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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】落下防止構造およびカメラ装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20240209BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240209BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B15/00 S
H04N5/222 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020022603
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021128249
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(72)【発明者】
【氏名】石井 政光
(72)【発明者】
【氏名】浜津 一信
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-214817(JP,A)
【文献】特開2000-156806(JP,A)
【文献】特開2008-141233(JP,A)
【文献】特開2001-077552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/00
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の径部と、前記第1の径部よりも径が大きい第2の径部と、を有した旋回軸部と、前記旋回軸部周りに回転する旋回部と、前記旋回部を旋回可能に支持する台座部とを備え落下防止構造であって、
開口部が形成された本体部と、前記本体部と一体的に設けられ、前記台座部側に固定される固定片部と、を有した補強板金部材を備え、
前記開口部は、前記第1の径部よりも径が大きく前記第2の径部よりも径が小さい開口径を有し
前記補強板金部材は、
第1の補強板金部材および第2の補強板金部材から構成され、
前記第1の補強板金部材および前記第2の補強板金部材は、半本体部、半円部である開口内周面部、および、前記固定片部をそれぞれ有し、
前記第1の補強板金部材と前記第2の補強板金部材とが前記旋回軸部を挟んで両側から組み合わされた状態で、
前記第1の補強板金部材が有する前記半本体部と前記第2の補強板金部材が有する前記半本体部とが前記本体部を構成し、
前記第1の補強板金部材が有する前記開口内周面部と前記第2の補強板金部材が有する前記開口内周面部とが、前記第2の径部を前記台座部側にして前記旋回軸部の前記第1の径部が通る前記開口部を構成し、
前記第1の補強板金部材が有する前記固定片部と前記第2の補強板金部材が有する前記固定片部とが前記台座部に固定される
ことを特徴とする落下防止構造。
【請求項2】
記第1の補強板金部材が有する前記固定片部は、前記本体部から前記第の補強板金部材の組み合わせ側に延びており、
前記第2の補強板金部材が有する前記固定片部は、前記本体部から前記第の補強板金部材の組み合わせ側に延びており、
前記第1の補強板金部材と前記第2の補強板金部材とが前記旋回軸部を挟んで両側から組み合わされた状態で、前記第1の補強板金部材が有する前記固定片部と前記第2の補強板金部材が有する前記固定片部とが重なり合い、重なり合った部分が締結される
ことを特徴とする請求項1に記載の落下防止構造。
【請求項3】
前記補強板金部材は、前記台座部の外側を覆う部材である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の落下防止構造。
【請求項4】
前記第1の補強板金部材および前記第2の補強板金部材は、
前記第1の補強板金部材と前記第2の補強板金部材とが前記旋回軸部を挟んで両側から組み合わされた状態で、前記第1の径部の外周面に接触して当該外周面にねじ締結される当接部をそれぞれする
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項記載の落下防止構造。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の落下防止構造と、
前記旋回部に設けられたカメラ部と、を備えた
ことを特徴とするカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、落下防止構造およびカメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広い領域を視野に収めて監視するため、監視カメラが高所に据え付けられた監視カメラシステムがある。高所に据え付けられた監視カメラには、通常、落下を防止するための構造が設けられる。また、監視カメラには、カメラ本体を旋回させる旋回機構を備えるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、監視カメラの落下防止具が記載されている。落下防止具は、ワイヤロープおよび制動器を備える。また、監視カメラは、カメラ本体が設けられた旋回部と、この旋回部を垂直旋回可能に支持する旋回部と、この旋回部を水平旋回可能に支持する台座部とを備える。台座部は、高所の基台に取り付けられる。
