(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】反応装置の触媒挿脱方法
(51)【国際特許分類】
B01J 8/06 20060101AFI20240209BHJP
C01B 3/38 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B01J8/06 301
C01B3/38
(21)【出願番号】P 2020052482
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】池田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】中神 翔
(72)【発明者】
【氏名】松尾 日向子
(72)【発明者】
【氏名】平中 幸男
(72)【発明者】
【氏名】森 理嗣
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530919(JP,A)
【文献】特開平09-309702(JP,A)
【文献】特開2019-177310(JP,A)
【文献】特開2007-268373(JP,A)
【文献】特表昭63-503353(JP,A)
【文献】特開昭52-021264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00-8/46
C01B 3/00-6/34
B01J 21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部が閉塞された外管の内部に底部が開口された内管が配置され且つ前記外管と前記内管との間に触媒が支持された反応管と、前記外管の外面を加熱する燃焼部とが設けられ、
前記反応管が、炉体の上壁部を貫通する状態で前記上壁部に支持された反応装置の触媒挿脱方法であって、
前記触媒の挿通用口部が前記反応管の上部に開閉自在に設けられ、
前記挿通用口部を通して前記触媒を供給するとき又は抜出すときに、前記内管の内部に挿入した加振用棒状体にて前記内管を振動させる反応装置の触媒挿脱方法。
【請求項2】
前記内管の内部を上下に貫通する状態で装着されている温度計測用筒体を取り外して、前記加振用棒状体を挿入する請求項1に記載の反応装置の触媒挿脱方法。
【請求項3】
前記内管の内部に、前記加振用棒状体が接当する被加振体が径方向内方側に突出する姿勢で設けられている請求項1又は2に記載の反応装置の触媒挿脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部が閉塞された外管の内部に底部が開口された内管が配置され且つ前記外管と前記内管との間に触媒が支持された反応管と、前記外管の外面を加熱する燃焼部とが設けられ、
前記反応管が、炉体の上壁部を貫通する状態で前記上壁部に支持された反応装置の触媒挿脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる反応装置は、天然ガスやナフサ等の炭化水素系ガスである原料ガスを、水蒸気を混合させた状態で、反応管における外管と内管との間に供給することにより、水蒸気改質処理により水素成分が多い改質ガスに改質する等、原料ガスを反応処理するために使用されることになる。
【0003】
かかる反応装置の従来例として、反応管の上端側に設けたフランジ部が炉体の上壁部に載置支持された状態で、反応管が炉体の上壁部を貫通する状態で上壁部に支持されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には記載が省略されているが、反応装置においては、触媒の挿通用口部が反応管の上部に設けられ、その挿通用口部を通して充填されている触媒を抜出すことや、挿通用口部を通して触媒を供給して充填する、触媒の挿脱が行われることになる。
つまり、反応管に充填されている触媒が劣化した場合には、触媒を新たな触媒に交換することになり、そのために、挿通用口部を通して充填されている触媒を抜出すことや、挿通用口部を通して触媒を供給して充填することが行われることになる。
【0006】
触媒を交換する際には、一般に、反応管を炉体から取り外し、先ず、吸引用ホースにて吸引する等により、挿通用口部を通して充填されている触媒を抜出すことになる。そのときには、外管の外面をハンマー等にて叩いて振動を与えて、ブリッジを組んだ状態となっている触媒を解すようにすれば、触媒の抜出しを良好に行える。
