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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20240209BHJP
   A01F 12/00 20060101ALI20240209BHJP
   A01F 12/60 20060101ALI20240209BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A01D41/12 H
A01F12/00 G
A01F12/60
A01D67/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020210671
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022097215
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】迫 和志
(72)【発明者】
【氏名】安田 和男
(72)【発明者】
【氏名】守山 千仁
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-216693(JP,A)
【文献】特開2018-139545(JP,A)
【文献】特開2019-193623(JP,A)
【文献】特開2016-189707(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189196(WO,A1)
【文献】特開2019-112060(JP,A)
【文献】特開2019-216692(JP,A)
【文献】特開2019-216691(JP,A)
【文献】特開2020-000223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/12
A01F 12/00
A01F 12/60
A01D 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前部に設けられ、圃場の作物を刈り取る刈取部と、
前記刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、
前記脱穀装置と横並び状態で設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、
エンジンと、
前記エンジンの排気を排出する排気管と、
前記排気管の外気を前記排気管の内部に導入するエジェクタ部と、が備えられ、
前記排気管は、前記排気管の前部において前記脱穀装置の上部に対応する高さ位置まで立ち上げられた立上がり部と、前記立上がり部から前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間の空間を通して後向きに延ばされた後向き延出部とを、備え、
前記立上がり部を覆う前カバーと、前記後向き延出部を上方から覆う上カバーと、が備えられ、
前記前カバーは、前記上カバーとは別に備えられ、
前記上カバーは、前記脱穀装置に支持されており、
前記上カバーは、前の上カバー部と後の上カバー部とに分割され、前記前の上カバー部と前記後の上カバー部とが前後方向に並んでおり、
前記エジェクタ部は、前記後向き延出部のうち、前記前の上カバー部の前後方向での中間部の下方に位置する部位に位置しており、
前記上カバーの前記脱穀装置側の端部に連結され、前記排気管の前記脱穀装置側の側方を覆う横カバーが備えられているコンバイン。
【請求項2】
前記脱穀装置は、脱穀本体と、前記脱穀本体を上方から覆う天板部と、を有し、
前記排気管は、前記脱穀本体よりも高い位置において前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間の空間を通されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記横カバーは、前記脱穀装置側下がりに傾斜している請求項に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記排気管を下方から受け止めて支持するステーが備えられ、
前記上カバーと前記ステーとは、前記脱穀装置に各別に支持されている請求項1から3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記脱穀装置から立設された支持部材が備えられ、
前記上カバーは、前記支持部材に支持され、
前記ステーは、前記支持部材に支持されている請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記脱穀装置は、脱穀本体と、前記脱穀本体を上方から覆う天板部と、を有し、
