(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】吸込口体および電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/04 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
A47L9/04 A
(21)【出願番号】P 2020167793
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 祥平
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-175137(JP,A)
【文献】特開平01-308519(JP,A)
【文献】特開2020-142021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転清掃体と、
前記回転清掃体毎に少なくとも1つ設けられて、前記回転清掃体を回転駆動する駆動力をそれぞれ個別に発生させる複数の電動機と、
前記複数の電動機の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電動機毎に設けられて、前記電動機に流れる電流をそれぞれ個別に検出する複数の電流検出回路と、
前記電動機毎に設けられて、前記電動機に流れる電流をそれぞれ個別に制限する複数の電流制限回路と、を備え、
それぞれの前記電流検出回路は、前記電動機に流れる電流の検出結果に相関する電圧値を出力する増幅回路を含み、
前記電流検出回路毎に前記増幅回路の増幅率が異なり、前記電動機毎に流れる電流の制限値が異な
る吸込口体。
【請求項2】
複数の回転清掃体と、
前記回転清掃体毎に少なくとも1つ設けられて、前記回転清掃体を回転駆動する駆動力をそれぞれ個別に発生させる複数の電動機と、
前記複数の電動機の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電動機毎に設けられて、前記電動機に流れる電流をそれぞれ個別に検出する複数の電流検出回路と、
前記電動機毎に設けられて、前記電動機に流れる電流をそれぞれ個別に制限する複数の電流制限回路と、
三角波の基準電圧を出力する、前記複数の電動機と同数
の基準電圧発生回路と、
前記電動機毎に設けられて、前記電動機に入力される電力をスイッチングするスイッチング素子と、を備え、
それぞれの前記電流検出回路は、前記電動機に流れる電流の検出結果に相関する電圧値を出力し、
それぞれの前記電流制限回路は、それぞれの前記電流検出回路が出力する前記電圧値と前記基準電圧とを比較して前記スイッチング素子をスイッチングし、
前記基準電圧発生回路毎に前記基準電圧が異なり、前記電動機毎に流れる電流の制限値が異な
る吸込口体。
【請求項3】
三角波の基準電圧を出力する基準電圧発生回路と、
前記電動機毎に設けられて、前記電動機に入力される電力をスイッチングするスイッチング素子と、を備え、
それぞれの前記電流検出回路は、前
記電圧値を出力し、
それぞれの前記電流制限回路は、それぞれの前記電流検出回路が出力する前記電圧値と前記基準電圧とを比較して前記スイッチング素子をスイッチングする請求項1に記載の吸込口体。
【請求項4】
それぞれの前記電流検出回路は、前記電圧値を出力する増幅回路を含む請求
項2に記載の吸込口体。
【請求項5】
掃除機本体と、
前記掃除機本体に収容されて負圧を発生させる電動送風機と、
前記電動送風機に流体的に接続される請求項1から
4のいずれか1項に記載の吸込口体と、を備える電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、吸込口体および電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ブラシを回転駆動させる複数の電動機を備える吸込口体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転ブラシと被掃除面との間の摩擦力が増したり、回転ブラシに異物が絡まったりすると、回転ブラシを回転駆動させる電動機の負荷が増加する。そして、電動機の負荷の増加に相関して電動機に流れる電流が上昇する場合がある。電動機に流れる電流の上昇は、電動機内の巻線の短絡、いわゆるレイヤーショート(レアショート、Layer Short)を誘発する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、回転清掃体を回転駆動させる複数の電動機のそれぞれに流れる電流を適切に制限可能な、信頼性の高い吸込口体、および電気掃除機を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る吸込口体は、複数の回転清掃体と、 前記回転清掃体毎に少なくとも1つ設けられて、前記回転清掃体を回転駆動する駆動力をそれぞれ個別に発生させる複数の電動機と、前記複数の電動機の運転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電動機毎に設けられて、前記電動機に流れる電流をそれぞれ個別に検出する複数の電流検出回路と、前記電動機毎に設けられて、前記電動機に流れる電流をそれぞれ個別に制限する複数の電流制限回路と、を備え、それぞれの前記電流検出回路は、前記電動機に流れる電流の検出結果に相関する電圧値を出力する増幅回路を含み、前記電流検出回路毎に前記増幅回路の増幅率が異なり、前記電動機毎に流れる電流の制限値が異なる。
また、本発明の実施形態に係る吸込口体は、複数の回転清掃体と、前記回転清掃体毎に少なくとも1つ設けられて、前記回転清掃体を回転駆動する駆動力をそれぞれ個別に発生させる複数の電動機と、前記複数の電動機の運転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電動機毎に設けられて、前記電動機に流れる電流をそれぞれ個別に検出する複数の電流検出回路と、前記電動機毎に設けられて、前記電動機に流れる電流をそれぞれ個別に制限する複数の電流制限回路と、三角波の基準電圧を出力する、前記複数の電動機と同数の基準電圧発生回路と、前記電動機毎に設けられて、前記電動機に入力される電力をスイッチングするスイッチング素子と、を備え、それぞれの前記電流検出回路は、前記電動機に流れる電流の検出結果に相関する電圧値を出力し、それぞれの前記電流制限回路は、それぞれの前記電流検出回路が出力する前記電圧値と前記基準電圧とを比較して前記スイッチング素子をスイッチングし、前記基準電圧発生回路毎に前記基準電圧が異なり、前記電動機毎に流れる電流の制限値が異なる。
【0007】
また、本発明の実施形態に係る電気掃除機は、掃除機本体と、前記掃除機本体に収容されて負圧を発生させる電動送風機と、前記電動送風機に流体的に接続される前記吸込口体と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る吸込口体を右前方から示す斜視図。
【
図6】本発明の実施形態に係る吸込口体を下方から見た斜視図。
【
図7】本発明の実施形態に係る吸込口体の縦断面図。
【
図8】本発明の実施形態に係る吸込口体の縦断面図。
【
図9】本発明の実施形態に係る吸込口体の制御ブロック図。
【
図10】本発明の実施形態に係る吸込口体の基準電圧発生回路の回路構成を部分的に示す図。
【
図11】本発明の実施形態に係る吸込口体の基準電圧発生回路の動作を示す図。
【
図12】本発明の実施形態に係る吸込口体の駆動回路の回路構成を部分的に示す図。
【
図13】本発明の実施形態に係る吸込口体の電流検知回路の回路構成を部分的に示す図。
【
図14】本発明の実施形態に係る吸込口体制御部が実行する電動機の保護制御を説明する概念図。
【
