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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】PTPシートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/04 20060101AFI20240209BHJP
   A61J 1/03 20230101ALI20240209BHJP
【FI】
B65B9/04
A61J1/03 370
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021021571
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124040
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】服部 真治
(72)【発明者】
【氏名】真川 達也
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178352(JP,A)
【文献】特表2001-518862(JP,A)
【文献】米国特許第04158411(US,A)
【文献】特開2020-039532(JP,A)
【文献】特開2020-124406(JP,A)
【文献】特開2019-123517(JP,A)
【文献】特開2007-217014(JP,A)
【文献】特開2018-110678(JP,A)
【文献】実開昭55-001655(JP,U)
【文献】特開2012-144288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00
B65B 1/00
B65B 9/00
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を収容するためのポケット部が形成された容器フィルムと、
前記ポケット部の開口を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備え、
前記ポケット部に収容される錠剤は、少なくとも表面に所定の情報部が形成された平面視円形状の口腔内崩壊錠であるとともに、
前記ポケット部は、
平面視円形状をなし、収容された錠剤の前記表面と相対向するとともに外側に凸の湾曲形状をなす底壁部と、
該底壁部の最外周部に連なる筒状の側壁部とを有してなるPTPシートの製造方法であって、
前記情報部は、錠剤の前記表面のうち、該錠剤を平面視したときにおける該表面の中心を中心とする円で区画される情報付与領域内に設けられ、
帯状の前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記情報部の設けられた錠剤を前記ポケット部に充填する充填工程とを含み、
前記ポケット部形成工程では、
以下の要件(1)及び(2)を満たすとともに、
前記ポケット部の前記底壁部が下となる姿勢の状態において、前記ポケット部に収容される錠剤の前記表面が前記底壁部にて支持され、かつ、
前記ポケット部に収容される錠剤の表面の中心と前記ポケット部の中心とが重なるように配置した状態において、前記側壁部の内面全域が、錠剤の側面全域から離間して、錠剤が移動可能となり、
前記ポケット部に収容される錠剤が前記側壁部側に向けて最大限移動した場合において、平面視したときにおける該錠剤の表面の中心から前記ポケット部の中心までの距離がΔc(mm)となるように前記ポケット部を形成し、
前記充填工程では、前記情報部の設けられた錠剤を、前記ポケット部に充填し、
距離Δcは、以下の要件(3)を満たすことを特徴とするPTPシートの製造方法。
(1)前記ポケット部の深さは、錠剤の前記表面の直径以下の大きさであること。
(2)前記底壁部のうち前記ポケット部に収容された錠剤側に位置する内面は、前記ポケット部に収容された錠剤の前記表面と接触する可能性がある領域であって、平面視円環状をなす周縁領域と、錠剤の前記表面から離間する領域であって、前記周縁領域に囲まれた平面視円形状の中央領域とを有すること。
(3)前記情報付与領域の直径をφRp(mm)とし、平面視したときにおける前記中央領域の半径をrc(mm)としたとき、Δc≦rc-(φRp/2)であること。
【請求項2】
Δc=rc-(φRp/2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のPTPシートの製造方法。
【請求項3】
錠剤を収容するためのポケット部が形成された容器フィルムと、
前記ポケット部の開口を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備え、
前記ポケット部に収容される錠剤は、少なくとも表面に所定の情報部が形成された平面視円形状の口腔内崩壊錠であるとともに、
前記ポケット部は、
平面視円形状をなし、収容された錠剤の前記表面と相対向するとともに外側に凸の湾曲形状をなす底壁部と、
該底壁部の最外周部に連なる筒状の側壁部とを有してなるPTPシートの製造方法であって、
前記ポケット部については、下記の要件(1)及び(2)を満たすとともに、
前記ポケット部の前記底壁部が下となる姿勢の状態において、前記ポケット部に収容される錠剤の前記表面が前記底壁部にて支持され、かつ、
前記ポケット部に収容される錠剤の表面の中心と前記ポケット部の中心とが重なるように配置した状態において、前記側壁部の内面全域が、錠剤の側面全域から離間して、錠剤が移動可能となるものとされ、
錠剤の少なくとも前記表面に対し、前記情報部を設ける情報部作成工程と、
前記情報部の設けられた錠剤を前記ポケット部に充填する充填工程とを含み、
前記情報部作成工程では、錠剤の前記表面のうち、該錠剤を平面視したときにおける該表面の中心を中心とする直径φRp(mm)の円で区画される情報付与領域内に前記情報部を設け、
前記充填工程では、前記情報部作成工程にて前記情報部の設けられた錠剤を、前記ポケット部に充填し、
直径φRpは、以下の要件(3)を満たすことを特徴とするPTPシートの製造方法。
(1)前記ポケット部の深さは、錠剤の前記表面の直径以下の大きさであること。
(2)前記底壁部のうち前記ポケット部に収容された錠剤側に位置する内面は、前記ポケット部に収容された錠剤の前記表面と接触する可能性がある領域であって、平面視円環状をなす周縁領域と、錠剤の前記表面から離間する領域であって、前記周縁領域に囲まれた平面視円形状の中央領域とを有すること。
(3)前記ポケット部内にて錠剤が前記側壁部側に向けて最大限移動した場合において、平面視したときにおける該錠剤の表面の中心から前記ポケット部の中心までの距離をΔc(mm)とし、平面視したときにおける前記中央領域の半径をrc(mm)としたとき、φRp≦(rc-Δc)×2であること。
【請求項4】
φRp=(rc-Δc)×2を満たすことを特徴とする請求項3に記載のPTPシートの製造方法。
【請求項5】
前記情報部作成工程の後において、前記情報部が前記情報付与領域内に設けられているか否かに関する良否判定を行う情報位置判定工程を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載のPTPシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポケット部に錠剤を収容してなるPTPシートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品や食料品等の分野において用いられるブリスタシートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。PTPシートは、錠剤が収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
