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  • 特許-変圧器 図1
  • 特許-変圧器 図2
  • 特許-変圧器 図3
  • 特許-変圧器 図4
  • 特許-変圧器 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】変圧器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20240209BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20240209BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
H01F27/00 120
H01F27/02 Z
H01F30/10 U
H01F30/10 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021016168
(22)【出願日】2021-02-03
(65)【公開番号】P2022119142
(43)【公開日】2022-08-16
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 洋太
(72)【発明者】
【氏名】椎名 洋悦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貴晃
(72)【発明者】
【氏名】宮島 和宏
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-243679(JP,A)
【文献】特開2015-018995(JP,A)
【文献】特開2007-220774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0091682(US,A1)
【文献】実開平04-111712(JP,U)
【文献】実開昭48-029312(JP,U)
【文献】特開平05-021235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00
H01F 27/02
H01F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心と、巻線と、前記鉄心と前記巻線を支持するベースとを有する変圧器であって、
前記ベースは、
フォークリフトのフォークを挿入可能な第1の開口部と、
両端部に端部部材を有し、
前記端部部材は、
外観寸法の外側まで伸びており、前記端部部材の先端に、後施行アンカーを挿入する第2
の開口部を有し、
前記ベースの面は、正面、背面、正面に対する右側面、および左側面を有し、
前記正面、前記背面、前記右側面、および前記左側面は、前記第1の開口部を有し、
前記右側面および前記左側面の両端部を形成する側面の端部部材を有し、前記側面の端部部材は、外観寸法の外側まで伸びており、前記端部部材の先端に、後施行アンカーを挿入する第3開口部を有する変圧器。
【請求項2】
請求項1に記載の変圧器において、
前記鉄心と前記巻線とを収納する変圧器タンクを有する油入変圧器。
【請求項3】
請求項1に記載の変圧器において、
前記巻線は、前記鉄心に巻装され、モールドされたモールド変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器に関し、特に、変圧器のベース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトでの運搬作業を簡単に行い得る変圧器が特許文献1に記載されている。
【0003】
この特許文献1には、「変圧器タンク1のベース9にフォ-ク支持部を形成したので、変圧器の運搬に際しては、変圧器タンク1の正面側あるいは背面側からベース9の強度部材10にフォ-クリフトのフォ-ク12A,12Bを挿入して持ち上げ、そのまま所定の場所に運搬することができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-243679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、フォークリフトでの運搬作業を簡単に行い得る変圧器が記載されている。
【0006】
しかしながら、変圧器を固定する作業を容易にすることについては配慮されてはいない。
【0007】
本発明の目的は、フォークリフトで四方向に持ち上げて移動させ易いとともに変圧器を固定する作業を容易にする変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい一例としては、鉄心と、巻線と、前記鉄心と前記巻線を支持するベースとを有する変圧器であって、
前記ベースは、
フォークリフトのフォークを挿入可能な第1の開口部と、
両端部に端部部材を有し、
前記端部部材は、
外観寸法の外側まで伸びており、前記端部部材の先端に、後施行アンカーを挿入する第2の開口部を有する変圧器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フォークリフトで四方向に持ち上げて移動させ易いとともに変圧器を固定する作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】比較例の変圧器の正面図。
図2図1の側面図。
図3図1の変形図。
図4】実施例1の構造を適用した変圧器の側面図。
図5図3の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の前提の構成としての比較例となる変圧器を示している。図1の変圧器は、鉄心に巻装された巻線を収納し、鉄心と巻線の支持部材となる変圧器タンク1は、上部をカバー2で塞がれており、このカバー2を貫通して一次ブッシング3及び二次ブッシング4が立設されている。変圧器タンク1の上部開口部5の周縁には吊耳6が設けられ、カバー2にも吊耳6が設けられている。
