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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240209BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H02J3/38 130
H02J7/35 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020043108
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021145483
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】扇原 弘嗣
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-103894(JP,A)
【文献】特開2014-050199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源と分電盤との間に接続されるパワーコンディショナと、
燃料が供給されて発電可能であると共に前記分電盤を介して前記パワーコンディショナと接続される燃料電池と、
太陽光を利用して発電可能であると共に前記パワーコンディショナと接続される太陽光発電部と、
電力を充放電可能であると共に前記パワーコンディショナと接続される蓄電池と、
停電時以外の通常時、かつ前記太陽光発電部が発電していない場合において、前記燃料電池の発電電力を、前記分電盤を介さずに前記パワーコンディショナへ流通可能とする制御部と、
を具備する、
電力供給システム。
【請求項2】
前記燃料電池は、
通常時、かつ前記太陽光発電部が発電していない場合において、一定の電力を継続して出力する一定出力運転により、発電電力を前記パワーコンディショナへ供給可能である、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記燃料電池は、
停電が発生した場合に、自立運転可能であり、
前記制御部は、
通常時、かつ前記太陽光発電部が発電していない場合において、前記燃料電池を疑似的な停電状態とすることにより、前記自立運転による発電電力を前記パワーコンディショナへ流通可能とする、
請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記パワーコンディショナは、
通常時、かつ前記太陽光発電部が発電していない場合において、前記燃料電池から供給される電力が系統電源側へと流れるのを規制する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記分電盤を介さずに前記燃料電池の発電電力を前記パワーコンディショナへ流通可能な状態において、系統電源から供給される電力が所定の閾値を超えた場合に、前記パワーコンディショナへ流通可能な状態から流通不能な状態へ切り替える、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷へ電力を供給可能な電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、負荷へ電力を供給可能な電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載される電力供給システムは、分電盤、太陽電池、蓄電池、パワーコンディショナ、発電装置(燃料電池)及び電流センサ等を具備する。分電盤は、負荷及び系統電源と接続される。パワーコンディショナは、太陽電池、蓄電池及び分電盤と接続され、太陽電池及び蓄電池からの電力を適宜変換して分電盤へ供給することができる。発電装置は、分電盤と接続され、発電した電力を分電盤へ供給することができる。電流センサは、負荷に対して余剰した発電装置の発電電力の電流を検知することができる。
【0004】
特許文献1において、発電装置は、通常時に所定の定格電力値による定格運転を行うことで発電電力を分電盤へ供給する。当該構成において、仮に負荷の消費電力に対して発電装置の発電電力が余剰すると、当該余剰電力の電流を電流センサが検知する。発電装置は、当該検知結果に基づいて発電を停止する。こうして、発電装置は、負荷の消費電力に対して発電電力が余剰した場合に運転を停止して、発電電力が逆潮流するのを防止することができる。
【0005】
このような特許文献1において、通常時に発電装置の発電電力を蓄電池に充電する場合、発電装置を負荷の消費電力以上に発電させて、当該消費電力に対して発電装置の発電電力を余剰させる必要がある。しかし、発電装置は、上述の如く、発電電力が余剰した場合に運転を停止してしまうため、発電装置の発電電力を蓄電池に充電するためには、発電装置の動作を変更する必要がある。このため、簡単な構成で通常時に発電装置の発電電力を蓄電池に充電することができる技術が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-86594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、簡単な構成で通常時に燃料電池からの電力を蓄電池に充電することが可能な電力供給システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、系統電源と分電盤との間に接続されるパワーコンディショナと、燃料が供給されて発電可能であると共に前記分電盤を介して前記パワーコンディショナと接続される燃料電池と、太陽光を利用して発電可能であると共に前記パワーコンディショナと接続される太陽光発電部と、電力を充放電可能であると共に前記パワーコンディショナと接続される蓄電池と、停電時以外の通常時、かつ前記太陽光発電部が発電していない場合において、前記燃料電池の発電電力を、前記分電盤を介さずに前記パワーコンディショナへ流通可能とする制御部と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記燃料電池は、通常時、かつ前記太陽光発電部が発電していない場合において、一定の電力を継続して出力する一定出力運転により、発電電力を前記パワーコンディショナへ供給可能である。
【0011】
