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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】太陽電池および太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20240209BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 420
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020119998
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016977
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】兼松 正典
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴久
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-511597(JP,A)
【文献】特開2010-123859(JP,A)
【文献】特開2012-209316(JP,A)
【文献】特表2006-523025(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0133729(US,A1)
【文献】特表2015-533261(JP,A)
【文献】特開2011-035092(JP,A)
【文献】特開2016-213229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板の裏面側の一部である第1領域に順に形成された第1導電型半導体層および第1金属電極層と、前記半導体基板の前記裏面側の他の一部である第2領域に順に形成された第2導電型半導体層および第2金属電極層と、前記半導体基板の受光面側に形成された反射防止層とを備える裏面電極型の太陽電池であって、
前記第1金属電極層および前記第2金属電極層の各々は、下地層とめっき層とを有し、
前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記受光面側の周縁部には、
前記半導体基板の側から順に、前記下地層と前記反射防止層とが形成されており、
前記めっき層が形成されていない、
太陽電池。
【請求項2】
前記半導体基板の前記裏面側の中央部における前記第1金属電極層および前記第2金属電極層の各々の厚さは、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記受光面側の周縁部における前記下地層の厚さの2倍以上である、
請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記半導体基板の前記裏面側において、前記第1導電型半導体層と前記第1金属電極層との間、および前記第2導電型半導体層と前記第2金属電極層との間に形成されており、かつ、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記受光面側の周縁部において、前記半導体基板と前記下地層との間に形成された透明電極層を更に備える、請求項1または2に記載の太陽電池。
【請求項4】
半導体基板と、前記半導体基板の裏面側の一部である第1領域に順に形成された第1導電型半導体層および第1金属電極層と、前記半導体基板の前記裏面側の他の一部である第2領域に順に形成された第2導電型半導体層および第2金属電極層と、前記半導体基板の受光面側に形成された反射防止層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、
前記第1金属電極層および前記第2金属電極層の各々は、下地層とめっき層とを有し、
前記太陽電池の製造方法は、
真空チャンバを用いて、前記半導体基板の前記裏面側の前記第1導電型半導体層および前記第2導電型半導体層の上に、前記第1領域および前記第2領域に跨って一連の前記下地層の材料膜を形成する下地層材料膜形成工程であって、前記下地層の材料膜が、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記受光面側の周縁部に回り込んで形成される、工程と、
真空チャンバを用いて、前記半導体基板の前記受光面側に、前記反射防止層を形成する反射防止層形成工程であって、前記反射防止層が、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記裏面側の周縁部に回り込んで形成される、工程と、
前記第1領域と前記第2領域との境界における前記下地層の材料膜の上にレジストを形成するレジスト形成工程と、
前記レジストをマスクとして利用するめっき法を用いて、前記第1領域および前記第2領域の各々における前記下地層の材料膜の上に、パターン化された前記めっき層を形成するめっき層形成工程であって、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記受光面側の周縁部では、前記反射防止層がマスクとして機能して、前記めっき層が形成されない、工程と、
前記レジストを除去するレジスト除去工程と、
前記めっき層をマスクとして利用するエッチング法を用いて、前記下地層の材料膜をエッチングすることにより、前記第1領域および前記第2領域の各々に、パターン化された前記下地層を形成する下地層形成工程と、
を含む、
