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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】通気孔を有する電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240209BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/559 20210101ALI20240209BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240209BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/152
H01M50/107
H01M50/559
H01M50/548
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020571773
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019040905
(87)【国際公開番号】W WO2020033090
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】16/058,735
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315014051
【氏名又は名称】デュラセル、ユーエス、オペレーションズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】マーク、アッシュボルト
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、シェルキン
(72)【発明者】
【氏名】ブリエン、メリル
(72)【発明者】
【氏名】オレグ、ポドプリゴラ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、エス.フェリン
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049680(JP,A)
【文献】特開2011-159441(JP,A)
【文献】特表2012-506107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10、50/30、50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングであって、
第1端子および第2端子を含み、
前記第1端子はカバーを含み、前記カバーはその内部に少なくとも1つの弱化線を含み、前記弱化線は、前記ハウジング内で閾値圧力が満足される場合に開口を形成し、前記開口を通して前記ハウジングからガスを排出できるように構成され、
前記ハウジング内に前記カバーに隣接して配置されるフィルタであって、前記ガスを前記ハウジングから排出できるように、かつ前記閾値圧力が満足される場合に前記ハウジング内に収容される固形物が前記開口から流出するのを抑止するように構成されている開口部を有するフィルタ、を含むハウジング、
を含む、電池。
【請求項2】
前記ハウジングは、アノードおよびカソード、ならびに前記アノードと前記カソードの間に配置されるセパレータを収容する、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記アノードの膨張に適応する第1空間および前記カソードの膨張に適応する第2空間を含む、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記弱化線は切り込み線である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記切り込み線は前記ハウジングの側壁に隣接して配置され、ラベルにより覆われて、前記閾値圧力が満足される場合に前記ハウジング内に収容される前記固形物が前記開口から流出するのをさらに抑止する、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記切り込み線は、前記ハウジング内に配置されるカソードから縦方向に離間している、請求項4に記載の電池。
【請求項7】
前記切り込み線は、前記側壁に隣接する中央部を有する円弧を含む、請求項5に記載の電池。
【請求項8】
前記弱化線は8ミリメートルの長さである、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記開口部および前記弱化線は、前記閾値圧力が満足される場合に前記ガスが前記開口部を通過できるように、かつ前記ガスが前記カバーに作用して前記弱化線が開口を形成できるように、略位置合わせされている、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記フィルタは前記カバーを補強するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記弱化線は第1弱化線であり、前記開口は第1開口であり、前記カバーは第2弱化線をさらに含み、前記第2弱化線は前記閾値圧力が満足される場合に第2開口を形成して前記ガスを前記ハウジングから排出できるように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記カバーは突出部を含み、前記第1弱化線は前記突出部の第1側に配置され、前記第2弱化線は前記突出部の第2側に配置される、請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記フィルタは放射状に間隔をおいて配置される複数の開口部を含み、前記放射状に間隔をおいて配置される複数の開口部は、前記閾値圧力が満足される場合に前記ガスを前記ハウジングから排出できるように、かつ前記ハウジング内に収容される前記固形物が前記開口から流出するのを抑止するように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
