(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】再生可能エネルギー発電の制御教育装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
G09B 9/00 20060101AFI20240209BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240209BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G09B9/00 B
H02J3/00 170
H02J3/38 120
H02J3/38 130
H02J3/38 160
(21)【出願番号】P 2020038652
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】小野 広平
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-125311(JP,A)
【文献】特開2002-354835(JP,A)
【文献】特開2018-072727(JP,A)
【文献】特開2017-046453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00
H02J 3/00-50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーにより発電する発電装置と電力供給対象との間に設けられて供給電力を制御する制御手段と、
情報入力が可能な端末に対して無線通信する通信部と、
任意のタイミングで前記端末の入力操作を受け付けて前記入力操作に従い前記制御手段の制御パラメータを変更するパラメータ変更部と、
前記発電装置、および前記発電装置から前記電力供給対象に至る電力供給経路の内の何処かを監視して監視により得た内容をモニターおよび前記端末の画面のいずれか一方または両方
に表示する状態監視部と、
前記制御パラメータの異常に対して前記発電装置を保護する安全手段と、
を備える再生可能エネルギー発電の制御教育装置。
【請求項2】
請求項1に記載の再生可能エネルギー発電の制御教育装置において、前記制御手段の前記供給電力を制御する制御プログラムを変更可能な制御プログラム変更部を有する再生可能エネルギー発電の制御教育装置。
【請求項3】
請求項2に記載の再生可能エネルギー発電の制御教育装置において、前記制御プログラム変更部で変更した制御プログラムにより制御対象となる発電装置を動作させた場合のシミュレーション結果を表示画面に表示する設計制御シミュレータを有する再生可能エネルギー発電の制御教育装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の再生可能エネルギー発電の制御教育装置において、前記安全手段は、設定条件が充足されると前記発電装置を停止させる再生可能エネルギー発電の制御教育システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の再生可能エネルギー発電の制御教育装置と、前記発電装置とを備える再生可能エネルギー発電の制御教育システム。
【請求項6】
請求項5に記載の再生可能エネルギー発電の制御教育システムにおいて、前記発電装置を収容可能なコンテナを備え、このコンテナに前記再生可能エネルギー発電の制御教育装置が設置されている再生可能エネルギー発電の制御教育システム。
【請求項7】
請求項6に記載の再生可能エネルギー発電の制御教育システムにおいて、前記コンテナは、前記発電装置が取り出された状態で人が居ることができる内部空間を有し、この内部空間に、前記人が前記モニターを見て制御の学習を行うことに役立つ学習用設備を備える再生可能エネルギー発電の制御教育装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、再生可能エネルギーにより発電する発電装置の制御の仕組みを技術者視点で学ことができる再生可能エネルギー発電の制御教育装置およびこれを備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーを用いる発電として、風力発電、水力発電、太陽光発電等が一般的である。これらの発電は、再生可能エネルギーの種類に応じて、適切な制御方式が選択され、また制御パラメータが設定される。
風力発電および水力発電の電力は、電圧(≒回転)と電流(≒トルク)の組み合わせ次第で効率が大きく異なる。その為、通常は制御装置により、負荷に応じてこれらの関係性を最大の効率になるように設定する。風力発電の場合は、風による応答性が早いことから予め負荷に応じた電圧、電流の関係性を規定するマップ制御が多く用いられている。一方、太陽光に関しては動きが比較的ゆっくりであることから、最大効率点追従制御(MPPT制御)が用いられることが多い。