請求項3においては、前記燃料電池は、停電が発生した場合に、自立運転可能であり、前記制御部は、通常時、かつ前記太陽光発電部が発電していない場合において、前記燃料電池を疑似的な停電状態とすることにより、前記自立運転による発電電力を前記パワーコンディショナへ流通可能とするものである。
【0012】
請求項4においては、前記パワーコンディショナは、通常時、かつ前記太陽光発電部が発電していない場合において、前記燃料電池から供給される電力が系統電源側へと流れるのを規制するものである。
【0013】
請求項5においては、前記制御部は、前記分電盤を介さずに前記燃料電池の発電電力を前記パワーコンディショナへ流通可能な状態において、系統電源から供給される電力が所定の閾値を超えた場合に、前記パワーコンディショナへ流通可能な状態から流通不能な状態へ切り替えるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、簡単な構成で通常時に燃料電池からの電力を蓄電池に充電することができる。
【0016】
請求項2においては、系統電源から購入する電力を増やすことなく、燃料電池の発電電力を蓄電池に充電することができる。
【0017】
請求項3においては、より簡単な構成で通常時に燃料電池からの電力を蓄電池に充電することができる。
【0018】
請求項4においては、燃料電池の発電電力が系統電源へ流れるのを抑制することができる。
【0019】
請求項5においては、燃料電池の発電電力を蓄電池へ充電することを、適切なタイミングで停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムを示すブロック図。
図2】燃料電池が連系運転を行う場合の電力の流れを示すブロック図。
図3】燃料電池充電処理を示すフローチャート。
図4】燃料電池が第二自立運転を行う場合の電力の流れを示すブロック図。
図5】具体例において、燃料電池が第二自立運転を行う前の状態を示すブロック図。
図6図5に示す状態から燃料電池が第二自立運転を行った状態を示すブロック図。
図7図6に示す状態から負荷の消費電力が増えた状態を示すブロック図。
図8図7に示す状態から負荷の消費電力が増えた状態を示すブロック図。
図9】燃料電池が第二自立運転から連系運転に切り替えられた状態を示すブロック図。
図10】変形例に係る電力供給システムを示すブロック図。
図11】変形例に係る燃料電池が第二自立運転を行う状態を示すブロック図。
図12】蓄電池が満充電となっても燃料電池が第二自立運転を継続して行う状態を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
【0022】
図1に示す電力供給システム1は、住宅(例えば、戸建て住宅)に設けられ、住宅の負荷(例えば、エアコン等の電気機器)へ電力を供給するものである。本実施形態に係る負荷は、後述する分電盤10又は専用回路30に接続される。本実施形態において、電力供給システム1は、分電盤10、蓄電システム20、専用回路30、燃料電池40及びリレー50を具備する。
【0023】
分電盤10は、負荷の消費電力に応じて電力の供給元(系統電源K等)から供給された電力を、当該負荷に分配するものである。分電盤10は、図示せぬ漏電遮断器や、配線遮断器、制御ユニット等により構成される。分電盤10は、配電線L1を介して、系統電源Kと接続される。
【0024】
蓄電システム20は、太陽光を利用して発電可能であると共に、電力を充放電可能なものである。蓄電システム20は、太陽光発電部21、蓄電池22及びパワコン23を具備する。
【0025】
太陽光発電部21は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部21は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部21は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0026】
蓄電池22は、電力を充放電可能に構成されるものである。蓄電池22は、例えばリチウムイオン電池等により構成される。本実施形態において、蓄電池22の最大放電電力(単位時間当たりに放電可能な電力の最大値)は、2000Wとなっている。
【0027】
パワコン23は、電力を適宜変換可能なハイブリッドパワーコンディショナである。パワコン23は、中途部にブレーカB1が設置された配電線L2を介して配電線L1の中途部に接続される。こうして、パワコン23により蓄電システム20は配電線L1と接続される。また、パワコン23は、太陽光発電部21と蓄電池22とに所定の電線を介して接続される。このように、パワコン23は、太陽光発電部21と蓄電池22と配電線L1との間に設けられる。
【0028】
こうして、太陽光発電部21の発電電力は、パワコン23を介して配電線L1に出力することができる。また、太陽光発電部21の発電電力は、蓄電池22に充電することができる。また、蓄電池22の放電電力は、パワコン23を介して配電線L1に出力することができる。また、配電線L1を流れる電力は、パワコン23を介して蓄電池22に充電することができる。
【0029】
また、パワコン23は、配電線L3を介して分電盤10と接続されると共に、配電線L4を介して後述する専用回路30と接続される。パワコン23は、配電線L1から分電盤10へ供給された電力を、配電線L3・L4を介して専用回路30へ供給することができる。
【0030】
また、パワコン23は、太陽光発電部21と信号を送受信可能に構成され、当該信号に基づいて太陽光発電部21の発電電力等に関する情報を取得することができる。また、パワコン23は、蓄電池22と信号を送受信可能に構成され、当該信号に基づいて蓄電池22の残量等に関する情報を取得することできる。また、パワコン23は、蓄電池22の動作を制御することができる。
【0031】
また、パワコン23は、配電線L1(配電線L2との接続部分よりも系統電源K側)に設けられて配電線L1を流通する電力を検出可能なセンサ(不図示)から所定の信号が入力可能に構成される。パワコン23は、当該センサからの信号に基づいてセンサの検出結果を取得可能に構成される。パワコン23は、取得したセンサの検出結果等に基づいて、蓄電池22の放電量を調整する負荷追従運転を行うことができる。
【0032】
また、パワコン23は、燃料電池40が後述する第二自立運転を行っている場合(すなわち、パワコン23に配電線L6を介して燃料電池40からの出力電力が供給されている場合)、後述する逆潮流抑制運転を行うことによって、燃料電池40の出力を制御する(絞る)ことができる。
