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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】引戸式ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
E06B7/22 B
E06B7/22 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020016588
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021123906
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】政田 和慶
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-015791(JP,U)
【文献】特開平10-046934(JP,A)
【文献】特開2005-133321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00- 7/36
E05F 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内と室外とを仕切る壁部に設けられた開口部を幅方向にスライド移動して開閉する第1障子と、
前記開口部に設けられた袖壁および前記開口部を前記幅方向にスライド移動して開閉する第2障子の少なくとも一方と、を有し、
前記第1障子の縦框は、前記開口部を閉鎖すると前記袖壁の方立または前記第2障子の縦框と室内外方向に対向し、
前記第1障子の縦框には、前記方立または前記第2障子の縦框側に突出する第1突出部材が設けられ、
前記方立または前記第2障子の縦框には、前記第1障子の縦框側に突出する第2突出部材が設けられ、
前記第1突出部材と前記第2突出部材とは、前記幅方向に対向して配置され、
前記第1突出部材および前記第2突出部材は、少なくとも一方がパッキン材であり、
前記パッキン材は、水平断面形状がL字形に形成され、前記L字形を形成する第1片と第2片とを有し、
前記第1片は、前記パッキン材が設けられている前記第1障子、前記方立、前記第2障子の縦框のいずれから、室内外方向に対向する前記第1障子、前記方立、前記第2障子の縦框のいずれかに向かって突出し、
前記第2片は、前記第1片の先端部から前記幅方向に対向する前記第1突出部材または前記第2突出部材に向かって突出している引戸式ドア装置。
【請求項2】
前記第1障子が前記開口部を閉鎖すると、前記第1突出部材と前記第2突出部材とに囲まれた空部が形成される請求項1に記載の引戸式ドア装置。
【請求項3】
前記第1突出部材および前記第2突出部材は、いずれか一方がモヘア材で、他方が前記パッキン材である請求項1又は2に記載の引戸式ドア装置。
【請求項4】
前記第1突出部材および前記第2突出部材は、いずれも前記パッキン材である請求項1又は2に記載の引戸式ドア装置。
【請求項5】
記モヘア材と、前記モヘア材が対向する前記第1障子の縦框、前記方立、前記第2障子の縦框のいずれかとの間隔は、前記パッキン材の前記第2片と、前記パッキン材が設けられた前記第1障子の縦框、前記方立、前記第2障子の縦框のいずれかとの間隔よりも小さい請求項3に記載の引戸式ドア装置。
【請求項6】
前記パッキン材は、軟質樹脂で形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の引戸式ドア装置。
【請求項7】
前記第1障子および前記第2障子をスライド移動させて前記開口部を開閉する開閉駆動部と、
前記第1障子および前記第2障子を前記開口部を閉鎖する状態に施錠する施錠部と、
前記開口部の室外側に設けられて前記施錠部による施錠を解錠可能な解錠装置と、
前記開口部の室内側の所定の範囲において人を検知する室内側センサと、
前記施錠部の施錠状態および前記室内側センサからの検知信号に応じて前記開閉駆動部を駆動させる制御部と、を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の引戸式ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、引戸式ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内外を仕切る壁部の開口部に設置される自動ドア装置として、室内側からは室内センサの検知によりドアが開放され、室外側からは室外側に設けられた施解錠装置を操作して解錠された場合にドアが開放される自動ドア装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような自動ドア装置は、例えば集合住宅に設けられている場合には、施解錠装置を操作可能な住人が室外側からドアを開放することができ、住人以外の侵入を防止することができる。
