(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】感圧タッチセンサ及び感圧タッチセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
H10K 50/80 20230101AFI20240209BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240209BHJP
H10K 50/88 20230101ALI20240209BHJP
H10K 59/82 20230101ALI20240209BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20240209BHJP
G01L 1/14 20060101ALI20240209BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240209BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240209BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240209BHJP
H01H 13/02 20060101ALI20240209BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20240209BHJP
H01H 13/83 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H10K50/80
H10K59/40
H10K50/88
H10K59/82
H10K59/95
G01L1/14 J
G01L5/00 101Z
G06F3/044 140
G06F3/041 600
G06F3/041 400
H01H13/02 A
H01H13/00 B
H01H13/83
(21)【出願番号】P 2020091417
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0203557(US,A1)
【文献】国際公開第2019/188066(WO,A1)
【文献】特開2018-132850(JP,A)
【文献】特開2019-153272(JP,A)
【文献】国際公開第2019/230634(WO,A1)
【文献】特開2019-109984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/80
H10K 59/40
H10K 50/88
H10K 59/82
H10K 59/90
H05B 33/14
G01L 1/14
G01L 5/00
G06F 3/014
G06F 3/044
H01H 13/00
H01H 13/02
H01H 13/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと、前記基材シート上に設けられた感圧センサ電極と、前記感圧センサ電極の前記基材シートとは反対側に設けられた弾性層と、前記弾性層の前記感圧センサ電極とは反対側に設けられたエレクトロルミネッセンス素子と、を備え
、
前記エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陰極、発光層及び陽極が前記弾性層側からこの順に設けられ、
前記感圧センサ電極は、シールド電極との距離が近づくことを静電容量の変化として検出するものであり、
前記陰極が前記シールド電極としての機能を兼ねている、感圧タッチセンサ。
【請求項2】
前記発光層が、有機発光層である、請求項
1に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項3】
前記エレクトロルミネッセンス素子が有する第1コンタクト電極と電気的に接続される第2コンタクト電極と、前記第2コンタクト電極と接続された素子用配線とが前記基材シート上に設けられている、請求項1
又は2に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項4】
前記弾性層の厚さ方向のいずれか一方の側に前記第1コンタクト電極と前記第2コンタクト電極が配置されているか、又は、前記弾性層の厚さ方向の両側に前記第1コンタクト電極と前記第2コンタクト電極とがそれぞれ別々に配置されている、請求項
3に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項5】
前記弾性層の厚さ方向の両側に前記第1コンタクト電極と前記第2コンタクト電極とがそれぞれ別々に配置され、前記弾性層を厚さ方向に貫通する導電経路によって前記第1コンタクト電極と前記第2コンタクト電極が電気的に接続されている、請求項
3に記載の感圧タッチセンサ。
【請求項6】
操作面を有する操作パネルと、前記操作パネルの前記操作面と反対側に取り付けられた請求項1~
5のいずれか一項に記載の感圧タッチセンサと、を備え、
前記感圧タッチセンサは、前記エレクトロルミネッセンス素子が前記操作パネル側に向
くように取り付けられている、感圧タッチセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧タッチセンサ及び感圧タッチセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の電子機器等では、操作パネルに対する操作を検知するセンサモジュールとして、感圧検知可能な静電容量式の感圧タッチセンサを操作パネルの背面に取り付けたモジュールが知られている。
【0003】