【0033】
専用回路30は、負荷(分電盤10に直接接続された負荷とは異なる負荷)への電力供給のために設けられた回路である。専用回路30は、所定の配電線を介して負荷と接続される。なお、以下においては、説明の便宜上、分電盤10に接続された負荷を「一般負荷」と称し、専用回路30に接続された負荷を「重要負荷」と称する。専用回路30は、通常時だけではなく、停電時においても、パワコン23を介して電力が供給される。専用回路30は、当該供給された電力を重要負荷へ供給することができる。このような重要負荷としては、例えば、停電が発生しても電力が供給されるのが望ましい機器、具体的には照明等がある。
【0034】
燃料電池40は、住宅に設けられ、水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池40は、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)や制御部等により構成される。また、燃料電池40には、貯湯タンク(不図示)が設けられる。燃料電池40は、中途部にブレーカB2が設置された配電線L5を介して分電盤10と接続される。こうして、燃料電池40は、分電盤10を介してパワコン23と接続される(間接的に接続される)。また、燃料電池40は、配電線L6を介してパワコン23と接続される(分電盤10を介さずに直接的に接続される)。
【0035】
本実施形態において、燃料電池40は、系統電源Kと連系した通常時の連系運転、及び、系統電源Kと連系しない停電時の自立運転を行うことができる。なお以下では、連系運転時(すなわち通常時)の燃料電池40の構成について説明する。
【0036】
燃料電池40は、定格出力(最大発電電力)までの交流電力を出力可能である。また、燃料電池40は、最低出力(最低発電電力)以上の交流電力を出力可能である。本実施形態においては、燃料電池40の定格出力を700Wとし、最低出力を0Wとする。すなわち、燃料電池40は、最低発電電力(0W)から最大発電電力(700W)までの間で、任意の大きさの電力を出力することができる。燃料電池40は、発電電力を配電線L5に出力させて、当該発電電力を分電盤10へ供給する。また、本実施形態において、燃料電池40は、配電線L1(配電線L2との接続部分よりも分電盤10側)に設けられて配電線L1を流通する電力を検出可能なセンサ(不図示)の検出結果に基づいて、発電量を調整する負荷追従運転を行うことができる。
【0037】
また、燃料電池40は、発電時に発生する熱(排熱)を用いて湯を製造すると共に、当該製造した湯を貯湯タンクに貯めることができる。燃料電池40は、貯湯タンクの貯湯量が最大容量に達した場合(貯湯タンクがこれ以上蓄熱ができない状態となった場合)、発電を停止させる(発電を行うことができない)。貯湯タンクに貯められた湯は、浴室等の給湯需要に応じて供給することができる。
【0038】
なお、住宅においては、燃料電池40の発電時に、燃料電池40の発電電力が逆潮流するのを防止するために、所定の電力の購入が義務付けられている。本実施形態においては、燃料電池40の発電時に、50Wの電力が購入される。
【0039】
以下では、自立運転時の燃料電池40の構成について説明する。なお以下では、自立運転時の燃料電池40の構成について、通常時の連系運転の燃料電池40と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について説明するものとする。
【0040】
燃料電池40は、例えば配電線L5にかかる電圧の状態に基づいて停電の発生を検知した場合、系統電源Kと連系した連系運転から、系統電源Kと連系しない自立運転に切り替わる。なお、本実施形態において、自立運転時の燃料電池40の最大出力は、650Wとされる。
【0041】
また、自立運転において、燃料電池40は、発電電力を連系運転時の配電線L5とは異なる配電線L6に出力させる。このとき、燃料電池40は、配電線L6に直流電力を出力させる。これにより、自立運転において、燃料電池40は、発電電力(直流電力)をパワコン23に供給することができる。こうして、燃料電池40は、自立運転において、パワコン23を介して、発電電力を蓄電池22に充電することができると共に専用回路30へ供給することができる。また、燃料電池40は、自立運転において、前記センサの検出結果に基づいた負荷追従運転を行うのではなく、前記センサの検出結果に関わらず一定の電力を継続して出力する一定出力運転を行う。本実施形態において燃料電池40は、一定の電力として、自立運転時の最大出力と同一の電力(650W)を継続して出力する。なお、自立運転における燃料電池40の出力電力は、適宜変更可能となっている。
【0042】
また、本実施形態においては、実際に停電が発生していない場合に、後述するように燃料電池40に対して疑似的に停電を発生させることにより、当該燃料電池40に自立運転を行わせることができる。具体的には、後述するリレー50がオフとなると配電線L5が無電圧状態となって(配電線L5を電力が流通不能となって)、実際には停電が発生していないにもかかわらず、燃料電池40は停電が発生したと判断する。すなわち、電力供給システム1内において、燃料電池40のみを疑似的な停電状態とすることができる。なお以下では、上述の如く燃料電池40に対して疑似的に発生させた停電を「疑似停電」と称する。この場合(疑似停電が発生した場合)、燃料電池40は、実際に停電が発生した場合と同様に、系統電源Kと連系した連系運転から、系統電源Kと連系しない自立運転に切り替わる。すなわち、通常時であるにもかかわらず、燃料電池40は、発電電力を、配電線L6を介してパワコン23に供給することができる。
【0043】
なお以下では、便宜上、疑似停電が発生した場合の自立運転を「第二自立運転」と称する。また、本実施形態において、パワコン23は、太陽光発電部21が発電していない状態で燃料電池40が第二自立運転を行う場合に、配電線L1へ最大で2000Wの電力(蓄電池22の最大放電電力と同一の電力)を出力することができる。
【0044】
