(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】細胞を培養するための無血清培地配合物およびその使用の方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/00 20060101AFI20240209BHJP
C12N 5/02 20060101ALI20240209BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240209BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240209BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240209BHJP
【FI】
C12N1/00 G
C12N5/02
C12N5/0783 ZNA
C12N5/10
C12N15/62 Z
(21)【出願番号】P 2020530976
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(86)【国際出願番号】 US2018064627
(87)【国際公開番号】W WO2019113556
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ビューチェスン パスカル
(72)【発明者】
【氏名】クー-ドング キエン
(72)【発明者】
【氏名】アイフワ アイビー
(72)【発明者】
【氏名】チャン カルヴィン
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/035631(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106834218(CN,A)
【文献】Cytotechnology,2013年,Vol.65,pp.135-143
【文献】Human Gene Therapy Methods,2016年,Vol.27, No.6,pp.209-218
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C12M 1/00- 3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎培地中の0.5mM~5mMのL-グルタミンのジペプチド形態;
0.5mM~5mMのL-グルタミン;
IL-2、IL-7およびIL-15からなる群から選択される1つまたは複数のサイトカイン;および
少なくとも1つのタンパク質
を含み、
血清を含まない、
無血清培地。
【請求項2】
L-グルタミンのジペプチド形態がL-アラニル-L-グルタミンである、請求項1に記載の無血清培地。
【請求項3】
L-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、それぞれ両端を含めて、0.5mM~5mM、0.5mM~4mM、0.5mM~3mM、0.5mM~2mM、0.5mM~1mM、1mM~5mM、1mM~4mM、1mM~3mM、1mM~2mM、2mM~5mM、2mM~4mM、2mM~3mM、3mM~5mM、3mM~4mMもしくは4mM~5mM、または約0.5mM~5mM、約0.5mM~4mM、約0.5mM~3mM、約0.5mM~2mM、約0.5mM~1mM、約1mM~5mM、約1mM~4mM、約1mM~3mM、約1mM~2mM、約2mM~5mM、約2mM~4mM、約2mM~3mM、約3mM~5mM、約3mM~4mMもしくは約4mM~5mMである、および/もしくは
無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mMもしくは約5mMである、請求項1または2に記載の無血清培地。
【請求項4】
無血清培地中のL-グルタミンの濃度が、それぞれ両端を含めて、0.5mM~5mM、0.5mM~4mM、0.5mM~3mM、0.5mM~2mM、0.5mM~1mM、1mM~5mM、1mM~4mM、1mM~3mM、1mM~2mM、2mM~5mM、2mM~4mM、2mM~3mM、3mM~5mM、3mM~4mMもしくは4mM~5mM、または約0.5mM~5mM、約0.5mM~4mM、約0.5mM~3mM、約0.5mM~2mM、約0.5mM~1mM、約1mM~5mM、約1mM~4mM、約1mM~3mM、約1mM~2mM、約2mM~5mM、約2mM~4mM、約2mM~3mM、約3mM~5mM、約3mM~4mMもしくは約4mM~5mMである、および/もしくは
無血清培地中のL-グルタミンの濃度が、0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mMもしくは約5mMである、請求項1~3のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項5】
少なくとも1つのタンパク質がヒトタンパク質および/または組換え型タンパク質である、請求項1~4のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項6】
少なくとも1つのタンパク質が、アルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つもしくは複数を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項7】
無血清培地中のアルブミンの濃度が約2.5mg/mL~約7.5mg/mLである、任意で約5mg/mLである、請求項6に記載の無血清培地。
【請求項8】
無血清培地中のトランスフェリンの濃度が約50mg/L~約200mg/Lである、任意で、約100mg/Lである、請求項6または7に記載の無血清培地。
【請求項9】
無血清培地中のインスリンの濃度が約5mg/L~約20mg/Lである、任意で約10mg/Lである、請求項6~8のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項10】
無機塩、糖、アミノ酸の1つまたは複数を含み、任意でビタミン、有機酸、酸化防止剤、および/または緩衝剤も含む、および/もしくは
脂質、成長因子、N-アセチルシステイン、エタノールアミン、および/またはアルブミンを含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項11】
基礎培地が、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、F-10、F-12、RPMI 1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地、またはM199を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項12】
基礎培地および/または無血清培地がフェノールレッドを含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項13】
前記無血清培地が、IL-2、IL-7およびIL-15を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項14】
初代細胞および/または免疫細胞、任意でT細胞の拡大増殖を支援する、請求項1~13のいずれか一項に記載の無血清培地。
【請求項15】
無血清培地配合物を調製するための方法であって、以下:
(a)L-グルタミンのジペプチド形態を含む基礎培地であって、無血清基礎培地が液体配合物であり、かつ/または組み合わせる工程の前に凍結されていない、基礎培地;
(b)L-グルタミンおよび少なくとも1つのタンパク質を含むサプリメント;ならびに
(c)IL-2、IL-7およびIL-15からなる群から選択される1つまたは複数のサイトカイン
を組み合わせる工程を含む、方法。
【請求項16】
サプリメントが、組み合わせる工程の前に凍結されている、および/または
方法が、組み合わせる工程の前に、サプリメントを解凍する工程を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、それぞれ両端を含めて、0.5mM~5mM、0.5mM~4mM、0.5mM~3mM、0.5mM~2mM、0.5mM~1mM、1mM~5mM、1mM~4mM、1mM~3mM、1mM~2mM、2mM~5mM、2mM~4mM、2mM~3mM、3mM~5mM、3mM~4mMもしくは4mM~5mM、または約0.5mM~5mM、約0.5mM~4mM、約0.5mM~3mM、約0.5mM~2mM、約0.5mM~1mM、約1mM~5mM、約1mM~4mM、約1mM~3mM、約1mM~2mM、約2mM~5mM、約2mM~4mM、約2mM~3mM、約3mM~5mM、約3mM~4mMもしくは約4mM~5mMである、および/もしくは
基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、少なくとも0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または少なくとも約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mMもしくは約5mM、または0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mMもしくは約5mMである、
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
L-グルタミンのジペプチド形態がL-アラニル-L-グルタミンである、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が20mM~100mMまたは約20mM~約100mMである、および/もしくは
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が少なくとも40mM、50mM、60mM、70mM、80mMもしくは90mM、または少なくとも約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mMもしくは約90mM、または40mM、50mM、60mM、70mM、80mMもしくは90mM、または約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mMもしくは約90mMである、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのタンパク質が、ヒトタンパク質および/または組換え型タンパク質、任意で、アルブミン、トランスフェリン、および/またはインスリンを含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
無血清培地配合物が、90%~97.5%(v/v)の基礎培地および1.25%~5%(v/v)のサプリメントを含む、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
サプリメントが第1のサプリメントであり、方法が、(c)1つまたは複数の酸化防止剤、1つまたは複数のアルブミンまたはアルブミン代替品、1つまたは複数の脂質剤、1つまたは複数のインスリンまたはインスリン代替品、1つまたは複数のトランスフェリンまたはトランスフェリン代替品、1つまたは複数の成長因子、1つまたは複数の微量元素、および1つまたは複数のグルココルチコイドからなる群より選択される1つまたは複数の成分を含み、任意で、脂質、成長因子、N-アセチルシステイン、エタノールアミン、および/またはアルブミンを含む、第2のサプリメント
を組み合わせる工程
をさらに含む、請求項15~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
無血清培地配合物が、1.25%~5%(v/v)の第2のサプリメントを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つまたは複数のサイトカインが、IL-2、IL-7およびIL-15を含む、請求項15~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
細胞を含む組成物を、請求項1~14のいずれか一項に記載の無血清培地中でインキュベーションする工程を含む、細胞を培養する方法。
【請求項26】
前記培養が、以下から選択される1つまたは複数のステップ:
刺激剤または刺激条件の存在下での細胞の活性化;
異種タンパク質をコードする作用物質の導入;または
細胞の培養もしくは拡大増殖
に関連して行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
遺伝子操作された細胞を産生するための方法であって、以下の工程:
(a)細胞を含む細胞集団と、異種タンパク質をコードする核酸分子を含む作用物質とを、該異種タンパク質をコードする核酸を該集団の細胞に導入する条件下で、接触させる工程;ならびに
(b)該接触させる工程の前、間および/または後に、刺激条件の存在下で該細胞をインキュベーションする工程であって、該刺激条件が、該細胞の刺激、活性化および/または拡大増殖に作用する一次シグナルを誘導する、インキュベーションする工程
を含み、
ここで、(a)および(b)の一方または両方が、請求項1~14のいずれか一項に記載の無血清培地中で行われる、方法。
【請求項28】
前記細胞が初代細胞および/または免疫細胞である、任意で、
前記細胞がCD3+、CD4+および/またはCD8+T細胞である、もしくは全CD3+、CD4+および/またはCD8+T細胞で濃縮されている、もしくは
前記細胞がCD4対CD8細胞1:2~2:1の比率を含み、任意で、該比率が1:1である、または約1:1である、
請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の成分の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化できる刺激試薬とのインキュベーションを含む、および/もしくは
刺激条件が、IL-2、IL-15およびIL-7から選択されるサイトカインを含む、
請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
刺激試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次作用物質およびT細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
一次作用物質がCD3に特異的に結合し、かつ/または共刺激分子がCD28、CD137(4-1-BB)、OX40、もしくはICOSからなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
一次および二次作用物質が抗体を含む、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
作用物質が、異種タンパク質をコードするウイルスベクター、任意でレンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、請求項26~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
異種タンパク質が組換え受容体、任意でキメラ抗原受容体である、請求項26~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
インキュベーションの開始時の細胞数と比較して、少なくとも約5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍またはそれ以上の細胞の拡大増殖をもたらす、および/もしくは
インキュベーション後に約80%、85%、または90%より高い生存率を有する細胞をもたらす、
請求項25~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項1~14のいずれか一項に記載の無血清培地と、
該無血清培地を作製または使用するための説明書と
を含む、製造物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月8日付で出願された「Serum-Free Media formulation for culturing cells and methods of use thereof」という名称の米国仮特許出願第62/596,766号からの優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に出願されている。配列表は、2018年12月7日付で作成された、735042012440SeqList.txtという名称のファイルとして提供されており、これはサイズが50,866バイトである。配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、細胞、例えば免疫細胞(遺伝子操作された細胞など)を培養する、例えば、培養する、調製する、および/または産生するための、無血清培地を提供する。本開示はまた、無血清培地を産生するために使用できる液体基礎培地および凍結サプリメントを提供する。本開示はまた、無血清培地を産生するための方法、および無血清培地の存在下で細胞を培養する、例えば、細胞を活性化する、形質導入する、培養する、または拡大増殖させるための方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
背景
疾患および状態を処置するために、様々な細胞療法が利用可能である。細胞療法の中には、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体で遺伝子操作された、免疫細胞、例えばT細胞を伴う方法がある。無血清培地を提供することを含めて、そのような細胞療法の培養および産生を行うための改善された方法が必要とされる。そのような要求を満たす組成物、方法、および製造物品が提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
細胞を培養、調製および/または産生するための無血清培地が本明細書において提供される。いくつかの局面においては無血清培地であり、培地は、(a) 基礎培地中に0.5 mM~5 mMのL-グルタミンのジペプチド形態; (b) 0.5 mM~5 mMのL-グルタミン; および(c) 少なくとも1つのタンパク質を含み、ここで培地は血清を含まない。いくつかの態様において、L-グルタミンのジペプチド形態は、L-アラニル-L-グルタミンである。いくつかの態様において、L-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、それぞれ両端を含めて、0.5 mM~5 mM、0.5 mM~4 mM、0.5 mM~3 mM、0.5 mM~2 mM、0.5 mM~1 mM、1 mM~5 mM、1 mM~4 mM、1 mM~3 mM、1 mM~2 mM、2 mM~5 mM、2 mM~4 mM、2 mM~3 mM、3 mM~5 mM、3 mM~4 mMもしくは4 mM~5 mM、または約0.5 mM~5 mM、約0.5 mM~4 mM、約0.5 mM~3 mM、約0.5 mM~2 mM、約0.5 mM~1 mM、約1 mM~5 mM、約1 mM~4 mM、約1 mM~3 mM、約1 mM~2 mM、約2 mM~5 mM、約2 mM~4 mM、約2 mM~3 mM、約3 mM~5 mM、約3 mM~4 mMもしくは約4 mM~5 mMである。
【0006】
いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または約0.5 mM、約1 mM、約2 mM、約3 mM、約4 mMもしくは約5 mMである。
【0007】
いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、2 mMであるか、または約2 mMである。
【0008】
本明細書において提供される無血清培地のいずれかのいくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンの濃度は、それぞれ両端を含めて、0.5 mM~5 mM、0.5 mM~4 mM、0.5 mM~3 mM、0.5 mM~2 mM、0.5 mM~1 mM、1 mM~5 mM、1 mM~4 mM、1 mM~3 mM、1 mM~2 mM、2 mM~5 mM、2 mM~4 mM、2 mM~3 mM、3 mM~5 mM、3 mM~4 mMもしくは4 mM~5 mM、または約0.5 mM~5 mM、約0.5 mM~4 mM、約0.5 mM~3 mM、約0.5 mM~2 mM、約0.5 mM~1 mM、約1 mM~5 mM、約1 mM~4 mM、約1 mM~3 mM、約1 mM~2 mM、約2 mM~5 mM、約2 mM~4 mM、約2 mM~3 mM、約3 mM~5 mM、約3 mM~4 mMもしくは約4 mM~5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンの濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または約0.5 mM、約1 mM、約2 mM、約3 mM、約4 mMもしくは約5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンの濃度は、2 mMであるか、または約2 mMである。
【0009】
本明細書において提供される無血清培地のいずれかのいくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は非哺乳動物起源のものではない。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質はヒトタンパク質である。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は組換えである。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、アルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つまたは複数、任意でヒトまたは組換えアルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は少なくとも1つのアルブミンを含み、任意で、ここでアルブミンはヒト血清アルブミンまたは組換えヒトアルブミンであってもよく、かつ任意で、ここで培地中のアルブミンの濃度は、約2.5 mg/mL~7.5 mg/mLであってもよい。いくつかの態様において、無血清培地中のアルブミンの濃度は、約5 mg/mLである。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は少なくとも1つのトランスフェリンを含み、任意で、ここでトランスフェリンはヒトのものであってもよく、または組換えヒトアルブミンであってもよく、かつ任意で、ここで無血清培地中のトランスフェリンの濃度は約50 mg/L~200 mg/Lであってもよい。いくつかの態様において、無血清培地中のトランスフェリンの濃度は、約100 mg/Lである。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は少なくとも1つのインスリンを含み、任意で、ここでインスリンはヒトのものであってもよく、または組換えヒトインスリンであってもよく、かつ任意で、ここで無血清培地中のインスリンの濃度は、約5 mg/L~20 mg/Lである。いくつかの態様において、無血清培地中のインスリンの濃度は、約10 mg/Lである。
【0010】
本明細書において提供される無血清培地のいずれかのいくつかの態様において、無血清培地は、無機塩、糖、アミノ酸の1つまたは複数を含み、ビタミン、有機酸、抗酸化剤、および/または緩衝液も任意で含有してもよい。
【0011】
本明細書において提供される無血清培地のいずれかのいくつかの態様において、基礎培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、F-10、F-12、RPMI 1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地またはM199を含む。
【0012】
本明細書において提供される無血清培地のいずれかのいくつかの態様において、基礎培地および/または無血清培地は、フェノールレッドを含まない。
【0013】
本明細書において提供される無血清培地のいずれかのいくつかの態様において、無血清培地は、脂質、成長因子、N-アセチルシステイン、エタノールアミン、および/またはアルブミンを含む。いくつかの態様において、無血清培地は、1つまたは複数のサイトカインを含む。
【0014】
本明細書において提供される無血清培地のいずれかのいくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカインは、IL-2、IL-7またはIL-15から選択される。
【0015】
本明細書において提供される無血清培地のいずれかのいくつかの態様において、無血清培地は細胞の拡大増殖を支持する。いくつかの態様において、細胞は初代免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞はT細胞であるか、またはT細胞を含む。いくつかの態様において、T細胞はCD4+またはCD8+ T細胞を含む。
【0016】
L-グルタミンのジペプチド形態を含む基礎培地が本明細書において提供され、ここで基礎培地はL-グルタミンおよびタンパク質を含まない。いくつかの態様において、L-グルタミンのジペプチド形態は、L-アラニル-L-グルタミンである。いくつかの態様において、L-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、それぞれ両端を含めて、0.5 mM~5 mM、0.5 mM~4 mM、0.5 mM~3 mM、0.5 mM~2 mM、0.5 mM~1 mM、1 mM~5 mM、1 mM~4 mM、1 mM~3 mM、1 mM~2 mM、2 mM~5 mM、2 mM~4 mM、2 mM~3 mM、3 mM~5 mM、3 mM~4 mMもしくは4 mM~5 mM、または約0.5 mM~5 mM、約0.5 mM~4 mM、約0.5 mM~3 mM、約0.5 mM~2 mM、約0.5 mM~1 mM、約1 mM~5 mM、約1 mM~4 mM、約1 mM~3 mM、約1 mM~2 mM、約2 mM~5 mM、約2 mM~4 mM、約2 mM~3 mM、約3 mM~5 mM、約3 mM~4 mMもしくは約4 mM~5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または約0.5 mM、約1 mM、約2 mM、約3 mM、約4 mMもしくは約5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、2 mMであるか、または約2 mMである。
【0017】
本明細書において提供される基礎培地のいずれかのいくつかの態様において、基礎培地は、無機塩、糖、アミノ酸の1つまたは複数を含み、ビタミン、有機酸、抗酸化剤、および/または緩衝液も任意で含有してもよい。
【0018】
本明細書において提供される基礎培地のいずれかのいくつかの態様において、基礎培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、F-10、F-12、RPMI 1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地またはM199を含む。
【0019】
本明細書において提供される基礎培地のいずれかのいくつかの態様において、基礎培地はフェノールレッドを含まない。
【0020】
本明細書において提供される基礎培地のいずれかのいくつかの態様において、タンパク質はヒト由来タンパク質、もしくは組換えタンパク質、またはその両方である。
【0021】
本明細書において提供される基礎培地のいずれかのいくつかの態様において、基礎培地は液体である。
【0022】
少なくとも1つのタンパク質およびL-グルタミンを含むサプリメントが本明細書において提供され、ここで、サプリメントと組み合わされた基礎細胞培地は細胞の拡大増殖を支持することができる。いくつかの態様において、サプリメントは、任意で-10℃~-30℃または約-10℃~-30℃、任意で18℃もしくは20℃または約18℃もしくは約20℃の温度で、使用前に凍結または凍結貯蔵される。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンは、基礎培地と組み合わされた場合に、および/あるいはサプリメントが解凍されるか、20℃~42℃もしくは約20℃~42℃、任意で20℃~42℃もしくは約20℃~42℃、または37℃以上もしくは約37℃の温度に供される場合に、沈殿しない。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は100 mM未満である。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンは、20 mM~100 mMまたは約20 mM~100 mMである。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、少なくとも40 mM、50 mM、60 mM、70 mM、80 mMもしくは90 mM、または少なくとも約40 mM、50 mM、60 mM、70 mM、80 mMもしくは90 mM、または40 mM、50 mM、60 mM、70 mM、80 mMもしくは90 mM、または約40 mM、約50 mM、約60 mM、約70 mM、約80 mMもしくは約90 mMである。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、80 mMであるか、または約80 mMである。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は非哺乳動物起源のものではない。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質はヒトタンパク質である。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は組換えである。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、アルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つまたは複数、任意でヒトまたは組換えアルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は少なくとも1つのアルブミンを含み、ここで、任意でアルブミンはヒト血清アルブミンであってもよく、または組換えヒトアルブミンであってもよい。
【0023】
いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は少なくとも1つのトランスフェリンを含み、ここで、任意でトランスフェリンはヒトに由来してもよく、または組換えヒトトランスフェリンであってもよい。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は少なくとも1つのインスリンを含み、任意で、ここでインスリンはヒトインスリンまたは組換えヒトインスリンであってもよく、かつここで無血清培地中のインスリンの濃度は約5 mg/L~20 mg/Lである。
【0024】
本明細書において提供される無血清培地、基礎培地またはサプリメントのいずれかのいくつかの態様において、無血清培地、基礎培地またはサプリメントは無菌である。
【0025】
無血清培地を調製するための方法であって、基礎培地およびサプリメントを組み合わせる段階、例えば、提供される基礎培地およびサプリメントによるそのような段階を含む、方法が、本明細書において提供される。
【0026】
(a) L-グルタミンのジペプチド形態を含む基礎培地であって、無血清基礎培地が液体配合物であり、かつ/または組み合わせる前に凍結されていない、基礎培地と; (b) L-グルタミンを含む第1のサプリメントとを組み合わせる段階を伴う、無血清培地配合物を調製するための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、第1のサプリメントは、組み合わせる前に凍結されており、任意で、ここで本方法は、組み合わせる前に第1のサプリメントを解凍する段階を含んでもよい。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、それぞれ両端を含めて、0.5 mM~5 mM、0.5 mM~4 mM、0.5 mM~3 mM、0.5 mM~2 mM、0.5 mM~1 mM、1 mM~5 mM、1 mM~4 mM、1 mM~3 mM、1 mM~2 mM、2 mM~5 mM、2 mM~4 mM、2 mM~3 mM、3 mM~5 mM、3 mM~4 mMもしくは4 mM~5 mM、または約0.5 mM~5 mM、約0.5 mM~4 mM、約0.5 mM~3 mM、約0.5 mM~2 mM、約0.5 mM~1 mM、約1 mM~5 mM、約1 mM~4 mM、約1 mM~3 mM、約1 mM~2 mM、約2 mM~5 mM、約2 mM~4 mM、約2 mM~3 mM、約3 mM~5 mM、約3 mM~4 mMもしくは約4 mM~5 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM、または約0.5 mM、約1 mM、約2 mM、約3 mM、約4 mMもしくは約5 mMである。いくつかの態様において、基礎培地配合物中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、2 mMであるか、または約2 mMである。いくつかの態様において、L-グルタミンのジペプチド形態は、L-アラニル-L-グルタミンである。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、20 mM~100 mMまたは約20 mM~100 mMである。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、少なくとも40 mM、50 mM、60 mM、70 mM、80 mMもしくは90 mM、または少なくとも約40 mM、50 mM、60 mM、70 mM、80 mMもしくは90 mM、または40 mM、50 mM、60 mM、70 mM、80 mMもしくは90 mM、または約40 mM、約50 mM、約60 mM、約70 mM、約80 mMもしくは約90 mMである。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、80 mMであるか、または約80 mMである。
【0027】
いくつかの態様において、第1のサプリメント(またはサプリメント)は少なくとも1つのタンパク質を含み、かつここで存在する少なくとも1つのタンパク質は非哺乳動物タンパク質ではない。いくつかの態様において、第1のサプリメント中に存在する少なくとも1つのタンパク質は、ヒトタンパク質を含む。いくつかの態様において、ヒトタンパク質は、ヒト血清アルブミン、ヒトトランスフェリン、および/またはヒト組換えインスリンを含む。
【0028】
いくつかの態様において、無血清培地配合物は、90%~97.5% (v/v)の基礎培地および1.25%~5% (v/v)の第1のサプリメントを含む。
【0029】
いくつかの態様において、本方法はさらに、(c) 1つまたは複数の抗酸化剤、1つまたは複数のアルブミンまたはアルブミン代替物、1つまたは複数の脂質剤、1つまたは複数のインスリンまたはインスリン代替物、1つまたは複数のトランスフェリンまたはトランスフェリン代替物、1つまたは複数の成長因子、1つまたは複数の微量元素、および1つまたは複数のグルココルチコイドからなる群より選択される1つまたは複数の成分を含む第2のサプリメントを組み合わせる段階を含む。いくつかの態様において、第2のサプリメントは、脂質、成長因子、N-アセチルシステイン、エタノールアミン、および/またはアルブミンを含む。いくつかの態様において、無血清培地配合物は、1.25%~5% (v/v)の第2のサプリメントを含む。
【0030】
提供される方法のような無血清培地配合物を産生するための方法により産生される無血清培地配合物が、本明細書において提供される。
【0031】
細胞を培養する方法であって、提供される無血清培地配合物のような無血清培地配合物中で細胞を含む組成物をインキュベートする段階を含む該方法が本明細書において提供される。いくつかの態様において、培養は、刺激剤もしくは刺激条件の存在下での細胞の活性化; 異種タンパク質、任意でキメラ抗原受容体であってもよい、任意で組換え受容体をコードする作用物質の導入; または細胞の培養もしくは拡大増殖から選択される1つまたは複数のステップに関連して実行される。いくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質は、ウイルスベクター、任意でレンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの態様において、細胞は、対象から得られた初代細胞である。いくつかの態様において、異種タンパク質は組換え受容体である。いくつかの態様において、組換え受容体はキメラ抗原受容体である。
【0032】
(a) 集団中の細胞に組換え受容体をコードする核酸を導入する条件の下で、異種タンパク質、任意で組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質と、細胞を含む細胞の集団とを接触させる段階; ならびに(b) 該接触させる段階の前に、間におよび/または後に、刺激条件の存在下で細胞をインキュベートする段階を伴い、刺激条件が細胞の一次シグナル、シグナル伝達、刺激、活性化および/または拡大増殖を誘導し、(a)および(b)の一方または両方が、提供される配合物のような無血清培地配合物中で実行される、操作された細胞を産生するための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、細胞は初代細胞である。いくつかの態様において、細胞は免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞であるかまたはT細胞が濃縮されている。いくつかの態様において、T細胞または濃縮T細胞は、CD4+ T細胞および/またはCD8 T細胞である。いくつかの態様において、本方法はさらに、(a)の前に、細胞の集団を生体サンプルから単離する段階を含む。いくつかの態様において、単離する段階は、任意で陽性選択または陰性選択により、CD3の表面発現に基づいて、またはCD4およびCD8の一方もしくは両方の表面発現に基づいて、細胞を選択する段階を含む。いくつかの態様において、単離する段階は、免疫親和性に基づく選択を実行する段階を含む。いくつかの態様において、生体サンプルは、全血サンプル、バフィーコートサンプル、末梢血単核細胞(PBMC)サンプル、未分画T細胞サンプル、リンパ球サンプル、白血球サンプル、アフェレーシス産物、または白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、CD4+およびCD8+ T細胞は別々に単離され、接触またはインキュベーションの前に組み合わされ、CD4対CD8細胞1:2~2:1の比率で任意で組み合わされてもよく、任意で、ここで比率は1:1または約1:1であってもよい。いくつかの態様において、CD4+ T細胞が単離され、および/または細胞の集団がCD4+細胞について濃縮される。いくつかの態様において、CD8+細胞が単離され、および/または細胞の集団がCD8+細胞について濃縮される。いくつかの態様において、全T細胞、CD3+細胞またはCD4+細胞およびCD8+細胞が単離され、および/または細胞の集団が全T細胞、CD3+細胞またはCD4+およびCD8+細胞について濃縮される。いくつかの態様において、濃縮された細胞は、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%超または約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%超の細胞を含む。いくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質は、ウイルスベクター、任意でレンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの態様において、細胞は、対象から得られた初代細胞である。いくつかの態様において、異種タンパク質は組換え受容体である。いくつかの態様において、組換え受容体はキメラ抗原受容体である。
【0033】
操作された細胞を産生するための方法のいずれかのいくつかの態様において、刺激条件は、TCR複合体の1つもしくは複数の構成成分の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬とのインキュベーションを含む。いくつかの態様において、刺激試薬は、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次作用物質およびT細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質を含む。いくつかの態様において、一次作用物質は、CD3に特異的に結合し、および/または共刺激分子は、CD28、CD137 (4-1-BB)、OX40、またはICOSからなる群より選択される。いくつかの態様において、一次および二次作用物質は抗体を含み、かつ/または固体支持体、任意でビーズの表面に存在する。
【0034】
操作された細胞を産生するための方法のいずれかのいくつかの態様において、細胞の刺激は、接触の前に、任意でおよそ37℃で18~24時間、実行されるか、または開始される。
【0035】
操作された細胞を産生するための方法のいずれかのいくつかの態様において、刺激条件は、IL-2、IL-15およびIL-7の中から選択されるサイトカインを含む。
【0036】
操作された細胞を産生するための方法のいずれかのいくつかの態様において、刺激細胞は、接触の後で、任意で閾値濃度を達成するための期間、実行される。
【0037】
細胞を培養するためのまたは操作された細胞を産生するための方法のいずれかのいくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質は、ウイルスベクター、任意でレンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。
【0038】
操作された細胞を培養するためのまたは産生するための方法のいずれかのいくつかの態様において、本方法は、インキュベーションの開始時の細胞数と比較して少なくとも約5倍、10倍、20倍、30倍、40倍もしくは50倍またはそれ以上の細胞の拡大増殖をもたらす。いくつかの態様において、細胞の拡大増殖は、5日超、任意で5、6、7、8、または9日間のインキュベーションの実行後に達成される。
【0039】
操作された細胞を培養するためのまたは産生するための方法のいずれかのいくつかの態様において、本方法は、インキュベーション後に約80%、85%、または90%よりも高い生存性を有する細胞をもたらす。いくつかの態様において、生存性は、5日超、任意で5、6、7、8または9日間のインキュベーションの実行後に存在する。
【0040】
提供される方法のような方法により産生された細胞組成物が、本明細書において提供される。
【0041】
提供される無血清培地のような無血清培地; 本明細書において提供されるもののような基礎培地; または本明細書において提供されるもののようなサプリメントと、組成物を作製または使用するための使用説明書とを伴う製造物品が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、製造物品は容器、任意でボトルである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1A】
図1A~1Dは、それぞれ多発性骨髄腫患者からの、40例の操作されたCAR+ T細胞組成物の例示的な表現型プロファイルを描く。CAR+ T細胞組成物間のCD45RA×CCR7発現プロファイルを、CD4+集団(
図1A)について示す。各CAR+ T細胞組成物をドット(●)、十字形(×)、菱形(◇)、または三角形(△)によって示す。
【
図1B】
図1A~1Dは、それぞれ多発性骨髄腫患者からの、40例の操作されたCAR+ T細胞組成物の例示的な表現型プロファイルを描く。CAR+ T細胞組成物間のCD45RA×CCR7発現プロファイルを、CD8+集団(
図1B)について示す。各CAR+ T細胞組成物をドット(●)、十字形(×)、菱形(◇)、または三角形(△)によって示す。
【
図1C】
図1A~1Dは、それぞれ多発性骨髄腫患者からの、40例の操作されたCAR+ T細胞組成物の例示的な表現型プロファイルを描く。CAR+ T細胞組成物間のCD27×CD28発現プロファイルを、CD4+集団(
図1C)について示す。各CAR+ T細胞組成物をドット(●)、十字形(×)、菱形(◇)、または三角形(△)によって示す。
【
図1D】
図1A~1Dは、それぞれ多発性骨髄腫患者からの、40例の操作されたCAR+ T細胞組成物の例示的な表現型プロファイルを描く。CAR+ T細胞組成物間のCD27×CD28発現プロファイルを、CD8+集団(
図1D)について示す。各CAR+ T細胞組成物をドット(●)、十字形(×)、菱形(◇)、または三角形(△)によって示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
詳細な説明
細胞を培養し、細胞拡大増殖および/もしくは活性化を促進し、ならびに/または遺伝子操作された細胞を産生するための無血清培地が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、無血清培地は、基礎培地中、L-アラニル-L-グルタミンのような、L-グルタミンのジペプチド形態、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)、および少なくとも1つのタンパク質を含み、ここで培地は血清を含まない。いくつかの態様において、無血清培地は、細胞生存性、拡大増殖および/または活性化を支持する。いくつかの態様において、無血清培地は細胞アポトーシスを阻害する。いくつかの態様において、無血清培地は、遺伝子操作された細胞の産生を促進する。無血清培地を産生するために使用できる基礎培地およびサプリメントも本明細書において提供される。いくつかの態様において、基礎培地は液体であり、L-グルタミンのジペプチド形態を含み、L-グルタミン、および場合によってはタンパク質を含まない。いくつかの態様において、サプリメントは凍結され、L-グルタミン、および場合によっては少なくとも1つのタンパク質を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質を含有するサプリメントを含む、無血清培地を調製するために、1つまたは複数のさらなるサプリメントを加えることができる。いずれかのそのような態様のいくつかにおいて、少なくとも1つのタンパク質は、一般にヒトタンパク質または組換えもしくは合成タンパク質、例えばアルブミンなどの、血清置換タンパク質または血清代替タンパク質である。無血清培地配合物を調製するための方法も本明細書において提供される。いくつかの態様において、本方法は、L-グルタミンのジペプチド形態を含む液体無血清基礎培地を、L-グルタミンを含む第1のサプリメントと組み合わせる段階を含み、ここで、第1のサプリメントが凍結保存され、組み合わせる前に解凍される。無血清培地中で細胞を培養する方法、および製造物品もまた本明細書で提供される。
【0044】
細胞療法に使われる初代免疫細胞および遺伝子操作された細胞などの細胞を培養するために、様々な培地が利用可能である。多くの場合、これらの細胞を培養するために、約5%の血清(例えば、ヒト血清)を補充した基礎培地が使用される。しかしながら、場合によっては、血清(例えば、ヒト血清)の個々のロットは、細胞生存性、拡大増殖、および/または活性化を支持するその能力が変動することがある。場合によっては、無血清培地を含む、細胞を培養するための培地には、エネルギー生産ならびにタンパク質および核酸合成のために細胞培養において不可欠な栄養素であるL-グルタミンが含まれる。しかしながら、細胞培地中のL-グルタミンは自然に分解し、副産物としてアンモニアを生成し、これは、細胞にとって有毒である可能性があり、ならびに/またはタンパク質グリコシル化および細胞生存性に影響を及ぼす可能性があり、これが、場合によっては、タンパク質産生を低下させ、グリコシル化パターンを変化させる。さらに、L-グルタミンは、200 mMの原液といった、比較的高い濃度で製造されることが多い。そのような濃度で用いると、L-グルタミンは、使用のために解凍されて基礎培地に組み入れられる際に、沈殿することがよくあり得る。
【0045】
L-アラニル-L-グルタミンを含む、L-グルタミンのジペプチド形態などの、L-グルタミンの様々な他の形態が利用可能である。場合によっては、そのようなジペプチド形態、例えばL-アラニル-L-グルタミンは、培地中でより安定である。しかしながら、細胞が、使用のためにグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)にL-グルタミンのジペプチド形態を変換させるには時間および/またはエネルギーがかかる。さらに、場合によっては、免疫細胞および遺伝子操作された細胞などの特定の細胞集団は、L-グルタミンに対するいっそう高い需要を持ち得る。場合によっては、拡大増殖中の細胞、活性化された細胞、および/または遺伝子操作されている細胞も、同じくL-グルタミンに対するいっそう高い需要を持ち得る。
【0046】
提供される態様は、これらの問題の1つまたは複数に対処する。特定の態様において、提供される無血清培地は、グルタミンの2つの供給源、具体的には、a) グルタミンのジペプチド形態(L-アラニル-L-グルタミンなど)、およびb) グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含有する。特定の態様において、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)は、L-グルタミンの分解を低減および/または遅延させるための凍結サプリメントの構成成分である。いくつかの態様において、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)は、サプリメントの構成成分であり、ここでサプリメント中のL-グルタミンの濃度は、200 mM未満(例えば、約80 mM)であり、これによって、いくつかの局面では、基礎培地に添加された場合になど、溶解度が改善され、L-グルタミンの沈殿が回避される。いくつかの局面において、提供される無血清培地、方法、および使用は、2つの異なるグルタミン供給源が同時に提供されるため、細胞に利点を提供する。いくつかの態様において、グルタミンの第1の供給源は、グルタミンの遊離形態ではなく、グルタミンの安定化形態である。いくつかの態様において、グルタミンの第1の供給源は、安定であって、グルタミンの遊離形態に変換され得るため、グルタミンのジペプチド形態である。いくつかの態様において、グルタミンの第2の供給源は、グルタミンの迅速かつ効率的な供給を提供することができるグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)である。
【0047】
いくつかの局面において、提供される無血清培地は、グルタミンのジペプチド形態を含有する基礎培地から産生される。いくつかの局面において、基礎培地はフェノールレッドを含有しない。いくつかの局面において、提供される無血清培地は、完全な培地を産生するために添加物の数を低減させることによって製造可能性を改善するようにグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含有するサプリメントを用いてさらに産生される。基礎培地中にグルタミンのジペプチド形態を含めること、および/またはサプリメント中にグルタミンの遊離形態を含めることで、いくつかの局面において、完全な培地を産生するために添加物の数を低減させることにより製造可能性を改善することができる。いくつかの局面において、L-グルタミンがサプリメントの構成成分になってグルタミンの安定性を改善した直後に、サプリメントは凍結される。200 mM未満、例えば約80 mMまたは80 mMの濃度でサプリメント中にL-グルタミンを含めることも、溶解度を改善させることができ、沈殿による問題を回避することができるため、有益である。
【0048】
特定の態様において、提供される方法は、初代免疫細胞、例えばT細胞などの細胞を含有する特定の集団または細胞組成物を無血清培地で培養する段階を含む。いくつかの態様において、細胞組成物は、免疫細胞または濃縮された免疫細胞集団を含有する。いくつかの態様において、細胞組成物は、初代免疫細胞または濃縮された免疫細胞集団を含有する。いくつかの態様において、細胞組成物は、T細胞または濃縮されたT細胞集団を含有する。いくつかの態様において、細胞組成物は、CD4+ T細胞または濃縮されたCD4+ T細胞集団を含有する。いくつかの態様において、細胞組成物は、CD8+ T細胞または濃縮されたCD8+ T細胞集団を含有する。いくつかの態様において、細胞組成物は、遺伝子操作される細胞、または遺伝子操作されている細胞を含む。いくつかの態様において、細胞組成物は、遺伝子操作された細胞を含有するか、または培養中に含有するように産生される。いくつかの態様において、提供される無血清培地の存在下で培養される細胞組成物は、キメラ受容体(CAR)発現T細胞または濃縮CAR発現T細胞といった組換え受容体で遺伝子操作された、または組換え受容体を発現している、初代免疫細胞(例えばT細胞)などの、細胞を含有する。
【0049】
特定の態様において、提供される方法は、キメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞を産生するための方法に関連して、細胞を培養する段階を含む。いくつかの態様において、培養中での提供される無血清培地の存在は、例えば、免疫細胞、例えばT細胞の活性化、形質導入、培養および/または拡大増殖に関連して、血清含有培地などの他の培地タイプに匹敵し、場合によっては、血清含有培地などの他の培地タイプと比較して細胞生存性、形質導入、または拡大増殖を改善する。
【0050】
いくつかの局面において、提供される無血清培地、方法および使用は、細胞に対する所望の効果を支持し、これが、場合によっては、血清含有培地の存在下での培養と比較して改善される。例えば、いくつかの局面において、提供される無血清培地、方法および使用は、細胞の生存性を支持または促進する。いくつかの態様において、細胞は、培養または拡大増殖のための条件下の、例えば約5~6日間の、無血清培地配合物中での培養後に、約80%、85%、または90%を超える生存性を有する。場合によっては、例えば血清含有培地中での培養と比較して、生存性は最初のうち低減され得るが、残っている生細胞は無血清培地の存在下で確実に拡大増殖することができる。いくつかの態様において、約5または6日間などの無血清培地の存在下での培養後に、細胞が血清含有培地で培養された方法と比較して同等なまたは改善された生存性がもたらされる。いくつかの局面において、提供される無血清培地の存在下での細胞の培養は、細胞のアポトーシスを低減させる。いくつかの態様において、約5~6日間などの無血清培地配合物中での培養後、約20%、15%、10%または5%未満の細胞がアポトーシス性である(例えば、カスパーゼ3の陽性染色を有する)。
【0051】
いくつかの局面において、提供される無血清培地、方法および使用は、細胞の拡大増殖を支持または促進する。いくつかの態様において、培養または拡大増殖のための条件下の無血清培地の存在下で、例えば1つまたは複数のサイトカインの存在下で培養される場合に、細胞は、無血清培地配合物中での培養後、例えば約5~6日間のそのような培養後に、少なくとも約5倍、10倍、20倍、30倍、40倍もしくは50倍またはそれ以上拡大増殖する。いくつかの局面において、提供される無血清培地は、遺伝子操作された細胞を産生するための同等なまたは改善された方法をもたらす。いくつかの態様において、例えば、活性化、形質導入または拡大増殖に関連するような、無血清培地の存在下で遺伝子操作された細胞を産生するための方法は、少なくとも約50%、55%、60%、65%、または70%の異種遺伝子、例えばキメラ抗原受容体などの組換え受容体、を発現する細胞をもたらす。いくつかの局面において、無血清培地の存在下で細胞を培養するための方法および使用は、血清含有培地で産生された細胞と比較して同等な、および場合によっては、改善された機能を有する細胞組成物をもたらす。そのような機能には、例えば抗原特異的刺激または標的細胞との接触後の、サイトカイン産生および細胞傷害活性標的細胞を含む、細胞の改善されたまたは同等なエフェクター機能が含まれる。いくつかの局面において、例えば細胞の活性化、形質導入または拡大増殖に関連する、無血清培地の存在下での培養を伴うプロセスによって産生される、遺伝子操作された細胞、例えばCAR-T細胞などの細胞は、同等な方法、ただし血清含有培地で産生された細胞組成物を用いる同等な方法と比較して、同等なまたは改善された抗腫瘍活性を有する細胞組成物をもたらす。
【0052】
さらに、いくつかの態様において、提供される無血清培地、方法および使用は、異なる対象から収集されたサンプルから操作された細胞を産生するために必要な時間という点において、より一貫性があり変動が少ないプロセスをもたらす。特定の態様において、提供される方法は、高い割合の対象から細胞療法に適した操作されたT細胞を首尾よく産生することができる。ある種の態様において、得られた細胞組成物は、高いまたは比較的高い割合の健常細胞、例えば、生存可能でありかつ/またはアポトーシスマーカーを発現しない細胞、組換え受容体を発現する高いもしくは比較的高い割合の細胞、ならびに/または抗原刺激に応答して、高いもしくは比較的高い活性、例えば、細胞毒性、抗腫瘍、および/もしくはサイトカイン産生を有する細胞を含有する。いくつかの態様において、提供される方法は、操作された細胞産物を産生するためのプロセスを提供し、いくつかの局面において、高い成功率または閾値を超える成功率などの特定の成功率を有し、それは例えば、多数または大半のサンプルについて、例えば、(例えば、自己細胞療法との関連で)治療用組成物で処置される対象または患者などの、異なる個々の対象または患者にそれぞれが由来する全てのまたは高い割合のサンプルについて、特定の必要なまたは所望の特徴を有する治療用細胞組成物を産生することができる成功率といった、治療用細胞組成物を産生することができる成功率である。いくつかの局面において、対象または患者は、多発性骨髄腫などの血液がんまたは血液学的がんなどのがんなどの疾患または状態を有する。いくつかの局面において、その高い割合において治療用細胞組成物を産生することが可能であるサンプルは、例えば、サンプルまたはその細胞の細胞表現型または他のパラメータに関して可変であるものを含む患者サンプルである。いくつかの態様において、提供される方法は、例えば他のプロセスを介して産生される細胞組成物と比較して、改善されたまたは高度の細胞の健康を有する操作されたT細胞組成物を産生する。
【0053】
本願で参照されている、特許文書、科学文献およびデータベースを含む全ての刊行物は、各々個々の刊行物が個別に参照により組み入れられるように、全ての目的のために、それらの全体が参照により組み入れられる。本明細書に示されている定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願および他の刊行物に示されている定義と相反するまたは別の形で整合しない場合、参照により本明細書に組み入れられる定義よりも、本明細書に示されている定義が優先される。
【0054】
本明細書で使用される各節の見出しは、編集上の目的を有するにすぎず、記載される内容を限定するものと解釈されるべきでない。
【0055】
I. 無血清培地配合物および関連構成成分
本出願は、合成アミノ酸(例えば、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミン)、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)、および少なくとも1つのタンパク質を含有する無血清培地を提供する。本出願はまた、基礎培地がグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)およびタンパク質を含まない、少なくとも1つの合成アミノ酸(例えば、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミン)を含む液体基礎培地を提供する。本出願はまた、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)、および場合によっては、血清代替タンパク質などの少なくとも1つのタンパク質を含む、凍結サプリメントを提供する。血清代替タンパク質などの少なくとも1つのタンパク質、または細胞の成長および拡大増殖を支持する1つもしくは複数の他の構成成分を含有する1つまたは複数のサプリメントを含む、1つまたは複数のさらなるサプリメントを加えることができる。いくつかの態様において、合成アミノ酸(例えば、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、約0.5 mM~5 mM (例えば2 mM)である。いくつかの態様において、L-グルタミンの濃度は、約0.5 mM~5 mM (例えば2 mM)である。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、血清代替タンパク質、例えばアルブミンなどの、ヒトタンパク質または組換えタンパク質である。いくつかの態様において、無血清培地は、1つまたは複数のサイトカイン(IL-2、IL-7、またはIL-15など)をさらに含む。いくつかの態様において、無血清培地はフェノールレッドを含まない。
【0056】
いくつかの態様において、提供される無血清培地は、液体基礎培地および1つまたは複数のサプリメントから生成または調製される。
【0057】
いくつかの態様において、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミンである合成アミノ酸などの、細胞培養においてL-グルタミンに変換されることができる合成アミノ酸を含有する液体基礎培地が提供される。場合によっては、基礎培地はL-グルタミンおよびタンパク質を含まない。いくつかの態様において、合成アミノ酸(例えば、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、約0.5 mM~5 mM (例えば2 mM)である。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質はヒト由来タンパク質、組換えタンパク質、または両方である。いくつかの態様において、基礎培地はフェノールレッドを含まない。
【0058】
いくつかの態様において、サプリメントが凍結されているか、またはL-グルタミンがその構成成分になった後に凍結されている、少なくとも1つのタンパク質と、グルタミンの遊離形態、例えばL-グルタミンとを含むサプリメントが提供される。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、200 mM未満、例えば150 mM未満、100 mMまたはそれ以下、例えば20 mM~120 mM、または40 mM~100 mM、例えば約80 mMである。いくつかの態様において、サプリメントが基礎培地と組み合わされた後のL-グルタミンの濃度は、約0.5 mM~約5 mM (例えば2 mM)である。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は非哺乳動物起源のものではない。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、ヒトタンパク質もしくはヒト由来タンパク質であるか、または組換えである。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質はアルブミン、例えばヒトまたは組換えヒトアルブミンを含む。
【0059】
A. 基礎培地
いくつかの態様において、基礎培地はアミノ酸を含む。いくつかの態様において、アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、ヒスチジン、グリシン、スレオニン、アルギニン、アラニン、チロシン、システイン、バリン、メチオニン、ノルバリン、トリプトファン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、および/またはプロリンを含む。
【0060】
いくつかの態様において、基礎培地は、少なくとも1つの合成アミノ酸を含む。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、細胞を含む細胞培養物中でグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)に変換することができる。いくつかの態様において、細胞はヒト細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は免疫細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作された細胞である。いくつかの態様において、細胞はT細胞である。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作されたT細胞である。いくつかの態様において、細胞は、組換え受容体(例えば、キメラ抗原受容体)を発現するように遺伝子操作されている。いくつかの態様において、細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞である。
【0061】
いくつかの態様において、合成アミノ酸は、グルタミンの安定化形態(すなわち、L-グルタミン)である。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、水溶液(例えば、基礎培地)中でグルタミン(すなわち、L-グルタミン)よりも安定である。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に有意な量のグルタミンを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に少なくとも約1、3、5、7、9、11、13、または14日間、有意な量のグルタミン(すなわち、L-グルタミン)を生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、または8週間、有意な量のグルタミン(すなわち、L-グルタミン)を生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月間、有意な量のグルタミン(すなわち、L-グルタミン)を生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に少なくとも1、2、3、4、または5年間、有意な量のグルタミン(すなわち、L-グルタミン)を生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に少なくとも約1、3、5、7、9、11、13、または14日間、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、または8週間、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月間、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、基礎培地中に少なくとも1、2、3、4、または5年間、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。
【0062】
いくつかの態様において、合成アミノ酸は、水溶液(例えば、基礎培地)に可溶性である。いくつかの態様において、水溶液中の合成アミノ酸の溶解度は、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)よりも高い。
【0063】
いくつかの態様において、合成アミノ酸は細胞に輸送されることができ、そこで合成アミノ酸はグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)に変換されることができる。いくつかの態様において、細胞は免疫細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作された細胞である。いくつかの態様において、細胞はT細胞である。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作されたT細胞である。いくつかの態様において、細胞は、組換え受容体(例えば、キメラ抗原受容体)を発現するように遺伝子操作されている。いくつかの態様において、細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞である。
【0064】
いくつかの態様において、合成アミノ酸はジペプチドである。いくつかの態様において、合成アミノ酸はトリペプチドである。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、L-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)である。
【0065】
いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、約0.5 mM~5 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、およそ2 mMである。いくつかの態様において、L-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、それぞれ両端を含めて、0.5 mM~1 mM、0.5 mM~1.5 mM、0.5 mM~2 mM、0.5 mM~2.5 mM、0.5 mM~3 mM、0.5 mM~3.5 mM、0.5 mM~4 mM、0.5 mM~4.5 mM、0.5 mM~5 mM、1 mM~1.5 mM、1 mM~2 mM、1 mM~2.5 mM、1 mM~3 mM、1 mM~3.5 mM、1 mM~4 mM、1 mM~4.5 mM、1 mM~5 mM、1.5 mM~2 mM、1.5 mM~2.5 mM、1.5 mM~3 mM、1.5 mM~3.5 mM、1.5 mM~4 mM、1.5 mM~4.5 mM、1.5 mM~5 mM、2 mM~2.5 mM、2 mM~3 mM、2 mM~3.5 mM、2 mM~4 mM、2 mM~4.5 mM、2 mM~5 mM、2.5 mM~3 mM、2.5 mM~3.5 mM、2.5 mM~4 mM、2.5 mM~4.5 mM、2.5 mM~5 mM、3 mM~3.5 mM、3 mM~4 mM、3 mM~4.5 mM、3 mM~5 mM、3.5 mM~4 mM、3.5 mM~4.5 mM、3.5 mM~5 mM、4 mM~4.5 mM、4 mM~5 mMもしくは4.5 mM~5 mM、または約0.5 mM~1 mM、約0.5 mM~1.5 mM、約0.5 mM~2 mM、約0.5 mM~2.5 mM、約0.5 mM~3 mM、約0.5 mM~3.5 mM、約0.5 mM~4 mM、約0.5 mM~4.5 mM、約0.5 mM~5 mM、約1 mM~1.5 mM、約1 mM~2 mM、約1 mM~2.5 mM、約1 mM~3 mM、約1 mM~3.5 mM、約1 mM~4 mM、約1 mM~4.5 mM、約1 mM~5 mM、約1.5 mM~2 mM、約1.5 mM~2.5 mM、約1.5 mM~3 mM、約1.5 mM~3.5 mM、約1.5 mM~4 mM、約1.5 mM~4.5 mM、約1.5 mM~5 mM、約2 mM~2.5 mM、約2 mM~3 mM、約2 mM~3.5 mM、約2 mM~4 mM、約2 mM~4.5 mM、約2 mM~5 mM、約2.5 mM~3 mM、約2.5 mM~3.5 mM、約2.5 mM~4 mM、約2.5 mM~4.5 mM、約2.5 mM~5 mM、約3 mM~3.5 mM、約3 mM~4 mM、約3 mM~4.5 mM、約3 mM~5 mM、約3.5 mM~4 mM、約3.5 mM~4.5 mM、約3.5 mM~5 mM、約4 mM~4.5 mM、約4 mM~5 mMもしくは約4.5 mM~5 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、それぞれ両端を含めて、5 mM~7.5 mM、5 mM~10 mM、5 mM~12.5 mM、5 mM~15 mM、5 mM~17.5 mM、5 mM~20 mM、7.5 mM~10 mM、7.5 mM~12.5 mM、7.5 mM~15 mM、7.5 mM~17.5 mM、7.5 mM~20 mM、10 mM~12.5 mM、10 mM~15 mM、10 mM~17.5 mM、10 mM~20 mM、12.5 mM~15 mM、12.5 mM~17.5 mM、12.5 mM~20 mM、15 mM~17.5 mM、15 mM~20 mMもしくは17.5 mM~20 mM、または約5 mM~7.5 mM、約5 mM~10 mM、約5 mM~12.5 mM、約5 mM~15 mM、約5 mM~17.5 mM、約5 mM~20 mM、約7.5 mM~10 mM、約7.5 mM~12.5 mM、約7.5 mM~15 mM、約7.5 mM~17.5 mM、約7.5 mM~20 mM、約10 mM~12.5 mM、約10 mM~15 mM、約10 mM~17.5 mM、約10 mM~20 mM、約12.5 mM~15 mM、約12.5 mM~17.5 mM、約12.5 mM~20 mM、約15 mM~17.5 mM、約15 mM~20 mMもしくは約17.5 mM~20 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、2 mMであるか、または約2 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、多くても2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mM、5 mM、5.5 mM、6 mM、6.5 mM、7 mM、7.5 mM、8 mM、8.5 mM、9 mM、9.5 mM、10 mM、12.5 mM、15 mM、17.5 mMもしくは20 mM、または約2 mM、約2.5 mM、約3 mM、約3.5 mM、約4 mM、約4.5 mM、約5 mM、約5.5 mM、約6 mM、約6.5 mM、約7 mM、約7.5 mM、約8 mM、約8.5 mM、約9 mM、約9.5 mM、約10 mM、約12.5 mM、約15 mM、約17.5 mMもしくは約20 mMである。
【0066】
いくつかの態様において、基礎培地は、L-グルタミンを含まないか、または有意な量のL-グルタミンを含まない。いくつかの態様において、基礎培地はL-グルタミンを含む。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンの濃度は、0.1 mM、0.2 mM、0.3 mM、0.4 mMもしくは0.5 mMであるか、または約0.1 mM、約0.2 mM、約0.3 mM、約0.4 mMもしくは約0.5 mMであるか、または0.1 mM、0.2 mM、0.3 mM、0.4 mMもしくは0.5 mM未満であるか、または約0.1 mM、0.2 mM、0.3 mM、0.4 mMもしくは0.5 mM未満である。いくつかの態様において、基礎培地中のL-グルタミンの濃度は、1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mMであるか、約1 mM、約2 mM、約3 mM、約4 mMもしくは約5 mMであるか、または1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM未満であるか、または約1 mM、2 mM、3 mM、4 mMもしくは5 mM未満である。
【0067】
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸、例えばグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)に変換されることができる少なくとも1つの合成アミノ酸、例えばL-アラニル-L-グルタミンなどの、L-グルタミンのジペプチド形態が、基礎培地中に提供される。いくつかの態様において、基礎培地は人工または合成培地である。いくつかの態様において、基礎培地は平衡塩類溶液(例えば、PBS、DPBS、HBSS、EBSS)である。いくつかの態様において、基礎培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、F-10、F-12、RPMI 1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地およびM199から選択される。いくつかの態様において、基礎培地は複合培地(例えば、RPMI-1640、IMDM)である。いくつかの態様において、基礎培地は、OpTmizer(商標) CTS(商標) T細胞拡大増殖基礎培地(ThermoFisher)である。
【0068】
いくつかの態様において、基礎培地は、無機塩、糖、アミノ酸の栄養混合物を含み、ビタミン、有機酸、抗酸化剤、および/または緩衝液を任意で含有してもよい。
【0069】
いくつかの態様において、基礎培地は、CO3およびHCO3を含む。いくつかの態様において、基礎培地のCO3/HCO3含量は、気体CO2 (例えば、5~10%)で平衡化され、それによって培地中の最適pHを維持する。いくつかの態様において、基礎培地は、両性イオンHEPESを含む。いくつかの態様において、基礎培地はフェノールレッドを含む。いくつかの態様において、基礎培地はフェノールレッドを含まない。
【0070】
いくつかの態様において、基礎培地は無機塩を含む。いくつかの態様において、無機塩は浸透圧平衡を促進する。いくつかの態様において、無機塩は、ナトリウム、カリウム、およびカルシウムイオンを提供することによって膜電位を調節する。
【0071】
いくつかの態様において、基礎培地は、1つまたは複数の炭水化物を含む。いくつかの態様において、炭水化物はグルコースを含む。いくつかの態様において、炭水化物はガラクトースを含む。いくつかの態様において、炭水化物はマルトースを含む。いくつかの態様において、炭水化物はフルクトースを含む。
【0072】
いくつかの態様において、基礎培地は脂肪酸を含む。いくつかの態様において、基礎培地は脂質を含む。いくつかの態様において、基礎培地はビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE)を含む。いくつかの態様において、基礎培地は微量元素を含む。いくつかの態様において、微量元素は銅を含む。いくつかの態様において、微量元素は亜鉛を含む。いくつかの態様において、微量元素はセレンを含む。いくつかの態様において、微量元素はトリカルボン酸中間体を含む。
【0073】
いくつかの態様において、基礎培地は、無機塩、糖、アミノ酸、および任意で、ビタミン、有機酸および/もしくは緩衝液または他の周知の細胞培養栄養素の混合物を含有する。栄養素に加えて、培地はpHと浸透圧を維持するのにも役立つ。いくつかの局面において、基礎培地の試薬は、細胞の成長、増殖および/または拡大増殖を支持する。多種多様な市販の基礎培地は当業者に周知であり、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、イスコフ改変ダルベッコ培地およびハム培地を含む。いくつかの態様において、基礎培地は、イスコフ改変ダルベッコ培地、RPMI-1640、またはα-MEMである。
【0074】
いくつかの態様において、基礎培地はタンパク質を含まない。いくつかの態様において、基礎培地は、ヒトタンパク質(例えば、ヒト血清タンパク質)を含まない。いくつかの態様において、基礎培地は無血清である。いくつかの態様において、基礎培地は、ヒト由来の血清を含まない。いくつかの態様において、基礎培地は組換えタンパク質を含まない。いくつかの態様において、基礎培地は、ヒトタンパク質および組換えタンパク質を含まない。
【0075】
いくつかの態様において、基礎培地はタンパク質またはペプチドを含む。いくつかの態様において、タンパク質はアルブミンまたはアルブミン代替物である。いくつかの態様において、アルブミンはヒト由来アルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは組換えアルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは天然のヒト血清アルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは組換えヒト血清アルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは非ヒト供給源からの組換えアルブミンである。アルブミン代替物は、任意のタンパク質またはポリペプチド源であり得る。そのようなタンパク質またはポリペプチドサンプルの例としては、ウシ下垂体抽出物、植物加水分解物(例えば、米加水分解物)、ウシ胎児アルブミン(フェチュイン)、卵アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、または別の動物由来アルブミン、ニワトリ抽出物、ウシ胚抽出物、AlbuMAX(登録商標) I、およびAlbuMAX(登録商標) IIが挙げられるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドはトランスフェリンを含む。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドはフィブロネクチンを含む。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドはアプロチニンを含む。いくつかの態様において、タンパク質はフェチュインを含む。
