(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ワーク撮像装置およびワーク撮像方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240209BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240209BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G06T1/00 400D
G01N21/956 B
(21)【出願番号】P 2020153927
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕行
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】和田 裕一
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-183159(JP,A)
【文献】特開2016-70795(JP,A)
【文献】特開2012-21914(JP,A)
【文献】特開2000-131032(JP,A)
【文献】国際公開第2011/132315(WO,A1)
【文献】特開2007-121981(JP,A)
【文献】特開2019-186275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
G06T 1/00
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを撮像するワーク撮像装置であって、
ワークのフォーカスの異なる画像を複数撮像する第1撮像手段と、
少なくともフォーカス移動が可能である第2撮像手段と、
前記第1撮像手段の複数の画像からワークの全焦点画像を作成する全焦点画像作成手段と、
前記第1撮像手段にて撮像されたフォーカスの異なる複数の画像から距離画像を作成する距離画像作成手段と、
前記全焦点画像作成手段にて作成された全焦点画像と前記距離画像作成手段にて作成された距離画像
とに基づいて前記第2撮像手段のフォーカス調整位置を算出する算出手段と、
前記第2撮像手段のフォーカス位置を、前記算出手段にて算出されたフォーカス調整位置とする調整手段
と、を備え、
前記第1撮像手段で前記ワークの撮像が可能な状態と、前記第2撮像手段で前記ワークの撮像が可能な状態と、に前記第1・第2撮像手段側と前記ワーク側との相対的な移動が可能とされ、
前記第2撮像手段にて前記ワークの撮像が可能な状態で、前記調整手段にて前記フォーカス調整位置に調整した前記第2撮像手段にて前記ワークを撮像することを特徴とするワーク撮像装置。
【請求項2】
フォーカス位置移動方向と直交する平面内の第1撮像手段及び第2撮像手段とワークとの相対的な移動を行う移動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のワーク撮像装置。
【請求項3】
前記移動手段には、第1撮像手段及び第2撮像手段とワークとの相対的なフォーカス位置移動方向の移動を行うフォーカス位置移動機能を含むことを特徴とする請求項2に記載のワーク撮像装置。
【請求項4】
前記第2撮像手段による撮像は1回の撮影であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のワーク撮像装置。
【請求項5】
前記第2撮像手段による撮像はフォーカス移動量を限定した複数枚撮影であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のワーク撮像装置。
【請求項6】
第2撮像手段は、光学系が相違する複数機を備えることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のワーク撮像装置。
【請求項7】
前記ワークは電子デバイスであることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のワーク撮像装置。
【請求項8】
ワークのフォーカスの異なる画像を複数撮像する第1撮像手段を用いる第1撮像工程と、少なくともフォーカス移動が可能である第2撮像手段を用いる第2撮像工程とを行って、ワークを検査するワーク撮像方法であって、
前記第1撮像手段にて撮像された複数の画像からワークの全焦点画像を作成する全焦点画像作成工程と、
前記第1撮像手段にて撮像されたフォーカスの異なる複数の画像から距離画像を作成する距離画像作成工程と、
前記全焦点画像作成工程にて作成された全焦点画像と前記距離画像作成工程にて作成された距離画像
とに基づいて前記第2撮像手段のフォーカス調整位置を算出する算出工程と、
前記第2撮像手段のフォーカス位置を、前記算出工程にて算出された前記フォーカス調整位置に制御する調整工程
と、を備え、
