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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】連結器および台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
B62B5/00 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020064388
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160564
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】関原 弦
(72)【発明者】
【氏名】千葉 拓史
(72)【発明者】
【氏名】唐 力
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150691(JP,A)
【文献】特開2019-214322(JP,A)
【文献】特開平10-198426(JP,A)
【文献】特開2021-117738(JP,A)
【文献】特開2019-059460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車の下方部に設置され、自動搬送ロボットと連結する連結器であって、
前記連結器は、
基材と、
前記基材に設けられた円状の第1溝部と、
前記基材に設けられた少なくとも4つの凹部と、を含み、
前記4つの凹部は、前記第1溝部の底面に設けられ、
前記4つの凹部は、正方形の4つの頂点に対応する位置に設けられている連結器。
【請求項2】
前記第1溝部と交差する十字状の第2溝部を含み、
前記4つの凹部の各々は、前記第1溝部と前記第2溝部との交差点に設けられている請求項に記載の連結器。
【請求項3】
前記第2溝部の端部は、前記基材の辺部に設けられている請求項に記載の連結器。
【請求項4】
前記第2溝部の端部は、前記基材の角部に設けられている請求項に記載の連結器。
【請求項5】
前記第2溝部の端部は、前記基材の円周部に設けられている請求項に記載の連結器。
【請求項6】
台車の下方部に設置され、自動搬送ロボットと連結する連結器であって、
前記連結器は、
基材と、
前記基材に設けられた円状の第1溝部と、
前記基材に設けられ、前記第1溝部と交差する2本の直線状の第2溝部と、
前記基材に設けられた少なくとも4つの凹部と、を含み、
前記4つの凹部のうちの2つの凹部は、前記第1溝部の底面に設けられ、
前記4つの凹部のうちのもう2つの凹部は、前記第1溝部と前記第2溝部との交差点に設けられ、
前記4つの凹部は、正方形の4つの頂点に対応する位置に設けられている連結器。
【請求項7】
前記第2溝部の端部は、前記基材の対向する2つの辺部に設けられている請求項に記載の連結器。
【請求項8】
前記基材の端面に向かって、前記第2溝部の幅が大きくなる請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の連結器。
【請求項9】
前記基材の端面に向かって、前記第2溝部の底面が傾斜する請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の連結器。
【請求項10】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載された連結器が設置された台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場の資材の搬送に関連し、台車の下方部に設置される連結器、および連結器が設置された台車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)の技術開発が進み、さまざまな場面でAGVが利用され始めている。例えば、商品が保管された倉庫でAGVを利用すれば、多種多様な商品を自動で搬送することが可能となる。そのため、作業効率が向上し、コストを削減することができる。このようなAGVとしては、AGVが台車の下に潜り込み、AGVが台車を持ち上げて搬送する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-59460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、AGVが台車を持ち上げるためにはパワーを必要するため、AGVが大型化する。また、建設現場の資材は重量が大きなものが多く、このような資材を積載した台車を持ち上げるためには、さらなるパワーを必要とし、AGVはさらに大型化してしまう。
【0005】
一方、建設現場においては、資材等が床面上に置いてあることも多く、AGVが走行できる経路および幅が限られる。また、大型化したAGVは、回転半径が大きいため、方向転換をするための広い場所が必要になるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、台車の下方部の自動搬送ロボットの回転に合わせて台車の搬送方向を変更することができる連結器、および連結器が設置された台車を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る連結器は、台車の下方部に設置され、自動搬送ロボットと連結する連結器であって、連結器は、基材と、基材に設けられた少なくとも4つの凹部を含み、4つの凹部は、正方形の4つの頂点に対応する位置に設けられている。
【0008】
円状の第1溝部を含み、4つの凹部は、第1溝部の底面に設けられていてもよい。
【0009】
第1溝部と交差する十字状の第2溝部を含み、4つの凹部の各々は、第1溝部と第2溝部との交差点に設けられていてもよい。
【0010】
第2溝部の端部は、基材の辺部に設けられていてもよい。
【0011】
第2溝部の端部は、基材の角部に設けられていてもよい。
【0012】
第2溝部の端部は、基材の円周部に設けられていてもよい。
【0013】
円状の第1溝部と、第1溝部と交差する2本の直線状の第2溝部と、を含み、4つの凹部のうちの2つの凹部は、第1溝部の底面に設けられ、4つの凹部のうちのもう2つの凹部は、第1溝部と第2溝部との交差点に設けられていてもよい。
【0014】
第2溝部の端部は、基材の対向する2つの辺部に設けられていてもよい。
【0015】
基材の端面に向かって、第2溝部の幅が大きくなってもよい。
【0016】