【0076】
いくつかの態様において、基礎培地(例えば、ある基礎培地)は液体配合物である。いくつかの態様において、基礎培地(例えば、ある基礎培地)は、意図された使用の前に、凍結されていないか、または(例えば、そのプロトコルに従って)凍結されないように指示される。いくつかの態様において、基礎培地は、2℃~8℃または約2℃~8℃で貯蔵される。いくつかの態様において、基礎培地は室温で貯蔵される。いくつかの態様において、基礎培地は、2℃~8℃で貯蔵された場合、少なくとも1、2、3、4、5もしくは6週間または約1、2、3、4、5もしくは6週間安定である。いくつかの態様において、基礎培地は、2℃~8℃で貯蔵された場合、少なくとも1、2、3、4、5もしくは6ヶ月間、または少なくとも約1、2、3、4、5もしくは6ヶ月間安定である。
【0077】
B. サプリメント
いくつかの態様において、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含む、第1のサプリメントのような、サプリメントが本明細書において提供される。いくつかの態様において、そのようなサプリメントは、使用および/または基礎培地への組み入れの前に凍結される。いくつかの態様において、本明細書において記述されるものなどのサプリメントは、培地サプリメント(例えば、基礎培地のための培地サプリメント)として用いられることが意図されている。いくつかの態様において、第1のサプリメントは、細胞の維持、拡大増殖、および/または活性化のためのサプリメントとして用いられることが意図されている。いくつかの態様において、第1のサプリメントは、細胞の拡大増殖のためのサプリメントとして用いられることが意図されている。いくつかの態様において、第1のサプリメントは、少なくとも1つのタンパク質およびグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含む凍結されたサプリメントを含み、ここで第1のサプリメントを補充した基礎細胞培養培地は、細胞の拡大増殖を支持することができる。いくつかの態様において、細胞は初代細胞である。いくつかの態様において、細胞は免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞はT細胞である。いくつかの態様において、細胞はCD4 T 細胞またはCD8 T細胞である。いくつかの態様において、細胞はヒト由来の細胞である。いくつかの態様において、細胞はヒト由来の免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞はヒト由来のT細胞である。いくつかの態様において、細胞はヒト由来の初代免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作された細胞である。いくつかの態様において、細胞はヒトに由来する遺伝子操作された細胞である。いくつかの態様において、細胞は、ヒト由来の遺伝子操作されたT細胞(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞)である。
【0078】
いくつかの態様において、第1のサプリメントは、その意図された使用の前に、-20℃~0℃または約-20℃~約0℃で貯蔵されるか、または貯蔵されることが推奨される。いくつかの態様において、サプリメントは、約0℃未満で貯蔵されるか、または貯蔵されることが推奨される。いくつかの態様において、サプリメントは、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)がその構成成分になった直後にまたはすぐ後に、サプリメントがその意図された用途に用いられる時まで凍結される。いくつかの態様において、サプリメントは、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)がその構成成分になった後に大部分の時間、サプリメントがその意図された用途に用いられる時まで凍結される。いくつかの態様において、サプリメントは、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)がその構成成分になった後に1、2、3、4、5、6、または7日超の間、サプリメントがその意図された用途に用いられる時まで液体として保持されない。いくつかの態様において、サプリメントは、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)がその構成成分になった後に4、8、12、16、20もしくは24時間超または約4、8、12、16、20もしくは24時間超の間、サプリメントがその意図された用途に用いられる時まで液体として保持されない。いくつかの態様において、サプリメントは、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)がその構成成分になる前と後の両方の大部分の時間、サプリメントがその意図された用途に用いられる時まで凍結される。いくつかの態様において、サプリメントは、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)がその構成成分になる時に室温であるか、または室温未満である(例えば、サプリメントの温度は20℃、15℃、10℃、5℃もしくは0℃下または約20℃、15℃、10℃、5℃もしくは0℃下である)。
【0079】
いくつかの態様において、サプリメントが解凍される場合に、サプリメント中のL-グルタミンは沈殿しない。いくつかの態様において、サプリメントが液体である場合に、サプリメント中のL-グルタミンは沈殿しない。いくつかの態様において、サプリメントが室温下で解凍される場合に、サプリメント中のL-グルタミンは沈殿しない。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、200 mM、180 mM、160 mM、140 mM、120 mM、100 mMもしくは80 mMであるか、または約200 mM、180 mM、160 mM、140 mM、120 mM、100 mMもしくは80 mMであるか、または200 mM、180 mM、160 mM、140 mM、120 mM、100 mMもしくは80 mM未満であるか、または約200 mM、180 mM、160 mM、140 mM、120 mM、100 mMもしくは80 mM未満である。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、10 mM~30 mM、10 mM~50 mM、10 mM~70 mM、10 mM~90 mM、10 mM~110 mM、10 mM~130 mM、10 mM~150 mM、10 mM~170 mM、30 mM~50 mM、30 mM~70 mM、30 mM~90 mM、30 mM~110 mM、30 mM~130 mM、30 mM~150 mM、30 mM~170 mM、50 mM~70 mM、50 mM~90 mM、50 mM~110 mM、50 mM~130 mM、50 mM~150 mM、50 mM~170 mM、70 mM~90 mM、70 mM~110 mM、70 mM~130 mM、70 mM~150 mM、70 mM~170 mM、90 mM~110 mM、90 mM~130 mM、90 mM~150 mM、90 mM~170 mM、110 mM~130 mM、110 mM~150 mM、110 mM~170 mM、130 mM~150 mM、130 mM~170 mM、もしくは150 mM~170 mM、またはおよそ10 mM~およそ30 mM、およそ10 mM~およそ50 mM、およそ10 mM~およそ70 mM、およそ10 mM~およそ90 mM、およそ10 mM~およそ110 mM、およそ10 mM~およそ130 mM、およそ10 mM~およそ150 mM、およそ10 mM~およそ170 mM、およそ30 mM~およそ50 mM、およそ30 mM~およそ70 mM、およそ30 mM~およそ90 mM、およそ30 mM~およそ110 mM、およそ30 mM~およそ130 mM、およそ30 mM~およそ150 mM、およそ30 mM~およそ170 mM、およそ50 mM~およそ70 mM、およそ50 mM~およそ90 mM、およそ50 mM~およそ110 mM、およそ50 mM~およそ130 mM、およそ50 mM~およそ150 mM、およそ50 mM~およそ170 mM、およそ70 mM~およそ90 mM、およそ70 mM~およそ110 mM、およそ70 mM~およそ130 mM、およそ70 mM~およそ150 mM、およそ70 mM~およそ170 mM、およそ90 mM~およそ110 mM、およそ90 mM~およそ130 mM、およそ90 mM~およそ150 mM、およそ90 mM~およそ170 mM、およそ110 mM~およそ130 mM、およそ110 mM~およそ150 mM、およそ110 mM~およそ170 mM、およそ130 mM~およそ150 mM、およそ130 mM~およそ170 mM、もしくはおよそ150 mM~およそ170 mMである。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、約80 mMである。
【0080】
いくつかの態様において、サプリメント中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるこものなど)と組み合わされた後に、培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度が0.5 mM~5 mMまたはおよそ0.5 mM~5 mMであるようなものである。いくつかの態様において、基礎培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、2 mMまたはおよそ2 mMである。いくつかの態様において、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、それぞれ両端を含めて、0.5 mM~1 mM、0.5 mM~1.5 mM、0.5 mM~2 mM、0.5 mM~2.5 mM、0.5 mM~3 mM、0.5 mM~3.5 mM、0.5 mM~4 mM、0.5 mM~4.5 mM、0.5 mM~5 mM、1 mM~1.5 mM、1 mM~2 mM、1 mM~2.5 mM、1 mM~3 mM、1 mM~3.5 mM、1 mM~4 mM、1 mM~4.5 mM、1 mM~5 mM、1.5 mM~2 mM、1.5 mM~2.5 mM、1.5 mM~3 mM、1.5 mM~3.5 mM、1.5 mM~4 mM、1.5 mM~4.5 mM、1.5 mM~5 mM、2 mM~2.5 mM、2 mM~3 mM、2 mM~3.5 mM、2 mM~4 mM、2 mM~4.5 mM、2 mM~5 mM、2.5 mM~3 mM、2.5 mM~3.5 mM、2.5 mM~4 mM、2.5 mM~4.5 mM、2.5 mM~5 mM、3 mM~3.5 mM、3 mM~4 mM、3 mM~4.5 mM、3 mM~5 mM、3.5 mM~4 mM、3.5 mM~4.5 mM、3.5 mM~5 mM、4 mM~4.5 mM、4 mM~5 mMもしくは4.5 mM~5 mM、または約0.5 mM~1 mM、約0.5 mM~1.5 mM、約0.5 mM~2 mM、約0.5 mM~2.5 mM、約0.5 mM~3 mM、約0.5 mM~3.5 mM、約0.5 mM~4 mM、約0.5 mM~4.5 mM、約0.5 mM~5 mM、約1 mM~1.5 mM、約1 mM~2 mM、約1 mM~2.5 mM、約1 mM~3 mM、約1 mM~3.5 mM、約1 mM~4 mM、約1 mM~4.5 mM、約1 mM~5 mM、約1.5 mM~2 mM、約1.5 mM~2.5 mM、約1.5 mM~3 mM、約1.5 mM~3.5 mM、約1.5 mM~4 mM、約1.5 mM~4.5 mM、約1.5 mM~5 mM、約2 mM~2.5 mM、約2 mM~3 mM、約2 mM~3.5 mM、約2 mM~4 mM、約2 mM~4.5 mM、約2 mM~5 mM、約2.5 mM~3 mM、約2.5 mM~3.5 mM、約2.5 mM~4 mM、約2.5 mM~4.5 mM、約2.5 mM~5 mM、約3 mM~3.5 mM、約3 mM~4 mM、約3 mM~4.5 mM、約3 mM~5 mM、約3.5 mM~4 mM、約3.5 mM~4.5 mM、約3.5 mM~5 mM、約4 mM~4.5 mM、約4 mM~5 mMもしくは約4.5 mM~5 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、それぞれ両端を含めて、5 mM~7.5 mM、5 mM~10 mM、5 mM~12.5 mM、5 mM~15 mM、5 mM~17.5 mM、5 mM~20 mM、7.5 mM~10 mM、7.5 mM~12.5 mM、7.5 mM~15 mM、7.5 mM~17.5 mM、7.5 mM~20 mM、10 mM~12.5 mM、10 mM~15 mM、10 mM~17.5 mM、10 mM~20 mM、12.5 mM~15 mM、12.5 mM~17.5 mM、12.5 mM~20 mM、15 mM~17.5 mM、15 mM~20 mMもしくは17.5 mM~20 mM、または約5 mM~7.5 mM、約5 mM~10 mM、約5 mM~12.5 mM、約5 mM~15 mM、約5 mM~17.5 mM、約5 mM~20 mM、約7.5 mM~10 mM、約7.5 mM~12.5 mM、約7.5 mM~15 mM、約7.5 mM~17.5 mM、約7.5 mM~20 mM、約10 mM~12.5 mM、約10 mM~15 mM、約10 mM~17.5 mM、約10 mM~20 mM、約12.5 mM~15 mM、約12.5 mM~17.5 mM、約12.5 mM~20 mM、約15 mM~17.5 mM、約15 mM~20 mMもしくは約17.5 mM~20 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mMである。いくつかの態様において、基礎培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、多くても2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mM、5 mM、5.5 mM、6 mM、6.5 mM、7 mM、7.5 mM、8 mM、8.5 mM、9 mM、9.5 mM、10 mM、12.5 mM、15 mM、17.5 mMもしくは20 mM、または多くても約2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mM、5 mM、5.5 mM、6 mM、6.5 mM、7 mM、7.5 mM、8 mM、8.5 mM、9 mM、9.5 mM、10 mM、12.5 mM、15 mM、17.5 mMもしくは20 mMである。
【0081】
いくつかの態様において、第1のサプリメントは、1つまたは複数のさらなる構成成分を含有する。いくつかの態様において、第2のサプリメントのような、さらなるサプリメントが、1つまたは複数のさらなる構成成分を提供するために提供される。いくつかの態様において、サプリメント、すなわち第1のサプリメントおよび任意で1つまたは複数のさらなるサプリメント、例えば第2のサプリメントは、基礎培地と組み合わされて、基礎培地に1つまたは複数のさらなる構成成分を提供する。
【0082】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、少なくとも1つのタンパク質を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は非哺乳動物起源のものではない。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、ヒトのものであるか、またはヒトに由来する。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は組換えである。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、インスリン、フィブロネクチン、アプロチニンまたはフェチュインを含む。いくつかの態様において、タンパク質は、アルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つまたは複数、任意でヒトまたは組換えアルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つまたは複数を含む。
【0083】
いくつかの態様において、タンパク質はアルブミンまたはアルブミン代替物である。いくつかの態様において、アルブミンはヒト由来アルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは組換えアルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは天然のヒト血清アルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは組換えヒト血清アルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは非ヒト供給源からの組換えアルブミンである。アルブミン代替物は、任意のタンパク質またはポリペプチド源であり得る。そのようなタンパク質またはポリペプチドサンプルの例としては、ウシ下垂体抽出物、植物加水分解物(例えば、米加水分解物)、ウシ胎児アルブミン(フェチュイン)、卵アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、または別の動物由来アルブミン、ニワトリ抽出物、ウシ胚抽出物、AlbuMAX(登録商標) I、およびAlbuMAX(登録商標) IIが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0084】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、アルブミンを含む。いくつかの態様において、アルブミンはヒトアルブミンであるか、またはヒトアルブミンに由来する。いくつかの態様において、アルブミンはヒト血清またはヒト血漿に由来する。いくつかの態様において、アルブミンは組換えアルブミンである。いくつかの態様において、組換えアルブミンはヒトに由来する。いくつかの態様において、組換えアルブミンはヒトに由来しない。いくつかの態様において、サプリメントは天然アルブミンを含む。いくつかの態様において、天然アルブミンはヒトに由来する。いくつかの態様において、天然アルブミンはヒトに由来しない。いくつかの態様において、サプリメント中のアルブミンの濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、培地中のアルブミンの濃度またはおおよその濃度が、それぞれ両端を含めて、0 mg/mL~2 mg/mL、0 mg/mL~4 mg/mL、0 mg/mL~6 mg/mL、0 mg/mL~8 mg/mL、0 mg/mL~10 mg/mL、0 mg/mL~12 mg/mL、2 mg/mL~4 mg/mL、2 mg/mL~6 mg/mL、2 mg/mL~8 mg/mL、2 mg/mL~10 mg/mL、2 mg/mL~12 mg/mL、4 mg/mL~6 mg/mL、4 mg/mL~8 mg/mL、4 mg/mL~10 mg/mL、4 mg/mL~12 mg/mL、6 mg/mL~8 mg/mL、6 mg/mL~10 mg/mL、6 mg/mL~12 mg/mL、8 mg/mL~10 mg/mL、8 mg/mL~12 mg/mL、10 mg/mL~12 mg/mL、もしくは10 mg/mL~15 mg/mL、またはおよそ0 mg/mL~およそ2 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ4 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ6 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ8 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ4 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ6 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ8 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ4 mg/mL~およそ6 mg/mL、およそ4 mg/mL~およそ8 mg/mL、およそ4 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ4 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ6 mg/mL~およそ8 mg/mL、およそ6 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ6 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ8 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ8 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ10 mg/mL~およそ12 mg/mL、もしくはおよそ10 mg/mL~およそ15 mg/mLであるようなものである。いくつかの態様において、培地中のおおよそのアルブミンは、5 mg/mLまたはおよそ5 mg/mLである。
【0085】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、トランスフェリンまたはトランスフェリン代替物を含む。いくつかの態様において、トランスフェリン代替物は、サプリメント中のトランスフェリンを置き換えて、トランスフェリンと実質的に同様の結果を与え得る化合物である。トランスフェリン代替物の例としては、任意の鉄キレート化合物が挙げられるが、これに限定されることはない。用いられ得る鉄キレート化合物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-四酢酸(EGTA)、メシル酸デフェロキサミン、ジメルカプトプロパノール、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびトランス-l,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N',N'-四酢酸(CDTA)の鉄キレート、ならびにクエン酸第二鉄キレートおよび硫酸第一鉄キレートを含むが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、トランスフェリンは鉄飽和トランスフェリンである。いくつかの態様において、トランスフェリンは鉄飽和ヒトトランスフェリンである。
【0086】
いくつかの態様において、トランスフェリンまたはトランスフェリン代替物は、ヒトトランスフェリンであるか、またはヒトトランスフェリンに由来する。いくつかの態様において、トランスフェリンまたはトランスフェリン代替物は、ヒト血清または血漿に由来する。いくつかの態様において、トランスフェリンまたはトランスフェリン代替物は、組換えトランスフェリンである。いくつかの態様において、トランスフェリンの濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、培地中のトランスフェリンの濃度が10 mg/L~50 mg/L、10 mg/L~100 mg/L、10 mg/L~150 mg/L、10 mg/L~200 mg/L、10 mg/L~250 mg/L、10 mg/L~300 mg/L、10 mg/L~350 mg/L、10 mg/L~400 mg/L、10 mg/L~450 mg/L、10 mg/L~500 mg/L、10 mg/L~550 mg/L、10 mg/L~600 mg/L、10 mg/L~650 mg/L、10 mg/L~750 mg/L、50 mg/L~100 mg/L、50 mg/L~150 mg/L、50 mg/L~200 mg/L、50 mg/L~250 mg/L、50 mg/L~300 mg/L、50 mg/L~350 mg/L、50 mg/L~400 mg/L、50 mg/L~450 mg/L、50 mg/L~500 mg/L、50 mg/L~550 mg/L、50 mg/L~600 mg/L、50 mg/L~650 mg/L、50 mg/L~750 mg/L、100 mg/L~150 mg/L、100 mg/L~200 mg/L、100 mg/L~250 mg/L、100 mg/L~300 mg/L、100 mg/L~350 mg/L、100 mg/L~400 mg/L、100 mg/L~450 mg/L、100 mg/L~500 mg/L、100 mg/L~550 mg/L、100 mg/L~600 mg/L、100 mg/L~650 mg/L、100 mg/L~750 mg/L、150 mg/L~200 mg/L、150 mg/L~250 mg/L、150 mg/L~300 mg/L、150 mg/L~350 mg/L、150 mg/L~400 mg/L、150 mg/L~450 mg/L、150 mg/L~500 mg/L、150 mg/L~550 mg/L、150 mg/L~600 mg/L、150 mg/L~650 mg/L、150 mg/L~750 mg/L、200 mg/L~250 mg/L、200 mg/L~300 mg/L、200 mg/L~350 mg/L、200 mg/L~400 mg/L、200 mg/L~450 mg/L、200 mg/L~500 mg/L、200 mg/L~550 mg/L、200 mg/L~600 mg/L、200 mg/L~650 mg/L、200 mg/L~750 mg/L、250 mg/L~300 mg/L、250 mg/L~350 mg/L、250 mg/L~400 mg/L、250 mg/L~450 mg/L、250 mg/L~500 mg/L、250 mg/L~550 mg/L、250 mg/L~600 mg/L、250 mg/L~650 mg/L、250 mg/L~750 mg/L、300 mg/L~350 mg/L、300 mg/L~400 mg/L、300 mg/L~450 mg/L、300 mg/L~500 mg/L、300 mg/L~550 mg/L、300 mg/L~600 mg/L、300 mg/L~650 mg/L、300 mg/L~750 mg/L、350 mg/L~400 mg/L、350 mg/L~450 mg/L、350 mg/L~500 mg/L、350 mg/L~550 mg/L、350 mg/L~600 mg/L、350 mg/L~650 mg/L、350 mg/L~750 mg/L、400 mg/L~450 mg/L、400 mg/L~500 mg/L、400 mg/L~550 mg/L、400 mg/L~600 mg/L、400 mg/L~650 mg/L、400 mg/L~750 mg/L、450 mg/L~500 mg/L、450 mg/L~550 mg/L、450 mg/L~600 mg/L、450 mg/L~650 mg/L、450 mg/L~750 mg/L、500 mg/L~550 mg/L、500 mg/L~600 mg/L、500 mg/L~650 mg/L、500 mg/L~750 mg/L、550 mg/L~600 mg/L、500 mg/L~650 mg/L、500 mg/L~750 mg/L、550 mg/L~600 mg/L、550 mg/L~650 mg/L、550 mg/L~750 mg/L、600 mg/L~650 mg/L、600 mg/L~750 mg/Lもしくは650 mg/L~750 mg/L、またはおよそ10 mg/L~およそ50 mg/L、およそ10 mg/L~およそ100 mg/L、およそ10 mg/L~およそ150 mg/L、およそ10 mg/L~およそ200 mg/L、およそ10 mg/L~およそ250 mg/L、およそ10 mg/L~およそ300 mg/L、およそ10 mg/L~およそ350 mg/L、およそ10 mg/L~およそ400 mg/L、およそ10 mg/L~およそ450 mg/L、およそ10 mg/L~およそ500 mg/L、およそ10 mg/L~およそ550 mg/L、およそ10 mg/L~およそ600 mg/L、およそ10 mg/L~およそ650 mg/L、およそ10 mg/L~およそ750 mg/L、およそ50 mg/L~およそ100 mg/L、およそ50 mg/L~およそ150 mg/L、およそ50 mg/L~およそ200 mg/L、およそ50 mg/L~およそ250 mg/L、およそ50 mg/L~およそ300 mg/L、およそ50 mg/L~およそ350 mg/L、およそ50 mg/L~およそ400 mg/L、およそ50 mg/L~およそ450 mg/L、およそ50 mg/L~およそ500 mg/L、およそ50 mg/L~およそ550 mg/L、およそ50 mg/L~およそ600 mg/L、およそ50 mg/L~およそ650 mg/L、およそ50 mg/L~およそ750 mg/L、およそ100 mg/L~およそ150 mg/L、およそ100 mg/L~およそ200 mg/L、およそ100 mg/L~およそ250 mg/L、およそ100 mg/L~およそ300 mg/L、およそ100 mg/L~およそ350 mg/L、およそ100 mg/L~およそ400 mg/L、およそ100 mg/L~およそ450 mg/L、およそ100 mg/L~およそ500 mg/L、およそ100 mg/L~およそ550 mg/L、およそ100 mg/L~およそ600 mg/L、およそ100 mg/L~およそ650 mg/L、およそ100 mg/L~およそ750 mg/L、およそ150 mg/L~およそ200 mg/L、およそ150 mg/L~およそ250 mg/L、およそ150 mg/L~およそ300 mg/L、およそ150 mg/L~およそ350 mg/L、およそ150 mg/L~およそ400 mg/L、およそ150 mg/L~およそ450 mg/L、およそ150 mg/L~およそ500 mg/L、およそ150 mg/L~およそ550 mg/L、およそ150 mg/L~およそ600 mg/L、およそ150 mg/L~およそ650 mg/L、およそ150 mg/L~およそ750 mg/L、およそ200 mg/L~およそ250 mg/L、およそ200 mg/L~およそ300 mg/L、およそ200 mg/L~およそ350 mg/L、およそ200 mg/L~およそ400 mg/L、およそ200 mg/L~およそ450 mg/L、およそ200 mg/L~およそ500 mg/L、およそ200 mg/L~およそ550 mg/L、およそ200 mg/L~およそ600 mg/L、およそ200 mg/L~およそ650 mg/L、およそ200 mg/L~およそ750 mg/L、およそ250 mg/L~およそ300 mg/L、およそ250 mg/L~およそ350 mg/L、およそ250 mg/L~およそ400 mg/L、およそ250 mg/L~およそ450 mg/L、およそ250 mg/L~およそ500 mg/L、およそ250 mg/L~およそ550 mg/L、およそ250 mg/L~およそ600 mg/L、およそ250 mg/L~およそ650 mg/L、およそ250 mg/L~およそ750 mg/L、およそ300 mg/L~およそ350 mg/L、およそ300 mg/L~およそ400 mg/L、およそ300 mg/L~およそ450 mg/L、およそ300 mg/L~およそ500 mg/L、およそ300 mg/L~およそ550 mg/L、およそ300 mg/L~およそ600 mg/L、およそ300 mg/L~およそ650 mg/L、およそ300 mg/L~およそ750 mg/L、およそ350 mg/L~およそ400 mg/L、およそ350 mg/L~およそ450 mg/L、およそ350 mg/L~およそ500 mg/L、およそ350 mg/L~およそ550 mg/L、およそ350 mg/L~およそ600 mg/L、およそ350 mg/L~およそ650 mg/L、およそ350 mg/L~およそ750 mg/L、およそ400 mg/L~およそ450 mg/L、およそ400 mg/L~およそ500 mg/L、およそ400 mg/L~およそ550 mg/L、およそ400 mg/L~およそ600 mg/L、およそ400 mg/L~およそ650 mg/L、およそ400 mg/L~およそ750 mg/L、およそ450 mg/L~およそ500 mg/L、およそ450 mg/L~およそ550 mg/L、およそ450 mg/L~およそ600 mg/L、およそ450 mg/L~およそ650 mg/L、およそ450 mg/L~およそ750 mg/L、およそ500 mg/L~およそ550 mg/L、およそ500 mg/L~およそ600 mg/L、およそ500 mg/L~およそ650 mg/L、およそ500 mg/L~およそ750 mg/L、およそ550 mg/L~およそ600 mg/L、およそ500 mg/L~およそ650 mg/L、およそ500 mg/L~およそ750 mg/L、およそ550 mg/L~およそ600 mg/L、およそ550 mg/L~およそ650 mg/L、およそ550 mg/L~およそ750 mg/L、およそ600 mg/L~およそ650 mg/L、およそ600 mg/L~およそ750 mg/Lまたはおよそ650 mg/L~およそ750 mg/Lであるようなものである。いくつかの態様において、トランスフェリンの濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、培地中のトランスフェリンの濃度が100 mg/Lまたはおよそ100 mg/Lであるようなものである。いくつかの態様において、トランスフェリンの濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、培地中のトランスフェリンの濃度が50 mg/L~150 mg/Lまたはおよそ50 mg/L~およそ150 mg/Lであるようなものである。
【0087】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、インスリンまたはインスリン代替物を含む。いくつかの態様において、インスリン代替物は、インスリンの代わりに用いられて、インスリンと実質的に同様の結果をもたらし得る亜鉛含有化合物である。インスリン代替物の例としては、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、臭化亜鉛、および硫酸亜鉛が挙げられるが、これらに限定されることはない。いくつかのインスリンが当業者に知られている。Gilman, A.G. et al, Eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Pergamon Press, New York, 1990, pp. 1463-1495を参照されたい。いくつかの態様において、インスリン代替物ではなく、インスリンがサプリメントおよび培地において用いられる。いくつかの態様において、インスリンは亜鉛インスリンである。いくつかの態様において、インスリンはヒト亜鉛インスリンである。
【0088】
いくつかの態様において、インスリンはヒトインスリンであるか、またはヒトインスリンに由来する。いくつかの態様において、インスリンは組換えインスリンである。いくつかの態様において、インスリンは組換えヒトインスリンである。いくつかの態様において、インスリン(またはインスリン代替物)の濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、培地中のインスリン(またはインスリン代替物)のおおよその濃度が1 mg/L~2.5 mg/L、1 mg/L~5 mg/L、1 mg/L~7.5 mg/L、1 mg/L~10 mg/L、1 mg/L~12.5 mg/L、1 mg/L~15 mg/L、1 mg/L~17.5 mg/L、1 mg/L~20 mg/L、1 mg/L~22.5 mg/L、1 mg/L~25 mg/L、1 mg/L~27.5 mg/L、1 mg/L~30 mg/L、2.5 mg/L~5 mg/L、2.5 mg/L~7.5 mg/L、2.5 mg/L~10 mg/L、2.5 mg/L~12.5 mg/L、2.5 mg/L~15 mg/L、2.5 mg/L~17.5 mg/L、2.5 mg/L~20 mg/L、2.5 mg/L~22.5 mg/L、2.5 mg/L~25 mg/L、2.5 mg/L~27.5 mg/L、2.5 mg/L~30 mg/L、5 mg/L~7.5 mg/L、5 mg/L~10 mg/L、5 mg/L~12.5 mg/L、5 mg/L~15 mg/L、5 mg/L~17.5 mg/L、5 mg/L~20 mg/L、5 mg/L~22.5 mg/L、5 mg/L~25 mg/L、5 mg/L~27.5 mg/L、5 mg/L~30 mg/L、7.5 mg/L~10 mg/L、7.5 mg/L~12.5 mg/L、7.5 mg/L~15 mg/L、7.5 mg/L~17.5 mg/L、7.5 mg/L~20 mg/L、7.5 mg/L~22.5 mg/L、7.5 mg/L~25 mg/L、7.5 mg/L~27.5 mg/L、7.5 mg/L~30 mg/L、10 mg/L~12.5 mg/L、10 mg/L~15 mg/L、10 mg/L~17.5 mg/L、10 mg/L~20 mg/L、10 mg/L~22.5 mg/L、10 mg/L~25 mg/L、10 mg/L~27.5 mg/L、10 mg/L~30 mg/L、12.5 mg/L~15 mg/L、12.5 mg/L~17.5 mg/L、12.5 mg/L~20 mg/L、12.5 mg/L~22.5 mg/L、12.5 mg/L~25 mg/L、12.5 mg/L~27.5 mg/L、12.5 mg/L~30 mg/L、15 mg/L~17.5 mg/L、15 mg/L~20 mg/L、15 mg/L~22.5 mg/L、15 mg/L~25 mg/L、15 mg/L~27.5 mg/L、15 mg/L~30 mg/L、17.5 mg/L~20 mg/L、17.5 mg/L~22.5 mg/L、17.5 mg/L~25 mg/L、17.5 mg/L~27.5 mg/L、17.5 mg/L~30 mg/L、20 mg/L~22.5 mg/L、20 mg/L~25 mg/L、20 mg/L~27.5 mg/L、20 mg/L~30 mg/L、22.5 mg/L~25 mg/L、22.5 mg/L~27.5 mg/L、22.5 mg/L~30 mg/L、25 mg/L~27.5 mg/L、もしくは27.5 mg/L~30 mg/L、またはおよそ1 mg/L~およそ2.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ7.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ10 mg/L、およそ1 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ15 mg/L、およそ1 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ20 mg/L、およそ1 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ25 mg/L、およそ1 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ30 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ7.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ10 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ15 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ5 mg/L~およそ7.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ10 mg/L、およそ5 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ15 mg/L、およそ5 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ10 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ15 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ10 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ10 mg/L~およそ15 mg/L、およそ10 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ10 mg/L~およそ20 mg/L、およそ10 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ10 mg/L~およそ25 mg/L、およそ10 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ10 mg/L~およそ30 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ15 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ15 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ15 mg/L~およそ20 mg/L、およそ15 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ15 mg/L~およそ25 mg/L、およそ15 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ15 mg/L~およそ30 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ20 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ20 mg/L~およそ25 mg/L、およそ20 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ20 mg/L~およそ30 mg/L、およそ22.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ22.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ22.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ25 mg/L~およそ27.5 mg/L、もしくはおよそ27.5 mg/L~およそ30 mg/Lであるようなものである。いくつかの態様において、培地中のインスリンまたはインスリン代替物の濃度は、10 mg/Lまたはおよそ10 mg/Lである。いくつかの態様において、培地中のインスリンまたはインスリン代替物の濃度は、7.5 mg/L~12.5 mg/Lまたはおよそ7.5 mg/L~およそ12.5 mg/Lである。
【0089】
いくつかの態様において、サプリメント、例えば第1のサプリメントは、L-グルタミンを、1つまたは複数の所望の構成成分を含有する既存のサプリメントに添加するか、またはそれと混合することによって調製される。いくつかの態様において、L-グルタミンは血清代替サプリメント、例えば、免疫細胞血清代替物(Immune Cell Serum Replacement) (ThermoFisher, #A2598101)に添加されるか、またはそれと混合される。いくつかの態様において、L-グルタミンは、Smith et al. Clin Transl Immunology. 2015 Jan; 4(1): e31に記述されている免疫細胞血清代替物を含むサプリメントに添加されるか、またはそれと混合される。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、10 mM~30 mM、10 mM~50 mM、10 mM~70 mM、10 mM~90 mM、10 mM~110 mM、10 mM~130 mM、10 mM~150 mM、10 mM~170 mM、 30mM~50 mM、30 mM~70 mM、30 mM~90 mM、30 mM~110 mM、30 mM~130 mM、30 mM~150 mM、30 mM~170 mM、50 mM~70 mM、50 mM~90 mM、50 mM~110 mM、50 mM~130 mM、50 mM~150 mM、50 mM~170 mM、70 mM~90 mM、70 mM~110 mM、70 mM~130 mM、70 mM~150 mM、70 mM~170 mM、90 mM~110 mM、90 mM~130 mM、90 mM~150 mM、90 mM~170 mM、110 mM~130 mM、110 mM~150 mM、110 mM~170 mM、130 mM~150 mM、130 mM~170 mM、もしくは150 mM~170 mM、またはおよそ10 mM~およそ30 mM、およそ10 mM~およそ50 mM、およそ10 mM~およそ70 mM、およそ10 mM~およそ90 mM、およそ10 mM~およそ110 mM、およそ10 mM~およそ130 mM、およそ10 mM~およそ150 mM、およそ10 mM~およそ170 mM、およそ 30mM~およそ50 mM、およそ30 mM~およそ70 mM、およそ30 mM~およそ90 mM、およそ30 mM~およそ110 mM、およそ30 mM~およそ130 mM、およそ30 mM~およそ150 mM、およそ30 mM~およそ170 mM、およそ50 mM~およそ70 mM、およそ50 mM~およそ90 mM、およそ50 mM~およそ110 mM、およそ50 mM~およそ130 mM、およそ50 mM~およそ150 mM、およそ50 mM~およそ170 mM、およそ70 mM~およそ90 mM、およそ70 mM~およそ110 mM、およそ70 mM~およそ130 mM、およそ70 mM~およそ150 mM、およそ70 mM~およそ170 mM、およそ90 mM~およそ110 mM、およそ90 mM~およそ130 mM、およそ90 mM~およそ150 mM、およそ90 mM~およそ170 mM、およそ110 mM~およそ130 mM、およそ110 mM~およそ150 mM、およそ110 mM~およそ170 mM、およそ130 mM~およそ150 mM、およそ130 mM~およそ170 mM、もしくはおよそ150 mM~およそ170 mMである。いくつかの態様において、サプリメント中のL-グルタミンの濃度は、80 mMまたはおよそ80 mMである。
【0090】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は成長因子を含む。いくつかの態様において、成長因子は上皮成長因子(EGF)を含む。いくつかの態様において、成長因子は線維芽細胞成長因子(FGF)を含む。いくつかの態様において、成長因子はインスリン様成長因子(IGF)を含む。いくつかの態様において、成長因子は神経成長因子(NGF)を含む。いくつかの態様において、成長因子は血小板由来成長因子(PDGF)を含む。いくつかの態様において、成長因子は形質転換成長因子(TGF)を含む。
【0091】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、ホルモン(例えば、成長ホルモン、インスリン、ヒドロコルチゾン、トリヨードチロニン、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲステロン、プロラクチン、卵胞刺激ホルモン、ガストリン放出ペプチド)を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、アルファグロブリンまたはベータグロブリンを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、ペプチドまたはペプチド画分(例えば、動物、微生物または植物に由来するタンパク質加水分解物)を含む。
【0092】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は脂質を含む。いくつかの態様において、脂質はコレステロールを含む。いくつかの態様において、脂質はステロイドを含む。いくつかの態様において、脂質は脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸)を含む。いくつかの態様において、脂質はエタノールアミンを含む。いくつかの態様において、脂質はコリンを含む。いくつかの態様において、脂質はイノシトールを含む。
【0093】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は遷移金属を含む。いくつかの態様において、遷移金属は鉄を含む。いくつかの態様において、遷移金属は亜鉛を含む。いくつかの態様において、遷移金属は銅を含む。いくつかの態様において、遷移金属はクロムを含む。いくつかの態様において、遷移金属はヨウ素を含む。いくつかの態様において、遷移金属はコバルトを含む。いくつかの態様において、遷移金属はセレンを含む。いくつかの態様において、遷移金属はマグネシウムを含む。いくつかの態様において、遷移金属は、モリブデンを含む。
【0094】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分はビタミンを含む。いくつかの態様において、ビタミンは脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)を含む。いくつかの態様において、ビタミンは水溶性ビタミン(例えば、B1、B2、B6、B12、C、葉酸)を含む。
【0095】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分はポリアミンを含む。いくつかの態様において、ポリアミンはプトレシンを含む。いくつかの態様において、ポリアミンはスペルミジンを含む。いくつかの態様において、ポリアミンはスペルミンを含む。
【0096】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は還元剤を含む。いくつかの態様において、還元剤は2-メルカプトエタノールを含む。いくつかの態様において、還元剤はアルファ-チオグリセロールを含む。いくつかの態様において、還元剤は還元グルタチオンを含む。
【0097】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は保護添加剤を含む。いくつかの態様において、保護添加剤はカルボキシメチルセルロースを含む。いくつかの態様において、保護添加剤はポリビニルピロリドンを含む。いくつかの態様において、保護添加剤はプルロニックF-68を含む。いくつかの態様において、保護添加剤はTween 80を含む。
【0098】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、接着因子を含む。いくつかの態様において、接着因子はフィブロネクチンを含む。いくつかの態様において、接着因子はラミニンを含む。
【0099】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、1つまたは複数の抗酸化剤、1つまたは複数のアルブミンまたはアルブミン代替物、1つまたは複数の脂質剤、1つまたは複数のインスリンまたはインスリン代替物、1つまたは複数のトランスフェリンまたはトランスフェリン代替物、1つまたは複数の微量元素、および1つまたは複数のグルココルチコイドの1つまたは複数である。いくつかの態様において、抗酸化剤は、N-アセチル-L-システイン、2-メルカプトエタノールもしくはD,L-酢酸トコフェロール、またはそれらの誘導体もしくは混合物を含む。いくつかの態様において、アルブミンはヒト血清アルブミンである。いくつかの態様において、脂質剤は、Human Ex-Cite(登録商標)もしくはエタノールアミンまたはそれらの誘導体および混合物を含む。いくつかの態様において、インスリンはヒト亜鉛インスリンである。いくつかの態様において、トランスフェリンはヒト鉄飽和トランスフェリンである。いくつかの態様において、微量元素はSe4+である。いくつかの態様において、グルココルチコイドはヒドロコルチゾンである。いくつかの態様において、サプリメントは濃縮される。
【0100】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、1つまたは複数の抗酸化剤、ならびに1つまたは複数のアルブミンまたはアルブミン代替物、1つまたは複数の脂質剤、1つまたは複数のインスリンまたはインスリン代替物、1つまたは複数のトランスフェリンまたはトランスフェリン代替物、1つまたは複数の微量元素、および1つまたは複数のグルココルチコイドからなる群より選択される1つまたは複数の成分を含む。
【0101】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、N-アセチル-Lシステイン、ヒト血清アルブミン、Human Ex-Cyte(登録商標)、エタノールアミン、ヒト亜鉛インスリン、ヒト鉄飽和トランスフェリン、Se4+、ヒドロコルチゾン、D,L-酢酸トコフェロール、および/または2-メルカプトエタノールの1つまたは複数を含む。
【0102】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、N-アセチル-L-システイン(NAC)を含む。いくつかの態様において、NACの濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、基礎培地中のNACの濃度が10 mg/L~50 mg/L、10 mg/L~100 mg/L、10 mg/L~150 mg/L、10 mg/L~200 mg/L、10 mg/L~250 mg/L、10 mg/L~300 mg/L、10 mg/L~350 mg/L、10 mg/L~400 mg/L、10 mg/L~450 mg/L、10 mg/L~500 mg/L、10 mg/L~550 mg/L、10 mg/L~600 mg/L、10 mg/L~650 mg/L、10 mg/L~700 mg/L、50 mg/L~100 mg/L、50 mg/L~150 mg/L、50 mg/L~200 mg/L、50 mg/L~250 mg/L、50 mg/L~300 mg/L、50 mg/L~350 mg/L、50 mg/L~400 mg/L、50 mg/L~450 mg/L、50 mg/L~500 mg/L、50 mg/L~550 mg/L、50 mg/L~600 mg/L、50 mg/L~650 mg/L、50 mg/L~700 mg/L、100 mg/L~150 mg/L、100 mg/L~200 mg/L、100 mg/L~250 mg/L、100 mg/L~300 mg/L、100 mg/L~350 mg/L、100 mg/L~400 mg/L、100 mg/L~450 mg/L、100 mg/L~500 mg/L、100 mg/L~550 mg/L、100 mg/L~600 mg/L、100 mg/L~650 mg/L、100 mg/L~700 mg/L、150 mg/L~200 mg/L、150 mg/L~250 mg/L、150 mg/L~300 mg/L、150 mg/L~350 mg/L、150 mg/L~400 mg/L、150 mg/L~450 mg/L、150 mg/L~500 mg/L、150 mg/L~550 mg/L、150 mg/L~600 mg/L、150 mg/L~650 mg/L、150 mg/L~700 mg/L、200 mg/L~250 mg/L、200 mg/L~300 mg/L、200 mg/L~350 mg/L、200 mg/L~400 mg/L、200 mg/L~450 mg/L、200 mg/L~500 mg/L、200 mg/L~550 mg/L、200 mg/L~600 mg/L、200 mg/L~650 mg/L、200 mg/L~700 mg/L、250 mg/L~300 mg/L、250 mg/L~350 mg/L、250 mg/L~400 mg/L、250 mg/L~450 mg/L、250 mg/L~500 mg/L、250 mg/L~550 mg/L、250 mg/L~600 mg/L、250 mg/L~650 mg/L、250 mg/L~700 mg/L、300 mg/L~350 mg/L、300 mg/L~400 mg/L、300 mg/L~450 mg/L、300 mg/L~500 mg/L、300 mg/L~550 mg/L、300 mg/L~600 mg/L、300 mg/L~650 mg/L、300 mg/L~700 mg/L、350 mg/L~400 mg/L、350 mg/L~450 mg/L、350 mg/L~500 mg/L、350 mg/L~550 mg/L、350 mg/L~600 mg/L、350 mg/L~650 mg/L、350 mg/L~700 mg/L、400 mg/L~450 mg/L、400 mg/L~500 mg/L、400 mg/L~550 mg/L、400 mg/L~600 mg/L、400 mg/L~650 mg/L、400 mg/L~700 mg/L、450 mg/L~500 mg/L、450 mg/L~550 mg/L、450 mg/L~600 mg/L、450 mg/L~650 mg/L、450 mg/L~700 mg/L、500 mg/L~550 mg/L、500 mg/L~600 mg/L、500 mg/L~650 mg/L、500 mg/L~700 mg/L、550 mg/L~600 mg/L、550 mg/L~650 mg/L、550 mg/L~700 mg/L、600 mg/L~650 mg/L、60 mg/L~700 mg/L、もしくは650 mg/L~700 mg/L、またはおよそ10 mg/L~およそ50 mg/L、およそ10 mg/L~およそ100 mg/L、およそ10 mg/L~およそ150 mg/L、およそ10 mg/L~およそ200 mg/L、およそ10 mg/L~およそ250 mg/L、およそ10 mg/L~およそ300 mg/L、およそ10 mg/L~およそ350 mg/L、およそ10 mg/L~およそ400 mg/L、およそ10 mg/L~およそ450 mg/L、およそ10 mg/L~およそ500 mg/L、およそ10 mg/L~およそ550 mg/L、およそ10 mg/L~およそ600 mg/L、およそ10 mg/L~およそ650 mg/L、およそ10 mg/L~およそ700 mg/L、およそ50 mg/L~およそ100 mg/L、およそ50 mg/L~およそ150 mg/L、およそ50 mg/L~およそ200 mg/L、およそ50 mg/L~およそ250 mg/L、およそ50 mg/L~およそ300 mg/L、およそ50 mg/L~およそ350 mg/L、およそ50 mg/L~およそ400 mg/L、およそ50 mg/L~およそ450 mg/L、およそ50 mg/L~およそ500 mg/L、およそ50 mg/L~およそ550 mg/L、およそ50 mg/L~およそ600 mg/L、およそ50 mg/L~およそ650 mg/L、およそ50 mg/L~およそ700 mg/L、およそ100 mg/L~およそ150 mg/L、およそ100 mg/L~およそ200 mg/L、およそ100 mg/L~およそ250 mg/L、およそ100 mg/L~およそ300 mg/L、およそ100 mg/L~およそ350 mg/L、およそ100 mg/L~およそ400 mg/L、およそ100 mg/L~およそ450 mg/L、およそ100 mg/L~およそ500 mg/L、およそ100 mg/L~およそ550 mg/L、およそ100 mg/L~およそ600 mg/L、およそ100 mg/L~およそ650 mg/L、およそ100 mg/L~およそ700 mg/L、およそ150 mg/L~およそ200 mg/L、およそ150 mg/L~およそ250 mg/L、およそ150 mg/L~およそ300 mg/L、およそ150 mg/L~およそ350 mg/L、およそ150 mg/L~およそ400 mg/L、およそ150 mg/L~およそ450 mg/L、およそ150 mg/L~およそ500 mg/L、およそ150 mg/L~およそ550 mg/L、およそ150 mg/L~およそ600 mg/L、およそ150 mg/L~およそ650 mg/L、およそ150 mg/L~およそ700 mg/L、およそ200 mg/L~およそ250 mg/L、およそ200 mg/L~およそ300 mg/L、およそ200 mg/L~およそ350 mg/L、およそ200 mg/L~およそ400 mg/L、およそ200 mg/L~およそ450 mg/L、およそ200 mg/L~およそ500 mg/L、およそ200 mg/L~およそ550 mg/L、およそ200 mg/L~およそ600 mg/L、およそ200 mg/L~およそ650 mg/L、およそ200 mg/L~およそ700 mg/L、およそ250 mg/L~およそ300 mg/L、およそ250 mg/L~およそ350 mg/L、およそ250 mg/L~およそ400 mg/L、およそ250 mg/L~およそ450 mg/L、およそ250 mg/L~およそ500 mg/L、およそ250 mg/L~およそ550 mg/L、およそ250 mg/L~およそ600 mg/L、およそ250 mg/L~およそ650 mg/L、およそ250 mg/L~およそ700 mg/L、およそ300 mg/L~およそ350 mg/L、およそ300 mg/L~およそ400 mg/L、およそ300 mg/L~およそ450 mg/L、およそ300 mg/L~およそ500 mg/L、およそ300 mg/L~およそ550 mg/L、およそ300 mg/L~およそ600 mg/L、およそ300 mg/L~およそ650 mg/L、およそ300 mg/L~およそ700 mg/L、およそ350 mg/L~およそ400 mg/L、およそ350 mg/L~およそ450 mg/L、およそ350 mg/L~およそ500 mg/L、およそ350 mg/L~およそ550 mg/L、およそ350 mg/L~およそ600 mg/L、およそ350 mg/L~およそ650 mg/L、およそ350 mg/L~およそ700 mg/L、およそ400 mg/L~およそ450 mg/L、およそ400 mg/L~およそ500 mg/L、およそ400 mg/L~およそ550 mg/L、およそ400 mg/L~およそ600 mg/L、およそ400 mg/L~およそ650 mg/L、およそ400 mg/L~およそ700 mg/L、およそ450 mg/L~およそ500 mg/L、およそ450 mg/L~およそ550 mg/L、およそ450 mg/L~およそ600 mg/L、およそ450 mg/L~およそ650 mg/L、およそ450 mg/L~およそ700 mg/L、およそ500 mg/L~およそ550 mg/L、およそ500 mg/L~およそ600 mg/L、およそ500 mg/L~およそ650 mg/L、およそ500 mg/L~およそ700 mg/L、およそ550 mg/L~およそ600 mg/L、およそ550 mg/L~およそ650 mg/L、およそ550 mg/L~およそ700 mg/L、およそ600 mg/L~およそ650 mg/L、およそ60 mg/L~およそ700 mg/L、もしくはおよそ650 mg/L~およそ700 mg/Lであるようなものである。
【0103】
いくつかの態様において、基礎培地中のNACの濃度は、0 mM~1 mM、0 mM~2 mM、0 mM~3 mM、0 mM~4 mM、0 mM~5 mM、0 mM~6 mM、0 mM~7 mM、0 mM~8 mM、0mM~9 mM、0 mM~10 mM、0 mM~12 mM、0 mM~14 mM、0 mM~16 mM、0 mM~18 mM、0 mM~20 mM、1 mM~2 mM、1 mM~3 mM、1 mM~4 mM、1 mM~5 mM、1 mM~6 mM、1 mM~7 mM、1 mM~8 mM、1 mM~9 mM、1 mM~10 mM、1 mM~12 mM、1 mM~14 mM、1 mM~16 mM、1 mM~18 mM、1 mM~20 mM、2 mM~3 mM、2 mM~4 mM、2 mM~5 mM、2 mM~6 mM、2 mM~7 mM、2 mM~8 mM、2 mM~9 mM、2 mM~10 mM、2 mM~12 mM、2 mM~14 mM、2 mM~16 mM、2 mM~18 mM、2 mM~20 mM、3 mM~4 mM、3 mM~5 mM、3 mM~6 mM、3 mM~7 mM、3 mM~8 mM、3 mM~9 mM、3 mM~10 mM、3 mM~12 mM、3 mM~14 mM、3 mM~16 mM、3 mM~18 mM、3 mM~20 mM、4 mM~5 mM、4 mM~6 mM、4 mM~7 mM、4 mM~8 mM、4 mM~9 mM、4 mM~10 mM、4 mM~12 mM、4 mM~14 mM、4 mM~16 mM、4 mM~18 mM、4 mM~20 mM、5 mM~6 mM、5 mM~7 mM、5 mM~8 mM、5 mM~9 mM、5 mM~10 mM、5 mM~12 mM、5 mM~14 mM、5 mM~16 mM、5 mM~18 mM、5 mM~20 mM、6 mM~7 mM、6 mM~8 mM、6 mM~9 mM、6 mM~10 mM、6 mM~12 mM、6 mM~14 mM、6 mM~16 mM、6 mM~18 mM、6 mM~20 mM、7 mM~8 mM、7 mM~9 mM、7 mM~10 mM、7 mM~12 mM、7 mM~14 mM、7 mM~16 mM、7 mM~18 mM、7 mM~20 mM、8 mM~9 mM、8 mM~10 mM、8 mM~12 mM、8 mM~14 mM、8 mM~16 mM、8 mM~18 mM、8 mM~20 mM、9 mM~10 mM、9 mM~12 mM、9 mM~14 mM、9 mM~16 mM、9 mM~18 mM、9 mM~20 mM、10 mM~12 mM、10 mM~14 mM、10 mM~16 mM、10 mM~18 mM、10 mM~20 mM、12 mM~14 mM、12 mM~16 mM、12 mM~18 mM、12 mM~20 mM、14 mM~16 mM、14 mM~18 mM、14 mM~20 mM、16 mM~18 mM、16 mM~20 mM、もしくは18 mM~20 mM、またはおよそ0 mM~およそ1 mM、およそ0 mM~およそ2 mM、およそ0 mM~およそ3 mM、およそ0 mM~およそ4 mM、およそ0 mM~およそ5 mM、およそ0 mM~およそ6 mM、およそ0 mM~およそ7 mM、およそ0 mM~およそ8 mM、およそ0mM~およそ9 mM、およそ0 mM~およそ10 mM、およそ0 mM~およそ12 mM、およそ0 mM~およそ14 mM、およそ0 mM~およそ16 mM、およそ0 mM~およそ18 mM、およそ0 mM~およそ20 mM、およそ1 mM~およそ2 mM、およそ1 mM~およそ3 mM、およそ1 mM~およそ4 mM、およそ1 mM~およそ5 mM、およそ1 mM~およそ6 mM、およそ1 mM~およそ7 mM、およそ1 mM~およそ8 mM、およそ1 mM~およそ9 mM、およそ1 mM~およそ10 mM、およそ1 mM~およそ12 mM、およそ1 mM~およそ14 mM、およそ1 mM~およそ16 mM、およそ1 mM~およそ18 mM、およそ1 mM~およそ20 mM、およそ2 mM~およそ3 mM、およそ2 mM~およそ4 mM、およそ2 mM~およそ5 mM、およそ2 mM~およそ6 mM、およそ2 mM~およそ7 mM、およそ2 mM~およそ8 mM、およそ2 mM~およそ9 mM、およそ2 mM~およそ10 mM、およそ2 mM~およそ12 mM、およそ2 mM~およそ14 mM、およそ2 mM~およそ16 mM、およそ2 mM~およそ18 mM、およそ2 mM~およそ20 mM、およそ3 mM~およそ4 mM、およそ3 mM~およそ5 mM、およそ3 mM~およそ6 mM、およそ3 mM~およそ7 mM、およそ3 mM~およそ8 mM、およそ3 mM~およそ9 mM、およそ3 mM~およそ10 mM、およそ3 mM~およそ12 mM、およそ3 mM~およそ14 mM、およそ3 mM~およそ16 mM、およそ3 mM~およそ18 mM、およそ3 mM~およそ20 mM、およそ4 mM~およそ5 mM、およそ4 mM~およそ6 mM、およそ4 mM~およそ7 mM、およそ4 mM~およそ8 mM、およそ4 mM~およそ9 mM、およそ4 mM~およそ10 mM、およそ4 mM~およそ12 mM、およそ4 mM~およそ14 mM、およそ4 mM~およそ16 mM、およそ4 mM~およそ18 mM、およそ4 mM~およそ20 mM、およそ5 mM~およそ6 mM、およそ5 mM~およそ7 mM、およそ5 mM~およそ8 mM、およそ5 mM~およそ9 mM、およそ5 mM~およそ10 mM、およそ5 mM~およそ12 mM、およそ5 mM~およそ14 mM、およそ5 mM~およそ16 mM、およそ5 mM~およそ18 mM、およそ5 mM~およそ20 mM、およそ6 mM~およそ7 mM、およそ6 mM~およそ8 mM、およそ6 mM~およそ9 mM、およそ6 mM~およそ10 mM、およそ6 mM~およそ12 mM、およそ6 mM~およそ14 mM、およそ6 mM~およそ16 mM、およそ6 mM~およそ18 mM、およそ6 mM~およそ20 mM、およそ7 mM~およそ8 mM、およそ7 mM~およそ9 mM、およそ7 mM~およそ10 mM、およそ7 mM~およそ12 mM、およそ7 mM~およそ14 mM、およそ7 mM~およそ16 mM、およそ7 mM~およそ18 mM、およそ7 mM~およそ20 mM、およそ8 mM~およそ9 mM、およそ8 mM~およそ10 mM、およそ8 mM~およそ12 mM、およそ8 mM~およそ14 mM、およそ8 mM~およそ16 mM、およそ8 mM~およそ18 mM、およそ8 mM~およそ20 mM、およそ9 mM~およそ10 mM、およそ9 mM~およそ12 mM、およそ9 mM~およそ14 mM、およそ9 mM~およそ16 mM、およそ9 mM~およそ18 mM、およそ9 mM~およそ20 mM、およそ10 mM~およそ12 mM、およそ10 mM~およそ14 mM、およそ10 mM~およそ16 mM、およそ10 mM~およそ18 mM、およそ10 mM~およそ20 mM、およそ12 mM~およそ14 mM、およそ12 mM~およそ16 mM、およそ12 mM~およそ18 mM、およそ12 mM~およそ20 mM、およそ14 mM~およそ16 mM、およそ14 mM~およそ18 mM、およそ14 mM~およそ20 mM、およそ16 mM~およそ18 mM、およそ16 mM~およそ20 mM、もしくはおよそ18 mM~およそ20 mMである。
【0104】
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、エタノールアミンを含む。いくつかの態様において、エタノールアミンの濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、基礎培地中のエタノールアミンの濃度が0 mg/L~2 mg/L、0 mg/L~4 mg/L、0 mg/L~6 mg/L、0 mg/L~8 mg/L、0 mg/L~10 mg/L、0 mg/L~12 mg/L、0 mg/L~14 mg/L、0 mg/L~16 mg/L、0 mg/L~18 mg/L、0 mg/L~20 mg/L、0 mg/L~22 mg/L、0 mg/L~24 mg/L、0 mg/L~26 mg/L、0 mg/L~28 mg/L、0 mg/L~30 mg/L、2 mg/L~4 mg/L、2 mg/L~6 mg/L、2 mg/L~8 mg/L、2 mg/L~10 mg/L、2 mg/L~12 mg/L、2 mg/L~14 mg/L、2 mg/L~16 mg/L、2 mg/L~18 mg/L、2 mg/L~20 mg/L、2 mg/L~22 mg/L、2 mg/L~24 mg/L、2 mg/L~26 mg/L、2 mg/L~28 mg/L、2 mg/L~30 mg/L、4 mg/L~6 mg/L、4 mg/L~8 mg/L、4 mg/L~10 mg/L、4 mg/L~12 mg/L、4 mg/L~14 mg/L、4 mg/L~16 mg/L、4 mg/L~18 mg/L、4 mg/L~20 mg/L、4 mg/L~22 mg/L、4 mg/L~24 mg/L、4 mg/L~26 mg/L、4 mg/L~28 mg/L、4 mg/L~30 mg/L、6 mg/L~8 mg/L、6 mg/L~10 mg/L、6 mg/L~12 mg/L、6 mg/L~14 mg/L、6 mg/L~16 mg/L、6 mg/L~18 mg/L、6 mg/L~20 mg/L、6 mg/L~22 mg/L、6 mg/L~24 mg/L、6 mg/L~26 mg/L、6 mg/L~28 mg/L、6 mg/L~30 mg/L、8 mg/L~10 mg/L、8 mg/L~12 mg/L、8 mg/L~14 mg/L、8 mg/L~16 mg/L、8 mg/L~18 mg/L、8 mg/L~20 mg/L、8 mg/L~22 mg/L、8 mg/L~24 mg/L、8 mg/L~26 mg/L、8 mg/L~28 mg/L、8 mg/L~30 mg/L、10 mg/L~12 mg/L、8 mg/L~14 mg/L、8 mg/L~16 mg/L、8 mg/L~18 mg/L、8 mg/L~20 mg/L、8 mg/L~22 mg/L、8 mg/L~24 mg/L、8 mg/L~26 mg/L、8 mg/L~28 mg/L、8 mg/L~30 mg/L、10 mg/L~12 mg/L、10 mg/L~14 mg/L、10 mg/L~16 mg/L、10 mg/L~18 mg/L、10 mg/L~20 mg/L、10 mg/L~22 mg/L、10 mg/L~24 mg/L、10 mg/L~26 mg/L、10 mg/L~28 mg/L、10 mg/L~30 mg/L、12 mg/L~14 mg/L、12 mg/L~16 mg/L、12 mg/L~18 mg/L、12 mg/L~20 mg/L、12 mg/L~22 mg/L、12 mg/L~24 mg/L、12 mg/L~26 mg/L、12 mg/L~28 mg/L、12 mg/L~30 mg/L、14 mg/L~16 mg/L、14 mg/L~18 mg/L、14 mg/L~20 mg/L、14 mg/L~22 mg/L、14 mg/L~24 mg/L、14 mg/L~26 mg/L、14 mg/L~28 mg/L、14 mg/L~30 mg/L、16 mg/L~18 mg/L、16 mg/L~20 mg/L、16 mg/L~22 mg/L、16 mg/L~24 mg/L、16 mg/L~26 mg/L、16 mg/L~28 mg/L、16 mg/L~30 mg/L、18 mg/L~20 mg/L、18 mg/L~22 mg/L、18 mg/L~24 mg/L、18 mg/L~26 mg/L、18 mg/L~28 mg/L、18 mg/L~30 mg/L、20 mg/L~22 mg/L、20 mg/L~24 mg/L、20 mg/L~26 mg/L、20 mg/L~28 mg/L、20 mg/L~30 mg/L、22 mg/L~24 mg/L、22 mg/L~26 mg/L、22 mg/L~28 mg/L、22 mg/L~30 mg/L、24 mg/L~26 mg/L、24 mg/L~28 mg/L、24 mg/L~30 mg/L、26 mg/L~28 mg/L、26 mg/L~30 mg/L、もしくは28 mg/L~30 mg/L、またはおよそ0 mg/L~およそ2 mg/L、およそ0 mg/L~およそ4 mg/L、およそ0 mg/L~およそ6 mg/L、およそ0 mg/L~およそ8 mg/L、およそ0 mg/L~およそ10 mg/L、およそ0 mg/L~およそ12 mg/L、およそ0 mg/L~およそ14 mg/L、およそ0 mg/L~およそ16 mg/L、およそ0 mg/L~およそ18 mg/L、およそ0 mg/L~およそ20 mg/L、およそ0 mg/L~およそ22 mg/L、およそ0 mg/L~およそ24 mg/L、およそ0 mg/L~およそ26 mg/L、およそ0 mg/L~およそ28 mg/L、およそ0 mg/L~およそ30 mg/L、およそ2 mg/L~およそ4 mg/L、およそ2 mg/L~およそ6 mg/L、およそ2 mg/L~およそ8 mg/L、およそ2 mg/L~およそ10 mg/L、およそ2 mg/L~およそ12 mg/L、およそ2 mg/L~およそ14 mg/L、およそ2 mg/L~およそ16 mg/L、およそ2 mg/L~およそ18 mg/L、およそ2 mg/L~およそ20 mg/L、およそ2 mg/L~およそ22 mg/L、およそ2 mg/L~およそ24 mg/L、およそ2 mg/L~およそ26 mg/L、およそ2 mg/L~およそ28 mg/L、およそ2 mg/L~およそ30 mg/L、およそ4 mg/L~およそ6 mg/L、およそ4 mg/L~およそ8 mg/L、およそ4 mg/L~およそ10 mg/L、およそ4 mg/L~およそ12 mg/L、およそ4 mg/L~およそ14 mg/L、およそ4 mg/L~およそ16 mg/L、およそ4 mg/L~およそ18 mg/L、およそ4 mg/L~およそ20 mg/L、およそ4 mg/L~およそ22 mg/L、およそ4 mg/L~およそ24 mg/L、およそ4 mg/L~およそ26 mg/L、およそ4 mg/L~およそ28 mg/L、およそ4 mg/L~およそ30 mg/L、およそ6 mg/L~およそ8 mg/L、およそ6 mg/L~およそ10 mg/L、およそ6 mg/L~およそ12 mg/L、およそ6 mg/L~およそ14 mg/L、およそ6 mg/L~およそ16 mg/L、およそ6 mg/L~およそ18 mg/L、およそ6 mg/L~およそ20 mg/L、およそ6 mg/L~およそ22 mg/L、およそ6 mg/L~およそ24 mg/L、およそ6 mg/L~およそ26 mg/L、およそ6 mg/L~およそ28 mg/L、およそ6 mg/L~およそ30 mg/L、およそ8 mg/L~およそ10 mg/L、およそ8 mg/L~およそ12 mg/L、およそ8 mg/L~およそ14 mg/L、およそ8 mg/L~およそ16 mg/L、およそ8 mg/L~およそ18 mg/L、およそ8 mg/L~およそ20 mg/L、およそ8 mg/L~およそ22 mg/L、およそ8 mg/L~およそ24 mg/L、およそ8 mg/L~およそ26 mg/L、およそ8 mg/L~およそ28 mg/L、およそ8 mg/L~およそ30 mg/L、およそ10 mg/L~およそ12 mg/L、およそ8 mg/L~およそ14 mg/L、およそ8 mg/L~およそ16 mg/L、およそ8 mg/L~およそ18 mg/L、およそ8 mg/L~およそ20 mg/L、およそ8 mg/L~およそ22 mg/L、およそ8 mg/L~およそ24 mg/L、およそ8 mg/L~およそ26 mg/L、およそ8 mg/L~およそ28 mg/L、およそ8 mg/L~およそ30 mg/L、およそ10 mg/L~およそ12 mg/L、およそ10 mg/L~およそ14 mg/L、およそ10 mg/L~およそ16 mg/L、およそ10 mg/L~およそ18 mg/L、およそ10 mg/L~およそ20 mg/L、およそ10 mg/L~およそ22 mg/L、およそ10 mg/L~およそ24 mg/L、およそ10 mg/L~およそ26 mg/L、およそ10 mg/L~およそ28 mg/L、およそ10 mg/L~およそ30 mg/L、およそ12 mg/L~およそ14 mg/L、およそ12 mg/L~およそ16 mg/L、およそ12 mg/L~およそ18 mg/L、およそ12 mg/L~およそ20 mg/L、およそ12 mg/L~およそ22 mg/L、およそ12 mg/L~およそ24 mg/L、およそ12 mg/L~およそ26 mg/L、およそ12 mg/L~およそ28 mg/L、およそ12 mg/L~およそ30 mg/L、およそ14 mg/L~およそ16 mg/L、およそ14 mg/L~およそ18 mg/L、およそ14 mg/L~およそ20 mg/L、およそ14 mg/L~およそ22 mg/L、およそ14 mg/L~およそ24 mg/L、およそ14 mg/L~およそ26 mg/L、およそ14 mg/L~およそ28 mg/L、およそ14 mg/L~およそ30 mg/L、およそ16 mg/L~およそ18 mg/L、およそ16 mg/L~およそ20 mg/L、およそ16 mg/L~およそ22 mg/L、およそ16 mg/L~およそ24 mg/L、およそ16 mg/L~およそ26 mg/L、およそ16 mg/L~およそ28 mg/L、およそ16 mg/L~およそ30 mg/L、およそ18 mg/L~およそ20 mg/L、およそ18 mg/L~およそ22 mg/L、およそ18 mg/L~およそ24 mg/L、およそ18 mg/L~およそ26 mg/L、およそ18 mg/L~およそ28 mg/L、およそ18 mg/L~およそ30 mg/L、およそ20 mg/L~およそ22 mg/L、およそ20 mg/L~およそ24 mg/L、およそ20 mg/L~およそ26 mg/L、およそ20 mg/L~およそ28 mg/L、およそ20 mg/L~およそ30 mg/L、およそ22 mg/L~およそ24 mg/L、およそ22 mg/L~およそ26 mg/L、およそ22 mg/L~およそ28 mg/L、およそ22 mg/L~およそ30 mg/L、およそ24 mg/L~およそ26 mg/L、およそ24 mg/L~およそ28 mg/L、およそ24 mg/L~およそ30 mg/L、およそ26 mg/L~およそ28 mg/L、およそ26 mg/L~およそ30 mg/L、もしくはおよそ28 mg/L~およそ30 mg/Lであるようなものである。