前記第1撮像手段でワークの撮像が可能な状態と、前記第2撮像手段で前記ワークの撮像が可能な状態と、に前記第1・第2撮像手段側と前記ワーク側との相対的な移動が可能とされ、
前記調整工程にて前記フォーカス調整位置に調整した前記第2撮像手段が前記ワークを撮像する第2撮像工程を行うことを特徴とするワーク撮像方法。
【請求項9】
前記ワークが、接続部位にボンディングされたボンディングワイヤであることを特徴とする請求項8に記載のワーク撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク撮像装置およびワーク撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来には、半導体チップ等が実装される基板を検査する基板検査方法(ワーク撮像方法)がある(特許文献1)。この特許文献1では、距離センサによる基板の測定点の高さと高さ基準値との差に基づいて計算した測定点フォーカス制御値を中心に限定してオートフォーカス検出を実行する。これによって、撮像装置のフォーカス調整範囲の全域にわたって移動させながら合焦点制御する場合に比べて、極めて迅速に合焦点した画像を得るものである。
【0003】
すなわち、特許文献1に記載の撮像方法(ワーク検査方法:基板検査方法)は、
図6に示すワーク撮像装置(ワーク検査装置)を用いている。この検査装置は、基板1がセットされるXYテーブル2と、基板1の基板面を観察する撮像装置3と、基板面の高さを測定する距離センサ4とを備える。この場合、基準測定位置M1における撮像装置3のフォーカス制御値と、基準測定位置M1の高さを距離センサ4で検出した高さ基準値を記憶する。そして、測定点M2における撮像装置のオートフォーカス制御駆動の範囲を、距離センサ4による基板1の測定点M2の高さと高さ基準値との差に基づいてフォーカス制御値を補正した測定点フォーカス制御値を中心に限定する。これにより、オートフォーカス検出を実行して検査画像を取得するものである。なお、M3は次の測定点である。
【0004】
また、従来には、ボンディングワイヤを有するワークを検査する検査装置(撮像装置)及び検査方法(撮像方法)がある(特許文献2)。この場合、
図7に示すように、低倍画像を撮像するカメラ21と、高倍画像を撮像するカメラ22との2機のカメラを使用するものである。すなわち、この検査装置は、メモリ(画像記憶手段)10と、ワイヤ抽出手段11と、ワイヤ両端部記憶手段12と、低倍画像検査手段13と、検査箇所特定手段14と、撮像条件設定手段15と、合成処理手段16とを備えている。また、撮像手段20は前記一対のカメラ21、22で構成され、切替手段17にて、撮像するカメラを切り替えることができる。
【0005】
この場合、ワークを撮像して低倍画像を取得し、前記低倍画像においてワイヤを抽出し、抽出したワイヤ及びワイヤ以外の箇所を低倍画像により検査する。低倍画像にて検査した結果に基づいて、低倍画像を撮像した倍率よりも高い倍率で撮像した高倍画像にて検査すべき箇所を検査箇所として特定する。この高倍画像により前記検査箇所が検査可能となるように、検査箇所を撮像するための撮像条件を設定し、前記撮像条件に基づいて、低倍画像を撮像した倍率よりも高い倍率で、前記検査箇所を含む範囲を撮像するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-121981号公報
【文献】特開2019-186275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のものでは、高さ計測面の画像を得ることができない。このため、ワークに異物が存在していた場合、その異物が検査の妨げとなる。すなわち、異物が存在していた場合、その異物を無視して高さを求める等の処理ができない。
【0008】
また、特許文献2に記載のものでは、二つ目のカメラの撮像の際には、一つ目のカメラによる高さ計測結果を活用することが無い。このため、被写界深度が浅い場合には、深度合成処理を必要としていたため時間がかかった。
【0009】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、撮像対象物(ワーク)に異物が付着していたり、傷が有ったりした場合でも、これらに影響を受けることなく、ワークの正確な高さを求めることができ、しかも、検査効率の向上を図ることが可能なワーク撮像装置及びワーク撮像方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のワーク撮像装置は、ワークを撮像するワーク撮像装置であって、ワークのフォーカスの異なる画像を複数撮像する第1撮像手段と、少なくともフォーカス移動が可能である第2撮像手段と、前記第1撮像手段にて撮像されたフォーカスの異なる複数の画像から距離画像を作成する距離画像作成手段と、前記距離画像作成手段にて作成された距離画像とに基づいて前記第2撮像手段のフォーカス調整位置を算出する算出手段と、前記第2撮像手段のフォーカス位置を、前記算出手段にて算出されたフォーカス調整位置とする調整手段とを備えたものである。
