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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20240209BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240209BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20240209BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240209BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20240209BHJP
   C11D 1/94 20060101ALI20240209BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240209BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/34
A61Q1/14
A61Q19/10
C11D1/04
C11D1/94
C11D3/20
C11D17/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020033548
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021134191
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2020-05-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591169560
【氏名又は名称】牛乳石鹸共進社株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直敦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】今西 豊
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】齊藤 真由美
【審判官】冨永 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-94903(JP,A)
【文献】特開2005-154651(JP,A)
【文献】特開2017-171625(JP,A)
【文献】特開2010-241740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99, A61Q 1/00-90/00, C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)~():
(A)ラウリン酸塩
(B)ミリスチン酸塩
(C)グリセリンおよびソルビトールから選択される、分子内に3以上のヒドロキシル基を有する多価アルコール
(D)分子量100~1万のポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコールおよびジプロピレングリコールから選択される、IOB値が0.1以上3.5以下の多価アルコール
(E)アニオン性界面活性剤(パルミチン酸塩を除く。)
を含有し、
成分(A)~()の質量割合が、
{(A)+(B)}=10~20質量%、
(A)/(B)=0.5~1.0、
(C)=5~30質量%、
(D)=1~10質量%、
(E)=1~10質量%
である皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
25℃におけるpHが、9~11の請求項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(F)両性界面活性剤を含有する請求項1または2に記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