前記上カバー及び前記排気管は、前記天板部の上端部よりも低い位置を通って前後に延びている請求項1から5のいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインには、走行機体の前部に設けられ、圃場の作物を刈り取る刈取部と、刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、脱穀装置と横並び状態で設けられ、脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、が備えられたものがある。この種のコンバインにおいて、たとえば特許文献1に示されるように、エンジンの排気を排出する排気管が備えられ、排気管は、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間を通して後向きに延ばされたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-128414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した如く脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間を排気管の設置用空間に活用したものにおいて、排気管が上方に露出したものにあっては、ワラ屑などの塵埃が排気管に降りかかり易い。
【0005】
本発明は、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間を排気管の設置用空間に活用しつつ排気管への塵埃の降りかかりを防止でき、かつ、穀粒タンクを開閉操作し易くすることを可能にするコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコンバインは、
走行機体の前部に設けられ、圃場の作物を刈り取る刈取部と、前記刈取部によって刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置と、前記脱穀装置と横並び状態で設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、エンジンと、前記エンジンの排気を排出する排気管と、前記排気管の外気を前記排気管の内部に導入するエジェクタ部と、が備えられ、前記排気管は、前記排気管の前部において前記脱穀装置の上部に対応する高さ位置まで立ち上げられた立上がり部と、前記立上がり部から前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間の空間を通して後向きに延ばされた後向き延出部とを、備え、前記立上がり部を覆う前カバーと、前記後向き延出部を上方から覆う上カバーと、が備えられ、前記前カバーは、前記上カバーとは別に備えられ、前記上カバーは、前記脱穀装置に支持されており、前記上カバーは、前の上カバー部と後の上カバー部とに分割され、前記前の上カバー部と前記後の上カバー部とが前後方向に並んでおり、前記エジェクタ部は、前記後向き延出部のうち、前記前の上カバー部の前後方向での中間部の下方に位置する部位に位置しており、前記上カバーの前記脱穀装置側の端部に連結され、前記排気管の前記脱穀装置側の側方を覆う横カバーが備えられている
【0007】
本構成によると、排気管が上カバーによって上方から覆われるので、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間排気管の設置用空間に活用しつつ、排気管への塵埃の降りかかりを上カバーによって防止できる。上カバーは、脱穀装置に支持されるので、穀粒タンクを開閉可能にする場合、上カバーが穀粒タンクに付いて動かなくて穀粒タンクを開閉操作し易くすることが可能である。
本構成によると、後の上カバー部を取り付けたままにしてもエジェクタ部の清掃などを行えるので、エジェクタ部のメンテナンス作業を行い易い。
本構成によると、塵埃がエジェクタ部に落下することを上カバーによって防止できるので、塵埃がエジェクタ部によって空気と共に排気管内に導入されることを防止できる。排気管に脱穀装置側の横側方から塵埃が入り込むことを横カバーによって防止できる。
【0008】
本発明においては、
前記脱穀装置は、脱穀本体と、前記脱穀本体を上方から覆う天板部と、を有し、前記排気管は、前記脱穀本体よりも高い位置において前記脱穀装置と前記穀粒タンクとの間の空間を通されていると好適である。
【0009】
