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特許7433235尿素タンクのための改良されたフィラーヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】尿素タンクのための改良されたフィラーヘッド
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20240209BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
F01N3/08 B
B60K13/04 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020541735
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019052242
(87)【国際公開番号】W WO2019149750
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】18154504.7
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515269659
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・アドヴァンスド・イノベーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 亜希子
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0341787(US,A1)
【文献】特開2017-170919(JP,A)
【文献】特開2011-007128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵システム(10)のためのフィラーヘッド(23)であって、前記フィラーヘッド(23)は、カバー部品(32)によって閉塞された主部品(31)を有する本体(25)を備え、前記フィラーヘッド(23)は、磁気開放バルブを含む流体の分配ノズルを受容するように構成され、かつ流体タンク(11)の充填ライン(19)および通気ライン(21)に、漏れのない様式で接続されるように構成され、前記フィラーヘッド(23)は、キャビティ(35)であって、分離装置(41)が、補充している間に前記通気ライン(21)から来る空気の流れ(V)と前記充填ライン(19)へ行く流体の流れ(F)との区切りを改良するように、前記キャビティ(35)に受容される、キャビティ(35)と、前記分配ノズルの前記磁気開放バルブの作動を可能にする磁気要素(51)と、をさらに備えるフィラーヘッド(23)において、前記分離装置(41)は、前記磁気要素(51)を受容するための支持要素(49)をさらに備え、前記支持要素(49)は、前記分離装置(41)および前記カバー部品(32)のそれぞれが前記磁気要素(51)の位置決め要素として作用することを可能にすることを特徴とするフィラーヘッド(23)。
【請求項2】
前記磁気要素(51)は、前記フィラーヘッド(23)の、前記磁気要素(51)と前記分離装置(41)と前記本体(25)との間の膨張率のいかなる差をも補償するように、すきまばめによって前記支持要素(49)に搭載されることを特徴とする請求項1に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項3】
前記支持要素(49)は、前記磁気要素(51)によって生成される磁場の間違った配向を防止する誤操作防止装置を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項4】
前記誤操作防止装置は、前記支持要素(49)の内壁から突出する少なくとも1つのリブ(50)を備え、前記リブ(50)はそれぞれ、前記磁気要素(51)の正しい配向を確実にするように、前記磁気要素(51)の外表面の対応する盲溝(52)と協働することを特徴とする請求項3に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項5】
それぞれの前記盲溝(52)は、前記磁気要素(51)の一側にのみ前記盲溝(52)の開口部を有するように、前記磁気要素(51)の厚さに沿って部分的にのみ延在することを特徴とする請求項4に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項6】