25℃における粘度が、15mPa・s以下である請求項1~3のいずれか1つに記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の皮膚洗浄剤組成物が、泡を形成するための多孔質膜を有し、前記多孔質膜のメッシュが、85メッシュ~400メッシュを備える泡吐出容器に収容されてなる泡吐出容器入り皮膚洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質体を用いて空気と混合されることによってフォーム(泡)を形成するフォーマーに用いることができる皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高級脂肪酸塩を用いた皮膚洗浄剤は、クリーミィな泡質やすすぎの早さ、洗浄後のさっぱり感が得られることから幅広く使用されている。しかしながら、フォーマーポンプを用いた製剤では、容器内部の多孔質膜を容器内容物と空気を通過させながら混合させることで泡を形成(起泡)させ吐出しているため、フォーマーポンプ内部に残存した界面活性剤液が水分蒸発した後に多孔質膜に乾燥被膜が形成されてしまう。この乾燥被膜によって多孔質膜は目詰まりを生じ、使用時にポンプが押し難くなってしまうといった泡吐出性を低下させてしまう問題がある。特に洗浄成分の界面活性剤として高級脂肪酸塩を用いた場合、その結晶性の高さ故に多孔質膜の目詰まりが顕著に発生する。
【0003】
前記課題に関連する先行技術文献の例として、想定される製剤の保存環境が高温の場合に焦点を当てた目詰まり防止の洗浄剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、乾燥被膜は高温保存環境だけで生じるものではなく、低温保存環境でも相対湿度が低い場合や浴室乾燥機が使用されてしまう場合などにも形成され得る。更に近年では、消費者が求める使用性等の要求も従来以上に高まってきており、泡質のさらなる向上が求められている。このようなニーズに対応するためには、従来よりも高級脂肪酸塩の総量を増やしつつ、[ラウリン酸/ミリスチン酸]の比率を、より結晶性の高いミリスチン酸比率が多い場合でも、多孔質膜の目詰まりを防止する技術が求められる。
【0004】
高級脂肪酸塩総量を高めた先行技術文献の例としては、泡の量の多さ、泡の弾力性、吐出時の泡のクリーミー性、低温時の吐出性、及び液の均一溶解性が良好でありつつも、すすぎ終わり時の肌のぬるつきのなさ、及びタオルドライ後の肌のしっとり感に優れる液体皮膚洗浄剤組成物が提案されている。
この提案もタオルドライ後の肌のしっとり感を得られる機能以外に、本発明と同様の泡量などの泡性能を特化させるべく、脂肪酸総量が2~20質量%と上限値が高く設定されている。しかしながら、低温保管後の吐出性を懸念し、[ラウリン酸/ミリスチン酸]比率は2.0~6.0と制限されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、多価アルコールを多量に含有し、洗浄後のしっとりと潤った洗い上がりを実現しながら、洗浄剤の粘度が低く、泡吐出容器に充填して用いても、低温でもきめ細かい良好な泡が得られる洗浄剤を提供すること課題として、(A)硫酸基を有するアニオン界面活性剤、(B)高級脂肪酸塩、(C)IOB値が3.4以上6未満である多価アルコール、(D)IOB値が0.1以上3.4未満である多価アルコール、及び(E)水を含有し、成分(A)~(D)の質量割合が、{(A)+(B)}=1~10質量%、(C)=30~60質量%、(D)/(C)=0.01~1である洗浄剤組成物を泡吐出容器に充填した洗浄剤が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、特許文献3には、界面活性剤(高級脂肪酸塩を含む)の含有量({(A)+(B)})を1~10質量%とする旨の記載がなされているのみであり、多孔質膜の目詰まり防止技術については何ら触れられていない。
【0006】
また、低温でも界面活性剤が析出せず、低温安定性に優れるとともに、良好な泡特性を有し、泡吐出容器で用いた場合でも、目詰まりが生じにくい皮膚洗浄剤を提供することを課題として、(A)カルボキシル基を含有するアニオン界面活性剤、(B)IOB値が1~2の多価アルコール、(C)IOB値が3~4の多価アルコール、及び(D)水を含有する皮膚洗浄剤が提案されている(特許文献4参照)。
しかし、特許文献4には、[ラウリン酸/ミリスチン酸]の比率が1よりも高く、低い濃度で含有された高級脂肪酸塩についてのみ記載があるのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-172877号公報
【文献】特開2019-94287号公報
【文献】特開2011-12034号公報
【文献】特開2010-241740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来技術では、多孔質体を用いて空気と混合されることによってフォームを形成するフォーマー用の皮膚洗浄剤組成物において、皮膚洗浄剤組成物中に含まれる高級脂肪酸塩総量が10質量%以上と多く含まれ、且つミリスチン酸を主構成脂肪酸とした場合に、例えばポンプ内部に設けられた多孔質膜の目詰まりを防止することは難しいことが問題であった。また、皮膚洗浄剤組成物に基づく皮膚洗浄剤の保存環境は多様であり、特に40℃付近の高温環境、及び5℃付近の低温環境のいずれの保存環境でも多孔質膜の目詰まりを防止できる皮膚洗浄剤組成物を、泡の性質を下げることなく実現することは困難であった。