一般的な錠剤は、平面視円形状をなしており、湾曲面状や平坦面状をなす表面及び裏面と、これら面により挟まれた側面とによって外表面が構成されている。また、印刷や刻印などにより、表面(ポケット部の底壁部側に配置される面)に、製品名や製品番号など、文字や記号等からなる情報部を設けた錠剤が知られている。尚、錠剤としては、唾液や少量の水で速やかに溶けるように構成された口腔内崩壊錠が用いられることがある。
【0004】
上記PTPシートは、例えば、ポケット部形成工程、充填工程、取着工程及び打抜工程などを経て製造される。ポケット部形成工程では、帯状の容器フィルムにポケット部が形成される。充填工程では、ポケット部に錠剤が充填される。取着工程では、ポケット部を塞ぐようにして容器フィルムにカバーフィルムが取着される。打抜工程では、両フィルムが取着されてなる帯状のPTPフィルムがシート単位に打ち抜かれる。PTPフィルムを打抜くことで、PTPシートが得られる。
【0005】
ところで、製品の輸送時や使用者が持ち運ぶ際などにおいて、PTPシートに対し衝撃や振動が加わることで、ポケット部の底壁部に対し錠剤の表面がこすれるおそれがある。底壁部に錠剤の表面がこすれると、錠剤の成分が底壁部に付着し、容器フィルムが透明又は半透明の材料により形成されている場合には、底壁部に白濁が生じ得る。このような白濁が生じると、錠剤に設けられた情報部の内容を正確に把握することが難しくなるおそれがある。特に錠剤が口腔内崩壊錠である場合には、錠剤の成分が底壁部に付着しやすく、底壁部の白濁がより生じやすい。
【0006】
そこで近年では、錠剤の表面の曲率半径と底壁部の曲率半径とを所定の関係とすることによって、PTPシートに衝撃や振動が加わった場合であっても、底壁部の白濁を抑えることを目的とした技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。より具体的に説明すると、該技術では、底壁部(特許文献1の天面部分)の少なくとも1つの方向に沿った曲率半径を、錠剤の表面(特許文献1の情報表示部)の少なくとも1つの方向に沿った曲率半径以下とすることで、底壁部の白濁を防ぐことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-178352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記技術において、底壁部の曲率半径を錠剤の表面の曲率半径と同一とした場合には、底壁部の内面に対し錠剤の表面全域が面接触することとなる。そのため、底壁部の全域に亘って白濁が生じ、情報部の内容把握に支障が生じるおそれがある。
【0009】
これに対し、図17図17において、上側はポケット部2等の断面図を示し、下側は底壁部2の内面等の底面図を示す)に示すように、ポケット部2の底壁部2bの曲率半径が錠剤5の表面5bの曲率半径よりも小さなものとなるように構成すれば、錠剤5の表面5bにおける外周部(周縁部)のみが底壁部2bの内面と接触することとなる。そのため、底壁部の全域に亘って白濁が生じることを防止できる。
【0010】
しかしながら、上記のように構成した場合であっても、ポケット部2内を錠剤5が移動する(例えば、二点鎖線で示すように移動する)ことで、底壁部2bの内面における周縁領域b1(図17にて、断面図では太線を付した領域であり、平面図では散点模様を付した領域)に対し錠剤5がこすれることとなる。そのため、この周縁領域b1では白濁が生じるおそれがあり、この周縁領域b1と錠剤5に設けられた情報部5jとが重なると、やはり情報部5jの内容把握に支障が生じ得る。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされてものであり、その目的は、底壁部の白濁によって情報部の内容把握に支障が生じることをより確実に防止可能なPTPシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0013】
手段1.錠剤を収容するためのポケット部が形成された容器フィルムと、
前記ポケット部の開口を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備え、
前記ポケット部に収容される錠剤は、少なくとも表面に所定の情報部が形成された平面視円形状の口腔内崩壊錠であるとともに、
前記ポケット部は、
平面視円形状をなし、収容された錠剤の前記表面と相対向するとともに外側に凸の湾曲形状をなす底壁部と、
該底壁部の最外周部に連なる筒状の側壁部とを有してなるPTPシートの製造方法であって、
前記情報部は、錠剤の前記表面のうち、該錠剤を平面視したときにおける該表面の中心を中心とする円で区画される情報付与領域内に設けられ、
帯状の前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記情報部の設けられた錠剤を前記ポケット部に充填する充填工程とを含み、
前記ポケット部形成工程では、
以下の要件(1)及び(2)を満たすとともに、
前記ポケット部の前記底壁部が下となる姿勢の状態において、前記ポケット部に収容される錠剤の前記表面が前記底壁部にて支持され、かつ、
前記ポケット部に収容される錠剤の表面の中心と前記ポケット部の中心とが重なるように配置した状態において、前記側壁部の内面全域が、錠剤の側面全域から離間して、錠剤が移動可能となり、
前記ポケット部に収容される錠剤が前記側壁部側に向けて最大限移動した場合において、平面視したときにおける該錠剤の表面の中心から前記ポケット部の中心までの距離がΔc(mm)となるように前記ポケット部を形成し、
前記充填工程では、前記情報部の設けられた錠剤を、前記ポケット部に充填し、
距離Δcは、以下の要件(3)を満たすことを特徴とするPTPシートの製造方法。
(1)前記ポケット部の深さは、錠剤の前記表面の直径以下の大きさであること。
(2)前記底壁部のうち前記ポケット部に収容された錠剤側に位置する内面は、前記ポケット部に収容された錠剤の前記表面と接触する可能性がある領域であって、平面視円環状をなす周縁領域と、錠剤の前記表面から離間する領域であって、前記周縁領域に囲まれた平面視円形状の中央領域とを有すること。
(3)前記情報付与領域の直径をφRp(mm)とし、平面視したときにおける前記中央領域の半径をrc(mm)としたとき、Δc≦rc-(φRp/2)であること。
【0014】
上記手段1によれば、ポケット部形成工程では、Δc≦rc-(φRp/2)を満たすポケット部が形成される。すなわち、形成されるポケット部においては、ポケット部の中心軸と錠剤の中心軸とが一致する状態からの錠剤の最大移動距離(距離Δc)が、両中心軸が一致する状態における情報付与領域の外縁から中央領域の外縁までの距離〔rc-(φRp/2)〕以下とされる。従って、両中心軸が一致している状態から錠剤(情報付与領域)が最大限(距離Δc)移動した場合であっても、平面視したときに、情報付与領域が中央領域から出ないようにすることができる。これにより、錠剤がポケット部内を最大限移動したとしても、情報付与領域が白濁の可能性のある周縁領域とは重ならず、情報付与領域の全体が白濁の発生しにくい中央領域と重なるようになる。そのため、周縁領域に白濁が生じた場合であっても、クリアな中央領域を通して情報部を視認することができる。その結果、白濁によって情報部の内容把握に支障が生じることをより確実に防止できる。