前記第1端子はアノードであり、前記第2端子はカソードである、請求項1~13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記弱化線を覆う第2カバーをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の電池。
【請求項16】
前記弱化線はコイン状通気孔である、請求項1~15のいずれか一項に記載の電池。
【請求項17】
第1端子および第2端子を含むハウジングであって、前記第1端子は、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるようにする手段を含むカバーを有する、ハウジングと、
前記閾値圧力が満足される場合に固形物を前記ハウジング内に収容されたままとする手段と、
を含むものであり、
前記閾値圧力が満足される場合に前記固形物を前記ハウジング内に収容されたままとする前記手段は、前記ハウジング内に前記カバーに隣接して配置されるフィルタを含む、電池。
【請求項18】
前記閾値圧力が満足される場合に前記ガスを前記ハウジングから排出できるようにする前記手段は、前記閾値圧力が満足される場合に開口を形成するように構成される弱化線を含む、請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記弱化線はアーチ形の溝である、請求項18に記載の電池。
【請求項20】
前記フィルタは、前記閾値圧力が満足される場合に前記ガスを前記ハウジングから排出できるように、かつ前記ハウジング内に収容される前記固形物が前記開口から流出するのを抑止するように構成される放射状に間隔をおいて配置される複数の開口部を有する、請求項18または19に記載の電池。
【請求項21】
ハウジングであって、
第1端子および第2端子を含み、
前記第1端子は圧力放出口を有するカバーを含み、前記圧力放出口は、閾値圧力が満足される場合にガスを前記ハウジングから排出できるように作動可能であり、
前記ハウジング内に前記カバーに隣接して配置されるフィルタであって、前記ガスを前記ハウジングから排出できるように、かつ前記ハウジング内に収容される固形物が前記ハウジングから流出するのを抑止するように構成されているフィルタ、を含むハウジング、
を含む、電池。
【請求項22】
前記圧力放出口は、閾値圧力が満足される場合に切断されて開口を形成してガスを排出できるように構成される弱化線を含む、請求項21に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電池に関し、より詳細には通気孔を有する電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セル、すなわち電池は、電気エネルギー源として使用されうる。一部の例では、電池は電子機器に電源を供給するのに使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第1例によれば、電池は、第1端子と第2端子を含むハウジングを含む。第1端子はカバーを含む。カバーはその内部に少なくとも1つの弱化線(line of weakness)を含む。弱化線は、ハウジング内で閾値圧力が満足される場合に開口(opening)を形成して、この開口を通してガスをハウジングから排出することができるように構成される。フィルタがハウジング内にカバーに隣接して配置される。フィルタは開口部(aperture)を有し、この開口部は閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるように、かつハウジング内に収容される固形物がこの開口から流出するのを抑止するように構成される。一改良例では、フィルタは、他の構成要素がカバーとフィルタの間に配置されないように、カバーのすぐ隣に配置されうる。
【0004】
第2例によれば、電池は、第1端子と第2端子を含むハウジングを含む。第1端子は、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるようにする手段を含むカバーを有する。閾値圧力が満足される場合に固形物をハウジング内に収容されたままとする手段。一改良例では、閾値圧力が満足される場合に固形物をハウジング内に収容されたままとする手段は、カバーと閾値圧力が満足される場合に固形物をハウジング内に収容されたままとする手段との間に他の構成要素が配置されないように、カバーのすぐ隣に配置されうる。
【0005】
第3例によれば、電池は、第1端子と第2端子を含むハウジングを含む。圧力放出口(pressure release)を有するカバーを含む第1端子。圧力放出口は、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるように作動可能である。フィルタがハウジング内にカバーに隣接して配置される。フィルタは、ガスをハウジングから排出できるように、かつハウジング内に収容される固形物がハウジングから流出するのを抑止するように構成される。一改良例では、フィルタは、他の構成要素がカバーとフィルタの間に配置されないように、カバーのすぐ隣に配置されうる。