【0009】
具体的には、多孔質膜の目詰まりを防止できる組成とすると、泡吐出容器から吐出させた泡の弾力性、肌への塗布時の起泡性及び泡のキメ細かさに現れる泡の性質が劣るという問題があり、多孔質膜の目詰まり防止技術と、前記泡の性質が優れることを両立できるフォーマー用の皮膚洗浄剤組成物を実現することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、上記課題を解決する本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕 下記の成分(A)~(D):
(A)ラウリン酸塩
(B)ミリスチン酸塩
(C)分子内に3以上のヒドロキシル基を有する多価アルコール
(D)IOB値が0.1以上3.5以下の多価アルコール(プロピレングリコールを除く。)
を含有し、
成分(A)~(D)の質量割合が、
{(A)+(B)}=10~20質量%、
(A)/(B)=0.5~1.0、
(C)=5~30質量%、
(D)=1~10質量%
である皮膚洗浄剤組成物。
〔2〕 25℃におけるpHが、9~11の〔1〕に記載の皮膚洗浄剤組成物。
〔3〕 前記成分(C)が50%RH(21~27℃)における吸湿による重量増加率が15質量%以上である〔1〕または〔2〕に記載の皮膚洗浄剤組成物。
〔4〕 前記成分(C)のIOB値が5.0以上の多価アルコールである〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の皮膚洗浄剤組成物。
〔5〕 更に、(E)アニオン性界面活性剤(パルミチン酸カリウムを除く。)を含有する〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の皮膚洗浄剤組成物。
〔6〕 更に、(F)両性界面活性剤を含有する〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の皮膚洗浄剤組成物。
〔7〕 25℃における粘度が、15mPa・s以下である〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の皮膚洗浄剤組成物。
〔8〕 〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の皮膚洗浄剤組成物が、泡を形成するための多孔質膜を有し、前記多孔質膜のメッシュが、85メッシュ~400メッシュを備える泡吐出容器に収容されてなる泡吐出容器入り皮膚洗浄剤。
【0011】
前記皮膚洗浄剤組成物は、多孔質体を用いて空気と混合されることによってフォーム(泡)を形成するフォーマー用の皮膚洗浄剤組成物である。多孔質体は、メッシュ、スポンジ、焼結体、及びネットを含み、また、多孔質体を薄膜状に形成してなる多孔質膜を含む。特に多孔質膜は、フォームを形成する泡吐出容器(フォーマー)の内部に設けられてなるものでもよい。多孔質体は、85メッシュ~400メッシュを備えるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、皮膚洗浄剤組成物中における脂肪酸塩総量を10質量%以上とし、且つ成分(B)が成分(A)以上の割合で配合されて主構成脂肪酸とするにも関わらず、泡吐出容器内の多孔質膜の目詰まりを防止することができる。すなわち、多孔質膜における皮膚洗浄剤組成物の乾燥被膜の形成を防止し、ゲル状態を維持できる皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【0013】
そして、本発明によれば、泡吐出容器内での多孔質膜の目詰まりの防止を、高温保存環境下、及び低温保存環境下のいずれにおいても実現することができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、洗浄成分である成分(A)及び成分(B)を合わせた脂肪酸塩総量を10質量%以上とするフォームを形成するフォーマー用の皮膚洗浄剤組成物を実現でき、泡吐出容器から起泡状態で吐出させた泡の弾力性、肌への塗布時の起泡性及び泡のキメ細かさについても、液状ボディソープを泡立てて生成した泡と遜色ないほどに優れた泡状皮膚洗浄剤を形成できる皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)実施例に使用したものと同一構造を有するフォーマーのポンプヘッド部の一部内部構造、(b)フォーマーポンプヘッド部内部に設けられたメッシュ部((a)において一点鎖線で囲んだ部分)の拡大図、(c)メッシュ部の縦断面を示す概略図である。