【0011】
本発明のワーク撮像装置によれば、第1撮像手段にて、ワークのフォーカスの異なる画像を複数撮像し、この第1撮像手段の画像から距離画像を作成する。距離画像に基づいて、第2撮像手段のフォーカス調整位置を算出することによって、このフォーカス調整位置に第2撮像手段を直接的に合わせることができる。
【0012】
フォーカス位置移動方向と直交する平面内の第1撮像手段及び第2撮像手段とワークとの相対的な移動を行う移動手段を備えたのもが好ましい。移動手段を備えたことによって、ワークの検査部位に第1撮像手段及び第2撮像手段のフォーカス位置移動方向と直交する平面(XY平面であって、例えば、水平面)内の位置合わせを安定して行うことができる。
【0013】
移動手段は、第1撮像手段及び第2撮像手段とワークとの相対的なフォーカス位置移動方向(Z方向であって、XY平面が水平面であれば、鉛直方向)の移動を行うフォーカス位置移動機能を含むものあってもよい。このように、フォーカス位置移動機能(Z移動機能)を含むものでは、ワークの検査部位に第1撮像手段及び第2撮像手段のフォーカス位置移動方向(Z方向)の位置合わせを安定して行うことができる。
【0014】
前記第2撮像手段による撮像は1回の撮影(ワンショット撮影)であっても、フォーカス移動量を限定した複数枚撮影であってもよい。
【0015】
第2撮像手段は、光学系が相違する複数の撮像機を備えるものであってもよい。ここで、光学系が相違するとは、例えば、フィルタが相違する場合等である。すなわち、一の第2撮像手段がフィルタを有さないものであり、他の第2撮像手段がフィルタを有するもの、また、一の第2撮像手段が偏光フィルタを有し、他の第2撮像手段が色フィルタを有するもの等とすることができる。このように、第2撮像手段を光学系が相違する複数機を備えたものでは、第2撮像手段をそのワークの観察に適したものを使用できるため、ワークの検査を高精度に行うことができる。
【0016】
本発明のワーク撮像方法は、ワークのフォーカスの異なる画像を複数撮像する第1撮像手段を用いる第1撮像工程と、少なくともフォーカス移動が可能である第2撮像手段を用いる第2撮像工程とを行って、ワークを検査するワーク撮像方法であって、前記第1撮像手段にて撮像されたフォーカスの異なる複数の画像から距離画像を作成する距離画像作成工程と、前記距離画像作成工程にて作成された距離画像とに基づいて前記第2撮像手段のフォーカス調整位置を算出する算出工程と、前記第2撮像手段のフォーカス位置を、前記算出工程にて算出されたフォーカス調整位置に制御する調整工程とを備えたものである。
【0017】
本発明のワーク検査方法によれば、第1撮像手段にて、ワークのフォーカスの異なる画像を複数撮像することができ、この第1撮像手段の画像から距離画像を作成できる。距離画像に基づいて、第2撮像手段のフォーカス調整位置を算出する。そして、このフォーカス調整位置に第2撮像手段を合わせることができる。
【0018】
前記ワークを、接続部位にボンディングされたボンディングワイヤとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、ワークの距離画像を得ることができるので、注目点(例えば、最高高さ位置)の限定や、ワークに付着した異物やワークに生じた傷等を省いて、ワークの高さ計測が可能となる。しかも、第2撮像手段では、フォーカス位置が調整されており、この第2撮像手段での撮影枚数を削減でき、検査効率の向上を図ることができる。さらには、第2撮像手段では、オートフォーカスが不要になり、光学系がオートフォーカスに向かない(対応しない)ような特殊な光学系であっても対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のワーク撮像装置の簡略構成図である。
【
図2】本発明のワーク撮像装置のXYZステージとワークとの関係を示す簡略図である。
【
図3】本発明のワーク撮像装置のワークと第1撮像手段と第2撮像手段との関係を示し、(a)は第1撮像手段をワークに対応させた状態の簡略図であり、(b)は第2撮像手段をワークに対応させた状態の簡略図である。
【
図5】本発明のワーク撮像方法のフローチャート図である。
【
図6】従来のワーク撮像装置(ワーク検査装置)の簡略図である。
【
図7】従来の他のワーク撮像装置(ワーク検査装置)の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を
図1~
図5に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明に係るワーク撮像装置の全体構成を示すブロック図である。ワーク撮像装置は、例えば、ワークWとしての電子デバイス31を撮像するものである。ここで、電子デバイスは、一般には、半導体、電子ディスプレイ、一般電子部品の3種類に分けられ、半導体は論理回路(ロジック)、記憶回路(メモリー)、アナログ回路、ディスクリートに分けられる。電子ディスプレイは、液晶デバイス、有機EL等である。一般電子部品は、コンデンサー、プリント回路、コネクター、センサ、インダクター、スイッチ、電源等である。