【0006】
第4例によれば、電池は、正極および負極を含むハウジングを含み、正極はピップ(pip)およびピップに隣接する弱化線の両方を含む最外部のカバーを含み、弱化線はハウジング内で閾値圧力が満足される場合に開口を形成するように構成される。
【0007】
さらに上述の第1、第2、第3、および/または第4例によれば、装置および/または方法は、以下のうちのいずれか1つまたは複数をさらに含みうる。
【0008】
一例によれば、ハウジングはアノードおよびカソードを収容し、セパレータがアノードとカソードの間に配置される。
【0009】
別の例によれば、ハウジングは、アノードの膨張に適応する第1空間およびカソードの膨張に適応する第2空間を含む。
【0010】
別の例によれば、弱化線は切り込み線である。
【0011】
別の例によれば、切り込み線はハウジングの側壁に隣接して配置され、少なくとも部分的にラベルにより覆われて、閾値圧力が満足される場合にハウジング内に収容される固形物が開口から流出するのをさらに抑止する。
【0012】
別の例によれば、切り込み線は、切り込み線とカソードが電池の縦軸に沿って一列とならないように、カソードから縦方向に離間している。
【0013】
別の例によれば、切り込み線は、側壁に隣接する中央部を有する円弧を含む。
【0014】
別の例によれば、弱化線は約8ミリメートルの長さである。
【0015】
別の例によれば、フィルタの開口部およびカバーの弱化線は、閾値圧力が満足される場合にガスが開口部を通過できるように、かつガスがカバーに作用して弱化線が開口を形成できるように、略位置合わせされている。
【0016】
別の例によれば、フィルタはカバーを補強するように構成され、配置されて、閾値圧力が満足される場合に、例えばハウジング内に収容される固形物の少なくとも一部を保持することでこの固形物の一部が開口から流出するのを抑止する。
【0017】
別の例によれば、弱化線は第1弱化線であり、開口は第1開口であり、カバーは第2弱化線をさらに含み、第2弱化線は閾値圧力が満足される場合に第2開口を形成してガスをハウジングから排出できるように構成される。
【0018】
前述の例の改良例によれば、カバーは突出部を含み、第1弱化線は突出部の第1側に配置され、第2弱化線は突出部の第2側に配置される。
【0019】
別の例によれば、フィルタは放射状に間隔をおいて配置される複数の開口部を含み、放射状に間隔をおいて配置される複数の開口部は、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるように、かつハウジング内に収容される固形物がこの開口から流出するのを抑止するように構成される。
【0020】
別の例によれば、第1端子はアノードであり、第2端子はカソードである。
【0021】
別の例によれば、電池は弱化線を覆う第2カバーをさらに含む。
【0022】
別の例によれば、弱化線はコイン状通気孔である。
【0023】
別の例によれば、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるようにする手段は、閾値圧力が満足される場合に開口を形成するように構成されている弱化線を含む。
【0024】
別の例によれば、弱化線はアーチ形の溝である。
【0025】
別の例によれば、閾値圧力が満足される場合に固形物をハウジング内に収容されたままとする手段は、ハウジング内にカバーに隣接して配置されるフィルタを含み、このフィルタは、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるように、かつハウジング内に収容される固形物が開口から流出するのを抑止するように構成される、放射状に間隔をおいて配置される複数の開口部を有する。
【0026】
別の例によれば、圧力放出口は、閾値圧力が満足される場合に切断されて開口を形成してガスを排出できるように構成されている弱化線を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示の教示に従う例示の電池を示す。
図2図1の電池の分解組立等角図を示す。
図3図1の電池の別の分解組立等角図を示す。
図4図1の電池の別の分解組立等角図を示す。
図5図1の例示の電池の端面図を示し、閉位置にある例示の圧力放出口を含む正極側カバーを示す。
図6図1の電池のハウジング内に配置される、例示の開口部を有する例示のフィルタを示す。
図7図1の電池を実現するのに使用可能な、別の例示のフィルタを示す。
図8図1の電池の断面立面図を示す。
図9図1の電池の端部の詳細な断面立面図を示す。
図10】例示の圧力放出口を覆う大きさの例示のラベルを含む、図1の例示の電池の等角切り取り図を示す。
図11図1の例示の電池の等角図を示し、開位置にある圧力放出口を示す。
図12図11の例示の電池の等角部分断面図を示す。
図13図1の電池を実現するのに使用可能な、別の例示の圧力放出口を含む別の例示のカバーを示す。
図14図1の電池を実現するのに使用可能な、別の例示の圧力放出口を含む別の例示のカバーを示す。
図15図1の電池を実現するのに使用可能な、別の例示の圧力放出口を含む別の例示のカバーを示す。
図16図1の電池を実現するのに使用可能な、別の例示の圧力放出口を含む別の例示のカバーを示す。
図17図1の電池を実現するのに使用可能な、別の例示の圧力放出口を含む別の例示のカバーを示す。