特許文献1には、基板上に設けた正極側電極層と、基板上に設けた負極側電極層とを対向配置し、それらの間にエラストマー製又は樹脂製の感圧部を配置した静電容量式の感圧タッチセンサが開示されている。前記感圧タッチセンサでは、外部からの荷重によって感圧部が変形し、正極側電極層と負極側電極層との距離が変化することによる静電容量の変化から、外部からの荷重の変化を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように感圧タッチセンサが操作パネル等の背面に取り付けられる場合、意匠性を向上させる等の目的で、感圧部が配置されているボタン部分を照光させることがある。例えば、感圧タッチセンサの各部材を透明な材料で形成し、感圧タッチセンサの操作パネルとは反対側にLED等の光源を配置することで、光源から感圧タッチセンサを透過させた光で操作パネルのボタン部分を照光させることができる。
【0006】
しかし、このように感圧タッチセンサを透過させた光で操作パネルのボタン部分を照光させる場合には、感圧部や電極等の部材を透明な材料で形成する必要があるため、材料の選択肢が限られる。また、感圧タッチセンサの全光線透過率を十分に高くすることは難しく、ヘイズが高くなりやすい。さらに、構造が複雑化し、全体構成が厚くなり、またモジュールが重くなる。
【0007】
本発明は、感圧センサを構成する材料の選択肢が広く、ヘイズを低減でき、構成が簡易で薄膜化及び軽量化が容易な感圧タッチセンサ、及び前記感圧タッチセンサを備える感圧タッチセンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]基材シートと、前記基材シート上に設けられた感圧センサ電極と、前記感圧センサ電極の前記基材シートとは反対側に設けられた弾性層と、前記弾性層の前記感圧センサ電極とは反対側に設けられたエレクトロルミネッセンス素子と、を備えている、感圧タッチセンサ。
[2]前記エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陰極、発光層及び陽極が前記弾性層側からこの順に設けられている、[1]に記載の感圧タッチセンサ。
[3]前記発光層が、有機発光層である、[2]に記載の感圧タッチセンサ。
[4]前記エレクトロルミネッセンス素子が有する第1コンタクト電極と電気的に接続される第2コンタクト電極と、前記第2コンタクト電極と接続された素子用配線とが前記基材シート上に設けられている、[1]~[3]のいずれかに記載の感圧タッチセンサ。
[5]前記弾性層の厚さ方向のいずれか一方の側に前記第1コンタクト電極と前記第2コンタクト電極が配置されているか、又は、前記弾性層の厚さ方向の両側に前記第1コンタクト電極と前記第2コンタクト電極とがそれぞれ別々に配置されている、[4]に記載の感圧タッチセンサ。
[6]前記弾性層の厚さ方向の両側に前記第1コンタクト電極と前記第2コンタクト電極とがそれぞれ別々に配置され、前記弾性層を厚さ方向に貫通する導電経路によって前記第1コンタクト電極と前記第2コンタクト電極が電気的に接続されている、[4]に記載の感圧タッチセンサ。
[7]操作面を有する操作パネルと、前記操作パネルの前記操作面と反対側に取り付けられた[1]~[6]のいずれかに記載の感圧タッチセンサと、を備え、前記感圧タッチセンサは、前記エレクトロルミネッセンス素子が前記操作パネル側に向けられている、感圧タッチセンサモジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、感圧センサを構成する材料の選択肢が広く、ヘイズを低減でき、構成が簡易で薄膜化及び軽量化が容易な感圧タッチセンサ、及び前記感圧タッチセンサを備える感圧タッチセンサモジュールを提供できる。
【0010】
本発明はSDGs目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)に資すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の感圧タッチセンサを示した平面図である。
【
図2】
図1の感圧タッチセンサのA-A断面図である。
【
図3】
図1における弾性層を含む積層体の取り付け前の状態を示した平面図である。
【
図5】本実施形態の感圧タッチセンサモジュールを示した断面図である。
【
図6】他の実施形態の感圧タッチセンサを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[感圧タッチセンサ]
本発明の感圧タッチセンサは、押圧を検知する静電容量式の感圧タッチセンサである。例えば、本発明の感圧タッチセンサを操作パネルの背面に取り付けることで、操作パネルの操作面の押圧を検知することができる。以下、本発明の感圧タッチセンサの一例を示して説明する。
なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の感圧タッチセンサ1は、基材シート10と、感圧センサ電極12と、弾性層14と、エレクトロルミネッセンス(EL)素子16と、を備えている。感圧センサ電極12は、基材シート10上に設けられている。弾性層14は、感圧センサ電極12の基材シート10とは反対側に設けられている。EL素子16は、弾性層14の感圧センサ電極12とは反対側に設けられている。感圧タッチセンサ1では、基材シート10上に感圧センサ電極12、弾性層14及びEL素子16が積層されて感圧センサ部3が形成されている。
【0014】
この例の基材シート10は、平面視で矩形状の本体部10aと、本体部10aの1つの角部から外側に突き出るように形成された帯状部10bとを有している。感圧センサ電極12、弾性層14及びEL素子16は、基材シート10の本体部10aに設けられている。
なお、本体部10aにおける帯状部10bが延出する箇所は、任意であり、本実施形態には限定されない。帯状部10bを有しない感圧タッチセンサであってもよい。
【0015】
基材シート10を形成する材料としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース等が挙げられる。なかでも、コストや寸法安定性の面からPETが好ましい。基材シート10を形成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0016】
