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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】流体処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20240209BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240209BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240209BHJP
   B01J 35/39 20240101ALI20240209BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240209BHJP
   B01J 38/00 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/01 B
A61L9/20
B01J35/02 J
B01J37/08
B01J38/00 301R
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020540705
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 KR2019001063
(87)【国際公開番号】W WO2019147058
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0009795
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ ハク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】シン,サン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウン ギ
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536884(JP,A)
【文献】特表2017-537294(JP,A)
【文献】登録実用新案第3207938(JP,U)
【文献】特開2003-203746(JP,A)
【文献】特開2015-070959(JP,A)
【文献】国際公開第2011/135686(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0098685(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0052090(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0086252(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0207311(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0034470(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0008503(KR,A)
【文献】国際公開第2013/047710(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0022893(KR,A)
【文献】特開2008-114131(JP,A)
【文献】中国実用新案第205664497(CN,U)
【文献】特開2015-062640(JP,A)
【文献】特開2000-325724(JP,A)
【文献】特開2006-280428(JP,A)
【文献】特開2008-264713(JP,A)
【文献】特表2006-501020(JP,A)
【文献】特開平08-103631(JP,A)
【文献】特開2000-325445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
B01D 53/86-53/90
B01D 53/94-53/96
B01J 21/00-38/74
F24F 8/167
F24F 8/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を脱臭及び殺菌する光触媒フィルター;
前記光触媒フィルターを固定するフレーム;及び
前記フレームと結合される光源部;を含み、
前記光源部は、
光源支持部材;及び
前記光源支持部材上に提供され、前記光触媒フィルター上に光を出射する複数の発光ダイオード;を含み、
前記フレームと前記光源支持部材は、前記光触媒フィルターと前記各発光ダイオードとを離隔させる形態で結合され、
前記光触媒フィルターと前記発光ダイオードとの間の距離L及び前記光触媒フィルターの幅Dに対して、D/Lは3.46~3.50で、
前記各発光ダイオードのそれぞれによる互いに異なる各光照射領域は、前記光触媒フィルターの少なくとも一部の領域上で重畳し、
前記フレームは、前記光源支持部材に結合された第フレームと、当該第フレームに結合された第フレームとを有し、
前記第フレームは、当該第フレームの開口の内側方向に突出した形状を有する透明な第エッジを有し、
前記第フレームは、当該第フレームの開口の内側方向に突出した形状を有する第エッジを有し、
前記光触媒フィルターは、前記第1エッジと前記第2エッジとの間に固定される、流体処理装置。
【請求項2】
前記光触媒フィルターは複数提供される、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項3】
複数の前記光触媒フィルターは同一平面上に提供される、請求項2に記載の流体処理装置。
【請求項4】
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、それぞれ前記複数の光触媒フィルター間に提供されるバーを含む、請求項2に記載の流体処理装置。
【請求項5】
複数の前記光触媒フィルター間の距離は前記バーの幅と同一である、請求項4に記載の流体処理装置。
【請求項6】
前記発光ダイオードの指向角の大きさは120度以下である、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項7】
前記光源支持部材は、複数提供され、
前記光源部は、前記複数の光源支持部材と結合される補助部材をさらに含む、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項8】
前記補助部材は、金属を含み、前記発光ダイオード及び前記光源支持部材から発生した熱を除去する、請求項7に記載の流体処理装置。
【請求項9】
前記光源部は、一つの前記光源支持部材上に提供される複数の前記発光ダイオードを含む、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項10】
流体を脱臭及び殺菌する光触媒フィルター;
前記光触媒フィルターを固定するフレーム;及び
前記フレームと結合される光源部;を含み、
前記光源部は、
光源支持部材;及び
前記光源支持部材上に提供され、前記光触媒フィルター上に光を出射する複数の発光ダイオード;を含み、
前記フレームと前記光源支持部材は、前記光触媒フィルターと前記各発光ダイオードとを離隔させる形態で結合され、
前記光触媒フィルターと前記発光ダイオードとの間の距離L及び前記光触媒フィルターの幅Dに対して、D/Lは3.46~3.50で、