【0023】
本装置は、少なくともXY方向(フォーカス位置移動方向と直交する平面内での相互に直交する方向)に移動させるための移動手段33としてのXYZステージ34と、ワークWのフォーカスの異なる画像を複数撮像する第1撮像手段35と、少なくともフォーカス移動が可能である第2撮像手段36と、ワークの画像を作成する画像作成手段37とを備える。また、画像作成手段37は、第1撮像手段35にて撮像されたフォーカスの異なる複数の画像から、ワークの全焦点画像を作成する全焦点画像作成手段38と、全焦点画像に対応する距離画像を作成する距離画像作成手段39とを備える。さらには、本装置は、全焦点画像作成手段38にて作成された全焦点画像と距離画像作成手段39にて作成された距離画像とに基づいて第2撮像手段36のフォーカス調整位置を算出する算出手段40を備える。そして、第2撮像手段36のフォーカス位置を、調整手段41にて、算出手段40にて算出されたフォーカス調整位置とする。また、第2撮像手段36にて撮像されたワークWの画像を表示する表示手段42を備える。ここで、Z方向とは、フォーカス移動方向であって、例えば、鉛直方向である。このため、XY方向を含むXY平面とは、水平面となる。
【0024】
第1撮像手段35と第2撮像手段36は、それぞれ、カメラ部35A、36Aとレンズ系35B、36Bとを有するものである。この場合、第1撮像手段35のカメラ部35Aは、例えば、モノクロカメラで構成され、第2撮像手段36のカメラ部36Aは、例えば、カラーカメラで構成される。また、第1撮像手段35のレンズ系35Bはフィルタを有さない合焦判断に適した光学分解機能重視のレンズで構成され、第2撮像手段36のレンズ系36Bは、偏光フィルタや色フィルタを含んで構成してもよい。
【0025】
距離画像作成手段39は、例えば、撮像と同時にフォーカスごとにフォーカス度合が最大となった時点における相対距離情報を記憶し、第1撮像手段35から撮像物体までの距離画像を作成するものである。ここで、距離画像とは、第1撮像手段35からの距離に応じて輝度(グレースケール)により表現された画像であり、距離画像により撮像した物体の高さ情報を得ることができる。この場合、例えば、高位のものは淡色で表現され、低位のものは濃色で表現される。その場合、撮像手段35からの距離が近いものは白色に近くなり、撮像手段35からの距離が遠いものは黒色に近くなる。すなわち、距離画像は、第1撮像手段35の撮像と同時に各画素ごとにフォーカス度合が最大となった時点における相対距離情報であって、第1撮像手段35からの距離に応じて輝度により表現された画像である。
【0026】
全焦点画像作成手段38にて作成される全焦点画像とは、フォーカスの異なる複数の画像データに基づいて作成されるものである。ここで、全焦点画像とは、撮像系と物体との距離を連続的に変化させて(カメラをZ方向である鉛直方向にスキャンさせて)、フォーカスの異なる画像を複数枚撮影する、そして、局所領域ごとにフォーカスを評価し、フォーカスの合っている局所画像の組み合わせで再構成したものである。これにより、全焦点画像は、全てのピクセルにおいてフォーカスが合っている。すなわち、全焦点画像とは、局所領域ごとにフォーカスを評価し、フォーカスの合っている局所画像の組み合わせで再構成されて全てのピクセルにおいてフォーカスが合っている画像である。
【0027】
ところで、前記全焦点画像作成手段38と距離画像作成手段39とを有する画像作成手段37と、算出手段40と、調整手段41とは、図示省略の制御手段にて構成できる。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピュータにて構成できる。また、制御手段には記憶手段が接続される。記憶手段は、HDD(Hard Disc Drive)やDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、CD-R(Compact Disc-Recordable)ドライブ、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等からなる。
【0028】
表示手段42は、制御手段に接続されるモニタからなり、全焦点画像及び距離画像の3D表示画像が表示される。本発明においては、画像作成手段37が全焦点画像作成手段38を有さないものであってもよい。
【0029】
ところで、ワークWはXYZステージ34上にセットされるものであるので、XYZステージ34は、
図2に示すように、水平面内において、X1,X2方向に移動(往復動)し、X1,X2方向に直交するY1,Y2方向に移動(往復動)する。さらには、YZステージ34は、水平状態を維持したまま、
