(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】フローセルシステムおよびそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240209BHJP
C12Q 1/00 20060101ALI20240209BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/00 Z
G01N21/64 Z
(21)【出願番号】P 2020572678
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 US2019060542
(87)【国際公開番号】W WO2020112327
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-31
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】アルナウド・リバル
(72)【発明者】
【氏名】アリ・アガー
(72)【発明者】
【氏名】ディートリック・デーリンガー
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー・エイチ・ファング
(72)【発明者】
【氏名】シウユー・ツァイ
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504789(JP,A)
【文献】特表2018-517127(JP,A)
【文献】国際公開第2018/071467(WO,A1)
【文献】特表2019-508669(JP,A)
【文献】国際公開第2018/200300(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0194669(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0210682(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12Q
G01N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部分、複数の電気接点、および少なくとも1つの第1ポートを含む前記ベース部分と結合したカバー部分を含むソケットであって、前記ベース部分と前記カバー部分が協働して筐体を形成し、前記電気接点が前記筐体と前記ベース部分の外部側の間に延在し、前記少なくとも1つの第1ポートは、前記筐体と前記カバー部分の外部側の間に延在するソケット、および
前記ソケットの前記筐体内に固定されたフローセルデバイスであって、
ベースウエハー部分、前記ベースウエハー部分上に延在する複数の誘電体層、検出器表面を含む前記誘電体層上に延在する反応構造、複数の光センサー、前記光センサーに電気的に結合された前記誘電体層を通って延在し、前記光センサーによって検出された光子に基づいてデータ信号を送信するデバイス回路、および前記光センサーに関連
付けられた複数の光ガイド、を含むフレームレス光検出デバイス、および
前記検出器表面上に延在する蓋であって、フローチャネルを
蓋と検出器表面の間に有し、前記フローチャネル、および前記ソケットの前記少なくとも1つの第1ポートと連通する少なくとも1つの第2ポートを含む蓋、を含むデバイス、
を含むフローセルシステムであって、
前記フローセルデバイスの前記光検出デバイスの前記デバイス回路は、前記ソケットの前記電気接点に電気的に結合されている、システム。
【請求項2】
前記カバー部分および前記ベース部が取り外し可能に結合され、前記フローセルデバイスが前記筐体内に取り外し可能に固定されている、請求項1に記載のフローセルシステム。
【請求項3】
前記カバー部分が前記フローセルデバイスの前記蓋に係合し、前記ベース部分および前記電気接点の一方または両方が前記フローセルデバイスの裏側に係合する、請求項1または2に記載のフローセルシステム。
【請求項4】
前記カバー部分ならびに前記ベース部分および前記電気接点の一方または両方が、前記フローセルデバイスに圧縮力を加えて、前記フローセルデバイスを前記筐体内に固定する、請求項3に記載のフローセルシステム。
【請求項5】
前記フローセルデバイスが、前記デバイス回路に電気的に結合され、前記フローセルデバイスの前記裏側の部分を含む露出した裏面を規定する、前記ベースウエハー部分上に延在する複数のコンタククトパッドをさらに含み、前記電気接点が前記コンタククトパッドに係合する、請求項1~4のいずれか一項に記載のフローセルシステム。
【請求項6】
前記コンタククトパッドが、前記ベースウエハー部分を通って延在する前記デバイス回路のビアに電気的に結合されている、請求項5に記載のフローセルシステム。
【請求項7】
前記フローセルデバイスが、前記ベースウエハー部分上に延在する支持層をさらに含み、前記支持層は、前記コンタククトパッドの前記露出した裏面を越えて延在する、請求項5または6に記載のフローセルシステム。
【請求項8】
前記フローセルデバイスが、前記フローセルデバイスの前記裏側を規定する前記ベースウエハー部分に結合されその上に延在する基板部分をさらに含み、前記基板部分が、前記フローセルデバイスの前記裏側からそれを通って延在する複数の電気リードを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のフローセルシステム。
【請求項9】
前記電気接点が前記フローセルデバイスの前記裏側で前記電気リードに係合する、請求項8に記載のフローセルシステム。
【請求項10】
前記電気リード線が、前記検出器表面または前記フローセルデバイスの側面で前記デバイス回路の露出接触面に電気的に結合されている、請求項8または9に記載のフローセルシステム。
【請求項11】
前記フローセルデバイスが、前記リード線と前記デバイス回路の前記露出接触面の間に電気的に結合された複数の導電性ワイヤをさらに含む、請求項10に記載のフローセルシステム。
【請求項12】
前記基板部分および前記電気リード線が、プリント回路基板を含む、請求項8に記載のフローセルシステム。
【請求項13】
前記基板部分から延在する側壁部分をさらに含み、前記基板部分および前記側壁部分がキャビティを形成し、前記光検出デバイスは前記キャビティ内に配置される、請求項8に記載のフローセルシステム。
【請求項14】
前記基板部分および前記側壁部分が、セラミックランドチップキャリヤまたは有機ランドチップキャリヤを含む、請求項13に記載のフローセルシステム。
【請求項15】
前記筐体の開口部が、前記フローセルデバイスの露出した側面の周りに延在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のフローセルシステム。
【請求項16】
前記フローセルデバイスの前記露出した側面が、前記ベースウエハー部分、前記誘電体層、前記反応構造、前記光検出デバイスの前記デバイス回路、またはそれらの組み合わせによって規定される、請求項15に記載のフローセルシステム。
【請求項17】
前記光検出デバイスが、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光センサーを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のフローセルシステム。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のフローセルシステム、および
少なくとも1つの第3ポートおよび複数の機器の電気接点を含む前記フローセルシステムと結合した機器を含むシステムであって、
前記機器の前記少なくとも1つの第3ポートが、前記ソケットの前記少なくとも1つの前記第1ポートと連通して、反応溶液の流れを前記フローチャネル内に供給し、前記検出器表面に複数の反応部位を形成し、
前記複数の機器の電気接点は、前記ソケットの前記電気接点と係合して、前記光検出デバイスの前記デバイス回路と前記機器の間でデータ信号を送信する、システム。
【請求項19】
フローセルデバイスをウエハーレベルのフローセル構造から分離するステップであって、前記ウエハーレベルのフローセル構造が共通のベースウエハー上に配置された複数の一体型フローセルデバイスを含み、前記フローセルデバイスが
前記ベースウエハーの一部分、
前記ベースウエハーの前記一部分上に延在する複数の誘電体層、
検出器表面を含む前記誘電体層上に延在する反応構造、
前記誘電体層内に配置された複数の光センサー、
前記光センサーに電気的に結合された前記誘電体層を通って延在し、前記光センサーによって検出された光子に基づいてデータ信号を送信するデバイス回路、
前記検出器表面と前記光センサーの間の前記誘電体層内に配置される複数の光ガイド、および
前記検出器表面上に延在する蓋であって、フローチャネルを
蓋と検出器表面の間に有し、前記フローチャネルと連通する少なくとも1つの第1ポートを含む蓋、を含むステップと、
前記デバイス回路が、前記筐体内に配置され、前記ベース部分の一部を通って延在する前記ソケットの電気接点に電気的に結合されるように、前記分離された前記フローセルデバイスを、そのベース部分上のソケットの筐体の一部分内に配置するステップと、
前記ソケットのカバー部分をその前記ベース部分と結合して、前記分離されたフローセルデバイスを前記ソケットの前記筐体内に固定し、前記カバー部分の少なくとも1つの第2ポートを、前記フローセルデバイスの少なくとも1つのポートと連通するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記フローセルデバイスを前記ウエハーレベルのフローセル構造から分離するステップが、前記ウエハーレベルのフローセル構造をダイシングするステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記フローセルデバイスを前記ウエハーレベルのフローセル構造からダイシングするステップにより、前記ベースウエハー、前記誘電体層、前記反応構造、前記デバイス回路、および前記蓋のうちの少なくとも1つから成る前記分離されたフローセルデバイスの横側面を形成し、前記フローセルデバイスの前記横側面が前記筐体内に露出している、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記フローセルデバイスが、前記ベースウエハーを通って延在する前記デバイス回路のビアに電気的に結合された前記ベースウエハーの裏側上に延在するコンタククトパッドをさらに含み、
前記分離されたフローセルデバイスを前記ソケットの前記筐体の一部分内に配置するステップが、前記分離されたフローセルデバイスの前記コンタククトパッドの露出面を前記筐体内の前記電気接点と係合するステップを含む、
請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記分離されたフローセルデバイスの前記ベースウエハー部分を基板と結合するステップと、前記分離されたフローセルデバイスの前記デバイス回路を前記基板の電気リードと電気的に結合するステップと、をさらに含み、
前記分離されたフローセルデバイスを前記ソケットの前記筐体の一部分内に配置するステップが、前記分離されたフローセルデバイスおよび前記基板を前記ソケットの前記筐体の前記一部分内に配置するステップと、前記基板の前記リードの露出面を前記筐体内の前記電気接点と係合するステップと、
を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この特許出願は、2018年11月26日に出願した「フローセルシステムおよびそれに関連する方法」という表題の米国仮特許出願第62/771,194号に優先権を主張する。前述の出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
生物学的および/または化学的研究におけるさまざまなプロトコルには、局所的な支持体表面上または所定の反応チャンバー内で多数の制御された反応を行うことを伴う。次に、指定された反応を観察または検出することができ、その後の分析は、反応に関与する物質の特性を同定または明らかにするのに役立ち得る。例えば、いくつかの多重アッセイでは、識別可能な標識(例えば、蛍光標識)を有する未知の分析物が、制御された条件下で数千の既知のプローブにさらすことができる。既知の各プローブは、マイクロプレートの対応するウェルに沈着させることができる。ウェル内の既知のプローブと未知の分析物の間で発生する化学反応を観察することは被分析物質の特性を特定または明らかにするのに役立ち得る。このようなプロトコルの他の例には、合成によるシーケンシング(SBS)やサイクリックアレイシーケンシングなどの既知のDNAシーケンシングプロセスが挙げられる。
【0003】
いくつかの従来の蛍光検出プロトコルでは、光学システムを使用して、励起光を蛍光標識された被分析物に向かわせ、また、被分析物から放出される得る蛍光シグナルを検出する。しかしながら、こうした光学システムは、比較的高価であり、比較的大きなベンチトップフットプリント(benchtop footprint)をともなう可能性がある。例えば、こうした光学システムは、レンズ、フィルター、および光源の配置を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他の提案された検出システムでは、制御された反応は、局所的な支持表面上で、または蛍光発光を検出するための大きな光学アセンブリを伴わないフローセルの所定の反応チャンバー内で起こる。フローセルは、反応液からの蛍光発光を検出する支持体表面/チャンバに隣接して(例えば、下に)配置された電子固体光検出器デバイスまたは撮像装置(例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光検出器デバイスまたは電荷結合素子(CCD)光検出器デバイス)を含む。しかしながら、こうした提案された固体撮像システムには、いくつかの制限を有し得る。例えば、こうしたシステムのフローセルは、単回使用の消耗品として設計され得る。従って、フローセルが小型で安価なデバイスであることが有益であり得る。従って、フローセルのパッケージフットプリントの大きさおよび/またはフローセルのパッケージの構成要素の数および/または大きさを低減することなどによって、フローセルの大きさを低減することが有益であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、フローセルが提供される。フローセルシステムは、ソケットおよびフローセルデバイスを含む。前記ソケットは、ベース部分、複数の電気接点、および少なくとも1つの第1ポートを含む前記ベース部分と結合したカバー部分を含む。前記ベース部分と前記カバー部分とが協働して筐体を形成する。前記電気接点は、前記筐体と前記ベース部分の外部側との間に延在し、少なくとも1つの第1のポートは、前記筐体と前記カバー部分の外部側との間に延在する。前記フローセルデバイスは、前記ソケットの前記筐体内に固定される。前記フローセルデバイスは、フレームレス光検出デバイスおよび蓋を含む。前記フローセルデバイスは、ベースウエハー部分、前記ベースウエハー部分上に延在する複数の誘電体層、検出器表面を含む前記誘電体層上に延在する反応構造、複数の光センサー、前記光センサーに電気的に結合された前記誘電体層を通って延在し、前記光センサーによって検出された光子に基づいてデータ信号を送信するデバイス回路、および前記光センサーに関連付けられた複数の光ガイドを含む。前記蓋は検出器表面上に延在し、それらの間にフローチャネルを形成する。蓋は、フローチャネルと連通する少なくとも1つの第2ポートと、前記ソケットの少なくとも1つの第1ポートとを含む。前記フローセルデバイスの前記光検出デバイスの前記デバイス回路は、前記ソケットの前記電気接点に電気的に結合される。
【0006】