図15】本発明の実施形態に係る吸込口体の他の例の制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る吸込口体および電気掃除機の実施形態について、
図1から
図14を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、例えばスティック型である、電気掃除機1は、把手11を有して手持ち操作可能な掃除機本体12と、掃除機本体12に着脱可能な二次電池13(蓄電池、充電式電池、および充電池とも呼ばれる。)と、掃除機本体12に接続される延長管15と、延長管15に接続される吸込口体16と、を備えている。
【0012】
なお、電気掃除機1は、キャニスター型、アップライト型、またはハンディ型であっても良い。電気掃除機1は、二次電池13を電源として備えるコードレスタイプであっても良いし、商用交流電源から電源コードを介して電力を得る有線式であっても良い。
【0013】
掃除機本体12は、把手11を有する本体ケース17と、本体ケース17に収容されて吸込負圧を生じさせる電動送風機18と、本体ケース17に着脱自在に設けられる塵埃分離集塵部19と、主に電動送風機18を制御する本体制御部21と、を備えている。
【0014】
掃除機本体12は、二次電池13が蓄える電力によって電動送風機18を駆動させ、電動送風機18の駆動によって発生する負圧を延長管15に作用させる。電気掃除機1は、吸込口体16および延長管15を通じて床面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸い込み、含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに分離後の空気を排気する。
【0015】
本体ケース17は、側面視において延長管15の延長線上に配置される円筒状の前半部17aと、前半部17aから屈曲して延長管15の延長線から徐々に離れる後半部17bと、を備えている。本体ケース17の前半部17aの上方には、塵埃分離集塵部19が設けられている。本体ケース17の後半部17bは、吸込口体16を床上に配置した使用状態(
図2)において、後方へ向かって延びている。
【0016】
本体ケース17の正面部分には、本体接続口23が設けられている。
【0017】
本体接続口23は、延長管15を着脱可能な継手である。本体接続口23は、本体ケース17の円筒状の前半部17aから正面へ向かって突出している。本体接続口23は、掃除機本体12の流体的な入口であり、延長管15と塵埃分離集塵部19とを流体的に接続する。掃除機本体12から延長管15を取り外すことによって、本体接続口23は、掃除機本体12を単体で使用する際の吸込口としても機能する。
【0018】
把手11は本体ケース17に一体に設けられている。把手11は、電気掃除機1で床面を掃除するために、使用者が手で把持する部分である。把手11は、塵埃分離集塵部19の後端部の近傍から本体ケース17の後端部へアーチ状に架かっている。また、把手11は、延長管15中心線の延長線上に交差して配置されている。
【0019】
把手11の近傍には、把手11を握った使用者が、その手指を動かせる範囲に配置される入力部26が設けられている。
【0020】
入力部26は、電動送風機18の運転開始操作を受け付ける運転開始スイッチ26aと、電動送風機18の運転停止操作を受け付ける運転停止スイッチ26bと、吸込口体16への電力供給の開始操作および停止操作を受け付けるブラシスイッチ26cと、を備えている。運転開始スイッチ26aおよび運転停止スイッチ26bは、本体制御部21に電気的に接続されている。電気掃除機1の使用者は、入力部26を操作して電動送風機18の運転モードを択一的に選択できる。運転開始スイッチ26aは、電動送風機18の運転中に、運転モードの切替スイッチとしても機能している。この場合、本体制御部21は、運転開始スイッチ26aから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、入力部26は、運転開始スイッチ26aに代えて、強運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)、および弱運転スイッチ(図示省略)を個別に備えていても良い。
【0021】
塵埃分離集塵部19は、掃除機本体12の上面側に配置され、かつ掃除機本体12に着脱できる。塵埃分離集塵部19は、掃除機本体12に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機18へ送る。塵埃分離集塵部19は、電気掃除機1が吸い込む、塵埃と空気との質量の差異を利用して塵埃と空気とを遠心分離する遠心分離方式であっても良いし、含塵空気から塵埃を濾し取るフィルターを有する濾過分離方式であっても良い。
【0022】
電動送風機18は、塵埃分離集塵部19から空気を吸い込んで負圧(吸込負圧)を発生させる。
【0023】
本体制御部21は、マイクロプロセッサ、およびマイクロプロセッサが実行する各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する記憶装置を備えている。記憶装置は、予め設定される複数の運転モードに関連する種々の設定(引数)を記憶している。複数の運転モードは電動送風機18の出力に関連付けられている。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機18の入力値、電動送風機18に流れる電流目標値)が設定されている。それぞれの運転モードは、入力部26が受け付ける操作入力に関連付けられている。本体制御部21は、入力部26への操作入力に対応する任意の運転モードを、予め設定される複数の運転モードから択一的に選択する。また、本体制御部21は、選択した運転モードの設定を記憶部から読み出し、読み出した運転モードの設定にしたがって電動送風機18を運転する。
【0024】
二次電池13は、電動送風機18や本体制御部21で消費される電力を蓄える。二次電池13は、本体ケース17に固定されていても良いし、本体ケース17に着脱可能であっても良い。換言すると、電気掃除機1は、複数の二次電池13を適宜に交換して利用できるものであっても良いし、そうでなくても良い。電気掃除機1に着脱可能に装着されている二次電池13の充電率が低下した場合には、この二次電池13を、充電済みの二次電池13に交換することによって、電気掃除機1は、運転を継続できる。
【0025】
延長管15および吸込口体16は、電動送風機18から作用する負圧によって、床面上の塵埃を空気とともに吸い込んで掃除機本体12へ案内する。
【0026】
延長管15は、本体ケース17の本体接続口23および塵埃分離集塵部19を介して電動送風機18の吸込側に流体的に接続されている。延長管15は、使用者が掃除機本体12の把手11を把持した状態で実質的に床面に届く長さを有する。延長管15の一方の端部には、掃除機本体12の本体接続口23に着脱自在な継手構造が設けられている。延長管15の他方の端部には、掃除機本体12の吸込口体16を着脱自在な継手構造が設けられている。延長管15は、伸縮可能であっても良いし、そうでなくても良い。
【0027】
吸込口体16は、木床やカーペットなどの床面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において床面に対向する底面に吸込口27を有する。また、吸込口体16は、回転自在な回転清掃体28と、回転清掃体28を駆動させる駆動源としての電動機29と、を備えている。吸込口体16の一方の端部には、延長管15の他方の端部に着脱自在な継手構造が設けられている。吸込口体16は、延長管15を介して電動送風機18の吸込側に流体的に接続されている。吸込口体16、延長管15、および塵埃分離集塵部19は、電動送風機18から吸込口27へ至る吸込風路である。