太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記めっき層形成工程における前記めっき法は、電解めっき法である、請求項4に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記レジスト形成工程では、パターン印刷法を用いて、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して硬化させて、パターン化された前記レジストを形成する、請求項4または5に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面電極型(バックコンタクト型)の太陽電池、およびその太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板を用いた太陽電池として、受光面側および裏面側の両面に電極が形成された両面電極型の太陽電池と、裏面側のみに電極が形成された裏面電極型の太陽電池とがある。両面電極型の太陽電池では、受光面側に電極が形成されるため、この電極による金属光沢が目立つ。一方、裏面電極型の太陽電池では、受光面側に電極が形成されないため、受光面側が一様に黒色であり、意匠性が高い。特許文献1には、裏面電極型の太陽電池が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の太陽電池は、半導体基板と、半導体基板の裏面側に順に形成された第1導電型半導体層および第1電極層と、半導体基板の裏面側の他の一部に順に形成された第2導電型半導体層および第2電極層とを備える。第1電極層と第2電極層とは、金属電極層を含み、短絡を防止するために互いに分離される。また、この太陽電池は、半導体基板の受光面側に形成された反射防止層を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-131586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者らは、このような太陽電池の製造プロセスの簡略化の目的で、レジストをマスクとして用いるめっき法を用いて金属電極層を形成することを考案している。しかし、真空チャンバを用いた例えばCVD法またはPVD法を用いて、金属電極層の下地層を形成すると、下地層が、半導体基板の側面および半導体基板の受光面側の周縁部にも回り込んで形成されてしまう。そのため、金属電極層のめっき層が、半導体基板の側面および半導体基板の受光面側の周縁部にも形成されてしまう。
【0006】
すると、太陽電池の受光面側の周縁部において金属光沢が目立ち、受光面側の意匠性が低下してしまう。
【0007】
本発明は、製造プロセスの簡略化を図っても、受光面側の意匠性の低下を抑制できる太陽電池および太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る太陽電池は、半導体基板と、前記半導体基板の裏面側の一部である第1領域に順に形成された第1導電型半導体層および第1金属電極層と、前記半導体基板の前記裏面側の他の一部である第2領域に順に形成された第2導電型半導体層および第2金属電極層と、前記半導体基板の受光面側に形成された反射防止層とを備える裏面電極型の太陽電池であって、前記第1金属電極層および前記第2金属電極層の各々は、下地層とめっき層とを有し、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記受光面側の周縁部には、前記半導体基板の側から順に、前記下地層と前記反射防止層とが形成されており、前記めっき層が形成されていない。
【0009】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、半導体基板と、前記半導体基板の裏面側の一部である第1領域に順に形成された第1導電型半導体層および第1金属電極層と、前記半導体基板の前記裏面側の他の一部である第2領域に順に形成された第2導電型半導体層および第2金属電極層と、前記半導体基板の受光面側に形成された反射防止層とを備える裏面電極型の太陽電池の製造方法であって、前記第1金属電極層および前記第2金属電極層の各々は、下地層とめっき層とを有し、前記太陽電池の製造方法は、真空チャンバを用いて、前記半導体基板の前記裏面側の前記第1導電型半導体層および前記第2導電型半導体層の上に、前記第1領域および前記第2領域に跨って一連の前記下地層の材料膜を形成する下地層材料膜形成工程であって、前記下地層の材料膜が、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記受光面側の周縁部に回り込んで形成される、工程と、真空チャンバを用いて、前記半導体基板の前記受光面側に、前記反射防止層を形成する反射防止層形成工程であって、前記反射防止層が、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記裏面側の周縁部に回り込んで形成される、工程と、前記第1領域と前記第2領域との境界における前記下地層の材料膜の上にレジストを形成するレジスト形成工程と、前記レジストをマスクとして利用するめっき法を用いて、前記第1領域および前記第2領域の各々における前記下地層の材料膜の上に、パターン化された前記めっき層を形成するめっき層形成工程であって、前記半導体基板の側面および前記半導体基板の前記受光面側の周縁部では、前記反射防止層がマスクとして機能して、前記めっき層が形成されない、工程と、前記レジストを除去するレジスト除去工程と、前記めっき層をマスクとして利用するエッチング法を用いて、前記下地層の材料膜をエッチングすることにより、前記第1領域および前記第2領域の各々に、パターン化された前記下地層を形成する下地層形成工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、太陽電池の製造プロセスの簡略化を図っても、太陽電池の受光面側の意匠性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る太陽電池を裏面側からみた図である。