本構成によると、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間のうち、排気管の放熱が上方に抜け出やすい位置を排気管が通るので、排気管を冷えやすくできる
【0010】
本発明においては、
前記横カバーは、前記脱穀装置側下がりに傾斜していると好適である。
【0011】
本構成によると、横カバーによって受け止められた塵埃が横カバーに沿って脱穀装置側に滑落するので、塵埃を排気管側に入り込まないように防止し易い。
【0012】
本発明においては、
前記排気管を下方から受け止めて支持するステーが備えられ、前記上カバーと前記ステーとは、前記脱穀装置に各別に支持されていると好適である。
【0013】
本構成によると、排気管がステーを介して脱穀装置に支持されたままにしながら上カバーを脱着できるので、上カバーを外しても排気管を支持されたままにできて排気管に対するメンテナンス作業を行い易い。
【0014】
本発明においては、
前記脱穀装置から立設された支持部材が備えられ、前記上カバーは、前記支持部材に支持され、前記ステーは、前記支持部材に支持されていると好適である。
【0015】
本構成によると、上カバーおよびステーを脱穀装置に直接に支持するのに比して、上カバーおよびステーを設置し易いので、排気管を支持しかつカバーする作業を行い易い。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
本発明においては、
前記脱穀装置は、脱穀本体と、前記脱穀本体を上方から覆う天板部と、を有し、前記上カバー及び前記排気管は、前記天板部の上端部よりも低い位置を通って前後に延びていると好適である。
【0021】
本構成によると、脱穀装置と穀粒タンクとの間の空間のうち、排気管の放熱が上方に抜け出やすい部位を排気管が前後に通るので、排気管を冷えやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】コンバインの全体を示す左側面図である。
図2】コンバインの全体を示す右側面図である。
図3】コンバインの全体を示す平面図である。
図4】コンバインの後面図である。
図5】排気管をおよびカバーを示す右側面図である。
図6】排気管の支持構造を示す右側面図である。
図7図5のVII―VII断面矢視図である。
図8図5のVIII―VIII断面矢視図である。
図9】排気管およびカバーを示す平面図である。
図10】前カバー、中カバーおよび後カバーの支持構造を示す左側面図である。
図11】中カバーおよび後カバーの支持構造を示す右側面図である。
図12】第1支持部材、第2支持部材、第3支持部材、第1ステー、第2ステー、第3ステー、取り外し状態の前カバー、中カバーおよび後カバーを示す斜視図である。
図13】第1支持部材、第2支持部材、第3支持部材、取り外し状態の前カバー、中カバーおよび後カバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、コンバインの走行機体に関し、図1,2,3に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、図1,2,4に示される矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、図3,4に示される矢印Lの方向を「機体左方」、矢印Rの方向を「機体右方」とする。
【0024】
〔コンバインの全体の構成〕
図1,2,3,4に示されるように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1によって支持される走行機体2を備えている。走行機体2は、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム3を備えている。クローラ走行装置1は、機体フレーム3の下部に備えられている。走行機体2の前部に、運転部4、原動部5および刈取搬送部6が設けられている。運転部4および原動部5は、走行機体2の前部における横一端側の箇所に設けられ、刈取搬送部6は、走行機体2の前部における運転部側とは反対側の箇所に設けられている。運転部4には、運転座席7、搭乗空間の上方を覆う日除け8が備えられている。原動部5には、エンジン9が備えられている。刈取搬送部6には、刈取搬送部6の前部に設けられた刈取部6Aと、刈取部6Aの後部から後向きに延ばされたフィーダ10と、が備えられている。刈取部6Aにおいては、圃場の稲、麦などの作物の穂先側が回転リール11によって後方に掻き込まれ、掻き込まれた作物の株元がバリカン型の刈取装置12によって切断されて作物の刈取りが行われ、刈り取られた作物が横送りオーガ13によってフィーダ10に対する供給箇所に横搬送される。フィーダ10は、横送りオーガ13から作物を受け入れ、受け入れた作物を後上方に搬送する。