【0003】
室内外を仕切る壁部の開口部に設置されるドア装置として、袖壁が設けられ、障子が幅方向(横方向)にスライドして開口部を開閉する引戸式ドア装置が知られている。このような引戸式ドア装置は、障子が開口部を閉鎖すると、障子の縦框と袖壁の方立とが室内外方向に対向して配置される。室内外方向に対向する縦框と方立とは、隙間をあけて配置されるため、縦框および方立の一方に他方側に突出するようにモヘア材が設けられ、モヘア材が縦框と方立との隙間を塞いでいる。複数の障子がスライドする引戸式ドア装置では、複数の障子が開口部を閉鎖すると、幅方向に隣接する障子の縦框同士が室内外方向に隙間をあけて対向して配置される。このため、室内外方向に対向する縦框の一方には、他方側に突出するようにモヘア材が設けられ、モヘア材が室内外方向に対向する縦框の隙間を塞いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-180140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、障子が開口部を閉鎖した際に、モヘア材が室内外方向に対向する縦框と方立との隙間や室内外方向に対向する縦框間の隙間を塞いでも、モヘア材の先端部と方立または縦框との間に、紙などの薄いものや細いものであれば入り込む可能性がある。このため、紙などの薄いものや細いものが、モヘア材の先端部と縦框または方立との間を通って、室外側から室内側へ入ったり、室内側から室外側へ出たりする虞がある。
【0006】
本開示は、障子が開口部を閉鎖した際に、障子とこの障子と室内外方向に対向する他の障子または袖壁との隙間を通って、物が室外側から室内側へ入ったり、室内側から室外側へ出たりすることを防止できる引戸式ドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る引戸式ドア装置は、室内と室外とを仕切る壁部に設けられた開口部を幅方向にスライド移動して開閉する第1障子と、前記開口部に設けられた袖壁および前記開口部を前記幅方向にスライド移動して開閉する第2障子の少なくとも一方と、を有し、前記第1障子の縦框は、前記開口部を閉鎖すると前記袖壁の方立または前記第2障子の縦框と室内外方向に対向し、前記第1障子の縦框には、前記方立または前記第2障子の縦框側に突出する第1突出部材が設けられ、前記方立または前記第2障子の縦框には、前記第1障子の縦框側に突出する第2突出部材が設けられ、前記第1突出部材と前記第2突出部材とは、前記幅方向に対向して配置され、前記第1突出部材および前記第2突出部材は、少なくとも一方がパッキン材であり、前記パッキン材は、水平断面形状がL字形に形成され、前記L字形を形成する第1片と第2片とを有し、前記第1片は、前記パッキン材が設けられている前記第1障子、前記方立、前記第2障子の縦框のいずれから、室内外方向に対向する前記第1障子、前記方立、前記第2障子の縦框のいずれかに向かって突出し、前記第2片は、前記第1片の先端部から前記幅方向に対向する前記第1突出部材または前記第2突出部材に向かって突出している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による引戸式ドア装置の正面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のA-A線断面における開口状態の引戸式ドア装置の断面図である。
図4図2のB部分拡大図である。
図5図2のC部分拡大図である。
図6】第1パッキン材が変形した引戸式ドア装置の断面図である。
図7】第2実施形態による引戸式ドア装置の水平断面図である。
図8】第3実施形態による引戸式ドア装置の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1から図3に示すように、第1実施形態による引戸式ドア装置1は、室内外を仕切る壁部11に設けられた開口部(壁開口部12とする)に設置されている。本実施形態の引戸式ドア装置1は、自動ドア装置である。壁部11に沿った水平方向を幅方向(図の矢印Xの方向)とし、壁部11に直交する室内14と室外15(図2図3参照)とを結ぶ水平方向を室内外方向(図1の紙面に直交する方向、図2、3の矢印Yの方向)とする。引戸式ドア装置1は、枠部2と、袖壁3と、第1障子4と、第2障子5と、室内側センサ61と、開閉駆動部63と、施錠部64と、解錠装置65と、制御部66と、を有している。