【0015】
また、得られたPTPシートにおいて、底壁部に対する情報付与領域の接触をより確実に防止することができる。これにより、底壁部との接触に伴う情報部の損耗を効果的に抑制することができる。
【0016】
手段2.Δc=rc-(φRp/2)を満たすことを特徴とする手段1に記載のPTPシートの製造方法。
【0017】
上記手段2によれば、情報付与領域が周縁領域と重ならないという条件下において、距離Δcを最大限確保することができる。従って、ポケット部の中心軸と錠剤の中心軸とが一致する状態においてポケット部の側壁部から錠剤までの距離を大きく確保することができる。これにより、充填工程において、ポケット部に対する錠剤の充填をより容易にかつより確実に行うことができる。
【0018】
手段3.錠剤を収容するためのポケット部が形成された容器フィルムと、
前記ポケット部の開口を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備え、
前記ポケット部に収容される錠剤は、少なくとも表面に所定の情報部が形成された平面視円形状の口腔内崩壊錠であるとともに、
前記ポケット部は、
平面視円形状をなし、収容された錠剤の前記表面と相対向するとともに外側に凸の湾曲形状をなす底壁部と、
該底壁部の最外周部に連なる筒状の側壁部とを有してなるPTPシートの製造方法であって、
前記ポケット部については、下記の要件(1)及び(2)を満たすとともに、
前記ポケット部の前記底壁部が下となる姿勢の状態において、前記ポケット部に収容される錠剤の前記表面が前記底壁部にて支持され、かつ、
前記ポケット部に収容される錠剤の表面の中心と前記ポケット部の中心とが重なるように配置した状態において、前記側壁部の内面全域が、錠剤の側面全域から離間して、錠剤が移動可能となるものとされ、
錠剤の少なくとも前記表面に対し、前記情報部を設ける情報部作成工程と、
前記情報部の設けられた錠剤を前記ポケット部に充填する充填工程とを含み、
前記情報部作成工程では、錠剤の前記表面のうち、該錠剤を平面視したときにおける該表面の中心を中心とする直径φRp(mm)の円で区画される情報付与領域内に前記情報部を設け、
前記充填工程では、前記情報部作成工程にて前記情報部の設けられた錠剤を、前記ポケット部に充填し、
直径φRpは、以下の要件(3)を満たすことを特徴とするPTPシートの製造方法。
(1)前記ポケット部の深さは、錠剤の前記表面の直径以下の大きさであること。
(2)前記底壁部のうち前記ポケット部に収容された錠剤側に位置する内面は、前記ポケット部に収容された錠剤の前記表面と接触する可能性がある領域であって、平面視円環状をなす周縁領域と、錠剤の前記表面から離間する領域であって、前記周縁領域に囲まれた平面視円形状の中央領域とを有すること。
(3)前記ポケット部内にて錠剤が前記側壁部側に向けて最大限移動した場合において、平面視したときにおける該錠剤の表面の中心から前記ポケット部の中心までの距離をΔc(mm)とし、平面視したときにおける前記中央領域の半径をrc(mm)としたとき、φRp≦(rc-Δc)×2であること。
【0019】
上記手段3によれば、情報部作成工程では、φRp≦(rc-Δc)×2を満たすように情報部が設けられる。ここで、(rc-Δc)×2は、中央領域の外縁から該中央領域の中心側に向けて距離Δcだけ離れた位置を通る仮想円の直径に相当する。そして、この仮想円は、平面視したときにおいて、距離Δc移動したときであっても中央領域の外に出ることはない。
【0020】
従って、φRp≦(rc-Δc)×2を満たすことで、情報付与領域を、前記仮想円と一致する領域、又は、前記仮想円よりも内側に位置する領域とすることができる。これにより、錠剤がポケット部内を最大限(距離Δc)移動したとしても、情報付与領域が白濁する可能性のある周縁領域とは重ならず、情報付与領域の全体が白濁の発生しにくい中央領域と重なるようになる。そのため、周縁領域に白濁が生じた場合であっても、クリアな中央領域を通して情報部を視認することができる。その結果、白濁によって情報部の内容把握に支障が生じることをより確実に防止できる。
【0021】
また、得られたPTPシートにおいて、底壁部に対する情報付与領域の接触をより確実に防止することができる。これにより、底壁部との接触に伴う情報部の損耗を効果的に抑制することができる。
【0022】
手段4.φRp=(rc-Δc)×2を満たすことを特徴とする手段3に記載のPTPシートの製造方法。
【0023】
上記手段4によれば、情報付与領域が周縁領域と重ならないという条件下において、直径φRpを最大限確保することができる。従って、情報部に係る視認性を十分に担保しつつ、情報部がより多くの情報量を有するようにすることができる。
【0024】
手段5.前記情報部作成工程の後において、前記情報部が前記情報付与領域内に設けられているか否かに関する良否判定を行う情報位置判定工程を含むことを特徴とする手段3又は4に記載のPTPシートの製造方法。
【0025】
上記手段5によれば、情報位置判定工程において、情報付与領域内に情報部が設けられているか否かに関する良否判定が行われる。従って、情報部が白濁と重なり得る錠剤や該錠剤を含むPTPシートを不良品として排出することができる。これにより、製造されるPTPシートにおいて、上記手段1等の作用効果をより確実に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPフィルムを示す斜視図である。
図3】錠剤の表面の直径などを示すためのPTPシートの部分拡大断面図である。
図4】錠剤の表面に係る曲率半径などを示すためのPTPシートの部分拡大断面図である。
図5】表面側から見たときにおける錠剤の平面図である。
図6】周縁領域及び中央領域などを説明するための図である。
図7】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図8】ポケット部形成装置の模式図である。
図9】ポケット部の形成工程において、下型及び上型により容器フィルムを挟持する工程を示す図である。
図10】ポケット部の形成工程において、エアにより容器フィルムを変形させる工程を示す図である。
図11】ポケット部の形成工程において、プラグにより容器フィルムを変形させる工程を示す図である。
図12】印刷充填装置の概略構成を示す模式図である。
図13】Δc=rc-(φRp/2)を満たすポケット部を形成することによる作用効果を説明するための図である。
図14】Δc<rc-(φRp/2)を満たすポケット部を形成することによる作用効果を説明するための図である。
図15】φRp≦(rc-Δc)×2を満たす情報付与領域内に情報部を設けることによる作用効果を説明するための図である。
図16】別の実施形態におけるポケット部などの断面図である。