【0105】
いくつかの態様において、サプリメントは液体である。いくつかの態様において、サプリメントは貯蔵のために凍結されないか、または凍結されることが推奨されない。いくつかの態様において、サプリメントはアルブミン、N-アセチル-L-システイン(NAC)およびエタノールアミンを含む。いくつかの態様において、サプリメントはアルブミン、N-アセチル-L-システイン(NAC)およびエタノールアミンを含み、ここでアルブミン、NACおよび/またはエタノールアミンの濃度は、サプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、アルブミン、NACおよび/またはエタノールアミンの濃度が、本明細書において記述されるように実質的に同じであるようなものである。いくつかの態様において、アルブミンはヒト由来のアルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは、ヒト血漿または血清からのヒト由来アルブミンである。いくつかの態様において、サプリメントは液体であり、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含まないか、またはその有意な量を含まない。
【0106】
いくつかの態様において、さらなるサプリメント、例えば第2のサプリメントは、基礎培地と組み合わされて、1つまたは複数のさらなる構成成分を提供する。いくつかの態様において、さらなるサプリメント、例えば第2のサプリメントは、細胞拡大増殖サプリメントである。いくつかの態様において、さらなるサプリメント、例えば第2のサプリメントは、OpTmizer(登録商標)サプリメント(Thermofisher, A1048503の一部)であるか、またはそれを含む。
【0107】
いくつかの態様において、サプリメントは、2倍~100倍またはおよそ2倍~およそ100倍濃縮される。いくつかの態様において、サプリメントは、40倍またはおよそ40倍の配合物である。いくつかの態様において、基礎培地の1リットルに、第1のサプリメントと場合によっては1つまたは複数のさらなるサプリメントとを含む少なくとも1つのサプリメントが、20~30ミリリットルまたはおよそ20~30ミリリットル、例えば25±2ミリリットル、補充される。
【0108】
C. 無血清培地
いくつかの態様において、無血清培地は、合成アミノ酸(例えば、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミン)、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含む。いくつかの態様において、合成アミノ酸(例えば、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミン)は、細胞を含む細胞培養物中でグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)に変換されることができ、ここで培地は無血清である。いくつかの態様において、細胞はヒト細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は免疫細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作された細胞である。いくつかの態様において、細胞はT細胞である。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作されたT細胞である。いくつかの態様において、細胞は、組換え受容体(例えば、キメラ抗原受容体)を発現するように遺伝子操作されている。いくつかの態様において、細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞である。
【0109】
いくつかの態様において、無血清培地は、少なくとも1つのタンパク質をさらに含む。いくつかの態様において、無血清培地は合成アミノ酸を含み、ここで合成アミノ酸(例えば、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミン)は、細胞、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)、および少なくとも1つのタンパク質を含む細胞培養物中でグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)に変換されることができ、ここで培地は無血清である。
【0110】
いくつかの態様において、合成アミノ酸は、グルタミンの安定化形態(すなわち、L-グルタミン)である。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、水溶液(例えば、無血清培地)中でグルタミン(すなわち、L-グルタミン)よりも安定である。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に有意な量のグルタミンを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に少なくとも1、3、5、7、9、11、13、もしくは14日間、または少なくとも約1、3、5、7、9、11、13、もしくは14日間、有意な量のグルタミン(すなわち、L-グルタミン)を生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間、有意な量のグルタミン(すなわち、L-グルタミン)を生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月間、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月間、有意な量のグルタミン(すなわち、L-グルタミン)を生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に少なくとも1、2、3、4、もしくは5年間、または少なくとも約1、2、3、4、もしくは5年間、有意な量のグルタミン(すなわち、L-グルタミン)を生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に少なくとも1、3、5、7、9、11、13、もしくは14日間、または少なくとも約1、3、5、7、9、11、13、もしくは14日間、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月間、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月間、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、無血清培地中に少なくとも1、2、3、4、もしくは5年間、または少なくとも約1、2、3、4、もしくは5年間、有意な量のピロリドンカルボン酸またはアンモニアを生成しない。
【0111】
いくつかの態様において、合成アミノ酸は、水溶液(例えば、無血清培地)に可溶性である。いくつかの態様において、水溶液中の合成アミノ酸の溶解度は、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)よりも高い。
【0112】
いくつかの態様において、合成アミノ酸は細胞に輸送されることができ、そこで合成アミノ酸はグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)に変換されることができる。いくつかの態様において、細胞は免疫細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作された細胞である。いくつかの態様において、細胞はT細胞である。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作されたT細胞である。いくつかの態様において、細胞は、組換え受容体(例えば、キメラ抗原受容体)を発現するように遺伝子操作されている。いくつかの態様において、細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞である。
【0113】
いくつかの態様において、合成アミノ酸はジペプチドである。いくつかの態様において、合成アミノ酸はトリペプチドである。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、L-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)である。
【0114】
いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、0.5 mM~5 mMまたはおよそ0.5 mM~5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、2 mMまたはおよそ2 mMである。いくつかの態様において、L-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、それぞれ両端を含めて、0.5 mM~1 mM、0.5 mM~1.5 mM、0.5 mM~2 mM、0.5 mM~2.5 mM、0.5 mM~3 mM、0.5 mM~3.5 mM、0.5 mM~4 mM、0.5 mM~4.5 mM、0.5 mM~5 mM、1 mM~1.5 mM、1 mM~2 mM、1 mM~2.5 mM、1 mM~3 mM、1 mM~3.5 mM、1 mM~4 mM、1 mM~4.5 mM、1 mM~5 mM、1.5 mM~2 mM、1.5 mM~2.5 mM、1.5 mM~3 mM、1.5 mM~3.5 mM、1.5 mM~4 mM、1.5 mM~4.5 mM、1.5 mM~5 mM、2 mM~2.5 mM、2 mM~3 mM、2 mM~3.5 mM、2 mM~4 mM、2 mM~4.5 mM、2 mM~5 mM、2.5 mM~3 mM、2.5 mM~3.5 mM、2.5 mM~4 mM、2.5 mM~4.5 mM、2.5 mM~5 mM、3 mM~3.5 mM、3 mM~4 mM、3 mM~4.5 mM、3 mM~5 mM、3.5 mM~4 mM、3.5 mM~4.5 mM、3.5 mM~5 mM、4 mM~4.5 mM、4 mM~5 mMもしくは4.5 mM~5 mM、または約0.5 mM~1 mM、約0.5 mM~1.5 mM、約0.5 mM~2 mM、約0.5 mM~2.5 mM、約0.5 mM~3 mM、約0.5 mM~3.5 mM、約0.5 mM~4 mM、約0.5 mM~4.5 mM、約0.5 mM~5 mM、約1 mM~1.5 mM、約1 mM~2 mM、約1 mM~2.5 mM、約1 mM~3 mM、約1 mM~3.5 mM、約1 mM~4 mM、約1 mM~4.5 mM、約1 mM~5 mM、約1.5 mM~2 mM、約1.5 mM~2.5 mM、約1.5 mM~3 mM、約1.5 mM~3.5 mM、約1.5 mM~4 mM、約1.5 mM~4.5 mM、約1.5 mM~5 mM、約2 mM~2.5 mM、約2 mM~3 mM、約2 mM~3.5 mM、約2 mM~4 mM、約2 mM~4.5 mM、約2 mM~5 mM、約2.5 mM~3 mM、約2.5 mM~3.5 mM、約2.5 mM~4 mM、約2.5 mM~4.5 mM、約2.5 mM~5 mM、約3 mM~3.5 mM、約3 mM~4 mM、約3 mM~4.5 mM、約3 mM~5 mM、約3.5 mM~4 mM、約3.5 mM~4.5 mM、約3.5 mM~5 mM、約4 mM~4.5 mM、約4 mM~5 mMもしくは約4.5 mM~5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、それぞれ両端を含めて、5 mM~7.5 mM、5 mM~10 mM、5 mM~12.5 mM、5 mM~15 mM、5 mM~17.5 mM、5 mM~20 mM、7.5 mM~10 mM、7.5 mM~12.5 mM、7.5 mM~15 mM、7.5 mM~17.5 mM、7.5 mM~20 mM、10 mM~12.5 mM、10 mM~15 mM、10 mM~17.5 mM、10 mM~20 mM、12.5 mM~15 mM、12.5 mM~17.5 mM、12.5 mM~20 mM、15 mM~17.5 mM、15 mM~20 mMもしくは17.5 mM~20 mM、または約5 mM~7.5 mM、約5 mM~10 mM、約5 mM~12.5 mM、約5 mM~15 mM、約5 mM~17.5 mM、約5 mM~20 mM、約7.5 mM~10 mM、約7.5 mM~12.5 mM、約7.5 mM~15 mM、約7.5 mM~17.5 mM、約7.5 mM~20 mM、約10 mM~12.5 mM、約10 mM~15 mM、約10 mM~17.5 mM、約10 mM~20 mM、約12.5 mM~15 mM、約12.5 mM~17.5 mM、約12.5 mM~20 mM、約15 mM~17.5 mM、約15 mM~20 mMもしくは約17.5 mM~20 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、2 mMであるか、またはおよそ2 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)の濃度は、多くても2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mM、5 mM、5.5 mM、6 mM、6.5 mM、7 mM、7.5 mM、8 mM、8.5 mM、9 mM、9.5 mM、10 mM、12.5 mM、15 mM、17.5 mMもしくは20 mM、または多くても約2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mM、5 mM、5.5 mM、6 mM、6.5 mM、7 mM、7.5 mM、8 mM、8.5 mM、9 mM、9.5 mM、10 mM、12.5 mM、15 mM、17.5 mMもしくは20 mMである。
【0115】
いくつかの態様において、無血清培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、約0.5 mM~5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、2 mMまたはおよそ2 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、それぞれ両端を含めて、0.5 mM~1 mM、0.5 mM~1.5 mM、0.5 mM~2 mM、0.5 mM~2.5 mM、0.5 mM~3 mM、0.5 mM~3.5 mM、0.5 mM~4 mM、0.5 mM~4.5 mM、0.5 mM~5 mM、1 mM~1.5 mM、1 mM~2 mM、1 mM~2.5 mM、1 mM~3 mM、1 mM~3.5 mM、1 mM~4 mM、1 mM~4.5 mM、1 mM~5 mM、1.5 mM~2 mM、1.5 mM~2.5 mM、1.5 mM~3 mM、1.5 mM~3.5 mM、1.5 mM~4 mM、1.5 mM~4.5 mM、1.5 mM~5 mM、2 mM~2.5 mM、2 mM~3 mM、2 mM~3.5 mM、2 mM~4 mM、2 mM~4.5 mM、2 mM~5 mM、2.5 mM~3 mM、2.5 mM~3.5 mM、2.5 mM~4 mM、2.5 mM~4.5 mM、2.5 mM~5 mM、3 mM~3.5 mM、3 mM~4 mM、3 mM~4.5 mM、3 mM~5 mM、3.5 mM~4 mM、3.5 mM~4.5 mM、3.5 mM~5 mM、4 mM~4.5 mM、4 mM~5 mMもしくは4.5 mM~5 mM、または約0.5 mM~1 mM、約0.5 mM~1.5 mM、約0.5 mM~2 mM、約0.5 mM~2.5 mM、約0.5 mM~3 mM、約0.5 mM~3.5 mM、約0.5 mM~4 mM、約0.5 mM~4.5 mM、約0.5 mM~5 mM、約1 mM~1.5 mM、約1 mM~2 mM、約1 mM~2.5 mM、約1 mM~3 mM、約1 mM~3.5 mM、約1 mM~4 mM、約1 mM~4.5 mM、約1 mM~5 mM、約1.5 mM~2 mM、約1.5 mM~2.5 mM、約1.5 mM~3 mM、約1.5 mM~3.5 mM、約1.5 mM~4 mM、約1.5 mM~4.5 mM、約1.5 mM~5 mM、約2 mM~2.5 mM、約2 mM~3 mM、約2 mM~3.5 mM、約2 mM~4 mM、約2 mM~4.5 mM、約2 mM~5 mM、約2.5 mM~3 mM、約2.5 mM~3.5 mM、約2.5 mM~4 mM、約2.5 mM~4.5 mM、約2.5 mM~5 mM、約3 mM~3.5 mM、約3 mM~4 mM、約3 mM~4.5 mM、約3 mM~5 mM、約3.5 mM~4 mM、約3.5 mM~4.5 mM、約3.5 mM~5 mM、約4 mM~4.5 mM、約4 mM~5 mMもしくは約4.5 mM~5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、それぞれ両端を含めて、5 mM~7.5 mM、5 mM~10 mM、5 mM~12.5 mM、5 mM~15 mM、5 mM~17.5 mM、5 mM~20 mM、7.5 mM~10 mM、7.5 mM~12.5 mM、7.5 mM~15 mM、7.5 mM~17.5 mM、7.5 mM~20 mM、10 mM~12.5 mM、10 mM~15 mM、10 mM~17.5 mM、10 mM~20 mM、12.5 mM~15 mM、12.5 mM~17.5 mM、12.5 mM~20 mM、15 mM~17.5 mM、15 mM~20 mMもしくは17.5 mM~20 mM、または約5 mM~7.5 mM、約5 mM~10 mM、約5 mM~12.5 mM、約5 mM~15 mM、約5 mM~17.5 mM、約5 mM~20 mM、約7.5 mM~10 mM、約7.5 mM~12.5 mM、約7.5 mM~15 mM、約7.5 mM~17.5 mM、約7.5 mM~20 mM、約10 mM~12.5 mM、約10 mM~15 mM、約10 mM~17.5 mM、約10 mM~20 mM、約12.5 mM~15 mM、約12.5 mM~17.5 mM、約12.5 mM~20 mM、約15 mM~17.5 mM、約15 mM~20 mMもしくは約17.5 mM~20 mMである。いくつかの態様において、培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mMである。いくつかの態様において、培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、少なくとも0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mM、または少なくとも約0.5 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mMもしくは5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)の濃度は、多くても2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mM、5 mM、5.5 mM、6 mM、6.5 mM、7 mM、7.5 mM、8 mM、8.5 mM、9 mM、9.5 mM、10 mM、12.5 mM、15 mM、17.5 mMもしくは20 mM、または多くても約2 mM、2.5 mM、3 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mM、5 mM、5.5 mM、6 mM、6.5 mM、7 mM、7.5 mM、8 mM、8.5 mM、9 mM、9.5 mM、10 mM、12.5 mM、15 mM、17.5 mMもしくは20 mMである。
【0116】
いくつかの態様において、無血清培地中のL-アラニル-L-グルタミンなどのL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、0.5 mM~5 mMまたはおよそ0.5 mM~およそ5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-アラニル-L-グルタミンなどのL-グルタミンのジペプチド形態の濃度は、2 mMまたはおよそ2 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンの濃度は、0.5 mM~5 mMまたはおよそ0.5 mM~およそ5 mMである。いくつかの態様において、無血清培地中のL-グルタミンの濃度は、2 mMまたはおよそ2 mMである。
【0117】
いくつかの態様において、無血清培地は少なくとも1つのタンパク質を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は非哺乳動物起源のものではない。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、ヒトのものであるか、またはヒトに由来する。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は組換えである。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる構成成分は、少なくとも1つのタンパク質を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は非哺乳動物起源のものではない。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、ヒトのものであるか、またはヒトに由来する。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は組換えである。いくつかの態様において、少なくとも1つのタンパク質は、アルブミン、トランスフェリン、インスリン、フィブロネクチン、アプロチニンまたはフェチュインを含む。いくつかの態様において、タンパク質は、アルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つまたは複数、任意でヒトまたは組換えアルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つまたは複数を含む。
【0118】
いくつかの態様において、無血清培地はアルブミンを含む。いくつかの態様において、アルブミンはヒトに由来する。いくつかの態様において、アルブミンはヒト血清またはヒト血漿に由来する。いくつかの態様において、アルブミンは組換えアルブミンである。いくつかの態様において、組換えアルブミンはヒトに由来する。いくつかの態様において、組換えアルブミンはヒトに由来しない。いくつかの態様において、サプリメントは天然アルブミンを含む。いくつかの態様において、天然アルブミンはヒトに由来する。いくつかの態様において、天然アルブミンはヒトに由来しない。いくつかの態様において、無血清培地中のアルブミンの濃度は、それぞれ両端を含めて、0 mg/mL~2 mg/mL、0 mg/mL~4 mg/mL、0 mg/mL~6 mg/mL、0 mg/mL~8 mg/mL、0 mg/mL~10 mg/mL、0 mg/mL~12 mg/mL、2 mg/mL~4 mg/mL、2 mg/mL~6 mg/mL、2 mg/mL~8 mg/mL、2 mg/mL~10 mg/mL、2 mg/mL~12 mg/mL、4 mg/mL~6 mg/mL、4 mg/mL~8 mg/mL、4 mg/mL~10 mg/mL、4 mg/mL~12 mg/mL、6 mg/mL~8 mg/mL、6 mg/mL~10 mg/mL、6 mg/mL~12 mg/mL、8 mg/mL~10 mg/mL、8 mg/mL~12 mg/mL、10 mg/mL~12 mg/mL、もしくは10 mg/mL~15 mg/m、またはおよそ0 mg/mL~およそ2 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ4 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ6 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ8 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ0 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ4 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ6 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ8 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ2 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ4 mg/mL~およそ6 mg/mL、およそ4 mg/mL~およそ8 mg/mL、およそ4 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ4 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ6 mg/mL~およそ8 mg/mL、およそ6 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ6 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ8 mg/mL~およそ10 mg/mL、およそ8 mg/mL~およそ12 mg/mL、およそ10 mg/mL~およそ12 mg/mL、もしくはおよそ10 mg/mL~およそ15 mg/mLである。いくつかの態様において、培地中のアルブミンは5 mg/mLまたはおよそ5 mg/mLである。
【0119】
いくつかの態様において、無血清培地は、トランスフェリンまたはトランスフェリン代替物(本明細書において記述されるものなど)を含む。いくつかの態様において、トランスフェリンまたはトランスフェリン代替物は、ヒトに由来する。いくつかの態様において、トランスフェリンまたはトランスフェリン代替物は、ヒト血清または血漿に由来する。いくつかの態様において、無血清培地中のトランスフェリンの濃度は、10 mg/L~50 mg/L、10 mg/L~100 mg/L、10 mg/L~150 mg/L、10 mg/L~200 mg/L、10 mg/L~250 mg/L、10 mg/L~300 mg/L、10 mg/L~350 mg/L、10 mg/L~400 mg/L、10 mg/L~450 mg/L、10 mg/L~500 mg/L、10 mg/L~550 mg/L、10 mg/L~600 mg/L、10 mg/L~650 mg/L、10 mg/L~750 mg/L、50 mg/L~100 mg/L、50 mg/L~150 mg/L、50 mg/L~200 mg/L、50 mg/L~250 mg/L、50 mg/L~300 mg/L、50 mg/L~350 mg/L、50 mg/L~400 mg/L、50 mg/L~450 mg/L、50 mg/L~500 mg/L、50 mg/L~550 mg/L、50 mg/L~600 mg/L、50 mg/L~650 mg/L、50 mg/L~750 mg/L、100 mg/L~150 mg/L、100 mg/L~200 mg/L、100 mg/L~250 mg/L、100 mg/L~300 mg/L、100 mg/L~350 mg/L、100 mg/L~400 mg/L、100 mg/L~450 mg/L、100 mg/L~500 mg/L、100 mg/L~550 mg/L、100 mg/L~600 mg/L、100 mg/L~650 mg/L、100 mg/L~750 mg/L、150 mg/L~200 mg/L、150 mg/L~250 mg/L、150 mg/L~300 mg/L、150 mg/L~350 mg/L、150 mg/L~400 mg/L、150 mg/L~450 mg/L、150 mg/L~500 mg/L、150 mg/L~550 mg/L、150 mg/L~600 mg/L、150 mg/L~650 mg/L、150 mg/L~750 mg/L、200 mg/L~250 mg/L、200 mg/L~300 mg/L、200 mg/L~350 mg/L、200 mg/L~400 mg/L、200 mg/L~450 mg/L、200 mg/L~500 mg/L、200 mg/L~550 mg/L、200 mg/L~600 mg/L、200 mg/L~650 mg/L、200 mg/L~750 mg/L、250 mg/L~300 mg/L、250 mg/L~350 mg/L、250 mg/L~400 mg/L、250 mg/L~450 mg/L、250 mg/L~500 mg/L、250 mg/L~550 mg/L、250 mg/L~600 mg/L、250 mg/L~650 mg/L、250 mg/L~750 mg/L、300 mg/L~350 mg/L、300 mg/L~400 mg/L、300 mg/L~450 mg/L、300 mg/L~500 mg/L、300 mg/L~550 mg/L、300 mg/L~600 mg/L、300 mg/L~650 mg/L、300 mg/L~750 mg/L、350 mg/L~400 mg/L、350 mg/L~450 mg/L、350 mg/L~500 mg/L、350 mg/L~550 mg/L、350 mg/L~600 mg/L、350 mg/L~650 mg/L、350 mg/L~750 mg/L、400 mg/L~450 mg/L、400 mg/L~500 mg/L、400 mg/L~550 mg/L、400 mg/L~600 mg/L、400 mg/L~650 mg/L、400 mg/L~750 mg/L、450 mg/L~500 mg/L、450 mg/L~550 mg/L、450 mg/L~600 mg/L、450 mg/L~650 mg/L、450 mg/L~750 mg/L、500 mg/L~550 mg/L、500 mg/L~600 mg/L、500 mg/L~650 mg/L、500 mg/L~750 mg/L、550 mg/L~600 mg/L、500 mg/L~650 mg/L、500 mg/L~750 mg/L、550 mg/L~600 mg/L、550 mg/L~650 mg/L、550 mg/L~750 mg/L、600 mg/L~650 mg/L、600 mg/L~750 mg/L、もしくは650 mg/L~750 mg/L、またはおよそ10 mg/L~およそ50 mg/L、およそ10 mg/L~およそ100 mg/L、およそ10 mg/L~およそ150 mg/L、およそ10 mg/L~およそ200 mg/L、およそ10 mg/L~およそ250 mg/L、およそ10 mg/L~およそ300 mg/L、およそ10 mg/L~およそ350 mg/L、およそ10 mg/L~およそ400 mg/L、およそ10 mg/L~およそ450 mg/L、およそ10 mg/L~およそ500 mg/L、およそ10 mg/L~およそ550 mg/L、およそ10 mg/L~およそ600 mg/L、およそ10 mg/L~およそ650 mg/L、およそ10 mg/L~およそ750 mg/L、およそ50 mg/L~およそ100 mg/L、およそ50 mg/L~およそ150 mg/L、およそ50 mg/L~およそ200 mg/L、およそ50 mg/L~およそ250 mg/L、およそ50 mg/L~およそ300 mg/L、およそ50 mg/L~およそ350 mg/L、およそ50 mg/L~およそ400 mg/L、およそ50 mg/L~およそ450 mg/L、およそ50 mg/L~およそ500 mg/L、およそ50 mg/L~およそ550 mg/L、およそ50 mg/L~およそ600 mg/L、およそ50 mg/L~およそ650 mg/L、およそ50 mg/L~およそ750 mg/L、およそ100 mg/L~およそ150 mg/L、およそ100 mg/L~およそ200 mg/L、およそ100 mg/L~およそ250 mg/L、およそ100 mg/L~およそ300 mg/L、およそ100 mg/L~およそ350 mg/L、およそ100 mg/L~およそ400 mg/L、およそ100 mg/L~およそ450 mg/L、およそ100 mg/L~およそ500 mg/L、およそ100 mg/L~およそ550 mg/L、およそ100 mg/L~およそ600 mg/L、およそ100 mg/L~およそ650 mg/L、およそ100 mg/L~およそ750 mg/L、およそ150 mg/L~およそ200 mg/L、およそ150 mg/L~およそ250 mg/L、およそ150 mg/L~およそ300 mg/L、およそ150 mg/L~およそ350 mg/L、およそ150 mg/L~およそ400 mg/L、およそ150 mg/L~およそ450 mg/L、およそ150 mg/L~およそ500 mg/L、およそ150 mg/L~およそ550 mg/L、およそ150 mg/L~およそ600 mg/L、およそ150 mg/L~およそ650 mg/L、およそ150 mg/L~およそ750 mg/L、およそ200 mg/L~およそ250 mg/L、およそ200 mg/L~およそ300 mg/L、およそ200 mg/L~およそ350 mg/L、およそ200 mg/L~およそ400 mg/L、およそ200 mg/L~およそ450 mg/L、およそ200 mg/L~およそ500 mg/L、およそ200 mg/L~およそ550 mg/L、およそ200 mg/L~およそ600 mg/L、およそ200 mg/L~およそ650 mg/L、およそ200 mg/L~およそ750 mg/L、およそ250 mg/L~およそ300 mg/L、およそ250 mg/L~およそ350 mg/L、およそ250 mg/L~およそ400 mg/L、およそ250 mg/L~およそ450 mg/L、およそ250 mg/L~およそ500 mg/L、およそ250 mg/L~およそ550 mg/L、およそ250 mg/L~およそ600 mg/L、およそ250 mg/L~およそ650 mg/L、およそ250 mg/L~およそ750 mg/L、およそ300 mg/L~およそ350 mg/L、およそ300 mg/L~およそ400 mg/L、およそ300 mg/L~およそ450 mg/L、およそ300 mg/L~およそ500 mg/L、およそ300 mg/L~およそ550 mg/L、およそ300 mg/L~およそ600 mg/L、およそ300 mg/L~およそ650 mg/L、およそ300 mg/L~およそ750 mg/L、およそ350 mg/L~およそ400 mg/L、およそ350 mg/L~およそ450 mg/L、およそ350 mg/L~およそ500 mg/L、およそ350 mg/L~およそ550 mg/L、およそ350 mg/L~およそ600 mg/L、およそ350 mg/L~およそ650 mg/L、およそ350 mg/L~およそ750 mg/L、およそ400 mg/L~およそ450 mg/L、およそ400 mg/L~およそ500 mg/L、およそ400 mg/L~およそ550 mg/L、およそ400 mg/L~およそ600 mg/L、およそ400 mg/L~およそ650 mg/L、およそ400 mg/L~およそ750 mg/L、およそ450 mg/L~およそ500 mg/L、およそ450 mg/L~およそ550 mg/L、およそ450 mg/L~およそ600 mg/L、およそ450 mg/L~およそ650 mg/L、およそ450 mg/L~およそ750 mg/L、およそ500 mg/L~およそ550 mg/L、およそ500 mg/L~およそ600 mg/L、およそ500 mg/L~およそ650 mg/L、およそ500 mg/L~およそ750 mg/L、およそ550 mg/L~およそ600 mg/L、およそ500 mg/L~およそ650 mg/L、およそ500 mg/L~およそ750 mg/L、およそ550 mg/L~およそ600 mg/L、およそ550 mg/L~およそ650 mg/L、およそ550 mg/L~およそ750 mg/L、およそ600 mg/L~およそ650 mg/L、およそ600 mg/L~およそ750 mg/L、もしくはおよそ650 mg/L~およそ750 mg/Lである。いくつかの態様において、無血清培地中のトランスフェリンの濃度は、100 mg/Lまたはおよそ100 mg/Lである。いくつかの態様において、無血清培地中のトランスフェリンの濃度は、50 mg/L~150 mg/Lまたはおよそ50 mg/L~150 mg/Lである。
【0120】
いくつかの態様において、サプリメントは、インスリンまたはインスリン代替物(本明細書において記述されるものなど)を含む。いくつかの態様において、インスリンはヒトに由来する。いくつかの態様において、インスリンは組換えインスリンである。いくつかの態様において、インスリンは組換えヒトインスリンである。いくつかの態様において、無血清培地中のインスリン(またはインスリン代替物)の濃度は、1 mg/L~2.5 mg/L、1 mg/L~5 mg/L、1 mg/L~7.5 mg/L、1 mg/L~10 mg/L、1 mg/L~12.5 mg/L、1 mg/L~15 mg/L、1 mg/L~17.5 mg/L、1 mg/L~20 mg/L、1 mg/L~22.5 mg/L、1 mg/L~25 mg/L、1 mg/L~27.5 mg/L、1 mg/L~30 mg/L、2.5 mg/L~5 mg/L、2.5 mg/L~7.5 mg/L、2.5 mg/L~10 mg/L、2.5 mg/L~12.5 mg/L、2.5 mg/L~15 mg/L、2.5 mg/L~17.5 mg/L、2.5 mg/L~20 mg/L、2.5 mg/L~22.5 mg/L、2.5 mg/L~25 mg/L、2.5 mg/L~27.5 mg/L、2.5 mg/L~30 mg/L、5 mg/L~7.5 mg/L、5 mg/L~10 mg/L、5 mg/L~12.5 mg/L、5 mg/L~15 mg/L、5 mg/L~17.5 mg/L、5 mg/L~20 mg/L、5 mg/L~22.5 mg/L、5 mg/L~25 mg/L、5 mg/L~27.5 mg/L、5 mg/L~30 mg/L、7.5 mg/L~10 mg/L、7.5 mg/L~12.5 mg/L、7.5 mg/L~15 mg/L、7.5 mg/L~17.5 mg/L、7.5 mg/L~20 mg/L、7.5 mg/L~22.5 mg/L、7.5 mg/L~25 mg/L、7.5 mg/L~27.5 mg/L、7.5 mg/L~30 mg/L、10 mg/L~12.5 mg/L、10 mg/L~15 mg/L、10 mg/L~17.5 mg/L、10 mg/L~20 mg/L、10 mg/L~22.5 mg/L、10 mg/L~25 mg/L、10 mg/L~27.5 mg/L、10 mg/L~30 mg/L、12.5 mg/L~15 mg/L、12.5 mg/L~17.5 mg/L、12.5 mg/L~20 mg/L、12.5 mg/L~22.5 mg/L、12.5 mg/L~25 mg/L、12.5 mg/L~27.5 mg/L、12.5 mg/L~30 mg/L、15 mg/L~17.5 mg/L、15 mg/L~20 mg/L、15 mg/L~22.5 mg/L、15 mg/L~25 mg/L、15 mg/L~27.5 mg/L、15 mg/L~30 mg/L、17.5 mg/L~20 mg/L、17.5 mg/L~22.5 mg/L、17.5 mg/L~25 mg/L、17.5 mg/L~27.5 mg/L、17.5 mg/L~30 mg/L、20 mg/L~22.5 mg/L、20 mg/L~25 mg/L、20 mg/L~27.5 mg/L、20 mg/L~30 mg/L、22.5 mg/L~25 mg/L、22.5 mg/L~27.5 mg/L、22.5 mg/L~30 mg/L、25 mg/L~27.5 mg/L、もしくは27.5 mg/L~30 mg/L、またはおよそ1 mg/L~およそ2.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ7.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ10 mg/L、およそ1 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ15 mg/L、およそ1 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ20 mg/L、およそ1 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ25 mg/L、およそ1 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ1 mg/L~およそ30 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ7.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ10 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ15 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ2.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ5 mg/L~およそ7.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ10 mg/L、およそ5 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ15 mg/L、およそ5 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ10 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ15 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ7.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ10 mg/L~およそ12.5 mg/L、およそ10 mg/L~およそ15 mg/L、およそ10 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ10 mg/L~およそ20 mg/L、およそ10 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ10 mg/L~およそ25 mg/L、およそ10 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ10 mg/L~およそ30 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ15 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ12.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ15 mg/L~およそ17.5 mg/L、およそ15 mg/L~およそ20 mg/L、およそ15 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ15 mg/L~およそ25 mg/L、およそ15 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ15 mg/L~およそ30 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ20 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ17.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ20 mg/L~およそ22.5 mg/L、およそ20 mg/L~およそ25 mg/L、およそ20 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ20 mg/L~およそ30 mg/L、およそ22.5 mg/L~およそ25 mg/L、およそ22.5 mg/L~およそ27.5 mg/L、およそ22.5 mg/L~およそ30 mg/L、およそ25 mg/L~およそ27.5 mg/L、もしくはおよそ27.5 mg/L~およそ30 mg/Lである。いくつかの態様において、無血清培地中のインスリンまたはインスリン代替物の濃度は、10 mg/Lまたはおよそ10 mg/Lである。いくつかの態様において、無血清培地中のインスリンまたはインスリン代替物の濃度は、7.5 mg/L~12.5 mg/Lまたはおよそ7.5 mg/L~およそ12.5 mg/Lである。
【0121】
いくつかの態様において、無血清培地はフェノールレッドを含まない。いくつかの態様において、無血清培地はフェノールレッドを含む。
【0122】
いくつかの態様において、無血清培地は、無機塩、糖、アミノ酸の栄養混合物を含み、ビタミン、有機酸、抗酸化剤、脂質、成長因子、N-アセチルシステイン、エタノールアミンおよび/または緩衝液を任意で含有してもよい。例としては、無機塩、糖、アミノ酸、ビタミン、有機酸、抗酸化剤、脂質、成長因子、N-アセチルシステイン、エタノールアミンおよび/または緩衝液を含む、上記の項におけるような、本明細書において記述されるものが挙げられる。
【0123】
いくつかの態様において、無血清培地は、1つまたは複数の抗酸化剤、1つまたは複数のアルブミンまたはアルブミン代替物、1つまたは複数の脂質剤、1つまたは複数のインスリンまたはインスリン代替物、1つまたは複数のトランスフェリンまたはトランスフェリン代替物、1つまたは複数の微量元素、1つまたは複数のグルココルチコイド、1つまたは複数の無機塩、1つまたは複数のエネルギー源、1つまたは複数の緩衝剤、1つまたは複数のピルビン酸塩、1つまたは複数のpH指示薬、1つまたは複数のアミノ酸、および1つまたは複数のビタミンの1つまたは複数から選択される1つまたは複数の成分を含む。いくつかの態様において、抗酸化剤は、N-アセチル-L-システイン、2-メルカプトエタノール、およびD,L-酢酸トコフェロール、またはそれらの誘導体もしくは混合物からなる群より選択される。いくつかの態様において、アルブミンはヒト血清アルブミンである。いくつかの態様において、脂質剤は、Human Ex-Cite(登録商標)およびエタノールアミンである。いくつかの態様において、インスリンはヒト亜鉛インスリンである。いくつかの態様において、トランスフェリンはヒト鉄飽和トランスフェリンである。いくつかの態様において、グルココルチコイドはヒドロコルチゾンである。いくつかの態様において、無機塩成分は、1つまたは複数のカルシウム塩、1つまたは複数のカリウム塩、1つまたは複数のマグネシウム塩、1つまたは複数のナトリウム塩、1つまたは複数の炭酸塩、および1つまたは複数のリン酸塩からなる群より選択される1つまたは複数の無機塩を含む。いくつかの態様において、エネルギー源はD-グルコースである。いくつかの態様において、緩衝剤はHEPESである。いくつかの態様において、ピルビン酸塩はピルビン酸ナトリウムである。いくつかの態様において、pH指示薬はフェノールレッドである。いくつかの態様において、アミノ酸成分は、グリシン、L-アラニン、L-アスパラギン、L-システイン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、L-フェニルアラニン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-リシン、L-ロイシン、L-グルタミン、L-アルギニンHCL、L-メチオニン、L-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、およびL-バリン、ならびにそれらの塩および誘導体からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸を含む。いくつかの態様において、ビタミン成分は、ビオチン、D-パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、i-イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサルHCl、リボフラビン、チアミンHCl、ならびにビタミンB12およびその誘導体からなる群より選択される1つまたは複数のビタミンを含む。いくつかの態様において、成分は、N-アセチル-L-システイン、2-メルカプトエタノール、ヒト血清アルブミン、D,L-酢酸トコフェロール、Human Ex-Cite(登録商標)、エタノールアミン、ヒト亜鉛インスリン、鉄飽和トランスフェリン、Se4+、ヒドロコルチゾン、Ca2+、K+、Mg2+、Na+、CO3
2-、PO4
3-、D-グルコース、HEPES、ピルビン酸ナトリウム、フェノールレッド、グリシン、L-アラニン、L-アスパラギン、L-システイン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、 L-フェニルアラニン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-リシン、L-ロイシン、L-グルタミン、L-アルギニンHCL、L-メチオニン、L-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、L-セリン、L-スレオニン、L -トリプトファン、L-チロシン、およびL-バリン、ビオチン、D-パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、i-イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサルHCl、リボフラビン、チアミンHCl、ならびにビタミンB2を含む。
【0124】
いくつかの態様において、基礎培地および少なくとも1つのサプリメントを含む無血清培地が提供される。基礎培地およびサプリメントの様々な例が、上記の項においてなど、本明細書において記述されている。
【0125】
いくつかの態様において、無血清培地配合物は、90%~97.5% (v/v)またはおよそ90%~およそ97.5% (v/v)の基礎培地、2.5%~10% (v/v)またはおよそ2.5%~およそ10% (v/v)のサプリメント、例えば第1のサプリメントおよび/または第2のサプリメントを含む。いくつかの態様において、無血清培地配合物は、90%~97.5% (v/v)またはおよそ90%~およそ97.5% (v/v)の基礎培地、1.25%~5% (v/v)またはおよそ1.25%~およそ5% (v/v)の第1のサプリメント、および1.25%~5% (v/v)またはおよそ1.25%~およそ5% (v/v)の第2のサプリメントを含む。
【0126】
いくつかの態様において、基礎培地、第1のサプリメントおよび第2のサプリメントを含む無血清培地が提供される。いくつかの態様において、基礎培地は、合成アミノ酸(例えば、L-グルタミンのジペプチド形態、例えば、L-アラニル-L-グルタミン)を含む液体を含み、かつここで基礎培地は、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)および/またはタンパク質を含まないか、または実質的に含まない。いくつかの態様において、第1のサプリメントはグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含み、ここで第1のサプリメントは、グルタミンがその成分になった後かつ意図された用途の(例えば、基礎培地のサプリメントとして用いられる)前の大部分の時間、室温下(例えば、20、10、15、5、0、-5、-10、-15、もしくは-20℃またはおよそ20、10、15、5、0、-5、-10、-15、もしくは-20℃下)の温度で凍結または貯蔵される。いくつかの態様において、第1のサプリメントはグルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含み、ここで第1のサプリメントは、培地(例えば、基礎培地)との混合の直前に室温下(例えば、20、10、15、5、0、-5、-10、-15、もしくは-20℃、またはおよそ20、10、15、5、0、-5、-10、-15、もしくは-20℃下)の温度で凍結または貯蔵される。いくつかの態様において、第2のサプリメントは、アルブミン、N-アセチル-L-システイン(NAC)および/またはエタノールアミンを含む。いくつかの態様において、第2のサプリメントは、1つまたは複数の抗酸化剤、1つまたは複数のアルブミンまたはアルブミン代替物、1つまたは複数の脂質剤、1つまたは複数のインスリンまたはインスリン代替物、1つまたは複数のトランスフェリンまたはトランスフェリン代替物、1つまたは複数の微量元素、および1つまたは複数のグルココルチコイドからなる群より選択される1つまたは複数の成分を含む。
【0127】
いくつかの態様において、無血清培地は、1つまたは複数のサイトカインを含む。ある種の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、組換えサイトカインである。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、ヒト組換えサイトカインである。ある種の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、T細胞によって発現されるおよび/またはT細胞に対して内因性である受容体に結合するおよび/または結合することができる。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、サイトカインの4-アルファ-ヘリックスバンドルファミリーのメンバーであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、サイトカインの4-アルファ-ヘリックスバンドルファミリーのメンバーは、インターロイキン-2 (IL-2)、インターロイキン-4 (IL-4)、インターロイキン-7 (IL-7)、インターロイキン-9 (IL-9)、インターロイキン12 (IL-12)、インターロイキン15 (IL-15)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含むが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカインは、IL-15であるか、またはそれを含む。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、IL-7あるか、またはそれを含む。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、組換えIL-2であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、サイトカインはIL-2を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカインは、IL-2、IL-7またはIL-15から選択される。
【0128】
いくつかの態様において、サイトカインの濃度は、1 IU/ml~2,000 IU/mlもしくはおよそ1 IU/ml~およそ2,000 IU/ml、10 IU/ml~100 IU/mlもしくはおよそ10 IU/ml~およそ100 IU/ml、50 IU/ml~500 IU/mlもしくはおよそ50 IU/ml~およそ500 IU/ml、100 IU/ml~200 IU/mlもしくはおよそ100 IU/ml~およそ200 IU/ml、500 IU/ml~1400 IU/mlまたはおよそ500 IU/ml~およそ1400 IU/ml、250 IU/ml~500 IU/mlもしくはおよそ250 IU/ml~およそ500 IU/ml、または500 IU/ml~2,500 IU/mlもしくはおよそ500 IU/ml~およそ2,500 IU/mlである。
【0129】
いくつかの態様において、無血清培地はIL-2を含む。いくつかの態様において、IL-2 (例えば、ヒト組換えIL-2)の濃度は、2 IU/ml~500 IU/mlもしくはおよそ2 IU/ml~およそ500 IU/ml、10 IU/ml~250 IU/mlもしくはおよそ10 IU/ml~およそ250 IU/ml、100 IU/ml~500 IU/mlもしくはおよそ100 IU/ml~およそ500 IU/ml、または100 IU/ml~400 IU/mlもしくはおよそ100 IU/ml~およそ400 IU/mlである。特定の態様において、IL-2の濃度は、50 IU/ml、75 IU/ml、100 IU/ml、125 IU/ml、150 IU/ml、175 IU/ml、200 IU/ml、225 IU/ml、250 IU/ml、300 IU/ml、もしくは400 IU/ml、またはおよそ50 IU/ml、75 IU/ml、100 IU/ml、125 IU/ml、150 IU/ml、175 IU/ml、200 IU/ml、225 IU/ml、250 IU/ml、300 IU/ml、もしくは400 IU/mlである。いくつかの態様において、IL-2の濃度は、200 IU/mlまたはおよそ200 IU/mlである。
【0130】
いくつかの態様において、無血清培地はIL-7を含む。いくつかの態様において、IL-7、例えば、ヒト組換えIL-7の濃度は、10 IU/ml~5,000 IU/mlもしくはおよそ10 IU/ml~およそ5,000 IU/ml、500 IU/ml~2,000 IU/mlもしくはおよそ500 IU/ml~およそ2,000 IU/ml、600 IU/ml~1,500 IU/mlもしくはおよそ600 IU/ml~およそ1,500 IU/ml、500 IU/ml~2,500 IU/mlもしくはおよそ500 IU/ml~およそ2,500 IU/ml、750 IU/ml~1,500 IU/mlもしくはおよそ750 IU/ml~およそ1,500 IU/ml、または1,000 IU/ml~2,000 IU/mlもしくはおよそ1,000 IU/ml~およそ2,000 IU/mlである。特定の態様において、IL-7の濃度は、100 IU/ml、200 IU/ml、300 IU/ml、400 IU/ml、500 IU/ml、600 IU/ml、700 IU/ml、800 IU/ml、900 IU/ml、1,000 IU/ml、1,200 IU/ml、1,400 IU/ml、もしくは1,600 IU/ml、またはおよそ100 IU/ml、200 IU/ml、300 IU/ml、400 IU/ml、500 IU/ml、600 IU/ml、700 IU/ml、800 IU/ml、900 IU/ml、1,000 IU/ml、1,200 IU/ml、1,400 IU/ml、もしくは1,600 IU/mlである。いくつかの態様において、IL-7の濃度は、1,200 IU/mlまたはおよそ1,200 IU/mlである。
【0131】
いくつかの態様において、無血清培地はIL-15を含む。いくつかの態様において、IL-15、例えば、ヒト組換えIL-15の濃度は、0.1 IU/ml~200 IU/mlもしくはおよそ0.1 IU/ml~およそ200 IU/ml、1 IU/ml~50 IU/mlもしくはおよそ1 IU/ml~およそ50 IU/ml、5 IU/ml~25 IU/mlもしくはおよそ5 IU/ml~およそ25 IU/ml、25 IU/ml~50 IU/mlもしくはおよそ25 IU/ml~およそ50 IU/ml、5 IU/ml~15 IU/mlもしくはおよそ5 IU/ml~およそ15 IU/ml、または10 IU/ml~50 IU/mlもしくはおよそ10 IU/ml~およそ50 IU/mlである。特定の態様において、IL-15の濃度は、1 IU/ml、2 IU/ml、3 IU/ml、4 IU/ml、5 IU/ml、6 IU/ml、7 IU/ml、8 IU/ml、9 IU/ml、10 IU/ml、11 IU/ml、12 IU/ml、13 IU/ml、14 IU/ml、15 IU/ml、20 IU/ml、25 IU/ml、30 IU/ml、40 IU/ml、50 IU/ml、100 IU/ml、もしくは200 IU/ml、またはおよそ1 IU/ml、およそ2 IU/ml、およそ3 IU/ml、およそ4 IU/ml、およそ5 IU/ml、およそ6 IU/ml、およそ7 IU/ml、およそ8 IU/ml、およそ9 IU/ml、およそ10 IU/ml、およそ11 IU/ml、およそ12 IU/ml、およそ13 IU/ml、およそ14 IU/ml、およそ15 IU/ml、およそ20 IU/ml、およそ25 IU/ml、およそ30 IU/ml、およそ40 IU/ml、およそ50 IU/ml、およそ100 IU/ml、もしくはおよそ200 IU/mlである。特定の態様において、IL-15の濃度は、20 IU/mlまたはおよそ20 IU/mlである。
【0132】
いくつかの態様において、無血清培地は濃縮培地配合物である。いくつかの態様において、無血清培地は濃縮培地配合物ではない。いくつかの態様において、無血清培地は、2倍~100倍またはおよそ2倍~およそ100倍濃縮される。いくつかの態様において、無血清培地は、10倍またはおよそ10倍の配合物である。いくつかの態様において、無血清培地は、2℃~8℃またはおよそ2℃~8℃で貯蔵することができる。
【0133】
いくつかの態様において、培地は、L-グルタミン、グルタミンのジペプチド形態、またはグルタミンの他の形態のさらなるサプリメントなしに少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日またはそれ以上の間、細胞を培養することができる。
【0134】
いくつかの態様において、無血清培地は、L-グルタミン、グルタミンのジペプチド形態、またはグルタミンの他の形態のさらなるサプリメントなしに少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日またはそれ以上の間、細胞拡大増殖を促進することができる。
【0135】
いくつかの態様において、無血清培地は細胞の拡大増殖を支持または促進する。いくつかの態様において、培地は細胞の生存性を支持または促進する。いくつかの態様において、培地は細胞の活性化を支持または促進する。
【0136】
いくつかの態様において、細胞は免疫細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は初代免疫細胞を含む。いくつかの態様において、初代免疫細胞は遺伝子操作された細胞を含む。いくつかの態様において、初代免疫細胞はT細胞を含む。いくつかの態様において、初代免疫細胞はCD4および/またはCD8 T細胞を含む。いくつかの態様において、CD4および/またはCD8 T細胞は、遺伝子操作されたT細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、組換え受容体(例えば、キメラ抗原受容体)を発現するように遺伝子操作されている。いくつかの態様において、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞を含む。
【0137】
いくつかの態様において、無血清培地は、細胞の生存性、拡大増殖、および/または活性化を支持または促進し、ここで、無血清培地で培養された細胞は、約5~10% (v/v)のヒト血清を含有する培地などの血清含有培地で培養された細胞と同等の機能特性(例えば、生存性、拡大増殖およびサイトカインの産生)を達成する。
【0138】
D. 無血清培地の調製の方法
いくつかの態様において、無血清培地配合物を調製するための方法であって、(a) 細胞培養中にグルタミンの遊離形態(例えば、L-グルタミン)に変換されることができる合成アミノ酸を含む基礎培地と; (b) グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含む第1のサプリメントであって、L-グルタミンがその成分になった後かつ組み合わせる前の少なくとも一部の時間、凍結された該第1のサプリメントとを組み合わせる段階を含む、該方法が提供される。いくつかの態様において、合成アミノ酸は、L-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)である。いくつかの態様において、基礎培地は無血清である。いくつかの態様において、基礎培地は液体配合物であり、かつ/または組み合わせる前に凍結されていない、および/または貯蔵保管時に凍結されることが商業的プロトコルでは推奨されていない。いくつかの態様において、第1のサプリメントは、L-グルタミンがその成分になった後かつ基礎培地と組み合わせる前の大部分の時間、凍結された。いくつかの態様において、第1のサプリメントは、組み合わせる前に凍結および解凍された。
【0139】
いくつかの態様において、第1のサプリメントは、基礎培地と組み合わされる前に、1週間以下またはおよそ1週間以下、例えば6、5、4、3、2、もしくは1日以下またはおよそ6、5、4、3、2、もしくは1日以下、一般に12時間、6時間、2時間、1時間もしくは30分以下またはおよそ12時間、6時間、2時間、1時間もしくは30分以下、液体配合物として解凍される。いくつかの態様において、L-グルタミンを含有する第1のサプリメントは、短時間(6、12、16、24、36、48時間以内など)または組み合わせる直前に凍結保存される。いくつかの態様において、L-グルタミンを含有する第1のサプリメントは、基礎培地と組み合わされる前の48、24、16、12、8、4、もしくは2時間以下またはおよそ48、24、16、12、8、4、もしくは2時間以下の間、液体配合物であった。いくつかの態様において、合成アミノ酸はL-グルタミンのジペプチドである。いくつかの態様において、合成アミノ酸はL-アラニル-L-グルタミンである。
【0140】
いくつかの態様において、無血清培地配合物は、90%~98.75% (v/v)またはおよそ90%~98.75% (v/v)の基礎培地と、1.25%~10% (v/v)またはおよそ1.25%~10% (v/v)の第1のサプリメントとを含む。いくつかの態様において、無血清培地配合物は、90%~97.5% (v/v)またはおよそ90%~97.5% (v/v)の基礎培地と、1.25%~5% (v/v)またはおよそ1.25%~5% (v/v)の第1のサプリメントとを含む。いくつかの態様において、無血清培地配合物は、95% (v/v)またはおよそ95% (v/v)の基礎培地と、2.5%±0.2% (v/v)またはおよそ2.5%±0.2% (v/v)、例えば2.5% (v/v)またはおよそ2.5% (v/v)の、第1のサプリメントとを含む。いくつかの態様において、1リットルの基礎培地に、25ミリリットルまたはおよそ25ミリリットルの第1のサプリメントが補充される。
【0141】
いくつかの態様において、本方法は、第2のサプリメントを組み合わせる段階をさらに含む。いくつかの態様において、第2のサプリメントは、1つまたは複数の抗酸化剤、1つまたは複数のアルブミンまたはアルブミン代替物、1つまたは複数の脂質剤、1つまたは複数のインスリンまたはインスリン代替物、1つまたは複数のトランスフェリンまたはトランスフェリン代替物、1つまたは複数の微量元素、および1つまたは複数のグルココルチコイドを含む、上記のいずれかのような、1つまたは複数のさらなる構成成分を含む。第2のサプリメントの例示的な構成成分は前述されている。
【0142】
いくつかの態様において、第2のサプリメントは、アルブミン、N-アセチルシステイン(NAC)およびエタノールアミンを含む。いくつかの態様において、第2のサプリメントは、アルブミン、N-アセチルシステイン(NAC)およびエタノールアミンを含み、ここでアルブミン、NACおよび/またはエタノールアミンの濃度は、第2のサプリメントが基礎培地(本明細書において記述されるものなど)と組み合わされた後に、アルブミン、NACおよび/またはエタノールアミンの濃度が、本明細書において記述されるように実質的に同じであるようなものである。いくつかの態様において、アルブミンはヒト由来のアルブミンである。いくつかの態様において、アルブミンは、ヒト血漿または血清からのヒト由来アルブミンである。いくつかの態様において、第2のサプリメントは液体であり、グルタミンの遊離形態(すなわち、L-グルタミン)を含まないか、またはその有意な量を含まない。
【0143】
いくつかの態様において、第2のサプリメントは、OpTmizer(登録商標)サプリメント(Thermofisher, A1048503の一部)を含む。
【0144】
いくつかの態様において、第2のサプリメントは液体である。いくつかの態様において、第2のサプリメントは貯蔵のために凍結されないか、または凍結されることが推奨されない。いくつかの態様において、無血清培地配合物は、1.25%~5% (v/v)もしくはおよそ1.25%~およそ5% (v/v)、例えば2.5%±0.2%もしくはおよそ2.5%±0.2%、例えば2.5%もしくはおよそ2.5%、または2.6%もしくはおよそ2.6%の第2のサプリメントを含む。いくつかの態様において、1リットルの基礎培地に、約26ミリリットルの第2のサプリメントが補充される。
【0145】
いくつかの態様において、無血清培地配合物は、90%~97.5% (v/v)またはおよそ90%~およそ97.5% (v/v)の基礎培地、1.25%~5% (v/v)またはおよそ1.25%~およそ5% (v/v)の第1のサプリメント、および1.25%~5% (v/v)またはおよそ1.25%~およそ5% (v/v)の第2のサプリメントを含む。いくつかの態様において、無血清培地配合物は、95% (v/v)またはおよそ95% (v/v)の基礎培地、2.5%±0.2% (v/v)またはおよそ2.5%±0.2% (v/v)の第1のサプリメント、および2.5%±0.2% (v/v)またはおよそ2.5%±0.2% (v/v)の第2のサプリメントを含む。
【0146】
II. 細胞組成物を産生および調製するための方法
いくつかの態様において、提供される無血清培地は、T細胞などの免疫細胞を含む細胞の活性化、形質導入、拡大増殖、培養または増殖の1つまたは複数に関連する、細胞を培養するための方法において用いることができる。いくつかの態様において、無血清培地の存在下で細胞を培養するための提供される方法は、遺伝子操作されたT細胞などの遺伝子操作された細胞を作製または産生するためのプロセスの一部として実行することができる。いくつかの態様において、細胞は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20日間、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20日間、提供される無血清培地で培養される。いくつかの態様において、細胞は、それぞれ両端を含めて、2~3日、3~4日、4~5日、5~6日、6~7日、7~8日、8~9日、9~10日、10~11日、11~12日、12~13日、13~14日、14~15日、15~16日、16~17日、17~18日、18~19日、もしくは19~20日間、または約2~3日、約3~4日、約4~5日、約5~6日、約6~7日、約7~8日、約8~9日、約9~10日、約10~11日、約11~12日、約12~13日、約13~14日、約14~15日、約15~16日、約16~17日、約17~18日、約18~19日、もしくは約19~20日間培養される。いくつかの態様において、細胞は約37℃で培養される。いくつかの態様において、細胞は5% CO2/95%空気雰囲気中で培養される。いくつかの態様において、培養は、細胞培養時に培地を交換せずに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20日以上、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20日以上の間、実行することができる。いくつかの態様において、細胞の培養に関連して、半連続的灌流のような、灌流の方法を利用することができる。
【0147】
いくつかの態様において、細胞は初代細胞である。いくつかの態様において、細胞は免疫細胞または濃縮免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞であるかまたはT細胞が濃縮されている。いくつかの態様において、細胞はCD4+ T細胞または濃縮CD4+ T細胞である。いくつかの態様において、細胞はCD8+ T細胞または濃縮CD8+ T細胞である。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作された細胞または遺伝子操作された細胞の濃縮集団を含む。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作されるまたは遺伝子操作されている細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作されるまたは遺伝子操作されている細胞の濃縮集団を含む。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作されたT細胞または遺伝子操作されたT細胞の濃縮集団を含む。いくつかの態様において、細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞または濃縮CAR発現T細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は以前に凍結保存されている。いくつかの態様において、細胞は無血清培地中で培養され、培養後に凍結保存されている。いくつかの態様において、細胞は腫瘍細胞を特異的に標的化する。
【0148】
いくつかの態様において、細胞の培養、拡大増殖または増殖のためといった、細胞を培養するための方法が本明細書において提供される。いくつかの態様において、本方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくはそれ以上、またはおよそ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくはそれ以上の日数の間の、1つまたは複数の他のサイトカインまたは試薬を任意で有してもよい無血清培地の存在下での培養後などに、細胞を、少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍もしくはそれ以上、または少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍もしくはそれ以上拡大増殖させるために実行される。いくつかの態様において、細胞は、無血清培地配合物中で約5~6日間の培養後に少なくとも約5倍、10倍、20倍、30倍、40倍もしくは50倍またはそれ以上拡大増殖する。いくつかの態様において、拡大増殖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくはそれ以上の日数、またはおよそ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくはそれ以上の日数の間の培養後などに、同じ条件下での血清含有培地による培養と比較して同等であるか、または改善されている。
【0149】
いくつかの態様において、細胞の活性化、形質導入、培養、拡大増殖または増殖に関連するものなど、培養のための提供される方法に関連して、無血清培地はさらに1つもしくは複数のサイトカインを含有し、および/または培養は1つもしくは複数のサイトカインの存在下で実行される。いくつかの態様において、1つもしくは複数のサイトカインは、IL-2、IL-7およびIL-15から選択される。いくつかの態様において、細胞はT細胞である。いくつかの態様において、細胞はCD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞である。いくつかの態様において、細胞は遺伝子操作されたT細胞である。
【0150】
いくつかの態様において、提供される方法は、細胞療法の製造、作製、または産生に関与する1つまたは複数の段階またはプロセスに関連して用いられる。いくつかの態様において、細胞療法は、キメラ抗原受容体などの組換え受容体で操作された、T細胞などの細胞、例えばCAR T細胞を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の段階は、細胞の単離、分離、選択、活性化もしくは刺激、形質導入、培養、拡大増殖、洗浄、懸濁、希釈、濃縮、および/または製剤化を含む。いくつかの態様において、細胞療法を作製または産生する方法は、対象から細胞を単離する段階、調製する段階、処理する段階、1つまたは複数の刺激条件の下で培養する段階を含む。いくつかの態様において、本方法は、以下の順序: 細胞、例えば初代細胞を最初に、生物学的サンプルから単離し、例えば選択しまたは分離し; 選択された細胞を、任意で刺激試薬の存在下で単離された細胞を刺激する段階の後に、形質導入のためにウイルスベクター粒子と共にインキュベートする順序で実行される処理する段階; 細胞を拡大増殖させるためになど、形質導入された細胞を培養する段階; 形質導入された細胞を組成物に製剤化する段階および組成物を生体医用材料容器の中に導入する段階を含む。いくつかの態様において、作製された操作細胞は、凍結保存の前または後に、同じ対象に再導入される。いくつかの態様において、上記の段階のいずれか1つまたは複数は、無血清培地の存在下で実行することができる。
【0151】
いくつかの態様において、1つまたは複数の処理する段階は、(a) 細胞を含有する生体サンプル(例えば、全血サンプル、バフィーコートサンプル、末梢血単核細胞(PBMC)サンプル、未分画T細胞サンプル、リンパ球サンプル、白血球サンプル、アフェレーシス産物、または白血球アフェレーシス産物)を洗浄する段階; (b) 例えば、免疫親和性に基づく分離のための選択試薬または免疫親和性試薬との細胞のインキュベーションにより、サンプルから細胞の所望の細胞サブセットまたは集団(例えば、CD4+および/またはCD8+ T細胞)を単離する段階、例えば選択する段階; (c) 例えば単離された、例えば選択された細胞を、組換え受容体をコードするウイルスベクター粒子と共にインキュベートすることにより、組換え受容体、例えばCARをコードする作用物質を、単離されたまたは選択された細胞に導入する段階; (d) 例えば記述されている方法を用いて、細胞を培養する段階(culturing)、培養する段階(cultivating)、または拡大増殖する段階; ならびに(e) 例えば薬学的に許容される緩衝液、凍結保存剤または他の適当な培地中に、形質導入された細胞を製剤化する段階、の1つまたは複数を含むことができる。いくつかの態様において、本方法はさらに、(f) ウイルスベクター粒子との細胞のインキュベーションの前、間および/または後に実施することができる刺激条件に細胞を曝露することにより細胞を刺激する段階、を含むことができる。いくつかの態様において、例えば細胞の希釈、濃縮および/または緩衝液交換のための、洗浄または懸濁段階の1つまたは複数のさらなる段階は、上記の段階のいずれかの前または後に実行することもできる。いくつかの局面において、結果的に得られる操作された細胞組成物は、1つまたは複数の生体医用培養容器に導入される。いくつかの態様において、上記の段階のいずれか1つまたは複数は、無血清培地の存在下で実行することができる。
【0152】
いくつかの態様において、細胞療法を製造、作製または産生するためのプロセスは、プロセスの後続の段階を実行する前に、総T細胞、例えばCD3+またはCD4+/CD8+ T細胞が単離または選択される段階を含む。
【0153】
いくつかの態様において、細胞療法を製造、作製または産生するためのプロセスは、CD4+およびCD8+細胞を別々に単離し、次いで組換え受容体、例えばCARを細胞に導入する段階の前に一緒に混合する段階を含む。いくつかの態様において、CD4+およびCD8+細胞は、組換え受容体をコードする作用物資の導入および/または遺伝子操作された細胞を産生するための後続の処理段階の1つもしくは複数の前に、1:5~5:1もしくはおよそ1:5~およそ5:1、例えば1:3~3:1もしくはおよそ1:3~およそ3:1、1:2~2:1もしくはおよそ1:2~およそ2:1、または1:1もしくはおよそ1:1のCD4+対CD8+細胞の比率で混合される。
【0154】
いくつかの態様において、細胞療法を製造、作製または産生するためのプロセスは、CD4+およびCD8+ T細胞を別々に単離する段階、ならびに選択または単離されたCD4+ T細胞に対して1つまたは複数の後続の段階を別々に実行する段階、および選択または単離されたCD8+ T細胞に対して1つまたは複数の後続の段階を別々に実行する段階を含む。そのような態様の局面において、形質導入された細胞、例えば、CARなどの組換え受容体で遺伝子操作されたCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の別々の組成物は、細胞を製剤化する段階の前に単一の組成物として一緒に組み合わせることができる。そのような態様の他の局面において、形質導入された細胞、例えば、CARなどの組換え受容体で遺伝子操作されたCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の別々の組成物は、対象への別々の投与などのため、別々に製剤化される。