【0028】
電気掃除機1は、運転開始スイッチ26aが操作されると電動送風機18を始動させる。例えば、電気掃除機1は、電動送風機18が停止している状態で運転開始スイッチ26aが操作されると、先ず電動送風機18を強運転モードで始動させ、再び運転開始スイッチ26aが操作されると電動送風機18の運転モードを中運転モードに変更し、三度、運転開始スイッチ26aが操作されると電動送風機18の運転モードを弱運転モードに変更し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モード、および弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードである。強運転モードにおける電動送風機18の入力値が最も大きく、弱運転モードにおける電動送風機18の入力値が最も小さい。始動した電動送風機18は、塵埃分離集塵部19から空気を吸込み、塵埃分離集塵部19内を負圧にする。
【0029】
塵埃分離集塵部19内の負圧は、本体接続口23、延長管15、および吸込口体16を順次に通じて吸込口27に作用する。電気掃除機1は、吸込口27に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部19は、電気掃除機1に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機18へ送る。電動送風機18は、塵埃分離集塵部19から吸い込んだ空気を掃除機本体12外へ排気する。
【0030】
次いで、吸込口体16について詳細に説明する。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係る吸込口体を右前方から示す斜視図である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態に係る吸込口体16は、略直方体形の吸込口本体31と、吸込口本体31の後部に設けられる接続管32と、を備えている。
【0033】
なお、吸込口体16の前後、左右、上下は、電気掃除機1の使用者を基準に説明する。
図2中の実線矢印Xの方向は、吸込口体16の前方または前進方向であり、その反対方向は後方または後退方向である。また、
図2中の実線矢印Yの方向は、吸込口体16の左方であり、その反対方向は右方である。さらに、
図2中の実線矢印Zの方向は、吸込口体16の上方であり、その反対方向は下方である。
【0034】
平面視における吸込口本体31の形状は、前後方向に短辺を有し、左右方向に長辺を有する長方形状である。つまり、吸込口本体31の左右方向の寸法、つまり幅寸法は、吸込口本体31の前後方向の寸法、つまり奥行き寸法より大きい。吸込口本体31は、下ケース35と、下ケース35に覆い被さる上ケース36と、を備えている。
【0035】
接続管32は、吸込口本体31の後部、かつ幅方向略中央部に設けられている。接続管32は、吸込口本体31に対して回転可能な回転接続管38と、回転接続管38に対して揺動可能な揺動接続管39と、を備えている。
【0036】
回転接続管38は、吸込口体16の前後方向に延びる中心線(X軸に一致する線分またはX軸に平行な線分)まわりに回転する。この中心線は、吸込口本体31を左右に二分する。
【0037】
揺動接続管39は、回転接続管38の回転中心線に直交する線分、または回転接続管38の回転中心線に直交する線分に平行な線分まわりに揺動する。揺動接続管39の自由端部は、延長管15の自由端部に着脱可能な継手である。
【0038】
図3および
図4は、本発明の実施形態に係る吸込口体の平面図である。
【0039】
図5は、本発明の実施形態に係る吸込口体の底面図である。
【0040】
図6は、本発明の実施形態に係る吸込口体を下方から見た斜視図である。
【0041】
図7は、
図3のVII-VII線における、本発明の実施形態に係る吸込口体の縦断面図である。
【0042】
図8は、
図3のVIII-VIII線における、本発明の実施形態に係る吸込口体の縦断面図である。
【0043】
【0044】
図3から
図7に示すように、本実施形態に係る吸込口体16は、吸込口本体31と、吸込口本体31に回転可能に支持される回転清掃体28と、吸込口本体31に収容されて回転清掃体28の回転駆動力を発生させる駆動源としての電動機29と、電動機29から回転清掃体28へ駆動力を伝達する動力伝達機構41と、電動機29の運転を制御する吸込口体制御部42と、を備えている。
【0045】
吸込口本体31は、底面31aへ向かって開く吸込口27と、吸込口27に繋がる吸込室45と、回転清掃体28を収容する清掃体室46と、を有している。
【0046】
また、吸込口本体31は、清掃体室46の一部を区画し、かつ回転清掃体28の外周面の少なくとも一部を目視可能に覆う透過壁47を備えている。
【0047】
清掃体室46は、吸込室45の外側に区画されている。清掃体室46は、吸込口本体31の底面へ向かって開放されている。
【0048】
吸込室45は、下ケース35と、上ケース36の内側に収容され、かつ下ケース35の一部に覆い被さる風路カバー48と、吸込口本体31の左右方向に幅広な吸込口27を中央部へ向かって絞る風路狭窄体49と、で区画されている。換言すると、下ケース35、風路カバー48、および風路狭窄体49は、協働して吸込室45を区画している。
【0049】
吸込口本体31の底面31aには、被掃除面fに接地して吸込口本体31を支える複数の転50が設けられている。複数の転50は、吸込口本体31の左右それぞれの端部に配置される転50と、吸込口本体31の後部中央部に配置される転50と、を含んでいる。
【0050】
吸込口本体31の下ケース35と上ケース36との間には、空間が区画されている。この空間は、電動機29を収容する電動機室51と、動力伝達機構41を収容する機械室52と、吸込口体制御部42を収容する制御室53と、を含んでいる。これら電動機室51、機械室52、および制御室53は、繋がっていても良いし、分断されていても良い。
【0051】
制御室53は、平面視において、吸込口本体31の前後左右の中央部に配置されている。
【0052】
そして、吸込口本体31は、吸込口27を吸込口体16の前後から挟み込む一対の回転清掃体28を備えている。
【0053】
電動機29および動力伝達機構41も、一対あって、それぞれの回転清掃体28に個別に関連している。一方の電動機29は、一方の動力伝達機構41を介して一方の回転清掃体28を回転駆動させる。他方の電動機29は、他方の動力伝達機構41を介して他方の回転清掃体28を回転駆動させる。
【0054】
一対の電動機29は、吸込口本体31の幅方向における一方の端部に設けられる電動機29と、吸込口本体31の幅方向における他方の端部に設けられる電動機29と、を含んでいる。これら一対の電動機29は、吸込口本体31を左右に二分する中心線から実質的に同じ距離離れた箇所に配置されていることが好ましい。
【0055】
一対の動力伝達機構41は、吸込口本体31の幅方向における一方の端部に設けられる動力伝達機構41と、吸込口本体31の幅方向における他方の端部に設けられる動力伝達機構41と、を含んでいる。これら一対の動力伝達機構41は、吸込口本体31を左右に二分する中心線から実質的に同じ距離離れた箇所に配置されていることが好ましい。
【0056】
吸込口27よりも前側の回転清掃体28を、前清掃体28F(第一回転清掃体)と呼ぶ。前清掃体28Fを収容する清掃体室46を前清掃体室46F(第一回転清掃体室)と呼ぶ。前清掃体28Fに対応する電動機29を前用電動機29Fと呼び、前清掃体28Fに対応する動力伝達機構41を前用伝達機構41Fと呼ぶ。前用電動機29Fを収容する電動機室51を前用電動機室51Fと呼び、前用伝達機構41Fを収容する機械室52を前用機械室52Fと呼ぶ。
【0057】
