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特許7433060表示制御装置、表示装置、制御プログラムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示装置、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/10 20060101AFI20240209BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240209BHJP
   G09G 3/3225 20160101ALI20240209BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240209BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G09G5/10 Z
G09G5/00 555D
G09G5/00 550C
G09G3/3225
G09G3/20 642F
G09G3/20 611A
G09G3/20 642C
G09G3/20 670J
H04N5/66 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020009380
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021117304
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高実 陽一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄一
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0151109(US,A1)
【文献】特開2004-151501(JP,A)
【文献】特開2006-309133(JP,A)
【文献】特開2012-205000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 5/42
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを有する表示装置を制御する表示制御装置であって、
前記表示パネルに表示される映像の映像データを取得または生成するホスト制御部と、
前記ホスト制御部から転送された前記映像データを前記表示パネルに出力する表示制御部と、を備え、
前記ホスト制御部は、
前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合であるデューティ比について、前記映像のフレームレートが高くなれば、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を決定し、
前記表示制御部に対して、前記表示パネルが前記適正デューティ比で発光するように前記デューティ比を調整させ
前記ホスト制御部はさらに、
前記表示制御部に前記映像データを転送しない場合、前記表示制御部に対して、前記映像データを転送しない期間中、前記表示パネルが発光を継続するように前記デューティ比を調整させ、
前記表示制御部に前記映像データを転送する場合、前記表示制御部に対して、前記映像データを転送する期間中、前記表示パネルが非発光となる期間を1回以上設定するように前記デューティ比を調整させることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記ホスト制御部は、前記映像のフレームレートが低くなれば、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合が高くなるように適正デューティ比を決定することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記ホスト制御部はさらに、
照度検知部によって検知された前記表示装置の周囲の照度と、基準照度と、を比較し、
前記表示制御部に対して、比較結果に応じて前記デューティ比を調整させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記ホスト制御部は、前記表示装置の周囲の照度が前記基準照度よりも高ければ、前記映像が所定の前記フレームレートで表示される1フレーム期間中、前記表示制御部に対して前記表示パネルが発光を継続するように前記デューティ比を調整させることを特徴とする請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の表示制御装置を備えた表示装置。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の表示制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記ホスト制御部および前記表示制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項7】
表示パネルを備えた表示装置を制御する表示制御装置の制御方法であって、
前記表示制御装置は、
前記表示パネルに表示される映像の映像データを取得または生成するホスト制御部と、
前記ホスト制御部から転送された前記映像データを前記表示パネルに出力する表示制御部と、を備え、
前記ホスト制御部に対して、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合であるデューティ比について、前記映像のフレームレートが高くなれば、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を設定させる設定ステップと、
前記表示制御部に対して、前記表示パネルが前記適正デューティ比で発光するように前記デューティ比を調整させる調整ステップと、を含み、
前記設定ステップにおいて、前記ホスト制御部は、
前記表示制御部に前記映像データを転送しない場合、前記表示制御部に対して、前記映像データを転送しない期間中、前記表示パネルが発光を継続するように前記デューティ比を設定させ、
前記表示制御部に前記映像データを転送する場合、前記表示制御部に対して、前記映像データを転送する期間中、前記表示パネルが非発光となる期間を1回以上設定するように前記デューティ比を設定させることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示制御装置を備えた表示装置、表示制御装置の制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マトリクスに配置された画素を構成する電気光学素子には、電流駆動型の有機EL(Electro luminescence)素子がよく知られている。近年においては、表示装置が組み込まれたディスプレイを大型化かつ薄型化できるとともに、表示される映像の鮮やかさに注目されて、画素に有機ELを含んだ有機ELディスプレイの開発が盛んに行われている。