図2図1に示す太陽電池におけるII-II線断面図である。
図3A】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図である。
図3B】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層材料膜形成工程および金属電極層の下地層材料膜形成工程を示す図である。
図3C】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における反射防止層形成工程を示す図である。
図3D】本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図である。
図3E】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における金属電極層のめっき層形成工程を示す図である。
図3F】本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト除去工程を示す図である。
図3G】本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層形成工程および金属電極層の下地層形成工程を示す図である。
図4】比較例に係る太陽電池の断面図であって、図1におけるII-II線相当の断面図である。
図5A】比較例に係る太陽電池の製造方法における反射防止層形成工程を示す図である。
図5B】比較例に係る太陽電池の製造方法における透明電極層材料膜形成工程および金属電極層の下地層材料膜形成工程を示す図である。
図5C】比較例に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図である。
図5D】比較例に係る太陽電池の製造方法における金属電極層のめっき層形成工程を示す図である。
図5E】比較例に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト除去工程を示す図である。
図5F】比較例に係る太陽電池の製造方法における透明電極層形成工程および金属電極層の下地層形成工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0013】
(本実施形態に係る太陽電池)
図1は、本実施形態に係る太陽電池を裏面側からみた図であり、図2は、図1に示す太陽電池におけるII-II線断面図である。図1および図2に示す太陽電池1は、裏面電極型(バックコンタクト型、裏面接合型ともいう。)であってヘテロ接合型の太陽電池である。
【0014】
太陽電池1は、2つの主面を備える半導体基板11を備え、半導体基板11の主面において第1領域7と第2領域8とを有する。以下では、半導体基板11の主面のうちの受光する側の主面を受光面とし、半導体基板11の主面のうちの受光面の反対側の主面を裏面とする。
【0015】
第1領域7は、いわゆる櫛型の形状をなし、櫛歯に相当する複数のフィンガー部7fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部7bとを有する。バスバー部7bは、半導体基板11の一方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部7fは、バスバー部7bから、第1方向に交差する第2方向(Y方向)に延在する。
【0016】
同様に、第2領域8は、いわゆる櫛型の形状であり、櫛歯に相当する複数のフィンガー部8fと、櫛歯の支持部に相当するバスバー部8bとを有する。バスバー部8bは、半導体基板11の一方の辺部に対向する他方の辺部に沿って第1方向(X方向)に延在し、フィンガー部8fは、バスバー部8bから、第2方向(Y方向)に延在する。
【0017】
フィンガー部7fとフィンガー部8fとは、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に設けられている。なお、第1領域7および第2領域8は、ストライプ状に形成されてもよい。
【0018】
図2に示すように、太陽電池1は、半導体基板11の受光面側に形成された反射防止層15を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の裏面側の一部(第1領域7)に順に形成された第1導電型半導体層25および第1電極層27を備える。また、太陽電池1は、半導体基板11の裏面側の他の一部(第2領域8)に順に形成された第2導電型半導体層35および第2電極層37を備える。
【0019】
半導体基板11は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。なお、半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にp型ドーパントがドープされたp型の半導体基板であってもよい。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられる。半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子および正孔)を生成する光電変換基板として機能する。
