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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】缶体印刷システム、および缶体印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20240209BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240209BHJP
   B41J 3/413 20060101ALI20240209BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240209BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240209BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B41J29/00 Z
B41J29/38 203
B41J29/38 201
B41J3/413
B41J2/01 451
B41J2/01 401
G06F3/12 353
G06F3/12 308
G06F3/12 329
G06F3/12 378
B41J29/46 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020016622
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021122992
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】松島 妃美
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 兼司
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-113881(JP,A)
【文献】特開2007-245501(JP,A)
【文献】特開2013-022935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0164719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 3/413
B41J 2/01-2/215
G06F 3/12
B41J 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにて缶体に対する印刷が施される際、当該印刷について当該ユーザではない第三者が設定した条件が満たされたことを検知する検知手段と、
前記条件が満たされたことが検知された場合に、前記缶体に対する前記印刷の停止を制御する制御手段と、
を有し、
前記第三者が設定した条件は、正規の缶体に対して前記ユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた、缶体の印刷のための規定時間に関する条件であり、
前記印刷が施された時間を計測する時間計測手段をさらに有し、
前記検知手段は、前記時間計測手段により計測された前記時間が前記規定時間に達したことを検知する、ことを特徴とする缶体印刷システム。
【請求項2】
ユーザにて缶体に対する印刷が施される際、当該印刷について当該ユーザではない第三者が設定した条件が満たされたことを検知する検知手段と、
前記条件が満たされたことが検知された場合に、前記缶体に対する前記印刷の停止を制御する制御手段と、
を有し、
前記第三者が設定した条件は、正規の缶体に対して前記ユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた、缶体の印刷のための装置の規定電力量に関する条件であり、
前記印刷のために使用された電力量を計測する電力計測手段をさらに有し、
前記検知手段は、前記電力計測手段により計測された前記電力量が前記規定電力量に達したことを検知する、ことを特徴とする缶体印刷システム。
【請求項3】
缶体に対する印刷を施す印刷手段と、
印刷を行うユーザではない第三者が設定した条件が満たされた場合に、当該印刷を停止する停止手段と、
を有し、
前記第三者が設定した条件は、正規の缶体に対して前記ユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた、缶体の印刷のための規定時間に関する条件であり、
前記印刷が施された時間を計測する時間計測手段をさらに有し、
前記停止手段は、前記時間計測手段により計測された前記時間が前記規定時間に達した場合に、前記印刷を停止することを特徴とする缶体印刷装置。