【0004】
ワイヤロープは、ループ状に端末処理された通し部を有しており、台座部に巻き付けられるループ部を形成して通し部に通される。制動器は、ワイヤロープのループ部を貫通して取り付けられ、通し部までの落下制動距離に相当するロープ部位における摺動が可能である。
【0005】
監視カメラが基台から落下すると、制動器が落下制動距離に相当するロープ部位を摺動することで、監視カメラの落下速度が減速する。台座部に係合するまで制動器がロープ部位を摺動することによって監視カメラがワイヤロープに支持されるので、地表への落下が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-21130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された落下防止構造は、ワイヤロープのループ部が、旋回部の旋回の妨げにならないように台座部に取り付けられるので、例えば、外部から衝撃が加わることにより台座部から旋回部が外れた場合、旋回部の落下を防ぐことができないという課題があった。
【0008】
本開示は上記課題を解決するものであり、落下防止対象物が備える旋回部の落下を防止することができる落下防止構造およびカメラ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る落下防止構造は、第1の径部と、第1の径部よりも径が大きい第2の径部と、を有した旋回軸部と、旋回軸部周りに回転する旋回部と、旋回部を旋回可能に支持する台座部とを備え落下防止構造であって、開口部が形成された本体部と、本体部と一体的に設けられ、台座部側に固定される固定片部と、を有した補強板金部材を備え、開口部は、第1の径部よりも径が大きく第2の径部よりも径が小さい開口径を有し、補強板金部材は、第1の補強板金部材および第2の補強板金部材から構成され、第1の補強板金部材および第2の補強板金部材は、半本体部、半円部である開口内周面部、および、固定片部をそれぞれ有し、第1の補強板金部材と第2の補強板金部材とが旋回軸部を挟んで両側から組み合わされた状態で、第1の補強板金部材が有する半本体部と第2の補強板金部材が有する半本体部とが本体部を構成し、第1の補強板金部材が有する開口内周面部と第2の補強板金部材が有する開口内周面部とが、第2の径部を台座部側にして旋回軸部の第1の径部が通る開口部を構成し、第1の補強板金部材が有する固定片部と第2の補強板金部材が有する固定片部とが台座部に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、旋回部とともに旋回軸部が台座部から抜け出す方向の動きが、台座部側に固定された補強板金部材に形成された開口部において規制されるので、旋回部が台座部側に留められる。これにより、本開示に係る落下防止構造は、落下防止対象物が備える旋回部の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは、実施の形態1に係るカメラ装置を示す正面図であり、図1Bは、図1AのA方向から見たカメラ装置を示す側面図であり、図1Cは、図1AのB方向から見たカメラ装置を示す側面図である。
図2】ポールに設置された実施の形態1に係るカメラ装置を示す正面図である。
図3】組み合わせる前の実施の形態1に係る補強板金部材を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係るカメラ装置のポールへの設置の概要を示す斜視図である。
図5図5Aは、組み合わせた後の実施の形態1に係る補強板金部材を示す斜視図であり、図5Bは、図5Aの補強板金部材を示す上面図であり、図5Cは、図5BのC方向から見た補強板金部材を示す側面図であり、図5Dは、図5BのD方向から見た補強板金部材を示す側面図である。
図6図6Aは、実施の形態1に係るカメラ装置を旋回軸部に沿って切った断面を示す部分断面側面図であり、図6Bは、実施の形態1に係るカメラ装置を旋回軸部に沿って切った断面を示す部分断面正面図である。
図7図7Aは、実施の形態2に係るカメラ装置を示す正面図であり、図7Bは、図7AのA方向から見たカメラ装置を示す側面図であり、図7Cは、図7AのB方向から見たカメラ装置を示す側面図である。
図8】組み合わせる前の実施の形態2に係る補強板金部材を示す斜視図である。
図9】実施の形態2に係るカメラ装置のポールへの設置の概要を示す斜視図である。
図10図10Aは、組み合わせた後の実施の形態1に係る補強板金部材を示す斜視図であり、図10Bは、図10Aの補強板金部材を示す上面図であり、図10Cは、図10BのC方向から見た補強板金部材を示す側面図であり、図10Dは、図10BのD方向から見た補強板金部材を示す側面図である。
図11図11Aは、実施の形態2に係るカメラ装置を旋回軸部に沿って切った断面を示す部分断面側面図であり、図11Bは、実施の形態2に係るカメラ装置を旋回軸部に沿って切った断面を示す部分断面正面図である。