【0003】
特に、電流駆動型の電気光学素子を、個別に制御する薄膜トランジスタ(TFT)等のスイッチ素子とともに各画素に設け、画素ごとに電気光学素子を制御するアクティブマトリクス型の表示装置とされることが多い。アクティブマトリクス型の表示装置とすることによって、パッシブ型の表示装置よりも高精細な映像表示を行うことができるからである。
【0004】
ここで、アクティブマトリクス型の表示装置では、行ごとに水平方向に沿って形成された接続ラインと、列ごとに垂直方向に沿って形成されたデータライン、および電源ラインが設けられて構成されている。各画素は、電気光学素子と、接続トランジスタ、駆動トランジスタ、および容量を備えている。接続ラインに電圧が印加されることで接続トランジスタをオンとし、データライン上のデータ電圧(データ信号)を容量に充電することでデータを書き込むことができる。そして、容量に充電されたデータ電圧によって駆動トランジスタをオンして電源ラインからの電流を電気光学素子に流すことで画素を発光させることができる。
【0005】
さらに、アクティブマトリクス型の表示装置は、表示装置上に配列された画素をデータ信号に従って発光させて映像を形成する場合、以下のように動画等を表示することができる。例えば、接続ラインが一回の垂直方向への走査で当該映像が形成される1フレームを特定の周波数(特定周波数)で駆動することで動画等を表示することができる。
【0006】
ここで、アクティブマトリクス型の表示装置において表示ボヤケ・残像感を低減するための一般的な方法としては、前記表示装置を疑似インパルス駆動させることが挙げられる。疑似インパルス駆動は、1フレーム期間中に表示装置が非発光となる非発光期間を一定期間以上設定する表示装置の発光態様である。1フレーム期間は、映像が所定のフレームレートで表示装置に表示される期間である。
【0007】
しかしながら、疑似インパルス駆動は、ホールド駆動に比べて表示装置の表示輝度が低下することから、表示装置の視認性確保が困難になる。この問題を解決するために疑似インパルス駆動でホールド駆動と同一の表示輝度を確保しようとした場合、表示装置の消費電力が増大し、かつ、表示装置に掛かる負荷が増大して当該表示装置の経年劣化を引き起こし易くなる。ホールド駆動は、表示装置の発光を1フレーム期間中継続させる表示装置の発光態様である。
【0008】
上述の通り、ホールド駆動、疑似インパルス駆動ともに問題点がある。ホールド駆動の問題点および疑似インパルス駆動の問題点の双方を解決するための技術に関しては、例えば特許文献1に、フレームレートが異なる2つの動画像データを生成する発光装置が開示されている。具体的には、特許文献1の発光装置は、第1フレームレートで表示される第1動画像データおよび第2フレームレートで表示される第2動画像データを生成し、出力する。そして、前記の発光装置は、第2フレームレートに応じて選定された発光デューティ比で各発光素子を発光させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-333288号公報(2006年12月7日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、ホールド駆動で問題となる表示ボヤケおよび疑似インパルス駆動で問題となるフリッカを解決するための技術である。そのため、特許文献1に開示された技術には、疑似インパルス駆動で問題となる発光装置の消費電力の増大および経年劣化を十分に解決できないという問題点があった。
【0011】
本発明の一態様は前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示装置について、表示品位の向上、低消費電力化および経年劣化の低減を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示制御装置は、表示パネルを有する表示装置を制御する表示制御装置であって、前記表示パネルに表示される映像の映像データを取得または生成するホスト制御部と、前記ホスト制御部から転送された前記映像データを前記表示パネルに出力する表示制御部と、を備え、前記ホスト制御部は、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合であるデューティ比について、前記映像のフレームレートが高くなれば、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を設定し、前記表示制御部に対して、前記表示パネルが前記適正デューティ比で発光するように前記デューティ比を調整させる構成である。
【0013】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示制御装置の制御方法は、表示パネルを備えた表示装置を制御する表示制御装置の制御方法であって、前記表示制御装置は、前記表示パネルに表示される映像の映像データを取得または生成するホスト制御部と、前記ホスト制御部から転送された前記映像データを前記表示パネルに出力する表示制御部と、を備え、前記ホスト制御部に対して、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合であるデューティ比について、前記映像のフレームレートが高くなれば、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を設定させる設定ステップと、前記表示制御部に対して、前記表示パネルが前記適正デューティ比で発光するように前記デューティ比を調整させる調整ステップと、を含んでいる構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、表示装置について、アプリケーションソフトウェア(以下、「アプリ」と略記)に応じて、表示品位の向上、低消費電力化および経年劣化の低減を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1~3に係る携帯端末の概要構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1~3に係る表示装置の概要構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態1に係る表示装置のホールド駆動および疑似インパルス駆動の一例を示すタイミングチャートである。図3の符号501で示す図は、ホールド駆動から疑似インパルス駆動に切り替えたときのタイミングチャートである。図3の符号502で示す図は、疑似インパルス駆動からホールド駆動に切り替えたときのタイミングチャートである。
図4】本発明の実施形態1に係る表示装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態1に係る携帯端末の記憶装置に記憶されたデータテーブルの一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態2に係る表示装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態2に係る表示装置におけるデューティ比の調整を示すグラフおよびタイミングチャートの一例である。