【0010】
図1に示すように、枠部2は、壁開口部12の縁部に沿って設けられている。枠部2は、壁開口部12の上縁部に沿って設けられる上枠21と、壁開口部12の下縁部に沿って設けられる下枠22と、壁開口部12の幅方向の一方側(図面の左右方向の左側)の縁部に沿って設けられる第1縦枠23と、壁開口部12の幅方向の他方側(図面の左右方向の右側)の縁部に沿って設けられる第2縦枠24と、を有している。本実施形態では、下枠22は、床部17に埋め込まれている。本実施形態では、壁開口部12の上下方向の中間部に無目枠25が設けられている。無目枠25は、幅方向に延び、幅方向の一方側の端部が第1縦枠23の上下方向の中間部に接合され、幅方向の他方側の端部が第1縦枠23の上下方向の中間部に接合されている。無目枠25と上枠21との間には、FIXのガラスパネル26が設けられている。
【0011】
袖壁3は、無目枠25と下枠22との間おける幅方向の他方側に設けられている。袖壁3は、壁開口部12の幅方向の中間部に位置する方立31と、方立31と第1縦枠23との間に設けられたFIXのガラスパネル32と、を有している。方立31は、上下方向に延び、上端部が無目枠25の幅方向の中間部に接合され、下端部が下枠22の幅方向の中間部に接合されている。ガラスパネル32は、方立31、第1縦枠23、下枠22および無目枠25に囲まれた領域に設けられている。ガラスパネル32は、方立31、第1縦枠23、下枠22および無目枠25に支持されている。壁開口部12における袖壁3で塞がれていない領域、すなわち方立31、第2縦枠24、下枠22および無目枠25に囲まれた領域を開口部13とする。
【0012】
第1障子4および第2障子5は、枠部2に幅方向にスライド可能に支持されている。第1障子4および第2障子5は、第1縦枠23、第2縦枠24、下枠22および無目枠25に囲まれた領域に配置されている。第1障子4および第2障子5は、袖壁3よりも室内14側に配置され、幅方向の一方側(第1縦枠23側)に移動すると、袖壁3の室内14側に重なって配置される。第1障子4は、第2障子5よりも室外15側に配置されている。
【0013】
無目枠25には、幅方向全体にわたって第1障子4を支持する第1上レール251と、第2障子5を支持する第2上レール252が設けられている。下枠22には、幅方向全体にわたって第1障子4を支持する第1下レール221と、第2障子5を支持する第2下レール222が設けられている。第1障子4および第2障子5は、図2に示すような第1障子4が袖壁3の幅方向の他方側に配置され、第2障子5が第1障子4の幅方向の他方側に配置された状態となると開口部13を閉鎖し、図3に示すような第1障子4および第2障子5が袖壁3の室内14側に室内外方向に重なって配置された状態となると開口部13を開口する。第1障子4および第2障子5が開口部13を閉鎖している状態(図1、2の状態)を閉鎖状態とし、開口部13を開口している状態(図3の状態)を開口状態とする。閉鎖状態では、第2障子5は、第2縦枠24と接触している。図2に示すように、本実施形態では、第2縦枠24に戸当たり241が設けられていて、閉鎖状態となると第2障子5が戸当たり241と接触している。
【0014】
室内側センサ61は、開口部13の室内14側に設けられ、開口部13の室内14側の所定の領域に人が進入したことを検知可能に構成されている。開閉駆動部63は、制御部66の制御により第1障子4および第2障子5をスライドさせて開口部13を開閉可能に構成されている。開閉駆動部63は、電源と接続されている。施錠部64は、第1障子4および第2障子5を閉鎖状態に拘束可能に構成されている。解錠装置65は、開口部13の室外15側に設けられ、室外15側の人が所定の操作を行うことで施錠部64の施錠を解錠可能に構成されている。
【0015】
制御部66は、室内側センサ61の信号により開口部13の室内14側の所定の領域に人が進入したと判断すると開口部13を開口するように制御する。制御部66は、解錠装置65が操作され、施錠部64が解錠されたと判断すると開口部13を開口するように制御する。すなわち、引戸式ドア装置1では、室外15側から開口部13を開口するには、解錠装置65を操作して施錠部64を解錠した場合のみ開口部13を開口できるように構成されている。引戸式ドア装置1が、例えば集合住宅に設けられている場合には、解錠装置65を操作可能な住人が室外15側から開口部13を開口することができ、住人以外の侵入を防止することができる。