【0155】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞を調製または産生するための提供される方法は、例えば、養子細胞療法における臨床使用のための細胞の調製における1つの、複数の、または全ての段階が、細胞を無菌条件に曝露することなく、および無菌室またはキャビネットを用いる必要なく実行されるように実行される。そのようなプロセスのいくつかの態様において、細胞は、全て閉鎖システム内で、単離され、分離または選択され、形質導入され、洗浄され、任意で活性化または刺激され、および製剤化される。そのようなプロセスのいくつかの局面において、細胞は、閉鎖システムから発現され、1つまたは複数の生体材料容器に導入される。いくつかの態様において、本方法は自動化された方法で実行される。いくつかの態様において、閉鎖されたシステムまたは装置とは別に、1つまたは複数の段階が実行される。
【0156】
いくつかの態様において、閉鎖システムは、細胞療法を製造、作製または産生するための方法の1つまたは複数の他の処理段階を実行するために用いられる。ある種の態様において、単離または分離は、方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化段階の1つまたは複数を実行するシステム、装置、または機器を用いて実行される。いくつかの局面において、システムは、例えば、誤り、ユーザーによる取り扱いおよび/または混入を最小限に抑えるために、閉鎖環境または無菌環境においてこれらの各段階を実行するために用いられる。いくつかの態様において、形質導入および操作に関連する処理段階、例えば、単離、選択および/または濃縮、処理、インキュベーションの1つもしくは複数または全て、ならびに製剤化段階は、統合型もしくは自己完結型のシステムで、および/または自動化されたもしくはプログラム可能な方法でシステム、装置、または機器を用いて実行される。いくつかの局面において、システムまたは機器は、システムまたは装置と通信するコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、これにより、ユーザーは、処理、単離、操作、および製剤化段階の結果をプログラムする、制御する、評価する、ならびに/または処理、単離、操作、および製剤化段階の様々な局面を調整することが可能になる。一例を挙げれば、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003、またはUS 20110003380 A1に記述されているシステムである。いくつかの態様において、システムまたは装置は、細胞を処理するための1つまたは複数の段階を実行するためなどの、遠心分離チャンバーを含む。一例を挙げれば、システムは、国際公開番号WO2016/073602に記述されているシステムである。
【0157】
A. サンプルからの細胞の単離または選択
いくつかの態様において、処理段階は、特定の疾患もしくは状態を有する対象、または細胞療法を必要とする対象、または細胞療法が施される対象などの対象から得られるかまたはそのような対象に由来するものなどの生体サンプルからの、細胞またはその組成物の単離を含む。いくつかの局面において、対象は、細胞が単離、処理、および/または操作される、養子細胞療法などの特定の治療的介入を必要とする患者である対象などの、ヒトである。したがって、いくつかの態様における細胞は初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。いくつかの態様において、細胞はCD4+およびCD8+ T細胞を含む。いくつかの態様において、細胞はCD4+またはCD8+ T細胞を含む。
【0158】
いくつかの態様において、組換えタンパク質をコードする核酸などの核酸は、異種である。すなわち、細胞または細胞から得られたサンプル中には通常存在せず、例えば、操作される細胞および/またはそのような細胞の由来となる生物には通常見いだされない、別の生物または細胞から得られたものである。ある態様では、該核酸は天然には存在せず、例えば、複数の異なる細胞タイプからの様々なドメインをコードする核酸のキメラの組み合わせを含むものなど、天然には見られない核酸である。
【0159】
細胞は、通常、真核生物細胞、例えば哺乳動物細胞であり、典型的に、ヒト細胞である。いくつかの態様において、細胞は、血液、骨髄、リンパもしくはリンパ器官由来であるか、または免疫系の細胞、例えば自然もしくは適応免疫の細胞、例えば骨髄もしくは典型的にはT細胞および/もしくはNK細胞であるリンパ球を含むリンパ細胞である。他の例示的な細胞は、幹細胞、例えば複能性および多能性幹細胞を含み、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む。細胞は典型的に、初代細胞、例えば対象から直接単離されたおよび/または対象から単離され凍結された細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば、総T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞およびそれらのサブ集団、例えば機能、活性化状態、成熟度、分化、拡大増殖、再循環、局在化および/もしくは持続性に関する能力、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロフィール、ならびに/または分化度により定義されるものを含む。処置される対象に関して、細胞は、同種および/または自己であり得る。方法は特に、既製の方法を含む。いくつかの局面において、例えば既製の技術に関して、細胞は、多能性および/または複能性細胞、例えば幹細胞、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの態様において、方法は、対象から細胞を単離する工程、それらを調製、処理、培養および/または改変する工程、ならびに凍結保存の前または後にそれらを同一対象に再導入する工程を含む。
【0160】
特に、T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+ T細胞のサブタイプおよびサブ集団は、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそれらのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未成熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然および適応調節性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞である。
【0161】
いくつかの態様において、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、単球または顆粒球、例えば骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球および/または好塩基球である。
【0162】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それにより、核酸の組換え型または遺伝子改変型産物を発現する。ある態様では、核酸は異種であり、すなわち、細胞または細胞から得られたサンプル中には通常存在せず、例えば、操作される細胞および/またはそのような細胞の由来となる生物には通常見いだされない、別の生物または細胞から得られたものである。ある態様では、該核酸は天然には存在せず、例えば、複数の異なる細胞タイプからの様々なドメインをコードする核酸のキメラの組み合わせを含むものなど、天然には見られない核酸である。
【0163】
いくつかの態様において、操作された細胞の調製は、1回または複数回の培養および/または調製工程を含む。それら工程のいくつかまたは全ては、本願明細書に記載されるように無血清培地の存在下で行われる。CARなどのトランスジェニック受容体をコードする核酸を導入するための細胞は、試料、例えば生物学的試料、例えば対象から得られたまたは対象由来のものから単離され得る。いくつかの態様において、細胞を単離する対象は、疾患もしくは状態を有する者または細胞療法を必要とする者または細胞療法を受けるであろう者である。
【0164】
試料は、組織、体液および対象から直接採取された他の試料ならびに1つまたは複数の処理工程、例えば分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターを用いた形質導入)、洗浄および/またはインキュベートから得られる試料を含む。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られる試料または処理された試料であり得る。生物学的試料は、それら由来の処理された試料を含む、体液、例えば血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および器官試料を含むがこれらに限定されない。
【0165】
いくつかの局面において、試料は、血液もしくは血液由来試料である、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるもしくはそれ由来である。例示的な試料は、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、頸部、精巣、卵巣、扁桃腺もしくは他の器官、および/またはそれら由来の細胞を含む。試料は、細胞療法、例えば養子細胞療法に関して、自己および同種源由来の細胞を含む。
【0166】
いくつかの例において、細胞は対象の循環血から、例えばアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面において、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球および/または血小板を含むリンパ球を含み、いくつかの局面において、赤血球および血小板以外の細胞を含む。
【0167】
いくつかの態様において、対象から回収された血液細胞は、例えば血漿画分を除去するためおよび細胞をその後の処理工程のための適当な緩衝液または培地に入れるために洗浄される。いくつかの態様において、細胞は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの態様において、洗浄溶液は、カルシウムおよび/もしくはマグネシウムならびに/または多くのもしくは全ての二価カチオンを含まない。いくつかの局面において、洗浄工程は、半自動化「フロースルー」型遠心分離装置(例えば、Cobe 2991細胞処理装置、Baxter)を製造元の指示に従って用いて達成される。いくつかの局面において、洗浄工程は、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を製造元の指示に従って用いて達成される。いくつかの態様において、細胞は、洗浄後に様々な生体適合性緩衝液、例えばCa++/Mg++非含有PBSに再懸濁される。特定の態様において、血液細胞試料の成分は除去され、細胞は培養培地に直接再懸濁される。
【0168】
いくつかの態様では、調製方法は、分離、選択および/または濃縮、および/または形質導入と遺伝子操作のためのインキュベーションの前または後のいずれかに、細胞を凍結する、例えば凍結保存するための工程を含む。ある態様では、凍結とその後の解凍工程により、細胞集団中の顆粒球と、ある程度は単球が除去される。ある態様では、例えば血漿および血小板を除去する洗浄工程の後に、細胞を凍結溶液中に懸濁する。いくつかの局面における様々な公知の凍結溶液および凍結パラメータのどれを使用してもよい。次に、これを培地で1:1に希釈し、DMSOとHSAの最終濃度をそれぞれ10%と4%にする。その後、細胞を一般的に毎分1℃の速度で-80℃へと凍結させ、液体窒素貯蔵タンクの気相に保存する。
【0169】
いくつかの態様では、細胞または集団の分離は、1つ以上の調製および/または非アフィニティベースの細胞分離工程を含む。ある例では、細胞を洗浄し、遠心分離し、かつ/または1つまたは複数の試薬の存在下でインキュベーションして、例えば、不要な成分を除去し、所望の成分を濃縮し、特定の試薬に感受性のある細胞を溶解または除去する。ある例では、細胞を、密度、付着性、サイズ、特定の成分に対する感受性および/または耐性などの、1つ以上の特性に基づいて分離する。ある態様では、該方法は、赤血球を溶解することによる末梢血からの白血球の調製およびパーコールまたはフィコール勾配による遠心分離などの、密度に基づく細胞分離法を含む。
【0170】
いくつかの態様では、選択工程の少なくとも一部は、細胞と選択試薬とのインキュベーションを含む。選択試薬(複数可)とのインキュベーションは、例えば選択方法の一部として、1つ以上の異なる細胞タイプを選択するための1つまたは複数の選択試薬を使用して、表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸などの、1つ以上の特定の分子の細胞内または細胞上での発現または存在に基づいて行うことができる。いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づいて分離するための選択試薬(複数可)を使用する公知の方法はどれも使用することができる。ある態様では、選択試薬(複数可)は、アフィニティまたはイムノアフィニティに基づいた分離をもたらす。例えば、いくつかの局面における選択は、1つ以上のマーカー、通常は細胞表面マーカー、の細胞の発現または発現レベルに基づいて細胞および細胞集団を分離するための試薬(複数可)とのインキュベーション、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、続いて、一般的には洗浄工程、および抗体または結合パートナーに結合しなかった細胞からの抗体または結合パートナーに結合した細胞の分離を含む。いくつかの態様において、このプロセスの選択および/または他の局面は、国際特許出願公開番号WO/2015/164675に記載されるとおりである。
【0171】
前記プロセスのいくつかの局面では、ある量の細胞を、所望のアフィニティに基づくある量の選択試薬と混合する。イムノアフィニティに基づいた選択は、分離しようとする細胞と、該細胞上のマーカーに特異的に結合する分子、例えば固体表面(例えば、粒子)上の抗体または他の結合パートナーとの間の好ましいエネルギー相互作用をもたらす任意のシステムまたは方法を用いて実施することができる。ある態様では、そうした方法は、細胞のマーカーに特異的な選択試薬(例えば、抗体)でコーティングされた粒子、例えば磁性ビーズなどのビーズ、を用いて実施される。粒子(例えば、ビーズ)は、チューブまたはバッグなどの容器内で、振とうまたは混合しながら、エネルギー的に有利な相互作用を促進するのに役立つ一定の細胞密度対粒子(例えば、ビーズ)比で、細胞とインキュベーションまたは混合される。他の場合には、該方法は、選択の全てまたは一部が、例えば遠心回転下で、遠心チャンバーの内部キャビティ内で行われる、細胞の選択を含む。ある態様では、細胞と、イムノアフィニティに基づいた選択試薬などの選択試薬とのインキュベーションは、遠心チャンバー内で行われる。特定の態様では、単離または分離は、国際特許出願公開番号WO2009/072003、またはUS 20110003380 A1に記載されるシステム、デバイス、または装置を使用して実施される。一例として、そのシステムは、国際公開番号WO2016/073602に記載されるようなシステムである。
【0172】
いくつかの態様では、そのような選択工程またはその一部(例えば、抗体でコーティングされた磁性ビーズなどの粒子とのインキュベーション)を遠心チャンバーのキャビティ内で行うことにより、ユーザーは、各種溶液の量、処理中の溶液の追加、そのタイミングなどの特定のパラメータを制御することができ、これは他の利用可能な方法と比べて利点を提供し得る。例えば、インキュベーション中のキャビティ内の液体量を減らすことができると、キャビティ内の細胞の総数に影響を与えることなく、選択に使用した粒子(例えば、ビーズ試薬)の濃度、およびそれゆえに溶液の化学ポテンシャルを、高めることができる。これはひいては、処理中の細胞と選択に用いた粒子との間のペアワイズ相互作用を増強できる。いくつかの態様では、例えば、本明細書に記載のシステム、回路、および制御と関連する場合、チャンバー内でインキュベーション工程を実施することにより、ユーザーはインキュベーション中の所望の時点(複数可)で溶液の撹拌を行うことができ、これもまた、相互作用を改善し得る。
【0173】
いくつかの態様では、選択工程の少なくとも一部は遠心チャンバー内で行われ、これは細胞と選択試薬とのインキュベーションを含む。そのようなプロセスのいくつかの局面では、ある量の細胞は、所望のアフィニティに基づくある量の選択試薬と混合されるが、該選択試薬の量は、メーカーの指示に従って同数および/または同量の細胞を選択するためにチューブまたは容器で同様の選択を行うときに通常使用する量よりもはるかに少ない。いくつかの態様では、メーカーの指示に従って同数および/または同量の細胞をチューブまたは容器内でのインキュベーションで選択するために使用される同じ選択試薬(複数可)の量のわずか5%、10%、15%、20%、25%、50%、60%、70%、または80%にすぎない選択試薬(複数可)の量が使用される。
【0174】
いくつかの態様では、選択、例えば細胞のイムノアフィニティに基づいた選択のために、細胞は、選択緩衝液も含む組成物中で、チャンバーのキャビティ内において選択試薬とインキュベーションされる;該選択試薬は、例えば、濃縮または枯渇が望まれる細胞上の表面マーカーに特異的に結合するが、該組成物中の他の細胞には結合しない分子、例えば抗体であり、それは、必要に応じて、ポリマーまたは表面などの足場、例えば磁性ビーズなどのビーズに結合されていてよく、例えば、選択試薬はCD4およびCD8に特異的なモノクローナル抗体に結合された磁性ビーズである。いくつかの態様では、上述したように、選択試薬は、チューブ内で振とうまたは回転しながら選択を行う場合に同数または同量の細胞を選択するのとほぼ同じまたは同様の効率を達成するために通常使用されるか、または必要とされる選択試薬の量と比較して、実質的により少ない(例えば、該量のわずか5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%または80%にすぎない)量で、該チャンバーのキャビティ内の細胞に添加される。いくつかの態様では、インキュベーションは、例えば10mL~200mL、例えば少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mLもしくは200mL、または少なくとも約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mLもしくは200mL、または10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mLもしくは200mL、または約10mL、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約70mL、約80mL、約90mL、約100mL、約150mLもしくは約200mLの試薬のインキュベーションにより目標体積を達成するために、細胞および選択試薬に選択緩衝液を添加して行われる。ある態様では、選択緩衝液と選択試薬を事前に混合してから細胞に添加する。ある態様では、選択緩衝液と選択試薬を別々に細胞に添加する。ある態様では、選択インキュベーションは定期的な穏やかな混合条件を用いて行われ、これはエネルギー的に有利な相互作用を促進するのに役立ち、それにより、高い選択効率を達成しながら、より少ない総選択試薬の使用を可能にする。
【0175】
いくつかの態様において、選択試薬とのインキュベーションの全持続時間は、5分~6時間または約5分~約6時間、例えば30分~3時間、例えば少なくとも30分、60分、120分もしくは180分、または少なくとも約30分、60分、120分もしくは180分である。
【0176】
いくつかの態様では、インキュベーションは一般に、混合条件下で、例えば一般に比較的低い力または速度でのスピニング(回転)の存在下で行われ、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~約1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、1500rpmもしくは1700rpm、または約600rpm、約1000rpm、約1500rpmもしくは約1700rpm、または少なくとも600rpm、1000rpm、1500rpmもしくは1700rpm)の、細胞のペレット化に使用される速度よりも低い速度で、または例えば80g~100gまたは約80g~100g(例えば、80g、85g、90g、95gもしくは100g、または約80g、85g、90g、95gもしくは100g、または少なくとも80g、85g、90g、95gもしくは100g)の、サンプルへのまたはチャンバーもしくは他の容器の壁へのRCF(遠心力)で実施される。いくつかの態様では、スピンは、そのような低速でのスピンとそれに続く休止期間の繰り返される間隔とを用いて、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10秒間のスピンおよび/または休止、例えば、約1または2秒のスピンおよびその後の約5、6、7または8秒間の休止を用いて、実施される。
【0177】
いくつかの態様では、そのようなプロセスは、チャンバーが一体化されている完全に閉鎖されたシステム内で行われる。いくつかの態様では、このプロセス(およびいくつかの局面では1つ以上の追加の工程、例えば、アフェレーシスサンプルなどの細胞含有サンプルを洗浄する事前の洗浄工程)は、自動プログラムを用いて単一の閉鎖システムで洗浄および結合工程が完了するように、自動化された方法で実施され、結果として、細胞、試薬、その他の成分が適切なタイミングで該チャンバー内に引き込まれ、かつ該チャンバーから押し出されて、遠心分離が行われる。
【0178】
いくつかの態様では、細胞と選択試薬および/または試薬類とのインキュベーションおよび/または混合の後、インキュベーションされた細胞は、特定の試薬または試薬類の有無に基づいて細胞を選択するための分離工程にかけられる。ある態様では、分離は、細胞と選択試薬とのインキュベーションが行われたのと同じ閉鎖システムで行われる。ある態様では、選択試薬とのインキュベーション後、選択試薬が結合している細胞を含む、インキュベーションされた細胞は、細胞をイムノアフィニティに基づいて分離するためのシステムに移される。ある態様では、イムノアフィニティ分離用のシステムは、磁気分離カラムであるか、またはそれを含む。
【0179】
いくつかの態様において、単離方法は、1つまたは複数の特定分子、例えば表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカーまたは核酸の、細胞内での発現または存在に基づく異なる細胞型の分離を含む。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づく任意の公知の分離方法が使用され得る。いくつかの態様において、分離は、親和性または免疫親和性ベースの分離である。例えば、単離は、いくつかの局面において、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの、当該細胞による発現または発現レベルに基づく、細胞および細胞集団の分離を含み、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとインキュベートすること、ならびに通常はその後の洗浄工程および抗体または結合パートナーに結合していない細胞から抗体または結合パートナーに結合した細胞を分離することによる分離を含む。
【0180】
そのような分離工程は、試薬(例えば、抗体または結合パートナー)に結合した細胞がさらなる使用のために維持される正選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞が維持される負選択に基づき得る。いくつかの例において、両方の画分が、さらなる使用のために維持される。いくつかの局面において、負選択は、異種集団内である細胞型を特異的に特定する抗体が利用可能でない場合に特に有用であり得、分離は、望まれる集団以外の細胞により発現されるマーカーに基づき最適に実施される。
【0181】
いくつかの態様では、プロセスの工程は、インキュベーションされた細胞の負および/または正の選択をさらに含み、例えば、アフィニティに基づいた選択を行うことができるシステムまたは装置を使用する。ある態様では、分離は、正の選択による特定の細胞集団の濃縮、または負の選択による特定の細胞集団の枯渇により行われる。ある態様では、正または負の選択は、それぞれ、正または負に選択された細胞に発現された(marker+)、または比較的高いレベルで発現された(markerhigh)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する、1つまたは複数の抗体もしくは他の結合作用物質と細胞とをインキュベーションすることによって達成される。
【0182】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%濃縮または除去を必要とするものではない。例えば、特定型の細胞、例えばあるマーカーを発現する細胞の正選択または濃縮は、そのような細胞の数またはパーセンテージの増加を表すが、それはそのマーカーを発現しない細胞が完全に存在しないことを必要とするものではない。同様に、特定型の細胞、例えばあるマーカーを発現する細胞の負選択、除去または排除は、そのような細胞の数またはパーセンテージの減少を表すが、全てのそのような細胞が完全に除去されることを必要とするものではない。
【0183】
いくつかの例において、1回の工程から正または負選択された画分を、別の分離工程、例えば後続の正または負選択に供する、複数回の分離工程が実施される。いくつかの例において、1回の分離工程は、複数のマーカーを同時に発現する細胞を、例えば、各々が負選択の標的となるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、排除し得る。同様に、様々な細胞型において発現される複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型が同時に正選択され得る。
【0184】
例えば、いくつかの局面では、T細胞の特定の亜集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーについて陽性の細胞、またはそのような表面マーカーを高レベルで発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+ T細胞は、正または負の選択技術により分離される。ある態様では、そのような細胞は、これらのマーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体もしくは結合パートナーとのインキュベーションによって選択される。ある態様では、抗体または結合パートナーを、磁性ビーズまたは常磁性ビーズなどの固相支持体またはマトリックスに、例えば直接的または間接的に結合させて、選択を行うことができる。例えば、CD3+, CD28+ T細胞は、抗CD3/抗CD28結合磁性ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander、および/またはExpACT(登録商標)ビーズ)を用いて、正に選択され得る。
【0185】
特定の態様では、生物学的サンプル、例えばPBMCまたは他の白血球のサンプルが、CD4+ T細胞の選択に供され、この場合には、負画分と正画分の両方が保持される。ある特定の態様では、その負画分からCD8+ T細胞が選択される。いくつかの態様では、生物学的サンプルがCD8+ T細胞の選択に供され、この場合には、負画分と正画分の両方が保持される。ある特定の態様では、その負画分からCD4+ T細胞が選択される。
【0186】
いくつかの態様において、非T細胞、例えばB細胞、単球または他の白血球において発現されるマーカー、例えばCD14の負選択によって、T細胞がPBMC試料から分離される。いくつかの局面において、CD4+またはCD8+選択工程は、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。そのようなCD4+またはCD8+集団はさらに、1つまたは複数のナイーブ、メモリーおよび/またはエフェクターTサブ集団において発現されるかまたは相対的に高い程度発現されるマーカーについての正または負選択によってサブ集団に分類され得る。
【0187】
いくつかの態様において、CD8+細胞はさらに、例えばそれぞれのサブ集団に関連する表面抗原に基づく正または負選択によって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリーおよび/またはセントラルメモリー幹細胞について濃縮される、またはそれらを排除される。いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、効能を高めるために、例えば投与後の長期間の生存、拡大増殖および/または生着を改善するために実施され、それは、いくつかの局面において、そのようなサブ集団において特に確実である。Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82; Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照のこと。いくつかの態様において、TCM濃縮CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の混合は、効果をさらに向上させる。
【0188】
態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62L-の両サブセットに存在する。PBMCは、例えば抗CD8および抗CD62L抗体を用いて、CD62L-CD8+および/もしくはCD62L+CD8+画分について濃縮され得るまたはそれらを排除され得る。
【0189】
いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3および/またはCD127の陽性または高い表面発現に基づき、いくつかの局面において、それはCD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するまたは高度に発現する細胞についての負選択に基づく。いくつかの局面において、TCM細胞について濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の排除およびCD62Lを発現する細胞についての正選択または濃縮によって実施される。1つの局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性の画分から出発し、これがCD14およびCD45RAの発現に基づく負選択およびCD62Lに基づく正選択に供されることによって実施される。そのような選択は、いくつかの局面において、同時に実施され、他の局面においては、任意の順で順次実施される。いくつかの局面において、CD8+細胞集団またはサブ集団を調製するのに使用したのと同じCD4発現ベースの選択設定が、CD4+細胞集団またはサブ集団を生成するためにも使用され、したがってCD4ベースの分離からの陽性および陰性の両画分が維持され、任意で1回または複数回のさらなる正または負選択工程を行った後に、この方法の後続の工程において使用される。ある態様では、CD4+細胞集団の選択とCD8+細胞集団の選択は、同時に行われる。ある態様では、CD4+細胞集団の選択とCD8+細胞集団の選択は、任意の順序で、連続して行われる。ある態様では、細胞を選択する方法は、公開された米国特許出願第US20170037369号に記載される方法を含むことができる。ある態様では、選択されたCD4+細胞集団と選択されたCD8+細胞集団は、選択工程後に組み合わせることができる。いくつかの局面では、選択されたCD4+細胞集団と選択されたCD8+細胞集団は、バッグなどの容器内で組み合わされる。
【0190】
特定の例では、PBMCのサンプルまたは他の白血球サンプルがCD4+細胞の選択に供され、この場合には、負画分と正画分の両方が保持される。次に、その負画分は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づいて負の選択に供され、かつCD62LまたはCCR7などのセントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカーに基づいて正の選択に供される;この場合、正の選択と負の選択は任意の順序で行われる。
【0191】
CD4+ Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞およびエフェクター細胞に分類される。CD4+リンパ球は、標準的な方法によって取得され得る。いくつかの態様において、ナイーブCD4+ Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞である。いくつかの態様において、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様において、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0192】
1つの例において、負選択によりCD4+細胞について濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは典型的に、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、正および/または負選択により細胞を分離できるよう、固体支持体またはマトリックス、例えば磁気ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。例えば、いくつかの態様において、細胞および細胞集団は、(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher (著作権) Humana Press Inc., Totowa, NJで概説されている)免疫磁気(または親和性磁気)分離技術を用いて分離または単離される。
【0193】
いくつかの局面において、分離される細胞の、インキュベートされた試料または組成物は、小さな、磁化可能なまたは磁気反応性の材料、例えば磁気反応粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynabeadsまたはMACS(登録商標)ビーズ)を含む選択試薬と共にインキュベートされる。磁気反応性材料、例えば粒子は、通常、分離が望まれる、例えば負または正選択されることが望まれる、細胞、細胞群または細胞集団に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に、直接的または間接的に付着される。
【0194】
いくつかの態様において、磁気粒子またはビーズは、特異的結合メンバー、例えば抗体または他の結合パートナーに結合された磁気反応性材料を含む。多くの周知の磁気反応性材料が、磁気分離方法において使用される。適当な磁気粒子は、参照により本明細書に組み入れられるMoldayの米国特許第4,452,773号および欧州特許明細書EP 452342 Bに記載されるものを含む。コロイド状のサイズ指定された粒子、例えばOwenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されるものが、他の例である。
【0195】
インキュベートは通常、磁気粒子またはビーズに付着された、抗体もしくは結合パートナーまたはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば二次抗体もしくは他の試薬が、試料中の細胞上に存在する場合に細胞表面分子に特異的に結合する条件下で、実施される。
【0196】
特定の態様において、磁気反応性粒子は、一次抗体もしくは他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素またはストレプトアビジンでコーティングされる。特定の態様において、磁気粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを通じて細胞に付着される。特定の態様において、ビーズではなく細胞が、一次抗体または結合パートナーによって標識され、次いで細胞型特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)でコーティングされた磁気粒子が添加される。特定の態様において、ストレプトアビジンコーティングされた磁気粒子が、ビオチニル化された一次または二次抗体と組み合わせて使用される。
【0197】
いくつかの局面において、分離以下の手順で達成される:試料は磁場に置かれ、磁気反応性または磁化可能粒子が付着された細胞は、磁石に誘引され、非標識細胞から分離される。正選択の場合、磁石に誘引される細胞が維持され、負選択の場合、誘引されない細胞(非標識細胞)が維持される。いくつかの局面において、同じ選択工程の間に正および負選択の組み合わせが実施され、正および負画分が維持され、さらに処理されるかまたはさらなる分離工程に供される。
【0198】
いくつかの態様において、親和性ベースの選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)を通じた選択である。磁気活性化細胞選別(MACS)(例えば、CliniMACS)システムは、磁化粒子が付着した細胞の高純度選択を実現する。特定の態様において、MACSは、外部磁場の適用後に非標的種および標的種が順次溶出される様式で動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞はその場で維持され、非付着種が溶出する。次いで、この第1の溶出工程が完了した後に、磁場内で捕捉され溶出を妨げられていた種が、溶出し回収され得るように何らかの様式で自由にされる。特定の態様において、非標的細胞は、標識され、異種細胞集団から排除される。
【0199】
いくつかの態様において、磁気反応性粒子は、その後にインキュベート、培養および/または改変される細胞に付着したまま維持され、いくつかの局面において、粒子は、患者に投与するための細胞に付着したまま維持される。いくつかの態様において、磁化可能または磁気反応性粒子は、細胞から除去される。細胞から磁化可能粒子を除去する方法は公知であり、例えば、競合する非標識抗体、磁化可能粒子または切断可能なリンカーにコンジュゲートされた抗体等の使用を含む。いくつかの態様において、磁化可能粒子は、生分解性である。
【0200】
いくつかの局面において、分離および/または他の工程は、例えば、閉鎖滅菌システムにおける臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。構成要素は、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプおよび様々なピンチ弁を含み得る。統合コンピュータは、いくつかの局面において、機器の全ての構成要素を制御し、繰り返される手順を標準化された順でシステムに実施させる。磁気分離ユニットは、いくつかの局面において、可動式永久磁石および選択カラム用ホルダーを含む。蠕動ポンプは、配管一式を通じて流速を制御し、ピンチ弁と共に、システムを通る緩衝液の流れの制御および細胞の継続的な分離を確実にする。
【0201】
CliniMACSシステムは、いくつかの局面において、滅菌、非発熱性溶液で供給される抗体結合磁化可能粒子を使用する。いくつかの態様において、細胞が磁気粒子で標識された後、過剰な粒子を除去するために細胞は洗浄される。その後、細胞調製バッグが配管一式に接続され、これがさらに緩衝液を含むバッグおよび細胞回収バッグに接続される。配管一式は、プレカラムおよび分離カラムを含む組み立て済み滅菌管からなり、一回使いきりである。分離プログラムの開始後、システムは自動的に細胞試料を分離カラムに投入する。標識された細胞はカラム内で維持され、非標識細胞は一連の洗浄工程によって除去される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法において使用される細胞集団は標識されず、カラム内で維持されない。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法において使用される細胞集団は標識され、カラム内で維持される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法において使用される細胞集団は、磁場の除去後にカラムから流出され、細胞回収バッグに回収される。
【0202】
特定の態様において、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を用いて実施される。CliniMACS Prodigyシステムは、いくつかの局面において、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを装備している。CliniMACS Prodigyシステムはまた、オンボードカメラおよび巨視的なソース細胞産物の層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する画像認識ソフトウェアを含み得る。例えば、末梢血は、自動的に赤血球、白血球および血漿層に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、細胞培養プロトコル、例えば細胞の分化および拡大増殖、抗原添加および長期的細胞培養を行う統合型細胞培養チャンバーを含み得る。投入口は、培地の無菌的除去および補充を可能にし得、細胞は統合型顕微鏡を用いてモニターされ得る。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakuraet al. (2012) Blood.1:72-82、およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照のこと。
【0203】
いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団は、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体の流れで運搬されるフローサイトメトリーを通じて、回収および濃縮(または排除)される。いくつかの態様において、本明細書に記載される細胞集団は、調製目的(FACS)選別を通じて回収および濃縮(または排除)される。特定の態様において、本明細書に記載される細胞集団は、FACSベースの検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって回収および濃縮(または排除)される(例えば、WO 2010/033140、Cho et al. (2010) Lab Chip 10, 1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照のこと)。両方の例において、細胞は、十分に定義されたT細胞サブセットの高純度の単離が可能なように複数のマーカーで染色され得る。
【0204】
いくつかの態様において、抗体また結合パートナーは、正および/または負選択のための分離を容易にするために、1つまたは複数の検出マーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識された抗体への結合に基づき得る。いくつかの例において、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば調製目的(FACS)を含む蛍光活性化細胞選別(FACS)および/または例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップによって、流体の流れの中で実施される。そのような方法は、複数のマーカーに基づく同時の正および負選択を可能にする。
【0205】
B. 細胞の活性化および刺激
いくつかの態様では、1つまたは複数の処理工程は、選択された細胞集団などの、分離された細胞を刺激する工程を含む。インキュベーションは、遺伝子操作(例えば、上記の形質導入法の態様から生じる遺伝子操作)の前であってもよいし、それに関連していてもよい。ある態様では、刺激は、例えば形質導入の前に、細胞の活性化および/または増殖をもたらす。
【0206】
いくつかの態様では、該処理工程は、選択された細胞などの、細胞のインキュベーションを含み、インキュベーション工程は、細胞の培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、および/または増殖を含むことができる。インキュベーションおよび/または遺伝子操作は、培養容器、例えば、ユニット、チャンバー、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養するための他の容器で実施され得る。ある態様では、組成物または細胞を刺激条件または刺激剤の存在下でインキュベーションする。そのような条件には、集団内の細胞の増殖、活性化および/または生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、かつ/または組換え抗原受容体の導入などの遺伝子操作のために細胞をプライミングするように計画された条件が含まれる。
【0207】
いくつかの態様では、刺激および/または活性化の条件は、以下の1つまたは複数を含み得る:特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質。
【0208】
いくつかの態様では、刺激条件または刺激剤は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを刺激または活性化することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面では、その作用物質は、T細胞においてTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードをオンにするか、または該カスケードを開始する;そのような作用物質は、例えばITAM誘発シグナルの活性化を開始するために、一次シグナルを伝達するのに適した作用物質、TCRの成分に特異的なもの、例えば抗CD3、および/または共刺激シグナルを促進する作用物質、T細胞共刺激受容体に特異的なもの、例えばビーズなどの固相支持体に結合された抗CD28もしくは抗4-1BB、および/または1種以上のサイトカインなどである。刺激剤の中には、抗CD3/抗CD28ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander、および/またはExpACT(登録商標)ビーズ)がある。必要に応じて、拡大増殖方法は、培養培地に抗CD3および/または抗CD28抗体を加える工程をさらに含んでもよい。いくつかの態様では、刺激剤は、IL-2、IL-7および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10単位/mL、少なくとも約50単位/mL、少なくとも約100単位/mLまたは少なくとも約200単位/mLのIL-2濃度を含む。
【0209】
条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するよう設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含み得る。
【0210】
いくつかの局面において、インキュベートは、Riddellらに対する米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakuraet al. (2012) Blood.1:72-82および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されるような技術に従って実施される。
【0211】
いくつかの態様において、T細胞は、培養開始組成物にフィーダー細胞、例えば非分裂末梢血単核細胞(PBMC)を(例えば、得られる細胞集団が、拡大増殖しようとする初期集団内の各Tリンパ球につき少なくとも約5、10、20もしくは40個またはそれ以上のPBMCフィーダー細胞を含むように)添加し、培養物を(例えば、T細胞数が拡大増殖されるのに十分な時間)インキュベートすることによって拡大増殖される。いくつかの局面において、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ線照射されたPBMCフィーダー細胞を含み得る。いくつかの態様において、PBMCは、細胞分裂を防ぐために、約3000~3600ラドの範囲のガンマ線で照射される。いくつかの局面において、フィーダー細胞は、T細胞集団の添加前に培養培地に添加される。
【0212】
いくつかの態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適した温度、例えば、少なくとも摂氏約25度、通常少なくとも約30度、および通常摂氏37度もしくは約37度を含む。任意で、インキュベートはさらに、フィーダー細胞としての非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)の添加を含み得る。LCLは、約6000~10,000ラドの範囲のガンマ線で照射され得る。LCLフィーダー細胞は、いくつかの局面において、任意の適当な量、例えば少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞 対 初期Tリンパ球の比率で提供される。
【0213】
いくつかの態様において、抗原特異的T細胞、例えば抗原特異的CD4+および/またはCD8+ T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的T細胞株またはクローンは、サイトメガロウイルス抗原に対して、感染対象からT細胞を単離し、細胞をインビトロで同抗原によって刺激することによって生成され得る。
【0214】
いくつかの態様では、1つまたは複数の刺激条件または刺激剤の存在下でのインキュベーションの少なくとも一部は、国際公開番号WO2016/073602に記載されるような、例えば遠心回転下で、遠心チャンバーの内部キャビティで行われる。いくつかの態様では、遠心チャンバーで行われるインキュベーションの少なくとも一部は、刺激および/または活性化を誘導するための試薬(複数可)と混合することを含む。いくつかの態様では、選択された細胞などの細胞を、遠心チャンバー内で刺激条件または刺激剤と混合する。そのようなプロセスのいくつかの局面では、ある量の細胞を、細胞培養プレートまたは他のシステムで同様の刺激を行うときに通常使用される量よりもはるかに少ない量の1つまたは複数の刺激条件または刺激剤と混合する。
【0215】
いくつかの態様では、刺激剤は、遠心チャンバー内で混合せずに、チューブまたはバッグ内で定期的に振とうまたは回転しながら選択を行う場合に同数または同量の細胞を選択するのとほぼ同じまたは同様の効率を達成するために通常使用されるか、または必要とされる刺激剤の量と比較して、実質的に少ない(例えば、該量のわずか5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%または80%にすぎない)量で、チャンバーのキャビティ内の細胞に添加される。いくつかの態様では、インキュベーションは、例えば10mL~200mL、例えば少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mLもしくは200mL、または少なくとも約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mLもしくは200mL、または10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mLもしくは200mL、または約10mL、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約70mL、約80mL、約90mL、約100mL、約150mLもしくは約200mLの試薬のインキュベーションにより目標体積を達成するために、細胞および刺激剤にインキュベーション緩衝液を添加して行われる。ある態様では、インキュベーション緩衝液と刺激剤を事前に混合してから細胞に添加する。ある態様では、インキュベーション緩衝液と刺激剤を別々に細胞に添加する。いくつかの態様では、刺激インキュベーションは定期的な穏やかな混合条件を用いて行われ、これはエネルギー的に有利な相互作用を促進するのに役立ち、それにより、細胞の刺激および活性化を達成しながら、より少ない総刺激剤の使用を可能にする。
【0216】
いくつかの態様では、インキュベーションは一般に、混合条件下で、例えば一般に比較的低い力または速度でのスピニング(回転)の存在下で行われ、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~約1700rpm(例えば、少なくとも600rpm、1000rpm、1500rpmもしくは1700rpm、または約600rpm、約1000rpm、約1500rpmもしくは約1700rpm、または600rpm、1000rpm、1500rpmもしくは1700rpm)などの、細胞のペレット化に使用される速度より低い速度で、または例えば80g~100gまたは約80g~100g(例えば、少なくとも80g、85g、90g、95gもしくは100g、または約80g、約85g、約90g、約95gもしくは100g、または80g、85g、90g、95gもしくは100g)の、サンプルへのまたは該チャンバーもしくは他の容器の壁へのRCFで実施される。いくつかの態様では、スピンは、そのような低速でのスピンとそれに続く休止期間との繰り返される間隔を用いて、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10秒間のスピンおよび/または休止、例えば約1または2秒のスピンおよびその後の約5、6、7または8秒間の休止を用いて、実施される。
【0217】
いくつかの態様では、例えば刺激剤とのインキュベーションの全持続時間は、1時間~96時間、1時間~72時間、1時間~48時間、4時間~36時間、8時間~30時間または12時間~24時間、あるいは約1時間~96時間、約1時間~48時間、約4時間~36時間、約8時間~30時間または約12時間~24時間、例えば、少なくとも6時間、12時間、18時間、24時間、36時間もしくは72時間、または少なくとも約6時間、12時間、18時間、24時間、36時間もしくは72時間である。いくつかの態様では、さらなるインキュベーションは、1時間~48時間、4時間~36時間、8時間~30時間または12時間~24時間の間、あるいは約1時間~48時間、約4時間~36時間、約8時間~30時間または約12時間~24時間の間である(両端の時間を含む)。
【0218】
C. 遺伝子操作
いくつかの態様では、処理工程は、組換えタンパク質をコードする核酸分子の導入を含む。そのような組換えタンパク質の中に、本明細書に記載されるような組換え受容体がある。組換え受容体などの組換えタンパク質をコードする核酸分子の細胞への導入は、多くの公知のベクターのいずれかを用いて実施することができる。そのようなベクターには、ウイルスおよび非ウイルスシステム、例えばレンチウイルスおよびガンマレトロウイルスシステム、ならびにトランスポゾンベースのシステム、例えばPiggyBacまたはSleeping Beautyベースの遺伝子導入システムが含まれる。例示的な方法には、例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルスなどのウイルス、形質導入、トランスポゾン、およびエレクトロポレーションを介した、該受容体をコードする核酸の導入方法が含まれる。
【0219】
いくつかの態様では、遺伝子導入は、例えばサイトカインまたは活性化マーカーの発現により測定されるような、増殖、生存および/または活性化などの応答を誘発する刺激と細胞とを組み合わせることで、最初に細胞を刺激し、続いて活性化された細胞の形質導入を行い、臨床応用に十分な数へと培養下で拡大増殖することによって達成される。
【0220】
いくつかの態様では、組換え核酸は、例えば、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)に由来するベクターなどの、組換え感染性ウイルス粒子を使用して、細胞に導入される。ある態様では、組換えレンチウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターなどのレトロウイルスベクターを用いて、組換え核酸をT細胞に導入する(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25; Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46; Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93; Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557を参照されたい)。
【0221】
いくつかの態様では、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に由来するレトロウイルスベクターは、ロングターミナルリピート(LTR)を有する。いくつかの態様では、レトロウイルスとして、あらゆる鳥類または哺乳類の細胞供給源に由来するものが含まれる。レトロウイルスは一般的には広宿主性であり、これは、ヒトを含めて、いくつかの種の宿主細胞に感染することができることを意味する。一態様では、発現される遺伝子がレトロウイルスのgag、polおよび/またはenv配列に置き換わる。多くの例示的なレトロウイルスシステムが記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号; 第6,207,453号; 第5,219,740号; Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990; Miller, A. D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14; Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852; Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037; およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109を参照されたい)。
【0222】
レンチウイルス形質導入法は知られている。例示的な方法は、例えば、Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701; Cooper et al. (2003) Blood. 101:1637-1644; Verhoeyen et al. (2009) Methods Mol Biol. 506: 97-114; およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0223】
ある態様では、組換え核酸は、エレクトロポレーションを介してT細胞に導入される(例えば、Chicaybam et al, (2013) PLoS ONE 8(3): e60298およびVan Tedeloo et al. (2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照されたい)。ある態様では、組換え核酸は、遺伝子転移を介してT細胞に導入される(例えば、Manuri et al. (2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437; Sharma et al. (2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74; およびHuang et al. (2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照されたい)。免疫細胞に遺伝物質を導入して発現させる他の方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介トランスフェクション、タングステン粒子促進性微粒子銃(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990))、およびリン酸ストロンチウムDNA共沈(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が挙げられる。
【0224】
組換え産物をコードする核酸を導入するための他のアプローチおよびベクターは、例えば、国際特許出願公開番号WO2014055668、および米国特許第7,446,190号に記載されるものである。
【0225】
いくつかの態様では、細胞、例えばT細胞は、増殖中または増殖後のいずれかに、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をトランスフェクトされ得る。所望の受容体の遺伝子を導入するためのこのトランスフェクションは、例えば、任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて実施できる。遺伝子改変された細胞集団は、その後、初期刺激(例えば、CD3/CD28刺激)から解放され、続いて(例えば、デノボ導入された受容体を介して)第2のタイプの刺激により刺激される。この第2のタイプの刺激には、ペプチド/MHC分子の形の抗原刺激、遺伝子導入された受容体のコグネイト(架橋性)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)、または新しい受容体のフレームワーク内で(例えば、該受容体内の定常領域を認識することにより)直接結合する任意のリガンド(例えば、抗体)が含まれる。例えば、Cheadle et al, “Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy” Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014)を参照されたい。
【0226】
場合によっては、T細胞などの細胞を活性化することを必要としないベクターを使用してもよい。そのような場合には、活性化に先立って、細胞を選択し、かつ/または形質導入することができる。したがって、細胞の培養に先立ってまたはそれに続いて、場合によっては、その培養の少なくとも一部の間にまたはそれと同時に、細胞を遺伝子操作することが可能である。
【0227】
いくつかの局面では、細胞はさらに、サイトカインまたは他の因子の発現を促進するように操作される。追加の核酸の中で、例えば、導入用の遺伝子は、導入された細胞の生存能および/または機能を促進するなどによって、治療の有効性を改善する遺伝子;インビボでの生存または局在を評価するなどのために、細胞の選択および/または評価用の遺伝マーカーを提供する遺伝子;例えば、細胞をインビボで負の選択の影響を受けやすくすることにより、安全性を向上させる遺伝子であり、これらは、Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991); およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992)に記載されている;また、ドミナントポジティブ選択マーカーとネガティブ選択マーカーとの融合により誘導された二機能性の選択融合遺伝子の使用について記載しているLuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公開公報も参照されたい。例えば、Riddellらの米国特許第6,040,177号の14~17欄を参照されたい。
【0228】
いくつかの態様では、導入は、組成物の1個以上の細胞に、組換えタンパク質、例えば組換え受容体をコードする核酸分子を接触させることによって行われる。ある態様では、接触は、スピノキュレーション(例えば、遠心接種)などの遠心分離によって行うことができる。そのような方法には、国際公開番号WO2016/073602に記載される方法のいずれかが含まれる。例示的な遠心チャンバーには、Biosafe SAによって製造販売されるもの、例えば、A-200/FおよびA-200遠心チャンバーを含めて、Sepax(登録商標)およびSepax(登録商標)2システムと共に使用するためのもの、およびそのようなシステムと共に使用するための様々なキットが含まれる。例示的なチャンバー、システム、ならびに処理計測器およびキャビネットは、例えば、米国特許第6,123,655号、米国特許第6,733,433号および公開された米国特許出願公開番号:US 2008/0171951、ならびに公開された国際特許出願公開番号WO 00/38762に記載されており、これらのそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。そのようなシステムと共に使用するための例示的なキットには、製品名CS-430.1、CS-490.1、CS-600.1またはCS-900.2としてBioSafe SAから販売される使い捨てキットが含まれるが、これらに限定されない。
【0229】
いくつかの態様では、前記システムは、他の計測器と共に含まれ、かつ/または他の計測器に接続して配置される;そうした他の計測器には、該システムで実施される形質導入工程および1つ以上の様々な他の処理工程(例えば、本明細書または国際公開番号WO2016/073602に記載される遠心チャンバーシステムを用いてまたはこれと接続して実施される1つ以上の処理工程)の側面を操作し、自動化し、制御し、かつ/またはモニタリングするための計測器が含まれる。ある態様でのこの計測器はキャビネットの中に含まれる。ある態様では、その計測器にはキャビネットが含まれ、そのキャビネットには、制御回路を含むハウジング、遠心分離機、カバー、モーター、ポンプ、センサー、ディスプレイ、およびユーザー・インターフェースが含まれる。例示的なデバイスは、米国特許第6,123,655号、同第6,733,433号、およびUS 2008/0171951に記載されている。
【0230】
いくつかの態様では、前記システムは、一連の容器、例えばバッグ、チューブ、ストップコック、クランプ、コネクター、および遠心チャンバーから構成される。いくつかの態様では、容器(例えば、バッグ)は、形質導入される細胞およびウイルスベクター粒子を同じ容器または別々の容器(例えば、同じバッグまたは別々のバッグ)内に含有する、1つ以上の容器(例えば、バッグ)を含む。いくつかの態様では、該システムはさらに、該チャンバーに引き込まれる希釈液および/または洗浄液などの媒体、および/または希釈し、再懸濁する他の成分、および/または該方法の間の洗浄成分および/または組成物を含有する1つ以上の容器(例えば、バッグ)を含む。該容器は、該システムの1つ以上の位置、例えば、入力ライン、希釈液ライン、洗浄ライン、廃棄物ラインおよび/または出力ラインに対応する位置に接続することができる。
【0231】
いくつかの態様では、前記チャンバーは遠心分離機を伴い、その遠心分離機は、該チャンバーを、例えばその回転軸周りに、回転させることができる。回転は、細胞の形質導入に関連するインキュベーションの前、間および/または後に、および/または他の処理工程の1つ以上において行うことができる。かくして、いくつかの態様では、様々な処理工程の1つ以上は、例えば特定の力での、回転の下で実施される。該チャンバーは一般に、垂直またはほぼ垂直の回転が可能であり、その結果、遠心の間、該チャンバーは垂直に位置し、側壁と軸が垂直またはほぼ垂直で、末端壁(複数可)が水平またはほぼ水平である。
【0232】
いくつかの態様では、細胞、ウイルス粒子などのベクター、および試薬を含む組成物は、一般に比較的低い力または速度で、例えば細胞をペレット化するために使用される速度よりも低い速度で、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば、少なくとも600rpm、1000rpm、1500rpmもしくは1700rpm、または約600rpm、約1000rpm、約1500rpmもしくは約1700rpm、または600rpm、1000rpm、1500rpmもしくは1700rpm)で、回転させることができる。いくつかの態様では、回転は、例えば該チャンバーまたはキャビティの内壁もしくは外壁で測定して、100g~3200gまたは約100g~3200g(例えば、少なくとも100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3200g、または少なくとも約100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3200g、または100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3200g、または約100g、約200g、約300g、約400g、約500g、約1000g、約1500g、約2000g、約2500g、約3000gもしくは約3200g)の力、例えば相対遠心力で実施される。用語「相対遠心力」またはRCFは、一般に、回転軸と比較して空間の特定の点で、地球の重力に対して物体または物質(例えば、細胞、サンプルもしくはペレット、および/または回転されるチャンバーもしくは他の容器の一地点)に与えられる有効な力である、と理解されている。その値は、重力、回転速度、回転半径(回転軸からRCFを測定しようとする物体、物質、または粒子までの距離)を考慮して、よく知られた公式を用いて決定され得る。
【0233】
いくつかの態様では、遺伝子操作(例えば、形質導入)の少なくとも一部の間に、および/または遺伝子操作に続いて、該細胞を、上記のような、遺伝子操作された細胞の培養のための、例えば該細胞の培養または拡大増殖のための、容器、例えばバッグ(例えばバイオリアクターバッグアセンブリ)に移す。ある態様では、該細胞の培養または拡大増殖のための容器は、灌流バッグなどのバイオリアクターバッグである。
【0234】
a. 形質導入用のウイルスベクター粒子の作製
ウイルスベクターゲノムは通常、パッケージングまたはプロデューサー細胞株にトランスフェクトされ得るプラスミドの形で構築される。そのような例のいずれにおいても、組換え受容体などの組換えタンパク質をコードする核酸は、ウイルスベクターのある領域に、例えば、一般にはウイルスゲノムの非必須領域に、挿入または配置される。ある態様では、複製欠損のウイルスを作製するために、該核酸は、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入される。
【0235】
いくつかの態様では、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスゲノムをベースとしたベクターに由来するゲノム、例えばレンチウイルスゲノムをベースとしたベクターに由来するゲノムを含む。ウイルスベクターのいくつかの局面では、組換え受容体、例えばCARなどの抗原受容体、をコードする異種核酸は、ベクターゲノムの5'LTR配列と3'LTR配列との間に含まれ、かつ/または配置される。
【0236】
いくつかの態様では、ウイルスベクターゲノムは、レンチウイルスゲノム、例えばHIV-1ゲノムまたはSIVゲノムである。例えば、レンチウイルスベクターは、病原性遺伝子を多重に弱毒化することによって生成されており、例えば、遺伝子env、vif、vpuおよびnefを欠失させて、治療目的で該ベクターをより安全にすることができる。レンチウイルスベクターは公知であり、Naldini et al., (1996および1998); Zufferey et al., (1997); Dull et al., 1998; 米国特許第6,013,516号および同第5,994,136号を参照されたい。いくつかの態様では、これらのウイルスベクターは、プラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸の取り込み、選択、および核酸の宿主細胞への移入に必須の配列を含むように構成されている。公知のレンチウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd., Manassas, Va. 20110-2209)などの寄託機関またはコレクションから容易に入手できるか、または一般的に利用可能な手法を用いて公知の供給源から分離できる。
【0237】
レンチウイルスベクターの非限定的な例には、レンチウイルスに由来するもの、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、HIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1(HTLV-1)、HTLV-2、または馬伝染性貧血ウイルス(EIAV)に由来するものが含まれる。例えば、レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を多重に弱毒化することによって生成されており、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させて、治療目的で該ベクターをより安全にすることができる。レンチウイルスベクターは当技術分野で公知であり、Naldini et al., (1996および1998); Zufferey et al., (1997); Dull et al., 1998; 米国特許第6,013,516号および同第5,994,136号を参照されたい。いくつかの態様では、これらのウイルスベクターは、プラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸の取り込み、選択、および核酸の宿主細胞への移入に必須の配列を含むように構成されている。公知のレンチウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd., Manassas, Va. 20110-2209)などの寄託機関またはコレクションから容易に入手できるか、または一般的に利用可能な手法を用いて公知の供給源から分離できる。
【0238】
いくつかの態様では、ウイルスゲノムベクターは、レンチウイルスなどのレトロウイルスの5'および3'LTRの配列を含むことができる。いくつかの局面では、ウイルスゲノム構築物は、レンチウイルスの5'および3'LTRからの配列を含み、特にレンチウイルスの5'LTRからのRおよびU5配列と、レンチウイルスからの不活性化されたまたは自己不活性化型3'LTRとを含み得る。LTR配列は、任意の種からの任意のレンチウイルス由来のLTR配列であり得る。例えば、それらはHIV、SIV、FIVまたはBIV由来のLTR配列であってよい。典型的には、LTR配列はHIV LTR配列である。
【0239】
いくつかの態様では、HIVウイルスベクターなどの、ウイルスベクターの核酸は、追加の転写単位を欠いている。そのベクターゲノムは、不活性化されたまたは自己不活性化型3'LTRを含むことができる(Zufferey et al. J Virol 72: 9873, 1998; Miyoshi et al., J Virol 72:8150, 1998)。例えば、ウイルスベクターRNAを作製するために使用される核酸の3'LTRのU3領域の欠失は、自己不活性化(SIN)型ベクターを生成するために使用され得る。この欠失は、その後、逆転写の間にプロウイルスDNAの5'LTRに移行され得る。自己不活性化型ベクターは一般に、3'ロングターミナルリピート(LTR)からエンハンサーとプロモーターの配列が欠失されており、これはベクターの組込みの過程で5'LTRにコピーされる。いくつかの態様では、LTRの転写活性を無効にするために、TATAボックスの除去を含めて、十分な配列を排除することができる。これにより、形質導入された細胞での完全長ベクターRNAの生成が防止され得る。いくつかの局面では、3'LTRのU3エレメントは、そのエンハンサー配列、TATAボックス、Sp1、およびNF-κB部位の欠失を含む。自己不活性化型3'LTRの結果として、侵入と逆転写の後に生成されるプロウイルスは、不活性化された5'LTRを含む。これは、ベクターゲノムの動員のリスク、およびすぐ近くの細胞プロモーターへのLTRの影響を減らすことで、安全性を向上させることができる。自己不活性化型3'LTRは、当技術分野で知られている任意の方法で構築され得る。ある態様では、これは、ベクターの力価またはベクターのインビトロもしくはインビボ特性に影響を及ぼさない。
【0240】
必要に応じて、レンチウイルス5'LTRからのU3配列は、ウイルス構築物中のプロモーター配列、例えば異種プロモーター配列で置き換えることができる。これにより、パッケージング細胞株から回収されるウイルスの力価を高めることができる。エンハンサー配列も含めることができる。パッケージング細胞株におけるウイルスRNAゲノムの発現を増加させる任意のエンハンサー/プロモーターの組み合わせが使用され得る。一例では、CMVエンハンサー/プロモーター配列が使用される(米国特許第5,385,839号および米国特許第5,168,062号)。
【0241】
特定の態様では、レンチウイルスベクターゲノムなどのレトロウイルスベクターゲノムを組込み欠損(integration defective)となるように構築することによって、挿入変異(insertional mutagenesis)のリスクを最小限に抑えることができる。非組込み型ベクターゲノムを生成するために、様々なアプローチを実行することができる。ある態様では、pol遺伝子のインテグラーゼ酵素成分に変異(複数可)を導入することができ、その結果、それは不活性インテグラーゼを有するタンパク質をコードするようになる。ある態様では、例えば、一方または両方の付着部位を変異または欠失させるか、あるいは欠失または改変を介して3'LTR近位ポリプリントラクト(PPT)を非機能性にすることによって、組込みを防止するように、ベクターゲノム自体を改変することができる。ある態様では、非遺伝的アプローチが利用可能である;これらには、インテグラーゼの1つ以上の機能を阻害する薬理学的物質が含まれる。これらのアプローチは相互に排他的ではない;すなわち、それらの2つ以上を一度に使用することができる。例えば、インテグラーゼと付着部位の両方が非機能的であるか、インテグラーゼとPPT部位が非機能的であるか、付着部位とPPT部位が非機能的であるか、またはそれらの全てが非機能的であり得る。そのような方法およびウイルスベクターゲノムは知られており、利用可能である(Philpott and Thrasher, Human Gene Therapy 18:483, 2007; Engelman et al. J Virol 69:2729, 1995; Brown et al J Virol 73:9011 (1999); WO 2009/076524; McWilliams et al., J Virol 77:11150, 2003; Powell and Levin J Virol 70:5288, 1996を参照されたい)。
【0242】
いくつかの態様では、ベクターは、原核宿主細胞などの、宿主細胞での増殖のための配列を含む。ある態様では、ウイルスベクターの核酸は、細菌細胞などの、原核細胞での増殖のための1つ以上の複製起点を含む。ある態様では、原核生物の複製起点を含むベクターはまた、遺伝子の発現が薬剤耐性などの検出可能または選択可能マーカーを与える、そのような遺伝子を含んでもよい。
【0243】
ゲノムがウイルスベクターゲノムのRNAコピーを含むレトロウイルス粒子を作製するために、様々な公知方法を使用することができる。いくつかの態様では、少なくとも2つの構成要素がウイルスベースの遺伝子送達システムの作製に関与している:第一に、構造タンパク質ならびにウイルスベクター粒子を生成するために必要な酵素を含む、パッケージングプラスミド、第二に、ウイルスベクター自体、すなわち、導入される遺伝物質。これらの構成要素の一方または両方のデザインには、バイオセーフティセーフガード(biosafety safeguard)が導入され得る。
【0244】
いくつかの態様では、パッケージングプラスミドは、エンベロープタンパク質以外の全てのレトロウイルス(例えばHIV-1)タンパク質を含むことができる(Naldini et al., 1998)。他の態様では、ウイルスベクターは、追加のウイルス遺伝子、例えば、vpr、vif、vpuおよびnefといった病原性に関連するもの、および/またはHIVの主要なトランスアクチベーターであるTat、を欠くことができる。いくつかの態様では、レンチウイルスベクター、例えばHIVベースのレンチウイルスベクターは、親ウイルスの3つの遺伝子:gag、polおよびrevのみを含み、これは組換えによる野生型ウイルスの再構成の可能性を低減させるか、または排除する。
【0245】
いくつかの態様では、ウイルスベクターゲノムは、該ウイルスベクターゲノムから転写されたウイルスゲノムRNAをウイルス粒子にパッケージングするために必要な、全ての構成要素を含むパッケージング細胞株に導入される。あるいは、ウイルスベクターゲノムは、関心対象の1つ以上の配列(例えば、組換え核酸)に加えて、ウイルス成分をコードする1つ以上の遺伝子を含んでもよい。いくつかの局面では、しかしながら、標的細胞での該ゲノムの複製を防ぐために、複製に必要な内因性ウイルス遺伝子は除去されて、パッケージング細胞株で別個に提供される。
【0246】
いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、該粒子を生成するために必要な構成要素を含む1つ以上のプラスミドベクターをトランスフェクトされる。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、LTRs、シス作用性パッケージング配列および関心対象の配列、すなわち、CARなどの抗原受容体をコードする核酸、を含むウイルスベクターゲノムを含むプラスミド、ならびに、Gag、polおよび/またはrevなどのウイルスの酵素成分および/または構造成分をコードする1つまたは複数のヘルパープラスミドにより、トランスフェクトされる。いくつかの態様では、レトロウイルスベクター粒子を生成する様々な遺伝的構成要素を分離するために、複数のベクターが利用される。いくつかのそのような態様では、パッケージング細胞に別々のベクターを提供することにより、さもなければ複製能のあるウイルスを生成する可能性がある組換え事象の発生リスクを低減することができる。ある態様では、全てのレトロウイルス成分を備えた単一のプラスミドベクターが使用され得る。
