(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】曲げ加工情報生成装置および曲げ加工情報生成方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20240209BHJP
B21D 5/01 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B21D5/02 P
B21D5/01 P
(21)【出願番号】P 2020070996
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】仙波 晃
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-062516(JP,A)
【文献】特開2000-042636(JP,A)
【文献】特開2005-018809(JP,A)
【文献】特表2001-515792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
B21D 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ加工機による曲げ加工対象の板金の形状データと、前記形状データ上に予め設定された、前記板金の複数の曲げ加工の箇所をそれぞれ示す複数の曲げ線の情報と、前記曲げ加工機に設置される複数の金型の識別情報および設置位置情報と、前記板金の曲げ加工ごとに予め設定された、使用する金型の識別情報とを取得する加工データ取得部と、
前記板金の曲げ加工ごとに、使用する金型に対する曲げ線の相対位置が指定されると、当該金型の設置位置情報に基づいて当該曲げ線の絶対位置を特定し、特定した絶対位置の情報を当該曲げ線の位置情報として設定する曲げ線位置設定部と、
いずれかの金型の設置位置情報が変更されると、当該金型を使用するすべての曲げ加工に関し、前記曲げ線位置設定部で設定された曲げ線の位置情報を、当該金型の変更後の設置位置に対応する情報に変更する金型位置変更処理部と
を備えることを特徴とする曲げ加工情報生成装置。
【請求項2】
前記曲げ線位置設定部は、同時に曲げ加工が行われる箇所を示す複数の曲げ線が選択された状態で、該当する曲げ加工のいずれかで使用する金型に対する該当する曲げ線の相対位置が指定されると、該当する複数の金型それぞれの設置位置情報に基づいて該当する複数の曲げ線の絶対位置を特定し、特定した絶対位置の情報を、該当する複数の曲げ線それぞれの位置情報として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ加工情報生成装置。
【請求項3】
同時に実行される複数の曲げ加工で使用される金型の識別情報を含む金型グループ情報を生成する金型指定部をさらに備え、
前記金型位置変更処理部は、いずれかの金型の設置位置情報が変更されると、当該金型の識別情報を含む金型グループ情報を特定し、特定した金型グループ情報に含まれる他の金型の識別情報を取得し、取得した識別情報の金型の設置位置情報を、設置位置情報が変更された金型と同じ方向に同じ距離分、移動させた位置の情報に変更する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の曲げ加工情報生成装置。
【請求項4】
曲げ加工機による曲げ加工対象の板金の形状データと、前記形状データ上に予め設定された、前記板金の複数の曲げ加工の箇所をそれぞれ示す複数の曲げ線の情報と、前記曲げ加工機に設置される複数の金型の識別情報および設置位置情報と、前記板金の曲げ加工ごとに予め設定された、使用する金型の識別情報とを取得し、
前記板金の曲げ加工ごとに、使用する金型に対する曲げ線の相対位置が指定されると、当該金型の設置位置情報に基づいて当該曲げ線の絶対位置を特定し、特定した絶対位置の情報を当該曲げ線の位置情報として設定し、
いずれかの金型の設置位置情報が変更されると、当該金型を使用するすべての曲げ加工に関して既に設定された曲げ線の位置情報を、当該金型の変更後の設置位置に対応する情報に変更する
ことを特徴とする曲げ加工情報生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板金の曲げ加工を行うための情報を生成する曲げ加工情報生成装置および曲げ加工情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板金(ワーク)の曲げ加工を行うプレスブレーキは、左右方向に長い上部テーブルと下部テーブルとを上下に対応して備え、上部テーブル又は下部テーブルの一方を上下動自在なラムとして備えている。そして、上下のテーブルにおける左右方向の複数箇所に対をなす上下の金型を取り付けることで複数の加工ステーションを設け、ステップベンドとして各加工ステーションで順次ワークの曲げ加工を行う。
【0003】
このようなプレスブレーキでは、加工作業前に予め、複数の加工ステーションにおける曲げ加工で用いる各種情報が設定される。ここで設定される情報には、1つのワークに対する複数の曲げ加工の実行順を示す情報、各曲げ加工で使用する金型の識別情報および設置位置情報、ワーク内の曲げ加工箇所を示す曲げ線の加工ステーション内における位置情報等がある。これらの情報が設定されることで、複数の加工ステーションにおいて適切に曲げ加工が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワーク内の所定の曲げ加工に関して、該当する曲げ線の位置情報を設定する際、オペレータが、該当する加工ステーションの金型に対する曲げ線の相対位置を指定することで、当該金型の設置位置に基づいて当該曲げ線の絶対位置の情報が設定される。
【0006】
該当する曲げ線の位置情報が設定されると、該当する加工ステーションにおける当該ワークの設置位置が決定する。このとき、位置決めされたワークの一部が隣接する加工ステーションの加工作業エリアと干渉する等、ワークと加工ステーションとの位置関係に不都合があると、オペレータが金型の設置位置の情報を変更する場合がある。
