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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】変位測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
G01B11/00 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020069242
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021165678
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肥田 雄一郎
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-151066(JP,A)
【文献】特開2018-109899(JP,A)
【文献】特開2016-052293(JP,A)
【文献】特開2015-079267(JP,A)
【文献】特開2010-286244(JP,A)
【文献】特開2007-303828(JP,A)
【文献】特開2015-165420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 3/06
G06T 7/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の所定位置における高さ方向の変位を測定する変位測定装置において、
前記測定対象物を撮像して測定対象物の画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された画像の画素に対応付けて前記測定対象物の変位を取得する変位取得部と、
前記変位取得部により画素ごとに取得された変位の度数分布において、所定の閾値以上の度数を有する変位で構成される群から少なくとも一つの群を選択する選択部と、
前記選択部により選択された群に含まれる変位に基づいて、該選択された群に含まれる変位に対応付けられた画素からなる変位測定領域を特定し、該特定された変位測定領域の変位を算出する変位算出部とを備えている変位測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変位測定装置はさらに、
前記変位取得部により取得された変位を、該変位の度数分布および所定の閾値に基づいて、該閾値以上の度数を有する変位で構成される複数の群に分類する変位分類部を備え、
前記選択部は、前記変位分類部によって分類された複数の群のうち少なくとも一つの群を選択する変位測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の変位測定装置はさらに、
前記変位取得部により画素ごとに取得された変位の度数分布において、所定の閾値以上の度数を有する変位で構成される群のうち少なくとも一つの群を選択するための選択規則を設定する設定部を備え、
前記選択部は、前記設定部により設定された選択規則に基づいて、前記少なくとも一つの群を選択する変位測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の変位測定装置はさらに、
前記画像生成部により生成された画像を表示する表示部を備え、
前記設定部は、前記表示部に表示された画像上で、測定対象物の表面のうち変位測定の候補位置を含む測定対象領域を設定するとともに、前記選択規則を設定し、
前記変位取得部は、前記画像生成部により生成された画像のうち前記測定対象領域内の画素に対応付けて測定対象物の変位を取得し、
前記変位算出部は、前記設定部により設定された前記選択規則を用いて選択された群に含まれる変位に基づいて、前記候補位置における高さ方向の変位を算出する変位測定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の変位測定装置において、
前記変位分類部は、前記変位取得部により取得した複数の変位の度数分布を算出し、算出した度数分布に基づいて、複数の変位を複数の群に分類する変位測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の変位測定装置において、
前記変位分類部は、算出した度数分布を示すヒストグラムを生成し、
前記変位分類部が生成したヒストグラムを表示する表示部を備えており、
前記ヒストグラム上で頻度の閾値の設定を受け付ける設定部を備えており、
前記変位算出部は、前記設定部で受け付けた閾値よりも高い頻度を有する群に含まれる複数の変位に基づいて、変位測定の候補位置の変位を算出する変位測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の変位測定装置において、
前記変位算出部は、選択された群に含まれる複数の変位を平均化することにより前記候補位置の変位を算出する変位測定装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の変位測定装置において、
前記表示部は、前記ヒストグラムにおける前記閾値よりも高い頻度を有する群を示す第1エリアを、該第1エリア外の第2エリアと識別可能な形態で表示する変位測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の変位測定装置において、
前記表示部は、前記ヒストグラムに前記第1エリアが複数存在する場合、複数の前記第1エリアの各々の表示形態を識別可能な形態で表示する変位測定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の変位測定装置において、
前記表示部は、前記画像上で前記第1エリアに示される群に対応する部分を、当該第1エリアの表示形態と同一または類似した形態で表示する変位測定装置。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか1つに記載の変位測定装置において、
前記表示部は、前記変位分類部により分類された複数の群に対応する部分を、各々、識別可能な形態で前記画像上に表示し、
前記設定部は、前記画像上に表示する群の頻度の閾値の調整を受け付ける変位測定装置。
【請求項12】
請求項3、6から11のいずれか1つに記載の変位測定装置において、
測定光源と、該測定光源からの光が入射する投光レンズとを有し、第1方向に延びる帯状の測定光を測定対象物に照射するための投光部と、
前記測定光を、前記第1方向と交差する第2方向に走査可能な走査部と、
前記測定対象物から反射した前記測定光を受光し、変位測定用の受光量分布を出力するとともに、前記測定対象物から反射した光を受光し、画像生成用の受光量分布を出力する2次元の受光素子からなる受光部と、
前記画像生成用の受光量分布に基づいて、前記測定対象物の輝度画像を生成する輝度画像生成部と、
前記設定部により設定された測定候補領域に前記測定光が照射されるように前記投光部及び前記走査部を制御する測定制御部とを備え、
前記変位取得部は、前記設定部により設定された測定候補領域に照射された前記測定光が該測定候補領域から反射して前記受光部で受光されることによって該受光部から出力された前記変位測定用の受光量分布に基づいて、該測定候補領域内で複数の変位を取得する変位測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の所定位置の変位を測定する変位測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、三角測距の原理を用いた三次元測定法として、帯状の測定光を測定対象物の表面に対して当該測定対象物を切断するように照射し、当該測定対象物の表面から反射した光を受光素子により受光して高さ情報を得る、いわゆる光切断法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、測定光を、静止状態の測定対象物に対して当該測定光の延びる方向と直交する方向に走査して測定対象物の三次元形状測定を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-193428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、測定対象物の表面において、ある広さを持った領域の変位を測定したい場合がある。この場合には、変位測定したい領域を円形や矩形の枠で囲む測定ツールを変位測定装置に予め用意しておき、ユーザが必要に応じてこの測定ツールを使用可能にすることが考えられる。このような測定ツールでは、枠内の領域の各部の高さを平均化し、それを測定値として出力することができる。
【0005】
上記測定ツールを予め用意しておくことで、ユーザは変位測定したい領域を簡単に指定することができる反面、以下に述べるように、測定結果を不安定にしてしまうことが想定される。
【0006】
すなわち、測定ツールの枠の大きさを複数用意することができるが、最も小さな枠の幅よりも狭い幅を有する部分(例えば薄い板の端面の高さ)を測定したい場合があり、この場合、測定ツールの枠内には、測定したい部分(板の端面)と、それ以外の部分(板の端面よりも低い面)とが存在することになる。したがって、枠内の各部の高さを平均化する際、測定したい部分以外の部分の高さが測定値に反映されてしまい、測定結果が不安定になるという問題がある。特に、枠内における測定したい部分以外の部分が占める割合が大きかったり、測定したい部分とそれ以外の部分との高さの差が大きいと、上記問題が顕著になる。
【0007】
また、画像の解像度が低くて、測定したい部分を画像上で視認することが困難な場合や、製造現場で個体差のある複数の測定対象物を測定したい場合に、所望の部分だけを含むような指定ができないことがある。例えば、対象が小さい場合には位置ずれの補正に要求される精度が高く、また、形状が複雑な場合には乱反射でランダムに発生する異常値の場所を予想することは困難である。
【0008】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ある領域の変位を測定する際に安定した測定結果が得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の開示では、測定対象物の所定位置の変位を測定する変位測定装置を前提とすることができる。変位測定装置は、測定対象物を撮像して測定対象物の画像を生成する画像生成部と、画像生成部により生成された画像の画素に対応付けて前記測定対象物の変位を取得する変位取得部と、変位取得部により画素ごとに取得された変位の度数分布において、所定の閾値以上の度数を有する変位で構成される群から少なくとも一つの群を選択する選択部と、選択部により選択された群に含まれる変位に基づいて、該選択された群に含まれる変位に対応付けられた画素からなる変位測定領域を特定し、該特定された変位測定領域の変位を算出する変位算出部とを備えている。
【0010】
この構成によれば、変位取得部により、画像の画素に対応付けて測定対象物の変位が取得される。変位取得の方法は特に限定されるものではなく、例えば帯状の測定光を走査する走査機構を使用した方法、縞投影パターン法、ステレオカメラを用いた方法、TOF(Time Of Flight)距離計測技術を用いた方法等であってもよい。また、測定候補領域を設定する際の画像は、輝度画像であってもよいし、高さ画像であってもよい。
【0011】
取得された複数の変位の度数分布において、所定の閾値以上の度数を有する変位で構成される群が形成される。選択部によって任意の一つの群を選択すると、選択された群に含まれる変位に基づいて、該選択された群に含まれる変位に対応付けられた画素からなる変位測定領域が特定される。特定された変位測定領域の変位が変位算出部によって算出される。
【0012】
第2の開示では、変位測定装置は、変位取得部により取得された変位を、該変位の度数分布および所定の閾値に基づいて、該閾値以上の度数を有する変位で構成される複数の群に分類する変位分類部を備えている。選択部は、変位分類部によって分類された複数の群のうち少なくとも一つの群を選択することが可能である。
【0013】
選択部によって選択可能な群は、例えば、最も大きな変位の群、最も小さな変位の群、最もピークの高い群、最もピークの低い群等を挙げることができ、また、変位を直接指定し、指定された変位に最も近い変位にピークを持つ群を選択可能にしてもよい。
【0014】