【0003】
なお、風力発電および太陽光発電を行い、稼働状態をモニタリングする設備としては、防災拠点施設の例ではあるが、特許文献1が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
風力発電/水力発電や、太陽光発電の制御に関わる制御パラメータの変更は容易ではなく、知識がない人が変更することは難しい。ユーザーは、普段、これらの再生可能エネルギーによる発電装置に、効率に関わる特性が存在することを認知しないまま製造者が設定した規定値で運用していることが多い。風力発電や太陽光発電は、制御のパラメータの違いで効率が変化するため、ユーザーが制御パラメータを変更できると状況に応じた最適な制御パラメータの設定により高効率を得ることができる。しかし、ユーザーや学習をしたい者が適切に変更することは容易でない。
【0006】
制御パラメータを変更して実際に発電装置を動作させてみると、その制御パラメータの違いによりどのような性能差があるかを理解することが容易になる。しかし、実稼働させている発電装置に誤った制御パラメータを設定すると、系統等に供給する発電電力の大きな低下を招き、また風力発電の場合は風車の過回転の恐れがある。従来、発電装置の制御パラメータの違いによる性能差を体得できるようにした教育システムは例がない。
【0007】
この発明は、上記課題を解消するものであり、その目的は、ユーザーが任意に制御パラメータを設定できその制御パラメータの違いでどのように特性が異なるかを体得できる再生可能エネルギー発電の制御教育装置およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の再生可能エネルギー発電の制御教育装置1は、
再生可能エネルギーにより発電する発電装置2と電力供給対象3との間に設けられて供給電力を制御する制御手段4と、
情報入力が可能な端末5に対して無線通信する通信部6と、
任意のタイミングで前記端末5の入力操作を受け付けて前記入力操作に従い前記制御手段4の制御パラメータPを変更するパラメータ変更部7と、
前記発電装置2、および前記発電装置2から前記電力供給対象3に至る電力供給経路の内の何処かを監視して監視により得た内容をモニター8および前記端末5の画面のいずれか一方または両方に状態監視部9と、
前記制御パラメータPの異常に対して前記発電装置2を保護する安全手段10と、
を備える。
【0009】
前記再生可能エネルギーは、風力、水力、太陽光等であり、前記発電装置2は、風力発電装置2B、水力発電装置2C、太陽光発電装置2A等である。前記電力供給対象3は、バッテリー15、商用電力の系統16等であり、特定の構内の電力消費設備であってもよい。前記情報入力が可能な端末5は、例えばインターネットやラン(LAN)に接続可能な汎用の端末であり、スマートフォン5Aやタブレット端末5B、パーソナルコンピュータ(図示せず)等である。前記通信部6は、例えばインターネットに接続可能なワイファイ(Wi-fi)等の無線ラン(LAN)や、ブルートゥース(Bluetooth )等の1対1の近距離用の無線通信規格に対応する無線通信を行う手段であり、通信モジュール6A等で構成される。前記安全手段10は、制御パラメータPの如何に係わらずに動作する構成であっても、また制御パラメータPの入力範囲を制限する構成であってもよい。
【0010】
風水力や太陽光より発生する電力は、制御手段4に供給されてバッテリー15や系統16等の電力供給対象3へと供給される。一般的に、電力の制御方式は、予め電力の取り方を決めるマップ方式と最大効率点を狙って制御する方式に大別される。これらの他に、出力抑制制御等を用いてもよい。これらの制御方式の選択やその制御方式における制御パラメータPの設定は、制御対象となる風水力や太陽光の発電装置2に合わせて値つけされていることが多く、制御対象に合わせて規定する必要がある。
【0011】
この発明の構成によると、教育専用の制御教育装置1として構成されているため、実稼働させる発電装置の制御装置と異なり、予め性能低下等を想定して電力供給対象3を運用できるため、制御パラメータPが異常値となって発電電力が極度に低下したり、不安定になったりしても、系統16等に供給する電力の低下の実害が生じない。また、前記安全手段10が設けられているため、制御パラメータPが異常な値に変更されたとしても、発電装置2が保護される。
制御パラメータPの変更の入力は、無線通信する端末5であり、使用者が操作に慣れたスマートフォン5Aやタブレット端末5B等を用いることができる。
これらのため、誰でも簡単に制御パラメータPを変更させ、状態監視部9により監視された結果をモニター8で見ることで、再生可能エネルギーにより発電する発電装置2の特性違いでの発電量の変化の差などを体感することができる。すなわち、制御対象の特性がわかり、なぜ最適な制御が必要であるかを、身を持って体感することができる。