【請求項4】
缶体に対する印刷を施す印刷手段と、
印刷を行うユーザではない第三者が設定した条件が満たされた場合に、当該印刷を停止する停止手段と、
を有し、
前記第三者が設定した条件は、正規の缶体に対して前記ユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた、缶体の印刷のための装置の規定電力量に関する条件であり、
前記印刷のために使用された電力量を計測する電力計測手段をさらに有し、
前記停止手段は、前記電力計測手段により計測された前記電力量が前記規定電力量に達した場合に、前記印刷を停止することを特徴とする缶体印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶体印刷システム、および缶体印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、正規部品以外の部品が使用されると、それを検出して作業機械の動作を制限する、とされる部品監視装置についての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-101686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年における缶体に対する印刷技術の進歩から、従来、不可能であった、缶体をユーザ側で印刷することも検討可能になっている。
しかしながら、ユーザ側であまりに自由に印刷が行われると、正規でない缶体に対する印刷が行われるおそれがある。かかる場合は、意図する印刷品質が得られないことが懸念される。
【0005】
本発明は、ユーザ側で缶体に対する印刷を自由に行わせる場合に比べ、印刷品質がより良く保たれた状態で缶体への印刷が行われることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が適用される缶体印刷システムは、ユーザにて缶体に対する印刷が施される際、当該印刷について当該ユーザではない第三者が設定した条件が満たされたことを検知する検知手段と、前記条件が満たされたことが検知された場合に、前記缶体に対する前記印刷の停止を制御する制御手段と、を有する缶体印刷システムである。
ここで、前記第三者が設定した条件は、正規の缶体に対して前記ユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた条件である、ことを特徴とすることができる。
また、前記第三者が設定した条件は、缶体の印刷のための規定数量に関する条件であり、前記印刷が施された缶体の数量を計測する数量計測手段をさらに有し、前記検知手段は、前記数量計測手段により計測された前記数量が前記規定数量に達したことを検知する、ことを特徴とすることができる。
また、前記第三者が設定した条件は、缶体の印刷のための規定時間に関する条件であり、前記印刷が施された時間を計測する時間計測手段をさらに有し、前記検知手段は、前記時間計測手段により計測された前記時間が前記規定時間に達したことを検知する、ことを特徴とすることができる。
また、前記第三者が設定した条件は、缶体の印刷のための装置の規定電力量に関する条件であり、前記印刷のために使用された電力量を計測する電力計測手段をさらに有し、前記検知手段は、前記電力計測手段により計測された前記電力量が前記規定電力量に達したことを検知する、ことを特徴とすることができる。
また、前記第三者が設定した条件は、缶体の印刷のために使用される消耗品の規定量に関する条件であり、前記印刷のために使用された消耗品の量を計測する消耗品量計測手段をさらに有し、前記検知手段は、前記消耗品量計測手段により計測された前記消耗品の量が前記規定量に達したことを検知する、ことを特徴とすることができる。
他の観点から捉えると、本発明が適用される缶体印刷装置は、缶体に対する印刷を施す印刷手段と、印刷を行うユーザではない第三者が設定した条件が満たされた場合に、当該印刷を停止する停止手段と、を有する缶体印刷装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザ側で缶体に対する印刷を自由に行わせる場合に比べ、印刷品質がより良く保たれた状態で缶体への印刷が行われることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される缶体印刷システムのハードウェア構成を示す図である。
図2】印刷装置側(印刷装置、または印刷装置およびユーザPC)の本実施の形態における機能構成を示す図である。
図3】ホスト装置の本実施の形態における機能構成を示す図である。