基材の端面に向かって、第2溝部の底面が傾斜してもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る台車は、上記連結器が設置される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の連結器は、台車の下方部に容易に設置することができ、台車を回転させることなく、台車の下方部で自動搬送ロボットを回転させ、台車の搬送方向を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る連結器の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る連結器の平面図および断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る連結器の平面図および断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る連結器の平面図および断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る連結器の平面図および断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る台車の模式図である。
図7】本発明の一実施形態に係る自動搬送ロボットの模式図である。
図8】本発明の一実施形態に係る自動搬送ロボットに設置される連結ピンの模式図である。
図9】本発明の一実施形態に係る連結器と、連結器と連結する連結ピンとを説明する模式図である。
図10】本発明の一実施形態に係る台車と自動搬送ロボットとを連結し、自動搬送ロボットによる台車の搬送を説明する模式図である。
図11】本発明の一実施形態に係る連結器と、連結器100Dとを連結する連結ピンを有する自動搬送ロボットを説明する模式図である。
図12】本発明の一実施形態に係る自動搬送システムを利用した建設現場の模式図である。
図13】本発明の一実施形態に係る自動搬送システムを利用するにあたり、自動搬送用フロア地図の生成について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0021】
本発明細書において、説明の便宜上、「上」、「上方」、または「上方部」もしくは「下」、「下方」、または「下方部」という語句を用いて説明するが、各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物(例えば、台車または自動搬送ロボットなど)の構成の位置関係を説明する場合、構造物の通常使用する態様を基準とし、構造物が設置される面側(例えば、床面側)を「下」、「下方」、または「下方部」とすることがある。
【0022】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、「第3」、「第4」の文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0023】
本明細書および図面において、同一又は類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これら複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字又は小文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、一つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0024】
本明細書において、「自動搬送車(AGV)」とは、指示に基づいて所定の場所まで自動走行することができる車両をいう。指示は、統括システムからの指示であってもよく、作業者からの指示であってもよい。なお、「自動搬送車」は、自動搬送ロボットを含む。
【0025】
本明細書において、「自動搬送ロボット」とは、台車と連結し、指示された所定の場所まで台車を搬送しながら自動走行することができるロボットをいう。なお、ロボットは車両を含む。
【0026】
本明細書において、「台車」とは、資材などを積載してキャスターを利用して移動することができるものをいう。
【0027】
本明細書において、「自動走行」とは、統括システムからの指示による走行だけでなく、自動搬送車が具備する制御装置による自律走行を含む。自律走行には、自動搬送車が所定の経路に沿って目的地に向かう走行だけでなく、目標物を追従した走行も含まれる。
【0028】
本明細書において、「統括システム」とは、自動搬送車を制御するとともに、自動搬送車が走行する建造物を制御し、自動搬送車および建造物と通信接続して自動搬送車および建造物を管理するシステムをいう。「統括システム」は、制御部、受信部、送信部、または記憶部などを含み、例えば、コンピュータである。
【0029】
本明細書において、「レーザーセンサー」とは、赤外線または可視光のレーザーを照射し、構造物からの反射光を検出することができるセンサーをいう。「レーザーセンサー」のレーザーは、走査することができるものであってもよく、「レーザーセンサー」はレーザーレンジファインダーを含む。
【0030】
<第1実施形態>
図1図10を参照して、本発明の一実施形態に係る連結器100、台車10、および自動搬送ロボット20について説明する。
【0031】
[1.連結器100]
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る連結器100について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る連結器100の斜視図である。具体的には、図1(A)は、連結器100の第1面100-1側から見た斜視図であり、図1(B)は、連結器100の第2面100-2側から見た斜視図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る連結器100の平面図および断面図である。具体的には、図2(A)は、連結器100の第1面100-1側の平面図であり、図2(B)は、図2(A)に示すA-A’線で切断した連結器100の断面図であり、図2(C)は、図2(A)に示すB-B’線で切断した連結器100の断面図である。
【0032】
図1に示すように、連結器100は、基材110、溝部120、および凹部130を含む。連結器100の第1面100-1側では、基材110に溝部120が設けられている。一方、連結器100の第2面100-2側は、台車10に設置される側であるため、第2面100-2側の基材110は、平坦面を有していることが好ましい。また、溝部120の底面には、溝部120の底面から窪んだ凹部130が設けられている。
