【表11】
【0332】
抗PD-1抗体を10mg/kgで、4日ごとに3回(10mg/kg IV q4dx3)、静脈内投与した。H9(アミノ酸置換、L80F、R81D、L85V、I86V、およびI92Fを有するIL-2ムテイン、その番号付けは配列番号2の野生型ヒトIL-2に従う)を、5μgq.d.または25μgq.d.の示された投与量(投与量はμg/マウス)で、同じ投与レジメンに従って、投与した。次に、MC38結腸癌モデルマウスを腫瘍移植後最大40日間監視した。抗PD-1抗体とH9の組み合わせにより、低投与量と高投与量の両方で治癒マウスの数が増加し、H9の25ugq.dの投与量で実質的に増加した。
【0333】
図1のデータで提供されているように、H9および抗PD-1は限られた効能のみをもたらす。しかし、併用療法は、ほとんどのマウスを十分に寛容性のあるH9用量で治癒するのに十分である。組み合わせの効能の増加は、新たな毒性または毒性の増加をもたらさなかった。
【0334】
上記の実施例は、当業者に本発明の組成物、システム、および方法の実施形態をどのように作製および使用するかについての完全な開示および説明を与えるために提供されており、そして本発明者らが自分たちの発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。当業者に明らかである本発明を実施するための上記の様式の修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本明細書中で言及されている全ての特許および刊行物は、本発明が関係する当業者の技術水準を示している。本開示において引用された全ての参考文献は、あたかも各参考文献が参照によりその全体が個別に組み込まれているのと同程度に参照により組み込まれる。
【0335】
全ての見出しおよびセクションの指定は、明確さおよび参照目的のためだけに使用されているにすぎず、決して限定的であるとみなされるべきではない。例えば、当業者は、本明細書に記載の本発明の趣旨および範囲に従って、必要に応じて異なる見出しおよびセクションからの様々な態様を組み合わせることの有用性を認識するであろう。
【0336】
本明細書に引用された全ての参考文献は、あたかも各個々の刊行物または特許または特許出願が全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同程度にそれらの全体が全ての目的のために本明細書に参照により組み込まれる。
【0337】
当業者には明らかなように、本出願の趣旨および範囲から逸脱することなく、本出願の多くの修正および変形をなすことができる。本明細書に記載された特定の実施形態および実施例は例としてのみ提供され、特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
【配列表】
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