第3の開示では、変位測定装置は、変位取得部により画素ごとに取得された変位の度数分布において、所定の閾値以上の度数を有する変位で構成される群のうち少なくとも一つの群を選択するための選択規則を設定する設定部を備えている。選択部は、設定部により設定された選択規則に基づいて、少なくとも一つの群を選択することが可能である。
【0015】
第4の開示では、変位測定装置は、画像生成部により生成された画像を表示する表示部を備えている。設定部は、表示部に表示された画像上で、測定対象物の表面のうち変位測定の候補位置を含む測定対象領域を設定することができる。さらに、設定部は、選択規則を設定することができる。変位取得部は、画像生成部により生成された画像のうち測定対象領域内の画素に対応付けて測定対象物の変位を取得することができる。変位算出部は、設定部により設定された選択規則を用いて選択された群に含まれる変位に基づいて、候補位置における高さ方向の変位を算出することが可能である。
【0016】
第5の開示は、前記変位分類部は、前記変位取得部により取得した複数の変位の度数分布を算出し、算出した度数分布に基づいて、複数の変位を複数の群に分類することができる。
【0017】
この構成によれば、複数の変位の度数分布を算出することで、例えば複数の近しい変位を一つの群とすることができる。例えば、候補位置の変位が複数存在している場合には、候補位置の変位の度数が高まり、これを候補位置の変位を含んだ群とすることができる。また、候補位置以外の部分の変位が複数存在している場合には、候補位置以外の部分の変位で度数が高いものを一つの群に分類することができる。
【0018】
第6の開示は、前記変位分類部は、算出した度数分布を示すヒストグラムを生成し、前記表示部は、前記変位分類部が生成したヒストグラムを表示し、前記設定部は、前記ヒストグラム上で頻度の閾値の設定を受け付け、前記変位算出部は、前記設定部で受け付けた閾値よりも高い頻度を有する群に含まれる複数の変位に基づいて、前記候補位置の変位を算出することができるものである。
【0019】
この構成によれば、変位取得部により取得した複数の変位のヒストグラムをユーザが見ることができる。ヒストグラムには、候補位置の変位の度数が高ければその候補位置の変位を含む群が示され、また、候補位置以外の部分の変位の度数が高ければその候補位置以外の部分の変位を含む群も示される。ユーザは、そのヒストグラム上で頻度の閾値を設定することができる。これにより、明らかに候補位置の変位でないものを的確に除外することができるので、変位算出部において候補位置の変位を含む群によって候補位置の変位を算出できる。
【0020】
第7の開示は、前記変位算出部は、選択された群に含まれる複数の変位を平均化することにより前記候補位置の変位を算出することができるものである。
【0021】
この構成によれば、度数分布によって分類された群が算出対象となっているので、当該群に含まれる複数の変位は近しいものであると推定され、大きく外れた値が存在する頻度は低い。したがって、平均化するにあたり、大きく外れた値の影響が殆ど無くなり、測定結果の精度を高めることができる。
【0022】
第8の開示は、前記表示部は、前記ヒストグラムにおける前記閾値よりも高い頻度を有する群を示す第1エリアを、該第1エリア外の第2エリアと識別可能な形態で表示することができるものである。
【0023】
すなわち、ヒストグラムには、閾値よりも高い頻度を有する群を示す第1エリアの他に、頻度が低く、明らかに候補位置を含まない変位も示されることがあり、このエリアが第2エリアになり得る。本構成では、ヒストグラム上で第1エリアと第2エリアとの識別が可能になっているので、ユーザは第1エリアに示されている群を選択する操作が容易に行える。
【0024】
第9の開示は、前記表示部は、前記ヒストグラムに前記第1エリアが複数存在する場合、複数の前記第1エリアの各々の表示形態を識別可能な形態で表示するものである。
【0025】
すなわち、ヒストグラム上で閾値よりも高い頻度を有する群が複数存在することがある。この場合、本構成によれば、複数の第1エリアの各々を識別可能な形態で表示することができるので、ユーザは複数の第1エリアを容易に識別することができる。
【0026】
識別可能な形態としては、例えば、異なる色で着色する、異なる模様を付す、異なる文字や記号を付す等を挙げることができ、これらのうち1つを用いてもよいし、任意の複数を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
第10の開示は、前記表示部は、前記画像上で前記第1エリアに示される群に対応する部分を、当該第1エリアの表示形態と同一または類似した形態で表示するものである。
【0028】
この構成によれば、ヒストグラム上での第1エリアの表示形態と、画像における第1エリアに示される群に対応する部分とが同一または類似の表示形態で表示されているので、ユーザは、第1エリアに示される群が画像上のどこに対応しているのか容易に判断できる。
【0029】
第11の開示は、前記表示部は、前記変位分類部により分類された複数の群に対応する部分を、各々、識別可能な形態で前記画像上に表示し、前記設定部は、前記画像上に表示する群の頻度の閾値の調整を受け付けることができるものである。
【0030】
この構成によれば、分類された複数の群に対応する部分が、それぞれ画像上に表示されているので、各群が、測定対象物の表面のどこの変位を示すものであるか容易に把握できる。そして、例えば頻度が低い群のように、変位測定の候補となり得ない群を閾値の調整によって除外して画像上に表示させないようにすることができる。
【0031】
第12の開示は、測定光源と、該測定光源からの光が入射する投光レンズとを有し、第1方向に延びる帯状の測定光を測定対象物に照射するための投光部と、前記測定光を、前記第1方向と交差する第2方向に走査可能な走査部と、前記測定対象物から反射した前記測定光を受光し、変位測定用の受光量分布を出力するとともに、前記測定対象物から反射した光を受光し、画像生成用の受光量分布を出力する2次元の受光素子からなる受光部と、前記画像生成用の受光量分布に基づいて、前記測定対象物の輝度画像を生成する輝度画像生成部と、前記設定部により設定された測定候補領域に前記測定光が照射されるように前記投光部及び前記走査部を制御する測定制御部とを備え、前記変位取得部は、前記設定部により設定された測定候補領域に照射された前記測定光が該測定候補領域から反射して前記受光部で受光されることによって該受光部から出力された前記変位測定用の受光量分布に基づいて、該測定候補領域内で複数の変位を取得するものである。
【0032】
この構成によれば、測定対象物から反射した光が受光部で受光され、該受光部から輝度測定用の受光量分布が出力されて輝度画像が生成される。生成された輝度画像上で、測定候補領域を設定が可能になり、この測定候補領域に測定光が走査される。測定候補領域からの反射光は、受光部で受光されてから変位測定用の受光量として出力される。変位取得部は、変位測定用の受光量分布に基づいて測定候補領域内で複数の変位を取得することができる。
【0033】
また、前記走査部は、例えばMEMSミラー、ガルバノミラー、ステッピングモーターで回動するミラー等で構成することができる。MEMSとは、Micro Electro Mechanical Systemsのことであり、いわゆる微小電気機械システムである。
【0034】
また、測定対象物から反射した測定光を受光し、変位測定用の受光量分布を出力する受光部と、測定対象物から反射した照明光を受光し、輝度測定用の受光量分布を出力する受光部とが別体で設けられていて、これら受光部によって本発明の受光部が構成されていてもよいし、測定対象物から反射した光を受光し、変位測定用の受光量分布を出力するとともに、測定対象物から反射した光を受光し、輝度測定用の受光量分布を出力する単一の受光部によって本発明の受光部が構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、画素ごとに取得された変位の度数分布において、所定の閾値以上の度数を有する変位で構成される群から少なくとも一つの群を選択し、選択された群に含まれる変位に対応付けられた画素からなる変位測定領域を特定し、該特定された変位測定領域の変位を算出することができるので、測定候補位置の測定結果を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の実施形態に係る変位測定装置の運転時を示す概略説明図である。
図2図2は、センサヘッドを下方から見た斜視図である。
図3図3は、センサヘッドの側部カバーを取り外した状態を示しており、センサヘッドの内部構造の一部透過図である。
図4図4は、センサヘッドの側部カバーを取り外した側面図である。
図5図5は、センサヘッドの光学系の分解斜視図である。
図6図6は、偏光フィルタアタッチメントが取り付けられた状態の図2相当図である。
図7図7は、変位測定装置のブロック図である。
図8A図8Aは、ハーフミラーを用いて変位測定用の受光部と輝度測定用の受光部に分光する例を示す図である。
図8B図8Bは、変位測定用の受光部と輝度測定用の受光部にそれぞれ光を入射させる例を示す図である。
図9A図9Aは、変位測定装置による変位の測定原理を説明する模式図である。
図9B図9Bは、変形例に係る変位測定装置による変位の測定原理を説明する模式図である。
図10図10は、輝度画像が表示されたユーザーインターフェース画像の一例を示す図である。
図11図11は、測定対象物の一例を示す斜視図である。
図12図12は、ウインドウ枠設定後に表示されるユーザーインターフェース画像の一例を示す図である。
図13図13は、変位測定エリアを切り替えた場合のユーザーインターフェース画像の一例を示す図である。
図14図14は、走査モード設定時のフローチャートである。
図15図15は、走査モード設定時のマスター登録フローチャートである。
図16図16は、マスター高さデータ使用時のフローチャートである。
図17図17は、測定ツールとしてエリア高さツールが選択されたときの詳細な設定手順を示すフローチャートである。
図18図18は、ヒストグラムを表示したユーザーインターフェース画像の一例を示す図である。
図19図19は、頻度の閾値を高くした場合の図18相当図である。
図20図20は、分類手法の変形例を説明する図である。
図21図21は、設定情報記憶部に記憶される設定情報の一例を示す図である。
図22図22は、走査モード運転時のフローチャートである。
図23図23は、運転時における高さ測定ステップの処理手順の一例を示すフローチャートである。
図24図24は、運転時における高さ測定ステップの詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0038】
図1は、本発明の実施形態に係る変位測定装置1の運転時を模式的に示すものである。変位測定装置1は、測定対象物Wの所定位置の変位を測定することができる装置またはシステムであり、単に変位計と呼ぶこともできるし、測距計あるいは高さ変位計等と呼ぶこともできる。また、詳細は後述するが、測定光を走査する走査モードで使用する場合には、画像センサに変位計が追加された装置、あるいは変位計の測定箇所が可変になった装置と呼ぶこともできる。また、この実施形態では、測定対象物Wの各部の変位を測定することができるので、三次元測定システムと呼ぶこともできる。また、この実施形態では、変位測定のことを高さ測定ともいう。
【0039】
図1では、測定対象物Wが搬送用ベルトコンベヤB等の搬送装置によって搬送されている場合、即ち測定対象物Wが移動している場合を示しているが、これに限らず、測定対象物Wは静止していてもよい。また、一度に測定可能な測定対象物Wの数は1つまたは複数であり、複数の測定対象物Wの所定位置の変位を一度に測定することも可能である。測定対象物Wの種類は特に限定されない。
【0040】
(変位測定装置1の全体構成)
図1に示す例では、変位測定装置1は、複数のセンサヘッド2と、子機アンプ3と、親機アンプ4と、設定機器5としてのモニタ装置5Aまたはパーソナルコンピュータ5Bとを備えている。センサヘッド2は1つであってもよく、設定機器5が不要な場合の最小構成としては、1つのセンサヘッド2と1つの親機アンプ4である。子機アンプ3と親機アンプ4が統合されたシステムであってもよい。
【0041】
