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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】鉄道車両用集電装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/38 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
B60L5/38 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021504183
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019070179
(87)【国際公開番号】W WO2020021065
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】1857034
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515017094
【氏名又は名称】メルセン フランス エスベー ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】フロラン カニョル
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ ドスダ
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-200393(JP,A)
【文献】特開2008-151775(JP,A)
【文献】特開昭61-010706(JP,A)
【文献】特開2018-115944(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106965681(CN,A)
【文献】特開昭63-242105(JP,A)
【文献】特開2012-105394(JP,A)
【文献】特開2011-205774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両用の電流を収集するための集電装置(2)であって、
-給電レールと接触するように意図されたシュー(6)と、
-フレーム(8)と、
-前記フレーム(8)を前記シュー(6)に機械的かつ電気的に接続する導電性アーム(4)であって、前記シュー(6)が備え付けられる支持部分(14)に前記フレームを結合させる中央部分(12)を有するアームと、を有し、
前記アーム(4)上に及ぼされる機械力を測定する器具(40)を有し、
前記測定する器具が、電気絶縁構造に内蔵された歪センサ(56)を有することによって、前記歪センサは、前記アームから電気絶縁されることができ、
前記電気絶縁構造は、受入れ表面(26;28;86)上に被着された接着剤層(52)と前記接着剤層を覆うセラミック層(54)とを有し、
前記歪センサは、前記セラミック層上に配設される、ことを特徴とする集電装置。
【請求項2】
前記測定する器具(40)は、前記アーム(4)の前記中央部分の上部面(26)上に備え付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の集電装置。
【請求項3】
前記測定する器具(40)は、前記アーム(4)の前記中央部分の側方面(28)上に備え付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の集電装置。
【請求項4】
前記測定する器具(40)は、2つの歪センサ(56)群を有し、
各センサ群は、測定回路と関連付けられ、
前記2つのセンサ群は、前記中央部分の同じ面上に備え付けられ、前記フレーム(8)から異なる距離のところに設置される、ことを特徴とする請求項2または3に記載の集電装置。
【請求項5】
前記フレーム(8)は、アーム支持体(36)を有し、
前記アーム(4)の前記中央部分(12)は、アーム支持体(36)上に備え付けられたセンタリングピンを受け入れるオリフィス(38)を有し、
前記アーム(4)が、前記センタリングピンの周りに備え付けられ前記アーム(12)の前記中央部分と前記アーム支持体(36)との間で圧縮されながら前記オリフィス(38)内に少なくとも部分的に受け入れられる座金(80)をさらに有することによって、前記アーム(4)は、前記座金(80)によって前記アーム支持体(36)上に載置され、
前記測定する器具(40)は、前記座金の外側受入れ表面(86)上に備え付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の集電装置。
【請求項6】
前記測定する器具(40)は、同様に、前記歪センサ(56)の少なくとも1つの近傍に設置された温度センサ(58)を有する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の集電装置。
【請求項7】
前記電気絶縁構造は、前記歪センサ(56)を覆う樹脂またはワニス製の封入層(60)をさらに有する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の集電装置。
【請求項8】
前記接着剤層(52)の厚み(e52)は、10μm~1mmである、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の集電装置。
【請求項9】
前記セラミック層(54)の厚み(e54)は、0.05mm~3mmである、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の集電装置。
【請求項10】
鉄道車両(102)用の集電システム(100)であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載の電流を収集するための集電装置(2)と、