【0020】
半導体基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
【0021】
半導体基板11は、裏面側に、テクスチャ構造と呼ばれるピラミッド型の微細な凹凸構造を有していてもよい。これにより、半導体基板11に吸収されず通過してしまった光の回収効率が高まる。
【0022】
また、半導体基板11は、受光面側に、テクスチャ構造と呼ばれるピラミッド型の微細な凹凸構造を有していてもよい。これにより、受光面において入射光の反射が低減し、半導体基板11における光閉じ込め効果が向上する。
【0023】
反射防止層15は、半導体基板11の受光面側に形成されている。反射防止層15は、入射光の反射を防止する反射防止層として機能するとともに、半導体基板11の受光面側を保護する保護層として機能する。反射防止層15は、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、酸窒化珪素(SiON)、またはそれらの複合物等の絶縁性を有する材料で形成される。
【0024】
第1導電型半導体層25は、半導体基板11の裏面側の第1領域7に形成されている。一方、第2導電型半導体層35は、半導体基板11の裏面側の第2領域8に形成されている。すなわち、第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35は、帯状の形状をなし、Y方向に延在する。第1導電型半導体層25と第2導電型半導体層35とは、X方向に交互に並んでいる。第2導電型半導体層35の一部は、隣接する第1導電型半導体層25の一部の上に重なっていてもよい(図示省略)。
【0025】
第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第1導電型半導体層25は、例えばアモルファスシリコン材料にp型ドーパント(例えば、上述したホウ素(B))がドープされたp型の半導体層である。
【0026】
第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第2導電型半導体層35は、例えばアモルファスシリコン材料にn型ドーパント(例えば、上述したリン(P))がドープされたn型の半導体層である。なお、第1導電型半導体層25がn型の半導体層であり、第2導電型半導体層35がp型の半導体層であってもよい。
【0027】
なお、第1導電型半導体層25と半導体基板11との間にはパッシベーション層が形成されていてもよく、第2導電型半導体層35との間にはパッシベーション層が形成されていてもよい。また、反射防止層15と半導体基板11との間にはパッシベーション層が形成されていてもよい。これらのパッシベーション層は、例えば真性(i型)アモルファスシリコン材料を主成分とする材料で形成される。このようなパッシベーション層は、半導体基板11で生成されたキャリアの再結合を抑制し、キャリアの回収効率を高める。
【0028】
第1電極層27は、第1導電型半導体層25上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第1領域7に形成されている。一方、第2電極層37は、第2導電型半導体層35上に、すなわち半導体基板11の裏面側の第2領域8に形成されている。すなわち、第1電極層27および第2電極層37は、帯状の形状をなし、Y方向に延在する。第1電極層27と第2電極層37とは、X方向に交互に設けられている。
【0029】
第1電極層27は、第1導電型半導体層25上に順に形成された第1透明電極層28および第1金属電極層29を有する。一方、第2電極層37は、第2導電型半導体層35上に順に形成された第2透明電極層38および第2金属電極層39を有する。第1金属電極層29は、下地層29lとめっき層29uとの2層構造であり、第2金属電極層39は、下地層39lとめっき層39uとの2層構造である。
【0030】
第1透明電極層28および第2透明電極層38は、透明な導電性材料で形成される。透明導電性材料としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムおよび酸化スズの複合酸化物)、ZnO(Zinc Oxide:酸化亜鉛)等が挙げられる。
【0031】
第1金属電極層29における下地層29lおよび第2金属電極層39における下地層39lは、例えばスパッタリング等のPVD法を用いて形成された銀、銅、アルミニウム等の金属材料を含む。一方、第1金属電極層29におけるめっき層29uおよび第2金属電極層39におけるめっき層39uは、例えばめっき法を用いて形成された銀、銅、ニッケル等の金属材料を含む。
【0032】
第1電極層27および第2電極層37は、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。すなわち、第1透明電極層28および第2透明電極層38は、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。また、第1金属電極層29および第2金属電極層39は、第2方向(Y方向)に延在する帯状をなしており、第1方向(X方向)に交互に並んでいる。第1透明電極層28と第2透明電極層38とは互いに分離されており、第1金属電極層29と第2金属電極層39とも互いに分離されている。
【0033】