【0033】
基材110の形状は、図2(A)に示すような正方形であるが、これに限られない。基材110の形状は、長方形であってもよい。基材110は、金型などによって溝部120および凹部130が一体的に形成されてもよく、複数の平板を重ねて溝部120および凹部130が形成されてもよい。
【0034】
図2(A)~図2(C)に示すように、溝部120の形状は、円状の第1溝部120-1および十字状の第2溝部120-2を含む。第1溝部120-1の中心と第2溝部120-2の中心とは一致し、第1溝部120-1と第2溝部120-2とは交差している。具体的には、第1溝部120-1と第2溝部120-2とは、4点で交差している。
【0035】
溝部120の幅は、特に限定されないが、後述する連結ピン200の凸部210(図8参照)の径が考慮されることが好ましい。詳細は後述するが、溝部120は、自動搬送ロボット20が移動(または回転)するときの凸部210の移動経路となり得る。そのため、溝部120の幅が、凸部210の径に比べて大きすぎると、自動搬送ロボット20が移動(または回転)したときに、凹部130の位置が特定できなくなる可能性がある。そのため、溝部120の幅は、凸部210の径よりもわずかに大きいことが好ましい。
【0036】
第2溝部120-2の端部は開口されている。基材110が図2(A)に示すような矩形である場合、第2溝部120-2の端部は、基材110の辺部に設けられていてもよい。言い換えると、第2溝部120-2への入口(または出口)が基材110の辺部に設けられているということもできる。
【0037】
また、第2溝部120-2の端部の幅は、第2溝部120-2の中心近傍の幅よりも大きくてもよい。言い換えると、第2溝部120-2の幅は、基材110の端面に向かって大きくなるように設けられていてもよい。詳細は後述するが、第2溝部120-2の端部は、連結ピン200の凸部210が最初に通過する部分である。第2溝部120-2の幅が凹部130に向かって小さくなることで、第2溝部120-2が凸部210のガイドとなるため、凸部210を凹部130の位置まで導きやすくなる。
【0038】
溝部120の深さは、特に限定されないが、後述する連結ピン200の凸部210(図8参照)の高さよりも大きいことが好ましい。
【0039】
凹部130は、第1溝部120-1と第2溝部120-2との交差点に設けられている。すなわち、連結器100は、少なくとも4つの凹部130を有する。また、凹部130は、第1溝部120-1の円周に沿って設けられているということもできる。さらに、4つの凹部130は、正方形Sの4つの頂点に対応する位置に設けられているということもできる。
【0040】
凹部130の形状は、図2(A)に示すような円形であるが、これに限られない。凹部130は、後述する連結ピン200の凸部210(図8参照)と嵌合するため、凹部130の形状は、凸部210の形状に合わせることができる。凹部130の形状は、例えば、矩形などの多角形とすることもできる。なお、4つの凹部130の形状は、第1溝部120-1の中心を対称点とする点対称となるように設けられている。
【0041】
凹部130の径は、特に限定されないが、凹部130は、連結ピン200の凸部210(図8参照)と嵌合するため、凸部210の径が考慮されることが好ましい。凹部130の径が、凸部210の径に比べて大きすぎると、自動搬送ロボット20による台車10の搬送が安定しない可能性がある。そのため、凹部130の径は、凸部210の径よりもわずかに大きいことが好ましい。
【0042】
凹部130の深さは、特に限定されないが、後述する連結ピン200の昇降部220(図8参照)の昇降距離の範囲内であることが好ましい。凹部130の深さが昇降部220の昇降距離の範囲内であると、凹部130と凸部210とが嵌合したときに、凹部130の底面が凸部210の上面によって押された状態となり、凹部130と凸部210との嵌合状態が安定する。
【0043】
以上、本実施形態に係る連結器100は、溝部120および凹部130の2つの深さを有する。連結器100は、連結ピン200の凸部210を溝部120に沿って移動させることができるとともに、凸部210を凹部130と嵌合することによって連結ピンを連結し、固定することができる。
【0044】
<変形例1>
図3を参照して、連結器100の変形例である連結器100Aについて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る連結器100Aの平面図および断面図である。具体的には、図3(A)は、連結器100Aの第1面100A-1側の平面図であり、図3(B)は、図3(A)に示すA-A’線で切断した連結器100Aの断面図であり、図3(C)は、図3(A)に示すB-B’線で切断した連結器100Aの断面図である。なお、以下では、連結器100Aの構成が連結器100と同様の構成であるとき、説明を省略する場合がある。
【0045】
図3に示すように、連結器100Aは、基材110A、第1溝部120A-1、第2溝部120A-2、および凹部130Aを含む。
【0046】
連結器100Aでは、基材110Aの形状が円形になっている。また、第2溝部120A-2の端部が基材110Aの円周部に設けられている。基材110Aの形状が円形となることで、連結器100Aの第1面100A-1側の構造の対称性がよくなるため、連結器100Aを台車10に設置した場合であっても、台車10のバランスを安定化させやすい。
【0047】
以上、本変形例に係る連結器100Aによれば、基材110Aの形状が円形となっており、連結器100Aの第1面100A-1側の構造の対称性が確保されている。したがって、自動搬送ロボット20によって台車10を搬送したとき、バランスが良く、台車10の移動が安定する。
【0048】
<変形例2>
図4を参照して、連結器100の変形例である連結器100Bについて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る連結器100Bの平面図および断面図である。具体的には、図4(A)は、連結器100Bの第1面100B-1側の平面図であり、図4(B)は、図4(A)に示すA-A’線で切断した連結器100Bの断面図であり、図4(C)は、図4(A)に示すB-B’線で切断した連結器100Bの断面図である。なお、以下では、連結器100Bの構成が連結器100と同様の構成であるとき、説明を省略する場合がある。
【0049】
図4に示すように、連結器100Bは、基材110B、第1溝部120B-1、第2溝部120B-2、および凹部130Bを含む。
