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特許7433249ステロイドホルモンに関連する疾患または障害を処置するための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ステロイドホルモンに関連する疾患または障害を処置するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/704 20060101AFI20240209BHJP
   A61K 36/74 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A61K31/704
A61K36/74
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020566911
(86)(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 US2019034548
(87)【国際公開番号】W WO2019232146
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】62/679,386
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503469393
【氏名又は名称】イエール ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヨンジー
(72)【発明者】
【氏名】ラム ウィン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ザオリ
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1322661(KR,B1)
【文献】特開平10-139639(JP,A)
【文献】Int.J.Mol.Sci.,2017年,Vol.18,Article No.1619
【文献】Tetrahedron,2015年,Vol.71,pp.9673-9678
【文献】Chem.Pharm.Bull.,Vol.56,2008年,pp.213-216
【文献】Chem.Pharm.Bull.,Vol.32,1984年,pp.284-290
【文献】Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine,2013年,Vol.2013,Article ID 792840
【文献】臨床外科,2017年,Vol.72, No.7,pp.876-880
【文献】日本臨床,2015年,Vol.73, No.8,pp.1349-1354
【文献】Planta Med,2012年,Vol.78,pp.177-181
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 36/00-36/9068
A61K 39/00-39/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において少なくとも1種類の疾患または障害を処置するための薬学的組成物であって、
少なくとも1種の活性化学種の治療的有効量を含む、ルビア・コルディフォリア(Rubia cordifolia)の草本植物抽出物もしくはその画分または該草本植物抽出物中もしくはその画分中に存在する少なくとも1種の活性化学種の治療的有効量を含み、該疾患または障害が、前立腺がんまたは乳がんであり、
該少なくとも1種の活性化学種が、
(i) 1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド](RGA)またはその塩、溶媒和物、異性体、もしくは互変異性体であるか、あるいは
(ii) RGA、またはその塩、溶媒和物、異性体、もしくは互変異性体、および1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)β-D-グルコピラノシド](RG)、または、その塩、溶媒和物、異性体、もしくは互変異性体である、
該薬学的組成物
【請求項2】
前記がんが、去勢抵抗性前立腺がん、エンザルタミド抵抗性前立腺がん、グルココルチコイド受容体介在抵抗性前立腺がん、BRCA1(二本鎖切断修復)欠損性のがん、ダブルネガティブ乳がん、およびトリプルネガティブ乳がんからなる群より選択される治療抵抗性がんである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
Brd4、Brd2、サイクリンD1、p53、Gata3、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ-1(PARP-1)、およびCD47からなる群より選択される少なくとも1種類のタンパク質の発現を下方制御する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記対象においてヒストンH3の高アセチル化を阻害する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記対象においてがん性腫瘍細胞への食作用を促進する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記対象においてインドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)活性を阻害する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質と組み合わせて前記対象に投与され、該免疫チェックポイント阻害物質が抗体である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質が、抗PD1、抗PD-L1、および抗CTLA4からなる群より選択される、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質が、イピリムマブ、アベルマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、デュルバルマブ、およびアテゾリズマブからなる群より選択される、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記対象が哺乳類である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記対象がヒトである、請求項10に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下で、2018年6月1日に提出された米国特許仮出願第62/679,386号に対し優先権を主張し、該仮出願は本明細書によってその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、およびグルココルチコイド受容体は、ステロイドホルモン受容体の広範なクラスに属している。ステロイドホルモン受容体は、さまざまながんの進行および増殖に影響を及ぼすことが示されている、リガンド依存性の細胞内転写因子であり、該がんには、限定されるものではないが、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、白血病、およびリンパ腫が含まれる。ホルモン療法は、ステロイドホルモン受容体の活性を調節することによって、これらの種類のがんを処置する見込みがあることを示している。これらの結果は、ステロイドホルモン受容体の活性の調節が、さまざまながん、ならびに他のホルモン受容体に関連する疾患および障害の処置のための、潜在的な標的であり得ることを示唆する。
【0003】
当技術分野においては、ステロイドホルモン受容体に関連する疾患および/または障害の処置のための新規な組成物ならびに方法に対する、まだ対処されていない必要性が依然として存在している。本発明は、まだ対処されていないこの必要性を充足させる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、対象において少なくとも1種類の疾患または障害を処置する方法を提供する。ある態様において、該方法は、対象に、ルビア・コルディフォリア(Rubia cordifolia)植物体の草本植物抽出物またはその画分の治療的有効量を投与する段階を含む。ある態様において、該方法は、対象に、ルビア・コルディフォリアの草本植物抽出物中またはその画分中に存在する、任意の活性化学種を投与する段階を含む。
【0005】
ある態様において、少なくとも1種類の疾患または障害は、少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の活性に関連するか、またはBrd4、Brd2、サイクリンD1、p53、Gata3、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ-1(PARP-1)、およびCD47からなる群より選択される少なくとも1種類のタンパク質の発現に関連する。
【0006】
ある態様において、草本植物抽出物中に存在する活性化学種は、1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド](RGA)、3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-β-D-グルコピラノシド](RG)、および、それらの塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、またはプロドラッグからなる群より選択される。
【0007】
ある態様において、草本植物抽出物またはその画分は、RGA、またはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、もしくはプロドラッグを含む。
【0008】
ある態様において、草本植物抽出物またはその画分は、RG、またはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、もしくはプロドラッグをさらに含む。
【0009】
ある態様において、少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体は、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、およびグルココルチコイド受容体からなる群より選択される、少なくとも1種類の受容体である。
【0010】
ある態様において、少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の活性に関連する、少なくとも1種類の疾患または障害は、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、子宮がん、膵臓がん、結腸がん、肝細胞がん、膠芽腫、多発性骨髄腫、NUTカルシノーマ、白血病、およびリンパ腫からなる群より選択される、がんである。
【0011】
ある態様において、がんは、去勢抵抗性前立腺がん、エンザルタミド抵抗性前立腺がん、グルココルチコイド受容体介在抵抗性前立腺がん、BRCA1(二本鎖切断修復)欠損性のがん、ダブルネガティブ乳がん、およびトリプルネガティブ乳がんからなる群より選択される、治療抵抗性がんである。
【0012】
ある態様において、少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の活性に関連する、少なくとも1種類の疾患または障害は、前立腺肥大症、クッシング症候群、アンドロゲン性脱毛症、ざ瘡、脂漏症、多毛症(過剰な体毛)、化膿性汗腺炎、性的機能不全、思春期早発症(男性および女性の両方において)、多嚢胞性卵巣症候群、乳房痛(mastodynia)(乳房痛(breast pain)/乳房圧痛)、乳房フィブロイド(breast fibroid)、乳腺房増殖(乳房腫大)、巨大乳房症(乳房肥大)、女性化乳房、黒皮症、月経過多、子宮内膜症、子宮内膜増殖症、腺筋症、子宮筋腫、ならびに心的外傷後ストレス障害(PTSD)からなる群より選択される。
【0013】
ある態様において、少なくとも1種類のタンパク質の発現に関連する、少なくとも1種類の疾患または障害は、ハンチントン病、統合失調症、乾癬、マントル細胞リンパ腫、乳がん、膀胱がん、下垂体腺腫、副甲状腺腺腫、膵臓がん、頭頸部扁平上皮がん、および非小細胞肺がんからなる群より選択される。
【0014】
ある態様において、方法は、Brd4、Brd2、サイクリンD1、p53、Gata3、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ-1(PARP-1)、およびCD47からなる群より選択される少なくとも1種類のタンパク質の発現を、下方制御する。
【0015】
ある態様において、投与によって、対象においてヒストンH3の高アセチル化が阻害される。
【0016】
ある態様において、投与によって、対象においてがん性腫瘍細胞への食作用が促進される。
【0017】
ある態様において、投与によって、対象においてインドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)活性が阻害される。
【0018】
ある態様において、対象には、少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質がさらに投与される。ある態様において、少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質は、抗PD1、抗PD-L1、および抗CTLA4からなる群より選択される。ある態様において、少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質は、イピリムマブ、アベルマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、デュルバルマブ、およびアテゾリズマブからなる群より選択される。
【0019】
ある態様において、対象は哺乳類である。
【0020】
ある態様において、対象はヒトである。
[本発明1001]
それを必要とする対象において少なくとも1種類の疾患または障害を処置する方法であって、
該方法が、該対象に、ルビア・コルディフォリア(Rubia cordifolia)の草本植物抽出物もしくはその画分または該草本植物抽出物中もしくはその画分中に存在する任意の活性化学種の治療的有効量を投与する段階を含み、該疾患または障害が、少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の活性に関連するか、またはBrd4、Brd2、サイクリンD1、p53、Gata3、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ-1(PARP-1)、およびCD47からなる群より選択される少なくとも1種類のタンパク質の発現に関連する、該方法。
[本発明1002]
前記草本植物抽出物中またはその画分中に存在する前記活性化学種が、1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド](RGA)、3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)β-D-グルコピラノシド](RG)、および、それらの塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、またはプロドラッグからなる群より選択される、本発明1001の方法:

