(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】走行経路の設定方法、及び、走行経路の設定装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240209BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20240209BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20240209BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20240209BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/01 E
B60W30/09
B60W30/095
B60W40/04
(21)【出願番号】P 2020040726
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南里 卓也
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎也
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔太郎
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/008227(WO,A1)
【文献】特開2016-149050(JP,A)
【文献】特開2017-224163(JP,A)
【文献】特開2009-211497(JP,A)
【文献】特開2020-032994(JP,A)
【文献】特開2016-037266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行経路の設定方法であって、
設定される自車の走行経路に、交差点内において対向車線を跨いで旋回する走行経路が含まれており、
前記対向車線を走行する対向車であって、前記自車の直進経路を跨いで旋回する旋回対向車を検出し、
前記旋回対向車を検出する場合には、該検出をしない場合よりも、前記交差点内における前記自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定
し、
前記交差点内における前記自車の走行経路の旋回半径方向内側への設定は、前記自車の旋回開始の位置を進行方向手前に移動するとともに、前記自車の旋回終了の位置を進行方向奥側に移動する、走行経路の設定方法。
【請求項2】
車両の走行経路の設定方法であって、
設定される自車の走行経路に、交差点内において対向車線を跨いで旋回する走行経路が含まれており、
前記対向車線を走行する対向車であって、前記自車の直進経路を跨いで旋回する旋回対向車を検出し、
前記旋回対向車を検出する場合には、該検出をしない場合よりも、前記交差点内における前記自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定し、
前記走行経路の設定は、車幅方向に長さを有する走行可能範囲を設定し、当該走行可能範囲の車幅方向の中央を走行するように設定され、
前記交差点内における前記自車の走行経路の旋回半径方向内側への設定は、前記走行可能範囲の旋回半径方向外側の境界を、旋回半径方向内側へと変更し、変更された前記走行可能範囲の中央を走行するように設定される、走行経路の設定方法。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の走行経路の設定方法であって、
さらに、前記旋回対向車の車種を検出し、
前記旋回対向車の前記車種が大型車である場合には、前記車種が大型車でない場合よりも、前記交差点内における前記自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定する、走行経路の設定方法。
【請求項4】
請求項
1から3のいずれか1項に記載の走行経路の設定方法であって、
さらに、前記旋回対向車の走行経路を推測し、
前記推測された前記旋回対向車の旋回後の走行経路において、内側の車線の混雑度が閾値を上回る場合には、該上回らない場合よりも、前記交差点内における前記自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定する、走行経路の設定方法。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか1項に記載の走行経路の設定方法であって、
さらに、前記旋回対向車の先行車の停止位置を検出し、
前記停止位置が前記交差点内にある場合には、前記停止位置が前記交差点内にない場合よりも、前記交差点内における前記自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定する、走行経路の設定方法。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の走行経路の設定方法であって、
さらに、前記旋回対向車の前記交差点における理想的な旋回経路を求め、前記理想的な旋回経路に対する前記旋回対向車の旋回半径方向外側へのズレを求め、