次に、供給用ホースにて挿通用口部を通して触媒を供給する等、挿通用口部を通して触媒を供給することになり、そのときには、外管の外面をハンマー等にて叩いて振動を与えて、触媒を適切な充填状態に充填させることになる。
【0007】
触媒を新たな触媒に交換する際に、反応管を炉体から取り外すことは面倒な作業であるため、反応管を炉体に装着した状態のままで、触媒を新たな触媒に交換できるようにすることが望まれる。
反応管が炉体に装着されている状態で、挿通用口部を通して充填されている触媒を抜出すことは、吸引用ホースにて吸引する等により、挿通用口部を通して充填されている触媒を抜出すことになるが、触媒がブリッジ組んだ状態で存在する等により、触媒の抜出しを良好に行えない虞がある。
【0008】
また、反応管が炉体に装着されていると、挿通用口部を通して触媒を供給して充填する際に、外管の外面をハンマー等にて叩いて振動を与えることができないため、触媒を適切な充填状態に充填させることができないものとなる。
したがって、従来では、触媒を交換する際には、反応管を炉体から取り外すようにしていたため、触媒を新たな触媒に交換する作業が面倒な作業となるものであった。
【0009】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、反応管を炉体に装着している状態で、触媒の抜出しを良好に行える又は触媒を適切な充填状態に充填させることができる反応装置の触媒挿脱方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、底部が閉塞された外管の内部に底部が開口された内管が配置され且つ前記外管と前記内管との間に触媒が支持された反応管と、前記外管の外面を加熱する燃焼部とが設けられ、
前記反応管が、炉体の上壁部を貫通する状態で前記上壁部に支持された反応装置の触媒挿脱方法であって、その特徴構成は、
前記触媒の挿通用口部が前記反応管の上部に設けられ、
前記挿通用口部を通して前記触媒を供給するとき又は抜出すときに、前記内管の内部に挿入した加振用棒状体にて前記内管を振動させる点にある。
【0011】
すなわち、挿通用口部を通して触媒を供給するとき又は抜出すときには、加振用棒状体を内管の内部に挿入する。
そして、挿通用口部を通して触媒を供給するとき又は抜出すときに、内管の内部に挿入した加振用棒状体を内管に接触させて、内管に振動を与えることにより、反応管を振動させて、触媒を内管と外管との間に適切に充填するようにする又はブリッジを組んだ状態となっている触媒を解すようにして、触媒の抜出しを良好に行えるようにする。
【0012】
つまり、反応管が炉体の上壁部に装着された状態においては、反応管の外管をハンマー等にて叩くことはできないものの、本発明者は、加振用棒状体を内管の内部に挿入して、挿入した加振用棒状体にて内管に振動を与えることにより、反応管を振動させて、ブリッジを組んだ状態となっている触媒を解すようにして、触媒の抜出しを良好に行えることや、触媒を内管と外管との間に適切に充填できることを見出すに至ったのである。
【0013】
このように、反応管が炉体の上壁部に装着された状態においても、挿通用口部を通して触媒を抜出すことを良好に行える又は挿通用口部を通して触媒を供給して充填することを適切に行えるものであるから、反応管を炉体の上壁部に装着した状態で、触媒を新たな触媒に交換する作業を良好に行えるものとなる。
【0014】
要するに、本発明の反応装置の触媒装填方法の特徴構成によれば、反応管を炉体に装着している状態で、触媒の抜出しを良好に行える又は触媒を適切な充填状態に充填させることができる。
【0015】
本発明の反応装置の触媒装填方法の更なる特徴構成は、前記内管の内部を上下に貫通する状態で装着されている温度計測用筒体を取り外して、前記加振用棒状体を挿入する点を特徴とする。
【0016】
すなわち、内管の内部を上下に貫通する状態で装着されている温度計測用筒体を取り外して、加振用棒状体を挿入するものであるから、加振用棒状体の挿入作業を良好に行え、結果的に、反応管を適切に振動させて、触媒の抜出しを良好に行える又は触媒を内管と外管との間に適切に装填できる。
【0017】
つまり、外管の内部の底部側部分の温度を計測するために、内管の内部を上下に貫通する状態で温度計測用筒体が装着されている。