図12】実施の形態1または実施の形態2に係るカメラ装置の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1Aは、実施の形態1に係るカメラ装置1を示す正面図である。また、図1Bは、図1AのA方向から見たカメラ装置1を示す側面図であり、図1Cは、図1AのB方向から見たカメラ装置1を示す側面図である。図2は、ポール100に設置されたカメラ装置1を示す正面図である。カメラ装置1は、図1Aおよび図2に示すように、第1の旋回部2、第2の旋回部3および台座部4を備えた落下防止対象物であり、例えば、監視カメラ装置である。
【0013】
第1の旋回部2は、カメラ部2aを備え、図1Aに示す旋回軸部2b周りに旋回する。カメラ部2aは、例えば監視カメラである。第2の旋回部3は、旋回軸部5を中心に旋回する旋回部である。また、第2の旋回部3は、第1の旋回部2を旋回可能に支持し、台座部4は、第2の旋回部3を旋回可能に支持する。さらに、図1A図1Bおよび図1Cに示すように、カメラ装置1は高所に設置されるので、台座部4には、実施の形態1に係る落下防止構造である補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bが設置される。
【0014】
例えば、図2に示すように、カメラ装置1は、ポール100から延びた設置台101に設置される。台座部4は、ボルト9およびナット10によって設置台101に強固に締結される。補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bは、台座部4とともに設置台101に締結(共締め)される。カメラ装置1がポール100に設置された状態で、旋回軸部2bは、水平方向に沿った軸となり、旋回軸部5は、垂直方向(鉛直方向)に沿った軸となるので、第1の旋回部2は垂直旋回し、第2の旋回部3は水平旋回する。
【0015】
図3は、組み合わせる前の補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bを示す斜視図である。図3に示すように、補強板金部材6Aは、平板状の本体部7Aと、本体部7Aと一体に設けられた固定片部8Aとを有した第1の補強板金部材(ユニット)である。補強板金部材6Bは、平板状の本体部7Bと、本体部7Bと一体に設けられた固定片部8Bとを有した第2の補強板金部材(ユニット)である。補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bは、例えば、板金の打ち抜き加工および折り曲げ加工によって作製される。
【0016】
本体部7Aは、半円部7A-1、ねじ締結部7A-2およびねじ締結部7A-3を有し、本体部7Bは、半円部7B-1、ねじ締結部7B-2およびねじ締結部7B-3を有している。半円部7A-1および半円部7B-1は、補強板金部材6Aと補強板金部材6Bとが組み合わされた状態で開口部を構成する開口内周面部である。開口部は、旋回軸部5が通る開口部であり、図5Aおよび図5Bを用いて後述される。ねじ締結部7A-2、ねじ締結部7A-3、ねじ締結部7B-2およびねじ締結部7B-3は、平板状の片部であり、補強板金部材6Aと補強板金部材6Bとが組み合わされた状態で、ねじ締結部7A-2とねじ締結部7B-3とが面と面で接触し、ねじ締結部7A-3とねじ締結部7B-2とが面と面で接触する。
【0017】
ねじ締結部7A-2およびねじ締結部7B-2には、ねじ11が通る貫通穴がそれぞれ形成されており、ねじ締結部7A-3およびねじ締結部7B-3には、ねじ11をねじ込むねじ穴がそれぞれに形成されている。ねじ締結部7A-2における貫通穴に通したねじ11が、ねじ締結部7B-3におけるねじ穴にねじ込まれ、ねじ締結部7B-2における貫通穴に通したねじ11が、ねじ締結部7A-3におけるねじ穴にねじ込まれることで、補強板金部材6Aと補強板金部材6Bとが組み合わされた状態で固定される。
【0018】
固定片部8Aには、ボルト締結部8A-1が形成され、固定片部8Bには、ボルト締結部8B-1が形成される。ボルト締結部8A-1およびボルト締結部8B-1には、図2に示すボルト9を通す貫通穴が形成されている。
【0019】
図4は、カメラ装置1のポール100への設置の概要を示す斜視図である。図4に示すように、補強板金部材6Aと補強板金部材6Bは、台座部4の外側から組み合わされる。すなわち、実施の形態1に係る落下防止構造は、ポール100に設置済みのカメラ装置1に対して後から設置することが可能である。また、台座部4の下端部の四隅には、ボルト用貫通穴4aが形成され、設置台101の設置面には貫通穴101aが形成されている。
【0020】
ボルト用貫通穴4aと、ボルト締結部8A-1における貫通穴と、貫通穴101aとに通したボルト9をナット10にねじ込むことで、台座部4と固定片部8Aと設置台101が締め込まれ、ボルト用貫通穴4aと、ボルト締結部8B-1における貫通穴と、貫通穴101aとに通したボルト9をナット10にねじ込むことで、台座部4と固定片部8Bと設置台101が締め込まれる。これにより、カメラ装置1がポール100の設置台101に設置され、補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bが台座部4側に固定される。
【0021】