【0016】
第1障子4は、四角枠状の第1框体41と、第1框体41の内側に設けられるガラスパネル42と、を有している。第1框体41は、第1上框43と、第1下框44と、幅方向の一方側に設けられた第1縦框45と、幅方向の他方側に設けられた第2縦框46と、を有している。第2障子5は、四角枠状の第2框体51と、第2框体51の内側に設けられるガラスパネル52と、を有している。第2框体51は、第2上框53と、第2下框54と、幅方向の一方側に設けられた第3縦框55と、幅方向の他方側に設けられた第4縦框56と、を有している。第1障子4と第2障子5とは、略同じ大きさに形成されている。
【0017】
図2に示すように、閉鎖状態では、第1障子4の第1縦框45が方立31の室内14側に重なって配置され、第2障子5の第3縦框55が第1障子4の第2縦框46の室内14側に重なって配置される。第2障子5の第4縦框56は、第2縦枠24の幅方向の一方側に配置され、第2縦枠24の戸当たり241と接触している。
【0018】
方立31は、長尺の形材で、上下方向に延びる向きに配置されている。方立31は、上下方向全体にわたって、略同じ断面形状に形成されている。方立31は、上端部が無目枠25と接合され、下端部が下枠22と接合されている。図4に示すように、方立31は、幅方向の一方側に袖壁3のガラスパネル32が嵌め込まれるガラスパネル溝部311が形成されている。方立31の室内14側の面313は、室内14側を向く鉛直面に形成されている。方立31の室内14側の面313における幅方向の他方側の端部近傍には、上下方向全体にわたって第1溝部312が形成されている。第1溝部312は、室外15側に凹み室内14側に開口している。第1溝部312には、上下方向全体にわたってモヘア材7(第2突出部材)が設けられている。
【0019】
モヘア材7は、長尺の部材で、長さ方向のほぼ全体にわたって、略同じ断面形状に形成されている。モヘア材7は、ベース部71と、ベース部71から突出するパイル部72と、を有している。ベース部71は、帯状に形成されている。パイル部72は、ベース部71の一方の面から突出している。モヘア材7は、上下方向に延び、パイル部72がベース部71から室内14側に突出する向きで方立31に設けられる。モヘア材7は、上記の向きでベース部71が第1溝部312にはめ込まれる。パイル部72の先端部721は、方立31の室内14側の面313よりも室内14側に突出している。
【0020】
図1から図3に示すように、第1障子4の第1縦框45は、長尺の形材で、上下方向に延びる向きに配置されている。第1縦框45は、上下方向全体にわたって、略同じ断面形状に形成されている。第1縦框45は、上端部が無目枠25の高さに位置し、下端部が下枠22の高さに位置している。図4に示すように、第1縦框45は、幅方向の他方側に第1障子4のガラスパネル42が嵌め込まれるガラスパネル溝部451が形成されている。第1縦框45の室外15側の面453は、室外15側を向く鉛直面に形成されている。第1縦框45の室外15側の面453における幅方向の一方側の端部近傍には、上下方向全体にわたって第2溝部452が形成されている。第2溝部452は、室内14側に凹み室外15側に開口している。第2溝部452には、上下方向全体にわたって第1パッキン材8(第1突出部材)が設けられている。
【0021】
第1パッキン材8は、長尺の部材で、長さ方向のほぼ全体にわたって、略同じ断面形状に形成されている。第1パッキン材8は、ベース部81と、ベース部81から突出する突出部82と、を有している。ベース部81は、帯状に形成されている。突出部82は、ベース部81の一方の面から突出している。突出部82は、ベース部81の一方の面から突出する第1突出片821(第1片)と、第1突出片821の先端部からベース部81の一方の面に沿った方向に突出する第2突出片822(第2片)と、を有している。
【0022】
第1パッキン材8は、上下方向に延び、突出部82がベース部81から室外15側に突出する向きで第1縦框45に設けられる。第1パッキン材8は、上記の向きでベース部81が第2溝部452にはめ込まれる。第1突出片821の先端部は、第1縦框45の室外15側の面453よりも室外15側に突出している。第2突出片822は、第1突出片821の室外15側の先端部から幅方向の他方側に突出している。