図17】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、PTPシートの構成について説明する。図1,3に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0028】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等からなる透明又は半透明の熱可塑性樹脂材料により形成されており、透光性を有している。つまり、容器フィルム3は、外部からポケット部2の内部を視認可能とされている。また、容器フィルム3は、ポケット部2の開口側端部から外側に延出形成されており、カバーフィルム4の取着対象となる平坦状のフランジ部3aを有している。
【0029】
カバーフィルム4は、例えばPP樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。尚、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、各フィルム3,4の材料を適宜変更してもよい。
【0030】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図2参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。
【0031】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。尚、PTPシート1のより詳細な構成については後に説明する。
【0032】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。
【0033】
図7に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール12,13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール12,13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0034】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。
【0035】
加熱装置15は、ポケット部形成装置16の直上流にて容器フィルム3を予熱する。ポケット部形成装置16は、加熱装置15によって加熱されて比較的柔軟な状態となった容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2を形成する。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。尚、ポケット部形成装置16のより詳細な構成については後に説明する。
【0036】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、ガイドロール17、テンションロール18及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0037】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、印刷充填装置21及び検査装置22が順に配設されている。
【0038】
印刷充填装置21は、錠剤5に後述する情報部5jを設けるとともに、該情報部5jの設けられた錠剤5をポケット部2に充填する。印刷充填装置21については後に詳述する。
【0039】
検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行う。
【0040】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0041】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、両フィルム3,4が両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が得られる。
【0042】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0043】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0044】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用のスリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、図1においては、スリットや刻印の図示を省略している。
【0045】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を切離す(打抜く)。これにより、PTPシート1が得られる。
【0046】
得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、上記検査装置22によって不良判定がなされた場合、該判定に係るPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0047】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0048】
次いで、図3~6を参照して、PTPシート1のより詳細な構成について説明する。図3は、ポケット部2の中心軸Lpに対し錠剤5の中心軸Ltが一致する状態におけるポケット部2等の断面図である。図4は、錠剤5の平面図(底面図)である。図5は、曲率半径CRp等を示すためのポケット部2等の断面図である。図6は、周縁領域b1及び中央領域b2などを説明するための図であって、ポケット部2等の断面図と、中心軸Lpに沿って底壁部2bの内面を見たときにおける該内面の底面図とを示す。まず、ポケット部2に収容される錠剤5について説明する。
【0049】
錠剤5は、唾液や少量の水で速やかに溶けるように構成された口腔内崩壊錠である。錠剤5は、平面視円形状、すなわち中心軸Lt方向に沿って見たときに円形状をなしている。
【0050】
また、錠剤5は、側面5aと、該側面5aを挟む表面5b及び裏面5cとによって外表面が構成されている。側面5aは、中心軸Lt方向に沿って一定の外径を有する円柱状をなしている。一方、表面5b及び裏面5cは、それぞれ外側に凸の湾曲面状をなしており、側面5aの端部に連続している。本実施形態において、表面5b及び裏面5cの各形状は同一であるが、表面5bとは、ポケット部2の後述する底壁部2b側に配置される面をいう。
【0051】
加えて、錠剤5の表面5bの直径φt(mm)は、ポケット部2の深さDp(mm)以上とされている。尚、本実施形態において、直径φtは深さDpの2倍以上とされている。換言すれば、Dp≦φt/2を満たすものとされており、深さDpは、直径φtと比べて十分に小さなものとされている。但し、当然ではあるが、深さDpは、錠剤5の最大厚さ(中心軸Lt上における表面5b及び裏面5c間の距離)よりも大きなものとされる。尚、直径φtは、通常、5~15mmとされる。
【0052】
さらに、錠剤5の中心軸Ltを含む任意の断面における錠剤5の表面5bの外形線は、一定の曲率半径CRt(mm)を有している。すなわち、錠剤5の表面5bは、一定の曲率半径CRt(mm)を有する球面形状とされている(但し、割線や刻印などの凹部は無視する)。本実施形態において、曲率半径CRtは直径φt以上とされており、表面5bの中心は、中心軸Lt方向に沿って表面5bの最外周部よりも過度に突出しない状態とされている。一方、曲率半径CRtは、例えば直径φt×5以下とされており、表面5bから側面5aにかけた角部分は、十分に大きな角度を有する鈍角形状をなしている。これにより、錠剤5が比較的脆い口腔内崩壊錠であっても、前記角部分における欠けの発生を抑制可能となっている。