図8】本発明の実施形態2に係る表示装置におけるデューティ比の調整を示すグラフおよびタイミングチャートの他の例である。
図9】本発明の実施形態2に係る表示装置におけるデューティ比の調整の変形例を示すグラフおよびタイミングチャートである。
図10】本発明の実施形態3に係る表示装置の動作の流れを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先に説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0017】
〔実施形態1〕
<携帯端末100の概要構成>
図1に基づき、本発明の実施形態1に係る携帯端末100の概要構成について説明する。携帯端末100は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末またはPC(Personal Computer)である。本実施形態では、携帯端末100としてスマートフォンを例に挙げて説明する。このことは、後述の携帯端末200および300についても同様である。携帯端末100は、図1に示すように、表示装置10、通信装置20および記憶装置30を備えている。
【0018】
表示装置10は、表示パネル4(図2参照)の表示画面に各種の映像を表示する。表示画面に表示される映像には、ゲームのアプリの映像の他、SNS(Social Networking Service)、カメラ、テレビなどの各アプリの映像も含まれる。また、表示装置10に内蔵された表示制御装置1(図2参照)は、CPU(Central Processing Unit)2を備えている。CPU2は、表示制御装置1のホスト側の制御(例えば携帯端末100のための制御)を主に担う。つまり、CPU2は、携帯端末100に備えられた各装置および各部を統括的に制御する。CPU2は、表示制御装置1の外部に設けられていてもよいし、表示装置10の外部に設けられていてもよい。CPU2の詳細については後述する。
【0019】
通信装置20は、不図示の外部通信装置とインターネット接続等するための機能全般を有しており、外部通信装置との間で各種データを送受信する。記憶装置30には、携帯端末100が動作するのに必要な各種のプログラムおよびデータが記憶されている。また、ユーザは、記憶装置30に各種のデータ等を記憶させることができる。
【0020】
<表示装置10の概要構成>
図2に基づき、本発明の実施形態1に係る表示装置10の概要構成について説明する。表示装置10は、図2に示すように、表示制御装置1および表示パネル4を少なくとも備えている。
【0021】
(表示制御装置1)
表示制御装置1は、図2中の破線で囲まれた範囲内の装置であり、表示装置10に備えられた各装置および各部を統括的に制御する。表示制御装置1は、CPU2およびタイミングジェネレータ3を備えている。CPU2は本発明に係るホスト制御部の一例であり、タイミングジェネレータ3は本発明に係る表示制御部の一例である。
【0022】
CPU2は、表示パネル4の表示画面に表示するための映像データを取得する。本実施形態以下の各実施形態では、映像データとして、動映像の中の1つのフレームの映像を表すデータを例に挙げて説明する。また、CPU2は、映像データを表示画面に表示するタイミングを示す映像更新フラグ(タイムリファレンス)を取得する。
【0023】
映像データおよび映像更新フラグは、例えば表示装置10内で起動され実行中のアプリによって生成される。また例えば、映像データおよび映像更新フラグは、インターネット接続を介したデータストリーミングまたは放送波に含まれる。
【0024】
なお、携帯端末100は、GPU(Graphics Processing Unit)を備えていてもよい。GPUは、3Dグラフィックス等の映像描写を行う際に必要となる計算処理を実行する。携帯端末100はGPUを備えている場合、CPU2は、GPUが生成した映像データおよび映像更新フラグを取得してもよい。さらには、CPU2が、アプリケーション等の指示に基づいて映像データおよび映像更新フラグを生成してもよい。
【0025】
CPU2は、取得した映像データを不図示のホストメモリに記憶させる。ホストメモリは、VRAM(Video Random Access Memory)等で構成される記憶装置であり、CPU2に内蔵されていてもよいし、CPU2の外部に設けられていてもよい。
【0026】
CPU2は、映像データ転送部21、フレームレート設定部22およびデューティ比設定部23を備えている。映像データ転送部21は、CPU2が映像更新フラグを取得すると、ホストメモリから映像データを読み出してタイミングジェネレータ3に転送する。タイミングジェネレータ3に転送される映像データの形式は、表示パネル4の表示画面に表示できる形式であれば特に限定されない。
【0027】
映像データ転送部21は、映像更新が必要なときのみ(言い換えれば映像の内容が変化するときのみ)、更新される映像の映像データをタイミングジェネレータ3に転送する。映像データの転送は、例えばMIPI(ミピ:Mobile Industry Processor Interface)等のモバイル機器のデータ通信仕様に従って行われる。なお、映像データ転送部21は、映像データと共に同期信号をタイミングジェネレータ3に転送する。
【0028】
映像データ転送部21は、映像データをタイミングジェネレータ3に転送する際、映像データを所定の周波数[Hz]、言い換えれば所定のフレームレートで転送する。所定のフレームレートは、フレームレート設定部22で設定される。映像データ転送部21は、フレームレート設定部22からの指示を受け付けることにより、映像データを所定のフレームレートでタイミングジェネレータ3に転送する。
【0029】
フレームレート設定部22は、タイミングジェネレータ3から表示パネル4に出力される映像データのフレームレートを所定の値に設定して、タイミングジェネレータ3にフレームレート制御信号を出力する。フレームレート制御信号は、タイミングジェネレータ3に対して映像データのフレームレートを所定の値に設定させるための制御信号である。
【0030】
デューティ比設定部23は、フレームレート設定部22が所定の値に設定したフレームレートに応じて、表示パネル4のデューティ比を所定の値に設定する。デューティ比は、表示パネル4の表示画面に表示される映像に関し、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合である。デューティ比を所定の値に設定したデューティ比設定部23は、タイミングジェネレータ3にデューティ比制御信号を出力する。デューティ比制御信号は、タイミングジェネレータ3に対して表示パネル4のデューティ比を所定の値に調整させるための制御信号である。
【0031】