【0247】
いくつかの態様では、レトロウイルスベクター粒子、例えばレンチウイルスベクター粒子は、宿主細胞の形質導入効率を高めるためにシュードタイプ化される。例えば、レンチウイルスベクター粒子などのレトロウイルスベクター粒子は、ある態様では、VSV-G糖タンパク質によりシュードタイプ化される;この糖タンパク質は、形質導入が可能な細胞の種類を拡大増殖する広い細胞宿主域を提供する。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、異種指向性、多指向性、または両指向性エンベロープ、例えば、シンドビスウイルスエンベロープ、GALVまたはVSV-Gを含むように、非天然エンベロープ糖タンパク質をコードするプラスミドまたはポリヌクレオチドをトランスフェクトされる。
【0248】
いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、ウイルスのゲノムRNAをレンチウイルスベクター粒子にパッケージングするためにトランスで必要とされる、ウイルスの調節タンパク質および構造タンパク質などの、構成要素を提供する。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、レンチウイルスタンパク質を発現しかつ機能的なレンチウイルスベクター粒子を産生することができる、任意の細胞株であってよい。いくつかの局面では、適切なパッケージング細胞株として、293 (ATCC CCL X)、293T、HeLa (ATCC CCL 2)、D17 (ATCC CCL 183)、MDCK (ATCC CCL 34)、BHK (ATCC CCL-10)およびCf2Th (ATCC CRL 1430)細胞が挙げられる。
【0249】
いくつかの態様では、パッケージング細胞株はウイルスタンパク質(複数可)を安定して発現する。例えば、いくつかの局面では、gag、pol、revおよび/または他の構造遺伝子を含むが、LTRおよびパッケージング成分を含まない、パッケージング細胞株を構築することができる。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、異種タンパク質をコードする核酸分子および/またはエンベロープ糖タンパク質をコードする核酸を含むウイルスベクターゲノムと共に、1つ以上のウイルスタンパク質をコードする核酸分子により一過性にトランスフェクトされ得る。
【0250】
いくつかの態様では、ウイルスベクターとパッケージングプラスミドおよび/またはヘルパープラスミドは、トランスフェクションまたは感染を介して、パッケージング細胞株に導入される。パッケージング細胞株は、ウイルスベクターゲノムを含むウイルスベクター粒子を産生する。トランスフェクションまたは感染の方法は周知である。非限定的な例として、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン法、リポフェクション法、エレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションが挙げられる。
【0251】
組換えプラスミドとレトロウイルスのLTRおよびパッケージング配列が特別な細胞株に(例えば、リン酸カルシウム沈殿により)導入されると、そのパッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子へとパッケージングされることを可能にし、その後ウイルス粒子は培地に分泌され得る。いくつかの態様における組換えレトロウイルスを含む培地は、その後回収され、必要に応じて濃縮されて、遺伝子導入に使用される。例えば、いくつかの局面では、パッケージングプラスミドと導入用ベクターのパッケージング細胞株への同時トランスフェクションの後、ウイルスベクター粒子は培養培地から回収されて、当業者が使用する標準的な方法により力価を測定される。
【0252】
いくつかの態様では、レトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターは、レンチウイルス粒子の生成を可能にするプラスミドの導入により、例示的なHEK 293T細胞株などの、パッケージング細胞株において産生され得る。いくつかの態様では、パッケージング細胞は、gagおよびpolをコードするポリヌクレオチド、および組換え受容体、例えばCARなどの抗原受容体をコードするポリヌクレオチドをトランスフェクトされ、かつ/または該ポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、任意でおよび/または追加的に、revタンパク質をコードするポリヌクレオチドをトランスフェクトされ、かつ/または該ポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、任意でおよび/または追加的に、VSV-Gなどの非天然エンベロープ糖タンパク質をコードするポリヌクレオチドをトランスフェクトされ、かつ/または該ポリヌクレオチドを含む。いくつかのそのような態様では、細胞(例えば、HEK 293T細胞)のトランスフェクションの約2日後、細胞上清は組換えレンチウイルスベクターを含んでおり、それを回収して、力価を測定することができる。
【0253】
回収および/または産生されたレトロウイルスベクター粒子は、記載された方法を用いて標的細胞を形質導入するために使用され得る。標的細胞に入ると、ウイルスRNAは逆転写され、核に移送され、宿主ゲノムに安定して組み込まれる。ウイルスRNAの組込みから1日または2日後、組換えタンパク質、例えばCARなどの抗原受容体の発現を検出することができる。
【0254】
いくつかの態様では、前記方法は、複数の細胞を含む細胞組成物を、ウイルス粒子と接触させる(例えば、インキュベーションする)ことによって、細胞に形質導入することを含む。いくつかの態様では、トランスフェクトまたは形質導入される細胞は、対象から得られた初代細胞、例えば対象から濃縮および/または選択された細胞であるか、またはそれらを含む。
【0255】
いくつかの態様では、前記組成物の形質導入される細胞の濃度は、1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mLまたは約1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mL、例えば、少なくとも1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mL、もしくは1×108細胞/mL、または少なくとも約1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mL、もしくは1×108細胞/mL、または約1.0×105細胞/mL、約5×105細胞/mL、約1×106細胞/mL、約5×106細胞/mL、約1×107細胞/mL、約5×107細胞/mL、もしくは約1×108細胞/mLである。
【0256】
いくつかの態様では、ウイルス粒子は、形質導入される細胞の総数あたりの、ウイルスベクター粒子のコピー数またはその感染単位(IU)の特定の比率(IU/細胞)で提供される。例えば、いくつかの態様では、ウイルス粒子は、接触中に、細胞1個あたりウイルスベクター粒子少なくとも0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50もしくは60IU、または少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50もしくは60IU、または0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50もしくは60IU、または約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、約20、約30、約40、約50もしくは約60IUで存在する。
【0257】
いくつかの態様では、ウイルスベクター粒子の力価は、1×106IU/mL~1×108IU/mLまたは約1×106IU/mL~1×108IU/mL、例えば5×106IU/mL~5×107IU/mLまたは約5×106IU/mL~5×107IU/mL、例えば、少なくとも6×106IU/mL、7×106IU/mL、8×106IU/mL、9×106IU/mL、1×107IU/mL、2×107IU/mL、3×107IU/mL、4×107IU/mL、または5×107IU/mLである。
【0258】
いくつかの態様では、形質導入は、100未満の感染多重度(MOI)、例えば、一般には60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、10未満、5未満またはそれ以下で、達成され得る。
【0259】
いくつかの態様では、前記方法は、細胞をウイルス粒子と接触させる、またはインキュベーションすることを含む。いくつかの態様では、接触は、30分~72時間、例えば、30分~48時間、30分~24時間、または1時間~24時間、例えば、少なくとも30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、36時間もしくはそれ以上、または少なくとも約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、36時間もしくはそれ以上である。
【0260】
いくつかの態様では、接触は溶液中で行われる。いくつかの態様では、細胞をウイルス粒子と、0.5mL~500mLまたは約0.5mL~500mL、例えば、0.5mL~200mL、0.5mL~100mL、0.5mL~50mL、0.5mL~10mL、0.5mL~5mL、5mL~500mL、5mL~200mL、5mL~100mL、5mL~50mL、5mL~10mL、10mL~500mL、10mL~200mL、10mL~100mL、10mL~50mL、50mL~500mL、50mL~200mL、50mL~100mL、100mL~500mL、100mL~200mLもしくは200mL~500mL、または約0.5mL~200mL、約0.5mL~100mL、約0.5mL~50mL、約0.5mL~10mL、約0.5mL~5mL、約5mL~500mL、約5mL~200mL、約5mL~100mL、約5mL~50mL、約5mL~10mL、約10mL~500mL、約10mL~200mL、約10mL~100mL、約10mL~50mL、約50mL~500mL、約50mL~200mL、約50mL~100mL、約100mL~500mL、約100mL~200mLもしくは約200mL~500mLの量で接触させる。
【0261】
特定の態様では、インプット細胞は、ウイルスDNAによってコードされる組換え受容体に結合するかまたはそれを認識する結合分子を含む粒子で処理されるか、該粒子とインキュベーションされるか、または接触される。
【0262】
いくつかの態様では、細胞とウイルスベクター粒子とのインキュベーションにより、ウイルスベクター粒子を形質導入された細胞を含むアウトプット組成物がもたらされるか、または生成される。
【0263】
D. 細胞の培養および/または拡大増殖
いくつかの態様では、提供される方法は、遺伝子操作された細胞を培養するための、例えば、増殖および/または拡大を促進する条件下で細胞を培養するための、1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様では、遺伝子操作の工程、例えば、形質導入またはトランスフェクションによって組換えポリペプチドを細胞に導入する工程の後に、増殖および/または拡大を促進する条件下で、遺伝子操作された細胞を培養する。特定の態様では、細胞を刺激条件下でインキュベーションして、組換えポリヌクレオチド(例えば、組換え受容体をコードするポリヌクレオチド)を形質導入またはトランスフェクトした後に、該細胞を培養する。いくつかの態様では、培養により、濃縮されたT細胞の1つまたは複数の培養組成物が生成される。
【0264】
いくつかの態様では、遺伝子操作された細胞は、例えば供給口から、添加された細胞を培養するための細胞培地および/または細胞を投入することができる、容器内で培養される。該細胞は、例えば細胞の拡大および/または増殖のために細胞の培養が望まれる、任意の細胞供給源からのものであってよい。
【0265】
いくつかの局面では、培養培地は、T細胞などの細胞の成長、培養、拡大または増殖を支持するように適合された培養培地である。いくつかの局面では、培地は、塩類、アミノ酸類、ビタミン類、糖類またはそれらの任意の組み合わせの混合物を含む液体であり得る。いくつかの態様では、培養培地はさらに、例えば、インキュベーション中の細胞の培養、拡大または増殖を刺激するための、1つまたは複数の刺激条件または刺激剤を含む。ある態様では、刺激条件はIL-2、IL-7またはIL-15から選択される1つまたは複数のサイトカインであるか、またはそれを含む。ある態様では、サイトカインは組換えサイトカインである。いくつかの態様では、培養またはインキュベーション中の培養培地中の1つまたは複数のサイトカインの濃度は、独立して、1IU/mL~1500IU/mLまたは約1IU/mL~1500IU/mL、例えば、1IU/mL~100IU/mL、2IU/mL~50IU/mL、5IU/mL~10IU/mL、10IU/mL~500IU/mL、50IU/mL~250IU/mL、100IU/mL~200IU/mL、50IU/mL~1500IU/mL、100IU/mL~1000IU/mLもしくは200IU/mL~600IU/mL、または約1IU/mL~100IU/mL、約2IU/mL~50IU/mL、約5IU/mL~10IU/mL、約10IU/mL~500IU/mL、約50IU/mL~250IU/mL、約100IU/mL~200IU/mL、約50IU/mL~1500IU/mL、約100IU/mL~1000IU/mLもしくは約200IU/mL~600IU/mLである。いくつかの態様では、1つまたは複数のサイトカインの濃度は、独立して、少なくとも1IU/mL、5IU/mL、10IU/mL、50IU/mL、100IU/mL、200IU/mL、500IU/mL、1000IU/mLもしくは1500IU/mL、または少なくとも約1IU/mL、5IU/mL、10IU/mL、50IU/mL、100IU/mL、200IU/mL、500IU/mL、1000IU/mLもしくは1500IU/mLである。
【0266】
いくつかの局面では、遺伝子操作された細胞および培養培地の導入後、該細胞を少なくともある期間にわたりインキュベーションする。いくつかの態様では、刺激条件は一般に、ヒトTリンパ球などの初代免疫細胞の成長に適した温度、例えば、少なくとも約25℃、一般には少なくとも約30℃、一般には37℃または約37℃を含む。いくつかの態様では、25~38℃、例えば30~37℃、例えば37℃±2℃または約37℃±2℃の温度で細胞をインキュベーションする。いくつかの態様では、培養(例えば、培養または拡大増殖)が所望のまたは閾値の細胞密度、細胞数または細胞量をもたらすまで、インキュベーションをある期間にわたって実施する。いくつかの態様では、インキュベーションは、24時間超、48時間超、72時間超、96時間超、5日間超、6日間超、7日間超、8日間超、9日間超、もしくはそれ以上、または約24時間超、約48時間超、約72時間超、約96時間超、約5日間超、約6日間超、約7日間超、約8日間超、約9日間超、もしくはそれ以上、または、24時間、48時間、72時間、96時間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、もしくはそれ以上、または約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、もしくはそれ以上である。
【0267】
いくつかの態様では、細胞は、細胞培養物中の二酸化炭素の目標量を維持する条件下でインキュベーションされる。いくつかの局面では、これにより、成長中の細胞の最適な培養、拡大および増殖が確実になる。いくつかの局面では、二酸化炭素(CO2)の量は、前記気体の10%~0%(v/v)、例えば該気体の8%~2%(v/v)であり、例えば、5%(v/v)または約5%(v/v)のCO2量である。
【0268】
特定の態様では、培養は閉鎖システムで行われる。ある特定の態様では、培養は、閉鎖システムで無菌条件下に行われる。特定の態様では、培養は、閉鎖システムの1つ以上の工程と同じシステムで行われる。いくつかの態様では、濃縮されたT細胞の組成物を閉鎖システムから取り出して、培養のためのバイオリアクター内に配置し、かつ/またはそれに接続する。培養に適したバイオリアクターの例には、GE Xuri W25、GE Xuri W5、Sartorius BioSTAT RM 20/50、Finesse SmartRockerバイオリアクターシステム、およびPall XRSバイオリアクターシステムが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、バイオリアクターは、培養工程の少なくとも一部の間、細胞を灌流および/または混合するために使用される。いくつかの態様では、混合は揺らすことおよび/または動かすことであるか、またはそれを含む。
【0269】
いくつかの態様では、細胞は、バイオリアクターに接続して使用されるバッグなどの容器を用いてインキュベーションされる。場合によっては、バイオリアクターを動かしたり、揺らしたりすることができ、これは、ある局面では、酸素移動を高める可能性がある。バイオリアクターを動かすことには、水平軸に沿った回転、垂直軸に沿った回転、バイオリアクターの傾いたまたは傾斜した水平軸に沿った揺れ運動、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ある態様では、インキュベーションの少なくとも一部は、揺動しながら行われる。揺動速度および揺動角度は、所望の撹拌を達成するように調整され得る。いくつかの態様では、揺動角度は、20°、19°、18°、17°、16°、15°、14°、13°、12°、11°、10°、9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°もしくは1°、またはおよそ20°、およそ19°、およそ18°、およそ17°、およそ16°、およそ15°、およそ14°、およそ13°、およそ12°、およそ11°、およそ10°、およそ9°、およそ8°、およそ7°、およそ6°、およそ5°、およそ4°、およそ3°、およそ2°もしくはおよそ1°である。ある特定の態様では、揺動角度は6~16°である。他の態様では、揺動角度は7~16°である。他の態様では、揺動角度は8~12°である。いくつかの態様では、揺動速度は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40rpmである。いくつかの態様では、揺動速度は4~12rpm、例えば4~6rpm(両端の速度を含む)である。細胞培養物の拡大増殖の少なくとも一部は、例えば5°~10°(例えば6°)の角度、例えば5~15RPM(例えば6RPMまたは10RPM)の速度での揺れ運動を用いて行われる。いくつかの態様では、バイオリアクターは、37℃またはそれに近い温度を維持し、かつ少なくとも0.01L/min、0.05L/min、0.1L/min、0.2L/min、0.3L/min、0.4L/min、0.5L/min、1.0L/min、1.5L/min、2.0L/minもしくは2.0L/min超、または0.01L/min、0.05L/min、0.1L/min、0.2L/min、0.3L/min、0.4L/min、0.5L/min、1.0L/min、1.5L/min、2.0L/minもしくは2.0L/min超、または約0.01L/min、約0.05L/min、約0.1L/min、約0.2L/min、約0.3L/min、約0.4L/min、約0.5L/min、約1.0L/min、約1.5L/min、約2.0L/minもしくは約2.0L/min超の定常空気流で5%またはそれに近いCO2レベルを維持する。ある特定の態様では、培養の少なくとも一部は、例えば、培養開始に関するタイミングおよび/または培養細胞の密度に応じて、例えば、290ml/日、580ml/日、および/または1160ml/日の速度で、灌流して行われる。いくつかの態様では、CD4+細胞とCD8+細胞は、それらがそれぞれ閾値の量または細胞密度に到達するまで、それぞれ別々に拡大増殖される。
【0270】
いくつかの態様では、インキュベーションの少なくとも一部は、静止状態で実施される。いくつかの態様では、インキュベーションの少なくとも一部は、例えば、培養中に使用済み培地を排出しかつ新鮮な培地を追加するために、灌流して行われる。ある態様では、この方法は、例えば供給口から、新鮮な培地を細胞培養物に灌流させる工程を含む。いくつかの態様では、灌流中に追加される培地は、1つまたは複数の刺激剤、例えば、IL-2、IL-7および/またはIL-15などの1つまたは複数の組換えサイトカインを含有する。ある態様では、灌流中に追加される培地は、静止インキュベーション中に使用された培地と同じ培地である。
【0271】
いくつかの態様では、インキュベーションに続いて、前記容器(例えば、バッグ)は、細胞療法剤を製造、作製、または産生するための1つ以上の他の処理工程を実施するためのシステムに再接続され、例えば、遠心チャンバーを含むシステムに再接続される。いくつかの局面では、培養された細胞は、その培養細胞の製剤化のために、バッグから該チャンバーの内部キャビティに移される。
【0272】
いくつかの態様では、細胞療法剤および/または遺伝子操作された細胞を製造、作製、または産生するための方法は、細胞の製剤化、例えば、インキュベーション、遺伝子操作、および培養の前または後の処理工程から、および/または記載される1つ以上の他の処理工程から得られる遺伝子操作された細胞の製剤化を含むことができる。いくつかの態様では、細胞の製剤化を含めて、処理工程の1つ以上は、閉鎖システムで実施することができる。いくつかの場合には、細胞療法剤および/または遺伝子操作された細胞を製造、作製、または産生するための(例えば、遠心チャンバーおよび/または閉鎖システムで実施される)1つ以上の工程は、細胞の製剤化、例えば、培養(例えば、培養および拡大増殖)の前または後の形質導入処理工程から、および/または記載される1つ以上の他の処理工程から得られる遺伝子操作された細胞の製剤化を含むことができる。
【0273】
E. 組成物および製剤
いくつかの態様では、組換え抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)により遺伝子操作された細胞を含む細胞の前記用量は、組成物または製剤、例えば薬学的組成物または製剤として、提供される。そのような組成物は、疾患、症状、および障害を予防または治療する方法を含む養子細胞療法に合わせて、または検出、診断、および予後予測の方法において、使用することができる。
【0274】
いくつかの場合には、細胞療法剤および/または遺伝子操作された細胞を製造、作製、または産生するための(例えば、遠心チャンバーおよび/または閉鎖システムで実施される)1つ以上の工程は、細胞の製剤化、例えば、培養(例えば、培養および拡大増殖)の前または後に提供される形質導入処理工程から、および/または記載される1つ以上の他の処理工程から得られる遺伝子操作された細胞の製剤化を含むことができる。場合によっては、細胞は、単回投与量または複数回投与量などの投与量で製剤化される。いくつかの態様では、細胞の製剤化に関連して提供される方法は、形質導入された細胞、例えば上記の処理工程を用いて形質導入および/または増殖された細胞を、閉鎖システムにおいて処理することを含む。いくつかの態様では、製剤化された細胞は、医用材料の容器(例えば、バイアル)に移す、または導入することができる。
【0275】
いくつかの態様では、1つまたは複数の処理工程によって作製されたCD4+および/またはCD8+ T細胞などのT細胞は製剤化される。いくつかの局面では、対象からの細胞の異なる集団および/またはサブタイプをそれぞれ含有する複数の組成物が、任意である期間内に、例えば別々にまたは独立して投与するために、別個に製造、産生または作製される。例えば、異なる細胞の集団またはサブタイプを含む遺伝子操作された細胞の別個の製剤は、それぞれCD8+細胞およびCD4+ T細胞、ならびに/またはそれぞれCD8+濃縮集団およびCD4+濃縮集団、例えば、組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞をそれぞれ個別に含むCD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞を含むことができる。ある態様では、少なくとも1つの組成物は、組換え受容体を発現するように遺伝子操作されたCD4+ T細胞で製剤化される。ある態様では、少なくとも1つの組成物は、組換え受容体を発現するように遺伝子操作されたCD8+ T細胞で製剤化される。いくつかの態様では、該用量の投与は、ある用量のCD8+ T細胞またはある用量のCD4+ T細胞を含む第1の組成物の投与と、該用量のCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の他方を含む第2の組成物の投与を含む。いくつかの態様では、ある用量のCD8+ T細胞またはある用量のCD4+ T細胞の用量を含む第1の組成物は、該用量のCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の他方を含む第2の組成物の前に投与される。いくつかの態様では、該用量の投与は、ある用量のCD8+ T細胞とある用量のCD4+ T細胞の両方を含む組成物の投与を含む。
【0276】
いくつかの態様では、前記細胞は薬学的に許容される緩衝液中に製剤化され、その緩衝液は、いくつかの局面では、薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得る。いくつかの態様では、処理工程は、対象に投与するために薬学的に許容されるまたは望ましい培地または製剤用緩衝液への培地の交換を含む。いくつかの態様では、処理工程は、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得る薬学的に許容される緩衝液中に細胞を置き替えるために、形質導入および/または増殖させた細胞を洗浄する工程を含むことができる。薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、そのような薬学的形態の例は、細胞および組成物を対象に投与するために許容可能な形態に関して以下に記載する任意のものであり得る。いくつかの態様における薬学的組成物は、疾患または症状を治療または予防するのに有効な量、例えば治療上有効または予防上有効な量の細胞を含む。
【0277】
「薬学的に許容される担体」は、対象に無毒である、活性成分以外の、薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0278】
いくつかの局面では、担体の選択は、一部には、特定の細胞および/または投与方法によって決まる。したがって、様々な適切な製剤が存在する。例えば、薬学的組成物は防腐剤を含むことができる。適切な防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられる。いくつかの局面では、2種以上の防腐剤の混合物が使用される。防腐剤またはその混合物は、一般的に、全組成物の約0.0001重量%~約2重量%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 第16版, Osol, A.編 (1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、一般に、使用される用量および濃度でレシピエントに無毒である;それらには、限定するものではないが、以下が含まれる:緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、その他の有機酸;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸およびメチオニン;防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシン;単糖類、二糖類、および他の炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成性の対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)。
【0279】
いくつかの局面では、緩衝剤が組成物中に含まれる。適切な緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、その他の様々な酸および塩が含まれる。いくつかの局面では、2種以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはそれらの混合物は、一般的に、全組成物の約0.001重量%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製する方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)により詳しく説明されている。
【0280】
製剤には水溶液が含まれる。該製剤または組成物はまた、細胞により治療される特定の適応症、疾患または症状に有用な複数の活性成分(好ましくは、該細胞に対して相補的な活性を有するもの)を、それぞれの活性が互いに悪影響を及ぼさない場合に、含んでもよい。そのような活性成分は、意図した目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。したがって、いくつかの態様では、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンなどの化学療法剤をさらに含む。
【0281】
いくつかの態様における組成物は、無菌の液体調製物、例えば、等張水溶液、懸濁液、乳濁液、分散液、または粘性組成物として提供され、これらは、いくつかの局面では、所定のpHに緩衝化され得る。液体組成物は、溶媒または分散媒であり得る担体を含むことができ、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物を含有する。無菌の注射可能な溶液は、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの適切な担体、希釈剤、または賦形剤との混合物である溶媒の中に細胞を組み入れることによって調製され得る。該組成物は、所望の投与経路および製剤に応じて、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えばメチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または増粘添加剤、防腐剤、香味剤、および/または着色剤などの補助物質を含むことができる。適切な製剤を調製するために、いくつかの局面では標準テキストを参考にしてもよい。
【0282】
組成物の安定性および無菌性を高める種々の添加剤、例えば、抗菌防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、および緩衝剤を加えることができる。微生物の働きは、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸によって、確実に防止され得る。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって実現することができる。
【0283】
いくつかの態様では、製剤用緩衝液は凍結保存剤を含有する。いくつかの態様では、細胞は凍結保存液を用いて製剤化され、該凍結保存液は1.0%~30%DMSO溶液、例えば、5%~20%DMSO溶液または5%~10%DMSO溶液を含有する。いくつかの態様では、凍結保存液は、例えば、20%のDMSOと8%のヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地であるか、またはそれを含有する。いくつかの態様では、凍結保存液は、例えば、少なくとも7.5%または少なくとも約7.5%のDMSOであるか、またはそれを含有する。いくつかの態様では、処理工程は、凍結保存液中に細胞を置き替えるために、形質導入および/または増殖させた細胞を洗浄する工程を含み得る。
【0284】
いくつかの態様では、製剤化は、培養または増殖させた細胞などの、細胞の洗浄、希釈または濃縮を含む1つまたは複数の処理工程を用いて実施される。いくつかの態様では、処理工程は、所望の濃度または数への細胞の希釈または濃縮を含むことができ、例えば、単位用量形態の組成物は、所定の用量またはその分割量で投与するための細胞の数を含む。いくつかの態様では、処理工程は量減少を含み、それによって、必要に応じて細胞の濃度を上げることができる。いくつかの態様では、処理工程は量追加を含み、それによって、必要に応じて細胞の濃度を下げることができる。いくつかの態様では、処理は、形質導入および/または増殖させた細胞にある量の製剤用緩衝液を加えることを含む。いくつかの態様では、製剤用緩衝液の量は、10mL~1000mLまたは約10mL~1000mL、例えば、少なくとも50mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mLもしくは1000mL、または少なくとも約50mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mLもしくは1000mL、または50mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mLもしくは1000mL、または約50mL、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mLもしくは約1000mLである。
【0285】
いくつかの態様では、細胞は、容器(例えば、バッグまたは遠心チャンバー)内で培養される(例えば、刺激され、遺伝子操作され、かつ/または増殖される)。いくつかの局面では、該容器は第1の容器であり、培養された細胞は、第1の容器(例えば、バッグまたは遠心チャンバー)から、第1の容器に動作可能に接続された、医用材料の容器などの、第2の容器に送られるか、または移される。いくつかの態様では、医用材料の容器は、一体化および/または動作可能な接続ができるように構成され、かつ/または前の1つ以上の処理工程のために使用された第1の容器(例えば、バッグまたは遠心チャンバー)に一体化されるか、または動作可能に接続される。いくつかの態様では、医用材料容器は、出力ラインまたは出力位置で、第1の容器(例えば、バッグまたは遠心チャンバー)に接続される。場合によっては、第1の容器(例えば、バッグまたは遠心チャンバー)は、注入チューブで医用材料容器のバイアルに接続される。
【0286】
いくつかの態様では、細胞組成物を製剤化するためのそのような処理工程は、閉鎖システムで実施される。代表的なそのような処理工程は、細胞処理システムに関連する1つ以上のシステムまたはキットと共に、遠心チャンバーを使用して行うことができ、例えば、遠心チャンバーはBiosafe SAから製造・販売されるものであり、Sepax(登録商標)またはSepax 2(登録商標)細胞処理システムと共に使用されるものを含む。例示的なシステムおよびプロセスは、国際公開番号WO2016/073602に記載されている。いくつかの態様では、その方法は、製剤化された組成物(記載された上記態様のいずれかにおいて、薬学的に許容される緩衝液などの製剤用緩衝液中に製剤化された結果として得られる、細胞の組成物である)を遠心チャンバーの内部キャビティから移送または移動させることを含む。いくつかの態様では、製剤化された組成物の移送または移動は、閉鎖システムの一部として遠心チャンバーと動作可能に接続された、本明細書に記載の医用材料容器などの容器への移送または移動である。いくつかの態様では、医用材料容器は、一体化および/または動作可能な接続ができるように構成され、かつ/または1つ以上の処理工程を実行する閉鎖システムまたはデバイスに一体化されるか、または動作可能に接続される。いくつかの態様では、医用材料容器は、出力ラインまたは出力位置で、システムに接続される。場合によっては、閉鎖システムは、注入チューブで医用材料容器のバイアルに接続される。本明細書に記載の医用材料容器と共に使用するための代表的な閉鎖システムとしては、Sepax(登録商標)およびSepax(登録商標)2システムが挙げられる。
【0287】
いくつかの態様では、該組成物は、遠心チャンバーまたは細胞処理システムなどの第1の容器から、マルチポート出力キットを介して医用材料容器に移される;該マルチポート出力キットは、製剤化された組成物の移送のために1つまたは複数の容器(例えば、医用材料容器)を接続できるポートとチューブラインの各端でつながったマルチウェイチューブマニホールドを含む。いくつかの局面では、所望の数または複数のそのようなバイアルは、マルチポート出力キットのポートの1つ以上、一般には2つ以上、例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8またはそれ以上に無菌的に接続され得る。例えば、いくつかの態様では、1つまたは複数の容器、例えば医用材料容器を、該ポートに、または該ポートの全部より少ないポートに、取り付けることができる。こうして、いくつかの態様では、該システムは、医用材料容器の複数のバイアルへのアウトプット組成物の移送を行うことができる。
【0288】
いくつかの局面では、細胞は、単回投与量または複数回投与量などの投与量で、複数の出力容器(例えば、医用材料容器のバイアル)の1つ以上に送られるか、または移される。例えば、いくつかの態様では、医用材料容器のバイアルは、それぞれ、所定の用量またはその分割量で投与するための細胞の数を含むことができる。したがって、いくつかの局面では、各バイアルは単回投与量を含んでもよいし、複数のバイアルのうちの2つ以上、例えばバイアルの2つ、またはバイアルの3つが、一緒になって1回分の投与量を構成するように、所望の用量の分割量を含んでもよい。
【0289】
したがって、本明細書に記載のバイアルは、一般に、投与される細胞、例えば、その1回または複数回の単位用量を含む。単位用量は、対象に投与される細胞の量もしくは数、または投与される細胞の数の2倍(またはそれ以上)であり得る。それは、対象に投与される細胞の最低用量または可能な限り低い用量であり得る。
【0290】
いくつかの態様では、各バイアルは個別に単位用量の細胞を含む。したがって、いくつかの態様では、各容器は、同じまたはほぼ同じまたは実質的に同じ数の細胞を含む。いくつかの態様では、各単位用量は、少なくとも1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、1×108、1.5×108、2.5×108、3×108、4.5×108、5×108、9×108、もしくは1.2×109、または少なくとも約1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、1×108、1.5×108、2.5×108、3×108、4.5×108、5×108、9×108、もしくは1.2×109、または約1×106、約2×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1×108、約1.5×108、約2.5×108、約3×108、4.5×108、約5×108、約9×108、もしくは約1.2×109の、遺伝子操作された細胞、総細胞、T細胞またはPBMCを含む。いくつかの態様では、各容器(例えば、バッグまたはバイアル)内の製剤化された細胞組成物の量は、10mL~100mLまたは約10mL~約100mL、例えば、少なくとも20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mLもしくは100mL、または少なくとも約20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mLもしくは100mL、または20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mLもしくは100mL、または約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約70mL、約80mL、約90mLもしくは約100mLである。いくつかの態様では、容器(例えば、バッグまたはバイアル)内の細胞を凍結保存することが可能である。いくつかの態様では、今後使用するまでバイアルを液体窒素中に保存することが可能である。
【0291】
いくつかの態様では、本方法により産生されたそのような細胞、またはそのような細胞を含む組成物は、疾患または症状を治療するために対象に投与される。
【0292】
III. 組換えタンパク質
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法、例えばセクションIに記載の方法によって処理され、加工され、遺伝子操作され、かつ/または産生された細胞は、組換えタンパク質(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)などの、組換え受容体)を含むまたは発現するか、それを含むまたは発現するように遺伝子操作される。ある特定の態様では、本明細書に提供される方法は、組換えタンパク質を発現するまたは含むように遺伝子操作された細胞、あるいは該細胞を含むおよび/または該細胞が濃縮された集団もしくは組成物を産生し、かつ/または産生することができる。いくつかの態様では、T細胞、またはT細胞の集団もしくは組成物が処理され、加工され、遺伝子操作され、かつ/または産生される。
【0293】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それにより、そのような核酸の組換え産物または遺伝子改変産物を発現する。いくつかの態様では、遺伝子導入は、最初に、増殖、生存率および/または活性化などの応答(例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現により測定される)を誘発する刺激と細胞とを組み合わせるなどにより、細胞を刺激し、続いて、活性化された細胞の形質導入を行い、臨床応用に十分な数にまで培養下で拡大増殖することによって達成される。
【0294】
受容体には、抗原受容体およびその1つまたは複数の成分を含む受容体がある。組換え受容体には、キメラ受容体、例えばそのリガンド結合ドメインまたは結合フラグメントと細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域を含むもの、機能的非TCR抗原受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、およびT細胞受容体(TCR)、例えば組換えまたはトランスジェニックTCR、キメラ自己抗体受容体(CAAR)および前述のいずれかの成分が含まれる。CARなどの組換え受容体は、一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分に、いくつかの局面ではリンカーおよび/または膜貫通ドメイン(複数可)を介して、連結された細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを含む。
【0295】
1. キメラ抗原受容体(CAR)
いくつかの態様では、特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンド)、例えば特定の細胞タイプの表面に発現される抗原、に対する特異性を有するCARを発現する、T細胞などの、遺伝子操作された細胞が記載される。いくつかの態様では、該抗原はポリペプチドである。いくつかの態様では、該抗原は炭水化物または他の分子である。いくつかの態様では、該抗原は、正常または非標的細胞もしくは組織と比較して、疾患または症状の細胞(例えば、腫瘍または病原性細胞)上に選択的に発現されるか、または過剰発現される。他の態様では、該抗原は正常細胞に発現され、かつ/または遺伝子操作された細胞に発現される。
【0296】
特定の態様では、キメラ受容体などの組換え受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含み、それは、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができる細胞質(細胞内)領域などの、細胞質シグナル伝達ドメインまたは領域(細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域とも交換可能に呼ばれる)、例えば、T細胞受容体(TCR)成分の細胞質シグナル伝達ドメインまたは領域(例えば、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖の細胞質シグナル伝達ドメインまたは領域、またはその機能的バリアントもしくはシグナル伝達部分)を含み、かつ/またはそれは免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。
【0297】
いくつかの態様では、キメラ受容体はさらに、リガンド(例えば、抗原)抗原に特異的に結合する細胞外リガンド結合ドメインを含む。いくつかの態様では、キメラ受容体は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含むCARである。いくつかの態様では、抗原などのリガンドは、細胞の表面に発現されるタンパク質である。いくつかの態様では、CARはTCR様CARであり、抗原はプロセシングされたペプチド抗原、例えば、細胞内タンパク質のペプチド抗原であり、これは、TCRと同様に、主要組織適合性複合体(MHC)分子の状況下にあって細胞表面で認識される。
【0298】
例示的な抗原受容体(例えば、CAR)、および遺伝子操作により該受容体を細胞に導入する方法は、例えば、以下に記載されているものを含む:国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号:US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許番号:6,451,995、7,446,190、8,252,592、8,339,645、8,398,282、7,446,179、6,410,319、7,070,995、7,265,209、7,354,762、7,446,191、8,324,353、8,479,118、およびヨーロッパ特許出願番号EP2537416、および/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75。いくつかの局面では、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されるCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載されるものを含む。CARの例には、前述の刊行物、例えば、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013); Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701; およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)のいずれかに開示されるCARが含まれる。また、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0299】
いくつかの態様では、CARは、特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンド)、例えば、養子免疫療法の標的となる特定の細胞タイプに発現される抗原(例えば、がんマーカー)、および/または抑制応答(dampening response)を誘発することを目的とした抗原(例えば、正常または非罹患細胞タイプで発現される抗原)、に対する特異性を示すように構築される。したがって、CARは一般に、その細胞外部分に、1つ以上の抗原結合分子、例えば、1つ以上の抗原結合フラグメント、ドメイン、もしくは部分、または1つ以上の抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。いくつかの態様では、CARは、抗体分子の抗原結合部分(複数可)、例えば、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)と可変軽鎖(VL)から誘導される一本鎖抗体フラグメント(scFv)を含む。
【0300】
本明細書における用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、以下を含むポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む:インタクトの抗体および機能的な(抗原結合)抗体フラグメント、例えば、抗原結合(Fab)フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント、Fvフラグメント、組換えIgG(rIgG)フラグメント、抗原に特異的に結合できる重鎖可変(VH)領域、一本鎖抗体フラグメント、例えば一本鎖可変フラグメント(scFv)、および単一ドメイン抗体(例えばsdAb、sdFv、ナノボディ)フラグメント。この用語は、免疫グロブリンの遺伝子操作されたおよび/またはその他の方法で改変された形態を含み、例えば、イントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性(例えば、二重特異性または三重特異性)抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムジscFv、タンデムトリscFvを包含する。特に明記しない限り、「抗体」という用語は、本明細書では「抗原結合フラグメント」とも呼ばれるその機能的な抗体フラグメントを包含すると理解されるべきである。この用語はまた、IgGとそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、およびIgDなどの、任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含むインタクトまたは完全長の抗体を包含する。
【0301】
いくつかの態様では、抗原結合タンパク質、抗体およびその抗原結合フラグメントは、完全長抗体の抗原を特異的に認識する。いくつかの態様では、抗体の重鎖および軽鎖は、完全長であるか、または抗原結合部分(Fab、F(ab')2、Fvまたは一本鎖Fvフラグメント(scFv))であり得る。他の態様では、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEから選択され、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、より具体的には、IgG1(例えば、ヒトIgG1)から選択される。別の態様では、抗体軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダ、特にカッパから選択される。
【0302】
抗体の中には、抗体フラグメントが含まれる。「抗体フラグメント」は、インタクトの抗体が結合する抗原に結合するインタクト抗体の一部を含む、インタクト抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例には、限定するものではないが、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線形抗体;可変重鎖(VH)領域、一本鎖抗体分子、例えばscFvおよび単一ドメインVH単一抗体;抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。特定の態様では、抗体は、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体フラグメント、例えばscFvである。
【0303】
用語「相補性決定領域」および「CDR」は、「超可変領域」または「HVR」と同義語であり、場合によっては、抗原特異性および/または結合親和性を付与する抗体可変領域内のアミノ酸の非連続配列を指すことが知られている。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDRがあり(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、各軽鎖可変領域には3つのCDRがある(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)。「フレームワーク領域」および「FR」は、場合によっては、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが知られている。一般に、各完全長重鎖可変領域には4つのFRがあり(FR-H1、FR-H2、FR-H3、およびFR-H4)、各完全長軽鎖可変領域には4つのFRがある(FR-L1、FR-L2、FR-L3、およびFR-L4)。
【0304】
所定のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列の境界は、いくつかのよく知られたスキームのいずれかを用いて簡単に決定することができ、そうしたスキームには、以下に記載されるものが含まれる:Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム);Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム);MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), “Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography,” J. Mol. Biol. 262, 732-745.”(「Contact」ナンバリングスキーム);Lefranc MP et al., “IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム);Honegger A and Plueckthun A, “Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」ナンバリングスキーム);およびMartin et al., “Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm,” PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」ナンバリングスキーム)。
【0305】
特定のCDRまたはFRの境界は、識別に使用したスキームによって異なることがある。例えば、Kabatスキームは構造的アラインメントに基づいており、一方Chothiaスキームは構造的情報に基づいている。KabatとChothiaの両スキームの番号付けは、最も一般的な抗体領域の配列の長さに基づいており、挿入文字(例えば「30a」)に対応する挿入および欠失が一部の抗体に現れる。これらの2つのスキームは、特定の挿入と欠失(「インデル」)を異なる位置に配置し、その結果として異なった番号付けをもたらす。Contactスキームは、複雑な結晶構造の解析に基づいており、多くの点でChothiaナンバリングスキームと類似している。AbMスキームは、Oxford Molecular社のAbM抗体モデリングソフトウェアで使用されたものに基づく、KabatとChothiaの定義の間の妥協案である。
【0306】
以下の表1は、それぞれKabat、Chothia、AbM、およびContactスキームで識別されるCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3およびCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3の例示的な位置境界を示す。CDR-H1の場合は、残基の番号付けが、KabatとChothiaの両方のナンバリングスキームを用いて示されている。FRはCDR間に位置し、例えば、FR-L1はCDR-L1の前に位置し、FR-L2はCDR-L1とCDR-L2の間に位置し、FR-L3はCDR-L2とCDR-L3の間に位置する、といった具合である。示されるKabatナンバリングスキームはH35AとH35Bに挿入を配置するため、示されるKabatナンバリング規則を用いて番号付けされた場合のChothia CDR-H1ループの終わりは、ループの長さに応じてH32とH34の間で異なることに留意されたい。
【0307】
(表1)各種のナンバリングスキームによるCDRの境界
1 - Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD
2 - Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948
【0308】
したがって、他に指定されない限り、所与の抗体またはその領域(その可変領域など)の「CDR」または「相補性決定領域」または個々の特定されたCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述のスキームまたは他の公知のスキームのいずれかによって定義された相補性決定領域(または具体的な相補性決定領域)を含むと理解されるべきである。例えば、特定のCDR(例えば、CDR-H3)が、所定のVHまたはVL領域のアミノ酸配列中に対応するCDRのアミノ酸配列を含むことが述べられている場合、そのようなCDRは、前述のスキームまたは他の公知のスキームのいずれかによって定義された対応するCDR(例えば、CDR-H3)の配列を可変領域内にもつことが理解される。いくつかの態様では、具体的なCDR配列が指定される。抗体の例示的なCDR配列は、各種のナンバリングスキームを用いて記載されるが、抗体は、前述の他のナンバリングスキームまたは当業者に公知の他のナンバリングスキームのいずれかに従って記載されるCDRを含み得ることが理解されよう。
【0309】
同様に、他に指定されない限り、所与の抗体またはその領域(その可変領域など)の「FR」または個々の特定されたFR(例えば、FR-H1、FR-H2、FR-H3、FR-H4)は、公知のスキームのいずれかによって定義されたフレームワーク領域(または具体的なフレームワーク領域)を含むと理解されるべきである。いくつかの場合には、Kabat、Chothia、AbMもしくはContactの方法、または他の公知のスキームによって定義されたCDRなど、特定のCDRまたはFR(複数可)を識別するためのスキームが指定される。他の場合には、CDRまたはFRの特定のアミノ酸配列が示される。
【0310】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体が抗原に結合する際に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(それぞれVHおよびVL)は一般に類似の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つのCDRを含む。例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照されたい。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、該抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを用いて、それぞれ相補的なVLまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることにより、単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0311】
CARに含まれる抗体の中には、抗体フラグメントがある。「抗体フラグメント」または「抗原結合フラグメント」は、インタクトの抗体が結合する抗原に結合するインタクト抗体の一部を含む、インタクト抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例には、限定するものではないが、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線形抗体;重鎖可変(VH)領域、一本鎖抗体分子、例えばscFvおよびVH領域のみを含む単一ドメイン抗体;および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。いくつかの態様では、CARの抗原結合ドメインは、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域を含む抗体フラグメントであるか、またはそれを含む。特定の態様では、抗体は、重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域を含む一本鎖抗体フラグメント、例えばscFvである。
【0312】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体フラグメントである。特定の態様では、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。いくつかの態様では、CARは、抗原に特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む;該抗原は、腫瘍細胞、がん細胞などの、標的となる細胞または疾患のがんマーカーもしくは細胞表面抗原、例えば、本明細書に記載のまたは公知の標的抗原のいずれかである。
【0313】
抗体フラグメントは、インタクトの抗体のタンパク質分解消化および組換え宿主細胞による産生を含むがこれらに限らない、様々な技術によって作製することができる。いくつかの態様では、抗体は、組換えにより作製されたフラグメントであり、例えば、天然には存在しない配置を含むフラグメント、例えば、ペプチドリンカーなどの合成リンカーによって連結された2つ以上の抗体領域または鎖を有するもの、および/または天然に存在するインタクトの抗体の酵素消化によっては生じないものなどである。いくつかの態様では、抗体フラグメントはscFvである。
【0314】
「ヒト化」抗体は、全てまたは実質的に全てのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、全てまたは実質的に全てのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来する抗体である。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、親の非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、典型的にはヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化を受けた、非ヒト抗体のバリアントを指す。いくつかの態様では、ヒト化抗体の一部のFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復させるかまたは改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基の由来となった抗体)からの対応する残基で置き換えられる。
【0315】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合部分は、抗原受容体などの組換え受容体の一部として、細胞上に発現される。抗原受容体の中には、キメラ抗原受容体(CAR)などの、機能的な非TCR抗原受容体がある。一般に、ペプチド-MHC複合体に対するTCR様特異性を示す抗体または抗原結合フラグメントを含むCARは、TCR様CARと呼ばれることもある。いくつかの態様では、TCR様CARのMHC-ペプチド複合体に特異的な細胞外抗原結合ドメインは、いくつかの局面ではリンカーおよび/または膜貫通ドメイン(複数可)を介して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分に連結される。いくつかの態様では、そのような分子は、典型的には、TCRなどの天然の抗原受容体を介したシグナル、および任意で、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介したシグナルをまねたり、そのようなシグナルに近づいたりすることができる。
【0316】
いくつかの態様では、キメラ受容体(例えば、CAR)などの組換え受容体は、抗原(またはリガンド)に結合する、例えば特異的に結合する、リガンド結合ドメインを含む。キメラ受容体によって標的化される抗原の中には、疾患、症状、または養子細胞療法により標的化される細胞タイプの状況下で発現される抗原がある。疾患および症状の中には、増殖性、腫瘍性、および悪性の疾患および障害があり、例えば、血液のがん、免疫系のがん、例えば、リンパ腫、白血病、および/または骨髄腫、例えばB細胞性、T細胞性、および骨髄性白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫が含まれる。
【0317】
いくつかの態様では、抗原(またはリガンド)はポリペプチドである。いくつかの態様では、それは炭水化物または他の分子である。いくつかの態様では、該抗原(またはリガンド)は、正常または非標的細胞もしくは組織と比較して、疾患または症状の細胞(例えば、腫瘍または病原性細胞)上に選択的に発現されるか、または過剰発現される。他の態様では、該抗原は正常細胞上に発現され、かつ/または遺伝子操作された細胞上に発現される。
【0318】
いくつかの態様では、CARは、細胞の表面に発現された、インタクトの抗原などの、抗原を特異的に認識する抗体または抗原結合フラグメント(例えば、scFv)を含む。
【0319】
いくつかの態様では、抗原(またはリガンド)は腫瘍抗原またはがんマーカーである。いくつかの態様では、抗原(またはリガンド)は、以下であるか、または以下を含む:αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9、別名CAIXまたはG250)、がん精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、別名NY-ESO-1およびLAGE-2)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、タイプIII上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン(ephrin)B2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;別名Fc受容体ホモログ5またはFCRH5)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(Leucine Rich Repeat Containing 8 Family Member A:LRRC8A)、Lewis Y、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メラン(melan)A(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、がん胎児抗原、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、トロホブラスト(Trophoblast)糖タンパク質(TPBG、別名5T4)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1、別名TYRP1またはgp75)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2、別名ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタイソメラーゼまたはDCT)、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、Wilms Tumor 1(WT-1)、病原体特異的または病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子。いくつかの態様における該受容体によって標的化される抗原には、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば、多くの公知のB細胞マーカーのいずれかが含まれる。いくつかの態様では、抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79bまたはCD30であるか、またはそれを含む。
【0320】
いくつかの態様では、CARは、BCMA、例えばヒトBCMAに特異的な抗BCMA CARである。マウス抗ヒトBCMA抗体およびヒト抗ヒト抗体などの抗BCMA抗体を含むキメラ抗原受容体、ならびにそのようなキメラ受容体を発現する細胞は、以前に記載されている。Carpenter et al., Clin Cancer Res., 2013, 19(8):2048-2060;WO 2016/090320;WO2016/090327;WO2010104949A2およびWO2017173256を参照されたい。いくつかの態様では、抗BCMA CARは、WO 2016/090320またはWO2016090327に記載される抗体に由来する可変重鎖(VH)および/または可変軽鎖(VL)領域を含む、scFvなどの抗原結合ドメインを含む。いくつかの態様では、scFvなどの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 30に示されるVHおよびSEQ ID NO: 31に示されるVLを含む。いくつかの態様では、scFvなどの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 32に示されるVHおよびSEQ ID NO: 33に示されるVLを含む。いくつかの態様では、scFvなどの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 34に示されるVHおよびSEQ ID NO: 35に示されるVLを含む。いくつかの態様では、scFvなどの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 27に示されるVHおよびSEQ ID NO: 28に示されるVLを含む。いくつかの態様では、scFvなどの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 41に示されるVHおよびSEQ ID NO: 42に示されるVLを含む。いくつかの態様では、scFvなどの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 43に示されるVHおよびSEQ ID NO: 44に示されるVLを含む。
【0321】
いくつかの態様では、scFvなどの抗原結合ドメインは、SEQ ID NO: 45に示されるVHおよびSEQ ID NO: 46に示されるVLを含む。いくつかの態様では、VHまたはVLは、前述のVHまたはVL配列のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を有し、かつBCMAへの結合を保持する。いくつかの態様では、VH領域はVL領域のアミノ末端側である。いくつかの態様では、VH領域はVL領域のカルボキシ末端側である。
【0322】
いくつかの態様では、CARは、CD19、例えばヒトCD19に特異的な抗CD19 CARである。いくつかの態様では、その抗原はCD19である。いくつかの態様では、scFvは、CD19に特異的な抗体または抗体フラグメントに由来するVHおよびVLを含む。いくつかの態様では、CD19に結合する抗体または抗体フラグメントは、マウス由来の抗体、例えばFMC63およびSJ25C1である。いくつかの態様では、該抗体または抗体フラグメントは、例えば、米国特許公開番号US 2016/0152723に記載されるような、ヒト抗体である。
【0323】
いくつかの態様では、scFvおよび/またはVHドメインは、FMC63に由来する。FMC63は一般に、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。いくつかの態様では、FMC63抗体は、それぞれSEQ ID NO: 50、51に示されるCDR-H1およびCDR-H2、およびSEQ ID NO: 52または66に示されるCDR-H3、ならびにSEQ ID NO: 47に示されるCDR-L1、SEQ ID NO: 48または67に示されるCDR-L2、およびSEQ ID NO: 49または68に示されるCDR-L3を含む。いくつかの態様では、FMC63抗体は、SEQ ID NO: 53のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO: 54のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0324】
いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:47のCDR-L1とSEQ ID NO:48のCDR-L2とSEQ ID NO:49のCDR-L3を含む可変軽鎖、および/またはSEQ ID NO:50のCDR-H1とSEQ ID NO:51のCDR-H2とSEQ ID NO:52のCDR-H3を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:53に示される可変重鎖領域およびSEQ ID NO:54に示される可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様では、可変重鎖と可変軽鎖はリンカーにより連結されている。いくつかの態様では、リンカーはSEQ ID NO:70に示される。いくつかの態様では、scFvは、順に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様では、scFvは、順に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:69に示されるヌクレオチドの配列、またはSEQ ID NO:69に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示す配列によりコードされる。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:55に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:55に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0325】
いくつかの態様では、scFvは、SJ25C1に由来する。SJ25C1は、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。いくつかの態様では、SJ25C1抗体は、それぞれSEQ ID NO: 59~61に示されるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3配列と、それぞれSEQ ID NO: 56~58に示されるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3配列を含む。いくつかの態様では、SJ25C1抗体は、SEQ ID NO: 62のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO: 63のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0326】
いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:56のCDR-L1配列とSEQ ID NO:57のCDR-L2配列とSEQ ID NO:58のCDR-L3配列を含む可変軽鎖、および/またはSEQ ID NO:59のCDR-H1配列とSEQ ID NO:60のCDR-H2配列とSEQ ID NO:61のCDR-H3配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:62に示される可変重鎖領域およびSEQ ID NO:63に示される可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様では、可変重鎖と可変軽鎖はリンカーにより連結されている。いくつかの態様では、リンカーはSEQ ID NO:64に示される。いくつかの態様では、scFvは、順に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様では、scFvは、順に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:65に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:65に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0327】
いくつかの態様では、抗原はCD20である。いくつかの態様では、scFvは、CD20に特異的な抗体または抗体フラグメントに由来するVHおよびVLを含む。いくつかの態様では、CD20に結合する抗体または抗体フラグメントは、リツキシマブであるか、またはリツキシマブに由来する抗体であり、例えば、リツキシマブscFvである。
【0328】
いくつかの態様では、抗原はCD22である。いくつかの態様では、scFvは、CD22に特異的な抗体または抗体フラグメントに由来するVHおよびVLを含む。いくつかの態様では、CD22に結合する抗体または抗体フラグメントは、m971であるか、またはm971に由来する抗体であり、例えば、m971 scFvである。
【0329】
いくつかの態様では、抗原または抗原結合ドメインはGPRC5Dである。いくつかの態様では、scFvは、GPRC5Dに特異的な抗体または抗体フラグメントに由来するVHおよびVLを含む。いくつかの態様では、GPRC5Dに結合する抗体または抗体フラグメントは、国際特許出願、公開番号WO 2016/090329およびWO 2016/090312に記載される抗体または抗体フラグメントに由来するVHおよびVLであるか、またはそれらを含む。
【0330】
いくつかの態様では、抗体は、2つの抗体ドメインまたは領域、例えば重鎖可変(V
H)領域と軽鎖可変(V
L)領域、をつなぐ1つ以上のリンカーを含む、scFvなどの抗原結合フラグメントである。リンカーは、典型的には、ペプチドリンカー、例えば、柔軟性および/または可溶性のペプチドリンカーである。リンカーの中には、グリシンおよびセリンおよび/または場合によってはスレオニンに富むリンカーがある。いくつかの態様では、リンカーは、溶解性を改善できるリシンおよび/またはグルタミン酸などの荷電残基をさらに含む。いくつかの態様では、リンカーは、1個または複数のプロリンをさらに含む。いくつかの局面では、グリシンおよびセリン(および/またはスレオニン)に富むリンカーは、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のそのようなアミノ酸を含む。いくつかの態様では、それらは少なくとも50%、55%、60%、70%、もしくは75%、または少なくとも約50%、55%、60%、70%、もしくは75%のグリシン、セリン、および/またはスレオニンを含む。いくつかの態様では、リンカーは、実質的に完全にグリシン、セリン、および/またはスレオニンから構成される。リンカーは一般に、約5~約50アミノ酸長、典型的には10~30または約10~約30、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30、いくつかの例では、10~25アミノ酸長である。例示的なリンカーには、配列GGGGS(4GS; SEQ ID NO:36)またはGGGS(3GS; SEQ ID NO:37)の様々な数の反復、例えば、そのような配列の2、3、4、および5反復を有するリンカーが含まれる。例示的なリンカーとして、
に示される配列を有するか、またはそれからなるものが挙げられる。
【0331】
いくつかの態様では、抗原は、病原体特異的抗原もしくは病原体発現抗原であるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、抗原は、ウイルス抗原(例えば、HIV、HCV、HBVなどのウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。いくつかの態様では、CARは、TCR様抗体、例えば、細胞表面にMHC-ペプチド複合体として提示される、腫瘍関連抗原などの、細胞内抗原を特異的に認識する抗体または抗原結合フラグメント(例えば、scFv)を含む。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体を認識する抗体またはその抗原結合部分は、抗原受容体などの、組換え受容体の一部として細胞上に発現させることができる。抗原受容体の中には、キメラ抗原受容体(CAR)などの、機能的な非TCR抗原受容体がある。一般的に、ペプチド-MHC複合体に対するTCR様特異性を示す抗体または抗原結合フラグメントを含むCARは、TCR様CARともいうことができる。
【0332】