前記盲溝(52)は、2つの反対の配向にしたがって前記磁気要素(51)を案内するように、前記磁気要素(51)の厚さ全体に沿って延在することを特徴とする請求項4に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項7】
前記分離装置(41)は、通気要素(43)をさらに備え、前記通気要素(43)は、前記通気ライン(21)から来る前記空気の流れ(V)が、前記分離装置(41)の本体(42)を通過して前記フィラーヘッド(23)の外側に排出されることを可能にする少なくとも1つの穴(44)を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項8】
前記分離装置(41)は、遮蔽要素(47)をさらに備え、前記遮蔽要素(47)は、少なくとも1つの部分フランジ(48a)および/または少なくとも1つの横リブ(48b)であって、前記分離装置(41)の本体(42)の外表面から突出する、少なくとも1つの部分フランジ(48a)および/または少なくとも1つの横リブ(48b)を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項9】
前記分離装置(41)は、遮蔽要素(47)をさらに備え、前記遮蔽要素(47)は、前記分離装置(41)の本体(42)の外表面から突出する少なくとも1つの部分フランジ(48a)および/または少なくとも1つの横リブ(48b)を含み、
前記遮蔽要素(47)は、空気のみが前記穴(44)を通過することを可能にするために、前記通気要素(43)の前記穴(44)を少なくとも部分的に取り囲むことを特徴とする請求項7に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項10】
前記分離装置(41)は、固定要素(45)をさらに備え、前記固定要素(45)は、前記キャビティ(35)の内壁から突出する少なくとも1つのほぞ(46a)を含み、前記ほぞ(46a)はそれぞれ、前記分離装置(41)の本体(42)の外表面に搭載された対応するほぞ穴(46b)と協働することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項11】
前記カバー部品(32)は、実質的に平面状の部品であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項12】
前記カバー部品(32)は、前記分配ノズルを受容することを可能にする突出案内要素(27)を備えることを特徴とする請求項11に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項13】
前記突出案内要素(27)は、キャップによって、漏れのない様式で、閉塞されることを特徴とする請求項12に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項14】
前記カバー部品(32)は、溶接によって、漏れのない様式で前記主部品(31)に固定されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項15】
前記カバー部品(32)は、前記カバー部品(32)と前記主部品(31)との間のシールリング(53)とスナップフィットすることによって、漏れのない様式で前記主部品(31)に固定されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のフィラーヘッド(23)。
【請求項16】
尿素タンク(11)を備える貯蔵システム(10)であって、前記尿素タンク(11)は、フィラーヘッド(23)から前記尿素タンク(11)への流体の重力による流れを案内するように構成された充填ライン(19)および前記尿素タンク(11)の減圧変動を補償するように構成された通気ライン(21)に接続され、前記貯蔵システム(10)は、請求項1から15のいずれか1項に記載のフィラーヘッド(23)をさらに備えることを特徴とする貯蔵システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された尿素フィラーヘッド、および、特に、尿素タンクなどの流体タンクの補充を改良するように構成された、最適化されたフィラーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
車およびトラックの排気に関する法律は、とりわけ、大気中への窒素酸化物NOの排出の削減を規定する。この目的を達成するための1つの既知の方法は、排気ラインへのアンモニアなどの還元剤の噴射によって窒素酸化物の還元を可能にする「SCR」(用語「選択的触媒還元」からの省略)プロセスを使用することである。一般に、SCRシステムは、尿素溶液などの水性添加剤の貯蔵のためのタンクと、供給ラインに水性添加剤を移送するためのポンプと、所望の量の水性添加剤を計量しかつ水性添加剤を排気ラインへ噴射するための装置と、を備える。したがって、水性添加剤は、正確に計量されかつ排気ガス流れへ噴射され、水性添加剤は、窒素酸化物(NO)を窒素(N)と水(HO)とに変換する前に加水分解される。