フィーダ10には、搬送する作物に混入している切れワラなどの塵埃を回転ファンによる送風作用によって吸引して排出する排塵装置10Aが備えられている。刈取搬送部6は、フィーダ10の下部に連結された昇降シリンダ14の伸縮作動によって下降作業状態と上昇非作業状態とにわたって揺動昇降操作される。機体フレーム3の後部に、脱穀装置15と穀粒タンク16とが横並び状態で支持されている。脱穀装置15は、フィーダ10の後方に配置されている。穀粒タンク16は、運転部4の後方に配置されている。脱穀装置15の横外側方に、脱穀カバー17が設けられている。脱穀カバー17は、複数枚の分割カバーに分割可能に構成されている。穀粒タンク16の下部の横外側方に、タンクカバー18が設けられている。脱穀装置15は、フィーダ10からの作物を受け入れて脱穀処理し、脱穀処理によって得られた穀粒を切れワラなどの塵埃と選別する選別処理を行う。脱穀装置15は、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が扱室に投入されるように全稈投入型に構成されている。穀粒タンク16は、脱穀装置15によって選別処理された穀粒を回収して貯留する。穀粒タンク16の後部に、穀粒タンク16に貯留された穀粒を排出する穀粒排出装置19が接続されている。穀粒タンク16は、穀粒排出装置19に備えられた縦搬送部19Aの軸芯を揺動支点にして走行機体2の横外側に張り出たメンテナンス用の開き姿勢と、運転部4の後方に前後向きに位置した作業用の閉じ姿勢とに姿勢変更可能に支持されている。
【0025】
図2,4に示されるように、穀粒タンク16における下部に、下側ほど横幅が狭くなる下狭まり部が備えられている。機体横外側における下狭まり部とタンクカバー18との間の空間に、工具箱26が設けられている。工具箱26は、穀粒タンク16の右傾壁に支持されている。
【0026】
〔穀粒排出装置の構成〕
図2,3に示されるように、穀粒排出装置19は、穀粒タンク16の後方に機体上下方向に延びる状態で設けられた縦搬送部19Aと、縦搬送部19Aの上端部から上下揺動可能に延ばされた横搬送部19Bと、を有している。縦搬送部19Aの下部と穀粒タンク16の後下部とが接続ケース20を介して接続されている。縦搬送部19Aは、穀粒タンク16から接続ケース20に排出された穀粒を受け入れ、受け入れた穀粒を揚送する。穀粒タンク16からの穀粒の排出は、穀粒タンク16の底部内に設けられた底スクリュー(図示せず)によって行われる。横搬送部19Bは、縦搬送部19Aによって揚送された穀粒を受け入れ、受け入れた穀粒を横搬送して横搬送部19Bの延伸端部に備えられている吐出筒22から吐出する。
【0027】
図1,2,4に示されるように、縦搬送部19Aの途中箇所に、旋回駆動機構23が連結されている。旋回駆動機構23は、カバー24によって覆われている。横搬送部19Bは、縦搬送部19Aが旋回駆動機構23によって接続ケース20に対して回転操作されることにより、縦搬送部19Aの軸芯を旋回中心にして旋回操作される。図2,3に示されるように、横搬送部19Bの基部に起伏シリンダ25が連結されている。横搬送部19Bは、起伏シリンダ25の伸縮作動によって縦搬送部19Aに対して上下に揺動操作される。
【0028】
〔脱穀装置の構成〕
脱穀装置15は、図4,5に示されるように、脱穀本体15Aと、脱穀本体15Aを上方から覆う天板部15Bと、を有している。脱穀本体15Aは、左右の側壁30などによって構成される脱穀フレームを備えている。脱穀本体15Aは、側壁30の上端が脱穀本体15Aの上端T1になるように構成されている。天板部15Bは、図3,4,7に示されるように、前後方向視で弧状の天板本体36と、天板本体36の前端部に連結された前壁板37と、天板本体36の後端部に連結された後壁板38と、を備えている。
【0029】
脱穀装置15は、脱穀本体15Aと天板部15Bとにわたって形成された脱穀部31と、脱穀部31の下方に形成された選別部35と、を備えている。
【0030】
脱穀部31は、図7に示されるように、扱室32、扱室32に回転可能に設けられた扱胴33、扱胴33の下方に設けられた受網34を備えている。扱室32は、左右の側壁30、天板部15B、受網34などによって形成されている。扱室32および扱胴33は、脱穀本体15Aに含まれない。
【0031】
選別部35は、受網34の下方に駆動揺動可能に設けられ、受網34から漏下した処理物を受け止めてふるい選別する揺動選別装置(図示せず)、揺動選別装置の前下方に設けられ、揺動選別装置に選別風を供給する唐箕(図示せず)、揺動選別装置の下方に設けられ、選別処理によって得られた1番処理物を脱穀装置15の穀粒タンク側の横外側に搬送する1番スクリュー39(図5参照)、1番スクリュー39よりも後側に設けられ、選別処理によって得られた2番処理物を脱穀装置15の穀粒タンク側の横外側に搬送する2番スクリュー40(図5参照)を備えている。