[本発明1003]
前記少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体が、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、およびグルココルチコイド受容体からなる群より選択される少なくとも1種類の受容体である、本発明1001の方法。
[本発明1004]
少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の前記活性に関連する前記少なくとも1種類の疾患または障害が、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、子宮がん、膵臓がん、結腸がん、肝細胞がん、膠芽腫、多発性骨髄腫、NUTカルシノーマ、白血病、およびリンパ腫からなる群より選択されるがんである、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記がんが、去勢抵抗性前立腺がん、エンザルタミド抵抗性前立腺がん、グルココルチコイド受容体介在抵抗性前立腺がん、BRCA1(二本鎖切断修復)欠損性のがん、ダブルネガティブ乳がん、およびトリプルネガティブ乳がんからなる群より選択される治療抵抗性がんである、本発明1004の方法。
[本発明1006]
少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の前記活性に関連する前記少なくとも1種類の疾患または障害が、前立腺肥大症、クッシング症候群、アンドロゲン性脱毛症、ざ瘡、脂漏症、多毛症(過剰な体毛)、化膿性汗腺炎、性的機能不全、思春期早発症(男性および女性の両方において)、多嚢胞性卵巣症候群、乳房痛(mastodynia)(乳房痛(breast pain)/乳房圧痛)、乳房フィブロイド(breast fibroid)、乳腺房増殖(乳房腫大)、巨大乳房症(乳房肥大)、女性化乳房、黒皮症、月経過多、子宮内膜症、子宮内膜増殖症、腺筋症、子宮筋腫、ならびに心的外傷後ストレス障害(PTSD)からなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記少なくとも1種類のタンパク質の発現に関連する前記少なくとも1種類の疾患または障害が、ハンチントン病、統合失調症、乾癬、マントル細胞リンパ腫、乳がん、膀胱がん、下垂体腺腫、副甲状腺腺腫、膵臓がん、頭頸部扁平上皮がん、および非小細胞肺がんからなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1008]
Brd4、Brd2、サイクリンD1、p53、Gata3、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ-1(PARP-1)、およびCD47からなる群より選択される少なくとも1種類のタンパク質の発現を下方制御する、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記投与によって、前記対象においてヒストンH3の高アセチル化が阻害される、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記投与によって、前記対象においてがん性腫瘍細胞への食作用が促進される、本発明1001の方法。
[本発明1011]
前記投与によって、前記対象においてインドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)活性が阻害される、本発明1001の方法。
[本発明1012]
前記対象に、少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質がさらに投与される、本発明1001の方法。
[本発明1013]
前記少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質が、抗PD1、抗PD-L1、および抗CTLA4からなる群より選択される、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質が、イピリムマブ、アベルマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、デュルバルマブ、およびアテゾリズマブからなる群より選択される、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記対象が哺乳類である、本発明1001の方法。
[本発明1016]
前記対象がヒトである、本発明1015の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明を例示する目的のため、本発明のいくつかの態様が図面において表現される。しかしながら、本発明は、図面において表現される態様そのままの取り合わせおよび手段に限定されるものではない。
図1】22RV1前立腺がん細胞における、ジヒドロテストステロン(DHT)誘導性アンドロゲン受容体介在転写活性に対する、ルビア・コルディフォリア(Y9、Y1830、Y1831)のいくつかの草本植物水抽出調製物の効果を示す、グラフである。前立腺特異抗原(PSA)ルシフェラーゼレポーターをトランスフェクトした22RV1細胞は、ルシフェラーゼ活性が測定される前に、ルビア・コルディフォリアの水抽出物のいくつかのバッチを用いて、24時間にわたり処理された。
図2図2A~2Bは、固相シリカ抽出(DSC18)カラムを通過させた後の、ルビア・コルディフォリア抽出物のいくつかのエタノール抽出画分(図2A:Y1830;図2B:Y9)についての、抗アンドロゲン受容体(AR)活性を示す、グラフのセットである。抗AR活性は、22RV1 PSA-ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いて評価された。図2Cは、50%エタノール画分からの2つのピークを示すLC-MSスペクトル(ネガティブスキャンモード)であり、該ピークは、MW 578.4を有する1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-β-D-グルコピラノシド](RG)として、およびMW 620.4を有する1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド](RGA)として、アサインされた。RGAおよびRGの、分離したアントラキノンモエティは、75%エタノール画分において観測され、そしてMW 270.2を有する1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン(TMT)としてアサインされた。図2Dは、NaOH処理有りまたは無しのRGAについてのLC-MSスペクトル(ネガティブスキャンモード)である。LC-MSスペクトルは、塩基を用いて処理すると、アセチルモエティが除去されて、RGAはRGに加水分解されることを示す。
図3】RGAを含む画分が、M/Z=757.4(M+H)、M/Z=332、M/Z=495を有する追加の分子を含み得ることを示す、LC-MSスペクトル(ポジティブスキャンモード)である。
図4図4A~4Bは、ジヒドロテストステロン(DHT)の存在下での、22RV1 AR-ルシフェラーゼレポーター細胞のAR介在転写応答に対する、等価用量でのY9、Y1830、RG(またはRGを含む画分)、RGA(またはRGAを含む画分)、およびTMT(またはTMTを含む画分)の効果を示す、グラフである。図4C~4Dは、Y1830、RG(またはRGを含む画分)、およびRGA(またはRGAを含む画分)の、PSAのmRNAに対する効果(図4C)およびKLK2のmRNAに対する効果(図4D)を示す、グラフである。22RV1細胞は、Y1830、RGA、またはRGを用いて一晩処理され、そしてmRNAがqRT-PCRのために抽出され、ベータ-アクチンに対して標準化された場合の、PSAおよびKLK2のmRNA発現レベルが決定された。
図5図5A~5Gは、22RV1 PSA-ルシフェラーゼレポーター細胞およびPC3 PSA-ルシフェラーゼレポーター細胞の、デキサメタゾン(DEX)誘導性グルココルチコイド受容体(GR)介在転写応答に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)の効果を示す、画像およびグラフである。図5Aは、LNCaP細胞、22RV1細胞、およびPC3細胞における、ARおよびGRのタンパク質発現に関するウェスタンブロット分析である。図5B~5Cは、22RV1 AR-ルシフェラーゼレポーター細胞またはPC3 AR-ルシフェラーゼレポーター細胞における、いくつかの用量のDEXへの応答としてのルシフェラーゼ活性を示す、グラフである。図5D~5Eは、22RV1 PSA-ルシフェラーゼレポーター細胞およびPC3 PSA-ルシフェラーゼレポーター細胞の、DEX誘導性グルココルチコイド受容体介在転写応答に対する、Y1830、RG(またはRGを含む画分)、およびRGA(またはRGAを含む画分)の効果を示す、グラフである。図5F~5Gは、DEX有りまたは無しでの、SGK1(GRの標的遺伝子)のmRNA発現に対するY1830の効果を、qRT-PCRを用いて示すグラフである。
図6図6A~6Dは、標準のLNCaP細胞またはGR過剰発現LNCaP細胞の、AR駆動性ルシフェラーゼ活性もしくはGR駆動性ルシフェラーゼ活性に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)の効果を示す、画像およびグラフである。図6Aは、LNCaP細胞およびGR過剰発現LNCaP細胞における、ARおよびGRのタンパク質発現に関するウェスタンブロット分析である。図6Bは、LNCaP細胞およびGR過剰発現LNCaP細胞の、DHTへのおよびDEXへの応答を示す、グラフである。図6Cは、LNCaP細胞におけるAR駆動性ルシフェラーゼ活性に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、RG(またはRGを含む画分)、およびエンザルタミド(ENZA)の効果を示す、グラフのセットである。図6Dは、GR過剰発現LNCaP細胞におけるAR(DHTを用いて刺激)駆動性ルシフェラーゼ活性またはGR(DEXを用いて刺激)駆動性ルシフェラーゼ活性に対する、Y1830、RGA(RGAを含む画分)、RG(またはRGを含む画分)、およびENZAの効果を示す、グラフのセットである。LNCaP細胞およびGR過剰発現LNCaP細胞は両方とも、AR応答エレメントを有するルシフェラーゼレポーターを保持していた。
図7図7A~7Eは、DHTもしくはDEXの存在下、またはそれらの非存在下での、いくつかの前立腺細胞株の4日間の増殖を示す、グラフである。
図8図8A~8Bは、22RV1細胞において、DHTおよびMG132の存在下、またはそれらの非存在下で、GR、AR、短縮型AR(AR-V)、ベータ-カテニン(b-cat)、およびサイクリンD1(cycD1)のタンパク質発現に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)の効果を示す、ウェスタンブロット分析である。22RV1細胞は、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)を用いて、DHTおよびMG132の存在下、またはそれらの非存在下で、24時間にわたり処理された。ウェスタンブロット分析は、タンパク質に特異的な抗体を用いてタンパク質発現を測定するために使用された。
図9図9A~9Bは、MCF7細胞において、DHTおよびMG132の存在下、またはそれらの非存在下で、ERa、ERb、GR、PR-b、PRa、AR、AR-V、b-cat、およびcycD1のタンパク質発現に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRGまたはRGを含む画分の効果を示す、ウェスタンブロット分析である。MCF7細胞は、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)を用いて、E2およびMG132の存在下、またはそれらの非存在下で、24時間にわたり処理された。ウェスタンブロット分析は、タンパク質に特異的な抗体を用いてタンパク質発現を測定するために使用された。
図10】MCF7細胞において、E2の存在下またはその非存在下で、p53、H2AX、H2AX-ser139、PARP1、およびGATA3タンパク質のタンパク質発現に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)の効果を示す、ウェスタンブロット分析である。MCF7細胞は、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)を用いて、E2の存在下またはその非存在下で、24時間にわたり処理された。ウェスタンブロット分析は、タンパク質に特異的な抗体を用いてタンパク質発現を測定するために使用された。
図11図11A~11Bは、MCF7細胞においてE2の存在下またはその非存在下で(図11A)、および22R1細胞においてDHTの存在下またはその非存在下で(図11B)、Brd4、Brd2のタンパク質発現、ならびに9位、14位、および27位のリジンでのヒストンアセチル化に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)の効果を示す、ウェスタンブロット分析である。細胞は、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)を用いて、E2もしくはDHTの存在下、またはそれらの非存在下で、24時間にわたり処理された。ウェスタンブロット分析は、タンパク質に特異的な抗体を用いてタンパク質発現を測定するために使用された。β-アクチンまたはヒストン3は、タンパク質のローディングを標準化するために使用された。
図12図12A~12Cは、E2の存在下(図12C)またはE2の非存在下(図12B)での、MCF7細胞、T4D細胞、MDAMB453細胞、およびMDAMBA231細胞の4日間にわたる細胞増殖に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)の効果を示す、グラフである。
図13】インビトロアッセイにおいて、インドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)活性に対する、ルビア・コルディフォリアのいくつかの調製物の効果を示す、グラフである。500 μg/mlのY1830、Y9、またはN9は、溶解されたHEK293細胞に追加され、90分間にわたり、1mM L-トリプトファンの存在下に置かれた、ここで該細胞は48時間にわたり、マウスIDO発現プラスミドをトランスフェクトしたものである。培地におけるキヌレニンの濃度は、比色に基づくアッセイを用いて測定された。
図14】固相抽出C18カラムからの、Y1830のいくつかのエタノール溶出物の、AR活性およびIDO活性に対する阻害プロファイルを比較する、グラフのセットである。E10%抽出物、E30%抽出物、E50%抽出物、およびE75%抽出物(ここで E=エタノール)についてのLC-MS化学プロファイルは、下のパネルに示される。