いくつかの例では、前記カバー部分と前記ベース部分は取り外し可能に結合され、前記フローセルデバイスは前記筐体内に取り外し可能に固定される。いくつかの例では、前記カバー部分はフローセルデバイスの蓋に係合し、ベース部分と電気接点の一方または両方はフローセルデバイスの裏面に係合する。いくつかのこうした例では、カバー部分ならびに、前記ベース部分および前記電気接点の一方または両方が、前記フローセルデバイスに圧縮力を加えて、前記フローセルデバイスを前記筐体内に固定する。
【0007】
いくつかの例では、前記フローセルデバイスは、前記デバイス回路に電気的に結合され、前記フローセルデバイスの前記裏側の部分を含む露出した裏面を規定する、前記ベースウエハー部分上に延在する複数のコンタククトパッドをさらに含み、前記電気接点は前記コンタククトパッドに係合する。いくつかのこうした例では、前記コンタククトパッドは、前記ベースウエハー部分を通って延在する前記デバイス回路のビアに電気的に結合されている。いくつかのこうした例では、前記フローセルデバイスは、ベースウエハー部分上に延在する支持層をさらに含み、前記支持層は、前記コンタクトパッドの前記露出した裏面を越えて延在する。
【0008】
いくつかの例では、前記フローセルデバイスは、前記フローセルデバイスの前記裏側を規定する前記ベースウエハー部分に結合されその上に延在する基板部分をさらに含み、前記基板部分は、前記フローセルデバイスの前記裏側からそれを通って延在する複数の電気リードを含む。いくつかのこうした例では、前記基板部分および前記電気リードは、プリント回路基板を含む。他のいくつかのこうした例では、前記基板部分から延在する側壁部分をさらに含み、前記基板部分および前記側壁部分はキャビティを形成し、前記光検出デバイスは前記キャビティ内に配置される。他のいくつかのこうした例では、前記電気接点は、前記フローセルデバイスの前記裏側で電気リードに係合する。いくつかのこうした例では、前記リードは、前記検出器表面または前記フローセルデバイスの側面で、前記デバイス回路の露出接触面に電気的に結合されている。いくつかのこうした例では、フローセルデバイスは、前記リードと前記デバイス回路の前記露出接触面との間に電気的に結合された複数の導電性ワイヤをさらに含む。
【0009】
いくつかの例では、前記筐体の開口部は、前記フローセルデバイスの露出した側面の周りに延在する。いくつかのこうした例では、前記フローセルデバイスの前記露出した側面は、前記ベースウエハー部分、前記誘電体層、前記反応構造、前記光検出デバイスの前記デバイス回路、またはそれらの組み合わせによって規定される。いくつかの例では、前記光検出デバイスは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光センサーを含む。
【0010】
本開示の別の態様では、システムが提供される。前記システムは、フローセルシステムおよび機器を含む。前記フローセルシステムは、上述のフローセルシステムのいずれかを含む。前記機器はフローセルシステムと結合し、少なくとも1つの第3ポートおよび複数の器機の電気接点を含む。前記機器の前記少なくとも1つの第3ポートは、前記ソケットの前記少なくとも1つの第1ポートと連通して、反応溶液の流れをフローチャネルに供給して、前記検出器表面上に複数の反応部位を形成する。前記機器の電気接点は、前記ソケットの前記電気接点と係合して、前記光検出デバイスの前記デバイス回路と前記機器との間でデータ信号を送信する。
【0011】
本開示の別の態様では、方法が提供される。この方法は、フローセルデバイスをウエハーレベルのフローセル構造から分離するステップを含み、前記ウエハーレベルのフローセル構造は、共通のベースウエハーに/上に配置された複数の一体型フローセルデバイスを含む。前記フローセルデバイスは、前記ベースウエハーの一部分、前記ベースウエハーの前記一部分上に延在する、複数の誘電体層、検出器表面を含む前記誘電体層上に延在する反応構造、前記誘電体層内に配置された複数の光センサー、前記光センサーに電気的に結合された前記誘電体層を通って延在し、前記光センサーによって検出された光子に基づいてデータ信号を送信するデバイス回路、前記検出器表面と前記光センサーとの間の前記誘電体層内に配置された複数の光ガイド、および前記検出器表面上に延在する蓋であって、フローチャネルをそれらの間に有する蓋を含む。前記蓋は、前記フローチャネルと連通する少なくとも1つの第1ポートを含む。この方法はさらに前記デバイス回路が、前記筐体内に配置され、前記ベース部分の一部を通って延在する前記ソケットの前記電気接点に電気的に結合されるように、前記分離された前記フローセルデバイスを、そのベース部分上のソケットの筐体の一部分内に配置するステップを含む。この方法はさらに、前記ソケットのカバー部分をその前記ベース部分と結合して、前記分離されたフローセルデバイスを前記ソケットの前記筐体内に固定し、前記カバー部分の少なくとも1つの第2ポートを、前記フローセルデバイスの前記少なくとも1つのポートと連通して結合するステップを含む。
【0012】
いくつかの例では、前記フローセルデバイスを前記ウエハーレベルのフローセル構造から分離するステップは、前記ウエハーレベルのフローセル構造をダイシングするステップを含む。いくつかのこうした例では、前記フローセルデバイスを前記ウエハーレベルのフローセル構造からダイシングすることによって、前記ベースウエハー、前記誘電体層、前記反応構造、前記デバイス回路、および前記蓋のうちの少なくとも1つから成る分離されたフローセルデバイスの横側面を形成し、前記フローセルデバイスの横側面は筐体内に露出している。
【0013】
いくつかの例では、前記フローセルデバイスは、前記ベースウエハーを通って延在する前記デバイス回路のビアに電気的に結合された前記ベースウエハーの裏側上に延在するコンタクトパッドをさらに含み、前記分離されたフローセルデバイスの前記ソケットの前記筐体の一部分内に配置するステップは、前記分離されたフローセルデバイスの前記コンタクトパッドの露出面を前記筐体内の前記電気接点と係合させるステップを含む。いくつかの例では、この方法は前記分離されたフローセルデバイスの前記ベースウエハー部分を基板と結合するステップと、前記分離されたフローセルデバイスの前記デバイス回路を前記基板の電気リードと電気的に結合するステップと、をさらに含み、前記分離されたフローセルデバイスを前記ソケットの前記筐体の一部分内に配置するステップは、前記分離されたフローセルデバイスおよび前記基板を前記ソケットの前記筐体の前記一部分内に配置するステップと、前記基板の前記リードの露出面を前記電気接点と係合するステップを含む。
【0014】
上述の概念および以下でより詳細に検討される追加の概念のすべての組み合わせは(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられ、本明細書に記載される利益および利点を達成するために使用され得ることを理解するべきである。
【0015】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、添付図面と併用される本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、よりよく理解されるようになる。添付の図面は、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではなく、同様の参照番号は、図面全体で同様の側面を表す。
【0017】
図1は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、フローセルシステムを形成するためのソケットの断面を示している。
図2は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、ソケットのベース部分から分離された、
図1のソケットのマニホルド部分の立面斜視図を示す。
図3は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、
図1のソケットおよび少なくとも1つのフローセルデバイスを含むフローセルシステムの断面を示す。
図4は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、バイオセンサー機器および
図3のフローセルシステムを含むバイオセンサーの断面を示す。
図5は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、複数のウエハーレベルのフローセルデバイスの断面を示す。
図6は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、
図1のソケットおよび
図5の少なくとも1つのフローセルデバイスを含むフローセルシステムの断面を示す。
図7は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、複数のウエハーレベルのフローセルデバイスの断面を示す。
図
8は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、
図1のソケットおよび
図7の少なくとも1つのフローセルデバイスを含むフローセルシステムの断面を示す。
図9は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、複数のウエハーレベルのフローセルデバイスの断面を示している。
図10は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、フローセルデバイスキャリヤに結合された
図9の少なくとも1つのフローセルデバイスの断面を示す。
図11は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、
図10の少なくとも1つのフローセルデバイスおよびフローセルデバイスキャリヤの上面図を示す。
図12は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、
図1のソケットならびに、
図10のフローセルデバイスおよびフローセルデバイスキャリヤを含むフローセルシステムの断面を示す。
図13は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、プリント回路基板に結合された
図9の少なくとも1つのフローセルデバイスの断面を示す。
図14は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、
図13の少なくとも1つのフローセルデバイスおよびプリント回路基板の上面図を示す。
図15は、一実施例における、本開示の1つまたは複数の態様による、
図1のソケットならびに
図13のフローセルデバイスおよびプリント回路基板を含むフローセルシステムの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の態様および特定の例、特徴、利点、およびその詳細は、添付の図面に示されている非限定的な例を参照して、以下でさらに十分に説明される。関連する詳細を不必要に不明瞭にしないために、周知の材料、製作道具、処理技術などの説明は省略される。しかしながら、詳細な説明および特定の例は、本開示の態様を示しているが、例示の目的でのみ挙げられており、限定の目的ではないことを理解するべきである。根底にある本発明の概念の精神および/または範囲内の様々な置換、変更、追加、および/または配置は、本開示から当業者には明らかであろう。
【0019】
本開示全体を通して本明細書で使用される近似語は、それが関連する基本機能の変更をもたらすことなく許容可能に変化する可能性のある任意の定量的表現を変更するために適用され得る。従って、「実質的に(substantially)」、「およそ(approximately)」、「約(about)」、「比較的に(relatively)」という「用語」、または他の同様の用語などの1つまたは複数の用語によって変更された値は、特定された正確な値に限定されず、参照またはパラメータからの処理の変動などによる小さな変動を描写および説明するために使用される。このような小さな変動には、基準またはパラメータからのゼロ変動が含まれる。例えば、これらの用語は、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±%以下、例えば±0.5%以下、例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、例えば±0.05%以下などを指す場合がある。場合によっては、近似語は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。
【0020】
本明細書で使用される用語は、特定の例を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される時、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「一例」への言及は、列挙された特徴も組み込んだ追加の例の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。さらに、特に反対のことが明記されていない限り、用語「comprising」(および「comprises」や「comprising」などの任意の形式の「comprise」)、「have」(および「has」や「having」などの任意の形式の「have」)、「include」(および「includes」や「including」などの任意の形式の「include」)、および「contain」(および「contains」や「containing」などの任意の形式の「contain」)はオープンエンドな連結動詞として使用される。結果として、1つまたは複数のステップまたは要素を「comprises」、「has」、「includes」または「contains」する例はすべて、そのような1つまたは複数のステップまたは要素をもっているが、そのような1つまたは複数のステップまたは要素のみをもっていることに限定されない。本明細書で使用される時、「may」および「may be」という用語は、一連の状況内で発生する可能性;特定の特性、特徴もしくは機能の所有を示す;および/または限定された動詞に関連する能力(ability)、性能(capability)、または可能性(possibility)の1つまたは複数を表現することによって、他の動詞を限定する。従って、「may」および「may be」の使用は、変更された用語が、状況によってはそうでない場合があることを考慮しながら、示された能力、機能、または使用法に対して明らかに適切である、可能である、または適当であることを示す。例えば、状況によっては事象または能力が予想される場合もあれば、事象または能力が発生しない場合もある。この区別は、「may」および「may be」という用語で捉えられる。
【0021】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「entirety」(および他の形態の「entire」)という用語は、少なくとも95%または少なくとも99%などの少なくとも相当な部分を意味する。本明細書で使用される「entirety」(および他の形態の「entire」)という用語は従って、別段の指示がない限り、100%に限定されない。本明細書で使用される場合、「層」という用語は、別段の指示がない限り、単一の連続した材料体に限定されない。「層」は、同じまたは異なる材料であり得る複数の副層を含み得、および/またはコーティング、接着剤などを含み得る。さらに、本明細書で開示されたフローセルの1つまたは複数の層(または副層)は本明細書に記載されている機能を提供するために修飾され得る(例えば、エッチングされ、材料が堆積されるなど)。
【0022】