前記ズレが閾値を上回る場合には、該上回らない場合よりも、前記交差点内における前記自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定する、走行経路の設定方法。
【請求項7】
自車の周辺環境を検出するセンサと、
前記センサにより検出された前記周辺環境の情報に基づいて自車の走行経路を設定するコントローラと、を備える、車両の走行経路の設定装置であって、
前記コントローラは、
交差点において対向車線を跨いて旋回する経路を含む走行経路を設定し、
前記対向車線を走行する対向車であって、前記自車の直進経路を跨いで旋回する旋回対向車を検出し、
前記旋回対向車を検出する場合には、該検出をしない場合よりも、前記交差点内における前記自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定
し、
前記交差点内における前記自車の走行経路の旋回半径方向内側への設定は、前記自車の旋回開始の位置を進行方向手前に移動するとともに、前記自車の旋回終了の位置を進行方向奥側に移動する、走行経路の設定装置。
【請求項8】
自車の周辺環境を検出するセンサと、
前記センサにより検出された前記周辺環境の情報に基づいて自車の走行経路を設定するコントローラと、を備える、車両の走行経路の設定装置であって、
前記コントローラは、
交差点において対向車線を跨いて旋回する経路を含む走行経路を設定し、
前記対向車線を走行する対向車であって、前記自車の直進経路を跨いで旋回する旋回対向車を検出し、
前記旋回対向車を検出する場合には、該検出をしない場合よりも、前記交差点内における前記自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定し、
前記走行経路の設定は、車幅方向に長さを有する走行可能範囲を設定し、当該走行可能範囲の車幅方向の中央を走行するように設定し、
前記交差点内における前記自車の走行経路の旋回半径方向内側への設定は、前記走行可能範囲の旋回半径方向外側の境界を、旋回半径方向内側へと変更し、変更された前記走行可能範囲の中央を走行するように設定する、走行経路の設定装置。
走行経路の設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路の設定方法、及び、走行経路の設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転支援を行うために、交差点内において他車両との接近を回避するような走行経路を設定することが行われている。例えば、特許文献1には、他車両が自車の走行経路に接近する可能性が高い場合に、自車の走行経路を車幅方向外側へと設定する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の技術によれば、車線幅等の情報から他車両の旋回に必要な旋回必要半径を計算するとともに、他車両の車種等から最小回転半径を推定する。そして、旋回必要半径が最小回転半径よりも小さい場合には、他車両が自車両の走行車線へと侵入するおそれがあると判断して、他車両を避けるように自車の走行経路を設定する。このようにすることで、他車両の自車への接近を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車線幅が広い交差点において、対向車が自車側の走行車線を跨ぐような旋回、つまり、左側通行時における右折を行う場合には、対向車は、旋回必要半径となる経路とは異なる経路で走行する可能性がある。そのため、特許文献1に開示された技術を用いても自車の走行経路が変更されず、他車両が自車へ接近してしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、旋回する対向車の自車への接近を抑制するような走行経路の設定方法、及び、走行経路の設定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、車両の走行経路の設定方法であって、設定される自車の走行経路に、交差点において対向車線を跨いで旋回する走行経路が含まれており、対向車線を走行する対向車であって、自車の直進経路を跨いで旋回する旋回対向車を検出し、旋回対向車を検出する場合には、該検出をしない場合よりも、交差点内における自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定し、交差点内における自車の走行経路の旋回半径方向内側への設定は、自車の旋回開始の位置を進行方向手前に移動するとともに、自車の旋回終了の位置を進行方向奥側に移動する。
また、別の態様によれば、車両の走行経路の設定方法であって、設定される自車の走行経路に、交差点において対向車線を跨いで旋回する走行経路が含まれており、対向車線を走行する対向車であって、自車の直進経路を跨いで旋回する旋回対向車を検出し、旋回対向車を検出する場合には、該検出をしない場合よりも、交差点内における自車の走行経路を旋回半径方向内側に設定し、走行経路の設定は、車幅方向に長さを有する走行可能範囲を設定し、当該走行可能範囲の車幅方向の中央を走行するように設定され、交差点内における自車の走行経路の旋回半径方向内側への設定は、走行可能範囲の旋回半径方向外側の境界を、旋回半径方向内側へと変更し、変更された走行可能範囲の中央を走行するように設定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の走行経路の設定方法によれば、旋回する対向車の自車への接近を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る運転支援装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、走行経路が補正される場合の車両の走行状況を示す図である。