基材シート10の平均厚さは、10~250μmが好ましく、25~188μmがより好ましい。基材シート10の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度及び剛性を確保しやすい。基材シート10の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、感圧タッチセンサを容易に薄型化できる。
なお、本明細書中において、「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
【0017】
感圧センサ電極12は、圧力が加わることで対向するシールド電極との距離が近づくことを静電容量の変化として検出するものである。感圧センサ電極12は、配線2aによって、帯状部10bの先端部分に形成された接続端子部18と接続されており、接続端子部18を介してさらに図示しない静電容量検知部と電気的に接続されている。例えば感圧タッチセンサ1を操作パネルに取り付けた状態で操作パネルの感圧センサ部3の位置が押圧されたときに弾性層14が潰れ、感圧センサ電極12とシールド電極(後述の陰極32)との距離が近づくことで、静電容量が変化して押圧を検知できる。
【0018】
感圧センサ電極12としては、特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、金等の各種金属を真空蒸着した蒸着膜、金属粒子(銀粒子、銅粒子等)やカーボン粒子等を含むインク、ペーストを印刷した膜が挙げられる。
【0019】
感圧センサ電極12は、透明導電膜であってもよい。ここで、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。
透明導電膜としては、例えば、導電性高分子(インジウムドープ酸化錫(ITO)等)を含む膜、導電性ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等)を含む膜又はメッシュ、金属粒子(銀粒子、銅粒子、金粒子等)又は導電性金属酸化物粒子(ITO粒子等)を含む膜、カーボン(カーボンブラック、グラファイト等)を含む膜、金属蒸着膜、金属メッシュ等が挙げられる。
【0020】
感圧センサ電極12とシールド電極(陰極32)は、公知の態様の感圧電極を採用でき、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
自己容量方式の場合、例えば、感圧センサ電極12が静電容量の変化を検知する検知電極であり、シールド電極(陰極32)がGND電極(接地されたベタ電極)である態様が挙げられる。また、相互容量方式の場合、感圧センサ電極12が櫛歯状に配置されたRx電極とTx電極で構成され、シールド電極(陰極32)をベタ電極とする態様が挙げられる。これらの態様は、それぞれ押圧によってシールド電極(陰極32)が感圧センサ電極12に近づくことを検知する。
【0021】
感圧センサ電極12の厚さは、材料に応じて適宜設定すればよい。導電性高分子を含む感圧センサ電極12の平均厚さは、0.1~5.0μmが好ましく、0.1~2.0μmがより好ましい。
導電性ナノワイヤーを含む感圧センサ電極12の平均厚さは、20~1000nmが好ましく、50~300nmがより好ましい。
金属粒子、ITO等の導電性金属酸化物粒子、又はカーボンを含む感圧センサ電極12の平均厚さは、0.01~25μmが好ましく、0.1~15μmがより好ましい。
金属蒸着膜からなる感圧センサ電極12の平均厚さは、0.01~1.0μmが好ましく、0.05~0.3μmがより好ましい。
銀ペースト又はカーボンペーストからなる感圧センサ電極12の平均厚さは、1.0~25μmが好ましい。
感圧センサ電極12の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、ピンホールによる断線を抑制しやすい。感圧センサ電極12の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、薄型化が容易になる。
【0022】
電極の厚さを測定する方法としては、厚さのレンジによって異なる。例えば、μmオーダーの膜厚の場合には、マイクロメーター、デジマティックインジケーターやレーザー変位計測によって厚さを測定できる。また、μmオーダーよりも薄い膜厚の場合には、走査型電子顕微鏡を用いた断面観察や蛍光X線分析装置によって厚さを測定できる。
平均厚さは、電極において平面視の中心付近で測定した厚さの平均値である。
【0023】
感圧センサ電極12の形状は特に限定されず、例えば、矩形状が挙げられる。感圧センサ電極12の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。
【0024】
基材シート10の面方向における感圧センサ電極12の配置は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。感圧センサ電極12の数も、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
【0025】
配線2aとしては、特に限定されず、例えば真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、気相成長(CVD)等により導電材料を用いて形成することができる。また、銀ペースト等の導電材料を印刷することによって、回路パターンを形成してもよい。配線2aは、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の印刷によって形成してもよい。配線2a上には、保護層、接着層が設けられていてもよい。
【0026】