図2】実施例4の乾燥による固化特性を示す写真イメージである。(a)はビーカーB1内で乾燥操作した状態の実施例4に係る皮膚洗浄剤組成物1をビーカーB1の開口側から見た写真であり、(b)は(a)のビーカーB1から皮膚洗浄剤組成物1をスパーテルS1ですくい取った様子を示す写真である。なお、市松模様地は背景である。
図3】比較例5の乾燥による固化特性を示す写真イメージである。(a)はビーカーB2内で乾燥操作した状態の比較例5に係る皮膚洗浄剤組成物2をビーカーB2の開口側から見た写真であり、(b)は(a)のビーカーB2から皮膚洗浄剤組成物2をスパーテルS2ですくい取った様子を示す写真である。なお、市松模様地は背景である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
成分(A)と成分(B)を構成する高級脂肪酸塩は、ヤシ油、パーム核油から誘導される脂肪酸混合物の組成を調整しても用いることが出来る。成分(A)と成分(B)を構成する塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、低級アルカノールアミン塩などが挙げられるが、好ましくはカリウム塩である。
【0017】
本発明においては、特に(A)ラウリン酸と、(B)ミリスチン酸を組み合わせて用いることが好ましい。これにより、フォーマーポンプ容器からきめ細かい泡を吐出させることが出来る。
本発明において、洗浄剤中における成分(A)と(B)の含有量は、それぞれ5~10質量%、更に5.5~8質量%、特に6~7.5質量%が好ましい。
【0018】
また、洗浄剤中における成分(A)と(B)の含有量は、合計で10~20質量%であり、好ましくは11~18質量%、特に好ましくは12~15質量%である。成分(A)と(B)の合計含有量が10質量%以上でキメの細かいクリーミィな泡質、泡の弾力性が良好であり、20質量%以下で低温でのフォーマーポンプ容器からの泡の吐出性、低温保存時における安定性に優れる。成分(A)と(B)の質量割合は(A)/(B)が1.0以下で泡立ちや泡の持続性が得られ、0.5以上で低温保存時における安定性に優れる。更に0.55~0.95、特に0.65~0.85である。
【0019】
前記(A)と(B)成分以外の高級脂肪酸塩も、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜選択することができる。例えば、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、イソステアリン酸塩、ドコサン酸塩、トリデカン酸塩、テトラメチルノナン酸塩、ペンタデカン酸塩、アラキジン酸塩、リグノセリン酸塩、セロチン酸塩、ミリストレイン酸塩、パルミトレイン酸塩、エライジン酸塩、ゴンドイン酸塩、エルカ酸塩、セラコレイン酸塩、リノエライジン酸塩、リノレン酸塩、アラキドン酸塩、2-ヘキシルデカン酸塩、12-ヒドロキシステアリン酸塩、などが挙げられる。
【0020】
本発明に含まれる成分(C)の多価アルコールは、50%RH(21~27℃)におけるポリオールの重量増加率が15質量%以上のものであることが好ましい。かかる多価アルコールを用いることにより、高温で相対湿度が低い保存環境下においてフォーマーポンプ内に残存した吐出泡が破泡し、その液が水分蒸発後に固化してしまった場合においても吸湿効果により流動性を得ることが出来る。具体的には、例えば40℃相対湿度5%RHで本発明の内容物の水分蒸発を促した場合には、皮膚洗浄剤組成物は一時的に固化してしまうことがある。このような環境の例としては、日中に浴室乾燥機を稼働させている浴室内などが挙げられる。しかし、例えば入浴時にジャワーや浴槽の湯を使用している状態の浴室内など、相対湿度が高い環境下のおかれることで、乾燥していた皮膚洗浄剤組成物に再び流動性を取り戻すことができる。これは、本発明に係る皮膚洗浄剤組成物は、成分(A)及び(B)を高い割合で含有しながらも、成分(C)及び成分(D)との組み合わせによって含有水分が減少した際に成分(A)及び(B)の結晶化を防ぐことができ、固化することなくゲル状態に変化することができるからである。また、含有水分が減少し、一見乾燥状態に見える状態となった場合にも、乾燥ゲルの状態を維持し、相対湿度の上昇により容易に柔らかいゲル状態へと変化し、多孔質膜への固着を防止することができる。
【0021】
これにより、従来よりも高級脂肪酸総量を増やしつつ、[ラウリン酸/ミリスチン酸]の比率をより結晶性の高いミリスチン酸が多い組成にすることが可能となった。そのため、あくまでも(C)の多価アルコールは溶剤効果としての働くのではなく、吸湿作用によって多孔質膜の目詰まりを抑制しているといえる。