タイミングジェネレータ3は、例えば、表示パネル4のガラス基板にCOG(Chip on Glass)実装された、いわゆるCOGドライバであり、CPU2からの指示に基づいて表示パネル4を駆動する。なお、タイミングジェネレータ3はCOGドライバでなくてもよく、例えばCOF(Chip on Film)ドライバまたはCOP(Chip on Plastic)ドライバであってもよい。また例えば、タイミングジェネレータ3は、COGドライバ内の一機能であってもよいし、CPU2内の一機能であってもよい。タイミングジェネレータ3は、CPU2の映像データ転送部21から転送された映像データを不図示のメモリに記憶させる。メモリは、次回の映像更新が行われるまで、言い換えれば映像の内容が変化しない限り、表示データを保持し続ける。
【0032】
タイミングジェネレータ3は、フレームレート設定部22から受け取ったフレームレート制御信号に基づき、メモリから映像データを読み出して当該映像データを所定のフレームレートで表示パネル4に出力する。また、タイミングジェネレータ3は、フレームレートに関係なく、映像の内容が変化したとき(言い換えれば映像データ転送部21から映像データが転送されたとき)も、メモリから映像データを読み出して当該映像データを表示パネル4に出力する。
【0033】
タイミングジェネレータ3は、デューティ比調整部31を備えている。タイミングジェネレータ3は、デューティ比設定部23から受け取ったデューティ比制御信号に基づき、デューティ比調整部31にて、表示パネル4のデューティ比を所定の値に調整する。デューティ比を所定の値に調整したデューティ比調整部31は、表示パネル4に発光制御信号を出力する。発光制御信号は、表示パネル4を所定の値のデューティ比で発光させるための制御信号である。
【0034】
また、タイミングジェネレータ3は、表示パネル4を駆動するための各種のタイミング信号およびデータ信号(映像を表すソース信号データ)を生成し、これらの信号を表示パネル4に出力する。
【0035】
(表示パネル4)
表示パネル4は、複数の画素を有する表示画面、ソースドライバ、およびゲートドライバ等を備える。表示パネル4は、例えば、アクティブマトリクス型表示パネルとしての酸化物半導体表示パネルである。酸化物半導体表示パネルとは、二次元的に配列された複数の画素の少なくとも1つ毎に対応して設けられたスイッチング素子に、酸化物半導体-TFT(thin film transistor)を採用した表示パネルである。酸化物半導体-TFTは、半導体層に酸化物半導体が用いられたTFTである。酸化物半導体としては、例えば、インジウム・ガリウム・亜鉛の酸化物を用いた酸化物半導体(InGaZnO系酸化物半導体)がある。
【0036】
酸化物半導体-TFTは、オン状態において流れる電流が大きく、オフ状態におけるリーク電流が小さい。また、酸化物半導体-TFTは、スイッチのオフ特性がよく、スイッチをオフにしたときに電荷の漏れ量が小さく、電荷の保持特性に優れている。そのため、スイッチング素子に、酸化物半導体-TFTを採用したことにより、表示パネル4の表示画面に表示された映像のリフレッシュレートを1Hz程度にまで低減させることができる。リフレッシュレートの低減は、省電力効果をもたらす。
【0037】
なお、本実施形態以下の各実施形態では、画素の表示素子は有機EL(electroluminescence)表示素子であるものとして説明するが、有機EL表示素子以外の表示素子であってもよい。例えば、表示パネル4が液晶表示パネルの場合、表示装置10は、表示パネル4の背面にバックライトを備える。つまり、本明細書において「表示パネル4が発光する」とは、表示パネル4自体が発光する場合の他、バックライト等の発光装置が発光することによって表示パネル4が発光する場合も含む概念である。
【0038】
<表示装置10のホールド駆動および疑似インパルス駆動>
図3に基づき、表示装置10のホールド駆動および疑似インパルス駆動について説明する。表示装置10は、図3に示すように、タイミングジェネレータ3のデューティ比調整部31にて表示パネル4のデューティ比を調整することにより、表示パネル4の発光態様をホールド駆動と疑似インパルス駆動とに切り替える。図3の符号501で示す図は、表示パネル4の発光態様をホールド駆動から疑似インパルス駆動に切り替えたときの一例を示すものである。図3の符号502で示す図は、表示パネル4の発光態様を疑似インパルス駆動からホールド駆動に切り替えたときの一例を示すものである。
【0039】
ホールド駆動は、表示パネル4の発光を1フレーム期間中継続させる表示パネル4の発光態様である。本実施形態以下の各実施形態では、ホールド駆動における表示パネル4のデューティ比を略100%とする。なぜなら、厳密に言えば、ホールド駆動においても表示パネル4に微小な非発光期間が生じるためである。なお以下の説明では、説明の簡略化のため、「デューティ比100%」とはデューティ比が略100%であることを意味するものとする。図面中の「デューティ比100%」の意味についても同様である。
【0040】
1フレーム期間は、映像が所定のフレームレートで表示パネル4に表示される期間である。疑似インパルス駆動は、1フレーム期間中に表示パネル4が非発光となる非発光期間を一定期間以上設定する表示パネル4の発光態様である。疑似インパルス駆動における表示パネル4のデューティ比は任意に調整することができ、表示パネル4に表示される映像のフレームレートに応じて例えばデューティ比50%または70%などに調整する。
【0041】
また、表示装置10は、表示パネル4の発光態様をホールド駆動または疑似インパルスに切り替えた後、デューティ比調整部31にてデューティ比を切り替え後の値に維持することにより、切り替え後の発光態様を維持する。デューティ比調整部31は、フレームレート設定部22がフレームレートを設定変更後の値に維持する間は、デューティ比を切り替え後の値に維持する。表示パネル4の発光態様の切り替えおよび維持は、いずれも表示パネル4がデューティ比調整部31から出力された発光制御信号を受け取ることによって行われる。
【0042】
例えば、表示装置10が、ホールド駆動中に表示品位の向上が求められるアプリをフォアグラウンドで起動したら、表示装置10は表示パネル4の発光態様をホールド駆動から疑似インパルス駆動に切り替える。また例えば、表示装置10が、疑似インパルス駆動中、表示品位の向上よりも低消費電力化を優先すべきアプリをフォアグラウンドで起動したら、表示装置10は表示パネル4の発光態様を疑似インパルス駆動からホールド駆動に切り替える。
【0043】
<表示装置10の動作>
図4および図5に基づき、表示装置10の動作の流れについて説明する。なお、本実施形態以下の各実施形態では、表示制御装置1のCPU2が、表示装置10内で起動され実行中のアプリで生成された映像データを取得する場合を例に挙げて説明する。
【0044】
まず、ステップS(以下、「ステップ」は省略する)101では、携帯端末100が通信装置20を通じて特定のアプリをインストールする。インストールされたアプリには、該アプリの名称、コンテンツおよびカテゴリなどの各種の情報が含まれている。カテゴリの情報は、ゲーム、ニュース等のアプリがどのようなカテゴリに属しているのかを示す情報である。インストールされたアプリは、記憶装置30に一旦記憶される。表示装置10が、記憶装置30からアプリを読み出して当該アプリを表示装置10内で起動・実行することにより、S102に進む。