弾性層14は、弾性体を含む層であり、押圧によって圧縮変形する。操作パネルが押圧されたときには、弾性層14が厚さ方向に圧縮変形し、感圧センサ電極12とシールド電極との距離が近づくことで静電容量が変化する。この静電容量の変化を検知することで操作面の押圧が認識される。
【0027】
この例の弾性層14は、
図3及び
図4に示すように、一対の第1シート部14a及び第2シート部14bと、それら第1シート部14aと第2シート部14bに挟持された複数の柱部14cとを備えるゴム状弾性体である。第1シート部14a、第2シート部14b及び複数の柱部14cは一体化されている。弾性層14は、各々の柱部14cの周囲の部分に空間部14dを有している。
第1シート部14aと第2シート部14bの間における柱部14c以外の空間部14dには、スポンジ等の弾性部材を配置してもよい。
【0028】
第1シート部14a、第2シート部14b及び複数の柱部14cを形成する材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。弾性層14のうち、弾性体からなる必要があるのは、圧縮変形する柱部14cのみである。第1シート部14a及び第2シート部14bは、弾性材料によって形成されていてもよく、非弾性の硬質材料によって形成されていてもよい。硬質材料としては、例えば、エラストマー以外の樹脂、ガラス、金属、セラミックス、木材等が挙げられる。
【0029】
弾性層14の弾性体を形成する弾性材料としては、押圧による厚さ方向の圧縮変形の程度が適当であり、押し心地が良好であるものを使用することが好ましい。弾性材料としては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等の熱硬化性エラストマー;ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー;或いはそれらの複合物等が挙げられる。これらの中でも、繰り返しの押圧に対する寸法変化が小さい、即ち圧縮永久歪が小さい点から、シリコーンゴムが好ましい。前記弾性材料は、内部に気泡を含む発泡材料でもよく、実質的な気泡を含まない非発泡材料でもよい。
【0030】
弾性層14を形成する弾性体の厚さ(高さ)を1cmとしてJIS K 6253に従って測定した際のタイプAデュロメータ硬さは、85以下が好ましい。前記タイプAデュロメータ硬さが85以下であれば、押圧された際に容易に弾性変形する。ただし、過度に軟らかいと、弾性変形後の回復が遅くなるため、前記タイプAデュロメータ硬さは10以上が好ましい。
【0031】
第1シート部14aの平均厚さは、5~100μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。第1シート部14aの平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、柱部14cとの接合強度を強くできる。第1シート部14aの平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面を押圧していない状態における感圧センサ電極12とシールド電極との距離を近づけやすく、押圧の検知精度をより高くすることができる。
第2シート部14bの厚さの好ましい範囲は、第1シート部14aの厚さの好ましい範囲と同じである。第1シート部14aの厚さと第2シート部14bの厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0032】
柱部14cの形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、円錐台状、角柱状等の柱状が挙げられる。なかでも、耐久性に優れる点から、円柱状、円錐台状が好ましい。複数の柱部14cの形状は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0033】
単一の柱部14cの高さ方向に垂直な方向の平均断面積は、特に限定されず、例えば、0.005~4mm2とすることができ、0.02~0.8mm2が好ましい。前記柱部14cの平均断面積が前記範囲の下限値以上であれば、押圧力が加わった際に高さ方向に圧縮変形することが容易になり、柱部14cが圧縮せずに屈曲することを防止しやすい。柱部14cの平均断面積が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
ここで、柱部の断面積は、柱部の1/2の高さの位置で高さ方向に直交する断面の面積を意味する。柱部の断面積は、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0034】
弾性層14が有する全ての柱部14cの合計の断面積は、弾性材料の物性と、設定する押し心地に応じて適宜設定できる。第1シート部14a又は第2シート部14bの面積を100%としたとき、前記合計の断面積は、0.1~30%が好ましく、0.5~20%がより好ましく、1.0~20%がさらに好ましい。前記合計の断面積が前記範囲内であれば、指で押す程度の適度な押圧力で容易に圧縮変形させることができる。
具体的には、例えば、前記合計の断面積を1~100mm2とすることができる。
【0035】
柱部14cの平均高さは、1~3000μmが好ましく、50~2000μmがより好ましく、200~1000μmがさらに好ましく、300~1000μmが特に好ましい。柱部14cの平均高さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面を押圧していない状態における感圧センサ電極12とシールド電極との距離を近づけやすく、押圧力の検知精度をより高くできる。また、操作面を押圧した際に操作面がへこむ感覚が抑制されやすく、通常のタッチパネルのように硬い面に触れているのと同じ感覚で操作しやすくなる。
ここで、柱部14cの高さには、第1シート部14aの厚さ及び第2シート部14bの厚さは含まれない。柱部14cの高さは、光学顕微鏡測定機等の公知の微細構造観察手段により測定できる。
