(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】粒状体検査装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20240209BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B65G65/40 B
G01N21/85 A
(21)【出願番号】P 2021002878
(22)【出願日】2021-01-12
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】今村 昌平
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩典
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-250193(JP,A)
【文献】特開2018-199102(JP,A)
【文献】特開2011-46470(JP,A)
【文献】特開平11-47697(JP,A)
【文献】特開2011-104470(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126232(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30-65/48
G01N 21/85
B07C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状体を検査して不良品を検出する複数の検査ユニットと、
供給された前記粒状体を貯留すると共に複数の前記検査ユニットへ前記粒状体を供給する貯留装置と、
前記貯留装置に設けられるとともに複数の前記検査ユニットへの前記粒状体の供給量を調整する調整機構と、を備える粒状体検査装置。
【請求項2】
前記調整機構は、前記粒状体の移動経路と交差する方向での位置変更が可能なガイド部材を備える請求項1に記載の粒状体検査装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、左右方向にスライド可能である請求項2に記載の粒状体検査装置。
【請求項4】
前記粒状体を上方へ搬送すると共に前記粒状体を前記貯留装置の内部へ投入するバケットコンベアを備え、
前記ガイド部材は、前記バケットコンベアから投入された前記粒状体の前記移動経路上に配置されている請求項2又は3に記載の粒状体検査装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記バケットコンベアの最上端よりも下に位置している請求項4に記載の粒状体検査装置。
【請求項6】
前記貯留装置は、その内部空間を複数の前記検査ユニットに対応して分岐させる分岐部材を備え、
前記ガイド部材は、前記分岐部材よりも上に位置する請求項2から5のいずれか1項に記載の粒状体検査装置。
【請求項7】
前記貯留装置は、上下方向に沿って延びる壁部材と、前記壁部材に形成された点検用開口と、前記点検用開口を塞ぐ閉塞部材と、を備え、
前記ガイド部材は前記閉塞部材に支持されている請求項2から6のいずれか1項に記載の粒状体検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状体検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粒状体選別装置が記載されている。この装置では、移送手段(振動フィーダ、シュータ等)が米粒を一層状態で且つ横幅方向に複数列に広がる状態で計測対象箇所を通過させる。計測対象箇所からの光が、複数の単位受光部(画素)を備えた受光装置に入射する。各単位受光部の出力に基づいて、米粒が不良であるか否かの判定が行われる。不良であると判定された米粒は、計測対象箇所の下流の分離箇所において、エアー吹き付け装置により他の米粒と分離される。
【0003】
特許文献1の粒状体選別装置は、供給用揚送搬送装置、移送手段、受光装置、及びエアー吹き付け装置を1つずつ備える。米粒は、供給用揚送搬送装置から貯留ホッパを経由して移送手段に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理能力(単位時間あたりに処理可能な粒状体の量)を増大させるために、粒状体検査装置に、粒状体を検査して不良品を検出する複数の検査ユニットを備えさせることが考えられる。この場合、粒状体検査装置へ投入された粒状体を、複数の検査ユニットへ分配する。そして、分配された粒状体を、それぞれの検査ユニットが検査する。