【
図3】
図3は、走行経路の補正の例を示す図である。
【
図4】
図4は、運転支援制御を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、走行経路生成制御の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る運転支援装置の概略構成図である。
【
図7】
図7は、走行経路が補正される場合の車両の走行状況を示す図である。
【
図8】
図8は、走行経路が補正される場合の車両の走行状況を示す図である。
【
図9】
図9は、走行経路が補正される場合の車両の走行状況を示す図である。
【
図10】
図10は、運転支援制御を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る運転支援制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書における「運転支援」は、車両のドライバによる運転操作の一部を補助する車両の動作制御(自動運転レベル1~4)の他、ドライバによる操作無しの車両の動作制御(自動運転レベル5)も含む概念である。
【0011】
また、以下の実施形態の説明においては、交通法規において、左車線が走行車線であり右車線が対向車線であるもの(すなわち、車両の通行における交通法規が左側通行であるもの)とする。そのため、交差点における左右への旋回のうち、対向車の直進経路である対向車線を跨ぐ旋回は右折となる。交通法規において、右車線が走行車線であり左車線が対向車線である場合(すなわち、車両の通行における交通法規が右側通行である場合)には、対向車線を跨ぐ旋回は左折となる。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る運転支援装置1の概略構成図である。なお、この運転支援装置1は、車両などに搭載され、自車の周辺環境を検出し、検出された周辺環境の情報に基づいて走行環境を推定する。そして、運転支援装置1は、走行環境の推定結果に基づいて、加減速や車線変更などの実行またはそれらの支援を行う。運転支援装置1は、走行経路をモニタ等に表示することにより走行支援を行ってもよい。
【0013】
運転支援装置1は、物体検出センサ11と、物体認識部12と、自車位置取得センサ13と、地図記憶部14と、地図内自車位置推定部15と、走行経路生成部20と、車両制御部31とを有する。
【0014】
なお、本実施形態の例においては、運転支援装置1のうちの一部の構成、例えば、物体認識部12と、地図記憶部14と、地図内自車位置推定部15と、走行経路生成部20と、車両制御部31とが、1つのコントローラにより構成されている。コントローラは、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RΑM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたコンピュータで構成される。なお、コントローラは一つの装置として構成されていても良いし、複数のブロックに分けられ、本実施形態の各処理を当該複数のブロックで分散処理するように構成されていても良い。
【0015】
以下、運転支援装置1におけるそれぞれの構成について、詳細に説明する。
【0016】
物体検出センサ11は、自車の周辺に存在する物体(例えば、車両やバイク、歩行車、障害物等)について、その位置、進行方向、大きさ、速度等を取得する。なお、物体検出センサ11は、LiDAR(Light Detection And Ranging)、ミリ波レーダー、及び、カメラ等である。物体検出センサ11による物体の検出結果には、自車が走行する路面における物体の位置、進行方向、大きさ、速度等が含まれる。物体検出センサ11は、物体の検出結果を物体認識部12に出力する。
【0017】
物体認識部12は、物体検出センサ11による物体の検出結果を用いて、センサにおける誤差の補正などを行い、検出結果における物体ごとに誤差が最小となる合理的な位置、進行方向、大きさ、速度等を求める。さらに、物体認識部12は、異なる時刻の検出結果における物体の同一性の検証(対応付け)を行い、その対応付けに基づいて物体の速度を推定する。物体認識部12は、自車の周囲に存在する物体の位置、進行方向、大きさ、速度等の認識結果を、走行経路生成部20に出力する。物体認識部12による認識結果は、自車を中心とした相対座標を用いて示される。
【0018】
自車位置取得センサ13は、GPS(Global Positioning System)やオドメトリ等の絶対位置を計測するセンサにより、自車の絶対位置、進行方向、速度等を計測する。自車位置取得センサ13は、自車の位置情報を、地図内自車位置推定部15に出力する。
【0019】