次に、半導体基板11の側面、半導体基板11の受光面側の周縁部R1および半導体基板11の裏面側の周縁部R1について説明する。第2透明電極層38(または第1透明電極層28)は、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に回り込んで製膜されている。また、第2金属電極層39の下地層39l(または第1金属電極層29の下地層29l)は、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に回り込んで製膜されている。また、反射防止層15は、半導体基板11の側面および半導体基板11の裏面側の周縁部R1に回り込んで製膜されている。
【0034】
一方、第2金属電極層39のめっき層39u(または第1金属電極層29のめっき層29u)は、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部に回り込んで製膜されていない。
【0035】
これにより、半導体基板11の側面、半導体基板11の受光面側の周縁部R1および半導体基板11の裏面側の周縁部R1には、
・半導体基板11の側から順に、第2透明電極層38(または第1透明電極層28)、第2金属電極層39の下地層39l(または第1金属電極層29の下地層29l)、および、反射防止層15が形成されており、
・第2金属電極層39のめっき層39u(または第1金属電極層29のめっき層29u)が形成されていない。
【0036】
また、半導体基板11の裏面側の中央部における第1金属電極層29および第2金属電極層39の各々の厚さは、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1における第2金属電極層39の下地層39l(または第1金属電極層29の下地層29l)の厚さの2倍以上である。
【0037】
一例を挙げると、第1金属電極層29の下地層29lおよび第2金属電極層39の下地層39lの厚さは、例えば100nm以上500nm以下であり、第1金属電極層29のめっき層29uおよび第2金属電極層39のめっき層39uの厚さは、例えば1μm以上20μm以下である。
【0038】
(比較例に係る太陽電池)
図4は、比較例に係る太陽電池の断面図であって、図1におけるII-II線相当の断面図である。図4に示す比較例の太陽電池1Xは、図2に示す太陽電池1と比較して、主に、半導体基板11の側面、半導体基板11の受光面側の周縁部R1および半導体基板11の裏面側の周縁部R1において、
・半導体基板11の側から順に、反射防止層15、第2透明電極層38(または第1透明電極層28)、および、第2金属電極層39の下地層39l(または第1金属電極層29の下地層29l)が形成されており、
・更に、第2金属電極層39のめっき層39u(または第1金属電極層29のめっき層29u)が形成されている、
点で、本実施形態と異なる。
【0039】
(比較例に係る太陽電池の製造方法)
以下では、図5A図5Fを参照して、比較例に係る太陽電池の製造方法における反射防止層15および電極層27,37の製造プロセスについて主に説明する。比較例の製造プロセスでは、反射防止層15を形成した後に、電極層27,37を形成する。
【0040】
図5Aは、比較例に係る太陽電池の製造方法における反射防止層形成工程を示す図であり、図5Bは、比較例に係る太陽電池の製造方法における透明電極層材料膜形成工程および金属電極層の下地層材料膜形成工程を示す図である。また、図5Cは、比較例に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図であり、図5Dは、比較例に係る太陽電池の製造方法における金属電極層のめっき層形成工程を示す図である。また、図5Eは、比較例に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト除去工程を示す図であり、図5Fは、比較例に係る太陽電池の製造方法における透明電極層形成工程および金属電極層の下地層形成工程を示す図である。
【0041】
まず、図5Aに示すように、真空チャンバを用いた例えばCVD法を用いて、半導体基板11の受光面側の全面に、反射防止層15を形成する(反射防止層形成工程)。このとき、反射防止層15は、半導体基板11の側面および半導体基板11の裏面側の周縁部R1に、回り込んで形成される。
【0042】
次に、図5Bに示すように、真空チャンバを用いた例えばCVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上に、第1領域7および第2領域8に跨って一連の透明電極層材料膜28Zを形成する(透明電極層材料膜形成工程)。このとき、透明電極層材料膜28Zは、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に、回り込んで形成される。
【0043】
次に、真空チャンバを用いた例えばスパッタリング等のPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の透明電極層材料膜28Z上に、第1領域7および第2領域8に跨って一連の下地層材料膜29lZを形成する(下地層材料膜形成工程)。このとき、下地層材料膜29lZは、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に、回り込んで形成される。
【0044】
次に、図5Cに示すように、第1領域7と第2領域8との境界における下地層材料膜29lZ上に、レジスト40を形成する(レジスト形成工程)。
【0045】