「主要組織適合性複合体」(MHC)への言及は、ポリペプチドのペプチド抗原(細胞内機構によってプロセシングされたペプチド抗原を含む)と場合により複合体化し得る、多型ペプチド結合部位または結合溝を含むタンパク質、一般的には糖タンパク質を指す。いくつかの場合には、MHC分子は、TCRなどのT細胞上の抗原受容体またはTCR様抗体によって認識されるコンフォメーションで抗原を提示するために、例えばペプチドとの複合体、すなわちMHC-ペプチド複合体として、細胞表面にディスプレイまたは発現され得る。一般的に、MHCクラスI分子は、場合により3つのαドメインを含む膜貫通α鎖と、非共有結合したβ2ミクログロブリンを有する、ヘテロ二量体である。一般的に、MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質αおよびβで構成され、両方とも通常は膜にまたがっている。MHC分子は、ペプチドを結合するための抗原結合部位(複数可)および適切な抗原受容体による認識に必要な配列を含む、MHCの有効な部分を含み得る。いくつかの態様では、MHCクラスI分子は、細胞質ゾルに由来するペプチドを細胞表面に送達する;この場合には、MHC-ペプチド複合体はT細胞、例えば一般にはCD8+ T細胞によって認識されるが、場合によってはCD4+ T細胞によって認識される。いくつかの態様では、MHCクラスII分子は、小胞系(vesicular system)に由来するペプチドを細胞表面に送達する;この場合には、それらは通常CD4+ T細胞によって認識される。一般に、MHC分子は、マウスではH-2、ヒトではヒト白血球抗原(HLA)と総称される、連鎖している遺伝子座のグループによってコードされる。それゆえ、一般的に、ヒトMHCはヒト白血球抗原(HLA)と称されることもある。
【0333】
用語「MHC-ペプチド複合体」または「ペプチド-MHC複合体」またはその変形は、一般に、MHC分子の結合溝または裂け目に収まったペプチドの非共有結合的相互作用などによる、ペプチド抗原とMHC分子の複合体または会合を指す。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体は、細胞の表面上に存在するか、または提示される。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体は、抗原受容体、例えば、TCR、TCR様CAR、またはその抗原結合部分によって特異的に認識され得る。
【0334】
いくつかの態様では、ポリペプチドの、ペプチド抗原またはエピトープなどのペプチドは、例えば抗原受容体による認識のために、MHC分子と会合することができる。一般に、ペプチドは、ポリペプチドまたはタンパク質などのより長い生体分子に由来するか、またはその断片に基づく。いくつかの態様では、ペプチドは、典型的には約8~約24アミノ酸長である。いくつかの態様では、ペプチドは、MHCクラスII複合体での認識のために、9~22または約9~22アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様では、ペプチドは、MHCクラスI複合体での認識のために、8~13または約8~13アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体などの、MHC分子との関連でペプチドが認識されると、TCRまたはTCR様CARなどの抗原受容体は、T細胞応答、例えば、T細胞増殖、サイトカイン産生、細胞傷害性T細胞応答または他の応答を誘導するT細胞への活性化シグナルをもたらすか、または引き起こす。
【0335】
いくつかの態様では、TCR様抗体または抗原結合部分は、公知であるか、または公知の方法により作製することができる(例えば、米国特許出願公開番号US 2002/0150914; US 2003/0223994; US 2004/0191260; US 2006/0034850; US 2007/00992530; US20090226474; US20090304679; および国際PCT公開番号WO 03/068201を参照されたい)。
【0336】
いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、特定のMHC-ペプチド複合体を含む有効量の免疫原で宿主を免疫することによって作製され得る。いくつかの場合では、MHC-ペプチド複合体のペプチドは、MHCに結合することができる抗原、例えば、腫瘍抗原、例えば、ユニバーサル腫瘍抗原、骨髄腫抗原、または以下に記載される他の抗原、のエピトープである。いくつかの態様では、次いで、免疫応答を誘発するために、有効量の免疫原が宿主に投与される;その場合、免疫原は、MHC分子の結合溝内のペプチドの三次元表現に対する免疫応答を引き出すのに十分な期間にわたってその三次元形態を保持する。その後、宿主から回収された血清をアッセイして、MHC分子の結合溝内のペプチドの三次元表現を認識する所望の抗体が産生されているかどうかを判定する。いくつかの態様では、産生された抗体をアッセイして、該抗体がMHC-ペプチド複合体をMHC分子単独、関心対象のペプチド単独、およびMHCと無関係のペプチドとの複合体から区別し得ることを確認することができる。その後、所望の抗体を単離することができる。
【0337】
いくつかの態様では、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、ファージ抗体ライブラリーなどの、抗体ライブラリーディスプレイ法を使用することによって取得することができる。いくつかの態様では、変異型Fab、scFvまたは他の抗体形態のファージディスプレイライブラリーが作製され、例えば、該ライブラリーではそのメンバーがCDR(複数可)の1つまたは複数の残基で変異している。例えば、米国特許出願公開番号US20020150914; US2014/0294841; およびCohen CJ. et al. (2003) J Mol. Recogn. 16:324-332を参照されたい。
【0338】
したがって、いくつかの態様では、TCR様CARなどのキメラ抗原受容体は、抗体または抗体フラグメントを含む細胞外部分を含む。いくつかの態様では、その抗体またはフラグメントにはscFvが含まれる。いくつかの局面では、キメラ抗原受容体は、抗体またはフラグメントを含む細胞外部分と細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞で一次活性化シグナルを誘導できるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含む。
【0339】
いくつかの態様では、CAR、例えばその抗体部分などの、組換え受容体はさらに、スペーサーを含み、該スペーサーは、免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは修飾バージョンの少なくとも一部、例えば、IgG4ヒンジ領域などのヒンジ領域、および/またはCH1/CLおよび/またはFc領域であっても、それを含んでもよい。いくつかの態様では、組換え受容体はさらに、スペーサーおよび/またはヒンジ領域を含む。いくつかの態様では、定常領域または部分は、ヒトIgG、例えばIgG4またはIgG1、のものである。いくつかの局面では、定常領域の部分は、抗原認識成分(例えば、scFv)と膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として機能する。スペーサーは、スペーサーがない場合と比較して、抗原結合後の細胞の応答性を増加させる長さのものであり得る。
【0340】
いくつかの例では、スペーサーは、12アミノ酸または約12アミノ酸の長さであるか、またはわずか12アミノ酸の長さであるにすぎない。例示的なスペーサーには、以下が含まれる:少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有するもの(上記範囲のいずれかの両端間の任意の整数を含む)。いくつかの態様では、スペーサー領域は、約12アミノ酸以下、約119アミノ酸以下、または約229アミノ酸以下を有する。例示的なスペーサーには、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが含まれる。例示的なスペーサーには、限定するものではないが、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153; Hudecek et al. (2015) Cancer Immunol Res. 3(2): 125-135または国際特許出願公開番号WO2014031687; 米国特許第8,822,647号または米国特許出願公開番号US2014/0271635に記載されるものが含まれる。いくつかの態様では、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジ領域、CH2およびCH3領域の配列を含む。いくつかの態様では、ヒンジ、CH2およびCH3の1つまたは複数は、全部または一部がIgG4またはIgG2に由来する。いくつかの場合には、ヒンジ、CH2およびCH3はIgG4に由来する。いくつかの局面では、ヒンジ、CH2およびCH3の1つまたは複数はキメラであり、IgG4およびIgG2に由来する配列を含む。いくつかの例では、スペーサーは、IgG4/2キメラヒンジ、IgG2/4 CH2、およびIgG4 CH3領域を含む。
【0341】
いくつかの態様では、スペーサーは、全部または一部がIgG4および/またはIgG2に由来することができ、1つ以上のドメインに1つまたは複数の単一アミノ酸変異などの変異を含むことができる。いくつかの例では、アミノ酸の改変は、IgG4のヒンジ領域におけるセリン(S)のプロリン(P)による置換である。いくつかの態様では、アミノ酸の改変は、グリコシル化の不均一性を低減させるためのアスパラギン(N)のグルタミン(Q)による置換、例えば、全長IgG4 Fc配列のCH2領域の177位でのN177Q変異、または全長IgG4 Fc配列のCH2領域の176位でのN176Qなどである。
【0342】
いくつかの態様では、スペーサーはSEQ ID NO: 1に示される配列を有し、SEQ ID NO: 2に示される配列によりコードされる。いくつかの態様では、スペーサーはSEQ ID NO: 3に示される配列を有する。いくつかの態様では、スペーサーはSEQ ID NO: 4に示される配列を有する。いくつかの態様では、コードされるスペーサーは、SEQ ID NO: 29に示される配列であるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、定常領域または部分はIgDのものである。いくつかの態様では、スペーサーはSEQ ID NO: 5に示される配列を有する。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO: 1、3、4、5または29のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0343】
抗原認識ドメインは一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達構成成分、例えば、CARの場合であればTCR複合体などの抗原受容体複合体を介する活性化を模倣し、かつ/または別の細胞表面受容体を通してシグナル伝達するシグナル伝達構成成分などに、連結される。したがって、いくつかの態様において、抗原結合構成成分(例えば、抗体)は、1つまたは複数の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達領域に連結される。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは細胞外ドメインに融合される。1つの態様では、受容体、例えばCAR中のドメインの1つに天然で付随している膜貫通ドメインが使用される。場合によっては、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避するように選択され、またはアミノ酸置換によって修飾される。
【0344】
膜貫通ドメインはいくつかの態様において、天然供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、ドメインはいくつかの局面において、任意の膜結合型タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のアルファ、ベータ、またはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD 16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD 134、CD137、CD 154に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含む)ものが含まれる。あるいは、膜貫通ドメインはいくつかの態様において合成による。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、主に、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を含む。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインの各末端には、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが見いだされるであろう。いくつかの態様において、連結はリンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによる。
【0345】
細胞内シグナル伝達領域には、天然抗原受容体を介するシグナル、共刺激受容体と組み合わされたそのような受容体を介するシグナル、および/または共刺激受容体のみを介するシグナルを模倣するか、またはそれらに近似するものが含まれる。いくつかの態様では、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば2~10アミノ酸長のリンカー、例えばグリシンおよびセリン(例えば、グリシン-セリンダブレット)を含有するものなどが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間の連結を形成する。
【0346】
受容体、例えばCARは、一般に、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達構成成分または細胞内シグナル伝達構成成分群を含む。いくつかの態様において、受容体は、TCR複合体の細胞内構成成分、例えばT細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖など、例えばCD3ゼータ鎖を含む。したがって、いくつかの局面において、ROR1結合抗体は1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。いくつかの態様において、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、受容体、例えばCARは、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの1つまたは複数の付加的な分子の一部をさらに含む。例えば、いくつかの局面において、CARは、CD3-ゼータ (CD3-ζ) またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25、またはCD16とのキメラ分子を含む。
【0347】
いくつかの態様では、CARの連結時に、CARの細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達領域は、免疫細胞、例えばCARを発現するように操作されたT細胞、の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、状況によっては、CARは、細胞溶解活性またはTヘルパー活性などといったT細胞の機能、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌などを誘導する。いくつかの態様では、例えば、抗原受容体構成成分または共刺激分子の細胞内シグナル伝達領域の切断された部分が、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、インタクトな免疫刺激鎖の代わりにそれが使用される。いくつかの態様において、例えば1つまたは複数の細胞内ドメインを含む、細胞内シグナル伝達領域は、T細胞受容体 (TCR) の細胞質配列を含み、いくつかの局面では、天然状況においてそのような受容体と協調して作用して抗原受容体会合後にシグナル伝達を開始させる共受容体の細胞質配列、および/またはそのような分子の任意の派生物もしくは変種の細胞質配列、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列も、含む。
【0348】
天然のTCRの状況において、完全な活性化は一般に、TCRを介するシグナル伝達のみならず、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様では、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成成分もまたCARに含まれる。他の態様において、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成成分を含まない。いくつかの局面では、同じ細胞中で付加的なCARが発現され、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成成分を提供する。
【0349】
T細胞活性化は、いくつかの局面において、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRを介する抗原依存性一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列);および抗原非依存的様式で作用して二次シグナルまたは共刺激シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナル伝達構成成分の一方または両方を含む。
【0350】
いくつかの局面において、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして公知であるシグナル伝達モチーフを含有し得る。ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRもしくはCD3ゼータ、FcRガンマ、またはFcRベータに由来するものが含まれる。いくつかの態様において、CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ゼータ由来の、細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部、または配列を含有する。
【0351】
いくつかの態様において、CARは、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSなどの共刺激受容体のシグナル伝達領域および/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面では、同じCARが、シグナル伝達領域と共刺激構成成分の両方を含む。
【0352】
いくつかの態様では、シグナル伝達領域が1つのCAR内に含まれる一方で、共刺激構成成分は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様において、CARは、いずれも同じ細胞上に発現される活性化または刺激CAR、および共刺激CARを含む(WO2014/055668を参照されたい)。
【0353】
ある特定の態様において、細胞内シグナル伝達領域は、CD3(例えば、CD3-ゼータ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結されたキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0354】
いくつかの態様において、CARは、細胞質部分において、1つまたは複数の、例えば2つまたはそれ以上の、共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを包含する。例示的なCARは、CD3-ゼータ、CD28、および4-1BBの細胞内構成成分を含む。
【0355】
場合により、CARは、第1世代CAR、第2世代CAR、および/または第3世代CARと称される。いくつかの局面において、第1世代CARは、抗原結合時にCD3鎖誘導性シグナルを単に提供するものであり;いくつかの局面において、第2世代CARは、そのようなシグナルおよび共刺激シグナルを提供するもの、例えばCD28またはCD137などの共刺激受容体からの細胞内シグナリングドメインを含むものであり;いくつかの局面において、第3世代CARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0356】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載の抗体または断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載の抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗体または断片はscFvまたは単一ドメインVH抗体を含み、細胞内ドメインはITAMを含有する。いくつかの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ (CD3ζ) 鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達領域との間に配置された膜貫通ドメインを含む。
【0357】
いくつかの局面では、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通部分を含む。細胞外ドメインと膜貫通ドメインは直接または間接的に連結され得る。いくつかの態様では、細胞外ドメインと膜貫通ドメインは、本明細書に記載されるような、スペーサーによって連結される。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインの間に、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子はCD28または4-1BBである。
【0358】
いくつかの態様では、CARは、抗体、例えば抗体フラグメント、CD28の膜貫通部分またはその機能的変異体であるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、およびCD28のシグナル伝達部分またはその機能的変異体とCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能的変異体を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、CARは、抗体、例えば抗体フラグメント、CD28の膜貫通部分またはその機能的変異体であるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、および4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能的変異体とCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能的変異体を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかのそのような態様では、該受容体は、ヒトIg分子などのIg分子の一部を含むスペーサー、例えばIgG4ヒンジなどのIgヒンジを含むスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
【0359】
いくつかの態様では、該受容体、例えばCAR、の膜貫通ドメイン、は、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはその変異体、例えばヒトCD28の27アミノ酸膜貫通ドメイン(アクセッション番号:P10747.1)であるか、またはSEQ ID NO: 8に示されるアミノ酸配列またはSEQ ID NO: 8に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上、または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインである;いくつかの態様では、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO: 9に示されるアミノ酸配列またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上、または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0360】
いくつかの態様では、キメラ抗原受容体はT細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子はCD28または4-1BBである。
【0361】
いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変異体もしくは部分、例えば、その41アミノ酸ドメインおよび/または天然CD28タンパク質の186-187位にLLからGGへの置換を有するそのようなドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO: 10または11に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 10または11に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上、または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの態様では、細胞内領域は、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変異体もしくは部分、例えば、ヒト4-1BBの42アミノ酸細胞質ドメイン(アクセッション番号Q07011.1)またはその機能的変異体もしくは部分、例えば、SEQ ID NO: 12に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 12に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上、または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0362】
いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD3鎖、任意でCD3ゼータ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変異体、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3の112アミノ酸細胞質ドメイン(アクセッション番号:P20963.2)または米国特許第7,446,190号または米国特許第8,911,993号に記載されるCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、SEQ ID NO: 13、14または15に示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 13、14または15に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上、または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0363】
いくつかの局面では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、例えばIgG4またはIgG1のヒンジのみ、例えばSEQ ID NO:1に示されるヒンジのみのスペーサーを含む。他の態様では、スペーサーは、CH2および/またはCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、例えばSEQ ID NO:3に示される、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、例えばSEQ ID NO:4に示される、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他の柔軟性のリンカー、例えば公知の柔軟性リンカーであるか、またはそれを含む。
【0364】
2. T細胞受容体(TCR)
いくつかの態様では、操作された細胞、例えばT細胞は、腫瘍、ウイルスまたは自己免疫タンパク質の抗原などの、標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識する、T細胞受容体(TCR)またはその抗原結合部分を発現する細胞である。
【0365】
いくつかの態様では、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)もしくは可変γ鎖およびδ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)、またはその抗原結合部分を含み、かつMHC分子に結合されたペプチドに特異的に結合することができる分子である。いくつかの態様では、TCRはαβ型である。典型的には、αβ型およびγδ型で存在するTCRは一般に構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は異なる解剖学的位置または機能をもつ可能性がある。TCRは細胞の表面上に、または可溶性の形態で存在し得る。一般に、TCRはT細胞(またはTリンパ球)の表面に見られ、そこでは一般的に主要組織適合性複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識に関与している。
【0366】
特に明記しない限り、用語「TCR」は、完全なTCRだけでなく、その抗原結合部分または抗原結合フラグメントを包含すると理解されるべきである。いくつかの態様では、TCRは、αβ型またはγδ型のTCRを含めて、インタクトまたは完全長のTCRである。いくつかの態様では、TCRは完全長のTCRに満たない抗原結合部分であるが、それは、MHC-ペプチド複合体に結合するなど、MHC分子に結合した特定のペプチドに結合する。いくつかの場合には、TCRの抗原結合部分またはフラグメントは、完全長またはインタクトのTCRの構造ドメインの一部のみを含んでいてよいが、完全なTCRが結合するMHC-ペプチド複合体などのペプチドエピトープに結合することができる。いくつかの場合には、抗原結合部分は、特定のMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えば、TCRの可変α鎖および可変β鎖を含む。一般に、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHCおよび/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含む。
【0367】
いくつかの態様では、TCRの可変ドメインは超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を含み、これらは一般に、抗原認識ならびに結合能および結合特異性に対する主要な寄与因子である。いくつかの態様では、TCRの1つのCDRまたはその組み合わせは、所与のTCR分子の抗原結合部位の全てまたは実質的に全てを形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは一般に、フレームワーク領域(FR)によって分離されており、このFRは通常、CDRと比較して、TCR分子間でより少ない可変性(変動性)を示す(例えば、Jores et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. 87:9138, 1990; Chothia et al., EMBO J. 7:3745, 1988を参照されたい;また、Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003も参照されたい)。いくつかの態様では、CDR3は、抗原結合または特異性に関与する主要なCDRであるか、または抗原認識にとって、および/またはペプチド-MHC複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用にとって、所与のTCR可変領域の3つのCDRの中で最も重要である。ある状況下では、α鎖のCDR1は、特定の抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することができる。ある状況下では、β鎖のCDR1は、該ペプチドのC末端部分と相互作用することができる。ある状況下では、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはMHC部分の認識に最も強く寄与するか、またはそれに関与する主要なCDRである。いくつかの態様では、β鎖の可変領域は、さらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含むことができ、これは一般に、スーパー抗原の結合に関与し、抗原認識には関与しない(Kotb (1995) Clinical Microbiology Reviews, 8:411-426)。
【0368】
いくつかの態様では、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または短い細胞質テイルを含むことができる(例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997を参照されたい)。いくつかの局面では、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端の短い細胞質テイルを保有することができる。いくつかの態様では、TCRは、シグナル伝達を媒介するのに関与するCD3複合体の不変タンパク質と会合する。
【0369】
いくつかの態様では、TCR鎖は1つまたは複数の定常ドメインを含む。例えば、所与のTCR鎖(例えば、α鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様ドメイン、例えば、可変ドメイン(例えば、VαまたはVβ;典型的にはKabatナンバリング(Kabat et al., “Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.)に基づいてアミノ酸1-116)、および細胞膜に隣接する定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインつまりCα、典型的にはKabatナンバリングに基づいて117-259位、またはβ鎖定常ドメインつまりCβ、典型的にはKabatナンバリングに基づいて117-295位)を含むことができる。例えば、場合により、2本の鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメインと、2つの膜遠位可変ドメインを含み、その可変ドメインにはそれぞれCDRが含まれる。TCRの定常ドメインは短い接続配列を含んでもよく、その場合には、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、それによってTCRの2本の鎖を連結する。いくつかの態様では、TCRは、α鎖とβ鎖のそれぞれに追加のシステイン残基をもつことができ、その結果、TCRは定常ドメインに2つのジスルフィド結合を含むようになる。
【0370】
いくつかの態様では、TCR鎖は膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは正に帯電している。いくつかの場合には、TCR鎖は細胞質テイルを含む。場合によっては、この構造は、TCRを、CD3およびそのサブユニットなどの他の分子と会合させることができる。例えば、膜貫通領域と共に定常ドメインを含むTCRは、該タンパク質を細胞膜に固定して、CD3シグナル伝達装置または複合体の不変サブユニットと会合し得る。CD3シグナル伝達サブユニット(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、およびCD3ζ鎖)の細胞内テイルは、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフつまりITAMを含む。
【0371】
いくつかの態様では、TCRは、2本の鎖αとβ(または任意でγとδ)のヘテロ二量体であるか、または一本鎖TCR構築物であり得る。いくつかの態様では、TCRは、1つまたは複数のジスルフィド結合などによって連結された2本の別個の鎖(α鎖とβ鎖、またはγ鎖とδ鎖)を含むヘテロ二量体である。
【0372】
いくつかの態様では、TCRは、Vα、Vβ鎖の配列などの、公知のTCR配列から作製することができ、それらの実質的に完全長のコード配列は容易に入手可能である。細胞源から、V鎖配列を含めて、完全長TCR配列を取得する方法はよく知られている。いくつかの態様では、TCRをコードする核酸は、例えば、所与の細胞内のまたは細胞から単離された、TCRをコードする核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公開されているTCR DNA配列の合成によって、様々なソースから取得可能である。
【0373】
いくつかの態様では、TCRは、生物学的供給源から、例えば細胞から、例えばT細胞(例えば細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公表されている供給源から得られる。いくつかの態様では、T細胞はインビボ単離された細胞から得ることができる。いくつかの態様では、TCRは胸腺で選択されたTCRである。いくつかの態様では、TCRはネオエピトープ制限TCRである。いくつかの態様では、T細胞は、培養したT細胞ハイブリドーマまたはクローンであり得る。いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合部分もしくはその抗原結合フラグメントは、TCRの配列の知識から合成的に作製され得る。
【0374】
いくつかの態様では、TCRは、標的ポリペプチド抗原またはその標的T細胞エピトープに対する候補TCRのライブラリーのスクリーニングから同定または選択されたTCRから作製される。TCRライブラリーは、対象から単離されたT細胞(PBMC、脾臓または他のリンパ器官に存在する細胞を含む)からのVαおよびVβのレパートリーの増幅によって作製され得る。場合によっては、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)からT細胞を増幅することができる。いくつかの態様では、TCRライブラリーは、CD4+またはCD8+細胞から作製され得る。いくつかの態様では、TCRは、正常または健常な対象のT細胞源、すなわち正常TCRライブラリーから増幅することができる。いくつかの態様では、TCRは、罹患した対象のT細胞源、すなわち罹患TCRライブラリーから増幅することができる。いくつかの態様では、縮重プライマーは、ヒトから得られたT細胞などのサンプルにおけるRT-PCRなどによって、VαおよびVβの遺伝子レパートリーを増幅するために使用される。いくつかの態様では、scTvライブラリーは、増幅産物がリンカーによって分離されるようにクローン化またはアセンブルされたナイーブVαおよびVβライブラリーから組み立てることができる。対象と細胞の供給源に応じて、該ライブラリーはHLAアレル特異的であり得る。あるいは、いくつかの態様では、TCRライブラリーは、親または足場TCR分子の突然変異誘発または多様化によって作製することができる。いくつかの局面では、TCRは、例えばα鎖またはβ鎖の、突然変異誘発などによる定方向進化に供される。いくつかの局面では、TCRのCDR内の特定の残基が変更される。いくつかの態様では、選択されたTCRは、親和性成熟によって改変され得る。いくつかの態様では、ペプチドに対するCTL活性を評価するためのスクリーニングなどによって、抗原特異的T細胞を選択することができる。いくつかの局面では、TCR、例えば抗原特異的T細胞上に存在するTCRは、例えば、抗原に対する特定の親和性または結合力などの結合活性によって、選択することができる。
【0375】
いくつかの態様では、遺伝子操作された抗原受容体には、組換えT細胞受容体(TCR)および/または天然に存在するT細胞からクローン化されたTCRが含まれる。いくつかの態様では、標的抗原(例えば、がん抗原)に対する高親和性T細胞クローンが同定され、患者から単離されて、細胞に導入される。いくつかの態様では、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系、つまりHLA)により操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製されてきた。例えば、腫瘍抗原については、Parkhurst et al. (2009) Clin Cancer Res. 15:169-180およびCohen et al. (2005) J Immunol. 175:5799-5808を参照されたい。いくつかの態様では、標的抗原に対するTCRを単離するために、ファージディスプレイが使用される(例えば、Varela-Rohena et al. (2008) Nat Med. 14:1390-1395およびLi (2005) Nat Biotechnol. 23:349-354を参照されたい)。
【0376】
いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合部分は、改変または操作されたものである。いくつかの態様では、改変された特性を有するTCR、例えば、特定のMHC-ペプチド複合体に対する親和性がより高いTCRを作製するために、定方向進化法が使用される。いくつかの態様では、定方向進化は、以下を含むがこれらに限定されないディスプレイ法によって達成される:酵母ディスプレイ(Holler et al. (2003) Nat Immunol, 4, 55-62; Holler et al. (2000) Proc Natl Acad Sci U S A, 97, 5387-92)、ファージディスプレイ(Li et al. (2005) Nat Biotechnol, 23, 349-54)、またはT細胞ディスプレイ(Chervin et al. (2008) J Immunol Methods, 339, 175-84)。いくつかの態様では、ディスプレイアプローチには、既知の親または基準TCRを操作または改変することが含まれる。例えば、いくつかの場合には、野生型TCRが、CDRの1個または複数の残基を変異させた変異型TCRを作製するためのテンプレートとして使用され、所望の標的抗原に対するより高い親和性などの、望ましい改変特性を備えた変異体が選択される。
【0377】
いくつかの態様では、関心対象のTCRの産生または作製に使用するための標的ポリペプチドのペプチドは知られているか、または当業者により容易に同定され得る。いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合部分の作製に使用するのに適したペプチドは、関心対象の標的ポリペプチド、例えば以下に記載する標的ポリペプチドなど、におけるHLA制限モチーフの存在に基づいて決定され得る。いくつかの態様では、ペプチドは、利用可能なコンピュータ予測モデルを用いて同定される。いくつかの態様では、MHCクラスI結合部位を予測するための、そのようなモデルには、ProPred1(Singh and Raghava (2001) Bioinformatics 17(12):1236-1237)およびSYFPEITHI(Schuler et al. (2007) Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, 409(1): 75-93 2007を参照)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、MHC拘束性エピトープはHLA-A0201である;これは、全白人の約39~46%に発現されるため、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合分子の調製に使用するためのMHC抗原の適切な選択を表している。
【0378】
コンピュータ予測モデルを使用したHLA-A0201結合モチーフおよびプロテアソームと免疫プロテアソームの切断部位は、公知である。MHCクラスI結合部位を予測するための、そのようなモデルには、ProPred1(Singh and Raghava, ProPred: prediction of HLA-DR binding sites. BIOINFORMATICS 17(12):1236-1237 2001に詳述される)およびSYFPEITHI(Schuler et al. SYFPEITHI, Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction. Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, vol 409(1): 75-93 2007を参照)が含まれるが、これらに限定されない。
【0379】
いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合部分は、1つ以上の特性、例えば結合特性が変更されている、組換えにより作製された天然タンパク質またはその変異形態であり得る。いくつかの態様では、TCRは、様々な動物種の1つ、例えば、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物に由来することができる。TCRは細胞結合形態であっても可溶性形態であってもよい。いくつかの態様では、提供される方法の目的のために、TCRは、細胞の表面上に発現される細胞結合形態である。
【0380】
いくつかの態様では、TCRは完全長TCRである。いくつかの態様では、TCRは抗原結合部分である。いくつかの態様では、TCRは二量体TCR(dTCR)である。いくつかの態様では、TCRは一本鎖TCR(sc-TCR)である。いくつかの態様では、dTCRまたはscTCRは、WO 03/020763、WO 04/033685、WO2011/044186に記載される構造を有する。
【0381】
いくつかの態様では、TCRは膜貫通配列に対応する配列を含む。いくつかの態様では、TCRは細胞質配列に対応する配列を含む。いくつかの態様では、TCRはCD3とのTCR複合体を形成することができる。いくつかの態様では、dTCRまたはscTCRを含めて、TCRはどれも、T細胞の表面に活性TCRを生成するシグナル伝達ドメインに連結され得る。いくつかの態様では、TCRは細胞の表面に発現される。
【0382】
いくつかの態様では、dTCRは、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列がTCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第1のポリペプチドと、TCRβ鎖可変領域配列に対応する配列がTCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第2のポリペプチドとを含み、第1および第2のポリペプチドはジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの態様では、その結合は、天然の二量体αβTCRに存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応し得る。いくつかの態様では、その鎖間ジスルフィド結合は、天然のTCRには存在しない。例えば、いくつかの態様では、1個または複数のシステインをdTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列に組み込むことができる。場合によっては、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が望ましいかもしれない。いくつかの態様では、TCRは、膜に固定するための膜貫通配列を含む。
【0383】
いくつかの態様では、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメイン、および定常αドメインのC末端に結合した第1の二量体化モチーフを含むTCRα鎖と、可変βドメイン、定常βドメイン、および定常βドメインのC末端に結合した第1の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖とを含み、この場合には、第1および第2の二量体化モチーフが容易に相互作用して、第1の二量体化モチーフのアミノ酸と第2の二量体化モチーフのアミノ酸の間に共有結合を形成することによりTCRα鎖とTCRβ鎖を連結する。
【0384】
いくつかの態様では、TCRはscTCRである。一般的に、scTCRは公知の方法を用いて作製することができ、例えば、Soo Hoo, W. F. et al. PNAS (USA) 89, 4759 (1992); Wuelfing, C. and Plueckthun, A., J. Mol. Biol. 242, 655 (1994); Kurucz, I. et al. PNAS (USA) 90 3830 (1993); 国際公開PCT番号WO 96/13593、WO 96/18105、WO99/60120、WO99/18129、WO 03/020763、WO2011/044186; およびSchlueter, C. J. et al. J. Mol. Biol. 256, 859 (1996)を参照されたい。いくつかの態様では、scTCRは、TCR鎖同士の会合を容易にするために導入された非天然ジスルフィド鎖間結合を含む(例えば、国際公開PCT番号WO 03/020763を参照されたい)。いくつかの態様では、scTCRは、非ジスルフィド結合型のトランケートされたTCRであり、そのC末端に融合した異種ロイシンジッパーが鎖会合を促進する(例えば、国際公開PCT番号WO99/60120を参照されたい)。いくつかの態様では、scTCRは、TCRβ可変ドメインにペプチドリンカーを介して共有結合されたTCRα可変ドメインを含む(例えば、国際公開PCT番号WO99/18129を参照されたい)。
【0385】
いくつかの態様では、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成された第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成された第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含む。
【0386】
いくつかの態様では、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成された第1のセグメントと、β鎖細胞外定常および膜貫通配列のN末端に融合したβ鎖可変領域配列によって構成された第2のセグメントと、任意で、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列、を含む。
【0387】
いくつかの態様では、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列で構成された第1のセグメントと、α鎖細胞外定常および膜貫通配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成された第2のセグメントと、任意で、第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列、を含む。
【0388】
いくつかの態様では、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCR結合特異性を保持しながら、単一のポリペプチド鎖を形成することができる任意のリンカーであり得る。いくつかの態様では、リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-で表すことができ、ここで、Pはプロリンであり、AAは、アミノ酸がグリシンとセリンであるアミノ酸配列を表す。いくつかの態様では、第1および第2のセグメントは、その可変領域配列がそのような結合のために正しく配向されるように対合される。それゆえ、いくつかの場合には、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端の間、またはその逆の間の距離にまたがるのに十分な長さがあるが、標的リガンドへのscTCRの結合をブロックまたは低減させるほど長すぎない。いくつかの態様では、リンカーは、10~45アミノ酸または約10~45アミノ酸、例えば10~30アミノ酸または26~41アミノ酸残基、例えば29、30、31または32アミノ酸を含み得る。いくつかの態様では、リンカーは、式-PGGG-(SGGGG)5-P-を有し、ここで、Pはプロリン、Gはグリシン、Sはセリンである(SEQ ID NO:22)。いくつかの態様では、リンカーは、配列GSADDAKKDAAKKDGKS(SEQ ID NO:23)を有する。
【0389】
いくつかの態様では、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基を、β鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結する、共有ジスルフィド結合を含む。いくつかの態様では、天然TCR中の鎖間ジスルフィド結合は存在しない。例えば、いくつかの態様では、1個または複数のシステインを、scTCRポリペプチドの第1および第2のセグメントの定常領域細胞外配列に組み込むことができる。場合によっては、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が望ましいかもしれない。
【0390】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含むdTCRまたはscTCRのいくつかの態様では、天然のジスルフィド結合は存在しない。いくつかの態様では、天然の鎖間ジスルフィド結合を形成している天然システインの1個または複数は、セリンまたはアラニンなどの別の残基に置き換えられる。いくつかの態様では、導入されたジスルフィド結合は、第1および第2のセグメントの非システイン残基をシステインに変異させることによって形成することができる。TCRの非天然ジスルフィド結合の例は、公開された国際PCT番号WO2006/000830に記載されている。
【0391】
いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合フラグメントは、標的抗原に対する平衡結合定数が10-5~10-12Mまたは約10-5~10-12M(およびその間の全ての個々の値と範囲)の親和性を示す。いくつかの態様では、標的抗原はMHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0392】
いくつかの態様では、α鎖およびβ鎖などのTCRをコードする核酸(複数可)は、PCR、クローニングまたは他の適切な手段で増幅して、適切な発現ベクター(複数可)にクローン化することができる。発現ベクターは、任意の適切な組換え発現ベクターとすることができ、適切な宿主を形質転換またはトランスフェクトするために使用される。適切なベクターには、増殖と拡大のために、または発現のために、またはその両方のためにデザインされたもの、例えばプラスミドおよびウイルスなど、が含まれる。
【0393】
いくつかの態様では、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences社)、pBluescriptシリーズ(Stratagene社,LaJolla,カリフォルニア州)、pETシリーズ(Novagen社,Madison,ウィスコンシン州)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech社,Uppsala,スウェーデン)、またはpEXシリーズ(Clontech社,Palo Alto,カリフォルニア州)であり得る。場合によっては、λG10、λGT11、λZapII(Stratagene社)、λEMBL4、λNM1149などのバクテリオファージベクターも使用できる。いくつかの態様では、植物発現ベクターが使用され、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121およびpBIN19(Clontech社)が含まれる。いくつかの態様では、動物発現ベクターには、pEUK-Cl、pMAMおよびpMAMneo(Clontech社)が含まれる。いくつかの態様では、レトロウイルスベクターなどの、ウイルスベクターが使用される。
【0394】
いくつかの態様では、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができる。いくつかの態様では、ベクターは、ベクターを導入しようとする宿主のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物または動物)に固有の調節配列、例えば転写および翻訳の開始および終止コドンを含むことができ、必要に応じて、該ベクターがDNAベースかRNAベースかを考慮する。いくつかの態様では、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のMHC-ペプチド結合分子)をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結された非天然プロモーターを含むことができる。いくつかの態様では、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長末端反復に見られるプロモーターであり得る。その他の公知のプロモーターも考えられる。
【0395】
いくつかの態様では、T細胞クローンが得られた後、TCRαおよびβ鎖を単離して、遺伝子発現ベクターにクローニングする。いくつかの態様では、TCRαおよびβ遺伝子は、両方の鎖が共発現するように、ピコルナウイルスの2Aリボソームスキップペプチドを介して連結される。いくつかの態様では、TCRの遺伝子導入は、レトロウイルスもしくはレンチウイルスベクター、またはトランスポゾンを介して達成される(例えば、Baum et al. (2006) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 13:1050-1063; Frecha et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:1748-1757; およびHackett et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:674-683を参照されたい)。
【0396】
いくつかの態様では、TCRをコードするベクターを作製するために、関心対象のTCRを発現するT細胞クローンから単離された全cDNAからα鎖およびβ鎖をPCR増幅して、発現ベクターにクローニングする。いくつかの態様では、α鎖とβ鎖を同じベクターにクローニングする。いくつかの態様では、α鎖とβ鎖を異なるベクターにクローニングする。いくつかの態様では、作製されたα鎖とβ鎖は、レトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターに組み込まれる。
【0397】
3. キメラ自己抗体受容体(CAAR)
いくつかの態様では、組換え受容体はキメラ自己抗体受容体(CAAR)である。いくつかの態様では、CAARは自己抗体に特異的である。いくつかの態様では、CAARを発現するように操作されたT細胞などの、CAARを発現する細胞は、正常な抗体発現細胞ではなく、自己抗体発現細胞に特異的に結合して、それを死滅させるために使用することができる。いくつかの態様では、CAAR発現細胞は、自己免疫疾患などの、自己抗原の発現に関連する自己免疫疾患を治療するために使用できる。いくつかの態様では、CAAR発現細胞は、最終的に自己抗体を産生して細胞表面に自己抗体を提示するB細胞を標的とし、これらのB細胞を治療的介入のための疾患特異的標的としてマークすることができる。いくつかの態様では、CAAR発現細胞は、抗原特異的キメラ自己抗体受容体を使用して疾患原因のB細胞を標的とすることにより、自己免疫疾患における病原性B細胞を効率的に標的とし、かつ殺傷するために使用できる。いくつかの態様では、組換え受容体は、米国特許出願公開第US 2017/0051035号に記載されるような、CAARである。
【0398】
いくつかの態様では、CAARは、自己抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞で一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、二次または共刺激シグナル伝達領域(二次細胞内シグナル伝達領域)を含む。
【0399】
いくつかの態様では、自己抗体結合ドメインは、自己抗原またはその断片を含む。自己抗原の選択は、標的とされる自己抗体のタイプに依存し得る。例えば、自己抗原は、それが特定の疾患状態(例えば、自己抗体媒介自己免疫疾患などの自己免疫疾患)と関連する標的細胞(例えば、B細胞)上の自己抗体を認識するので、選択され得る。いくつかの態様では、自己免疫疾患には尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris:PV)が含まれる。例示的な自己抗原には、デスモグレイン1(Dsg1)およびDsg3が含まれる。
【0400】
4. マルチターゲティング
いくつかの態様において、細胞および方法は、それぞれが同じまたは異なる抗原を認識し、典型的にはそれぞれが異なる細胞内シグナル伝達構成成分を含む、2種またはそれ以上の遺伝子操作された受容体を細胞上に発現させるなどのマルチターゲティング戦略を含む。そのようなマルチターゲティング戦略は、例えば、国際特許出願公開番号WO2014055668 A1(例えば、オフターゲット細胞、例えば正常細胞上には個々に存在するが、処置されるべき疾患または状態の細胞上にのみ共に存在する2種類の異なる抗原を標的とする、活性化CARと共刺激CARとの組み合わせを記載している)、およびFedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (December, 2013)(活性化CARおよび阻害性CARを発現する細胞、例えば、活性化CARが、正常細胞または非罹患細胞と処置されるべき疾患または状態の細胞との両方に発現されるある抗原に結合し、阻害性CARが、正常細胞または処置が望ましくない細胞にのみ発現される別の抗原に結合する細胞などを記載している)に記載されている。
【0401】
例えば、いくつかの態様において、細胞は、一般的に、第1受容体によって認識される抗原、例えば第1抗原に特異的に結合した際に、細胞に対して活性化または刺激シグナルを誘導することができる第1の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)を発現する受容体を含む。いくつかの態様において、細胞は、一般的に、第2受容体によって認識される第2抗原に特異的に結合した際に、免疫細胞に対して共刺激シグナルを誘導することができる第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)、例えばキメラ共刺激受容体をさらに含む。いくつかの態様において、第1抗原と第2抗原は同じである。いくつかの態様において、第1抗原と第2抗原は異なる。
【0402】
いくつかの態様において、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)は、細胞に対して活性化または刺激シグナルを誘導することができる。いくつかの態様において、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達構成成分を含む。いくつかの態様において、第1受容体によって誘導される活性化は、免疫応答の開始をもたらす、細胞におけるシグナル伝達またはタンパク質発現の変化、例えばITAMリン酸化および/もしくはITAM媒介性シグナル伝達カスケードの開始など、免疫シナプスの形成および/もしくは結合した受容体の近傍での分子(例えば、CD4もしくはCD8等)のクラスター化、1種もしくは複数種の転写因子、例えばNF-κBおよび/もしくはAP-1などの活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現の誘導、増殖、および/もしくは生存を伴う。
【0403】
いくつかの態様において、第1および/または第2受容体は、CD28、CD137 (4-1 BB) 、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1および2受容体は、異なる共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、第1受容体はCD28共刺激シグナル伝達領域を含有し、第2受容体は4-1BB共刺激シグナル伝達領域を含有し、またはその逆である。
【0404】
いくつかの態様において、第1および/または第2受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインの両方を含む。
【0405】
いくつかの態様において、第1受容体はITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、第2受容体は共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。同じ細胞内での活性化または刺激シグナルと共刺激シグナルとの組み合わせは、免疫応答、例えば強力でかつ持続的な免疫応答など、例えば、遺伝子発現の増加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞死滅などのT細胞媒介性エフェクター機能などをもたらすものである。
【0406】
いくつかの態様において、第1受容体のみの連結によっても第2受容体のみの連結によっても、強力な免疫応答は誘導されない。いくつかの局面において、一方の受容体のみが連結された場合には、細胞は寛容化する、もしくは抗原に対して応答しなくなる、または阻害される、および/または増殖するように、もしくは因子を分泌するように、もしくはエフェクター機能を実行するように誘導されない。しかしながら、いくつかのそのような態様において、第1抗原および第2抗原を発現する細胞に遭遇した際など、複数の受容体が連結された場合には、例えば、1種もしくは複数種のサイトカインの分泌、増殖、持続、および/または標的細胞の細胞傷害性死滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示されるような、完全な免疫活性化または刺激などの望ましい応答が達成される。
【0407】
いくつかの態様において、2種類の受容体はそれぞれ、受容体の一方がその抗原に結合することで細胞が活性化されるかまたは応答が誘導され、第2の阻害性受容体がその抗原に結合することで、その応答を抑制するかまたは減衰させるシグナルが誘導されるように、細胞に対して活性化シグナルおよび阻害シグナルを誘導する。例として、活性化CARと阻害性CARまたはiCARとの組み合わせがある。このような戦略を使用することができ、例えばこの場合、活性化CARは、疾患または状態において発現されるが、正常細胞上でも発現される抗原と結合し、阻害性受容体は、正常細胞上で発現されるが、疾患または状態の細胞上では発現されない別の抗原に結合する。
【0408】
いくつかの態様では、組換え受容体を発現する細胞はさらに、疾患または症状に関連する抗原および/またはそれに固有の抗原以外の抗原を認識するCARなどの、抑制性CAR(iCAR;Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (2013)を参照)を含む;それによって、疾患標的化CARを介して送達される活性化シグナルは、抑制性CARのそのリガンドへの結合によって減少または抑制されて、例えば、オフターゲット効果を低減する。
【0409】
いくつかの態様では、前記2つの受容体は、それぞれ、細胞への活性化シグナルと抑制シグナルを誘導し、その結果、該受容体の一方がその抗原に連結すると、細胞が活性化するか、または応答が誘導されるが、他方の抑制性受容体がその抗原に連結すると、その応答を抑制または弱めるシグナルが誘導される。例は、活性化CARと抑制性CAR(iCAR)の組み合わせである。そのような戦略は、例えば、オフターゲット効果の可能性を低減するために、次のような状況下で使用され得る:すなわち、活性化CARが、疾患または症状で発現されるが正常細胞でも発現される抗原に結合し、かつ抑制性受容体が、正常細胞には発現するが疾患または症状の細胞には発現しない別の抗原に結合する状況である。
【0410】
いくつかの局面では、キメラ受容体は、抑制性CAR(例えば、iCAR)であるか、またはそれを含み、かつ細胞におけるITAMおよび/または共刺激により促進される応答などの、免疫応答を弱めるまたは抑制する細胞内成分を含む。そのような細胞内シグナル伝達成分の例は、免疫チェックポイント分子に見られるもの、例えば、PD-1、CTLA4、LAG3、BTLA、OX2R、TIM-3、TIGIT、LAIR-1、PGE2受容体、A2ARを含むEP2/4アデノシン受容体などである。いくつかの局面では、遺伝子操作された細胞は、そのような抑制性分子の、または該分子に由来するシグナル伝達ドメインを含む抑制性CARを含み、その結果、それは、例えば活性化および/または共刺激CARによって誘導される、細胞の応答を弱める働きをするようになる。
【0411】
いくつかの態様において、特定の疾患または状態と関連した抗原が、一過性に(例えば、遺伝子操作と関連した刺激時に)または恒久的に非罹患細胞上で発現され、かつ/または操作された細胞自体において発現される場合に、マルチターゲティング戦略が用いられる。そのような場合、2つの別々の、かつ個々に特異的な抗原受容体の連結を必要とすることによって、特異性、選択性、および/または有効性が改善され得る。
【0412】
いくつかの態様において、複数種の抗原、例えば第1抗原および第2抗原は、標的とされる細胞、組織、または疾患もしくは状態において、例えばがん細胞などにおいて発現される。いくつかの局面において、細胞、組織、疾患、または状態は多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。いくつかの態様において、複数種の抗原のうちの1種または複数種は一般に、細胞療法で標的とすることが望ましくない細胞、例えば正常なもしくは非罹患の細胞もしくは組織、および/または操作された細胞自体においても発現される。そのような態様では、細胞の応答を達成するために複数種の受容体の連結を必要とすることによって、特異性および/または有効性が達成される。
【0413】
B. 核酸、ベクターおよび遺伝子操作方法
組換え受容体などの組換えタンパク質は、核酸またはポリヌクレオチド、例えば、ベクターまたは構築物に含まれる核酸またはポリヌクレオチド、によってコードされる。いくつかの態様では、T細胞などの細胞は、例えば、1つ以上の工程が提供された無血清培地の存在下で行われる方法を用いて、組換え受容体を発現するように遺伝子操作される。いくつかの態様では、遺伝子操作は、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを導入することによって行われる。
【0414】
いくつかの場合には、組換え受容体をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含む。ある局面では、シグナル配列は、天然のポリペプチドに由来するシグナルペプチドをコードし得る。他の局面では、シグナル配列は、異種または非天然シグナルペプチドをコードしてもよく、例えば、SEQ ID NO:24に示されるヌクレオチド配列によってコードされる、SEQ ID NO:25に示されるGMCSFRアルファ鎖の例示的なシグナルペプチドをコードし得る。場合によっては、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含む。シグナルペプチドの非限定的な例示的な例として、例えば、SEQ ID NO:24に示されるヌクレオチド配列によってコードされる、SEQ ID NO:25に示されるGMCSFRアルファ鎖シグナルペプチド、またはSEQ ID NO:26に示されるCD8アルファシグナルペプチドが挙げられる。
【0415】
いくつかの態様では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、組換え受容体の発現を制御するように機能的に連結された少なくとも1つのプロモーターを含む。いくつかの例では、該ポリヌクレオチドは、組換え受容体の発現を制御するように機能的に連結された2つ、3つ、またはそれ以上のプロモーターを含む。
【0416】
核酸分子が2つ以上の異なるポリペプチド鎖、例えば組換え受容体とマーカー、をコードする特定の場合において、ポリペプチド鎖のそれぞれは別個の核酸分子によってコードされ得る。例えば、2つの別個の核酸を提供して、細胞内での発現のためにそれぞれを細胞に個別に移入または導入することができる。いくつかの態様では、組換え受容体をコードする核酸とマーカーをコードする核酸は、同じプロモーターに機能的に連結され、任意で、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチド(任意で、T2A、P2A、E2A、またはF2Aである)をコードする核酸によって分離される。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸と組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結される。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸と組換え受容体をコードする核酸は、細胞のゲノム内の異なる位置に存在するか、または挿入される。いくつかの態様では、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、例えば、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換によって、培養細胞を含む組成物に導入される。
【0417】
ポリヌクレオチドが第1および第2の核酸配列を含むような、いくつかの態様では、異なるポリペプチド鎖のそれぞれをコードするコード配列は、同じでも異なっていてもよいプロモーターに機能的に連結され得る。いくつかの態様では、核酸分子は、2つ以上の異なるポリペプチド鎖の発現を駆動する1つのプロモーターを含むことができる。いくつかの態様では、そのような核酸分子はマルチシストロニック(バイシストロニックまたはトリシストロニック;例えば、米国特許第6,060,273号を参照)であり得る。いくつかの態様では、転写ユニットは、IRES(内部リボソーム進入部位)を含むバイシストロニックなユニットとして作製することができ、IRESは、単一のプロモーターからのメッセージによる遺伝子産物(例えば、マーカーをコードする、および組換え受容体をコードする)の共発現を可能にする。あるいは、場合によっては、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)に、自己切断ペプチド(例えば、2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えば、フリン)をコードする配列によって互いに分離された2個または3個の遺伝子(例えば、マーカーをコードする、および組換え受容体をコードする)を含むRNAの発現を、単一のプロモーターが指令してもよい。したがって、該ORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後に、個々のタンパク質にプロセシングされる、単一のポリペプチドをコードする。場合によっては、T2Aなどのペプチドは、2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をリボソームにスキップさせることができ(リボソームスキッピング)、これは2A配列の該末端と下流の次のペプチドの間の分離につながる(例えば、de Felipe, Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004)およびde Felipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照されたい)。様々な2Aエレメントが知られている。本明細書に開示される方法およびシステムで使用できる2A配列の例は、限定なしに、米国特許公開第20070116690号に記載されるような、口蹄疫ウイルス(F2A、例えばSEQ ID NO: 21)、ウマ鼻炎ウイルスA(E2A、例えばSEQ ID NO: 20)、Thosea asignaウイルス(T2A、例えばSEQ ID NO: 6または17)、および豚テッショウウイルス-1(P2A、例えばSEQ ID NO: 18または19)由来の2A配列。
【0418】
本明細書に記載の組換え受容体はいずれも、組換え受容体をコードする1つまたは複数の核酸配列を任意の組み合わせまたは配置で含むポリヌクレオチドによってコードされ得る。例えば、1、2、3またはそれ以上のポリヌクレオチドが、1、2、3またはそれ以上の異なるポリペプチド、例えば組換え受容体、をコードすることができる。いくつかの態様では、1つのベクターまたは構築物は、マーカーをコードする核酸配列を含み、別のベクターまたは構築物は、組換え受容体、例えばCAR、をコードする核酸配列を含む。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸および組換え受容体をコードする核酸は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結される。いくつかの態様では、組換え受容体をコードする核酸は、マーカーをコードする核酸の下流に存在する。
【0419】
いくつかの態様では、ベクター骨格は、1つまたは複数のマーカーをコードする核酸配列を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のマーカーは、形質導入マーカー、サロゲートマーカーおよび/または選択マーカーである。
【0420】
いくつかの態様では、マーカーは形質導入マーカーまたはサロゲートマーカーである。形質導入マーカーまたはサロゲートマーカーは、ポリヌクレオチド、例えば組換え受容体をコードするポリヌクレオチドが導入された細胞を検出するために使用され得る。いくつかの態様では、形質導入マーカーは、細胞の改変を示すかまたは確認することができる。いくつかの態様では、サロゲートマーカーは、細胞表面上に組換え受容体、例えばCAR、と共発現するようにされたタンパク質である。特定の態様では、そのようなサロゲートマーカーは、活性をほとんどまたはまったく持たないように修飾された表面タンパク質である。ある特定の態様では、サロゲートマーカーは、組換え受容体をコードする同じポリヌクレオチド上にコードされる。いくつかの態様では、組換え受容体をコードする核酸配列は、マーカーをコードする核酸配列に機能的に連結され、任意で、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチド(例えば、T2A、P2A、E2A、F2Aなどの2A配列)によって分離される。外来性マーカー遺伝子を、いくつかの場合には遺伝子操作された細胞に関連して利用して、細胞の検出または選択を可能にしたり、場合によっては細胞自殺を促進したりすることもできる。
【0421】
例示的なサロゲートマーカーは、細胞表面ポリペプチドのトランケート形態を含むことができ、例えば、該トランケート形態は、非機能的であり、シグナルもしくは細胞表面ポリペプチドの完全長形態によって通常は伝達されるシグナルを伝達しないか、伝達できず、かつ/または内部移行しないか、内部移行できない。例示的なトランケート型細胞表面ポリペプチドには、成長因子または他の受容体のトランケート形態、例えば、トランケート型ヒト上皮成長因子受容体2(tHER2)、トランケート型上皮成長因子受容体(EGFRt、SEQ ID NO:7または16に示される例示的なEGFRt配列)、または前立腺特異的膜抗原(PSMA)もしくはその修飾形態が含まれる。EGFRtは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含むことができ、これらの抗体または分子は、EGFRt構築物および組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、で操作された細胞を同定または選択するために、かつ/または該受容体を発現する細胞を排除または分離するために使用され得る。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434)を参照されたい。いくつかの局面では、マーカー、例えば、サロゲートマーカーには、全部または一部(例えば、トランケート形態)のCD34、NGFR、CD19もしくはトランケート型CD19、例えばトランケート型非ヒトCD19、または上皮成長因子受容体(例えば、tEGFR)が含まれる。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えばT2Aなどの切断可能なリンカー配列、をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカー、および任意でリンカー配列は、PCT公開番号WO2014031687に開示される任意のものであり得る。例えば、マーカーは、任意で、T2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に連結された、トランケート型EGFR(tEGFR)であり得る。トランケート型EGFR(tEGFR)の例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO: 7または16に示されるアミノ酸配列、あるいはSEQ ID NO: 7または16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0422】