「接続する(connect)」、「接続される(connected)」、「接触する(contact)」、「結合される(coupled)」などの用語は、本明細書では広く定義され、様々な異なる配置および組み立て技術を包含する。これらの配置および技術には、(1)1つの構成要素と間に介在する構成要素がない別の構成要素との直接接合(すなわち、構成要素同士が直接物理的に接触している);(2)1つの構成要素が他の構成要素に「接続されて」、「接触して」、または「結合されて」、何らかの形で作動上連通(例えば、電気的、流体的、物理的、光学的など)にあるという条件で、1つの構成要素と他の構成要素との、それらの間に1つまたは複数の構成要素がある接合が挙げられるが、これらに限定されない。互いに直接物理的に接触しているいくつかの構成要素は、互いに電気的接触および/または流体接触している場合もあれば、そうでない場合もあることに留意するべきである。さらに、電気的に接続され、電気的に結合され、光学的に接続され、光学的に結合され、流体的に接続され、または流体的に結合された2つの構成要素は、直接物理的に接触していてもいなくてもよく、そして1つまたは複数の他の構成要素がそれらの間に配置されてもよい。
【0023】
本明細書に記載のフローセルは、学術的または商業的分析のための様々な生物学的および/または化学的プロセスおよびシステムで使用できる。より具体的には、本明細書に記載のフローセルは、指定された反応を示す事象、特性、品質、または特徴を検出することが望まれる様々なプロセスおよびシステムで使用できる。例えば、本明細書に記載のフローセルには、光検出デバイス、バイオセンサー、およびそれらの構成要素、ならびにバイオセンサーで動作するバイオアッセイシステムが挙げられ得る、またはそれらと一体化され得る。
【0024】
フローセルは、個別にまたは集合的に検出され得る複数の指定された反応を促進するように構成され得る。フローセルは、複数の指定された反応が並行して起こる多数のサイクルを実行するように構成され得る。例えば、フローセルを使用して、酵素操作と光または画像検出/取得の反復サイクルを通じて、DNA特徴の高密度アレイをシーケンスできる。フローセルは、反応溶液中の試薬または他の反応成分をフローセルの反応部位に供給する1つまたは複数のマイクロ流体チャネルと連通結合できる。反応部位は、統一されたもしくは繰り返しパターンなどの所定の方法で設けても、もしくは間隔を開けてもよい。代替として、反応部位はランダムに分布していてもよい。反応部位はそれぞれ、関連する反応部位からの光を検出する1つまたは複数の光ガイドおよび1つまたは複数の光センサーに関連付けることができる。いくつかのフローセルでは、反応部位は、反応凹部またはチャンバー内に配置され得、これは、その中の指定された反応を少なくとも部分的に区画化し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「指定された反応」は、関心のある分析物などの関心のある化学的または生物学的物質の化学的、電気的、物理的、または光学的特性(または品質)の1つまたは複数の変化を含む。特にフローセルでは、指定された反応は、例えば、蛍光標識された生体分子の関心のある分析物による取り込みなどの有益な結合事象である。より一般的には、指定された反応は、化学変換、化学変化、または化学相互作用であり得る。指定された反応は、電気的特性の変化でもあり得る。特にフローセルでは、指定された反応には、関心のある分析物による蛍光標識分子の取り込みが挙げられる。被分析物はオリゴヌクレオチドであり得るし、蛍光標識分子はヌクレオチドであり得る。励起光が標識ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドに向けられ、フルオロフォア(fluorophore)が検出可能な蛍光シグナルを放出する場合、指定された反応を検出できる。代替フローセルでは、検出された蛍光は化学発光または生物発光の結果である。指定された反応はまた、例えば、ドナーフルオロフォアをアクセプターフルオロフォアに近づけることによって蛍光(またはフェルスター)共鳴エネルギー移動(FRET)を増加させ、ドナーおよびアクセプターフルオロフォアを分離することによってFRETを減少させ、クエンチャーをフルオロフォアから分離することによって蛍光を増加させ、フルオロフォア、またはクエンチャーとフルオロフォアを同じ場所に配置することによって蛍光を減少させることもできる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「反応溶液」、「反応成分」または「反応物質」には、1つまたは複数の指定された反応を得るために使用され得る任意の物質が挙げられる。例えば、潜在的な反応成分には、例えば、試薬、酵素、試料、他の生体分子、および緩衝液が挙げられる。反応成分は、本明細書に開示されるフローセル内の反応部位に溶液で供給され得る、および/または反応部位に固定化され得る。反応成分は、フローセルの反応部位に固定化された関心のある分析物などの別の物質と直接または間接的に相互作用し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「反応部位」という用語は、少なくとも1つの指定された反応が起こり得る局所的領域である。反応部位は反応構造または基板の支持体表面を含み得、物質がその上に固定化され得る。例えば、反応部位は(フローセルのチャネルに配置され得る)反応構造の表面を含み得、その上に反応成分、例えば核酸のコロニーなどを有する。いくつかのフローセルでは、コロニー内の核酸は同じ配列を有し、例えば、一本鎖または二本鎖テンプレートのクローンコピーである。しかしながら、いくつかのフローセルでは、反応部位は、例えば、一本鎖または二本鎖の形態で、単一の核酸分子のみを含み得る。
【0028】
複数の反応部位は、フローセルの反応構造に沿ってランダムに分布され得るか、または所定の方法で(例えば、マイクロアレイなどのマトリックス内に並んで)配置され得る。反応部位はまた、指定された反応を区画化するように構成された空間領域または体積を少なくとも部分的に規定する反応チャンバーまたは凹部を含み得る。本明細書で使用される場合、「反応チャンバー」または「反応凹部」という用語は、支持体構造の規定された空間領域(多くの場合、フローチャネルと流体連通している)を含む。反応凹部は、周囲の環境または他の空間領域から少なくとも部分的に分離され得る。例えば、複数の反応凹部は、共有壁によって互いに分離され得る。より具体的な例として、反応凹部は、検出表面の内部表面によって規定されるくぼみ、ピット、ウェル、溝、キャビティ、または陥没によって形成され、ナノウェルがフローチャネルと流体連通できるように開口部または孔を有する(すなわち、側面が開いている)ナノウェルであり得る。
【0029】
いくつかのフローセルでは、フローセルの反応構造の反応凹部は、固体(半固体を含む)に対して、固体が完全にまたは部分的に挿入され得るような大きさおよび形状である。例えば、反応凹部は、キャプチャビーズを収容する大きさおよび形状であり得る。キャプチャビーズは、その上にクローン的に増幅されたDNAまたは他の物質を有し得る。あるいは、反応凹部は、おおよその数のビーズまたは固体基質を受け入れるような大きさおよび形状であり得る。別の例として、反応凹部は、拡散を制御するように構成された多孔質ゲルもしくは物質を充填できる、または反応凹部に流れ込む可能性のある流体を濾過できる。
【0030】
フローセルの1つまたは複数の光検出デバイスの光センサー(例えば、フォトダイオード)は、対応する反応部位に関連付けられ得る。反応部位に関連する光センサーは、関連する反応部位で指定された反応が起こった時に、少なくとも1つの光ガイドによって関連する反応部位からの発光を検出する。いくつかのフローセルでは、複数の光センサー(例えば、光検出またはカメラデバイスのいくつかの画素)が単一の反応部位に関連付けられ得る。他のフローセルでは、単一の光センサー(例えば、単一画素)が、単一の反応部位または反応部位のグループに関連付けられ得る。光センサー、反応部位、およびフローセルの他の特徴は、光の少なくとも一部が反射されることなく光センサーによって直接検出されるように構成され得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「生物学的および/または化学物質」には、生体分子、関心のある試料、関心のある分析物、および他の化学成分が挙げられる。生物学的および/または化学物質は、他の化学成分を検出、同定、もしくは分析するために使用され得る、または他の化学成分を研究または分析するための中間体として機能し得る。特にフローセルでは、生物学的および/または化学物質は生体分子を含む。本明細書で使用される場合、「生体分子」には、生体高分子、ヌクレオシド、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、酵素、ポリペプチド、抗体、抗原、配位子、受容体、多糖、炭水化物、ポリリン酸、細胞、組織、有機体、もしくはその断片、または前述の種の類似体または擬態などの他の生物学的に活性な化学的化合物の1つまたは複数が挙げられる。さらなる例において、生物学的および/または化学物質または生体分子には、別の反応の生成物を検出するために結合反応で使用される酵素または試薬、例えばパイロシーケンシング反応においてピロリン酸塩の生成物を検出するために使用される酵素または試薬などが挙げられる。
【0032】
生体分子、試料、および生物学的および/または化学物質は、天然に存在するかまたは合成であり得、反応凹部もしくは領域内の溶液もしくは混合物に懸濁され得る。生体分子、試料、および生物学的および/または化学物質もまた、固相またはゲル材料に結合され得る。生体分子、試料、および生物学的および/または化学物質もまた、医薬組成物を含み得る。場合によっては、生体分子、試料および生物学的および/または関心のある化学的物質は、標的、プローブ、または分析物と呼ばれることがある。
【0033】
本明細書で使用される場合、「フローセル」は、デバイスを含み、デバイスは反応構造上に延在する蓋を含み、反応構造の複数の反応部位と連通する少なくとも1つのフローチャネルをそれらの間に協働して形成し、反応部位またはその近傍で発生する指定された反応を検出するように構成された少なくとも1つの光検出デバイスを含む。フローセルは、固体光検出または「撮像」装置(例えば、CCD、CMOS光検出デバイスなど)を含み得る。1つの特定の例として、フローセルは、統合ポンプを備えたバイオセンサーカートリッジに流体的および電気的に結合するように構成され得、これは、バイオアッセイシステムに流体的および/または電気的に結合するように構成され得る。バイオセンサーおよび/またはバイオアッセイシステムは、所定のプロトコル(例えば、合成によるシーケンシング)に従ってフローセルの反応部位に反応溶液を供給し、複数の画像化事象を行うことができる。例えば、バイオセンサーおよび/またはバイオアッセイシステムは、1つまたは複数の反応溶液を、フローセルのフローチャネルを通して、それに従って反応部位に沿って移動させることができる。反応溶液の1つまたは複数は、同じまたは異なる蛍光標識を有する4つのタイプのヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドは、反応部位の対応するオリゴヌクレオチドなどのフローセルの反応部位に結合し得る。次に、バイオセンサーおよび/またはバイオアッセイシステムは、励起光源(例えば、発光ダイオード(LED)などの固体光源)を使用して反応部位を照射できる。励起光は、所定の波長または波長の範囲などの複数の波長を有し得る。入射励起光によって励起された蛍光標識は、フローセルの光センサーによって検出され得る発光信号(例えば、励起光とは異なる、そして互いに異なる可能性のある1つまたは複数の波長の光)を提供し得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「固定化された」という用語は、生体分子または生物学的およびまたは化学物質に関して使用される場合、分子レベルでの生体分子または生物学的および/または化学物質を、フローセルの光検出デバイス上の反応構造の検出表面などの表面に付着させることを含む。例えば、生体分子または生物学的および/または化学物質は、非共有相互作用(例えば、静電力、ファンデルワールス、および疎水性界面の脱水)、および官能基またはリンカーが生体分子の検出表面への付着を促進する共有結合技術などの吸着技術を使用して、フローセルの反応構造の検出表面に固定化され得る。フローセルの反応構造の検出表面への生体分子または生物学的および/または化学物質の固定化は、表面の特性、生体分子または生物学的および/または化学物質を担持する液体媒体、および生体分子または生物学的および/または化学物質自体の特性に基づき得る。場合によっては、検出表面は、生体分子または生物学的および/または化学物質)の検出表面への固定化を容易にするために機能化(例えば、化学的または物理的に修飾)され得る。
【0035】
いくつかの例では、核酸は、フローセルの反応構造、例えば、反応凹部またはそのナノウェルの表面に固定化できる。天然ヌクレオチドおよび天然ヌクレオチドと相互作用するように構成された酵素を利用できる。天然ヌクレオチドとしては、例えば、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドが挙げられる。天然ヌクレオチドとしては、一リン酸、二リン酸、または三リン酸の形態であり得、アデニン(A)、チミン(T)、ウラシル(U)、グアニン(G)またはシトシン(C)から選択される塩基を有することができる。しかしながら、非天然ヌクレオチド、修飾ヌクレオチドまたは前述のヌクレオチドの類似体を利用できることが理解されよう。
【0036】
上記のように、生体分子または生物学的および/または化学物質は、フローセルの反応構造のナノウェル内の反応部位に固定化され得る。こうした生体分子または生物学的物質は、締まりばめ、接着、共有結合、または閉じ込めによって、反応凹部内に物理的に保持または固定化され得る。物品または固体は、反応凹部内に圧縮および/または保持され得る、例えばナノウェル内に圧縮および/または保持され得るポリマービーズ、ペレット、アガロースゲル、粉末、量子ドット、または他の固体など。特定の実装において、ナノウェルは、DNAオリゴヌクレオチドを共有結合できるヒドロゲル層でコーティングまたは充填され得る。DNAボールなどの核酸超構造は、例えば、ナノウェルの内面に付着することによって、またはナノウェル内の液体中に滞留することによって、ナノウェル内またはナノウェルに配置できる。DNAボールまたは他の核酸超構造を実行してから、ナノウェル内またはナノウェルに配置できる。代替として、DNAボールをナノウェルでその場で合成することもできる。ナノウェルに固定化された物質は、固体、液体、または気体のナノウェルであり得る。
【0037】
開示されたフローセルは、生物学的および/または化学的分析のために構成されて、それに関連する任意の情報またはデータを取得できる。特定のフローセルは、デノボシーケンシング、全ゲノムまたは標的ゲノム領域のリシーケンシング、およびメタゲノミクスを含むがこれらに限定されない様々な用途のために構成された核酸シーケンシングシステム(またはシーケンサー)の一部を含み得る。シーケンシングシステムは、DNAまたはRNA分析を実行するように構成できまる。フローセルは、その活性表面上で多数の並行反応を行い、反応に関連する情報を得るように構成できる。
【0038】
フローセルは、以下でさらに説明するように、1つまたは複数の光検出デバイス上の反応構造の活性領域/表面上の反応部位に、またはに向かって溶液を移動させる1つまたは複数のフローチャネルを含み得る。従って使用するとき、フローセルは、例えば、フローセル内で指定された反応を実行するために使用される様々な反応成分または反応物質を貯蔵し得る流体貯蔵システム(図示せず)と流体連通し得る。流体貯蔵システムはまた、フローセルの複数のフローチャネルを洗浄すなわちクリーニングするため、および/または反応物質を希釈するために流体を貯蔵できる。例えば、流体貯蔵システムは、試料、試薬、酵素、他の生体分子、緩衝溶液、水溶液、および非極性溶液などを貯蔵するための様々な容器を含み得る。さらに、流体貯蔵システムはまた、フローセルから廃棄物を受け取るための廃棄物貯蔵器を含み得る。
【0039】
図1~4は、本開示の1つまたは複数の態様による、フローセルシステム80を形成するために利用され得るソケット50の例を示す。