このような場合、温度計測用筒体が装着されている状態のままで、加振用棒状体を挿入しようとすると、温度計測用筒体が邪魔になって加振用棒状体を挿入し難いものとなり、しかも、温度計測用筒体が邪魔になって加振用棒状体にて内管に対して振動を与え難い等のトラブルを発生する虞がある。
【0018】
これに対して、温度計測用筒体を取り外して、加振用棒状体を挿入するものであるから、加振用棒状体の挿入を良好に行え、しかも、加振用棒状体にて内管に対して振動を与えることを良好に行えることになる。
【0019】
要するに、本発明の反応装置の充填方法の更なる特徴構成によれば、加振用棒状体の挿入を良好に行え、しかも、加振用棒状体にて内管に対して振動を与えることを良好に行える。
【0020】
本発明の反応装置の触媒装填方法の更なる特徴構成は、前記内管の内部に、前記加振用棒状体が接当する被加振体が径方向内方側に突出する姿勢で設けられている点にある。
【0021】
すなわち、加振用棒状体が接当する被加振体が径方向内方側に突出する姿勢で内管の内部に設けられているから、加振用棒状体を被加振体に接触させて振動を与えることにより、内管を振動させることができるため、内管を振動させ易いものとなる。
【0022】
つまり、被加振体が無い場合には、内管の中央部に位置する加振用棒状体を大きく移動させるようにしながら、内管に接触させることになる等、加振用棒状体の扱いが面倒となる虞がある。
これに対して、被加振体がある場合には、内管の中央部に位置する加振用棒状体を少し移動させるだけで、加振用棒状体を被加振体に接触させることができる等、加振用棒状体の扱いが容易となる。
【0023】
要するに、本発明の反応装置の充填方法の更なる特徴構成によれば、加振用棒状体の扱いの容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】触媒の充填作業状態を示す一部省略縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(改質装置の全体構成)
図1に示すように、反応装置の一例としての改質装置には、天然ガスやナフサ等の炭化水素系ガスである原料ガスGを水蒸気改質処理により水素成分が多い改質ガスKに改質する改質反応用の反応管A、及び、当該反応管Aを改質反応用温度に加熱する燃焼部としてのバーナ1が、改質炉2(炉体の一例)に備えられている。
【0026】
例示する改質装置は、反応管Aが、改質炉2の上壁部としての上壁2uを貫通する状態で当該上壁2uに支持され、一対のバーナ1が、改質炉2の左右の側壁2sの夫々に設けられている。
バーナ1の燃焼ガスは、反応管Aを加熱した後、改質炉2の排ガス出口2dから排出されるように構成されている。
【0027】
反応管Aは、
図2に示すように、底部が閉塞された外管3と、当該外管3の内部に配置される内管4とを備え、内管4が、底部を開口する状態に形成され、外管3と内管4との間に、粒状の触媒Sが、充填部を形成する状態で配置されている。
外管3の上端側部分が、改質炉2の上壁2uを貫通する状態でかつフランジ部Afを当該上壁2uに載置させた状態で、当該上壁2uに支持され、内管4の上端側部分が、外管3の管上壁3uを貫通する状態で、当該管上壁3uに支持されている。
【0028】
外管3と内管4との間には、触媒Sを受止め支持する多孔状の触媒支持部Tが設けられている。
触媒支持部Tは、外管3の底部側に向けて外管3と内管4との間を通して流動する改質ガスK(処理ガスの一例)を通流させる通流孔Uを備える状態に形成され、そして、内管4の下端部に支持されている。
ちなみに、
図2においては、触媒支持部Tとして、通流孔Uが全体に亘って形成されている多孔板状の形態を例示するが、例えば、通流孔Uが周方向に沿って一列状に並ぶ状態に形成された板状の形態に構成する等、触媒支持部Tとしては、触媒Sを受止め且つ改質ガスKを通流させる通流孔Uを備える形態であれば、各種の形態に構成できる。
【0029】
本実施形態においては、内管4が、外内管4aと内内管4bとを備える二重管として構成され、外内管4aと外管3との間に触媒Sが充填されている。
また、触媒支持部Tが、外内管4aの底部に支持されている。
【0030】
外管3における改質炉2の上壁2uから突出する部分には、水蒸気が混合された原料ガスGを導入する原料ガス管5が接続され、内管4における外管3の管上壁3uから突出する部分には、改質ガスKを案内する改質ガス案内管6が接続されている。