【0007】
ここで、該当する加工ステーションで他の曲げ加工も行うことが設定されており、当該他の曲げ加工に関して既に曲げ線の位置情報が設定されていた場合、この設定済みの曲げ線の絶対位置情報は移動後の金型の位置に対応していないため、設定操作をし直さなければならない。これにより曲げ線位置の設定処理の工数が増加し、手間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、ワークの曲げ加工で用いる当該ワーク内の曲げ線の位置情報を、簡易な操作で設定することが可能な曲げ加工情報生成装置および曲げ加工情報生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、曲げ加工機による曲げ加工対象の板金の形状データと、前記形状データ上に予め設定された、前記板金の複数の曲げ加工の箇所をそれぞれ示す複数の曲げ線の情報と、前記曲げ加工機に設置される複数の金型の識別情報および設置位置情報と、前記板金の曲げ加工ごとに予め設定された、使用する金型の識別情報とを取得する加工データ取得部と、前記板金の曲げ加工ごとに、使用する金型に対する曲げ線の相対位置が指定されると、当該金型の設置位置情報に基づいて当該曲げ線の絶対位置を特定し、特定した絶対位置の情報を当該曲げ線の位置情報として設定する曲げ線位置設定部と、いずれかの金型の設置位置情報が変更されると、当該金型を使用するすべての曲げ加工に関し、前記曲げ線位置設定部で設定された曲げ線の位置情報を、当該金型の変更後の設置位置に対応する情報に変更する金型位置変更処理部とを備えることを特徴とする曲げ加工情報生成装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、曲げ加工機による曲げ加工対象の板金の形状データと、前記形状データ上に予め設定された、前記板金の複数の曲げ加工の箇所をそれぞれ示す複数の曲げ線の情報と、前記曲げ加工機に設置される複数の金型の識別情報および設置位置情報と、前記板金の曲げ加工ごとに予め設定された、使用する金型の識別情報とを取得し、前記板金の曲げ加工ごとに、使用する金型に対する曲げ線の相対位置が指定されると、当該金型の設置位置情報に基づいて当該曲げ線の絶対位置を特定し、特定した絶対位置の情報を当該曲げ線の位置情報として設定し、いずれかの金型の設置位置情報が変更されると、当該金型を使用するすべての曲げ加工に関して既に設定された曲げ線の位置情報を、当該金型の変更後の設置位置に対応する情報に変更することを特徴とする曲げ加工情報生成方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の曲げ加工機制御装置および曲げ加工機制御方法によれば、ワークの曲げ加工で用いる当該ワーク内の曲げ線の位置情報を、簡易な操作で設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1~第3実施形態の曲げ加工情報生成装置を用いた板金加工システムの構成を示す全体図である。
【
図2】第1~第3実施形態の曲げ加工情報生成装置を用いた板金加工システムの構成を示すブロック図である。
【
図3A】第1~第3実施形態の曲げ加工情報生成装置で実行される曲げ加工プログラムの詳細設定処理を示すフローチャートである。
【
図3B】第1~第3実施形態の曲げ加工情報生成装置で実行される曲げ加工プログラムの詳細設定処理を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態の曲げ加工情報生成装置で、ワークW1の形状データおよび曲げ線情報が表示された第1画像51aを示す画面構成図である。
【
図5】第1実施形態の曲げ加工情報生成装置で、パンチおよびダイの設置位置と曲げ線との位置関係を模式的に示した第2画像51aであって、(a)は表示の初期状態の画面構成図、(b)は曲げ線の位置合わせ操作が行われたときの画面構成図である。
【
図6】第1および第2実施形態の曲げ加工情報生成装置で、ダイの設置位置を変更する操作が行われた際に実行される処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2および第3実施形態の曲げ加工情報生成装置で、ワークW2の形状データおよび曲げ線情報が表示された第1画像51bを示す画面構成図である。
【
図8】第2実施形態の曲げ加工情報生成装置で、パンチおよびダイの設置位置と曲げ線との位置関係を模式的に示した第2画像51bであって、(a)は表示の初期状態の画面構成図、(b)は曲げ線の位置合わせ操作が行われたときの画面構成図である。
【
図9】第3実施形態の曲げ加工情報生成装置で、ダイの設置位置を変更する操作が行われた際に実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、第1実施形態~第3実施形態による曲げ加工情報生成装置を用いた板金加工システムについて、添付図面を参照して説明する。
【0014】
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態として、曲げ加工機(プレスブレーキ)により
図4に示すワークW1の複数箇所の曲げ加工で用いる曲げ加工情報を生成する場合について説明する。
【0015】
〈第1実施形態による板金加工システムの構成〉
図1において、板金加工システム1Aは、プレスブレーキ10と、データ管理サーバ20と、曲げ加工情報生成装置としての加工プログラム生成装置30と、NC装置40とを備える。
【0016】
プレスブレーキ10は、加工対象のワークW1を所定位置で折り曲げる装置であり、左右方向に長い上部テーブル11と下部テーブル12とが上下に対応して設けられている。上部テーブル11には、複数の金型(第1パンチ13A、第2パンチ13B、および第3パンチ13C)が取り付けられ、下部テーブル12には、複数の金型(第1ダイ14A~第3ダイ14C)は取り付けられている。