図1~4に示すように、ソケット50は、協働して内部筐体56を形成するベース部分52およびカバー部分54を備えていてもよい。
図1~4に示すように、筐体26は完全に囲まれたキャビティ(または3次元領域/空間)であってもよく、または部分的に囲まれた(すなわち、部分的に開いた)キャビティ(または三次元領域/空間)であってもよい。
図3および4に示すように、筐体26は、その中に少なくとも1つのフローセル2を収容するように構成されている。いくつかの例では、筐体26内に単一のフローセル2が配置(および場合によっては固定)されてもよい。いくつかの他の実施例では、筐体26内に複数のフローセル2が配置(および場合によっては固定)されてもよい。
【0040】
ベース部分52は、外部底面64および該外部底面64に対向する内部底面62を含み得る。内部底面62は筐体26の底部境界を形成してもよい。いくつかの例では、ベース部分52は、
図1~4に示すように、内部底面62から上方に延びる複数の対向する内部側壁58をさらに含み得る。ベース部分52の内部側壁58は、互いに結合し配置されると、筐体26の側面/境界の少なくとも一部を形成することができる。ベース部分52は、共に結合した2つ以上の別個の離れた構成要素を含み得る、またはワンピース構造であり得る。ベース部分52は、非導電性であってもよい。例えば、ベース部分52は、ポリマー(例えば、薄膜ポリマー)、ガラス、シリコン、シリカ、石英、グラスファイバー、エポキシ、セラミック、またはそれらの組み合わせなどの非導電性および/または半導体材料を含み得る。
【0041】
図1~4に示すように、ソケット80は、ベース部分52を通って内部底面62から外部底面64まで延在する複数の電気接点60を含み得る。電気接点60は、
図1~4に示すように、内部底面62から(例えば上方)および筐体56の領域へと延在し得る。電気接点60は、
図3および
図4に示し、以下でさらに説明するように、フローセル2が筐体56内に配置され、ベース部分52および上部カバー部分54が係合すると、フローセル2の少なくとも1つの光検出デバイスの回路との間で電気データ信号を送受信できるように選択的に導電性である。電気接点60は従って、金属材料(例えば、Cu(銅)、Au(金)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)またはそれらの組み合わせ)などの導電性材料を含むことができるが、他の導電性材料を利用できることを理解されたい。
【0042】
電気接点60は、フローセル2の少なくとも1つの光検出デバイスの回路と電気的に結合する(例えば、接触する、または直接当接する)のに有効な任意の構成を含み得る。例えば、電気接点60は、リード、静的ピン、ポゴピン(もしくは他の動的ピンもしくリード)、ボール(例えば、はんだボール)、むき出しのランド、1つまたは複数の導電フィルム(例えば、異方性導電フィルム)、または、筐体56内の電気接点60へのフローセル2の表面実装を実現する他の任意の構成を含み得る。電気接点60は、
図3および
図4に示すように、フローセル2の少なくとも1つが筐体56内に配置され、ベース部分52および上部カバー部分54が係合すると、電気接点60がフローセル2の回路と電気的に結合するように1つまたは複数のフローセル2に対応するもしくは互換性のあるアレイに配置されてもよい。
【0043】
電気接点60は、
図1~4に示すように、露出しているか、そうでなければソケット80のベース部分52の外部底面64でアクセス可能であり得る。ソケット80は従って、
図4に示すように、電気接点60が機器82の対応する接点と電気的に結合する(例えば、物理的に係合する)ように、機器82と協働(例えば、結合)できる。機器82は従ってソケット80の筐体56内に配置されたフローセル2の少なくとも一つの光検出デバイスの回路から電気データ信号を受信し、(そして電気接点60によって送信/伝導される)。いくつかの例では、機器82はまた、電気接点60を介してフローセル2に電気信号を送信できる。いくつかの例では、機器82はまた、(例えば、フローセル2の少なくとも1つの光検出デバイスの動作など、フローセル2の動作を制御するために)電気接点60を介して電気信号をフローセル2に送信し得る。いくつかの例では、機器82はバイオセンサー、バイオアッセイシステム、カートリッジ、ワークステーション、またはソケット80と物理的および電気的に結合し、ソケット80の筐体内56に配置されたフローセル2の少なくとも1つの光検出器の回路から/へデータ信号を受信および/または送信するように構成される任意の他の機器を含み得る。
【0044】
カバー部分54は、
図1~4に示すように、外部上面66および外部上面66と対向する内部上面68を含み得る。内部上面68は、筐体26の上部境界を形成し得る。いくつかの例では、カバー部分54は、
図1~4に示すように、内部上面68から(例えば、下向きに)延在する複数の対向する内部側壁58をさらに含み得る。カバー部分54の内部側壁58は、互いに結合し、筐体26の側面/境界の少なくとも一部を形成するように配置され得る。
図1~4に示すように、カバー部分54は、カバー部分54を通って外部上面66から内部上面68まで延在し、筐体56と連通する少なくとも1つのポート70を含み得る。少なくとも一つのポート70は、外部上面66からカバー部分54を通って内部上面68に延在する通路を含み得、通路がカバー部分54を通って筐体56へと延在する(すなわち筐体56と連通する)。いくつかの例では、カバー部分54は、
図1~4に示すように、筐体56と連通する少なくとも2つのポート70を含み得る。いくつかの例では、少なくとも1つのポート70の直径は約750μmであり得る。しかしながら、少なくとも1つのポート70は、任意の大きさおよび任意の形状であってよい。カバー部分54は、共に結合した2つ以上の別個の異なる構成要素を含み得るか、または一体構造であり得る。
【0045】
カバー部分54は、
図3および
図4に示すように、その少なくとも1つのポート70が、筐体56内に配置されたフローセル2の少なくとも1つの対応するポートと連通する(例えば、少なくとも部分的に整列し、係合する)ように構成され得る。
図4に示すように、カバー部分54はまた、その少なくとも1つのポート70が、機器82の少なくとも1つの対応するポート84と連通する(例えば、少なくとも部分的に整列し、係合する)ように構成され得る。例えば、機器82は、フローセル2へ、場合によってはを介して、反応溶液もしくは別の生物学的および/または化学流体もしくは溶液の流れを、フローセル2の少なくとも1つのポート84および機器82の少なくとも1つのポート70を介して供給し得る。カバー部分54は従ってマニホルドとして機能し得る。
【0046】
いくつかの例では、機器82は、ソケット50の筐体56内のフローセル2に、フローセル2内に固定された生物学的および/または化学物質と反応して反応部位を形成する反応溶液の流れを提供できる。フローセル2の蓋を通して照射されると、フローセルの光検出デバイスは、そこから放出される光によって(照射光に反応して)反応部位の化学反応を感知し、回路に対する電気データ信号を生成できる。信号は、フローセルの光検出デバイスの回路を通って、およびソケット50の電気接点60を介して機器82に伝導され得る。カバー部分54の少なくとも一部は従って、励起光に対して透明であり、ソケット50の外部(例えば、カバー部分54の上方)から発する光が、筐体56内のフローセル2内を伝播することを可能にする材料を含み得る。いくつかの例では、カバー部分54の少なくとも一部は、少なくとも励起光に対して光学的に透明であり、限定されないが、環状オレフィンコポリマー(COC)などの自家蛍光が低いかまたは全くない材料を含み得る。いくつかの例では、カバー部分54は、ポリマー(例えば、薄膜ポリマー)、ガラス、シリコン、シリカ、石英、グラスファイバー、エポキシ、セラミック、またはそれらの組み合わせなどの非導電性および/または半導体材料を含み得る。カバー部分54は、共に結合した2つ以上の別個の異なる構成要素を含み得るか、または一体構造であり得る。
【0047】
図3および
図4に示すように、ソケット50は、フローセル2が筐体56内に確実にトラップされる(すなわち、保持/固定される)ように、カバー部分54およびベース部分52が接続/係合し協働して筐体56を形成するように構成できる。例えば、ソケット50は、カバー部分54の内部上面68がフローセル2の上面もしくは部分に係合し、ベース部分52および/または電気接点60の内部底面62がフローセル2の底面もしくは部分に係合するように構成され得る。いくつかの例では、カバー部分54およびベース部分52および/または電気接点60は、フローセル2に圧縮力を加えて、フローセル2を筐体56内の静止した位置および向きに確実に維持する。いくつかの例では、フローセル2は、筐体65内で(例えば、カバー部分54およびベース部分52および/または電気接点60を介して)取り外し可能に物理的に結合され、化学的に結合または接着されない場合がある。
【0048】
いくつかの例では、フローセル2は、筐体56よりも小さい横方向の大きさ(すなわち、フットプリント)を規定できる。
図3および4に示すように、蓋6の上面および支持層30の間に延在するフローセル2の横側面の少なくとも一部分は、フローセル2が筐体56内に含まれる場合は、筐体56の開いている、占有されていない部分がその間に延在するようにベース部分62および/またはカバー部分54の内部側壁58から離間していてもよい。いくつかの例では、フローセル2の横側面の全体は、筐体56の開口部がその間に延在するようにベース部分62および/またはカバー部分54の内部側壁58から間隔を置いて配置されている。フローセル2および筐体56は従って、筐体56の開口部が(少なくとも部分的に)フローセル2の周囲に、従ってフローセル2および筐体56のベース部分62および/またはカバー部分54の内部側壁58の間に延在するように構成され得る(例えば、大きさおよび形状である)。
【0049】
フローセル2は、
図3および4に示すように、カバー部分54およびベース部分52の係合を介して、筐体内で取り外し可能に結合/維持され得る。このような一例では、フローセル2はソケット50のカバー部分54およびベース部分52の内面の圧力および/または接触のみで筐体56内に維持される。カバー部分54およびベース部分52は、カバー部分54およびベース部分52の分離によってフローセル2の除去(および、場合によっては、フローセル2が除去されたソケットのその後の再利用または異なるフローセルでソケット60の再利用)が可能になるように、共に取り外し可能に結合され得る。
図1、3および4に示すように、一例では、ソケット50のカバー部分54およびベース部分52は、カバー部分54およびベース部分52との間の選択的な相対運動を可能にする機構72、例えばヒンジによって機械的に結合され得る。例えば、カバー部分54は、カバー部分54の少なくとも一部分がベース部分52から離間され、筐体56は、フローセル2が筐体56内のベース部分52上/の上に配置ことができるようにアクセス可能である、ベース部分52対して「開いた」方向および/または位置と、カバー部分54が移動してベース部分52と係合し、フローセル2がカバー部分54およびベース部分52(および/または電気接点60)によって筐体56内にトラップされおよび/または圧縮される、ベース部分52に対して「閉じた」方向および/または位置との間の再配置が可能になり得る。しかしながら、カバー部分54およびベース部分52は、任意の機構を介して互いに移動可能および/または取り外し可能に結合され得る。他のいくつかの例では、カバー部分54およびベース部分52は、任意の機構を介して互いに固定して結合し得る。例えば、カバー部分54およびベース部分52は、ガスケット、ねじ、ナット、ピン、リベット、弾性部材、ラッチ、フック、クランプ、クリップ、カム、ボールディテント、ヒンジ、接着剤、溶接/ろう付け、それらの組み合わせ、またはその他の固定機構もしくは技術の1つまたは複数によって共に結合(可動結合または取り外し可能に結合)し得る。
【0050】
図5は、本開示の1つまたは複数の態様によるフローセル構造1の一例を示している。ウエハーレベルのフローセル構造1は、各々少なくとも1つの光検出デバイス10および光検出デバイス10の上に延在する蓋4を含む複数の一体型フローセル2を備える。ウエハーレベルのフローセル構造1の1つまたは複数のフローセル2は、ウエハーレベルのフローセル構造1の1つまたは複数の他のフローセル2から物理的に分離(例えば、ダイシング)され、上述のソケット50などのソケットと共に利用し、本開示によるフローセルシステムを形成することができる。ウエハーレベルのフローセル構造1の光検出デバイス10は、一体型であり得る(例えば、一体型ウエハーレベルの検出デバイス10)。例えば、ウエハーレベルのフローセル構造1の光検出デバイス10は、それぞれ、共通のベースウエハー部分14の一部を含み得る(すなわち、ウエハーレベルのフローセル構造1のフローセル2は、ウエハーレベルのフローセル2であり得、および/またはウエハーレベルのフローセル構造1の光検出デバイス10は、ウエハーレベルの光検出デバイス10であり得る)。
【0051】
蓋4は、蓋4の内側/表面および各光検出デバイス10の上部反応/検出器表面22の間にフローチャネル6を形成できる。蓋4によって形成されたフローチャネル6は、単一の光検出デバイスの検出器表面22上、または複数の隣接する光検出デバイス10の検出器表面22上に延在し得る。光検出デバイス10は、上述のように、共通ベース層部分14(例えば、ウエハー部分)などの複数の積層された層と、その上に配置された複数の誘電体層および金属誘電体層とを含み得る。
図5に示すように、光検出デバイス10は、半導体光検出デバイスであってもよく、各光検出デバイス10は、光センサー12のセンサアレイと光ガイド18のガイドアレイとを含むことができる。
【0052】
光検出デバイス10は、電荷結合素子回路(CDD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)素子もしくは回路を製造するために使用されるプロセスなどの集積回路製造プロセスを使用して製造できる。光検出デバイス10は従って、例えば、1つまたは複数の半導体材料を含み得、例えば、CMOS光検出デバイス(例えば、CMOS画像センサー)またはCCD画像センサー、別のタイプの画像センサーの形態を取ることができる。本実施例では、光検出デバイス10は、
図5に示すようにCMOSタイプの画像センサーを備えるが、他のタイプのセンサーを使用してもよい。例えば、
図5に示すように、光検出デバイス10は、場合によっては半導体をベースとし、複数の積層された誘電体および金属層を含み得る。
【0053】
CMOS型光検出デバイス10として構成されている場合、「相補的」な側面は、CMOS技術を使用して製造された集積回路(IC)にn型とp型の両方の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が含まれることを言う。各MOSFETは、酸化物などのゲート誘電体を備えた金属ゲート(従って、名前の「金属酸化物」部分)およびゲートの下の半導体材料(名前の「半導体」に対応)を有する。光検出デバイス10が
図5に示すように構成されている場合、光センサー12は、例えば、ゲートを介して回路24に電気的に結合され得る。
【0054】
半導体ベースの光検出デバイス10として、回路24の少なくともいくつかは、デバイス基板/層(例えば、誘電体層)内に設けることができ、光ガイド18がそれぞれそれを通って/その中に延在し得る。基板層のそれぞれは、デバイス回路24の少なくとも一部を形成する相互接続された導電性要素を含み得、誘電体材料が、導電性要素/回路24に隣接する(例えば、周囲にある)。導電性要素/回路24は従って、誘電体材料内に埋め込まれ得る。光ガイド18はまた、誘電体材料を通って延在し得、回路24から離間し得る。集積回路製造(例えば、CMOS製造)に適したものなど、様々な金属要素および/または誘電体材料を利用できる。例えば、導電性要素/回路24は、金、タングステン、銅、アルミニウム、またはそれらの組み合わせなどの金属要素であってよいが、他の材料および構成を利用してもよいことが理解されよう。誘電体材料は、Low-k材料および/またはSiO2などのシリコン含有材料であってよいが、他の誘電体材料および構成を利用してもよいことが理解されよう。