【0032】
図4,5に示されるように、2番スクリュー40に接続された2番還元装置42が脱穀装置15と穀粒タンク16との間に設けられている。2番還元装置42は、2番スクリュー40の終端部から前上がり傾斜の姿勢で延ばされ、2番還元装置42の搬送終端部が脱穀装置15の前部において揺動選別装置に向けて開口されている。2番スクリュー40から排出された2番処理物が2番還元装置42によって選別部35における揺動選別装置の前部に還元され、揺動選別装置によって単粒化するように再処理される。
【0033】
〔排気管の構成〕
図2,5に示されるように、エンジン9は、穀粒タンク16よりも前側に設けられている。エンジン9の左横側方に、エンジン9の排気部に接続された排気マフラー45が設けられ、排気マフラー45の後部に備えられた吐出筒45aに排気管46が接続されている。エンジン9から排出された排気が排気マフラー45に導入されて消音処理され、処理された排気が排気管46に吐出されて排気管46によって走行機体2の外部に排出される。
【0034】
図5,6,9に示されるように、排気管46は、脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間を通して前後方向に延ばされている。本実施形態では、排気管46は、脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間のうち、天板部15Bよりも低い位置を通して前後方向に延ばされている。具体的には、排気管46は、脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間のうち、脱穀本体15Aの上端T1と天板部15Bの上端T2との間に対応する高さ位置を通って前後方向に延ばされている。
【0035】
詳述すると、排気管46は、図5,6に示されるように、長手方向において3つの第1分割排気管47、第2分割排気管48、第3分割排気管49に分割されている。
【0036】
図5,6に示されるように、排気管46は、排気管46の前部において吐出筒45aから立ち上げられた立上がり部50と、立上がり部50から後向きに延ばされた後向き延出部51と、を備えている。
【0037】
立上がり部50は、図5,6に示されるように、脱穀装置15の上部まで立ち上げられている。本実施形態では、立上がり部50は、脱穀装置15における脱穀本体15Aよりも高い位置まで立ち上げられている。具体的には、脱穀本体15Aは、側壁30の上端が脱穀本体15Aの上端T1になるように構成されている。立上がり部50は、上端T1よりも高い位置まで立ち上げられている。立上がり部50は、図5,6,8に示されるように、2番還元装置42よりも前側において立ち上げられ、かつ、機体前後方向視において2番還元装置42と重複している。
【0038】
後向き延出部51は、図5,6,7,8に示されるように、脱穀本体15Aの上端T1と天板部15Bの上端T2との間に対応する高さ位置において脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間を後向きに通されている。
【0039】
図7,9に示されるように、穀粒タンク16の脱穀装置側の側壁16aに、脱穀装置側に膨出された膨出部52が備えられ、穀粒タンク16の容量増加を図られている。後向き延出部51は、膨出部52よりも上側を通されている。
【0040】
図5,6に示されるように、立上がり部50の上端部に、後向きに屈曲された屈曲部50aが備えられ、立上がり部50は、屈曲部50aによって後向き延出部51に繋がれている。後向き延出部51は、立上がり部50の屈曲部50aから後上がり傾斜姿勢で後向きに延びる後上がり傾斜部51kと、後上がり傾斜部51kから水平姿勢で後向きに延びる水平部51sと、を備えている。
【0041】
図5,6に示されるように、立上がり部50における下部に、排気管46の外気が排気管46の内部に導入される第1エジェクタ部53が備えられている。具体的には、第1エジェクタ53部は、図6に示されるように、立上がり部50の下部に、排気マフラー45の吐出筒45aに外嵌して接続する接続部54を備え、接続部54と吐出筒45aとの間に、排気管46の外部から内部への空気流入が可能な隙間を設けて構成されている。
【0042】