【0006】
検査ユニットへの粒状体の供給量は、複数の検査ユニットの間で均等であると望ましい。不均等の場合、供給量の少ない検査ユニットでは処理能力に余裕がある状態となり、装置全体としての処理能力が低下してしまう。
【0007】
検査ユニットへの粒状体の供給量が均等になるように装置を設計しても、例えば装置が傾いて設置された場合には供給量が不均等になる可能性がある。
【0008】
このような課題は、特許文献1の粒状体選別装置のように、供給用揚送搬送装置、移送手段、受光装置、及びエアー吹き付け装置を1つずつ備える装置においては生じ得ない。
【0009】
本発明の目的は、複数の検査ユニットを備える粒状体検査装置において、装置全体としての処理能力の低下を抑制できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決する手段として、本発明の粒状体検査装置は、粒状体を検査して不良品を検出する複数の検査ユニットと、供給された前記粒状体を貯留すると共に複数の前記検査ユニットへ前記粒状体を供給する貯留装置と、前記貯留装置に設けられるとともに複数の前記検査ユニットへの前記粒状体の供給量を調整する調整機構と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本構成によれば、調整機構により複数の検査ユニットへの粒状体の供給量を調整することができるので、検査ユニットへの粒状体の供給量を均等化でき、装置全体としての処理能力の低下を抑制することができる。
【0012】
本発明において、前記調整機構は、前記粒状体の移動経路と交差する方向での位置変更が可能なガイド部材を備えると好適である。
【0013】
本構成によれば、ガイド部材の位置を変更できるので、複数の検査ユニットへの粒状体の供給量を容易に調整することができる。また、簡易な構成により調整機構を実現することができる。
【0014】
本発明において、前記ガイド部材は、左右方向にスライド可能であると好適である。
【0015】
本構成によれば、ガイド部材の位置の変更を容易に行うことができる。また、調整機構の構成を更に簡素化することができる。
【0016】
本発明において、前記粒状体を上方へ搬送すると共に前記粒状体を前記貯留装置の内部へ投入するバケットコンベアを備え、前記ガイド部材は、前記バケットコンベアから投入された前記粒状体の前記移動経路上に配置されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、ガイド部材が粒状体の移動経路上に配置されているので、ガイド部材の位置変更により粒状体の移動方向を変更することができ、複数の検査ユニットへの粒状体の供給量を効果的に調整することができる。
【0018】
本発明において、前記ガイド部材は、前記バケットコンベアの最上端よりも下に位置していると好適である。
【0019】
本構成によれば、バケットコンベアから投入される粒状体の移動方向を確実に変更することができ、複数の検査ユニットへの粒状体の供給量を確実に調整することができる。
【0020】
本発明において、前記貯留装置は、その内部空間を複数の前記検査ユニットに対応して分岐させる分岐部材を備え、前記ガイド部材は、前記分岐部材よりも上に位置すると好適である。
【0021】
本構成によれば、ガイド部材が分岐部材よりも上にあるので、粒状体が分岐部材に達するより前に粒状体の移動方向を変更することができる。従って、複数の検査ユニットへの粒状体の供給量を効果的に調整することができる。
【0022】
本発明において、前記貯留装置は、上下方向に沿って延びる壁部材と、前記壁部材に形成された点検用開口と、前記点検用開口を塞ぐ閉塞部材と、を備え、前記ガイド部材は前記閉塞部材に支持されていると好適である。
【0023】
本構成によれば、貯留装置及び調整機構を一纏まりに構成することができ、スペース効率とメンテナンス性とを向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図4】貯留ホッパ、振動フィーダ、及びシュータの位置関係を示す平面図である。