【0031】
つまり、水蒸気が混合された原料ガスGが、原料ガス管5から外管3と外内管4aとの間に供給されて、外管3と外内管4aとの間の触媒Sの充填部を通して下方に向けて流動することにより、水蒸気改質処理により水素成分が多い改質ガスKに改質処理される。そして、当該改質ガスKが、触媒支持部Tを通して外管3の底部側に流動し、その後、外内管4aと内内管4bとの間を通して上部側に流動した後、改質ガス案内管6を通して排出されることになる。
ちなみに、改質ガスKを外内管4aと内内管4bとの間を通して上部側に流動させる構成により、外管3と外内管4aとの間に充填されている触媒Sを改質ガスKにて加熱する熱交換部が構成される。
【0032】
尚、改質ガス案内管6を通して排出される改質ガスKは、詳細な説明は省略するが、CO変成器に搬送されて、改質ガスKに含まれている一酸化炭素をCO変成器にて二酸化炭素に変成処理した後、例えば、圧力変動吸着装置(PSA)に供給されて、水素成分が高い製品ガスに精製されることになる。
【0033】
(温度制御について)
図2に示すように、温度計測用筒体8が、内管4の内部を上下に貫通する状態(本実施形態では、内内管4bの内部を上下に貫通する状態で)装着されている。
つまり、内管4の上壁部4uに延長筒部9が上方に向けて突出する形態で設けられ、当該延長筒部9の上端に連結用フランジ9Aが設けられている。
そして、温度計測用筒体8をスウェッジロック接手等により保持する筒体側フランジ8Aが、連結用フランジ9Aに対して着脱自在にボルト連結されている。
【0034】
温度計測用筒体8が、その下端部を外管3の底部に隣接させる状態となるように挿入され、その下端部の内部には、図示は省略するが、温度計測用素子(例えば、熱電対)が装着されている。つまり、温度計測用筒体8によって、外管3の内部の底部側部分の温度を計測するように構成されている。
【0035】
図1に示すように、バーナ1に対して燃料ガスを供給する燃料ガス供給部10による燃料ガスの供給量及びバーナ1に対して燃焼用空気を供給する空気供給部11による燃焼用空気量を調整して、バーナ1の燃焼量を制御する運転制御部Hが設けられている。
そして、運転制御部Hが、改質ガスKを生成する運転状態において、温度計測用筒体8によって計測された計測温度に基づいて、外管3の底部側の温度を目標温度(例えば、800℃)に維持すべく、燃料ガス供給部10による燃料ガスの供給量及び空気供給部11による燃焼用空気量を調整するように構成されている。
【0036】
(触媒の交換について)
反応管Aに充填されている触媒Sが劣化した場合には、触媒Sを新たな触媒Sに交換する交換作業が行われる。
すなわち、
図2に示すように、触媒Sの挿通用口部12が、反応管Aにおける外管3の管上壁3uに形成され、触媒Sを充填した状態においては、閉塞用ボルト等の閉塞具13が、着脱自在に挿通用口部12に装着されている。
ちなみに、本実施形態においては、挿通用口部12が左右一対形成される場合を例示するが、挿通用口部12の形成する個数は各種変更できる。
【0037】
触媒Sの交換作業を行う場合には、
図3に示すように、挿抜用のアダプタ14を挿通用口部12に装着する。
そして、図示は省略するが、触媒Sを抜出す際には、挿抜用のアダプタ14に吸引用ホースを接続する、あるいは、挿抜用のアダプタ14を通して吸引用ホースを反応管Aの内部に挿入して、外内管4aと外管3との間に充填されている触媒Sを抜出す。
【0038】
また、触媒Sを充填する際には、
図3に示すように、挿抜用のアダプタ14に供給用ホース15を接続し、当該供給用ホース15を通して、外内管4aと外管3との間に触媒Sを供給することになる。
そして、外内管4aと外管3との間に充填されている触媒Sを抜出すときや、外内管4aと外管3との間に触媒Sを供給するときには、内管4の内部に挿入した加振用棒状体Bを内管4に接触させて、内管4に振動を与えることにより、反応管Aを振動させて、触媒Sの抜出しを良好に行えるようにし、また、触媒Sを内管4と外管3との間に適切な充填状態となるように充填することになる。
【0039】
説明を加えると、触媒Sを抜出す抜出し作業や触媒Sを充填する充填作業を開始する際には、
図3に示すように、予め、加振用棒状体Bを、内管4の内部(本実施形態では、内内管4bの内部)を上下に貫通する状態で装着する。