【0050】
連結器100Bでは、第2溝部120B-2の端部が、基材110Bの角部に設けられている。図4(A)に示す基材110Bの形状は正方形である。この場合、第2溝部120B-2の端部が、基材110Bの辺部に設けられていても、基材110Bの角部に設けられていても、連結器100Bの第1面100B-1側の構造の対称性は変わらない。しかしながら、基材110Bの形状がひし形であるとき、第2溝部120B-2の端部が基材110Bの辺部に設けられると、連結器100Bの第1面100B-1側の構造の対称性が低下する。一方、図4(A)に示すように、第2溝部120B-2の端部が基材110Bの角部に設けられれば、基材110Bの形状がひし形であっても、連結器100Bの第1面100B-1側の構造の対称性が低下しない。
【0051】
以上、本変形例に係る連結器100Bによれば、基材110Bの形状に合わせて、第2溝部120-2の端部を基材110Bの角部に設けることで、連結器100Bの第1面100B-1側の構造の対称性を確保することができる。したがって、自動搬送ロボット20によって台車10を搬送したとき、バランスが良く、台車10の移動が安定する。
【0052】
<変形例3>
図5を参照して、連結器100の変形例である連結器100Cについて説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る連結器100Cの平面図および断面図である。具体的には、図5(A)は、連結器100Cの第1面100C-1側の平面図であり、図5(B)は、図5(A)に示すA-A’線で切断した連結器100Cの断面図であり、図5(C)は、図5(A)に示すB-B’線で切断した連結器100Cの断面図である。なお、以下では、連結器100Cの構成が連結器100と同様の構成であるとき、説明を省略する場合がある。
【0053】
図5に示すように、連結器100Cは、基材110C、第1溝部120C-1、第2溝部120C-2、および凹部130Cを含む。
【0054】
連結器100Cでは、第2溝部120C-2の底面が傾斜を有する。具体的には、凹部130Cの外側において、第2溝部120C-2の底面が傾斜を有する。連結器100Cの場合、連結ピン200の凸部210が第2溝部120C-2の端部を通過した後、自動搬送ロボット20は、連結ピン200の昇降部220を上昇し、凸部210の上面を第2溝部120C-2の底面に押し当てながら前進する。この場合、第2溝部120C-2の側面だけでなく、第2溝部120C-2の底面の傾斜もガイドとなるため、凸部210を凹部130の位置まで導きやすくなる。なお、2つの凸部210の一方が凹部130Cと嵌合したとき、昇降部220を降下し、さらに自動搬送ロボット20の前進を調整して、2つの凸部210と2つの凹部130とを嵌合させることができる。
【0055】
図5(A)の平面図において、第2溝部120C-2の底面の傾斜は、第2溝部120C-2の端部から第2溝部120C-2の内部に向かって下がる(凹部130Cに向かって凸部210が上昇する)ことが好ましいが、逆であってもよい。
【0056】
以上、本変形例に係る連結器100Cによれば、第2溝部の底面の傾斜を有し、第2溝部の底面が連結ピン200の凸部210のガイドとなる。したがって、連結器100Cと連結ピン200との位置合わせが容易となる。
【0057】
[2.台車]
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る台車10について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る台車10の模式図である。具体的には、図6(A)は、台車10の上面側から眺めた斜視図であり、図6(B)は、台車10の下面側から眺めた斜視図である。
【0058】
図6(A)および図6(B)に示すように、台車10は、荷台11、キャスター12、および連結器100を含む。キャスター12および連結器100は、荷台11の下面側に設けられている。
【0059】
荷台11の上面は、資材などを積載することができる。そのため、荷台11の上面は、資材などが積載できるように平坦であることが好ましいが、これに限られない。荷台11は、少なくとも平坦な部分を含み、一部に窪みや開口が設けられていてもよい。荷台11の材料としては、スチール、ステンレス、またはプラスチックなどを用いることができる。また、荷台11の表面には防錆塗装が施されていてもよい。例えば、防錆塗装として、荷台11の表面に亜鉛メッキ処理を行うことができる。さらに、荷台11の上面には、図6(A)および図6(B)には図示しないが、積載した資材が崩れることを防止するためのストッパー、例えば、パイプなどを設けることもできる。
【0060】
キャスター12は、台車10を移動させることができる。キャスター12は、取付部と、本体と、車輪とを含む。車輪は、本体の車軸を中心軸として回動する。また、本体は、取付部によって荷台11に取り付けられ、車輪の向きを変えるように可動する。そのため、台車10は、キャスター12により、あらゆる方向に移動することができる。さらに、キャスター12は、台車10を所定の位置に固定しておくことができるように、ストッパーが設けられていてもよい。
【0061】
車輪は、例えば、スチールまたはステンレスなどの金属部材で構成されていてもよく、例えば、ゴム、ナイロン、またはウレタンなどの樹脂部材で構成されていてもよい。
【0062】
台車10の下方部、すなわち、荷台11の下面側には、台車10を搬送する自動搬送ロボット20が入り込むため、台車10の下方部は、自動搬送ロボット20が入り込むための間隙を設ける必要がある。そのため、キャスター12の高さは、自動搬送ロボット20の高さよりも大きい。台車10の下方部の間隙(床面から荷台11の下面までの高さ)は、キャスター12の取付部の長さによって調整することができ、また、車輪の直径によっても調整することができる。
【0063】
連結器100は、連結器100の第2面と荷台11の下面とが接するように設置されている。連結器100は、荷台11に固定されていればよい。連結器100は、接着剤を用いて固定してもよく、ねじ、くぎ、またはボルトなどを用いて固定してもよい。
【0064】
また、連結器100は、第2溝部120-2の端部が、台車10の荷台11の辺部を向くように設置される。また、連結器100は、向かい合う2つの凹部130を結ぶ直線が、荷台11の辺部と直交するように設置されることが好ましい。詳細は後述するが、自動搬送ロボット20は、荷台11の辺部から入り込むため、第2溝部120-2の端部が、荷台11の辺部を向いていることで、位置合わせが容易となる。