センサヘッド2は、接続線2aを介して子機アンプ3や親機アンプ4に接続され、相互通信可能に構成されている。子機アンプ3は単独では動作することができず、親機アンプ4と接続し、親機アンプ4から電力の供給を受けて動作可能になる。また、子機アンプ3と親機アンプ4とは相互通信可能に構成されている。親機アンプ4には複数の子機アンプ3を接続することが可能になっている。本実施形態では、親機アンプ4のみにEthernetコネクタが設けられており、親機アンプ4も子機アンプ3も、このEthernetコネクタを介してモニタ装置5Aやパーソナルコンピュータ5Bと通信可能となっている。尚、子機アンプ3を省略する、または子機アンプ3の機能を親機アンプ4に取り込むことによって1つのアンプとすることもできる。また、アンプ3、4の機能をセンサヘッド2に取り込むことで、アンプ3、4を省略することもできる。さらに、上述したEthernetコネクタは、親機アンプ4のみならず、子機アンプ3に設けることとしても構わない。
【0042】
外部機器6は、例えばプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)とすることができる。PLCは、搬送用ベルトコンベアB及び変位測定装置1をシーケンス制御するための制御装置であり、汎用の装置を利用することができる。なお、図1は、あくまで変位測定装置1のシステム構成を示す一例である。本発明はこれに限られず、親機アンプ4や子機アンプ3は、IO入出力を備え、直接、外部装置6に接続されていてもよい。この場合、外部装置6からトリガ信号や結果出力信号などの物理的な信号が、外部装置6との間でやりとりされる。また、親機アンプ4にアナログ出力が設けられていてもよい。また、親機アンプ4及び子機アンプ3は、上述したEthernetコネクタを介して、外部機器6と通信してもよい。この場合、Ethernet/IPやPROFINET等、各種公知の通信プロトコルを利用して通信してもよい。
【0043】
また、変位測定装置1は、その運転時において、外部機器6から接続線6aを介して、測定の開始タイミングを規定する測定開始トリガ信号を受信する。そして、変位測定装置1は、この測定開始トリガ信号に基づいて変位の測定や良否判定を行う。その結果は、信号線6aを介して外部機器6へ送信されるように構成することができる。
【0044】
変位測定装置1の運転時には、変位測定装置1と外部機器6との間で、接続線6aを介して測定開始トリガ信号の入力と結果の出力が繰り返し行われる。なお、測定開始トリガ信号の入力や結果の出力は、上述したように、変位測定装置1と外部機器6との間の接続線6aを介して行ってもよいし、それ以外の図示しない通信線を介して行ってもよい。例えば、測定対象物Wの到着を検知するためのセンサ(図示せず)と変位測定装置1とを直接的に接続し、そのセンサから変位測定装置1へ測定開始トリガ信号を入力するようにしてもよい。変位測定装置1は、内部で生成する内部トリガによって動作するように構成することもできる。このように、変位測定装置1は、定期的に内部トリガを発行するモードを有していてもよい。
【0045】
モニタ装置5Aとパーソナルコンピュータ5Bのうち、一方が親機アンプ4に対して接続線5aを介して接続され、相互通信可能に構成されているが、モニタ装置5Aとパーソナルコンピュータ5Bの両方が親機アンプ4に接続されていてもよい。モニタ装置5A及びパーソナルコンピュータ5Bは、変位測定装置1の各種設定や操作を行う操作装置であるとともに、センサヘッド2で撮像された画像や処理後の画像、各種測定値、測定結果、判定結果等を表示する表示装置でもある。モニタ装置5Aは専用品であるが、パーソナルコンピュータ5Bは汎用品を使用することができる。なお、モニタ装置5Aとして、いわゆるプログラマブル表示器などの汎用品を使用してもよいことは言うまでもない。
【0046】
センサヘッド2と子機アンプ3または親機アンプ4との間の通信、親機アンプ4とモニタ装置5Aまたはパーソナルコンピュータ5Bとの間の通信、親機アンプ4と外部機器6との間の通信は、有線によるものであってもよいし、無線によるものであってもよい。親機アンプ4の通信ユニットは、特に限定されるものではないが、例えば、EtherNet/IP、PROFINET、CC-Link、DeviceNet、EtherCAT、PROFIBUS、BCD、RS-232C等を挙げることができる。
【0047】
(モニタ装置5A及びパーソナルコンピュータ5B)
モニタ装置5A及びパーソナルコンピュータ5Bは、それぞれ、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示デバイスで構成された表示部8を備えている。表示部8には、後述するように、センサヘッド2で撮像された画像や、子機アンプ3や親機アンプ4で生成された画像、各種インターフェース等を表示することができるようになっている。
【0048】
モニタ装置5Aは、タッチパネル式の入力部9(図7に示す)を備えており、ユーザが表示部8上のどこにタッチしたか、その入力操作を受け付けることができるように構成されている。パーソナルコンピュータ5Bは、キーボードやマウス、タッチパッド、タッチパネル等からなる入力部9(図7に示す)を備えており、モニタ装置5Aと同様に入力操作を受け付けることができるように構成されている。タッチ操作は、例えばペンによる操作や指による操作であってもよい。
【0049】
(センサヘッド2の構成)
図3図4に示すように、センサヘッド2は、測定光を測定対象物Wに照射するための投光モジュール10と、角度検知センサ22と、測定対象物に一様な照明光を照射するための照明部30と、測定対象物Wから反射した測定光を受光する変位測定用受光部40と、ハウジング50とを備えている。投光モジュール10、角度検知センサ22、照明部30及び受光部40は、ハウジング50の内部に収容されている。図2図5ではセンサヘッド2の上下方向を規定しているが、これは説明の便宜を図るためだけであり、運転時のセンサヘッド2の姿勢を限定するものではなく、どのような向き及び姿勢でセンサヘッド2を使用してもよい。
【0050】
図7に示すように、センサヘッド2はアンプ通信部20とトリガ検知部21とを備えている。アンプ通信部20は、子機アンプ3や親機アンプ4と通信する部分であり、センサヘッド2と子機アンプ3や親機アンプ4との間で信号の送受を行っている。トリガ検知部21は、子機アンプ3や親機アンプ4から出力されたトリガ信号を検知する部分であり、このトリガ信号を検知すると変位の測定を行うように、センサヘッド2の各部に信号が出力される。なお、本実施形態では、センサヘッド2は、子機アンプ3や親機アンプ4から出力されたトリガ信号を検知する構成としているが、例えば後述するラインモードにおいて、センサヘッド2において自動的にトリガ信号を生成してもよい。この場合、トリガ信号を生成するトリガ信号生成部を有していてもよい。
【0051】
(ハウジング50の構成)
図2図3に示すように、ハウジング50は全体として細長い形状とされている。図2に示すように、ハウジング50の長手方向に延びる端壁部51には、投光モジュール10から照射された測定光が出射する測定光投光窓51aと、測定対象物Wから反射した照明光が入射する受光窓51bとが設けられている。測定光投光窓51aと受光窓51bは透明な部材で覆われている。尚、受光窓51bからは照明部30による照明光が照射される。また、ここでいう「透明な部材」は、透明又は半透明のバンドパスフィルタであってもよい。
【0052】
図6に示すように、ハウジング50は、受光窓51bのうち、集光光学系41と対向する第1領域と、発光ダイオード31~34と対向する第2領域とに、それぞれ偏光成分が90度異なるように偏光フィルタ52aが取付可能に構成されている。
【0053】
(投光モジュール10の構成)
図3に示すように、投光モジュール10は、投光部10aと、走査部としてのMEMSミラー15と、これらが取り付けられるモジュール化部材10bとを有している。投光部10aは、測定光源としてのレーザー出力器12と、該レーザー出力器12からの光が入射するコリメートレンズ13及びシリンドリカルレンズ14とを有しており、図3等に示す第1方向に延びる帯状の測定光を生成して測定対象物Wに照射する部分である。測定光源はレーザー出力器12以外の光源であってもよい。
【0054】
レーザー出力器12、コリメートレンズ13及びシリンドリカルレンズ14は、モジュール化部材10bに固定されており、相互の相対的な位置関係が変化しないようになっている。コリメートレンズ13がシリンドリカルレンズ14よりもレーザー出力器12に近い側に配置されている。コリメートレンズ13は、レーザー出力器12から出射された測定光の光線を平行化するためのレンズである。シリンドリカルレンズ14は、第1方向に長軸を有するように配置されており、コリメートレンズ13から出射された測定光が入射し、第1方向に長い帯状の測定光を生成するためのレンズである。従って、レーザー出力器12から出力された測定光はコリメートレンズ13を通過することによって平行化されてからシリンドリカルレンズ14に入射して第1方向に長い帯状の測定光になる。また、コリメートレンズ13及びシリンドリカルレンズ14との間には絞り部材16が配設されている。コリメートレンズ13及びシリンドリカルレンズ14は、投光レンズの一例である。投光レンズの構成はこれに限られるものではない。
【0055】
図7に示すように、センサヘッド2はレーザー制御部12aを備えている。レーザー制御部12aは、レーザー出力器12からのレーザー光の出力/停止制御を実行する部分である。その具体的な制御については後述する。
【0056】
(MEMSミラー15の構成)
MEMSミラー15は、投光部10aのシリンドリカルレンズ14から出射された測定光を、第1方向と交差する第2方向(図3等に示す)に走査することが可能に構成された部材である。この実施形態では、第2方向が第1方向に対して直交しているが、これに限られるものではなく、第1方向と第2方向との交差角度は任意に設定することができる。また、図1において第1方向を搬送用ベルトコンベアBの幅方向とし、第2方向を搬送用ベルトコンベアBによる搬送方向とすることもできるし、その逆にすることもできる。
【0057】
MEMSミラー15は従来から周知のものであるため、詳細な説明は省略するが、測定光を第2方向に走査可能な走査ミラーと、この走査ミラーを動かす駆動部とを有している。走査ミラーがシリンドリカルレンズ14の光出射面と対向するように、MEMSミラー15がモジュール化部材10bに固定されている。MEMSとは、Micro Electro Mechanical Systemsのことであり、いわゆる微小電気機械システムのことである。この微小電気機械システムを用いることで、小型化を図りながら、走査ミラーの角度、即ち測定光の反射角度(測定光の照射角度)を高速でかつ小ピッチで変更することができるように構成されている。なお、MEMSミラー15は、別の言い方をすれば、1枚のミラーを1軸で回転可能なものと表現することもできる。また、2軸からなるMEMSミラーも考えられ、この場合、シリンドリカルレンズ14を使わなくてもよい。すなわち、2軸のうちの一方でレーザー走査を行うとともに、他方でレーザーを広げる(シリンドリカルレンズ14と同等の機能をもたせる)ようにしてもよい。
【0058】
モジュール化部材10bは、MEMSミラー15で反射された測定光を外部に照射させることができるように透光部を有している。このモジュール化部材10bの透光部がハウジング5の測定光投光窓51aに向くように、モジュール化部材10bがハウジング5に固定されている。従って、MEMSミラー15で反射された測定光は、モジュール化部材10bの透光部及びハウジング5の測定光投光窓51aを通って測定対象物Wに照射されることになる。
【0059】
図7に示すように、MEMSミラー15はミラー制御部15aを備えている。ミラー制御部15aは、MEMSミラー15の動作、即ち走査ミラーの角度調整、変更を実行する部分である。MEMSミラー15の具体的な制御については後述する。
【0060】
走査部は、MEMSミラー15以外にも、ガルバノミラー、ステッピングモーターで回動するミラー等で構成することができ、測定光を走査可能なデバイスであればよい。
【0061】
(変位測定用受光部40の構成)
図3に示すように、変位測定用受光部40は、測定対象物Wから反射した測定光を受光し、変位測定用の受光量分布を出力するとともに、測定対象物Wから反射した照明光(照明部30から照射された光)を受光し、輝度測定用の受光量分布を出力する2次元の受光素子からなるイメージセンサで構成することができる。この実施形態では、集光光学系41を有しており、測定光及び照明光は集光系光学系41を通して変位測定用受光部40の受光素子に達することになる。変位測定用受光部40の受光素子は特に限定されるものではないが、集光系光学系41を通して得られた光の強度を電気信号に変換するCCD(charge-coupled device)イメージセンサやCMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサ等である。集光系光学系41は、外部から入射する光を集光するための光学系であり、典型的には一以上の光学レンズを有している。集光系光学系41の光軸と、投光部10aの光軸とは交差する関係となっている。