【
図5】第1揚送コンベア及び貯留ホッパを示す断面右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る粒状体検査装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。各図に符号(FR)で示す方向が装置前側、符号(BK)で示す方向が装置後側、符号(LH)で示す方向が装置左側、符号(RH)で示す方向が装置右側、符号(UP)で示す方向が上側、符号(DW)で示す方向が下側である。
【0026】
粒状体検査装置は、投入される粒状体が正常品であるか不良品であるかを光学的に検査し、正常品と不良品とを選別して排出する装置である。本実施形態では、粒状体は、玄米や白米などの穀粒である。粒状体は樹脂ペレット等であってもよい。
【0027】
図1、
図2に示されるように、粒状体検査装置は、投入ホッパ1、第1揚送コンベア2(バケットコンベアの一例)、貯留ホッパ3(貯留装置の一例)、検査ユニット4、第2揚送コンベア5、及び操作表示装置6を備えている。
【0028】
投入ホッパ1は、装置後部の下部に設けられ、検査される粒状体を受け入れる。
【0029】
第1揚送コンベア2は、装置後部の左右中央に設けられ、投入ホッパ1に投入された粒状体を上方に搬送し、貯留ホッパ3へ投入する。
【0030】
貯留ホッパ3は、第1揚送コンベア2から投入された粒状体を貯留すると共に、検査ユニット4へ粒状体を供給する。
【0031】
検査ユニット4は、貯留ホッパ3から供給された粒状体を検査し、不良品を検出して、粒状体を正常品と不良品とに選別して排出する。本実施形態では、粒状体検査装置は、左検査ユニット4L及び右検査ユニット4Rを備える。
【0032】
第2揚送コンベア5は、装置後部の左側部分に設けられ、検査ユニット4から正常品として排出された粒状体を上方に搬送し、装置外部へ排出する。
【0033】
操作表示装置6は、装置前部の中央部に設けられている。操作表示装置6は、オペレータからの人為操作を受け付けると共に各種の画面を表示する。
【0034】
〔検査ユニット〕
図3を参照しながら、検査ユニット4の構成及び動作の概要について説明する。なお、左検査ユニット4L及び右検査ユニット4Rは同じ構成を備え同じ動作を行う。以下、
図3に示されるように、粒状体の移動方向をZ方向、粒状体の移動方向の上流側をZ1側、粒状体の移動方向の下流側をZ2側、装置左右方向に直交する面内におけるZ方向に直交する方向をY方向、Y方向における装置前側をY1側、Y方向における装置後側をY2側、と称する。
【0035】
検査対象の粒状体が、シュータ12からZ2側へ落下し、検査領域IAへ送り出される。検査領域IAは、照明装置21により照明されている。検査領域IAからの光が、前カメラ22A、後カメラ22B、及び透過カメラ22Cに入射し、前センサ23A、後センサ23B、透過センサ23Cにより検出される(以下、前カメラ22A、後カメラ22B、及び透過カメラ22Cを「カメラ22」と総称する。前センサ23A、後センサ23B、透過センサ23Cを「センサ23」と総称する。)。
【0036】
詳しくは、粒状体のY1側で反射した光が、前カメラ22Aへ入射して、前センサ23Aにより検出される。粒状体のY2側で反射した光が、後カメラ22Bへ入射して、後センサ23Bにより検出される。粒状体をY1側からY2側へ透過した光が、透過カメラ22Cへ入射して、透過センサ23Cにより検出される。
【0037】
センサ23の出力は、粒状体検査装置の制御装置に送信される。制御装置は、センサ23の出力に基づいて粒状体が正常品であるか不良品であるかを判定する。制御装置は、不良品と判定された粒状体が空気吹き付け装置31の正面まで落下したタイミングで空気吹き付け装置31を作動させる。空気を吹き付けられた粒状体は、Y1側へ押されて、不良品回収部41へ落下する。その他の粒状体は、正常品回収部42へ落下する。
【0038】
〔検査ユニットの構成〕
検査ユニット4は、送出装置10、検出装置20、及び排除装置30を備える。上述の通り、左検査ユニット4L及び右検査ユニット4Rは同様の構成を有する。
【0039】
送出装置10は、検査領域IAへ粒状体を複数並列(装置左右方向、
図3の紙面直交方向)で送り出す装置である。送出装置10は、振動フィーダ11、及びシュータ12を備える。