リレー50は、分電盤10と燃料電池40との接続及び接続解除を行うためのものである。リレー50は、分電盤10と燃料電池40とを接続する配電線L5の中途部(ブレーカB2よりも分電盤10側)に設置される。リレー50は、オン(閉状態)となることで、分電盤10と燃料電池40とを接続することができる。リレー50は、オフ(開状態)となることで、分電盤10と燃料電池40との接続を解除することができる。リレー50は、後述する制御部60と接続され、当該制御部60からの信号に応じてオンとオフとが適宜切り替えられる。
【0045】
制御部60は、電力供給システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。制御部60は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。制御部60の記憶部には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。制御部60の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力供給システム1を動作させることができる。
【0046】
制御部60は、蓄電システム20(より詳細には、パワコン23)との間で信号を送受信可能に構成される。これにより、制御部60は、蓄電システム20に関する情報を取得することできる。例えば、制御部60は、太陽光発電部21の発電電力や蓄電池22の残量等の情報を取得することができる。
【0047】
また、制御部60は、蓄電システム20の動作を制御することができる。すなわち、制御部60は、太陽光発電部21及び蓄電池22の動作を制御することができる。例えば、制御部60は、パワコン23に後述する逆潮流不可運転の指示を行うことができる。
【0048】
また、制御部60は、燃料電池40及び当該燃料電池40に関連する種々の機器と信号を送受信可能に構成され、燃料電池40に関する情報を取得することができる。例えば、制御部60は、燃料電池40の動作の状態(例えば発電電力や貯湯タンクの貯湯量の情報)を取得することができる。また、制御部60は、燃料電池40の発電電力等を制御することができる。
【0049】
以下では、図2を参照し、通常時における電力供給システム1の電力の供給態様について簡単に説明する。なお、以下では、太陽光発電部21が発電しているものとして、電力の供給態様を説明する。
【0050】
電力供給システム1において、分電盤10には、系統電源K、蓄電システム20及び燃料電池40からの電力が供給される。具体的には、分電盤10には、配電線L1を介して系統電源Kからの電力が供給される。当該電力は、分電盤10と接続された一般負荷へ供給される。また、分電盤10へ供給された電力は、配電線L3・L4を介して専用回路30へ供給される。これにより、専用回路30と接続された重要負荷にも系統電源Kからの電力が供給される。
【0051】
また、分電盤10には、蓄電システム20からの電力が、パワコン23を介して適宜供給される。具体的には、パワコン23は、太陽光発電部21の発電電力を配電線L1・L2を介して分電盤10へ供給する。当該電力は、一般負荷へ供給されると共に配電線L3等を介して専用回路30へ供給される。また、パワコン23は、太陽光発電部21の発電電力だけでは負荷の消費電力を賄えない場合に、蓄電池22を放電させる。このとき、パワコン23は、配電線L1に設けられた前記センサの検出結果等に基づいて、蓄電池22の放電量を調整する負荷追従運転を行う。当該蓄電池22の放電電力は、太陽光発電部21からの電力と同様に、配電線L1・L2を介して分電盤10へ供給され、当該分電盤10から一般負荷へ供給される。また、蓄電池22の放電電力は、配電線L3等を介して専用回路30へ供給される。
【0052】
また、パワコン23は、負荷の消費電力に対して太陽光発電部21の発電電力が余剰する場合に、当該電力を蓄電池22に充電する。また、パワコン23は、蓄電池22に充電しても依然として太陽光発電部21の発電電力が余剰する場合に、当該余剰電力を配電線L1・L2を介して系統電源Kへ逆潮流させる。こうして、パワコン23は、太陽光発電部21の発電電力を売電することができる。
【0053】
以下では、このような太陽光発電部21の発電電力が負荷の消費電力及び蓄電池22の充電電力に対して余剰する場合に、当該余剰電力を系統電源Kへ逆潮流させる運転を「逆潮流可運転」と称する。
【0054】
なお、パワコン23は、通常時において、系統電源Kからの電力を適宜充電させることができる。例えば、パワコン23は、太陽光発電部21が発電していない夜間の時間帯等に、系統電源Kからの電力を蓄電池22に充電させることができる。
【0055】
また、分電盤10には、配電線L5を介して燃料電池40の発電電力が供給される。具体的には、通常時に太陽光発電部21が発電している場合、リレー50がオンとなって、燃料電池40は、分電盤10と接続される。当該燃料電池40は、連系運転を行うことで、配電線L5を介して発電電力を分電盤10へ供給する。このとき、燃料電池40は、負荷追従運転を行う。当該燃料電池40の発電電力は、分電盤10から一般負荷へ供給されると共に、配電線L3等を介して専用回路30へ供給される。
【0056】
このように、通常時においては、系統電源Kからの電力だけではなく、太陽光発電部21、蓄電池22及び燃料電池40からの電力を分電盤10へ適宜供給することができる。これにより、住宅の所有者は、系統電源Kから分電盤10への電力量(電力会社から購入する電力量)を減らして電気料金を節約することができる。
【0057】
ここで、図2に示す電力の供給態様(上述したような燃料電池40が連系運転する場合の供給態様)において、蓄電池22は、太陽光発電部21及び系統電源Kからの電力を充電することができる。当該供給態様において、蓄電池22に燃料電池40の発電電力も充電することができれば、系統電源Kから購入する電力量を減らして電気料金をさらに節約することができる。
【0058】
しかし、図2に示す電力の供給態様において、燃料電池40は、負荷追従運転を行っている。当該燃料電池40は、負荷の消費電力以上に発電することができないため、燃料電池40の発電電力を蓄電池22へ充電することができない。また、仮に連系運転時の動作を変更して負荷の消費電力以上に燃料電池40を発電させたとすると、負荷の消費電力に対して余剰する燃料電池40の発電電力は配電線L1を分電盤10から系統電源K側へ流通することとなる。この場合、蓄電池22は、当該配電線L1を流通する電力が系統電源Kへと逆潮流しないように、充電量を調整しながら充電を行う必要が生じてしまう。このように、燃料電池40が連系運転を行っている場合に燃料電池40の発電電力を蓄電池22に充電する場合、連系運転の構成(例えば、負荷追従運転を行う構成等)や蓄電池22の充電時における動作を変更する必要が生じてしまい、構成が複雑化してしまう。