【0062】
この実施形態では、1つの変位測定用受光部40で変位測定用の受光量分布と輝度測定用の受光量分布の両方を出力可能に構成しているが、これに限られるものではない。例えば図8Aに示すように、変位測定用の受光部40Aと輝度測定用の受光部40Bをハウジング50の内部に配設し、さらにハーフミラーMをハウジング50の内部に配設し、ハウジング5内に入射した光(測定光及び照明光)をハーフミラーMによって分光して変位測定用の受光部40A及び輝度測定用の受光部40Bに入射させるようにしてもよい。
【0063】
また、図8Bに示すように、変位測定用の受光部40Aと輝度測定用の受光部40Bをハウジング50の内部に配設し、各々の光入射方向を、測定対象物Wに向く方向としてもよい。この場合、測定対象物Wで反射した測定光及び照明光がそれぞれ変位測定用の受光部40Aと輝度測定用の受光部40Bに入射することになる。
【0064】
図7に示すように、変位測定用受光部40は撮像制御部40aを備えている。撮像制御部40aは、変位測定用受光部40による受光制御を実行する部分である。撮像制御部40aによる具体的な制御については後述する。
【0065】
(照明部30の構成)
照明部30は、第1方向または第2方向に互いに離れて配設された複数の発光ダイオードを有しており、測定対象物Wに対して異なる方向から光を照射可能に構成されている。具体的には、図3図5に示すように、照明部30は、第1発光ダイオード31、第2発光ダイオード32、第3発光ダイオード33及び第4発光ダイオード34と、これら発光ダイオード31~34が取り付けられる板状の取付部材30aとを有している。取付部材30aは、ハウジング50の端壁部51に沿うようにかつ受光窓51bに臨むように配設されている。取付部材30aの中央部には、該取付部材30aを上下方向に貫通する貫通孔30bが形成されている。この貫通孔30bと一致するように、集光系光学系41の入射側が配置されており、測定対象物Wで反射した測定光及び照明光は取付部材30aの貫通孔30bを通って集光系光学系41に入射するようになっている。
【0066】
第1~第4発光ダイオード31~34は、取付部材30aの貫通孔30bを囲むように配置され、下方に光を照射する姿勢となっている。したがって、第1~第4発光ダイオード31~34の光照射方向と、測定光の光軸とは交差する関係になる。
【0067】
図7に示すように、照明部30は照明制御部35を備えている。照明制御部35は、第1~第4発光ダイオード31~34の点灯/消灯制御や明るさ調整を実行する部分である。第1~第4発光ダイオード31~34の具体的な制御については後述する。
【0068】
この実施形態では、照明部30がセンサヘッド2に設けられていて変位測定用受光部40と一体化されているが、これに限らず、照明部30をセンサヘッド2と別体としてもよい。また、発光ダイオードの数は4つに限られるものではなく、任意の数にすることができる。
【0069】
(角度検知センサ22の構成)
図5に示すように、角度検知センサ22は、測定対象物Wの測定位置を含む領域に測定光が照射されたときのMEMSミラー15による測定光の走査角度を検出するためのセンサである。角度検知センサ22は、MEMSミラー15の走査ミラーにより走査される測定光の第1方向端部の光が受光可能な位置に設けられており、図7に示すように、第2方向に並んだ複数の画素を有する1次元の受光素子22aと、演算処理を行う角度検出部22bとを有している。測定光の第1方向端部の光を受光素子22aに入射させると、第2方向に並んだ複数の画素のうち、いずれかの画素及びその画素近傍の画素に該光が当たることになり、画素間で受光量に明確な差が生じることになる。第2方向に並んだ複数の画素のうち、受光量が最も高くなる画素と、測定光の走査ミラーからの出射角度とを予め得ておけば、角度検出部22bが受光素子22aから出力された受光量分布に基づいて測定光の走査ミラーからの出射角度を検出することができる。測定光の走査ミラーからの出射角度は、走査ミラーの照射角度を検出するということもできるので、角度検出部22bは走査ミラーの照射角度を検出する部分でもある。受光素子22aは、1次元のCMOSセンサであってもよいし、1次元の光位置センサ(PSD:Position Sensitive Detector)であってもよい。
【0070】
また、角度検知センサ22の構成は上述した構成に限られるものではなく、測定光の光源とは別に角度検出用の参照光を照射する光源を設け、参照光を走査ミラーに向けて当て、走査ミラーからの反射光を光位置センサ等に入射させ、その出力に基づいて角度情報を得る構成であってもよい。また、MEMSミラー15の内部に角度検出センサを内蔵していてもよい。この場合、例えば逆起電力方式のセンサやピエゾ信号方式のセンサ等がある。さらに、本実施形態では、走査部としてMEMSミラー15を採用しているが、走査部としてガルバノミラーを採用した場合には、角度検知センサ22は、ガルバノミラーからの(リアルタイム)角度フィードバックを検出するセンサを利用することができる。
【0071】
(設定情報記憶部23の構成)
図7に示すように、センサヘッド2には、各種メモリ等で構成された設定情報記憶部23が設けられている。設定情報記憶部23には、子機アンプ3や親機アンプ4から送信された様々な設定情報を記憶することができるようになっている。設定情報記憶部23に記憶される具体的な内容については後述する。設定情報記憶部23は、子機アンプ3や親機アンプ4に搭載されていてもよいし、センサヘッド2と子機アンプ3の両方に搭載されていてもよい。
【0072】
(測定原理の説明)
ここでセンサヘッド2により得られた各情報に基づいて測定対象物Wの所定位置の変位を測定する原理について説明する。基本的には三角測距の原理を用いており、図9A図9Bに模式的に示している。図9Aは、本実施形態で採用している方式であり、図9Bは、変形例となる方式であるが、いずれを採用しても構わない。図9A及び図9Bにおいて、投光部10aから照射された測定光はMEMSミラー15の動作によって第2方向に走査されて測定対象物Wに照射される。符号WAは、測定対象物Wの相対的に高い面を示し、符号WBは、測定対象物Wの相対的に低い面を示している。以下、図9Aの測定原理と、図9Bの測定原理(変形例)について詳述する。
【0073】
図9Aでは、測定対象物Wの高さをZ、投光軸角度をθ2とする。投光軸角度θ2は、角度検知センサ22により検知可能である。三角測距の原理に従えば、変位測定用受光部40における第2方向(Y方向)の位置y(Y座標)と、投光軸角度θ2が求まれば、Zは一意に特定することができる。そこで、y、θ2、Zの各値を実験によって様々なパターンで計測し、(y,θ2,Z)を一組とするデータセットを、テーブルとして変位測定装置1に予め記憶させておくことができる。変位測定装置1の運転時には、検出されたyとθ2から、テーブルを参照してZを得ることができる。また、テーブルにない値は、補間処理によって得ることができる。さらに、変位測定装置1に予めテーブルを記憶させておかなくても、(y,θ2)からZを求めるための近似式を用意しておき、変位測定装置1の運転時には、その近似式を使ってZを算出するようにしてもよい。
【0074】
ここで、図9Aでは、第2方向(Y方向)における測定位置(Y座標)と投光軸角度θ2とに基づいて高さZを求めるようにしているが、本発明はこれに留まらず、第1方向(図9Aでは紙面奥行方向)及び第2方向における測定位置(X座標及びY座標)と投光軸角度θ2とに基づいて高さZを求めるようにしてもよい。これは、本来、第1方向に真っ直ぐ延びた測定光(レーザー)と、変位測定用受光部40の受光素子22aの並び方向(図9Aでは紙面奥行方向)とは、完全に平行であることが望ましいところ、製造時の組み付けズレによって、これらが非平行となる場合がある。また、光学バラつきによって、レーザー自体が第1方向に沿って湾曲した形状になる場合もある。このような場合に、第2方向のY座標だけで測定位置を決めると、正しい変位測定が困難になる。そこで、第1方向(X方向)における測定位置(X座標)も加味した上で、高さZを求めてもよい。つまり、x、y、θ2、Zの各値を実験によって様々なパターンで計測し、(x,y,θ2,Z)を一組とするデータセットを、テーブルとして変位測定装置1に予め記憶させておく。そして、運転時には、(x,y,θ2)という3つのパラメータに基づいて、高さZを求めるようにしてもよい。これにより、より高精度な変位測定が可能になる。なお、上述したように、テーブルを記憶する方式に留まらず、運転時に近似式を使ってZを算出するようにしても構わない。また、上述した(x,y,θ2,Z)を一組とするデータセットは、いわゆる校正データに相当し、製品出荷時に予め記憶しておいてもよい。具体的には、校正用ワークの高さZを変えながら(x,y)におけるθ2を求めると、x軸,y軸,θ2軸を3軸とする3次元空間座標に高さZがプロットされた、校正データを得ることができる。運転時には、(x,y,θ2)を求めると、3次元空間座標における1点を一意に特定することができ、その結果、その1点に対応する高さZを特定することができる。
【0075】
次に図9Bの変形例について説明する。図9Bでは、測定対象物Wの高さをZ、投受光間距離をA(図中の矢印参照)、受光軸角度をθ1、投光軸角度をθ2とする。受光軸角度θ1は変位測定用受光部40における測定光の受光位置により検出可能であり、また、投光軸角度θ2は角度検知センサ22により検出可能である。Aは既知であり、変位測定装置1に記憶させておく。Zは、特定の計算式により、A、θ1及びθ2を用いて算出することが可能である。特定の計算式について一例を挙げる。まず、図9Aの右方向を+X方向、図9Aの上方向を+Y方向とする、2次元座標平面を考え、その座標平面の原点を、MEMSミラー15の回転軸の位置とする。すると、図9Aにおいて角度θ2で示す投光軸の直線は、y=tanθ2(直線の傾き)×xという1次方程式で表される。また、図9において角度θ1で示す受光軸の直線は、y=tanθ1(直線の傾き)×x+Atanθ1(切片)という1次方程式で表される。Zは、これら両直線の交点のy座標に相当するから、連立1次方程式を解いてy座標を求めると、-{Atanθ1tanθ2/(tanθ2-tanθ1)}で表される。すなわち、MEMSミラー15の回転軸の位置から符号WBまでの距離は、このy座標の絶対値である。そして、MEMSミラー15の回転軸の位置からハウジング50までの距離は既知であるので、その分を差し引くと、Zを求めることができる。なお、このような計算式で算出してもよいし、Z、θ1、θ2の各値を実験によって様々なパターンで計測し、テーブルとして変位測定装置1に記憶させておき、変位測定装置1の運転時には、検出されたθ1、θ2からテーブルを参照してZを得ることもできる。テーブルに無い値は補間処理によって得ることができる。テーブルを用いることなく、都度、計算するようにしてもよい。なお、図9Bに示す受光軸角度をθ1は、受光量分布の第2方向におけるピーク位置と一対一の対応関係にある。
【0076】
(アンプの構成)
図7は子機アンプ3の構成について示している。以下の説明では、子機アンプ3が各機能を実行するものとして説明するが、これら機能の全てを子機アンプ3が備えていてもよいし、一部または全部を親機アンプ4が備えていてもよい。また、子機アンプ3の機能の一部または全部をセンサヘッド2が備えていてもよい。さらに、子機アンプ3の機能の一部または全部をモニタ装置5Aまたはパーソナルコンピュータ5Bが備えていてもよい。
【0077】
子機アンプ3は、センサヘッド通信部300と、トリガ制御部301と、記憶部320とを備えている。センサヘッド通信部300は、センサヘッド2と通信する部分であり、子機アンプ3とセンサヘッド2との間で信号の送受信を行っている。トリガ制御部301は、トリガ信号をセンサヘッド2へ送出する部分である。外部機器6から接続線6aを介して測定の開始タイミングを規定する測定開始トリガ信号が入力されると、トリガ制御部301がトリガ信号を生成して送出するように構成されている。トリガ信号は周期的なトリガ信号であってもよい。
【0078】
(輝度画像生成部302の構成)