図18】本明細書で開示される通気孔を有する電池の試験から得られる結果を描いたグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の文章は例示の方法、装置、および/または製品の詳細な説明を開示しているが、財産権の法的範囲は本特許の最後に記載される請求項の文言により規定されることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は例に過ぎないと解釈されるべきであり、あらゆる考えうる例を記載するのは不可能ではないとしても現実的ではないため、あらゆる考えうる例を記載しているわけではない。多くの他の例を、最新の技術、または本特許の出願日以降に開発される技術のいずれかを使って実現することも可能である。そのような他の例もなお請求の範囲内に含まれることが想定される。
【0029】
アルカリ電池やリチウム電池などの電池の構成要素間の化学反応によりガスが発生する、および/または、電池内に収容される材料の体積を増大させる生成物が作り出されることがある。閾値圧力が満足された後に、電池内の内部圧力を制御された方法で下げるため、本明細書で開示される例は、圧力を放出できるように構成される例示の圧力放出口を含む。閾値圧力は、例えば、約1000重量ポンド毎平方インチ(psi)から約2000psiの圧力、もしくは約1400psi、または、任意の他の選択される圧力であってもよい。有利なことに、本開示の教示に従い実現される例示の圧力放出口は、電池ハウジング内の内部空間をあまり占有せずに、電池の要素(アノード、カソードなど)が内部で利用できる容積を、他の既知の例と比べて約5%増加させることができる。具体的には、電池端部の封止材は安全用内部通気孔を含まず、安全用内部通気孔により通常占められる空間は必要とされないため、電池の空洞内の空間が節約できる。さらに、一部の既知の電池におけるプラスチック封止材により実現される圧力放出口とは対照的に、圧力放出口は、水酸化物、閾値範囲外の温度、および/または閾値範囲外の湿度に曝されたとしても経時的に劣化しないよう構成することができる。
【0030】
例示の圧力放出口は、電池のカバー内に形成される1つまたは複数の弱化線として実現することができる。弱化線は任意の長さを持ちうる。しかし、一部の例では、各弱化線は約8ミリメートル(mm)の長さである。弱化線の長さまたは位置に関わらず、弱化線は、閾値圧力が満足される場合に開口を形成するように構成されるが、より低い圧力では電池を実質的に封止し、電池内に含まれる構成要素を囲む。言い換えれば、閾値圧力が満足される場合は例示の弱化線は割れる、または裂けて、弱化線により画定されるタブが動いて、過剰圧力を制御された方法で放出する、かつ固形物が開口から流出するのを抑止する開口を形成することができる。
【0031】
弱化線は、端子のカバーにあるピップを少なくとも部分的に取り囲む、1つまたは複数の溝、切り込み線、および/またはコイン状通気孔として形成することができる。本明細書に記載される場合、「切り込み線」という用語は、印、ひっかき傷、切り込み、レーザーエッチング/彫刻、および/または、周囲に対して薄くなった部分のことを指す。本明細書に記載される場合、「コイン状通気孔」という表現は、閾値圧力を満足する圧力に応答して砕けるように構成され、配置される、材料厚さが減らされた領域を意味する。一部の例では、弱化線は、例えば、弱化線に形成される開口をアノードにより加えられる可能性がある機械的圧力から引き離す、および/または、通気事象が発生する際にセパレータおよび/またはアノードによって弱化線に形成される開口が遮断される、または塞がれるのを抑止するために、カバーが電池端部に結合される際にカソードの上に配置される。
【0032】
一部の例では、弱化線は、1つまたは複数の円弧状弱化線、および/または各アーチ形弱化線の端部が結合される複数の半径方向弱化線を含む。弱化線が円弧状溝として実現される場合、一つの円弧状溝は(カバーの外周に対して)約70°の円弧と約270°の円弧の間とすることができる、あるいはそうでなければC字形状を有することができる。もちろん、360°の円は、(最初はハウジング内に収容されている)固形物がハウジングから排出されてしまいかねないので、避けるべきである。そのような例では、一つの円弧状溝を電池の回転対称軸からオフセットさせて、円弧状溝の中央部がカバーと電池ハウジングの側壁の間の接合部へ隣接させることができて、また円弧状溝の端部を、電池のアノード領域を横切ることやアノード領域へ大きく広がることなく、電池のカソード領域に隣接して途切れさせることができる。円弧状溝の中央部を接合部に隣接して配置することにより、中央部をアノードから離間させることができるので、例えばアノードの材料が開口を塞ぐのを防ぐ/抑制することにより、アノードが開口から流出するガスの流量を減少させるのを抑止することができる。
【0033】
他の例では、弱化線は2つの円弧状溝を含む。2つの円弧状溝は、凸状ピップを通って延びる回転対称軸に対して対称とすることができる。一部のそのような例では、円弧状溝は半円として形成される。弱化線をどのように実現しうるかの様々な例が上で開示されたが、弱化線は、通気事象が発生する際に圧力を下げることができるように、任意の形状を有することができる、および/または、任意の場所に配置することができる。さらに、弱化線は任意の適切な方法で形成することができる。例えば、弱化線はレーザーまたは別の彫刻ツールを使って形成することができる。
【0034】