【0036】
柱部14cは、第1シート部14a及び第2シート部14bと接続され、弾性層14の厚さを支える部材である。弾性層14の厚さが部位によらず同じであれば、複数の柱部14cの高さは実質的に同じである。
【0037】
この例の複数の柱部14cの平面視での配置パターンは、矩形状の第1シート部14a及び第2シート部14bの平面方向において、縦方向と横方向に5×5の25本の柱部14cが間隔をあけて整列したパターンである。なお、複数の柱部14cの配置パターンは、このパターンには限定されず、例えば、複数の柱部14cが千鳥状に配列したパターンであってもよい。
【0038】
弾性層14が有する柱部14cの個数は、複数でもよく、1個でもよい。例えば、第1シート部14a及び第2シート部14bの平面方向の中央領域に1個の平面視矩形の柱部14cが設けられた態様であってもよい。この態様の場合、柱部14cを形成する弾性体は、内部に気泡を含む発泡体であることが好ましい。
【0039】
弾性層14が有する柱部14cの平均個数は、1~1000個が好ましく、3~100個がより好ましく、4~50個がさらに好ましい。前記平均個数が前記範囲の下限値以上であれば、操作面を指で押す程度の適度な押圧力で弾性層14を圧縮変形させることができる。前記平均個数が前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧の検出精度を向上させることができる。
【0040】
隣り合う柱部14c同士の平均ピッチは、0.1~6.0mmが好ましく、0.5~4.0mmがより好ましい。前記平均ピッチが前記範囲の下限値以上であれば、操作面を指で押す程度の適度な押圧力で弾性層14を圧縮変形させることができる。前記平均ピッチが前記範囲の上限値以下であれば、指で押す程度の押圧の検出精度を向上させることができる。
【0041】
この例の弾性層14は、
図2に示すように、第1基材フィルム20と第2基材フィルム22に挟持された状態で、感圧センサ電極12とEL素子16の間に配置され、接着層24,26を介してEL素子16及び感圧センサ電極12と接着されている。EL素子16と感圧センサ電極12の間に配置する前においては、
図4に示すように、接着層24,26の表面に剥離紙28,30が積層されている。
【0042】
接着層24,26は、それぞれ第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22のEL素子16や感圧センサ電極12との密着面の一部のみに設けられていてもよく、密着面の全面に設けられていてもよい。弾性層14に対する押圧力を面方向に均一化することが容易な点から、前記密着面の全体に接着層24,26が設けられていることが好ましい。
【0043】
接着層24,26の材料としては、それぞれ独立に、例えば、公知の硬化型接着剤(接着前は液状の接着剤)、又は粘着剤(接着前はゲル状の感圧性接着剤)が挙げられる。また、各接着層は、基材層の両面に接着剤又は粘着剤が配置された基材型接着層であってもよい。基材型接着層としては、例えば公知の両面テープが挙げられる。
前記接着剤、粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。前記硬化型接着剤は、硬化時に揮発する溶剤を含む溶剤型であってもよく、ホットメルト型であってもよい。
【0044】
接着層24,26の厚さとしては、それぞれ独立に、例えば1~75μmが挙げられる。前記硬化型接着剤を用いた接着層24,26の厚さは、1~20μmが好ましい。前記粘着剤を用いた接着層24,26の厚さは、10~75μmが好ましい。
【0045】
第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22を形成する材料としては、絶縁性の樹脂材料を使用でき、それぞれ独立に、例えば、PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ウレタン等が挙げられる。第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22を形成する樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0046】
第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22の平均厚さは、それぞれ独立に、例えば、10~200μmとすることができる。前述の樹脂材料を用いる場合、その平均厚さは、10~200μmが好ましく、25~150μmがより好ましく、25~100μmがさらに好ましい。平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、弾性層14に対する押圧力を面方向に均一化することが容易である。平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作面に対する入力の検知精度を高めることができる。
【0047】
第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22は、それぞれ弾性層14の第1シート部14aの外表面と第2シート部14bの外表面にそれぞれ接着されている。これらは不図示の接着層によって接着されていてもよく、公知の表面処理又は加熱処理によって直に接着されていてもよい。
第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22の接着面には、接着力を向上させる目的で、物理的又は化学的な公知の表面処理が施されていてもよい。
【0048】
