(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ターボジェットエンジン圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールを検出する方法および装置
(51)【国際特許分類】
F02C 9/00 20060101AFI20240209BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20240209BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240209BHJP
F23R 3/00 20060101ALI20240209BHJP
F04D 27/00 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
F02C9/00 B
F01D25/00 V
F01D25/00 W
F02C7/00 A
F23R3/00 E
F04D27/00 J
F02C7/00 F
(21)【出願番号】P 2021531568
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 FR2019052853
(87)【国際公開番号】W WO2020115405
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-13
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルダ,スフィアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】カバレ,バンサン
(72)【発明者】
【氏名】ジェラッシ,セドリック
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-038329(JP,A)
【文献】特開2002-061593(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0186191(US,A1)
【文献】米国特許第03867717(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0025596(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0193355(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/00
F02C 9/00
F02C 9/20
F02C 9/28
F02C 7/28
F01D 19/00
F01D 21/00
F01D 25/00
F04D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボジェットエンジン(1)の圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールを検出する方法であって、
-
回転ストールに起因する、ターボジェットエンジンの燃焼室内の静圧の、前記静圧の平均値を中心とした変動のレベルを判定するステップ(E90、E100)と、
-静圧の変動のレベルを第1の閾値(THR1)と比較するステップ(E11
0)と、
-ターボジェットエンジンのタービン出口で測定された温度を第2の閾値と比較するステップ(E140)と、
-静圧の変動のレベルが第1の閾値よりも大きく且つタービン出口における温度が第2の閾値よりも大きい場合、回転ストールの存在を検出するステップ(E170)と、
を備えることを特徴とする、回転ストールを検出する方法。
【請求項2】
判定ステップが、
-燃焼室内の静圧の測定信号の複数のサンプルについて、前記サンプルの静圧の値と静圧の平均値との間の差を評価するステップ(E40)と、
-前記複数のサンプルの、連続する
第1および第2のサンプルの各ペアについて、
-第1のサンプルについて評価された差と第2のサンプルについて評価された差との間の偏差を計算するステップ(E50)と、
-判定された偏差に応じてカウンタ(CNT)を更新するステップ(E90、E100)であって、前記カウンタが、静圧の平均値に対する静圧の変動のレベルを表すステップと、
を備える、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
更新するステップが、
-判定された偏差が第3の閾値(THR3)以下である場合のカウンタのデクリメント(E90)と、
-判定された偏差が第3の閾値(THR3)よりも大きい場合のカウンタのインクリメント(E100)と、
を備える、請求項2に記載の検出方法。
【請求項4】
カウンタのインクリメント(E100)中に、カウンタが、判定された偏差の増加関数である値だけインクリメントされる、請求項3に記載の検出方法。
【請求項5】