前記各発光ダイオードのそれぞれによる互いに異なる各光照射領域は、前記光触媒フィルターの少なくとも一部の領域上で重畳し、
前記フレームは、前記フレームと前記光源支持部材とを連結する結合部材をさらに含み、
前記結合部材を用いて前記フレームと前記光源支持部材との間の距離を調節する、流体処理装置。
【請求項11】
前記発光ダイオードは複数提供され、
前記複数の発光ダイオードは、前記光触媒フィルターを挟んで離隔して提供される、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項12】
前記光触媒フィルターは、
表面に光触媒物質がコーティングされて焼結された複数のビーズ;及び
前記各ビーズ間に配置された細孔;を含む、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項13】
前記ビーズは、アルミナ(Al23)、酸化ケイ素(SiO3)、ジルコニア(ZrO3)、窒化ケイ素(Si34)、炭化ケイ素(SiC)、及びこれらの組み合わせから選ばれた少なくとも一つを含む、請求項12に記載の流体処理装置。
【請求項14】
前記光触媒物質は、二酸化チタン(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、タングステン酸化物(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化スズ(SnO2)から選ばれた少なくとも一つを含む、請求項12に記載の流体処理装置。
【請求項15】
前記発光ダイオードは、紫外線波長帯域を含む光を出射する、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項16】
前記光触媒フィルターの方向に流体を送る送風装置をさらに含む、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項17】
前記光触媒フィルター及び前記光源部は、それぞれ複数提供され、
前記光触媒フィルター及び前記光源部は、交互に直列に配置された、請求項1に記載の流体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体処理装置に関し、より詳細には、空調機に使用される流体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機は、室内の空気を循環させるための装置である。空調機は、室内の空気を加熱又は冷却することによって冷暖房機能などを行うことができる。空調機は、冷暖房機能以外にも、室内空気の浄化に使用可能である。空調機は、粒子状物質、壁紙又は床などから排出される化学物質、タバコの煙などの室内空気汚染物質の除去に使用可能である。
【0003】
但し、既存の空調機の場合、空気汚染物質を、フィルターを用いてろ過するものに過ぎなかった。よって、既存の空調機を用いると、空気汚染物質は、完全に除去されず、フィルターに継続して残っていた。このような形態の空気浄化には明らかに限界がある。一つの例として、空調機は空気汚染物質を除去するものではないので、寿命が尽きたフィルターを交換しないと、空調機が本来の機能を行うことができない。また、空調機に残っている空気汚染物質がフィルター交換などの作業中に再び空気中に広がっていくおそれがある。これにより、空気汚染物質を根本的に除去できる空調機に対する必要性が大きい。
【0004】
併せて、高層ビル、室内大型ショッピングモールなどの増加と共に、空調機の大型化に対する必要性も台頭している。よって、大型建築物への使用に適した大型化された空調機に対する必要性も大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、空気汚染物質を根本的に除去できる流体処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、大型化された空調機に適用できる流体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によると、流体を脱臭及び殺菌する光触媒フィルター;前記光触媒フィルターを固定するフレーム;及び前記フレームと結合される光源部;を含み、前記光源部は、光源支持部材;及び前記光源支持部材上に提供され、前記光触媒フィルター上に光を出射する発光ダイオード;を含み、前記フレームと前記光源支持部材が前記光触媒フィルターと前記発光ダイオードとを離隔させる形態で結合された流体処理装置が提供される。
【0008】
本発明の一実施形態によると、前記光触媒フィルターが複数提供される流体処理装置が提供される。
【0009】
本発明の一実施形態によると、複数の前記光触媒フィルターが同一平面上に提供される流体処理装置が提供される。
【0010】
本発明の一実施形態によると、前記フレームが前記複数の光触媒フィルター間に提供されるバーを含む流体処理装置が提供される。
【0011】
本発明の一実施形態によると、複数の前記光触媒フィルター間の距離が前記バーの幅と同一である流体処理装置が提供される。
【0012】
本発明の一実施形態によると、前記発光ダイオードの指向角の大きさが120度以下である流体処理装置が提供される。
【0013】
本発明の一実施形態によると、前記光触媒フィルターと前記発光ダイオードとの間の距離L及び前記光触媒フィルターの直径Dに対して、D/Lが3.46~3.50である流体処理装置が提供される。
【0014】
本発明の一実施形態によると、前記フレームが第1フレーム及び第2フレームを含み、前記第1フレームと前記第2フレームとの間に前記光触媒フィルターが提供される流体処理装置が提供される。
【0015】
本発明の一実施形態によると、前記光触媒フィルターが複数提供され、前記第1フレームに提供された第1バー、及び前記第2フレームに提供された第2バーを含み、前記第1バー及び前記第2バーのそれぞれが前記複数の光触媒フィルター間に提供される流体処理装置が提供される。
【0016】
本発明の一実施形態によると、前記光源支持部材が複数提供され、前記光源部が、前記複数の光源支持部材と結合される補助部材をさらに含む流体処理装置が提供される。
【0017】
本発明の一実施形態によると、前記補助部材が金属を含み、前記発光ダイオード及び前記光源支持部材から発生した熱を除去する流体処理装置が提供される。
【0018】
本発明の一実施形態によると、前記光源部が、一つの前記光源支持部材上に提供される複数の前記発光ダイオードを含む流体処理装置が提供される。
【0019】
本発明の一実施形態によると、前記フレームが、前記フレームと前記光源支持部材とを連結する結合部材をさらに含み、前記結合部材を用いて前記フレームと前記光源支持部材との間の距離を調節する流体処理装置が提供される。
【0020】
本発明の一実施形態によると、前記発光ダイオードが複数提供され、前記複数の発光ダイオードが前記光触媒フィルターを挟んで離隔して提供される流体処理装置が提供される。
【0021】
本発明の一実施形態によると、前記光触媒フィルターが、表面に光触媒物質がコーティングされて焼結された複数のビーズ;及び前記各ビーズ間に配置された細孔(pore);を含む流体処理装置が提供される。
【0022】
本発明の一実施形態によると、前記ビーズが、アルミナ(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、窒化ケイ素(Si34)、炭化ケイ素(SiC)、及びこれらの組み合わせから選ばれた少なくとも一つを含む流体処理装置が提供される。
【0023】