第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22は、操作面に加えられた押圧力が弾性層14に均一に伝達されるようにするために、弾性層14に対する平滑な表面を有する。仮に、第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22が存在しないと、感圧センサ電極12やシールド電極が設けられた部分の凹凸が弾性層14に対する押圧を不均一にすることがある。本実施形態では第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22が備えられているため、感圧センサ電極12やシールド電極が設けられた部分の凹凸が弾性層14に対する押圧を不均一にする影響を低減できる。また、感圧センサ電極12やシールド電極が局所的に弾性層14の柱部14cからの応力を受けて損傷することが抑制される。
【0049】
EL素子16は、弾性層14側から少なくとも陰極32、発光層34、及び陽極36が積層された積層体である。EL素子16では、陰極32と陽極36間に電圧が印加されることで発光層34に電子と正孔が注入され、それら電子及び正孔が発光層34内で再結合して励起が起こり、励起状態から基底状態への移行によって発光する。このように、感圧タッチセンサ1は、感圧センサ電極12上にEL素子16が配置されているため、操作パネルの感圧センサ部3が配置されているボタン部分を照光させることができる。
【0050】
また、感圧タッチセンサ1では、EL素子16の陰極32が、弾性層14を介して、感圧センサ電極12と互いの面が対向するように配置されている。これにより、EL素子16の陰極32は、感圧センサ部3のシールド電極としての機能を兼ねている。そのため、感圧タッチセンサ1を操作パネルに取り付けた状態で操作パネルの感圧センサ部3の位置が押圧されたときには、弾性層14が圧縮変形し、感圧センサ電極12と陰極32(シールド電極)との距離が近づくことで、静電容量が変化して押圧が検知される。
【0051】
陰極32及び陽極36としては、特に限定されず、例えば、感圧センサ電極12として例示したものと同じものを例示できる。
陰極32及び陽極36の形状は特に限定されず、例えば、矩形状が挙げられる。陰極32及び陽極36の寸法も特に限定されず、例えば、縦10mm×横10mm程度とすることができる。
陰極32及び陽極36の平均厚さは、特に限定されず、例えば、50nm~5μmとすることができる。
【0052】
発光層34は、有機発光層であってもよく、無機発光層であってもよい。すなわち、EL素子16は、有機EL素子であってもよく、無機EL素子であってもよい。無機EL素子は一般に駆動電源に交流電源が用いられるが、感圧センサには直流電源を用いるため、無機EL素子を用いる場合には交流電源を別途設ける必要があり、またノイズ発生源となるおそれがある。そのため、交流電源を別途設ける必要がなく、ノイズ発生を抑制しやすい点から、EL素子16としては、発光層34が有機発光層である有機EL素子であることが好ましい。
【0053】
有機発光層を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’-ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’-ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体(Ir(ppy)3等)等が挙げられる。
有機発光層の平均厚さは、特に限定されず、例えば、50nm~5μmとすることができる。
【0054】
無機発光層を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、硫化亜鉛と銅の混合物(ZnS:Cu)、マグネシウムと酸化マグネシウムの混合物(Mg:MgO)、アルミニウムと酸化アルミニウムとの混合物(Al:Al2O3)等が挙げられる。
無機発光層の平均厚さは、特に限定されず、例えば、5nm~1μmとすることができる。
【0055】
EL素子16は、陰極、発光層、陽極が弾性層側からこの順に積層された構成(以下、「陰極/発光層/陽極」と示し、他の積層構成も同様に示す。)には限定されない。例えば、EL素子16は、陰極32と陽極36との間に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の層をさらに備えていてもよい。EL素子の具体的な層構成の例としては、例えば、陰極/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/陽極、陰極/発光層/正孔輸送層/陽極、陰極/発光層/正孔注入層/陽極、陰極/電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層/陽極等が挙げられる。
【0056】
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層の態様は、特に限定されず、公知の態様を採用できる。
電子輸送層を形成する材料としては、例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム(Alq3)等が挙げられる。電子輸送層の平均厚さは、特に限定されず、例えば、5nm~1μmとすることができる。
【0057】
正孔輸送層を形成する材料としては、例えば、モリブデン酸化物、酸化バナジウム等の金属酸化物、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)4,4’-ジアミノビフェニル(TPD)等が挙げられる。正孔輸送層の平均厚さは、特に限定されず、例えば、5nm~1μmとすることができる。
【0058】
図1及び
図2に示すように、感圧タッチセンサ1では、基材シート10上に、EL素子16を駆動するための素子用配線2bと第2コンタクト電極40a,40bとが設けられている。第2コンタクト電極40a,40bは、EL素子16が有する第1コンタクト電極38a,38bと電気的に接続される電極であり、感圧センサ部3の傍に配置されている。第2コンタクト電極40a,40bは、素子用配線2bによって帯状部10bの先端部分に形成された接続端子部18と接続されており、接続端子部18を介して、さらに図示しないEL素子16の駆動電源と電気的に接続されている。