固形物が弱化線に形成される開口から流出するのを抑止しつつ、ガスがこの開口から流出できるようにするため、一部の例では、電池は、アノード/セパレータ/カソードのアセンブリとカバーの間に配置される例示のフィルタを含み、このフィルタはカバーに隣接して配置される。具体的には、フィルタは、ガスおよび/または液体がフィルタを通過できるように構成され、かつ固形物がフィルタを通過するのを抑止するように構成される。フィルタはカバーを補強することができて、通常の電池動作条件および電池の通気を必要とする条件の両方において弾性のある金属相または別の材料で形成することができる。例えば、フィルタは、ステンレス鋼、および/または、疲労しづらい傾向を有する別の材料で形成することができる。
【0035】
一部の例では、フィルタは、例示の開口部、および/または、材料が開口部を通過するのを抑止するような大きさの、および/または、抑止するように構成されている穿孔を有するスペーサで形成される。スペーサは、ガスが透過する円板、座金、障壁、および/またはメッシュなどの円板として形成することができる。例示のスペーサは、例えば3個の開口部、4個の開口部、8個の開口部、9個の開口部、および/または16個の開口部を含む、任意の数の開口部を有することができる。
【0036】
開口部を通過するガスが弱化線に作用できるように、一部の例では、カバーが電池端部に結合される際に開口部を弱化線と位置合わせすることができる。開口部をスペーサの周囲に配置する、および/またはスペーサに対して放射状に間隔をおいて配置することで、開口部を正極側カバーおよび/または電池のカソードに隣接させることができる。本明細書に記載される場合、電池内で閾値圧力が満足される場合に開口部を通過するガスが弱化線に作用して弱化線が裂けて開口の形成が促される場合に、および/または、開口部を通過するガスが開位置にあるタブにより形成される開口から外へ向けられる場合に、開口部は弱化線と位置合わせされていると考えられる。別の態様では、開口部は、弱化線上の点が開口部と軸方向に位置合わせされている場合に、位置合わせされていると考えられる。上記の例は開口部を有する部品で形成されるフィルタについて述べているが、他の例では、フィルタは、アノード/セパレータ/カソードのアセンブリを補強し、かつガスが透過できるように構成されている多孔性メッシュ(例えばステンレス鋼の多孔性メッシュ)で形成されうる。
【0037】
一部の例では、開口が形成される場合に材料が開口から流出するのをさらに抑止するために、弱化線は湾曲していて、ハウジング(例えば缶)の側壁に隣接する中央部を含み、かつ少なくとも部分的に例示のカバー(例えば包装紙やラベル)により覆われる。弱化線を少なくとも部分的にカバーで覆うことにより、弱化線が割れて、関連するタブがハウジングの側壁から離れることができるようになって開口が形成される場合に、ラベルが開口を覆う、もしくは開口を超えて延びる、および/または材料(例えばガス状ではない材料や非液状材料)が開口から流出するのを抑止するが、排出された何らかのガスがハウジングから漏れるのに充分な通路が提供される。
【0038】
図1は、本開示の教示を実現するのに使用可能な、例示の電池100を示す。図示される例では、電池100は、円筒形状を有する例示のハウジング102と、例示の第1および第2カバー108、110を有する例示の第1および第2端子104、106を含み、第2カバー110がハウジング102と一体に形成されているのが示されている。図1の電池100は円形断面を有する円筒形で描かれているが、本明細書で開示される、閾値圧力が満足される場合に開口を形成するように構成されている弱化線を含む例示のカバーと、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるようにする手段と、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるように作動可能な圧力放出口と、閾値圧力が満足される場合にガスをハウジングから排出できるように、かつハウジング内に収容される材料が開口から流出するのを抑止するように構成される開口部を有するフィルタと、閾値圧力が満足される場合に材料をハウジング内に収容されたままとする手段と、ガスをハウジングから排出できるように、かつハウジング内に収容される材料がハウジングから流出するのを抑止するように構成されるフィルタは、異なる電池の形態、例えば、矩形状断面または正方形断面を有する電池で実現することができる。したがって、本出願の教示は、限定されないが、単6形(AAAA)、単4形(AAA)電池、単3形(AA)電池、B電池、単2形(C)電池、単1形(D)電池、9V電池、CR2電池、CR123A電池、1/3N電池、および、比較的平坦な形状の例えばボタン型電池やコイン型電池を含む電池に適用可能である。
【0039】
図示される例では、第1端子104は負極であり、第2端子106は正極であり、第2カバー110は電池100の端部114から延びる凸状ピップまたは突出部112を含む。さらに、図1の電池100は、電池100内で閾値圧力が満足される場合に開口を形成するように構成されている例示の圧力放出口116を含む。一部の例では、圧力放出口116は、圧力事象が発生する際に切断されるように、および/または断裂するように構成されている、1つまたは複数の弱化線により形成される。図1は圧力放出口116を含む第2カバー110を開示しているが、他の例では、圧力放出口116は第1カバー108に設けられることがある。
【0040】