【0053】
加えて、錠剤5の表面5b及び裏面5cには、錠剤5に関する製品情報を示す文字や記号、数字、図形などがインクジェット印刷されてなる情報部5jが形成されている。錠剤5に関する製品情報としては、「製品名」、「含量」、「剤形」、「製造元」及び「ロット番号」などを挙げることができる。情報部5jは、錠剤5における文字や数字等が印刷された部位であり、本実施形態では、前記印刷充填装置21によって形成される。尚、表面5b及び裏面5cにおける各情報部5jは、それぞれ同一内容であってもよいし、異なる内容であってもよい。
【0054】
また、少なくとも表面5bにおける情報部5jは、情報付与領域5k内に設けられている。情報付与領域5kは、錠剤5の表面5bのうち、該錠剤5を平面視したときにおける該錠剤5の中心を中心とする直径φRp(mm)の円(図4にて二点鎖線で示す円)で区画される領域である。本実施形態では、錠剤5の表面5bにおける一定の範囲が情報付与領域5kとして設定されている。尚、情報付与領域5kの面積を十分に確保すべく、φRp≧φt/4を満たすことが好ましく、φRp≧φt/3を満たすことがより好ましい。
【0055】
次いで、錠剤5が収容されるポケット部2について説明する。ポケット部2は、前記フランジ部3aから突出した円筒状の側壁部2aと、該側壁部2aの端部に連続する平面視略円形状の底壁部2bとを備えている。
【0056】
側壁部2aは、ポケット部2の中心軸Lp方向に沿って略一定の内径を有しており、側壁部2aの内径は、錠剤5の表面5bの直径φtよりも大きなものとされている。そのため、両中心軸Lp,Ltが重なるようにポケット部2内に錠剤5を配置した状態において、側壁部2aの内面全域は錠剤5の側面5a全域から離間した状態となり、側壁部2aの内面及び側面5a間には平面視円環状の隙間が形成されるようになっている。これにより、側壁部2aへと負荷が加わったときに、該負荷から逃げるようにして錠剤5が移動可能となり、錠剤5の破損をより確実に防止可能となっている。
【0057】
尚、側壁部2aは、底壁部2b側に向けて徐々に内径が小さなものとなるテーパ形状であってもよい。この場合においても、両中心軸Lp,Ltが重なるようにポケット部2内に錠剤5を配置した状態において、側壁部2aの内面全域が錠剤5の側面5a全域から離間した状態となるようにすることが好ましい。
【0058】
底壁部2bは、外側に凸の湾曲形状をなしている。そして、中心軸Lpを含む任意の断面における底壁部2bの内面(ポケット部2に収容された錠剤5側に位置する面)の外形線は、一定の曲率半径CRp(mm)を有している。すなわち、底壁部2bの内面は、一定の曲率半径CRp(mm)を有する球面形状とされている。
【0059】
さらに、曲率半径CRpは、錠剤5の表面5bに係る曲率半径CRtよりも小さなものとされている。そして、このように曲率半径CRpを設定しつつ、錠剤5の形状に対するポケット部2の相対的な形状を調節することで、底壁部2bの内面は、周縁領域b1及び中央領域b2(図6参照)を備えたものとなっている。尚、図6の断面図では、ポケット部2内にて姿勢を変更させつつ移動させた錠剤5を二点鎖線で示している。
【0060】
周縁領域b1は、ポケット部2に収容された錠剤5の表面5bと接触する可能性がある領域であって、平面視円環状をなす(すなわち中心軸Lp方向に沿って見たときに円環状をなす)領域である。従って、周縁領域b1には、錠剤5の成分が付着することによる白濁が生じ得る。図6の底面図では、周縁領域b1に散点模様を付している。本実施形態において、周縁領域b1は、底壁部2bの外縁まで広がる領域となっている。但し、錠剤5の形状に対するポケット部2の相対的な形状によっては、周縁領域b1が底壁部2bの外縁に至らないこともある。
【0061】
中央領域b2は、錠剤5の表面5bから離間する領域であって、周縁領域b1に囲まれた平面視円形状の領域である。中央領域b2は、基本的には錠剤5と接触する可能性のない領域であるため、中央領域b2にて白濁が生じることはほとんどない。従って、この中央領域b2は、ポケット部2内の錠剤5を確認する際に、いわば窓として機能する。
【0062】
また、平面視したときにおける中央領域b2の半径は、rc(mm)とされている。半径rcは、錠剤5の形状に対するポケット部2の相対的な形状によって変動する。例えば、底壁部2bに係る曲率半径CRpと表面5bに係る曲率半径CRtとの差が大きくなるほど、半径rcは大きなものとなりやすい。一方、両中心軸Lp,Ltが重なる状態における側壁部2a及び側面5a間の距離が大きくなるほど、半径rcは小さなものとなりやすい。本実施形態においては、十分に広い中央領域b2を確保すべく、底壁部2bの内面における最外縁の直径をφp(mm)としたとき、rc≧φp×0.2を満たすものとされている。直径φpは、錠剤5に係る直径φtに合わせて変動するが、例えば、6~20mmとされる。
【0063】
尚、中央領域b2を通した錠剤5の確認をより容易にするという点では、半径rcが大きいほど好ましい。従って、rc≧φp×0.25を満たすことがより好ましく、rc≧φp×0.3を満たすことがより一層好ましい。
【0064】
加えて、ポケット部2は、収容された錠剤5が側壁部2a側に向けて最大限移動した場合において、平面視したときにおける表面5bの中心からポケット部2の中心(中心軸Lp)までの距離がΔc(mm)となるように構成されている。距離Δcについては、0<Δc≦rc-(φRp/2)を満たし、特に本実施形態では、Δc=rc-(φRp/2)を満たすものとされている。
【0065】
距離Δcは、側壁部2aと側面部5aとの間に形成される隙間の大きさなど、錠剤5の形状に対するポケット部2の相対的な形状によって変動する。本実施形態では、ポケット部2に対する錠剤5の充填容易性を考慮して、Δc≧0.2を満たすものとされている。
【0066】
尚、距離Δcが大きいほど、ポケット部2に対する錠剤5の充填容易性が高まり、ポケット部2に対する錠剤5の高速充填が可能となる。従って、Δc≧0.5を満たすように構成することがより好ましい。
【0067】
但し、中央領域b2を設けるためには、Δc<rcを満たすように構成する必要がある。また、Δcが小さいほど中央領域b2に係る半径rcをより大きなものとすることができるため、Δc≦φp×0.15を満たすことが好ましく、Δc≦φp×0.10を満たすことがより好ましい。
【0068】
次いで、ポケット部形成装置16について説明する。尚、本実施形態では、表面5bにおける一定範囲が情報付与領域5kとして設定されているところ、ポケット部形成装置16は、その情報付与領域5kに合わせた形状のポケット部2を形成する。
【0069】
図8に示すように、ポケット部形成装置16は、固定状態で設置された下型161と、上下動可能であるとともに、下型161との間で容器フィルム3を挟持可能な上型162とを備えている。
【0070】
下型161には、複数の孔161aが形成されている。そして、該孔161aに対応する位置に、ポケット部2の成形型として機能するプラグ163が設けられている。
【0071】
プラグ163は、上下動可能であり、孔161aに挿通可能とされている。プラグ163は、容器フィルム3を押し上げることでポケット部2を形成する。プラグ163の形状は、収容される錠剤5との関係で、底壁部2bの内面が周縁領域b1及び中央領域b2を有し、かつ、Δc≦rc-(φRp/2)〔本実施形態では、Δc=rc-(φRp/2)〕を満たすポケット部2を形成可能なものとされている。尚、プラグ163は、ポケット部2に収容される錠剤5の変更などに応じて交換可能である。