【0065】
また、連結器100は、第1溝部120-1の中心と荷台11の中心とが一致するように設置されることが好ましい。連結器100が荷台11の中心に配置されることで、台車10の移動が安定する。
【0066】
以上、本実施形態に係る台車10は、連結器100が設置されているため、容易に自動搬送ロボット20の連結ピン200と連結することができる。したがって、台車10は、自動搬送ロボット20によって搬送されることができる。
【0067】
[3.自動搬送ロボット]
図7図9を参照して、本発明の一実施形態に係る自動搬送ロボット20と、自動搬送ロボット20に設置される連結ピン200について説明する。
【0068】
始めに、図7を参照して、本発明の一実施形態に係る自動搬送ロボット20について説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る自動搬送ロボット20の模式図である。具体的には、図7は、自動搬送ロボット20の上面側から眺めた自動搬送ロボット20の斜視図である。
【0069】
図7に示すように、自動搬送ロボット20は、本体制御部21、クローラー部22、および連結ピン200を含む。本体制御部21は、2つのクローラー部22の間に位置している。連結ピン200は、本体制御部21の上部に設けられている。また、図示しないが、自動搬送ロボット20の正面、側面、および背面にはレーザーセンサーが搭載されている。
【0070】
本体制御部21には、自動搬送ロボット20の移動および制御に必要な部品が収納されている。例えば、本体制御部21内には、バッテリー、走行モータ、無線モジュール、またはコントローラなどが含まれていてもよい。
【0071】
バッテリーは、自動搬送ロボット20の電源部であり、自動搬送ロボット20に電力を供給することができる。バッテリーは、自動搬送ロボット20を使用しないときに充電することができるように、充電式であることが好ましい。バッテリーとして、例えば、リチウムイオンバッテリーなどを用いることができる。バッテリーは、本体制御部21内に固定されていてもよく、取り外すことができるようにしてもよい。
【0072】
走行モータは、自動搬送ロボット20の駆動部であり、クローラー部22に動力を伝達することができる。走行モータには、ギヤヘッド、ブレーキ、またはエンコーダなどが含まれていてもよい。
【0073】
無線モジュールは、統括システムからの指示を受信し、または統括システムへ信号を送信することができる。
【0074】
コントローラは、無線モジュールが受信した統括システムからの指示にしたがってプログラムを実行し、自動搬送ロボット20を制御することができる。また、コントローラは、台車の搬送完了などの信号を生成することができる。
【0075】
クローラー部22は、自動搬送ロボット20を移動させることができる。2つのクローラー部22を同じ方向に回転させることで、自動搬送ロボット20は、前進または後退することができる。また、2つのクローラー部22を異なる方向に回転させることで、自動搬送ロボット20は、その位置で回転(旋回)することができる。
【0076】
なお、自動搬送ロボット20の移動手段はクローラーに限られない。自動搬送ロボット20の移動手段は、車輪を用いたものでもよく、例えば、キャスターであってもよい。
【0077】
自動搬送ロボット20に搭載されたレーザーセンサーは、自動搬送ロボット20の周囲の構造物または障害物との位置を検出し、または計測することができる。レーザーセンサーとして、例えば、レーザーレンジファインダーなどを用いることができる。レーザーレンジファインダーは、レーザー光を操作しながら出射し、出射光と反射光とに基づいて、自動搬送ロボット20と構造物または障害物との距離を計測し、構造物または障害物を検出することができる。距離の計測においては、TOF(Time of Flight)方式またはAM(Amplitude Modulation)方式を利用することができる。TOF方式は、測定領域に向けて出射したパルス状の出射光と、構造物からの反射光との検出時間差に基づいて距離を計測する。一方、AM方式は、測定領域に向けて出射した拡幅変調された出射光と、構造物からの反射光との位相差に基づいて距離を計測する。
【0078】
本体制御部21の全面、側面、および背面に配置された複数のレーザーセンサーは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0079】
自動搬送ロボット20の本体制御部21内には、さらに、ジャイロセンサーやGPS(Global Positioning System)信号受信器を含むIMU(Inertial Measurement Unit)を有することができる。これらのセンサを利用して、自動搬送ロボット20を制御することもできる。また、自動搬送ロボット20は、自己の位置を計測するために、クローラー部22にエンコーダを有してもよい。
【0080】
次に、図8を参照して、自動搬送ロボット20の連結ピン200について説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る自動搬送ロボット20に設置される連結ピン200の模式図である。具体的には、図8(A)および図8(B)は、連結ピン200の上面側から眺めた連結ピン200の斜視図である。
【0081】
図8(A)および図4(B)に示すように、連結ピン200は、2つの凸部210および昇降部220を含む。凸部210は、昇降部220の上部から突出するように設けられている。また、図4(B)に示すように、連結ピン200の昇降部220は、凸部210を上方に移動させるように上昇(伸長)することができる。
【0082】
図8(A)および図8(B)に示す連結ピン200の凸部210の形状は円柱であるが、凸部210の形状はこれに限られない。凸部210は、後述するように、連結器100の凹部130に嵌まり込むため、凸部210の形状は、凹部130の形状に合わせて適宜設計することができる。凸部210の形状は、例えば、角柱、円錐、または角錐などであってもよい。また、凸部210の側面にテーパーが設けられていてもよい。
【0083】
昇降部220は、少なくとも一部が上昇することができ、または上昇した部分は降下することができる。昇降部220の制御は、機械式であってもよく、電動式であってもよく、または電磁式であってもよい。なお、凸部210が昇降部220と一体形成されていてもよい。
【0084】