【0013】
鉄心、巻線、および変圧器タンクを支持するベース8が、変圧器タンク1の底部7に、固定されている。ベース8にはロ字状の切欠き溝9が2つ設けられている。そして、フォーク10をロ字状の切欠き溝9(フォーク10を挿入可能な第1の開口部)に挿入して変圧器を持ち上げることができる。
【0014】
図1は、変圧器の正面から見た図であり、ベース8の正面側は、正面を構成する正面構成部材82と、右の端部を構成する右の端部部材81aと左の端部を構成する左の端部部材81bを有しており、正面構成部材82には、フォークを挿入する位置に対応した位置に設けた切り欠き溝(第1の開口部)が2つ配置される。正面構成部材82の上部と下部には、図1の前方側(正面側)に伸びる上下の張り出し部が設けられる。図示は省略したが、ベースの背面の背面構成部材にも、フォークを挿入する位置に対応した位置に設けた切り欠き溝(第1の開口部)が、正面と同様に、配置される。
【0015】
正面のベースは、これら正面構成部材82、右の端部部材81a、左の端部部材81b、上下の張り出し部を備えることで、支持部材としての強度を高めることができる。
【0016】
図2は、変圧器の側面を示しており、側面構成部材85にもロ字状の切欠き溝9を設ける。正面、背面、側面の2面のいずれにも切欠き溝9を配置することにより四方向での持ち上げができる構造となっている。このように、ベース8にフォーク10を挿入できる切欠き溝9を設けることにより、変圧器を設置場所までフォークリフトのみで運搬を行うことができる。また、四方向での持ち上げができるため変圧器の向きに制約なく運搬、設置ができる。したがって、クレーンでの吊り上げ作業や運搬用パレットの準備、着脱等の作業をなくすことができる。
【0017】
図3は、変圧器の正面から見た図である。ベース8の正面に配置した切欠き溝9を1つに変更したもので、フォーク10を切欠き溝9に挿入して持ち上げる点については図1図2と同じである。
【0018】
図1から図3に示した比較例では、変圧器をフォークリフトで四方向に持ち上げて移動させることが可能な構成であるが、変圧器を固定する作業を容易にすることについては配慮していない。
【実施例1】
【0019】
図4及び図5を用いて実施例1を説明する。尚、図4及び図5において、図1図3と同一符号は同一部品を示し、比較例と同じ説明は省略する。
【0020】
図4は、本実施例の変圧器を正面から見て右側面から見た図である。
右側面を構成する側面構成部材85(端部部材81cと同じ部材)にも、フォーク10を挿入できるロ字状の切欠き溝9を設ける。図示は省略したが、右側面と対向する左側面にも、同様にロ字状の切欠き溝9を配置する。また、図5は、本実施例の変圧器を上面から見た図である。
【0021】
本実施例では、ベース8の長さを伸ばすことにより変圧器を固定するための孔を変圧器タンク1よりも外側に出した構造となる。それにより、変圧器の据付の際、フォークリフトで設置した位置で基礎の固定ができ、合わせ作業により基礎穴を後施行アンカーで取付けができる構造にしたものである。
【0022】
図5に示すように、ベース8は、右側の第1の端部部材81cおよび左側の第2の端部部材81dを有する。第1の端部部材81cおよび第2の端部部材81dは、変圧器の外観寸法の外側まで伸びており、第1の端部部材81cおよび第2の端部部材81dの先端に、それぞれ後施行アンカーを挿入する第2の開口部12a、12c、12b、12dを有する。図5 では、4つの開口部の例を示す。
【0023】
本実施例によれば、変圧器をフォークリフトで四方向に持ち上げて移動させることを可能にできるとともに、第2の開口部を変圧器の外観寸法の外に配置するので、変圧器の底部で、変圧器を固定する作業を容易にできる。また、後施行アンカーを挿入する第2の開口部の位置を、基礎穴に応じた位置に合わせて配置する。そのため、固定作業の位置合わせを容易にすることができる。
【0024】
上記の実施例では、2つの端部部材を用いた場合を例に説明した。それに限らず、図示は省略するが、右側面から左側面に延在し、右側面および左側面の端部を構成する第3の端部部材および第4の端部部材で、変圧器を四方向に固定するようにしてもよい。
【0025】
その場合は、ベースは、右側面および左側面の両端部を形成する第3の端部部材および第4の端部部材を有する。第3の端部部材および第4の端部部材を、ベースの正面構成部材82もしくは背面構成部材と同じ部材とすることで軽量化を図れる。第3の端部部材および第4の端部部材は、それぞれベースのうち右側面と左側面の両面に対して、垂直方向に、変圧器の外観寸法の外側まで伸びており、第3の端部部材および第4の端部部材の先端に、それぞれ後施行アンカーを挿入する第3の開口部を有する。
【0026】
このように四方向で固定する変形例の構成によれば、変圧器を固定する対象の基礎との固定をより強固にでき、耐震性をさらに高めることができる。
【0027】
上記した第1の端部部材と第2の端部部材は、それぞれ外側(図1の左右方向)に向かってカット部を有する。そのような形状とすることで、ベースの軽量をするとともに、第2の開口部12a、12b、12c、12dへ後施行アンカーを挿入する作業を容易にすることができる。図1図3の例では、第1の端部部材から第2の端部部材を、正面もしくは背面から見た形状は、コの字としたが、L字形状としても、後施行アンカーを挿入する作業を容易にすることができる。
【0028】
上記の実施例では油入変圧器の場合を説明したが、変圧器タンクを有しない例えばモールド変圧器にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1…変圧器タンク、2…カバー、3…一次ブッシング、4…二次ブッシング
5…上部開口部、6…吊耳、7…底部、8…ベース、9…切欠き溝、10…フォーク、12a・12b・12c・12d…後施行アンカー用開口部、81a・81b・81c・81d…ベース正面の端部部材、82…ベース正面構成部材、85…ベース側面構成部材
図1
図2
図3
図4
図5