【0055】
光検出デバイス10はまた、
図5に示すように、光ガイド18の開口部上を含む、その上部に沿って延在する反応構造20を含み得る。光検出デバイス10は、各光センサー12が、単一の光ガイド18および/または単一の反応構造20の単一の反応凹部16(例えば、単一のナノウェル)に対応する/整列するように構成され得るので、光検出デバイス10は、そこからのみ光子を受け取る。しかしながら、他の例では、単一の光センサー12は、複数の光ガイド18を介して、および/または複数の反応凹部16から(例えば、複数のナノウェルから)光子を受け取ることができる。それにより、単一の光センサー12は、1つの画素または2つ以上の画素を形成できる。
図5に示すように、反応凹部16は、例えば、反応構造20の上面におけるへこみ/深さ(または厚さ)の変化によって規定され得る。
【0056】
図5に示すように、反応構造20(および場合によっては光センサー12)の光ガイド18および反応凹部16のアレイは、少なくともいくつかの凹部16および/または光ガイド18(および場合によっては光センサー12)が規定された位置パターンにおいて互いに相対的等間隔に配置されるように、互いに相対的に等間隔で規定された繰り返しパターンで設けてもよい。他の例では、反応凹部16および/または光ガイド18(および場合によっては光センサー12)は、ランダムパターンで設けてもよい、および/または少なくともいくつかの反応凹部16および/または光ガイド18(および場合によっては光センサー12)は、互いに可変的に間隔を空けてもよい。反応凹部16のアレイの隙間領域間は、実質的に平坦な表面であり得る。以下でさらに説明するように、反応構造20の反応凹部16のアレイは、その中に設けられた(例えば、その表面に固定化された)少なくとも1つの対応する反応部位を有し得る。
【0057】
光に反応する光検出デバイス10の領域を活性領域という。光検出デバイス10の活性領域は、光ガイド18を含む領域を含み、これらは光を光センサー12に向かわせる。上記のように、光検出デバイス10の上部は、試薬供給および反応(例えば、反応流体中の分析物に反応して)利用可能な/アクセス可能な少なくとも1つの対応する反応部位をその上に/その中に含むため、およびフローセルの動作中の照射2のために、その上に配置された反応凹部16のアレイを有する反応構造20を含む。
図5に示すように、反応構造20は、光検出デバイス10の活性領域の少なくとも大部分上に延在し得る。こうした構成では、反応構造20の上部検出器表面22は従って、反応溶液が流れ、存在し、反応凹部16上/内に配置された反応部位と相互作用し得る光検出デバイス10の活性表面を規定し得る。光検出デバイス10の活性表面は、凹部16の表面、および凹部16の間およびその周囲に延在する間隙領域を含み得る。
【0058】
反応構造20の露出上面(すなわち、反応凹部16の露出上面および/またはそれらの間およびその周りに延在する間隙領域)は、滑らかな平面/平坦な表面を含み得る。特定の例では、反応構造20の間隙領域および/または反応凹部16の露出上面は、反応溶液または他の生物学的および/または化学物質がその上にトラップされるまたはその上に残るのを防ぐおよび/またはパッドホッピングエラーを防ぐ滑らかな平面状/平坦な表面であり得る。例えば、反応構造20の上部露出表面は、マイクロメートル範囲の表面粗さ、例えば、約20μm以下、または約1μm以下の表面粗さを含み得る。いくつかの例では、反応構造20の露出した上面は、約100nm以下、または約10nm以下の表面粗さを含み得る。
【0059】
反応構造20は、1つまたは複数の層を含み得る。一例では、反応構造20は、複数の重なり合う層を含む。反応構造20は(反応溶液で処理後の)反応凹部16内の反応部位からの励起光信号および/または放射光信号がそれを通過して1つまたは複数の開口部、および場合によっては1つまたは複数の対応する光センサー12(例えば、光ガイド18の構成に応じて)に入ることができるように構成される1つまたは複数の層を含み得る。別の例として、反応構造20は、反応凹部16内の特定の反応部位から放出された光が、対応しないセンサー12に伝播/通過するクロストークまたは「シェアリング」を防ぐもう1つの層を含み得る。
【0060】
反応構造20は、化学物質、生体分子または他の関心のある分析物をその上に固定することを可能にする、固体の露出した検出器表面22を提供し得る。例えば、反応凹部16上/内に配置された反応部位はそれぞれ、その露出した外面に固定化された生体分子のクラスターを含み得る。従って、反応構造20は、反応部位を反応凹部16に固定化することを可能にする材料を含み得る。反応構造20は、生体分子を固定化して反応部位を形成することを容易にするために、および/またはそこからの発光の検出を容易にするために、物理的および/または化学的に修飾され得る。反応構造20を少なくとも部分的に形成し得る層の例としては、少なくとも1つのSiN層および少なくとも1つのTaO層が挙げられる。しかしながら、反応構造20は、異なる層(例えば、異なる層、より少ない層、および/または追加の層)および/または異なる材料を含み得る。
【0061】
各光検出デバイス10の反応構造20の露出した外面(または検出器表面)22は、機能化され得る(例えば、指定された反応を実施するための適切な方法で化学的および/または物理的に修飾され得る)。例えば、検出器表面22は、機能化され得、それに固定化された1つまたは複数の生体分子を有するナノウェル16上/内に少なくとも1つの反応部位を含み得る。反応部位は、反応を開始するように、および/または励起光に反応して光信号を生成/放出する反応生成物を形成するように構成された生物学的および/または化学物質を含み得る。特定の例では、反応部位は、ナノウェル16内の検出器表面22に固定化された生体分子(例えば、オリゴヌクレオチド)のクラスター/コロニーを含み得る。例えば、反応部位は、反応溶液で処理した後、入射励起光に反応して発光を生成し得る。励起光は、フローセル2の一部である場合もそうでない場合もある任意の照明源(図示せず)から放出または生成され得る。いくつかの例では、照明システムは、反応部位の生物学的および/または化学物質(例えば、反応部位の反応溶液を介して形成された反応溶液および/または反応生成物によって開始される反応)を励起する特定の1つまたは複数の波長で励起光を放出し得る)。
【0062】
光ガイド18は、励起光または励起光の波長を含む波長範囲をフィルタリングし、少なくとも1つの対応する反応凹部16(または範囲)の少なくとも1つの反応部位からの発光(またはその波長を含む波長範囲)を可能にしてそれを通って少なくとも1つの対応する光センサー12に向かって伝播するように構成されたフィルタ材料を含み得る。光ガイド18は、例えば、フィルタ材料が特定の波長(または波長範囲)を吸収し、少なくとも1つの所定の波長(または波長範囲)がそれを通過することを可能にするような吸収フィルタ(例えば、有機吸収フィルタ)であり得る。アレイの光ガイド18はそれぞれ、実質的に同じフィルタ材料を含み得るか、または異なる光ガイド18は、異なるフィルタ材料を含み得る。各光ガイド18は従って、デバイス10の周囲の材料(例えば、誘電体材料)に対して構成されて、光ガイド構造を形成できる。例えば、光ガイド18は、少なくとも約2.0の屈折率を有し得る。ある構成では、光ガイド18は、少なくとも約4ODの励起光の光学密度(OD)または吸光度を含み得る。
【0063】
図5に示すように、光検出デバイス10はそれぞれ、発光(例えば、光子)がその光センサー12によって検出されたときに電気信号を送信/伝導する回路24を含む。上記のように、発光は、反応構造20の反応凹部16に関連する少なくとも1つの反応部位から/によって放出され得、少なくとも1つの関連する光ガイド18を通って関連する光センサー12に移動し得る。回路24は、検出された光子に基づくデータ信号の送信など、電流を伝導できる相互接続された導電性要素(例えば、導体、トレース、ビア、配線など)を含み得る。例えば、回路24は、マイクロ回路配置を含み得る。光検出デバイス10は、回路24に電気的に結合した光センサー12のアレイを有する少なくとも1つの集積回路を含み得る。各光検出デバイス10の回路24は、信号増幅、デジタル化、記憶、処理、またはそれらの組み合わせのために構成され得る。回路24は、センサー12によって検出された発光を収集(および場合によっては分析)し、上記およびさらに下記で述べるように、検出データをフローセルシステム80のソケット50に、そして最終的にはバイオセンサーおよび/またはバイオアッセイシステムに通信するためのデータ信号を生成し得る。回路24はまた、光検出デバイス10において追加のアナログおよび/またはデジタル信号処理を実行できる。
【0064】
図5に示すように、ウエハーレベルのフローセル構造1のフローセル2は、光検出デバイス10の前面/上面上に延在する蓋またはカバー4を含み得る。例えば、蓋4の底面/一部分は、
図5に示すように、光検出デバイス10の反応構造20の上面22に結合できる。このようにして、蓋4は、光検出デバイス10の反応構造20上に延在し得る。
図5に示すように、蓋4の底面/一部分は、それらの間にフローチャネル6が形成されるように各光検出デバイス10の反応構造20の露出上面/検出器表面22の上方に間隔を開け得る。フローチャネル6は、
図5に示すように、単一のそれぞれの光検出デバイス10上に延在し得る。別法として、フローチャネル6は、複数の光検出デバイス10上に延在し得る。蓋4は、ウエハーレベルのフローセル構造1の各光検出デバイス10の反応構造20上に延在する連続層であり得るか、またはそれぞれの光検出デバイス10に対応する、ウエハーレベルのフローセル構造1の(それぞれのフローチャネル6を形成する)別々の異なる層または部分を含み得る。
【0065】
各フローチャネル6は、関連する光検出デバイス10の反応構造20の検出器表面22に沿って、反応溶液などの流体を向けるように構成される(例えば、大きさおよび形状である)。
図5に示すように、蓋4の内部/底面/一部分の側面部分は、フローチャネル6の側面または領域を規定し得る。フローチャネル6は、光検出デバイス10の活性領域と少なくとも実質的に整列/重なり合うことができる。いくつかの例では、フローチャネル6の領域は、光検出デバイス10の活性領域を超えて延在し得る。いくつかの例では、フローチャネル6は、高さ(約50μmから約400μmの範囲内で、さらに例えば、約80μmから約200μmの範囲内で蓋4の底面/一部分および光検出デバイス10の反応構造20の上面22との間に延在する)を有し得る。一例では、フローチャネル6の高さは約100μmである。蓋4の全体の厚さは、例えば、約300μm~約1,000μmであり得る。
【0066】
いくつかの例では、蓋4は、介在層を介して、光検出デバイス10の反応構造20の上面22に間接的に結合でき、介在層は、フローチャネル6の側面を少なくとも部分的に規定する場合もそうでない場合もある。他の例では、蓋4は、光検出デバイス10の反応構造20の上面22に直接結合できる。そのような例では、蓋4は、反応構造20の露出した外部上面22の上方で光検出デバイス10上に延在する蓋4の底面/部分の間隔を空ける側壁部分を含み得る。そのような蓋4の側壁部分は、フローチャネル6の側面を規定できる。一例では、蓋4は、低自家蛍光接着剤によって、光検出デバイス10の反応構造20の上面に直接結合できる。
【0067】
図5にも示すように、蓋4は、フローチャネル6と、場合によっては他のポート(図示せず)と連通する少なくとも1つのポート8を含み得る。少なくとも1つのポート8は、通路が蓋4を通ってそれぞれのフローチャネルへと延在するように蓋4の外部表面(例えば、その外部上面)からその底面/内部表面に延在する通路を含み得る。例えば、フローセル2の少なくとも1つのポート8は、(
図6に関して以下でさらに説明するように)ソケット50の上部カバー部分54の少なくとも1つのポート70と連通し得、これは反応溶液または別の生物学的および/または化学物質を提供する機器(例えば、バイオセンサー、バイオアッセイシステム、カートリッジワークステーションまたはソケット50と結合する他の機器)の少なくとも1つの他のポートと連通し得る。いくつかの例では、蓋4は
図5に示すように、フローチャネル6への入口および出口ポートを含む、各フローチャネル6内に関連する少なくとも2つのポート8を含み得る。いくつかの例では、少なくとも1つのポート8の直径は約750μmであり得るが、少なくとも1つのポート8は、任意の大きさおよび任意の形状であり得る。
【0068】
少なくとも1つのポート8によって、関連するフローチャネル6への、そして場合によってはそれを通る試薬流体または溶液の流れが可能になり得る。先に説明したように、フローセル2の使用中(例えば、ウエハーレベルのフローセル構造1をダイシングし、ダイシングされたフローセル2をソケット50と結合した後)、それぞれのフローチャネル6内の各光検出デバイス10の反応構造20の検出器表面22上で化学反応が試薬溶液と反応部位との間で起こり得る。蓋4を介して照明すると、フローセル2の光検出デバイス10は、フローチャネルから放出される光によってフローチャネル6で起こる化学反応を感知し、それに反応して信号を生成できる。信号は、光検出デバイス10の回路24を介して伝導され得る。蓋4は従って、フローセル2の外部からフローチャネル6に向かって/フローチャネル6内に伝播する励起光に対して透明である材料を含み得る。励起光は、任意の角度から、同じまたは異なる角度に沿って、蓋4に接近し得ることに留意されたい。いくつかの例では、蓋4は、少なくとも励起光に対して光学的に透明であり、限定されないが、環状オレフィンコポリマー(COC)などの自家蛍光が低いかまたは全くない材料を含み得る。
【0069】
初めに、光検出デバイス10の反応構造20のナノウェル16の反応部位は、指定された反応を含まない場合がある。上述のように、反応部位は、反応構造20のナノウェル16のベースおよび/または側面の検出器表面22上に固定化された生物学的および/または化学物質を含み得る。いくつかの例では、最終的に指定された反応を形成し得る生物学的および/または化学物質は、蓋4がウエハーレベルのフローセル構造1のフローセル2の光検出デバイス10に結合される前(すなわち、フローチャネル6の形成前)に、反応構造20(例えば、そのナノウェル16)に固定化され得る。いくつかの他の例では、最終的に指定された反応を形成し得る生物学的および/または化学物質は、蓋4が流れの光検出デバイス10に結合した後(すなわち、フローチャネル6の形成後)、反応構造20(例えば、そのナノウェル16)に固定化され得る。さらに、最終的に指定された反応を形成し得る生物学的および/または化学物質は、ウエハーレベルのフローセル構造1のフローセル2の光検出デバイス10の反応構造20(例えば、そのナノウェル16)に固定化され得、またはウエハーレベルのフローセル構造1からの(例えば、ダイシングによる)その分割である別個のフローセル2の光検出デバイス10の反応構造20に固定化されてもよい。
【0070】
特定の例では、反応部位は、少なくとも1つの対応する光ガイド18の開口部の近傍に配置され、その結果、指定された反応が反応溶液による処理を介して起こった後に反応部位から放出される指定された/所定の発光が反応構造20、少なくとも1つの対応する光ガイド18、そして少なくとも1つの対応する光センサー12まで伝播する。
【0071】