図15図15A~15Bは、処置の期間中の、22RV1腫瘍増殖およびヌードマウスの体重に対する、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)の効果を示す、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、1つの局面において、ルビア・コルディフォリア植物(コモンマダー(common madder)、インディアンマダー(Indian madder)、マンジスタ(manjistha)、マジス(majith)、タマラリ(tamaralli)、またはマンディティ(manditti)としても知られる)の草本植物抽出物が、多数の一般的な疾患および障害の病態に関与するいくつかの受容体、タンパク質、および酵素に対する強力な阻害物質であるという予想外の発見に関連する。
【0023】
1つの局面において、本発明は、ルビア・コルディフォリアの草本植物抽出物もしくはその画分を用いてまたは該草本植物抽出物中もしくはその画分中に存在する任意の活性化学種を用いて、さまざまな疾患および障害を処置するための方法を、提供する。ある態様において、方法は、ステロイドホルモン受容体に関連する少なくとも1種類の疾患または障害を処置するために有用であり、該ステロイドホルモン受容体は、限定されるものではないが、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、およびグルココルチコイド受容体などである。他の態様において、方法は、Brd4、Brd2、サイクリンD1、p53、Gata3、およびCD47からなる群より選択される少なくとも1種類のタンパク質の発現に関連する、少なくとも1種類の疾患または障害を処置するために、有用である。さらに他の態様において、草本植物抽出物、およびそれから単離された活性化学種は、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、子宮がん、膵臓がん、結腸がん、肝細胞がん、膠芽腫、多発性骨髄腫、NUTカルシノーマ、白血病、およびリンパ腫からなる群より選択される少なくとも1種類のがんを処置するために、使用され得る。
【0024】
さらに他の態様において、草本植物抽出物、およびそれから単離された活性化学種は、ヒストンH3の高アセチル化に関連する障害を処置するために使用され得、これは限定されるものではないが、ハンチントン病および統合失調症などである。
【0025】
方法
1つの局面において、本発明は、対象において少なくとも1種類の疾患または障害を処置する方法を提供する。ある態様において、方法は、対象に、ルビア・コルディフォリアの草本植物抽出物もしくはその画分または該草本植物抽出物中もしくはその画分中に存在する任意の活性化学種の治療的有効量を投与する段階を、含む。
【0026】
ある態様において、草本植物抽出物中に存在する活性化学種は、1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド](RGA)であるか、またはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、もしくはプロドラッグである。
【0027】
ある態様において、草本植物抽出物中に存在する活性化学種は、1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-β-D-グルコピラノシド](RG)であるか、またはその塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、もしくはプロドラッグである。
【0028】
ある態様において、方法は、少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の活性に関連する少なくとも1種類の疾患または障害を処置する。他の態様において、少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体は、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、およびグルココルチコイド受容体からなる群より選択される。さらに他の態様において、方法は、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体アルファ、およびプロゲステロン受容体からなる群より選択される少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の発現を、下方制御する。さらに他の態様において、方法は、グルココルチコイド受容体の活性を阻害する。
【0029】
ある態様において、少なくとも1種類の疾患または障害は、がんである。他の態様において、がんは、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、子宮がん、膵臓がん、結腸がん、肝細胞がん、膠芽腫、多発性骨髄腫、NUTカルシノーマ、白血病、およびリンパ腫からなる群より選択される、少なくとも1種類のがんである。
【0030】
さらに他の態様において、がんは、治療抵抗型のがんである。さらに他の態様において、がんは、去勢抵抗性前立腺がん、エンザルタミド抵抗性前立腺がん、BRCA1(二本鎖切断修復)欠損性のがん、およびグルココルチコイド受容体介在抵抗性前立腺がんからなる群より選択される、少なくとも1種類のがんである。さらに他の態様において、がんは、ダブルネガティブ乳がんまたはトリプルネガティブ乳がんである。さらに他の態様において、トリプルネガティブ乳がんは、MBA-MB-231またはMBA-MB-453乳がんである。
【0031】
ある態様において、少なくとも1種類の疾患または障害は、前立腺肥大症である。
【0032】
ある態様において、少なくとも1種類の疾患または障害は、クッシング症候群、アンドロゲン性脱毛症、ざ瘡、脂漏症、多毛症(過剰な体毛)、化膿性汗腺炎、性的機能不全、思春期早発症(男性および女性の両方において)、多嚢胞性卵巣症候群、乳房痛(mastodynia)(乳房痛(breast pain)/乳房圧痛)、乳房フィブロイド、乳腺房増殖(乳房腫大)、巨大乳房症(乳房肥大)、女性化乳房、黒皮症、月経過多、子宮内膜症、子宮内膜増殖症、腺筋症、ならびに子宮筋腫からなる群より選択される、ホルモン機能疾患または障害である。
【0033】
ある態様において、方法は、少なくとも1種類のステロイドホルモン受容体の活性に関連する少なくとも1種類の精神障害を、処置する。他の態様において、少なくとも1種類の精神障害は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。
【0034】
ある態様において、方法は、Brd4、Brd2、サイクリンD1、p53、Gata3、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ-1(PARP-1)、およびCD47からなる群より選択される少なくとも1種類のタンパク質の発現に関連する、少なくとも1種類の疾患または障害を、処置する。他の態様において、少なくとも1種類のタンパク質の発現に関連する少なくとも1種類の疾患または障害は、本明細書の他の箇所において記載される少なくとも1種類のがん、および少なくとも1種類の炎症性疾患または障害からなる群より選択される。
【0035】
ある態様において、方法は、対象においてBrd4の発現を下方制御し、それにより、ヒストンH3の高アセチル化を阻害する。他の態様において、方法は、ヒストン3のリジン27アセチル化(H3 ac-lys27)を低下させるが、H3 ac-lys9アセチル化とH3 ac-lys14アセチル化は低下させない。さらに他の態様において、方法は、ヒストンH3の高アセチル化に関連する少なくとも1種類の疾患または障害を処置し、該少なくとも1種類の疾患または障害は、必ずしも限定されるものではないが、本明細書の他の箇所において記載される少なくとも1種類のがん、炎症性疾患および障害、自己免疫疾患および障害、ハンチントン病、ならびに統合失調症から選択される。
【0036】
ある態様において、方法は、対象においてCD47の発現を下方制御する。何らかの特定の理論に限定されることを意図するものではないが、腫瘍細胞におけるCD47発現の下方制御は、腫瘍細胞へのマクロファージによる食作用に対する阻害を、妨げ得る。他の態様において、方法は、対象においてがん性腫瘍細胞への食作用を促進する。
【0037】
ある態様において、方法は、対象においてサイクリンD1の発現を下方制御する。他の態様において、方法は、乾癬、マントル細胞リンパ腫、乳がん、膀胱がん、下垂体腺腫、副甲状腺腺腫、膵臓がん、頭頸部扁平上皮がん、および非小細胞肺がんからなる群より選択される、少なくとも1種類の疾患または障害を、処置する。
【0038】
ある態様において、方法は、対象においてインドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)活性を阻害する。
【0039】
ある態様において、方法は、免疫療法ベースの治療レジメンの一部として有用である。他の態様において、方法は、対象に、少なくとも1種類の免疫チェックポイント阻害物質を投与する段階をさらに含む。さらに他の態様において、免疫チェックポイント阻害物質は、抗PD1、抗PD-L1、および抗CTLA4からなる群より選択される。他の態様において、免疫チェックポイント阻害物質は、イピリムマブ、アベルマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、デュルバルマブ、およびアテゾリズマブからなる群より選択される。
【0040】
ある態様において、方法は、対象に、少なくとも1種類の追加の抗がん剤を投与する段階を、さらに含む。他の態様において、少なくとも1種類の追加の抗がん剤は、化学療法剤である。
【0041】
別の局面において、本発明は、疾患または障害の処置以外の目的のために、対象において1種類または複数種類のステロイドホルモン受容体を調節する方法を、提供する。ある態様において、本発明は、対象において妊娠中絶する方法を提供する。他の態様において、本発明は、対象において避妊の手段を提供する。さらに他の態様において、方法は、対象に、ルビア・コルディフォリアの草本植物抽出物もしくはその画分または該草本植物抽出物中もしくはその画分中に存在する任意の活性化学種の治療的有効量を投与する段階を、含む。
【0042】
ある態様において、対象は哺乳類である。他の態様において、対象はヒトである。
【0043】
ある態様において、草本植物抽出物は、対象に経口投与される。他の態様において、草本植物抽出物は、丸剤、錠剤、カプセル、スープ、煎じ液、濃縮物、糖衣錠、液体、ドロップ、およびジェルキャップからなる群より選択される少なくとも1種類の形状として、投与される。
【0044】
ある態様において、本発明の草本植物抽出物は、水抽出物であり得る。水抽出物は、以下の段階の少なくとも1つを含む方法によって、調製され得る:本発明の草本植物を乾燥させる段階、乾燥させた草本植物を草本植物粉末へと砕く段階、草本植物粉末をある量の水に追加して、混合物を形成させる段階、一定の期間にわたり、混合物を高温で加熱する段階、混合物を室温まで冷却する段階、除去する段階、および任意の溶解していない固体を除去する段階。
【0045】
ある態様において、草本植物粉末は、1 mLの水に対し100 mgの草本植物という割合で、水へと追加される。ある態様において、混合物は、約80度の温度で約1時間にわたり加熱される。ある態様において、溶解していない固体は、混合物を遠心分離してペレットを形成させ、そしてその後、水抽出物をデカントしそして収集し、固体のペレットを残したままにすることによって、除去される。
【0046】
本発明の活性化合物は、1つまたは複数の立体中心を有し得、かつ各立体中心は、独立して、(R)配置または(S)配置のいずれかで存在し得る。1つの態様において、本明細書に記載される化合物は、光学活性体またはラセミ体として存在する。本明細書に記載される化合物は、本明細書に記載される治療上有用な特性を有する、ラセミ体、光学活性体、位置異性体、および立体異性体、またはそれらの組み合わせを包含する。光学活性体の調製は、任意の適切な様式において達成され、該様式は、非限定的な例として、再結晶技術を用いるラセミ体の分割、光学活性を有する出発材料からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を用いたクロマトグラフィーによる分離によるものを含む。1つの態様において、1種類または複数種類の異性体の混合物は、本明細書に記載される治療化合物として用いられる。別の態様において、本明細書に記載される化合物は、1つまたは複数のキラル中心を含む。これらの化合物は、任意の手段によって調製され、該手段は、立体選択的合成、エナンチオ選択的合成、ならびに/またはエナンチオマーおよび/もしくはジアステレオマーの混合物の分離を含む。化合物およびその異性体の分割は、任意の手段によって達成され、該手段は、非限定的な例として、化学処理、酵素処理、分別晶析、蒸留、およびクロマトグラフィーを含む。
【0047】
1つの態様において、本発明の活性化合物は、互変異性体として存在する。すべての互変異性体は、本明細書において記載される化合物の範囲内に含まれる。
【0048】
1つの態様において、本明細書に記載される化合物は、プロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」とは、インビボでその親の薬物へと変換される、作用物質である。1つの態様において、インビボ投与されると、プロドラッグは、化合物の、生物学的に活性な、薬学的に活性な、または治療上活性な型へと、化学的に変換される。別の態様において、プロドラッグは、1つまたは複数の段階またはプロセスによって、化合物の、生物学的に活性な、薬学的に活性な、または治療上活性な型へと、酵素によって代謝される。
【0049】
投与/投薬量/製剤
投与のレジメンは、有効量を構成するものに影響を及ぼし得る。治療用製剤は、本発明において意図される疾患または障害の発症の前または後のいずれかに、対象に投与され得る。さらに、いくつかに分割された投薬量、および時差をつけられた投薬量は、毎日もしくは順次投与されてよいか、または、用量は連続的に注入されてよいかもしくはボーラス注入であってもよい。さらに、治療用製剤の投薬量は、治療状況または予防状況の緊急性によって必要性が示される場合に、それと釣り合うように増加または減少させてよい。
【0050】
本発明の組成物の、患者への、好ましくは哺乳類への、より好ましくはヒトへの投与は、公知の手順を用いて、本発明において意図される疾患または障害を処置するために有効な投薬量および期間で、実施され得る。治療効果を達成するのに必要な治療化合物の有効量は、患者における疾患または障害の状態;患者の年齢、性別、および体重;ならびに治療用化合物の、本発明において意図される疾患または障害を処置する能力などの要因によって、変化し得る。投薬レジメンは、最適な治療応答をもたらすように調整され得る。たとえば、いくつかの分割された用量が毎日投与されてよいか、または該用量は、治療状況の緊急性によって必要性が示される場合に、それと釣り合うように減少させてもよい。本発明の治療化合物の有効量の範囲の非限定的な例は、約1~1,000 mg/kg体重/日である。本発明を実施するために有用な薬学的組成物は、1 ng/kg/日~100 mg/kg/日の用量を送達するために投与され得る。当業者は、過度の実験無しに、関連する要因を試験することができ、そして治療化合物の有効量についての決定を下すことができるであろう。
【0051】
本発明の薬学的組成物中の有効成分の、実際の投薬レベルは、特定の患者、組成物、および投与の様式にとって望ましい治療応答を、患者に対して毒性をもたらすことなく達成するのに効果的な有効成分の量が得られるように、変化させ得る。
【0052】