【0017】
第1パンチ13Aと第1ダイ14Aとは対をなすように取り付けられて第1加工ステーション15Aが構築される。同様に、第2パンチ13Bと第2ダイ14Bとにより第2加工ステーション15Bが構築され、第3パンチ13Cと第3ダイ14Cとにより第3加工ステーション15Cが構築される。
【0018】
各加工ステーション15A~15Cでは、ワークW1がダイ14A~14C上に位置決めされた状態で上部テーブル11を下降させると、パンチ13A~13Cとダイ14A~14CとによってワークW1が挟み込まれて折り曲げられる。これらの加工ステーション15A~15Cにより、順次ワークW1の複数箇所の曲げ加工が行われる。
【0019】
データ管理サーバ20および加工プログラム生成装置30の詳細な構成について、
図2のブロック図を参照して説明する。データ管理サーバ20は、ワーク形状データ記憶部21と、加工プログラム記憶部22と、第1CPU23とを有する。ワーク形状データ記憶部21は、曲げ加工対象のワークW1の形状データを記憶する。加工プログラム記憶部22は、ワークW1の加工プログラム情報として予め設定された、ワークW1の複数の曲げ加工の箇所をそれぞれ示す、ワークW1の形状データ上の複数の曲げ線の情報と、加工ステーションごとに予め設定された、使用する金型の設置位置情報を記憶する。
【0020】
第1CPU23は、加工プログラム生成装置30またはNC装置40からの指示に基づいて、ワーク形状データ記憶部21に記憶されたワークW1の形状データの読み出し処理を行う。また第1CPU23は、加工プログラム生成装置30またはNC装置40からの指示に基づいて、加工プログラム記憶部22への加工プログラム情報の書き込み処理および呼び出し処理を行う。
【0021】
加工プログラム生成装置30は、操作情報入力部31と、第2CPU32と、表示部33とを有する。操作情報入力部31は、ワークW1の加工プログラム情報の生成に関するオペレータの操作情報を入力する。
【0022】
第2CPU32は、加工データ取得部321と、曲げ順指定部322と、金型指定部323と、曲げ線位置設定部324と、金型位置変更処理部325とを有する。
【0023】
加工データ取得部321は、データ管理サーバ20から、加工対象のワークW1のワーク形状データと、当該ワークW1の加工プログラム情報とを取得する。
【0024】
曲げ順指定部322は、オペレータによる操作内容に基づいて、ワークW1の複数の曲げ加工箇所の曲げ順の情報を取得し、データ管理サーバ20に送信する。金型指定部323は、オペレータによる操作内容に基づいて、ワークW1の各曲げ加工で用いる金型を指定する情報を取得し、データ管理サーバ20に送信する。
【0025】
曲げ線位置設定部324は、加工データ取得部321で取得された情報およびオペレータによる操作内容に基づいて、ワークW1の曲げ加工ごとに、該当する曲げ線の加工ステーション内における位置情報を設定し、データ管理サーバ20に送信する。
【0026】
金型位置変更処理部325は、加工データ取得部321で取得された、いずれかの金型の設置位置情報が変更されると、当該金型を使用するすべての曲げ加工に関し、曲げ線位置設定部324で設定された曲げ線の位置情報を、当該金型の変更後の設置位置に対応する位置情報に変更する。そして、変更後の金型の設置位置の情報をデータ管理サーバ20に送信する。
【0027】
表示部33は表示画面を有し、第2CPU32により処理された情報を表示する。
【0028】
NC装置40は、データ管理サーバ20からワークW1の加工プログラム情報を取得し、取得した加工プログラム情報に基づいてプレスブレーキ10を制御する。
【0029】
〈第1実施形態による板金加工システムの動作〉
次に、本実施形態による板金加工システム1Aの動作について、
図3A、
図3B、
図4~
図6を参照して説明する。本実施形態において、データ管理サーバ20のワーク形状データ記憶部21には予め、加工対象のワークW1の形状データが記憶されている。また、加工プログラム記憶部22には、予め設定されたワークW1の複数の曲げ加工の箇所を示すワークW1の形状データ上の複数の曲げ線の情報、および曲げ加工ごとに予め設定された、使用する金型(パンチ、ダイ)の設置位置情報を含むワークW1の加工プログラム情報が記憶されている。
【0030】
これらの情報が記憶された状態で実行される、加工プログラムの詳細設定処理について、
図3Aおよび
図3Bのフローチャートを参照して説明する。まずオペレータが、加工プログラム生成装置30の操作情報入力部31でワークW1の曲げ加工プログラムの詳細設定を指示する操作を行うと(S1の「YES」)、第2CPU32は当該操作の情報を取得する。
【0031】
第2CPU32が当該操作情報を取得すると、加工データ取得部321はデータ管理サーバ20に当該ワークW1の形状データおよび加工プログラム情報を要求する。データ管理サーバ20は、当該要求に基づいて第1CPU23により該当するワークW1の形状データをワーク形状データ記憶部21から読み出し、ワークW1の加工プログラム情報を加工プログラム記憶部22から読み出す。第1CPU23は、読み出された情報を加工プログラム生成装置30に送信する。
【0032】
加工プログラム生成装置30における第2CPU32の加工データ取得部321は、データ管理サーバ20から送信されたワークW1の形状データおよび加工プログラム情報を取得する。加工データ取得部321がこれらの情報を取得すると、ワークW1の形状データおよびこの形状データ内の曲げ線情報を示した第1画像51aを生成し、表示部33に表示する(S2)。
【0033】
図4は、表示部33に表示された第1画像51aの一例を示す。