前記測定する器具(40)に接続され、前記アーム(4)の破断を検出しおよび/または前記測定する器具(40)に由来する歪測定値から前記シュー(6)と給電レールとの間の接触力を計算するようにプログラムされる処理ユニット(104)と、を有する、ことを特徴とする集電システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用集電装置(dispositif de captage de courant e’lectrique pour un ve’hicule ferroviaire)に関する。本発明の態様は、同様に、この集電装置を含む鉄道車両にも関する。
【背景技術】
【0002】
車両が上を走行する軌道(voie)に沿って走る第3のレールなどの外部給電装置によって電気が供給されるのに好適である電気牽引式鉄道車両(ve’hicules ferroviaires a` traction e’lectrique)が公知である。このような車両には、概してこの給電レール(rail d’alimentation)から電流を収集するための集電装置が含まれる。
【0003】
集電装置には、レールと接触しアームによりフレームに接続されるシュー(patin)が含まれる。典型的には、アームは、導電性であり、シューにより抽出された電流を運ぶことを可能にする。
【0004】
これらの集電装置の1つの欠点は、車両が走行するときに、例えば軌道上の障害物との衝突に起因してアームが変形(または破断)する可能性があるという点にある。アームが導電性である場合、このような変形(または破断)は、車両の停止が間に合わなかったならば短絡または脱線の危険をひき起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、これらの欠点に対処する鉄道車両用の集電装置に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的で、本発明は、鉄道車両用の集電装置であって、
- 給電レールと接触するように意図されたシュー(patin)と、
- フレーム(armature)と、
- フレームをシューに機械的かつ電気的に接続する導電性アームであって、シューが備え付けられる支持部分にフレームを結合させる中央部分を有するアームと、を有する集電装置に関する。
【0007】
該集電装置は、アーム上に及ぼされる機械力を測定する器具を有し、測定する器具(測定用器具)が、電気絶縁構造に内蔵された(inte’gre’s a` l’inte’rieur de)歪センサ(capteurs de’formation)を有することによって、歪センサは、アームから電気絶縁されることができ、絶縁構造は、受入れ表面(surface de re’ception)上に被着された(de’pose’e)接着剤層と接着剤層を覆うセラミック層とを有し、歪センサは、セラミック層上に配設される。
【0008】
測定する器具は、アームが受ける機械力のリアルタイム測定を可能にする。絶縁構造は、歪センサをアームから電気的に絶縁することを可能にする。
【0009】
したがって、収集された電流がアームから測定用器具に向かって漏出する危険性を増大させることなくセンサが可能なかぎりアームの近くに設置されることから、測定用器具は、信頼性の高い測定を可能にする。
【0010】
絶縁構造によりガルバニック絶縁回路の使用が回避されるが、このようなガルバニック絶縁回路の追加は、集電装置のコストおよび複雑性を増大させると考えられることから、これは有利なことである。
【0011】
本発明の有利な、ただし選択任意の態様によると、この集電装置は、以下の特徴の1つまたは複数を、単独で考慮するかまたは技術的に許容できる任意の組合せに従って包含することができる。
- 測定する器具は、アームの中央部分の上部面上に備え付けられる。
- 測定する器具は、アームの中央部分の側方面上に備え付けられる。
- 測定する器具は、2つの歪センサ群を有し、各センサ群は、測定回路と関連付けられ、2つのセンサ群は、中央部分の同じ面上に備え付けられ、フレームから異なる距離のところに設置される。
- フレームは、アーム支持体を有し、アームの中央部分は、アーム支持体上に備え付けられたセンタリングピン(pion de centrage)を受け入れるオリフィスを有し、アームが、センタリングピンの周りに備え付けられアームの中央部分とアーム支持体との間で圧縮され(en compression)ながらオリフィス内に少なくとも部分的に受け入れられる座金(rondelle)をさらに有することによって、アームは、座金によってアーム支持体上に載置され、測定する器具は、座金の外側受入れ表面上に備え付けられる。
- 測定する器具は、同様に、歪センサの少なくとも1つの近傍に設置された温度センサを有する。
- 絶縁構造は、歪センサを覆う樹脂またはワニス製の封入層をさらに有する。
- 接着剤層の厚みは、10μm~1mmである。
- セラミック層の厚みは、0.05mm~3mmである。
【0012】
他の態様によると、本発明は、鉄道車両用の集電システムであって、前述のような集電装置と、測定する器具に接続され、アームの破断を検出しおよび/または測定する器具に由来する歪測定値からシューと給電レールとの間の接触力を計算するようにプログラムされる処理ユニットと、を有する、ことを特徴とする集電システムに関する。
【0013】
本発明は、単に非限定的な例として提供され、添付図面を参照して行なわれる集電装置の一実施形態についての以下の説明に照らして、より良く理解されるものであり、本発明の他の利点がより明確になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る鉄道車両用の集電装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る図1の集電装置の一部を概略的に示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る図1の集電装置の一部を概略的に示す図である。
図4図1の集電装置に装備される測定用器具を断面図で概略的に示す図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る図1の集電装置の一部を概略的に示す図である。