図7に示す例では、子機アンプ3は、輝度画像生成部302も備えている。輝度画像生成部302は、測定対象物Wから反射した照明光をセンサヘッド2の変位測定用受光部40が受光したときに変位測定用受光部40から出力される輝度測定用の受光量を得て、その輝度測定用の受光量分布に基づいて測定対象物の輝度画像を生成するように構成されている。輝度画像生成部302は、図8A及び図8Bに示す例の場合、輝度測定用の受光部40Bから出力される輝度測定用の受光量分布に基づいて測定対象物の輝度画像を生成する。生成される輝度画像は、変位測定用受光部40から出力される輝度値が低いほど黒く、輝度値が高いほど白くなる画像することができ、白黒画像であってもよいし、カラー画像であってもよい。なお、輝度画像の生成方法については、如何なる方法を採用しても構わない。例えば、輝度測定用の受光量分布をそのまま輝度画像として採用してもよいし、或いは、センサヘッド2における前処理として、FPN補正やHDR補正などの各種処理を行ってもよいし、子機アンプ3における前処理として、ハレーション除去を実行するための合成処理を行ってもよい。
【0079】
輝度画像生成部302で生成された輝度画像は、図10に示すようにユーザーインターフェース画像70に組み込まれた状態で表示部8に表示される。ユーザーインターフェース70は、図7に示すように子機アンプ3が有するUI生成部303によって生成される。ユーザーインターフェース画像70には画像表示領域71が設けられており、この画像表示領域71に輝度画像が表示される。画像表示領域71に表示される輝度画像は、現在の測定対象物Wを撮像した画像、いわゆるライブビュー画像であってもよいし、静止画であってもよい。従って、表示部8は、輝度画像生成部302により生成された輝度画像を表示可能な部分である。
【0080】
表示部8は、輝度画像上のX座標が第1方向の座標となり、輝度画像上のY座標が第2方向の座標となるように、該輝度画像を表示するように構成されている。表示部8に表示された状態にある輝度画像上のX方向は横方向であり、Y方向は縦方向である。
【0081】
UI生成部303は図10に示すユーザーインターフェース画像70の他にも後述するような様々なユーザーインターフェース画像を生成することができるようになっている。なお、本実施形態では、UI生成部303は、子機アンプ3に設けることとしているが、モニタ装置5A又はパーソナルコンピュータ5B側に設けることとしてもよい。
【0082】
尚、図10に示すユーザーインターフェース画像70に表示されている測定対象物Wは、図11に示すような形状となっている。すなわち、測定対象物Wは基板W1と、孔部W2と、第1円柱部W3と、2つの第2円柱部W4とを備えている。第2円柱部W4は第1円柱部W3よりも高さが高くなっている。
【0083】
(設定部304の構成)
図7に示すように、子機アンプ3は、設定部304も備えている。設定部304は、表示部8に表示された輝度画像上で、測定対象物Wの表面のうち、変位測定の候補位置の設定及び当該候補位置を含む測定候補領域の設定を受け付ける部分である。ユーザが、測定対象物Wの中で変位の測定を行いたい部分があるとき、その部分を表示部8に表示された輝度画像上でタッチ操作すると、設定部304がタッチ操作された位置を例えばXY座標で特定し、特定された位置を変位測定の候補位置として設定する。つまり、設定部304は、ユーザによる変位測定の候補位置の入力操作が行われたことを検出して変位測定の候補位置を特定する。これにより、ユーザによる変位測定の候補位置の設定を受け付けることができる。
【0084】
また、設定部304は、変位測定の候補位置を含む測定候補領域の設定も可能となっている。すなわち、図10に示すユーザーインターフェース画像70には、ウインドウ形状設定部72が設けられている。このウインドウ形状設定部72には、矩形ボタン72aと、円ボタン72bとが設けられている。設定部304は、矩形ボタン72aが操作されたことを検出すると、矩形のウインドウ枠73を輝度画像に重畳表示させる。このとき、変位測定の候補位置がウインドウ枠73内に位置するように当該ウインドウ枠73を表示できる。円ボタン72bが操作された場合には、円形のウインドウ枠(図示せず)を同様に輝度画像に重畳表示させる。尚、ウインドウ枠73の形状は矩形及び円形以外の形状であってもよく、測定対象部分の形状に合わせて選択できる。
【0085】
設定部304は、ウインドウ枠73で囲まれた領域を変位測定の候補位置を含む測定候補領域として設定し、受け付ける。ウインドウ枠73は、ユーザが表示部8に表示された輝度画像上でタッチ操作することによって当該輝度画像上の任意の位置に移動させることができる。
【0086】
ウインドウ枠73は、測定ツールの一つとすることができ、このウインドウ枠73で囲まれた領域の高さを測定するためのエリア高さツールである。エリア高さツールでは、高さごとに分割された複数のエリアの中から測定したいエリアを選択することができ、選択したエリアの高さの平均値を測定値として出力することができる。測定ツールとしては、他にも、例えば測定対象物Wの段差の大きさを測定する段差ツール、高さ面積ツール、測定対象物Wの位置を補正する位置補正ツール等があるが、これら以外の測定ツールを設けてもよい。
【0087】
図10に示すユーザーインターフェース画像70の矩形ボタン72aまたは円ボタン72bが操作されると、上記ウインドウ枠73を表示させるとともに、図12に示すユーザーインターフェース画像70のようにサイズ設定ボタン80が表示される。サイズ設定ボタン80は、ウインドウ枠73の大きさを設定するためのボタンであり、ウインドウ枠73を最も小さくする「小」、ウインドウ枠73を標準の大きさにする「標準」、ウインドウ枠73を最も大きくする「大」の中から選択可能になっている。
【0088】
図10に示すユーザーインターフェース画像70には、マスク設定ボタン74が設けられている。マスク設定ボタン74は、ウインドウ枠73内で変位測定が不要な部分がある場合に、その不要な部分をマスク処理する際に使用するボタンである。マスク設定ボタン74を操作すると、マスク領域を示すマスク枠(図示せず)が輝度画像に重畳表示され、このマスク枠を任意の位置に配置し、任意の大きさに操作することで、変位測定が不要な部分をマスク処理することができ、後述する分類時にマスク処理した部分の変位を使用しないようにすることができる。
【0089】
変位測定の候補位置及び測定候補領域の設定は、MEMSミラー15による測定光の走査可能範囲内でのみ受け付けるようにすることができる。MEMSミラー15による測定光の走査可能範囲は予め記憶させておくことができ、測定光の走査可能範囲外に変位測定の候補位置及び測定候補領域が設定されても変位を測定することはできないので、測定光の走査可能範囲外には変位測定の候補位置及び測定候補領域を設定できないようにする。測定光の走査可能範囲外に変位測定の候補位置及び測定候補領域が行われると、その操作を受け付けないようにしてもよいし、測定光の走査可能範囲外にあることをユーザに報知するようにしてもよい。
【0090】
(エッジ抽出部306の構成)
エッジ抽出部306は、輝度画像における測定対象物Wのエッジを抽出するように構成された部分である。エッジとは、広義には測定対象物Wの輪郭、外形線と定義できる。エッジ抽出処理自体は従来から周知の手法を用いることができ、例えば、輝度画像上の各画素の画素値を取得し、輝度画像上の画素値の変化がエッジ検出用の閾値以上となる領域が存在する場合に、その境界部分がエッジであるとして抽出する。エッジ抽出の閾値は使用者が任意に調整することができる。
【0091】
具体的には、測定対象物Wの輪郭、外形線であると推定される部位がエッジとして抽出される。測定対象物Wのエッジは、エッジ表示線にて表示される。エッジ表示線は、例えば、太線、破線、赤色や黄色等の目立つ色の線等で構成することができるが、これらに限られるものではなく、点滅表示する形態等であってもよい。
【0092】
(測定制御部305の構成)
図7に示す測定制御部305は、設定部304により設定された変位測定の候補位置及び設定部304により設定された測定候補領域に測定光が照射されるように投光部10a及びMEMSミラー15を制御するように構成されており、このとき、設定部304で受け付けた領域のみに測定光が照射されるように投光部10a及びMEMSミラー15を制御するようにしてもよいし、設定部304で受け付けた領域以外にも測定光が照射されるように投光部10a及びMEMSミラー15を制御するようにしてもよい。
【0093】
測定制御部305は、選択された測定ツールの測定領域の大きさに応じて測定位置を走査する測定光のピッチを変えるように構成されている。例えば、測定候補領域の大きさが大きいと測定光のピッチが大きくなり、測定候補領域の大きさが小さいと測定光のピッチが小さくなる。
【0094】
(モード選択部309の構成)
図7に示すように子機アンプ3はモード選択部309も備えている。モード選択部309は、変位測定装置1の運転時におけるモードの選択を可能にする部分であり、MEMSミラー15による走査を行わずに測定光を測定対象物Wに照射するラインモードと、測定光をMEMSミラー15によって走査して測定対象物Wに照射する走査モードとのうち、任意のモードをユーザが選択できる。ラインモードで変位を測定可能な場合には、測定光を走査しない分、高速に測定を完了することができる。一方、広い範囲を測定する場合には走査モードで対応することができる。ラインモードと走査モードの選択手段は、例えばUI生成部303でモード選択用のユーザーインターフェース(図示せず)を生成して表示部8に表示させ、ユーザの選択をユーザーインターフェース上の操作によって受け付ける構成とすることができる。
【0095】
測定制御部305は、モード選択部309により走査モードが選択されている場合に、測定対象物WのY方向(第2方向)の異なる位置に測定光が順次照射されるように投光部10a及びMEMSミラー15を制御する。一方、測定制御部305は、モード選択部309によりラインモードが選択されている場合に、測定対象物Wの第2方向の同一の位置に測定光が照射されるように投光部10a及びMEMSミラー15を制御するように構成されている。これによりモードの切替が実行される。
【0096】
測定制御部305は、モード選択部309によりラインモードが選択されている場合に、走査ミラーを動作させずに、測定対象物Wの第2方向の同一の位置に測定光を照射するように構成されている。また、測定制御部305は、モード選択部309によりラインモードが選択されている場合に、走査ミラーを動作させて、第2方向の互いに近接する複数の位置に測定光を照射するように構成されている。
【0097】
走査モードとラインモードとのいずれが選択されているかは、記憶部320の設定情報記憶部320fに記憶されている。
【0098】
(出射方向調整部310の構成)
図7に示すように子機アンプ3は出射方向調整部310も備えている。出射方向調整部310は、モード選択部309によりラインモードが選択されている場合に、測定光の出射方向を第2方向について調整するための部分である。出射方向の調整は例えばユーザがユーザーインターフェース上で行うことができる。
【0099】
(照射角度特定部311の構成)
図7に示すように子機アンプ3は照射角度特定部311も備えている。照射角度特定部311は、変位測定用受光部40から出力される測定位置に対応する受光素子の画素位置の受光量を連続的に取得し、測定光が測定位置に照射されたときの走査ミラーの照射角度を特定する部分である。測定対象物Wの測定位置を含む領域に測定光が照射されたときのMEMSミラー15による測定光の走査角度は、上述した角度検知センサ22で取得することができ、この角度検知センサ22からの出力値に基づいて、測定光が測定位置に照射されたときの走査ミラーの照射角度を算出することができる。得られた走査ミラーの照射角度は、測定光が測定位置に照射されたときの走査ミラーの照射角度として特定される。特定された走査ミラーの照射角度は記憶部320に記憶される。なお、測定光の照射角度を特定するにあたり、角度検知センサ22を用いなくても、MEMSミラー15への駆動信号に基づいて大まかな照射角度は特定することができる。しかし、温度特性の変化や経時変化などを考慮すると、正確な照射角度を知るためには、角度検知センサ22等によって角度測定することが好ましい。
【0100】
(変位取得部312の構成)
図7に示すように子機アンプ3は変位取得部312も備えている。変位取得部312が用いている測定原理は、上述した三角測距の原理である。変位取得部312は、設定部304により設定された変位測定の候補位置に照射された測定光が該変位測定の候補位置から反射して変位測定用受光部40で受光されることによって変位測定用受光部40から出力された変位測定用の受光量分布に基づいて、該変位測定の候補位置の変位を測定する。また、変位取得部312は、変位測定の候補位置から反射した測定光だけでなく、変位測定の候補位置を含む測定候補領域から反射した測定光に基づいて変位を測定することもできる。