単一の反応部位の生物学的および/または化学的物質は、類似または同一であり得る(例えば、共通の配列を有する分析物(例えば、オリゴヌクレオチド)のコロニー)。しかしながら、他の例では、単一の反応部位および/またはナノウェル16は、異なる生物学的および/または化学物質を含み得る。指定された反応の前に、反応部位は、1つまたは複数の分析物(例えば、関心のある分析物)を含み得る。例えば、分析物は、オリゴヌクレオチドまたはそのコロニー(例えば、関心のあるオリゴヌクレオチド)であり得る。オリゴヌクレオチドは、効果的に共通の配列を有し、蛍光標識ヌクレオチドなどの特定の蛍光標識生体分子と結合し得る。
【0072】
しかしながら、指定された反応の前に、蛍光標識された生体分子のフルオロフォアは、反応部位で生物学的および/または化学物質(例えば、オリゴヌクレオチド)に取り込まれない、または結合されない。指定された反応を達成するために(すなわち、蛍光標識された生体分子を反応部位114の生物学的および/または化学物質に取り込むために)、反応溶液の流れが少なくとも1つのポート8を介して、フローセル2の光検出デバイス10のフローチャネル6、従ってその反応構造20へと提供され得る。反応溶液は任意の溶液であり得る。いくつかの例では、反応溶液は液体を含み得る。例えば、反応溶液は水溶液であり得る。一実施形態では、反応溶液は、1つまたは複数のヌクレオチドタイプを含み、その少なくとも一部は蛍光標識されており、反応溶液はまた、反応時に成長中のオリゴヌクレオチドにヌクレオチドを取り込ませるポリメラーゼ酵素などの1つまたは複数の生体分子を含み、それによってオリゴヌクレオチドを蛍光標識ヌクレオチドで標識する。この実施において、洗浄溶液を利用して、オリゴヌクレオチドに取り込まれなかった遊離ヌクレオチドを除去できる。次に、反応部位を励起光で照射して、蛍光標識ヌクレオチドが取り込まれた反応部位で蛍光を生じさせることができる。蛍光標識ヌクレオチドが取り込まれなかった反応部位は、入射励起光で発光しない。
【0073】
図5に示すように、光検出デバイス10のデバイス回路24は、ベースウエハー部分14を完全に通って延在し得る。例えば、デバイス回路24は、
図5にも示すように、ベースウエハー部分14の裏側で露出してアクセス可能であるように、ベースウエハー部分14を通って延在するビア28を含み得る。ベースウエハー部分14の裏側とビア28の裏側は、同一平面上であってもなくてもよい。
【0074】
図5に示すように、ウエハーレベルのフローセル構造1は、ベースウエハー部分14の裏側および光検出デバイス10のデバイス回路24のビア28の裏側上に配置された再分配部分を含み得る。ベースウエハー部分14の裏側とビア28の裏側は、同一平面であってもなくてもよい。再分配部分は、以下でさらに説明するように、デバイス回路24の露出部分を導電性パッド34に効果的にリルートできる。再分配部分は、電気絶縁性部分/非導電性(または半導体)部分/層30、および電気絶縁性部分30を通って延在する導電性部分/層32を含み得る。導電性部分32は、導電性材料(例えば、銅、金、タングステン、アルミニウム、またはそれらの組み合わせ)を含み得るが、他の導電性材料が利用され得ることが理解されよう。非導電性部分32は、ポリマー(例えば、薄膜ポリマー)、ガラス、ケイ素、シリカ、石英、ガラス繊維、エポキシ、セラミック、または利用される組み合わせなどの非導電性および/または半導体材料を含み得る。しかし、他の非導電性および/または半導体材料が利用され得ることが理解されよう。
【0075】
再分配部分の電気絶縁性部分30は、
図5に示すように、ベースウエハー部分14の裏側上に(直接または間接的に)延在する。一例では、各電気絶縁性部分30は、デバイス回路24のビア28の裏側の少なくとも一部分上に(直接または間接的に)延在する場合もしない場合もある。再分配層の各導電性部分32は、
図5に示すように、デバイス回路24のそれぞれの/対応するビア28の裏側上に直接延在し得る。隣接する導電性部分32は、
図5に示すように、それらの間に延在する導電性部分30を含み得る。再分配層の隣接する導電性部分32は従って、電気絶縁性部分30によって互いに電気的に遮蔽されている。導電性部分32はビア28と電気的に連通しており、その隣接部分は電気絶縁性部分30によって遮蔽されているので、ビア28を覆う導電性部分32も、光検出デバイス10の回路24からの(その光センサー116によって検出された光子に基づく)電気データ信号を、電気絶縁性部分30を通って/超えて送信/伝導できる。ビア28を覆う導電性部分32は、従って電気絶縁性部分30を通って/超えて光検出デバイス10の回路24に電気データ信号を送信/伝導することもできる。デバイス回路24は従って、再分配部分の導電性部分32を効果的に含み得る。電気絶縁性部分30の裏側および導電性部分32の裏側は、同一平面上であってもなくてもよい。
【0076】
ベースウエハー部分14を通って延在するビア28は、ベースウエハー部分14の構造的完全性を損なうか、または弱める可能性があり、それにより、フローセル2の光検出デバイス10およびフローセル自体(例えば、ウエハーレベルのフローセル構造1から分離される前後。ベースウエハー部分14、それにより光検出デバイス10自体および光検出デバイス10を含むフローセル2に構造的支持体/剛性を提供するために、ウエハーレベルのフローセル構造1は、ベースウエハー部分14の裏側上に(直接または間接的に)延在する支持層36を含み得る。例えば
図5に示すように、支持層36は電気絶縁性部分30の少なくとも一部分上に直接延在し得る。いくつかの例では、支持層36は、電気絶縁性部分30および導電性部分32の部分上に直接延在し得る。支持層32は、1つまたは複数の比較的強いおよび/または硬い非導電性および/または半導体材料、例えばガラス、シリコン、シリカ、石英、ガラス繊維、セラミック、ポリマー、エポキシ、誘電体材料またはそれらの組み合わせを含み得るが、他の導電性材料が利用され得ることが理解される。
【0077】
図5に示すように、ウエハーレベルのフローセル構造1は、再分配部分の導電性部分32の裏側上に直接延在する、複数の露出した間隔をあけた導電性裏側コンタクトパッド34を含み得る。また
図5に示すように、裏側コンタクトパッド34はそれぞれ、再分配部分の電気的絶縁性部分32の裏側上、および支持層36の部分間に(直接または間接的に)延在し得る。裏側コンタクトパッド34は、コンタクトパッド34の裏側がウエハーレベルのフローセル構造1のフローセル2の裏側に露出するように、支持層36の部分間の間隙/開口部を通して部分的に延在し得る。隣接するコンタクトパッド34は、それらの間で(完全にまたは部分的に)延在する支持層36の一部分を含む。別の言い方をすれば、コンタクトパッド34は、コンタクトパッド34の裏側がウエハーレベルのフローセル構造1のフローセル2の裏側で露出するように、支持層36の空間/空隙内に配置され得る。
【0078】
ウエハーレベルのフローセル構造1の各フローセル2の各光検出デバイス10の各導電性部分32および関連付けられたビア28(すなわち、排他的に関連付けられたビア128)に対して、別個の異なる裏側コンタクトパッド34が設けられ得る。各裏側コンタクトパッド32は、導電性部分32と電気的接続/連通しており、各導電性部分32は、光検出デバイス10のデバイス回路24のビア28と電気的接続/連通しているので、裏側コンタクトパッド34は(その光センサー16によって検出された光子に基づいて)光検出デバイス10の回路24から、および光検出デバイス10の回路24に電気データ信号を送信(例えば、伝導)できる。支持層36は、光検出デバイス10の回路24から/へのデータ信号の送信/伝導によってコンタクトパッド34の動作を妨害しないように、電気的に絶縁性または非導電性(または半導体)であり得る。裏側コンタクトパッド34は、導電性材料(例えば、銅、金、タングステン、アルミニウム、またはそれらの組み合わせ)を含み得るが、他の導電性材料が利用され得ることが理解される。
【0079】
図5に示すように、フローセル2の裏側のコンタクトパッド34は、支持層36に対してくぼんでいてもよい。例えば、支持層36は、コンタクトパッド34の間/周囲に延在する支持層36の部分の裏側面がフローセル2の裏側の境界を規定するように、コンタクトパッド34よりも厚くてもよい。コンタクトパッド34の露出した裏側面は従って、支持層36によって少なくとも部分的に取り囲まれ得、(支持層36によって規定される)フローセル2の裏側に対してくぼみ得る。
【0080】
図6は、本開示の1つまたは複数の態様によるフローセルシステム180の例を示している。フローセルシステム180は、ソケット150、および例えば、
図5のウエハーレベルのフローセル構造1から分離された少なくとも1つのフローセル2を備える。フローセルシステム180のフローセル2は、分離プロセスによってウエハーレベルのフローセル構造1から(例えば、その他のフローセル2から)分離される1つまたは複数のフローセルであり得る。例えば、フローセル2は、ウエハーレベルのフローセル構造1を別個の異なるフローセルダイまたは構造にダイシングによって、ウエハーレベルのフローセル構造1から分離され得る。ウエハーレベルのフローセル構造1のダイシングは、例えば、ウエハーレベルのフローセル構造1のスクライビングおよび破壊、ウエハーレベルのフローセル構造1の機械的鋸引き、またはウエハーレベルのフローセル構造1のレーザー切断を含み得る。しかしながら、他の任意の分離プロセス/技術を使用して、フローセル2をウエハーレベルのフローセル構造1から分離してもよい(すなわち、ウエハーレベルのフローセル構造1を別個の異なるフローセル構造2に分離してもよい)。
図6に示すように、分離された(例えば、ダイシングされた)フローセル2は、ソケット150内に直接配置され得る。フローセル2は従って、フローセル2の横側面が、ウエハーレベルのフローセル構造1からの分離プロセスによって形成されたフローセル2の露出面であるようにフレームレス(すなわち、フレームがない)であり得る。例えば、ウエハーレベルのフローセル構造1を介して形成されたフローセル2の横側面は、蓋4、反応構造20、誘電体層、回路24、ベースウエハー部分14、再分配部分、支持層36、および/またはウエハーレベルのフローセル構造1(またはそれらの組み合わせ)の他の任意の部分によって規定され得る。
【0081】
フローセルシステム180のソケット150は、
図1および
図2のソケット50と同様であるので、同様の構成要素、態様、機能、プロセスまたは機能を示すために、「1」を前に置いた同様の参照番号が使用され、それに関する上記の説明は等しく適用され、簡潔および明確にする目的で繰り返されない。
図6に示すように、ソケットの150の電気接点160は筐体156内に延在するポゴピン接点160を含む。ポゴピン接点160はそれぞれ筐体156内に延在し、フローセル2のコンタクトパッド34と接触するバネ装填ピンを含む中空円筒形ベース部分を含む。
図6に示すように、ポゴピン接点160は、バネ装填ピン部分が弾性バイアスされた状態で支持層36の露出した裏側面を越えて延在し、コンタクトパッド34の露出した裏側面と接触し、それと電気的に結合する。また
図6に示すように、フローセル2の支持層30の裏側面はベース部分162の内部底面162と係合し、フローセル2の蓋4の外部上面はカバー部分154の内部上面168と係合する。ポゴピン接点160は、フローセル2がベース部分162の内部底面162とソケット150のカバー部分154の内部上面168との間で圧縮されるように、コンタクトパッド34に力を加えることができる。
【0082】
図6にも示すように、フローセル2は筐体156よりも小さい横方向の大きさ(つまり、フットプリント)を規定する。蓋6の上面と支持層30(またはフローセル2がウエハーレベルのフローセル構造1から分離されている場所に応じてコンタクトパッド34)の裏側面との間に延在するフローセル2の側面は、筐体156の空いた、占有されていない部分がそれらの間に延在するようにベース部分162の内部側壁158および/または蓋部154から間隔を置いて配置される。
図6に示すように、フローセル2の横側面全体は、ベース部分162の内部側壁158およびカバー部分154から間隔を置いている。一例では、フローセル2の側面は、
図6に示すように、蓋4、光検出デバイス10の反応構造20、光検出デバイス10の誘電体層、光検出デバイスのベースウエハー部分14、再分配層(例えば、非導電性層30)および支持層36によって規定される。しかしながら、フローセル2(および光検出デバイス10)のこれらの部分のいくつかは、フローセル2の横側面を規定しない場合があり、フローセル2(および光検出デバイス10)の他の部分がフローセル2の横側面を規定する場合がある(例えば、光検出デバイス10の回路24、再分配層の導電性部分32および/またはコンタクトパッド34)。筐体152の内部側壁158から間隔を置いているフローセル2の側面は、部分的に、その光検出デバイス10によって規定できる。上述のように、フローセル2の横側面は、フローセル2をウエハーレベルのフローセル構造1から分離するプロセスを介して形成できる。
【0083】
図7は、本開示の1つまたは複数の態様によるウエハーレベルのフローセル構造201の別の例を示している。ウエハーレベルのフローセル構造201は、上述の
図5のウエハーレベルのフローセル構造1に類似しているので、同様の構成要素、態様、機能、プロセスまたは機能を示すために、1桁の参照番号に関しては「20」を前に置き、2桁の参照番号に関しては「2」を前に置いた同様の参照番号が使用され、それに関する上記の説明は等しく適用され、簡潔および明確にする目的で繰り返されない。
図7に示すように、
図5のウエハーレベルのフローセル構造1と比較したウエハーレベルのフローセル構造201の違いは、再分配部分の裏側に沿って(直接または間接的に)延在する支持層が除外されていることである。例えば、再分配部分の非導電性部分230および導電性部分232の裏側は、その裏側上に(直接または間接的に)延在する支持層を欠いていてもよい。正しくは、非導電性部分230の裏側は
図7に示すように露出し、および/またはその上に延在するコンタクトパッド234を含み得る。
【0084】
ウエハーレベルのフローセル構造201は、ウエハーレベルのフローセル構造201の形成およびそれらを別個の異なるフローセル2に分離する際に、
図5のウエハーレベルのフローセル構造1に関して上述した支持層36などの、ウエハーレベルのフローセル構造210のベースウエハー部分214の裏側上に(直接または間接的に)延在する仮支持層(図示せず)を含んでいた可能性があることに留意されたい。例えば、ウエハーレベルのフローセル構造201は、光検出デバイス210の上面222上に反応構造220の少なくとも一部分を形成する、および/または反応構造220上に蓋204を形成する前に、光検出デバイス210のベースウエハー部分214の裏側上に延在する(例えば、再分配部分(および場合によってはコンタクトパッド223上に直接延在する)仮支持層を含み得る。いくつかの例では、そのような仮支持層は、上記のように、そこから1つまたは複数の別個の異なるフローセル202を(例えば、ダイシングによって)分離する前に、ウエハーレベルのフローセル構造201から除去され得る。いくつかの例では、仮支持層は、前処理(例えばエッジトリミングやレーザーパターニングなど)の有無にかかわらず、エアブロー、ブレード挿入、真空剥離、または機械的持ち上げなどの剥離プロセスによって蓋204の形成後にウエハーレベルのフローセル構造201から除去され得る。しかしながら、任意のプロセスを利用して、蓋204の形成後にウエハーレベルのフローセル構造201から仮支持層を除去してもよい。
【0085】
図8は、本開示の1つまたは複数の態様によるフローセルシステム280の別の例を示している。フローセルシステム280は、ソケット250と、例えば、
図7のウエハーレベルのフローセル構造201から分離された少なくとも1つのフローセル202とを備える。上記のように、フローセル202は、ダイシングまたはウエハーレベルのフローセル構造201を別個の異なるフローセルダイまたは構造に分離する任意の他の分離プロセスによって、ウエハーレベルのフローセル構造201から分離され得る。フローセルシステム280のソケット250は、上述の