いくつかの態様では、マーカーは、以下のような蛍光タンパク質であるか、またはそれを含む:緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばスーパーフォールドGFP、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えばtdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン色蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびにそれらのバリアント、例えば、種バリアント、単量体バリアント、および蛍光タンパク質のコドン最適化および/または高感度バリアント。いくつかの態様では、マーカーは、以下のような酵素であるか、またはそれを含む:ルシフェラーゼ、大腸菌由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)。例示的な発光レポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらのバリアントが含まれる。
【0423】
いくつかの態様では、マーカーは選択マーカーである。いくつかの態様では、選択マーカーは、外因性の薬剤または薬物に対する耐性を付与するポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、選択マーカーは抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様では、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様では、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラスチシジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子、もしくはゼオシン耐性遺伝子、またはその改変形態であるか、またはそれを含む。
【0424】
いくつかの態様において、組換え核酸は、例えばシミアンウイルス40 (SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス (AAV) 由来のベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を用いて、細胞に導入される。いくつかの態様において、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターなどを用いて、T細胞に導入される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25;Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46;Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93;Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557を参照されたい)。
【0425】
いくつかの態様において、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス (MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス (MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス (MESV)、マウス幹細胞ウイルス (MSCV)、または脾フォーカス形成ウイルス (SFFV)、由来のレトロウイルスベクターは、長い末端反復配列 (LTR) を有する。大部分のレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類細胞または哺乳動物細胞供給源に由来するものが含まれる。レトロウイルスは典型的に広宿主性であり、広宿主性とは、それらが、ヒトを含むいくつかの種の宿主細胞に感染する能力を有することを意味する。1つの態様では、発現されるべき遺伝子でレトロウイルスのgag、pol、および/またはenv配列を置き換える。実例となるレトロウイルス系がいくつか記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;第6,207,453号;第5,219,740号;Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990;Miller, A.D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852;Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109)。
【0426】
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Wang et al. (2012) J. Immunother. 35 (9): 689-701;Cooper et al. (2003) Blood. 101:1637-1644;Verhoeyen et al. (2009) Methods Mol Biol. 506:97-114;およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0427】
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションによってT細胞に導入される(例えば、Chicaybam et al, (2013) PLoS ONE 8(3): e60298、およびVan Tedeloo et al. (2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照されたい)。いくつかの態様において、組換え核酸は、転位によってT細胞に導入される(例えば、Manuri et al. (2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437;Sharma et al. (2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74;およびHuang et al. (2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照されたい)。免疫細胞に遺伝物質を導入し発現させる他の方法には、(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y.に記載されているような)リン酸カルシウムトランスフェクション、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション;タングステン粒子促進性微粒子銃(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990))、およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が含まれる。
【0428】
組換え産物をコードする核酸を導入するための他のアプローチおよびベクターは、例えば国際特許出願公開番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
【0429】
いくつかの態様では、拡大増殖中または拡大増殖後のいずれかに、細胞、例えばT細胞に、T細胞受容体 (TCR) またはキメラ抗原受容体 (CAR) をトランスフェクトしてもよい。所望の受容体の遺伝子を導入するためのこのトランスフェクションは、例えば任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて行うことができる。次いで、遺伝子改変された細胞集団を初期刺激(例えば、抗CD3/抗CD28刺激)から解放し、その後、例えば新規に導入された受容体を通して第2の型の刺激で刺激することができる。この第2の型の刺激は、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入された受容体の同族(架橋)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)、または(例えば、受容体内の定常領域を認識することにより)新たな受容体のフレームワーク内に直接結合する任意のリガンド(抗体など)の形態の抗原刺激を含み得る。例えば、Cheadle et al, 「Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy」 Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014) を参照されたい。
【0430】
場合によっては、細胞、例えばT細胞が活性化されることを必要としないベクターが使用され得る。そのような場合には、細胞は、活性化の前に選択および/または形質導入され得る。したがって、細胞は、細胞培養の前または後に操作されてもよく、場合によっては、培養の少なくとも一部分と同時にまたはその最中に操作されてもよい。
【0431】
付加的な核酸、例えば導入するための遺伝子には、移植された細胞の生存度および/または機能を促進することなどによって、治療の有効性を改善するためのもの;インビボでの生存または局在性を評価するためなどの、細胞の選択および/または評価のための遺伝子マーカーを提供するための遺伝子;例えば、Lupton S.D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991);およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992) に記載されているように、細胞がインビボで陰性選択を受け得るようにすることによって、安全性を改善するための遺伝子が含まれる。優性陽性選択可能マーカーを陰性選択可能マーカーと融合することによって得られる二機能性選択可能融合遺伝子の使用を記載している、LuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の刊行物もまた参照されたい。例えば、Riddellらの米国特許第6,040,177号の第14~17欄を参照されたい。
【0432】
IV. 治療方法
いくつかの態様では、本明細書で提供される無血清培地の存在下で製造または作製されたものなどの、遺伝子操作された細胞を含む1つまたは複数の組成物は、細胞療法、例えば養子細胞療法、として投与される。遺伝子操作された細胞は、様々な治療、診断および予防の状況において有用である。例えば、遺伝子操作された細胞または該細胞を含む組成物は、対象における様々な疾患および障害を治療するのに有用である。そのような方法および使用は、例えば、腫瘍またはがんなどの疾患、症状、または障害を有する対象に遺伝子操作された細胞またはそれを含む組成物を投与することを含む、治療上の方法および使用を含む。いくつかの態様では、遺伝子操作された細胞またはそれを含む組成物は、疾患または障害の治療を達成するのに有効な量で投与される。使用には、そのような方法および治療における、およびそのような治療方法を実施するための医薬の製造における、遺伝子操作された細胞または組成物の使用が含まれる。いくつかの態様では、該方法は、遺伝子操作された細胞またはそれを含む組成物を、疾患または症状を有するかまたは有すると疑われる対象に投与することによって実施される。いくつかの態様では、該方法は、それによって、対象における疾患または症状または障害を治療する。
【0433】
養子細胞療法のために細胞を投与する方法は公知であり、提供される方法および組成物と関連して使用され得る。例えば、養子T細胞療法は、例えば、Gruenberg et alの米国特許出願公開番号2003/0170238;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933;Tsukahara et al.(2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0434】
疾患、症状および障害の中には、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、および黒色腫を含み、限局性および転移性腫瘍を含む腫瘍、感染症、例えばウイルスまたは他の病原体(例えばHIV、HCV、HBV、CMV、HPV)による感染、および寄生虫症、ならびに自己免疫疾患および炎症性疾患がある。いくつかの態様では、疾患、障害または症状は、腫瘍、がん、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾患もしくは障害である。そのような疾患には、限定するものではないが、以下が含まれる:白血病、リンパ腫、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病(HCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯(Marginal zone)リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、難治性濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)および多発性骨髄腫(MM)。いくつかの態様では、疾患または症状は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の中から選択されるB細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様では、疾患または症状はNHLであり、NHLは、アグレッシブ(中悪性度)NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・NOS(非特定型)(デノボおよび低悪性度から進展)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)からなる群より選択される。
【0435】
いくつかの態様では、疾患または症状は、感染性の疾患または症状であり、例えば、ウイルス性、レトロウイルス性、細菌性、および原虫性感染症、免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスを含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、疾患または症状は、自己免疫性または炎症性の疾患または症状であり、例えば、関節リウマチ(RA)などの関節炎、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息、および/または移植に関連する疾患もしくは症状である。
【0436】
いくつかの態様では、疾患または障害に関連する抗原は、以下であるか、または以下を含む:αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9、別名CAIXまたはG250)、がん精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、別名NY-ESO-1およびLAGE-2)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、タイプIII上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリン(ephrin)B2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;別名Fc受容体ホモログ5またはFCRH5)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、Lewis Y、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メラン(melan)A(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、がん胎児抗原、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、トロホブラスト(Trophoblast)糖タンパク質(TPBG、別名5T4)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1、別名TYRP1またはgp75)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2、別名ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタイソメラーゼまたはDCT)、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、Wilms Tumor 1(WT-1)、病原体特異的または病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子。いくつかの態様における該受容体によって標的化される抗原は、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば、いくつかの公知のB細胞マーカーのいずれかを含む。いくつかの態様では、抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79bまたはCD30であるか、またはそれを含む。
【0437】
いくつかの態様では、疾患または症状はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様では、B細胞悪性腫瘍は白血病またはリンパ腫である。いくつかの態様では、疾患または症状は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの場合には、疾患または症状はNHLであり、例えば、アグレッシブ(中悪性度)NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・NOS(非特定型)(デノボおよび低悪性度から進展)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)であるNHLを含む。いくつかの局面では、CARなどの組換え受容体は、該疾患または症状に関連する抗原、またはB細胞悪性腫瘍に関連する病変の環境の細胞に発現される抗原に特異的に結合する。いくつかの態様における該受容体によって標的化される抗原には、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば、多くの公知のB細胞マーカーのいずれかが含まれる。いくつかの態様では、該受容体によって標的化される抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、CD30、またはそれらの組み合わせである。
【0438】
いくつかの態様では、疾患または症状は、骨髄腫、例えば多発性骨髄腫である。いくつかの局面では、CARなどの組換え受容体は、該疾患または症状に関連する抗原、または多発性骨髄腫に関連する病変の環境の細胞に発現される抗原に特異的に結合する。いくつかの態様における該受容体によって標的化される抗原には、多発性骨髄腫に関連する抗原が含まれる。いくつかの局面では、該抗原、例えば第2のまたは追加の抗原(疾患特異的抗原および/または関連抗原など)は、多発性骨髄腫で発現され、例えば、B細胞成熟抗原(BCMA)、Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、CD38(環状ADPリボースヒドロラーゼ)、CD138(シンデカン-1、シンデカン、SYN-1)、CS-1(CS1、CD2サブセット1、CRACC、SLAMF7、CD319、および19A24)、BAFF-R、TACIおよび/またはFcRH5である。他の例示的な多発性骨髄腫抗原には、CD56、TIM-3、CD33、CD123、CD44、CD20、CD40、CD74、CD200、EGFR、β2-ミクログロブリン、HM1.24、IGF-1R、IL-6R、TRAIL-R1、およびアクチビン受容体タイプIIA(ActRIIA)が含まれる。Benson and Byrd, J. Clin. Oncol. (2012) 30(16): 2013-15; Tao and Anderson, Bone Marrow Research (2011):924058; Chu et al., Leukemia (2013) 28(4):917-27; Garfall et al., Discov Med. (2014) 17(91):37-46を参照されたい。いくつかの態様では、該抗原には、リンパ系腫瘍、骨髄腫、エイズ関連リンパ腫、および/または移植後リンパ球増殖症に存在するもの、例えばCD38、が含まれる。そのような抗原に対する抗体または抗原結合フラグメントは知られており、例えば、米国特許第8,153,765号、第8,603477号、第8,008,450号;米国特許出願公開第US20120189622号または第US20100260748号;および/または国際PCT公開番号WO2006099875、WO2009080829、WO2012092612またはWO2014210064に記載されるものが含まれる。いくつかの態様では、そのような抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、scFv)は、多重特異性抗体、多重特異性キメラ受容体、例えば多重特異性CAR、および/または多重特異性細胞に含まれる。
【0439】
いくつかの態様では、抗原は、病原体特異的抗原または病原体発現抗原であるか、またはそれを含む。いくつかの態様では、抗原は、ウイルス抗原(例えば、HIV、HCV、HBV由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0440】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定の対象から、またはそのような対象に由来する試料から細胞が単離され、かつ/またはその他の方法で調製される自家移植によって行われる。したがって、いくつかの局面において、細胞は、処置および細胞を必要とする対象、例えば患者に由来し、単離および処理後に同じ対象に投与される。
【0441】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定であるかまたは最終的に細胞療法を受ける対象以外の対象、例えば第1対象から細胞が単離され、かつ/またはその他の方法で調製される同種移植によって行われる。そのような態様において、この細胞は次いで、同じ種の異なる対象、例えば第2対象に投与される。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に同一である。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に類似している。いくつかの態様において、第2対象は第1対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。細胞は、任意の適切な手段によって投与され得る。投薬および投与は、投与が短期的であるか長期的であるかに一部依存し得る。様々な投薬計画には、単回または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入が含まれるが、これらに限定されない。
【0442】
細胞は、任意の適切な手段によって投与することができ、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば静脈内または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、球後注射、球周囲注射、または後強膜近傍(posterior juxtascleral)送達によって投与される。いくつかの態様では、それらは、非経口、肺内、および鼻腔内、局所治療が望ましい場合は病変内投与によって投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。いくつかの態様では、投与量は、細胞の単回ボーラス投与によって投与される。いくつかの態様では、それは、例えばせいぜい3日間にわたる、細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の連続注入投与によって投与される。いくつかの態様では、細胞用量の投与または任意の追加の療法、例えば、リンパ球除去療法、介入療法および/または併用療法は、外来通院による送達を介して行われる。
【0443】
疾患の予防または治療の場合、適切な投与量は、治療する疾患のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、細胞が予防または治療目的で投与されるか、以前の治療、対象の病歴および細胞に対する反応、ならびに主治医の裁量に依存し得る。組成物および細胞は、いくつかの態様では、一度にまたは一連の治療にわたって対象に適切に投与される。
【0444】
いくつかの態様において、細胞は、併用処置の一部として、例えば、別の治療的介入、例えば抗体または操作された細胞または受容体または作用物質など、例えば細胞毒性剤または治療剤などと同時に、または任意の順序で逐次的に、投与される。細胞はいくつかの態様において、1種または複数種の付加的な治療剤と、または別の治療的介入と関連して、同時にまたは任意の順序で逐次的に共投与される。状況によっては、細胞は、細胞集団が1種もしくは複数種の付加的な治療剤の効果を増強するように、またはその逆になるように、十分に近い時間内に別の治療法と共投与される。いくつかの態様において、細胞は、1種または複数種の付加的な治療剤の前に投与される。いくつかの態様において、細胞は、1種または複数種の付加的な治療剤の後に投与される。いくつかの態様において、1種または複数種の付加的な作用物質には、例えば持続性を増強するための、IL-2などのサイトカインが含まれる。いくつかの態様において、本方法は、化学療法剤の投与を含む。
【0445】
いくつかの態様では、前記方法は、例えば投与前に腫瘍組織量を減らすための、化学療法剤、例えばコンディショニング化学療法剤、の投与を含む。
【0446】
いくつかの局面における免疫枯渇(例えば、リンパ球除去)療法による対象のプレコンディショニングは、養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。
【0447】
したがって、いくつかの態様では、該方法は、細胞療法を開始する前に、プレコンディショニング剤、例えばリンパ球除去剤または化学療法剤(例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、またはそれらの組み合わせ)を対象に投与することを含む。例えば、細胞療法の開始の少なくとも2日前に、例えば少なくとも3、4、5、6、または7日前に、プレコンディショニング剤を対象に投与することができる。いくつかの態様では、細胞療法の開始のせいぜい7日前までに、例えば6、5、4、3、または2日前までに、プレコンディショニング剤を対象に投与する。
【0448】
いくつかの態様では、対象は、20mg/kg~100mg/kgまたは約20mg/kg~100mg/kg、例えば40mg/kg~80mg/kgまたは約40mg/kg~80mg/kgの用量のシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの局面では、対象は60mg/kgまたは約60mg/kgのシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、単回投与されるか、または毎日、隔日、または3日ごとの投与など、複数回投与される。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、1日1回、1日または2日間投与される。いくつかの態様では、リンパ球除去剤がシクロホスファミドを含む場合、対象はシクロホスファミドを約または100mg/m2~500mg/m2、例えば約または200mg/m2~400mg/m2または250mg/m2~350mg/m2の用量で投与される。ある場合には、対象は約300mg/m2のシクロホスファミドを投与される。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、単回投与されるか、または毎日、隔日、または3日ごとの投与など、複数回投与される。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、例えば1~5日間、例えば3~5日間、毎日投与される。ある場合には、対象は、細胞療法を開始する前に、約300mg/m2のシクロホスファミドを3日間毎日投与される。
【0449】
いくつかの態様では、リンパ球除去剤がフルダラビンを含む場合、対象はフルダラビンを1mg/m2~100mg/m2または約1mg/m2~100mg/m2、例えば、約または10mg/m2~75mg/m2、15mg/m2~50mg/m2、20mg/m2~40mg/m2、または24mg/m2~35mg/m2の用量で投与される。ある場合には、対象は約30mg/m2のフルダラビンを投与される。いくつかの態様では、フルダラビンは、単回投与されるか、または毎日、隔日、または3日ごとの投与など、複数回投与される。いくつかの態様では、フルダラビンは、例えば1~5日間、例えば3~5日間、毎日投与される。ある場合には、対象は、細胞療法を開始する前に、約30mg/m2のフルダラビンを3日間毎日投与される。
【0450】
いくつかの態様では、リンパ球除去剤は、シクロホスファミドとフルダラビンの組み合わせなどの、薬剤の組み合わせを含む。したがって、薬剤の組み合わせは、上記のような任意の用量または投与スケジュールでのシクロホスファミドと、上記のような任意の用量または投与スケジュールでのフルダラビンを含み得る。例えば、いくつかの局面では、対象は、初回投与またはその後の投与の前に、60mg/kg(約2g/m2)のシクロホスファミドおよび3~5回の25mg/m2のフルダラビンを投与される。
【0451】
細胞の投与後、操作された細胞集団の生物学的活性はいくつかの態様において、例えばいくつかの公知の方法のいずれかによって測定される。評価するパラメータには、例えばイメージングによるインビボでの、または例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによるエクスビボでの、抗原に対する操作されたT細胞もしくは天然T細胞または他の免疫細胞の特異的結合が含まれる。ある特定の態様において、標的細胞を破壊する操作された細胞の能力は、例えばKochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009) およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004) に記載されている細胞傷害性アッセイなどの、任意の公知の適切な方法を用いて測定され得る。ある特定の態様において、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFなどの1種または複数種のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定される。いくつかの局面において、生物学的活性は、腫瘍量または腫瘍負荷量の減少などの臨床転帰を評価することによって測定される。
【0452】
ある特定の態様において、操作された細胞は、それらの治療有効性または予防有効性が増加するように、いくつもの方法でさらに改変される。例えば、集団によって発現される操作されたCARまたはTCRは、ターゲティング部分に直接的に、またはリンカーを介して間接的にコンジュゲートされ得る。化合物、例えばCARまたはTCRをターゲティング部分にコンジュゲートする実践は、公知である。例えば、Wadwa et al., J.Drug Targeting 3:1 1 1 (1995) および米国特許第5,087,616号を参照されたい。
【0453】
いくつかの態様では、細胞は、併用療法の一部として、例えば、抗体、遺伝子操作された細胞もしくは受容体、または薬剤(例えば、細胞傷害薬または治療薬)などの、別の治療的介入と同時に、または任意の順序で連続して、投与される。いくつかの態様における細胞は、1つ以上の追加の治療薬と一緒に、または別の治療的介入に関連して、同時にまたは任意の順序で連続して、共投与される。ある状況では、細胞は、細胞集団が1つ以上の追加の治療薬の効果を増強するかまたはその逆であるように時間的に十分に接近して、別の療法と共投与される。ある態様では、細胞を1つ以上の追加の治療薬の前に投与する。ある態様では、細胞を1つ以上の追加の治療薬の後に投与する。いくつかの態様では、1つ以上の追加の治療薬は、例えば持続性を高めるために、IL-2などのサイトカインを含む。
【0454】
A. 投薬
いくつかの態様では、1回量の細胞は、提供される方法、および/または提供される製造物品もしくは組成物に従って、対象に投与される。いくつかの態様では、該用量のサイズまたは投与のタイミングは、対象における特定の疾患または症状に応じて決定される。場合によっては、提供される明細記述を考慮して、特定の疾患のための該用量のサイズまたは投与のタイミングを経験的に決定することができる。
【0455】
いくつかの態様では、該用量の細胞は、2×105細胞/kg~2×106細胞/kgまたは約2×105細胞/kg~約2×106細胞/kg、例えば、4×105細胞/kg~1×106細胞/kgもしくは約4×105細胞/kg~約1×106細胞/kg、または6×105細胞/kg~約8×105細胞/kgもしくは約6×105細胞/kg~約8×105細胞/kgを含む。いくつかの態様では、該用量の細胞は、対象の体重1キログラムあたりわずか2×105の細胞(例えば、CAR発現細胞などの抗原発現細胞)(細胞/kg)を含み、例えば、わずか3×105細胞/kgもしくはわずか約3×105細胞/kg、わずか4×105細胞/kgもしくはわずか約4×105細胞/kg、わずか5×105細胞/kgもしくはわずか約5×105細胞/kg、わずか6×105細胞/kgもしくはわずか約6×105細胞/kg、わずか7×105細胞/kgもしくはわずか約7×105細胞/kg、わずか8×105細胞/kgもしくはわずか約8×105細胞/kg、わずか9×105細胞/kgもしくはわずか約9×105細胞/kg、わずか1×106細胞/kgもしくはわずか約1×106細胞/kg、またはわずか2×106細胞/kgもしくはわずか約2×106細胞/kgを含む。いくつかの態様では、該用量の細胞は、対象の体重1キログラムあたり少なくとも2×105または少なくとも約2×105または2×105または約2×105の細胞(例えば、CAR発現細胞などの抗原発現細胞)(細胞/kg)を含み、例えば、少なくとも3×105細胞/kgもしくは少なくとも約3×105細胞/kgもしくは3×105細胞/kgもしくは約3×105細胞/kg、少なくとも4×105細胞/kgもしくは少なくとも約4×105細胞/kgもしくは4×105細胞/kgもしくは約4×105細胞/kg、少なくとも5×105細胞/kgもしくは少なくとも約5×105細胞/kgもしくは5×105細胞/kgもしくは約5×105細胞/kg、少なくとも6×105細胞/kgもしくは少なくとも約6×105細胞/kgもしくは6×105細胞/kgもしくは約6×105細胞/kg、少なくとも7×105細胞/kgもしくは少なくとも約7×105細胞/kgもしくは7×105細胞/kgもしくは約7×105細胞/kg、少なくとも8×105細胞/kgもしくは少なくとも約8×105細胞/kgもしくは8×105細胞/kgもしくは約8×105細胞/kg、少なくとも9×105細胞/kgもしくは少なくとも約9×105細胞/kgもしくは9×105細胞/kgもしくは約9×105細胞/kg、少なくとも1×106細胞/kgもしくは少なくとも約1×106細胞/kgもしくは1×106細胞/kgもしくは約1×106細胞/kg、または少なくとも2×106細胞/kgもしくは少なくとも約2×106細胞/kgもしくは2×106細胞/kgもしくは約2×106細胞/kgを含む。
【0456】
特定の態様では、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、対象に、10万~1000億または約10万~約1000億の細胞の範囲、および/または対象の体重1キログラムあたりの細胞のその量で投与され、例えば、10万~500億または約10万~約500億の細胞(例えば、500万もしくは約500万の細胞、2500万もしくは約2500万の細胞、5億もしくは約5億の細胞、10億もしくは約10億の細胞、50億もしくは約50億の細胞、200億もしくは約200億の細胞、300億もしくは約300億の細胞、400億もしくは約400億の細胞、または前述の値のいずれか2つによって定義された範囲)、100万~500億または約100万~約500億の細胞(例えば、500万もしくは約500万の細胞、2500万もしくは約2500万の細胞、5億もしくは約5億の細胞、10億もしくは約10億の細胞、50億もしくは約50億の細胞、200億もしくは約200億の細胞、300億もしくは約300億の細胞、400億もしくは約400億の細胞、または前述の値のいずれか2つによって定義された範囲)、例えば、1000万~1000億または約1000万~約1000億の細胞(例えば、2000万もしくは約2000万の細胞、3000万もしくは約3000万の細胞、4000万もしくは約4000万の細胞、6000万もしくは約6000万の細胞、7000万もしくは約7000万の細胞、8000万もしくは約8000万の細胞、9000万もしくは約9000万の細胞、100億もしくは約100億の細胞、250億もしくは約250億の細胞、500億もしくは約500億の細胞、750億もしくは約750億の細胞、900億もしくは約900億の細胞、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲)、場合によっては、1億~500億または約1億~約500億の細胞(例えば、1億2000万もしくは約1億2000万の細胞、2億5000万もしくは約2億5000万の細胞、3億5000万もしくは約3億5000万の細胞、6億5000万もしくは約6億5000万の細胞、8億もしくは約8億の細胞、9億もしくは約9億の細胞、30億もしくは約30億の細胞、300億もしくは約300億の細胞、450億もしくは約450億の細胞)、またはこれらの範囲の中間の任意の値および/または対象の体重1キログラムあたりで投与される。投与量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の治療に特有の属性に応じて変化し得る。ある態様では、そのような値は、組換え受容体発現細胞の数を指す;他の態様では、それらは、投与されるT細胞またはPBMCまたは総細胞の数を指す。
【0457】
いくつかの態様では、例えば、対象がヒトである場合、該用量は、約5×108未満の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)を含み、例えば、1×106~5×108または約1×106~約5×108の範囲のそのような細胞を含み、例えば、2×106、5×106、1×107、5×107、1×108、1.5×108、もしくは5×108、または約2×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1×108、約1.5×108、もしくは約5×108、または前述の値のいずれか2つの間の範囲のそのような総細胞を含む。いくつかの態様では、例えば、対象がヒトである場合、該用量は、1×106または約1×106より多く、かつ2×109または約2×109より少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)を含み、例えば、2.5×107~1.2×109または約2.5×107~約1.2×109の範囲のそのような細胞、例えば、2.5×107、5×107、1×108、1.5×108、8×108、もしくは1.2×109、または約2.5×107、約5×107、約1×108、約1.5×108、約8×108、もしくは約1.2×109、または前述の値のいずれか2つの間の範囲のそのような総細胞を含む。
【0458】
いくつかの態様では、遺伝子操作された細胞の該用量は、以下を含む:1×105~5×108または約1×105~約5×108の総CAR発現(CAR+)T細胞、1×105~2.5×108または約1×105~約2.5×108の総CAR発現T細胞、1×105~1×108または約1×105~約1×108の総CAR発現T細胞、1×105~5×107または約1×105~約5×107の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×107または約1×105~約2.5×107の総CAR発現T細胞、1×105~1×107または約1×105~約1×107の総CAR発現T細胞、1×105~5×106または約1×105~約5×106の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×106または約1×105~約2.5×106の総CAR発現T細胞、1×105~1×106または約1×105~約1×106の総CAR発現T細胞、1×106~5×108または約1×106~約5×108の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108または約1×106~約2.5×108の総CAR発現T細胞、1×106~1×108または約1×106~約1×108の総CAR発現T細胞、1×106~5×107または約1×106~約5×107の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×107または約1×106~約2.5×107の総CAR発現T細胞、1×106~1×107または約1×106~約1×107の総CAR発現T細胞、1×106~5×106または約1×106~約5×106の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×106または約1×106~約2.5×106の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×108または約2.5×106~約5×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×108または約2.5×106~約2.5×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×108または約2.5×106~約1×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×107または約2.5×106~約5×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×107または約2.5×106~約2.5×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×107または約2.5×106~約1×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×106または約2.5×106~約5×106の総CAR発現T細胞、5×106~5×108または約5×106~約5×108の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×108または約5×106~約2.5×108の総CAR発現T細胞、5×106~1×108または約5×106~約1×108の総CAR発現T細胞、5×106~5×107または約5×106~約5×107の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×107または約5×106~約2.5×107の総CAR発現T細胞、5×106~1×107または約5×106~約1×107の総CAR発現T細胞、1×107~5×108または約1×107~約5×108の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108または約1×107~約2.5×108の総CAR発現T細胞、1×107~1×108または約1×107~約1×108の総CAR発現T細胞、1×107~5×107または約1×107~約5×107の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×107または約1×107~約2.5×107の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×108または約2.5×107~約5×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~2.5×108または約2.5×107~約2.5×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~1×108または約2.5×107~約1×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×107または約2.5×107~約5×107の総CAR発現T細胞、約5×107~約5×108の総CAR発現T細胞、約5×107~約2.5×108の総CAR発現T細胞、約5×107~約1×108の総CAR発現T細胞、1×108~5×108または約1×108~約5×108の総CAR発現T細胞、1×108~2.5×108または約1×108~約2.5×108の総CAR発現T細胞、2.5×108~5×108または約2.5×108~約5×108の総CAR発現T細胞。いくつかの態様では、遺伝子操作された細胞の該用量は、2.5×107~1.5×108または約2.5×107~約1.5×108の総CAR発現T細胞、例えば、5×107~1×108または約5×107~約1×108の総CAR発現T細胞を含む。
【0459】
いくつかの態様では、遺伝子操作された細胞の該用量は、少なくとも1×105または約1×105のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105または約2.5×105のCAR発現細胞、少なくとも5×105または約5×105のCAR発現細胞、少なくとも1×106または約1×106のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106または約2.5×106のCAR発現細胞、少なくとも5×106または約5×106のCAR発現細胞、少なくとも1×107または約1×107のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107または約2.5×107のCAR発現細胞、少なくとも5×107または約5×107のCAR発現細胞、少なくとも1×108または約1×108のCAR発現細胞、少なくとも1.5×108または約1.5×108のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108または約2.5×108のCAR発現細胞、または少なくとも5×108または約5×108のCAR発現細胞を含む。
【0460】
いくつかの態様では、細胞療法は、1×105~5×108もしくは約1×105~約5×108の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×107もしくは約5×105~約1×107の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、または1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)の数の細胞を含む用量の投与を含む。いくつかの態様では、細胞療法は、少なくとも1×105または約1×105の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、少なくとも1×106または約1×106、少なくとも1×107または約1×107、少なくとも1×108または約1×108のそのような細胞の数を含む細胞の用量の投与を含む。いくつかの態様では、その数は、CD3+またはCD8+の総数を基準にし、場合によっては、組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の総数をも基準にする。いくつかの態様では、細胞療法は、1×105~5×108もしくは約1×105~約5×108のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、5×105~1×107もしくは約5×105~約1×107のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、あるいは1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞の数の細胞を含む用量の投与を含む。いくつかの態様では、細胞療法は、1×105~5×108もしくは約1×105~約5×108の総CD3+/CAR+またはCD8+/CAR+細胞、5×105~1×107もしくは約5×105~約1×107の総CD3+/CAR+またはCD8+/CAR+細胞、または1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107の総CD3+/CAR+またはCD8+/CAR+細胞の数の細胞を含む用量の投与を含む。
【0461】
いくつかの態様では、該用量のT細胞には、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、またはCD4+およびCD8+ T細胞が含まれる。
【0462】
いくつかの態様では、例えば、対象がヒトである場合、該用量のCD8+ T細胞(CD4+およびCD8+ T細胞を含む用量を含む)は、1×106~5×108または約1×106~約5×108の総組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞を含み、例えば、5×106~1×108または約5×106~約1×108の範囲のそのような細胞、例えば、1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、1.5×108、または5×108のそのような総細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲を含む。いくつかの態様では、患者は複数回の投与を受け、各用量または総用量は前述の値のいずれかの範囲内であり得る。いくつかの態様では、細胞の該用量は、1×107~0.75×108または約1×107~約0.75×108の総組換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~5×107または約1×107~約5×107の総組換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~0.25×108または約1×107~約0.25×108の総組換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。いくつかの態様では、細胞の該用量は、1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、1.5×108、2.5×108、もしくは5×108、または約1×107、約2.5×107、約5×107、約7.5×107、約1×108、約1.5×108、約2.5×108、もしくは約5×108の総組換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。
【0463】
いくつかの態様では、細胞、例えば組換え受容体発現T細胞の用量は、対象に1回量として投与されるか、または2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上の期間内に1回だけ投与される。
【0464】
養子細胞療法との関係において、所定の「用量」の投与は、単一の組成物としての細胞の所定の量もしくは数の投与および/または中断のない単回投与(例えば、単回注射または連続注入としての投与)を包含し、さらに、分割用量または複数の組成物としての細胞の所定の量もしくは数の投与(特定の期間、例えばせいぜい3日間にわたって、複数の個別の組成物または注入として提供される)を包含する。したがって、いくつかの状況では、該用量は、単一時点で投与または開始される、指定された数の細胞の単回投与または連続投与である。しかしながら、状況によっては、該用量は、1日1回3日間もしくは2日間など、せいぜい3日間にわたる複数回の注射または注入として、あるいは1日にわたる複数回の注入により投与される。
【0465】
したがって、いくつかの局面では、該用量の細胞は単一の薬学的組成物として投与される。いくつかの態様では、該用量の細胞は複数の組成物(集合的に該用量の細胞を含有する)として投与される。
【0466】
いくつかの態様では、用語「分割用量」は、2日以上にわたって投与されるように分割された用量を指す。このタイプの投薬は、本方法により包含され、1回量であるとみなされる。
【0467】
したがって、細胞の用量は、分割用量として、例えば経時的に投与される分割用量として、投与され得る。例えば、いくつかの態様では、該用量を2日間または3日間にわたって対象に投与することができる。代表的な分割投与法には、初日に該用量の25%を投与し、2日目に該用量の残り75%を投与することが含まれる。他の態様では、該用量の33%を初日に投与して、残り67%を2日目に投与してもよい。いくつかの局面では、該用量の10%を初日に投与し、該用量の30%を2日目に投与し、該用量の60%を3日目に投与する。いくつかの態様では、分割用量が3日を超えて広がることはない。
【0468】
いくつかの態様では、該用量の細胞は、例えば第1および第2の、任意でそれ以上の、複数の組成物または溶液の投与によって投与され、各組成物または溶液は該用量の一部の細胞を含有する。いくつかの局面では、それぞれが異なる細胞の集団および/またはサブタイプを含有する複数の組成物は、任意で一定期間内に、別々にまたは独立して投与される。例えば、細胞の集団またはサブタイプは、それぞれCD8+およびCD4+ T細胞、および/またはそれぞれCD8+およびCD4+濃縮集団、例えば、それぞれが組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞を個別に含むCD4+および/またはCD8+ T細胞、を含むことができる。いくつかの態様では、該用量の投与は、1回量のCD8+ T細胞または1回量のCD4+ T細胞を含む第1の組成物の投与と、該用量のCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の他方を含む第2の組成物の投与を含む。
【0469】
いくつかの態様では、前記組成物または用量の投与、例えば、複数の細胞組成物の投与は、細胞組成物の別々の投与を含む。いくつかの局面では、別々の投与は、同時に、または任意の順序で連続して行われる。いくつかの態様では、該用量は第1の組成物および第2の組成物を含み、第1の組成物と第2の組成物を0~12時間間隔で、0~6時間間隔で、または0~2時間間隔で投与する。いくつかの態様では、第1の組成物の投与開始と第2の組成物の投与開始を、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、または5分以内の間隔で行う。いくつかの態様では、第1の組成物の投与の開始および/または完了と、第2の組成物の投与の完了および/または開始を、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、または5分以内の間隔で行う。
【0470】
いくつかの態様では、第1の組成物、例えば、該用量の第1の組成物は、CD4+ T細胞を含む。いくつかの態様では、第1の組成物、例えば、該用量の第1の組成物は、CD8+ T細胞を含む。いくつかの態様では、第1の組成物は、第2の組成物の前に投与される。
【0471】
いくつかの態様では、細胞の該用量または組成物は、規定されたまたは目標の比率の組換え受容体を発現するCD4+細胞と組換え受容体を発現するCD8+細胞、および/またはCD4+細胞とCD8+細胞を含み、この比は、任意で約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、例えば約1:1である。いくつかの局面では、異なる細胞集団の目標のまたは所望の比率(例えば、CD4+:CD8+比またはCAR+ CD4+:CAR+ CD8+比、例えば1:1)での組成物または用量の投与は、該集団の一方を含む細胞組成物の投与、次いで該集団の他方を含む別個の細胞組成物の投与を含み、その場合、該投与を目標または所望の比率で行う。いくつかの局面では、規定された比率での細胞の用量または組成物の投与は、T細胞療法の拡大増殖、持続性および/または抗腫瘍活性の改善につながる。
【0472】
いくつかの態様では、対象は、細胞の複数回の用量、例えば、2回以上の用量または複数回の連続用量を受け取る。いくつかの態様では、2回の用量が対象に投与される。いくつかの態様では、対象は連続用量を受け取り、例えば、初回用量の約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21日後に2回目の用量を投与される。いくつかの態様では、初回用量の後に複数回の連続用量が投与され、その連続用量の投与後に1回または複数回の追加の用量が投与されるようにする。いくつかの局面では、追加の用量で対象に投与される細胞の数は、初回用量および/または連続用量と同じであるか、または同様である。いくつかの態様では、1回または複数回の追加の用量は、前の用量よりも多い。
【0473】
いくつかの局面では、初回用量および/または連続用量のサイズは、以下のような、1つまたは複数の基準に基づいて決定される:以前の治療(例えば化学療法)に対する対象の反応、対象における疾病負荷、例えば、腫瘍の量、大きさ、サイズ、または転移の程度、範囲、もしくはタイプ、ステージ(病期)、および/または毒性の結果(例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性)を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫反応。
【0474】
いくつかの局面では、初回用量の投与と連続用量の投与との間の期間は、約9~約35日、約14~約28日、または15~27日である。いくつかの態様では、連続用量の投与は、初回用量の投与から約14日以上で約28日未満の時点である。いくつかの局面では、初回用量と連続用量との間の期間は、約21日である。いくつかの態様では、その連続用量の投与後に、1回または複数回の追加の用量、例えば連続用量が投与される。いくつかの局面では、1回または複数回の追加の連続用量は、前回の用量の投与から少なくとも約14日で約28日未満に投与される。いくつかの態様では、追加の用量は、前回の投与から約14日未満に投与され、例えば、前回の投与の4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13日後に投与される。いくつかの態様では、用量は、前回の投与から約14日未満には投与されず、かつ/または前回の投与から約28日を超えて投与されない。
【0475】
いくつかの態様では、細胞、例えば組換え受容体発現細胞、の用量は、T細胞の初回用量およびT細胞の連続用量を含む2回の用量(例えば、2回量)を含み、ここで、初回の用量と2回目の用量の一方または両方は、T細胞の分割用量の投与を含む。
【0476】
いくつかの態様では、細胞の前記用量は一般に、疾病負荷を軽減するのに効果的な、十分な量である。
【0477】
いくつかの態様では、前記細胞は、細胞もしくは細胞タイプ(複数可)の所望の用量もしくは数、および/または細胞タイプの所望の比率を含む、所望の投与量で投与される。したがって、いくつかの態様での細胞の投与量は、細胞の総数(または体重1kgあたりの数)、および個々の集団またはサブタイプの所望の比、例えばCD4+対CD8+比、に基づいている。いくつかの態様では、細胞の投与量は、個々の集団中の細胞のまたは個々の細胞タイプの所望の総数(または体重1kgあたりの数)に基づいている。いくつかの態様では、投与量は、例えば、総細胞の所望の数、所望の比率、個々の集団中の細胞の所望の総数などの、そのような特徴の組み合わせに基づいている。
【0478】
いくつかの態様では、細胞の集団またはサブタイプ、例えばCD8+およびCD4+ T細胞は、総細胞の所望の用量(例えば、T細胞の所望の用量)の許容差(tolerated difference)で、または許容差の範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の用量は、細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の体重の単位あたりの細胞の所望の数、例えば細胞数/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、細胞の最小数または体重の単位あたりの細胞の最小数であるか、それを上回る数である。いくつかの局面では、所望の用量で投与される総細胞の中で、個々の集団またはサブタイプは、所望の出力比(例えば、CD4+対CD8+比)で、またはそれに近い比率で存在し、例えば、そのような比率の一定の許容差または誤差の範囲内で存在する。
【0479】
いくつかの態様では、前記細胞は、細胞の個々の集団またはサブタイプの1つまたは複数の所望の用量(例えば、CD4+細胞の所望の用量および/またはCD8+細胞の所望の用量)の許容差の範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の用量は、サブタイプまたは集団の細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の体重の単位あたりのそのような細胞の所望の数、例えば細胞数/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、集団またはサブタイプの細胞の最小数、あるいは体重の単位あたりの集団またはサブタイプの細胞の最小数であるか、それを上回る数である。
【0480】
したがって、いくつかの態様では、投与量は、総細胞の所望の固定用量および所望の比率に基づき、かつ/または個々のサブタイプもしくはサブ集団の1つまたは複数、例えばそれぞれ、の所望の固定用量に基づく。こうして、いくつかの態様では、投与量は、T細胞の所望の固定もしくは最小用量およびCD4+対CD8+細胞の所望の比率に基づき、かつ/またはCD4+および/またはCD8+細胞の所望の固定もしくは最小用量に基づく。
【0481】
いくつかの態様では、細胞は、複数の細胞集団またはサブタイプ、例えばCD4+およびCD8+細胞またはサブタイプ、の所望の出力比の許容範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の比は、特定の比であるか、ある範囲の比であり得る。例えば、いくつかの態様では、所望の比(例えば、CD4+対CD8+細胞の比)は、1:5~5:1または約1:5~約5:1(または約1:5以上かつ約5:1以下)、1:3~3:1または約1:3~約3:1(または約1:3以上かつ約3:1以下)、例えば、2:1~1:5または約2:1~約1:5(または約1:5以上かつ約2:1以下)、例えば、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、もしくは1:5、または約5:1、約4.5:1、約4:1、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約1:1.1、約1:1.2、約1:1.3、約1:1.4、約1:1.5、約1:1.6、約1:1.7、約1:1.8、約1:1.9、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:4.5、もしくは約1:5である。いくつかの局面では、許容差は、所望の比の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内である(これらの範囲内の任意の値を含む)。
【0482】
特定の態様では、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の態様では、細胞の数および/または濃度は、投与される全ての細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)の数または濃度を指す。
【0483】
いくつかの局面では、用量のサイズは、以下のような、1つまたは複数の基準に基づいて決定される:以前の治療(例えば化学療法)に対する対象の反応、対象における疾病負荷、例えば、腫瘍の量、大きさ、サイズ、または転移の程度、範囲、もしくはタイプ、ステージ(病期)、および/または毒性の結果(例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性)を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫反応。
【0484】
いくつかの態様では、前記方法はまた、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞の1回または複数回の追加の用量を投与し、かつ/またはリンパ球除去療法を施す工程を含み、かつ/または該方法の1つまたは複数の工程は繰り返される。ある態様では、1回または複数回の追加の用量は、初期用量と同じである。ある態様では、1回または複数回の追加の用量は、初期用量と異なり、例えば、初期用量よりも高く、例えば、初期用量よりも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上高いか、または初期用量よりも低く、例えば、初期用量よりも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上低い。いくつかの態様では、1回または複数回の追加の用量の投与は、初期治療または以前の治療に対する対象の反応、対象における疾病負荷、例えば、腫瘍の量、大きさ、サイズ、または転移の程度、範囲、もしくはタイプ、ステージ(病期)、および/または毒性の結果(例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性)を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫反応に基づいて決定される。
【0485】
V. 製造物品およびキット
本明細書では、本明細書に記載されるような無血清培地、基礎培地またはサプリメントの組成物、および任意で該組成物を調製または使用するための説明書を含む製造物品も提供される。この製造物品は、容器と、容器上のまたは容器に付随するラベルまたは添付文書とを含み得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、静脈注射用溶液バッグなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。いくつかの態様における容器は、組成物を単独で、または症状を治療、予防および/または診断するのに有効な別の組成物と組み合わせて、保持する。いくつかの態様では、該容器は無菌のアクセスポートを備えている。代表的な容器には、静脈注射用溶液バッグ、バイアル、例えば注射用の針で突き刺すことができるストッパーを備えたもの、または経口投与剤用のボトルもしくはバイアルが含まれる。ラベルまたは添付文書は、組成物が疾患または症状の治療に使用されることを示すことができる。
【0486】
いくつかの態様では、前記製造物品は、(a)基礎培地中にL-グルタミンのジペプチド形態を含むような、本明細書に提供される基礎培地を含有する、第1の容器;および(b)グルタミンのフリー形態(例えば、L-グルタミン)を含む第1のサプリメントなどの本明細書に提供されるサプリメントを含有する、第2の容器;を含む。いくつかの態様では、該製造物品は、1つまたは複数の追加のサプリメントを含有する第3の容器をさらに含む。
【0487】
いくつかの態様では、前記製造物品は、(a)組成物、例えば本明細書に記載されるもの(例えば、無血清培地またはそれぞれ別個の容器に入れられた無血清培地調製用の各成分、例えば基礎培地および1つまたは複数のサプリメント、例えば少なくとも第1のサプリメントおよび1つまたは複数のさらなるまたは第2のサプリメント)が中に含まれる、1つまたは複数の容器;および(b)培養および/または調製される細胞を含む組成物が中に含まれる、さらなる容器;を含む。ある態様では、該細胞は初代細胞である。ある態様では、該細胞は免疫細胞または濃縮された免疫細胞である。ある態様では、該細胞は、T細胞であるかまたはT細胞が濃縮されている。ある態様では、該細胞はCD4+ T細胞または濃縮されたCD4+ T細胞である。ある態様では、該細胞はCD8+ T細胞または濃縮されたCD8+ T細胞である。ある態様では、該細胞は遺伝子操作されるかまたは遺伝子操作されている細胞を含む。ある態様では、該細胞は遺伝子操作されるかまたは遺伝子操作されている細胞の濃縮集団を含む。ある態様では、該細胞は遺伝子操作されたT細胞または遺伝子操作されたT細胞の濃縮集団を含む。ある態様では、該細胞はキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞または濃縮されたCAR発現T細胞を含む。ある態様では、該細胞はあらかじめ凍結保存されている。ある態様では、該細胞は無血清培地で培養され、培養後に凍結保存されている。
【0488】
いくつかの態様では、前記製造物品は、(a)組成物、例えば本明細書に記載されるもの(例えば、無血清培地またはそれぞれ別個の容器に入れられた無血清培地調製用の各成分、例えば基礎培地および1つまたは複数のサプリメント、例えば少なくとも第1のサプリメントおよび1つまたは複数のさらなるまたは第2のサプリメント)が中に含まれる、第1の容器;(b)培養および/または調製される細胞を含む組成物が中に含まれる、第2の容器;(c)遺伝子(例えば、組換えタンパク質をコードする遺伝子)を含むベクター;を含む。ある態様では、ベクターはレンチウイルスベクターである。ある態様では、遺伝子はキメラ抗原受容体をコードする。ある態様では、キメラ抗原受容体は、腫瘍細胞に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む。
【0489】
VII. 定義
特に定義されない限り、本明細書で用いられる専門用語、表記、ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は全て、特許請求される主題が関係する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有することが意図される。場合によっては、一般に理解されている意味を有する用語を、明確にするためにおよび/またはすぐに参照できるように本明細書において定義するが、本明細書にそのような定義を含めることは、当技術分野において一般に理解されているものとの実質的な相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0490】
本明細書で用いられる場合、単数形「1つの (a)」、「1つの (an)」、および「その」は、特に文脈によって明白に指示されていない限り、その対象物の複数形も含む。例えば、「1つの (a)」または「1つの (an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面および変形は、局面および変形「からなる」ならびに/または局面および変形「から本質的になる」を含むと理解される。
【0491】
本開示を通して、特許請求される主題の様々な局面は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜上および簡潔化のためであり、特許請求される主題の範囲に対する確固たる限定として解釈されるべきでないことが、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値を全て具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、ある値域が提供される場合、その範囲の上限値と下限値の間の各介在値、およびその規定範囲内の任意の他の規定値または介在値が、特許請求される主題内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限値および下限値は、独立的にそのより小さな範囲内に含まれてよく、これらもまた、規定範囲における任意の具体的に除外される限界値に従って、特許請求される主題内に包含される。規定範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それら含まれた限界値の一方または両方を除外する範囲もまた、特許請求される主題内に含まれる。このことは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0492】
本明細書で用いられる「約」という用語は、当業者にとっては明白な、各値に関する通常の誤差範囲を指す。本明細書において「約」のついた値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそのものに向けられた態様を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は「X」の記載を含む。
【0493】
本明細書で使用する場合、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置が、配列表に示されるような開示された配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の位置に「対応する」という記載は、GAPアルゴリズムなどの標準的なアラインメントアルゴリズムを用いて同一性を最大化するように開示された配列とアラインメントさせたときに同定される、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置を指す。配列同士をアラインメントさせることにより、当業者は、例えば保存された同一のアミノ酸残基をガイドとして用いて、対応する残基を同定することができる。一般的に、対応する位置を同定するために、アミノ酸の配列は、最上位のマッチが得られるようにアラインメントされる(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.編, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G.編, Humana Press, New.Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J.編, M Stockton Press, New York, 1991; Carrillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を参照されたい)。
【0494】
本明細書で用いられる「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。本用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、およびそれが導入された宿主細胞のゲノム中に組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。ベクターには、ウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターといったレトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターなどが含まれる。
【0495】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は互換的に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫も含む。宿主細胞には「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これには初代形質転換細胞、および継代数に関係なくそれらに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸の内容が親細胞と完全に一致していなくてもよく、変異を含有してもよい。元の形質転換細胞においてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫も、本明細書に含まれる。
【0496】
本明細書で用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定マーカーに関して「陽性」であるという記述は、特定マーカー、典型的には表面マーカーが、細胞上または細胞中に検出可能な程度に存在することを指す。表面マーカーに言及する場合、本用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し該抗体を検出することによって、検出される表面発現の存在を指し、この場合、染色は、アイソタイプ一致対照を他の点では同一の条件下で用いて同じ手順を行って検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはそのマーカーに関して陽性であることが公知である細胞のレベルと実質的に類似するレベルで、および/またはそのマーカーに関して陰性であることが公知である細胞のレベルよりも実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0497】
本明細書で用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定マーカーに関して「陰性」であるという記述は、特定マーカー、典型的には表面マーカーが、細胞上または細胞中に実質的に検出可能な程度に存在しないことを指す。表面マーカーに言及する場合、本用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し該抗体を検出することによって、検出される表面発現の非存在を指し、この場合、染色は、アイソタイプ一致対照を他の点では同一の条件下で用いて同じ手順を行って検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはそのマーカーに関して陽性であることが公知である細胞のレベルよりも実質的に低いレベルで、および/またはそのマーカーに関して陰性であることが公知である細胞のレベルと比較して実質的に類似するレベルで、フローサイトメトリーによって検出されない。
【0498】
本明細書で使用する場合、アミノ酸配列(参照ポリペプチド配列)に関して使用するときの「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」および「同一性パーセント」とは、配列をアラインメントさせて、必要に応じて、最大の配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後、保存的置換を配列同一性の一部とみなさないで、参照ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列(例えば、対象の抗体またはフラグメント)のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当業者の技能の範囲内にある様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR社)ソフトウェアなどの公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされるアルゴリズムを含めて、配列をアラインメントするための適切なパラメータを決定することができる。
【0499】
アミノ酸の置換は、ポリペプチド中のあるアミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることを含む。置換は、保存的アミノ酸置換であっても、非保存的アミノ酸置換であってもよい。アミノ酸の置換は、対象となる結合分子(例えば抗体)に導入されるか、または所望の活性(例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低下、またはADCCもしくはCDCの改善)についてスクリーニングされる産物に導入することができる。
【0500】
アミノ酸は一般に、次の共通の側鎖特性に従ってグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の向きに影響を与える残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0501】
いくつかの態様では、保存的置換には、これらのクラスのうちのあるクラスのメンバーを同じクラスの別のメンバーと交換することが含まれる。いくつかの態様では、非保存的アミノ酸置換には、これらのクラスのうちのあるクラスのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することが含まれる。
【0502】
本明細書で使用する場合、組成物は、細胞を含めて、2つ以上の産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。それは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0503】
本明細書で使用する場合、「対象」は、哺乳動物、例えばヒトまたは他の動物であり、典型的にはヒトである。
【0504】
VII.例示的態様
提供される態様には以下が含まれる:
1.