図5Aは、組み合わせた後の補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bを示す斜視図である。図5Bは、組み合わせた後の補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bを示す上面図である。図5Cは、図5BのC方向から見た補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bを示す側面図であり、図5Dは、図5BのD方向から見た補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bを示す側面図である。また、図6Aは、カメラ装置1を旋回軸部5に沿って切った断面を示す部分断面側面図である。図6Bは、カメラ装置1を旋回軸部5に沿って切った断面を示す部分断面正面図である。
【0022】
図5Aおよび図5Bに示すように、補強板金部材6Aと補強板金部材6Bとが組み合わされた状態で、半円部7A-1と半円部7B-1とが合わさることで、円状の開口部12が構成される。また、図6Aおよび図6Bに示すように、第2の旋回部3における旋回軸部5は、第1の径部5Aと、第1の径部5Aよりも径が大きい第2の径部5Bとを有している。例えば、第1の径部5Aは、旋回軸部5における第2の旋回部3と台座部4との間から露出した部分であり、第2の径部5Bは、旋回軸部5を台座部4側に固定するためのフランジである。開口部12は、第1の径部5Aよりも径が大きく、第2の径部5Bよりも径が小さい開口径を有している。また、開口部12には、第2の径部5Bを台座部4側にして旋回軸部5が通っている。
【0023】
例えば、図6Aおよび図6Bに示すように、カメラ装置1に衝撃が加わることによって第2の旋回部3が台座部4から抜ける方向(矢印方向)に働いた力は、第2の径部5Bが接触した開口部12の縁部分から、補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bに伝わる。この力は、本体部7Aおよび本体部7Bを矢印方向に引っ張ることで、補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bの弾性変形に消費される。これにより、カメラ装置1に加わった上記衝撃が緩和され、第2の旋回部3が台座部4から外れることが抑制される。
【0024】
また、カメラ装置1にさらに過大な衝撃が加わって旋回軸部5が台座部4から外れたとしても、第2の径部5Bが開口部12の縁部分に接触することで、旋回軸部5が台座部4から抜け出す方向の動きが規制される。これにより、第2の旋回部3は台座部4側に留まり落下が防止される。
【0025】
なお、補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bは、第1の旋回部2と第2の旋回部3との連結部分に設けることも可能である。例えば、固定片部8Aおよび固定片部8Bが、ボルト締結部8A-1およびボルト締結部8B-1の代わりに、第2の旋回部3の筐体に対してねじ締結するためのねじ締結部を備える。また、開口部12は、補強板金部材6Aと補強板金部材6Bとが組み合わされた状態で、旋回軸部2bにおける第1の径部よりも径が大きく、旋回軸部2bにおける第2の径部よりも径が小さい開口径を有し、旋回軸部2bにおける第2の径部を第2の旋回部3側にして旋回軸部2bが通る。このように構成することにより、第1の旋回部2が第2の旋回部3から外れることが抑制される。また、過大な衝撃が加わって第1の旋回部2が第2の旋回部3から外れたとしても、旋回軸部2bにおける第2の径部が開口部12の縁部分に接触することで、旋回軸部2bが第2の旋回部3から抜け出す方向の動きが規制される。これにより、第1の旋回部2は第2の旋回部3側に留まり落下が防止される。
【0026】
また、補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bは、組み合わされた状態で台座部4の外側を覆う部材であってもよい。例えば、補強板金部材6Aおよび補強板金部材6Bを、組み合わされた状態で台座部4が内部に収容されるドームを形成する形状とする。カメラ装置1に加わった衝撃によって台座部4の一部が破損して発生した破片は、このドームの内部に留まる。これにより、台座部4の破片の落下が防止される。
【0027】
以上のように、実施の形態1に係る落下防止構造は、補強板金部材6Aおよび6B、台座部4の外側から補強板金部材6Aと補強板金部材6Bが互いに組み合わされた状態で、開口部12を構成する半円部7A-1および7B-1が形成された本体部7Aおよび7Bと、本体部7Aおよび7Bと一体にそれぞれ設けられ、台座部4側に固定される固定片部8Aおよび8Bとを備え、旋回軸部5は、第1の径部5Aと、当該第1の径部5Aよりも径が大きい第2の径部5Bを有し、開口部12は、第1の径部5Aよりも径が大きく第2の径部5Bよりも径が小さい開口径を有し、第2の径部5Bを台座部4側にして旋回軸部5が通っている。開口部12において旋回軸部5が台座部4から抜け出す方向の動きが規制され、第2の旋回部3が台座部4側に留められるので、実施の形態1に係る落下防止構造は、第2の旋回部3の落下を防止することができる。
【0028】
実施の形態2.