図4】印刷装置側にて実行される本実施の形態における処理を示すフローチャートである。
図5】(A)および(B)は、ホスト装置にて実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔缶体印刷システムの構成〕
以下、添付図面を参照して、本実施の形態が適用される缶体印刷システムについて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される缶体印刷システム1のハードウェア構成を示す図である。缶体印刷システム1は、缶体印刷システム1の根幹をなす情報処理装置であるホスト装置10と、缶体を印刷するユーザ側の印刷装置30とが、インターネットなどのネットワーク20を介して接続されている。また、缶体を印刷するユーザ側にて、印刷装置30に接続されるユーザPC40が、ネットワーク20を介してホスト装置10と接続される態様がある。
ホスト装置10は、例えば印刷装置30にて印刷される缶体の提供者や、印刷装置30の提供者などが提供するコンピュータ装置である。ホスト装置10には、缶体印刷システム1にて用いられる各種情報を記憶するデータベース(DB)50が、直接またはネットワーク20を介して接続されている。
【0010】
ホスト装置10は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)である制御部11と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)などのメモリ12とを有している。また、プログラムや各種設定データなどの記憶に用いられる記憶部13を有している。記憶部13としては、例えば半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置が用いられる。さらに、ネットワーク20を介してデータの送受信を行う通信部14を有している。
【0011】
また、ホスト装置10は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルなどの操作部15を有しており、缶体印刷システム1を管理する管理者からの入力操作を受け付ける。また、管理者が行う管理作業に必要な画像やテキスト情報などを表示する液晶ディスプレイなどからなる表示部16と、表示部16を制御する表示制御部17とを有している。なお、各ハードウェアは、筐体を1つにするものとは限らない。
【0012】
印刷装置30は、装置全体を制御する制御部31と、ネットワーク20を介して各種データの送受信を行う通信部32とを有している。また、缶体に対して印刷を施す印刷部33を有している。さらに、印刷装置30の状態を示す情報を計測する計測部34を有している。また、印刷装置30を操作するユーザへの表示やユーザからの入力操作を受け付けるユーザインタフェース35と、取得した印刷画像情報などを記憶する記憶部36とを有する。
【0013】
印刷部33は、缶体にインクジェットによるデジタル印刷を行い、缶体毎に印刷内容を変えて印刷することが可能である。かかる点は、通常の版下印刷による缶体への印刷とは大きく異なり、ユーザの利便性が高く、装置の軽量化などが図られる。印刷部33では、インクを液滴としてノズルから噴射して、このインクを缶体の外周面に付着させて、缶体の外周面に画像を形成し、さらに、この画像の上に塗料を塗布して保護層を形成する。印刷部33では、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを基本のインクとして用い、さらに、必要に応じて、銘柄毎に用意した特別な色のインク(特色インク)を用いる。また、この場合、色毎にインクジェットヘッドを用意し、複数のインクジェットヘッドを用いて缶体への画像形成を行う。また、用いるインクとしては、活性放射線硬化型インクが望ましい。ここで、活性放射線硬化型インクには、例えば、紫外線(UV)硬化型インクが含まれる。インクジェットヘッドによる画像形成後に、缶体の外周面に対して塗料が塗布されて、保護層(オーバーコート層)が形成される。
印刷される媒体としての缶体は、ビールなどの飲料物が充填される前の缶体、飲料物が充填された後の缶体、の何れの場合もある。
【0014】
計測部34は、印刷装置30の状態を示す情報として、各種の情報を計測する、数量計測部341、時間計測部342、電力量計測部343、インク量計測部344、及び位置計測部345を含む。
数量計測部341は、印刷装置30の状態を示す情報として、印刷装置30により印刷が施された缶体の数量を計測する。具体的には、例えば、印刷部33に数量カウンタを設けて、印刷処理が行われた缶体を1本ずつカウントしてもよい。また例えば、印刷が施された缶体が印刷装置30から排出されるまでに通過する位置のいずれかに数量カウンタを設けて、通過する缶体を1本ずつカウントしてもよい。