ここで50%RH(21~27℃)におけるポリオールの重量増加率の求め方は下記文献に基づく(西山聖二ら、保湿剤、色材協会誌 Vol.66、No.6(1993)371-379.)。
【0022】
また、IOB値が5.0未満のものの場合、溶剤効果が強まってしまい洗浄時の泡性能を損なわせる。吸湿性と泡性能の両立という点で、50%RH(21~27℃)におけるポリオールの重量増加率が15質量%以上で、且つIOB5.0以上であることが好ましい。
ここで、IOBとは、有機概念図(藤田穆、有機化合物の予測と有機概念図、化学の領域 Vol.11,No.10(1957)719-725)に基づき求められる無機性値及び有機性値の比(Inorganic Organic Balance)を表わすもので、次式により求められる。
【0023】
【数1】
【0024】
成分(C)の具体例としては、グリセリン(IOB=5.0)、ソルビトール(IOB=5.0)を挙げることができる。また、含有量としては、5~30質量%である。5質量%以上で水分蒸発後に流動性が得られる吸湿量を確保することができ、30質量%以下で5℃程度の環境下における低温安定性が良好である。更に、泡の吐出性の観点から6~25質量%が好ましく、特に7~20質量%が好ましい。
【0025】
本発明に含まれる成分(D)の多価アルコールは、IOB値が0.1以上3.4未満のものである。かかる多価アルコールは、水分蒸発時の高級脂肪酸塩由来の結晶析出抑制に効果があるため、結晶物とは異なる構造体の形成による固化をもたらすことが出来る。
【0026】
成分(D)の具体例としては、直鎖または分岐鎖型のグリコール、モノアルキルモノ、ジ、またはトリアルキルグリコールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコールが挙げられる。これらのうち、1,3-ブチレングリコール(IOB=2.5)、イソプレングリコール(IOB=2.0)、プロピレングリコール(IOB=3.3)、ジプロピレングリコール(IOB=1.8)等の炭素数が2~10のグリコール;分子量100~1万のポリプロピレングリコールが好ましく、特に泡性能を弱めるといった影響の少ないポリプロピレングリコール-7(IOB=0.76)が好ましい。
【0027】
本発明に含まれる洗浄剤は、更に、高級脂肪酸塩以外の成分(E)アニオン性界面活性剤を含有することができ、塗布時の泡立ちとキメ細かさを向上させることができる。かかるアニオン性界面活性剤は、化粧料等に使用可能なアニオン性界面活性剤から選択できる。例えば、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。かかるアニオン性界面活性剤の具体例としては、対イオンとして低温安定性を損なわせることのないカリウム塩を有し、塗布時の泡立ちとキメ細かさを向上させることのできるN-アシルアミノ酸塩、N-アシルメチルタウリン塩が好ましく、特にN-アシルアミノ酸塩が好ましい。
【0028】
成分(E)は洗浄剤中に1~10質量%含有するのが好ましく、更に3~8質量%、特に4~6質量%含有するのが好ましい。成分(E)が10質量%以下の場合で、塗布時の泡立ちと泡のキメ細かさが良好であり、1質量%以上で泡質が向上する効果が顕著となる。また、本発明において、これらの成分は1種または2種以上を配合することができる。
【0029】
本発明に含まれる洗浄剤は、更に、成分(F)両性界面活性剤を含有することができ、洗浄中の泡の維持性能を向上させ、塗布時の摩擦感を低減することができる。
かかる両性界面活性剤の具体例としては、低温安定性を損なわせることのない炭素数7~23の炭化水素基を有する、スルホベタイン系、イミダゾリウムベタイン系、ホスホベタイン系、アミンオキサイド系等の両性界面活性剤が好ましい。これらのうち、更に、スルホベタイン系アミンオキサイド系が好ましく、特に、ラウリルヒドロキシスルホベタインが好ましい。
【0030】
成分(F)は洗浄剤中に1~10質量%含有するのが好ましく、更に3~8質量%、特に4~6質量%含有するのが好ましい。成分(F)が10質量%以下の場合では、洗浄剤の粘度が低く、泡吐出容器から吐出される泡のきめが細かく良好であり、1質量%以上では泡の維持性が向上する効果が顕著で、洗浄中の泡の維持性能が良好になる。また、本発明において、これらの成分は1種または2種以上を配合することができる。
【0031】
(pH)
本発明に係る皮膚洗浄剤組成物の25℃におけるpHとしては、泡の量の多さ、及び低温保存後の吐出性から、9.0~11.0が好ましく、9.3~10.6がより好ましい。前記pHが9.0未満であると、低温保存後の吐出性が不十分となることがあり、11.0を超えると、泡の量の多さが不十分となることがある。なお、pHは、例えば、医薬部外品原料規格2006一般試験法pH測定法に準拠して測定することが出来る。