図7Aは、実施の形態2に係るカメラ装置1Aを示す正面図である。図7Bは、図7AのA方向から見たカメラ装置1Aを示す側面図であり、図7Cは、図7AのB方向から見たカメラ装置1Aを示す側面図である。カメラ装置1Aは、実施の形態1に係るカメラ装置1と同様に、第1の旋回部2、第2の旋回部3および台座部4を備えた落下防止対象物であり、例えば、監視カメラ装置である。
【0029】
第1の旋回部2は、カメラ部2aを備えており、図7Aに示す旋回軸部2b周りに旋回する。カメラ部2aは、例えば監視カメラである。第2の旋回部3は、旋回軸部5を中心に旋回する旋回部である。また、第2の旋回部3は、第1の旋回部2を旋回可能に支持し、台座部4は、第2の旋回部3を旋回可能に支持する。図7A図7Bおよび図7Cに示すように、カメラ装置1Aは高所に設置されるので、台座部4には、実施の形態2に係る補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bが設置される。
【0030】
図8は、組み合わせる前の補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bを示す斜視図である。図8に示すように、補強板金部材13Aは、平板状の本体部14Aと、本体部14Aと一体に設けられた固定片部15Aとを有した第1の補強板金部材(ユニット)である。補強板金部材13Bは、平板状の本体部14Bと、本体部14Bと一体に設けられた固定片部15Bとを有した第2の補強板金部材(ユニット)である。例えば、補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bは、板金の打ち抜き加工および折り曲げ加工によって作製される。
【0031】
本体部14Aは半円部14A-1を有し、本体部14Bは半円部14B-1を有する。半円部14A-1および半円部14B-1は、補強板金部材13Aと補強板金部材13Bとが組み合わされた状態で開口部12を構成する開口内周面部である。
【0032】
固定片部15Aは、ボルト締結部15A-1および貫通穴15A-2を有し、固定片部15Bは、ボルト締結部15B-1およびねじ穴15B-2を有する。また、ボルト締結部15A-1およびボルト締結部15B-1には、ボルト9を通すための貫通穴が形成されている。
【0033】
さらに、固定片部15Aは、本体部14Aから補強板金部材13Aの組み合わせ方向(図8において破線で示す方向)に沿って延びており、固定片部15Bは、本体部14Bから補強板金部材13Bの組み合わせ方向に沿って延びている。このように構成されているので、補強板金部材13Aと補強板金部材13Bとが組み合わされた状態で、固定片部15Aと固定片部15Bは、図7Bおよび図7Cに示すように、固定片部15Aを外側にして交差する。
【0034】
貫通穴15A-2は、固定片部15Aにおける固定片部15Bと重なり合う部分に形成されており、ねじ穴15B-2は、固定片部15Bにおける固定片部15Aと重なり合う部分に形成されている。貫通穴15A-2に通したねじ16を、ねじ穴15B-2にねじ込むことにより、補強板金部材13Aと補強板金部材13Bが組み合わされた状態で固定される。
【0035】
図9は、カメラ装置1Aのポール100への設置の概要を示す斜視図である。図9に示すように、補強板金部材13Aと補強板金部材13Bは、台座部4の外側から組み合わされる。すなわち、実施の形態2に係る落下防止構造は、ポール100に設置済みのカメラ装置1Aに対して後から設置することが可能である。
【0036】
ボルト用貫通穴4aと、ボルト締結部15A-1の貫通穴と、設置台101の貫通穴101aとに通したボルト9をナット10にねじ込むことで、台座部4と固定片部15Aと設置台101とが締め込まれ、ボルト用貫通穴4aと、ボルト締結部15B-1の貫通穴と、設置台101の貫通穴101aとに通したボルト9をナット10にねじ込むことで、台座部4と固定片部15Bと設置台101が締め込まれる。これにより、カメラ装置1Aがポール100の設置台101に設置され、補強板金部材13Aと補強板金部材13Bが台座部4側に固定される。