次に、図5Dに示すように、レジスト40をマスクとして利用するめっき法を用いて、第1領域7における下地層材料膜29lZ上に、パターン化されためっき層29uを形成し、第2領域8における下地層材料膜29lZ上に、パターン化されためっき層39uを形成する(めっき層形成工程)。このとき、めっき層29u,39uは、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に形成された下地層材料膜29lZ上にも形成される。
【0046】
次に、図5Eに示すように、レジスト40を除去する(レジスト除去工程)。
【0047】
次に、図5Fに示すように、めっき層29uおよびめっき層39uをマスクとして利用するエッチング法を用いて、下地層材料膜29lZおよび透明電極層材料膜28Zをエッチングすることにより、第1領域7に、パターン化された第1透明電極層28および下地層29lを形成し、第2領域8に、パターン化された第2透明電極層38および下地層39lを形成する(透明電極層形成工程、および、下地層形成工程)。これにより、下地層29lとめっき層29uとからなる第1金属電極層29、および、下地層39lとめっき層39uとからなる第2金属電極層39が形成される。また、第1透明電極層28と第1金属電極層29とからなる第1電極層27、および、第2透明電極層38および第2金属電極層39とからなる第2電極層37が形成される。
【0048】
この比較例の太陽電池の製造方法によれば、めっき法を用いて金属電極層29,39を形成する。更には、レジスト40をマスクとして用いるめっき法を用いて、直接に(製膜とパターニングとを同時に行い)、金属電極層29,39におけるめっき層29u,39uを形成する。これにより、太陽電池の製造プロセスの簡略化および低コスト化が可能である。
【0049】
しかし、真空チャンバを用いた例えばCVD法またはPVD法を用いて、金属電極層29,39の下地層29l,39lを形成すると、下地層29l,39lが、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1にも回り込んで形成されてしまう。そのため、金属電極層29,39のめっき層29u,39uが、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1にも形成されてしまう。
【0050】
すると、この太陽電池1Xを用いた太陽電池モジュールにおいて、太陽電池1Xの受光面側の周縁部の金属光沢が目立ち、太陽電池モジュールの受光面側の意匠性が損なわれる。
【0051】
また、半導体基板11の側面および周縁部R1のめっき層29u,39uは剥離し易いため、太陽電池1Xの搬送時等に、例えば搬送系に引っかかり、搬送トラブルによる太陽電池1Xの破損が生じることが考えられる(歩留まり低下)。また、剥離しためっき層29u,39uによって、太陽電池1Xの裏面の電極が短絡してしまうことが考えられる。
【0052】
また、図5Cに示すように、半導体基板11の受光面側の周縁部において透明電極層材料膜28Zおよび下地層材料膜29lZの端部が露出しているため、周縁部に回り込んだ下地層材料膜29lZの膜厚が薄く、透明電極層材料膜28Zが露出している場合には、図5Dに示すめっき層形成工程において、めっき溶液により、透明電極層材料膜28Zの端部のサイドエッチングが生じることが考えられる。
【0053】
これにより、めっき溶液が半導体基板11の裏面側の半導体層25,35まで浸入し、太陽電池1Xの性能が低下し、また信頼性が低下することが考えられる(性能低下、信頼性低下)。特に、下地層材料膜29lZの材料がCuである場合、Cuが半導体基板11の裏面側の半導体層25,35まで侵入し、更には何らかの要因(例えば、半導体層25,35の欠陥)によりCuが半導体基板11に拡散すると、太陽電池1Xの性能が大幅に低下する。
【0054】
また、透明電極層材料膜28Zが消失することにより、電極剥離が発生する要因となることが考えられる(歩留まり低下)。
【0055】
この点に関し、本願発明者(ら)は、製造プロセスの簡略化および低コスト化を図っても、受光面側の意匠性の低下、歩留まりの低下、性能の低下および信頼性の低下を抑制することができる太陽電池の製造方法を考案する。
【0056】
(本実施形態に係る太陽電池の製造方法)
次に、図3A図3Gを参照して、本実施形態に係る太陽電池の製造方法について説明する。図3Aは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における半導体層形成工程を示す図であり、図3Bは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層材料膜形成工程および金属電極層の下地層材料膜形成工程を示す図である。また、図3Cは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における反射防止層形成工程を示す図であり、図3Dは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト形成工程を示す図である。また、図3Eは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における金属電極層のめっき層形成工程を示す図であり、図3Fは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法におけるレジスト除去工程を示す図である。また、図3Gは、本実施形態に係る太陽電池の製造方法における透明電極層形成工程および金属電極層の下地層形成工程を示す図である。
【0057】