【0045】
次に、S102では、CPU2のフレームレート設定部22が、タイミングジェネレータ3から表示パネル4に出力される映像データのフレームレートを所定の値に設定する。具体的には、フレームレート設定部22は、記憶装置30からアプリのフレームレートに関するフレームレート情報を読み出し、フレームレート情報に含まれるフレームレートの値を映像データのフレームレートとして設定する。
【0046】
ここで、フレームレート情報に含まれるフレームレートの値が変わる毎に、フレームレート設定部22が設定する映像データのフレームレートの値も変更される。なお、後述するデータテーブルのデューティ比は、データテーブルのアプリのフレームレート、言い換えればデータテーブルのアプリと一致するインストールされたアプリのフレームレートに応じて設定されている。そのため、フレームレート情報に含まれるフレームレートの値が変わる毎に、後述する適正デューティの値も変更される。フレームレート設定部22が映像データのフレームレートを設定することにより、S103に進む。
【0047】
次に、S103では、デューティ比設定部23が、記憶装置30に記憶された図5に示すデータテーブルを読み出す。データテーブルには、図5に示す「1stアプリ、2ndアプリ、3rdアプリ、4thアプリ、…」のように、アプリ毎に当該アプリのカテゴリと表示パネル4の発光態様(ホールド駆動または疑似インパルス駆動)とが対応付けられて記憶されている。
【0048】
本実施形態では、アプリ毎の表示パネル4の発光態様は、各々のアプリのカテゴリに応じて予め設定され、データテーブルに記憶される。例えば、図5に示す「1stアプリ」および「4thアプリ」は、カテゴリが「ゲーム」で他のカテゴリのアプリよりもフレームレートが高い。そのため、「1stアプリ」および「4thアプリ」は、表示品位の向上の観点から表示パネル4の発光態様が「疑似インパルス駆動」に設定されている。
【0049】
また、図5に示す例では、図示しないものの「1stアプリ」よりも「4thアプリ」の方がフレームレートが低くなっている。そのため、「4thアプリ」よりも「1stアプリ」の方が表示品位の向上の要請が高いことから、「4thアプリ」のデューティ比(70%)よりも「1stアプリ」のデューティ比(50%)の方が値が小さくなっている。
【0050】
一方、図5に示す「2ndアプリ」はカテゴリが「仕事効率化」であり、「3rdアプリ」はカテゴリが「ニュース」である。これらのカテゴリのアプリは、カテゴリが「ゲーム」のアプリなどに比べてフレームレートが高く設定されていない。そのため、「2ndアプリ」および「3rdアプリ」は、表示品位の向上よりも表示装置10の低消費電力化等に重点を置いて、表示パネル4の発光態様が「ホールド駆動」に設定されている。
【0051】
なお、データテーブルへの表示パネル4の発光態様の設定は、本実施形態の例に限定されない。例えば、ユーザが好みに応じて、データテーブルに設定された表示パネル4の発光態様を適宜設定変更してもよい。この場合、表示パネル4の発光態様の設定変更は、例えば携帯端末100に設けられた不図示の操作入力部でのユーザ入力をCPU2が受け付けることにより、CPU2が、データテーブルに設定された表示パネル4の発光態様を変更する。
【0052】
また、表示パネル4の発光態様をアプリのカテゴリの情報に基づいて設定しなくてもよい。例えば、アプリのコンテンツの情報に基づいて表示パネル4の発光態様をデータテーブルに設定してもよい。つまり、アプリのフレームレートを推認・特定できるような情報であれば、アプリに係るどのような情報に基づいて表示パネル4の発光態様をデータテーブルに設定してもよい。
【0053】
データテーブルを読み出したデューティ比設定部23は、携帯端末100にインストールされたアプリとデータテーブルに記憶されたアプリとを照合する。具体的には、デューティ比設定部23は、記憶装置30からインストールされたアプリの名称およびカテゴリに関する各情報を読み出し、データテーブルに記憶されたアプリの名称およびカテゴリと照合する。デューティ比設定部23が、データテーブルの中からインストールされたアプリと一致するアプリを見つけ出すことにより、S104に進む。
【0054】
次に、S104では、デューティ比設定部23が、表示パネル4のデューティ比を、インストールされたアプリと一致するデータテーブルのアプリのデューティ比に設定する。S104は、本発明に係る設定ステップの一例である。具体的には、データテーブルには、図5に示すように表示パネル4の発光態様と併せてデューティ比も記憶されている。そのため、デューティ比設定部23は、インストールされたアプリと一致するアプリをデータテーブルの中から見つけ出すことができれば、自動的に表示パネル4のデューティ比を設定することができる。
【0055】
このようにして設定された表示パネル4のデューティ比が、適正デューティ比となる。ここで、データテーブルのデューティ比は、データテーブルのアプリのフレームレートに応じて設定されている。よって、デューティ比設定部23の「インストールされたアプリとデータテーブルのアプリとを照合して表示パネル4のデューティ比を設定する」処理は、インストールされたアプリのフレームレートに応じて表示パネル4のデューティ比を設定する処理と言える。
【0056】
以上のことから、適正デューティ比は、インストールされたアプリが生成する、言い換えればCPU2が取得する映像データのフレームレートに応じて設定されたデューティ比と言える。具体的には、適正デューティ比は、映像のフレームレートが高くなれば、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が低くなるように設定され、映像のフレームレートが低くなれば、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が高くなるように設定される。デューティ比設定部23がタイミングジェネレータ3にデューティ比制御信号を出力することにより、S105に進む。
【0057】
次に、S105では、デューティ比制御信号を受け取ったタイミングジェネレータ3のデューティ比調整部31が、表示パネル4のデューティ比を所定の値、言い換えれば適正デューティ比になるように調整する。S105は、本発明に係る調整ステップの一例である。S106の処理が完了することにより、表示装置10の一連の動作が完了する。
【0058】
なお、表示装置10は、ゲームのアプリ等のフレームレートが高いアプリで生成された映像が、高い表示品位で表示されることを主目的とするものである。そのため表示制御装置1は、CPU2が、映像のフレームレートが高くなれば、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を設定するものであればよい。言い換えれば、CPU2は、映像のフレームレートが低くなっても、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が高くなるように適正デューティ比を設定する必要は必ずしもない。