特に、選択される投薬レベルは、さまざまな要因によって変化し、該要因は、使用される特定の化合物の活性、投与の時間、化合物が排泄される速度、処置の持続期間、本化合物と組み合わせて使用される他の薬物、他の化合物、または他の材料、処置される患者の、年齢、性別、体重、健康状態、全身の健全性、および既往歴、ならびに医学分野において周知である同様の要因を、含む。
【0053】
当技術分野において通常の技能を有する医師、たとえば内科医または獣医師は、必要とされる薬学的組成物の有効量を、容易に決定し得、そして処方し得る。たとえば、内科医または獣医師は、薬学的組成物において使用される本発明の化合物の用量を、望ましい治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで開始することができ、そして望ましい効果が達成されるまで、投薬量を徐々に増加させることができる。
【0054】
特別な態様においては、投与の容易性および投薬量の均一性のために、化合物を単位剤形として製剤化することが有益である。単位剤形とは、本明細書において使用される場合、処置されるべき患者に対して、単位の投薬量として適している、物理的に分離している単位を指し;各単位は、必要とされる薬学的ビヒクルと連携して望ましい治療効果を生じるように算定された、あらかじめ決定されている量の治療用化合物を含む。本発明の単位剤形は、(a) 治療化合物に特有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに (b) 本発明において意図される疾患または障害の処置のためのそのような治療化合物を調合する/製剤化する際の、当技術分野において固有の制限によって規定され、かつそれらにより直接的に変化する。
【0055】
ある態様において、本発明の組成物は、1種類または複数種類の薬学的に許容される賦形剤または担体を用いて、製剤化される。他の態様において、本発明の薬学的組成物は、治療的有効量の本発明の化合物、および薬学的に許容される担体を含む。さらに他の態様において、本発明の化合物は、組成物中で唯一の、生物学的に活性な作用物質(すなわち、がんを処置することができる物質)である。さらに他の態様において、本発明の化合物は、組成物中で唯一の、治療的有効量である、生物学的に活性な作用物質(すなわち、がんを処置することができる物質)である。
【0056】
前記担体は、溶媒または分散媒であり得、これらはたとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体のポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含む。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散剤の場合には必要とされる粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、維持され得る。微生物の作用の防止は、さまざまな抗細菌剤および抗真菌剤によって達成され得、これらはたとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等である。多くの場合、等張剤を組成物中に含有させることが好ましく、該等張剤は、たとえば、糖、塩化ナトリウム、または、マンニトールおよびソルビトールなどのポリアルコールである。注入可能な組成物の吸収の延長は、組成物中に吸収を遅らせる物質を包含させることによってもたらされ得、該物質は、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンである。
【0057】
ある態様において、本発明の組成物は、1日につき1~5回の範囲かまたはそれより多いという投薬量で、患者に投与される。他の態様において、本発明の組成物は、限定されるものではないが、1日に1回、2日に1回、3日に1回~1週間に1回、および2週間に1回を含む投薬量の範囲で、患者に投与される。本発明のさまざまな組み合わせ組成物の投与の頻度が、多くの要因、これは限定されるものではないが、年齢、処置されるべき疾患または障害、性別、全身の健全性、および他の要因を含むが、そのような要因に応じて個体ごとに変化することは、当業者にとって一見して明らかである。したがって、本発明は、何らかの特定の投薬レジメンに限定されると解釈されるべきではなく、かつ任意の患者にまさに投与されるべき投薬量および組成物は、患者についてのすべての他の要因を考慮して、主治医によって決定される。
【0058】
投与用の、本発明の化合物および/または組成物は、約1 mg~約10,000 mgの、約20 mg~約9,500 mgの、約40 mg~約9,000 mgの、約75 mg~約8,500 mgの、約150 mg~約7,500 mgの、約200 mg~約7,000 mgの、約400 mg~約6,000 mgの、約500 mg~約5,000 mgの、約750 mg~約4,000 mgの、約1,000 mg~約3,000 mgの、約1,000 mg~約2,500 mgの、約20 mg~約2,000 mgの、およびそれらの間のあらゆるすべての全体的なまたは部分的な増分の、範囲内にあり得る。
【0059】
ある態様において、本発明は、包装された薬学的組成物に指向され、該薬学的組成物は、治療的有効量の本発明の化合物を、単独で、または第二の薬学的作用物質と組み合わせて、保持する容器;および本発明において意図される疾患または障害の1種類または複数種類の症状を処置する、予防する、または低減させるために該化合物を用いるための指示書を含む。
【0060】
製剤は、通常の賦形剤との混合物として使用され得、該賦形剤とは、すなわち、当技術分野において公知の、経口投与、非経口投与、鼻投与、静脈内投与、皮下投与、経腸投与、または任意の他の適切な投与の様式に適した、薬学的に許容される、有機または無機担体物質である。薬学的調製物は、滅菌され得、かつ望ましい場合には、補助剤と混合され得、該補助剤は、たとえば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝に影響を及ぼす塩、着色剤、香味剤および/または芳香剤等である。それらはまた、望ましい場所で、他の活性のある作用物質と組み合わせられ得る。
【0061】
本発明の組成物の任意のものの投与の経路は、経口、鼻、直腸、膣内、非経口、頬、舌下、または局所を含む。本発明において使用するための化合物は、経口投与または非経口投与など、任意の適した経路によって投与されるために製剤化され得、該経路はたとえば、経皮投与、経粘膜投与(たとえば、舌下投与、舌投与、(経)頬投与、(経)尿道投与、膣投与(たとえば、経膣投与および膣周囲投与)、鼻(内)投与および(経)直腸投与)、膀胱内投与、肺内投与、十二指腸内投与、胃内投与、髄腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、皮内投与、腹腔内投与、動脈内投与、静脈内投与、気管支内投与、吸入投与、ならびに局所投与である。
【0062】
適切な組成物および剤形は、たとえば、錠剤、カプセル、カプレット、丸剤、ジェルキャップ、トローチ、分散剤、懸濁液、溶液、シロップ、顆粒、ビーズ、経皮パッチ、ゲル、粉末、ペレット、マグマ、ロゼンジ、クリーム、ペースト、プラスター、ローション、ディスク、坐剤、鼻投与または経口投与のための液体スプレー、吸入のためのドライパウダーまたはエアロゾル化製剤、膀胱内投与のための組成物および製剤等を含む。本発明において有用であり得る製剤および組成物は、本明細書に記載される特定の製剤および組成物には限定されないことが、理解されるべきである。
【0063】
経口投与
経口適用に特に適切なのは、スープ、煎じ液、濃縮物、錠剤、糖衣錠、液体、ドロップ、坐剤、またはカプセル、カプレット、およびジェルキャップである。経口使用が意図される組成物は、当技術分野において公知の任意の方法にしたがって調製され得、かつそのような組成物は、錠剤の製造に適した、不活性で非毒性の薬学的賦形剤からなる群より選択される、1種類または複数種類の物質を含み得る。そのような賦形剤は、たとえば、ラクトースなどの、不活性な希釈剤;コーンスターチなどの、造粒剤および崩壊剤;デンプンなどの、結合剤;ならびにステアリン酸マグネシウムなどの、滑沢剤を含む。錠剤は、コーティングされなくてもよいか、または、それらは、美的観点のために、もしくは有効成分の放出を遅らせるために、公知の技術によってコーティングされてもよい。経口使用のための製剤はまた、硬質ゼラチンカプセルとして示され得、ここで有効成分は、不活性な希釈剤と混合されている。
【0064】
経口投与に関し、本発明の化合物は、薬学的に許容される賦形剤を用いて、通常の手段によって調製された、錠剤またはカプセルの形状であり得、該賦形剤は、結合剤(たとえば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(たとえば、コーンスターチ、ラクトース、微結晶セルロース、もしくはリン酸カルシウム);滑沢剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、もしくはシリカ);崩壊剤(たとえばデンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycollate));または湿潤剤(たとえばラウリル硫酸ナトリウム)などである。経口投与用の液体調製物は、溶液、シロップ、または懸濁液の形状であり得る。液体調製物は、薬学的に許容される添加剤を用いて、通常の手段によって調製され得、該添加剤は、懸濁剤(たとえば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、または水素添加食用油脂);乳化剤(たとえば、レシチンまたはアラビアガム);非水性ビヒクル(たとえば、アーモンド油、油性エステル、またはエチルアルコール);および保存剤(たとえば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはp-ヒドロキシ安息香酸プロピル、またはソルビン酸)などである。
【0065】
造粒技術は、出発材料である、有効成分の粉末または他の粒子状材料を改変するものとして、薬学分野において周知である。粉末は、典型的には結合剤材料と混合されて、より大きく永続的な易流動性の集塊または顆粒にされ、これが「造粒」と称される。たとえば、溶媒を用いる「湿式」造粒プロセスは概して、粉末を結合剤材料と組み合わせ、かつ、該粉末を水または有機溶媒を用いて、湿った顆粒の塊が形成される(その後該溶媒を該塊から蒸発させる必要がある)条件下で湿らせることを、特徴とする。
【0066】
溶融造粒は、概して、追加される水または他の液体溶媒の、本質的には非存在下で、粉末化されたまたは他の材料の造粒を促進するために、室温で固体または半固体の(すなわち、比較的低い軟化点範囲または融点範囲を有する)材料を使用することに、その本質がある。低温で融解する固体は、融点範囲内の温度に加熱された場合に液化し、結合剤として、または造粒の媒体として作用する。液化した固体は、それ自体が、それが接触している粉末化された材料の表面を覆って広がり、そして冷却された際に、出発材料がその中でともに結合している、固体の顆粒の塊を形成する。結果として得られた溶融造粒物は、その後打錠機に送られてもよいか、または経口用剤形を調製するためにカプセル化されてもよい。溶融造粒は、固体分散体または固溶体を形成することによって、活性物(すなわち薬物)の溶解速度および生物学的利用能を改善する。
【0067】
米国特許第5,169,645号は、改善された流動特性を有する、直接圧縮可能なワックスを含む顆粒を開示している。顆粒は、ワックスが、流動性を改善するある種の添加物と、融解物中で混合され、それに続いてこの混合物が冷却されそして造粒された際に、得られる。ある態様においては、ワックスそれ自体のみが、ワックスおよび添加物の融解組み合わせ物において融解し、かつ他の場合においては、ワックスおよび添加物の両方が融解する。
【0068】
本発明はまた、多層錠を含み、該多層錠は、1種類または複数種類の本発明の化合物の遅延放出をもたらす層、および本発明において意図される疾患または障害を処置するための薬剤の即時放出をもたらす、さらなる層を、含む。ワックス/pH感受性ポリマーとの混合物を用いて、胃で不溶性の組成物を得ることができ、該組成物においては有効成分は封入されているので、有効成分は確実に遅延放出されることになる。
【0069】
非経口投与
本明細書において使用される場合、薬学的組成物の「非経口投与」とは、対象の組織に物理的な開口部を作り、そして該組織における該開口部を介して薬学的組成物を投与することを特徴とする、投与の任意の経路を含む。非経口投与は、したがって、限定されるものではないが、組成物の注入によるもの、外科的切開を介した組成物の適用によるもの、組織に到達した非外科的創傷を介した組成物の適用によるもの等の、薬学的組成物の投与を含む。特に、非経口投与は、限定されるものではないが、皮下注入、静脈内注入、腹腔内注入、筋肉内注入、胸骨内注入、および腎臓透析注入技術を含むことが、意図される。
【0070】
非経口投与のために適した薬学的組成物の製剤は、薬学的に許容される担体と組み合わせられた、有効成分を含み、該担体は、滅菌水または滅菌等張生理的食塩水などである。そのような製剤は、ボーラス投与または連続投与に適した形状として、調製され得、包装され得、または販売され得る。注入可能な製剤は、アンプルまたは保存剤を含む複数用量の容器などの単位剤形として、調製され得、包装され得、または販売され得る。非経口投与のための製剤は、限定されるものではないが、懸濁液、溶液、油性または水性媒体における乳濁液、ペースト、および埋め込み可能な持続放出性製剤または生物分解性製剤を含む。そのような製剤は、1種類または複数種類の追加の成分をさらに含み得、該追加の成分は、限定されるものではないが、懸濁剤、安定剤、または分散剤を含む。非経口投与のための製剤の、1つの態様において、有効成分は、適切なビヒクル(たとえば滅菌したパイロジェンフリー水)を用いて再構成するための、乾燥した(すなわち粉末のまたは顆粒の)形状として、再構成された組成物の非経口投与の前に提供される。
【0071】
前記薬学的組成物は、滅菌された、注入可能な、水性もしくは油性の懸濁液または溶液の形状として、調製され得、包装され得、または販売され得る。この懸濁液または溶液は、公知の技術にしたがって製剤化され得、かつ、有効成分に加えて、追加の成分を含み得、該追加の成分は、本明細書に記載される、分散剤、湿潤剤、または懸濁剤などである。そのような滅菌された、注入可能な製剤は、非毒性の、非経口的に許容される、希釈剤または溶媒、これらはたとえば、水または1,3-ブタンジオールなどであるが、これらを用いて調製され得る。他の許容される希釈剤および溶媒は、限定されるものではないが、リンガー液、等張塩化ナトリウム溶液、および合成モノグリセリドまたはジグリセリドなどの不揮発性油を含む。有用な、他の非経口的に投与可能な製剤は、有効成分を、微結晶の形状として、リポソーム調製物として、または生物分解性ポリマーシステムの構成要素として含むものを、含む。持続放出用のまたは埋め込み用の組成物は、薬学的に許容されるポリマーまたは疎水性材料を含み得、これらは乳濁液、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、または難溶性塩などである。
【0072】
制御放出性製剤および薬物送達システム
ある態様において、本発明の製剤は、限定されるものではないが、短期型の製剤、迅速に消失する製剤であっても、制御製剤であってもよく、該制御製剤は、たとえば、持続放出性製剤、遅延放出性製剤、およびパルス放出性製剤である。
【0073】
持続放出との用語は、その通常の意味で使用されて、長期間にわたる薬物の徐放をもたらし、かつ、必ずというわけではないが、長期間にわたり、薬物の実質的に一定の血液レベルをもたらし得る、薬物製剤を指す。期間は、1か月またはそれより長くてもよく、かつ、ボーラス型として投与される同じ量の作用物質よりも長い放出であるべきである。