カウンタのデクリメント(E90)中に、カウンタが、カウンタのインクリメント中にカウンタをインクリメントするために使用される値よりも小さい値だけデクリメントされる、請求項3または4に記載の検出方法。
【請求項6】
-燃焼室内の静圧の変動を引き起こすことができる、ターボジェットエンジンの可変形状の位置の変動を検出するステップ(E60)と、
-前記可変形状の位置の変化が検出される限り、カウンタを更新するステップを中断するステップ(E70)と、
をさらに備える、請求項2~5のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項7】
さらに、回転ストールの存在の検出に続いて、
-前記回転ストールを処理するステップ(E180)と、
-処理ステップに続いて、カウンタ(CNT)を再初期化するステップ(E190)と、
を備える、請求項2~6のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項8】
静圧の変動レベルを判定するステップおよび
両方の比較するステップが、ターボジェットエンジンの点火およびターボジェットエンジンに燃料を噴射する実際の許可の検出(E10)後に実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項9】
ターボジェットエンジンの圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールを検出する装置(2)であって、
-
回転ストールに起因する、ターボジェットエンジンの燃焼室内の静圧の、前記静圧の平均値を中心とした変動レベルを判定するように構成された判定モジュール(2A)と、
-静圧の変動のレベルを第1の閾値と比較するように構成された第1の比較モジュール(2B)と、
-ターボジェットエンジンのタービン出口で測定された温度を第2の閾値と比較するように構成された第2の比較モジュール(2C)と、
-静圧の変動のレベルが第1の閾値よりも大きく且つターボジェットエンジンのタービン出口における温度が第2の閾値よりも大きい場合に作動される、回転ストールの存在を検出するモジュール(2D)と、
を備えている、回転ストールを検出する装置(2)。
【請求項10】
判定モジュールは、
-燃焼室内の静圧の測定信号の複数のサンプルについて、前記サンプルの静圧の値と静圧の平均値との間の差を評価するように構成された評価モジュール(2A1)と、
-前記複数のサンプルの、連続する
第1および第2のサンプルの各ペアについて起動される計算モジュール(2A2)および更新モジュール(2A3)と、
を備え、
-前記計算モジュールは、第1のサンプルについて評価された差と第2のサンプルについて評価された差との間の偏差を計算するように構成され、
-更新モジュールは、判定された偏差に応じてカウンタを更新するように構成され、前記カウンタが、その平均値に対する静圧の変動レベルを表す、
請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の検出装置(2)を備えているターボジェットエンジン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空ターボ機械の一般的な分野に関する。本発明は、より具体的には、航空機に装備されたターボジェットエンジンの圧縮機に悪影響を及ぼす、回転ストールの検出に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、民間航空機に装備するターボジェットエンジン、特に典型的には-20℃未満の温度で非常に寒い天候で離陸を実行する必要があるターボジェットエンジンに有利であるが限定されない方法で適用される。本発明は、より具体的には、例えばビジネス飛行機に装備するターボジェットエンジンなど、比較的小さいサイズの二重スプール(1つの低圧スプールおよび1つの高圧スプール)を有するターボジェットエンジンに適用される。実際に、二重スプールを有するターボジェットエンジンの比較的小さいサイズは、高圧圧縮機のサイズおよび/または構造を制約する。これは、一般に、高圧圧縮機が必然的により大きなサイズである大型航空機に使用されるエンジンなどのより大きなエンジンと比較して、高圧圧縮機における挙動の相違を引き起こす。したがって、比較的小さいサイズのターボジェットエンジンの圧縮機における、回転ストールの出現のリスクは、比較的大きいサイズのターボジェットエンジンにおけるリスクよりも比較的大きい。
【0003】
既知の方法では、回転ストールは、ターボジェットエンジンの圧縮機に悪影響を及ぼす空気力学的不安定性であり、圧縮機の回転速度よりも一般に遅い速度で圧縮機の周方向に伝播する流体の1つ以上の局所的なポケット(セルまたは剥離気泡と呼ばれる)の存在を特徴とする。
【0004】
この不安定性は、一般に、圧縮特性の弱化を引き起こし、特にターボジェットエンジンの過熱につながる圧縮機の効率の低下によって現れる。ターボジェットエンジンを始動するときにこの過熱現象が現れると、始動は中止されなければならず、その結果、ターボジェットエンジンを始動することができなくなる。さらに、回転ストールの存在に起因する不安定性は、圧縮機のブレードの早期摩耗につながる可能性がある、かなりの振動現象の原因となる。