図4の第1画像51aに表示されたワークW1の形状データは、横長の長方形の本体部P1と、本体部P1の左端に設けられた第1折り曲げ部位R1、本体部P1の右端に設けられた第2折り曲げ部位R2と、本体部P1の上端に設けられた第3折り曲げ部位R3と、第3折り曲げ部位R3の上端に設けられた第4折り曲げ部位R4と、本体部P1の下端に設けられた第5折り曲げ部位R5とを有する。
【0034】
そして、このワークW1の形状データ内の本体部P1と第1折り曲げ部位R1との境目が第1曲げ加工箇所であり、この第1曲げ加工箇所を示す曲げ線V1が加工プログラム情報に基づいて示されている。同様に、本体部P1と第2折り曲げ部位R2との境目に第2曲げ加工箇所を示す曲げ線V2が示され、本体部P1と第3折り曲げ部位R3との境目に第3曲げ加工箇所を示す曲げ線V3が示され、第3曲げ部位R3と第4折り曲げ部位R4との境目に第4曲げ加工箇所を示す曲げ線V4が示され、本体部P1と第5折り曲げ部位R5との境目に第5曲げ加工箇所を示す曲げ線V5が示されている。
【0035】
次に、オペレータが操作情報入力部31でワークW1の複数の曲げ加工の実行順序を指定する操作を行うと(S3の「YES」)、曲げ順指定部322は当該操作の情報を取得する。ここでは、ワークW1に関し、第1曲げ加工→第2曲げ加工→第4曲げ加工→第3曲げ加工→第5曲げ加工の順に実行することを指定する操作が行われたものとする。
【0036】
曲げ順指定部322は、取得した情報をデータ管理サーバ20に送信する(S4)。データ管理サーバ20の第1CPU23は、加工プログラム生成装置30から送信されたワークW1の複数の曲げ加工の実行順序を指定する情報を加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報内に設定する。
【0037】
次に、オペレータが操作情報入力部31で各曲げ加工で用いる金型(パンチ、ダイ)を指定する操作を行うと(S5の「YES」)、金型指定部323は当該操作の情報を取得する。ここでは、第1曲げ加工および第2曲げ加工において第1加工ステーション15Aの第1パンチ13Aおよび第1ダイ14Aを使用し、第3曲げ加工および第4曲げ加工において第2加工ステーション15Bの第2パンチ13Bおよび第2ダイ14Bを使用し、第5曲げ加工において第3加工ステーション15Cの第3パンチ13Cおよび第3ダイ14Cを使用することを指定する操作が行われたものとする。
【0038】
金型指定部323は、取得した情報をデータ管理サーバ20に送信する(S6)。データ管理サーバ20の第1CPU23は、加工プログラム生成装置30から送信された各曲げ加工で用いる金型を指定する情報を加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報内に設定する。ここでは、ステップS4で曲げ加工の実行順序の情報を送信する処理と、ステップS6で各曲げ加工で用いる金型の情報を送信する処理を別に実行する場合について説明したが、これらの情報をまとめてデータ管理サーバ20に送信して記憶させるようにしてもよい。
【0039】
次に、表示部33に表示された第1画像51aの情報を用いて、オペレータがいずれかの曲げ線、例えば曲げ線V1を選択する操作を行うと、曲げ線位置設定部324は当該操作情報を取得する(S7の「YES」)。
【0040】
曲げ線位置設定部324が当該操作情報を取得した状態でさらに、オペレータが、該当する第1曲げ加工に関して第1ダイ14Aに対する曲げ線V1の位置合わせ処理を開始するための操作を行うと、曲げ線位置設定部324は当該操作情報を取得する(S8の「YES」)。この曲げ線V1の位置合わせ処理を開始するための操作は、例えば、表示部33に表示された位置合わせボタン(図示せず)の操作で行われる。
【0041】
曲げ線位置設定部324が当該操作の情報を取得すると、加工データ取得部321が取得した情報に基づいて、第1曲げ加工で使用する第1パンチ13Aおよび第1ダイ14Aの設置位置と曲げ線V1の位置との関係を模式的に示す第2画像52aを生成し、表示部33に表示する(S9)。
【0042】
図5(a)は、表示部33に表示された第2画像52aの一例を示す。
図5(a)の第2画像52aでは、第1パンチ13Aを示す矩形情報521と、第1ダイ14Aを示す矩形情報522と、曲げ線V1を示す線情報523とにより、これらの左右方向の位置関係が示されている。ここでは、初期状態として、第1パンチ13Aを示す矩形情報521と、第1ダイ14Aを示す矩形情報522とが上下に対応して表示され、曲げ線V1を示す線情報523の中心が、第1パンチ13Aおよび第1ダイ14Aの左右方向の中心に合う位置に表示されている。
【0043】
この第2画像52a内の第1ダイ14Aを示す矩形情報522の左側1/3部分は、曲げ線V1の左端を第1ダイ14A左端に合わせるための操作エリア522aとして構成されている。また、当該矩形情報522の中央1/3部分は、曲げ線V1の中心を第1ダイ14Aの左右方向の中心に合わせるための操作エリア522bとして構成されている。また、当該矩形情報522の右側1/3部分は、曲げ線V1の右端を第1ダイ14A右端に合わせるための操作エリア522cとして構成されている。
【0044】
オペレータが、表示部33に表示された第2画像52a内の第1ダイ14Aを示す矩形情報522の操作エリア522aを指定する操作を行うと(S10の「YES」)、曲げ線位置設定部324は、表示されている第2画像52aを、
図5(b)に示すように曲げ線V1の左端を第1ダイ14Aの左端に合わせた画像に変更する。そして、変更した第2画像52aに基づいて、第1ダイ14Aに対する曲げ線V1の相対位置を指定する。
【0045】
曲げ線位置設定部324は、第1ダイ14Aに対する曲げ線V1の相対位置の情報と、予め設定された第1ダイ14Aの設置位置情報とに基づいて、当該曲げ線V1の第1加工ステーション15A内の絶対位置情報を、曲げ線V1の位置合わせ情報として生成する。
【0046】