【0015】
時間計測部342は、印刷装置30の状態を示す情報として、印刷装置30が缶体に印刷を施すために要した時間を計測する。具体的には、例えば、印刷開始時の時刻と、印刷終了時の時刻とを計測可能な機構を設けてもよい。この場合、計測された時刻の差分から、缶体に印刷を施すために要した時間を算出する。また、例えば、印刷装置30の稼働時間を印刷時間と捉えられることができる場合には、印刷装置30の稼働時間を計測可能な機構を設けてもよい。この場合、計測された稼働時間から、缶体に印刷を施すために要した時間を算出する。
【0016】
電力量計測部343は、印刷装置30の状態を示す情報として、印刷装置30が缶体に印刷を施すために使用した電力を計測する。具体的には、例えば、使用電力量を計測可能な電力計を印刷装置30に設けてもよい。この場合、印刷開始時の使用電力量と、印刷終了時の使用電力量との差分から、缶体に印刷を施すために使用した電力量を算出する。
【0017】
インク量計測部344は、印刷装置30の状態を示す情報として、印刷装置30が缶体に印刷を施すために使用したインクの量を計測する。具体的には、例えば、使用されたインクの量を計測して、インク残量を数値として出力可能な機構を印刷装置30毎に設けてもよい。この場合、印刷開始時のインク残量を示す数値と、印刷終了時のインク残量を示す数値との差分から、缶体に印刷を施すために使用したインクの量を計測する。また、例えば、1本の缶体に印刷を施すために使用されるインクの量を示す数値が予め把握されている場合には、当該数値と、数量計測部341から得られる印刷済みの缶体の数量を掛け合わせることで、インクの使用量を計測してもよい。
【0018】
位置計測部345は、印刷装置30の状態を示す情報として、印刷装置30の位置を計測する。例えば、印刷装置30のGPS(Global Positioning System)位置情報を利用してもよい。計測部34により計測された、印刷装置30の状態を示す情報は、印刷装置30の記憶部36や、後述するユーザPC40の記憶部43に記憶される。
【0019】
また、印刷装置30は、ユーザが操作するコンピュータ装置であるユーザPC40と、直接、インタフェースケーブルを介して接続され、またはイーサネット(登録商標)などのLAN(Local Area Network)などを介して接続されている。ユーザPC40は、例えば、印刷装置30へ印刷画像情報を提供する場合の他、印刷装置30への各種設定、印刷装置30の状態を示す情報の取得や表示などを行う。また、ネットワーク20を介してホスト装置10と接続され、ホスト装置10からの各種情報などを取得する。印刷装置30の通信部32は、ホスト装置10と直接、通信を行う態様の他に、ユーザPC40を介してホスト装置10と通信を行う態様がある。また、情報に応じて、これらを使い分ける態様もある。
【0020】
ユーザPC40は、装置全体を制御する制御部41と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAMなどのメモリ42とを有している。また、プログラムや各種設定データなどの記憶に用いられ、半導体メモリやHDDなどの記憶装置からなる記憶部43を有している。さらに、ネットワーク20を介してのデータの送受信や、印刷装置30に接続してデータの送受信を行う通信部44を有している。また、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、バーコードリーダなどの操作部45を有しており、印刷装置30を用いるユーザからの入力操作を受け付ける。また、ユーザが行う印刷作業に必要な画像やテキスト情報などを表示する液晶ディスプレイなどからなる表示部46と、表示部46を制御する表示制御部47とを有している。
なお、印刷装置30は、単体で「缶体印刷装置」として把握できる場合もあるが、印刷装置30とユーザPC40を含めて「缶体印刷装置」として把握することも可能である。
【0021】
〔印刷装置30の機能構成〕
次に、印刷装置30側(印刷装置30、または印刷装置30およびユーザPC40)にて実行される本実施の形態における機能について説明する。この本実施の形態は、印刷装置30が単独で、または印刷装置30とユーザPC40とが共同して、ユーザではない第三者が設定した条件が満たされたことを検知して印刷を停止するなどの作業を実行する点に特徴がある。