本実施形態においては、加振用棒状体Bを装着する際には、筒体側フランジ8Aと連結用フランジ9Aとの連結を外して、内管4の内部(本実施形態では、内内管4bの内部)を上下に貫通する状態で装着されている温度計測用筒体8を取り外して、加振用棒状体Bを、内管4の内部(本実施形態では、内内管4bの内部)に上下に貫通する状態で装着する。
【0040】
加振用棒状体Bは、軽便バイブレータと呼称されるものであって、連結用フランジ9Aの上部に位置する本体部Bhと、内管4の内部(本実施形態では、内内管4bの内部)に挿入される棒状の振動部Bsとを備える形態に構成されている。
そして、詳細な説明は省略するが、本体部Bhに備える操作スイッチを入切操作することにより、棒状の振動部Bsを振動作用させる状態と停止状態とに切換え自在に構成されている。
【0041】
また、内管4の内部(本実施形態では、内内管4bの内部)に、加振用棒状体Bが接当する被加振体16が径方向内方側に突出する姿勢で設けられている。
本実施形態においては、被加振体16が、環状の突起体として構成され、そして、反応管Aの長手方向に沿って、上下2箇所設けられている。
【0042】
したがって、外内管4aと外管3との間に充填されている触媒Sを抜出すときや、外内管4aと外管3との間に触媒Sを供給するときに、内管4の内部に挿入した加振用棒状体Bを被加振体16に接触させて、内管4に振動を与えることにより、反応管Aを振動させて、触媒Sの抜出しを良好に行えるようにし、また、触媒Sを内管4と外管3との間に適切な充填状態となるように充填できるように構成されている。
ちなみに、
図3においては、棒状の振動部Bsが被加振体16に接触していない状態を例示するが、反応管Aを振動させる際には、棒状の振動部Bsを被加振体16に接触させるようにすることになる。
【0043】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態においては、反応管Aとして、原料ガスGを水蒸気改質処理する改質装置に装備するものを例示したが、本発明は、種々の用途に使用される反応装置に装備される各種の反応管Aに適用できる。
【0044】
(2)上記実施形態においては、反応管Aの外管3の上端側が、改質炉2の上壁2uに支持され、内管4の上端側が外管3の管上壁3uに支持される場合を例示したが、例えば、内管4の上端側と外管3の上端側とを、別々に改質炉2の上壁2uに支持する等、外管3の上端側や内管4の上端側を支持する具体構成は種々変更できる。
【0045】
(3)上記実施形態においては、内管4を外内管4aと内内管4bとを備える二重管として構成する場合を例示したが、内管4を外内管4aのみを備える形態で実施してもよい。
この場合には、触媒支持部Tを通して外管3の底部側に流動した改質ガスKが、内管4の内部を通して上部側に流動した後、改質ガス案内管6を通して排出されることになる。
【0046】
(4)上記実施形態では、内管4の内部に温度計測用筒体8が装備される場合を例示したが、温度計測用筒体8が装備されない場合においても、本発明を適用できる。
【0047】
(5)上記実施形態では、被加振体16が内管4の内部に装着される場合を例示したが、被加振体16を設けないようして、加振用棒状体Bを内管4に対して直接接触させる形態で実施してもよい。
【0048】
(6)上記実施形態では、被加振体16が、環状の突起体として構成される場合を例示したが、被加振体16としては、板状体を、反応管Aの長手方向に沿う姿勢で、周方向に沿って適当角度ごと(例えば、120度ごと)に設けるようにする等、被加振体16の具体構成は各種変更できる。
【0049】
(7)本発明の反応装置の触媒挿脱方法は、触媒Sを交換する際において新たな触媒Sを充填する際に有効に利用できるものであるが、触媒Sが充填されていない反応管Aを改質炉2(炉体)に装着して、この反応管Aに対して触媒Sを充填する際にも利用できるものである。
つまり、本発明の反応装置の触媒挿脱方法は、挿通用口部挿通用口部12を通して触媒Sを供給するとき又は抜出すときのいずれかに利用できるものである。
【0050】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 燃焼部
3 外管
4 内管
8 温度計測用筒体
12 挿通用口部
16 被加振体
A 反応管
B 加振用棒状体
S 触媒