地図記憶部14は、高精度地図データを記憶しており、高精度地図データから縁石や車線等の絶対位置、車線の接続関係や相対位置関係等の地図情報を提供する。地図記憶部14は、記憶している地図情報を、地図内自車位置推定部15に出力する。
【0020】
地図内自車位置推定部15は、自車位置取得センサ13により得られた自車の位置情報と、地図記憶部14に記憶されている地図情報とに基づいて、地図内における自車の位置を推定する。地図内自車位置推定部15は、地図内の自車の位置情報を、走行経路生成部20に出力する。
【0021】
走行経路生成部20は、物体認識部12による認識結果、及び、地図内自車位置推定部15により得られる地図内の自車の位置情報を用いて、自車が現在位置から目的位置に至るまでに自車が将来走行する走行経路を生成する。そして、走行経路生成部20は、以下の
図2に示される状況においては、走行経路を旋回半径方向内側に補正する。なお、目的位置は予め乗員等によって設定された目的地であっても良いし、目的地に向かうまでに通過すべき経路上の目標位置であっても良い。
【0022】
図2は、走行経路が補正される場合の車両の走行状況を示す図である。
【0023】
この図によれば、紙面の上下方向に延在する車線と、左右方向に延在する車線とが交差点において交差している。上下方向に延在する車線のうち、左側の3つの車線L1が走行車線であり、右側の2つの車線L2が対向車線である。交差点の手前において、3つの走行車線L1のうちの最も右側の1つの車線L1が対向車線を跨ぐような右折車線であり、自車Aは右折車線を走行している。
【0024】
また、自車Aの走行車線に対する対向車線に対向車Bが存在し、対向車Bは自車A側の直進車線(自車Aが直進する場合の経路であり、走行車線L1のうちの左側2つの車線)を跨ぐように進行方向に対して右折(図においては左方に旋回)を行う。このような場合には、旋回対向車Bが自車Aに接近することを防ぐために、走行経路生成部20は、自車Aの走行経路を旋回半径方向で内側(以下、旋回方向内側とも記載する)に補正することで、旋回する対向車Bが自車Aに接近することを防ぐことができる。なお、以下においては、対向車Bのような自車Aの直進経路を跨ぐ旋回を行う対向車を、旋回対向車と称するものとする。
【0025】
図3は、走行経路の補正方法の例を示す図である。この図には、自車Aと、その走行経路のうちの右折を行う場合の旋回部分のみが示されている。なお自車Aの走行経路について、設定された補正前の走行経路が破線で、補正後の走行経路が実線で示されている。
【0026】
自車Aの走行経路を参照すれば、旋回対向車Bが存在する場合には、旋回対向車Bが存在しない場合に設定される走行経路における旋回開始位置Xを進行方向手前のX’に補正するとともに、旋回終了位置Yを進行方向奥側のY’に補正する。そして、X’とY’との間において旋回半径の変化が最小となるような走行経路を設定する。
【0027】
なお、この図においては、旋回開始位置と旋回終了位置との間の旋回経路は、四分円で示されているが、これに限らない。旋回開始位置は、交差点における右旋回の走行経路をガイドするための道路表示や側方の縁石などの道路構造物により定めてもよい。また、旋回終了位置は、旋回先の車線(旋回後に走行する車線)の開始点により定めてもよい。このように走行経路を補正することで、旋回対向車Bが自車Aへと接近するおそれを低減できる。
【0028】
再び、
図1を参照すれば、走行経路生成部20は、自車旋回判定部21、旋回対向車検出部22、走行経路設定部23、及び、走行経路補正部24を有する。
【0029】
自車旋回判定部21は、設定された目的地や、車両に搭載されているジャイロ等のセンサを用いて取得する加速度を用いて、自車が対向車線を跨ぐ旋回(右折)を行っているか否かを判定する。
【0030】
旋回対向車検出部22は、物体認識部12による認識結果を用いて、対向車線に自車に向かって走行する対向車が存在するか否かを判定し、さらに、対向車が自車側の走行車線を跨ぐような旋回を行うか否かを判定する。そして、旋回対向車検出部22は、自車の直進経路を跨ぐような旋回を行うような対向車を、旋回対向車として検出する。
【0031】
なお、旋回対向車検出部22による旋回対向車の検出は、自車が交差点に進入する前において、停止線の近傍を走行する場合において行われる。なお、旋回対向車の検出は、停止線において信号機の停止表示に従って停車している場合に行われてもよい。また、対向車が旋回対向車であるか否かの判定は、対向車が走行している車線が右折車線であるか否かを自車両前方を撮像した画像から検出する事により判定することができる。あるいは、自車両前方を撮像した画像から対向車両のヨー角変化を検出し、右折方向のヨー角変化を検出する事によって判定しても良く、あるいは車車間通信が可能であれば対向車の操舵角変化やナビゲーションに設定されたルートを車車間通信で受信することによって判定しても良い。対向車が旋回対向車であるか否かの判定方法は、適宜変更可能である。
【0032】
走行経路設定部23は、地図記憶部14に記憶されている地図情報、及び、地図内自車位置推定部15により得られる地図内の自車の位置情報を取得する。走行経路設定部23は、乗員等によって設定された地図上の目的地と地図内の自車の位置情報を用いて、現在の自車位置から目的位置までの車線単位の走行経路を設定する。そして、走行経路設定部23は、交差点における走行経路は旋回半径の変化が小さくなるような走行経路を設定する。