【0059】
そこで、本実施形態では、図3に示す燃料電池充電処理を行うことで、連系運転の構成等を変更することなく、通常時に燃料電池40の発電電力を蓄電池22へ充電するようにしている。
【0060】
以下では、図3及び図4を参照して燃料電池充電処理の内容について説明する。
【0061】
燃料電池充電処理は、上述の如き疑似停電が発生した場合に行われる第二自立運転を用いて、通常時に燃料電池40の発電電力を蓄電池22に充電するための処理である。なお、本実施形態において燃料電池充電処理は、後述するように、蓄電池22の充電だけではなく、負荷への電力供給も行う。燃料電池充電処理は、通常時に制御部60により所定のタイミング(例えば、1分間隔)で繰り返し実行される。こうして、制御部60は、繰り返し種々の判断を行うと共に、得られた判断結果に基づいてリアルタイムで所定の制御を実行する。
【0062】
図3に示すように、ステップS110において、制御部60は、蓄電池22が満充電であるか否かを判断する。制御部60は、蓄電池22が満充電である場合(ステップS110:Yes)、燃料電池40の発電電力を蓄電池22に充電する必要がないため、燃料電池充電処理を終了する。一方、制御部60は、蓄電池22が満充電でない場合(ステップS110:No)、ステップS120へ移行する。
【0063】
ステップS120において、制御部60は、太陽光発電部21が発電しているか否かを判断する。制御部60は、太陽光発電部21が発電している場合(ステップS120:Yes)、燃料電池充電処理を終了する。一方、制御部60は、太陽光発電部21が発電していない場合(ステップS120:No)、ステップS130へ移行する。
【0064】
ここで、上述の如く、(原則として)太陽光発電部21の発電電力は、系統電源Kに売電することが可能である。しかし、本実施形態においては、例外として、燃料電池40の発電時には、太陽光発電部21の発電電力が売電できないように設定されている。そこで、太陽光発電部21が発電している場合には、当該発電電力を売電可能とするために、燃料電池40の発電を行う燃料電池充電処理を終了させる。
【0065】
ステップS130において、制御部60は、燃料電池40の貯湯タンクが満蓄(これ以上蓄熱ができない状態)であるか否かを判断する。制御部60は、燃料電池40の貯湯タンクが満蓄である場合(ステップS130:Yes)、燃料電池40が発電できないため、燃料電池充電処理を終了する。一方、制御部60は、燃料電池40の貯湯タンクが満蓄でない場合(ステップS130:No)、ステップS140へ移行する。
【0066】
ステップS140において、制御部60は、図4に示すように、所定の信号をリレー50に送信することで、当該リレー50をオフにする(解列する)。これにより、配電線L5が無電圧状態となるため、燃料電池40は、実際には停電が発生していないにもかかわらず停電が発生したと判断し、第二自立運転を開始する。こうして、燃料電池40は、配電線L6を介してパワコン23に発電電力を供給する。この場合、燃料電池40は、一定の電力(650W)を継続して供給する一定出力運転を行う。
【0067】
第二自立運転により、配電線L6を介してパワコン23に供給された燃料電池40の発電電力は、配電線L1・L2を介して分電盤10に供給される。当該電力は、分電盤10を介して一般負荷に供給される。また、分電盤10に供給された燃料電池40の発電電力は、配電線L3・L4を介して専用回路30に供給され、当該専用回路30に接続された重要負荷にも供給される。図3に示すように、制御部60は、ステップS140の処理が終了すると、ステップS150へ移行する。
【0068】
ステップS150において、制御部60は、パワコン23に逆潮流不可運転を行うように指示を出す。ここで、パワコン23の逆潮流不可運転とは、第二自立運転により燃料電池40からパワコン23に出力された電力が系統電源K側へ流れないように、当該燃料電池40からの電力を抑制していく運転を意味する。具体的には、逆潮流不可運転には、蓄電池22の余剰電力の充電と、燃料電池40の出力の抑制と、が含まれる。すなわち、逆潮流不可運転を行っているパワコン23は、燃料電池40からの電力が負荷の消費電力に対して余剰する場合、当該余剰する分の電力をまず蓄電池22に充電させる。また、パワコン23は、蓄電池22の充電を行っても依然として燃料電池40からの電力が余剰する場合に、燃料電池40からの電力が前記消費電力に対して余剰しないように、当該燃料電池40の出力を抑制していく(絞っていく)。こうして、パワコン23は、例えば燃料電池40からの電力を蓄電池22に充電しても、依然として燃料電池40からの電力が前記消費電力に対して余剰して系統電源K側へ流れそうな場合、燃料電池40の出力が減少するような運転を行う。このように、パワコン23が逆潮流不可運転を行うことにより、通常時に燃料電池40からの電力を蓄電池22に充電できると共に、燃料電池40からの電力が系統電源Kへと逆潮流されるのを抑制することができる。
【0069】
上述の如く、本実施形態においては、燃料電池40の発電時に、所定の電力(50W)の購入が義務付けられている。このため、ステップS150においてパワコン23は、系統電源Kから所定の電力(50W)の買電が行われるように、分電盤10へ供給する電力を調整する。制御部60は、ステップS150の処理が終了すると、ステップS160へ移行する。
【0070】
ステップS160において、制御部60は、燃料電池40の貯湯タンクが満蓄であるか否かを判断する。制御部60は、燃料電池40の貯湯タンクが満蓄である場合(ステップS160:Yes)、燃料電池40が発電できないため、後述するステップS200へ移行して第二自立運転を終了させる。一方、制御部60は、燃料電池40の貯湯タンクが満蓄でない場合(ステップS160:No)、ステップS170へ移行する。
【0071】
ステップS170において、制御部60は、蓄電池22が満充電であるか否かを判断する。制御部60は、蓄電池22が満充電である場合(ステップS170:Yes)、燃料電池40の発電電力を蓄電池22に充電する必要がないため、ステップS200へ移行して第二自立運転を終了させる。一方、制御部60は、蓄電池22が満充電でない場合(ステップS170:No)、ステップS180へ移行する。