吸込口27よりも後ろ側の回転清掃体28を、後清掃体28R(第二回転清掃体)と呼ぶ。後清掃体28Rを収容する清掃体室46を後清掃体室46R(第二回転清掃体室)と呼ぶ。後清掃体28Rに対応する電動機29を後用電動機29Rと呼び、後清掃体28Rに対応する動力伝達機構41を後用伝達機構41Rと呼ぶ。後用電動機29Rを収容する電動機室51を後用電動機室51Rと呼び、後用伝達機構41Rを収容する機械室52を後用機械室52Rと呼ぶ。
【0058】
前清掃体室46F、吸込口27、後清掃体室46Rは、吸込口体16の進行方向へ並んでいる。換言すると、前清掃体28F、吸込口27、後清掃体28Rは、吸込口体16の進行方向へ並んでいる。前清掃体28F、吸込口27、後清掃体28Rは、吸込口体16の前側から後ろ側へ並んでいる。さらに、前清掃体28F、風路狭窄体49、後清掃体28Rは、吸込口体16の進行方向へ並んでいる。前清掃体室46F、吸込口27、後清掃体室46Rは、実質的に同じ幅寸法を有している。
【0059】
電動機29は、吸込口本体31が被掃除面fに配置された状態で、被掃除面fの塵埃を吸込口27へ塵埃を掃き集める方向へ回転清掃体28を回転させる。つまり、前用電動機29Fは、吸込口体16の前進を補助する方向Rfへ前清掃体28Fを回転させ、後用電動機29Rは、吸込口体16の後退を補助する方向Rrへ後清掃体28Rを回転させる。
【0060】
透過壁47は、それぞれの清掃体室46の一部を区画し、かつそれぞれの回転清掃体28の外周面の少なくとも一部を目視可能に覆っている。そのため、吸込口本体31は、透過壁47によって塞がれる少なくとも1つの窓部55を有している。この窓部55は、それぞれの清掃体室46に設けられていても良いし、隣り合う複数の清掃体室46に跨がって設けられていても良い。本実施形態に係る窓部55は、前清掃体28Fを目視可能なように上ケース36に設けられる前清掃体窓55Fと、後清掃体28Rを目視可能なように下ケース35に設けられる後清掃体窓55Rと、を含んでいる。
【0061】
前清掃体窓55Fは、前清掃体28Fの上方に位置し、かつ前清掃体28Fの全長に渡って開いている。
【0062】
後清掃体窓55Rは、後清掃体室46Rの上方を経て接続管32に至る吸込室45を避けるため、後清掃体28Rの上方に位置し、かつ後清掃体28Rの左右2箇所に分断されて開いている。つまり、後清掃体窓55Rは、後清掃体28Rの回転中心線に沿う方向へ分割された複数の分割窓55RL、55RRを含んでいる。
【0063】
そして、透過壁47は、前清掃体窓55Fを塞いで前清掃体窓55Fを目視可能に覆う第一透過壁47Aと、後清掃体窓55Rを塞いで後清掃体窓55Rを目視可能に覆う第二透過壁47Bと、を含んでいる。また、第二透過壁47Bは、後清掃体28Rの回転中心線に沿う方向へ分割されていても良い。つまり、第二透過壁47Bは、後清掃体28Rの回転中心線に沿う方向へ分割された複数の分割透過壁47BL、47BRを含んでいても良い。換言すると、少なくとも1つの透過壁47は、少なくとも1つの回転清掃体28の回転中心線に沿う方向へ分割された複数の分割透過壁47BL、47BRを含んでいる。
【0064】
第一透過壁47Aは、上ケース36に固定されている。第一透過壁47Aは、吸込口本体31が被掃除面fに配置された状態で、前清掃体28Fの被掃除面fから最も離れた部位、つまり頂部28Faから前清掃体28Fの回転方向Rfへ沿って延びている。第二透過壁47Bは、下ケース35に固定されている。第二透過壁47Bは、吸込口本体31が被掃除面fに配置された状態で、後清掃体28Rの被掃除面fから最も離れた部位、つまり頂部28Raから後清掃体28Rの回転方向Rrへ沿って延びている。換言すると、透過壁47は、吸込口本体31が被掃除面fに配置された状態で、対応する回転清掃体28の被掃除面fから最も離れた部位28Fa、28Raから回転清掃体28の回転方向へ沿って延びている。
【0065】
第一透過壁47Aは、前清掃体28Fの上方に覆い被さり、かつ前清掃体室46Fの前側の開口縁(吸込口27から最も遠い開口縁)を画定している。そして、第一透過壁47Aは、吸込口本体31の外殻の一部を兼ねる透過部材56である。つまり、下ケース35、上ケース36、および透過部材56は、協働して吸込口本体31の外殻を担っている。透過部材56は、第一透過壁47Aに加えて第二透過壁47Bを一体化したものであっても良い。換言すると、透過部材56は、複数の透過壁47の全部、または一部であって良い。
【0066】
透過部材56は、上ケース36に覆い被さって後清掃体室46Rの上方を跨ぎ、後清掃体窓55Rより後方で下ケース35に接続されている。つまり、透過部材56は、第二透過壁47Bと協働して後清掃体窓55Rを二重に覆っている。透過部材56は、透明または半透明な樹脂の成型品または成形品である。
【0067】
吸込口27は、前清掃体室46Fと後清掃体室46Rとの間に配置されている。換言すると、吸込口27は、前清掃体28Fと後清掃体28Rとの間に配置されている。吸込口27は、前清掃体28Fおよび後清掃体28Rに遮られることなく、被掃除面fを臨み、被掃除面fを直視している。
【0068】
吸込室45は、後清掃体室46Rに覆い被さるように下ケース35に沿って吸込口本体31の後方へ湾曲し、接続管32に繋がっている。吸込室45と接続管32との間には中継管57が設けられている。中継管57は、接続管32を支持する基部の役割を担っている。中継管57は、風路カバー48に一体成形されている。
【0069】
前清掃体室46Fは、上ケース36、下ケース35、透過壁47の第一透過壁47A、および風路狭窄体49によって区画されている。換言すると、上ケース36、下ケース35、透過壁47の第一透過壁47A、および風路狭窄体49は、協働して前清掃体室46Fを区画している。前清掃体室46Fは、第一透過壁47Aを通じて吸込口本体31の外側から目視できる。
【0070】
後清掃体室46Rは、下ケース35、透過壁47の第二透過壁47B、および風路狭窄体49によって区画されている。換言すると、下ケース35、透過壁47の第二透過壁47B、および風路狭窄体49は、協働して後清掃体室46Rを区画している。後清掃体室46Rは、第二透過壁47Bを通じて吸込口本体31の外側から目視できる。
【0071】
機械室52は、吸込口本体31の左右それぞれの端部であって、前清掃体室46F、吸込口27、および後清掃体室46Rの不存在部分に区画されている。機械室52は、前清掃体28Fの軸端、および後清掃体28Rの軸端を収容している。機械室52の底部には、転50が設けられている。
【0072】
前用機械室52Fは、吸込口本体31の左側の端部であって、前清掃体室46F、吸込口27、および後清掃体室46Rの不存在部分に区画されている。前用機械室52Fは、前清掃体28Fの軸端、および後清掃体28Rの軸端を収容している。
【0073】
後用機械室52Rは、吸込口本体31の右側の端部であって、前清掃体室46F、吸込口27、および後清掃体室46Rの不存在部分に区画されている。後用機械室52Rは、前清掃体28Fの軸端、および後清掃体28Rの軸端を収容している。
【0074】
電動機室51は、平面視において前清掃体室46F、吸込口27、後清掃体室46Rに重なり、制御室53と機械室52との間に配置されている。側面視において、前清掃体28Fの回転中心線、後清掃体28Rの回転中心線、電動機29の回転中心線が、三角形状のそれぞれの頂点に位置している。電動機室51は、前清掃体室46F、および後清掃体室46Rの極力近くに円筒形状の電動機29を収容している。つまり、電動機29の底部は、前清掃体28Fの頂部28Fa、および後清掃体28Rの頂部28Raより下方に配置されている。換言すると、電動機29は、前清掃体28Fの被掃除面fから最も離れた部位28Faと、後清掃体28Rの被掃除面fから最も離れた部位28Raと、を結ぶ線分よりも被掃除面fに近い部位を有して、前清掃体28Fと後清掃体28Rとの間に配置されている。このような電動機29の配置、および電動機室51の構成は、回転清掃体28の上方に電動機29を配置する場合であっても、吸込口本体31の高さを回転清掃体28の高さ(直径)と電動機29の高さ(直径)との和より低く抑える。