次に、図9を参照して、連結器100と連結ピン200との連結について説明する。図9は、本発明の一実施形態に係る連結器100と、連結器100と連結する連結ピン200とを説明する模式図である。具体的には、図9(A)は、連結器100の凹部130と連結ピン200の凸部210とが嵌合する前の状態を示し、図9(B)は、連結器100の凹部130と連結ピン200の凸部210とが嵌合した後の状態を示す。
【0085】
図9(A)において、連結ピン200の凸部210の一部は、連結器100の第1面100-1よりも基材110内に入り込んでいる。すなわち、連結ピン200の凸部210の一部は、第1溝部120-1および第2溝部120-2に入り込んでいる。そのため、連結ピン200の凸部210は、第1溝部120-1または第2溝部120-2がガイドとなり、第1溝部120-1内および第2溝部120-2内でしか移動することができない。言い換えると、連結ピン200の凸部210は、第1溝部120-1および第2溝部120-2に沿って移動することができる。連結ピン200の凸部210は、第1溝部120-1および第2溝部120-2に沿って移動しながら、凸部210と凹部130との位置を調整することができる。
【0086】
連結器100と連結ピン200とを連結する場合、連結ピン200の凸部210は、連結器100の第2溝部120-2の端部から入り込み、第2溝部120-2に沿って移動し、凸部210と凹部130との位置を合わせる。また、連結ピン200の向きを変える場合は、連結ピン200の凸部210を第1溝部120-1に沿って移動(回転)させ、凸部210と凹部130との位置を合わせる。
【0087】
なお、自動搬送ロボット20の連結ピン200は、自動搬送ロボット20の進行方向に2つの凸部210が並ぶように設置される(図7参照)。このように連結ピン200を設置することで、連結器100の第2溝部120-2の端部から2つの凸部210が入り込むことができる。
【0088】
図9(B)に示すように、凸部210と凹部130の位置を合わせた後、連結ピン200の昇降部220は、凸部210を上昇させる。凸部210は、凹部130と嵌合し、固定される。すなわち、連結ピン200の凸部210と連結器100の凹部130とが嵌合することにより、連結ピン200と連結器100とが連結され、お互いが一体となって移動することができる。
【0089】
以上、本実施形態に係る自動搬送ロボット20は、台車10の下方部に入り込み、台車10の連結器100と自動搬送ロボットの連結ピン200とを連結することで、台車10を搬送することができる。また、自動搬送ロボット20は、連結器100を利用することで、台車10の下方部で回転し、台車10を搬送する向きを変えることができる。
【0090】
[4.自動搬送ロボット20による台車10の搬送]
図10を参照して、本発明の一実施形態に係る台車10と自動搬送ロボット20との連結および搬送について説明する。図10は、本発明の一実施形態に係る台車10と自動搬送ロボット20とを連結し、自動搬送ロボット20による台車10の搬送を説明する模式図である。
【0091】
図10(A)は、自動搬送ロボット20が台車10の下方部に入り込む構成を示す。図10(A)に示すように、自動搬送ロボット20は、台車10の長辺部側から台車10の下方部に入り込む。台車10の長辺部側は、台車10の短辺部側よりも2つの隣接するキャスター12の間隔が大きいため、台車10の短辺部側よりも台車10の下方部の間隙が大きい。そのため、自動搬送ロボット20は、台車10の短辺部側からよりも台車10の長辺部側からの方が台車10の下方部に入りやすい。
【0092】
自動搬送ロボット20は、レーザーセンサーを用いて、台車10の一方の長辺部側の2つのキャスター12の位置を検出し、2つのキャスター12の中心位置に向かって台車10の下方部に入り込む。台車10の下方部に入り込んだ自動搬送ロボット20は、台車10の他方の長辺部側の2つのキャスター12の位置を検出する。レーザーセンサーによって4つのキャスター12の位置が検出されるため、4つのキャスター12の位置を頂点とした矩形の対角線が交差する位置、すなわち、台車10の中心位置を決定することができる。そのため、台車10の中心位置に連結器100を設置しておくことで、連結器100の位置を特定しやすくなり、台車10と自動搬送ロボット20との連結が容易となる。
【0093】
台車10の下方部に入り込んだ自動搬送ロボット20は、凸部210を上昇させて台車10の凹部130と嵌合し、台車10と連結する。なお、自動搬送ロボット20の連結ピン200は、台車10のキャスター12を床面から浮かせる必要はない。自動搬送においては、自動搬送ロボット20に搬送された台車10は、キャスター12を利用して移動する。
【0094】
図10(B)は、台車10と自動搬送ロボット20とが連結した状態を示す。図10(B)では、台車10に設置された連結器100の2つの凹部130と自動搬送ロボット20に設置された連結ピン200の2つの凸部210とが嵌合し、台車10と自動搬送ロボット20とが連結されている。台車10と自動搬送ロボット20とが連結されることによって台車10の自由な移動または回転が固定され、台車10は、自動搬送ロボット20の移動方向に合わせて移動することできる。したがって、図10(B)に示すように、自動搬送ロボット20は、台車10の長辺部側を先頭にして台車10を搬送することができる。
【0095】
図10(C)は、自動搬送ロボット20が90度回動し、台車10と自動搬送ロボット20とが連結した状態を示す。図10(C)では、台車10に設置された連結器100のもう一方の2つの凹部130と自動搬送ロボット20に設置された連結ピン200の2つの凸部210とが嵌合し、台車10と自動搬送ロボット20とが連結されている。ただし、図10(B)と異なり、台車10の下方部に入り込んだ自動搬送ロボット20は、台車10の下方部で90度回動(旋回)している。したがって、図10(C)に示すように、自動搬送ロボット20は、台車10の短辺部側を先頭にして台車10を搬送することができる。
【0096】
以上、本実施形態に係る連結器100、台車10、および自動搬送ロボット20によれば、台車10と自動搬送ロボット20とは、連結器100および連結ピン200を用いて連結することができ、自動搬送ロボット20は、連結した台車10を搬送することができる。また、台車10にはキャスター12が設けられており、自動搬送ロボット20は、台車10を持ち上げることなく、キャスター12を利用して台車10を搬送することができる。そのため、自動搬送ロボット20はパワーを必要とせず、小型化することが可能である。また、連結器100を用いることで、自動搬送ロボット20は、台車10の下方部から出ることなく、台車10の下方部で90度回動し、台車10の搬送する方向を容易に変更することができる。そのため、搬送経路の狭い場所であっても、台車10を旋回させることがなく、台車10の搬送する方向を変更することができる。