【0101】
変位取得部312の構成は上述した構成に限られるものではなく、測定対象物Wに縞模様を投影する縞投影パターン法、複数のカメラによるステレオカメラを用いた方法、TOF(Time Of Flight)距離計測技術を用いた方法等であってもよい。また、測定候補領域を設定する際の画像は、輝度画像であってもよいし、高さ画像であってもよい。
【0102】
図10に示すユーザーインターフェース画像70では、ウインドウ枠73で囲まれた領域が測定候補領域であるので、この測定候補領域の高さを変位取得部312が測定する。変位取得部312は、測定候補領域内の各部の変位を取得した後、測定候補領域内で最も変位が大きい(高さが高い)エリアを自動的に選択して現在の変位測定エリアとする。「自動的」とは、変位取得部312が測定候補領域内の複数の変位を取得した後に、ユーザが特別な操作を行うことなく、測定候補領域内で最も変位が大きいエリアをすぐに選択して変位測定エリアとすることである。
【0103】
この実施形態では、測定対象物Wが図11に示す形状なので、測定候補領域内で最も変位が大きい部分は、2つの第2円柱部W4であり、これら第2円柱部W4の上面が輝度画像上で他の部分と識別可能に表示されて変位測定エリアとなっている。図10では、第2円柱部W4の上面を黒く塗りつぶしているが、これに限らず、例えば目立つ色で着色したり、模様を付すことによって変位測定エリアを識別可能に表示してもよい。
【0104】
上述したマスク処理は、測定候補領域内で最も変位が大きいエリアが自動的に選択された後に行うこともできる。最も変位が大きいエリアがどのあたりであるかを輝度画像上で確認しながら、不要な箇所を的確にマスク処理できる。つまり、ユーザは、測定候補領域をウインドウ枠73よりも狭い範囲に自由に絞ることができる。
【0105】
図12に示すユーザーインターフェース画像70には、「低く」ボタン85aと、「高く」ボタン85bと、感度調整ボタン85cとが設けられている。「低く」ボタン85aは、現在表示されている変位測定エリアの次に変位が低いエリアを変位測定エリアとする場合に操作するボタンである。現在表示されている変位測定エリアの次に変位が低いエリアは測定対象物Wの第1円柱部W3の上面であることから、変位取得部312は、「低く」ボタン85aが操作されたことを検出すると、図13に示すように、測定対象物Wの第1円柱部W3の上面が輝度画像上で他の部分と識別可能に表示されて変位測定エリアとなる。
【0106】
図示しないが、「低く」ボタン85aがもう一度操作されると、次に低いエリアである測定対象物Wは基板W1の上面が輝度画像上で他の部分と識別可能に表示されて変位測定エリアとなる。このように、「低く」ボタン85aを操作することで、低いエリアが順次変位測定エリアに切り替わる。
【0107】
図12では、「高く」ボタン85bを破線で示している。これは、図12では、最も高いエリアが変位測定エリアとなっているので、それよりも高いエリアがないためであり、「高く」ボタン85bが操作できないようになっている。同様に、最も低いエリアが変位測定エリアとなっている場合には、「低く」ボタン85aが操作できない表示形態で表示される。
【0108】
図13に示すように、測定対象物Wの第1円柱部W3の上面が変位測定エリアとなっているときには、当該エリアよりも高いエリアが存在することから、「高く」ボタン85bが操作可能な表示形態になる。変位取得部312は、「高く」ボタン85bが操作されたことを検出すると、図12に示すように、測定対象物Wの第2円柱部W4の上面が変位測定エリアとなる。
【0109】
つまり、ユーザは、「低く」ボタン85a及び「高く」ボタン85bを操作することで、所望のエリアを変位測定エリアとして選択することができ、変位測定エリアを表示部8で確認することができる。選択されたエリアは、変位測定エリアとして記憶部320に記憶される。
【0110】
また、ユーザは、ウインドウ枠73内の任意のエリアをタッチすることによっても変位測定エリアを選択できる。例えば、測定対象物Wの第2円柱部W4の上面をタッチすれば、第2円柱部W4の上面が変位測定エリアとなる。
【0111】
以上のように、「低く」ボタン85a及び「高く」ボタン85bを操作することによる変位測定エリアの検出方法と、ウインドウ枠73内の任意のエリアをタッチすることよる変位測定エリアの検出方法とがあり、これらの検出方法を「選択したエリア」による検出方法という。
【0112】
その他にも、ウインドウ枠73内で最も高い面を変位測定エリアとして検出する検出方法と、ウインドウ枠73内で最も低い面を変位測定エリアとして検出する検出方法とがある。その他にも、詳細は後述するが、ヒストグラム上をタッチすることによっても変位測定エリアを選択することができる。
【0113】
また、ピークが一番高いもの、即ち重み付きの頻度が最も高いものを変位測定エリアとして検出してもよいし、頻度と変位の組み合わせを用いて変位測定エリアを検出してもよいし、ユーザが選んだエリアに頻度が近いエリアを変位測定エリアとして検出してもよいし、例えば塗りつぶしの形状のようにユーザが選んだものにXY方向の配置が近いものを変位測定エリアとして検出してもよいし、運転モード中にユーザが選んだエリアに近いエリアを変位測定エリアとして検出してもよい。
【0114】
段差ツールでは、測定対象物Wの表面における任意の2点の高さの差を検出することができる。このツールでは、任意の2点を設定する必要があり、1点を基準点とし、もう1点を変位測定の候補位置とすることができる。いずれの点を設定する際も、上述した方法を適用することができる。
【0115】
なお、変位取得部312の機能は、センサヘッド2と子機アンプ3とに分割させるようにしてもよい。
【0116】
(設定時及び運転時の具体例)
次に、変位測定装置1の設定時及び運転時の具体例について説明する。図14は、変位測定装置1の走査モードの設定時に行う手順を示すフローチャートである。
【0117】
(走査モードの設定時)
走査モードの設定時のフローチャートにおけるステップSA1は、外部トリガや内部トリガ等を設定するステップであり、どのようなトリガ信号でどのように動作するかを設定する。トリガ条件の設定が行われると子機アンプ3やセンサヘッド2に設定情報が送られ、センサヘッド2はこの条件で動作するようになる。
【0118】
ステップSA2では、輝度画像の明るさ設定が行われる。明るさ設定とは、露光時間、照明光量、撮像モード(HDRの有無)などのことである。HDRとは、ハイダイナミックレンジ処理のことである。明るさ設定は自動で行うこともできるし、手動で行うこともできる。
【0119】
ステップSA3では、マスター登録を行う。マスターとは、輝度画像及び視野全体の3次元データのことである。ここで、3次元データは、高さ情報を含んでいるので高さデータと呼ぶこともできるし、変位情報を含んでいるので変位データと呼ぶこともできる。3次元データ、高さデータ及び変位データは同じ意味である。
【0120】
センサヘッド2が測定対象物Wの輝度画像を取得するとともに、測定対象物Wの全体に測定光を走査して変位を測定し、高さデータを取得する。輝度画像と高さデータとを対応させて図7に示す高さ画像記憶部320bに記憶させる。ステップSA3では、異なるピッチで測定光を走査して複数の高さデータを取得しておくことができる。尚、複数の高さデータを取得するにあたっては、種々の方法が考えられる。例えば、予め定められた最も細かいピッチで測定光を走査し、一の高さデータを取得し、このピッチよりも粗いピッチ(分解能が粗いピッチ)については、この一の高さデータを間引くことによって生成するようにしてもよい。さらには、マスター登録は省略してもよい。
【0121】
ステップSA4では、測定ツールの選択を行う。測定ツールを選択すると、ステップSA5に進み、各ツールの設定を行う。測定ツールの設定順に決まりはないが、処理順は位置補正ツールが最初に行われるようになっている。位置補正ツールは他の全測定ツールに対して1つだけ設定できるようにしてもよいし、他の測定ツール毎に個別に設定するようにしてもよい。
【0122】
ステップSA6において測定ツールの追加が完了したか否かを判定し、測定ツールの追加が完了していない場合には、ステップSA4、SA5を経て測定ツールを追加する。測定ツールの追加が完了すると、ステップSA7に進む。ステップSA7では、出力割り当てを設定する。その後、ステップSA8において総合判定条件を設定する。
【0123】
(走査モードの設定時のマスター登録)
次に、走査モードの設定時のマスター登録について詳細に説明する。図示しないが、マスター登録開始ボタンを操作することでマスター登録が開始される。図15に示すマスター登録フローチャートのステップSB1では、照明部30の第1~第4発光ダイオード31~34を点灯させる。ステップSB2では、輝度画像を撮像する。画像データは、例えば子機アンプ3の画像データ記憶部320d(図7に示す)に記憶される。
【0124】
ステップSB3では、輝度画像全体の変位を測定可能となるようにMEMSミラー15を制御する。ステップSB4では、レーザー出力器12から発光させて帯状の測定光を測定対象物Wに照射する。ステップSB5で撮像し、ステップSB6で変位を測定する。尚、このとき撮像した画像は子機アンプ3に転送せずにセンサヘッド2において変位測定を実行するようにしてもよい。また、ステップSB5で撮像した画像からピーク位置の座標を算出する処理までをセンサヘッド2で行い、ピーク位置から実際の測定値への演算を子機アンプ3が行うように構成することもできる。
【0125】
ステップSB7では、全ての測定データを使ってマスター高さデータ1を生成し、輝度画像の各画素に対して高さデータをマッピングする。ステップSB8では、2N回目の測定か否かを判定する。2N回目の測定であればステップSB9に進み、2N回目の測定でなければステップSB12に進む。ステップSB9では、2N回目の測定データのみを使ってマスター高さデータ2を生成し、輝度画像の各画素に対して高さデータをマッピングする。ステップSB10では、4N回目の測定か否かを判定する。4N回目の測定であればステップSB11に進み、4N回目の測定でなければステップSB12に進む。ステップSB11では、4N回目の測定データのみを使ってマスター高さデータ3を生成し、輝度画像の各画素に対して高さデータをマッピングする。ステップSB7、SB9、SB11は並行して行うようにしてもよい。
【0126】
ステップSB12では測定が完了したか否かを判定し、測定が完了していない場合にはステップSB3に進み、上述した手順を再び行う。測定が完了していれば、ステップSB13に進む。三角測距では死角になる箇所の高さデータが生成されないので、ステップSB13で、輝度画像の各画素において高さデータがない画素を表示部8上で赤色斜線表示する。マスター高さデータ1~3は、図7に示す高さデータ記憶部320bに記憶することができる。
【0127】
(マスター高さデータ使用時)
次に、マスター高さデータ1~3の使用時について図16に示すフローチャートに基づいて説明する。マスター高さデータ1~3は、測定ツールの選択時に使用することができ、ステップSC1では、マスター高さデータ1~3の中から、測定ツール種別、測定ツール設定に応じて使用するマスター高さデータを選択する。ステップSC2では、選択されたマスター高さデータと、測定ツールの測定位置及び範囲から測定値を算出する。ステップSC3では、ステップSC2で測定した値を表示部8に表示する。
【0128】
段差ツールの場合は、輝度画像上で2つの位置を指定すると、ユーザーインターフェース画像70に2点間の段差が数値で表示される。
【0129】
面積ツールの場合は、予め設定された色範囲内にある面が同じ色に着色されて表示される。ここで、面積ツールは、輝度画像から特徴を抽出するための測定ツールであって、いわゆる画像処理ツールの一例である。他にも、輝度画像からエッジを抽出してエッジ幅などを測定するエッジツールなどが挙げられる。本実施形態では、このような画像処理ツールと、変位を測定するための変位測定ツールとの両方を、一つの輝度画像に設定することが可能である。
【0130】
(エリア高さツール選択時の詳細な設定手順)
図17は、測定ツールとしてエリア高さツールが選択されたときの詳細な設定手順を示すフローチャートである。開始後、ステップSD1では、輝度画像生成部302が生成した輝度画像を図10に示すユーザーインターフェース画像70の画像表示領域71に表示させる。その後、ステップSD2では、設定部304が測定候補領域の設定を受け付ける。ユーザによって表示されたウインドウ枠73内が測定候補領域となる。