【0072】
一方、上型162における前記孔161aの鉛直上方に当たる部分には、孔162aが形成されている。そして、図示しないエア供給装置から孔162aに対し、所定のエアが供給可能とされている。
【0073】
上記のように構成されたポケット部形成装置16は、次のようにしてポケット部2を形成する。すなわち、所定の初期位置に配置された上型162が下動することで、図9に示すように、両型161,162によって、一時停止中の容器フィルム3におけるポケット部2の形成予定部位の周囲を挟持する。また、所定の初期位置に配置されたプラグ163が上動されて孔162aに挿通されるとともに、所定位置にて一時停止される。
【0074】
その後、図10に示すように、孔162aに対しエアを供給することで、ポケット部2における突出側(上側)とは反対側(下側)に容器フィルム3を一旦変形させる。このとき、プラグ163の上面に容器フィルム3が接触することで、容器フィルム3の変形量が制限される。
【0075】
次いで、図11に示すように、プラグ163の上動が再開されることで、容器フィルム3の裏側から表側に向かって、プラグ163の上面を突出させる。これにより、プラグ163によって容器フィルム3が押圧変形される。そして、プラグ163が所定位置にて停止されることで、ポケット部2が形成される。形成されるポケット部2は、収容される錠剤5との関係で、深さDpが表面5bの直径φt以下の大きさであり、底壁部2bの内面が周縁領域b1及び中央領域b2を有するものとなる。また、形成されるポケット部2は、収容される錠剤5との関係で、Δc≦rc-(φRp/2)〔本実施形態では、Δc=rc-(φRp/2)〕を満たすものとなる。
【0076】
尚、孔162aに対するエアの供給は、プラグ163が容器フィルム3を押圧変形させて停止した後まで継続される。これにより、容器フィルム3がプラグ163により確実に密着することとなり、収容される錠剤5との関係で、Δc≦rc-(φRp/2)などを満たすポケット部2をより確実に形成可能となっている。
【0077】
また、ポケット部2の形成後には、プラグ163を下動させるとともに、上型162を上動させることで、これらが初期位置に戻される。本実施形態では、ポケット部形成装置16によってポケット部2を形成する工程が「ポケット部形成工程」に相当する。
【0078】
次いで、印刷充填装置21について説明する。図12に示すように、印刷充填装置21は、錠剤5の供給経路に沿って上流側より順に、貯留部211、供給シュート212、第一ロータリドラム213a、第二ロータリドラム213b及び第三ロータリドラム213cを備えている。さらに、印刷充填装置21は、第一ロータリドラム213aに対応して第一カメラ214及び第一印刷装置215を備え、第二ロータリドラム213bに対応して第二カメラ216及び第二印刷装置217を備え、第三ロータリドラム213cに対応して検査用カメラ218を備えている。尚、印刷充填装置21の各機構部(供給シュート212、ロータリドラム213a,213b,213c、カメラ214,216,218、印刷装置215,217)は、制御装置219により駆動制御される。
【0079】
貯留部211は、多数の錠剤5を貯留可能に構成されており、貯留された錠剤5を供給シュート212へと順次供給する。貯留部211に貯留される錠剤5に、情報部5jは設けられていない。
【0080】
供給シュート212は、筒状をなし、錠剤5を鉛直方向に一列に並んだ状態で収容する。供給シュート212は、容器フィルム3の長手方向に並ぶポケット部2の列の数と同数(本実施形態では5つ)設けられている。供給シュート212の下側開口部には、開閉動作可能なシャッタ212aが設けられており、このシャッタ212aの開閉により、錠剤5が第一ロータリドラム213aへ供給される。
【0081】
各ロータリドラム213a,213b,213cは、それぞれ同一構成を有しており、錠剤5を吸着しつつ回転することで、錠剤5を下流へと搬送する。各ロータリドラム213a,213b,213cの外周には、複数の吸着部213dが設けられている。吸着部213dは、ロータリドラム213a,213b,213cの周方向に並んでおり、この周方向に並ぶ吸着部213dの列が前記ポケット部2の列の数と同数(本実施形態では5列)設けられている。また、吸着部213dに対し負圧が供給可能とされており、負圧の供給された吸着部213dによって錠剤5を吸着可能とされている。一方、吸着部213dに対する負圧の供給が停止されることで、吸着部213dによる錠剤5の吸着を解除可能である。
【0082】
第一ロータリドラム213a、第二ロータリドラム213b及び第三ロータリドラム213cは、上流から下流に向けてこの順序で設けられている。錠剤5は、第一ロータリドラム213aから第二ロータリドラム213bに受け渡され、その後、第二ロータリドラム213bから第三ロータリドラム213cに受け渡される。錠剤5の受渡しは、上流側のロータリドラム213a,213bにて錠剤5の吸着が解除される一方、下流側のロータリドラム213b,213cにて該錠剤5が吸着されることで行われる。
【0083】
また、ロータリドラム213a,213b,213cは、錠剤5を吸着する際に、表面5b又は裏面5cを吸着する。本実施形態では、第一ロータリドラム213a及び第三ロータリドラム213cは裏面5cを吸着し、第二ロータリドラム213bは表面5bを吸着する。但し、貯留部211から供給される錠剤5の表裏に違いはないから、結果的に、第一ロータリドラム213a及び第三ロータリドラム213cによって吸着された面が裏面5cになり、第二ロータリドラム213bによって吸着された面が表面5bになるといえる。表面5b及び裏面5cのうち吸着されていない側の面は、ロータリドラム213a,213b,213cの外周に露出した状態となる。
【0084】
また、第三ロータリドラム213cは、その回転軸の鉛直下方にて錠剤5の吸着を解除する。これにより、ポケット部2へと錠剤5が充填される。第三ロータリドラム213cによって錠剤5を充填する工程が「充填工程」に相当する。
【0085】
カメラ214,216,218は、例えばCCDカメラやCMOSカメラなどにより構成されており、搬送される錠剤5を撮像する。各カメラ214,216,218の撮像範囲は、各ロータリドラム213a,213b,213cの軸方向に並ぶ5つの錠剤5(吸着部213d)を1回で撮像可能な範囲となっている。
【0086】
第一カメラ214は、第一印刷装置215よりも上流にて錠剤5の表面5bを撮像し、表面5bに係る画像データを得る。この画像データは、第一印刷装置215による錠剤5の印刷範囲を特定するために用いられる。
【0087】
第二カメラ216は、第二印刷装置217よりも上流にて錠剤5の裏面5cを撮像し、裏面5cに係る画像データを得る。この画像データは、第二印刷装置217による錠剤5の印刷範囲を特定するために用いられる。
【0088】
検査用カメラ218は、第一印刷装置215よりも下流にて錠剤5の表面5bを撮像し、表面5bに係る画像データを得る。この画像データは、表面5bに印刷された情報部5jの検査を行うために用いられる。各カメラ214,216,218により得られた画像データは、制御装置219に入力される。
【0089】