【0012】
この発明の再生可能エネルギー発電の制御教育装置1において、前記制御手段4の前記供給電力を制御する制御プログラム32を変更可能な制御プログラム変更部39を有するようにしてもよい。
【0013】
制御プログラム32が変更可能であると、風車の制御理論など、再生可能エネルギー発電の制御理論や、各保護機能を作り込むことができ、組み込みシステムの学習体験ができる。前記制御プログラム32として、スクラッチなどの簡単なプログラミング言語を用いるようにすると、プログラム設計がより一層容易に体験できる。
近年プログラミング教育の義務化などプログラミングについて注目がなされている。この発明の制御教育装置1は、今後注目される再生可能エネルギーの発電装置2という制御対象を学習し、これらを実際に動かすことで制御プログラム32の組み方を学習できるツールとなる。
風水力や太陽光の制御では、フィードバック制御等の制御理論の上、成り立っている。この制御の考え方はこのような電力制御でも使うが、炊飯器など身の回りの家電製品でも通常に使用されている。自動車におけるエンジンやモータにおいても効率に係わる特性があって、考え方は同じである。このため、この再生可能エネルギー発電の制御教育装置1で制御の実際を学ぶことで、自動車や身の回りの家電製品の制御など、様々な分野で幅広く使える制御設計の知識を体得することが可能となる。
【0014】
前記制御プログラム変更部39を有する場合に、前記制御プログラム変更部39で変更した制御プログラム32により制御対象を動作させた場合のシミュレーション結果を表示画面に表示する設計制御シミュレータ38を有していてもよい。
シミュレーション結果をモニター8に表示する機能を有していれば、発電装置2を実際に制御する前に、制御プログラム32を変更した場合の動作が把握でき、また制御プログラム32を何度も修正して結果を把握することが容易にかつ迅速に行える。
【0015】
この発明の再生可能エネルギー発電の制御教育装置1において、前記安全手段10は、設定条件が充足されると前記発電装置2を停止させる機能を有するものであってもよい。例えば前記安全手段10は、ブレーキ等のハードウェア的な停止装置10aと、そのブレーキ動作等を行なわせる設定条件を充足するか否かを判定する判定手段10bで構成されていてもよい。
この発明の制御教育装置1は、制御の学習用途であるため、制御知識が乏しいユーザーの想定も考えられる。そのため、制御技術が未熟な学習者が使用しても安全である必要がある。
【0016】
ユーザーが制御パラメータPを不適切な値に変更した場合、太陽光発電の場合は問題にならないことが多いが、風水力発電では、最悪の場合、風車11の回転数が上昇して羽根の故障につながる可能性がある。このため、前記安全手段10として制御が要らないハードウェア的な停止装置10aを設け、回転許容値を超過するなど、設定条件を充足した場合に自動的に安全に停止が可能となる停止装置10aを別途設けることが好ましい。この停止装置10aは、前記制御手段4とは別の系統によるシステムでもよいし、電圧(≒回転数)がある閾値を超過したことをアナログ回路等で自動的に判別し停止動作が働くようにしてもよい。
【0017】
この発明の再生可能エネルギー発電の制御教育システムは、この発明の上記いずれかの構成の再生可能エネルギー発電の制御教育装置1と、前記発電装置2とを備える。
この構成によると、この発明の制御教育装置1につき前述した作用、効果が得られる。
【0018】
この発明の再生可能エネルギー発電の制御教育システムにおいて、前記発電装置2を収容可能なコンテナ41を備え、このコンテナ41に前記再生可能エネルギー発電の制御教育装置1が設置されていてもよい。
【0019】
再生可能エネルギーにより発電する発電装置2、特に風力装置2Bや水力発電装置2Cにおいては、風の状況の良い場所や、水路がある場所が使用の大前提となる。そのため、この制御教育システム1は、太陽光パネルからなる太陽光発電装置2Aや、風力発電装置2B、水力発電装置2C等の発電装置2の収納が可能なコンテナ41を用いており、これにより、発電に適した場所への移動が容易となる。また、コンテナ41にこの発明の制御教育装置1を設置するため、現地での展開が容易である。前記コンテナ41には、市販で多く出回っているISO規格の海上輸送用コンテナが好ましい。
【0020】
前記コンテナ41を用いた再生可能エネルギー発電の制御教育システムにおいて、前記コンテナ41は、前記発電装置2が取り出された状態で人が居ることができる内部空間Sを有し、この内部空間Sに、前記人が前記モニター8を見て制御の学習を行うことに役立つ学習用設備43を備えていてもよい。
【0021】