【0074】
持続放出に関し、化合物は、化合物に持続放出特性をもたらす、適切なポリマーまたは疎水性材料を用いて、製剤化され得る。したがって、本発明の方法内で有用な化合物は、微粒子の形状として、たとえば注入によって投与されてよいか、またはウエハーもしくはディスクの形状として、埋め込みによって投与されてもよい。
【0075】
本発明の1つの態様において、本発明の化合物は、持続放出性製剤を用いて、単独で、または別の薬学的作用物質との組み合わせとして、患者に投与される。
【0076】
遅延放出との用語は、本明細書において、その通常の意味で使用されて、薬物の投与に続いていくらか遅延した後で、薬物の最初の放出をもたらし、かつ、必ずというわけではないが、約10分から約12時間までの遅延を含み得る、薬物製剤を指す。
【0077】
パルス放出との用語は、本明細書において、その通常の意味で使用されて、薬物の投与後に、薬物のパルス型血漿プロファイルを生じさせるような様式で薬物の放出をもたらす、薬物製剤を指す。
【0078】
即時放出との用語は、その通常の意味で使用されて、薬物の投与直後に薬物の放出をもたらす薬物製剤を指す。
【0079】
本明細書において使用される場合、短期とは、薬物投与後の薬物投与後の、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分、約10分、または約1分まで、およびそれらを含む、任意の時間を、ならびにそれらのあらゆるすべての全体的なまたは部分的な増分を指す。
【0080】
本明細書において使用される場合、迅速な消失とは、薬物投与後の、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分、約10分、または約1分まで、およびそれらを含む、任意の時間を、ならびにそれらのあらゆるすべての全体的なまたは部分的な増分を指す。
【0081】
投薬
本発明の化合物の、治療的有効量または治療的有効用量は、患者の年齢および体重、患者の現時点での健康状態、ならびに本発明において意図される疾患または障害の進行状況によって、変化する。当業者は、これらの因子および他の因子に応じて、適切な投薬量を決定することができる。
【0082】
本発明の化合物の適切な用量は、1日につき約0.01 mg~約5,000 mg、たとえば1日につき約0.1 mg~約1,000 mg、たとえば1日につき約1 mg~約500 mg、たとえば1日につき約5 mg~約250 mgの範囲であり得る。用量は、1日につき1回という投薬量、または1日につき複数回という投薬量として、たとえば、1日につき1~5回、またはそれより多く、投与され得る。複数回の投薬量が使用される場合、各回の投薬量は、同じであってもよいかまたは異なっていてもよい。たとえば、1日につき1 mgという用量は、0.5 mgを2回という用量として、用量の間に約12時間の間隔をあけて投与され得る。
【0083】
1日あたりの用量に分けられた化合物の量は、非限定的な例として、毎日、1日おきに、2日ごとに、3日ごとに、4日ごとに、または5日ごとに投与され得ることが、理解される。たとえば、1日おきの投与が用いられる場合、1日につき5 mgの用量が月曜日に開始され得、これに最初に続く1日につき5 mgの用量が、水曜日に投与され得、次に続く1日につき5 mgの用量が、金曜日に投与され得る、というようなものである。
【0084】
患者の状態が実際に改善している場合には、医師の判断により、本発明の阻害物質は任意で継続的に投与されるか;あるいは、投与されている薬物は、用量を一時的に減少させるか、または一定の長さの期間にわたり、一時的に投与を中断させる(すなわち「休薬期間」)。休薬期間の長さは任意で2日~1年の間で変化し、該期間は、単なる例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む。休薬期間のあいだの用量の減少量は、10%~100%を含み、これは、単なる例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。
【0085】
患者の健康状態の改善が見られたら、必要であれば、維持用量が投与される。続いて、投与される投薬量もしくは頻度、またはそれら両方を、疾患または障害に応じて、改善された疾患が保持されるレベルまで減少させる。ある態様において、患者は、任意の、症状の再発および/または感染により、長期的に間欠処置を必要とする。
【0086】
本発明の方法において使用するための化合物は、単位剤形として製剤化され得る。「単位剤形」との用語は、処置を受ける患者に対して、単位の投薬量として適している、物理的に分離している単位を指し、各単位は、任意で適切な薬学的担体と連携して、望ましい治療効果を生じるように算定された、あらかじめ決定されている量の活性材料を含む。単位剤形は、1日に1回という用量のためのものであってよいか、または1日に複数回という複数回用量のうちの1つのためのものであってもよい(たとえば、1日につき約1~5回、またはそれより多く)。1日に複数回という用量が使用される場合、単位剤形は、各用量が同じであってもよいか、または各用量が異なっていてもよい。
【0087】
そのような治療レジメンの毒性および治療効果は、任意で、実験動物において判定され、これは、限定されるものではないが、LD50(集団の50%に対して致死である用量)、およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)の決定を含む。毒性と治療効果との用量比が治療指数であり、これは、LD50とED50との比として表現される。動物での試験から得られるデータは、任意で、ヒトにおいて使用される投薬量の範囲を検討するために使用される。そのような化合物の投薬量は、好ましくは、最小の毒性を有するED50を含む循環濃度の、ある一定の範囲内にある。投薬量は、任意で、使用される剤形および用いられる投与の経路に応じてこの範囲内で変化する。
【0088】
本発明の実施は、他に示されない限り、分子生物学(組み換え技術を含む)の、微生物学の、細胞生物学の、生化学の、および免疫学の、通常の技術を使用し、それらは十分に当業者の理解の範囲内である。そのような技術は、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook, 1989); “Oligonucleotide Synthesis” (Gait, 1984); “Animal Cell Culture” (Freshney, 1987); “Methods in Enzymology” “Handbook of Experimental Immunology” (Weir, 1996); “Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells” (Miller and Calos, 1987); “Current Protocols in Molecular Biology” (Ausubel, 1987); “PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis, 1994); “Current Protocols in Immunology” (Coligan, 1991)などの文献において、十分に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの産生に適用可能であり、かつしたがって、本発明を作製する際および本発明を実施する際に検討され得る。特定の態様について特に有用な技術は、以下のセクションにおいて論じられる。
【0089】
当業者は、本明細書に記載される具体的な手順、態様、請求の範囲、および実施例の多数の同等物を認識するであろう、または当業者は、通常実施している程度の実験法を用いて、それら同等物を確認することができるであろう。そのような同等物は、本発明の範囲内であるとみなされ、かつ本明細書に添付される請求の範囲に包含された。たとえば、反応条件、これは、限定されるものではないが、反応時間、反応のサイズ/量、および実験試薬を含んでおり、該反応条件を、当技術分野において認識されている代替物を用いておよび通常実施している程度の実験法を用いて改変することは、本出願の範囲内であることが、理解されるべきである。
【0090】
定義
本明細書において使用される場合、以下の用語のそれぞれは、このセクションにおける意味と関連付けられた意味を有する。
【0091】
他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、概して、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと、同じ意味を有する。概して、本明細書において使用される命名法、ならびに動物薬理学についての、薬科学についての、分離科学についての、および有機化学についての実験手順は、当技術分野において周知であってかつ通常使用されているものである。段階の順番、またはいくつかの作業を実施する際の順番は、本教示が実施可能である限り重要ではないことが、理解されるべきである。さらに、2つまたはそれ以上の段階または作業は、同時に実施することが可能であるか、またはそうではない。
【0092】
本明細書において使用される場合、「1つの(a)」および「1つの(an)」との冠詞は、1つまたは複数(すなわち少なくとも1つ)の、該冠詞の文法上の目的語を指す。例として、「要素」とは、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0093】
本明細書において使用される場合、「約」との用語は、当業者によって理解されるものであり、かつそれが使用される文脈に応じて、ある程度変化する。本明細書において使用される場合、量、持続時間等といった、測定可能な値を指す際には、「約」との用語は、そのような変動が、開示される方法を実施するために適切であるような、指定された値からの±20%のまたは±10%の変動を、より好ましくは±5%の変動を、さらにより好ましくは±1%の変動を、そしていっそうより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0094】
本明細書において使用される場合、「がん」との用語は、異常な細胞の急速かつ制御不能な増殖を特徴とする疾患として、定義される。がん細胞は、局所的に広がることができ、または血流およびリンパ系を介して、身体の他の部分に広がることもできる。さまざまながんの例は、限定されるものではないが、骨のがん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膵臓がん、大腸がん、腎臓がん、肝臓がん、脳のがん、リンパ腫、白血病、肺がん等を含む。
【0095】
1つの局面において、対象に関連する場合の「同時投与される」および「同時投与」との用語は、本発明の化合物および/または組成物を、本明細書において意図される疾患または障害を同様に処置または予防し得る化合物および/または組成物とともに、対象へ投与することを、指す。ある態様において、同時投与される化合物および/または組成物は、別々に投与されるか、または任意の種類の組み合わせとして、単一の治療アプローチのうちの一部として投与される。同時投与される化合物および/または組成物は、さまざまな固体製剤、ゲル製剤、および液体製剤の形をとって、固体のおよび液体の混合物として、ならびに溶液として、任意の種類の組み合わせ物として製剤化され得る。
【0096】
本明細書において使用される場合、「組成物」または「薬学的組成物」との用語は、本発明内で有用な少なくとも1種類の化合物の、薬学的に許容される担体との混合物を指す。薬学的組成物は、患者または対象への化合物の投与を容易にする。当技術分野において、化合物を投与するための複数の技術が存在しており、該技術は、限定されるものではないが、静脈内投与、経口投与、エアロゾル投与、非経口投与、眼投与、鼻投与、肺投与、および局所投与を含む。
【0097】
「疾患」とは、本明細書において使用される場合、動物が恒常性を維持することができず、かつ該疾患がその後好転しない場合には、動物の健全性が悪化し続けるという、動物の健康状態である。
【0098】
動物における「障害」とは、本明細書において使用される場合、動物は恒常性を維持することができるが、該動物の健康状態は、障害の非存在下であり得るものよりも良好というわけではない、健康状態である。処置されないままの場合でも、障害は、動物の健康状態のさらなる低下を、必ずしも引き起こすわけではない。
【0099】
本明細書において使用される場合、「抽出物」との用語は、草本植物または他の植物材料といった天然の供給源に由来する、化合物または薬物の、濃縮された調製物または溶液を指す。抽出物は、草本植物を溶液中に浸漬する段階を含むか、または草本植物を乾燥させる段階および草本植物を粉末へと砕く段階、ならびに該粉末を溶液中に溶解する段階を含む、いくつかのプロセスによって、調製され得る。抽出物は、所望の化合物のある量を溶液中に溶解した後で、溶媒の一部を除去することによって、さらに濃縮され得る。抽出物はまた、溶液から任意の固体の材料を除去するために、濾過または遠心分離され得る。
【0100】
「阻害する」との表現は、本明細書において使用される場合、分子を、反応を、相互作用を、遺伝子の、mRNAの、および/もしくはタンパク質の発現を、安定性を、機能を、もしくは活性を、測定可能な量減少させる、またはそれらを完全に妨げることを意味する。阻害物質とは、タンパク質の、遺伝子の、およびmRNAの安定性、発現、機能、ならびに活性について、たとえば、それらに結合する、それらへの刺激を部分的もしくは完全にブロックする、それらを低下させる、それらを妨げる、それらの活性化を遅らせる、それらを不活性化する、それらを脱感作する、またはそれらを下方制御する、化合物であり、たとえばアンタゴニストである。
【0101】
「患者」、「対象」、または「個体」との用語は、本明細書において互換性をもって使用され、かつインビトロであってもまたはインサイチューであっても、本明細書に記載される方法に適している、任意の動物、またはその細胞を指す。非限定的な態様において、患者、対象、または個体は、ヒトである。他の態様において、患者は、非ヒト哺乳類であり、これはたとえば、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、およびネズミである哺乳類などの、家畜およびペットを含む。さらに他の態様において、患者は、鳥類または鳥である。好ましくは、患者、個体、または対象は、ヒトである。
【0102】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される」との用語は、本化合物の生物学的活性も特性も阻害せずかつ比較的非毒性である、担体または希釈剤などの材料を指し、すなわち該材料は、望ましくない生物学的影響を引き起こすことなく、それが含まれる組成物の任意の成分と、有害な様式で相互作用することもなく、個体に投与され得る。