【0131】
測定候補領域の設定を受け付けた後、ステップSD3に進み、測定候補領域内の変位データでヒストグラムを作成する。具体的には、子機アンプ3に設けられている変位分類部314が、変位取得部312により取得された測定候補領域内の複数の変位を統計的に複数の群に分類する。「統計的」とは、複数の変位からなる集団における分布を、統計の手法を用いて解析することであり、これを経ることで、候補位置の変位が含まれる群、候補位置の変位が含まれない群等を含む複数の群に分類することが可能になる。本例では、ヒストグラムを作成する元になるデータを取得するので、変位分類部314は、変位取得部312により取得した複数の変位の度数分布を算出し、算出した度数分布に基づいて、複数の変位を複数の群に分類する。ここで用いる変位は、変位測定用受光部40の受光面と垂直な方向の変位とは限らず、測定対象物Wの傾きが補正されている場合には、その補正に対応するように変換された座標軸での変位となる。また、頻度に関しては、別のパラメータの重み付けを行ったものであってもよい。例えば、明るさが明るいほどプラス側の補正を行う等である。
【0132】
変位分類部314は、算出した度数分布を示すヒストグラムを生成する。生成されたヒストグラムの一例を図18のユーザーインターフェース画像70に示す。図18のユーザーインターフェース画像70は、図12及び図13に示す感度調整ボタン85cが操作された場合に表示部8に表示される。図18のユーザーインターフェース画像70には、上記ヒストグラムが表示されるヒストグラム表示領域90が設けられている。尚、ステップSD3では、ヒストグラムを作成するだけであり、ユーザーインターフェース画像70には表示させない。
【0133】
ステップSD3でヒストグラムを生成した後、ステップSD4に進む。ステップSD4では、変位測定エリアの検出方法を「選択したエリア」とし、図7に示す選択部316にて、ヒストグラムの複数のピークのうち、最も大きな変位のエリアを変位測定エリアとして選択される。選択部316は、変位取得部312により画素ごとに取得された変位の度数分布において、所定の閾値以上の度数を有する変位で構成される群から少なくとも一つの群を選択する部分である。
【0134】
ヒストグラムのピークは、統計的に分類された複数の群を示しており、ステップSD4で複数の群の中から一つを選択する際、最も大きな変位の群を選択することになる。これにより、図10のユーザーインターフェース画像70に示すように、第2円柱部W4の上面が識別可能な形態で表示される。
【0135】
なお選択部316による変位測定エリアの選択は、最も大きな変位の群に限定されず、最も小さな変位の群を選択しても良いし、ピークの高さに着目して、最もピークの高い群や最もピークの低い群を選択しても良い。あるいは、変位を直接指定して、指定された変位に最も近い変位にピークを持つ群を選択させても良い。ステップSD4では設定部304により、ステップSD4にて選択された変位測定エリアに応じて、運転時に選択部316が用いる選択規則を設定する。例えば、最も大きな変位の群が選択された場合には、設定部304は、運転時に最も大きな変位の群を変位測定エリアとして選択するように選択規則を設定する。ピークの高さに着目して、例えばn番目に高い群を選択した場合には、運転時において、n番目に高いピークを有する群を変位測定エリアとして選択するように設定部304が選択規則を設定する。あるいは、変位を直接指定した場合には、運転時において、指定された変位に最も近い変位にピークを有する群を変位測定エリアとして選択するように設定部304が選択規則を設定する。
【0136】
ステップSD5では、ステップSD4で選択した変位測定エリアに合わせて頻度の閾値を調整する。その後、ステップSD6では、ステップSD5で調整された頻度の閾値、ステップSD4の検出方法及び選択した変位測定エリア情報を更新する。変位測定エリア情報とは、図18にて色や模様の付された、閾値以上の頻度を有する複数の群のうち、選択された群に関する情報である。ステップSD7では、ステップSD6で更新された頻度の閾値を用いてヒストグラム上の全てのピークを決定する。
【0137】
次いで、ステップSD8では選択部316が、ステップSD6で更新された検出方法、変位測定エリア情報を用いて変位測定エリアを選択し、決定する。変位測定エリアの決定後、ステップSD9に進んで変位測定エリアの平均変位を算出し、算出された平均変位を測定値とする。すなわち、図7に示すように子機アンプ3は、変位算出部315を備えている。変位算出部315は、変位測定エリアに含まれる複数の変位に基づいて当該変位測定エリアの変位を算出するように構成されており、変位測定エリアに含まれる複数の変位の平均値を算出し、得られた値が測定値となる。測定値は、図7に示す測定データ記憶部320eに記憶させておくことができる。
【0138】
以下、測定値を算出する際には上述した算出方法を用いることができるが、算出方法は上述した方法に限られるものではない。例えば、ある群の中の上下の外れ値を無視して平均値を算出したり、上下の外れ値の重みを軽くして平均値を算出してもよい。また、ヒストグラムの山の形状に2次関数などをフィットさせてピークの位置を決め、ピークの位置を変位としても良い。これにより、ヒストグラムの1ビンより細かい単位の測定値を得ることができる。また、変位測定エリアに含まれる変位データの中で特定の特性(例えば、撮像時の座標以外の情報)を持った変位データだけを採用して平均してもよい。
【0139】
測定値を取得した後、ステップSD10に進む。ステップSD10では、ヒストグラムの全てのピーク、即ちステップSD6で更新された頻度の閾値よりも高い頻度を有する群の全てに対して測定箇所を作成する。測定箇所とは、ある群が輝度画像上どのエリアに対応しているかを示したものであり、図10では測定箇所が第2円柱部W4の上面、図13では測定箇所が第1円柱部W3の上面になる。
【0140】
その後、ステップSD11に進む。ステップSD11では、測定値を、例えば図10のユーザーインターフェース画像70に設けられている測定値表示領域75に表示する。測定値は、図7に示す高さデータ記憶部320bに記憶させることもできる。また、輝度画像上で、図10図13に示すように測定箇所を例えば塗りつぶし等によって表示する。さらに、図18に示すようにヒストグラムがユーザーインターフェース画像70に表示されている場合には、ヒストグラムを更新する。
【0141】
続くステップSD12では、設定が完了したか否かを判定する。これはユーザによる操作に基づいて判定することができ、設定完了の操作をユーザが行った場合にはステップSD12でYESと判定されてステップSd13に進み、設定内容を保存する。ユーザが設定完了の操作を行わなかった場合には、ステップSD12でNOと判定されてステップSD6に戻り、再度設定を行う。
【0142】
(ヒストグラムの表示形態)
図18に示すように、ウインドウ枠73内には、最も高い面である第2円柱部W4の上面と、その次に高い面である第1円柱部W3の上面と、その次に高い面である基板W1の上面と、基板W1の上面よりも低い面である孔部W2の底面と、最も低い面である面S1とがエリアとして存在している。第2円柱部W4の上面と、第1円柱部W3の上面と、基板W1の上面と、孔部W2の底面と、面S1とは、表示部8の輝度画像上での表示形態を識別可能な形態として表示している。具体的には、第2円柱部W4の上面と、第1円柱部W3の上面と、基板W1の上面と、孔部W2の底面と、面S1との色を変えたり、これら面に互いに異なる模様を付したりすることで、識別することができる。図18に示す表示例では、第2円柱部W4の上面と、第1円柱部W3の上面と、基板W1の上面と、孔部W2の底面と、面S1の色を変えるとともに、模様も変えている。
【0143】
ヒストグラム表示領域90に表示するヒストグラムの縦軸は変位(高さ)であり、横軸は頻度を非線形に圧縮したものである。頻度の閾値を超えた1つの山は1つのエリアを示している。このヒストグラム上では、閾値表示線90aによって頻度の閾値の設定が可能になっている。ユーザが閾値表示線90aを図の左右方向に移動させることにより、設定部304が頻度の閾値の設定を受け付ける。図19に示すユーザーインターフェース画像70では、図18に比べて頻度の閾値を高くしている。頻度の閾値は、閾値表示線90aを移動させる以外にも、ユーザーインターフェース画像70に設けられている閾値入力領域90cに数値で閾値を入力することによっても変更できる。閾値表示線90aを移動させれば、それに応じて閾値入力領域90cの数値が変わり、また、閾値入力領域90cの数値を変えれば、それに応じて閾値表示線90aが移動する。
【0144】
閾値を変更することで、例えば異常値データで作られた群よりも高い閾値にすることができ、異常値データで作られた群を測定対象から外すことができる。また、閾値を変更することで、隣合う2つの群を1つの群にしたり、反対に2つのピークを有する1つの群を、それぞれ1つのピークを有する2つの群に分けることもできる。閾値は任意に設定することができ、例えば0であってもよい。
【0145】
測定値の算出時、頻度の閾値よりも高い頻度の群を算出対象とし、閾値以下の頻度の群を算出対象から外す。具体的には、図18のユーザーインターフェース画像70では、閾値よりも高い頻度の群、即ち、閾値表示線90aよりも右に突出した群が5つ存在している。ヒストグラムにおける閾値表示線90aよりも右に突出した5つの群を示すエリアを第1エリアとしたとき、ヒストグラムにおける閾値表示線90aから左のエリアは第1エリア外であり、第2エリアとすることができる。閾値表示線90aよりも右に突出した5つの群を示すエリアには、着色や模様が付されているが、閾値表示線90aから左のエリアにはそのような着色や模様が付されていない。このように、閾値表示線90aよりも右に突出した5つの群を示すエリアと、それ以外のエリアとを識別可能な形態で表示しているので、その群が測定値の算出となり得るのかをユーザが容易に把握できる。
【0146】
閾値表示線90aよりも右に突出した群が5つ存在しているが、これら群は、それぞれ、画像表示領域71に表示されている輝度画像上の各部の表示形態と同一または類似している。すなわち、閾値表示線90aよりも右に突出した群のうち、最も上に位置する群は最も高い変位の群であるので、画像表示領域71に表示されている輝度画像上の第2円柱部W4の上面に対応している。したがって、閾値表示線90aよりも右に突出した群のうち、最も上に位置する群と、第2円柱部W4の上面とは、同じまたは類似した表示形態となっている。同様に、閾値表示線90aよりも右に突出した群のうち、上から2番目に位置する群と、第1円柱部W3の上面とは、同じまたは類似した表示形態となっており、また、閾値表示線90aよりも右に突出した群のうち、上から3番目に位置する群と、基板W1の上面とは、同じまたは類似した表示形態となっており、また、閾値表示線90aよりも右に突出した群のうち、上から4番目に位置する群と、孔部W2の底面とは、同じまたは類似した表示形態となっており、また、閾値表示線90aよりも右に突出した群のうち、最も下に位置する群と、面S1とは、同じまたは類似した表示形態となっている。
【0147】
ヒストグラムには、現在選択されている変位測定エリアに対応する山を示すように指示部(矢印)90dが表示される。これにより、現在の測定値がヒストグラム上でどの群に相当しているのかを容易に把握できる。
【0148】
また、ヒストグラムにおける閾値表示線90aよりも右に突出した群をタッチ操作することで、変位測定エリアを選択できる。例えば最も上の群をタッチすると、第2円柱部W4の上面が変位測定エリアとなる。
【0149】
ヒストグラムは、スクロール操作部90eによって上下方向にスクロールすることができる。図18では表示されていないヒストグラムの下の方や上の方に群が存在していても、ヒストグラムをスクロール操作部90eによって上下方向にスクロールすることでユーザーインターフェース画像70に表示させることができる。
【0150】
また、ヒストグラムにはピークが1つだけできる場合もある。この場合、測定値の算出に使用できる群と、それ以外の群とに分けることができる。
【0151】
(ヒストグラムを用いない方法)
ヒストグラムを用いない方法でも複数の群を得ることができる。例えば、ミーンシフト法などの画像処理方法による領域分割によって複数の群、即ちエリアを取得できる。エリアを取得した後は、任意のエリアを変位測定エリアとして選択できる。