【0023】
第2突出片822の室内14側の面823は、室内外方向を向く平面に形成されている。第2突出片822の室内14側の面823と第1縦框45の室外15側の面453との間には、隙間d1が形成されている。第2突出片822の室外15側の面824は、幅方向の一方側から他方側に向かって漸次室内14側に向かう傾斜面となっている。突出部82の室外15側の端部825は、第1突出片821の幅方向の一方側の面826と、第2突出片822の室外15側の面824とがなす角部となっている。
【0024】
閉鎖状態となり、方立31の室内14側に第1縦框45が対向すると、方立31に設けられたモヘア材7が、第1縦框45に設けられた第1パッキン材8よりも幅方向の他方側に配置される。モヘア材7のパイル部72と、第1パッキン材8の突出部82とは、幅方向に重なる位置に配置されている。モヘア材7のパイル部72の先端部721(室内14側の端部)は、第1縦框45の室外15側の面453と隙間d2をあけて対向している。第1パッキン材8の突出部82の室外15側の端部825(角部)は、方立31の室内14側の面313と隙間d3をあけて対向している。
【0025】
方立31のモヘア材7のパイル部72の先端部721と、第1縦框45の室外15側の面453との隙間d2は、第1縦框45の第1パッキン材8の突出部82の室外15側の端部825と、方立31の室内14側の面313との隙間d3よりも小さく設定されている。方立31のモヘア材7のパイル部72の先端部721と、第1縦框45の室外15側の面453との隙間d2は、第1縦框45の第2突出片822の室内14側の面823と第1縦框45の室外15側の面453との隙間d1よりも小さく設定されている。方立31に設けられたモヘア材7と、第1縦框45に設けられた第1パッキン材8との間に空部S1が形成される。
【0026】
図1から図3に示すように、第1障子4の第2縦框46は、長尺の形材で、上下方向に延びる向きに配置されている。第2縦框46は、上下方向全体にわたって、略同じ断面形状に形成されている。第2縦框46は、上端部が無目枠25の高さに位置し、下端部が下枠22の高さに位置している。図5に示すように、第2縦框46は、幅方向の一方側に第1障子4のガラスパネル42が嵌め込まれるガラスパネル溝部461が形成されている。第2縦框46の室内14側の面462は、室内14側を向く鉛直面に形成されている。
【0027】
第2縦框46の室内14側の面462における幅方向の他方側の端部近傍には、上下方向全体にわたって第3溝部463が形成されている。第3溝部463は、室外15側に凹み室内14側に開口している。第2縦框46の第3溝部463には、上下方向全体にわたって方立31の第1溝部312に設けられたモヘア材7と同様にモヘア材7が設けられている。第2縦框46に設けられたモヘア材7のパイル部72は、第2縦框46の室内14側の面462よりも室内14側に突出している。本実施形態では、第2縦框46に設けられたモヘア材7は、図4に示す方立31に設けられたモヘア材7よりも、パイル部72の長さが長く設定されている。
【0028】
第2障子5の第3縦框55は、第1障子4の第1縦框45と同様に形成され、第1縦框45の第1溝部312に相当する第4溝部552が形成されている。第3縦框55の第4溝部552には、上下方向全体にわたって第1縦框45の第2溝部452に設けられた第1パッキン材8と同様の第1パッキン材8が設けられている。第3縦框55に設けられた第1パッキン材8は、突出部82の室外15側の端部825が第3縦框55の室外15側の面553よりも室外15側に突出している。
【0029】
閉鎖状態となり、第2縦框46の室内14側に第3縦框55が対向すると、第2縦框46に設けられたモヘア材7が、第3縦框55に設けられた第1パッキン材8よりも幅方向の他方側に配置される。第2縦框46のモヘア材7のパイル部72と、第3縦框55の第1パッキン材8の突出部82とは、幅方向に重なる位置に配置されている。第2縦框46のモヘア材7のパイル部72の先端部721(室内14側の端部)は、第3縦框55の室外15側の面553と隙間d4をあけて対向している。第3縦框55の第1パッキン材8の突出部82の室外15側の端部825(角部)は、第2縦框46の室内14側の面462と隙間d5をあけて対向している。
【0030】