【0040】
振動フィーダ11は、貯留ホッパ3から流下した粒状体をトラフ11aで受け止めて、トラフ11aを振動させて粒状体をシュータ12へ送り出す。振動フィーダ11の動作は、制御装置に制御される。
【0041】
シュータ12は、板状の部材である。シュータ12の上面には、複数の直線上の溝が左右方向に平行に並ぶ状態で形成されている。溝の幅は、粒状体が1列に並んで流下可能な大きさに設定されている。振動フィーダ11のトラフ11aからシュータ12へ落下した粒状体は、シュータ12の溝に案内されて、シュータ12の上を複数並列で流下し、検査領域IAへ送り出される。
【0042】
検出装置20は、検査領域IAからの光を検出する装置であって、上述の照明装置21、カメラ22、センサ23、及びミラー24を備える。
【0043】
照明装置21は、背景部材21A、21B、21C、及び照明ユニット21D、21E、21F、21Gを備えている。
【0044】
背景部材21A、21B、21Cは、非図示の発光装置からの光を導いて検査領域IAを照明する部材である。背景部材21A、21B、21Cは、検査領域IAからカメラ22へ届く光において粒状体の背景として機能する。背景部材21A、21B、21Cの光源となる発光装置は、検査領域IAへの照明が適切な強度となるように、制御装置により制御される。
【0045】
照明ユニット21D、21E、21F、21Gは、制御装置により発光強度が制御されるLEDパッケージを備え、検査領域IAを照明する。照明ユニット21D、21Eは、検査領域IAに対してY1側に配置され、検査領域IAをY1側から照明する。照明ユニット21F、21Gは、検査領域IAに対してY2側に配置され、検査領域IAをY2側から照明する。
【0046】
前カメラ22Aは、前レンズ装置25Aを備える。前センサ23Aが、前カメラ22Aの内部に配置される。前カメラ22Aの光軸26Aが
図3に示されている。粒状体のY1側の面で反射した光、及び背景部材21Aから放射された光が、検査領域IAからY1側へ放射される。その光は、ミラー24で反射されて、前レンズ装置25Aにより収束され、前センサ23Aに照射される。すなわち、前カメラ22Aの前センサ23Aは、粒状体のY1側の面で反射した光、及び背景部材21Aから放射された光を検出する。
【0047】
後カメラ22Bは、後レンズ装置25Bを備える。後センサ23Bが、後カメラ22Bの内部に配置される。後カメラ22Bの光軸26Bが
図3に示されている。粒状体のY2側の面で反射した光、及び背景部材21Bから放射された光が、検査領域IAからY2側へ放射される。その光は、ミラー24で反射されて、後レンズ装置25Bにより収束され、後センサ23Bに照射される。すなわち、後カメラ22Bの後センサ23Bは、粒状体のY2側の面で反射した光、及び背景部材21Bから放射された光を検出する。
【0048】
透過カメラ22Cは、透過レンズ装置25Cを備える。透過センサ23Cが、透過カメラ22Cの内部に配置される。透過カメラ22Cの光軸26Cが
図3に示されている。粒状体をY1側からY2側へ透過した光、及び背景部材21Cから放射された光が、検査領域IAからY2側へ放射される。その光は、ミラー24で反射されて、透過レンズ装置25Cにより収束され、透過センサ23Cに照射される。すなわち、透過カメラ22Cの透過センサ23Cは、粒状体をY1側からY2側へ透過した光、及び背景部材21Cから放射された光を検出する。
【0049】
以下、前レンズ装置25A、後レンズ装置25B、及び透過レンズ装置25Cを「レンズ装置25」と総称する場合がある。
【0050】
前センサ23A、後センサ23B、及び透過センサ23Cは、経時的に光を検出し、所定の時間毎の刻々の出力データを制御装置に送信する。
【0051】
検査領域IAに、遮光部材27が配置されている。遮光部材27は、粒状体に反射された光や、照明ユニット21D、21E、21F、21Gからの照明光が透過カメラ22Cへ直接入射することを抑制する。
【0052】
排除装置30は、不良品と判定された粒状体を排除する装置である。排除装置30は、空気吹き付け装置31により構成される。空気吹き付け装置31は、装置左右方向に並ぶ複数の噴射口を備える。噴射口は、シュータ12の複数の溝から落下する粒状体に対応する位置に配置されている。