図6図2の集電装置の一部の下部図を概略的に示す図である。
図7】鉄道車両に装備され図1の集電装置を含む、計装済み(instrumente’)システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、鉄道車両用の集電装置2を示す。該装置2は、給電レールから電流を収集する目的で給電レールと協動することができる。装置2は、次に、例えば鉄道車両の電気牽引連鎖(chai^ne de traction e’lectrique)に電力供給するため、鉄道車両に搭載された電力回路に対して収集された電流を運ぶことを可能にする。
【0016】
実施例によると、給電レールは、鉄道車両が上を走行する鉄道軌道に沿って配置された(dispose’)第3のレールである。
【0017】
図1および2に例示されるように、装置2は、アーム4、集電シュー6(patin de collecte)およびアーム4用の支持体(support)を形成するフレーム(armature)8を含む。
【0018】
シュー6は、給電レールに電気が供給される場合に給電レールからの電流を抽出する(pre’lever)ために、給電レールと直接接触するように意図される。
【0019】
シュー6は、導電性材料、好ましくは炭素または炭素質材料から製造される。
【0020】
例示された実施例において、シュー6は、四辺形の形をしたベースを伴う細長いスラブ(pave’)の形をしているが、変形形態では、シュー6の幾何形状は、給電レールの配設に基づいて適応され得る。
【0021】
アーム4は、シュー6を、機械的と同時に電気的にも、フレーム8に対して結合させる。好ましくは、アーム4は剛性である。
【0022】
アーム4は、導電性材料、例えば銅もしくはアルミニウムなどの金属、または銅-アルミニウム(cupro-aluminium)合金などの金属合金、または鋳鉄(fonte)、または炭素質合金(alliage carbone’)製である。アーム4は、シュー6によって収集された電流を運ぶことを可能にする。
【0023】
図2は、等角斜視上面図でアーム4の一実施例を示す。
【0024】
実施形態によると、アーム4は、中央主要部分12とシュー6の支持部分14とを含む。
【0025】
例えば、主要部分12すなわち中央部分は、ここでは矩形断面を有する基本的に直線(rectiligne)のバー(barreau)を含む。
【0026】
主要部分12は、特に、上部面26、下部面および側方面28を有する。例えば、装置2が備え付けられた構成(configuration monte’e)にある場合、面26は水平であり、側方面28は垂直である。
【0027】
一変形形態において、中央部分12は、異なる形状を有することができる。例えば、バーは、円形断面または台形断面を有し得る。中央部分12は、平板形状を呈することもできる。
【0028】
部分14は、ここでは、シュー6との接触面16とシュー6の締結用部材を受け入れる(recevoir)ためのオリフィス18とを含むプレートを含む。シュー6は、面16上に締結され、面16と接触する。好ましくは、部分12および14は、一体で形成される。
【0029】
部分14は、主要部分12の遠位端部(extre’mite’ distale)に形成される。面16および部分14は、本質的に平面であり、ここでは、主要部分12に垂直で、例えば水平方向に伸長する(s’allongent)。部分14の形状および配設は、給電レールの配置により左右される。
【0030】
実際には、外部給電レールは、装置2が上に備え付けられる鉄道車両の長手方向軸に対して平行に延在し、こうして、シュー6および面16は、このとき給電レールと整列し(aligne’s avec)、主要部分12は、車両の側方面の1つとの関係において突出した状態で給電レールと垂直に延在するようになる。
【0031】
例示された実施例において、装置2が鉄道車両上に備え付けられたとき、面16は、上方に向くことによって、例えば給電レールの上部からの集電モード(mode de captage par le dessus du rail d’alimentation)の場合、給電レールの下部面(le dessus)とシュー6とが接触することができる。
【0032】
例示されない変形形態によると、面16は下方に向き、こうして、例えば給電レールの上部からの集電モードの場合、給電レールの上部面とシュー6とが接触できることになる。
【0033】
主要部分12は、同様に、アーム4をフレーム8に取付けるまたは定着させる近位端部(extre’mite’ proximale)20を含む。例えば、端部20は、フレーム8上にアーム4を締結し挟持するために、ネジまたはネジ付きロッド(tige filete’e)などの締結用要素34を受け入れるように意図されたオリフィス24を含む。図1では、締結用要素34の頭部のみが見える。
【0034】
実施例によると、中央部分12は、近位端部20の近傍に湾曲部分22を含むことができる。
【0035】
図1において、参照番号36は、ここではバー形状で、フレーム8に属するアーム支持体を表す。アーム支持体36は、アーム4の下方に位置付けられ(situe’)、アーム4が支持体36上に載置されることを可能にする。
【0036】
実施形態によると、アーム支持体36は、例えばアーム支持体36と一体形成された状態で、アーム支持体36の上部面から突出するセンタリングピン(pion de centrage)を含む。アーム4は、有利には、アーム4が備え付けられた構成にある場合にセンタリングピンを受け入れる受入れオリフィス(orifice de re’ception)38を含む。ここでは、オリフィス38は、中央部分12上で、例えば端部20の方に向かって形成される。センタリングピンは、アーム4のずれまたは偶発的偏心を防ぐことを可能にする。
【0037】
装置2は、同様に、抽出された電流を収集する電気回路10と、フレーム8および回路10を少なくとも部分的に囲む保護ケース30または保護用ベースプレートと、を含む。