ここで、「ユーザではない第三者」としては、例えば、ユーザに印刷装置30を提供する会社が挙げられる。「ユーザではない第三者が設定した条件」としては、例えば、ユーザに印刷装置30を提供する会社が、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定めた条件が挙げられる。「正規の缶体」には、例えば、ユーザに印刷装置30を提供する会社が、印刷装置30とともに提供する缶体、または印刷装置30を提供する会社の許諾を得た者が提供する缶体が含まれる。この場合、ユーザに印刷装置30を提供する会社の許諾を得ていない者が無断で製造した缶体(例えば模倣品)は、正規の缶体ではない「非正規の缶体」となる。
但し、「正規の缶体」であるか否かを正しく認識することは必ずしも容易ではない。そこで、本実施の形態では、その代用として、「正規の缶体」であるとして取り扱ってもよい、と考えるものとして、「正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定めた条件」を採用している。言い換えると、この「条件」に入っているものが必ずしも「正規の缶体」とは限らないが、この「条件」は、ユーザではない第三者が、「正規の缶体」として取り扱っても良いとしたものである。
【0022】
ここで、「正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定めた条件」としては、例えば、印刷装置30が印刷できる缶体の数量として予め定められた数量(規定数量)に関する条件が挙げられる。また、例えば、印刷装置30が缶体に印刷を施すために要する時間(規定時間)に関する条件が挙げられる。また、例えば、印刷装置30が缶体に印刷を施すために使用した電力量(規定電力量)に関する条件が挙げられる。また、例えば、印刷装置30が缶体に印刷を施すために使用したインクの量(規定量)に関する条件が挙げられる。また、例えば、印刷装置30の位置(規定位置)に関する条件が挙げられる。
【0023】
図2は、印刷装置30側(印刷装置30、または印刷装置30およびユーザPC40)の本実施の形態における機能構成を示す図である。印刷装置30側は、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた条件を示す情報を取得する条件取得部301を有する。また、条件取得部301にて取得された情報を、ユーザPC40の記憶部43や印刷装置30の記憶部36等に記憶する条件記憶部302を有する。
【0024】
また、印刷装置30側は、計測部34によって印刷装置30の状態を示す情報を計測する状態計測部303を有する。また、状態計測部303により計測された情報と、条件取得部301により取得された情報とを比較できるようにするための変換処理を必要に応じて行う比較可能化部304を有する。また、ユーザにて缶体に印刷が施される際、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた条件が満たされたことを検知する状態検知部305を有する。また、状態検知部305にて当該条件が満たされたことが検知された場合に、缶体に対する印刷の停止を制御する印刷停止部306と、その旨を通信部32、ネットワーク20を介してホスト装置10へ出力する検知結果出力部307とを有する。
【0025】
比較可能化部304による変換処理は、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた条件を示す情報と、印刷装置30の状態を示す情報とを単純比較できない場合に、比較できるように値等を変換させる処理である。
【0026】
状態検知部305は、上述の条件が満たされたことを検知するべく、規定数量検知部351と、規定時間検知部352とを有する。また、規定電力量検知部353と、規定量検知部354と、規定位置検知部355とを有する。
規定数量検知部351は、印刷装置30が印刷した缶体の数量が規定数量に達すると、これを検知する。また、規定時間検知部352は、印刷装置30が缶体の印刷に要した時間が規定時間に達すると、これを検知する。また、規定電力量検知部353は、印刷装置30が缶体に印刷を施すために使用した電力量が規定電力量に達すると、これを検知する。また、規定量検知部354は、印刷装置30が缶体に印刷を施すために使用したインクの量が規定量に達すると、これを検知する。また、規定位置検知部355は、印刷装置30の位置が規定位置から外れると、これを検知する。
【0027】
印刷停止部306は、規定数量検知部351、規定時間検知部352、規定電力量検知部353、規定量検知部354、規定位置検知部355のうち、いずれかにて上述の条件が満たされたことが検知された場合に、缶体に対する印刷の停止を制御する。
