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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】端子付き電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/296 20210101AFI20240209BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/559 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20240209BHJP
【FI】
H01M50/296
H01M50/109
H01M50/124
H01M50/202 501B
H01M50/50 101
H01M50/543
H01M50/548 101
H01M50/559
H01M50/566
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020073125
(22)【出願日】2020-04-15
(65)【公開番号】P2021170470
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】岸田 章
(72)【発明者】
【氏名】一色 淳
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-109253(JP,A)
【文献】特開平03-008274(JP,A)
【文献】特開平01-076666(JP,A)
【文献】実開昭56-094982(JP,U)
【文献】特開2014-011049(JP,A)
【文献】特開2012-142170(JP,A)
【文献】特表2003-516604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部及び周壁部を有する外装缶と、該外装缶の開口を覆い、平面部及び周壁部を有する封口缶と、前記外装缶と前記封口缶との間に配置される電極体とを有する扁平形電池と、
前記扁平形電池を収容する絶縁ケースと、
前記扁平形電池に接続される外部端子とを備え、
前記外装缶の周壁部は、前記封口缶の周壁部を覆うように外側に配され、
前記絶縁ケースは、前記外装缶の周壁部を露出させる第1開口部と、前記封口缶の平面部を露出させる第2開口部とを有し
前記外部端子は、平坦部と、該平坦部から延びる先端部とを有し、
前記平坦部は、前記封口缶の平面部に前記第2開口部を介して溶接され、
前記先端部は、前記絶縁ケースの外側で前記外装缶側に曲げられている、端子付き電池。
【請求項2】
請求項1に記載の端子付き電池であって、
前記絶縁ケースの第2開口部は、平面視で前記封口缶の平面部よりも面積が小さい、端子付き電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端子付き電池であって、
前記外部端子の平坦部は、前後左右方向への移動が規制されるように前記第2開口部に嵌合されて前記先端部の位置決めをしている、端子付き電池。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の端子付き電池であって、
前記扁平形電池は、略円柱形状であり、
前記外装缶の周壁部は、前記第1開口部から平面視で弧状に露出しており、
前記外部端子の先端部は、前記露出した周壁部の最外部の接線近傍で、かつ、前記第1開口部から離れた位置で、前記外装缶側に曲げられている、端子付き電池。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の端子付き電池の製造方法であって、
前記扁平形電池、前記絶縁ケース及び前記外部端子を準備する工程と、
前記絶縁ケースに前記扁平形電池を収容し、前記第1開口部から外装缶の周壁部を露出させ、前記第2開口部から封口缶の平面部を露出させる工程と、
前記平坦部を前記封口缶の平面部に前記第2開口部を介して溶接し、前記絶縁ケースの外側で前記外装缶側に曲げられた前記先端部の位置決めをする工程とを含む、端子付き電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子付き電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ボタン形電池などの扁平形電池は、平面部及び周壁部を有する外装缶と、平面部及び周壁部を有し、外装缶の開口を覆う封口缶とを備え、外装缶と封口缶との間に形成された内部空間に発電要素を収容した構成となっている。扁平形電池は、外部端子を接続することにより、電子機器及び回路基板等との導電接続がなされる。このような端子付きの電池として、以下のものが開示されている。
【0003】