【0003】
時にadblue(登録商標)と呼ばれる尿素溶液の分配は、トラックにおいては長年既知である。今日では、ディーゼルパワートレインを含むとき、乗用車も関係している。尿素分配ノズルは、誤操作防止の方策として、燃料の分配ノズルよりも小さな直径を有する。しかしながら、尿素分配ノズルは、燃料フィラーヘッドに導入される可能性がある。したがって、磁場によって作動される、分配ノズルのためのバルブが開発された。その結果、それぞれの尿素フィラーヘッドは、バルブを作動しかつ尿素の放出を可能にするための磁気要素を有しなければならない。
【0004】
磁場は、一般に、フィラーヘッドから突出する案内要素に沿って圧入された永久磁石によって引き起こされる。しかしながら、磁石が時に(逆の極に)誤って搭載され、尿素の放出が不可能になることが観測された。その上、時間が経過すると、フィラーヘッドにき裂が生じ、貯蔵システムの漏れがないことがもはや保証されない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、磁場の正確な極方向を保証する、かつ貯蔵システムの漏れがないことを維持するようにより耐久性のある、尿素タンクの新しいフィラーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、貯蔵システムのためのフィラーヘッドであって、フィラーヘッドは、カバー部品によって閉塞された主部品を有する本体を備え、フィラーヘッドは、磁気開放バルブを含む流体の分配ノズルを受容するように構成され、かつ流体タンクの充填ラインおよび通気ラインに、漏れのない様式で接続されるように構成され、フィラーヘッドは、キャビティであって、分離装置が、補充している間に通気ラインから来る空気の流れと充填ラインへ行く流体の流れとの区切りを改良するように、キャビティに受容される、キャビティと、分配ノズルの磁気開放バルブの作動を可能にする磁気要素と、をさらに備えるフィラーヘッドにおいて、分離装置は、磁気要素を受容するための支持要素をさらに備え、支持要素は、分離装置およびカバー部品のそれぞれが磁気要素の位置決め要素として作用することを可能にすることを特徴とするフィラーヘッドに関する。
【0007】
有利には、本発明は、温度の変動に起因する、フィラーヘッドにおけるき裂を回避する。実際に、磁気要素がフィラーヘッドの本体の内側の部品に搭載されるので、フィラーヘッドがパワートレインの近傍に搭載される場合でさえも、磁気要素と案内要素との間の膨張率の差は、もはや重要でない。フィラーヘッドの本体と磁気要素とは、独立した様式で、それぞれ膨張する/収縮することができる。その上、磁気要素は、いかなる部品にも圧入される必要がなく、このことは、フィラーヘッドの製造を容易にすることを可能にする。
【0008】
本発明はまた、1つ以上の後述の随意の特徴を、単独でまたは組み合わせで含んでもよい。
【0009】
磁気要素は、フィラーヘッドの、磁気要素と分離装置と本体との間の膨張率のいかなる差をも補償するように、すきまばめまたはしまりばめにしたがって支持要素に搭載されてもよい。この実施形態は、有利には、温度の変動によって引き起こされる収縮/膨張に起因するフィラーヘッドにおけるいかなるき裂をも回避する。これはまた、磁場を生成するために、電磁コイルなどの、すなわち永久磁石とは異なる、別の種類の磁気要素を使用することも可能にする。
【0010】
支持要素は、支持要素の内壁から突出する少なくとも1つのリブを備えてもよく、リブはそれぞれ、磁気要素の正しい配向を確実にするように、磁気要素の外表面の対応する盲溝と協働する。
【0011】
好ましくは、それぞれの盲溝は、磁気要素の一側にのみ盲溝の開口部を有するように、磁気要素の厚さに沿って部分的にのみ延在してもよい。この配置は、磁気要素の正しい配向を保証するための誤操作防止要素を形成する。代替的に、盲溝は、2つの反対の配向にしたがって磁気要素を案内するように、磁気要素の厚さ全体に沿って延在してもよい。
【0012】
分離装置は、通気要素をさらに備えてもよく、通気要素は、通気ラインから来る空気の流れが、分離装置の本体を通過してフィラーヘッドの外側に排出されることを可能にする少なくとも1つの穴を含む。
【0013】