モヘア材7のパイル部72の先端部721と、第3縦框55の室外15側の面553との隙間d4は、第1パッキン材8の突出部82の室外15側の端部825と、第2縦框46の室内14側の面462との隙間d5よりも小さく設定されている。第2縦框46のモヘア材7のパイル部72の先端部721と、第3縦框55の室外15側の面553との隙間d5は、の第2突出片822の室内14側の面823と第3縦框55の室外15側の面553との隙間d6よりも小さく設定されている。第2縦框46に設けられたモヘア材7と、第3縦框55に設けられた第1パッキン材8との間に空部S2が形成される。
【0031】
上記の実施形態による引戸式ドア装置1は、開口部13を閉鎖する際に袖壁3の方立31と第1障子4の第1縦框45とが室内外方向に重なって配置される。方立31には第1障子4の第1縦框45側に突出するモヘア材7が設けられ、第1縦框45には方立31側に突出する第1パッキン材8が設けられている。方立31に設けられたモヘア材7と、第1縦框45に設けられた第1パッキン材8とは、幅方向に対向して配置される。これにより、方立31と第1縦框45との隙間を通って、物が室外15側から室内14側へ入ったり、室内14側から室外15側へ出たりすることを防止できる。第1障子4の第2縦框46と、第2障子5の第3縦框55についても同様である。第2縦框46に設けられたモヘア材7と、第3縦框55に設けられた第1パッキン材8によって、第2縦框46と第3縦框55との隙間を通って、物が室外15側から室内14側へ入ったり、室内14側から室外15側へ出たりすることを防止できる。
【0032】
上記の実施形態による引戸式ドア装置1は、方立31には第1縦框45側に突出するモヘア材7が設けられ、第1縦框45には方立31側に突出する第1パッキン材8が設けられている。第2縦框46には第3縦框55側に突出するモヘア材7が設けられ、第3縦框55には、第2縦框46側に突出する第1パッキン材8が設けられている。これにより、第1縦框45とモヘア材7との間に紙などが入り込んだとしても、第1パッキン材8によって紙などが室内14側に入り込むことを防止することができる。
【0033】
方立31に設けられたモヘア材7と、第1縦框45に設けられた第1パッキン材8との間に空部S1が形成されることにより、方立31と第1縦框45との間から入り込んだ紙などを空部S1に留めて室内14側に入り込むことを防止できる。第2縦框46に設けられたモヘア材7と、第3縦框55に設けられた第1パッキン材8との間に空部S1が形成されることにより、第2縦框46と第3縦框55との間から入り込んだ紙などを空部S1に留めて室内14側に入り込むことを防止できる。
【0034】
上記の実施形態による引戸式ドア装置1は、第1パッキン材8は、水平断面形状がL字形状に形成されている。これにより、図6に示すように、第1縦框45とモヘア材7との隙間に室外15から挿し込まれた紙16などに第1パッキン材8が幅方向の他方側から押されると、第1パッキン材8が変形する。第1パッキン材8の第2突出片822の幅方向の他方側の端部827は、室外15側に移動して、方立31の室内14側の面313と接触して第1パッキン材8と方立31との隙間を塞ぐことができる。このため、方立31と第1縦框45との間から入り込んだ紙16などを室内14側に入り込むことを防止できる。第3縦框55に設けられたパッキン材8についても同様である。第3縦框55とモヘア材7との隙間を介して室外15から室内14側に入り込んだ紙などに第1パッキン材8が幅方向の他方側から押されると、第1パッキン材8が変形して第1パッキン材8と第2縦框46との隙間を塞ぐことができる。このため、第2縦框46と第3縦框55との間から入り込んだ紙16などを室内14側に入り込むことを防止できる。
【0035】
上記の実施形態による引戸式ドア装置1は、第1パッキン材8は、軟質材料で形成されている。これにより、第1パッキン材8が変形して方立31の室内14側の面313と接触して第1パッキン材8と方立31との隙間を塞ぐことができる。このため、方立31と第1縦框45との間から入り込んだ紙16などを室内14側に入り込むことを防止できる。第1パッキン材8が変形して第1パッキン材8と第2縦框46との隙間を塞ぐことができる。このため、第2縦框46と第3縦框55との間から入り込んだ紙などを室内14側に入り込むことを防止できる。
【0036】
上記の実施形態による引戸式ドア装置1は、第1縦框45と方立31との隙間や、第2縦框46と第3縦框55との隙間に紙などが室内14に入り込むことを防止できるため、第1縦框45と方立31との隙間や、第2縦框46と第3縦框55との隙間から紙などが室内14に入り込み、その紙などに室内側センサ61が反応して第1障子4および第2障子5が意図せず開口状態となることを防止することができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施形態と異なる構成について説明する。