図5,6に示されるように、排気管46のうち、立上がり部50を覆う前カバー71よりも後側に位置する部位に、排気管46の外気が排気管46の内部に導入される第2エジェクタ部55が備えられている。第2エジェクタ部55は、図6に示されるように、後向き延出部51における後上がり傾斜部51kに備えられている。具体的には、後上がり傾斜部51kは、第1分割排気管47と第2分割排気管48とにわたって形成されている。
第2エジェクタ部55は、第2分割排気管48の上流側の端部に、第1分割排気管47の排気マフラー側とは反対側の端部に外嵌して接続する接続部56を備え、接続部56と、第1分割排気管47の端部との間に、排気管46の外部から内部への空気流入が可能な隙間を設けて構成されている。
【0043】
図5,6に示されるように、排気管46の後端部57は、上向きに屈曲され、後端部57に、天板部15Bよりも高く位置する排気口58が開口されている。具体的には、後端部57は、排気口58の上部が天板部15Bの上端T2よりも高い位置に位置するように構成されている。排気口58は、後上向きに開口されている。排気口58は、脱穀装置15の後端および穀粒タンク16の後端よりも後側に位置している。
【0044】
〔排気管の支持〕
排気管46は、図5,6に示されるように、立上がり部50の一箇所を支持する第1ステー61、後上がり傾斜部51kの前後二箇所を支持する第2ステー62、および、水平部51sの前後三箇所を支持する第3ステー63を介して脱穀装置15に支持されるように構成されている。
【0045】
具体的には、第1ステー61は、図6に示されるように、立上がり部50の後部に連結されるように構成されている。第1ステー61は、脱穀装置15の右の側壁30に直接に連結されるように構成されている。第1ステー61の排気管46への連結は、溶接によって行われる。第1ステー61の側壁30への連結は、連結ボルトによって行われる。
【0046】
2箇所の第2ステー62および3箇所の第3ステー63は、図5,6に示されるように、排気管46を下方から受け止めて支持するように排気管46の下部に連結されるように構成されている。各第2ステー62および各第3ステー63の排気管46への連結は、溶接によって行われる。
【0047】
2つの第2ステー62のうちの前の第2ステー62は、図5、6に示されるように、脱穀装置15の右の側壁30に直接に連結されるように構成されている。2つの第2ステー62のうちの後の第2ステー62、および、3つの第3ステー63のうちの最も前の第3ステー63は、脱穀装置15の右の側壁30の上部30aにおける前後2箇所に立設された第1支持部材64のうちの前の第1支持部材64に連結され、第1支持部材64を介して右の側壁30に連結されるように構成されている。3つの第3ステー63のうちの前から2番目および3番目の第3ステー63は、前後2箇所の第1支持部材64のうちの後の第1支持部材64に連結され、第1支持部材64を介して右の側壁30に支持されるように構成されている。前の第2ステー62の側壁30への連結は、連結ボルトによって行われる。後の第2ステー62および3つの第3ステー63の第1支持部材64への連結は、第1支持部材64の排気管側の側部64aに連結ボルトによって行われる。
【0048】
〔排気管のカバーの構成〕
図5,9に示されるように、排気管46を覆うカバー70を設け、ワラ屑などの塵埃の排気管46への降りかかりがカバー70によって防止されるように構成されている。
【0049】
詳述すると、図5,9,10に示されるように、カバー70に、排気管46の立上がり部50を覆う前カバー71と、排気管46の後向き延出部51における前側部分を覆う中カバー72と、中カバー72よりも後側で後向き延出部51を覆う後カバー73と、が備えられている。
【0050】
前カバー71は、図5,9,10,12,13に示されるように、立上がり部50を前方から覆う前カバー部71a、立上がり部50を左横側方から覆う左横カバー部71b、立上がり部50を右横側方から覆う右横カバー部71c、を備えている。図5,10に示されるように、前カバー部71aの下部は、鉛直姿勢にされ、前カバー部71aの上部は、上側ほど後に位置する傾斜姿勢にされている。右横カバー部71cの上下長さが左横カバー部71bの上下長さよりも長くされている。
【0051】
前カバー71は、脱穀装置15に支持されるように構成されている。具体的には、図12,13に示されるように、前カバー71は、前カバー部71aの上部に形成された第1取付部71d、前カバー部71aの下左側部に形成された第2取付部71eを備えている。図12,13に示されるように、前後2箇所の第1支持部材64よりも前側において、脱穀装置15の右の側壁30の上部30aから第2支持部材74が立設されている。図9,10に示されるように、第1取付部71dは、第2支持部材74の上部に形成された前受部74aに載置して連結ボルトによって連結するよう構成されており、第2支持部材74を介して脱穀装置15に支持される。第2取付部71eは、脱穀装置15の右の側壁30に直接に連結ボルトによって連結するように構成されている。前カバー71は、脱穀装置15に支持される。