まず、図3Aに示すように、半導体基板11の裏面側の一部に、具体的には第1領域7に、第1導電型半導体層25を形成する(半導体層形成工程)。例えば、真空チャンバを用いた例えばCVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てに第1導電型半導体層材料膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術または印刷技術を用いて生成するレジスト、またはメタルマスク、を利用したエッチング法を用いて、第1導電型半導体層25をパターニングしてもよい。
【0058】
なお、p型半導体層材料膜に対するエッチング溶液としては、例えばオゾンを含有するフッ酸、または硝酸とフッ酸の混合液のような酸性溶液が挙げられ、n型半導体層材料膜に対するエッチング溶液としては、例えば水酸化カリウム水溶液のようなアルカリ性溶液が挙げられる。
【0059】
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側に第1導電型半導体層を形成する際に、マスクを用いて、第1導電型半導体層25の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
【0060】
次に、半導体基板11の裏面側の他の一部に、具体的には第2領域8に、第2導電型半導体層35を形成する(半導体層形成工程)。例えば、上述同様に、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の全てに第2導電型半導体層材料膜を製膜した後、フォトリソグラフィ技術または印刷技術を用いて生成するレジスト、またはメタルマスク、を利用したエッチング法を用いて、第2導電型半導体層35をパターニングしてもよい。
【0061】
または、CVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側に第2導電型半導体層を形成する際に、マスクを用いて、第2導電型半導体層35の製膜およびパターニングを同時に行ってもよい。
【0062】
なお、この半導体層形成工程において、半導体基板11の裏面側および受光面側に、パッシベーション層を形成してもよい。
【0063】
次に、図3Bに示すように、真空チャンバを用いた例えばCVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上に、第1領域7および第2領域8に跨って一連の透明電極層材料膜28Zを形成する(透明電極層材料膜形成工程)。このとき、透明電極層材料膜28Zは、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に、回り込んで形成される。
【0064】
次に、真空チャンバを用いた例えばスパッタリング等のPVD法を用いて、半導体基板11の裏面側の透明電極層材料膜28Z上に、すなわち第1導電型半導体層25および第2導電型半導体層35上に、第1領域7および第2領域8に跨って一連の下地層材料膜29lZを形成する(下地層材料膜形成工程)。このとき、下地層材料膜29lZは、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に、回り込んで形成される。
【0065】
次に、図3Cに示すように、真空チャンバを用いた例えばCVD法またはPVD法を用いて、半導体基板11の受光面側の全面に、反射防止層15を形成する(反射防止層形成工程)。このとき、反射防止層15は、半導体基板11の側面および半導体基板11の裏面側の周縁部R1に、回り込んで形成される。
【0066】
次に、図3Dに示すように、第1領域7と第2領域8との境界における下地層材料膜29lZ上に、絶縁性を有するレジスト40を形成する(レジスト形成工程)。レジスト40の形成方法としては、スクリーン印刷またはグラビア印刷のようなプレス印刷、またはインクジェット印刷のような吐出印刷等のパターン印刷法が挙げられる。パターン印刷法では、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して焼成(硬化)することにより、パターン化されたレジスト40を形成する。
【0067】
次に、図3Eに示すように、絶縁性のレジスト40をマスクとして利用するめっき法、例えば電解めっき法を用いて、第1領域7における下地層材料膜29lZ上に、パターン化されためっき層29uを形成し、第2領域8における下地層材料膜29lZ上に、パターン化されためっき層39uを形成する(めっき層形成工程)。このとき、半導体基板11の側面および半導体基板11の裏面側の周縁部R1に回り込んで形成された絶縁性の反射防止層15がマスクとして機能する。そのため、めっき層29u,39uは、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に、回り込んで形成されない。
【0068】
次に、図3Fに示すように、レジスト40を除去する(レジスト除去工程)。レジスト除去溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液が用いられる。
【0069】
次に、図3Gに示すように、めっき層29uおよびめっき層39uをマスクとして利用するエッチング法を用いて、下地層材料膜29lZおよび透明電極層材料膜28Zをエッチングすることにより、第1領域7に、パターン化された第1透明電極層28および下地層29lを形成し、第2領域8に、パターン化された第2透明電極層38および下地層39lを形成する(透明電極層形成工程、および、下地層形成工程)。これにより、下地層29lとめっき層29uとからなる第1金属電極層29、および、下地層39lとめっき層39uとからなる第2金属電極層39が形成される。また、第1透明電極層28と第1金属電極層29とからなる第1電極層27、および、第2透明電極層38および第2金属電極層39とからなる第2電極層37が形成される。