この構成の場合、現地での前記展開の後は、コンテナ内41には、人が居る空間Sがあり、机43Aやモニター8、充電設備(例えばコンセント43C)等の学習用設備43が設置可能で、この場所を利用してスマートフォン5Aやタブレット端末5B、パーソナルコンピュータ22等でこの制御教育装置1の操作や学習が可能となる。このコンテナ収納型の制御教育装置1は、その輸送性に優れる利点から、災害発生時なども電源として使用可能である。被災地等において、電源は、系統が生きていると系統から取ることが可能であるが、この発明の再生可能エネルギー発電の制御教育装置1によっても供給可能である。
【発明の効果】
【0022】
この発明の再生可能エネルギー発電の制御教育装置およびシステムは、ユーザーが任意に制御パラメータを設定でき、その制御パラメータの違いでどのように特性が異なるかを体得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の一実施形態に係る再生可能エネルギー発電の制御教育装置およびシステムの概念構成を示すブロック図である。
【
図2】同制御教育装置で採用可能な御方式となるMPPT制御における電圧と電流の関係例を示すグラフである。
【
図3】同制御教育装置で採用可能な制御方式となるマップ制御における電圧と電流の関係例を示すグラフである。
【
図4】同制御教育装置における安全手段の具体例を示す概念構成のブロック図である。
【
図5】同制御教育装置を装備したコンテナの一例の破断平面図である。
【
図6】同制御教育装置を装備したコンテナと発電装置との組み合わせ例を示す破断正面図である。
【
図7】同制御教育装置を装備したコンテナに発電装置を収納した状態を示す破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。この再生可能エネルギー発電の制御教育装置1は、再生可能エネルギーにより発電する発電装置2と電力供給対象3との間に設けられて供給電力を制御する制御手段4と、情報入力が可能な端末5に対して無線通信する通信部6と、任意のタイミングで前記端末5の入力操作を受け付けて前記入力操作に従い少なくとも制御パラメータPを変更するパラメータ変更部7とを備え、さらに、前記発電装置2および前記発電装置2から前記電力供給対象3に至る電力供給経路の内の何処かを監視して監視により得た内容をモニター8に表示する状態監視部9と、前記制御パラメータPの異常に対して前記発電装置2を保護する安全手段10と、を備える。
【0025】
前記再生可能エネルギー発電の制御教育装置1と前記発電装置2とで、再生可能エネルギー発電の制御教育システムが構成される。
【0026】
発電装置2は、この実施形態では、太陽光発電装置2A、風力発電装置2B、および水力発電装置2Cのいずれかであり、前記制御手段4の制御対象として前記3種類の発電装置2A,2B,2Cの全てを備えていても、任意の1種類、または任意の3種類を備えていてもよい。この明細書において、前記太陽光発電装置2A、風力発電装置2B、および水力発電装置2Cは、特に区別の必要のない場合は、単に「発電装置2」と称する。
【0027】
太陽光発電装置2Aは、太陽電池セルを複数設けた1枚または複数枚の太陽電池パネル2Aa(
図6参照)からなり、直流電力を出力する。
図1において、風力発電装置2Cは、風車11で発電機12を回転させ、交流電力を出力する。水力発電装置2Cは、水路に設置されたた水車13で発電機14を回転させ、交流電力を出力する。前記各発電機12,14は、3相または単相の交流発電機である。
【0028】
電力供給対象3は、パッテリー15および系統16のいずれかまたは両方であり、この他に、図示は省略するが所定の構内の電気消費機器であってもよい。系統16は、例えば交流100Vまたは200Vの商用電力系統である。
【0029】
制御手段4は、この実施形態では、制御手段本体となる制御装置21と、パーソナルコンピュータ22(以下、「PC22」と称す)とで構成される。なお、制御手段4は、PC22を持たずに、そのPC22の機能を有する制御装置して構成されていてもよい。
【0030】
制御装置21は、パワー回路部である電力変換部23と、この電力変換部23を制御する制御部24と、前記通信部6とを備える。電力変換部23および制御部24は、前記発電装置2が同じ制御装置21に複数接続される場合は、基本的には個々の発電装置2に対応して複数設けられる。複数設けられる場合であっても、制御部24を構成するコンピュータのハードウェアや基本的なプログラムは、一つで構成される。
同じ制御装置21に発電装置2が複数接続される場合に、前記電力変換部23および制御部24は、切り替えて使用されるようにそれぞれ一つとしてもよい。
【0031】
電力変換部23は、発電機2で発電された電力が入力され,入力電力を処理して電力供給対象3に出力する装置である。電力変換部23は、例えば、コンバータ25とインバータ26を有する。