【0052】
中カバー72および後カバー73は、図5,12,13に示されるように、排気管46のうちの後向き延出部51を上方から覆う上カバー部75、上カバー部75の脱穀装置側の端部に連結され、排気管46のうちの後向き延出部51の脱穀装置側の側方を覆う左横カバー部76、上カバー部75の脱穀装置側とは反対側の端部に連結され、排気管46のうちの後向き延出部51の穀粒タンク側の側方を覆う右横カバー部77を備えている。
【0053】
中カバー72における左横カバー部76および後カバー73における左横カバー部76は、図7,9に示されるように、脱穀装置側下がりに傾斜した状態に構成されている。
【0054】
中カバー72における右横カバー部77の前後長さは、中カバー72における上カバー部75(前の上カバー部)の前後長さよりも短くされている。中カバー72における右横カバー部77は、上カバー部75の前側部分から下向きに延ばされている。中カバー72は、図5,9,10に示されるように、上カバー部75によって第2エジェクタ部55を上方から覆い、左横カバー部76および右横カバー部77によって第2エジェクタ55部を両横側方から覆うように構成されている。中カバー72は、天板部15Bの上端T2よりも低い位置に位置するように構成されている。
【0055】
後カバー73における右横カバー部77の前後長さは、後カバー73における上カバー部75(後の上カバー部)の前後長さよりも短くされている。後カバー73における右横カバー部77は、上カバー部75の後部から下向きに延ばされている。後カバー73は、図5,9,10に示されるように、上カバー部75によって排気管46の後端部57を上方から覆い、左横カバー部76および右横カバー部77によって排気管46の後端部57を両横側方から覆うように構成されている。具体的には、図5に示されるように、後カバー73における上カバー部75の後端部75aは、排気管46の後端部57に沿って上向きに屈曲されている。後カバー73は、排気管46の後端部57を覆っている部位よりも前側に位置する部位において、天板部15Bの上端T2よりも低い位置に位置するように構成されている。
【0056】
中カバー72および後カバー73における上カバー部75、左横カバー部76および右横カバー部77のそれぞれは、脱穀装置15に支持されるように構成されている。中カバー72における上カバー部75、左横カバー部76および右横カバー部77のそれぞれと、排気管46のうちの中カバー72によって覆われる部分を支持する第2ステー62および第3ステー63とは、各別に脱穀装置15に支持されるように構成されている。後カバー73における上カバー部75、左横カバー部76および右横カバー部77のそれぞれと、排気管46のうち後カバー73によって覆われる部分を支持する第3ステー63とは、各別に脱穀装置15に支持されるように構成されている。
【0057】
具体的には、図12,13に示されるように、中カバー72は、上カバー部75の前部に形成された第1取付部78、上カバー部75の後部に形成された第2取付部79、第1取付部78と第2取付部79との間に形成された第3取付部80、左横カバー部76の前下部に形成された第4取付部81、左横カバー部76の後下部に形成された第5取付部82、第4取付部81と第5取付部82との間に形成された第6取付部83を備えている。
【0058】
図12,13に示されるように、後カバー73は、上カバー部75の前部に形成された第1取付部85、第1取付部85よりも後側において上カバー部75に形成された第2取付部86、左横カバー部76の前下部に形成された第3取付部87、第3取付部87よりも後側において左横カバー部76に形成された第4取付部88、第4取付部88よりも後側において左横カバー部76の下部に形成された第5取付部89を備えている。
【0059】
図12,13に示されるように、第2支持部材74よりも後側において、脱穀装置15の右の側壁30の上部30aの前後2箇所から第3支持部材90が立設されている。前後2箇所の第3支持部材90のうちの前の第3支持部材90は、前後2箇所の第1支持部材64のうちの前の第1支持部材64の横側方に位置している。前後2箇所の第3支持部材90のうちの後の第3支持部材90は、前後2箇所の第1支持部材64のうちの後の第1支持部材64の横側方に位置している。
【0060】