本発明の一実施形態によると、前記光触媒物質が、二酸化チタン(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、タングステン酸化物(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化スズ(SnO2)から選ばれた少なくとも一つを含む流体処理装置が提供される。
【0024】
本発明の一実施形態によると、前記発光ダイオードが、紫外線波長帯域を含む光を出射する流体処理装置が提供される。
【0025】
本発明の一実施形態によると、前記光触媒フィルターの方向に流体を送る送風装置をさらに含む流体処理装置が提供される。
【0026】
本発明の一実施形態によると、前記光触媒フィルター及び前記光源部がそれぞれ複数提供され、交互に直列に配置された流体処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態によると、空気汚染物質を根本的に除去できる流体処理装置が提供される。
【0028】
併せて、本発明の一実施形態によると、殺菌が可能な流体処理装置が提供され、流体処理装置の稼動状態で流体処理装置の内部が殺菌及び浄化され得る。
【0029】
また、本発明の一実施形態によると、流体処理装置の浄化効率を向上させることができる。
【0030】
本発明の一実施形態によると、流体処理装置を大型化された空調機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る流体処理装置を示した斜視図である。
図2図1による流体処理装置の分解斜視図である。
図3図1による流体処理装置のI-I’線断面図である。
図4a】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の分解斜視図である。
図4b図4aによる流体処理装置の断面図である。
図5a】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の斜視図である。
図5b図5aによる流体処理装置の分解斜視図である。
図5c図5aによる流体処理装置のII-II’線断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の分解斜視図である。
図7a】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の断面図である。
図7b】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の断面図である。
図8a】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の斜視図である。
図8b図8aによる流体処理装置の分解斜視図である。
図8c図8aによる流体処理装置のIII-III’線断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る光触媒フィルターの斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係る流体処理装置の斜視図である。
図13】本発明の一実施形態に係る流体処理装置に対して発光ダイオードと光触媒フィルターとの間の距離による汚染物質除去性能を示したグラフである。
図14】本発明の一実施形態に係る流体処理装置に対して発光ダイオードと光触媒フィルターとの間の距離による汚染物質除去性能を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有し得るので、特定の実施形態を図面に例示し、これを本文で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物及び代替物を含むものと理解しなければならない。
【0033】
各図面を説明しながら、類似する参照符号を類似する構成要素に対して使用した。添付の図面において、各構造物の寸法は、本発明の明確性のために実際よりも拡大して示したものである。「第1」及び「第2」などの用語は、多様な構成要素の説明に使用可能であるが、前記各構成要素は、前記各用語によって限定してはならない。前記各用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない限り、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、これと同様に、第2構成要素も第1構成要素と命名することができる。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。
【0034】
本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在を指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせなどの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」あるとした場合、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。また、本明細書において、いずれかの層、膜、領域、板などの部分が他の部分上(on)に形成されたとした場合、前記形成された方向は、上部方向のみに限定されず、側面や下部方向に形成された場合を含む。その一方で、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとした場合、これは、他の部分の「直下に」ある場合のみならず、その中間に更に他の部分がある場合も含む。
【0035】
以下、添付の各図面を参照して本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る流体処理装置を示した斜視図である。
【0037】
本発明の一実施形態に係る流体処理装置には、浄化効率を極大化する形態で光源及び光触媒フィルターが配置される。また、本発明の一実施形態に係る流体処理装置を用いると、汚染物質を根本的に除去することができる。
【0038】
図1によると、流体処理装置は、光触媒フィルター100、フレーム200、及び光源部300を含む。
【0039】
光触媒フィルター100は、光触媒フィルター100を通過する流体、例えば、空気を浄化する。これにより、空気中に含まれた汚染物質は光触媒フィルター100で除去され得る。具体的に、光触媒フィルター100は、空気を物理的及び化学的に浄化することができる。
【0040】
まず、物理的浄化に対して説明すると、空気中の汚染物質は光触媒フィルター100で吸着・除去され得る。このために、光触媒フィルター100は複数の気孔を含んでもよい。
【0041】
次に、化学的浄化に対して説明すると、光触媒フィルター100は汚染物質を分解及び殺菌することができる。光触媒フィルター100の表面には光触媒がコーティングされるが、光触媒は、光が照射されたときに活性化され得る。光触媒の活性化と共に、光触媒反応が発生し、前記反応によって汚染物質が分解及び殺菌され得る。
【0042】
光触媒反応は、空気中の水及び酸素からスーパーオキシドアニオン(O2-)及び/又はヒドロキシルラジカル(OH・)が生成される反応であってもよい。生成されたスーパーオキシドアニオン(O2-)及び/又はヒドロキシルラジカル(OH・)は、有機汚染物質、無機汚染物質、ウイルス及びバクテリアを分解及び消毒することができる。
【0043】