コンバータ25は、制御対象となる発電機2が風力発電装置2Bまたは水力発電装置2Cである場合は、発電された交流電力を所定の電圧の直流電力に変換するAC/DCコンバータとされる。制御対象となる発電装置2が太陽光発電装置2Aである場合は、コンバータ25は、太陽光発電装置2Aの発電電力を供給対象3の電圧に応じた電圧に変換するDC/DCコンパータとされる。
インバータ6は、入力された直流電力を供給対象3に応じた電圧および周波数の交流電力に変換する装置である。インバータ6は、変換した交流電力を、電力供給対象3となる系統16の電圧波形となるように整形する機能を有している。
電力変換部23には、電力供給対象3へ出力する電力の電圧および電流をそれぞれ検出する電圧センサ27および電流センサ28が、第1のセンサ部29として設けられている。
【0032】
制御部24は、マイクロコンピュータ等のCPU(中央処理装置)を備えたコンピュータと、これに実行される各種のプログラムとで構成される。制御部24は、出力制御部31と、前記状態監視部9と、前記パラメータ変更部7とが設けられている。
【0033】
出力指令部31は、所定の制御方式によって電力変換部23から出力する電圧を制御する手段であり、この実施形態では入力電圧制御手段31aと出力電圧制御手段31bとが設けられている。入力電圧制御手段31aは、電力変更部23に入力されてインバータ26に与える電圧を制御する手段である。入力電圧制御手段31aは必ずしも設けなくてもよい。出力制御手段31はインバータ26から出力する電圧を制御する手段である。
【0034】
出力指令部31は、前記コンピュータとこれに実行されるプログラムの一つである制御プログラム32とで構成され、この制御プログラム32の変数として制御パラメータPが用いられる。制御パラメータPは複数設けられるが、図では一つで代表して示している。各制御パラメータPの値は、制御部24を構成するコンピュータにおける、制御プログラム32等で定められた記憶領域であるパラメータ登録部33に記憶される。
【0035】
出力指令部31の制御方式は、例えば
図2のように、単位時間における電圧の変化量ΔVに対する電流の変化量を監視し、電圧を山登り法により変更させて最大効率点を狙うMPPT制御が用いられる。また、
図3のように、電圧に変化に対して電圧と電流の値の関係を示したマップ制御を用いてもよい。風力発電水力発電の場合、電圧は回転数に比例し電流はトルクに指令する。出力指令部31の制御方式の制御方式として、これらの他に、出力抑制制御等を用いてもよい。
一般的に、太陽光発電ではMPPT制御が用いられ、風力発電や水力発電ではマップ制御が用いられるが、この実施形態では、後に説明する制御プログラム変更部39により制御プログラム32を変更することで、制御方式の選択や、同じ制御方式における制御内容の変更が可能とされている。
【0036】
出力指令部31を構成する制御プログラム32は、制御プログラム変更部39で変更可能であるが、制御部24に規定制御プログラム、つまりデフォルトの制御プログラムとして、発電装置2の種類毎に定められており、その制御パラメータPについても規定値(デフォルト)として定められている。例えば、制御対象となる発電装置2が太陽光発電装置2Aの場合は制御方式がMPPT制御に、風力発電装置2Bおよび水力発電装置2Cの場合は制御方式がマップ制御に設定されている。
【0037】
変更可能とされる制御パラメータPの具体例を挙げると、発電装置2が太陽光発電装置2Aであり、制御プログラム32がMPPT制御である場合は、変化させる電圧幅ΔV
制御周期、ゲイン等である。発電装置2が風力発電装置2Bおよび水力発電装置2Cであり、制御プログラム32がマップ制御の場合は、各電圧値に対する電流値等である。
【0038】
端末5は、制御装置21に対して操作部となる端末であり、情報入力が可能でかつ制御装置21と情報の双方向通信が無線で行え、また画像を表示する機能を有する携帯可能な端末である。端末5は、インターネットに接続可能であることが好ましく、例えば汎用のスマートフォン5Aまたはタブレット5Bが用いられる。
【0039】
通信部6は、例えば、インターネットに接続可能なワイファイ(Wi-fi)等の無線ラン(LAN)や、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)等の1対1の近距離用の無線通信規格に対応して無線通信を行う機器である通信モジュール6Aで構成される。通信部6は、前記PC22に対しても、前記通信モジュール6Aによって、またはこれとは別の通信インタフェース(図示せず)によって接続されている。
【0040】
パラメータ変更部7は、任意のタイミングで前記端末2の入力操作を受け付けてその入力操作に従い前記制御パラメータPを変更する手段である。パラメータ変更部7は、端末5に入力された制御パラメータPを制御部24における前記所定の記憶領域となるパラメータ登録部33に記憶させ、また前記パラメータ登録部33の記憶内容を前記入力された制御パラメータPに更新する。