基礎培地中の0.5mM~5mMのL-グルタミンのジペプチド形態;
0.5mM~5mMのL-グルタミン;および
少なくとも1つのタンパク質
を含み、
血清を含まない、
無血清培地。
2.
L-グルタミンのジペプチド形態がL-アラニル-L-グルタミンである、態様1の無血清培地。
3.
L-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、それぞれ両端を含めて、0.5mM~5mM、0.5mM~4mM、0.5mM~3mM、0.5mM~2mM、0.5mM~1mM、1mM~5mM、1mM~4mM、1mM~3mM、1mM~2mM、2mM~5mM、2mM~4mM、2mM~3mM、3mM~5mM、3mM~4mMもしくは4mM~5mM、または約0.5mM~5mM、約0.5mM~4mM、約0.5mM~3mM、約0.5mM~2mM、約0.5mM~1mM、約1mM~5mM、約1mM~4mM、約1mM~3mM、約1mM~2mM、約2mM~5mM、約2mM~4mM、約2mM~3mM、約3mM~5mM、約3mM~4mMもしくは約4mM~5mMである、態様1または2の無血清培地。
4.
無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、少なくとも0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または少なくとも約0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mMもしくは約5mMである、態様1~3のいずれかの無血清培地。
5.
無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が2mMまたは約2mMである、態様1~4のいずれかの無血清培地。
6.
無血清培地中のL-グルタミンの濃度が、それぞれ両端を含めて、0.5mM~5mM、0.5mM~4mM、0.5mM~3mM、0.5mM~2mM、0.5mM~1mM、1mM~5mM、1mM~4mM、1mM~3mM、1mM~2mM、2mM~5mM、2mM~4mM、2mM~3mM、3mM~5mM、3mM~4mMもしくは4mM~5mM、または約0.5mM~5mM、約0.5mM~4mM、約0.5mM~3mM、約0.5mM~2mM、約0.5mM~1mM、約1mM~5mM、約1mM~4mM、約1mM~3mM、約1mM~2mM、約2mM~5mM、約2mM~4mM、約2mM~3mM、約3mM~5mM、約3mM~4mMもしくは約4mM~5mMである、態様1~5のいずれかの無血清培地。
7.
無血清培地中のL-グルタミンの濃度が、少なくとも0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または少なくとも約0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mMもしくは約5mMである、態様1~6のいずれかの無血清培地。
8.
無血清培地中のL-グルタミンの濃度が2mMまたは約2mMである、態様1~7のいずれかの無血清培地。
9.
少なくとも1つのタンパク質が非哺乳動物起源のものではない、態様1~8のいずれかの無血清培地。
10.
少なくとも1つのタンパク質がヒトタンパク質である、態様1~9のいずれかの無血清培地。
11.
少なくとも1つのタンパク質が組換え型である、態様1~10のいずれかの無血清培地。
12.
少なくとも1つのタンパク質が、アルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つもしくは複数を含み、任意でヒトまたは組換えアルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つもしくは複数を含む、態様1~11のいずれかの無血清培地。
13.
少なくとも1つのタンパク質が少なくとも1つのアルブミンを含み、任意でアルブミンがヒト血清アルブミンまたは組換えヒトアルブミンであり、任意で培地中のアルブミンの濃度が約2.5mg/mL~7.5mg/mLである、態様12の無血清培地。
14.
無血清培地中のアルブミンの濃度が約5mg/mLである、態様13の無血清培地。
15.
少なくとも1つのタンパク質が少なくとも1つのトランスフェリンを含み、任意でトランスフェリンがヒトトランスフェリンまたは組換えヒトトランスフェリンであり、任意で無血清培地中のトランスフェリンの濃度が約50mg/L~200mg/Lである、態様12の無血清培地。
16.
無血清培地中のトランスフェリンの濃度が約100mg/Lである、態様15の無血清培地。
17.
少なくとも1つのタンパク質が少なくとも1つのインスリンを含み、任意でインスリンがヒトインスリンまたは組換えヒトインスリンであり、任意で無血清培地中のインスリンの濃度が約5mg/L~20mg/Lである、態様12の無血清培地。
18.
無血清培地中のインスリンの濃度が約10mg/Lである、態様17の無血清培地。
19.
無機塩、糖、アミノ酸の1つまたは複数を含み、任意でビタミン、有機酸、酸化防止剤、および/または緩衝剤も含む、態様1~18のいずれかの無血清培地。
20.
基礎培地が、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、F-10、F-12、RPMI 1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地、またはM199を含む、態様1~19のいずれかの無血清培地。
21.
基礎培地および/または無血清培地がフェノールレッドを含まない、態様1~20のいずれかの無血清培地。
22.
脂質、成長因子、N-アセチルシステイン、エタノールアミン、および/またはアルブミンを含む、態様1~21のいずれかの無血清培地。
23.
1つまたは複数のサイトカインを含む、態様1~22のいずれかの無血清培地。
24.
1つまたは複数のサイトカインが、IL-2、IL-7またはIL-15から選択される、態様23の無血清培地。
25.
細胞の拡大増殖を支援する、態様1~22のいずれかの無血清培地。
26.
前記細胞が初代免疫細胞である、態様25の無血清培地。
27.
前記細胞がT細胞であるか、またはT細胞を含む、態様25または26の無血清培地。
28.
T細胞がCD4+またはCD8+ T細胞を含む、態様27の無血清培地。
29.
L-グルタミンのジペプチド形態を含む基礎培地であって、L-グルタミンおよびタンパク質を含まない、基礎培地。
30.
L-グルタミンのジペプチド形態がL-アラニル-L-グルタミンである、態様29の基礎培地。
31.
L-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、それぞれ両端を含めて、0.5mM~5mM、0.5mM~4mM、0.5mM~3mM、0.5mM~2mM、0.5mM~1mM、1mM~5mM、1mM~4mM、1mM~3mM、1mM~2mM、2mM~5mM、2mM~4mM、2mM~3mM、3mM~5mM、3mM~4mMもしくは4mM~5mM、または約0.5mM~5mM、約0.5mM~4mM、約0.5mM~3mM、約0.5mM~2mM、約0.5mM~1mM、約1mM~5mM、約1mM~4mM、約1mM~3mM、約1mM~2mM、約2mM~5mM、約2mM~4mM、約2mM~3mM、約3mM~5mM、約3mM~4mMもしくは約4mM~5mMである、態様29または30の基礎培地。
32.
無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、少なくとも0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または少なくとも約0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mMもしくは約5mMである、態様29~31のいずれかの基礎培地。
33.
無血清培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が2mMまたは約2mMである、態様29~32のいずれかの基礎培地。
34.
無機塩、糖、アミノ酸の1つまたは複数を含み、任意でビタミン、有機酸、酸化防止剤、および/または緩衝剤も含む、態様29~33のいずれかの基礎培地。
35.
ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、F-10、F-12、RPMI 1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地、またはM199を含む、態様29~34のいずれかの基礎培地。
36.
フェノールレッドを含まない、態様29~35のいずれかの基礎培地。
37.
前記タンパク質が、ヒト由来のタンパク質、もしくは組換えタンパク質、またはその両方である、態様29~36のいずれかの基礎培地。
38.
液体である、態様29~37のいずれかの基礎培地。
39.
少なくとも1つのタンパク質およびL-グルタミンを含むサプリメントであって、該サプリメントと組み合わされた基礎細胞培養培地が細胞の拡大増殖を支援することができる、サプリメント。
40.
使用前に、任意で-10℃~-30℃または約-10℃~-30℃の温度で、任意で18℃もしくは20℃または約18℃もしくは約20℃で、凍結または凍結保存される、態様39のサプリメント。
41.
サプリメント中のL-グルタミンが、基礎培地と組み合わされた場合、および/またはサプリメントが解凍されるか、20℃~42℃もしくは約20℃~42℃、任意で20℃~42℃もしくは約20℃~42℃、または37℃もしくは37℃超もしくは約37℃の温度に供された場合に、沈殿しない、態様39または40のサプリメント。
42.
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が100mM未満である、態様39~41のいずれかのサプリメント。
43.
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が20mM~100mMまたは約20mM~100mMである、態様39~42のいずれかのサプリメント。
44.
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が少なくとも40mM、50mM、60mM、70mM、80mMもしくは90mM、または少なくとも約40mM、50mM、60mM、70mM、80mMもしくは90mM、または40mM、50mM、60mM、70mM、80mMもしくは90mM、または約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mMもしくは約90mMである、態様39~43のいずれかのサプリメント。
45.
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が80mMまたは約80mMである、態様39~44のいずれかのサプリメント。
46.
少なくとも1つのタンパク質が非哺乳動物起源のものではない、態様39~45のいずれかのサプリメント。
47.
少なくとも1つのタンパク質がヒトタンパク質である、態様39~46のいずれかのサプリメント。
48.
少なくとも1つのタンパク質が組換え型である、態様39~47のいずれかのサプリメント。
49.
少なくとも1つのタンパク質が、アルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つもしくは複数を含み、任意でヒトまたは組換え型のアルブミン、インスリンまたはトランスフェリンの1つもしくは複数を含む、態様39~48のいずれかのサプリメント。
50.
少なくとも1つのタンパク質が少なくとも1つのアルブミンを含み、任意でアルブミンがヒト血清アルブミンまたは組換え型ヒトアルブミンである、態様49のサプリメント。
51.
少なくとも1つのタンパク質が少なくとも1つのトランスフェリンを含み、任意でトランスフェリンがヒト由来であるかまたは組換え型ヒトトランスフェリンである、態様49のサプリメント。
52.
少なくとも1つのタンパク質が少なくとも1つのインスリンを含み、任意でインスリンがヒトインスリンまたは組換え型ヒトインスリンであり、無血清培地中のインスリンの濃度が約5mg/L~20mg/Lである、態様49のサプリメント。
53.
無菌である、前記無血清培地、基礎培地、またはサプリメント。
54.
無血清培地を調製するための方法であって、態様29~38または53のいずれかの基礎培地と態様39~53のいずれかのサプリメントとを組み合わせる工程を含む、方法。
55.
無血清培地配合物を調製するための方法であって、以下:
(a)L-グルタミンのジペプチド形態を含む基礎培地であって、無血清基礎培地が液体配合物であり、かつ/または組み合わせる前に凍結されていない、基礎培地;
(b)L-グルタミンを含む第1のサプリメント
を組み合わせる工程を含む、方法。
56.
第1のサプリメントが、組み合わせる工程の前に凍結されており、任意で、方法が、組み合わせる工程の前に、第1のサプリメントを解凍する工程を含む、態様55の方法。
57.
基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、それぞれ両端を含めて、0.5mM~5mM、0.5mM~4mM、0.5mM~3mM、0.5mM~2mM、0.5mM~1mM、1mM~5mM、1mM~4mM、1mM~3mM、1mM~2mM、2mM~5mM、2mM~4mM、2mM~3mM、3mM~5mM、3mM~4mMもしくは4mM~5mM、または約0.5mM~5mM、約0.5mM~4mM、約0.5mM~3mM、約0.5mM~2mM、約0.5mM~1mM、約1mM~5mM、約1mM~4mM、約1mM~3mM、約1mM~2mM、約2mM~5mM、約2mM~4mM、約2mM~3mM、約3mM~5mM、約3mM~4mMもしくは約4mM~5mMである、態様55または56の方法。
58.
基礎培地中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が、少なくとも0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または少なくとも約0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mMもしくは5mM、または約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mMもしくは約5mMである、態様55~57のいずれかの方法。
59.
基礎培地配合物中のL-グルタミンのジペプチド形態の濃度が2mMまたは約2mMである、態様55~58のいずれかの方法。
60.
L-グルタミンのジペプチド形態がL-アラニル-L-グルタミンである、態様55~59のいずれかの方法。
61.
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が20mM~100mMまたは約20mM~100mMである、態様55~60のいずれかの方法。
62.
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が少なくとも40mM、50mM、60mM、70mM、80mMもしくは90mM、または少なくとも約40mM、50mM、60mM、70mM、80mMもしくは90mM、または40mM、50mM、60mM、70mM、80mMもしくは90mM、または約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mMもしくは約90mMである、態様55~61のいずれかの方法。
63.
サプリメント中のL-グルタミンの濃度が80mMまたは約80mMである、態様55~62のいずれかの方法。
64.
第1のサプリメントが少なくとも1つのタンパク質を含み、存在する少なくとも1つのタンパク質が非哺乳動物タンパク質ではない、態様55~63のいずれかの方法。
65.
第1のサプリメント中に存在する少なくとも1つのタンパク質が、ヒトタンパク質を含む、態様55~64のいずれかの方法。
66.
ヒトタンパク質が、ヒト血清アルブミン、ヒトトランスフェリン、および/またはヒト組換え型インスリンを含む、態様65の方法。
67.
無血清培地配合物が、90%~97.5%(v/v)の基礎培地および1.25%~5%(v/v)の第1のサプリメントを含む、態様54~66のいずれかの方法。
68.
(c)1つまたは複数の酸化防止剤、1つまたは複数のアルブミンまたはアルブミン代替品、1つまたは複数の脂質剤、1つまたは複数のインスリンまたはインスリン代替品、1つまたは複数のトランスフェリンまたはトランスフェリン代替品、1つまたは複数の成長因子、1つまたは複数の微量元素、および1つまたは複数のグルココルチコイドからなる群より選択される1つまたは複数の成分を含む第2のサプリメント
を組み合わせる工程
をさらに含む、態様54~67のいずれかの方法。
69.
第2のサプリメントが、脂質、成長因子、N-アセチルシステイン、エタノールアミン、および/またはアルブミンを含む、態様68の方法。
70.
無血清培地配合物が、1.25%~5%(v/v)の第2のサプリメントを含む、態様68または69の方法。
71.
態様54~70のいずれかの方法により調製された、無血清培地配合物。
72.
細胞を含む組成物を、態様1~28、53および71のいずれかの無血清培地配合物中でインキュベーションする工程を含む、細胞を培養する方法。
73.
前記培養が、以下から選択される1つまたは複数のステップ:
刺激剤または刺激条件の存在下での細胞の活性化;
異種タンパク質、任意で組換え受容体をコードする作用物質の導入であって、任意で、該組換え受容体がキメラ抗原受容体である、導入;または
細胞の培養もしくは拡大増殖
に関連して行われる、態様72の方法。
74.
遺伝子操作された細胞を産生するための方法であって、
(a)細胞を含む細胞集団と、異種タンパク質、任意で組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質とを、該組換え受容体をコードする核酸を該集団の細胞に導入する条件下で、接触させる工程;ならびに
(b)該接触させる工程の前、間および/または後に、刺激条件の存在下で該細胞をインキュベーションする工程であって、該刺激条件が、一次シグナルを誘発して、該細胞の刺激、活性化および/または拡大増殖のシグナルを送る、インキュベーションする工程
を含み、
ここで、(a)および(b)の一方または両方が、態様1~28、53および71のいずれかの無血清培地配合物中で行われる、方法。
75.
前記細胞が初代細胞である、態様72~74のいずれかの方法。
76.
前記細胞が免疫細胞である、態様72~75のいずれかの方法。
77.
前記細胞が、T細胞であるかT細胞が濃縮されている、態様72~76のいずれかの方法。
78.
T細胞または濃縮されたT細胞が、CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞である、態様77の方法。
79.
(a)の前に、生物学的サンプルから細胞の集団を分離する工程をさらに含む、態様74~78のいずれかの方法。
80.
前記分離する工程が、CD3の表面発現に基づいて、またはCD4およびCD8の一方もしくは両方の表面発現に基づいて、任意で正または負の選択により、細胞を選択することを含む、態様79の方法。
81.
前記分離する工程が、イムノアフィニティに基づいた選択を行うことを含む、態様79または80の方法。
82.
生物学的サンプルが、全血サンプル、バフィーコートサンプル、末梢血単核細胞(PBMC)サンプル、未分画T細胞サンプル、リンパ球サンプル、白血球サンプル、アフェレーシス産物、もしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれを含む、態様79~81のいずれかの方法。
83.
CD4+ T細胞とCD8+ T細胞を別々に分離して、接触させる工程またはインキュベーションする工程の前に組み合わせる、任意でCD4細胞対CD8細胞比1:2~2:1で組み合わせる、任意でその比が1:1または約1:1である、態様79~82のいずれかの方法。
84.
CD4+ T細胞が分離され、かつ/または細胞の集団がCD4+細胞について濃縮される、態様79~82のいずれかの方法。
85.
CD8+細胞が分離され、かつ/または細胞の集団がCD8+細胞について濃縮される、態様79~83のいずれかの方法。
86.
全T細胞、CD3+細胞、またはCD4+細胞およびCD8+細胞が分離され、かつ/または細胞の集団が全T細胞、CD3+細胞、またはCD4+およびCD8+細胞について濃縮される、態様79~83のいずれかの方法。
87.
濃縮された細胞が、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%より多い、または約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%より多い該細胞を含む、態様79~86のいずれかの方法。
88.
前記細胞が、対象から得られた初代細胞である、態様72~87のいずれかの方法。
89.
刺激条件が、TCR複合体の1つもしくは複数の成分の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または1つもしくは複数の共刺激分子の1つもしくは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化できる刺激試薬とのインキュベーションを含む、態様79~88のいずれかの方法。
90.
刺激試薬が、TCR複合体のメンバーに特異的に結合する一次作用物質およびT細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質を含む、態様89の方法。
91.
一次作用物質がCD3に特異的に結合し、かつ/または共刺激分子がCD28、CD137(4-1-BB)、OX40、もしくはICOSからなる群より選択される、態様89または90の方法。
92.
一次および二次作用物質が抗体を含み、かつ/または固相支持体、任意でビーズの表面上に存在する、態様90または91の方法。
93.
細胞を刺激することが、接触させる工程の前に行われるかまたは開始され、任意で37℃または約37℃で18~24時間行われる、態様79~92のいずれかの方法。
94.
刺激条件が、IL-2、IL-15およびIL-7から選択されるサイトカインを含む、態様79~93のいずれかの方法。
95.
細胞を刺激することが、接触させる工程の後に行われ、任意で、閾値濃度を達成する期間の間行われる、態様79~94のいずれかの方法。
96.
組換え受容体をコードする核酸分子を含む作用物質が、ウイルスベクター、任意でレンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである、態様73~95のいずれかの方法。
97.
異種タンパク質が組換え受容体である、態様73~96のいずれかの方法。
98.
組換え受容体がキメラ抗原受容体である、態様97の方法。
99.
インキュベーションの開始時の細胞数と比較して、少なくとも約5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍またはそれ以上の細胞の拡大増殖をもたらす、態様72~98のいずれかの方法。
100.
細胞の拡大増殖が、インキュベーションを5日間以上、任意で5、6、7、8、または9日間行った後に達成される、態様99の方法。
101.
インキュベーション後に約80%、85%、または90%より高い生存率を有する細胞をもたらす、態様72~100のいずれかの方法。
102.
前記生存率が、インキュベーションを5日間以上、任意で5、6、7、8、または9日間行った後に存在する、態様101の方法。
103.
態様72~102のいずれかの方法によって産生された、細胞組成物。
104.
態様1~28、53および71のいずれかの無血清培地;態様29~38および53のいずれかの基礎培地;または態様39~53のいずれかのサプリメントと、
該組成物を作製または使用するための説明書と
を含む、製造物品。
105.
容器、任意でボトルである、態様104の製造物品。
【実施例】
【0505】
VIII.実施例
以下の実施例は例示の目的においてのみ含まれ、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0506】
実施例1:無血清培地配合物の存在下での、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の産生
キメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたヒトT細胞は、無血清培地配合物の存在下で産生された。抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)を発現するCD4+およびCD8+ T細胞を含む初代T細胞の遺伝子操作された組成物は、次の例示的なプロセスによって産生された;そのプロセスは、サンプルからCD4+ T細胞とCD8+ T細胞を別々に選択した後、後続の処理工程(活性化、形質導入、および細胞を増やすための培養を含む)のために、選択された細胞を規定の比率で組み合わせることを含んでいた。該CARには、BCMAに特異的なscFv抗原結合ドメイン、CD28膜貫通領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、およびCD3ゼータ由来の細胞内シグナル伝達ドメインが含まれていた。
【0507】
この方法では、活性化、形質導入、および細胞の拡大増殖のための培養を、以下から調製された無血清培地中で実施した:(1)約2mMのL-アラニル-L-グルタミンを含有する液体基礎培地(GlutaMax);(2)使用前に凍結保存された、80mMのグルタミンと血清代替タンパク質とを含有する第1のサプリメント;および(3)溶液として提供される第2のサプリメント、例えばOpTmizer(商標)T-Cell Expansion Supplement。基礎培地は、栄養混合物と緩衝液を含み、フェノールレッドを含まなかった。凍結サプリメントを解凍した後、基礎培地約95.0%+/-0.2%(v/v)、第1のサプリメント約2.5%+/-0.2%(v/v)、および第2のサプリメント約2.5%+/-0.2%(v/v)の諸成分を組み合わせ、それによって、例示的な無血清細胞増殖培地(「SFM-A」と命名)を調製した。凍結サプリメント中にL-グルタミンが存在するため、基礎培地への添加前にその安定性が確保され、L-グルタミンの不安定性が原因で起こり得る無血清培地配合物でのグルタミン濃度の変動および/またはアンモニア濃度の増加が最小限に抑えられた。L-グルタミンは、L-アラニル-L-グルタミンの存在のため、第1のサプリメント中で可溶性のままであった。この培地にはさらに、IL-2、IL-7および/またはIL-15などのサイトカインを補充した。
【0508】
CD4+細胞とCD8+細胞の別個の組成物は、例えば多発性骨髄腫(MM)の患者からの、ヒト白血球アフェレーシスサンプルから分離されたPBMCより選択して、選択された細胞組成物を凍結させた。続いて、選択されたCD4+およびCD8+ T細胞組成物を解凍し、生存CD4+ T細胞と生存CD8+ T細胞を1:1の比で混合し、その後、刺激、形質導入および拡大増殖の工程を実施した。
【0509】
混合した細胞組成物からの約300×106のT細胞(150×106のCD4+ T細胞と150×106のCD8+ T細胞)を、約3×106細胞/mLの密度で、抗CD3抗体と抗CD28抗体が結合した常磁性ポリスチレン被覆ビーズの存在下、ビーズ対細胞1:1の比で、例示的な無血清培地中で刺激した(例えば、実施例3を参照)。この培地はまた、組換えIL-2、IL-7、およびIL-15を含んでいた。18~30時間のインキュベーションによって刺激を行った。
【0510】
インキュベーション後、刺激した細胞組成物からの約100×106の生存細胞を洗浄し、組換えIL-2、IL-7、およびIL-15を含有する例示的な無血清培地に再懸濁した。形質導入用のアジュバントは何も加えなかった。この細胞に、抗BCMA CARをコードするレンチウイルスベクターを、60分間のスピノキュレーションとその後の約37℃での約18~30時間のインキュベーションにより形質導入した。スピノキュレーション後の細胞の密度は、約1×106細胞/mLであった。該CARは、BCMAに特異的なscFv抗原結合ドメイン、CD28膜貫通領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、およびCD3ゼータ由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含んでいた。
【0511】
次に、形質導入された細胞を、バイオリアクター(例えば、揺動運動バイオリアクター)に移すことにより拡大増殖させるために、インキュベーションおよび形質導入工程の間に使用したIL-2、IL-7およびIL-15の濃度の2倍の濃度を含む、約500mLの例示的な無血清培地中で培養した。この例示的なプロセスにおいて、例示的な培地はポロキサマーを含まない。約0.6×106細胞/mL以上の閾値細胞密度に達した後、新鮮な培地のショットを定期的に加えて培地を段階的に追加し、例えば約2~約15分で1000mLの量にし、約0.6×106細胞/mL以上の閾値生細胞密度が達成されるまで、細胞を一定の揺動条件(非灌流)下で培養した。生細胞密度が0.8×106細胞/mLより高い場合は、充填/灌流の組み合わせ工程を開始し、最初に培地を1000mLの目標量まで上記のように段階的に追加し、その後、以下で説明するように灌流を開始した。次に、連続混合を伴う半連続灌流により培地を交換した。細胞密度が増加する拡大増殖期の間に、灌流速度および/または揺動速度を少なくとも1回増加させた。細胞密度が増加する拡大増殖期の間に、灌流速度を少なくとも1回増加させた。培地を培養物に段階的に加え、1日あたりの総量を生細胞密度により測定して(ある密度に達すると、より高い速度)、例えば、1日あたり約750mLまたは1500mLの総新鮮培地が培養物に追加される速度まで(より高い細胞密度に達すると、より高い速度)、新鮮培地のショットを1日を通して定期的に、例えば約0.5時間ごと~約1.5または2時間ごとに、追加した。有核細胞の総数(TNC)が少なくとも約3500×106に達した後、およびTNC数が少なくとも約5500×106の総有核細胞に達した時点で、細胞を1日1度回収した。回収に続いて、抗CD3および抗CD28抗体結合ビーズを、磁場への曝露により細胞組成物から除去した。その後、細胞を製剤化して、凍結させた。
【0512】
遺伝子操作されたT細胞の79の個々の組成物が、上記の例示的なプロセスから産生された。健康なドナーおよび多発性骨髄腫患者からのものを含めて、79回の製造ランのそれぞれから、生細胞の総数によって評価されるように、培養中のロバストな拡大増殖が観察された。全てのランで、培養開始から6日以内に、細胞密度が5.5×109細胞/mLの目標閾値を超える細胞組成物を産生することができた。培養開始から6日以内に、全ての製造ランで生細胞数の27倍超の増加が観察され、製造ランの85%以上は5日目までにそのような拡大増殖を達成した。全体として、これらのデータは、健康なドナーおよび患者ドナー由来の細胞の全体にわたって、無血清培地配合物のロバスト性能を支持している。
【0513】
実施例2:無血清培地を含むプロセスにより産生されたCAR+ T細胞組成物の評価
キメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたヒトT細胞は、実質的に実施例1に記載される例示的なSFM-Aの存在下で産生された。この研究では、CARを発現するT細胞を産生するために、CD4+およびCD8+ T細胞を、イムノアフィニティに基づいた濃縮によってドナーの白血球アフェレーシスサンプルから個別に分離し、約1:1で混合し、抗CD3/抗CD28磁気ビーズの存在下で活性化し、実施例1に記載の抗BCMA CARをコードするウイルスベクターを形質導入し、約37℃でのインキュベーションにより培養して該細胞を増殖させた。活性化、形質導入、および細胞の拡大増殖のための培養は、5%(v/v)ヒト血清含有培地または実施例1に記載のSFM-A培地のいずれかで、それぞれサイトカインの存在下で実施した。産生された遺伝子操作T細胞組成物の例示的な特徴を、SFM-Aまたは血清含有培地の存在下で同じドナーから生成された一致した細胞組成物間で比較した。
【0514】
A. 生存率
活性化の後、活性化と形質導入の後、および培養開始(日数=0)後から6日目までの各日のT細胞の生存率を評価した。培養開始後2日目までのこのプロセスの早い段階では、血清含有培地と比較して、SFM-Aの存在下で培養した細胞組成物には、より低い細胞数と生存率が観察された。しかしながら、増殖の3日目までに、SFM-Aおよび血清含有配合物の存在下で培養した細胞間で生存率は同じくらいになった。この結果は、無血清培地の存在下でのT細胞の増殖の遅れと一致しており、それは、例えば、細胞がこのプロセスの初期段階の間に無血清条件に順応するためである。初期のより低い細胞数にもかかわらず、SFM-Aの存在下での細胞の培養は、5日目と6日目までにやや多い数の生存細胞をもたらし、血清含有培地に匹敵するパーセントの生存細胞をもたらした。
【0515】
B. CAR-T細胞の活性
増殖後のT細胞組成物中のCAR+ T細胞の機能活性は、ゴルジ体阻害剤の存在下でのホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシンによる刺激後にサイトカイン蓄積をモニタリングすることによって評価した。サイトカインの多機能蓄積は、表面CD4、CD8または抗BCMA CARについて共染色された細胞でのIL-2、IFN-γおよびTNF-αの細胞内サイトカイン染色(ICS)によって評価した。血清含有培地で培養した細胞と比較して、SFM-Aの存在下で培養した細胞では、機能的なCAR+ CD4+ T細胞またはCAR+ CD8+ T細胞の同等の割合(IL-2、IFN-γおよびTNF-αの多機能蓄積により評価される)が観察された。
【0516】
作製された抗BCMA CAR+ T細胞組成物と抗原発現細胞との共培養後に、Luminex Multiplexアッセイを用いて、サイトカインIL-2、IFN-γ、TNF-α、さらにGM-CSFの産生を上清で測定した。炎症性サイトカイン(IL-2、TNF-α、GM-CSFおよびIFN-γ)の分泌は、血清含有培地と比べると、SFM-Aの存在下で作製された培養物間で同等であった。
【0517】
C. アポトーシスマーカー
抗BCMA CAR+ T細胞組成物(血清含有培地または例示的なSFM-Aのいずれかを用いたプロセスで産生し、続いて凍結保存し、分析前に解凍したもの)を活性カスパーゼ3の表面発現について評価した。SFM-Aの存在下で培養した、遺伝子操作されたCD3+ CAR+細胞の5%未満は、活性カスパーゼ-3が陽性であった。活性カスパーゼ-3が陽性であったCD3+CAR+細胞の頻度は、血清含有培地と比べると、SFM-Aの存在下で培養した場合に、例示的ドナーから産生された一致したT細胞組成物においてより低かった。
【0518】
D. 形質導入頻度
作製されたT細胞組成物の形質導入頻度は、フローサイトメトリーにより決定された。抗BCMA CARの表面発現を、CAR特異的試薬を用いて測定した。ドナーが一致した例示的なT細胞組成物では、SFM-Aを含むプロセスによって産生された細胞は、血清含有培地を含むプロセスによって産生された細胞と比較して、形質導入効率の増加を示した。例示的な実験では、形質導入効率は約53%から約68%に増加した。
【0519】
実施例3:無血清培地プロセスにより産生されたCAR発現T細胞の抗腫瘍効果
抗BCMA CAR+ T細胞組成物は、実質的に実施例1に記載される例示的なSFM-Aを含むプロセスによって産生された。比較として、一致したドナーからのT細胞組成物を、血清含有培地を使用することを除いて、同様のプロセスによって産生した。生成されたCAR+ T組成物の抗腫瘍効果は、腫瘍担持動物モデル、例えばOPM2ヒト多発性骨髄腫播種異種移植マウスモデルに細胞を養子移入した後で腫瘍をモニタリングすることによって評価した。
【0520】
腫瘍担持マウスを作製するために、6~8週齢の雌NOD.Cg.PrkdcscidIL2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウスに、ホタルルシフェラーゼをトランスフェクトした2×106のOPM2(多発性骨髄腫)細胞(OPM2-ffluc)を注入した。腫瘍サイズを13日目に生物発光イメージングを使用してモニタリングし、14日目に、マウスに、SFM-Aを含むプロセスによって産生された、または血清含有培地を含むプロセスによって産生された抗BCMA CAR+ T細胞組成物の単回静脈内(i.v.)注入を行った。評価対象の抗BCMA CAR+ T細胞組成物は、同じヒトドナーから作製されたものであった。1×106、5×105、または2.5×105細胞の用量でCAR発現T細胞を投与した。CARを発現しない細胞(モック)を陰性対照として使用した。細胞の投与後、腫瘍の成長とマウスの生存を、100日間にわたって監視した。
【0521】
養子移入されたCAR発現細胞の抗腫瘍活性は、CAR T細胞注入後100日目までの様々な日に、生物発光イメージングによってモニタリングした。生物発光イメージングのために、PBSに再懸濁したルシフェリン基質(CaliperLife Sciences社, Hopkinton, MA)(15μg/g体重)の腹腔内(i.p.)注射をマウスに施した。本質的にWO2015/095895に記載されるように、マウスを麻酔し、画像化した。各時点で全フラックス(光子/秒)を測定した。陰性対照で処置されたマウスについては、腫瘍量が大きいため、CAR-T移入後22~26日で動物を屠殺した。SFM-Aまたは血清含有培地のいずれかを用いて産生されたCAR発現T細胞は、腫瘍の成長を遅らせて、生存を長引かせた;これは、全ての評価された用量でおおむね同等であった。
【0522】
実施例4:キメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたCD4+およびCD8+ T細胞を作製するためのデュアルストリーム(Dual Stream)プロセスにおける無血清培地配合物の評価
キメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたヒトT細胞は、CD4+ T細胞とCD8+ T細胞の別個の組成物を別々に処理工程にかけるプロセスで産生された。CD4+細胞とCD8+細胞の別個の組成物を、ヒト白血球アフェレーシスサンプルから分離したPBMCより選択して、凍結した。続いて、選択されたCD4+およびCD8+組成物を解凍し、抗CD3抗体および抗CD28抗体が結合した常磁性ポリスチレン被覆ビーズの存在下で別々に刺激し、CARをコードするレンチウイルスベクターで個別に形質導入し、約37℃で培養して該細胞を増殖させた。活性化、形質導入および培養の別々の各工程は、実施例1に記載のSFM-Aの存在下で、または血清含有培地中で実施した。SFM-Aまたは血清含有培地には、さらにサイトカイン類を追加した。作製されたCD4+およびCD8+ CAR-T細胞を1:1で混合してから、インビトロ機能アッセイで該細胞を評価した。産生された遺伝子操作T細胞組成物の例示的な特徴を比較した。
【0523】
A. アポトーシスマーカー
一般的に上述したように産生され凍結保存されたCAR発現T細胞組成物を、解凍し、次いで最大48時間培養した。カスパーゼ3/7の速度論的定量化を行うために、該細胞を、蛍光部分に融合させた、カスパーゼ3/7の認識モチーフを含む基質とインキュベーションして、アポトーシスの経時的な視覚化と定量化を可能にした。
【0524】
全ての条件下で、SFM-Aの存在下で作製されたCAR-T細胞組成物は、速度論的評価の過程で、血清含有培地を用いて作製されたT細胞組成物と比較して、カスパーゼ3/7の染色が低かった。これらの結果は、例示的なSFM-Aを用いて作製されたT細胞組成物がより健全で、向上した生存能をもつ可能性がある、という観察と一致する。
【0525】
B. サイトカイン産生
作製されたCAR+ T細胞組成物の抗原依存活性を評価するために、作製されたT細胞組成物を、CARが認識する抗原を形質導入された標的細胞または抗原を発現しない親(非形質導入)細胞と24時間共培養した。Luminex Multiplexアッセイを用いて、サイトカインIL-2、IFN-γ、およびTNF-αの分泌を上清において測定した。抗原特異的刺激の後に上清で測定されたサイトカインのレベルは、血清含有培地中と比較して、SFM-A中で産生されたCAR発現T細胞で同等であった。CARを発現しない同じドナーからのT細胞組成物では、サイトカイン産生は観察されなかった。
【0526】
C. 標的細胞の殺傷
SFM-Aまたは血清含有培地で産生されたCAR発現T細胞組成物を、標的細胞を殺傷する機能について評価した。抗原を発現する標的細胞を、CAR-T細胞組成物と、エフェクター対標的細胞(E:T)比3:1または1:1で共培養した。この共培養物に蛍光カスパーゼ3/7試薬を添加することにより細胞溶解を評価し、自動画像解析により標的細胞死を定量化した。蛍光シグナルの曲線下面積(AUC)を測定した。式:1/AUCを用いて殺傷指数を決定した。3:1と1:1の両方のE:T比で、血清含有培地により産生されたCAR-T細胞と比較して、SFM-Aにより産生されたCAR-T細胞では標的細胞殺傷の改善が観察された。
【0527】
D. 拡大増殖
SFM-Aまたは血清含有培地中で産生されたCAR発現T細胞組成物を、抗原に応答するT細胞の拡大増殖について評価した。上記のように産生され、凍結保存されたCAR発現T細胞組成物を解凍した後、抗原を発現する標的細胞と共培養した。共培養の4日目に、細胞数をカウントすることによりT細胞の拡大増殖を評価した。血清含有培地で産生されたCAR-T細胞と比較して、SFM-Aで産生されたCAR-T細胞では改善された拡大増殖が観察された。
【0528】
実施例5:無血清培地を用いた例示的な製造プロセスで作製されたT細胞組成物の評価
本質的に実施例1に記載される例示的なプロセスにおいて、10名の健康なドナーと40名の多発性骨髄腫患者とを含む50名のヒト対象から別々に収集されたアフェレーシス(各対象から1つのアフェレーシス)から、抗BCMA CARを発現する自己T細胞を含む50のCAR+ T細胞組成物を作製した。CD4+およびCD8+ T細胞をアフェレーシスサンプルから選択し、別々に凍結保存した。次に、該細胞を解凍し、CD4+ T細胞とCD8+ T細胞を、生存CD4+細胞対CD8+細胞の比が1:1になるように組み合わせた。組み合わせたCD4+およびCD8+ T細胞を、本質的に実施例1に記載されるように、活性化し、CARをコードするベクターを形質導入し、拡大増殖させて、凍結保存した。
【0529】
例示的な代替プロセスでは、治療用T細胞組成物は、55名の各ヒトがん対象からの白血球アフェレーシスサンプルからのT細胞のイムノアフィニティに基づいた選択を含むプロセスによって作製された。バルクT細胞を活性化、CARをコードするウイルスベクターによる形質導入、拡大増殖および凍結保存に供した。
【0530】
凍結組成物中の細胞を解凍し、生存率、活性カスパーゼ3(CAS)などのアポトーシスマーカーの発現、CD3、CD4、CD8、CD27、CD28、CCR7およびCD45RA、ならびにCARの表面発現についてフローサイトメトリーで評価した。該組成物中のCD3+細胞の割合、CD3+ CAR+細胞中のCAR+アポトーシスマーカー陰性細胞の割合、および該組成物中のセントラルメモリーCD4+ CAR+細胞とセントラルメモリーCD8+ CAR+細胞の割合を決定した。前記製造プロセスで作製された細胞組成物の細胞表現型を評価し、いくつかの局面では、代替プロセスで作製された細胞組成物の細胞表現型と比較した。
【0531】
この実施例の製造プロセスは、所定の特徴を満たす遺伝子操作された細胞組成物をもたらした;そのような特徴には、患者に細胞組成物を投与したときの(それが実施されたヒト生物学的サンプルを100%として)CARを発現する細胞の閾値数が含まれる。
図1Aおよび1Bは、40名の多発性骨髄腫対象由来のサンプルのグループから個別に作製された組成物についての、それぞれ、CD4+ CAR+細胞(
図1A)のうちの、およびCD8+ CAR+細胞(
図1B)のうちの、示された表現型(CD45RAおよびCCR7表面発現に基づく)の細胞のパーセントの中央値(水平線)、四分位範囲(箱)、および1.5×四分位範囲(ひげ)を示す。
図1Cおよび1Dは、40名の多発性骨髄腫対象由来のサンプルのグループから個別に作製された組成物についての、それぞれ、該組成物中のCD4+ CAR+細胞(
図1C)のうちの、およびCD8+ CAR+細胞(
図1D)のうちの、示された表現型(CD27およびCD28表面発現に基づく)の細胞のパーセントの中央値(水平線)、四分位範囲(箱)、および1.5×四分位範囲(ひげ)を示す。広範な多発性骨髄腫患者から得られた個々の白血球アフェレーシスサンプルの場合、そのようなサンプルから遺伝子操作された細胞組成物を作製するためのこの例示的なプロセスを使用すると、活性化の開始から回収までの該プロセスの部分の持続期間の範囲は7~10日であり、これらのサンプル間の平均持続期間は約7.5日であることが観察された。さらに、異なるサンプル間の該プロセスの過程での平均の累積集団倍加数は約7.5であることが判明した。
【0532】
この研究では、例示的なプロセスで産生された細胞組成物中の遺伝子操作されたT細胞集団は、15%未満のアポトーシスマーカー発現細胞を含み、かつ出発サンプルと比較して、および例示的な代替プロセスを用いて産生された細胞組成物と比較して、セントラルメモリー表現型が濃縮されていた。
【0533】
本発明は、開示される特定の態様に範囲が限定されるよう意図されておらず、特定の態様は、例えば本発明の様々な局面を説明するために提供される。記載される組成物および方法の様々な改変は、本明細書中の説明および教示から明らかとなるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施することができ、本開示の範囲内に入るよう意図される。
【0534】
【配列表】