具体的に、有機汚染物質の場合は、スーパーオキシドアニオン(O2-)及び/又はヒドロキシルラジカル(OH・)との反応によって水と二酸化炭素とに分解され得る。併せて、無機汚染物質の場合は、窒素酸化物などの酸化物の形態に分解され得る。細菌又はバクテリアの場合は、スーパーオキシドアニオン(O2-)及び/又はヒドロキシルラジカル(OH・)との反応によって不活性化され得る。具体的に、スーパーオキシドアニオン(O2-)及び/又はヒドロキシルラジカル(OH・)は、細菌又はバクテリアのDNA及び細胞膜との反応によって細菌又はバクテリアを不活性化させ得る。
【0044】
上述した化学的浄化を通じて、汚染物質を根本的に除去ことができる。従来のフィルターは、物理的ろ過のみを提供するので、汚染物質を根本的に除去することができなかった。特に、バクテリアは、フィルターに吸着しているときに非活性状態にあるので、時間が経過しても死滅しない。フィルターに吸着したバクテリアは、いつでも生命体と会って再び活性化され得るので、物理的にバクテリアを吸着しておくことは一時凌ぎに過ぎなかった。しかし、本発明の一実施形態に係る流体処理装置は、バクテリアを不活性化させることによってバクテリアを根本的に除去することができる。
【0045】
光触媒フィルター100はフレーム200によって固定される。これにより、フレーム200は、光触媒フィルター100が不要に動くことを防止することができる。具体的に、フレーム200は、光触媒フィルター100が光触媒フィルター100を通過する流体などによって不要に動いて破損することを防止する。併せて、フレーム200は、外部衝撃から光触媒フィルター100を保護することができる。
【0046】
フレーム200は、第1フレーム210及び第2フレーム220を含んでもよい。
【0047】
第1フレーム210と第2フレーム220との間には光触媒フィルター100が提供されてもよい。第1フレーム210と第2フレーム220とが互いに締結されることによって、その間に提供された光触媒フィルター100は固定及び保護され得る。
【0048】
したがって、第1フレーム210と第2フレーム220は互いに対応する形状を有してもよい。第1フレーム210及び第2フレーム220の形状には制限がない。但し、光触媒フィルター100を効果的に固定するために、第1フレーム210及び第2フレーム220は光触媒フィルター100に対応する形状を有してもよい。例えば、図示したように、光触媒フィルター100が直方体である場合、第1フレーム210及び第2フレーム220も直方体の辺に対応して提供されてもよい。但し、図示した形状と異なる形状も可能である。
【0049】
第1フレーム210及び第2フレーム220は前面に開口を含む。第1フレーム210及び第2フレーム220に含まれた開口によって光触媒フィルター100が露出してもよい。併せて、これにより、流体は、第1フレーム210及び第2フレーム220の開口、及びその内部に提供された光触媒フィルター100を通過して抜け出ることができる。
【0050】
流体が光触媒フィルター100を通過せずに抜け出ることを防止するために、光触媒フィルター100と第1フレーム210及び第2フレーム220とがぴったり合っていてもよい。
【0051】
フレーム200は光源部300と結合される。光源部300は、フレーム200と結合されることによって流体処理装置内に提供される。光源部300は、発光ダイオード310及び光源支持部材320を含む。
【0052】
発光ダイオード310は、光源支持部材320上に提供され、光触媒フィルター100上に光を出射する。発光ダイオード310から出射された光によって光触媒フィルター100が活性化され得る。
【0053】
したがって、発光ダイオード310から出射される光は、光触媒フィルター100を活性化する波長の光を含む。発光ダイオード310が出射する光の波長は、光触媒フィルター100の種類に応じて変わってもよい。例えば、光触媒フィルター100が酸化チタン(TiO2)光触媒を含むとき、発光ダイオード310が出射する光は紫外線を含んでもよい。
【0054】
光源支持部材320は発光ダイオード310を支持する。発光ダイオード310は、光触媒フィルター100に光が照射される面積が最大になるように光源支持部材320上に固定される。
【0055】
光源支持部材320は、発光ダイオード310と電気的に連結される配線部(図示せず)を含んでもよい。配線部は、発光ダイオード310と電源又は制御部とを連結することができる。配線部は光源支持部材320の内部に提供されてもよく、これにより、配線部が流体処理装置を通過する流体によって損傷することを防止することができる。
【0056】
光源支持部材320はフレーム200と結合される。具体的に、光源支持部材320とフレーム200は、光触媒フィルター100と発光ダイオード310とを離隔させる形態で結合されてもよい。このような結合により、発光ダイオード310と光触媒フィルター100との間の距離が最適化され得る。具体的に、光源支持部材320とフレーム200との間の結合により、発光ダイオード310は、光触媒フィルター100を活性化させるに十分な光量を提供しながらも光の照射面積を最大化できる形態で提供され得る。
【0057】
以下では、上述した各構成要素の結合形態などに対してさらに詳細に説明する。
【0058】
図2は、図1による流体処理装置の分解斜視図である。
【0059】
図2を参考にすると、フレーム200は、互いに締結される第1フレーム210及び第2フレーム220を含み、光触媒フィルター100は第1フレーム210と第2フレーム220との間に提供される。
【0060】
第1フレーム210及び第2フレーム220は、それぞれ第1エッジ211及び第2エッジ221を有する。第1エッジ211及び第2エッジ221のそれぞれは、第1フレーム210及び第2フレーム220の開口の内側方向に突出した形状を有する。これにより、第1エッジ211及び第2エッジ221は、光触媒フィルター100が、流体が流れる方向に離脱しないように光触媒フィルター100を固定することができる。
【0061】
第1フレーム210及び第2フレーム220のそれぞれにおいて、第1エッジ211及び第2エッジ221が提供されていない領域は開口と定義することができる。例えば、第1フレーム210において、第1エッジ211が提供されていない領域は第1開口211hと定義することができる。
【0062】
第1開口211hの大きさは、光触媒フィルター100の大きさよりも小さい。よって、フレーム200と光触媒フィルター100とが結合された状態で、光触媒フィルター100が第1開口211hの外側に飛び出すおそれがない。但し、第1開口211hは、光触媒フィルター100を通過する流体の流れを妨害しない程度の大きさであってもよい。
【0063】
本発明の一実施形態によると、図示してはいないが、第1フレーム210と光触媒フィルター100との間には補助フィルターがさらに挿入されてもよい。補助フィルターは、プレフィルター、HEPAフィルター、ミディアムフィルター、ULPAフィルター、活性炭フィルターなどであってもよい。
【0064】
第1フレーム210及び第2フレーム220は、それぞれ第2フレーム固定部232及び第1フレーム固定部231を含んでもよい。第1及び第2フレーム固定部231、232は、互いに対応する形状を有することによって容易に結合され得る。第1及び第2フレーム固定部231、232の結合により、第1フレーム210と第2フレーム220とが結合された状態で固定され得る。第1及び第2フレーム固定部231、232の結合形態には制限がない。第1及び第2フレーム固定部231、232は、図面に示したように、クリップ形態で結合されてもよく、スライド方式、ねじ方式などの多様な方式で結合されてもよい。
【0065】