具体的には、印刷停止部306は、印刷数量が規定数量に達したことを規定数量検知部351が検知すると、強制的に印刷を停止する。印刷装置30が印刷を強制的に停止することで、それ以降、ユーザは印刷装置30を用いて缶体に印刷することができなくなる。即ち、ユーザは、規定数量に達するまでは、非正規の缶体を含めどのような缶体でも印刷できるが、規定数量に達した時点で停止するため、それ以降、たとえ正規の缶体であっても印刷することができなくなる。ここで、規定数量は、ユーザが購入した正規の缶体の数量と同じになるように設定される。
【0028】
また、印刷停止部306は、印刷時間が規定時間に達したことを規定時間検知部352が検知すると、強制的に印刷を停止する。印刷装置30が印刷を強制的に停止することで、それ以降、ユーザは印刷装置30を用いて缶体に印刷することができなくなる。ここで、規定時間は、ユーザに正規の缶体を提供した者により定められる。規定時間は、ユーザに提供された正規の缶体に対する印刷時間と同じになるように設定される。
【0029】
また、印刷停止部306は、使用電力量が規定電力量に達したことを規定電力量検知部353が検知すると、強制的に印刷を停止する。印刷装置30が印刷を強制的に停止することで、それ以降、ユーザは印刷装置30を用いて缶体に印刷することができなくなる。ここで、規定電力量は、ユーザに正規の缶体を提供した者により定められる。具体的には、例えば1本の缶体に印刷を施すために使用される電力量を予め算出しておき、その電力量に、ユーザに提供される正規の缶体の本数を掛け合わせることで規定電力量を算出する。
【0030】
また、印刷停止部306は、インクの使用量が規定量に達したことを規定量検知部354が検知すると、強制的に印刷を停止する。印刷装置30が印刷を強制的に停止することで、それ以降、ユーザは印刷装置30を用いて缶体に印刷することができなくなる。ここで、インクの規定量は、ユーザに正規の缶体を提供した者により定められる。具体的には、例えば1本の缶体に印刷を施すために使用されるインクの量を予め算出しておき、その量に、ユーザに提供される正規の缶体の本数を掛け合わせることでインクの規定量を算出する。
【0031】
また、印刷停止部306は、印刷装置30の位置が規定位置から外れていることを規定位置検知部355が検知すると、強制的に印刷を停止する。印刷装置30が印刷を強制的に停止することで、それ以降、ユーザは印刷装置30を用いて缶体に印刷することができなくなる。規定位置は、ユーザに印刷装置30を提供した者により定められる。具体的には、例えば、ユーザに印刷装置30が提供される際に、取り交わされた契約書等で印刷装置30の使用場所が詳細に定められている場合には、その定められた場所を規定位置として定める。
【0032】
〔ホスト装置10の機能構成〕
次に、ホスト装置10にて実行される本実施の形態における機能について説明する。
図3は、ホスト装置10の本実施の形態における機能構成を示す図である。ホスト装置10は、例えばネットワーク20を介して他のコンピュータ装置から印刷装置情報を取得する印刷装置情報取得部101と、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるための条件を印刷装置30毎に設定する条件設定部102とを有する。また、条件設定部102により設定された条件を示す情報を、印刷装置情報に対応付けて、記憶部13やDB50に記憶する条件記憶部103を有する。また、条件設定部102により設定された条件を示す情報を条件記憶部103から読み出す条件読出部104と、読み出した条件を示す情報を印刷装置30側に向けて出力する条件出力部105とを有する。
印刷装置情報や、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるための条件を示す情報は、ネットワーク20と通信部14を介して取得する場合の他、例えばホスト装置10の管理者により操作部15から入力される態様がある。
【0033】
また、ホスト装置10は、条件設定部102により設定された条件が満たされたことが検知されて印刷が停止した場合に、その旨を示す情報を印刷装置30側から取得する検知結果取得部106を有する。また、条件設定部102により設定された条件が満たされたことが検知されて印刷が停止したことを認識する検知結果処理部107を有する。
【0034】
〔印刷装置30の処理〕
次に、印刷装置30側(印刷装置30、または印刷装置30およびユーザPC40)にて実行される処理について、図1図2および図4を用いて説明する。