【0041】
パラメータ変更部7は、具体例を挙げると、端末5からのアクセスに応じてその端末5の画面に、制御パラメータPの入力を促す案内、および書き込み可能領域を含む画面(図示せず)を表示させ、その書き込み可能領域に書き込まれた値によって、パラメータ登録部33への新たな記憶または記憶内容の変更を行う。端末5の画面に表示させる書き込み可能領域は、入力ボックス等の数値を入力させる表示であっても、また複数並べられた数値を選択させる表示であって、さらに、線上のカーソルを動かすことによって値を定める表示であってもよい。制御パラメータPが複数種類ある場合は、前記書き込み可能領域は、同じ画面上に複数並べて表示し、またはページを変えて表示するようにしてもよい。
【0042】
前記状態監視部9は、発電装置2、およびこの発電装置2から電力供給対象3に至る電力供給経路の内の何処かを監視して監視により得た内容を、モニター8および前記端末5の画面のいずれか一方または両方に表示する手段である。状態監視部9は、前記発電装置2および前記電力供給経路のいずれか一方を監視する構成であってもよい。
この実施形態では、電力変換部23から出力する電力の電圧および電流を、第1のセンサ部29の電圧センサ27および電流センサ28で監視すると共に、第2のセンサ部34によって発電装置2における再生可能エネルギーに関する事項を監視している。第2のセンサ部34は、発電機2の種類に応じたセンサであり、風力発電装置2Bには風速計35が設けられ、水力発電装置2Cには水路内の流速を計測する流量計35が設けられ、太陽熱発電装置2Aには日射計37が設けられている。状態監視部9は、前記各センサの検出値を取り込むセンサ検出手段9aを有し、取り込んだ検出値を前記モニター8および端末5に表示させる。この表示はグラフによって行っても、数値で行ってもよい。状態監視部9は、前記各検出値が含まれる段階を表示しても、また定められた基準値と共に表示してもよい。
なお、前記電圧センサ27、電流センサ28の検出値、および前記風力計35、流量計36、日射計37の各検出値は、制御プログラム32の内容に従い、出力指令部31の制御にも用いられる。
【0043】
前記PC22は、そのアプリケーションプログラムの一つとして設備設計シミュレータ38を有している。この設備設計シミュレータ38に、前記出力指令部31を構成する制御プログラム32を作成し、または変更する制御プログラム変更部39が設けられている。
【0044】
制御プログラム変更部39は、プログラミングの命令、命令群、制御パラメータ等の組み合わせからなるブロックを画面上にイラストで表し、ブロックを選択することでプログラムが作成られるようにしたプログラム言語、例えばスクラック等の簡易なプログラム言語を用いて制御プログラム32を作成できるようにした構成であることが好ましい。また制御プログラム変更部39は、制御プログラム32の制御方式の種類(MPPT制御、抑制制御、マップ制御、等)を選択可能とし、種類毎に選択可能な制御動作を設定しておいて、制御動作を選択させるようにしてもよい。
制御プログラム変更部39は、制御プログラムPで用いる制御パラメータPの値についても設定できるようにしておく。このときに設定された制御パラメータPの値は初期値であり、パラメータ変更部7により、端末5の操作に従って変更可能とされる。さらに、制御プログラム変更部39は、制御プログラムPに各種の保護機能を組み込めるように、保護機能のサブプログラムを設けておいて、保護機能を選択させるようにしてもよい。
【0045】
制御プログラム変更部39によるプログラミングの具体例を挙げると、自動制御モードとマニュアルモードがある。自動制御モードの場合は、発電に関わる、制御式のゲインパラメータや制御周期等を変更して挙動がどうなるかを確認する。自動制御モードでは、発電装置2の種類毎、例えば太陽光発電装置2A、風力発電装置2B、および水力発電装置2C毎に、MPPT制御、マップ制御、出力抑制制御、パルス幅変調制御等のいずれとするか等の制御方式の選択を行わせる。つぎに、選択された制御の方式における制御式等の具体的制御内容を選択させ、その選択された具体的制御内容で用いる制御パラメータPの値の入力を行わせる。
これら制御方式の選択、具体的制御内容の選択、および制御パラメータPの入力を行わせる各段階において、制御プログラム変更部39は、例えばPC22の画面に、選択可能な制御方式の名称の文字表示をそれぞれ含むイラスト、選択可能な具体的制御内容の文字,数式等を含むイラスト、および制御パラメータPの種類等の文字を含むイラストを表示する。そのイラストが表示された部分が画面上のカーソル等で選択されることで、イラストに対応する制御方式および具体的制御内容が選択されたと認識する。制御パラメータPについては、選択可能な制御パラメータPの値が記載されたイラストを選択することで、またはイラスト内の数値入力部分に数値が記入されることで、制御パラメータPの値を認識する。選択された各選択段階のイラストは、PCの画面の所定の表示領域に、階層順等で表示することで、変更した制御プログラム32の全体を表示する。マニュアルモードでは、直接制御対象の太陽光発電装置2A、風力発電装置2B、および水力発電装置2C毎から出力される電圧の値を決定し、電圧を可変させることにより発電量がどのように変化するかを確認できる。マニュアルモードでも自動制御モードと同様にPC22の画面上のイラスト等で変更が可能である。