【0103】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」との用語は、薬学的に許容される材料、組成物、または担体を意味し、これらは液体のもしくは固体の充填剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、またはカプセル化材料などであり、本発明内で有用な化合物がその意図される機能を果たし得るように、該化合物を患者内でまたは患者へと運搬または輸送することに、関与する。典型的には、そのような構築物は、身体の1つの器官または一部分から、身体の別の器官または別の一部分へと、運搬または輸送される。各担体は、製剤の他の成分、これは本発明内で有用な化合物を包含するが、これら成分に適合性を有していて、かつ患者に対して有害ではない、という意味において、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として用いられ得る材料の、いくつかの例は、以下を含む:ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの、糖;コーンスターチおよびポテトスターチなどの、デンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどの、セルロースおよびその誘導体;トラガカント粉末;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの、賦形剤;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、およびダイズ油などの、油;プロピレングリコールなどの、グリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどの、ポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどの、エステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの、緩衝剤;界面活性剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理的食塩水;リンガー液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに薬学的製剤において使用される、非毒性であって適合性を有する、他の物質。
【0104】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される塩」との言葉は、薬学的に許容される非毒性の酸から調製される、投与される化合物の塩を指し、これは、その無機酸、有機酸、溶媒和物、水和物、またはクラスレートを含む。
【0105】
「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、または「予防(prevention)」との用語は、本明細書において使用される場合、疾患または異常に関連する症状の発症を、作用物質または化合物の投与が開始される時点でそのような症状を有していない対象において、防止するまたは遅らせることを、意味する。
【0106】
「治療的」処置とは、病態の徴候を示す対象に、それら徴候を低減させるかまたは消滅させる目的で施される、処置である。
【0107】
本明細書において使用される場合、「治療的有効量」との用語は、本明細書において記載されるもしくは意図される疾患もしくは異常を、予防するかまたは処置する(該疾患もしくは異常の発症を遅らせるかもしくは予防する、該疾患もしくは異常の進行を予防する、該疾患もしくは異常を阻害する、該疾患もしくは異常を低減させる、または該疾患もしくは異常を回復させる)こと、これらは、そのような疾患または異常の症状を緩和することを含むが、これらのために十分なまたは効果的な量を指す。
【0108】
本明細書において使用される場合、「処置」または「処置する」との用語は、治療剤、すなわち本発明の化合物(単独で、もしくは別の薬学的作用物質との組み合わせとして)の、患者への適用もしくは投与として、または治療剤の、患者から単離された組織もしくは細胞株への適用もしくは投与(たとえば、診断もしくはエクスビボでの適用のため)として定義され、ここで該患者は、本明細書において意図される異常か、本明細書において意図される異常の症状か、または本明細書において意図される異常を発生させる潜在性を有しており、ここで該処置は、本明細書において意図される異常を、本明細書において意図される異常の症状を、もしくは本明細書において意図される異常を発生させる潜在性を、治療する、治す、緩和する、軽減する、変化させる、修復する、好転させる、改善する、またはそれらに影響を及ぼすという目的を有している。そのような処置は、ゲノム薬理学の分野から得られる知見に基づいて、特別に調整または改変され得る。
【0109】
範囲:本開示の全体にわたり、本発明のさまざまな局面は、範囲の形式において表現され得る。範囲の形式における記載は、単に利便性および簡潔性のためになされているものであり、本発明の範囲における固定的な限定として解釈されるべきではないことが、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲とともに、該範囲内の個々の数値をすべて具体的に開示している、とみなされるべきである。たとえば、1~6のような範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等といった部分範囲とともに、その範囲内の個々の数および部分的な数、たとえば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示している、とみなされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず、適用される。
【0110】
以下の略称が、本明細書において使用される。
AR アンドロゲン受容体
AR-V 短縮型アンドロゲン受容体
BET ブロモドメインおよびエクストラターミナル
BRD ブロモドメイン含有タンパク質
cycD1 サイクリンD1
DEX デキサメタゾン
DHT ジヒドロテストステロン
E2 17β-エストラジオール
GR グルココルチコイド受容体
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IDO インドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ
LC-MS 液体クロマトグラフィー-質量分析
LNCaP-GR グルココルチコイド受容体過剰発現LNCaP細胞
MW 分子量
NMR 核磁気共鳴
PARP-1 ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ-1
PSA 前立腺特異抗原
qPCR 定量ポリメラーゼ連鎖反応
RG 1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-β-D-グルコピラノシド]
RGA 1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド]
SIRPa シグナル制御タンパク質α
ssDNA 一本鎖DNA
TMT 1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン
【0111】
以下の実施例は、本発明の局面をさらに例示する。しかしながらそれらは、本明細書に記載される本発明の教示または開示を限定するものでは決してない。
【実施例
【0112】
本発明は、以下の実験による実施例を参照することによって、さらに詳細に記載される。これらの実施例は、例示の目的のためだけに提供され、他に記載されない限り、限定することが意図されるものではない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されると解釈されるべきでは決してなく、むしろ、本明細書において提供される教示の結果として明らかになる、あらゆる変形物を包含すると解釈されるべきである。
【0113】
さらなる説明無しに、当業者は、前述の説明および以下の例示的な実施例を用いて、本発明の化合物を生成しそして用いることができ、かつ請求の範囲に記載の方法を実施することができるであろう。以下の実施例は、したがって、本発明の好ましい態様を具体的に示しており、本開示の残余の部分を何らかの様式で限定するものとして解釈されるものではない。
【0114】
材料および方法
ルビア・コルディフォリア抽出物の調製法
乾燥したルビア・コルディフォリアの抽出物粉末は、商業的供給源から購入された:PuraPharm ChinaからのY1830(Rubiae Radix et Rhizoma とラベルされたもの)、E-Fong USAからのY9(Rubia cordifolia とラベルされたもの);およびE-Fong ChinaからのY1831(Rubia cordifolia とラベルされたもの)。100 mgの乾燥粉末は、ボルテックスにより、2 mlの遠心管中の1 mlのHPLCグレード水に、2分間溶解された。草本植物の水混合物はその後、80度の水浴において30分間加熱された。草本植物の水混合物は、12,000 rpmで、室温で5分間、卓上遠心分離機において遠心分離された。上清は、新しい2 ml管へと移され、そして100 mg/mlである草本植物の水抽出物として、使用された。
【0115】
PSA-ルシフェラーゼアッセイ法
PSAルシフェラーゼレポーター細胞
前立腺がん細胞である22RV1またはLNCaPは、スクリーニング試験において使用された。22RV1細胞株またはLNCaP細胞株には、PSAプロモーター-PGL4.2ルシフェラーゼレポーターを安定的にトランスフェクトした。DHT(25 nM)は、アンドロゲン受容体活性を刺激するために、24時間にわたり使用された。
【0116】
ルシフェラーゼアッセイ
レポーター細胞は、30 μg/ml、100 μg/ml、300 μg/ml、および1000 μg/mlで草本植物抽出物を用いて、24時間にわたり、37度-CO2インキュベーター内で処理された。DHT(25 nM)は、アンドロゲン受容体活性を刺激するために使用された。デキサメタゾン(50 nM)は、グルココルチコイド受容体活性を刺激するために使用された。細胞は、ルシフェラーゼ溶解緩衝液を用いて溶解され、その後、ルシフェリン含有ルシフェラーゼ緩衝液が、発光を生じさせるために追加された。発光は、発光マイクロプレートリーダーを用いて記録された。
【0117】
前立腺がん細胞培養法
前立腺がん細胞である22RV1またはLNCaPは、コーニングT75細胞培養フラスコにおいて、5% FBS、50 μg/ml カナマイシンを添加したRPMI1640培地中で、37度の5% CO2インキュベーター内で増殖させた。
【0118】
乳がん細胞培養法
乳がん細胞であるMCF7、T47D、MDA-MB-453、MDA-MB-231は、コーニングT75細胞培養フラスコにおいて、5% FBS、50 μg/ml カナマイシンを添加したRPMI1640培地中で、37度の5% CO2インキュベーター内で増殖させた。
【0119】
タンパク質発現法/ウェスタンブロットアッセイ法
全細胞溶解は、2×SDS 試料緩衝液(62.5 mM Tris-HCl、2% SDS、10% グリセロール、50 mM DTT、および0.05% ブロモフェノールブルー)を用いて実施された。試料は、DNAを剪断するため、10秒間超音波処理された。細胞核は、0.4% NP40含有Tris緩衝生理的食塩水を用いて単離された。細胞抽出物はその後、10% SDS-ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動され、そしてMiniprotein II転写装置(Bio-Rad)を用いて、0.2 μmニトロセルロース膜(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)へと転写された。膜は、5% 無脂肪乳を含むTBS-T緩衝液(1×TBS緩衝液、0.2% Tween 20)中で、ブロッキングされ、そしてプローブを用いて調べられた。アンドロゲン受容体を検出するために、モノクローナルウサギ抗AR(Abcam #133273)が使用され(1:5000)、同様に、グルココルチコイド受容体 (D8H2) XP(登録商標)ウサギmAb #3660、ERα抗体 (F-10): sc-8002、BRD4 (E2A7X) ウサギmAb #13440、Brd2 (D89B4) ウサギmAb #5848、PARP (46D11) ウサギmAb #9532、アセチルヒストンH3 (Lys27) (D5E4) XP(登録商標)ウサギmAb #8173が使用され、そして1:2500に希釈されたモノクローナルアクチン抗体(Sigma, St. Louis, MO)が、タンパク質のローディングが同量であることを確認するための内部対照としてβ-アクチンを検出するために、使用された。膜はその後、西洋ワサビペルオキシダーゼがコンジュゲートされた抗マウスIgGおよび抗ウサギIgG(1:5,000; Sigma)とともに、インキュベートされた。増強化学発光試薬(Perkin-Elmer Life Science Products, Boston, MA)は、免疫反応性のバンドを可視化するために使用され、そしてタンパク質バンドの濃さは、NIHからのImageJソフトウェアを用いてスキャンされ分析された。
【0120】
細胞増殖アッセイ法
24ウェルプレートのウェル1つにつき、1 mlの培地(フェノールレッド不含RPMI1640、5% チャコール透析FBS、50 μg/ml カナマイシン(Kanamyacin))中の20,000個の細胞が播種され、そして5% CO2を有する37度インキュベーター内で一晩インキュベートされた。種々の濃度の草本植物抽出物が、50 μg/ml~500 μg/mlの最終濃度となるように各ウェルに追加された。前立腺がん細胞に関し、DHT(25 nM)が、アンドロゲン受容体活性を刺激するために使用された。グルココルチコイド受容体過剰発現LNCaP細胞に関し、デキサメタゾン(50 nM)が、グルココルチコイド受容体活性を刺激するために使用された。すべての乳がん細胞に関し、E2(10 nM)が、ER活性を刺激するために使用された。ステロイドホルモンを一切有さない対照培地は、対照条件として使用された。4日間のインキュベーション後、細胞は固定され、そして2時間にわたり、50% エタノール中の0.5% メチレンブルーを用いて染色され、続いて、未結合の色素を除去するために、水道水を用いて洗浄された。プレートは風乾され、そしてその後、細胞は、室温で3時間にわたり振とうすることによって、1% サルコシル(ラウロイルサルコシン酸ナトリウム)中に溶解された。細胞の増殖は、分光光度計(Molecular Devices)によって595 nmで測定された際の、細胞によって吸着されたメチレンブルーの量に基づいて、定量された。すべての実験は、3連のウェルにおいて実施され、かつ少なくとも3回繰り返された。
【0121】
NRF2および下流遺伝子のリアルタイム定量PCR(RT-qPCR)
RNAは、Roche High Pure RNA isolation kitを用いて、草本植物で処理された細胞から抽出された。cDNAはその後、Bio-rad iScript Advanced cDNA synthesis kit for RT-qPCRを用いて、RNA試料から生成された。qPCRは、ヒトNRF2の、HO1の、NQO1の、およびβ-アクチンのプライマー(表1)、ならびにiTaq(商標)Universal SYBR(登録商標)Green Supermixを用いて、CFX PCR機器(Bio-rad)において実施された。相対的mRNA発現は、精製されたPCR産物によって生成された標準曲線を用いて、内部対照であるβ-アクチンに対して相対的な、閾値サイクル(threshold cycle)の変化に基づいて、算定された。
【0122】
(表1)
【0123】
IDO活性アッセイ法