図5,8,9,10、11に示されるように、中カバー72において、第1取付部78は、第2支持部材74の上部に形成された後受部74bに載置して連結ボルトによって連結するように構成され、第2取付部79は、後カバー73における第1取付部85に上から重ねて連結ボルトによって連結するように構成され、第3取付部80は、前後の第3支持部材90のうちの前の第3支持部材90の上部に上から重ねて連結ボルトによって連結するように構成され、第4取付部81は、前の第1支持部材64よりも前側において右の側壁30の上部30aに載置して連結ボルトによって連結するように構成され、第5取付部82は、前後の第1支持部材64の間において右の側壁30の上部30aに連結ボルトによって連結するように構成され、第6取付部83は、前後の第1支持部材64のうちの前の第1支持部材64の脱穀装置側の側部64bに連結ボルトによって連結するように構成されている。
【0061】
図5,8,9,10、11に示されるように、後カバー73において、第2取付部86は、前後の第3支持部材90のうちの後の第3支持部材90の上部に上から重ねて連結ボルトによって連結するように構成され、第3取付部87は、前後の第1支持部材64の間において右の側壁30の上部30aに上から重ねて連結ボルトによって連結するように構成され、第4取付部88は、前後の第1支持部材64のうちの後の第1支持部材64の脱穀装置側の側部64bに連結ボルトによって連結するように構成され、第5取付部89は、後の第1支持部材64よりも後側において右の側壁30の上部30aに連結ボルトによって連結するように構成されている。
【0062】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、排気管46を3つの分割排気管47,48,49によって構成された例を示したが、これに限らない。たとえば、分割されない1本の排気管、2つあるいは4つ以上の分割排気管によって構成されるものであってもよい。
【0063】
(2)上記した実施形態では、後向き延出部51に対するカバーを中カバー72と後カバー73とに分割可能に構成し、後向き延出部51に対する上カバーを、中カバー72の上カバー部75と後カバー73の上カバー部75とに分割した状態で備え、後向き延出部51に対する横カバーを、中カバー72の左横カバー部76と後カバー73の左横カバー部76とに分割した状態で備えた例を示したが、これに限らず、中カバー72と後カバー73とを一体のカバーに構成し、上カバーおよび横カバーを前後に分割されない一体の上カバー、横カバーに構成されたものであってもよい。
【0064】
(3)上記した実施形態では、機体前後方向視において、立上がり部50と2番還元装置42とが重複する構成を備えた例を示した、これに限らず、重複しないものであってもよい。
【0065】
(4)上記した実施例では第2エジェクタ部55を備えた例を示したが、第2エジェクタ55部を備ないものであってもよい。
【0066】
(5)上記した実施形態では、排気管46の上向きに屈曲された後端部57に排気口58を設けた例を示したが、この限りではない。たとえば、排気管46の後端部57を水平姿勢で位置するように構成し、排気口が水平姿勢の後端部に後向きに開口するものであってもよい。
【0067】
(6)上記した実施形態では、膨出部52を備えた例を示したが、膨出部52を備えないものであってもよい。
【0068】
(7)上記した実施形態では、排気管46が脱穀装置15と穀粒タンク16との間の空間のうち、脱穀本体15Aの上端T1と天板部15Bの上端T2との間に対応する高さ位置の部位を通る例を示したが、これに限らない。脱穀本体15Aの上端T1よりも低い位置を通されたものであってもよい。
【0069】
(8)上記した実施形態では、左横カバー部76が脱穀装置下がりに傾斜している例をしめしたが、傾斜せず、鉛直姿勢のものであってもよい。
【0070】
(9)上記した実施形態では、支持部材64を設けた例を示したが、支持部材64を設けず、ステー62,63、カバー24を脱穀装置15に直接に支持するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、走行機体の前部に設けられた刈取部、横並び状態で設けられた脱穀装置と穀粒タンク、エンジンを備えるコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0072】
2 走行機体
6A 刈取部
9 エンジン
15 脱穀装置
15A 脱穀本体
15B 天板部
16 穀粒タンク
46 排気管
50 立上がり部
51 後向き延出部
55 エジェクタ部(第2エジェクタ)
62 ステー(第2ステー)
63 ステー(第3ステー)
64 支持部材(第1支持部材)
71 前カバー
76 横カバー(横カバー部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13