【0097】
<変形例>
上述した連結器100では、自動搬送ロボット20の上面に設けられる連結ピン200の2つの凸部が、自動搬送ロボット20の進行方向と平行な直線上に並ぶように配置される構成であるが、2つの凸部210が、自動搬送ロボット20の進行方向と直交する直線上に並ぶように配置される構成とすることもできる。そこで、図11を参照して、連結器100および自動搬送ロボット20と異なる連結器100Dおよび自動搬送ロボット20Dについて説明する。
【0098】
図11は、本発明の一実施形態に係る連結器100Dと、連結器100Dと連結する連結ピン200Dを有する自動搬送ロボット20Dを説明する模式図である。具体的には、図11は、連結器100Dの第1面100D-1側の平面図、および自動搬送ロボット20Dの上面図を示す。また、図11の矢印は、自動搬送ロボット20Dの進行方向を示す。
【0099】
図11に示すように、連結器100Dは、基材110D、第1溝部120D-1、第2溝部120D-2、および凹部130Dを含む。第1溝部120D-1は、円状であり、第2溝部120D-2は、2本の直線状である。第1溝部120D-1と第2溝部120D-2とは2点で交差し、4つの凹部130Dが、2点の交差点と、第1溝部120D-1の円弧上に設けられている。言い換えると、4つの凹部130Dは、正方形Sの4つの頂点に対応する位置に設けられているということもできる。第2溝部120D-2の端部は開口され、自動搬送ロボット20Dの連結ピン200Dの2つの凸部210Dが同時に連結器100Dに入り込めるように形成されている。図11では、第2溝部120D-2の端部は、基材110Dの対向する2つの辺部に設けられているが、第2溝部120D-2の端部は、基材110Dの少なくとも1つの辺部に設けられていればよい。一方、自動搬送ロボット20Dは、図11に示すような、連結ピン200Dの2つの凸部210Dが、自動搬送ロボット20D進行方向と直交する直線上に配置されている。
【0100】
以上、本実施形態に係る連結器100Dによれば、自動搬送ロボット20Dの連結ピン200Dの2つの凸部210Dの配置に合わせて、連結器100Dの第2溝部120D-2の形状および第2溝部120D-2の端部の開口の位置を調整することができる。
【0101】
<第2実施形態>
図12および図13を参照して、本発明の一実施形態に係る自動搬送システムについて説明する。本発明の一実施形態に係る自動搬送システムは、台車10および自動搬送ロボット20を含む。
【0102】
図12は、本発明の一実施形態に係る自動搬送システムを利用した建設現場の模式図である。図12に示す建設現場の建造物50は、複数のフロアを有している。建造物50の隣には、フロア間、すなわち、建造物50の高さ方向への資材53の搬送を可能にする工事用エレベータ60が設置されている。工事用エレベータ60は、建造物50の高さ方向に沿って延伸する脚柱61に昇降機62が取り付けられている。昇降機62は、脚柱61に沿って昇降し、建造物50の各フロアで停止することができるように設定されている。なお、自動搬送システムには、統括システムが含まれていてもよく、自動搬送ロボット20および工事用エレベータ60は、統括システムによって制御することができる。
【0103】
作業フロア(資材の荷取り場または荷置き場)では、フロアの壁面の開口部を塞ぐようにシャッター51が設置されている。シャッター51は、工事用エレベータ60側に設置される。工事用エレベータ60を利用する場合には、シャッター51が開閉される。また、シャッター51の前には、フロアの床面と昇降機62の床面との段差を小さくするためのスロープ52が設置されている。なお、シャッター51の開閉も統括システムによって制御することができる。
【0104】
自動搬送システムでは、自動搬送ロボット20と資材53が積載された台車10とが連結され、自動搬送ロボット20が、台車10を搬送しながら、荷取り場から荷置き場まで自動走行する。建設現場においては、資材53などがフロアの床面上に置いてあることも多く、自動搬送ロボット20の搬送経路が限定される。自動搬送ロボット20の自動走行を可能とするためには、自動搬送ロボット20の走行可能な搬送経路を特定しておく必要がある。したがって、自動搬送システムの利用を開始する前に、フロアの状況を示した地図(自動搬送用フロア地図)を生成しておく必要がある。
【0105】
図13は、本発明の一実施形態に係る自動搬送システムを利用するにあたり、自動搬送用フロア地図の生成について説明する模式図である。具体的には、図13(A)は、建設現場のフロアの状況を示す模式図であり、図13(B)は、生成された自動搬送用フロア地図の模式図である。
【0106】
図13(A)に示すように、建設現場における建造物50のフロアの床面上には、第1資材53-1および第2資材53-2が置かれている。自動搬送ロボット20が自動走行する上で、第1資材53-1および第2資材53-2は障害物となり得る。また、建造物50のフロアには、建造物50を支えるための柱が設置されている。柱もまた、自動搬送ロボット20の自動走行における障害物となり得る。自動搬送ロボット20の自動走行の障害物となり得る、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱などを全て障害物55としてマーキングした自動搬送用フロア地図を生成する。
【0107】
自動搬送用フロア地図を生成するため、自動搬送ロボット20が自動走行するフロア(例えば、荷取り場または荷置き場など)内において、作業者は、自動搬送ロボット20を手動で操作し、または自動で、走行させる。自動搬送ロボット20には、レーザーセンサーが搭載されており、自動搬送ロボット20は、レーザーセンサーを用いて、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱5などを検出することができる。自動搬送ロボット20は、検出された情報を基にして、図13(B)に示すような、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱などが障害物55としてマーキングされた自動搬送用フロア地図を生成することができる。なお、自動搬送用フロア地図の生成における処理は、自動搬送ロボット20でなくてもよい。自動搬送ロボット20と通信接続し、自動搬送ロボット20から情報を受信した統括システムで処理を行い、自動搬送用フロア地図を生成してもよい。