特開平2-109253号公報は、導体による底板と、円弧上の開口及び円弧の円周方向の切欠きを規定する縁を有する絶縁カバーと、底板を折り曲げることにより絶縁カバーを固定するとともに電池の底面に接触する負の電源端子を提供する立ち上がり片とを有するコイン型電池の収容装置を開示している。コイン型電池の収容装置は、立ち上がり片と切欠きに露出する電池の側面とにより1対の電源端子を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-109253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コイン型電池の収容装置は、電子機器等に収容される電池を交換する際、収容装置を小型電子装置本体に着脱し、さらに、コイン型電池を収容装置に着脱しなければならない。すなわち、コイン型電池の収容装置は、電池の交換に手間が掛かる。
【0006】
そこで、本開示は、扁平形電池の交換を容易に行うことができる端子付き電池及びその製造方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は次のように構成した。すなわち、本開示に係る端子付き電池は、平面部及び周壁部を有する外装缶と、外装缶の開口を覆い、平面部及び周壁部を有する封口缶と、外装缶と封口缶との間に配置される電極体とを有する扁平形電池と、扁平形電池を収容する絶縁ケースと、扁平形電池に接続される外部端子とを備えてよい。外装缶の周壁部は、封口缶の周壁部を覆うように外側に配されてよい。絶縁ケースは、外装缶の周壁部を露出させる第1開口部と、封口缶の平面部を露出させる第2開口部とを有してよい。外部端子は、平坦部と、平坦部から延びる先端部とを有してよい。平坦部は、封口缶の平面部に第2開口部を介して溶接されてよい。先端部は、絶縁ケースの外側で外装缶側に曲げられてよい。
【0008】
好ましくは、絶縁ケースの第2開口部は、平面視で封口缶の平面部よりも面積が小さくてよい。
【0009】
好ましくは、外部端子の平坦部は、前後左右方向への移動が規制されるように第2開口部に嵌合されて前記先端部の位置決めをしてよい。
【0010】
好ましくは、扁平形電池は、略円柱形状であってよい。外装缶の周壁部は、第1開口部から平面視で弧状に露出してよい。外部端子の先端部は、弧状に露出した周壁部の最外部の接線近傍で、かつ、第1開口部から離れた位置で、絶縁ケースの外側で外装缶側に曲げられてよい。
【0011】
本開示に係る端子付き電池の製造方法は、扁平形電池、絶縁ケース及び外部端子を準備する工程を含んでよい。絶縁ケースに前記扁平形電池を収容し、第1開口部から外装缶の周壁部封口缶の平面部を露出させ、第2開口部から封口缶の平面部を露出させる工程を含んでよい。平坦部を封口缶の平面部に第2開口部を介して溶接し、絶縁ケースの外側で外装缶側に曲げられた先端部の位置決めをする工程とを含んでよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、扁平形電池の交換を容易に行うことができる端子付き電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る端子付き電池の構造を示す外観斜視図である。
図2図2は、図1に示す端子付き電池のA-A’断面図である。
図3図3は、図1に示す端子付き電池の分解斜視図である。
図4図4は、図1に示す端子付き電池の底面図である。
図5図5は、図1に示す端子付き電池の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態に係る端子付き電池1を図1~4を用いて具体的に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0015】
図1に示すように、端子付き電池1は、扁平形電池2、扁平形電池2を収容する絶縁ケース3及び扁平形電池2に接続される外部端子4を備えている。
【0016】
扁平形電池2は、図2に示すように、外装缶21と、外装缶21の開口を覆う封口缶22と、外装缶21と封口缶22との間に配置された電極体23と、外装缶21と封口缶22との間を封止するガスケット24とを備えている。
【0017】
外装缶21は、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底筒状に形成されている。外装缶21は、円形状の平面部211と、平面部211の外周から連続して形成される円筒状の周壁部212とを備えている。周壁部212は、縦断面視で、平面部211に対して略垂直に延びるように設けられている。
【0018】
封口缶22は、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。封口缶22は、円形状の平面部221と、平面部221の外周から連続して形成される円筒状の周壁部222とを備える。周壁部222は、縦断面視で、平面部221に対して略垂直に延びるように設けられている。