曲げ線位置設定部324は、生成した曲げ線V1の位置合わせ情報をデータ管理サーバ20に送信する(S11)。データ管理サーバ20の第1CPU23は、加工プログラム生成装置30から取得した情報を加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報に設定する。曲げ線V1の位置合わせ情報が設定されることにより、当該曲げ加工におけるワークW1の設置位置が決定する。
【0047】
曲げ線V1の位置合わせ情報が設定された後、ここでは、後述するようにダイの設置位置情報の変更操作は行われず(S12の「NO」)、曲げ線の位置合わせ情報が未設定の他の曲げ加工があるためにステップS7に戻る(S13の「NO」)。そして、オペレータが曲げ線V2を選択する操作を行うと、曲げ線位置設定部324は当該操作情報を取得する(S7の「YES」)。
【0048】
さらにオペレータが当該曲げ線V2の位置合わせ処理を開始するための操作を行い(S8の「YES」)、表示された第2画像上で第1ダイ14Aを示す矩形情報522内の右側1/3部分の箇所を指定すると(S9、S10の「YES」)、曲げ線位置設定部324は、曲げ線V2の右端を第1ダイ14Aの右端に合う位置に指定して、当該位置に基づいて曲げ線V2の位置合わせ情報を生成する。
【0049】
曲げ線位置設定部324は、生成した位置合わせ情報をデータ管理サーバ20に送信する(S11)。データ管理サーバ20の第1CPU23は、加工プログラム生成装置30から取得した情報を加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報に設定する。曲げ線V2の位置合わせ情報が設定されることにより、当該曲げ加工におけるワークW1の設置位置が決定する。
【0050】
ここで、曲げ線V2の位置合わせ操作により位置決めされたワークW1の一部が、隣接する第2加工ステーション15Bにおける加工作業エリアと干渉すると、オペレータは第1ダイ14Aの設置位置を変更する操作を行う。この操作ではまず、オペレータが第2画像52a上で当該第1ダイ14Aを示す矩形情報522を選択することで、設置位置変更対象のダイを指定する(S12の「YES」)。オペレータが、指定された第1ダイ14Aの設置位置を変更する操作を行う際に金型位置変更処理部325で実行される処理について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
オペレータが設置位置変更対象を指定するために第1ダイ14Aを示す矩形情報522を選択する操作を行うと、金型位置変更処理部325は、第2画像52aに表示されている当該矩形情報522および曲げ線V2を示す線情報523をハイライト表示させ、選択状態であることを示す。または、オペレータが第2画像52a上で曲げ線V2の線情報523を選択する操作を行うことで、金型位置変更処理部325が対応する第1ダイ14Aを示す矩形情報522および曲げ線V2を示す線情報523をハイライト表示させ、選択状態であることを示すようにしてもよい。この場合、オペレータが曲げ線V2を示す線情報523を選択したときに、第1ダイ14Aもハイライト表示させて第1ダイ14Aの設置位置の変更に伴って曲げ線V2の位置合わせ情報も変更するか否かをオペレータが選択操作することができる。
【0052】
そして、ハイライト表示された第1ダイ14Aを示す矩形情報522をオペレータが左右方向にずらす操作を行うかまたは、第1ダイ14Aの設置位置を示す数値情報を編集すると、金型位置変更処理部325は第1ダイ14Aの設置位置の情報を変更する(S141の「YES」)。
【0053】
金型位置変更処理部325は、第1ダイ14Aの設置位置の情報を変更すると、ハイライト表示されている曲げ線V2の位置合わせ情報を、設置位置変更後の第1ダイ14Aの右端位置を基準とした絶対位置の情報に変更する。曲げ線位置設定部324は、変更された曲げ線V2の位置合わせ情報をデータ管理サーバ20に送信し、第1CPU23は加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報を変更する。
【0054】
次に、曲げ線位置設定部324は、当該第1ダイ14Aを用いる曲げ加工に対応し、既に位置合わせ情報が設定されているすべての曲げ線の識別情報を取得する(S142)。ここでは、該当する曲げ線V1の識別情報を取得する。次に、曲げ線位置設定部324は、取得した曲げ線の識別情報ごとに、既に設定された曲げ線の位置合わせ情報を変更する(ループ1)。
【0055】
当該変更処理では、該当する曲げ線に関し、当該ダイの左端位置を基準として曲げ線の位置合わせ情報が設定されていれば(S143の「YES」)、当該位置合わせ情報を、設置位置変更後のダイの左端位置を基準とした絶対位置の情報に変更する(S144)。つまり、当該曲げ線の左端が当該ダイの左端に合う位置に設定された位置合わせ情報に変更する。
【0056】
また、該当する曲げ線に関し、当該ダイの中央位置を基準として曲げ線の位置合わせ情報が設定されていれば(S145の「YES」)、当該位置合わせ情報を、設置位置変更後のダイの中央位置を基準とした情報に変更する(S146)。また、該当する曲げ線に関し、当該ダイの右端位置を基準として曲げ線の位置合わせ情報が設定されていれば(S147の「YES」)、当該位置合わせ情報を、設置位置変更後のダイの右端位置を基準とした絶対位置の情報に変更する(S148)。
【0057】
ここでは、曲げ線V1に関しては、第1ダイ14Aの左端位置を基準として位置合わせ情報が設定されているため、曲げ線位置設定部324は当該位置合わせ情報を、設定位置変更後の第1ダイ14Aの左端位置を基準とした情報に変更する。曲げ線位置設定部324は、変更した曲げ線V1の位置合わせ情報をデータ管理サーバ20に送信し、第1CPU23は加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報を変更する。
【0058】
以上で、第1ダイ14Aの金型位置変更処理の説明を終了する。以降、
図3BのステップS13に戻り、第3曲げ加工、第4曲げ加工、および第5曲げ加工に関しても、ステップS7~S14の処理が実行される。