各印刷装置215,217は、それぞれ所定のインクジェット方式(例えばピエゾ方式やサーマル方式)の印刷ヘッドを用いて錠剤5に対し非接触で印刷を行うことのできる公知の錠剤印刷装置である。各印刷装置215,217は、ロータリドラム213a,213bの軸方向に並ぶ5つの吸着部213d(錠剤5)に対応する、5つの印刷ヘッド(不図示)を備えている。各印刷ヘッドは、複数の吐出ノズル(不図示)を有している。そして、吐出ノズルから可食性インクの液滴を吐出することで、錠剤5に対し文字や記号などの情報を印刷する。インクを吐出する吐出ノズルは、制御装置219によって選択される。
【0090】
第一印刷装置215は、第一ロータリドラム213aの側方位置に配置されている。第一印刷装置215は、第一ロータリドラム213aにより搬送される錠剤5の表面5bに向けてインクを吐出し、表面5bに対し非接触で印刷を行う。これにより、錠剤5の表面5bに情報部5jが形成される。
【0091】
一方、第二印刷装置217は、第二ロータリドラム213bの側方位置に配置されている。第二印刷装置217は、第二ロータリドラム213bにより搬送される錠剤5の裏面5cに向けてインクを吐出し、裏面5cに対し非接触で印刷を行う。これにより、錠剤5の裏面5cに情報部5jが形成される。
【0092】
制御装置219は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、各種データを一時的に記憶するRAM、情報を長期記憶するための記憶媒体(例えばハードディスク等)などを備えている。記憶媒体には、情報部5jを形成するための印刷データ(印刷内容に係るデータ)や情報付与領域5kに関するデータ(例えば情報付与領域5kを特定するために必要なデータ)、情報部5jの検査に用いられる検査用データなどが予め記憶されている。
【0093】
制御装置219は、上述の情報付与領域5kに関するデータや第一カメラ214により得られた画像データ等に基づき、表面5bにおける情報付与領域5k内に情報部5jを印刷するように、第一印刷装置215を制御する。具体的には、制御装置219は、第一カメラ214により得られた画像データと情報付与領域5kに関するデータとを利用して、印刷対象の錠剤5における情報付与領域5kを特定する。そして、制御装置219は、特定した情報付与領域5k及び印刷データを利用して、インクを吐出する吐出ノズルを選択する。その上で、制御装置219は、所定の印刷タイミングにて、選択した吐出ノズルから印刷対象の錠剤5へとインクを吐出させる。これにより、表面5bにおける情報付与領域5k内に情報部5jを形成することができる。本実施形態では、第一印刷装置215によって、表面5bにおける情報付与領域5k内に情報部5jを設ける工程が「情報部作成工程」に相当する。
【0094】
また、制御装置219は、第二カメラ216により得られた画像データ等に基づき、裏面5cにおける所定の印刷対象領域内に情報部5jを印刷するように、第二印刷装置217を制御する。尚、裏面5cに形成される情報部5jについては、情報付与領域5k内に形成するといった制約はない。従って、裏面5cに係る情報部5jの印刷対象領域を、情報付与領域5kよりも広いものとしてもよい。
【0095】
加えて、制御装置219は、上述の検査用データ及び検査用カメラ218により得られた画像データに基づき、表面5bにおける情報部5jが情報付与領域5k内に設けられているか否かに関する良否判定を行う。具体的には、制御装置219は、検査用カメラ218により得られた画像データから錠剤5の表面5bの中心を特定するとともに、該中心から一定以下の距離にある領域を情報付与領域5kとして特定する。そして、制御装置219は、特定した情報付与領域5k内に情報部5jの全体が収まっているか否かを判定することで、情報部5jが情報付与領域5k内に設けられているか否かを判定する。本実施形態では、制御装置219によって、情報付与領域5k内に情報部5jが設けられているか否かに関する良否判定を行う工程が「情報位置判定工程」に相当する。
【0096】
尚、制御装置219により不良判定がなされた場合、不良判定に係る錠剤5が収容されたPTPシート1は、前記不良シート排出機構によって排出される。
【0097】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ポケット部2の形成工程では、Δc≦rc-(φRp/2)を満たすポケット部2が形成される。すなわち、図13,14に示すように、形成されるポケット部2においては、両中心軸Lp,Ltが一致する状態からの錠剤5の最大移動距離(距離Δc)が、両中心軸Lp,Ltが一致する状態における情報付与領域5kの外縁から中央領域b2の外縁までの距離〔rc-(φRp/2)〕以下とされる。尚、図13,14では、上側に両中心軸Lp,Ltを一致させたときにおける底壁部2b等の底面図を示し、下側に錠剤5を距離Δcだけ移動させたときにおける底壁部2b等の底面図を示す。また、図13では、Δc=rc-(φRp/2)とし、図14では、Δc<rc-(φRp/2)としている。
【0098】
従って、両中心軸Lp,Ltが一致している状態から錠剤5(情報付与領域5k)が最大限(距離Δc)移動した場合であっても、平面視したときに、情報付与領域5kが中央領域b2から出ないようにすることができる。これにより、錠剤5がポケット部2内を最大限移動したとしても、情報付与領域5kが白濁の可能性のある周縁領域b1とは重ならず、情報付与領域5kの全体が白濁の発生しにくい中央領域b2と重なるようになる。そのため、周縁領域b1に白濁が生じた場合であっても、クリアな中央領域b2を通して情報部5jを視認することができる。その結果、白濁によって情報部5jの内容把握に支障が生じることをより確実に防止できる。
【0099】
さらに、Δc=rc-(φRp/2)を満たすことで、情報付与領域5kが周縁領域b1と重ならないという条件下において、距離Δcを最大限確保することができる。従って、両中心軸Lp,Ltが一致する状態においてポケット部2の側壁部2aから錠剤5までの距離を大きく確保することができる。これにより、ポケット部2に錠剤5を充填する工程において、ポケット部2に対する錠剤5の充填をより容易にかつより確実に行うことができる。
【0100】
また、得られたPTPシート1において、底壁部2bに対する情報部5jの接触をより確実に防止することができる。これにより、底壁部2bとの接触に伴う情報部5jの損耗を効果的に抑制することができる。
【0101】
加えて、本実施形態では、情報付与領域5k内に情報部5jが設けられているか否かに関する良否判定が行われる。従って、情報部5jが白濁と重なり得る錠剤5や該錠剤5を含むPTPシート1を不良品として排出することができる。これにより、製造されるPTPシート1において、白濁によって情報部5jの内容把握に支障が生じることをより一層確実に防止できる。
【0102】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0103】
(a)上記実施形態では、情報付与領域5kが予め決定されており、ポケット部2の形成工程では、その情報付与領域5kに対応するポケット部2を形成するように構成されている。
【0104】
これに対し、ポケット部2の形状を予め決定しておき、情報部5jの作成工程においては、そのポケット部2や収容される錠剤5の形状に対応する情報付与領域5k内に情報部5jを設けるように構成してもよい。
【0105】