図2~4は、図1の例示の電池100の異なる分解組立等角図を示す。図2を参照すると、電池100は、ハウジング102と、第1カバー108と、例示のアノード集電体202と、例示の封止材204と、を含む。示されるように、また他の既知の例とは対照的に、図2の封止材204は通気孔を含まず、これにより封止材204をより小さくすることができる、および/またはより小さい高さを持つようにすることができる。封止材204は一部の既知の例と比べてより小さい、および/またはより小さい高さを持つので、封止材204は第1カバー108のより近くに配置することができる、および/またはハウジング102内でより少ない空間を占有しうる。その結果、例示の電池100は、電池100の他の構成要素(例えばアノード、カソード、セパレータ)を収容するのに利用できる、他の例と比べて約4%~5%大きな空間を含む。さらに、従来知られている例は、弱化線により形成され、封止材204などの封止材により実現されるプラスチック製通気孔を含む。弱化線は、特定の条件下で割れて電池を制御可能に通気するように構成された。しかし、封止材204はプラスチックで出来ており、プラスチックは特定の環境条件下で疲労する傾向があるので、この弱化線も、上昇した温度および/または湿度へ曝された場合に疲労する/通気開口を形成する傾向があった。従来知られている例とは対照的に、本明細書で開示される例を実現するために使用される封止材204は通気孔を含まず、それゆえ特定の条件下で通気孔を形成するように構成されている弱化線を含まない。封止材204にはそのような通気孔/弱化線が含まれず、有利なことに封止材204の耐用年数および電池100の耐用年数が改善される。
【0041】
開口が圧力放出口116に形成される場合にガスが電池100から流出できるようにするため、また非ガス状の材料が電池100から流出するのを抑止するため、この例では、電池100は、例示の開口部208を有する例示のフィルタ206を含む。フィルタ206は、ステンレス鋼などの金属、プラスチック、または任意の適切な剛性材料で形成することができて、本明細書では円板、シム(shim)、メッシュ、ふるい(screen)などと呼ばれることがある。開口部208は、フィルタ206がハウジング102内に配置される場合に圧力放出口116に隣接して配置することができる。したがって、開口部208は放射状に間隔をおいて配置されることがあり、圧力放出口116に連なる、および/または実質的に対応する仮想的な円弧または円に沿って配置されることがある。
【0042】
図3は、圧力放出口116を含む電池100の端部114を示す。この例では、圧力放出口116は、例示の第1円弧状弱化線302および例示の第2円弧状弱化線304として実現され、弱化線302、304は第2カバー110の横断方向軸306に対して略対称である。示されるように、弱化線302、304は、ハウジング102の側壁312と第2カバー110の間の接合部310に隣接して配置される中間部307、308を有する。また示されるように、弱化線302、304の端部313、314、316、318はピップ112の開始部320付近で終わる。本明細書に記載される場合、ピップの開始部320は、外側へ突出し始めて最終的にはピップ112そのものを与える第2カバー110の環状部分として定義される。
【0043】
中間部307、308を接合部310に隣接して配置することで、閾値圧力が満足された場合に結果として生じる任意の開口(図11、12を参照)をアノードから離間させることができる。また、中間部307、308を接合部310に隣接して配置することで、ラベル1000(図10)により弱化線302、304を覆い、圧力均一化事象の間に何らかの固形物が電池100から流出するのをさらに抑止することができる。電池100は特定の場所に特定の形状を有する2つの弱化線302、304を含むことが示されているが、任意の数の弱化線(例えば、1つ、3つ、4つなど)を、電池100内の圧力を制御された方法で均一にすることができる任意の場所に含むことができる。
【0044】
図4は、ハウジング102の第2端部402、フィルタ206、アノード集電体202、封止材204、および第1カバー108を示す。示されるように、16個の円形開口部208がフィルタ206の周囲に放射状に間隔をおいて配置され、3つの開口部208はフィルタ206の中央に配置されて、仮想的な三角形の角を形成する。しかし、フィルタ206は、任意の場所に配置される任意の数の開口部を含むことができる、および/または、電池100内の圧力を制御された方法で均一にすることができる任意の断面(例えば正方形、楕円形、三角形、矩形、六角形など)を有することができる。
【0045】
図5は、ピップ112、弱化線302、304、および側壁312と第2カバー110の間の接合部310を含む電池100の平面図を示す。
【0046】
図6は、ハウジング102内に配置されるフィルタ206の平面図を示す。示されるように、例示の開口部208はフィルタ206の外縁602に隣接して配置され、開口部208を通過する何らかのガスが弱化線302、304に作用できるようにする、および/または、ハウジング102内で上昇した圧力に曝された後に膨張した状態となったアノード(802、図8を参照)のいずれかが開口部208を塞ぎ、開口部208を通る流体の流量を変える(例えば妨害する、減少させる)のを抑止する。また、図6は、フィルタ206の中央に向かって配置される開口部208の一部も示す。この例では、中央に配置される開口部208により、ピップ112内に蓄積された電解質と電池100の残りの部分の中の電解質との間で導通するようになる。
【0047】