【0046】
設備設計シミュレータ38は、制御プログラム変更部39の他に、この制御プログラム変更部34で変更した制御プログラムPにより制御対象となる発電装置2を動作させた場合のシミュレーション結果を前記モニター8またはPC22の表示装置となるモニター(図示せず)の画面に表示させる機能を備えている。
【0047】
前記安全手段10は、この実施形態では
図4に示すように、風車11および水車13に回転を止める機械ブレーキ45または電気ブレーキ46等の停止装置10aと、そのブレーキ動作を行なわせる設定条件を充足するか否かを判定する判定手段10bで構成されている。停止装置10aと判定手段10bは、風車11および水車13のそれぞれに対して設けられている。判定手段10bは、例えば風車11または水車の回転速度が閾値を超えると停止装置10aに停止動作を行わせる。
前記安全手段10は、この他に、制御装置21における制御動作で風車11や水車13の回転速度を制御する手段であってもよい。これら機械的な停止装置10aと、制御装置21に設けられるソフトウェアからなる安全手段(図示せず)とは、併用することが好ましいが、いずれか一方ものみ設けてもよい。
【0048】
上記構成の動作および作用を説明する。
風力発電や、水力発電、太陽光発電等の再生可能エネルギーを用いた発電の制御に関わる制御パラメータPを正しく変更することは容易でなく、知識がない人が変更することは難しい。
この実施形態によると、スマートフォン5Aやタブレット5B等の端末5で、発電機2を制御する制御パラメータPを変更することができる。発電装置2や制御装置21の状態は、状態監視部9によってモニター8に表示され、その表示内容により発電装置2の効率等が分かる。このため、制御パラメータPを変更して実際に発電装置2を動作させてみることで、その制御パラメータPの違いによりどのような性能差があるかを理解することが容易になる。
【0049】
この場合に、ユーザーや学習をしたい者が制御パラメータPを適正な値に変更することは容易でなく、不適切な値に変更されることがある。実稼働させている発電装置に誤った制御パラメータを設定すると、系統等に供給する発電電力の大きな低下を招き、また風力発電の場合は風車の過回転の恐れがある。
【0050】
しかし、この実施形態の制御教育装置1は教育専用の装置として構成されているため、実稼働させる発電装置の制御装置と異なり、予め性能低下等を想定して電力供給対象3を運用できるため、制御パラメータPが異常値となって発電電力が極度に低下したり、不安定になったりしても、系統16等に供給する電力の低下の実害が生じない。また、前記安全手段10が設けられているため、制御パラメータPが異常な値に変更されたとしても、発電装置2が保護される。
これらのため、誰でも簡単に安心して制御パラメータPを変更させ、再生可能エネルギーにより発電する発電装置2の特性の違いでの発電量の変化の差などを体感することができる。すなわち、制御対象の特性がわかり、なぜ最適な制御が必要であるかを、身を持って体感することができる。
【0051】
また、この制御教育装置1は、制御プログラム32を変更可能な制御プログラム変更部39を有しており、PC22の操作で制御プログラム32を変更することができる。
制御プログラム32が変更可能であると、風車の制御理論など、再生可能エネルギー発電の制御理論や、各保護機能を作り込むことができ、組み込みシステムの学習体験ができる。前記制御プログラム32として、スクラッチなどの簡単なプログラミング言語を用いるようにすると、プログラム設計がより一層容易に体験できる。
近年プログラミング教育の義務化などプログラミングについて注目がなされている。この発明の制御教育装置1は、今後注目される再生可能エネルギーの発電装置2という制御対象を学習し、これらを実際に動かすことで制御プログラム32の組み方を学習できるツールとなる。
【0052】
風水力や太陽光等の再生可能エネルギーによる発電の制御は、フィードバック制御等の制御理論の上、成り立っている。この制御の考え方はこのような電力制御でも使うが、自動車におけるエンジンやモータにおいても効率に係わる特性があって、考え方は同じであり、また炊飯器など身の回りの家電製品でも通常に使用されている。このため、この再生可能エネルギー発電の制御教育装置1で制御の実際を学ぶことで、自動車や身の回りの家電製品の制御なと、様々な分野で幅広く使える制御設計の知識を体得することが可能となる。