図1~4のソケット150と同様であるので、同様の構成要素、態様、機能、プロセスまたは機能を示すために「2」を前に置いた同様の参照番号が使用され、それに関する上記の説明は等しく適用され、簡潔および明確にする目的で繰り返されない。
【0086】
図8に示すように、ソケット250の電気接点260は、それぞれ、ベース部分252を通って延在するリード部分263と、ベース部分252の内部底面262上、もしくは、近接した、筐体256内に配置された凸部261を備える。リード部分263は、ベース部分252の外部底面264から内部底面262まで延在し得る。凸部261は、ベース部分252の内部底面262から離間し、フローセル202のコンタクトパッド234の露出した裏側面に係合する(すなわち、当接する)頂点を含み得る。このようにして、電気接点260の凸部261は、フローセル202のコンタクトパッド234と電気的に結合されて、機器(例えば、上述の
図4の機器82)におよび/またはから信号を送信できる。上述したように、カバー部分254およびベース部分252(および/または電気接点260)(およびカバー部分254とベース部分252の係合)の係合によって、フローセル202を確実に筐体内265に結合できる。いくつかの例では、電気接点260の凸部261は円形の外面などの弧状の外面を規定し得る。いくつかの例では、複数の電気接点260の複数の凸部261はボールグリッドアレイを含み得る。いくつかの例では、複数の電気接点260の複数の凸部261は、複数のリード部分263に結合された複数のはんだボールを含み得る。
【0087】
図9は、本開示の1つまたは複数の態様によるウエハーレベルのフローセル構造301の別の例を示している。ウエハーレベルのフローセル構造302は、上述の
図5のウエハーレベルのフローセル構造1に類似しているので、同様の構成要素、態様、機能、プロセスまたは機能を示すために1桁の参照番号に関しては「30」を前に置いた参照番号、および2桁の参照番号関しては「3」を前に置いた参照番号が使用され、それに関する上記の説明は等しく適用され、簡潔さおよび明確さの目的で繰り返されない。
図9に示すように、ウエハーレベルのフローセル構造301と
図5のウエハーレベルのフローセル構造1との違いは、フローセル302の光検出デバイス310の裏側上に再分配部分、支持層、およびコンタクトパッドがないことである。正しくは、
図9に示すように、ベースウエハー部分314の裏側374が露出し、フローセル302の裏側の境界を形成する。
【0088】
また
図9に示すように、ウエハーレベルのフローセル構造301のフローセル302の光検出デバイス310は、ベースウエハー部分314を通ってその裏側374まで延在するビアが無い。光検出デバイス310のデバイス回路324は、ベースウエハー部分314に隣接して、または場合によってはベースウエハー部分314を部分的にのみ通って延在する。ベースウエハー部分314は従って、それを通って延在するデバイス回路324の導電性ビアまたは他の部分が無い場合がある。光検出デバイス310の露出した裏側面374およびフローセル302を含み得るベースウエハー部分314の裏側374は全体として上述のように、デバイス回路324が無い場合がある。別の言い方をすれば、デバイス回路324は、デバイス回路324がベースウエハー部分314の裏側374(従って、光検出デバイス310およびフローセル302の裏側)でアクセスできないようにベース部分314の裏側374の十分に上方の光検出デバイス310内に配置され得る。
【0089】
ウエハーレベルのフローセル構造301のフローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324は、光検出デバイス310の上面まで延在し得る。例えば、
図9に示すように、デバイス回路324はそれぞれの光検出デバイス310、例えばその反応構造320などを通って延在し得、露出接触面376を含み得る。反応構造320の露出した上面によって形成され得る光検出デバイス310の上面322は従って、
図9に示すように、デバイス回路324を含み得る。別の言い方をすれば、デバイス回路324の接触面374は、その反応構造320の上部表面322に配置され得るそれぞれの光検出デバイス310の上面で露出し、アクセス可能であり得る。いくつかの例では、デバイス回路324の接触面374は、光検出デバイス310のデバイス回路324に電気的に結合されたコンタクトパッド、ビアまたは他の導電性部分を含み得る。
【0090】
いくつかの例(図示せず)では、デバイス回路324の接触面374は、光検出デバイス310の側面に配置され得(従ってその一部分を規定し)、これは後にウエハーレベルのフローセル構造からの分離301後のフローセル302の側面を形成し得る。デバイス回路324の接触面374は従って、フローセル302の側面で露出し、アクセス可能であり得る。例えば、デバイス回路324は、反応構造20の一部、誘電体材料、ベースウエハー部分314、または蓋304(もしくはその上に延在する層)を通って、規定されたフローセル302の露出した側面端部まで延在し得る。そのような例では、デバイス回路324は、反応構造320を通ってその上面322まで完全には延在しない場合がある。
【0091】
図9に示すように、ウエハーレベルのフローセル構造301のフローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324の接触面374が、その反応構造320の上面322に配置されている場合、フローセル302の蓋304は、
図9に示すように、接触面374の位置と比較して、上面322の中央/内部部分から延在し得る。このようにして、フローセル302の接触面374の一部は、露出し、アクセス可能であり得る(すなわち、蓋304によって完全に覆われておらず、蓋304と反応構造320の上面322との間のフローチャネル306内に配置されていない)。ウエハーレベルのフローセル構造301上に蓋304を配置した後、蓋304の一部分は、接触面374が露出せずアクセス可能でないように反応構造の上面322にあるデバイス回路324の接触面374上に(直接にまたは間接的に)に延在し得ることに留意すべきである。接触面374上に延在するこうした蓋302の一部分は、
図9に示すように、接触面374が露出してアクセス可能であるように、ウエハーレベルのフローセル構造301から除去してもよい。
【0092】
図10~12は、本開示の1つまたは複数の態様による別のフローセルシステム380(
図12)の形成を示している。フローセルシステム380は、フローセルデバイスキャリヤ390、ソケット350(
図12)、および
図9のウエハーレベルのフローセル構造301から分離された少なくとも1つのフローセル302を備える。上述のように、フローセル302は、ダイシングまたはウエハーレベルのフローセル構造301を別個の異なるフローセルダイまたは構造に分離する任意の他の分離プロセスによって、ウエハーレベルのフローセル構造301から分離され得る。フローセルシステム380のソケット350(
図12)は、上記の
図8のソケット250に類似しているので、同様の構成要素、態様、機能、プロセスまたは機能を示すために「3」を前に置いた参照番号が使用され、それに関する上記の説明は等しく適用され、簡潔さおよび明確さの目的で繰り返されない。
【0093】
図10および11に示すように、フローセルデバイスキャリヤ390は、基板部分392と、基板部分392から(例えば、上向きに)延在してそれらの間にキャビティ396を形成する側壁部分394とを含み得る。キャビティ396は、フローセルデバイスキャリヤ390の上面で開いている/露出していてもよい。基板部分392および/または側壁部分394の少なくとも一部は、電気絶縁性(すなわち、非導電性)であり得る。いくつかの例では、基板部分392および/または側壁部分394は、電気絶縁性または半導体材料を含み得る。そのような一例では、基板部分392および/または側壁部分394はセラミック、例えばアルミナなどを含み得るがこれに限定されない。そのような例では、フローセルデバイスキャリヤ390は、セラミックランドチップキャリヤ(CLCC)を含み得る。別の例では、基板部分392および/または側壁部分394は、有機電気絶縁性または半導体材料、例えばガラス強化エポキシラミネート材料、ビスマレイミドトリアジン、非エポキシハロゲンフリー材料、ポリアミドまたは熱可塑性プラスチック(例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)または液晶ポリマー(LCP)など、を含み得るがこれらに限定されない。そのような例では、フローセルデバイスキャリヤ390は、有機ランドチップキャリヤ(OLCC)デバイスを含み得る。基板部分392および側壁部分394は、単一の材料層または複数の材料層を含み得る。基板部分392および側壁部分394は、一体(すなわち、ワンピース構造)であっても、または共に結合した別個の異なる構成要素であってもよい。
【0094】
図10および11に示すように、フローセルデバイスキャリヤ390の基板部分392は、基板部分392の外部裏面393(例えば、底面)からキャリヤを通って少なくともキャビティに位置しているおよび/またはキャビティを規定する基板部分392の内面まで延在する複数の導電性ビア/リード398を含み得る。キャビティ396内に位置する導電性ビア398は従って、フローセル302の光検出デバイス310に、およびからデータ信号を送信するそれへの電気的接続のためのアクセス可能な接触面として、キャビティ396内で露出し、基板部分392の裏側393のキャビティ396の外部で露出し得る。
【0095】
図10に示すように、フローセル302は、ベースウエハー部分314の裏側374が(直接または間接的に)基板部分392の内面に/上に配置されるように、フローセルデバイスキャリヤ390のキャビティ396内に(少なくとも部分的に)配置され得る。いくつかの例では、ベースウエハー部分314の裏側374は、基板部分392の内面に(固定してまたは取り外し可能に)結合され得る。例えば、フローセル302のベースウエハー部分314は、ポリマー(例えば、プラスチックまたはエポキシ)、シリコン、ガラス(例えば、石英または溶融シリカ)、セラミック、誘電体複合材料、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数の層などの1つまたは複数の材料層によって、基板部分392の内面に結合/接着され得る。
【0096】
図10~12に示すように、フローセルデバイスキャリヤ390は、フローセル302が基板部分392に結合されている時キャビティ396の空いた/非占有部分がフローセル302の側面とフローセルデバイスキャリヤ390の側壁部分394の内部側面との間に延在するように構成され得る(例えば、大きさおよび形状であり得る)。
図10~12にも示すように、ビア398は、フローセル302が基板部分392の内面に結合された時に、キャビティ396内のその露出部分がフローセル302によって完全に覆われないように、基板部分392内に配置され得る。
【0097】
フローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324の露出接触面374(例えば、フローセル302の上面および/または側面に配置される)は、キャビティ396内部の導電性ビア398に電気的に結合され得る。
図10~12に示すように、導電性ワイヤまたは他の構造399は、キャビティ396内で結合したフローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324の露出接触面374と、フローセルデバイスキャリヤ390の基板部分392の対応するビアとの間に電気的に結合され得る。ワイヤ399は、金属(例えば、金または銅)などの任意の導電性材料を含み得る。ワイヤ399は、フローセル302の光検出デバイス110の回路324と、フローセルデバイスキャリヤ390の基板部分392のビア398との間でデータ信号を送信できる。いくつかの例では、ワイヤ399は、キャビティ396内のビア398の露出表面部分から、側壁部分394とフローセル302の側面との間のキャビティ396の空いた空間/領域内の基板部分392に結合したフローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324の露出接触表面374まで延在し得る。いくつかの例では、ワイヤ399は、絶縁材料(図示せず)内に包まれ得る。絶縁材料は、フローセル302の側面と、キャビティ396を形成するフローセルデバイスキャリヤ390の隣接する内面との間に延在し得る。
【0098】
図12に示すように、フローセルデバイスキャリヤ390(そのキャビティ396内に固定してそれに電気的に結合されたフローセル302を含む)はソケット350の筐体356内で結合し得る。カバー部分352とベース部分352が係合すると、フローセルデバイスキャリヤ390は確実にソケット350の筐体356内に保持され得る。いくつかの例において、ソケット350は、フローセルデバイスキャリヤ390に圧力を加えてフローセルデバイスキャリヤ390を(フローセル302がそれに結合した状態で)筐体356内に固定するように構成され得る。
図12に示すように、ソケット350のベース部分352は(例えば、電気接点360によって)フローセルデバイスキャリヤ390の基板部分392に係合し、ソケット350のカバー部分354は、フローセルデバイスキャリヤの側壁部分394および/またはフローセル302の蓋304に係合し(および場合によっては圧縮力を加えて)フローセルデバイスキャリヤ390(ならびにフローセル302およびそれに結合されたワイヤ399を)ソケット350の筐体356内に固定できる。別の例として、フローセルデバイスキャリヤ390は、ソケット350(例えばベース部分352)に結合/接着されて、フローセルデバイスキャリヤ390(ならびにフローセル302およびそれに結合されたワイヤ399)を筐体356内に固定できる。
【0099】
フローセルデバイスキャリヤ390がソケット350の筐体356内部に配置されると、フローセルデバイスキャリヤ390の基板部分352のビア398は、
図12に示すようにソケット350のベース部分352の電気接点360に結合され得る。ソケット352の電気接点360は従って、フローセルデバイスキャリヤ390の基板部分352のビア398、およびビア398とデバイス回路324の接触面374との間に延在するワイヤ399を経由して、フローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324におよびからデータ信号を送信できる。ソケット352のベース部分352の外部底面364に設けられた電気接点360の部分は従って、光検出デバイス310(例えば、上述の
図4の機器82)のデバイス回路324におよびからデータ信号を送信するために、フローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324への電気接続を提供し得る。
【0100】
図13~15は、本開示の1つまたは複数の態様による別のフローセルシステム480(
図15)の形成を示している。フローセルシステム480(
図15)は、ソケット350(
図15)と、
図10~12のウエハーレベルのフローセル構造301から分離された少なくとも1つのフローセル302とを備える。ソケット350およびフローセル302に関する上記の説明は、フローセルシステム480に等しく適用され、簡潔さおよび明確さの目的のために繰り返されない。
図13~15に示すように、フローセル302は、電気絶縁性の(すなわち、非導電性の)基板部分440の上面に結合され得る。例えば、フローセル302のベースウエハー部分314の裏側374は、1つまたは複数の層、例えば1つまたは複数の層のポリマー(例えば、プラスチックもしくはエポキシ)、シリコン、ガラス(例えば、石英もしくは溶融シリカ)、セラミック、誘電体複合材料、またはそれらの組み合わせなどによって、基板部分440の上面に結合/接着され得る。しかしながら、他の任意の取り付け技術を利用してもよい。基板部分440は、例えば、ポリマー(例えば、エポキシ)、シリコン、ガラス、セラミック、誘電体材料、またはそれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない、任意の非導電性材料または半導体材料を含み得る。