【0075】
前用電動機室51Fは、吸込口本体31の左側に配置され、かつ前用機械室52Fに併設されている。
【0076】
後用電動機室51Rは、吸込口本体31の右側に配置され、かつ後用機械室52Rに併設されている。
【0077】
なお、前用電動機室51Fと前用機械室52Fとが併設されていれば、前用電動機室51Fおよび前用機械室52Fは、吸込口本体31の右側に配置されていても良い。この場合には、前用伝達機構41Fも、吸込口本体31の右側に配置される。後用電動機室51R、後用機械室52R、および後用伝達機構41Rは、吸込口本体31の左側に配置される。
【0078】
回転清掃体28の回転中心線は、吸込口本体31の幅方向に向けられている。回転清掃体28は、放射状に延びるブラシ毛59を有している。ブラシ毛59は、回転清掃体28の長手方向に延びる複数条の刷毛であり、かつ回転清掃体28の周方向に並んでいる。
【0079】
電動機29は、機械室52内に突出する出力軸29aを備えている。出力軸29aの回転中心線は、回転清掃体28の回転中心線に実質的に平行している。なお、吸込口体16は、電動機29に代わる回転清掃体28の駆動源、例えば吸込負圧で吸い込まれる空気によって回転するファンやタービンを備えていても良い。
【0080】
動力伝達機構41は、電動機29の出力軸29aに固定される主動歯車61と、回転清掃体28に設けられる従動歯車62と、主動歯車61と従動歯車62とに巻掛けられて電動機29から回転清掃体28へ駆動力を伝える無端状のベルト63と、を備えている。
【0081】
吸込口体制御部42は、掃除機本体12から延長管15を介して供給される電力によって電動機29を運転する。
【0082】
風路狭窄体49は、吸込室45と清掃体室46とを区画し、吸込室45と清掃体室46とを分断し、かつ吸込口27の縁の一部を画定する隔壁65と、隔壁65の縁から突出して回転清掃体28に接する除塵突起66と、を備えている。
【0083】
吸込室45と前清掃体室46Fとを区画する隔壁65を前隔壁65F(第一隔壁)と呼ぶ。前隔壁65Fは、吸込口27の前側の縁を画定している。前隔壁65Fの縁から突出して前清掃体28Fに接する除塵突起66を前突起66F(第一除塵突起)と呼ぶ。
【0084】
吸込室45と後清掃体室46Rとを区画する隔壁65を後隔壁65R(第二隔壁)と呼ぶ。後隔壁65Rは、吸込口27の後ろ側の縁を画定している。後隔壁65Rの縁から突出して後清掃体28Rに接する除塵突起66を後突起66R(第二除塵突起)と呼ぶ。
【0085】
吸込室45の内面の一部(ここでは吸込室45の後ろ側の内面、吸込室45の内面の第一残部)は、前隔壁65Fに対向し、かつ前隔壁65Fに向かって凸の円弧形状の湾曲面68を有している。湾曲面68は、後隔壁65Rの内面、および後隔壁65Rの内面に連なる下ケース35の面を含んでいる。下ケース35は、後清掃体室46Rの一部を区画する、円弧形状の壁を有している。この壁は、実質的に一様な厚みで後清掃体28Rを同心円状に囲み、かつ後隔壁65Rの内面に滑らかに連なっている。
【0086】
前清掃体28Fの回転によって被掃除面fから掃き上げられる塵埃は、吸込室45の湾曲面68に向かう。そして、湾曲面68は、飛来する塵埃を吸込室45の奥側(下流側)へ円滑に誘導する。
【0087】
また、吸込室45の内面の一部(ここでは吸込室45の左右それぞれの側方の内面、吸込室45の内面の第二残部)は、隔壁65に連接し、かつ吸込室45の奥側(下流側)へ向かって風路幅を狭める漏斗状の傾斜面71を有している。傾斜面71は、前隔壁65Fおよび後隔壁65Rに連接している。つまり、傾斜面71は、前隔壁65Fと後隔壁65Rとの間に架け渡されている。傾斜面71は、風路狭窄体49の左右に一対ある。左右の傾斜面71は、風路狭窄体49の対応する端部から離れ、風路狭窄体49の中央部に近づくほど吸込室45の奥側へ入り込むよう傾いている。左右の傾斜面71は、合流することなく、離間している。この左右の傾斜面71の隙間は、傾斜面71よりも奥側の吸込室45へ繋がっている。傾斜面71は、吸込口体16の幅方向へ細長く広がった吸込口27から吸い込まれる空気を、接続管32に繋がる吸込室45の奥側へ円滑に案内する。
【0088】
傾斜面71は、吸込口本体31の縦断面視において、隔壁65に対向する案内面72を含む階段形状を有している。案内面72は、前隔壁65Fに対向している。この階段形状部は、
図7のように単段でも良いし、複数段であっても良い。階段形状は、傾斜面71の全幅に達していることが好ましい。各段の底の形状は平面であっても良いし、窪んでいても良い。案内面72は、前隔壁65Fに平行であることが好ましい。案内面72は、前清掃体28Fに掃き上げられた塵埃を捕捉して吸込室45の奥側へ導く。また、案内面72は、途中部分が前清掃体28Fと被掃除面fとの間に挟まり、一方または両方の端部が吸込口27へ向かって浮き上がった糸状の塵埃が、後隔壁65Rを乗り越えて後清掃体28R側へ接近しないよう、糸状の塵埃の端部を吸込室45の奥側へ導く。
【0089】
除塵突起66は、回転清掃体28の回転軌跡の内側に入り込んでいる。除塵突起66は、回転清掃体28の回転にともなって回転清掃体28のブラシ毛59を弾く。このとき、除塵突起66は、回転清掃体28に付着して清掃体室46に進入しようとする糸状の塵埃をブラシ毛59から弾き飛ばして回転清掃体28から離脱させる。回転清掃体28から離脱した糸状の塵埃は、吸込口27へ容易に吸い込まれる。つまり、除塵突起66は、回転清掃体28に付着した糸状の塵埃が清掃体室46へ進入することを阻止できる。
【0090】
除塵突起66は、隔壁65の全幅に渡って設けられていることが好ましい。除塵突起66は、回転清掃体28のブラシ毛59を撓ませることができれば良い。そのため、除塵突起66の形状は、
図5および
図6のように櫛形状であっても良いし、突出長さが全幅に渡って一様な板状であっても良い。除塵突起66が接触することによって回転清掃体28の回転抵抗が増すため、除塵突起66の形状は、電動機29の出力に応じて、適宜に設定される。
【0091】
吸込口体16の接地面を基準面とすると、前突起66Fは、基準面に実質的に平行している。後突起66Rは、基準面から遠ざかる方向へ傾いて突出している。
【0092】
一般に、使用者は、吸込口体16を前進させて吸込口体16を未掃除の被掃除面fへ進入させる。このとき、被掃除面f上の糸状の塵埃は、吸込口体16の前方から後方へ移動する。発明者は、前突起66Fを基準面に対して実質的に平行させる一方、後突起66Rを基準面から遠ざかる方向へ傾けることで、糸状の塵埃が前清掃体室46Fおよび後清掃体室46Rの両方に進入しにくくなることを見いだした。
【0093】
また、後隔壁65Rは、吸込室45と後清掃体室46Rとを繋ぐ孔73を有している。孔73は、左右の傾斜面71に挟まれる範囲に配置されている。孔73は、複数あっても良い。孔73は、後清掃体室46R内に入り込んだ塵埃が後清掃体室46R内に残留しないよう、吸込室45へ排出する。
【0094】
なお、前清掃体室46Fに入り込んだ塵埃は、前清掃体28Fの回転にともなって吸込口体16の前方へ排出される。つまり、前清掃体室46Fに入り込んだ塵埃は、後清掃体室46Rに入り込んだ塵埃よりも吸込口体16の前進中に吸込口27へ吸い込まれる機会が多い。そのため、前隔壁65Fは、後隔壁65Rのように孔73を有していなくとも良い。
【0095】