【0072】
ステップS180において、制御部60は、太陽光発電部21が発電しているか否かを判断する。上述の如く、本実施形態においては、燃料電池40の発電時には、太陽光発電部21の発電電力が売電できないように設定されている。このため、制御部60は、太陽光発電部21が発電している場合(ステップS180:Yes)、太陽光発電部21の発電電力を売電可能とするために、ステップS200へ移行して第二自立運転を終了させる。一方、制御部60は、太陽光発電部21が発電していない場合(ステップS180:No)、ステップS190へ移行する。
【0073】
ステップS190において、制御部60は、所定の閾値以上の買電(系統電源Kから分電盤10への電力供給)が発生しているか否かを判断する。本実施形態において、閾値には、燃料電池40の発電時に購入が義務付けられている電力(50W)よりも大きい値(100W)が設定されている。制御部60は、閾値以上の買電が発生している場合(ステップS190:Yes)、買電を減らすためにステップS200へ移行して第二自立運転を終了させる。なお、ステップS190からステップS200へと移行する流れについては、後述する具体例の中で説明する。一方、制御部60は、閾値以上の買電が発生していない場合(ステップS190:No)、ステップS160へ移行する。
【0074】
ステップS200において、制御部60は、所定の信号をリレー50に送信することで、当該リレー50をオンにする。これにより、配電線L5が無電圧状態ではなくなる(配電線L5を電力が流通可能となる)ため、燃料電池40は、停電が復旧したと判断し、第二自立運転を終了し、連系運転を開始する。こうして、燃料電池40の発電電力は、配電線L5を介して分電盤10へ供給される。制御部60は、ステップS200の処理が終了すると、ステップS210へ移行する。
【0075】
ステップS210において、制御部60は、上述した逆潮流可運転(負荷の消費電力及び蓄電池22の充電電力に対して余剰する太陽光発電部21の発電電力を逆潮流させる運転)を行うようにパワコン23に指示を出す。こうして、パワコン23が逆潮流可運転を行うことにより、太陽光発電部21の発電電力が適宜系統電源Kへ逆潮流されることとなる。制御部60は、ステップS210の処理が終了すると、燃料電池充電処理を終了する。
【0076】
燃料電池充電処理においては、燃料電池40を通常時に連系運転させるのではなく、自立運転(第二自立運転)させることで、通常時に燃料電池40の発電電力を蓄電池22に充電することができる。これによれば、連系運転の構成(例えば、負荷追従運転を行う構成等)を変更することなく、燃料電池40の発電電力を蓄電池22に充電することができる。
【0077】
また、燃料電池充電処理によれば、リレー50をオフにすると共に逆潮流不可運転を指示することで(ステップS140・S150)、通常時に燃料電池40の発電電力を、分電盤10を介さずに蓄電池22に充電可能となる。これにより、簡素な構成で通常時に燃料電池40の発電電力を蓄電池22に充電することができる。
【0078】
また、燃料電池充電処理によれば、蓄電池22の放電電力だけではなく、第二自立運転により燃料電池40から出力された電力も、パワコン23を介して分電盤10へ供給することができる。これによって、分電盤10への電力供給をパワコン23だけで制御することができる。
【0079】
以下では、図5から図9を参照し、燃料電池充電処理の具体例を説明する。
【0080】
図5は、燃料電池充電処理を行う前の電力供給システム1の状態の一例を示している。図5に示す状態において、太陽光発電部21は発電していない。また、図5に示す蓄電池22は、放電しておらず、かつ、満充電ではない状態となっている。また、燃料電池40の貯湯タンクは、満蓄ではない状態となっている。また、図5に示す状態において、負荷の消費電力(分電盤10と接続された一般負荷の消費電力、及び専用回路30と接続された重要負荷の消費電力の総合計)は、500Wとなっている。また、専用回路30と接続された重要負荷の消費電力は、100Wとなっている。また、図5に示す状態において停電は発生していない。また、図5に示すリレー50は、オンの状態となっている。また、燃料電池40は、連系運転により450Wの電力を発電している。また、燃料電池40の発電に伴い、系統電源Kから分電盤10へ50Wの電力が供給されている。こうして、負荷の消費電力500Wは、燃料電池40の発電電力450Wと系統電源Kからの電力50Wとにより賄われている。
【0081】
当該図5に示す状態において燃料電池充電処理が行われると、蓄電池22が満充電ではなく(ステップS110:No)、太陽光発電部21は発電しておらず(ステップS120:No)、貯湯タンクは満蓄ではないことから(ステップS130:No)、リレー50がオフとなる(ステップS140)。これにより、図6に示すように、分電盤10と燃料電池40との接続が解除され、配電線L5が無電圧状態となる。
【0082】
これに伴って、燃料電池40は第二自立運転を開始する。当該燃料電池40は、配電線L6を介してパワコン23に直流電力を供給する。また、燃料電池40は、一定の電力650Wを継続して供給する。
【0083】
また、パワコン23は、制御部60からの指示により逆潮流不可運転を開始する(ステップS150)。図6に示す状態においては、負荷の消費電力500Wに対して、パワコン23からの電力650Wと、燃料電池40の発電に伴う系統電源Kからの電力50Wと、の合計700Wを分電盤10に供給可能な状態となっている。すなわち、図6においては、負荷の消費電力500Wに対して200Wの電力が余剰する状態となっている。このため、パワコン23は、蓄電池22に指示を出し、負荷の消費電力に対して余剰する200Wの電力を、燃料電池40から蓄電池22に充電させる。これにより、燃料電池40の発電電力を蓄電池22へ充電できると共に、当該発電電力が系統電源Kへ逆潮流するのを防止することができる。
【0084】
また、図6に示す状態において、燃料電池40は、パワコン23に直流電力を供給する。これによれば、燃料電池40の発電電力を変換(交流直流変換)しなくても蓄電池22に充電することができるため、燃料電池40からパワコン23に交流電力が供給される場合と比較して、電力の変換ロスを減らすことができる。