【0053】
〔貯留ホッパ〕
貯留ホッパ3は、内部が空洞である箱状の部材である。貯留ホッパ3は、入口61、左の出口62L、及び右の出口62Rを備える。
【0054】
入口61は、貯留ホッパ3の上部に配置され粒状体が投入される開口である。入口61は、貯留ホッパ3の後部の上部に形成された長方形の開口である。入口61を通って、第1揚送コンベア2により粒状体が貯留ホッパ3の内部へ投入される。
【0055】
出口62L、62Rは、貯留ホッパ3の下部(下端部)に配置され粒状体が検査ユニット4へ流出する開口である。貯留ホッパ3の内部の粒状体が、出口62Lから左検査ユニット4Lへ供給され、出口62Rから右検査ユニット4Rへ供給される。
図4に示されるように、出口62Lは、左検査ユニット4Lのトラフ11aの上方突出部11bと平面視で重なる位置にある。出口62Rは、右検査ユニット4Rのトラフ11aの上方突出部11bと平面視で重なる位置にある。
【0056】
貯留ホッパ3は、その内部空間を左右の検査ユニット4に対応して分岐させる分岐部材71を備えている。分岐部材71は、貯留ホッパ3の底壁の一部を構成している。分岐部材71は、
図5に示されるように、貯留ホッパ3の前部から後部まで延びている。左の出口62Lが分岐部材71の左に位置し、右の出口62Rが分岐部材71の右に位置する。
【0057】
貯留ホッパ3は、出口62L、62Rに繋がる下窄まり形状の下窄まり部3aを備えている。下窄まり部3aの側壁3bは、貯留ホッパ3の下部の後壁である。側壁3bは、
図5に示されるように、その法線が上斜め前を向く姿勢で配置されている。
【0058】
貯留ホッパ3は、上下方向に沿って延びる前壁部材72(壁部材の一例)と、前壁部材72に形成された点検用開口72aと、点検用開口72aを塞ぐ閉塞部材73と、を備えている。閉塞部材73は、前壁部材72に対して上下方向にスライド可能であり、前壁部材72に対して着脱可能である。
【0059】
貯留ホッパ3は、前壁部材72に設けられた透明な左右の監視窓72b、72cと、監視窓72b、72cを塞ぐ閉塞部材74、75を備えている。
【0060】
第1揚送コンベア2により入口61から投入された粒状体は、左の出口62Lまたは右の出口62Rから下方へ流出し、トラフ11aへ落下する。第1揚送コンベア2による投入量よりも振動フィーダ11による送出量が小さい場合、粒状体がトラフ11aの上に堆積し、貯留ホッパ3の内部に貯留される状態となる。
【0061】
〔調整機構〕
本実施形態では、貯留ホッパ3に調整機構ADが設けられる。調整機構ADは、左右の検査ユニット4への粒状体の供給量を調整する。調整機構ADは、ガイド部材80を備える。
【0062】
ガイド部材80は、三角柱状の部材であって、中心軸が上下方向に沿い、且つ1の稜線80aが入口61に面する姿勢にて、貯留ホッパ3の内部に配置されている。ガイド部材80は、左右方向にスライド可能な状態で、閉塞部材73に支持されている。詳しくは、
図6に示されるように、閉塞部材73に左右方向へ延びる長穴73aが形成されている。ガイド部材80を閉塞部材73へ取り付けるボルト81が、長穴73aに挿通されている。
【0063】
本実施形態では、粒状体の移動経路RTは、
図5に示されるように、第1揚送コンベア2から前方または前斜め下へ延びる。ガイド部材80は、第1揚送コンベア2から投入された粒状体の移動経路RT上に配置されている。従って、ガイド部材80と衝突した粒状体は、左または右へ飛散する。すなわち、ガイド部材80により粒状体が左右の出口62L、62Rへ分配される。
【0064】
また、ガイド部材80は左右方向にスライド可能である。換言すれば、ガイド部材80は、粒状体の移動経路RTと交差する方向での位置変更が可能である。ガイド部材80を左寄りに位置させると、より多くの粒状体が右の出口62Rへ導かれる。従って、貯留ホッパ3から右検査ユニット4Rへ供給される粒状体が増加し、貯留ホッパ3から左検査ユニット4Lへ供給される粒状体が減少する。ガイド部材80を右寄りに位置させると、反対の結果となる。このようにして、調整機構ADによって左右の検査ユニット4への粒状体の供給量が調整可能である。
【0065】
図5に示されるように、ガイド部材80は、第1揚送コンベア2の最上端2aよりも下に位置している。最上端2aとは、第1揚送コンベア2のバケット2bが最も高い位置にある時のバケット2bの上端の位置である。