【0059】
EL素子16においては、配線41aが設けられたフレキシブル基板42aによって陰極32から第1コンタクト電極38aが引き出されている。また、配線41bが設けられたフレキシブル基板42bによって陽極36から第1コンタクト電極38bが引き出されている。第1コンタクト電極38aと第2コンタクト電極40aとを接続し、第1コンタクト電極38bと第2コンタクト電極40bとを接続することで、基材シート10上の素子用配線2b,2bを通じてEL素子16の陰極32と陽極36を駆動電極と接続することができる。第1コンタクト電極38a,38bと第2コンタクト電極40a,40bとは、例えば、金属粒子やカーボン粒子等を含む導電接着剤、低温はんだ等を用いて接続することができる。
【0060】
本発明では、本実施形態のように、EL素子の第1コンタクト電極と電気的に接続される第2コンタクト電極と、第2コンタクト電極と接続された素子用配線とが基材シート上に設けられている態様が好ましい。これにより、EL素子の配線を感圧センサの配線とは別に設ける場合に比べて感圧タッチセンサの構成がさらに簡易になる。
【0061】
第1コンタクト電極38a,38b及び第2コンタクト電極40a,40bとしては、特に限定されず、例えば、感圧センサ電極12として例示したものと同じものを例示できる。なかでも、金属粒子やカーボン粒子等を含むインク、ペーストを印刷した膜が好ましい。
【0062】
素子用配線2b及び配線41a,41bとしては、特に限定されず、例えば、配線2aで例示したものと同じものを例示できる。なかでも、素子用配線2b及び配線41a,41bとしては、銀ペースト等の導電材料を印刷することによって形成したものが好ましい。
フレキシブル基板42a,42bとしては、特に限定されず、例えば、基材シート10として例示したものと同じものを例示できる。
【0063】
感圧タッチセンサ1は、例えば、EL素子16の陽極36側に接着層を設けることで、当該接着層を介して操作パネルの操作面とは反対側の面(裏面)に貼り付けることができる。この場合、感圧タッチセンサ1における接着層を設ける部分は、感圧タッチセンサ1を操作パネルに安定して貼り付けることができる範囲で適宜設定できる。
【0064】
感圧タッチセンサ1を操作パネルに貼り付けるための接着層を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、接着層24,26で例示した接着剤、粘着剤と同じものを例示できる。なかでも、固定領域を容易に制御できる点から、両面テープが好ましい。
感圧タッチセンサ1におけるEL素子16の陽極36側に接着層を設ける場合、操作パネルに貼り付ける前の状態においては接着層の上に剥離紙を貼り合わせる。剥離紙としては、特に限定されず、公知の剥離紙を使用できる。
【0065】
感圧タッチセンサ1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。
例えば印刷等によって電極材料でパターンを形成し、基材シート10上に感圧センサ電極12、第2コンタクト電極40a,40b、配線2a及び素子用配線2bを形成する。公知の方法で第1基材フィルム20及び第2基材フィルム22に挟持された弾性層14を形成し、接着層26を介して第2基材フィルム22を感圧センサ電極12上に貼り付ける。
【0066】
陰極32、発光層34及び陽極36がこの順に積層され、配線41a,41b及び第1コンタクト電極38a,38bを備えるEL素子16を公知の方法で形成し、接着層24を介して陰極32を第1基材フィルム20上に貼り付ける。低温はんだ、導電接着剤等を用いて第1コンタクト電極38a,38bと第2コンタクト電極40a,40bとをそれぞれ電気的に接続する。これにより、感圧タッチセンサ1を製造できる。
【0067】
[感圧タッチセンサモジュール]
本発明の感圧タッチセンサモジュールは、操作面を有する操作パネルの操作面と反対側に、EL素子が操作パネル側に向くように本発明の感圧タッチセンサが取り付けられているものである。以下、本発明の感圧タッチセンサモジュールの一例として、感圧タッチセンサ1を備える感圧タッチセンサモジュール100(以下、「モジュール100」とも記す。)について、
図5に基づいて説明する。
【0068】
モジュール100は、操作面112を有する矩形の操作パネル110と、操作パネル110の操作面112とは反対側に設けられた感圧タッチセンサ1と、を備えている。感圧タッチセンサ1は、剥離紙を剥離した状態で、EL素子16の陽極36上に設けた接着層50を介して操作パネル110の背面に貼り付けられている。
【0069】
感圧タッチセンサ1を操作パネル110に貼り付ける方法は、特に限定されず、例えば、ダイアフラム方式、ローラー方式等が挙げられる。なかでも、感圧タッチセンサ1の接着層と操作パネル110との間に気泡が混入することを抑制しやすく、感圧タッチセンサ1をより綺麗に貼り付けることができる点から、ダイアフラム方式が好ましい。
【0070】
操作パネル110としては、例えば、樹脂シートからなるパネルが挙げられる。
樹脂シートを形成する材料としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース等の樹脂や、シリコーンゴム等のエラストマーが挙げられる。樹脂シートを形成する材料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
【0071】