【0059】
また、表示装置10は、本実施形態で例示したゲームのアプリに限らず、例えばユーザ設定された一部のアプリ(ゲームのアプリ以外)についても、CPU2が適正デューティ比を設定してもよい。具体的には、CPU2が前記の一部のアプリについても、映像のフレームレートが高くなれば、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を設定するようにしてもよい。このようにして、前記の一部のアプリについても、フレームレートが高いアプリで生成された映像を高い表示品位で表示させることができることは言うまでもない。
【0060】
さらには、スクロールを多用するツール(設定メニューなど)についても、CPU2が、映像のフレームレートが高くなれば、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を設定してもよい。このようにして、スクロールを多用するツールの映像を高い表示品位で表示させることができることも言うまでもない。
【0061】
さらに付言すれば、表示装置10は、CPU2が、アプリの必要性によってはフレームレートが高い状態にあっても映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合を低くしなくてもよい。例えば、CPU2が、フレームレートが高い状態でも適正デューティ比を100%(ホールド駆動)に設定することも可能である。このようなデューティ比の調整の必要性があるアプリとしては、例えばHomeアプリを挙げることができる。
【0062】
〔実施形態2〕
<携帯端末200および表示装置10aの概要構成>
図1に基づき、本発明の実施形態2に係る携帯端末200の概要構成について説明する。また、図2に基づき、本発明の実施形態2に係る表示装置10aの概要構成について説明する。携帯端末200は、図1に示す照度センサ40を備えている点で、本発明の実施形態1に係る携帯端末100および本発明の実施形態3に係る携帯端末300と異なる。
【0063】
照度センサ40は、携帯端末200の周囲の照度を検知する装置であり、本発明に係る照度検知部の一例である。なお、照度センサ40は携帯端末200に内蔵されている必要は必ずしもなく、携帯端末200の外部に設けられていてもよい。本発明に係る照度検知部を携帯端末200の外部に設ける場合、照度センサ40の替わりに例えば通信装置を備えた照度計を設けてもよい。この場合、照度計で計測された携帯端末200の周囲の照度に関するデータが、照度計の通信装置から携帯端末200の通信装置20に送信されることにより、携帯端末200は前記照度に関するデータを取得する。
【0064】
また、本発明に係る照度検知部として、照度センサ40の替わりにカメラを用いてもよい、この場合、カメラは、露光を検知することにより携帯端末200の周囲の照度を検知する。カメラは、携帯端末200に内蔵されていてもよいし、携帯端末200の外部に設けられていてもよい。
【0065】
表示装置10aは、表示制御装置1に替えて図2に示す表示制御装置1aを備えている点で、本発明の実施形態1に係る表示装置10および本発明の実施形態3に係る表示装置10bと異なる。表示制御装置1aは、CPU2が図2に示す照度比較部24を備えている点で、本発明の実施形態1に係る表示制御装置1および本発明の実施形態3に係る表示制御装置1bと異なる。
【0066】
照度比較部24は、照度センサ40によって検知された携帯端末200の周囲の照度と基準照度とを比較する。基準照度は、表示パネル4のデューティ比を調整するか否かを判断する際の基準となる照度であり、例えば携帯端末200の主たる使用環境の照度等に応じて任意に設定することができる。基準照度は、記憶装置30またはCPU2のホストメモリに予め記憶される。照度比較部24は、比較結果をデューティ比設定部23に出力する。
【0067】
デューティ比設定部23は、適正デューティ比の設定に加えて、受け取った比較結果に応じて表示パネル4のデューティ比を設定または維持する。比較結果に応じて表示パネル4のデューティ比を設定または維持したデューティ比設定部23は、タイミングジェネレータ3にデューティ比制御信号を出力する。
【0068】
デューティ比制御信号を受け取ったタイミングジェネレータ3のデューティ比調整部31は、表示パネル4のデューティ比を、デューティ比設定部23が比較結果に応じて設定または維持したデューティ比になるように調整する。
【0069】
<表示装置10aの動作>
図6図9に基づき、表示装置10aの動作の流れを説明する。本実施形態では、基準照度として30000[lux]が設定されている場合(携帯端末200の使用環境として曇天の屋外を想定)を例に挙げて説明する。
【0070】
まず、S201では、照度センサ40が携帯端末200の周囲の照度を検知する。照度センサ40が検知結果をCPU2の照度比較部24に出力することにより、S202に進む。次に、S202では、検知結果を受け取った照度比較部24が、記憶装置30またはCPU2のホストメモリから基準照度(30000[lux])読み出す。そして、照度比較部24は、検知結果と読み出した基準照度とを比較して、検知結果が基準照度を超えるか否かを判定する。
【0071】
検知結果が基準照度を超えた場合、言い換えればS202でYESの場合、S203に進む。S203では、検知結果が基準照度を超えた旨の比較結果を受け取ったデューティ比設定部23が、表示パネル4のデューティ比を100%に設定してデューティ比制御信号をタイミングジェネレータ3に出力する。デューティ比制御信号受け取ったタイミングジェネレータ3のデューティ比調整部31は、受け取ったデューティ比制御信号に基づいて表示パネル4のデューティ比を100%に調整する。
【0072】
例えば、図7に示すように、デューティ比調整部31による調整前の表示パネル4のデューティ比が50%の場合、携帯端末200の周囲の照度が基準照度を超えるまでは、表示装置10aは表示パネル4のデューティ比を50%に維持する。そして、前記携帯端末200の周囲の照度が基準照度を超えると、表示装置10aは表示パネル4のデューティ比を50%から100%に切り替える。
【0073】
一方、検知結果が基準照度以下の場合、言い換えればS202でNOの場合、S204に進む。S204では、検知結果が基準照度以下である旨の比較結果を受け取ったデューティ比設定部23が、表示パネル4のデューティ比を50%に設定してデューティ比制御信号をタイミングジェネレータ3に出力する。デューティ比制御信号受け取ったデューティ比調整部31は、受け取ったデューティ比制御信号に基づいて表示パネル4のデューティ比を50%に調整する。
【0074】
例えば、図8に示すように、デューティ比調整部31による調整前の表示パネル4のデューティ比が100%の場合、携帯端末200の周囲の照度が基準照度以下になるまでは、表示装置10aはデューティ比を100%に維持する。そして、前記携帯端末200の周囲の照度が基準照度以下になると、表示装置10aは表示パネル4のデューティ比を100%から50%に切り替える。