分離装置は、遮蔽要素をさらに備えてもよく、遮蔽要素は、少なくとも1つの部分フランジおよび/または少なくとも1つの横リブであって、分離装置の本体の外表面から突出する、少なくとも1つの部分フランジおよび/または少なくとも1つの横リブを含む。有利には、それぞれの部分フランジは、主に充填ラインから来る尿素溶液の軸方向通過を妨害し、かつ/または、横リブは、主に(キャビティと緩衝容積部との間の開口部を通過する)通気ラインから来る尿素溶液の径方向通過を抑制する。
【0014】
好ましい様式では、遮蔽要素は、空気のみが穴を通過することを可能にするために、通気要素の穴を少なくとも部分的に取り囲んでもよい。この実施形態は、通気ラインまたは充填ラインのいずれかから来るいかなる尿素溶液も、主に充填ラインによってタンクへ戻るように、キャビティでブロックされることを可能にする。
【0015】
分離装置は、固定要素をさらに備えてもよく、固定要素は、キャビティの内壁から突出する少なくとも1つのほぞを含み、ほぞはそれぞれ、分離装置の本体の外表面に搭載された対応するほぞ穴と協働する。この実施形態は、カバー部品が取り外されるとき、分離装置を容易に搭載すること/フィラーヘッドのキャビティから分離装置を容易に取り外すことを可能にする。これはとりわけ、いかなる市場であっても、実質的に同じフィラーヘッドを維持することを可能にし、分離装置は、市場に適合されるための主な構成要素である。
【0016】
カバー部品は、フィラーヘッドの主部品の残りの部分の1つと同じ高さに/平面上に緩衝容積部を配置するように、実質的に平面状の部品であってもよい。
【0017】
カバー部品は、分配ノズルを受容することを可能にする突出案内要素を備えてもよい。したがって、補充している間、分配ノズルの端部は緩衝容積部と実質的に同じ高さ(同一平面上)にされ、このことは、緩衝容積部の性能を改良することを可能にする。その上、カバー部品は、フィラーヘッドの部品数を制限することを可能にする。
【0018】
突出案内要素は、キャップによって、漏れのない様式で、閉塞されてもよい。したがって、流体は、フィラーヘッドの外側に噴出されることができない。キャップは、タンクに流体を補充するために取り外されることができる。
【0019】
第1の例では、カバー部品は、溶接によって、漏れのない様式で主部品に固定されることができる。したがって、製造プロセスの間に、サイクルタイムおよび関連するコストの改良を可能にする独自の溶接が使用される。
【0020】
第2の例では、カバー部品は、カバー部品と主部品との間のシールリングとスナップフィットすることによって、漏れのない様式で主部品に固定されることができる。したがって、製造プロセスは、溶接工程の使用を回避することができ、このことは、より容易なプロセスを可能にする。
【0021】
最後に、本発明は、貯蔵システムにも関し、貯蔵システムは、流体タンクを備える貯蔵システムであって、流体タンクは、フィラーヘッドからタンクへの流体の重力による流れを案内するように構成された充填ラインおよびタンクの減圧変動を補償するように構成された通気ラインに接続され、貯蔵システムは、上記のフィラーヘッドをさらに備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な説明として提供され、添付の図面を参照してなされる後述の詳細な説明を読むことにより、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明が適用され得る車の概略上面図である。
図2】本発明によるフィラーヘッドの斜視図である。
図3図2の平面III-IIIに沿った断面図である。
図4図3の部分図である。
図5】本発明によるフィラーヘッドの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
さまざまな図で、同じまたは類似した要素は同じ参照符号を有し、随意で指数が付与される。これらの要素の構造および機能の説明は、それゆえ、体系的に再度記述されない。
【0025】
「SCRシステム」という語句は、内燃機関の、好ましくは車の内燃機関の、排気ガスからのNOの触媒還元のためのシステムを意味すると理解され、システムは、例えば液体添加剤として尿素水溶液を使用する。本発明は、有利にはディーゼルエンジンに、および、特に、乗用車、トラックまたは大型車のディーゼルエンジンに、適用される。
【0026】
図1に図示されるように、本発明は、汚染除去システム5に接続されたパワートレイン3を備えた車1に関する。より正確には、汚染除去システム5は、排気装置7を備え、また排気装置7に、例えば尿素溶液のような添加剤噴射装置9を備える。
【0027】
噴射装置9は、尿素溶液13を貯蔵するためのタンク11を含む貯蔵システム10を備える。噴射装置9はまた、レベルセンサ、温度センサ、および/または、静電容量効果式、超音波式あるいは機械式であってもよい品質センサなどの、尿素溶液13に浸漬された複数のセンサを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0028】