操作パネル110は、単層構成であってもよく、複層構成であってもよい。操作パネル110には、装飾、文字、図形、記号、絵柄、これらの組み合わせ、あるいはこれらと色彩とを組み合わせた任意の装飾を施してもよい。例えば、操作パネル110における感圧センサ部3が位置するボタン部分を示唆する意匠を形成してもよい。加飾された操作パネル110としては、例えば、樹脂シート上に印刷等によって加飾層が設けられたパネル、部分的又は全体的に着色された樹脂シートからなるパネル等が挙げられる。
【0072】
操作パネル110の平均厚さは、0.1~5mmが好ましく、0.5~1mmがより好ましい。操作パネル110の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、十分な機械的強度が得られやすい。操作パネル110の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、操作パネル110への押圧力が後述の感圧センサ部3に伝わりやすく、押圧の検知感度が向上する。
【0073】
モジュール100における感圧センサ部3の操作パネル110と反対側には、例えば筐体や制御基板が配置され、感圧センサ部3が操作パネル110と筐体又は制御基板とで挟持される。操作パネル110の操作面112における感圧センサ部3が配置されているボタン部分を押圧すると、弾性層14が圧縮変形し、感圧センサ電極12とシールド電極との距離が近づく。これにより静電容量が変化するため、操作面112の押圧を検知することができる。
【0074】
また、モジュール100では、感圧センサ部3における弾性層14の操作パネル110側にEL素子16が配置されている。そのため、EL素子16を発光させることで、操作パネル110の感圧センサ部3が配置されているボタン部分を照光させることができる。このように、EL素子16が感圧センサ電極12及び弾性層14よりも操作パネル110側に配置されていることで、EL素子16から発せられる光を感圧センサ電極12及び弾性層14に透過させずに、ボタン部分の照光を行うことができる。これにより、ヘイズを低減できるうえ、感圧センサ電極12及び弾性層14を光透過性の材料とする必要がなく、それらを構成する材料の選択肢が広くなる。また、感圧タッチセンサ1の背面側にLED等の光源を配置する必要がないため、構成が簡易で薄膜化及び軽量化が容易である。
【0075】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明の感圧タッチセンサは、
図6に例示した感圧タッチセンサ1Aであってもよい。
図6における
図2と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
【0076】
感圧タッチセンサ1Aは、以下に示す構成以外は感圧タッチセンサ1と同様の態様である。感圧タッチセンサ1AのEL素子16Aでは、陰極32の弾性層14側にEL素子基板44が設けられている。弾性層14は平面視で感圧センサ電極12よりも大きく形成されており、EL素子基板44の弾性層14側における感圧センサ電極12と重ならない位置に第1コンタクト電極38a,38bが設けられている。また、基材シート10上の第1コンタクト電極38a,38bと対応する位置に第2コンタクト電極40a,40bが設けられている。このように、第1コンタクト電極38a,38bと第2コンタクト電極40a,40bは弾性層14の厚さ方向の両側にそれぞれ別々に配置されている。また、第1コンタクト電極38a,38bと第2コンタクト電極40a,40bとは、弾性層14を厚さ方向に貫通する導電経路46a,46bによって電気的に接続されている。
【0077】
本発明では、この例のように、弾性層の厚さ方向の両側に第1コンタクト電極と第2コンタクト電極がそれぞれ別々に配置され、弾性層を厚さ方向に貫通する導電経路によって第1コンタクト電極と第2コンタクト電極が電気的に接続されていることが好ましい。このような態様は、感圧タッチセンサ1のようにEL素子16の陰極32及び陽極36から第1コンタクト電極38a,38bを引き出す態様に比べて、省スペース化でき、接続作業がさらに簡便になる。
【0078】
弾性層14を貫通する導電経路46a,46bの態様としては、特に限定されず、例えば、弾性層14を貫通する穴を形成し、当該穴に銀ペースト等の導電材料を充填した態様等が挙げられる。導電経路の両端の第1コンタクト電極及び第2コンタクト電極と接続する部分には、接続を容易にするために導電経路よりも大きい導電ゴムを設けてもよい。また、弾性体に複数の針金等を挿入して導電経路を形成してもよい。
【0079】
また、本発明では、感圧タッチセンサ1Aのように、第1コンタクト電極と第2コンタクト電極を平面視で弾性層と重なる位置に配置する場合、弾性層の厚さ方向のいずれか一方の側に第1コンタクト電極と第2コンタクト電極の両方を配置してもよい。具体的には、第1コンタクト電極と第2コンタクト電極の両方を弾性層のEL素子側に設けてもよく、第1コンタクト電極と第2コンタクト電極の両方を弾性層の基材シート側に設けてもよい。このような態様でも省スペース化でき、接続作業がさらに簡便になる効果が奏される。
【0080】
本発明の感圧タッチセンサは、第1コンタクト電極、基材シート上の第2コンタクト電極及び素子用配線を設けず、基材シート以外の部分に感圧センサの配線とは別にEL素子の配線を設けてもよい。
本発明の感圧タッチセンサにおけるEL素子は、弾性層側から少なくとも陽極、発光層、陰極がこの順に設けられ、陽極が感圧センサ部のシールド電極を兼ねていてもよい。
また、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,1A…感圧タッチセンサ、2a,41a,41b…配線、2b…素子用配線、3…感圧センサ部、10…基材シート、12…感圧センサ電極、14…弾性層、16,16A…エレクトロルミネッセンス素子、32…陰極、34…発光層、36…陽極、38a,38b…第1コンタクト電極、40a,40b…第2コンタクト電極、44…EL素子基板、46a,46b…導電経路、100…感圧タッチセンサモジュール、110…操作パネル、112…操作面。