【0033】
また、走行経路設定部23は、地図情報を取得できない場合には、物体検出センサ11により取得される画像情報などに基づいて、自車両周囲の車線形状を検出し、検出した車線形状を地図情報として走行経路を設定する。走行経路設定部23による走行経路の設定には、カメラなどの車載センサにより取得される情報が用いられてもよく、また、地図データに含まれる道路表示、構造物、及び、旋回先の車線などの情報を補助的に用いてもよい。例えば、走行経路設定部23は、交差点内の右折の旋回方向を示す道路標示や構造物に基づいて、旋回先の交差点の出口の位置を特定し、交差点の入口の位置と出口の位置との間において旋回半径の変化が最小となるように、交差点内における走行経路を設定する。
【0034】
走行経路補正部24は、自車旋回判定部21により自車の右折が検出され、かつ、旋回対向車検出部22により旋回対向車が検出される場合に、走行経路設定部23により設定された交差点を旋回する走行経路を、旋回方向内側に補正(設定)する。
【0035】
このように走行経路生成部20により生成された走行経路が生成され、そして、必要に応じて走行経路が補正された後に、車両制御部31は、設定された走行経路に沿って車両の制御を行う。
【0036】
車両制御部31は、交通規則を遵守しながら自車の走行経路に沿い、さらに、予測された他車の走行経路に基づいて、他車と衝突せず、かつ、他車の挙動に起因して急減速や急ハンドルが発生せずに、滑らかに走行するような走行経路及び速度プロファイルを生成する。そして、車両制御部31は、生成された走行経路及び速度プロファイルに従って、車両を制御する。なお、車両制御部31は、自車経路及び速度プロファイルに応じた走行支援の表示を行ってもよい。
【0037】
図4は、運転支援装置1により行われる運転支援制御を示すフローチャートである。なお、この運転支援制御は、所定の周期で繰り返し実行される。また、この運転支援制御は、運転支援装置1が備えるコントローラに記憶されたプログラムが実行されることにより行われてもよい。
【0038】
ステップS1において、コントローラ(物体認識部12)は、物体検出センサ11による自車周囲の物体の検出結果を用いて、自車周囲に存在する物体ごとの位置、進行方向、大きさ、速度等の認識結果を取得する。検出結果においては、例えば、自車を空中から眺める天頂図において、物体の2次元位置、姿勢、大きさ、速度などが示される。
【0039】
ステップS2において、コントローラ(物体認識部12)は、ステップS1における物体の検出結果を基に物体検出センサ11の誤差を補正し、さらに、異なる時刻に出力された物体の検出結果において物体の同一性検証(対応付け)を行う。このようにして、コントローラ(物体認識部12)は、自車の周囲に存在する物体の位置、進行方向、大きさ、速度等の認識結果を、走行経路生成部20に出力する。
【0040】
ステップS3において、コントローラ(地図内自車位置推定部15)は、自車位置取得センサ13の検出結果に基づいて、自車位置を取得する。
【0041】
ステップS4において、コントローラ(地図内自車位置推定部15)は、地図記憶部14に記憶されている高精度地図データを取得する。
【0042】
ステップS5において、コントローラ(地図内自車位置推定部15)は、ステップS3において取得された自車位置と、ステップS4において取得された地図データとを用いて、地図内における自車位置を特定する。
【0043】
ステップS6において、コントローラ(走行経路生成部20)は、ステップS2において取得された自車の近傍に存在する物体の検出結果、及び、ステップS5において取得された地図内における自車位置や、目的地の情報を用いて、自車の走行経路を生成する。なお、ステップS6における詳細な処理は、
図5を用いて後に説明する。
【0044】
ステップS7において、コントローラ(車両制御部31)は、ステップS6におい生成された自車の走行経路に沿って、自車を走行させる。また、コントローラ(車両制御部31)は、ステップS6において生成された自車の走行経路に沿って走行するように、走行支援を行ってもよい。
【0045】
図5は、
図4のステップS6に示された走行経路生成制御の詳細を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS61において、コントローラ(走行経路設定部23)は、地図記憶部14に記憶されている地図情報、地図内自車位置推定部15により得られる地図内の自車の位置情報、及び、目的地の情報を用いて、自車の現在位置から目的地、あるいは目的地までに経由する位置までの走行経路を設定する。
【0047】
ステップS62において、コントローラ(自車旋回判定部21)は、ステップS61において設定された自車の走行経路に、交差点において自車が対向車線を跨ぐような旋回(右折)が含まれている場合であって、且つ自車の現在位置が当該交差点の入口から所定距離内の位置(交差点の近傍)であるか否かを判定する。
【0048】
そして、自車が右折しようとしている場合には(S62:Yes)、コントローラは、次にステップS63の処理を実行する。自車が右折しようとしていない場合には(S62:No)、コントローラは、走行経路生成制御を終了する。
【0049】