噴射装置9はまた、車1の中央コンピュータに接続された処理ユニットによって管理される噴射要素17に関連付けられたポンプ15を備える。処理ユニットはコード化された命令が保存されるメモリを含む。コード化された命令が処理ユニットによって実行されたとき、例えばSCRプロセスの、工程が実施される。
【0029】
タンク11は通常、尿素溶液13(アンモニア溶液などの他の添加剤溶液であってもよい)を補充されなければならない。したがって、貯蔵システム10は、充填ライン19と、通気ライン21(戻りラインとも呼ばれる)と、フィラーヘッド23と、を備える。充填ライン19は、フィラーヘッドからタンク11への流体の重力による流れを案内するように構成される。通気ライン21は、タンク11への流体の到達によって圧縮されるタンク11に収容された空気をフィラーヘッドから排出することによって、補充期間の間のタンク11の減圧変動を補償するように構成される。
【0030】
最後に、フィラーヘッド23は、流体分配システムのノズル(図示されず)を受容するように構成される。その上、フィラーヘッド23は、充填ライン19および通気ライン21に、漏れのない様式で接続されるように構成される。したがって、フィラーヘッド23は、補充期間の間に、流体13がタンク11に流れ込むことを可能にし、かつ同時に、タンク11から排出された空気が車1の周囲の大気(外気)へ逃げることを可能にする。
【0031】
本発明は、磁場の正確な極方向を保証する、かつ貯蔵システムの漏れがないことを維持するようにより耐久性のある、尿素タンクの新しいフィラーヘッドを提供することを目的とする。実際に、発明者は、案内要素への磁石の圧入がいくつかの問題を招くことを観測している。したがって、磁石が時に(逆の極に)誤って搭載され、分配ノズルが案内要素に受容されたとき、分配バルブは作動されない。その上、時間が経過すると、フィラーヘッドにき裂が生じ、貯蔵システムの漏れがないことがもはや保証されない。
【0032】
発明者は、温度の変動に起因してき裂が生じることを発見している。実際に、フィラーヘッド23がパワートレイン3の近傍に搭載されない場合でさえも、磁石と案内要素との間の膨張率の差は、深刻な相対的収縮/膨張に起因して案内要素27の破壊を招き得る。当然ながら、フィラーヘッド23がパワートレイン3の近傍にあるとき、その大きな温度の変動に起因して、き裂はより頻繁に発生する。
【0033】
したがって、図2に示されるように、本発明は、これらの問題を取り除くことを可能にする、貯蔵システム10のためのフィラーヘッド23に関する。フィラーヘッド23は、好ましくは、本体25を備え、本体25は、流体の分配ノズルを受容するように構成され、かつ流体タンク11の充填ライン19および通気ライン21に、漏れのない様式で接続されるように構成されている。
【0034】
より正確には、尿素溶液13などの流体が、フィラーヘッド23を通って流れることができるように、突出案内要素27は、その内径に沿って分配ノズル(図示されず)を受容することを可能にする。突出案内要素27は、燃料分配ノズルのいかなる導入をも防止する誤操作防止装置としても使用される。これは、燃料ノズルよりも小さい断面を有する案内要素27によって達成される。その上、第1の出口28および第2の出口29は、それぞれ流体タンク11の充填ライン19および通気ライン21に、漏れのない様式で接続されるように構成される。
【0035】
図2で見ることができるように、本体25は、カバー部品32によって閉塞された主部品31を備える。したがって、第1の出口28および第2の出口29は、好ましくは単一の部品として、または主部品31と、突出案内要素27と、カバー部品32と、の、一体品として含まれる。主部品31およびカバー部品32は、ナイロンまたは他の種類のポリマーで作られ得る。
【0036】
フィラーヘッド23は、通気ライン21から、すなわち第2の出口29から来る流れVの速度を低減するように、好ましくは緩衝容積部33をさらに備える。緩衝容積部33はまた、補充期間の間のフィラーヘッド23からのいかなる流体の噴出をも防止するために、緩衝容積部33の壁に沿って気泡を破裂させることを目的とする。
【0037】
好ましくは、緩衝容積部33は、図4に示されるように主部品31と一体である。その上、緩衝容積部33は、その性能を改良するように、カバー部品32によって閉塞されている。したがって、実際に、緩衝容積部33は、流体タンク11から可能な限り遠くに配置されてもよい。これは、通気ラインにまたはタンクと通気ラインとの間に実装される、既知の緩衝容積部と比較して利点である。しかしながら、本発明では、既知の緩衝容積部が使用されてもよい。