また、仮に、清掃体室46に塵埃が入り込んだ場合には、使用者は、透過壁47を通じて清掃体室46に入り込んだ塵埃を視認することができる。つまり、使用者は、第一透過壁47Aを通じて前清掃体室46Fに塵埃が入り込んでいるか否かを視認することが可能であって、第二透過壁47Bを通じて後清掃体室46Rに塵埃が入り込んでいるか否かを視認することが可能である。
【0096】
後清掃体室46Rの開口縁部の一部であって、後突起66Rに対向する箇所には、後清掃体28Rに向かって鋭角な縦断面形状を有する突出部75が設けられている。突出部75は、後清掃体室46Rの開口縁部の後ろ側の部分に設けられている。吸込口体16をカーペットのように柔らかい被掃除面fで使用する場合には、吸込口本体31は、被掃除面fに沈み込む。このような場合に、突出部75は、ブルドーザーのブレードのように被掃除面fをかきおこして、カーペットに入り込んだ塵埃を掻き出す。
【0097】
突出部75は、後清掃体室46Rの全幅に渡っていることが好ましい。また、突出部75は、吸込口体16をフローリングのような堅い被掃除面fで使用する場合には、被掃除面fに接しない範囲で吸込口本体31の下方へ向かって吸込口本体31の底面よりも突出していても良い。
【0098】
なお、吸込口体16は、吸込口27を間に挟む前清掃体28Fおよび後清掃体28Rを含む3つ以上の回転清掃体28を備えていても良い。つまり、吸込口体16は、吸込室45の外側に区画されて吸込口27を間に挟む前清掃体室46Fおよび後清掃体室46Rを含む3つ以上の清掃体室46と、前清掃体28Fおよび後清掃体28Rを含み、それぞれの清掃体室46に配置される3つ以上の回転清掃体28と、を備えていても良い。この場合には、清掃体室46および回転清掃体28とは、同数設けられていることが好ましい。電動機29、電動機室51、動力伝達機構41、および機械室52は、清掃体室46および回転清掃体28と同数設けられていても良いし、複数の回転清掃体28を同時に駆動可能な限りにおいて清掃体室46および回転清掃体28よりも少数であっても良い。例えば、1つの電動機29の駆動力を動力伝達機構41で分配して複数の回転清掃体28を同時に駆動させても良い。電動機29、電動機室51、動力伝達機構41、および機械室52は、清掃体室46および回転清掃体28よりも多数であっても良い。例えば、複数の電動機29で協働して1つの回転清掃体28を駆動させても良い。
【0099】
また、吸込口体16は、前清掃体28Fを目視可能に覆う第一透過壁47A、および後清掃体28Rを目視可能に覆う第二透過壁47Bを含む3つ以上の透過壁47を備えていても良い。この場合には、それぞれの透過壁47は、それぞれの清掃体室46に設けられている。透過部材56は、3つ以上の透過壁47の全部、または一部であって良い。
【0100】
図9は、本発明の実施形態に係る吸込口体の制御ブロック図である。
【0101】
図9に示すように、本実施形態に係る吸込口体16は、掃除機本体12に装着された二次電池13から供給される電力で、複数の電動機29を駆動する。吸込口体16は、複数の回転清掃体28と、回転清掃体28毎に設けられて、回転清掃体28を回転駆動する駆動力をそれぞれ個別に発生させる複数の電動機29と、複数の電動機29の運転を制御する吸込口体制御部42と、を備えている。
【0102】
吸込口体制御部42は、延長管15を通って掃除機本体12に達する2つの電線81によって二次電池13に電気的に接続されている。2つの電線81の一方は、接地側電線82であり、2つの電線81の他方は、非接地側電線83である。
【0103】
そして、吸込口体制御部42は、二次電池13から供給される電力を降圧して制御用の電力を出力する制御用電源生成回路85と、基準電圧を出力する基準電圧発生回路86と、電動機29毎に設けられる複数の駆動回路87と、電動機29毎に設けられて、電動機29に流れる電流をそれぞれ個別に検出する複数の電流検出回路88と、電動機29毎に設けられて、電動機29に流れる電流をそれぞれ個別に制限する複数の電流制限回路89と、を備えている。各回路は個別に接地されている。
【0104】
図10は、本発明の実施形態に係る吸込口体の基準電圧発生回路の回路構成を部分的に示す図である。
【0105】
図9および
図10に示すように、基準電圧発生回路86は、制御用電源生成回路85から供給される電力でパルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)制御用の基準電圧を発生させて複数の電流制限回路89へ出力する。基準電圧は、三角波である。基準電圧発生回路86は、オペアンプ91によって三角波を出力する。オペアンプ91の+入力端子には、3つの抵抗92、93、94で分圧された電圧が印可される。オペアンプ91の-入力端子には、抵抗95およびコンデンサー96が接続されている。
【0106】
図11は、本発明の実施形態に係る吸込口体の基準電圧発生回路の動作を示す図である。
【0107】
なお、
図11の線分αは、オペアンプ91の-入力端子における電圧を示し、
図11の線分βは、オペアンプ91の+入力端子における電圧を示し、
図11の線分γは、オペアンプ91の出力端子における電圧を示している。
【0108】
図11の線分aのように制御用電源生成回路85の出力が立ち上がると、オペアンプ91の+入力端子には、3つの抵抗92、93、94で分圧された電圧が印可される。また、オペアンプ91の-入力端子に印加される電圧は、
図11の線分bのように、抵抗95およびコンデンサー96で定まる時定数で遅れて上昇する。このとき、オペアンプ91の+入力端子に印加される電圧の方が、オペアンプ91の-入力端子に印加される電圧より高いため、オペアンプ91は、
図11の線分cのように、電源電圧分の電圧を出力する。
【0109】
そして、
図11の点dのように、オペアンプ91の-入力端子に印加される電圧の方が、オペアンプ91の+入力端子に印加される電圧を超えると、オペアンプ91の出力が、零ボルトに落ちる。オペアンプ91の出力が零ボルトに落ちると、コンデンサー96は、
図11の線分eのように、抵抗95を介して放電を始める。また、オペアンプ91の出力が零ボルトに落ちると、オペアンプ91の+入力端子に繋がる3つの抵抗92、93、94の分圧経路が変わる。この3つの抵抗92、93、94の分圧経路の変化によって、オペアンプ91の+入力端子には、矩形波の電圧が印加される。
【0110】
コンデンサー96の放電が進んで、
図11の点dのように、オペアンプ91の+入力端子に印加される電圧の方が、オペアンプ91の-入力端子に印加される電圧より高くなると、オペアンプ91は、
図11の線分fのように、再び電源電圧分の電圧を出力する。この後、基準電圧発生回路86は、同様の動作を繰り返してオペアンプ91の-入力端子から三角波を出力する。
【0111】
図12は、本発明の実施形態に係る吸込口体の駆動回路の回路構成を部分的に示す図である。
【0112】
図9および
図12に示すように、それぞれの駆動回路87は、対応する電動機29に入力される電力をスイッチングするスイッチング素子101を含んでいる。それぞれの駆動回路87は、対応するスイッチング素子101をパルス幅変調制御で個別に開閉する。
【0113】
それぞれのスイッチング素子101は、二次電池13から対応する電動機29へ駆動電力を供給する非接地側電線83を開閉する。それぞれのスイッチング素子101は、双方向サイリスタ(Triode AC Switch、TRIAC)や逆阻止3端子サイリスタ(Silicon Controlled Rectifier、SCR)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの素子である。それぞれのスイッチング素子101は、対応する電流制限回路89に接続されるゲート101aを備えている。スイッチング素子101は、ゲート電流またはゲート電圧の変化に応じて電動機29の入力(駆動電流)を変える。