【0019】
電極体23は、発電要素として、正極材231と、負極材232と、正極材231及び負極材232の間に配置された電解質233とを備えている。正極材231は、正極活物質等を円柱状に成形した正極ペレットである。正極材231は、外装缶21の平面部211の内面に隣接して配置されている。よって、外装缶21は、正極缶(正極端子)として機能する。負極材232は、負極活物質を円柱状に成形した負極ペレットである。負極材232は、封口缶22の平面部221の内面に隣接して配置されている。よって、封口缶22は、負極缶として機能する。電解質233は、セパレータ(図示せず)の空孔内に保持された電解液であってもよく、固体電解質やポリマー電解質であってもよい。電解質233は、セパレータに保持された状態で、或いは、それ単独で正極材231と負極材232との間に配置されている。すなわち、扁平形電池2は、非水電解質電池又は全固体電池等であってもよく、また、一次電池又は二次電池であってもよく、その構成は限定されない。
【0020】
外装缶21と封口缶22とは、電極体23を内部空間に収容したのち、外装缶21の周壁部212と封口缶22の周壁部222との間にガスケット24を介してカシメられる。具体的には、外装缶21と封口缶22とは、外装缶21と封口缶22の互いの開口を対向させ、外装缶21の周壁部212の内側に封口缶22の周壁部222を挿入したのち、周壁部212と周壁部222との間にガスケット24を介してカシメられる。これにより、外装缶21と封口缶22によって形成された内部空間は、密閉状態となる。
【0021】
なお、扁平形電池2の形状は、略円柱形状に限定されるものではなく、略多角柱形状や略楕円柱形状等であってもよい。
【0022】
絶縁ケース3は、図3に示すように、略円筒形状に形成されており、その内部に略円柱形状の扁平形電池2を収容している。絶縁ケース3の内部空間の形状は、扁平形電池2の外形状と略同じか僅かに大きい。絶縁ケース3は、例えば、樹脂製である。絶縁ケース3は、図3及び4に示すように、扁平形電池2を収容するための開口部31を有している。絶縁ケース3は、扁平形電池2を収容した状態で、外装缶21の少なくとも一部を露出させる開口部32と、封口缶22の少なくとも一部を露出させる開口部33とを有している。なお、絶縁ケース3の内部空間の形状は、扁平形電池2の種々の形状に応じて扁平形電池2を収容できれば、これに限定されるものではない。
【0023】
開口部31は、略円筒形状の絶縁ケース3の下方に開口形成されている。開口部31は、絶縁ケース3の下方全体を開口させている。すなわち、開口部31は底面視で円形状であり、図4に示すように、外装缶21の平面部211を露出させている。開口部31は、絶縁ケース3の下方から扁平形電池2を収容できればよく、開口の形状や大きさは限定されない。扁平形電池2は、封口缶22の平面部221側から開口部31を通じて絶縁ケース3に収容される。また、絶縁ケース3に扁平形電池2を収容したのちに、開口部31を閉じる蓋(図示せず)を設けてもよい。ただし、蓋を設けない場合であっても、後述するように、扁平形電池2と外部端子4とが開口部33を介して溶接されるため、開口部31から扁平形電池2が脱落することはない。
【0024】
開口部32は、図3に示すように、絶縁ケース3の周側面に開口形成されている。開口部32は、外装缶21の周壁部212を露出させる。開口部32は、絶縁ケース3の周方向の一部を開口させている。また、開口部32の下方は、開口部31と連通している。露出した外装缶21の周壁部212は、端子付き電池1を電子機器等に収容すると、絶縁ケース3の周側面に対向して配置される電子機器等の一方の接触子(図示せず。)に電気的に接続される。開口部32は、開口部31と連通しなくてもよく、開口の幅や高さは特に限定されず、電子機器等の一方の接触子に接続できるように外装缶21の周壁部212を露出できればよい。なお、本実施形態では、外装缶21は正極缶として機能している。したがって、一方の接触子は、正極側の接触子として機能している。
【0025】
開口部33は、絶縁ケース3の上面に開口形成されている。平面視で開口部33の面積は、封口缶22の平面部221の面積よりも小さい。すなわち、開口部33は、封口缶22の平面部221の一部を露出させている。開口部33は、後述する外部端子4の平坦部41を嵌合させる。開口部33は、平面視で略円形状の開口を有している。
【0026】