【0005】
したがって、ターボジェットエンジンの圧縮機における回転ストールの出現を迅速且つ確実に検出することができることの重要性が容易に理解されよう。
【0006】
文献である国際公開第2012/004506号は、回転ストール現象に関連するいくつかの挙動シグネチャの監視を組み合わせた1つの検出技術を記載している。より具体的には、ターボジェットエンジンのタービン出口における温度が、ターボジェットエンジンの異常な加速度、およびその速度の異常な低下、または圧縮機の異常な動作ライン(ターボジェットエンジンの燃焼室の出口における圧力とファンの入口における全圧力との間の圧力比)の識別に対応する特定の瞬間に有していた値に対して、所定の閾値よりも大きい上昇を受けたと判定されたときに、ターボジェットエンジンの圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ビジネス航空機に使用されるターボジェットエンジンまたは同等のサイズのターボジェットエンジンに特によく適合した代替の検出技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、最も具体的には、ターボジェットエンジンの圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールを静圧の変動レベルを第1の閾値と比較する検出する方法であって、
-ターボジェットエンジンの燃焼室内の静圧の、この静圧の平均値を中心とした変動のレベルを判定するステップと、
-静圧の変動レベルを第1の閾値と比較するステップと、
-ターボジェットエンジンのタービン出口で測定された温度を第2の閾値と比較するステップと、
-静圧の変動のレベルが第1の閾値よりも大きく、且つタービン出口における温度が第2の閾値よりも大きい場合、回転ストールの存在を検出するステップと、
を備える方法に関する。
【0010】
結果として、本発明はまた、ターボジェットエンジンの圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールを検出する装置であって、
-ターボジェットエンジンの燃焼室内の静圧の、この静圧の平均値を中心とした変動レベルを判定するように構成された判定モジュールと、
-静圧の変動レベルを第1の閾値と比較するように構成された第1の比較モジュールと、
-ターボジェットエンジンのタービン出口で測定された温度を第2の閾値と比較するように構成された第2の比較モジュールと、
-静圧の変動のレベルが第1の閾値よりも大きく、且つ低圧圧縮機の出口における温度が第2の閾値よりも大きい場合に作動される、回転ストールの存在を検出するモジュールと、
を備える装置に関する。
【0011】
したがって、本発明は、回転ストールの2つの挙動シグネチャ、すなわちターボジェットエンジンの燃焼室における静圧の「ノイズ」の存在と、二重スプールターボジェットエンジンの低圧タービン出口における異常に高いレベルの温度とに基づく検出技術を提案し、この温度はまた、EGT(排気ガス温度)温度としても知られている。
【0012】
ここでノイズによって意味されるのは、静圧が、ここでは公称値とも呼ばれるその平均値の周りで摂動または異常変動(すなわち、所与の閾値よりも大きい)を受けることである。この平均値は、例えば、燃焼室内の静圧の計測信号に高周波フィルタを適用することにより判定されることができる。
【0013】
そのような変動は、ターボジェットエンジンの圧縮機の不安定性の兆候である。本発明者らは、過剰なEGT温度と組み合わされたこの挙動シグネチャが、ビジネス航空機において使用されるもののサイズのターボジェットエンジンにおける回転ストールの存在を確実に検出するのに特に関連することを観察した。この信頼できる検出によって、本発明は、この種の回転ストールに対応するための技術を反応的且つ効果的にトリガする可能性を提供する。そのような技術は、それ自体公知であり、ここでは説明しない。
【0014】
特定の一実施形態では、判定ステップは、
-燃焼室内の静圧の測定信号の複数のサンプルについて、これらのサンプルの静圧の値と静圧の平均値との差を評価するステップと、
-第1および第2のサンプルを含む複数のサンプルの連続するサンプルの各ペアについて、
-第1のサンプルについて評価された差と第2のサンプルについて評価された差との間の偏差を計算するステップと、
-判定された偏差に応じてカウンタを更新するステップであって、このカウンタが、静圧の平均値に対する変動のレベルを表すステップと、
を備える。
【0015】
結果として、この実施形態では、本発明にかかる検出装置の判定モジュールは、
-燃焼室内の静圧の測定信号の複数のサンプルについて、前記サンプルの静圧の値と静圧の平均値との間の差を評価するように構成された評価モジュールと、
-第1および第2のサンプルを含む複数のサンプルの連続するサンプルの各ペアについて起動される計算モジュールおよび更新モジュールと、