ステップS63において、コントローラ(旋回対向車検出部22)は、対向車線に自車に向かって走行する対向車が存在するか否かを判定し、対向車の走行経路を推定する。
【0050】
ステップS64において、コントローラ(旋回対向車検出部22)は、ステップS63において推定された対向車の走行経路に、自車側の直進車線を跨ぐような旋回が含まれるか否かを判定する。そして、旋回対向車検出部22は、自車側の直進車線を跨ぐような旋回を行うような対向車を、旋回対向車として検出する。
【0051】
そして、旋回対向車が存在する場合には(S64:Yes)、コントローラは、次にステップS65の処理を実行する。旋回対向車が存在しない場合には(S64:No)、コントローラは、走行経路生成制御を終了する。
【0052】
ステップS65において、コントローラ(走行経路補正部24)は、ステップS61において走行経路設定部23により設定された走行経路に対して、旋回方向内側となるように修正(設定)を行う。このように走行経路を補正することで、
図2に示されるような状況において、旋回対向車Bが自車Aへと接近するおそれを低減できる。
【0053】
さらに、車両制御部31は、走行経路生成部20により生成された走行経路に従って、自車の走行を制御する。このようにすることで、旋回対向車の自車への接近に応じて運転者がハンドル操作をしてしまうことにより、自動運転が解除されることが抑制されるので、自動運転が継続されやすくなり、運転状態の安定性が向上する。
【0054】
第1実施形態の運転支援装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0055】
第1実施形態の走行経路の設定方法によれば、自車の走行経路上の交差点において対向車線を跨いだ旋回(右折)が含まれている場合において(S62:Yes)、自車側の直進車線を跨いで旋回する旋回対向車を検出する場合には(S64:Yes)、当該検出をしない場合よりも、交差点内における走行経路を、旋回方向内側に再設定する(S65)。このように、自車の走行経路における情報に加えて、自車の周囲に存在する対向車の情報を用いることで、対向車が旋回して自車に近づく可能性がある場合に、旋回対向車が自車に接近することを防ぐことができる。
【0056】
第1実施形態の走行経路の設定方法によれば、
図3に示されるように、走行経路補正部24は、交差点における旋回経路において、旋回開始位置Xを進行方向手前のX’に補正するとともに、旋回終了位置Yを進行方向奥側のY’に補正する。このように補正されたX’とY’との間を旋回半径の変化が最小となるように走行経路を設定する。
【0057】
このようにすることで、車幅方向における自車の位置は、旋回開始時及び旋回終了時において変化しない。さらに、旋回半径の変化が最小となるように旋回経路を設定することで、自車の車幅方向の位置や旋回半径の変化に起因する乗り心地の低下を抑制することができる。
【0058】
(変形例)
第1実施形態によれば、走行経路設定部23は、地図情報から、自車の走行経路を設定し、走行経路に沿って走行するように自車両を制御する例を説明したがこれに限らない。走行経路設定部23は、地図情報から、旋回半径方向外側(以下、旋回方向外側とも記載する)の境界と旋回半径方向内側の境界で形成された、車幅方向に所定の長さを有する走行領域としての走行経路範囲を設定して、走行経路範囲内に走行経路を設定するようにしてもよい。
【0059】
このような場合には、走行経路設定部23は、設定した走行経路範囲においてハンドル操作が小さくなるような走行経路を設定する。そして、隣接車が検出されると、走行経路補正部24は、走行経路範囲の旋回方向外側の境界を内側に変更し、変更された走行経路範囲内において走行経路を再設定する。このようにして、走行経路が補正される。
【0060】
このように補正されることで、車幅方向における自車の位置は、旋回開始時及び旋回終了時において変更されることはないため、自車の車幅方向の位置の変化に起因する乗り心地の低下を抑制することができる。
【0061】
(第2実施形態)
第1実施形態においては、走行経路生成部20は、自車が右折をする場合であって、旋回対向車を検出した場合に、走行経路を補正した。本実施形態においては、さらに、他の条件を用いて走行経路の補正要否を判断する例について説明する。
【0062】
図6は、第2実施形態に係る運転支援装置1の概略構成図である。この図によれば、
図1に示された第1実施形態における構成と比較すると、走行経路生成部20は、さらに、車種検出部25、前方混雑度検出部26、先行車停止位置検出部27、及び、横位置検出部28を備える。
【0063】
車種検出部25は、予め様々な種類の車両の外観を記憶しており、物体検出センサ11による物体の検出結果を用いて、旋回対向車の車種を判定する。具体的には、例えば自車両前方を撮像した画像に含まれる旋回対向車の画像と、予め記憶した車種毎の形状パターンを比較し、パターンマッチングによって旋回対向車の車種を判定することができる。あるいは、レーダーやライダ等によって検出した旋回対向車の形状と、予め記憶した車種毎の形状とを比較して車種を判定しても良い。そして、走行経路補正部24は、車種検出部25によって検出された旋回対向車の車種が、トラックやバスなどの車幅が所定の閾値よりも大きな車両である場合には、走行経路を補正する。大型車両は旋回半径が大きく、自車に接近しやすい。そこで、走行経路補正部24が走行経路を補正することで、旋回対向車が自車に接近するおそれを低減することができる。