2×106個のHEK293細胞には、48時間にわたり、マウスIDO(2 μg/10 cmプレート)をトランスフェクトした。プレート1枚につき1 mlのPBSが使用されて、2 ml管へと細胞が収集された。細胞は、3,500 rpmで1分間遠心分離された。細胞はその後、氷冷PB緩衝液(1 ml、pH 6.5)中で超音波処理された。細胞溶解物は、12,000 rpmで5分間4度で遠心分離することにより、清澄化された。25 μlの細胞溶解液は、所望の濃度の草本植物抽出物(25 μl)と混合された。50 μl PB緩衝液(100 mM、pH 6.5)、10 μl メチレンブルー(2.5%)、100 μl カタラーゼ(20 mg/ml)、250 μl L-トリプトファン(500 mM)、および、10 mlの全溶液につき70 mgのビタミンCを含む、反応緩衝液。反応緩衝液はその後、細胞溶解溶液へと追加された。溶液は、1.5時間にわたり37度で反応させた。30%のトリクロロ酢酸(25 μl)が追加され、そして50度で1時間にわたりインキュベートされた。0.8% エールリッヒ試薬[80 mg 4-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド/10 ml 酢酸を100 μl、Sigma Aldrichから]が追加された。キヌレニン濃度を決定するため、540 nmでの吸光度が、紫外可視分光光度計を用いて測定された。540 nmでの吸光度は、試料中のキヌレニンの量と正の相関を有することが知られている。
【0124】
ヌードマウスにおける22RV1前立腺がん増殖の阻害
22RV1前立腺がん細胞は、100 ulのマトリゲル中の5×106個の細胞が、10週齢の雄のNCRヌードマウスの皮下に注入された。22RV1腫瘍が5 mm×5 mmに到達した時に、Y1830(水抽出物、500 mg/kg、PO、B.I.D、N5)およびRGA(またはRGAを含む画分)(Y1830と等価の用量:2.2 mg/kg、PO、B.I.D.)を11日間、マウスに経口的に摂取させた。腫瘍の体積は、長さ×幅2/2 との式を用いることによって推定された。
【0125】
実施例1:草本植物抽出物スクリーニングおよび潜在的な活性化合物の同定
ルビア・コルディフォリアは、中国およびインドの伝統医学において使用される薬草であり、現地ではマンジスタと称される。伝統医学は、該薬草が、「浄血および涼血」のために、血液から過剰な熱および自然毒を除去するために、肝臓および腎臓の機能を支えるために、健康的な月経を促進するために、身体から過剰な水を減少させるために、熱および関節炎を低減させるために、ならびに血液および尿の健康的な巡りを支えるために、使用され得ると述べている。
【0126】
ルビア・コルディフォリアの水抽出物は、Y1830(PuraPharm Chinaからの、Rubiae Radix et Rhizoma とラベルされたもの、ルビア・コルディフォリア植物体の乾燥した根および根茎に由来する)、およびY9(E-Fong USAからのRubia cordifolia)から、調製された。調製された該抽出物は、22RV1前立腺がん細胞においてルシフェラーゼレポーターアッセイを用いることによって測定されたように、ジヒドロテストステロン(DHT)誘導性アンドロゲン受容体(AR)介在転写活性に対する阻害効果を示した。Y1831(E-Fong ChinaからのRubia cordifolia)から調製された、第三の水抽出物は、AR活性の阻害について、観測可能な活性を一切示さなかった(図1)。
【0127】
Y9のおよびY1830の(100 mg/ml)水抽出物は、固相カラム(Discovery DSC18 1 g)を通過させ、そしてさまざまな濃度のエタノール/水溶液を用いて溶出させた。両方の水抽出物からの、50%エタノール溶出物および75%エタノール溶出物は、前立腺特異抗原(PSA)-ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いた際に、22RV1細胞において抗AR活性を示した(図2A~2B)。エタノール溶出物のLC-MSスペクトルにおいて観測された2つのピークの質量、およびItokawa et al., Phytochemistry, 1989, 28, 3465-8に基づき、50%エタノール溶出物における2つの主要なピークは、MW 578.4を有する1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-β-D-グルコピラノシド](RG)として、およびMW 620.4を有する1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド](RGA)として、アサインされた。RGAおよびRGの、分離したアントラキノンモエティもまた、75%溶出物中に見出され、そして、MW 270.2を有する1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン(TMT)として、アサインされた(図2C)。
【0128】
実施例2:RGA、RG、およびTMTの単離ならびに確実な同定
ルビア・コルディフォリア抽出物からのRGおよびRGAのラージスケール精製が、その後実施された。2.5 gのY1830は、10 mlのHPLCグレード水に、80度で30分間溶解された。Y1830の溶液はその後、10000 rpmで10分間遠心分離され、そして上清は、固相カラム(Discovery DSC18 10 g)を通過させた。カラムは、50 mlの10% エタノールおよび50 mlの30% エタノールを順次用いて洗浄され、そして最後に30 mlの50% エタノールが、RG、RGA、およびTMTを含む画分を溶出するために使用された。50% エタノールの画分は、真空乾燥させ、そして第二の固相カラム(Discovery DSC18 10 g)を通過させる前に、3 mlの50% エタノール中に再溶解された。第二のカラムはその後、30 mlの0.1% ギ酸、30 mlの10:90[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]、30 mlの30:70[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]、および30 mlの45:55[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]を用いて洗浄された。RGを含む画分は、30 mlの60:40[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]を用いて溶出することにより、収集された。追加の、25 mlの60:40[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]が溶出され、そして破棄された、なぜならば、それはRGとRGA両方の混合物を含むからである。RGAを含む画分はその後、30 mlの75:25[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]を用いて溶出することにより、収集された。画分はその後、真空乾燥させた。
【0129】
試験を行うのに十分なTMTを産生するため、0.5 M HClを追加し、そして65度で一晩撹拌することによって、RGは加水分解された。反応混合物は、NaOHを用いて中和し、そして真空乾燥させた。乾燥させた試料は、3 mlの100% エタノール中に溶解し、そして固相カラム(Discovery DSC18 10 g)を通過させた。残存RGをすべて除去するため、カラムは、30 mlの30:70[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]、30 mlの45:55[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]、および30 mlの75:25[(メタノール:アセトニトリル 88:12):(0.1% ギ酸)]を用いて洗浄された。TMTを含む画分は、30 mlの100%(メタノール:アセトニトリル 88:12)を用いて溶出し、そして真空乾燥させた。LC-MS(ネガティブスキャンモード)は、精製されたRG、RGA、およびTMTの純度を確認するために使用された。
【0130】
アセチル基は代替的に、RGAのβ-D-グルコピラノシドモエティの3位または4位の炭素にも結合し得、両方の異性体は、アセチル基がβ-D-グルコピラノシドの6位の炭素に結合しているRGAと、同じ分子量を有するため、NMR試験が、RGAの正確な構造を確認するために実施された。RGAの最終的な化学構造を確認するため、NMR-C600が1Hスキャンのために使用され、そしてNMR-C400が13Cスキャンのために使用された。
【0131】
NMRスペクトルによって、RGAの最終的な化学構造が、1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド]であることが裏付けられた。
【0132】
加えて、RGA(1,3,6-トリヒドロキシ-2-メチル-9,10-アントラセンジオン3-O-[α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-6-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド])を、50% メタノール溶液中の0.2 N NaOHを用いて10分間にわたり処理すると、RGAのアセチル基を除去することができ、RGが産生されることが見出された(図2D)。
【0133】
Y9、Y1830、およびY1831の抽出物における、RG、RGA、およびTMTの含有量の定量は、精製されたRG、RGA、およびTMTのピークの面積を、Y9、Y1830、およびY1831の水抽出物のピークの面積と、LC-MSを用いて比較することによって、行われた(表2)。草本植物の各抽出物におけるRGAの量は、草本植物の水抽出物の抗AR活性と、いくらかの相関を有していた。Y1830抽出物は、Y9抽出物およびY1831抽出物よりも多くRGAを含むことが見出され、かつY1830抽出物は、最も強い抗AR活性を示した(図1)。
【0134】
(表2)Y9、Y1830、ならびにY1831におけるRG、RGA、およびTMTの定量
【0135】
LC-MS検出においてポジティブスキャンモードが使用された場合では、M/Z=757.4(M+H)、M/Z=332、M/Z=495を有するいくつかの別の化合物を、RGAに加えて検出することができた(図3)、これらもまた、RGAを含む画分における、潜在的な活性化合物であり得る。
【0136】
実施例3:単離された化合物の抗AR活性
Y9、Y1830、RG(またはRGを含む画分)、RGA(またはRGAを含む画分)、およびTMT(またはTMTを含む画分)の等価用量は、AR介在転写応答に対するそれらの阻害効果に関して、22RV1細胞において、DHTの存在下で試験された(図4A~4B)。結果は、RGA(またはRGAを含む画分)が、Y1830水抽出物と非常に類似した抗AR活性を示し、一方でRG(またはRGを含む画分)およびTMT(TMTを含む画分)が、ARに対して非常に弱い活性を示したことを示す。qPCRの結果は、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)が、内在性ARの標的遺伝子であるPSAおよびKLK2のmRNA発現の阻害において、類似した活性を有していたことを示した(図4C~4D)。RG(またはRGを含む画分)は、このレベルの活性を示さなかった。これらの結果は、RGA(またはRGAを含む画分)が、ルビア・コルディフォリアの、ARに対する阻害活性において、重要な役割を果たしていることを裏付けた。
【0137】
実施例4:抽出物および単離された化合物を用いる前立腺がんの処置
上記の結果に基づき、ルビア・コルディフォリアおよびRGAは、前立腺肥大症および前立腺がんの処置への適用の潜在性を有する、との仮説が立てられた。試験された22RV1は、エンザルタミド抵抗性を示す、去勢抵抗性前立腺がん細胞であるため、ルビア・コルディフォリアおよびRGAは、エンザルタミド抵抗性を示している去勢抵抗性前立腺がん細胞の処置に有用であり得る。
【0138】
エンザルタミド抵抗性患者の約30%は、グルココルチコイド受容体(GR)の過剰発現を示している。GRは、ARの機能を代わりに果たすことができ、かつエンザルタミド抵抗性前立腺がんにおいて腫瘍を増殖させることができる。22RV1 PSA-ルシフェラーゼレポーター細胞およびPC3 PSA-ルシフェラーゼレポーター細胞において、Y1830水抽出物およびRGA(またはRGAを含む画分)は、デキサメタゾン(DEX)誘導性の転写応答に対して阻害効果を有することが見出された(図5A~5E)。Y1830水抽出物およびRGA(またはRGAを含む画分)はまた、22RV1細胞またはPC3細胞において、DEX誘導性のSGK1のmRNA発現を阻害した。結果は、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)が、GR過剰発現介在エンザルタミド抵抗性前立腺がんに対する処置として潜在性を有し得ることを示した。
【0139】
グルココルチコイド受容体(GR)が、LNCaP細胞において過剰発現された場合(図6A)、ルシフェラーゼ活性によって表されるように、LNCaP-GR細胞は、DEX刺激に対して応答性となった(図6B)。エンザルタミド処理を、Y1830処理またはRGA(もしくはRGAを含む画分)処理と比較した場合、エンザルタミドは、DHT誘導性の転写応答を阻害できたのみで、DEX誘導性の転写応答は阻害できなかった(図6C)。Y1830水抽出物およびRGA(またはRGAを含む画分)は、DHT誘導性のまたはDEX誘導性の転写応答を、効果的に阻害することができた(図6D)。
【0140】
エンザルタミド、Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)は、DHTもしくはDEXの存在下またはそれらの非存在下で、種々の前立腺細胞株の増殖を阻害するそれらの能力に関してさらに試験された。22RV1細胞の増殖は、わずかにDHT依存性であるが、DEX依存性ではないことが見出された(図7A~7B)。予想されたように、22RV1は、エンザルタミド処理に対して抵抗性であることが見出された。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、22RV1細胞に対し、DHTおよびDEXの存在下、またはそれらの非存在下で、類似した増殖阻害効果を示した(表3)。結果は、22RV1細胞の増殖は、Y1830、およびRGA(またはRGAを含む画分)に対し、DHTまたはDEXの存在下で、より感受性であったことを示す。DHTの非存在下で、LNCaP細胞は、エンザルタミド処理にも、Y1830処理にも、RGA(またはRGAを含む画分)処理にも、感受性ではないことが見出された。しかしながら、DHTは、LNCaP細胞の増殖を刺激することが見出された(図7C)。DHTの存在下で、LNCaP細胞は、エンザルタミド処理、Y1830処理、およびRGA(またはRGAを含む画分)処理に対して、より感受性であった(表3)。DEXは、GR過剰発現LNCaP(LNCaP-GR)細胞の増殖を刺激し、かつLNCaP細胞をエンザルタミド抵抗性にしたことが見出された。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、LNCaP-GR細胞の増殖を、DHTまたはDEXのいずれかの存在下で、効果的に阻害した。Y1830およびRGAはまた、PC3細胞の増殖を阻害したが、DEXの存在下では効果は弱まった。すべての条件下で、RG(またはRGを含む画分)は、500 μg/mlに至っても、細胞増殖に対して阻害効果を一切示さなかった。要約すると、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、細胞増殖への類似した阻害を示したが、その能力は、細胞の種類によって、およびDHTもしくはDEXの存在またはそれらの非存在によって、影響を受けた。これらの結果は、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)が、アンドロゲン依存性のおよびアンドロゲン非依存性の前立腺がんを処置するために有用であり得ることを示唆する。加えて、22RV1細胞のアッセイに例示されるように、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、エンザルタミド抵抗性がんを処置するために有用であり得る。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)はまた、LNCaP-GRでDEX有り、という条件において例示されるように、GR介在エンザルタミド抵抗性を阻害するために有用であり得る。