図7は、図1の電池100を実現するのに使用可能な、別の例示のフィルタ700を示す。図6のフィルタ206とは対照的に、図7のフィルタ700は中央に配置される開口部を含まない。その代わりに、フィルタ700は、放射状に間隔をおいて配置され、弱化線303、304の輪郭と関連付けられた、および/または、弱化線303、304と位置合わせされた輪郭を有する仮想的な円の周りに配置された、16個の開口部702を含む。
【0048】
図8図1の電池100の断面立面図を示す。示されるように、電池100は、第1および第2カバー108、110を含み、ハウジング102は概してその間に配置される。アノード802をカソード804から分離するため、電池100は例示のセパレータ806を含む。アノード802、カソード804、セパレータ806などの電池100の構成要素がハウジング102内に配置された後に第2端部402を閉じるために、第1カバー108が封止材204の溝808の中で受けられ、ハウジング102の側壁312が封止材204の外周端部に対してカシメられる。一部の例では、封止材204は、カソード804が膨張できるように、カソード804から3mm以上離間される。一部の例では、封止材204は、アノード802が膨張できるように、アノード802から同様に離間される。
【0049】
アノード集電体202と第1カバー108を結合するため、この例では、封止材204は第1開口部810および開口814を有する第2開口部812を含み、アノード集電体202の端部816は第2開口部812の中に配置され、第1カバー108に例えば溶接により結合される。この例では、アノード集電体202の主部818は第1開口部810を通ってアノード802へと延びる。一部の例では、第2開口部812を有し、それ自体は通気孔を含まない封止材204を有する電池100を実現することで、化学物質または他の電池構成要素を収容するのに利用できる電池100の内部容積を他の既知の例と比べて約4%から5%増大させることができる、および/または、アノード集電体202を中心からずらした位置に配置することができる。例えば、一部の既知の電池がそうしているように、通気孔を封止材204に取り入れると、封止材204の大きさが大きくなりうる、および/または、封止材204が第1カバー108から離間している距離が大きくなりうる。
【0050】
図9は電池100の詳細な断面立面図を示し、フィルタ206が第2カバー110に係合している、および/または、第2カバー110ならびに第1および第2弱化線302、304に隣接して配置されていることを示している。また、図9は、アノード802の膨張に適応する大きさの、および/または、適応するように構成されているピップ112により画定される空間902も示す。
【0051】
図10は、第2カバー110と側壁312の間の接合部310を覆う、および/もしくは、接合部310に重ねられ、ならびに/または、弱化線302、304、より一般的には圧力放出口116、を覆う、および/もしくは、弱化線302、304に重ねられるラベル1000を含む電池100の等角図を示し、電池100がより良く示されるようにラベル1000が部分的に除去されている。ラベル1000は任意の材料、例えば金属化されたプラスチック、プラスチック、ゴム、紙、ゴム入り塗膜を有するプラスチック、またはこれらの組み合わせなどで形成することができる。ラベル1000を形成するのに使用される材料に関わらず、ラベル1000は、伸びて図10に示される閉位置から図11に示される開位置まで動くタブ1002を収容するように構成されることがある。示されるように、タブ1002は弱化線302、304に関連し、弱化線302、304により画定される。ラベル1000が伸びる、および/または、裂けないことで、タブ1002は開位置へ動いて、第2カバー110に対する圧力を実質的に均一にしながら、固形物(例えばアノード802やカソード804)が形成されるいずれかの開口から流出するのを抑止することができる。この例では、タブ1002は、電池100内の圧力が満足されてタブ1002が開位置へと動くことができる場合に砕ける弱化線302、304により画定される。
【0052】
図11は、圧力均一化事象の間の電池100を示し、弱化線302、304(図3)により輪郭が示されるタブ1002が作動して、円弧状開口1102、1104を形成している。示されるように、フィルタ206の開口部208は開口1102、1104の輪郭に連なる、または開口1102、1104の輪郭に沿って配置されて、タブ1002が開位置にある場合に開口部208を通過するガスが弱化線302、304へ作用できるようにする、および/または、開口部208を通過するガスを電池100から容易に排出できるようにする。
【0053】
図12は、第2カバー110に対する圧力が均一化される速度を早めるためにタブ1002が開位置へ動かされ、開口部208が開口1102と位置合わせされている、および/または、開口1102と相関性がある、電池100の等角部分断面図を示す。
【0054】
図13は、図1の電池100を実現するのに使用可能な、別の例示のカバー1300を示す。第2カバー110とは対照的に、図13のカバー1300は、側壁312とカバー1300の間の接合部310に連なる、および/または、接合部310に隣接して配置されるアーチ形状が与えられた例示の弱化線1302を含み、弱化線1302の端部1306、1308はピップ112の開始部320に向かって延びてはいない。
【0055】