【0038】
例えば、ケース30は、電気絶縁材料で製造される。
【0039】
例えば、回路10は、鉄道車両内に埋込まれた電力回路に接続された1つまたは複数の接続端子を含む。
【0040】
したがって、シュー6は、アーム4を介して回路10に対して電気的に接続されると理解される。例えば、フレーム8は、導電性であり、アーム4の端部20を回路10に接続する。一実施例によると、回路10は、ヒューズなどの電気的保護機器を含む。
【0041】
実際には、いくつかの利用分野において、絶縁性アームの使用よりも導電性アーム4の使用の方が好ましいが、それは、絶縁性アームには、シューを電気的に接続するために母線タイプの接続バーまたはケーブルなどの専用導体の付加がさらに必要となるからである。
【0042】
選択任意の例示的実施例によると、フレーム8は、アーム4に固定された可動部分と、例えばケース30に固定された静止部分と、の間で共有される。可動部分は、ここでは、部分14の長手方向に平行である水平軸を中心にして枢動する(pivotement)ことによって、静止部分との関係において自由に動くことができる。螺旋牽引ばね(ressorts he’licoi:daux a` traction)などの1つまたは複数のばね32が、フレーム8の静止部分と可動部分との間に延在して、可動部分を給電レールと接触する位置に戻す。これにより、装置2は、鉄道軌道との関係における給電レールのあらゆる高さ変動を許容し、レール上に力を加えて良質の集電を保証することを可能にすることができる。ばね32は、例示されない変形形態において、ピボットリンクの回りに備え付けられた捩りばね(ressorts a` torsion)で置換されてもよい。
【0043】
実際には、使用構成において、装置2は、例えば鉄道車両の下部部分上、好ましくは鉄道車両の車体底面またはボギー上に保護ケースを取付けることによって、鉄道車両上に備え付けられる。同じ鉄道車両は、車両の電力回路に接続された複数の装置2を含み得る。
【0044】
装置2は、アーム4上に及ぼされる機械力を測定するための測定用器具40を含む。測定用器具40は、アーム4と接触する歪センサ(capteurs de’formation)を含む。
【0045】
例えば、歪センサは、歪計とも呼ばれる歪ゲージである。
【0046】
1つの例示的実施例によると、各歪ゲージは、導電性材料、好ましくは金属材料の1つまたは複数の薄層を含む。
【0047】
例えばゲージが置かれた表面が変形したためにゲージが変形(de’formation)を受けた場合、ゲージの弾性特性は改変され、これにより、ゲージを通過する電流の変動を測定することによってゲージの変形を定量化することが可能になる。
【0048】
好ましくは、歪センサは、装置2のアームと接触するとき、アームが受ける50N以上もしくは100N以上で5000N以下もしくは3000N以下の力を測定することを可能にする。
【0049】
この値範囲は、歪センサがアームの変形(典型的には1000N未満)を測定することと同様にアームの破断(1000N超の破壊強度(effort a` la rupture))を検出することを可能にする。
【0050】
例えば、1000N超の力値間隔についての測定用器具40の測定許容誤差は、1000N未満の力値間隔についての測定許容誤差よりも高い。後者の間隔については、測定許容誤差は好ましくは5%未満または2%未満である。
【0051】
実施形態によると、測定用器具40は、アーム4上、好ましくは中央部分12上に備え付けられる。
【0052】
例示された実施例において、器具40は、中央部分12の上部面26上に備え付けられ、このとき、この面は、歪センサのための「受入れ表面(surface de re’ception)」を形成すると称させる。歪センサは、このとき上部面26と接触状態にある。
【0053】
例えば、本開示では、測定用器具40は、器具40の歪センサが表面上に備え付けられたとき、すなわちこれらの歪センサがこの表面に直接的または間接的に締結されたとき、その表面上に「備え付けられる(monte’)」と称される。
【0054】
他の実施形態によると、器具40は、中央部分12の側方面28の1つの上に備え付けられ、この側方面は、このとき歪センサのための受入れ表面を形成すると称される。歪センサは、このとき上記側方面28と接触状態にある。
【0055】
例えば、図3は、他の実施形態に係るアーム4’を示す。アーム4’は、測定用器具40が今やアーム4’の中央部分12の側方面28上に締結されるという点を除いて、アーム4と類似する。
【0056】
この差異は別として、アーム4’はアーム4と類似し、アーム4に関して説明される全てをアーム4’に置き換えることができ、そのため、以下ではアーム4についてのみ説明する。
【0057】
例えば、上部面26に測定用器具40を設置することによって、アーム4上に及ぼされる曲げ力の垂直成分をより精確に測定することが可能となる一方、上部面26に測定用器具40を設置することで、アーム4’が受ける側方曲げ力(efforts late’raux en flexion)のより精確な測定が可能となる。
【0058】
測定用器具40は、少なくとも1つの測定ユニット50を含み、その一例が図4に示される。歪センサは、1つまたは複数の測定ユニット50中に含まれる。
【0059】
この実施例において、測定用器具40は、単一の測定ユニット50を含む。
【0060】
測定ユニット50は、接着剤層52とこの接着剤層52を覆うセラミック層54とを含む電気絶縁構造を含む。
【0061】
接着剤層52は、アーム4の受入れ表面上、場合に応じて、例えば上部面26上、または側方面28の1つの上に被着される(de’pose’s)。例えば、セラミック層54は、接着剤層52と直接接触する。
【0062】
実施例によると、接着剤層52は、好ましくはエポキシ樹脂などの熱硬化性接着剤(adhe’sif de pre’fe’rence thermodurcissable)である。
【0063】