【0152】
(分類手法の変形例)
図20は、取得された変位を縦軸に取り、頻度を横軸に取ったグラフである。このグラフを上から見ていき、グラフの極大値を山とし、極小値を谷とすることで、複数の群に分類することができる。
【0153】
この場合、調整方法としては、ピークの高さの絶対値に対して何%分下がったら谷だと判定するか、ヒストグラムを作るビンのピッチの調整、グラフを平滑化するためにビンの値を移動平均する範囲等がある。また、この分類方法は、上述の実施形態において閾値を0とした場合とみなすこともできる。
【0154】
(ライブビュー画像での調整)
図18図19に示すように、ユーザーインターフェース画面70には、Live調整ボタン90fが設けられている。Live調整ボタン90fを操作すると、センサヘッド2が現在の視野範囲にある測定対象物Wを撮像し、ユーザーインターフェース画面70の画像表示領域71に表示させる。すなわち、測定には多少の揺らぎが発生することがあり、同じ測定対象物Wを測定しても、測定ごとにヒストグラムが変動することがある。Live調整ボタン90fを操作することで、ライブビュー画像とヒストグラムを観察しながら閾値を設定することができる。これにより、変化に対する余裕を確認しながら設定できる。
【0155】
(設定情報記憶部320fの構成)
設定情報記憶部320fには、図21に示すような複数の設定情報が記憶されている。各プログラムに含まれる設定情報としては、例えば走査モード(スキャンモード)とラインモードのいずれが選択されているか、トリガ関連の設定、撮像関連の設定(明るさ、感度等)、マスターデータの有無、ヘッド傾き補正、適用される測定ツール及びそのパラメータ等が含まれている。使用者は、設定情報記憶部320fに記憶されているプログラムの中から任意のプログラムを選択して変位測定装置1の運転時に適用することができる。
【0156】
(良否判定部313の構成)
図7に示すように子機アンプ3は良否判定部313を備えている。良否判定部313は、輝度画像生成部302により生成された輝度画像に基づいて測定対象物Wの状態を判定した判定結果と、変位取得部312で測定した変位に基づいて測定対象物Wの状態を判定した判定結果とを組み合わせて測定対象物Wの良否判定を行うように構成されている。例えば、輝度画像上で一部が欠落しているか否かを検出し、欠落していない場合であっても、変位取得部312で測定した変位が基準値を外れている場合には、測定対象物Wが不良品であると判定することができる。反対に、変位取得部312で測定した変位が基準値であっても、輝度画像上で一部が欠落していると判定される場合には、測定対象物Wが不良品であると判定することができる。処理結果は、図7に示す処理結果記憶部320cに記憶させることができる。
【0157】
(出力割り当て設定)
出力割り当て設定では、外部への出力ピンに何を割り当てるか設定する。OFF/総合判定/ビジー/エラ/ツール1結果等を選択することができるが、これ以外を選択可能にしてもよい。
【0158】
(総合判定条件設定)
総合判定条件としては、例えば測定ツールによる測定結果が「すべてOK」か「いずれかOK」を選択することができる。その他にも、測定ツール1がOKかつ測定ツール2がNGなら総合判定がOKとするような組み合わせパターンを出力することも可能である。
【0159】
上述した設定が終了すると、変位測定装置1が設定モードから運転モードに遷移し運転を開始する。設定が終了するまではセンサヘッド2に設定情報を出力し、RAM値(揮発メモリ)のみの書き換えを行う。設定が終了すると、設定情報をROM値(不揮発メモリ)に書き込む。運転とは、変位測定装置1を測定現場で運転することである。
【0160】
(傾き補正機能)
変位測定装置1は、平坦な基準面の傾きを補正する傾き補正機能を有している。傾き補正機能は、子機アンプ3が有していてもよいし、センサヘッド2が有していてもよい。例えば、ユーザーインターフェース画面70に高さ画像を表示した状態で、ユーザが基準面を設定する。基準面は3点を指定することによって行うことができる。3点の指定が終わると、子機アンプ3またはセンサヘッド2の信号処理部は、3点が全て同じ高さになるように、各画素の変位を演算する。演算後は3点の高さが全て同じになる。
【0161】
(走査モードの運転時)
図22は、変位測定装置1の走査モードの運転時に行う手順を示すフローチャートである。走査モードの運転時のフローチャートにおけるステップSG1では、外部機器6等から外部トリガを受け付ける。ステップSG2では、照明部30の第1~第4発光ダイオード31~34を点灯させる。ステップSG3では、輝度画像を撮像する。画像データは、例えば子機アンプ3の画像データ記憶部320d(図7に示す)に記憶される。
【0162】
ステップSG4では位置補正ツールの適用があるか否かを判定する。設定時に位置補正ツールが選択されていればステップSG5に進み、設定時に位置補正ツールが選択されていなければステップSG7に進む。ステップSG5では位置補正ツールを実行し、ステップSG6では測定ツールの位置、即ち測定位置を補正する。ステップSG5及びSG6は位置補正部307で行われる。
【0163】
ステップSG7では、画像処理ツールの適用があるか否かを判定する。設定時に画像処理ツールが選択されていればステップSG8に進み、設定時に画像処理ツールが選択されていなければステップSG9に進む。ステップSG8では各種画像処理を実行する。画像処理は従来から周知のものを挙げることができる。
【0164】
ステップSG9では、リアルタイム傾き補正の適用があるか否かを判定する。設定時に傾き補正機能の実行が選択されていればステップSG10に進み、設定時に傾き補正機能の実行が選択されていなければステップSG18に進む。ステップSG10では、測定位置を含む変位測定範囲の変位を測定可能となるようにMEMSミラー15を制御する。ステップSG11では、レーザー出力器12から発光させて帯状の測定光を測定対象物Wに照射する。ステップSG12で撮像し、ステップSG13で変位を測定する。
【0165】
ステップSG14では、傾き補正機能を実行し、指定した3点の全て測定が完了したか否かを判定する。3点の全ての測定が完了していない場合には、3点の測定が完了するまで上述した処理を繰り返す。3点の全て測定が完了したらステップSG15に進み、3点から基準面を計算する。その後、ステップSG16に進み、基準面方向に応じて変位測定範囲内への測定光の照射ピッチを最適化する。また、ステップSG17では、基準面の高さに応じて測定光の走査範囲を最適化する。
【0166】
ステップSG18では、測定ツールの適用があるか否かを判定する。設定時に測定ツールが選択されていればステップSG19に進み、設定時に測定ツールが選択されていなければステップSG24に進む。ステップSG19では、測定ツールに応じて測定位置を含む変位測定範囲の変位を測定可能となるようにMEMSミラー15を制御する。ステップSG20では、レーザー出力器12から発光させて帯状の測定光を測定対象物Wに照射する。ステップSG21で撮像し、ステップSG22で高さを測定する。ステップSG23で全ての測定が完了した場合にはステップSG24に進み、全ての測定が完了していない場合には上述した測定を繰り返す。ステップSG24では、全ての測定ツールの処理結果を統合して総合判定結果を生成する。生成した総合判定結果は出力される。
【0167】
(運転時における高さ測定ステップ)
図22におけるステップSG22は高さ測定ステップであり、この高さ測定ステップについて図23に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0168】
ステップSH1では、変位取得部312が測定候補領域内で複数の変位を取得し、変位分類部314が測定候補領域内の変位データを分類してヒストグラムを作成する。ここで作成したヒストグラムは表示部8に表示させてもよいし、表示させなくてもよい。
【0169】
ステップSH2では、図17に示すフローチャートのステップSD5で調整された頻度の閾値を用いて全てのピークを決定する。これにより、変位分類部314により分類された複数の群が測定値の算出対象となる。
【0170】
その後、ステップSH3に進み、図17に示すフローチャートのステップSD6で更新された検出方法、変位測定エリア情報を用いて複数のエリアのいずれか一つを選択して変位測定エリアを決定する。ステップSD4において最も大きな変位を有する群を変位測定エリアとして選択した場合には、最も大きな変位の群が変位測定エリアとして選択される。ピークの高さに着目して、n番目に高い群を選択した場合には、n番目に高いピークを有する群が変位測定エリアとして選択される。あるいは、変位を直接指定した場合には、運転時において、指定された変位に最も近い変位にピークを有する群が変位測定エリアとして選択される。変位測定エリアには、ユーザが設定した変位測定の候補位置が含まれている。変位測定エリアを決定した後、ステップSH4に進み、変位測定エリアに含まれる複数の変位に基づいて、候補位置の変位を算出する。候補位置の変位は、変位測定エリアに含まれる複数の変位の平均変位である。ステップSH3は選択部316が、ステップSH4は変位算出部315がそれぞれ行う。次いで、ステップSH5に進み、測定箇所作成用のピークの変位範囲を作成する。
【0171】
(運転時における高さ測定ステップの詳細)
図24は、運転時における高さ測定ステップの詳細な処理手順を示すフローチャートである。ステップSJ1は、図23に示すフローチャートのステップSH1と同じである。ステップSJ2では、段差演算、即ち段差ツールの適用があるか否かを判定する。ステップSJ2でYESと判定されて段差演算がある場合にはステップSJ3に進み、ユーザが入力した基準面の変位でヒストグラムをオフセットする。一方、ステップSJ2でNOと判定されて段差演算がない場合にはステップSJ4に進み、図23に示すフローチャートのステップSH2と同様な処理を行う。
【0172】
その後、ステップSJ5に進み、検出方法が選択したエリアであるか否かを判定する。ステップSJ5でYESと判定されて検出方法が選択したエリアである場合には、ステップSJ6に進み、登録してあるマスター画像の変位に近いピークを選択する。一方、ステップSJ5でNOと判定されて検出方法が選択したエリアでない場合には、ステップSJ7に進み、検出方法がMAX、即ち最も高いピークを有する群を検出するか否かを判定する。ステップSJ7でYESと判定されて検出方法がMAXである場合には、ステップSJ8に進み、最も高いピークを有する群を選択する。ステップSJ7でNOと判定されて検出方法がMAXでない場合には、ステップSJ9に進み、最も低いピークを有する群を選択する。
【0173】
次いで、ステップSJ10、SJ11に進み、それぞれ、図23に示すフローチャートのステップSH4、SH5の処理を行う。
【0174】
(実施形態の作用効果)
この実施形態によれば、表示部8に表示された測定対象物の画像上で、測定候補領域が設定されると、変位取得部312によって測定候補領域内で複数の変位を取得することができる。変位取得時、測定候補領域には、候補位置以外の部分も含まれていることがあるので、候補位置の変位とともに、候補位置以外の部分の変位も取得される。取得された複数の変位は、変位分類部314によって統計的に複数の群に分類される。分類された複数の群はヒストグラムにピークとして現れる。
【0175】
分類後、複数の群の中から候補位置の変位が含まれる群が選択された場合、選択された群に含まれる複数の変位に基づいて、候補位置の変位を算出することができる。つまり、測定候補領域に候補位置以外の部分が含まれている場合に、候補位置以外の変位の影響を低減して候補位置の変位を算出することができるので、測定結果が安定する。
【0176】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0177】
以上説明したように、本発明に係る変位測定装置は、各種測定対象物の所定位置の変位を測定する場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0178】
1 変位測定装置
8 表示部
12 レーザー出力器(測定光源)
13 コリメートレンズ(投光レンズ)
14 シリンドリカルレンズ(投光レンズ)
15 MEMSミラー(走査部)
40 測定用受光部
302 輝度画像生成部
304 設定部
305 測定制御部
312 変位取得部
413 変位分類部
315 変位算出部
316 選択部
W 測定対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24