【0075】
なお、携帯端末200の周囲の照度と基準照度との比較結果に応じた表示パネル4のデューティ比の調整は、上述のような50%と100%との切り替えに限定されない。表示パネル4のデューティ比における切り替え前後の数値は任意に設定できる。S203またはS204の処理が完了することにより、表示装置10aの一連の処理が完了する。
【0076】
(変形例)
表示装置10aは、基準照度を複数設定して表示パネル4のデューティ比を段階的に調整してもよい。例えば、図9に示すように、第1基準照度(30000[lux])および第2基準照度(40000[lux])を設定して、表示パネル4のデューティ比を2段階に調整してもよい。
【0077】
例えば図9に示すように、デューティ比調整部31による調整前の表示パネル4のデューティ比が50%の場合、携帯端末200の周囲の照度が第1基準照度を超えるまでは、表示装置10aはデューティ比が50%を維持する。そして、携帯端末200の周囲の照度が第1基準照度を超えると、表示装置10a(具体的にはデューティ比調整部31)は、表示パネル4のデューティ比を50%から75%に切り替える。
【0078】
さらに、携帯端末200の周囲の照度が第2基準照度を超えるまでは、表示装置10aはデューティ比75%を維持する。最後に、携帯端末200の周囲の照度が第2基準照度を超えると、表示装置10aは、表示パネル4のデューティ比を75%から100%に切り替える。
【0079】
〔実施形態3〕
図10に基づき、本発明の実施形態3に係る表示装置10bの動作の概要および流れを説明する。なお、本発明の実施形態3に係る携帯端末300、表示装置10bおよび表示制御装置1bの概要構成は、本発明の実施形態1に係る携帯端末100、表示装置10および表示制御装置1と同様である。
【0080】
<表示装置10bの動作の概要>
表示装置10bは、表示制御装置1bのCPU2が、映像データの転送の有無に応じて、タイミングジェネレータ3に対して表示パネル4のデューティ比を調整させる点で、表示装置10および10aと異なる。なお本実施形態では、表示装置10bが、映像データの転送の有無に応じた表示パネル4のデューティ比の調整を、適正デューティ比への調整(実施形態1参照)とともに行う形態を想定している。但し、表示装置10bによるデューティ比の調整は前記の形態に限定されない。表示装置10bによるデューティ比の調整には、例えば前記の2つの調整に加えて、さらに、携帯端末300の周囲の照度と基準照度との比較結果に応じて表示パネル4のデューティ比を調整(実施形態2参照)する形態も含まれる。
【0081】
具体的には、CPU2の映像データ転送部21がタイミングジェネレータ3に映像データを転送しない場合、CPU2のデューティ比設定部23は、映像データが転送されない期間中、表示パネル4が発光を継続するように表示パネル4のデューティ比を設定する。言い換えれば、デューティ比設定部23は、映像データ転送部21が映像データを転送しない期間中は表示パネル4のデューティ比を100%に設定する。
【0082】
表示パネル4のデューティ比を100%に設定したデューティ比設定部23は、デューティ比制御信号をタイミングジェネレータ3に出力する。デューティ比制御信号を受け取ったタイミングジェネレータ3のデューティ比調整部31は、表示パネル4のデューティ比を100%に調整する。
【0083】
一方、映像データ転送部21がタイミングジェネレータ3に映像データを転送する場合、デューティ比設定部23は、映像データが転送される期間中、表示パネル4が非発光となる期間を1回以上設定するように表示パネル4のデューティ比を設定する。本実施形態では、図10に示すように、映像データが転送されない期間中はデューティ比設定部23が表示パネル4のデューティ比を50%に設定する場合を例に挙げて説明する。
【0084】
表示パネル4のデューティ比を50%に設定したデューティ比設定部23は、デューティ比制御信号をタイミングジェネレータ3に出力する。デューティ比制御信号を受け取ったタイミングジェネレータ3のデューティ比調整部31は、表示パネル4のデューティ比を50%に調整する。
【0085】
<表示装置10bの動作の流れ>
図10に示すように、表示装置10b内で起動され実行中のアプリが映像データα、β、γおよびδを生成すると、CPU2はこれらの映像データを取得する。そして、映像データ転送部21は、映像データα、β、γおよびδを順次、1フレーム毎にタイミングジェネレータ3に転送する。
【0086】
デューティ比設定部23は、映像データ転送部21が映像データα、β、γおよびδを転送している期間中、表示パネル4のデューティ比を50%に設定する。デューティ比設定部23およびデューティ比調整部31のその後の動作の流れは、上述した流れと同様である。
【0087】
次に、前記のアプリが、映像データδを生成して以降しばらくの期間、映像データを生成しなくなると、CPU2は映像データを取得できなくなり、映像データ転送部21も映像データを転送できなくなる。デューティ比設定部23は、映像データ転送部21が映像データを転送しない期間中、表示パネル4のデューティ比を100%に設定する。デューティ比設定部23およびデューティ比調整部31のその後の動作の流れは、上述した流れと同様である。
【0088】
次に、前記のアプリが、映像データδを生成して以降しばらく経ってから映像データεを生成すると、CPU2は映像データεを取得する。そして、映像データ転送部21は、映像データεをタイミングジェネレータ3に転送する。デューティ比設定部23は、映像データ転送部21が映像データの転送を再開したので、表示パネル4のデューティ比を再び50%に設定する。デューティ比設定部23およびデューティ比調整部31のその後の動作の流れは、上述した流れと同様である。
【0089】
〔ソフトウェアによる実現例〕
表示制御装置1、1aおよび1bの制御ブロック(特にCPU2およびタイミングジェネレータ3)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0090】
後者の場合、表示制御装置1、1aおよび1bは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
【0091】
前記プロセッサとしては、例えばCPUを用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0092】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示制御装置(1、1a、1b)は、表示パネル(4)を有する表示装置(10、10a、10b)を制御する表示制御装置であって、前記表示パネルに表示される映像の映像データ(α、β、γ、δ、ε)を取得または生成するホスト制御部(CPU2)と、前記ホスト制御部から転送された前記映像データを前記表示パネルに出力する表示制御部(タイミングジェネレータ3)と、を備え、前記ホスト制御部は、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合であるデューティ比について、前記映像のフレームレートが高くなれば、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を設定し、前記表示制御部に対して、前記表示パネルが前記適正デューティ比で発光するように前記デューティ比を調整させる構成である。