ここでは参照番号「56」が付される歪センサは、セラミック層54上に被着され、アーム4と間接的に接触する。
【0064】
説明された実施例において、別途指定の無いかぎり、絶縁構造の層は平面であり、本質的に恒常的な厚み(すなわち10%内好ましくは5%内で恒常的な厚み)を有する。
【0065】
好ましくは、歪センサ56の全部または一部が、ホイートストン(Wheatstone)ブリッジなどの測定回路内で互いに接続される。
【0066】
例えば、測定ユニット50は、測定回路を形成するために互いに接続された4つのセンサ56(そのうち2つのみが図4に見られる)を含む。
【0067】
一変形形態において、センサ56の数は、異なることがあり得る。
【0068】
有利には、センサ56は、例えばプリント回路の導電性トラック(pistes)に類似する形で、セラミック層54上に被着される例えば金属製トラックなどの導電性トラックによって、各々の測定回路内で接続される。
【0069】
変形形態によると、測定用器具40内では、複数の測定回路が使用される。各測定回路には、複数のセンサ56を含む群が含まれる。この場合、センサ群56は、好ましくは中央部分12の同じ面と接触し、アーム4が接続されるフレーム8から異なる距離のところに設置されながら互いに離隔される。
【0070】
例えば、2つの測定回路は、中央部分12に沿って整列され、第1のセンサ群56は、中央部分12の定着点(point d’ancrage)から距離D1のところに設置され、第2のセンサ群56は、中央部分12の定着点から一定の距離D2のところに設置される。
【0071】
第1の実施例によると、測定用器具40は、少なくとも2つの別個の測定回路を含む1つの測定ユニット50を含む。
【0072】
第2の実施例によると、測定用器具40は、各々が1つの測定回路を含む2つの測定ユニット50を含む。2つの測定ユニット50は、中央部分12の面の異なる場所に設置される。
【0073】
アームの同じ面と接触する複数の測定回路を使用することによって、アーム4が受ける応力の示差測定(mesure diffe’rentielle)を行なうことが可能になる。例えば、2つの測定回路を使用することで、器具40は、2つの測定回路間のアーム4が受ける曲げモーメントの差を決定することが可能になる。測定用器具40の感度は、このとき、距離D1とD2との間の差に比例する。
【0074】
有利には、測定ユニット50は、歪センサ56の少なくとも1つの近くに設置された温度センサ58を含むことができる。
【0075】
例えば、温度センサ58は、負の温度係数を有するプローブなどの熱電対(thermocouple)またはサーミスタを含む。
【0076】
特に、センサ58により測定された温度データによって、例えば装置2の加熱の結果としてもたらされる高温に起因するあらゆるドリフトを考慮に入れるために、センサ56により測定された変形を補正することができる。
【0077】
センサ58によって測定された温度データは、同様に、装置2の異常な加熱を検出するため、またはアーム4を通過する電流に関する標示(indication)を提供するためにも使用可能である。
【0078】
一変形形態において、温度センサ58を省略することが可能である。
【0079】
有利な実施形態によると、電気絶縁構造は、さらに、歪センサ56を覆い、該当する場合には付随する導電性トラックも同様に覆う樹脂製または電気絶縁性ワニス(vernis)製の封入層(couche d’encapsulation)60を含む。
【0080】
例えば、封入層60は、セラミック層54の上、好ましくは歪センサ56が上に位置付けられるセラミック層54の表面の部分上のみに被着される。換言すると、封入層60は、セラミック層54を部分的に覆う。
【0081】
有利には、電気絶縁構造は、封入層60および/またはセラミック層54を覆う、例えばシリコーンなどの電気絶縁性エラストマ材料製の追加の保護層62も同様に含む。
【0082】
選択任意の実施形態によると、測定ユニット50は、受入れ表面上に備え付けられ、センサ56および絶縁構造が内部に収納される内側体積を画定するケース64を含む。
【0083】
一実施例として、測定ユニット50は、ここで、例えばケース64および/または追加の保護層62によって、保護等級IP66以上の防塵耐水性レベルを保証する。
【0084】
例えば、ケース64は、平面壁により画定された中空スラブ(pave’ creux)の形をとるが、曲線状または丸味のある形状などの他の形状も同様に考慮できる。ケース64の高さh64は、ここでは、10cmまたは1cm以下であり、好ましくは5mm以下である。
【0085】
実施例によると、ケース64は、そのベース上に、フランジ形の締結用部分66を含み、これが、ネジまたはリベットなどの締結用部材68を用いてケース64を受入れ表面(この場合、ここでは中央部分12)に締結することを可能にする。一変形形態においては、必ずしも締結用部分66を必要とせずに、接着または溶接によりケース64を締結することができる。
【0086】
1つの例示的実施例として、接着剤層52の厚みe52は、10μm~1mmの間である。
【0087】
1つの例示的実施例として、セラミック層54の厚みe54は、0.05mm~3mm、好ましくは0.1mm~0.5mm、さらに一層好ましくは0.2mm~0.4mmである。
【0088】
1つの例示的実施例として、封入層の厚みe60は、5μm~0.5μm、好ましくは20μm~100μmである。
【0089】
1つの例示的実施例として、ここでは封入層60の上部表面との関係において測定される追加の保護層62の厚みe62は、0.5mm~1cm、好ましくは1mm~5mmである。
【0090】
実施形態によると、層52を形成する接着剤および層54を形成するセラミックの各々は、1ミリメートルあたり10kV以上の絶縁耐力(rigidite’ die’lectrique)を有する。封入層60を形成する樹脂またはワニスは、1mmあたり100kV以上の絶縁耐力を有する。
【0091】
実施例によると、測定用器具40は、同様に、鉄道車両に搭載された処理回路とセンサ56との相互接続をも可能にする。