【0064】
また、車種検出部25が旋回対向車の車幅方向の長さを検出できる場合には、走行経路補正部24は、車種検出部25の車幅長が閾値を上回る場合に、走行経路を補正してもよい。車種検出部25は、旋回対向車の全長や高さを検出して、車種を検出してもよい。
【0065】
前方混雑度検出部26は、旋回対向車の旋回後の走行経路における複数の車線の混雑度を検出する。ここで、車線の混雑度とは、旋回後の走行車線において交差点の出口から所定の距離内に存在する車両の台数に応じて定められる。そして、走行経路補正部24は、前方混雑度検出部26による混雑度の検出結果に基づいて、中央寄りの車線の混雑度が閾値よりも高いと判断される場合には、走行経路を補正する。なお、旋回対向車の旋回後の走行経路における複数の車線の混雑度は、例えば物体検出センサ11で検出した旋回対向車の旋回後の走行経路における車線毎の車両の数や車間距離、あるいは車両の移動速度から検出することが可能である。また、旋回対向車の旋回後の走行経路における車線毎の混雑度を検出する路側設備(インフラ)が存在する場合には、路側設備から送信される車線毎の混雑度を受信して検出する事も可能である。
【0066】
例えば、
図7に示される例のように、旋回対向車Bが交差点を旋回した後の走行経路における、左側の3車線の走行車線のうち、対向車線側の右側の車線Cには車両が2台存在し、中央の車線Dには車両が1台存在するものとする。このような場合には、旋回対向車Bは、混雑している車線Cへと向かう破線で示された経路ではなく、車線Dに向かう実線で示された経路を通る可能性がある。すなわち、混雑している車線Cを避けて、より旋回方向外側の車線Dへと向かう走行経路となる可能性がある。そこで、走行経路補正部24は、自車Aの走行経路を旋回方向内側に補正することで、旋回対向車Bが自車に接近することを抑制することができる。
【0067】
再び
図1を参照すれば、先行車停止位置検出部27は、旋回対向車の旋回後の走行経路における先行車の停止位置を検出する。そして、走行経路補正部24は、先行車停止位置検出部27によって検出された先行車の停止位置が交差点内に存在する場合には、走行経路を補正する。
【0068】
例えば、
図8に示される例のように、旋回対向車Bの走行経路の前方にある先行車Eが交差点内に存在する。このような場合には、旋回対向車Bは先行車Eの後方に向かって走行するような実線で示された走行経路をとる可能性がある。一方、先行車Eが交差点内に存在しない場合には、破線で示されるような走行経路となる。両者の走行経路を比較すれば、先行車Eが交差点内に存在する場合には、旋回対向車Bは大回りして旋回する可能性が高いため、走行経路補正部24は、走行経路を旋回方向内側に補正することで、旋回対向車Bが自車Aに接近することを抑制することができる。
【0069】
再び
図1を参照すれば、横位置検出部28は、旋回対向車の理想的な旋回経路を推定し、推定された理想旋回経路を基準とした、実際の旋回対向車の旋回方向外側に向かう方向のズレを検出する。そして、走行経路補正部24は、横位置検出部28により検出されるズレが閾値よりも大きいか否かを判定し、閾値よりも大きい場合には、走行経路を旋回方向内側に補正する。
【0070】
図9に示される例のように、旋回対向車Bは、交差点内において旋回半径の変化が最小となるような理想旋回経路(破線)を走行することが好ましい。しかしながら、旋回対向車Bが、理想旋回経路よりも旋回方向外側の走行経路(実線)を走行することがある。そこで、走行経路補正部24は、理想旋回経路を基準として、実際の旋回対向車Bの位置の旋回方向外側のズレが閾値を上回る場合には、上回らない場合よりも、走行経路を旋回方向内側に補正することで、旋回対向車Bが自車Aに接近することを防ぐことができる。
【0071】
図10は、本実施形態における走行経路生成制御の詳細を示すフローチャートである。
【0072】
この図によれば、
図5に示された第1実施形態の走行経路生成制御と比較すると、ステップS64の後、かつ、ステップS65の前に、ステップS66の処理が追加されている。
【0073】
ステップS66においては、走行経路補正部24は走行経路の補正要否を判定する。具体的には、走行経路補正部24は、車種検出部25、前方混雑度検出部26、先行車停止位置検出部27、及び、横位置検出部28のうちの少なくとも1つの検出結果に応じて、走行経路の補正要否を判定する。
【0074】
すなわち、車種検出部25により検出される旋回対向車の車種が大型車である場合、前方混雑度検出部26により検出される旋回対向車の進路の前方における対向車線側の車線の混雑度が閾値を上回る場合、先行車停止位置検出部27により交差点内に先行車が検出された場合、または、横位置検出部28により検出される理想旋回経路に対する旋回対向車の旋回方向外側へのズレが閾値を上回る場合には、走行経路補正部24は、走行経路を補正する。
【0075】
このようにすることで、走行経路の補正の要否がさらに精度よく判断することができるため、不要な走行経路の補正を抑制することができる。
【0076】
第2実施形態の運転支援装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0077】