【0066】
図5に示されるように、ガイド部材80は、分岐部材71よりも上に位置する。詳しくは、ガイド部材80の全体が分岐部材71の上端よりも上に位置する。
【0067】
図5に示されるように、ガイド部材80の下端は、入口61の下端よりも下に位置する。ガイド部材80の上端は、入口61の下端よりも上に位置する。
【0068】
本実施形態では、ガイド部材80が装着された状態で、閉塞部材73を貯留ホッパ3から取り外すことができる。従って、調整機構AD及び貯留ホッパ3の内部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、監視窓72b、72cから、貯留ホッパ3の内部を視認することができる。従って、左右の出口62L、62Rへの粒状体の流出状態を監視窓72b、72cから確認しながら、ガイド部材80の位置を調整することができる。
【0070】
〔オーバーフロー排出口及びカバー部材〕
貯留ホッパ3は、オーバーフロー排出口63及びカバー部材90を備えている。
【0071】
オーバーフロー排出口63は、下窄まり部3aの側壁3bに形成された台形の開口である。貯留ホッパ3に貯留された粒状体が、オーバーフロー排出口63を通って貯留ホッパ3の外部に流出可能である。
図5に示されるように、オーバーフロー排出口63は、貯留ホッパ3の入口61よりも下且つ出口62L、62Rよりも上に配置されている。
【0072】
カバー部材90は、オーバーフロー排出口63を上方から覆う板状の部材である。カバー部材90の後端部は、下窄まり部3aの側壁3bに支持されている。カバー部材90は、側壁3bから前方へ延びている。
【0073】
カバー部材90の上面は、斜め下方に傾斜する傾斜面90a、90bを備える。本実施形態では、水平面に対する傾斜面90a、90bの傾斜角θ(
図7)は35度である。傾斜角θが35度以上であると好ましい。
【0074】
カバー部材90は、貯留ホッパ3の入口61の下方、且つ、オーバーフロー排出口63の上方に設けられている。すなわち、カバー部材90は、入口61とオーバーフロー排出口63との間に配置されている。詳しくは、
図5に示されるように、カバー部材90の上端と入口61の下端とがほぼ同じ高さに位置する。
【0075】
図5に示されるように、カバー部材90は、入口61から投入される粒状体の移動経路RT上に配置される。入口61から投入された粒状体は、カバー部材90に接触し傾斜面90a、90bに導かれて左右に流下する。従って、入口61から投入された粒状体がオーバーフロー排出口63に直接流入することが抑制される。
【0076】
貯留ホッパ3の内部に貯留された粒状体の上面がオーバーフロー排出口63の下端より高くなると、粒状体がオーバーフロー排出口63に流入する。すなわち、貯留ホッパ3は、カバー部材90の下方において貯留ホッパ3に貯留された粒状体がオーバーフロー排出口63に流入可能なように構成されている。
【0077】
図7に示されるように、オーバーフロー排出口63の幅とカバー部材90の幅とがほぼ同じである。詳しくは、オーバーフロー排出口63の下端(台形の下辺)の幅とカバー部材90の幅とがほぼ同じである。
【0078】
〔他の実施形態〕
(1)調整機構ADの形態は、上述の例に限られない。調整機構ADが、アクチュエータにより移動または動作する部材を備えてもよい。
【0079】
(2)ガイド部材80の形状、数、及び位置は、上述の例に限られない。また、ガイド部材80を移動可能にする機構、及びガイド部材80の支持機構は、上述の例に限られない。
【0080】
(3)貯留ホッパ3の外部からガイド部材80を操作可能な持ち手が、貯留ホッパ3に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、複数の検査ユニットを備える装置(粒状体検査装置、色彩選別器、光学選別器等)に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
2 :第1揚送コンベア(バケットコンベア)
2a :最上端
3 :貯留ホッパ(貯留装置)
3a :下窄まり部
4 :検査ユニット
4L :左検査ユニット
4R :右検査ユニット
71 :分岐部材
72a :点検用開口
73 :閉塞部材
80 :ガイド部材
AD :調整機構
RT :移動経路