を備え、
-計算モジュールが、第1のサンプルについて評価された差と第2のサンプルについて評価された差との間の偏差を計算するように構成され、
-更新モジュールが、判定された偏差に応じてカウンタを更新するように構成され、このカウンタが、その平均値に対する静圧の変動レベルを表す。
【0016】
この特定の実施形態は、信号のコード長、すなわち、ここではこの静圧の測定信号のコード長の原理に基づいて、燃焼室の静圧の変動レベルを評価することを提案する。この原理は、以下の観察に基づいている:所与の長さの経路を横切ることによって初期状態から逸脱する信号が最終状態に到達する。この経路を移動した距離は、最終状態に到達するために移動した公称(平均)距離と比較して、信号が予測よりも大きな距離を移動したかどうか、したがってその経路が法線に対して摂動されているかどうかを知ることを可能にする。摂動された経路は、その公称値に対して変動、すなわち摂動を受けた信号に対応し、ここではこの公称値に対してノイズが多いとみなされる。前述したように、このタイプの信号は、ターボジェットエンジンの高圧圧縮機における不安定性の兆候であり、それ自体、圧縮機に悪影響を及ぼす分離の挙動シグネチャを表す。
【0017】
静圧の平均値は、圧力信号が、ノイズが多いかどうかを判定するために使用される。この平均値での偏差の評価は、ノイズの非定常性を判定することを可能にする。信号の2つの連続するサンプルに関連する偏差間の経時的な変動が大きい場合、これは、その平均値付近に信号の強い変動があることを意味する。圧力信号のいくつかの連続するサンプル間で観察される経時的な変動に応じてカウンタを更新することは、圧力信号の公称値付近の変動レベルを定量化し、変動レベルがターボジェットエンジンの異常な挙動を反映しているか否かを検出することを可能にする。カウンタが特定の閾値に到達すると、回転ストールの潜在的存在を反映するインジケータが起動される。EGT温度に対して当てられるこのインジケータは、回転ストールが実際にターボジェットエンジン内に存在するか否かを推定することを可能にする。
【0018】
特定の一実施形態では、更新するステップは、
-判定された偏差が第3の閾値以下である場合のカウンタのデクリメントと、
-判定された偏差が第3の閾値よりも大きい場合のカウンタのインクリメントと
を備える。
【0019】
この実施形態は、特に圧力の測定信号の取得、そのデジタル処理(例えば、公称値を判定するために圧力信号をフィルタリングする際の数値誤差)などに関連する「自然な」ノイズの存在に対応することを可能にする。
【0020】
例えば、カウンタのインクリメント中、カウンタは、判定された偏差の増加関数である値だけインクリメントされ、および/またはカウンタのデクリメント中、カウンタは、カウンタのインクリメント中にカウンタをインクリメントするために使用される値よりも小さい値だけデクリメントされる。
【0021】
これは、その平均値に対する静圧の実質的な変動に遭遇したという事実をメモリ(すなわち、カウンタの電流値において)に保持し、カウンタの能動的な監視を維持することを可能にする。
【0022】
特定の一実施形態では、検出方法はまた、
-燃焼室内の静圧の変動を引き起こすことができるターボジェットエンジンの可変形状の位置の変動を検出するステップと、
-前記可変形状の位置の変化が検出される限り、カウンタを更新するステップを中断するステップと
を備える。
【0023】
この実施形態は、ターボジェットエンジンの可変形状の位置の変化などの事象を考慮に入れることを可能にし、これは、ターボジェットエンジンの燃焼室内の静圧に影響を及ぼし、場合によってはその実質的な変化を引き起こす可能性がある。これらの変動は、正常であり、回転ストールの過度の検出を回避するために、この実施形態では静圧の変動レベルを推定するために考慮されない。したがって、本発明にかかる検出方法のロバスト性が改善される。
【0024】
変形例として、他の事象が、その平均値付近の静圧の変動レベルを表すカウンタの更新の中断をトリガすることができることに留意されたい。
【0025】
特定の一実施形態では、回転ストールの存在の検出に続いて、本方法は、
-回転ストールを処理するステップと、
-処理ステップに続いて、カウンタを再初期化するステップと
を備える。
【0026】
これは、ターボジェットエンジンの監視を再初期化し、ターボジェットエンジンで作動される介入を考慮して回転ストールを廃棄することを可能にする。
【0027】
特定の一実施形態では、静圧の変動レベルを判定するステップおよび比較するステップは、ターボジェットエンジンの点火およびターボジェットエンジンに燃料を噴射する実際の許可の検出後に実施される。
【0028】
これは、監視を最適化し、ターボジェットエンジンで回転ストールが実際に発生する可能性がある状況に限定することを可能にする。
【0029】
特定の一実施形態では、検出方法の異なるステップは、コンピュータプログラム内の命令によって判定される。
【0030】