【0141】
(表3)種々の前立腺細胞株の増殖の阻害に関するさまざまな化合物のIC50
RGAおよびRGについてのIC50は、等価濃度のY1830に対して標準化された。1 mg/mlのY1830は、4.4 μg/mLのRGAを含むことが見出された。
DHT: 22RV1細胞に25 nMが追加された。LNCaP細胞またはLNCaP-GR(GR過剰発現)細胞に2 nMが追加された。
DEX(デキサメタゾン): 記載の細胞に50 nMが追加された。
細胞増殖は、4日間のインキュベーション後に測定された。IC50は、50%の細胞増殖を阻害するのに必要な濃度として決定された。
【0142】
実施例5:Y1830、およびRGA/RGAを含む画分は、ホルモン受容体タンパク質の発現に対して影響を及ぼす
22RV1細胞において、DHTの存在下またはその非存在下で、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、ARおよびAR-V(短縮型AR)を下方制御するが、GRを下方制御しないことが見出された(図8A)。Y1830およびRGAによる、ARタンパク質の下方制御は、MG132(プロテアソーム阻害物質)の追加によって、阻止されることができた(図8B)。何らかの特定の理論に限定されることを意図するものではないが、この結果は、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)による、ARタンパク質の下方制御が、プロテアソーム経路の活性化に関連し得ることを示唆する。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)が、GRタンパク質の発現を下方制御することなくGR活性を阻害したこともまた、見出された。
【0143】
DHTの存在下またはその非存在下で、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、サイクリンD1(cycD1)タンパク質の発現に対し強い阻害効果を有しており、かつ、ベータ-カテニン(b-cat)タンパク質の発現に対し中程度の阻害効果を有していた(図8A)。しかしながら、Y1830およびRGAによる、cycD1タンパク質およびb-catタンパク質の下方制御は、MG132の追加による影響を受けなかった。この結果は、プロテアソーム経路の活性化は、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)によるcycD1およびb-catの下方制御の作用機序ではなかったことを示唆する。RG(またはRGを含む画分)は、GR、AR、AR-V、b-cat、cycD1のいずれにも、それらのタンパク質発現に対する影響を有さなかった(図8A~8B)。
【0144】
MCF7乳がん細胞において、17βエストラジオール(E2)の存在下またはその非存在下で、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、エストロゲン受容体であるERa、AR、プロゲステロン受容体であるPR(aおよびb)を下方制御すること、ならびにエストロゲン受容体であるERbをわずかに下方制御することが見出された(図9A)。ERaタンパク質およびARタンパク質の下方制御は、MG132の追加によって阻止された。しかしながら、PRの下方制御は、MG132による影響を受けなかった(図9B)。これらの結果は、プロテアソーム経路がARおよびERaの下方制御に関連するが、ERbおよびPRについてはそうではないことを示唆する。この場合も、22RV1細胞において観察された結果と同様に、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、MCF7細胞でのGRタンパク質の発現を阻害しなかった。
【0145】
E2の存在下またはその非存在下で、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、サイクリンD1(cycD1)タンパク質の発現に対し強い阻害効果を有しており、かつ、ベータ-カテニン(b-cat)の発現に対し中程度の阻害効果を有していた(図9A)。しかしながら、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)による、cycD1タンパク質またはb-catタンパク質の下方制御は、MG132による影響を受けなかった。この結果は、プロテアソーム経路の活性化は、MCF7細胞におけるY1830およびRGAによるcycD1およびb-catの下方制御の作用機序ではなかったことを示唆する。RG(またはRGを含む画分)は、試験されたすべてのタンパク質のタンパク質発現に対して、影響を一切有さなかった。
【0146】
MCF7細胞において、E2の存在下またはその非存在下で、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、ヒストン2AXのセリン139のリン酸化を引き起こした、これは、DNA二本鎖切断のマーカーである。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、ポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ-1(PARP-1)タンパク質を下方制御することもまた見出された、該タンパク質は、一本鎖DNA(ssDNA)切断の修復において重要な役割を有している。加えて、Y1830およびRGAは、wt MCF7細胞において、腫瘍タンパク質p53を下方制御した(図10)。これらの結果は、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)が、DNA修復プロセスを妨げ得ることを示唆する。Gata3は、ERaが関与するポジティブフィードバックループ中で作用していることが公知であり、したがって、観察された、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)による、ERaタンパク質およびGata3タンパク質の同時下方制御は、予想されたものであった。CD47の下方制御(腫瘍細胞において)は、マクロファージにおいて、シグナル制御タンパク質α(SIRPa)による阻害を妨げることにより、マクロファージによる腫瘍細胞への食作用を、促進する。したがって、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)による、CD47の下方制御は、免疫療法としての適用において有用であり得る可能性がある(図10)。
【0147】
BET(ブロモドメインおよびエクストラターミナルドメイン)サブファミリーのブロモドメインタンパク質(Brd2、Brd3、Brd4)は、ERα依存性エンハンサーおよびAR依存性エンハンサー両方の活性化ならびに遺伝子転写に重要である。BET阻害物質は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を含む、乳がん細胞の増殖を阻害することが示されている。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、MCF7(E2有りもしくはE2無し)での、または22RV1(DHT有りもしくはDHT無し)での、Brd2およびBrd4のタンパク質発現を低下させた(図11A~11B)。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、MCF7細胞および22RV1細胞において、H3K27アセチル化を選択的に低下させた(図11A~11B)。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、H3K9アセチル化に対してもH3K14アセチル化に対しても、大きな影響は有していなかった(図11A~11B)。これらの結果は、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)が、Brdタンパク質の、ERαの標的遺伝子およびARの標的遺伝子のプロモーター/エンハンサー領域への結合を減少させ得、かつしたがって、それらの転写に影響を及ぼすことを、示唆する。これらの結果はまた、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)が、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)に対する汎阻害物質(pan-inhibitor)ではないことを示唆する。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、H3K27Acに依存性である遺伝子のサブセットの転写のみを阻害することが見出された。
【0148】
Y1830、RGA(またはRGAを含む画分)、およびRG(またはRGを含む画分)の、乳がん細胞であるMCF7、T4D、MDAMB453、およびMDAMBA231の増殖に対する効果は、E2の存在下またはその非存在下で、4日間にわたり測定された。結果は、T4D細胞の増殖がE2に対しほぼ完全に依存性であったことを示した(図12A)。MCF7細胞の細胞増殖は、E2に対し完全に依存性というわけではなかったが、E2(10 nM)の追加は、MCF7細胞の増殖を1倍早めた(図12A)。MDAMB453細胞およびMDAMBA231細胞の増殖は、E2に対し非依存性であった(図12A)。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、E2の存在下またはその非存在下で、MCF7細胞の増殖に対して類似した阻害を示したが、一方で、RGは、MCF7細胞に対して非常に弱い増殖阻害を有していた(図12B~12C)。T4D細胞がE2での刺激下にある場合、Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)は、T4D細胞の増殖に対して強い阻害効果を示した(図12C)。Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)はまた、ダブルネガティブ(ERネガティブ、PRネガティブ)であるMDA-MB-453細胞、およびトリプルネガティブ(ERネガティブ、PRネガティブ、HER2ネガティブ)であるMDAMB-231細胞の増殖を阻害した(図12B~12C)。
【0149】
実施例6:Y1830およびRGAによるインドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害
インドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)は、L-トリプトファンを代謝して、それをキヌレニンへと変換する能力を有する、酵素である。IDOは、抗PD1療法および抗CTLA4療法に対する抵抗性において重要な役割を有し得る。IDO阻害物質は、動物において、さまざまな種類の腫瘍に対する抗PD1療法、抗PD-L1療法、抗CTLA4療法の作用を増強する。IDOに対する阻害活性は、ルビア・コルディフォリアの種々の調製物(Y1830、Y9、N9)について、500 μg/mlで試験された。抽出物は、インビトロアッセイにおいて、IDO活性に対し約50%の阻害効果を示した(図13)。Y1830の種々のエタノール溶出物の、AR活性およびIDO活性に対する阻害プロファイルが、比較された(図14)。IDOに関し、Y1830の30%エタノール溶出物および50%エタノール溶出物は実質的な阻害を示した。ARに関し、30%エタノール溶出物は活性を有さなかったが、一方で50%エタノール溶出物および75%エタノール溶出物は阻害を示した。30%エタノールのほうは、IDOに対する選択的な活性を有していた、これは、30%エタノール画分中に存在するが、50%エタノール溶出物および75%エタノール溶出物中には存在しない、少なくとも1種類の化合物が、この活性をもたらしたことを示唆する。366.04のMWを有する、26分の時点にある質量ピークは、30%エタノール画分に固有であることが見出された(図14)。
【0150】
実施例7:Y1830およびRGA(またはRGAを含む画分)はヌードマウスにおいて22RV1腫瘍増殖を阻害する。
22RV1細胞(エンザルタミド抵抗性前立腺がん細胞)は、雄のヌードマウスの皮下に移植された。腫瘍が5 mm×5 mmに到達した時に、Y1830水抽出物(500 mg/kg、BID、PO)、およびY1830と等価の用量のRGA(またはRGAを含む画分)が、動物を処置するために11日間にわたり使用された。図15Aに示されるように、Y1830は、第2日~第11日に、22RV1腫瘍増殖に対して有意な阻害を示した(P<0.05)。RGA(またはRGAを含む画分)は、第2日~第6日に、22RV1腫瘍増殖に対して有意な阻害を示した(P<0.05)(図(IG)15A)。両方の処置は、動物の体重減少を引き起こさなかった、これは、動物に対する有意な総合毒性が無かったことを意味する(図15B)。結論として、Y1830は、22RV1腫瘍増殖に対して、RGAを含む画分よりも強い抗腫瘍活性を有していた。したがって、Y1830全抽出物の、RGAを含む画分中の分子以外の化合物もまた、抗腫瘍活性を有し得るか、または腫瘍が薬物抵抗性を発生させるのを妨げ得ることが、さらに結論付けられる。
【0151】
他の態様
本明細書中の、変数の任意の定義における、要素の一覧の記載は、任意の単一の要素としての該変数の定義、または一覧中の要素の組み合わせ(もしくは部分的な組み合わせ)としての該変数の定義を含む。本明細書における態様の記載は、任意の単一の態様としての該態様を、または任意の他の態様もしくはその一部分との組み合わせとしての該態様を含む。
【0152】
本明細書において引用されている、特許、特許出願、および刊行物の開示はいずれもすべて、本明細書によって、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。本発明は、特定の態様を参照して開示されているが、本発明の他の態様および変形物が、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく他の当業者によって案出され得ることは、明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような態様および同等の変形物を含むと解釈されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15A
図15B
【配列表】
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