第1及び第2フレーム固定部231、232は、互いに着脱可能な形態で結合されてもよい。よって、発光ダイオード310又は光触媒フィルター100を交換するとき、第1及び第2フレーム固定部231、232を分離した後で交換作業を行うことができる。
【0066】
第1及び第2フレーム固定部231、232はそれぞれ複数提供されてもよい。具体的に、第1及び第2フレーム固定部231、232は、それぞれ第1フレーム210及び第2フレーム220の外面に沿って複数提供されてもよい。併せて、これにより、第1フレーム210と第2フレーム220との結合安定性が向上し得る。
【0067】
光源部300とフレーム200は結合部材240を介して結合されてもよい。具体的に、結合部材240によって第2フレーム220と光源支持部材320とが結合されてもよい。このとき、結合方式には制限がなく、図示したように、ねじ式のみならず、クリップ式、スライド式、クランプ式などの多様な方式の結合が利用可能である。
【0068】
図面に示したように、ねじ式結合を用いる場合、結合部材240は、第2フレーム220に提供された突出部及び光源支持部材320を貫通する形態で提供されてもよい。このとき、第2フレーム220に提供された突出部は、光源支持部材320上に提供された発光ダイオード310と光触媒フィルター100との間の距離が最適な離隔距離になるように提供され得る。よって、光触媒フィルター100と接する第2エッジ221と突出部とが互いに離隔して提供されてもよい。
【0069】
発光ダイオード310は、触媒フィルター100と向かい合う位置に提供されてもよい。すなわち、光源支持部材320の両面のうち光触媒フィルター100と向かい合う面に発光ダイオード310が提供されてもよい。
【0070】
併せて、光源支持部材320の両面のうち発光ダイオード310が提供された面には反射部材がさらに提供されてもよい。反射部材は、発光ダイオード310から出射された光を光触媒フィルター100側に反射させる。これにより、光触媒フィルター100に照射される光量が増加し得る。
【0071】
図3は、図1による流体処理装置のI-I’線断面図である。
【0072】
図3によると、光触媒フィルター100、第1フレーム210、第2フレーム220、及び光源部300が結合された状態で、発光ダイオード310と光触媒フィルター100は最適な離隔距離Lだけ離隔している。
【0073】
最適な離隔距離Lは、光触媒フィルター100に照射される光量及び照射範囲を最大化できるものである。このとき、光触媒フィルター100に照射される光量は、光触媒フィルター100を活性化できる最小限の光量以上であってもよい。
【0074】
最適な離隔距離Lで光触媒フィルター100に照射される光は、光の照射領域A程度の面積に照射されてもよい。光の照射領域Aの大きさと光触媒フィルターの直径Dの大きさは実質的に同一であってもよい。これにより、光触媒フィルター100の実質的に全ての領域に光が照射され得る。
【0075】
最適な離隔距離L及び光触媒フィルターの直径Dに対して、D/Lは約3.46~約3.50であってもよい。最適な離隔距離Lと光触媒フィルターの直径Dとが上述した関係を有することによって、光触媒フィルター100を活性化できる光量の光が光触媒フィルター100の実質的に全ての領域に照射され得る。
【0076】
発光ダイオード310の指向角の大きさは120度以下であってもよい。前記のような角度を有することによって、光触媒フィルター100を活性化できる光量の光が最大限広い領域に照射され得る。
【0077】
本発明の一実施形態によると、フレーム200と光源支持部材320は、光触媒フィルター100と発光ダイオード310とを最適な離隔距離Lだけ離隔させる形態で結合されてもよい。フレーム200と光源支持部材320とが上述した形態で結合されることによって、発光ダイオード310と光触媒フィルター100とが最適な離隔距離Lを維持するように構造的に安定化され得る。併せて、これにより、流体処理装置の流体処理効率が向上し得る。
【0078】
併せて、第2エッジ221は光学的に透明であってもよい。これにより、発光ダイオード310から出射された光は、第2エッジ221によって遮られず、光触媒フィルター100に照射され得る。このとき、光学的に透明であることは、全ての波長帯域の光を透過する場合のみならず、特定の波長帯域の光を透過する場合を全て含む。
【0079】
上述した実施形態は、光源部300に一つの発光ダイオード310が提供される場合を示したものである。しかし、光源部300に複数の発光ダイオード310が提供される形態も可能である。以下では、複数の発光ダイオード310が提供される場合に対して説明する。
【0080】
図4aは、本発明の一実施形態に係る流体処理装置の分解斜視図で、図4bは、図4aによる流体処理装置の断面図である。
【0081】
図4a~図4bを参考にすると、流体処理装置は、第1~第3発光ダイオード311、312、313を含む。
【0082】
このとき、第1発光ダイオード311は第1光の照射領域A1程度の領域に光を照射し、第2発光ダイオード312は第2光の照射領域A2程度の領域に光を照射し、第3発光ダイオード313は第3光の照射領域A3程度の領域に光を照射する。
【0083】
第1~第3発光ダイオード311、312、313は、第1~第3光の照射領域A1、A2、A3が重畳していない形態で配置されてもよい。しかし、図示したように、第1~第3光の照射領域A1、A2、A3は一部が重畳してもよい。ユーザーは、第1~第3光の照射領域A1、A2、A3が最小限に重畳し、光が照射されていない領域が無いように第1~第3発光ダイオード311、312、313を配置することができる。
【0084】
第1~第3光の照射領域A1、A2、A3の和は、光触媒フィルターの直径D以上であってもよい。これにより、光触媒フィルター100を活性化させるのに十分な量の光が光触媒フィルター100の全ての領域に到逹し得る。
【0085】
図示したように、光源部が第1発光ダイオード311、第2発光ダイオード312、及び第3発光ダイオード313を含むとき、最適な離隔距離Lは相対的に小さくなってもよい。具体的に、光源部が一つの発光ダイオードを含む場合に比べて最適な離隔距離Lが小さくなってもよい。
【0086】
第1~第3発光ダイオード311、312、313が光触媒フィルター100とより近くに位置することによって、光触媒フィルター100に照射される光量が増加し得る。これにより、光触媒フィルター100を活性化するための活性化エネルギー以上の光を光触媒フィルター100により容易に供給することができる。併せて、第1~第3発光ダイオード311、312、313から出射された光が紫外線を含む場合、出射された光による紫外線の殺菌効果が向上し得る。
【0087】
図面には、第1~第3発光ダイオード311、312、313が同一線上に並んで配置されている実施形態が示されている。しかし、第1~第3発光ダイオード311、312、313の配置形態は、光触媒フィルター100の形状及び発光ダイオードの特性に応じて変わってもよい。
【0088】
併せて、発光ダイオード310は、着脱可能に光源支持部材320上に提供されるので、ユーザーは、必要に応じて光源支持部材320から発光ダイオード310を着脱することができ、所望の位置に再び着けることができる。これにより、特定の発光ダイオード310に問題が生じたとき、ユーザーは、光源部300全体を交換する必要はなく、問題が生じた発光ダイオード310のみを簡便に交換することができる。
【0089】