【0038】
したがって、この好ましい実施形態は、タンク11の容積および/または分配ノズル(図示されず)の充填レートにかかわらず、通気ライン21から来る流れVの速度の良好な低減と、また、緩衝容積部33の壁に沿って通気ライン21から来る気泡の良好な破裂と、を可能にする。好ましくは少なくとも100mlを収容する緩衝容積部33は、したがって、より簡単に実装することができる。
【0039】
その上、カバー部品32での独自の閉塞は、フィラーヘッド23の形状および形態の簡素化を可能にし、その結果、フィラーヘッド23は、製造することがより容易になる。最後に、これは、制限された部品数で生産することを可能にし、このことは、サイクルタイムおよび関連するコストを改良することを可能にする。
【0040】
図5で見ることができるように、カバー部品32は、以下で説明されるキャビティ35などの、フィラーヘッド23の主部品31の残りの部分の1つと同じ高さにまたは平面上に緩衝容積部33を配置するように、実質的に平面状の部品である。「実質的に平面状」という用語は、カバー部品32が3次元の部品であり、そのうち1つの次元(厚さと呼ばれる)について制限される、すなわち他の2つの次元に関して小さいことを意味する。したがって、カバー部品32の厚さは、緩衝容積部33(および以下で説明されるキャビティ35)を大幅に拡張するであろういかなる中空部をも、実質的に形成しない。典型的には、カバー部品32の厚さは、カバー部品32の幅の10%未満であり、突出案内要素27の高さのおよそ10%であり、かつカバー部品32の長さの5%未満である。非限定的な様式では、カバー部品32の厚さは、溶接されたアセンブリ(以下の第1の例を参照)の場合3mmと7mmとの間に含まれてもよく、またスナップフィットされたアセンブリ(以下の第2の例を参照)の場合7mmと15mmとの間に含まれてもよい。その上、カバー部品32の壁は、好ましくは1mmと3mmとの間に含まれる材料厚さで形成される。これはとりわけ、補充期間の間に、分配ノズル(図示されず)の端部を緩衝容積部33と実質的に同じ高さ(同一平面上)にすることを可能にし、このことは、緩衝容積部33の性能を改良することを可能にする。
【0041】
図5に示されるように)突出案内要素27は、キャップ(図示されず)によって、とりわけねじ止めによってまたはスナップフィットすることによって、漏れのない様式で閉塞されることができる。したがって、通気ライン21から来る尿素溶液13などの流体は、フィラーヘッド23の外側に噴出されることができない。キャップ(図示されず)は、タンク11に流体を補充するために取り外されることができる。
【0042】
図3から図5で見ることができるように、本体25は、主部品31に統合されたキャビティ35を備え、流体が、主部品31内で、第1の出口28を介して充填ライン19に案内される。キャビティ35は、タンク11が事実上一杯になるまで分配ノズルの停止機能の作動を回避するように、充填ライン19および/または第1の出口28の1つに関して拡大された断面を有していてもよい。
【0043】
キャビティ35は、フィラーヘッド23の大きさを最適化しかつフィラーヘッド23の部品数を制限するように、共通壁37によって緩衝容積部33から分離されている。とりわけ、フィラーヘッド23の高さは、緩衝容積部33の容量と比較して制限され、このことは、車へのより容易な実装を可能にすることは明白である。図4および図5に示されるように、少なくとも1つの開口部39が、共通壁37に含まれ、開口部39は、緩衝容積部33がキャビティ35と連通することを可能にする。本発明によるこの実装は、主部品31の形状および形態に関して高い自由度を可能にする。実際に、主部品31の頂部の全体は完全に開放され、したがって、このことは、フィラーヘッド23をより容易に製造することを可能にする。
【0044】
例えば、有利には本発明によると、開口部39の縁部は、したがってカバー部品32によって形成されてもよく、すなわち、共通壁37は、単純に切り欠かれてもよく、かつ開口部39は、カバー部品32によって部分的に縁取られまたは画成されても、あるいはカバー部品32の表面の一部であってもよい。
【0045】
主部品31へインサートを搭載することもより容易になり、また次に、カバー部品32で主部品31を閉塞することによってインサートを本体25に固定することもより容易になる。したがって、補充期間の間に通気ライン21から来る空気の流れVと充填ライン19へ行く流体の流れFとの区切りを改良するように、分離装置41は、主部品31とカバー部品32との間の本体25のキャビティ35に搭載されてもよい。