【0053】
制御プログラム変更部39を備えたPC22は、設計制御シミュレータ38を有しており、制御プログラム32の変更後の発電装置2のシミュレーション結果がモニター8に表示される。このため、発電装置2を実際に制御する前に、制御プログラム32を変更した場合の動作が把握でき、また制御プログラム32を何度も気軽に修正して結果を把握することが、容易にかつ迅速に行える。
【0054】
前記安全手段10につき、具体的に説明する。ユーザーが制御パラメータPを変更した場合は、太陽光の場合は問題にならないことが多いが、風水力では、最悪の場合回転が上昇して羽根の飛散など故障につながる可能性がある。よって、この制御教育装置1では、制御が要らないハードウェア的な停止装置10bを設け、また判断手段10bを設け、回転許容値を超過した場合など、判断手段10bで設定条件が充足されたと判定されると、自動的に安全に停止が可能となる停止装置10aを別途に安全手段10として設けている。この停止装置10aは、制御装置21とは別の系統によるシステムでもよいし、電圧(≒回転数)がある閾値を超過したことをアナログ回路等で自動的に判別し安全装置が働くようにしてもよい。
【0055】
次に、
図5~
図7と共に、コンテナ41にこの再生可能エネルギー発電の制御教育装置1を組み込む例を説明する。
風力発電装置2Bや水力発電装置2Cにおいては、風の状況の良い場所、水路がある場所がそれぞれ使用の大前提となる。よってこの実施形態では、適した場所へ移動可能なように市販で多く出回っている輸送用コンテナ(ISO規格の海上輸送用コンテナ)などのコンテナ41に各発電装置2を収納するようにしている。また、
図5~
図7においては図示を省略するが、コンテナ41内に上記制御教育装置1を構成する制御装置21やモニター8等が設置されている。
このコンテナ41には、
図7のように太陽光発電装置2Aを構成する太陽光パネル2Aaや、風力発電装置2B、および水力発電装置2Cの収納が可能である。これら太陽光パネル2Aa、風力発電装置2B、および水力発電装置2Cは、例えは
図6に設置例を示すように、現地で簡単に展開可能としておく。同図の例では、風力発電装置2Bは、前記風車11として垂直軸風車を有し、その支柱部2Bbがコンテナ41に設置される。太陽光パネル2Aaはコンテナ41の上面やコンテナ41の近くに地面上に設置される。コンテナ41は水路47の近くに設置され、水力発電装置2Cは水路47に跨がって設置される。水路47は、農業用や工業用の用水路または小川等である。
【0056】
展開後は、コンテナ41内には、人が居る空間Sがあり、この空間S内に、
図5のようにモニター8の他、机43A、椅子43Bや、コンセント43Cからなる充電設備等の学習用設備43が設置可能とされる。この空間Sを利用してスマートフォン5Aやタブレット端末5B、PC22等でこの制御教育装置1の操作や学習が可能となる。学習用設備43についても、発電装置2と共にコンテナ41内に収納して搬送できるようにしておくことが好ましい。机43Aや椅子43Bは折り畳み式であってもよい。
【0057】
このコンテナ41に制御教育装置1を設置した制御教育システムは、災害発生時などに、その輸送性を生かして被災地に設置し、電源として使用することが可能である。すなわち学習用と非常時用とに併用できる。コンテナ41内の制御教育装置1を駆動させる電源は、現地の商用電源の系統から取ることも可能であるが、この再生可能エネルギー発電の制御教育装置1自体から供給することも可能である。
【0058】
なお、前記実施形態は、発電装置2として太陽光発電装置2A、風力発電装置2B、および水力発電装置2Cを装備したが、これら太陽光発電装置2A、風力発電装置2B、および水力発電装置2Cは、いずれか一つ、またはいずれか二つを用いてもよい。
【0059】
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1…制御教育装置、2…発電装置、2A…太陽光発電装置、2B…風力発電装置、2C…水力発電装置、3…電力供給対象、4…制御手段、5…端末、6…通信部、6A…通信モジュール、7…パラメータ変更部、8…モニター、10…安全手段、11…風車、12…発電機、13…水車、14…発電機、15…パッテリー、16…系統、21…制御装置、22…パーソナルコンピュータ(PC)、23…電力変換部、24…制御部、25…コンバータ、26…インバータ、27…電圧センサ、28…電流センサ、29…第1のセンサ部、31…出力指令部、31a…入力電圧制御手段、31b…出力電圧制御手段、33…パラメータ登録部、38…設備設計シミュレータ、39…制御プログラム変更部、41…コンテナ、43…学習用設備、P…制御パラメータ、S…空間