以上では、一つの光触媒フィルター100及び複数の発光ダイオード311、312、313を含む流体処理装置について説明した。しかし、光触媒フィルター100は複数提供されてもよい。以下では、光触媒フィルター100が複数提供される形態について説明する。
【0090】
図5aは、本発明の一実施形態に係る流体処理装置の斜視図で、図5bは、図5aによる流体処理装置の分解斜視図で、図5cは、図5aによる流体処理装置のII-II’線断面図である。
【0091】
図5a~図5cによると、流体処理装置は、行方向に並んで配置された第1~第3光触媒フィルター101、102、103を含む。第1~第3光触媒フィルター101、102、103のそれぞれは、列方向に複数提供されてもよい。よって、第1~第3光触媒フィルター101、102、103は、同一平面上に行列をなす形態で配置されてもよい。しかし、図示したものは例示的なものに過ぎず、第1~第3光触媒フィルター101、102、103の形状に応じて多様な形態で複数の光触媒フィルターが配置されてもよい。
【0092】
フレーム200は、第1~第3光触媒フィルター101、102、103を固定するためのバーを含んでもよい。具体的に、第1フレーム210及び第2フレーム220のそれぞれは、第1~第3光触媒フィルター101、102、103間に提供される第1バー211a、211b及び第2バー221a、221bを含む。第1バー211a、211bは、第1フレーム210の一側に提供される第1エッジと一体に提供されてもよい。第2バー221a、221bは、第2フレーム220の一側に提供される第2エッジと一体に提供されてもよい。
【0093】
第1バー211a、211bは、さらにバーの延長方向によって第1縦バー211aと第1横バー211bとに分けてもよい。第2バー221a、221bも同様に、バーの延長方向によって第2縦バー221aと第2横バー221bとに分けてもよい。第1及び第2縦バー211a、221aと第1及び第2横バー211b、221bとは互いに垂直に交差しなくてはならないのではない。第1及び第2縦バー211a、221aと第1及び第2横バー211b、221bは、第1~第3光触媒フィルター101、102、103の形状に応じて鋭角又は鈍角を有する形態で交差してもよい。
【0094】
第1及び第2縦バー211a、221aと第1及び第2横バー211b、221bの幅は、互いに隣接した第1~第3光触媒フィルター101、102、103間の距離と同一であってもよい。よって、第1~第3光触媒フィルター101、102、103と第1フレーム210及び第2フレーム220とが結合された状態で、各構成要素は実質的にきっちりと結合され得る。これにより、複数の光触媒フィルター101、102、103が提供される場合にも構造的安定性が向上し得る。
【0095】
併せて、第1バー211a、211bは上端に突出部を有してもよく、第2バー221a、221bは下端に突出部を有してもよい。前記突出部は、第1~第3光触媒フィルター101、102、103が流体の流れ方向に離脱することを防止することができる。
【0096】
第1バー211a、211b及び第2バー221a、221bは、発光ダイオードから出射された光を遮らないように光学的に透明であってもよい。このとき、光学的に透明であることは、全ての波長帯域の光を透過する場合のみならず、特定の波長帯域の光を透過する場合を全て含む。
【0097】
第2フレーム220は、補助部材結合部250及び補強部材260をさらに含んでもよい。補助部材結合部250は、光源部の補助部材と結合できる部分である。補助部材結合部250に対しては後で説明する。
【0098】
補強部材260は、第2フレーム220の構造的安定性を向上させるためのものである。複数の光触媒フィルターが提供され、第2フレーム220が大きくなるとき、第2フレーム220に補強部材260を提供することによって第2フレーム220の構造的剛性を高めることができる。
【0099】
光源部は、第1~第7光源支持部材320a~320gを含んでもよい。第1~第7光源支持部材320a~320g間の距離は、全て同一であってもよく、一部が異なってもよい。例えば、第1~第7光源支持部材320a~320gは、2個又は3個ずつ対をなして配置されてもよい。この場合、第1光源支持部材320aと第2光源支持部材320bとの間の距離は、第2光源支持部材320bと第3光源支持部材320cとの間の距離より短くてもよい。
【0100】
第1~第7光源支持部材320a~320gは、第1~第3光触媒フィルター101、102、103に光触媒を活性化できる光量の光を最大限広い範囲に照射できる形態で配置されてもよい。
【0101】
第1~第7光源支持部材320a~320gのそれぞれは、複数の発光ダイオードを含んでもよい。例えば、第4光源支持部材320dは、第1~第5発光ダイオード311~315を含んでもよい。
【0102】
第1~第5発光ダイオード311~315は互いに離隔して配置される。第1~第5発光ダイオード311~315のうち隣接した発光ダイオード間の距離は、互いに同一であってもよく、互いに異なってもよい。例えば、図面に示した各発光ダイオードのうち第1発光ダイオード311及び第2発光ダイオード312は、第1光触媒フィルター101に対応するようにやや近くに位置してもよい。また、これにより、第2発光ダイオード312と第3発光ダイオード313との間の距離は相対的に遠くなり得る。
【0103】
第1~第5発光ダイオード311~315は、第1~第3光触媒フィルター101、102、103に光触媒を活性化できる光量の光を最大限広い範囲に照射できる形態で配置されてもよい。
【0104】
第1~第7光源支持部材320a~320gのそれぞれに同一の個数の発光ダイオードが提供されなければならないのではない。例えば、第4光源支持部材320dには5個の発光ダイオードが提供されるが、第3光源支持部材320cには3個の発光ダイオードのみが提供されてもよい。
【0105】
また、第1~第7光源支持部材320a~320gに提供された複数の発光ダイオードがマトリックス(matrix)状に配置されなければならないのではない。例えば、複数の発光ダイオードはジグザグ状に配置されてもよい。
【0106】
第1~第7光源支持部材320a~320gの配置形態及び第1~第5発光ダイオード311~315の配置形態は、第1~第3光触媒フィルター101、102、103の配置形態に応じて変わってもよい。
【0107】
併せて、第1~第7光源支持部材320a~320g及び第1~第5発光ダイオード311~315は、第1バー211a、211b及び第2バー221a、221bによって遮られない形態で配置されてもよい。例えば、平面上で見たとき、第1~第7光源支持部材320a~320gは、第1横バー211b及び第2横バー221bと交互に重畳しないように配置されてもよい。
【0108】
第1~第7光源支持部材320a~320gの一側にはコネクター318が提供されてもよい。例えば、第4光源支持部材320dは、最も右側に提供されるコネクター318を含んでもよい。コネクター318は、第1~第5発光ダイオード311~315と配線部によって電気的に連結されてもよい。このとき、配線部は、第4光源支持部材320dの内部に提供されてもよい。さらに、コネクターは、外部電源又は制御部と第1~第5発光ダイオード311~315とを連結する橋頭保として機能し得る。
【0109】
本発明の一実施形態によると、流体処理装置は、複数の光触媒フィルターを含んでもよい。複数の光触媒フィルターは、バーを含む第1フレーム210及び第2フレーム220によって固定されるので構造的に安定している。併せて、複数の光触媒フィルターを活性化するために、光源部は、複数の光源支持部材及び複数の発光ダイオードを含んでもよい。これにより、流体処理装置に複数の光触媒フィルターが提供される場合にも全ての光触媒フィルターが活性化され得る。