【0108】
また、自動搬送用フロア地図は、リアルタイムでディスプレイに表示できるようにしてもよい。作業者は、実際の自動搬送ロボット20の走行と、ディスプレイに表示された自動搬送用フロア地図とを比較して確認することができるため、自動搬送用フロア地図の精度が向上する。
【0109】
自動搬送ロボット20は、ジャイロセンサーを含んでいてもよい。自動搬送ロボット20がジャイロセンサーを搭載することで、フロアの床面上の段差を検出することができる。この場合、自動搬送用フロア地図には、障害物55だけでなく、段差も示すことが可能となる。
【0110】
自動搬送用フロア地図の生成においては、自動搬送ロボット20と異なるロボットを使用することもできる。例えば、自動搬送ロボット20よりも小さいロボットを使用すれば、自動搬送ロボット20が走行することができない場所に入り込むことができるため、より詳細な自動搬送用フロア地図を生成することができる。
【0111】
再び、図12に戻り、自動搬送システムについて説明する。
【0112】
自動搬送用フロア地図の情報、ならびに自動搬送ロボット20および台車10の位置の情報など、自動搬送で必要な情報は統括システムによって制御され、管理される。例えば、台車10の初期位置(スタート位置)および搬送位置(ゴール位置)、または自動搬送システムの実行開始時間などは、統括システムを通じて制御し、管理することができる。
【0113】
統括システムによって自動搬送が実行されると、自動搬送ロボット20は、自動走行を開始し、荷取り場フロアの初期位置の資材53が積載された台車10の下方に入り込み、台車10と連結する。自動搬送ロボット20は、自動搬送用フロア地図を基にして障害物55を避け、台車10を搬送しながら自動走行する。自動搬送ロボット20は、荷取り場フロアのシャッター51の前、より具体的にはスロープ52の前で停止する。
【0114】
統括システムは、自動搬送ロボット20がシャッター51の前で停止している信号を受信すると、工事用エレベータ60の昇降機62を自動搬送ロボット20のいる荷取り場フロアまで移動させ、昇降機62の扉(図示しない)を開ける。また、統括システムが、昇降機62が荷取り場フロアで停止した信号を受信すると、荷取り場フロアのシャッター51を開く。自動搬送ロボット20は、昇降機62の扉およびシャッター51が開いた信号を受信すると、スロープ52を昇り、工事用エレベータ60の昇降機62に乗り込む。統括システムは、自動搬送ロボット20が昇降機62の中で停止している信号を受信すると、昇降機62の扉およびシャッター51を閉じ、昇降機62を荷置き場フロアに移動させる。また、統括システムが、昇降機62が荷置き場フロアで停止し昇降機62の扉が開く信号を受信すると、荷取り場フロアのシャッター51を開く。
【0115】
自動搬送ロボット20は、シャッター51が開いた信号を受信すると、自動走行を開始し、スロープ52を通って、昇降機62から荷置き場フロアに降りる。統括システムは、自動搬送ロボット20がスロープ52を降りた信号を受信すると、昇降機62の扉およびシャッター51を閉める。自動搬送ロボット20は、自動生成用フロア地図を基にして、障害物55を避けながら、自動走行し、搬送位置で停止する。
【0116】
統括システムは、自動搬送ロボット20が搬送位置で停止している信号を受信すると、自動搬送ロボット20と台車10との連結を解除する指示を送信する。台車10との連結が解除された自動搬送ロボット20は、シャッター51の前まで進み、上述した走行経路を逆に走行して、荷取り場フロアまで戻る。自動搬送ロボット20は、別の資材53が積載された台車10と連結し、台車10を搬送しながら自動走行する。
【0117】
自動搬送システムは、1つの自動搬送ロボット20に限られない。自動搬送システムは、複数の自動搬送ロボット20を含むこともできる。すなわち、自動搬送システムでは、複数の台車10および複数の自動搬送ロボット20を同時に利用して自動搬送することができる。また、統括システムは、複数の自動搬送ロボット20が同時または連続的に、荷取り場フロアと荷置き場フロアを行き来できるように制御することができる。
【0118】
また、上記では、自動搬送ロボット20を含む自動搬送システムを説明したが、自動搬送システムは、自動搬送ロボット20に限られず、あらゆる自動搬送車に適用することができる。
【0119】
本実施形態に係る自動搬送システムは、自動搬送ロボット20が、資材53が積載された台車10と連結し、台車10を荷取り場から荷置き場に自動で搬送することができる。例えば、夜間に自動搬送システムによる自動搬送を実行しておけば、作業者は、翌日の朝から自動搬送システムによって搬送された資材53を用いて作業を開始することができる。作業者は、翌日の朝に資材53の搬送作業から開始する必要があるが、自動搬送システムを利用すれば、資材53の搬送作業を省略することができる。そのため、自動搬送システムを利用することで、作業者の負担が軽減し、建設現場における作業効率が大幅に向上する。
【0120】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、または設計変更を行ったもの、もしくは工程の追加、省略、または条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0121】
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0122】
10:台車、 11:荷台、 12:キャスター、 20、20D:自動搬送ロボット、 21、21D:本体制御部、 22,22D:クローラー部、 50:建造物、 51:シャッター、 52:スロープ、 53:資材、 53-1:第1資材、 53-2:第2資材、 55:障害物、 60:工事用エレベータ、 61:脚柱、 62:昇降機、 100、100A、100B、100C、100D:連結器、 100-1、100A-1、100B-1、100C-1、100D-1:第1面、 100-2:第2面、 110、110A、110B、110C、110D:基材、 120:溝部、 120-1、120A-1、120B-1、120C-1、120D-1:第1溝部、 120-2、120A-2、120B-2、120C-2、120D-2:第2溝部、 130、130A、130B、130C、130D:凹部、 200:連結ピン、 210:凸部、 220:昇降部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13