結果として、本発明はまた、記憶媒体上のコンピュータプログラムであって、検出装置、またはより一般的にはコンピュータに実装されることができ、上述した検出方法のステップの実施に適した命令を含む、プログラムに関する。
【0031】
このプログラムは、任意のプログラミング言語を使用することができ、部分的にコンパイルされた形式、または任意の他の望ましい形式など、ソースコード、オブジェクトコード、またはソースコードとオブジェクトコードとの間の中間コードの形式とすることができる。
【0032】
本発明はまた、コンピュータによって読み取り可能であり、上述したコンピュータプログラムの命令を含む記憶媒体に関する。
【0033】
情報支持体は、プログラムを記憶することができる任意のエンティティまたはデバイスとすることができる。例えば、支持体は、ROM、例えばCD ROMまたはマイクロ電子回路のROMなどの記憶媒体、または磁気記録媒体、例えばハードディスクさえも含むことができる。
【0034】
一方、記憶媒体は、電気または光ケーブルを介して、無線または他の手段によってルーティングされることができる電気または光信号などの伝送可能な媒体とすることができる。本発明にかかるプログラムは、特に、インターネット型のネットワーク上にアップロードされることができる。
【0035】
あるいは、情報支持体は、プログラムが組み込まれた集積回路とすることができ、回路は、問題の方法の実行に適しているか、またはその実行に使用される。
【0036】
本発明はまた、本発明にかかる検出装置を備えるターボジェットエンジンに関する。
【0037】
ターボジェットエンジンは、本発明にかかる検出方法および装置として前述したのと同じ利点を有する。
【0038】
本発明の他の特徴および利点は、任意の限定的な特徴を欠く1つの例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、以下に与えられる説明によって明らかになるであろう。図では以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明にかかる回転ストールを検出する装置を備える、本発明に適合するターボジェットエンジンをその環境において示している。
【
図2】特定の実施形態における、本発明にかかる検出装置を組み込んだターボジェットエンジンの計算機の実体アーキテクチャを概略的に示している。
【
図3】
図1の検出装置によって実施される本発明にかかる検出方法の主要なステップを示している。
【
図4A】特定の場合におけるその公称値に対する静圧の偏差の変動を示している。
【
図4B】
図4Aは、別の特定の場合におけるその公称値に対する静圧の偏差の変動を示している。
【
図4C】
図4Aは、別の特定の場合におけるその公称値に対する静圧の偏差の変動を示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
前述のように、本発明は、ターボジェットエンジンの圧縮機における、回転ストール現象の存在を確実に識別するために、回転ストール現象に関連するターボジェットエンジンのいくつかのインジケータまたは挙動シグネチャを組み合わせることを有利に提案した。ここで挙動シグネチャとは、回転ストールの存在下でのターボジェットエンジンの動作パラメータ(例えば、ターボジェットエンジンの燃焼室内の静圧、ターボジェットエンジンのタービン出口の温度など)の挙動特性を意味する。
【0041】
図1を参照すると、ここで特に興味深いのは、本発明に適合する、ビジネス航空機に装備され、検出装置2を備える二重スプールターボジェットエンジン1である。ターボジェットエンジン1は、特に、公知の方法で、ファン、軸流低圧圧縮機、軸流高圧圧縮機、燃焼室、高圧タービン、および低圧タービン(
図1には示されていない)、ならびに例えば燃焼室内の静圧(以下、説明においてPSと称する)、または低圧タービン出口の温度(以下、説明において温度Tと称する)など、ターボジェットエンジン1の様々な作動パラメータを測定することを可能にするセンサ3を含む。
【0042】
ここで説明する実施形態では、燃焼室内の静圧PSは、燃焼室の入口に配置されたセンサ3Aによって測定され、温度Tは、ターボジェットエンジン1の低圧タービン出口に配置されたセンサ3Bによって測定される。
【0043】
このタイプのターボジェットエンジンは、例えば、特にビジネス航空機に装備するものなど、比較的小型の二重スプールターボジェットエンジンである。しかしながら、本発明は、圧縮機における回転ストールの出現のリスクを有する、そのような状況に適した他のターボジェットエンジンに適用される。
【0044】
本発明によれば、検出装置2は、ターボジェットエンジン1に悪影響を与える回転ストールの存在を検出するために、以下の2つの指標を考慮する。
-ターボジェットエンジン1の燃焼室内のノイズの多い(特定の閾値を超える)静圧PS、および、
-ターボジェットエンジン1の低圧タービン出口での過剰温度T。
【0045】