図14は、図13のカバー1300に類似し、かつ図1の電池100を実現するのに使用可能な、例示のカバー1400を示す。図13のカバー1300とは対照的に、図14のカバー1400は、例示の円弧状弱化線1406の各端部に結合される、例示の放射状に延びる弱化線1402、1404を含む。この例では、弱化線1402、1404、1406が、カバー1400を通過する流体の流出量を変えるために異なる複数の位置の間で作動可能なタブ1408を画定する。例えば、第1位置および/または閉位置では、タブ1408は、例示のカバー1400が実装された電池からガスが漏れるのを防ぐように配置され、第2位置および/または開位置では、タブ1408はそのような電池からガスが漏れることができるように配置される。放射状に延びる弱化線1402、1404が含まれているため、例示のカバー1400により形成される開口は、図13のカバー1300により形成される開口よりも大きくなりうる。
【0056】
図15は、図1の電池100を実現するのに使用可能な、別の例示のカバー1500を示す。第2カバー110とは対照的に、図15のカバー1500は、ピップ112を実質的に囲む例示の円弧状弱化線1502を含む。本明細書に記載される場合、「ピップ112を実質的に囲む」という表現は、弱化線1502がピップ112の周りで約180°から約270°にわたって画定されることを意味する。
【0057】
図16は、図15の例示のカバー1500に類似し、かつ図1の電池100を実現するのに使用可能な、例示のカバー1600を示す。図15のカバー1500とは対照的に、図16のカバー1600は、ピップ112の開始部320に連なる、および/またはピップ112の開始部320に関連付けられる例示の円弧状弱化線1602を含むのに対し、図15の弱化線1502は電池100の中心部、したがってピップ112のより近くに規定される。示されるように、図16の弱化線1602は、ピップ112を約270°囲む。しかし、弱化線1602は示されるより長くても短くてもよく、および/または、圧力均一化事象の間にカバー1600に対する圧力を制御された方法で均一にすることができるように、カバー1600上の任意の他の場所に配置されてもよい。
【0058】
図17は、図16の例示のカバー1600に類似し、かつ図1の電池100を実現するのに使用可能な、例示のカバー1700を示す。図16のカバー1600とは対照的に、図17のカバー1700は、ピップ112の開始部320と、カバー1700と側壁312の間の接合部310との間に配置される例示の円弧状弱化線1702を含む。
【0059】
図18は、従来の電池と本開示の教示により実現される電池に対して行われた高温高湿試験(THT)の結果を示す例示のグラフ1800を示す。高温高湿試験の間は、電池は比較的一定した温度である60℃で90%の相対湿度にさらされる。示されるように、X軸1802は電池が試験された週数に対応し、Y軸1804は漏れが発生した電池の割合に対応し、第1線1806は従来の電池に対して行われた試験に関連する結果を示し、第2線1808は本明細書で開示される例示の電池に対して行われた試験に関連する結果を示す。示されるように、第1線1806と第2線1808を比較すると、8週間の試験の後には、従来の電池はこの期間の約85%で漏れが発生しているのに対して、開示される例示の電池はこの期間の約5%で漏れが発生していて、従来の電池と開示される例示の電池の両方は特定の条件下では漏れが発生する(または、ガスを排出する)ように設計されている。
【0060】
本明細書で開示される例は、一次電池または二次電池において実現しうる。一次電池は、一度だけ、例えば消耗しきるまで放電され、その後廃棄されるように作られている。一次電池(または使い捨ての電池)については、例えば、「David Linden, "Handbook of Batteries"(4th ed. 2011)」に記述されている。二次電池(または充電池)は、何回も繰り返し再充電して使用されるように作られている。二次電池は、何度も、例えば50回、100回を超えて、またはそれより多くの回数、放電および再充電することができる。二次電池については、例えば、「David Linden, "Handbook of Batteries"(4th ed. 2011)」に記述されている。
【0061】
したがって、電池は様々な電気化学的な対および電解質の組み合わせを含みうる。本明細書で開示される例は、概して一次アルカリ電気化学セル、すなわち一次アルカリ電池を対象としているが、開示される例は水系、非水系、イオン液体系、および固体系の一次電池および二次電池の両方で実現しうることを理解されたい。例えば、一次アルカリ電池などの一次電池に加えて、電池は一次リチウムイオン電池であってもよい。あるいは、電池は二次電池、例えばニッケル水素(NiMH)電池、ニッケルカドミウム(NiCad)電池、銀/亜鉛電池、ニッケル/亜鉛電池、固体リチウム充電池などの二次電池とすることができる。前述の系の一次電池および二次電池は、したがって本出願の範囲内であり、開示の範囲は提供されたいずれの特定の例によっても制限されることはない。
【0062】
本明細書で開示される例は、閾値圧力が満足される場合、またはより一般的には通気事象が発生する際に、ガスを排出できるようにする例示の通気孔を含む、電気化学セル、すなわち電池に関する。一部の例では、電池は、カソードが膨張する空間、および/または、最上部アセンブリの下のアノードが膨張していく空間を含む。
【0063】
さらに、本明細書でいくつかの例が開示されたが、いずれかの例のいずれかの特徴を他の例における他の特徴と組み合わせる、または置換してもよい。また、本明細書でいくつかの例が開示されたが、請求の範囲から逸脱することなく、開示された例に対して変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図18