【0059】
すべての曲げ加工に関する曲げ線の位置合わせ情報が生成されてデータ管理サーバに送信されると(S13の「YES」)、ワークW1の加工プログラムの詳細設定理を終了する。
【0060】
曲げ加工機1によりワークW1の曲げ加工が行う際には、NC装置40はデータ管理サーバ20の加工プログラム記憶部22に記憶された加工プログラム情報を読み出し、当該加工プログラム情報に基づいてプレスブレーキ10のそれぞれの加工ステーションに該当する金型を設置させ、ワークW1を位置決めして順次曲げ加工を実行させる。
【0061】
以上の第1実施形態によれば、曲げ加工機で用いる加工プログラム情報を生成する際に、加工対象のワークW1内の曲げ線の位置を設定した後、金型(ダイ)の設置位置を変更した場合に、設定済みの曲げ線の位置の情報が新たな金型の設置位置に合わせて自動で変更され、オペレータの作業工数を低減させることができる。
【0062】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態として、プレスブレーキ10により、
図7に示すワークW2の複数箇所の曲げ加工で用いる曲げ加工情報を生成する場合について説明する。
【0063】
〈第2実施形態による板金加工システムの構成〉
本発明の第2実施形態による板金加工システム1Bの構成は、第1実施形態で説明した板金加工システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0064】
本実施形態において、データ管理サーバ20のワーク形状データ記憶部21は、加工対象のワークW2の形状データを記憶する。加工プログラム記憶部22は、ワークW2の加工プログラム情報として予め設定された、ワークW2の複数の曲げ加工の箇所をそれぞれ示す、ワークW2の形状データ上の複数の曲げ線の情報と、加工ステーションごとに予め設定された、使用する金型の設置位置情報とを記憶する。
【0065】
〈第2実施形態による板金加工システムの動作〉
本実施形態による板金加工システム1Bの動作について、
図3A、
図3B、
図6~
図8を参照して説明する。オペレータが加工プログラム生成装置30の操作情報入力部31でワークW2の曲げ加工プログラムの詳細設定を指示する操作を行うと(S1の「YES」)、第2CPU32が当該操作の情報を取得する。
【0066】
第2CPU32が当該操作情報を取得すると、第1実施形態と同様に、加工データ取得部321がデータ管理サーバ20からワークW2の形状データおよび加工プログラム情報を取得し、これらの情報を示した第1画像51bを表示部33に表示する(S2)。
【0067】
図7は、表示部33に表示された第1画像51bの一例を示す。
図7の第1画像51bに表示されたワークW2の形状データは、横長の長方形の本体部P2と、本体部P2の上端の左寄りに設けられた第6折り曲げ部位R6と、本体部P2の上端の右寄りに設けられた第7折り曲げ部位R7と、本体部P2の下端に設けられた第8折り曲げ部位R8とを有する。
【0068】
そして、このワークW2の形状データ内の本体部P2と第6折り曲げ部位R6との境目に第6曲げ加工箇所を示す曲げ線V6が示され、本体部P2と第7折り曲げ部位R7との境目に第7曲げ加工箇所を示す曲げ線V7が示され、本体部P2と第8折り曲げ部位R8との境目に第8曲げ加工箇所を示す曲げ線V8が示されている。
【0069】
次に、オペレータが操作情報入力部31でワークW2の複数の曲げ加工の実行順序として、第6曲げ加工と第7曲げ加工とを同時に実行し、その後第8曲げ加工を実行することを指定する操作を行ったものとする(S3の「YES」)。曲げ順指定部322は、取得した情報をデータ管理サーバ20に送信する(S4)。データ管理サーバ20の第1CPU23は、加工プログラム生成装置30から送信されたワークW2の複数の曲げ加工の実行順序を指定する情報を加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報内に設定する。
【0070】
次に、オペレータが操作情報入力部31で、第6曲げ加工では第1加工ステーション15Aの第1パンチ13Aおよび第1ダイ14Aを使用し、第7曲げ加工では第2加工ステーション15Bの第2パンチ13Bおよび第2ダイ14Bを使用し、第8曲げ加工では第3加工ステーション15Cの第3パンチ13Cおよび第3ダイ14Cを使用することを指定する操作を行ったものとする(S5)。
【0071】
金型指定部323は、取得した情報をデータ管理サーバ20に送信する(S6)。データ管理サーバ20の第1CPU23は、加工プログラム生成装置30から送信された各曲げ加工で用いる金型を指定する情報を加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報内に設定する。
【0072】
次に、表示部33に表示された第1画像51bの情報を用いて、オペレータが、同時に曲げ加工を行う曲げ線V6およびV7を選択する操作を行うと、曲げ線位置設定部324は当該操作情報を取得する(S7の「YES」)。
【0073】
曲げ線位置設定部324が当該操作情報を取得した状態でさらに、オペレータが、該当する第6曲げ加工および第7曲げ加工に関して該当する第1ダイ14Aおよび第2ダイ14Bに対する曲げ線V6およびV7の位置合わせ処理を開始するための操作を行うと、曲げ線位置設定部324が当該操作情報を取得する(S8の「YES」)。
【0074】
曲げ線位置設定部324が当該操作の情報を取得すると、加工データ取得部321が取得した情報に基づいて、第6曲げ加工で使用する第1パンチ13Aおよび第1ダイ14Aの設置位置と曲げ線V6の位置との関係、および、第7曲げ加工で使用する第2パンチ13Bおよび第2ダイ14Bの設置位置と曲げ線V7の位置との関係を模式的に示す第2画像52bを生成し、表示部33に表示する(S9)。
【0075】
図8(a)は、表示部33に表示された第2画像52bの一例を示す。