【0038】
図7に示すように、第2実施形態による引戸式ドア装置1Bは、方立31の第1溝部312にモヘア材7の代わりに第2パッキン材9(第2突出部材)が設けられている。第2パッキン材9は、ベース部91と、突出部92とを有している。第2パッキン材9のベース部91は、第1パッキン材8のベース部81と同様に帯状に形成されている。第2パッキン材9の突出部92は、第1パッキン材8の突出部82と同様にベース部91の一方の面から突出している。突出部92は、ベース部91の一方の面から突出する第1突出片921(第1片)と、第1突出片921の先端部からベース部91の一方の面に沿った方向に突出する第2突出片922(第2片)と、を有している。第2パッキン材9は、上下方向に延び、突出部92がベース部91から室内14側に突出する向きで方立31に設けられる。
【0039】
第2パッキン材9は、上記の向きでベース部91が第1溝部312にはめ込まれて、第1突出片921の先端部が方立31の室内14側の面313よりも室内14側に突出し、第2突出片922が第1突出片921の先端部から幅方向の一方側に突出している。
【0040】
第2突出片922の室外15側の面923は、室内外方向を向く平面に形成されている。第2突出片922の室外15側の面923と方立31の室内14側の面313との間には、隙間d7が形成されている。第2突出片922の室内14側の面924は、幅方向の他方側から一方側に向かって漸次室外15側に向かう傾斜面となっている。第2パッキン材9の突出部92の室内14側の端部925は、第1突出片921の幅方向の他方側の面926と、第2突出片922の室内14側の面924とがなす角部となっている。
【0041】
閉鎖状態では、第1実施形態と同様に方立31の室内14側の面313は、第1縦框45の室外15側の面453と室内外方向に間隔をあけて対向する。方立31の第2パッキン材9は、第1縦框45の第1パッキン材8よりも幅方向の他方側に配置される。方立31の第2パッキン材9の室内14側の端部(角部)925は、第1縦框45の室外15側の面453と隙間d8をあけて配置されている。第1縦框45の第1パッキン材8の室外15側の端部825は、方立31の室内14側の面313と隙間d9をあけて配置されている。第2パッキン材9と第1縦框45の室外15側の面453との隙間d8は、第1パッキン材8と方立31の室内14側の面313との隙間d9よりも小さく設定されている。第2パッキン材9と第1パッキン材8とは、幅方向に重なって配置される。
【0042】
第1パッキン材8の第2突出片822は、幅方向の他方側の部分が第2パッキン材9の第2突出片822と方立31の室内14側の面313との間に配置される。第2パッキン材9の第2突出片922は、幅方向の一方側の部分が第1パッキン材8の第2突出片822と第1縦框45の室外15側の面453との間に配置される。第1パッキン材8の第2突出片822と第2パッキン材9の第2突出片922とは、隙間d10をあけて室内外方向に重なって配置されている。
【0043】
図示していないが、第2縦框46の第3溝部463には、方立31の第1溝部312と同様に、モヘア材7に代わって第2パッキン材9が設けられている。第1障子4の第2縦框46と第2障子5の第3縦框55とは、方立31と第1障子4の第1縦框45と同様に配置されている。
【0044】
上述した第2実施形態による引戸式ドア装置1Bでは、第1実施形態と同様の効果を奏する。第1パッキン材8の第2突出片822と第2パッキン材9の第2突出片922とは、室内外方向に重なって配置されていることにより、第1パッキン材8および第2パッキン材9の一方または両方が変形しても、第1パッキン材8と第2パッキン材9とが離れにくい構成となり、第1パッキン材8と第2パッキン材9との隙間に紙などが入り込むことを防止することができる。
【0045】
(第3実施形態)
図8に示すように、第3実施形態による引戸式ドア装置1Cは、第1障子4の第1縦框45の第2溝部452に、第1実施形態の第1パッキン材8に代わって第3パッキン材10(第1突出部材)が設けられている。第3パッキン材10は、ベース部101と、ベース部101から突出する突出部102と、を有している。ベース部101は、第1パッキン材8のベース部81と同様に帯状に形成されている。突出部102は、ベース部101の一方の面から突出している。突出部102の水平断面形状は、第1パッキン材8の突出部82のようなL字形状でなくI字形状である。第3パッキン材10は、上下方向に延び、突出部102がベース部101から室外15側に突出する向きで第1縦框45に設けられる。突出部102は、基端部から先端部に向かって漸次幅寸法が小さくなる先細りの形状となっている。