図4は、印刷装置30側にて実行される本実施の形態における処理を示すフローチャートである。まず、印刷装置30の条件取得部301は、ホスト装置10から、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた条件を示す情報を取得する(ステップ101)。例えば、当該条件として、規定数量が200本と定められた場合には、その旨を示す情報が取得される。そして、印刷装置30の条件記憶部302は、条件取得部301にて取得された情報を、ユーザPC40の記憶部43や印刷装置30の記憶部36等に記憶する(ステップ102)。例えば、規定数量が200本である場合には、その旨を示す情報を、ユーザPC40の記憶部43や印刷装置30の記憶部36等に記憶する。
【0035】
そして、印刷装置30の状態計測部303は、計測部34によって、印刷装置30の状態を示す情報を計測する(ステップ103)。具体的には、計測部34の数量計測部341によって、印刷が施された缶体の数量を計測する。また、計測部34の時間計測部342によって、印刷に要した時間を計測する。また、計測部34の電力量計測部343によって、印刷のために使用された電力量を計測する。また、計測部34のインク量計測部344によって、印刷のために使用されたインクの量を計測する。また、計測部34の位置計測部345によって、印刷装置30の位置を計測する。
【0036】
そして、印刷装置30の比較可能化部304は、状態計測部303により計測された情報と、条件取得部301により取得された情報とを比較可能に変換する(ステップ104)。そして、印刷装置30の状態検知部305は、ユーザにて缶体に印刷が施される際、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた条件が満たされたことを検知する(ステップ105)。具体的には、印刷が施された缶体の数量が規定数量に達した場合に、規定数量検知部351これを検知する。例えば、規定数量が200本である場合には、印刷が施された缶体が200本に達した時点で、その旨が検知される。また、印刷に要した時間が規定時間に達した場合に、規定時間検知部352がこれを検知する。また、印刷のために使用された電力量が規定電力量に達した場合に、規定電力量検知部353がこれを検知する。また、印刷のために使用されたインクの量が規定量に達した場合に、規定量検知部354がこれを検知する。また、印刷装置30の位置が規定位置から外れた場合に、規定位置検知部355がこれを検知する。
【0037】
そして、印刷装置30の印刷停止部306は、状態検知部305にて、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた条件が満たされたことが検知されたか否かを判断する(ステップ106)。具体的には、印刷数量が規定数量に達したことを規定数量検知部351が検知すると、印刷停止部306は、「検知された」と判断する。例えば、規定数量が200本である場合には、印刷が施された缶体が200本に達したことを規定数量検知部351が検知すると、印刷停止部306は、「検知された」と判断する。また、印刷時間が規定時間に達したことを規定時間検知部352が検知すると、印刷停止部306は、「検知された」と判断する。また、使用電力量が規定電力量に達したことを規定電力量検知部353が検知すると、印刷停止部306は、「検知された」と判断する。また、インクの使用量が規定量に達したことを規定量検知部354が検知すると、印刷停止部306は、「検知された」と判断する。また、印刷装置30の位置が規定位置から外れていることを規定位置検知部355が検知すると、印刷停止部306は、「検知された」と判断する。
そして、当該条件が満たされたことが検知されていない場合には(ステップ106でNO)、状態検知部305にて当該条件が満たされたことが検知されるまで、ステップ106の処理が繰り返し実行される。当該条件が満たされたことが検知されたことで、印刷停止部306が「検知された」と判断した場合には(ステップ106でYES)、印刷停止部306は、印刷部33によって行われている缶体に対する印刷を停止する(ステップ107)。そして、印刷装置30の検知結果出力部307は、印刷が停止された旨を通信部32、ネットワーク20を介してホスト装置10へ出力し(ステップ108)、処理が終了する。なお、ホスト装置10へ出力される情報には、「印刷が停止された旨」のみならず、例えば、どのような条件が満たされたことで印刷が停止したのかを示す情報等が含まれていてもよい。
【0038】
〔ホスト装置10の処理〕
次に、ホスト装置10にて実行される処理について、図1図3および図5を用いて説明する。
図5(A)および(B)は、ホスト装置10にて実行される処理を示すフローチャートである。図5(A)は、印刷装置30による印刷前のホスト装置10における処理、図5(B)は、印刷装置30による印刷の停止後のホスト装置10における処理を示している。