【0092】
例えば、各ユニット50は、樹脂層54上に配設された1つまたは複数の導電性接点パッド70を含む。接点パッド70は、例えば、先に説明した導電性トラックを介してセンサ56に接続される。各パッド70は、ここではケース64を出て相互接続回路に向かうケーブル74に対して溶接72を用いて接続される。
【0093】
好ましくは、各ケーブル74は、ケーブル芯線の半径との関係において少なくとも0.5mmの余剰厚み(sure’paisseur)を有する、例えばポリマ製、特にPTFE製の電気絶縁外装(gaine e’lectriquement isolante)を含む。
【0094】
例示された実施例において、パッド70、溶接72およびケーブル74の一部は、封入層60で覆われる。
【0095】
有利な実施形態によると、センサ56および各ユニット50の絶縁構造は、例えば真空蒸着法を用いた薄層の連続する被着(de’po^t successif de couches minces)によって、同じ方法(proce’de’)の間に受入れ表面上に直接製造される。
【0096】
例えば、第1の層52は、好ましくは受入れ表面の清浄後に、この受入れ表面上に被着される。他の層は、次に、連続して被着される。センサ56は、好ましくは、層54上に金属を被着させることによって形成される。例えば、温度センサ58も同様に、金属を被着させることによって形成される。
【0097】
被着された層の幾何形状は、被着中にマスクを用いてならびに/または化学エッチングもしくはイオンビームエッチングなどのエッチング方法を用いて定義され得る。このような方法は、同様に、被着された層に対し予め定義されたパターンを付与する(impartir)ため、例えばセンサ56を生産する目的でパターンを定義するためにも使用され得る。
【0098】
該当する場合(Le cas e’che’ant)、導電性トラックと接点パッド70とは、同時点で類似の方法を用いて製作される。溶接72は、例えば、ケース64の設置および締結と同様に後で行なわれる。
【0099】
製造方法は、同様に、特に、例えば、接着剤が熱硬化性接着剤である場合に被着後の接着剤層52の硬化を目的として、被着された層のうちの1つまたは複数を構造化する(structurer)ために1つまたは複数の熱処理ステップを含むこともできる。
【0100】
本発明の実施形態によって、測定用器具40は、アーム4が受ける機械力のリアルタイム測定を可能にする。絶縁構造により、アーム4から電気絶縁されながら、歪センサ56をアーム4と接触状態にすることが可能である。
【0101】
詳細には、測定用器具40は、収集された電流がシュー6と回路10との間でアーム内を循環する際の電流の漏出の危険性を増大させることなく、センサ56が可能なかぎりアーム4の近くに設置されることから信頼性のある測定を可能にする。
【0102】
絶縁構造は、センサ56の出力端におけるガルバニック絶縁回路の使用を回避するが、このことは、このようなガルバニック絶縁回路の追加によって装置2のコストおよび複雑性が高まると考えられることから、有利である。
【0103】
絶縁構造、特に層52および54は、ここでは、導電性アームが給電レールから収集された電流を輸送する場合でさえ、導電性アーム4との関係におけるセンサ56の満足のいく電気絶縁を保証しながら、アームの変形をセンサ56が測定できるようにするのに充分なほど薄いものである。
【0104】
例えば、絶縁構造により、外部給電レールの給電電圧が750Vdcに等しい場合、CEI60077規格に適合する電気絶縁レベルを保証することができる。
【0105】
図5は、集電装置の発明の第3の実施形態に係る座金(rondelle)80を示す。この実施形態において、測定用器具40の歪センサ56は、座金80の外部面(face exte’rieure)により形成される受入れ表面上に配置される。
【0106】
例示された実施例において、座金80は、中央オリフィス84を画定する本質的に円筒形の中空本体82を含む。本体82は、本体82の外周面上に配設された1つまたは複数の平面部分86を含む。座金80は、ここでは、互いに相対する2つの面86を含む。
【0107】
参照番号R80は、中央オリフィス84の内部半径を表す。参照番号L82は、2つの面86の間の距離を表す。参照番号L86は、面86の幅を表す。
【0108】
一例として、半径R80は、10mm~20mmである。距離L82は、10mm以上、5cm以下である。幅L86は、5mm以上、5cmまたは2cm以下である。
【0109】
装置2の備え付けられた構成において、座金80は、受入れオリフィス38内に少なくとも部分的に受け入れられ、したがって、ここではアーム4の一部である。
【0110】
図6は、アーム4の(またはアーム4’の)底面図を示す。
【0111】
実施形態によると、受入れオリフィス38は、座金80の一端部を受け入れるように配設された受入れゾーン90を含む。例えば、受入れゾーン90は、部分12の下部面上で受入れオリフィス38のベースの周りに配設されたカウンタボア(chambrage)または面取り(chanfrein)を含む。
【0112】
実施例によると、受入れオリフィス38は、センタリングピンの通過を可能にするように寸法決定された通過孔を含み、受入れゾーン90は、通過孔の直径よりも大きい直径を有し、こうして座金80がセンタリングピンの周りに備え付けられたとき受入れゾーン90内に座金80の少なくとも一部分を受け入れる。
【0113】
実際には、座金80の高さは、受入れゾーン90の深さよりも大きく、こうして座金80は、受入れオリフィス38から突出し、一方で中央部分12の下部面との関係においても突出する。
【0114】
したがって、アーム4とアーム支持体36との間の接触は、座金80を介して提供される。
【0115】
例えば、座金80の外部面82および86は、少なくとも部分的に受入れゾーン90の半径方向面と接触する。
【0116】