【0032】
皮膚洗浄剤組成物には、前記成分以外に、必要に応じて、更に通常の洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、ラノリン及びその誘導体、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類、ヤシ油等のトリグリセライドなどの油分;ポリグリセリン脂肪酸エステル等の保湿剤;トリクロサン、トリクロロカルバニリド等の殺菌剤;グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤;メチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤;エチレンジアミン四酢酸又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩等のキレート剤;クエン酸、コハク酸、炭酸ナトリウム等のpH調整剤;塩化ナトリウム等の塩類;その他パール化剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを、本発明の効果を損なわない範囲において配合することができる。
【0033】
皮膚洗浄剤組成物に基づく皮膚洗浄剤は、通常の方法により、全成分を混合することにより製造することができる。5℃における粘度は、60mPa・s以下であるのが好ましく、20mPa・s以下が好ましく、特に1~20mPa・sであるのが、泡吐出容器から吐出する泡がキメ細かく、保形性が良好であるので好ましい。
なお、本発明において、粘度は、25℃においてBM型粘度計を用いて、所定の回転数(東機産業株式会社製、ローターNo.1、100mPa・s以下は60rpm、100mPa・s以上は30 rpm)、測定時間1分にて測定することができる。
【0034】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は液体状に形成され、泡吐出容器に充填して用いられることが好ましい。
泡吐出容器としては、液体状の前記皮膚洗浄剤組成物と空気とを混合して起泡状態で吐出できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器、などが挙げられる。また、泡吐出容器には、ノンガス型を用いることができる。このような泡吐出容器としては、例えば、大和製罐株式会社製、株式会社吉野工業所製などを使用することができる。
泡吐出容器は、通常、泡を形成するための多孔質膜(材質はナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が好ましい)を有し、皮膚洗浄剤組成物が該多孔質膜を通過することにより泡が形成されるものである。前記多孔質膜のメッシュとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、85メッシュ以上が好ましく、100メッシュ~255メッシュがより好ましい。
前記多孔質膜の枚数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡性能を向上させる観点から2枚~4枚が好ましく、2枚がより好ましい。
【0035】
皮膚洗浄剤組成物に基づく皮膚洗浄剤は、泡吐出容器から起泡した状態で吐出されたものを、身体洗浄フォーム、洗顔フォーム、クレンジングフォーム、メイク落としフォーム、シェービングフォーム、シャンプーフォーム等に用いることができる。特に、身体洗浄フォームとして有用である。
【0036】
本発明の洗浄剤は、泡吐出容器から吐出させた泡を手に取り、水で希釈せずにそのまま皮膚に直接塗布するだけでなく、タオル等の泡立て器具を用いても使用できる。
【実施例
【0037】
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下に示す実施例及び比較例において、各成分の配合量は、純分換算値を示す。
【0038】
(実施例1~10及び比較例1~7)
表1、表2に示す組成からなる実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物を常法により調製し、微量の水酸化カリウムでpHを10.3に調整した。なお、pHは、医薬部外品原料規格2006一般試験法pH測定法に準拠して測定した。