図8(a)の第2画像52bでは、第1パンチ13Aを示す矩形情報521と、第1ダイ14Aを示す矩形情報522と、曲げ線V6を示す線情報524と、第2パンチ13Bを示す矩形情報525と、第2ダイ14Bを示す矩形情報526と、曲げ線V7を示す線情報527とにより、これらの左右方向の位置関係が示されている。
【0076】
ここでは、初期状態として、第1パンチ13Aを示す矩形情報521と、第1ダイ14Aを示す矩形情報522とが上下に対応して表示され、曲げ線V6を示す線情報524の中心が、第1パンチ13Aおよび第1ダイ14Aの左右方向の中心に合う位置に表示されている。また、第2パンチ13Bを示す矩形情報525と、第2ダイ14Bを示す矩形情報526とが上下に対応して表示され、曲げ線V7を示す線情報527の中心が、第2パンチ13Bおよび第2ダイ14Bの左右方向の中心に合う位置に表示されている。
【0077】
この第2画像52b内の第1ダイ14Aを示す矩形情報522の左側1/3部分、および第2ダイ14Bを示す矩形情報526の左側1/3部分は、曲げ線V6およびV7の左端を、それぞれ第1ダイ14Aおよび第2ダイ14Bの左端に合わせるための操作エリア522aおよび526aとして構成されている。また、当該矩形情報522の中央1/3部分、および矩形情報526の中央1/3部分は、曲げ線V6およびV7の中心を、それぞれ第1ダイ14Aおよび第2ダイ14Bの左右方向の中心に合わせるための操作エリア522bおよび526bとして構成されている。また、当該矩形情報522の右側1/3部分、および矩形情報526の右側1/3部分は、曲げ線V6およびV7の右端を、それぞれ第1ダイ14Aおよび第2ダイ14Bの右端に合わせるための操作エリア522cおよび526cとして構成されている。
【0078】
オペレータが、表示部33に表示された第2画像52bの第1ダイ14Aを示す矩形情報522内の操作エリア522aまたは第2ダイ14Bを示す矩形情報526内の操作エリア526aのいずれかを指定する操作を行うと(S10の「YES」)、曲げ線位置設定部324は、表示されている第2画像52bを、
図8(b)に示すように曲げ線V6およびV7双方の左端を第1ダイ14Aおよび第2ダイ14Bの左端に合わせた画像に変更する。そして、変更した第2画像52bに基づいて、第1ダイ14Aに対する曲げ線V6の相対位置、および第2ダイ14Bに対する曲げ線V7の相対位置を指定する。
【0079】
曲げ線位置設定部324は、第1ダイ14Aに対する曲げ線V6の相対位置の情報と、予め設定された第1ダイ14Aの設置位置情報とに基づいて、当該曲げ線V6の第1加工ステーション15A内の絶対位置情報を、曲げ線V6の位置合わせ情報として生成する。また、第2ダイ14Bに対する曲げ線V7の相対位置の情報と、予め設定された第2ダイ14Bの設置位置情報とに基づいて、当該曲げ線V7の第2加工ステーション15B内の絶対位置情報を、曲げ線V7の位置合わせ情報として生成する。
【0080】
曲げ線位置設定部324は、生成した曲げ線V6およびV7の位置合わせ情報をデータ管理サーバ20に送信する(S11)。データ管理サーバ20の第1CPU23は、加工プログラム生成装置30から取得した情報を加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報に設定する。曲げ線V6およびV7の位置合わせ情報が設定されることにより、当該曲げ加工におけるワークW2の設置位置が決定する。
【0081】
ここで、オペレータが第1ダイ14Aおよび第2ダイ14Bの設置位置を変更するため、第2画像52b上で、第1ダイ14Aを示す矩形情報522および第2ダイ14Bを示す矩形情報526を選択することで、設置位置変更対象のダイを指定する(S12の「YES」)。
【0082】
この2つのダイの指定操作は例えば、第1ダイ14Aを示す矩形情報522を選択した状態で操作情報入力部31のキーボードのコントロールキー(Ctrlキー)を押下しながら第2ダイ14Bを示す矩形情報526を選択することで実行される。
【0083】
オペレータが設置位置変更対象を指定するために第1ダイ14Aを示す矩形情報522および第2ダイ14Bを示す矩形情報526を選択する操作を行うと、金型位置変更処理部325は、第2画像52aに表示されている当該矩形情報522および526と、対応する曲げ線V6およびV7をそれぞれ示す線情報524および527とをハイライト表示させ、選択状態であることを示す。
【0084】
そして、ハイライト表示された第1ダイ14Aを示す矩形情報522または第2ダイ14Bを示す矩形情報526のいずれかをオペレータが左右方向にずらす操作を行うかまたは、第1ダイ14Aまたは第2ダイ14Bの設置位置を示す数値を編集すると、金型位置変更処理部325は、第1ダイ14Aと第2ダイ14Bとの間の位置関係を保った状態で設置位置の情報を変更する(S141の「YES」)。
【0085】
金型位置変更処理部325は、第1ダイ14Aおよび第2ダイ14Bの設置位置の情報を変更すると、これらのダイを用いる曲げ加工に対して既に位置合わせ情報が設定されている曲げ線に関し、第1実施形態と同様に
図6のフローチャートに示す処理に従って、位置合わせ情報を変更する処理を実行する(S142~S148)。
【0086】
すべての曲げ加工に関する曲げ線の位置合わせ情報が生成されてデータ管理サーバに送信されると(S13の「YES」)、ワークW2の加工プログラムの生成処理を終了する。
【0087】
以上の第2実施形態によれば、曲げ加工機で用いる加工プログラム情報を生成する際に、加工対象のワークW2内の曲げ線の位置を設定した後、複数の加工ステーションの金型(ダイ)の設置位置を同時に変更した場合に、設定済みのすべての曲げ線の位置の情報が新たな金型の設置位置に合わせて自動で変更され、オペレータの作業工数を低減させることができる。