したがって、組立て構成において、座金80がアームの中央部分12とアーム支持体36との間に圧縮された状態で(en compression)備え付けられることが理解される。座金80の上端部は、受入れゾーン90の底部面と接触し、座金80の下端部は、アーム支持体36と接触する。センタリングピンは、座金80の中央オリフィス84の中および受入れオリフィス38の通過孔の中に受け入れられる。
【0117】
有利には、受入れゾーン90は、ケーブル74の通過を可能にするためにハウジング92を含む。例えば、ハウジング92は、各々、カウンタボアの半径方向拡幅によって形成される。ハウジング92は、好ましくは、各々、面86の場所の反対側に形成される。
【0118】
換言すると、この実施形態において、測定用器具40は、それ自体がアーム4に統合される座金80に統合される。
【0119】
この差異は別にして、先に装置2およびその動作に関して、測定用器具40および測定ユニット50に関して説明してきた全てが、座金80にあてはまり、当該実施形態に転置することができ、したがって、これらの詳細については再度説明しない。特に、1つまたは複数の測定ユニット50は、アーム4の中央部分12の面26または28上に形成される代りに、面86上に形成され得る。
【0120】
座金80は、アーム4とフレーム8との定着点の近傍に位置付けられることから、座金80を使用することにより、アーム上に及ぼされる圧縮力(efforts en compression)をより厳密に測定することが可能になる。
【0121】
測定用器具40が座金80上に設置され、座金80がアーム4の残りの部分から取外し可能であることから、座金80によって、同様に、アーム4が破断した場合に測定用器具40を交換しなくてもよくなることができる。
【0122】
一変形形態において、例えば、前述のようにアーム4または4’の面上に形成された測定用器具40と一緒に(conjointement avec)測定用器具40を有する座金80を使用することにより、さまざまな実施形態を互いに組合せることができる。
【0123】
例示されないさらに他の変形形態によると、側方捕捉モード(mode de captage late’ral)に従って動作するのに好適である集電装置2内に、測定用器具を統合することができる。
【0124】
例えば、装置は、先に説明したものと同じ役割を果たすフレーム、アームおよびシューを含み、このシューの接触面は、例えば接触面が垂直方向に延在する状態で側方に備え付けられた給電レールに向かって、側方に面する。アームは、例えば、中央部分が、フレームおよびシューと連接され、該当する場合には互いに連接された1つまたは複数のレバーを有するように成形される。
【0125】
図7は、鉄道車両102内に設置された計装済みの集電システム100を示す。
【0126】
システム100は、先に説明した実施形態のうちの1つに従った測定用器具40を含む少なくとも1つの集電装置2を含む。
【0127】
システム100は、同様に、第1のデータリンク106によって測定用器具40に接続された電子制御装置104も含む。
【0128】
例えば、電子制御装置104は、ここではマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラまたはデジタル信号プロセッサ(DSP)である論理処理ユニット108と、以下で説明する実施例のいずれか1つに係る方法を自動的に実装する目的で実行可能であるソフトウェアコードの形をした命令が中に記憶されるコンピュータメモリ110と、を含む。一変形形態において、電子制御装置104は、上記方法の1つまたは複数を実施するようにプログラムされた(programme’)専用集積回路を含む。
【0129】
システム100は、さらに、第2のデータリンク112と、車両102の運転手との対話(interaction)を許可するマンマシンインタフェース114と、車両102の搭載コンピュータ116と、好ましくは無線リンクによる車両102の外部の監視センタ120との通信に好適な電気通信インタフェース118と、を含む。
【0130】
例えば、システム100は、センサ56由来の測定信号に条件付けして、例えばこれらの信号が制御装置104によって処理される前にそれらをフィルタリングおよび/または抽出するための図示されない処理ユニットを含む。
【0131】
実施例によると、第1のリンク106は、例えばケーブル74を用いて測定用器具40に接続される有線リンクである。有線リンクは、1つまたは複数の専用ケーブルまたは多重ケーブルリンクを含み得る。一変形形態において、これは、無線リンク、例えば無線周波数リンク、好ましくは近距離無線リンクでもよい。
【0132】
第2のリンク112は、制御装置104をインタフェース114およびコンピュータ116、そしてインタフェース118に接続する。例えば、第2のリンク112は、例えばADCタイプのフィールドバスなどの有線データバスである。
【0133】
実施形態によると、第2のリンク112および/またはインタフェース114および/またはコンピュータ116および/またはインタフェース118は、車両102内にすでに存在し、システム100によって部分的に使用される一方システム100とは独立した車両102の他の機能と共有される設備機器であり得る。
【0134】
例示的実施例として、インタフェース114は、車両102の運転手に対してメッセージまたは標示を伝送するのに好適である電子表示スクリーンおよび/またはライトインジケータ(indicateur lumineux)および/またはサウンドインジケータおよび/またはハプティックインジケータを含む。コンピュータ116は、TCMS(Train Control and Management Systemの略)タイプの鉄道メンテナンスコンピュータである。インタフェース118は、無線周波数アンテナを含む。
【0135】
一実施例によると、装置104は、センサ56によって測定された歪データの関数としてシュー6と給電レールとの間の接触力を自動的に計算するようにプログラムされる。
【0136】