開口部33は、開口面に沿って延びる2つの係止孔331を有している。各々の係止孔331は、開口部33の中央の円形開口から外方に向かって延び、平面視で略四角形状に形成されている。係止孔331は、外部端子4の平坦部41に形成された2つの係止片411を係止し、外部端子4の前後左右方向への移動を規制する。なお、図1に示すように、本明細書において、前後左右方向の前方向(F)とは開口部32と先端部42とを設けた方向とし、後方向(B)とは、前方向(F)とは反対側の方向とし、右方向(R)とは前方向(F)を向いてその右側(図示左側)の方向とし、左方向(L)とは右方向(R)とは反対側の方向とする。また、平坦部41の前後左右方向への移動のうち、左右方向への移動は、平坦部41の主面に直交する線を軸として左右方向へ水平に回転する移動を含む。
【0027】
開口部33のうち係止孔331は、係止孔331の開口下端を塞ぐ開口底部332を有している。開口底部332は、係止片411の下面を支持するようになっている。なお、開口底部332は、係止孔331だけでなく、開口部33の開口下端から径方向で内方に延びるフランジ状に形成されてもよい。その場合、開口底部332は、外部端子4の平坦部41の下面の一部を載置することができる。
【0028】
また、絶縁ケース3は、図3に示すように、平面視において、外部端子4の先端部を支持するために突出して設けられてた支持部34を有している。支持部34は、後述する外部端子4の先端部42を支持する。支持部34は、外部端子4の先端部42の位置決めをするように先端部42を嵌合可能に形成された溝部341を有している。溝部341は、開口部32から外方に延び、曲げられた先端部42に沿うように絶縁ケース3の側面まで形成されている。
【0029】
外部端子4は、図3に示すように、平坦部41と、平坦部41から延びる先端部42とを有する。平坦部41は、前後左右方向への移動が規制されるように絶縁ケース3の開口部32に嵌合されている。すなわち、平坦部41は、封口缶22の平面部221の面積よりも小さく、平面視で開口部33に嵌合可能な形状で形成されている。このように平坦部41を比較的小さくすることにより、端子付き電池1を小型化できる。言い換えれば、電子機器等において端子付き電池1を収容するためのスペースを小さくし、電子機器等を小型化できる。
【0030】
具体的には、平坦部41は、平坦部41に沿って延びる2つの係止片411を有している。各々の係止片411は、開口部32の係止孔331と平面視で略同じ形状をしている。2つの係止片411は各々、係止孔331に嵌合され、外部端子4の前後左右方向への移動を規制する。2つの係止片411は、図5に示すように、略90°の角度θで位置ズレし、開口部33のうち平面視で先端部42に対向するように配置されている。このように2つの係止片411によって平坦部41の位置決めすることにより、外部端子4の先端部42の位置決めが容易になる。なお、先端部42の位置決めをできれば、係止片411は、1つでもよいし2つ以上でもよく、係止片411の平面視形状も、係止孔331と略同じである必要はなく限定されるものではない。
【0031】
平坦部41は、開口部33を介して露出した封口缶22の平面部221に溶接されている。これにより、外部端子4は、位置決めされた状態で、扁平形電池2に固定される。このように、外部端子4の平坦部41を開口部33に嵌合させることにより、外部端子4を容易に位置決めして扁平形電池2に固定させることができる。なお、封口缶22から外部端子4へと導電できれば、その固定方法は、溶接に限られるものではない。
【0032】
平坦部41は、封口缶22の平面部221に溶接できるように、開口底部332に囲まれた開口に向かって一部湾曲させてもよい。すなわち、平坦部41は、必ずしも平坦である必要はなく、種々の凹凸形状を含んでもよい。本実施形態では、図3に示すように、平坦部41の中央は、下方に突出する平面視円形状の凸部412が形成されている。平坦部41の凸部412は、封口缶22の平面部221への溶接(接続)を容易にする。
【0033】
先端部42は、絶縁ケース3の周側面に対向して配置される電子機器等の他方の接触子に電気的に接続される。先端部42は、平坦部41から延び、図3に示すように、絶縁ケース3の外側で外装缶21側に曲げられている。具体的に、先端部42は、図5に示すように、露出した周壁部212の最外部Pの接線T近傍で、かつ、開口部32から離れた状態で、外装缶21側(図3中の下方)に曲げられている。これにより、電子機器等の一方の接触子と他方の接触子とが同じ面にある場合に、外装缶21の周壁部212の周側面及び一方の接触子、並びに、先端部42及び他方の接触子とを接続し易くできる。また、折り曲げられた先端部42の表面は、接線Tに沿う面とするのがよい。これにより、電子機器等の一方の識別子及び他方の識別子の各々との接続がより容易になる。なお、本実施形態において、封口缶22は負極缶として機能している。したがって、外部端子4は、負極端子として機能している。他方の接触子は、負極側の接触子として機能している。
【0034】