第2実施形態の走行経路の設定方法によれば、さらに、車種検出部25によって検出された旋回対向車の車種が大型車である場合には(S66:Yes)、大型車でない場合よりも、走行経路を旋回方向内側に補正する(S65)。
【0078】
旋回対向車が大型車である場合には、旋回半径が大きいため、旋回対向車が自車に接近する可能性が高い。そこで、走行経路補正部24は、走行経路を内側に補正することで、旋回対向車が自車に接近することを防ぐことができる。
【0079】
第2実施形態の走行経路の設定方法によれば、さらに、前方混雑度検出部26によって旋回対向車の前方において中央車線寄りの車線に存在する先行車の混雑度が閾値を上回る場合には(S66:Yes)、上回らない場合よりも、走行経路を旋回方向内側に補正する(S65)。
【0080】
図7に示されるように、旋回対向車Bの走行経路の前方において、対向車線側の車線Cにおいて他車両の混雑度が高い場合がある。このような場合には、旋回対向車Bは、車線Cを避けて車線Dに向かって旋回するため、走行車線をより旋回方向外側にする可能性がある。そこで、走行経路補正部24は、走行経路を旋回方向内側に補正することで、旋回対向車Bが自車Aに接近することを抑制することができる。
【0081】
第2実施形態の走行経路の設定方法によれば、さらに、先行車停止位置検出部27によって検出される旋回対向車の先行車の停止位置が交差点内である場合には(S66:Yes)、停止位置が交差点内でない場合よりも、走行経路を旋回方向内側に補正する(S65)。
【0082】
図8に示されるように、旋回対向車Bの先行車Eが交差点内に存在する場合には、旋回対向車Bは先行車Eの後方に向かう走行経路(実線)を通るため、先行車Eが交差点内に存在しない場合の破線で示される経路と比較すると、大回りして旋回する可能性が高い。そこで、走行経路補正部24は、走行経路を旋回方向内側に補正することで、旋回対向車Bが自車Aに接近することを抑制することができる。
【0083】
第2実施形態の走行経路の設定方法によれば、さらに、横位置検出部28により理想旋回経路を基準とした隣接旋回車の実際の位置の旋回方向外側のズレを検出する。そして、走行経路補正部24は、当該ズレが閾値を上回る場合には(S67:Yes)、上回らない場合よりも、走行経路を旋回方向内側に補正する(S65)。
【0084】
図9に示されるように、旋回対向車Bは、交差点内において旋回半径の変化が最小となるような理想旋回経路(破線)を走行することが好ましい。しかしながら、旋回対向車Bが、最適旋回経路よりも旋回方向外側の旋回経路(実線)を走行することがある。そこで、走行経路補正部24は、理想走行経路を基準とした旋回対向車Bの旋回方向外側のズレが閾値を上回ることが検出される場合には、検出されない場合よりも、走行経路を旋回方向内側に補正することで、旋回対向車Bが自車Aに接近することを防ぐことができる。
【0085】
(変形例)
第2実施形態においては、ステップS66において補正要否を判断する際に、走行経路補正部24は、車種検出部25、前方混雑度検出部26、先行車停止位置検出部27、及び、横位置検出部28のうちの少なくとも1つの検出結果に応じて、走行経路の補正要否を判定する例について説明したが、これに限らない。
【0086】
ステップS66において補正要否を判断する際に、走行経路補正部24は、車種検出部25、前方混雑度検出部26、先行車停止位置検出部27、及び、横位置検出部28の検出結果のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、旋回対向車が旋回方向外側を走行する可能性を求め、その可能性が閾値を超える場合に、補正が必要と判断してもよい。このような構成となることで、実際の走行状況を考慮して、走行経路の要否を判断できる。
【0087】
(第3実施形態)
第2実施形態においては、旋回対向車の有無に加えて、さらに、ステップS66において補正要否を判断する例について説明したが、これに限らない。例えば、補正要否の判断に替えて、補正量を変化させてもよい。
【0088】
図11は、第3実施形態における走行経路生成制御の詳細を示すフローチャートである。
図10に示された第2実施形態の走行経路生成制御と比較すると、ステップS66に替えてステップS67の処理が追加されている。
【0089】
ステップS67においては、走行経路補正部24は、車種検出部25、前方混雑度検出部26、先行車停止位置検出部27、及び、横位置検出部28の検出結果のそれぞれと対応するような旋回対向車が自車へと接近する確率を求める。そして、走行経路補正部24は、それらの確率の和に応じて走行経路の補正量を定める。
【0090】
このようにすることで、段階的に旋回方向内側への補正ができ、確率に応じた旋回対向車の接近の回避を実現できるため、旋回対向車の接近により、自車が急操舵となり乗り心地が低下することを回避することができる。
【0091】
なお、上記各実施形態は、矛盾を生じない範囲の任意の組み合わせで相互に組み合わせることが可能である。
【0092】
上記各実施形態で説明した処理をコンピュータであるコントローラに実行させるための制御プログラム、及び当該制御プログラムを記憶した記憶媒体も、本出願における出願時の明細書等に記載された事項の範囲内に含まれる。