接触力の計算は、例えば、アーム4の幾何学的構成および装置2内の測定用器具40の位置の関数として予め定義された公式を用いて行なわれ、この公式は、装置104内にプログラムされるかまたは記録される。一実施例によると、装置104は、アーム4の状態を自動的に決定し、特に、例えばセンサ56により測定された力が予め決定された閾値を上回った場合または測定された接触力が予め定義された第1の閾値を上回った場合にアーム4の破断を検出するようにプログラムされる。例えば、第1の閾値は、1000N以上の横断方向の力に対応する。
【0137】
他の実施例によると、装置104は、経時的にアームが受ける力を測定するようにプログラムされる。この測定は、規則的に(re’gulie`rement)または予め定義された瞬間に実施可能である。測定の結果は、例えば、コンピュータ116の中、例えばログファイルの中に記憶され、および/またはインタフェース118を用いてメンテナンスセンタ120に送られる。
【0138】
したがって、出力端において、装置104は、アーム4の状態についての情報およびシュー/レールの接触力の値についての情報を、例えばリアルタイムでまたは定期的に経時的に提供するようにプログラムされる。
【0139】
有利には、温度センサ58が使用される場合、装置104は、同様に、センサ56により測定されたデータを測定された温度の関数として自動的に補正するようにプログラムされる。センサ58によって測定された温度は、同様に、行なわれた補正とは独立して装置104によって出力端において提供され得る。
【0140】
実施例によると、装置104またはコンピュータ116は、器具40による測定によって装置104がアーム4の破断を検出した場合にインタフェース114にアラートを送るようにプログラムされる。
【0141】
こうしてこれに応答して、車両102の運転手は、車両またはレール基盤構造のあらゆる損傷を回避するために、車両を直ちに停止することができる。
【0142】
他の実施例によると、装置104またはコンピュータ116は、例えば測定された力が第1の閾値より低くとどまりながら予め定められた第2の閾値を上回った場合、アームの異常な損傷など、器具40による測定によって装置104が検出したアームの異常な状態を記録するようにプログラムされる。
【0143】
例えば、この事象(e’ve`nement)を報告するメッセージは、インタフェース118を介してメンテナンスセンタ120に自動的に送られる。対応する事象も、同様に、コンピュータ116のメモリ内に記録されたログファイル中に記憶され得る。インタフェース114上に警告が表示されることもできる。
【0144】
以上で考慮された実施形態および変形形態を組合せて、新たな実施形態を導くことが可能である。
[構成1]
鉄道車両用の集電装置(2)であって、
-給電レールと接触するように意図されたシュー(6)と、
-フレーム(8)と、
-前記フレーム(8)を前記シュー(6)に機械的かつ電気的に接続する導電性アーム(4)であって、前記シュー(6)が備え付けられる支持部分(14)に前記フレームを結合させる中央部分(12)を有するアームと、を有し、
前記アーム(4)上に及ぼされる機械力を測定する器具(40)を有し、
前記測定する器具が、電気絶縁構造に内蔵された歪センサ(56)を有することによって、前記歪センサは、前記アームから電気絶縁されることができ、
前記絶縁構造は、受入れ表面(26;28;86)上に被着された接着剤層(52)と前記接着剤層を覆うセラミック層(54)とを有し、
前記歪センサは、前記セラミック層上に配設される、ことを特徴とする集電装置。
[構成2]
前記測定する器具(40)は、前記アームの前記中央部分の上部面(26)上に備え付けられる、ことを特徴とする構成1に記載の装置。
[構成3]
前記測定する器具(40)は、前記アームの前記中央部分の側方面(28)上に備え付けられる、ことを特徴とする構成1に記載の装置。
[構成4]
前記測定する器具は、2つの歪センサ(56)群を有し、
各センサ群は、測定回路と関連付けられ、
前記2つのセンサ群は、前記中央部分の同じ面上に備え付けられ、前記フレームから異なる距離のところに設置される、ことを特徴とする構成2または3に記載の装置。
[構成5]
前記フレーム(8)は、アーム支持体(36)を有し、
前記アーム(4)の前記中央部分(12)は、アーム支持体(36)上に備え付けられたセンタリングピンを受け入れるオリフィス(38)を有し、
前記アーム(4)が、前記センタリングピンの周りに備え付けられ前記アーム(12)の前記中央部分と前記アーム支持体(36)との間で圧縮されながら前記オリフィス(38)内に少なくとも部分的に受け入れられる座金(80)をさらに有することによって、前記アーム(4)は、前記座金(80)によって前記アーム支持体(36)上に載置され、
前記測定する器具は、前記座金の外側受入れ表面(86)上に備え付けられる、ことを特徴とする構成1に記載の装置。
[構成6]
前記測定する器具は、同様に、前記歪センサの少なくとも1つの近傍に設置された温度センサ(58)を有する、ことを特徴とする構成1~5のいずれか一項に記載の装置。
[構成7]
前記絶縁構造は、前記歪センサ(56)を覆う樹脂またはワニス製の封入層(60)をさらに有する、ことを特徴とする構成1~6のいずれか一項に記載の装置。
[構成8]
前記接着剤層(52)の厚み(e52)は、10μm~1mmである、ことを特徴とする構成1~7のいずれか一項に記載の装置。
[構成9]
前記セラミック層(54)の厚み(e54)は、0.05mm~3mmである、ことを特徴とする構成1~8のいずれか一項に記載の装置。
[構成10]
鉄道車両(102)用の集電システム(100)であって、
構成1~9のいずれか一項に記載の集電装置(2)と、
前記測定する器具(40)に接続され、前記アーム(4)の破断を検出しおよび/または前記測定する器具(40)に由来する歪測定値から前記シュー(6)と給電レールとの間の接触力を計算するようにプログラムされる処理ユニット(104)と、を有する、ことを特徴とする集電システム(100)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7