【0085】
なお、逆潮流不可運転を行っているパワコン23は、蓄電池22の充電を行っても依然として電力が余剰する場合に、燃料電池40の出力を絞る(配電線L6に出力される電力を減らす)制御を行う。これにより、燃料電池40の出力を抑制する。
【0086】
一方、逆潮流不可運転を行っているパワコン23は、燃料電池40の発電電力が負荷の消費電力に対して不足する場合に、蓄電池22に指示を出して蓄電池22の放電を行う。
【0087】
図7は、図6に示す状態から負荷の消費電力が増大したことに伴い、蓄電池22が放電した状態を示す図である。図7において負荷の消費電力は、500Wから1000Wへ増大している。燃料電池40は、650Wの電力をパワコン23へ供給している。図7に示す状態においては、負荷の消費電力1000Wに対して、パワコン23からの電力650Wと、燃料電池40の発電に伴う系統電源Kからの電力50Wと、を分電盤10に供給しても、依然として300Wの電力が不足する。このため、蓄電池22は、パワコン23からの指示により放電を開始して、不足している300Wの電力をパワコン23に供給する。これによって、燃料電池充電処理において蓄電池22も負荷の消費電力を賄うことができる。
【0088】
図8は、図7に示す状態から負荷の消費電力がさらに増大した状態、具体的には、1000Wから3000Wへ増大した状態を示す図である。上述の如く、本実施形態において、パワコン23は、太陽光発電部21が発電していない状態で燃料電池40が第二自立運転を行う場合に、配電線L1へ最大で2000Wの電力を出力することができる。このため、図8に示す状態において、分電盤10には、パワコン23を介して燃料電池40の発電電力650Wと、蓄電池22の放電電力1350Wと、の合計2000Wの電力が供給される。この場合、負荷の消費電力3000Wに対して1000Wの電力が不足するため、当該不足する電力1000Wが系統電源Kから分電盤10へ供給される。こうして、図8に示す状態においては、ステップS190で設定された閾値100W以上の買電が発生している。
【0089】
よって、図8に示す状態において、制御部60は、100W以上の買電が発生していると判断し(ステップS190:Yes)、リレー50をオンにする(ステップS200)。これにより、図9に示すように、分電盤10と燃料電池40とが接続され、配電線L5を電力が流通可能な状態となる。
【0090】
これに伴って、燃料電池40は、連系運転を開始する。当該燃料電池40は、配電線L5を介して分電盤10に交流電力を供給する。また、燃料電池40は、負荷追従運転により、700Wの電力(最大発電電力と同一の電力)を分電盤10に供給する。
【0091】
また、パワコン23には、蓄電池22から2000Wの電力(最大放電電力と同一の電力)が供給される。パワコン23は、蓄電池22からの電力2000Wを分電盤10へ供給する。
【0092】
このように、リレー50をオンにすることで(ステップS200)、燃料電池40からの発電電力700Wと、パワコン23からの電力2000Wと、の合計2700Wを分電盤10に供給することができる。これにより、蓄電池22及び燃料電池40から分電盤10へ供給する電力を、第二自立運転時(2000W、図8参照)よりも増やすことができる。このため、系統電源Kから購入する電力を減らすことができる。
【0093】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、系統電源Kと分電盤10との間に接続されるパワコン23(パワーコンディショナ)と、燃料が供給されて発電可能であると共に前記分電盤10を介して前記パワコン23と接続される燃料電池40と、太陽光を利用して発電可能であると共に前記パワコン23と接続される太陽光発電部21と、電力を充放電可能であると共に前記パワコン23と接続される蓄電池22と、停電時以外の通常時、かつ前記太陽光発電部21が発電していない場合において、前記燃料電池40の発電電力を、前記分電盤10を介さずに前記パワコン23へ流通可能とする制御部60と、を具備するものである。
【0094】
このように構成することにより、通常時に分電盤10を介することなく、燃料電池40からパワコン23へ電力を流通させることができる。これにより、パワコン23を介して燃料電池40の発電電力を蓄電池22へ簡単に充電可能となるため、簡単な構成で通常時に燃料電池40からの電力を蓄電池22に充電することができる。
【0095】
また、前記燃料電池40は、通常時、かつ前記太陽光発電部21が発電していない場合において、一定の電力を継続して出力する一定出力運転により、発電電力を前記パワコン23へ供給可能である(ステップS140)。
【0096】
このように構成することにより、負荷の消費電力が一定出力運転時の燃料電池40の発電電力よりも小さい場合に、燃料電池40の発電電力を余剰させることができる。このため、当該余剰電力を蓄電池22に充電すれば、系統電源Kから購入する電力を増やすことなく、燃料電池40の発電電力を蓄電池22に充電することができる。
【0097】
また、前記燃料電池40は、停電が発生した場合に、自立運転可能であり、前記制御部60は、通常時、かつ前記太陽光発電部21が発電していない場合において、前記燃料電池40を疑似的な停電状態とすることにより、前記自立運転による発電電力を前記パワコン23へ流通可能とするものである。
【0098】
このように構成することにより、燃料電池40の自立運転を利用して燃料電池40の発電電力を蓄電池22へ充電することができる。これによれば、より簡単な構成で通常時に燃料電池40からの電力を蓄電池22に充電することができる。
【0099】
また、前記パワコン23は、通常時、かつ前記太陽光発電部21が発電していない場合において、前記燃料電池40から供給される電力が系統電源K側へと流れるのを規制するものである(ステップS150)。
【0100】
このように構成することにより、燃料電池40の発電電力が系統電源Kへ流れるのを抑制することができる。
【0101】
また、前記制御部60は、前記分電盤10を介さずに前記燃料電池40の発電電力を前記パワコン23へ流通可能な状態において、系統電源Kから前記負荷へ供給される電力が所定の閾値を超えた場合に(ステップS190:Yes)、前記パワコン23へ流通可能な状態から流通不能な状態へ切り替えるものである(ステップS200)。
【0102】