【0093】
前記構成によれば、ホスト制御部は、映像のフレームレートが高くなれば、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を決定できる。そのため、他のアプリよりも映像のフレームレートが高いゲームアプリの実行時など表示装置の表示品位の向上が求められる場合において、表示ボヤケ・残像感の低減を図ることができる。
【0094】
本発明の態様2に係る表示制御装置は、前記態様1において、前記ホスト制御部は、前記映像のフレームレートが低くなれば、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合が高くなるように適正デューティ比を決定してもよい。
【0095】
前記構成によれば、ホスト制御部は、映像のフレームレートが低くなれば、映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が高くなるように適正デューティ比を決定できる。そのため、表示ボヤケ・残像感があまり問題にならない場合では、表示装置の低消費電力化を実現できるとともに、表示装置に掛かる負荷を低減して経年劣化を低減することができる。
【0096】
本発明の態様3に係る表示制御装置(1a)は、前記態様1または2において、前記ホスト制御部はさらに、照度検知部(照度センサ40)によって検知された前記表示装置(10a)の周囲の照度と、基準照度と、を比較し、前記表示制御部に対して、比較結果に応じて前記デューティ比を調整させてもよい。
【0097】
前記構成によれば、ホスト制御部は、表示装置の周囲の照度が基準照度よりも高ければ、表示制御部に対して映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が調整前よりも高くなるようにデューティ比を調整させることができる。そのため、表示装置を屋外で使用するなど表示ボヤケ・残像感の低減よりも表示装置の視認性確保の方が重要となる使用環境下では、表示装置の表示輝度を上げて表示装置の視認性を確保することができる。
【0098】
また、ホスト制御部は、表示装置の周囲の照度が基準照度以下であれば、表示制御部に対して映像の表示時間に対する映像の発光時間の割合が調整前よりも低くなるようにデューティ比を調整させることができる。そのため、表示装置を屋内で使用するなど表示装置の視認性確保よりも表示ボヤケ・残像感の低減の方が重要となる使用環境下では、表示装置のデューティ比を調整前よりも下げて表示ボヤケを低減することができる。以上より、表示装置の周囲の照度に拘らず、表示装置の表示品位の向上を図ることができる。
【0099】
本発明の態様4に係る表示制御装置は、前記態様3において、前記ホスト制御部は、前記表示装置の周囲の照度が前記基準照度よりも高ければ、前記映像が所定の前記フレームレートで表示される1フレーム期間中、前記表示制御部に対して前記表示パネルが発光を継続するように前記デューティ比を調整させてもよい。
【0100】
前記構成によれば、ホスト制御部は、表示ボヤケ・残像感の低減よりも表示装置の視認性確保の方が重要となる使用環境下において、表示パネルに一定期間以上の非発光期間を設定する場合に比べて、表示パネルの表示輝度を上げることができる。そのため、前記の使用環境下においても表示装置の視認性を確保することができる。
【0101】
本発明の態様5に係る表示制御装置(1b)は、前記態様1から4のいずれかにおいて、前記ホスト制御部はさらに、前記表示制御部に前記映像データを転送しない場合、前記表示制御部に対して、前記映像データを転送しない期間中、前記表示パネルが発光を継続するように前記デューティ比を調整させ、前記表示制御部に前記映像データを転送する場合、前記表示制御部に対して、前記映像データを転送する期間中、前記表示パネルが非発光となる期間を1回以上設定するように前記デューティ比を調整させてもよい。
【0102】
前記構成によれば、ホスト制御部は、表示制御部に映像データを転送しない期間中の表示装置の低消費電力化および経年劣化の低減を図ることができる。また、表示制御部に映像データを転送する期間中の表示装置の表示品位の向上を図ることができる。
【0103】
本発明の態様6に係る表示装置(10、10a、10b)は、前記態様1から5のいずれかの表示制御装置(1、1a、1b)を備えていてもよい。前記構成によれば、本発明の態様1に係る表示制御装置と同様の効果を奏する表示装置を実現できる。
【0104】
本発明の態様7に係る表示制御装置(1、1a、1b)の制御方法は、表示パネル(4)を備えた表示装置(10、10a、10b)を制御する表示制御装置の制御方法であって、前記表示制御装置は、前記表示パネルに表示される映像の映像データ(α、β、γ、δ、ε)を取得または生成するホスト制御部(CPU2)と、前記ホスト制御部から転送された前記映像データを前記表示パネルに出力する表示制御部(タイミングジェネレータ3)と、を備え、前記ホスト制御部に対して、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合であるデューティ比について、前記映像のフレームレートが高くなれば、前記映像の表示時間に対する前記映像の発光時間の割合が低くなるように適正デューティ比を設定させる設定ステップ(S105)と、前記表示制御部に対して、前記表示パネルが前記適正デューティ比で発光するように前記デューティ比を調整させる調整ステップ(S106)と、を含んでいる構成である。前記構成によれば、本発明の態様1に係る表示制御装置と同様の効果を奏する制御方法を実現することができる。
【0105】
本発明の各態様に係る表示制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記表示制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記表示制御装置をコンピュータにて実現させる表示制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0106】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0107】
1、1a、1b 表示制御装置
2 CPU(ホスト制御部)
3 タイミングジェネレータ(表示制御部)
4 表示パネル
10、10a、10b 表示装置
40 照度センサ(照度検知部)
α、β、γ、δ、ε 映像データ
S104 設定ステップ
S105 調整ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10