【0037】
図10Aは、組み合わせた後の補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bを示す斜視図である。図10Bは、組み合わせた後の補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bを示す上面図である。図10Cは、図10BのC方向から見た補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bを示す側面図であり、図10Dは、図10BのD方向から見た補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bを示す側面図である。また、図11Aは、カメラ装置1Aを旋回軸部5に沿って切った断面を示す部分断面側面図である。図11Bは、カメラ装置1Aを旋回軸部5に沿って切った断面を示す部分断面正面図である。
【0038】
図10Aおよび図10Bに示すように、補強板金部材13Aと補強板金部材13Bとが組み合わされた状態で、半円部14A-1と半円部14B-1が合わさることで、円状の開口部12が構成される。また、図11Aおよび図11Bに示すように、第2の旋回部3における旋回軸部5は、第1の径部5Aと、第1の径部5Aよりも径が大きい第2の径部5Bとを有している。例えば、第1の径部5Aは、旋回軸部5における第2の旋回部3と台座部4との間から露出した部分であり、第2の径部5Bは、旋回軸部5を台座部4側に固定するためのフランジである。開口部12は、実施の形態1と同様に、第1の径部5Aよりも径が大きく、第2の径部5Bよりも径が小さい開口径を有し、第2の径部5Bを台座部4側にして旋回軸部5が通っている。
【0039】
例えば、図11Aおよび図11Bに示すように、カメラ装置1Aに衝撃が加わることによって第2の旋回部3が台座部4から抜ける方向(矢印方向)に働いた力は、第2の径部5Bに接触された開口部12の縁部分から、補強板金部材13Aと補強板金部材13Bに伝わる。この力は、本体部14Aおよび本体部14Bを矢印方向に引っ張ることで、補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bの弾性変形に消費される。これにより、カメラ装置1Aに加わった上記衝撃が緩和され、第2の旋回部3が台座部4から外れることが抑制される。
【0040】
また、カメラ装置1Aにさらに過大な衝撃が加わって旋回軸部5が台座部4から外れたとしても、第2の径部5Bが開口部12の縁部分に接触することで、旋回軸部5が台座部4から抜け出す方向の動きが規制される。これにより、第2の旋回部3は台座部4側に留まり落下が防止される。
【0041】
なお、補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bは、第1の旋回部2と第2の旋回部3との間に設けることも可能である。例えば、固定片部15Aおよび固定片部15Bが、ボルト締結部15A-1およびボルト締結部15B-1の代わりに、第2の旋回部3の筐体にねじ締結するためのねじ締結部を備える。また、開口部12は、補強板金部材13Aと補強板金部材13Bが組み合わされた状態で、旋回軸部2bにおける第1の径部よりも径が大きく、旋回軸部2bにおける第2の径部よりも径が小さい開口径を有する。開口部12には、旋回軸部2bにおける第2の径部を第2の旋回部3側にして旋回軸部2bが通る。このように構成することにより、第1の旋回部2が第2の旋回部3から外れることが抑制される。また、過大な衝撃が加わって第1の旋回部2が第2の旋回部3から外れたとしても、旋回軸部2bにおける第2の径部が開口部12の縁部分に接触することで、旋回軸部2bが第2の旋回部3から抜け出す方向の動きが規制される。これにより、第1の旋回部2は第2の旋回部3側に留まり落下が防止される。
【0042】