【0114】
図13は、本発明の実施形態に係る吸込口体の電流検知回路の回路構成を部分的に示す図である。
【0115】
図9および
図13に示すように、それぞれの電流検出回路88は、対応する電動機29に流れる電流の検出結果に相関する電圧値を対応する電流制限回路89に出力する。それぞれの電流検出回路88は、対応する電動機29に流れる電流を電圧に変換するシャント抵抗105と、シャント抵抗105によって変換した電圧を増幅して対応する電流制限回路89へ出力する増幅回路106と、を含んでいる。増幅回路106は、1つのオペアンプ107と、4つの抵抗111、112、113、114と、を備える、いわゆる差動増幅回路である。
【0116】
それぞれの電流制限回路89は、それぞれの電流検出回路88が出力する電圧値と基準電圧発生回路86が出力する基準電圧とを比較して、対応する駆動回路87のスイッチング素子101をスイッチングする。
【0117】
ところで、複数の電動機29の運転を制御するマイクロコンピューターまたは制御回路を、掃除機本体12に設ける場合には、吸込口体16側で複数の電動機29に流れる電流を検出して合成し、この合成電流の検出結果を掃除機本体12側のマイクロコンピューターまたは制御回路へ入力して複数の電動機29の運転を制御することができる。このような制御態様を、以下、「合成電流制御型」と呼ぶ。
【0118】
また、複数の電動機29の運転を制御するマイクロコンピューターまたは制御回路を、掃除機本体12に設ける場合には、吸込口体16側で複数の電動機29に流れる電流を個別に検出し、この個別に検出した電流を、合成することなく個別に掃除機本体12のマイクロコンピューターまたは制御回路へ入力して複数の電動機29の運転を制御することができる。このような制御態様を、以下、「個別制御型」と呼ぶ。
【0119】
そして、合成電流制御型は、複数の電動機29の運転制御を成立させるために、掃除機本体12から吸込口体16へ電力を供給する給電線と、吸込口体16から掃除機本体12へ合成電流の検出結果を送信する信号線と、を含む少なくとも2つの電線を備えていれば良い。
【0120】
一方、個別制御型は、複数の電動機29の運転制御を成立させるために、掃除機本体12から吸込口体16へ電力を供給する給電線と、吸込口体16から掃除機本体12へそれぞれの電動機29に流れる電流の検出結果を送信する複数の信号線と、を含む少なくとも3つの電線を必要とする。
【0121】
合成電流制御型は、複数の電動機29の合成電流に基づいて、複数の電動機29の入力を一括して制御する。つまり、合成電流制御型では、掃除機本体12のマイクロコンピューターまたは制御回路は、それぞれの電動機29の負荷状態を個別に把握することができない。そのため、それぞれの電動機29の入力が過大になったり、過小になったりする虞がある。入力が過大になれば、電動機29にレイヤーショートが生じる虞が高まる一方、入力が過小になれば、回転清掃体28の回転数が低下して塵埃除去能力を発揮できない虞がある。
【0122】
また、個別制御型では、掃除機本体12のマイクロコンピューターまたは制御回路は、それぞれの電動機29の負荷状態を個別に把握できる一方で、延長管15を含む掃除機本体12と吸込口体16との間に、少なくとも3つの電線を必要とする。掃除機本体12と吸込口体16との間に3つ以上の電線を配線する場合には、配線を通すトンネル構造の拡大と、それにともなう電気掃除機1の重量増加を招く。換言すると、個別制御型は、電気掃除機1の小型化、軽量化を妨げる。
【0123】
そこで、本実施形態に係る吸込口体16は、電動機29毎に設けられて、対応する電動機29に流れる電流をそれぞれ個別に検出する複数の電流検出回路88と、電動機29毎に設けられて、対応する電動機29に流れる電流をそれぞれ個別に制限する複数の電流制限回路89と、を備えている。複数の電動機29の少なくとも1つが過負荷状態になった場合には、過負荷状態の電動機29に対応する電流検出回路88が状況を検知し、過負荷状態の電動機29に対応する電流制限回路89が対応する駆動回路87のスイッチング素子101をスイッチングして過負荷状態の電動機29に流れる電流を制限する。つまり、吸込口体制御部42は、電動機29に流れる電流値を対応する電流検出回路88で検出し、この電流値が過大になった場合には、対応する電流制限回路89によって過負荷状態の電動機29に流れる電流を制限する。そうすることで、吸込口体制御部42は、過負荷状態の電動機29にレイヤーショートが生じることを防ぐ一方で、他の非過負荷状態の電動機29の運転を継続させる。
【0124】
図14は、本発明の実施形態に係る吸込口体制御部が実行する電動機の保護制御を説明する概念図である。
【0125】
図14に示すように、本実施経緯に係る吸込口体16の吸込口体制御部42は、基準電圧発生回路86が発生させる基準電圧SVと、電流検出回路88が出力する電圧値であって、電動機29に流れる電流の検出結果に相関する電圧値MVと、を比較して、電動機29に過電流が流れることを防いでいる。
【0126】
ここで、基準電圧SVは、周期的に電圧が上下する三角波である。基準電圧SVは、実質的に一定の上限電圧SV_highと、実質的に一定の下限電圧SV_lowと、の間で電圧を上下させている。
【0127】
電圧値MVは、電動機29に流れる電流値は、電動機29の負荷に相関する。例えば、回転清掃体28に塵埃が巻き付いたり、回転清掃体28と被掃除面との間に作用する摩擦力が上がったりすると、電動機29の負荷は増加する。電動機29の負荷が増加すると、電圧値MVが増加する。回転清掃体28と被掃除面との間に作用する摩擦力は、例えばフローリングのような被掃除面に比べてカーペットのような被掃除面で増加する。
【0128】
そして、
図14に電圧値MV1で示すように、電圧値MVが基準電圧SVの下限電圧SV_lowより小さい場合には、電動機29に流れる電流を制限する必要はない。
【0129】
電圧値MV2で示すように、電圧値MVが基準電圧SVの下限電圧SV_low以上であり、上限電圧SV_highより小さい場合には、レイヤーショートを防ぐために、電動機29に流れる電流が制限される。電流制限回路89は、基準電圧SVが電圧値MV以上の区間aでは、スイッチング素子101を閉じて電動機29に電力を供給し、基準電圧SVが電圧値MVより小さい区間bでは、スイッチング素子101を開いて電動機29への電力供給を遮断する。
【0130】
なお、電圧値MVが基準電圧SVの上限電圧SV_highより大きい場合には、電流制限回路89は、スイッチング素子101を開いて電動機29への電力供給を遮断する。
【0131】
これらの制御によって、電圧値MVが基準電圧SVの上限電圧SV_highを超過しないよう、スイッチング素子101が開閉される。
図14の矩形波は、スイッチング素子101の駆動電圧を示す線図であって、スイッチング素子101のスイッチングステータスに対応している。矩形波のA部分は区間aに対応し、スイッチング素子101は閉じている。矩形波のB部分は区間bに対応し、スイッチング素子101は開いている。
【0132】
複数の電動機29の負荷は、必ずしも一致しない。例えば、本実施形態に係る前用電動機29Fは、吸込口体16の前進を補助する方向Rfへ前清掃体28Fを回転させ、後用電動機29Rは、吸込口体16の後退を補助する方向Rrへ後清掃体28Rを回転させる。つまり、吸込口体16が前進している場合には、前清掃体28Fは、吸込口体16の進行方向へ向かって正転し、後清掃体28Rは、吸込口体16の進行方向へ向かって逆転する。このような場合には、前清掃体28Fを回転駆動する前用電動機29Fに作用する負荷は、後清掃体28Rを回転駆動する後用電動機29Rに作用する負荷に必ずしも一致しない。吸込口体16が前進している場合には、前用電動機29Fに作用する負荷は、後用電動機29Rに作用する負荷よりも小さい。