【0046】
突出部102の先端部は、方立31の室内14側の面313と接触、または隙間をあけて配置されている。第3パッキン材10と方立31に設けられたモヘア材7とは、幅方向に重なる位置に配置されている。本実施形態では、第3パッキン材10は、第1実施形態の第1パッキン材8よりも硬質の硬質部材で形成されている。第1パッキン材8は、第1実施形態の第1パッキン材8よりも弾性変形しにくくなっている。
【0047】
図示していないが、第2障子5の第3縦框55の第4溝部552にも、第1パッキン材8に代わって第3パッキン材10が設けられている。第1障子4の第2縦框46と第2障子5の第3縦框55とは、方立31と第1障子4の第1縦框45と同様に配置されている。
【0048】
上述した第3実施形態による引戸式ドア装置1Cでは、第1実施形態と同様の効果を奏する。突出部102の水平断面形状は、第1パッキン材8の突出部82のようなL字形状でなくI字形状であることにより、第3パッキン材10を簡便な構造とすることができる。
【0049】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の第1実施形態および第3実施形態では、引戸式ドア装置1,1Cは、方立31には第1縦框45側に突出するモヘア材7が設けられ、第1縦框45には方立31側に突出するパッキン材(第1パッキン材8、第3パッキン材10が設けられている。方立31には第1縦框45側に突出するパッキン材が設けられ、第1縦框45には方立31側に突出するモヘア材7が設けられていてもよい。
【0050】
上記の第1実施形態では、方立31に設けられたモヘア材7と、第1縦框45に設けられた第1パッキン材8との間には、空部S1が形成されている。方立31に設けられたモヘア材7と、第1縦框45に設けられた第1パッキン材8との間には空部が形成されていなくてもよい。上記の第1実施形態および第3形態では、閉鎖状態となると、モヘア材7のパイル部72の先端部721と、第1縦框45の室外15側の面453との間に隙間d2がある。モヘア材7のパイル部72の先端部721は、第1縦框45の室外15側の面453と接触してもよい。
【0051】
上記の第1実施形態および第2実施形態では、パッキン材(第1パッキン材8、第2パッキン材9)の水平断面形状がL字形状であり、第3実施形態では、パッキン材(第3パッキン材10)の水平断面形状が直線状である。パッキン材の水平断面形状は、上記以外の形状であってもよい。上記の第1実施形態および第2実施形態では、パッキン材(第1パッキン材8、第2パッキン材9)は、軟質材料で形成されている。パッキン材は、軟質材料以外で形成されていてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、引戸式ドア装置1,1B,1Cは、自動ドア装置であるが手動で障子を開閉するドア装置であってもよい。上記の実施形態では、引戸式ドア装置1,1B,1Cは、袖壁3、第1障子4および第2障子5を有している。引戸式ドア装置1,1B,1Cは、第2障子5が設けられておらず、袖壁3と第1障子4とを有する引戸式ドア装置でもよい。引戸式ドア装置1,1B,1Cは、袖壁3が設けられておらず、第1障子4と第2障子5とを有する引戸式ドア装置でもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,1B,1C 引戸式ドア装置、3 袖壁、4 第1障子、5 第2障子、7 モヘア材(第2突出部材)、8 第1パッキン材(第1突出部材、パッキン材)、9 第2パッキン材(第2突出部材、パッキン材)、10 第3パッキン材(第1突出部材、パッキン材)、11 壁部、13 開口部、14 室内、15 室外、31 方立、45 第1縦框、46 第2縦框、55 第3縦框、61 室内側センサ、63 開閉駆動部、64 施錠部、65 解錠装置、66 制御部、821,921 第1突出片(第1片)、822,922 第2突出片(第2片)、d1、d2、d4、d6 隙間(間隔)、S1,S2 空部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8