【0070】
下地層材料膜29lZおよび透明電極層材料膜28Zの同時エッチングのエッチング溶液としては、例えば透明電極層材料膜28ZがITOで下地層材料膜29lZが銅である場合には、過硫酸アンモニウム(過硫安)等の酸化剤と塩酸(HCl)等の酸性溶液との混合溶液が挙げられる。
【0071】
以上の工程により、図1および図2に示す本実施形態の裏面電極型の太陽電池1が得られる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の太陽電池の製造方法でも、めっき法を用いて金属電極層29,39を形成する。更には、レジスト40をマスクとして用いるめっき法を用いて、直接に(製膜とパターニングとを同時に行い)、金属電極層29,39におけるめっき層29u,39uを形成する。これにより、太陽電池の製造プロセスの簡略化および低コスト化が可能である。
【0073】
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、パターン印刷法を用いて、樹脂材料および溶媒を含む印刷材料を印刷して焼成(硬化)することにより、直接に(製膜とパターニングとを同時に行い)、パターン化されたレジスト40を形成する。これにより、例えばフォトリソグラフィ技術を用いたレジスト形成と比較して、レジスト形成の簡略化および低コスト化が可能である。そのため、太陽電池の製造プロセスの簡略化および低コスト化が可能である。
【0074】
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、金属電極層29,39の下地層29l,39lの形成とめっき層29u,39uの形成との間に、反射防止層15を形成する。これにより、半導体基板11の側面および半導体基板11の裏面側の周縁部R1に回り込んで形成された絶縁性の反射防止層15がマスクとして機能し、めっき層29u,39uは、半導体基板11の側面および半導体基板11の受光面側の周縁部R1に、回り込んで形成されない。
【0075】
これにより、この太陽電池1を用いた太陽電池モジュールにおいて、太陽電池1の受光面側の周縁部の金属光沢がなく、太陽電池モジュールの受光面側の意匠性が損なわれることがない(意匠性低下の抑制)。
【0076】
また、太陽電池1の搬送時等に、半導体基板11の側面および周縁部R1のめっき層の剥離に起因する、搬送トラブルによる太陽電池1の破損を防止できる(歩留まり低下の抑制)。また、剥離しためっき層に起因する、太陽電池1の裏面の電極の短絡が生じない。
【0077】
また、図3Dに示すように、半導体基板11の裏面側において透明電極層材料膜28Zおよび下地層材料膜29lZの端部が反射防止層15によって覆われているため、図3Eに示すめっき層形成工程において、めっき溶液により、透明電極層材料膜28Zの端部のサイドエッチングが生じない。
【0078】
これにより、比較例のようにめっき溶液が半導体基板11の裏面側の半導体層25,35まで浸入することがなく、太陽電池1の性能低下を抑制することができ、また信頼性の低下を抑制することができる(性能低下の抑制、信頼性低下の抑制)。
【0079】
また、比較例のように透明電極層材料膜28Zが消失することがなく、電極剥離が発生する要因となることがない(歩留まり低下の抑制)。
【0080】
このように、製造プロセスの簡略化および低コスト化を図っても、受光面側の意匠性の低下、歩留まりの低下、性能の低下および信頼性の低下を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態の太陽電池の製造方法によれば、金属電極層29,39の材料として、比較的に高価な公知のAgペーストに代えて、比較的に安価な金属、例えばCuを用いてもよい。これにより、太陽電池の低コスト化が可能である。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、透明電極層と金属電極層とを含む電極層を備える太陽電池を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、金属電極層のみを含む電極層を備える太陽電池にも適用可能である。
【0083】
また、上述した実施形態では、結晶シリコン材料を用いた太陽電池1を例示したが、これに限定されない。例えば、太陽電池の材料としては、ガリウムヒ素(GaAs)等の種々の材料が用いられてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、図2に示すようにヘテロ接合型の太陽電池1を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、ホモ接合型の太陽電池等の種々の太陽電池にも適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 太陽電池
7 第1領域
7f フィンガー部
7b バスバー部
8 第2領域
8f フィンガー部
8b バスバー部
11 半導体基板
15 反射防止層
25 第1導電型半導体層
27 第1電極層
28 第1透明電極層
28Z 透明電極層材料膜
29 第1金属電極層
29l 下地層
29lZ 下地層材料膜
29u めっき層
35 第2導電型半導体層
37 第2電極層
38 第2透明電極層
39 第2金属電極層
39l 下地層
39u めっき層
40 レジスト
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F