【0133】
また、複数の電動機29の回転方向が同じであっても、回転清掃体28と被掃除面との間に作用する摩擦力が異なる場合には、複数の電動機29の負荷は、一致しない。例えば、ブラシ毛が密に設けられている回転清掃体28と被掃除面との間に作用する摩擦力は、ブラシ毛が疎に設けられている回転清掃体28と被掃除面との間に作用する摩擦力よりも大きい。
【0134】
これらのように、それぞれの電動機29に作用する負荷が異なる場合には、それぞれの電動機29に流れる電流値の制限値を、電動機29毎に好適に設定しておくことが好ましい。
【0135】
そこで、吸込口体16は、電流検出回路88毎に増幅回路106の増幅率を異ならせることによって、電動機29毎に流れる電流の制限値を異ならせることができる。換言すると、吸込口体16は、増幅率の異なる増幅回路106を有する複数の電流検出回路88を備えることによって、電動機29毎に流れる電流の制限値を異ならせることができる。増幅回路106の増幅率を大きくすれば、対応する電動機29に流れる電流の制限値がより小さく設定される。増幅回路106の増幅率を小さくすれば、対応する電動機29に流れる電流の制限値がより大きく設定される。それぞれの電流検出回路88は、共通の基準電圧に基づいて電動機29に流れる電流を制限できる。
【0136】
図15は、本発明の実施形態に係る吸込口体の他の例の制御ブロック図である。
【0137】
図15に示すように、本実施形態に係る吸込口体16は、複数の電動機29と同数の基準電圧発生回路86を備えていても良い。
【0138】
基準電圧発生回路86毎に基準電圧SVを異ならせることによって、電動機29毎に流れる電流の制限値を異ならせることができる。換言すると、吸込口体16は、基準電圧SVの異なる複数の基準電圧発生回路86を備えることによって、電動機29毎に流れる電流の制限値を異ならせることができる。基準電圧発生回路86毎の基準電圧SVは、上限電圧SV_highおよび下限電圧SV_lowの少なくとも一方が異なっていれば良い。基準電圧SVを小さくすれば、対応する電動機29に流れる電流の制限値がより小さく設定される。基準電圧SVを大きくすれば、対応する電動機29に流れる電流の制限値がより大きく設定される。
【0139】
以上のように、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、電動機29毎に設けられて、電動機29に流れる電流をそれぞれ個別に検出する複数の電流検出回路88と、電動機29毎に設けられて、電動機29に流れる電流をそれぞれ個別に制限する複数の電流制限回路89と、を備えている。そのため、吸込口体16および電気掃除機1は、電動機29に流れる電流値を対応する電流検出回路88で検出し、この電流値が過大になった場合には、対応する電流制限回路89によって過負荷状態の電動機29に流れる電流を制限できる。そうすることで、吸込口体16および電気掃除機1は、過負荷状態の電動機29にレイヤーショートが生じることを防ぐ一方、他の非過負荷状態の電動機29の運転を継続できる。また、吸込口体16および電気掃除機1は、接地側電線82と、非接地側電線83と、を含む2つの電線81で吸込口体16と掃除機本体12とを電気的に接続し、かつ、過負荷状態の電動機29にレイヤーショートが生じることを防ぐ一方、他の非過負荷状態の電動機29の運転を継続できる。2つの電線81で吸込口体16と掃除機本体12とを電気的に接続することは、電気掃除機1の大型化、増量化を抑制する。換言すると、吸込口体16および電気掃除機1は、従来の合成電流制御型と同様に吸込口体16と掃除機本体12とを二線式の電線81で電気的に接続可能であって、かつ、従来の個別制御型と同等以上にそれぞれの電動機29の負荷状態を個別に把握し、保護制御を行うことが可能である。
【0140】
また、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、それぞれの電動機29に流れる電流の検出結果に相関する電圧値MVと三角波の基準電圧SVとを比較してスイッチング素子101スイッチングする。そのため、吸込口体16および電気掃除機1は、過負荷状態の電動機29にレイヤーショートが生じることを防ぐ一方、他の非過負荷状態の電動機29の運転を継続可能な制御を吸込口体16内で完結させ、かつ、2つの電線81で吸込口体16と掃除機本体12とを電気的に接続する電線81に二線式を採用できる。
【0141】
さらに、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、それぞれの電動機29に流れる電流の検出結果に相関する電圧値MVを出力する増幅回路106を備えている。そのため、吸込口体16および電気掃除機1は、電動機29に流れる電流の制限値を容易に調整できる。つまり、増幅回路106の増幅率を大きくすることで、電動機29に流れる電流の制限値を、容易に小さくすることができる。
【0142】
また、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、電流検出回路88毎に増幅回路106の増幅率を異ならせていても良い。さらに、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1は、複数の電動機29と、出力する基準電圧SVが異なる複数の基準電圧発生回路86と、を備えていても良い。そのような吸込口体16および電気掃除機1は、それぞれの電動機29に作用する負荷が異なっていても、それぞれの電動機29に流れる電流値の制限値を、電動機29毎に好適に設定できる。
【0143】
したがって、本実施形態に係る吸込口体16および電気掃除機1によれば、回転清掃体28を回転駆動させる複数の電動機29のそれぞれに流れる電流を適切に制限可能であって、信頼性を向上できる。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0145】
1…電気掃除機、11…把手、12…掃除機本体、13…二次電池、15…延長管、16…吸込口体、17…本体ケース、17a…前半部、17b…後半部、18…電動送風機、19…塵埃分離集塵部、21…本体制御部、23…本体接続口、26…入力部、26a…運転開始スイッチ、26b…運転停止スイッチ、26c…ブラシスイッチ、27…吸込口、28…回転清掃体、28F…前清掃体、28Fa…前清掃体の頂部、28R…後清掃体、28Ra…後清掃体の頂部、29…電動機、29F…前用電動機、29R…後用電動機、29a…出力軸、31…吸込口本体、31a…底面、32…接続管、35…下ケース、36…上ケース、38…回転接続管、39…揺動接続管、41…動力伝達機構、41F…前用伝達機構、41R…後用伝達機構、42…吸込口体制御部、45…吸込室、46…清掃体室、46F…前清掃体室、46R…後清掃体室、47…透過壁、47A…第一透過壁、47B…第二透過壁、47BL、47BR…分割透過壁、48…風路カバー、49…風路狭窄体、50…転、51…電動機室、51F…前用電動機室、51R…後用電動機室、52…機械室、52F…前用機械室、52R…後用機械室、53…制御室、55…窓部、55F…前清掃体窓、55R…後清掃体窓、55RL、55RR…分割窓、56…透過部材、57…中継管、59…ブラシ毛、61…主動歯車、62…従動歯車、63…ベルト、65…隔壁、65F…前隔壁、65R…後隔壁、66…除塵突起、66F…前突起、66R…後突起、68…湾曲面、71…傾斜面、72…案内面、73…孔、75…突出部、81…電線、82…接地側電線、83…非接地側電線、85…制御用電源生成回路、86…基準電圧発生回路、87…駆動回路、88…電流検出回路、89…電流制限回路、91…オペアンプ、101…スイッチング素子、101a…ゲート、105…シャント抵抗、106…増幅回路、107…オペアンプ、111、112、113、114…抵抗。