【0039】
まず、印刷装置30による印刷前にて、図5(A)に示すように、ホスト装置10の印刷装置情報取得部101は、例えば印刷装置30を提供する会社が保有するコンピュータ装置(図示せず)から印刷装置情報を取得する(ステップ201)。また、ホスト装置10の条件設定部102は、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるための条件を印刷装置30毎に設定する(ステップ202)。例えば、規定数量が200本と定められた場合には、その旨が設定される。そして、条件記憶部103は、設定された条件を示す情報と、印刷装置情報とを対応付けて、記憶部13やDB50に記憶する(ステップ203)。例えば、規定数量が200本である場合には、その旨を示す情報を印刷装置情報に対応付けて、記憶部13やDB50に記憶する。そして、条件読出部104は、条件設定部102により設定された条件を示す情報を条件記憶部103から読み出す(ステップ204)。例えば、規定数量が200である旨を示す情報を条件記憶部103から読み出す。そして、条件出力部105は、読み出した条件を示す情報を印刷装置30側に向けて出力し(ステップ205)、印刷前の処理が終了する。例えば、規定数量が200である旨を示す情報を印刷装置30側に向けて出力することで印刷前の処理が終了する。
【0040】
次に、印刷装置30による印刷の停止後にて、図5(B)に示すように、ホスト装置10の検知結果取得部106は、設定された条件が満たされたことが検知されたことで印刷が停止した場合に、その旨を示す情報を印刷装置30側から取得する(ステップ211)。例えば、規定数量が200本である場合に、印刷数量が200本に達したことで印刷が停止した場合には、その旨を示す情報を印刷装置30側から取得する。そして、検知結果処理部107は、設定された条件が満たされたことが検知されて印刷が停止したことを認識する(ステップ212)。例えば印刷数量が規定数量200本に達したことで印刷が停止したことを認識する。そして、印刷が停止した旨を示す情報と、検知された条件を示す情報とを条件記憶部103の記憶内容に反映させて(ステップ213)、印刷の停止後の処理が終了する。例えば、印刷数量が規定数量に達したために印刷が停止した旨を示す情報が条件記憶部103の記憶内容に反映されて、印刷の停止後の処理が終了する。ここで行われる記憶内容への反映は、印刷が停止したという実績を、検知された条件を示す情報とともに記録する等である。
【0041】
このように、本実施の形態では、印刷装置30による印刷処理の前に、印刷装置30側(印刷装置30、または印刷装置30およびユーザPC40)にて、ホスト装置10により設定された条件を示す情報が取得される。そして、その条件を満たすことの検知は、印刷装置30側で行われる。このため、ホスト装置10が印刷装置30側の処理を逐次監視する必要はない。
【0042】
以上、詳述したように、本実施の形態によれば、印刷装置30による印刷処理が行われている間に、正規の缶体に対してユーザにより印刷がなされるものとして予め定められた条件が満たされたことが検知されると、印刷処理が停止する。これにより、例えば、缶体を提供するメーカや、飲料を提供するメーカなどが正規の缶体と見做しても良いものに、印刷処理を施すことが実現される。
【0043】
なお、本実施の形態では、状態計測部303が計測する、印刷装置30の状態を示す情報として、印刷装置30が印刷を施した缶体の数量、印刷装置30の稼働時間、印刷装置30が使用した電力量や消耗品の量、及び印刷装置30の位置が計測されていた。しかし、状態計測部303の計測の対象となる、印刷装置30の状態を示す情報は、これらの情報に限定されず、印刷装置30の稼働量や位置を計測可能なあらゆる情報を採用できる。
【0044】
また、本実施の形態では、印刷装置が缶体に印刷を施すために使用する消耗品として、インクが採用されているが、これに限定されない。印刷装置の印刷の量に応じて使用量が増加するあらゆる消耗品を採用できる。
【符号の説明】
【0045】
1…缶体印刷システム、10…ホスト装置、30…印刷装置、3…制御部、32…通信部、33…印刷部、34…計測部、40…ユーザPC、301…条件取得部、302…条件記憶部、303…状態計測部、304…比較可能化部、305…状態検知部、306…印刷停止部、307…検知結果出力部、341…数量計測部、342…時間計測部、343…電力量計測部、344…インク量計測部、345…位置計測部、351…規定数量検知部、352…規定時間検知部、353…規定電力量検知部、354…規定量検知部、355…規定位置検知部
図1
図2
図3
図4
図5