【0110】
上述したように、本発明の一実施形態によると、複数の光触媒フィルターを含むときにも、流体処理装置は、構造的に安定しており、流体処理効率が高い。これにより、本発明の一実施形態に係る流体処理装置は、大型化された空調機に適用可能である。具体的に、複数の光触媒フィルターを同一平面上に配置することによって、単位時間当たりの流体処理量を増加し得るので、流体処理量が多い大型化された空調機に本発明の一実施形態に係る流体処理装置を適用可能である。
【0111】
セラミック材質の光触媒フィルターは、一定の大きさ以上に製造しにくい。これは、大型光触媒フィルターを製造する過程で光触媒フィルターの反りが発生しやすいためである。併せて、光触媒フィルターの反りを防止するためには光触媒フィルターを厚くしなければならないが、この場合、光触媒フィルターを通過する流体の流量が過度に少なくなり得る。よって、光触媒フィルターを一定の大きさ以上に製造することは非常に難しい。しかし、本発明の一実施形態によると、複数の光触媒フィルターを同一平面上に配置できるので、大型光触媒フィルターがなくても単位時間当たりの流体処理量を増加させることができる。
【0112】
図6は、本発明の一実施形態に係る流体処理装置の分解斜視図である。
【0113】
図6を参考にすると、上述したものと同様に、複数の光触媒フィルター100が提供されることを確認することができる。但し、光触媒フィルター100のそれぞれは、一方向に延長された長方形の形状を有する。
【0114】
併せて、第1フレーム210及び第2フレーム220は、光触媒フィルター100の形状に対応する形状を有してもよい。具体的に、第1フレーム210に提供された第1バー211a及び第2フレーム220に提供された第2バー221aは、長方形形状の光触媒フィルター100を覆う形態で提供されてもよい。この場合、第1バー211a及び第2バー221aは、それぞれ横方向に延長されるバーのみを含んでもよく、横方向に延長されるバーと交差するバーは含まなくてもよい。
【0115】
上述した実施形態では、発光ダイオードが光触媒フィルターの一面に光を照射するように配置された。しかし、必要に応じて、発光ダイオードの配置形態を変えてもよい。例えば、発光ダイオードは、光触媒フィルターの両面に光を照射するように配置されてもよい。
【0116】
図7a及び図7bは、本発明の一実施形態に係る流体処理装置の断面図である。
【0117】
図7aによると、光源部は、上部光源支持部材321及び下部光源支持部材322を含む。上部光源支持部材321は第1~第5発光ダイオード311~315を含み、下部光源支持部材322は第6~第10発光ダイオード311’~315’を含む。第1~第5発光ダイオード311~315と第6~第10発光ダイオード311’~315’は互いに向かい合う位置に提供されてもよい。但し、発光ダイオードの配置形態は図面に示したものに限定されない。
【0118】
図7bによると、上部光源支持部材321は、第1、第3及び第5発光ダイオード311、313、315を含み、下部光源支持部材322は、第2及び第4発光ダイオード312、314を含む。第1、第3及び第5発光ダイオード311、313、315と第2及び第4発光ダイオード312、314は互いに平面上で重畳しないように交互に配置される。
【0119】
図7a及び図7bに示したように、光源部が上部光源支持部材321及び下部光源支持部材322を含むとき、光触媒フィルター100の両面に光が照射され得る。これにより、光の照射面積がさらに広くなり得る。併せて、光の照射面積が広くなることによって、さらに多くの量の光触媒が活性化され、その結果、単位時間当たりの流体処理能力が向上し得る。
【0120】
図8aは、本発明の一実施形態に係る流体処理装置の斜視図で、図8bは、図8aによる流体処理装置の分解斜視図で、図8cは、図8aによる流体処理装置のIII-III’線断面図である。
【0121】
図8a~図8cによると、光源部は、複数の光源支持部材320と結合される補助部材330をさらに含む。
【0122】
補助部材330は、複数の光源支持部材320と結合されると同時に、第2フレーム220と結合されてもよい。具体的に、補助部材330は、第2フレーム220に提供された補助部材結合部250を介して第2フレーム220と結合されてもよい。補助部材結合部250で用いる結合方式には制限がない。
【0123】
補助部材330と第2フレーム220とが補助部材結合部250を介して結合されるとき、第2フレーム220と光源支持部材320とを結合させるための結合部材は省略可能である。光源支持部材320は補助部材330と結合され、補助部材330が第2フレーム220と結合されることによって、流体処理装置内に光源支持部材320が提供されてもよい。
【0124】
光源支持部材320と補助部材330との間の結合方式にも制限がない。例えば、光源支持部材320と補助部材330は接着剤によって結合されてもよい。又は、二つの構成要素は、ねじ、クリップなどの方式で結合されてもよい。
【0125】
光源支持部材320と補助部材330は着脱可能に結合されてもよい。よって、特定の光源支持部材320に異常が生じたとき、問題となる光源支持部材320のみを交換することができる。
【0126】
複数の光源支持部材320を、補助部材330を介して流体処理装置に提供することによって、構造的安定性が向上し得る。具体的に、各光源支持部材320が個別的に第2フレーム220と結合されると、光源支持部材320の数が増加すると共に、それぞれの光源支持部材320を第2フレーム220と連結するための結合部材及び突出部の数が指数関数的に増加する。第2フレーム220に突出部の数が増加するほど、第2フレーム220の剛性が低下し得るという問題がある。
【0127】
しかし、本発明の一実施形態によると、複数の光源支持部材320が一つの補助部材330上に提供され、補助部材330が第2フレーム220と結合されるので、光源支持部材320の数が増加した場合にも第2フレーム220の剛性が低下するおそれがない。
【0128】
これにより、本発明の一実施形態によると、流体処理装置内に複数の光源支持部材320及び発光ダイオード310を提供することができ、その結果、流体処理装置の大型化がさらに容易になる。
【0129】
併せて、補助部材330が金属を含むとき、補助部材330は高い熱伝導性を有し、その結果、発光ダイオード310及び光源支持部材320から発生した熱を除去することができる。
【0130】
図9及び図10は、本発明の一実施形態に係る流体処理装置の断面図である。
【0131】
図9によると、第2フレーム220と光源支持部材320は結合部材240によって結合される。このとき、結合部材240は、ねじ式で第2フレーム220と光源支持部材320とを結合することができる。
【0132】
併せて、必要に応じて、ユーザーは、結合部材240を操作することによって、発光ダイオード310と光触媒フィルター100との間の距離を調節することができる。
【0133】
図10によると、第1フレーム210及び第2フレーム220の内壁には反射部材270がさらに提供される。反射部材270は、発光ダイオード310から出射された光を光触媒フィルター100側に反射する。これにより、光触媒フィルター100に到逹する光の量が増加し、光触媒活性が増加し得る。
【0134】
図11は、本発明の一実施形態に係る光触媒フィルターの斜視図である。
【0135】
本発明の一実施形態において、光触媒フィルター100は、相対的に広い上面及び下面を有する直方体の形状に製造されてもよい。