【0101】
基板部分440は、
図13~15に示すように、外部裏面493(例えば、底面)からその上面までそれを通って延在する複数の導電性ビア/リード498を含み得る。導電性ビア498は、
図13~15に示すように、それへの電気接続のためのアクセス可能な接触面として、外部裏面493および基板部分392の上側面で露出し得る。ビア498は、金属(例えば、金または銅)などであるがこれらに限定されない任意の導電性材料を含み得る。いくつかの例では、基板部分440およびビア498は、プリント回路基板(PCB)を含み得る。
【0102】
フローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324の露出接触面374(例えば、フローセル302の上面および/または側面に位置する)は、
図13~15に示すように、基板部分440内部の導電性ビア498に電気的に結合され得る。
図13~15に示すように、導電性ワイヤまたは他の構造499は、基板部分440に結合されたフローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324の露出接触面374と、基板部分440のビア498との間で電気的に結合され得る。ワイヤ499はそれによって、フローセル302の光検出デバイス110の回路324と基板部分440のビア498との間で電気データ信号を送信できる。
【0103】
図15に示すように、結合した基板部分440、ワイヤ499およびフローセル302はソケット350の筐体356内に結合され得る。結合した基板部440、ワイヤ499およびフローセル302は、カバー部分352とベース部352が係合すると、確実にソケット350の筐体356内で保持され得る。いくつかの例において、ソケット350は、結合した基板部分440およびフローセル302に圧縮力を加え、結合した基板部分440、ワイヤ499およびフローセル302を筐体356内に固定するように構成してもよい。ソケット350のベース部分352は、(例えば、電気接点360によって)基板部分440に係合し、ソケット350のカバー部分354は、基板部分440に結合されたフローセル302の蓋304に係合して、
図15に示すように、結合した基板部440、ワイヤ499およびフローセル302をソケット350の筐体356内に固定できる。別の例として、基板部分440は、ソケット350(例えば、ベース部分352)に貼り合わされ/接着されて結合した基板部分440、ワイヤ499およびフローセル302を筐体356内に固定できる。
【0104】
結合した基板部分440、ワイヤ499およびフローセル302がソケット350の筐体356内に配置されると、
図15に示すように、基板部分440のビア498は、電気ソケット350のベース部分352の電気接点360に電気的に結合され得る。ソケット352の電気接点360は、それによって基板部分440のビア498とデバイス回路324の接触面374との間に延在するワイヤ499によって、フローセル302の光検出デバイス310のデバイス回路324におよびからデータ信号を送信できる。ソケット352のベース部分352の外部底面364に設けられた電気接点360の部分は従って、デバイス回路324(例えば、上述の
図4の機器82)におよびからデータ信号を送信するために、フローセル302の光検出デバイス310への電気接続を提供できる。
【0105】
上記の様々なシステムおよび方法の中で、それらのいくつかの例には、以下が挙げられ。
【0106】
A1. ベース部分、複数の電気接点、および少なくとも1つの第1ポートを含む前記ベース部分と結合したカバー部分を含むソケットであって、前記ベース部分と前記カバー部分が協働して筐体を形成し、前記電気接点が前記筐体と前記ベース部分の外部側の間に延在し、前記少なくとも1つの第1ポートは、前記筐体と前記カバー部分の外部側の間に延在するソケット、および
前記ソケットの前記筐体内に固定されたフローセルデバイスであって、
ベースウエハー部分、前記ベースウエハー部分上に延在する複数の誘電体層、検出器表面を含む前記誘電体層上に延在する反応構造、複数の光センサー、前記光センサーに電気的に結合された前記誘電体層を通って延在し、前記光センサーによって検出された光子に基づいてデータ信号を送信するデバイス回路、および前記光センサーに関連する複数の光ガイド、を含むフレームレス光検出デバイス、および
前記検出器表面上に延在する蓋であって、フローチャネルをそれらの間に有し、前記フローチャネル、および前記ソケットの前記少なくとも1つの第1ポートと連通する少なくとも1つの第2ポートを含む蓋、を含むデバイス、
を含むフローセルシステムであって、
前記フローセルデバイスの前記光検出デバイスの前記デバイス回路は、前記ソケットの前記電気接点に電気的に結合されている、システム。
【0107】
A2.前記カバー部分および前記ベース部が取り外し可能に結合され、前記フローセルデバイスが前記筐体内に取り外し可能に固定されている、A1に記載のフローセルシステム。A3.前記カバー部分が前記フローセルデバイスの前記蓋に係合し、前記ベース部分および前記電気接点の一方または両方が前記フローセルデバイスの裏側に係合する、A1またはA2に記載のフローセルシステム。A4.前記カバー部分ならびに前記ベース部分および前記電気接点の一方または両方が、前記フローセルデバイスに圧縮力を加えて、前記フローセルデバイスを前記筐体内に固定する、A3に記載のフローセルシステム。
【0108】
A5.前記フローセルデバイスが、前記デバイス回路に電気的に結合され、前記フローセルデバイスの前記裏側の部分を含む露出した裏面を規定する、前記ベースウエハー部分上に延在する複数のコンタククトパッドをさらに含み、前記電気接点が前記コンタククトパッドに係合する、A1~4のいずれか一つに記載のフローセルシステム。A6.前記コンタククトパッドが、前記ベースウエハー部分を通って延在する前記デバイス回路のビアに電気的に結合されている、A5に記載のフローセルシステム。A7.前記フローセルデバイスが、前記ベースウエハー部分上に延在する支持層をさらに含み、前記支持層は、前記コンタククトパッドの前記露出した裏面を越えて延在する、A5または6に記載のフローセルシステム。
【0109】
A8.前記フローセルデバイスが、前記フローセルデバイスの前記裏側を規定する前記ベースウエハー部分に結合されその上に延在する基板部分をさらに含み、前記基板部分が、前記フローセルデバイスの前記裏側からそれを通って延在する複数の電気リードを含む、A1~4のいずれか一つに記載のフローセルシステム。A9.前記電気接点が前記フローセルデバイスの前記裏側で前記電気リードに係合する、A8に記載のフローセルシステム。A10.前記電気リード線が、前記検出器表面または前記フローセルデバイスの側面で前記デバイス回路の露出接触面に電気的に結合されている、A8または9に記載のフローセルシステム。A11.前記フローセルデバイスが、前記リード線と前記デバイス回路の前記露出接触面の間に電気的に結合された複数の導電性ワイヤをさらに含む、A10に記載のフローセルシステム。
【0110】
A12.前記基板部分および前記電気リード線が、プリント回路基板を含む、A8に記載のフローセルシステム。A13.前記基板部分から延在する側壁部分をさらに含み、前記基板部分および前記側壁部分がキャビティを形成し、前記光検出デバイスは前記キャビティ内に配置される、A8に記載のフローセルシステム。A14.前記基板部分および前記側壁部分が、セラミックランドチップキャリヤまたは有機ランドチップキャリヤを含む、A13に記載のフローセルシステム。
【0111】
A15.前記筐体の開口部が、前記フローセルデバイスの露出した側面の周りに延在する、A1~14のいずれか一つに記載のフローセルシステム。A16.前記フローセルデバイスの前記露出した側面が、前記ベースウエハー部分、前記誘電体層、前記反応構造、前記光検出デバイスの前記デバイス回路、またはそれらの組み合わせによって規定される、A15に記載のフローセルシステム。
【0112】
A17.前記光検出デバイスが、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光センサーを含む、A1~16のいずれか一つに記載のフローセルシステム。
【0113】
B1. 請求項1~17のいずれか一項に記載のフローセルシステム、および
少なくとも1つの第3ポートおよび複数の機器の電気接点を含む前記フローセルシステムと結合した機器を含むシステムであって、
前記機器の前記少なくとも1つの第3ポートが、前記ソケットの前記少なくとも1つの前記第1ポートと連通して、反応溶液の流れを前記フローチャネル内に供給し、前記検出器表面に複数の反応部位を形成し、
前記複数の機器の電気接点は、前記ソケットの前記電気接点と係合して、前記光検出デバイスの前記デバイス回路と前記機器の間でデータ信号を送信する、システム。
【0114】
C1. フローセルデバイスをウエハーレベルのフローセル構造から分離するステップであって、前記ウエハーレベルのフローセル構造が共通のベースウエハー上に配置された複数の一体型フローセルデバイスを含み、前記フローセルデバイスが
前記ベースウエハーの一部分、
前記ベースウエハーの前記一部分上に延在する複数の誘電体層、
検出器表面を含む前記誘電体層上に延在する反応構造、
前記誘電体層内に配置された複数の光センサー、
前記光センサーに電気的に結合された前記誘電体層を通って延在し、前記光センサーによって検出された光子に基づいてデータ信号を送信するデバイス回路、
前記検出器表面と前記光センサーの間の前記誘電体層内に配置される複数の光ガイド、および
前記検出器表面上に延在する蓋であって、フローチャネルをそれらの間に有し、前記フローチャネルと連通する少なくとも1つの第1ポートを含む蓋、を含むステップと、
前記デバイス回路が、前記筐体内に配置され、前記ベース部分の一部を通って延在する前記ソケットの電気接点に電気的に結合されるように、前記分離された前記フローセルデバイスを、そのベース部分上のソケットの筐体の一部分内に配置するステップと、
前記ソケットのカバー部分をその前記ベース部分と結合して、前記分離されたフローセルデバイスを前記ソケットの前記筐体内に固定し、前記カバー部分の少なくとも1つの第2ポートを、前記フローセルデバイスの少なくとも1つのポートと連通するステップと、
を含む方法。
【0115】
C2.前記フローセルデバイスを前記ウエハーレベルのフローセル構造から分離するステップが、前記ウエハーレベルのフローセル構造をダイシングするステップを含む、C1に記載の方法。C3.前記フローセルデバイスを前記ウエハーレベルのフローセル構造からダイシングするステップにより、前記ベースウエハー、前記誘電体層、前記反応構造、前記デバイス回路、および前記蓋のうちの少なくとも1つから成る前記分離されたフローセルデバイスの横側面を形成し、前記フローセルデバイスの前記横側面が前記筐体内に露出している、C2に記載の方法。
【0116】
C4.前記フローセルデバイスが、前記ベースウエハーを通って延在する前記デバイス回路のビアに電気的に結合された前記ベースウエハーの裏側上に延在するコンタククトパッドをさらに含み、
前記分離されたフローセルデバイスを前記ソケットの前記筐体の一部分内に配置するステップが、前記分離されたフローセルデバイスの前記コンタククトパッドの露出面を前記筐体内の前記電気接点と係合するステップを含む、
C1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0117】
C5. 前記分離されたフローセルデバイスの前記ベースウエハー部分を基板と結合するステップと、前記分離されたフローセルデバイスの前記デバイス回路を前記基板の電気リードと電気的に結合するステップと、をさらに含み、
前記分離されたフローセルデバイスを前記ソケットの前記筐体の一部分内に配置するステップが、前記分離されたフローセルデバイスおよび前記基板を前記ソケットの前記筐体の前記一部分内に配置するステップと、前記基板の前記リードの露出面を前記筐体内の前記電気接点と係合するステップと、
を含む、C1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0118】
上記の説明は、例示を意図するものであり、限定的なものではないことを理解すべきである。例えば、上記の実施例(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用できる。さらに、特定の状況または材料を、それらの範囲から逸脱することなく、様々な例の教示に適合させるために、多くの変更を行うことができる。材料の大きさおよびタイプは本明細書で説明され得るが、それらは様々な例のいくつかのパラメータを規定することを意図するものであって、それらは決してすべての例に限定されるものではなく、単なる例示である。上述の説明を検討すると、他の多くの例が当業者に明らかになるであろう。従って、様々な例の範囲は、本明細書に含まれるクレームを参照して、そのようなクレームが権利を与えられる同等物の全範囲とともに決定されるべきである。
【0119】
本明細書で使用される場合、「including」および「in which」という用語はそれぞれ「comprising」および「wherein」という用語の平易な英語の同等物として使用される。さらに、本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単に参照ラベルとして使用され、それらの対象に数値的、構造的または他の要件を課すことを意図しない。本明細書における「に基づく」という用語の形態は、要素が部分的に基づく関係、ならびに要素が完全に基づく関係を包含する。「規定された」という用語の形式には、要素が部分的に規定されている関係、ならびに要素が完全に規定されている関係を包含する。また、本明細書に含まれるクレームの限定は、ミーンズプラスファンクション形式で書かれておらず、「のための手段」の後にさらなる機能性キャビティ構造の陳述が続くフレーズを明示的に使用しない限り、かつ使用するまで、米国特許法第112条第6項に基づいて解釈されることを意図していない。上記のそのような目的または利点のすべてが、特定の例に従って達成されるとは限らないことを理解すべきである。従って、例えば、本明細書において教示される1つの利点または利点群を、本明細書において教示または提案され得る他の目的または利点を必ずしも達成せずに達成または最適化する方法で本発明が具体化され得るまたは実行され得ることを当業者は認識する。
【0120】
本開示は、限定された数の例のみに関連して詳細に説明されてきたが、本開示がこうした開示された例に限定されないことは容易に理解されるべきである。正しくは、この開示は、これまでに説明されていないが、開示の精神および範囲に見合った、任意の数の変形、変更、置換、または同等の配置を組み込むように修正できる。さらに、様々な例が記載されているが、本開示の態様は、1つの例のみ、または記載された例のいくつかを含み得ることが理解されるべきである。また、いくつかの開示は、特定の数の要素を有すると説明されているが、例は、特定の数より少ないまたは多い要素で実施できることが理解されよう。
【0121】
前述の概念および以下でより詳細に論じられる追加の概念のすべての組み合わせは(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられることを理解されるべきである。特に、本開示の終わりに現れるクレームされた主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示された本発明の主題の一部であると考えられる。
【符号の説明】
【0122】
50 ソケット
52 ベース部分
54 カバー部分
58 内部側壁
60 電気接点
62 内部底面
64 外部底面
66 外部上面
70 ポート
72 機構