絶縁ケース3の周側面の一部は、負極端子として機能する外部端子4と正極缶(正極端子)として機能する外装缶21の周壁部212との間に配置されている。すなわち、先端部42は、絶縁ケース3の周側面の外側に配置されている。このように、絶縁ケース3は、外装缶21の周壁部212と外部端子4の先端部42とを絶縁している。
【0035】
先端部42は、図3及び5に示すように、絶縁ケース3の溝部341に嵌合される。先端部42は、溝部341によって位置決めされている。ただし、上述の通り、外部端子4平坦部41を開口部32に嵌合させることによって先端部42を位置決めできれば、溝部341を設けなくてもよい。
【0036】
なお、開口部33と平坦部41とによる先端部42の位置決めは、平坦部41を封口缶22の平面部221に溶接する際の、溶接位置の位置決めにも寄与している。
【0037】
このように、端子付き電池1は、扁平形電池2と外部端子4とを絶縁ケース3を介して溶接した1つのユニットとして構成されている。そのため、端子付き電池1を電子機器等に着脱すればよいため、電子機器等への電池の交換が容易になる。また、上述の通り、絶縁ケース3の開口部33は、平面視で封口缶22の平面部221よりも面積が小さい。また、開口部33は、平面視で外部端子4よりも面積が小さい。そのため、開口部33を介して外部端子4の平坦部41を平面部221に溶接すると、絶縁ケース3の上面は、扁平形電池2と外部端子4との間で固定される。これにより、扁平形電池2は、絶縁ケース3の開口部31から脱落することを抑制される。
(変形例)
【0038】
上記の実施形態では、開口部33に開口底部332を設けたが、開口部33全体を開口させてもよい。また、先端部42と外装缶21とを絶縁できれば、溝部341を含む支持部34の一部を開口させてもよい。
【0039】
また、図1に示すように、外部端子4の平坦部41を開口部33に嵌合した際、平坦部41の外周端と開口部33の内周端との間に隙間を、すなわち、開口部33内に遊び(図示せず。)を設けてもよい。このように、開口部33内に遊びを設けることにより、平坦部41を開口部33に嵌め込み易くなり、また、封口缶22の平面部221から外部端子4を容易に取り外すことができる。
【0040】
平坦部41の平面視形状と開口部33の平面視形状とは、開口部33に平坦部41を嵌合した状態で、開口部33の開口面内での平坦部41の移動を規制できれば、種々変更することができる。すなわち、平坦部41の平面視形状は、開口部33の平面視形状に沿うとは限られない。例えば、平坦部41を略三角形状で形成し、開口部33を略円形状等で形成した場合であっても、略三角形の頂点又はいずれかの辺が開口部33の内周端に当接することにより、先端部42の位置決めがされた状態で平坦部41の移動が規制されればよい。逆に、溝部341によって先端部42の位置決めをできる場合は、平坦部41において先端部42の位置決めをしなくてもよい。
【0041】
上記の実施形態では、周壁部212の接線に沿う位置近傍で先端部42を外装缶21側に曲げたが、電子機器等の一方の接触子の位置及び他方の接触子の位置に応じて、開口部32の位置及び先端部42を曲げる位置は、種々変更することができる。例えば、一方の接触子と他方の接触子とが対向して配置されている場合、開口部32が形成された絶縁ケース3の周側面とは反対側の周側面に沿って先端部42を曲げるようにしてもよい。
【0042】
また、外装缶21側に負極材232を配置し、封口缶22側に正極材231を配置してもよい。この場合、外装缶21が負極缶(負極端子)として機能し、封口缶22が正極缶として機能し、外部端子4が正極端子として機能する。
【0043】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0044】
次に、端子付き電池1の製造方法について、図3を用いて具体的に説明する。
【0045】
まず、扁平形電池2を開口部31から挿入して絶縁ケース3に収容する。この状態で、開口部32は、扁平形電池2の外装缶21の周壁部212の一部を露出させている。また、開口部33は、封口缶22の平面部221の一部を露出させている。
【0046】
次に、開口部33に外部端子4の平坦部41を嵌め込み、また、先端部42を溝部341に嵌め込んで位置決めし、外部端子4の平坦部41を封口缶22の平面部221に溶接する。この際、外部端子4の先端部42は、絶縁ケース3の外側で外装缶21側に曲げられている。
【0047】
このように、端子付き電池1の製造方法によれば、電子機器等への交換が容易な端子付き電池1を効率よく得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 端子付き電池
2 扁平形電池、21 外装缶、22 封口缶、23 電極体
3 絶縁ケース、31 開口部、32 開口部、33 開口部
4 外部端子、41 平坦部、42 先端部
T 接線、P 最外部
図1
図2
図3
図4
図5