図1に示すように、Z1、Z2方向に移動(往復動)する。このため、ワークWが、水平状態を維持したまま、XYZ方向に移動可能となっている。また、実施形態では、第1撮像手段35及び第2撮像手段36は、所定寸だけ離間された状態で固定されている。この場合、同一高さに配設されている。
【0030】
従って、第1撮像手段35及び第2撮像手段36とワークWとの相対的なXYZ移動を行うことができる。また、移動手段33としてのXYZステージ34を用いたが、XYステージであっても、さらには、XYθステージやXYZθステージであってよい。なお、移動手段33として、このようなステージに限るものではなく、ロボットアーム機構等の他の機構でも構成できる。また、このXYZステージ34も前記制御手段にて制御される。
【0031】
このため、
図3(a)に示すように、ワークWの上方位置に第1撮像手段35を配置して、第1撮像手段35にて、ワークWの被観察部位を撮像することが可能な状態とする。そして、
図3(b)に示すように、ワークWの上方位置に第2撮像手段36を配置して、第2撮像手段36にて、ワークWの被観察部位を撮像することが可能な状態に切り替えることができる。
【0032】
次に、前記したように構成されたワーク撮像装置にてワークWを検査する方法を
図4及び
図5を用いて説明する。この場合のワークWとしては、XYZステージ34にセット可能(位置合わせた状態でのXYZステージ34上への固定)が可能な電子デバイスとする。
【0033】
撮像方法は、
図4に示すように、第1撮像工程45→全焦点画像作成工程46→距離画像作成工程47→算出工程48→調整工程49→第2撮像工程50を順次行うものである。本発明に係る撮像方法では、全焦点画像作成工程46を含まないものであってもよい。
【0034】
第1撮像工程45とは、第1撮像手段35によりワークWの複数の被検査部位P1~P3を含む領域の撮像する工程であり、
図5に示すステップS1を行う。すなわち、XYZステージ34を移動させることによって、
図3(a)に示すように、第1撮像手段35によるワークWの複数の被検査部位を含む領域が撮像可能な位置とし、第1撮像手段35で撮像を行う。
【0035】
距離画像作成工程47は、前記したように、撮像と同時に各画素ごとにフォーカス度合が最大となった時点における相対距離情報を記憶し、第1撮像手段35から撮像物体までの距離画像を作成するものである。すなわち、
図5のステップS2のステップS2bを行う。
【0036】
全焦点画像作成工程46は、第1撮像手段35にて撮像されたフォーカスの異なる複数の画像から、ワークWの全焦点画像を作成するものであり、
図5のステップS2のステップS2aを行う。すなわち、前記したように、撮像系と物体との距離を連続的に変化させて(カメラをZ方向である鉛直方向にスキャンさせて)、フォーカスの異なる画像を複数枚撮影する。そして、局所領域ごとにフォーカスを評価し、フォーカスの合っている局所画像の組み合わせで再構成するものである。
【0037】
算出工程48は、前記したように、全焦点画像作成手段38にて作成された全焦点画像と距離画像作成手段にて作成された距離画像とに基づいて第2撮像手段36のフォーカス調整位置を算出するものである。すなわち、
図5のステップS3を行う。
【0038】
調整工程49は、前記したように、算出工程48にて算出された第2撮像手段36のフォーカス調整位置に、第2撮像手段36のフォーカスを合わせる工程であり、
図5のステップS4を行う。すなわち、複数の撮像部位に対応する調整位置に焦点位置(フォーカス位置)を調整して(ステップS4)、ステップS5へ移行する。
【0039】
ステップS5では、第2撮像手段36によるワークWの被検査部位の撮像を行う。すなわち、
図4に示す第2撮像工程50を行う。この場合、移動手段33を介して、第2撮像手段36によるワークWの各々の被検査部位の撮像可能位置とすることができる。
【0040】
第1撮像手段35による全焦点画像及び距離画像の3D表示画像が表示され、さらには、第2撮像手段36によるワークWの被検査部位の画像が表示される。第2撮像手段36による撮像はワンショット撮影(1回の撮影)であっても、フォーカス移動量を限定した複数枚撮影であってもよい。
【0041】
本発明では、第1撮像手段35にて、ワークWのフォーカスの異なる画像を複数撮像し、この第1撮像手段35の画像から、ワークWの全焦点画像を作成し、さらには、全焦点画像に対応する距離画像を作成する。全焦点画像と距離画像とに基づいて、第2撮像手段36のフォーカス調整位置を算出する。それによって、このフォーカス調整位置に第2撮像手段を直接的に合わせることができる。
【0042】