次に、得られた皮膚洗浄剤組成物を、図1に示すヘッド部(a)及びメッシュ部(b)、(c)を有する株式会社吉野工業所製の容量250mLのポンプフォーマー容器(200メッシュ2枚を洗浄剤通路に上下に直列に備える(図1(c)参照))に100mL充填して、以下のようにして、ポンプフォーマー容器から吐き出した泡の弾力性、ポンプフォーマー容器による泡立ちのよさ、泡のキメ細かさを評価した。なお、実施例に係る皮膚洗浄剤組成物がポンプフォーマー容器に充填されたものを泡吐出容器入り皮膚洗浄剤ともいう。結果を表1~表2に併記した。
【0039】
(泡質評価方法)
専門パネラー10名が、実施例及び比較例の各皮膚洗浄剤組成物を使用し、ポンプフォーマーの1プッシュ(約1g)を手のひらに取り、両手のひらをこすり合わせたときの泡の弾力性、泡立ちの良さ、キメ細かさを下記評価基準に基づいて評価した。結果は、専門パネラー10名の評点平均値を求め、下記判断基準に基づき○以上を良好な結果と判断した。
【0040】
(1)ポンプフォーマー容器から吐出した泡の弾力性
〔評価基準〕
5点:非常に泡に弾力がある
4点:泡に弾力がある
3点:やや泡に弾力がある
2点:やや泡に弾力がない
1点:泡に弾力がない
〔判断基準〕
◎:4.0点以上
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0041】
(2)塗布時の泡立ちのよさ
〔評価基準〕
5:泡立ちは非常がよい
4:泡立ちがよい
3:泡立ちがややよい
2:泡立ちが悪い
1:水っぽく、泡立たない
〔判断基準〕
◎:4.5点以上
○:3.0点以上4.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0042】
(3)塗布時の泡のキメ細かさ
〔評価基準〕
5:泡がキメ細かい
4:泡がややキメ細かい
3:泡がやや粗い
2:粗い泡が多い
1:水っぽく、泡立たない
〔判断基準〕
◎:4.5点以上
○:3.0点以上4.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0043】
<高温(40℃)保存後のポンプフォーマー容器のポンプの押し易さ(目詰まりのなさ)>
各皮膚洗浄剤組成物を前記ポンプフォーマー容器に各5本充填し、ポンプを押して5回通液させた後、40℃で1ヶ月間保存した。保存後、専門パネラー10名が、ポンプフォーマー容器のポンプを押して、下記評価基準に基づいてポンプの押し易さを評価し、その評点の平均値に基づき、下記判断基準で判定した。なお、ポンプフォーマー容器のメッシュに目詰りがあるとポンプの動作が重くなり押し難くなる。
〔評価基準〕
5点:極めてスムーズにポンプを押すことができる
4点:スムーズにポンプを押すことができる
3点:ややスムーズにポンプを押すことができる
2点:重く、僅かにポンプを押すことができる
1点:ポンプを押すことができない
〔判断基準〕
◎:4.0点以上
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0044】
<低温(5℃)保存後のポンプフォーマー容器のポンプの押し易さ(目詰りのなさ)>
各皮膚洗浄剤組成物を前記ポンプフォーマー容器に各5本充填し、ポンプを押して5回通液させた後、5℃で1ヶ月間保存した。保存後、専門パネラー10名が、ポンプフォーマー容器のポンプを押して、下記評価基準に基づいてポンプの押し易さを評価し、その評点の平均値に基づき、下記判断基準で判定した。なお、ポンプフォーマー容器のメッシュに目詰りがあるとポンプの動作が重くなり押し難くなる。
〔評価基準〕
5点:極めてスムーズにポンプを押すことができる
4点:スムーズにポンプを押すことができる
3点:ややスムーズにポンプを押すことができる
2点:重く、僅かにポンプを押すことができる
1点:ポンプを押すことができない
〔判断基準〕
◎:4.0点以上
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
表1によれば、成分(C)が5~30質量%含有される場合に、成分(D)を1~10質量%含有させることで、{(A)+(B)}が10質量%以上であり、かつ、より結晶性の高い成分(B)の配合割合を成分(A)と同等以上に多く含むこととしても多孔質膜の目詰まりが生じなった。さらに、吐出時の泡の弾力性、塗布時の泡立ちのよさ、及び塗布時の泡のきめ細やかさも評価が全て○以上であり、良好であった。
【0048】
一方、表2によれば、成分(C)の含有量を5~30質量%の範囲とし、かつ、成分(D)の含有量を1~10質量%の範囲とし、さらに{(A)+(B)}を10質量%より少ない値としても、A/Bにおいて成分(A)の割合を高くして本発明の範囲外とすれば(比較例1)、多孔質膜に目詰まりは生じなかったが、泡の性質がいずれも悪いものしか得られなかった。
【0049】