このように構成することにより、系統電源Kからの電力が増え(閾値を超え)、蓄電池22を放電させることが望ましい状態において、燃料電池40からパワコン23への電力供給(分電盤10を介さない電力供給)を停止することができる。これにより、燃料電池40の発電電力を蓄電池22へ充電することを、適切なタイミングで停止することができる。
【0103】
なお、本実施形態に係るパワコン23は、本発明に係るパワーコンディショナの実施の一形態である。
【0104】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0105】
例えば、電力供給システム1は、住宅に適用されるものとしたが、これに限定されるものではなく、オフィス等に適用されるものであってもよい。
【0106】
また、本実施形態において太陽光発電部21、蓄電池22及び燃料電池40の台数は、全て1台であるものとしたが、これに限定されるものではなく、2つ以上の任意の台数とすることができる。
【0107】
また、燃料電池40は、固体高分子形燃料電池(PEFC)に限定するものではなく、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)等、種々の方式のものを用いることが可能である。
【0108】
また、燃料電池40は、第二自立運転時に太陽光発電部21及び蓄電池22とパワコン23とを接続する電路とは異なる配電線L6を介して、パワコン23と接続されるものとしたが、第二自立運転時におけるパワコン23との接続態様はこれに限定されるものではない。図10は、第二自立運転時におけるパワコン23と燃料電池40との接続態様の変形例を示すものである。変形例において、燃料電池40は、第二自立運転時に太陽光発電部21とパワコン23とを接続する電路(配電線L21)を利用して、パワコン23と接続される。以下では、変形例の構成について説明する。
【0109】
太陽光発電部21は、太陽光によって発電可能な複数のストリング21a~21cを有している。当該複数のストリング21a~21cは、複数の配電線L21~L23を介してパワコン23とそれぞれ接続される。燃料電池40は、配電線L16を介して、前記配電線L23~L23のうち、1つのストリング21aとパワコン23とを接続する配電線L21と接続される。また、変形例において電力供給システム101は、配電線L16・L21が接続される部分に設置される切替盤170を具備する。切替盤170は、リレー(不図示)を具備し、配電線L21を介したストリング21aとパワコン23との接続及び接続解除と、配電線L16・L21を介した燃料電池40とパワコン23との接続及び接続解除と、を切り替えることができる。
【0110】
変形例において切替盤170は、通常時において燃料電池40が連系運転を行う場合に、配電線L21を介してストリング21aとパワコン23とを接続すると共に、配電線L16・L21を介した燃料電池40とパワコン23との接続を解除する。また、図11に示すように、切替盤170は、燃料電池40が第二自立運転を行う場合に、配電線L21を介したストリング21aとパワコン23との接続を解除すると共に、配電線L16・L21を介して燃料電池40とパワコン23とを接続する。変形例によれば、ストリング21aからパワコン23への入力部を利用して、燃料電池40をパワコン23と接続することができる。
【0111】
また、本実施形態では、制御部60が燃料電池充電処理を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、パワコン23等が燃料電池充電処理を行ってもよい。
【0112】
また、燃料電池充電処理において燃料電池40が第二自立運転を行う場合、蓄電池22が満充電であれば(ステップS170:Yes)、当該第二自立運転を終了させるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第二自立運転を継続させてもよい。
【0113】
図12は、蓄電池22が満充電であっても第二自立運転を継続させた場合の具体例を示す図である。より詳細には、図12は、図6に示す状態(200Wの電力を蓄電池22に充電している状態)から蓄電池22が満充電となった場合に、第二自立運転を継続させた状態を示す図である。当該図12において、仮に、燃料電池40が650Wの電力を発電すると、当該発電電力650W及び系統電源Kからの電力50Wの合計700Wの電力のうち、200Wの電力が負荷の消費電力500Wに対して余剰してしまう。そこで、パワコン23は、燃料電池40の出力を絞っていく。当該燃料電池40は、パワコン23へ供給する電力を650Wから450Wへ減少させる。これによって、燃料電池40の発電電力が系統電源Kへ逆潮流するのを防止することができる。
【0114】
また、燃料電池充電処理において燃料電池40が第二自立運転を行う場合、パワコン23は、逆潮流不可運転を行うものとしたが(ステップS150)、これに限定されるものではなく、例えば、逆潮流可運転を行ってもよい。この場合、パワコン23は、負荷の消費電力に対して燃料電池40の発電電力が余剰すると、当該余剰電力を蓄電池22に充電する。また、パワコン23は、負荷の消費電力及び蓄電池22の充電電力に対して燃料電池40の発電電力が余剰しても、燃料電池40の出力の抑制は行わない。こうして、燃料電池40は、第二自立運転において、常に一定の電力を継続して発電することとなる。
【0115】
また、ステップS190における閾値は、燃料電池40の発電時に購入が義務付けられている電力(50W)よりも大きい値(100W)であるものとしたが、第二自立運転時に買電電力が増大しているか否かを判断可能な値であれば、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態のように燃料電池40の発電時に50Wの購入が義務付けられている場合、第二自立運転時には、負荷の消費電力の大きさにかかわらず、少なくとも50Wの買電が発生することとなる。よって、この場合、買電電力が増大しているか否かを判断可能な値は、50W(購入が義務付けられた電力)以上の任意の値となる。
【符号の説明】
【0116】
1 電力供給システム
10 分電盤
21 太陽光発電部
40 燃料電池
22 蓄電池
23 パワコン(パワーコンディショナ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12