すなわち、本実施形態では、ワークWの全焦点画像と距離画像を得ることができるので、注目点(例えば、最高高さ位置)の限定や、ワークWに付着した異物やワークに生じた傷等を省いて、ワークWの高さ計測が可能となる。このため、ワークWの全焦点画像と距離画像の有効活用が可能となる。しかも、第2撮像手段36では、フォーカス位置が調整されており、この第2撮像手段での撮影枚数を削減でき、検査効率の向上を図ることができる。さらには、第2撮像手段36では、オートフォーカスが不要になり、光学系がオートフォーカスに向かない(対応しない)ような特殊な光学系であっても対応できる。
【0043】
一般的に、異物の有無判定は正常時の画像との差に着目して判断することになる。このため、立体的な異物の場合、距離画像に差がでることになって、距離画像のみで、異物の有無判定が可能となる。
【0044】
第1撮像手段35及び第2撮像手段36とワークWとの相対的なXY移動(フォーカス位置移動方向と直交する平面内での相互に直交する方向の移動)を行う移動手段33を備えている。移動手段33を備えたことによって、ワークWの検査部位に第1撮像手段35及び第2撮像手段36をXY方向の位置合わせを安定して行うことができる。
【0045】
移動手段33は、この実施形態では、第1撮像手段35及び第2撮像手段36とワークWとの相対的なZ移動(フォーカス位置移動方向)を行うZ移動機能(フォーカス位置移動機能)を含むものである。このように、Z移動機能を含むものでは、ワークWの検査部位に第1撮像手段及35及び第2撮像手段36とワークWとの3次元的な位置合わせが可能となり、検査精度の向上を図ることができる。
【0046】
前記移動手段33は、第1撮像手段35及び第2撮像手段36とワークWとを相対的角度変位させて調整を行うθ変位調整機能を有するものである。このように、θ変位調整機能を有するものでは、ワークWの撮像方向をθ方向の回転が可能となり、回転しなければ、観察しにくい部位を観察が可能となる。ここで、θ方向とは、Z方向(Z軸)廻りの方向である。
【0047】
ところで、
図1に示すワーク撮像装置では、第1撮像手段35と第2撮像手段36とがそれぞれ1機ずつ設けているが、光学系が相違する複数の撮像機を備えるものであってもよい。ここで、光学系が相違するとは、例えば、相違するフィルタが相違する場合等である。すなわち、一の第2撮像手段36がフィルタを有さないものであり、他の第2撮像手段36がフィルタを有するもの、また、一の第2撮像手段36が偏光フィルタを有し、他の第2撮像手段が色フィルタを有するもの等とすることができる。このように、第2撮像手段36が、光学系が相違する複数機を備えたものでは、ワークの観察をそのワークの観察に適したものに設定でき、ワークの検査を高精度に行うことができる。
【0048】
ところで、前記実施形態では、本撮像装置では、主にワークWを検査する方法について述べたが、この撮像装置では対象物の画像データを収集し、そのデータを記憶装置(記憶手段)に保存するようにできる。また、前記実施形態では、異物の有無判定を行える旨記載したが、この合否判定を行う合否判定機構を有ないものであってもよい。さらには、過去において撮像した画像を、後日において閲覧する必要が生じたときに、その画像を閲覧できるようにしてもよい。すなわち、トレーサビリティ対応型であってもよい。このように、本撮像装置は、検査以外の目的、例えば観察や位置認識あるいは計測などの目的で用いられる撮像装置にも本発明を適用可能である。
【0049】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、撮像手段35,36側を固定し、ワークW側を移動させて、撮像手段35,36とワークWとの位置合わせを行っていたが、逆に、ワークW側を固定し、撮像手段35,36側を移動させて位置合わせするようにしてもよい。さらには、撮像手段35,36側及びワークW側を移動させて位置合わせするようにしてもよい。また、撮像手段35,36側を移動させる場合、撮像手段35,36を一体として移動させても、個別に移動させてもよい。
【0050】
ワークとして、電子デバイスを挙げたが、接続部位にボンディングされたボンディングワイヤであってもよい。ワイヤボンディングとは、金、銅、アルミニウム等の金属製のワイヤ(直径十数マイクロメートルから数百マイクロメートル)を用いて、基板上の回路パターンとその他の電子部品との接続や、半導体のパッケージの電極などを電気的に接続する工法である。
【0051】
第2撮像手段36が、光学系が相違する複数機を備える場合、光学系が相違するものとしては、偏光フィルタや色フィルタを構成されるレンズ系を有するものがある。また、フォーカス調整には、レンズ系の調整であっても機械的な調整であってもよく、機械的な調整としては、ワーク側とカメラ側とのいずれか一方の移動であっても、両者が移動するものであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
33 移動手段
35 第1撮像手段
36 第2撮像手段
39 距離画像作成手段
40 算出手段
41 調整手段
45 第1撮像工程
47 距離画像作成工程
48 算出工程
49 調整工程
50 第2撮像工程
W ワーク