また、補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bは、組み合わされた状態で台座部4の外側を覆う部材であってもよい。例えば、補強板金部材13Aおよび補強板金部材13Bの各形状を、組み合わされた状態で、台座部4が内部に収容されるドームを形成する形状とする。カメラ装置1に加わった衝撃によって台座部4の一部が破損することにより発生した破片は、このドームの内部に留まる。これにより、台座部4の破片の落下が防止される。
【0043】
以上のように、実施の形態2に係る落下防止構造において、補強板金部材13Aが有する固定片部15Aは、本体部14Aから補強板金部材13Aの組み合わせ方向に沿って延びており、補強板金部材13Bが有する固定片部15Bは、本体部14Bから補強板金部材13Bの組み合わせ方向に沿って延びている。台座部4の外側から補強板金部材13Aと補強板金部材13Bとが組み合わされた状態で、互いの固定片部15Aおよび15Bが重なり合った部分が締結されている。開口部12において旋回軸部5が台座部4から抜け出す方向の動きが規制され、第2の旋回部3が台座部4側に留められるので、実施の形態2に係る落下防止構造は、第2の旋回部3の落下を防止することができる。
【0044】
また、実施の形態1および実施の形態2として、補強板金部材が2つのユニットである構成を示したが、本開示に係る落下防止構造においては、補強板金部材が1つであってもよい。例えば、カメラ装置1または1Aを取付箇所に取り付ける前に、第2の径部5Bを台座部4側にして開口部に旋回軸部5が通るように、補強板金部材をカメラ装置1または1Aに組み付けておく。このような構成であっても、第2の旋回部3の落下を防止することができる。
【0045】
また、実施の形態1および実施の形態2として、補強板金部材が2つのユニットである構成を示したが、本開示に係る落下防止構造においては、台座部4の外側(または台座部とみなせる旋回部の外側)から組み合わせが可能であれば、本開示に係る落下防止構造は3つ以上の補強板金部材を備えてもよい。
【0046】
図12は、実施の形態1または実施の形態2に係るカメラ装置1または1Aの変形例を示す部分断面図である。図12に示すように、カメラ装置1または1Aが備える補強板金部材における本体部7Aまたは14Aは当接部17Aを有し、本体部7Bまたは14Bは当接部17Bを有している。当接部17Aおよび17Bは、旋回軸部5における第1の径部5Aの外周面に当接する。例えば、当接部17Aおよび17Bは、旋回軸部5の軸方向に直交する面による断面が円弧状の片部であり、第1の径部5Aの外周面に沿って接触する。第1の径部5Aの外周面には、ねじ穴5Cが形成されており、当接部17Aおよび17Bには、ねじ18を通すための貫通穴が設けられている。当接部17Aおよび17Bと第1の径部5Aの外周面は、貫通穴を通したねじ18がねじ穴5Cにねじ込まれて、ねじ締結される。この構造により、旋回軸部5が台座部4から抜け出す方向の動きが強固に規制されるので、過大な衝撃が印加されても第2の旋回部3の落下を防止することが可能である。
【0047】
なお、各実施の形態の組み合わせまたは実施の形態のそれぞれの任意の構成要素の変形もしくは実施の形態のそれぞれにおいて任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1,1A カメラ装置、2 第1の旋回部、2a カメラ部、2b,5 旋回軸部、3 第2の旋回部、4 台座部、4a ボルト用貫通穴、5A 第1の径部、5B 第2の径部、6A,6B,13A,13B 補強板金部材、7A,7B,14A,14B 本体部、7A-1,7B-1,14A-1,14B-1 半円部、7A-2,7B-2,7A-3,7B-3 ねじ締結部、8A,8B,15A,15B 固定片部、8A-1,8B-1,15A-1,15B-1 ボルト締結部、9 ボルト、10 ナット、11,16 ねじ、12 開口部、15A-2,101a 貫通穴、15B-2 ねじ穴、100 ポール、101 設置台。
図1
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図12