【0136】
光触媒フィルター100は、空気との接触面積を最大化するための構造を有してもよい。例えば、本発明の一実施形態に係る光触媒フィルター100は、格子状に形成されてもよく、格子ごとに光触媒フィルター100の上下を貫通する多数の開口110が設けられてもよい。しかし、光触媒フィルター100の形状は、これに限定されるものではなく、空気との接触面積を増加できる限り、他の構造を有してもよい。
【0137】
また、光触媒フィルター100には、上下を貫通する開口110の代わりに、その内部に多数の細孔(pore)が形成されてもよい。このとき、光触媒フィルター100は、表面に光触媒物質がコーティングされて焼結された複数のビーズ(beads)を含んでもよい。細孔は、前記各ビーズ間に配置されることによって、空気との接触面積を最大化する。
【0138】
光触媒フィルター100には、光源部から出射された光との反応によって空気を処理する光触媒が含まれる。光触媒の反応に対する事項は上述した通りである。
【0139】
光触媒物質は、二酸化チタン(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、タングステン酸化物(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化スズ(SnO2)から選ばれた少なくとも一つであってもよい。本発明の一実施形態において、光触媒の表面で生成された正孔と電子は、再結合速度が非常に速く、光化学反応に用いるのには限界があるので、Pt、Ni、Mn、Ag、W、Cr、Mo、Znなどの金属又はそれらの酸化物を添加することによって正孔と電子との再結合速度を遅延させることができる。正孔と電子との再結合速度が遅延される場合、酸化及び/又は分解させようとする対象物質との接触可能性が増加し、その結果、反応度が高くなり得る。さらに、酸化物の添加によって光触媒のバンドギャップを調節し、性能を向上させることもできる。上述した光触媒反応を用いると、空気の殺菌、浄化、脱臭処理などを行うことができる。特に、殺菌は、菌細胞内の酵素及び呼吸系に作用する酵素などを破壊することによって殺菌又は抗菌作用を行い、菌やカビの繁殖を防止し、これらが出す毒素も分解することができる。
【0140】
特に、本発明の一実施形態において、光触媒としてはチタン酸化物(TiO2)が使用可能である。チタン酸化物は、紫外線を浴びることによってスーパーオキシドラジカルを生成し、生成されたスーパーオキシドラジカルは、有機物を無害な水と二酸化炭素とに分解する。チタン酸化物はナノ粒子化され、比較的弱い紫外線波長を示す光源を使用した場合にも多量のスーパーオキシドラジカルを生成することができる。よって、チタン酸化物は、有機物の分解能力に優れ、環境変化にも持続的な耐久性及び安定性を有し、半永久的であるという効果を有する。また、多量に発生したスーパーオキシドラジカルは、有機物のみならず、悪臭、細菌などの多様な物質を除去することができる。
【0141】
本発明の一実施形態において、光触媒は、触媒として作用するだけで、自ら変化するものではないので、半永久的に使用可能であり、対応光が提供される限り、効果が半永久的に持続され得る。
【0142】
前記光触媒物質がコーティングされている基材又はビーズは、アルミナ(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、窒化ケイ素(Si34)、炭化ケイ素(SiC)、及びこれらの組み合わせから選ばれた少なくとも一つであってもよい。
【0143】
併せて、光触媒フィルター100は、表面に物理的吸着のための吸着剤をさらに含んでもよい。吸着剤は、ゼオライト(zeolite)などの多孔性物質であってもよい。吸着剤は、光触媒物質と共に使用されるので、吸着剤の表面に汚染物質が付いたとしても光触媒物質によって汚染物質が除去され得る。これにより、光触媒フィルター100を長期間使用した場合にも、吸着剤の吸着性能が大きく低下しなくなり得る。
【0144】
図12は、本発明の一実施形態に係る流体処理装置の斜視図である。
【0145】
図12によると、流体処理装置は、送風装置400をさらに含む。送風装置400は、特に、流体処理装置が処理する流体が気体状態である場合に使用可能である。送風装置400によって流体の流れが速くなり、時間当たりの光触媒フィルター100に流入する流体の量が増加し得る。これにより、時間当たりの流体処理装置が処理する流体の量が増加し得る。
【0146】
併せて、送風装置400の前に一つの光源部300及び一つの光触媒フィルター100が提供される形態が示されているが、実施形態によって、送風装置400の前に複数の光源部300と複数の光触媒フィルター100とが交互に配置されてもよい。これにより、流体処理装置に時間当たりの流入する流体の量が増加したとしても流体処理装置による浄化程度が低下しなくなり得る。
【0147】
図13及び図14は、本発明の一実施形態に係る流体処理装置に対して発光ダイオードと光触媒フィルターとの間の距離による汚染物質の除去性能を示したグラフである。
【0148】
図13及び図14による実験データは、本発明の一実施形態に係る一つの光触媒フィルター及び一つの発光ダイオードを用いて得たものである。具体的に、光触媒フィルターとしては、横が約33mm、縦が約33mm、厚さが約10mmであるものを用いており、発光ダイオードとしては、約365nmの波長の光を出射するものに300mAの電流を供給して用いた。発光ダイオードの後方には、光触媒フィルターの方向に流体を供給するための送風装置を設置し、送風装置は、12Vで駆動しながら0.12m3/minの比率で流体を供給する。
【0149】
図13及び図14には、発光ダイオードと光触媒フィルターとの間の距離をそれぞれ10mm、20mm、30mm、40mmにしたとき、180分間10ppmの濃度のアセトアルデヒドガスをどれほど浄化できるのかに対するデータが示されている。
【0150】
実験の結果、離隔距離が約10mmであるとき、約3時間にわたって約32.1%のアセトアルデヒドを除去することができ、離隔距離が約20mmであるとき、約35.3%のアセトアルデヒドを除去することができた。また、離隔距離が約30mmであるとき、約30.5%のアセトアルデヒドを除去することができ、離隔距離が約40mmであるとき、約28.0%のアセトアルデヒドを除去することができた。
【0151】
このような実験の結果は、発光ダイオードと光触媒フィルターとの間の離隔距離が約20mmであるとき、光触媒フィルターを活性化するのに十分な光量を最大面積に照射できるためであると判断される。発光ダイオードと光触媒フィルターとの間の離隔距離別の光量及び照射面積は、下記の表1の通りである。
【0152】
【表1】
【0153】
前記表1から確認できるように、発光ダイオードと光触媒フィルターとの間の離隔距離が約20mmであるとき、光触媒フィルターを活性化するのに十分な光量(約20.23mW/cm2)を確保することができた。離隔距離が約10mmであるとき、光量は、離隔距離が20mmであるときに比べて多かったが、照射面積が約1/4に大きく減少した。したがって、発光ダイオードと光触媒フィルターとの間の離隔距離が約20mmであるとき、光触媒フィルターを活性化するのに十分な光量を最も広い面積に照射できると判断でき、このような予測は、図13及び図14に示されているアセトアルデヒドの除去効率の差で証明され得る。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9
図10
図11
図12
図13
図14