【0046】
分離装置41は、好ましくは、交換可能であるように、取り外し可能である。分離装置41は、したがって、ノズルおよび/またはタンクの、異なる種類または寸法に適応させるために、異なる幾何学的形状と交換されることができる。これはとりわけ、いかなる市場であっても、実質的に同じフィラーヘッド(少なくとも同じ主部品31、および最終的には同じカバー部品32)を維持することを可能にし、分離装置41は、市場の仕様に適合されるための主な構成要素である(突出案内要素27も、最終的には適合される必要がある可能性もある)。
【0047】
分離装置41は、少なくとも1つの要素が搭載され得る本体42を備えてもよい。図3および図5の例では、通気要素43、固定要素45、遮蔽要素47および支持要素49が示されている。通気要素43は、通気ライン21から来る空気の流れVが、本体42を通過して突出案内要素27を介して外気、すなわち貯蔵システム10の外側に排出されることを可能にする少なくとも1つの穴44を備えていてもよい。図3および図5の例では、通気要素43は、8つの穴44を備える。当然ながら、本発明の利点を失うことなく、穴44の幾何学的形状および/または数を変更してもよい。
【0048】
固定要素45は、キャビティ35への本体42の搭載を可能にする。したがって、固定要素45は、ほぞ継ぎアセンブリ、蟻継ぎアセンブリ、接着材料、などの少なくとも1つの接合要素を備えていてもよい。図3から図5の例では、固定要素45は、キャビティ35の内壁から突出する4つのほぞ46aを備え、ほぞ46aはそれぞれ、本体42の外表面に搭載された対応するほぞ穴46bと協働する。したがって、本体42をキャビティ35に固定するように、主部品31と分離装置41との間の相対的な並進によって、それぞれのほぞ46aは摺動し、かつそれぞれの対応するほぞ穴46bに当接する。
【0049】
遮蔽要素47は、とりわけ補充期間の間に、通気ライン21から来る空気の流れVおよび充填ライン19へ行く流体の流れF中のいかなる液体も、フィラーヘッド23から排出されることを回避する。したがって、遮蔽要素47は、リブ、フランジ、などの少なくとも1つの壁を備えていてもよい。図3および図5の例では、遮蔽要素47は、4つの部分フランジ48a(図5では実質的に水平)および4つの横リブ48b(図5では実質的に鉛直)を備え、4つの部分フランジ48aおよび4つの横リブ48bは、本体42の外表面からそれぞれ突出する。図3および図5で見ることができるように、遮蔽要素47は、流れVおよび/または流れFからのいかなる液体の通過をも制限するために、すなわち空気のみが穴44を通過することを可能にするために、通気要素43の穴44を少なくとも部分的にまたは完全に取り囲む。
【0050】
より具体的には、遮蔽要素47は、通気ライン21から来る空気の流れVが、尿素溶液が全く混入することなくフィラーヘッド23から排出されることを目的とする。したがって、遮蔽要素47は、通気ライン21または充填ライン19のいずれかから来るいかなる尿素溶液も、補充期間の間に分配ノズルの端部に、またはより一般には突出案内要素27に、接触することを回避する。実際に、部分フランジ48a(図5では実質的に水平)は、主に充填ライン19から来る尿素溶液の軸方向通過を妨害するのに対し、横リブ48b(図5では実質的に鉛直)は、主に(開口部39を通過する)通気ライン21から来る尿素溶液の径方向通過を抑制する。その結果、遮蔽要素47は、通気ライン21または充填ライン19のいずれかから来るいかなる尿素溶液も、主に充填ライン19によってタンク11へ戻るように、キャビティ35でブロックされることを可能にする。
【0051】
尿素分配ノズル(図示されず)は、燃料フィラーヘッドに導入され得る。したがって、磁場によって作動される分配ノズルのためのバルブ(図示されず)が開発された。それぞれの尿素タンク11は、その結果、バルブを作動しかつ尿素溶液13の放出を可能にするための、磁気要素を有しなければならない。磁場は、一般に、突出案内要素27の内側に圧入された永久磁石によって引き起こされる。しかしながら、磁石と突出案内要素27との間の膨張率の差は、とりわけフィラーヘッド23がパワートレイン3の近傍にあり大きな温度の変動が発生するとき、深刻な相対的収縮/膨張に起因して、突出案内要素27の破壊を導く可能性がある。
【0052】
有利には、分離装置41は、永久磁石などの磁気要素51を受容することができる本発明による支持要素49をさらに備える。支持要素49は、分配ノズルが突出案内要素27に導入されたとき、分配ノズルの磁気開放バルブの作動を可能にする。その上、磁気要素51は、フィラーヘッド23の、磁気要素51と分離装置41と本体25との間の膨張率のいかなる差をも補償するように、すきまばめまたはしまりばめにしたがって支持要素49に搭載される。これはまた、磁場を生成するために、電磁コイルなどの、すなわち永久磁石とは異なる、別の種類の磁気要素51を使用することも可能にする。その上、これは、分離装置41およびカバー部品32のそれぞれが、磁気要素51の位置決め要素として作用することを可能にする。