例えば、深さDpが表面5bの直径φt以下の大きさであり、底壁部2bの内面が錠剤5と接触し得る周縁領域b1と錠剤5と接触しない中央領域b2とを有するポケット部2を予め決定する。これにより、中央領域b2の半径rcと距離Δcとが決定される。その上で、情報部5jの作成工程では、錠剤5の表面5bのうち該表面5bの中心を中心とする直径φRp(mm)の円で区画され、φRp≦(rc-Δc)/2を満たす情報付与領域5k内に情報部5jが形成されるように、第一印刷装置215を制御する。これにより、情報付与領域5k内に情報部5jを設けることができる。
【0106】
ここで、図15に示すように、(rc-Δc)×2は、中央領域b2の外縁から該中央領域b2の中心側に向けて距離Δcだけ離れた位置を通る仮想円VCの直径に相当する。この仮想円VCは、平面視したときにおいて、距離Δc移動したときであっても中央領域b2の外に出ることはない。尚、図15では、上側に中心軸Lt,Lpを一致させたときにおける底壁部2b等の底面図を示し、下側に錠剤5及び仮想円VCを距離Δcだけ移動させたときにおける底壁部2b等の底面図を示す。
【0107】
従って、φRp≦(rc-Δc)×2を満たすことで、情報付与領域5kは、仮想円VCと一致する領域、又は、仮想円VCよりも内側に位置する領域となる。尚、図15では、情報付与領域5kを仮想円VCよりも内側に位置する領域とし、この情報付与領域5kに斜線を付している。
【0108】
上記のように情報付与領域5kが設定されることで、錠剤5がポケット部2内を最大限(距離Δc)移動したとしても、情報付与領域5kが白濁する可能性のある周縁領域b1とは重ならず、情報付与領域5kの全体が白濁の発生しにくい中央領域b2と重なるようになる。その結果、上記実施形態と同様に、白濁によって情報部5jの内容把握に支障が生じることをより確実に防止できる。
【0109】
また、上記実施形態と同様、得られたPTPシート1において、底壁部2bとの接触に伴う情報部5jの損耗を効果的に抑制することができる。
【0110】
尚、直径φRpについては、φRp=(rc-Δc)/2を満たすように構成することがより好ましい。このように構成することで、情報付与領域5kが周縁領域b1と重ならないという条件下において、直径φRpを最大限確保することができる。従って、情報部5jに係る視認性を十分に担保しつつ、情報部5jがより多くの情報量を有するようにすることができる。
【0111】
また、情報付与領域5kの面積を確保すべく、φRp≧φt/4(より好ましくは、φRp≧φt/3)を満たすことが可能となるように、ポケット部2及び錠剤5の形状を設定することが好ましい。
【0112】
(b)上記実施形態において、情報部5jが情報付与領域5k内に設けられているか否かに関する良否判定は、ポケット部2に充填される前の錠剤5に係る画像データに基づき行われている。これに対し、ポケット部2に充填された後の錠剤5に係る画像データに基づき、前記良否判定を行うようにしてもよい。例えば、ポケット部2の底壁部2bを通して錠剤5を撮像し、この撮像により得られた画像データに基づき良否判定を行うようにしてもよい。
【0113】
(c)上記実施形態において、錠剤5の表面5b及び裏面5cは、それぞれ外側に凸の湾曲面状をなしているが、表面5b及び裏面5cを平坦面状としてもよい。すなわち、錠剤5は、表面5b及び裏面5cが平行な平錠であってもよい。
【0114】
(d)上記実施形態において、ポケット部形成装置16は、エアによって容器フィルム3を一旦変形させた上で、プラグ163を該容器フィルム3に押し当てることにより、ポケット部2を形成するように構成されている。すなわち、ポケット部形成装置16は、いわゆるエアアシストプラグ成形法を用いてポケット部2を形成するものとされている。
【0115】
これに対し、ポケット部形成装置は、底壁部2bに対応する形状の成型凹部が形成されてなる型を有し、気体の制御などにより容器フィルム3を前記型に接触させることでポケット部2を形成するものであってもよい。また、ポケット部形成装置は、エアによって容器フィルム3を変形させる工程を行わず、単にプラグを容器フィルムに押し当てることでポケット部2を形成するものであってもよい。
【0116】
(e)上記実施形態では、錠剤5に情報部5jを形成するにあたって、インクジェット方式の印刷装置215,217を用いているが、インクジェット方式以外の方式を利用した印刷装置を用いてもよい。例えば、印刷装置として、錠剤5と直接接触することで印刷を施すものや、錠剤5にレーザを照射することで印刷を施すものなどを用いてもよい。
【0117】
また、情報部5jを印刷以外の手法によって形成してもよい。例えば、打錠工程(錠剤5を製造する工程)にて刻印を施すことで情報部を形成してもよい。
【0118】
(f)上記実施形態において、PTP包装機10は、印刷充填装置21を備えており、錠剤5に情報部5jを形成する機能を有している。これに対し、PTP包装機10は、錠剤5に情報部5jを形成する機能を備えないものであってもよい。この場合、印刷充填装置21に代えて、錠剤5をポケット部2に充填する機能を有する充填装置を設け、該充填装置に対し、情報付与領域5k内に情報部5jが予め形成された錠剤5を供給するように構成してもよい。
【0119】
(g)上記実施形態において、ポケット部2に対する錠剤5の充填は、錠剤5を吸着可能なドラムにより行われているが、その他の充填装置により行われるようにしてもよい。例えば、錠剤5を一列に並んだ状態で収容する筒状のシュート、及び、該シュートの出口を開閉可能なシャッタ(それぞれ不図示)を備えており、所定のタイミングにて前記シャッタを開くことでポケット部2に錠剤5を充填する充填装置などを用いてもよい。
【0120】
(h)上記実施形態では、底壁部2bに係る曲率半径CRp及び表面5bに係る曲率半径CRtの大小関係を調節すること等により、底壁部2bの内面に、錠剤5と接触する可能性のある周縁領域b1と、錠剤5から離間する中央領域b2とが設けられるように構成されている。これに対し、上記以外の手法により、底壁部2bの内面に周縁領域b1と中央領域b2とが設けられるように構成してもよい。
【0121】
例えば、図16に示すように、底壁部2bの中心部に、外側に向けて膨出し、錠剤5の表面5bから離間する膨出部2cを設けることで、底壁部2bの内面に周縁領域b1と中央領域b2とが設けられるように構成してもよい。
【0122】
(i)製造されるPTPシートの構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。例えばPTPシート1単位のポケット部2の配列や個数は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0123】
さらに、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0124】
さらに、上記実施形態において、情報部5jは、表面5b及び裏面5cに設けられているが、表面5bのみに設けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…PTPシート、2…ポケット部、2a…側壁部、2b…底壁部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、5b…(錠剤の)表面、5j…情報部、5k…情報付与領域、b1…周縁領域、b2…中央領域。
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