【0088】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態として、第2実施形態とは異なる手法で、プレスブレーキ10により、ワークW2の複数箇所の曲げ加工で用いる曲げ加工情報を生成する場合について説明する。
【0089】
〈第3実施形態による板金加工システムの構成〉
本発明の第3実施形態による板金加工システム1Cの構成は、第3実施形態で説明した板金加工システム1Bの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0090】
〈第3実施形態による板金加工システムの動作〉
本実施形態による板金加工システム1Bの動作について、
図3A、
図3B、
図7~
図9を参照して説明する。オペレータが加工プログラム生成装置30の操作情報入力部31でワークW2の曲げ加工プログラムの詳細設定を指示する操作を行うと(S1の「YES」)、第2CPU32が当該操作の情報を取得する。
【0091】
第2CPU32が当該操作情報を取得すると、加工データ取得部321がデータ管理サーバ20からワークW2の形状データおよび加工プログラム情報を取得し、これらの情報を示した第1画像51bを表示部33に表示する(S2)。
【0092】
表示部33に表示された第1画像51b上でオペレータが、第2実施形態と同様に、ワークW2の複数の曲げ加工の実行順序および各曲げ加工で使用する加工ステーションを指定する操作を行う(S3、S4、およびS5の「YES」)。
【0093】
ステップS5で各曲げ加工で用いる加工ステーションが指定された際に、金型指定部323は、同時に実行される第6曲げ加工および第7曲げ加工で使用される、第1加工ステーション15Aの識別情報および第2加工ステーション15Bの識別情報を含むステーショングループ情報D1を生成する。
【0094】
生成されたステーショングループ情報D1は、オペレータによる加工ステーションの指定操作の情報とともに、金型指定部323からデータ管理サーバ20に送信され、加工プログラム記憶部22の加工プログラム情報内に設定される(S6)。
【0095】
次に、表示された第1画像51bの情報を用いて、オペレータが曲げ線V6およびV7に関して、第2実施形態と同様に該当するダイへの位置合わせの操作を行うと、曲げ線位置設定部324が該当する曲げ線V6およびV7の位置合わせ情報を生成し、データ管理サーバ20に送信する(S7~S11)。
【0096】
次に、オペレータが第2画像52b上で第1ダイ14Aを示す矩形情報522を指定して(S12の「YES」)、第1ダイ14Aの設置位置を変更する操作を行う際に金型位置変更処理部325で実行される処理について、
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0097】
オペレータが設置位置変更対象を指定するために第1ダイ14Aを示す矩形情報522を選択する操作を行い、矩形情報522をオペレータが左右方向にずらす操作を行うかまたは、第1ダイ14Aの設置位置を示す数値を編集すると、金型位置変更処理部325は、第1ダイ14Aの設置位置の情報を変更する(S151の「YES」)。
【0098】
金型位置変更処理部325は、第1ダイ14Aの設置位置の情報を変更すると、データ管理サーバ20に記憶された情報に基づいて、当該第1ダイ14Aの識別情報を含む金型グループ情報としてステーショングループ情報D1を特定する。そして、当該ステーショングループ情報D1に属する第1ダイ14A以外のダイ、つまり第2ダイ14Bについて、その設置位置の情報を、第1ダイ14Aと同じ方向に同じ距離分、移動させた位置の情報に変更する(S152)。特定したステーションのグループに、設置位置を変更したダイ以外のダイの識別情報が複数含まれている場合には、これらすべてのダイについて設置位置の情報を変更する(ループ2)。
【0099】
金型位置変更処理部325は、ステーショングループ情報D1内の識別情報に該当するすべてのダイについて設置位置を変更すると、該当する第1ダイ14A、第2ダイ14Bを用いる曲げ加工に対応し、既に位置合わせ情報が設定されている曲げ線の識別情報を取得する(S153)。ここでは、該当する曲げ線V6およびV7の識別情報を取得し、これらに関し、第1実施形態と同様の処理により、位置合わせ情報を変更する(S154~S159)。
【0100】
すべての曲げ加工に関する曲げ線の位置合わせ情報が生成されてデータ管理サーバに送信されると(S13の「YES」)、ワークW2の加工プログラムの生成処理を終了する。
【0101】
以上の第3実施形態によれば、曲げ加工機で用いる加工プログラム情報を生成する際に、加工対象のワークW2内の曲げ線の位置を設定した後、所定の加工ステーションの金型(ダイ)の設置位置の情報を変更した場合、当該加工ステーションとグループ化された他の加工ステーションの金型の設置位置も自動で変更され、さらに、これらの加工ステーションに関して設定済みのすべての曲げ線の位置の情報が新たな金型の設置位置に合わせて自動で変更され、オペレータの作業工数を低減させることができる。
【0102】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 曲げ加工機
1A,1B,1C 板金加工システム
10 プレスブレーキ
11 上部テーブル
12 下部テーブル
13A,13B,13C パンチ
14A,14B,14C ダイ
15A,15B,15C 加工ステーション
20 データ管理サーバ
21 ワーク形状データ記憶部
22 加工プログラム記憶部
23 第1CPU
30 加工プログラム生成装置
31 操作情報入力部
32 第2CPU
33 表示部
40 NC装置
51a,51b 第1画像
52a,52b 第2画像
321 加工データ取得部
322 曲げ順指定部
323 金型指定部
324 曲げ線位置設定部
325 金型位置変更処理部
521,522,525,526 矩形情報
523,524,527 線情報
522a,522b,522c,526a,526b,526c 操作エリア