【0053】
好ましくは、支持要素49は、また、磁気要素51によって生成される磁場の間違った配向を防止する誤操作防止装置を備える。したがって、磁気要素51と支持要素49の環状壁(図5では実質的に鉛直)とは、ほぞ継ぎアセンブリ、蟻継ぎアセンブリ、などにより協働することができる。図3および図5の例では、支持要素49は、その環状壁の内表面から突出する4つのリブ50を備え、リブ50はそれぞれ、磁気要素51の外表面の対応する盲溝52と協働する。図5に示されるように、盲溝52は、磁気要素51の正しい配向を確実にするように、磁気要素51の軸方向厚さ(図5では実質的に鉛直)全体に沿っては延在しない(反対側では、開口溝52は存在しない)。
【0054】
したがって、支持要素49への磁気要素51の正しい配向を保証するように、磁気要素51と分離装置41との間の相対的な並進によって、それぞれのリブ50は摺動し、かつそれぞれの対応する溝52の底(磁気要素51の軸方向厚さに沿った溝52の端部)に当接する。その上、磁気要素51と支持要素49との間のすきまばめまたはしまりばめにしたがって、これらの要素49および51の深刻な相対的収縮/膨張は、フィラーヘッド23がパワートレイン3の近傍に搭載され大きな温度の変動が発生する場合でさえも、それら要素を破壊しない。
【0055】
当然ながら、代替的に、盲溝52は、本発明から逸脱することなく、2つの反対の配向にしたがって磁気要素51を案内するように、磁気要素51の厚さ全体に沿って延在してもよい。
【0056】
主部品31内に搭載された後、分離装置41は、次に、カバー部品32で主部品31を閉塞することによって本体25に固定される。有利には、本発明によると、磁気要素51は、もはや突出案内要素27の内側に圧入される必要がない。第1の例によると、カバー部品32は、溶接によって、漏れのない様式で主部品31に固定される。したがって、製造プロセスの間に、サイクルタイムおよび関連するコストの改良を可能にする独自の溶接が使用される。
【0057】
第2の例によると、カバー部品32は、カバー部品32と主部品31との間のシールリング53とスナップフィットすることによって、主部品31に、漏れのない様式で固定される。したがって、製造プロセスは、溶接工程の使用を回避することができ、このことは、より容易な処理を可能にする。図3および図5の例では、スナップフィットは、カバー部品32に一体化されかつ貫通穴56を備える周縁スカート55によって実施されることができる。スカート55は、応力下で径方向に弾性的に変位可能であるように構成される。したがって、穴56はそれぞれ、主部品31の外表面に一体化された突出スタッド57と協働することができる。したがって、カバー部品32で主部品31を閉塞することによって、スカート55は、スナップフィットされるように、穴56がスタッド57に面するまでスタッド57に当接することによって径方向に弾性的に押圧される。
【0058】
好ましくは、シールリング53は、エラストマー材料で作られる。図4および図5の例では、シールリング53は、U字状断面を有する。シールリング53は、主部品31の頂縁部の上に成型されるか、またはスナップフィットする前に単に頂縁部に載置されるかのいずれかである。
【0059】
当然ながら、本発明は、提示された実施形態および変形例に限定されず、当業者には明らかであるさまざまな他の実施形態および/または変形例に従ってもよい。特に、車へのフィラーヘッド23の適用および/または配置に関して、本体42の幾何学的形状をさらに最適化することが可能である。したがって、フィラーヘッド23は、尿素タンクの補充に限定されない。また、フィラーヘッド23は、例えば、水タンクまたは燃料タンクに適用可能であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 貯蔵システム
11 タンク
19 充填ライン
21 通気ライン
23 フィラーヘッド
25 本体
27 突出案内要素
31 主部品
32 カバー部品
35 キャビティ
41 分離装置
42 本体
43 通気要素
44 穴
45 固定要素
46a ほぞ
46b ほぞ穴
47 遮蔽要素
48a 部分フランジ
48b 横リブ
49 支持要素
50 リブ
51 磁気要素
52 盲溝
53 シールリング
F 流体の流れ
V 空気の流れ
図1
図2
図3
図4
図5