そして、A/Bにおける成分(A)の割合を比較例1の場合よりもさらに増加させると、{(A)+(B)}を本発明の範囲内とし、成分(C)及び成分(D)の含有量も本発明の範囲内とした場合(比較例2)であっても、多孔質膜に目詰まりが生じた。また、この場合は泡の性質のうち泡のキメ細やかさも十分ではなかった。
【0050】
一方、成分(C)の含有量を5~30質量%の範囲とし、かつ、成分(D)の含有量を1~10質量%の範囲としても、成分(B)が成分(A)よりも多すぎる場合(比較例3)には、{(A)+(B)}を10質量%より少なくした場合であっても、多孔質膜の目詰まりを生じ、泡の性質も悪かった。また、同様に成分(C)及び成分(D)の含有量を本発明の範囲内とした場合、{(A)+(B)}を10質量%以上とした場合(比較例4)には、泡の性質は3つの評価項目の全てにおいて良好であったが、多孔質膜の目詰まりを生じた。
【0051】
また、{(A)+(B)}を10質量%以上とし、さらにA/Bの値を0.5~1.0としたときは、成分(D)が含有されていても、成分(C)の含有量が少なすぎる場合(比較例5)、若しくは成分(C)の含有量が多すぎる場合(比較例6)に、多孔質膜の目詰まりが生じた。さらに、成分(C)の含有量を5~30質量%の範囲としても、成分(D)が少なすぎる場合(比較例7)には、多孔質膜の目詰まりが生じた。
【0052】
<乾燥による固化特性の検討>
次に、実施例及び比較例の乾燥による固化特性を外観観察により比較検討した。
検討対象として、実施例4に係る皮膚洗浄剤組成物1と、比較例5に係る皮膚洗浄剤組成物2とを選択した。液体状である皮膚洗浄剤組成物1,2を5gずつとり、皮膚洗浄剤組成物1をビーカーB1内に、皮膚洗浄剤組成物2をビーカーB1と同一形状のビーカーB2に入れ、それぞれのビーカーの開口を開放した状態で40℃相対湿度5%RHの環境下において一晩乾燥させた。乾燥後、ビーカーB1とB2を室温(約25℃)相対湿度50%RHの室内で一日静置し、室内の湿気を皮膚洗浄剤組成物1及び2に吸収させた。
【0053】
その後、図2、3に示すように、ビーカーB1及びB2内の皮膚洗浄剤組成物1と皮膚洗浄剤組成物2を観察する(図2(a)、図3(a))と共に、ビーカーB1内の皮膚洗浄剤組成物1をスパーテルS1ですくい取った様子(図2(b))及びビーカーB2内の皮膚洗浄剤組成物2をスパーテルS2(スパーテルS1と同一形状)ですくい取った様子(図3(b))を観察した。
【0054】
図3(a)によれば、比較例5に係る皮膚洗浄剤組成物2は、背景の市松模様が霞んで見えづらいほど白濁して結晶化している様子が観察された。また、スパーテルS2ですくい取った様子を観察しても、皮膚洗浄剤組成物2はザラザラとした結晶の集合体を形成してなり、流動性が失われていた。この状態は、乾燥直後においても同様であった。すなわち、皮膚洗浄剤組成物2は、皮膚洗浄剤組成物1と同様に成分(B)が成分(A)よりも多い組成割合に構成されてなるが、一旦乾燥して固化してしまうと、その後に湿気に触れても流動性をとり戻すことがなく、泡吐出容器内の多孔質膜に付着する乾燥被膜となり、目詰まりの原因となると考えられる。
【0055】
図2(a)によれば、実施例4に係る皮膚洗浄剤組成物1は、背景の市松模様が明瞭に見えるため、透明で結晶化が生じていない様子が観察された。また、スパーテルS1ですくい取った様子を観察しても、すくわれた状態の皮膚洗浄剤組成物1は滑らかな曲面からなる液滴形状を形成してなり、流動性のあるゲル状態を維持していた。すなわち、実施例4に係る皮膚洗浄剤組成物1は、従来は比較例5が乾燥してしまうような環境下においても乾燥しない、もしくは乾燥してしまってもその後湿気を取り込んでゲル状態に戻り、流動性を維持できることが分かった。なお、図2に係る検討においても、皮膚洗浄剤組成物1は、乾燥直後においても流動性は低下した状態であったが、透明であることに変わりなく、結晶化も見られなかった。これにより、本発明によれば、成分(B)が成分(A)以上の割合で配合されて主構成脂肪酸であるにも関わらず、泡吐出容器内の多孔質膜の目詰まりを防止することができる。すなわち、本発明によれば、多孔質膜における皮膚洗浄剤組成物の乾燥被膜の形成を防止し、ゲル状態を維持できる皮膚洗浄剤組成物を実現することができる。
【0056】
さらに、本発明によれば、洗浄成分である成分(A)及び成分(B)を合わせた脂肪酸塩総量を、従来では困難であった10質量%以上のフォームを形成するフォーマー用の皮膚洗浄剤組成物を実現でき、泡吐出容器から起泡状態で吐出させた泡の弾力性、肌への塗布時の起泡性及び泡のキメ細かさについても、液状ボディソープを泡立てて生成した泡と遜色ないほどに優れた泡状皮膚洗浄剤を形成できる皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
図1
図2
図3