これらのインジケータの存在は、例えば高圧圧縮機などのターボジェット1の圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールの存在を予測することを可能にする。もちろん、これらに加えて他のインジケータが考慮されて、検出の信頼性をさらに強化し、特に誤警報を回避することができる。
【0046】
ここで説明する実施形態では、検出装置2は、ターボジェットエンジン1の計算機4に組み込まれている。このタイプの計算機は、それ自体公知であり、ここでは詳細に説明しない。それは、例えば、FADEC(全自動デジタルエンジンコントロール)という名称でも知られる、ターボジェットエンジン1によって推進される航空機の全自動制御装置とすることができる。
【0047】
検出装置2は、
図2に概略的に示されているコンピュータの実体アーキテクチャを有する計算機4の実体要素に依存する。計算機4は、特に、プロセッサ5と、ランダムアクセスメモリ6と、読み出し専用メモリ7と、不揮発性フラッシュメモリ8と、ターボジェットエンジン1を装備した航空機に搭載された異なるセンサ3(特に圧力および温度センサ3Aおよび3B)と通信することを特に可能にする通信手段9と、例えばターボジェットエンジンが収容されることを可能にするメンテナンス作業をトリガするために、検出装置2がターボジェットエンジン1内の回転ストールの存在を信号で知らせることを可能にする入力/出力手段10とを備える。
【0048】
ここで説明される実施形態では、検出装置2の読み出し専用メモリ7は、プロセッサ5によって読み取り可能であり、本発明にかかる検出方法のステップの一部を実行するための命令を含む、本発明に適合するコンピュータプログラムPROGが記録される、本発明に適合する記憶媒体を構成する。
【0049】
コンピュータプログラムPROGは、前述の計算機4の自体要素5~10を使用するか、または特にそれに依存する検出装置2の機能(およびここではソフトウェア)モジュールを定義した。ここで、これらのモジュールは、特に、
図1に示すように、以下のモジュールを備える。
-ターボジェットエンジン1の燃焼室内の静圧PSの、その平均値付近の変動レベルを判定するように構成された判定モジュール2Aを備える。ここで説明する実施形態では、判定モジュール2A自体が、静圧PSの変動レベルを判定することを可能にするいくつかの(サブ)モジュール、すなわち、評価モジュール2A1、計算モジュール2A2、および更新モジュール2A3を備え、それぞれの機能については、以下にさらに詳細に説明する。
-この静圧の変動レベルを、THR1と呼ばれる第1の閾値と比較するように構成された第1の比較モジュール2B。
-ターボジェットエンジン1の低圧タービンの出力で測定された温度Tを、THR2で示される第2の閾値と比較するように構成された、第2の比較モジュール2C、および、
-静圧PSの変動レベルが閾値THR1よりも大きく、且つ低圧タービンの出力における温度Tが閾値THR2よりも大きい場合に作動される、回転ストールの存在を検出するモジュール2D。
【0050】
モジュール2Aから2Dは、本発明にかかる検出方法のステップを参照して、より詳細に説明される。
【0051】
図3は、本発明にかかる検出方法の主要なステップをフローチャートの形式で示し、特定の実施形態では、これらのステップは、ターボジェットエンジン1に装備された検出装置2によって実施される。
【0052】
ここで説明する例では、ターボジェットエンジン1の高圧圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールの検出が考慮される。しかしながら、この仮定は限定的ではない。本発明はまた、ターボジェットエンジン1の低圧圧縮機にも適用可能である。
【0053】
既知の方法では、ターボジェットエンジンは、ターボジェットエンジンの2つの別個の動作段階、すなわち、
-ターボジェットエンジンの始動段階または再始動段階中(「サブアイドル」運転中のターボジェットエンジン)、および/または、
-始動後の推力調整段階中(「オフアイドル」動作中のターボジェットエンジン)中、
に回転ストール状況に遭遇する可能性がある。
【0054】
本明細書に記載の実施形態に準拠すれば、航空機および計算機4のリソースを保護するために、本発明にかかる検出方法は、ターボジェットエンジン1の点火およびターボジェットエンジン1に燃料を噴射する実際の許可が検出された場合にのみ検出装置2によって実施される(ステップE10)。これらの2つの事象は、ターボジェットエンジンが始動/再始動段階にあるかどうかを示すターボジェットエンジン1の始動コマンド、ならびに特に計算機4によって供給される燃料噴射設定点を分析することによって容易に検出されることができる。
【0055】
変形例として、別の実施形態では、検出方法は、ターボジェットエンジン1が前述の2つの段階の一方または他方にあることが検出された場合にのみ実施されることができ、これは、航空機および計算機4のリソースをさらに保存するためである。
【0056】
この検出に続いて、検出装置2は、本発明に適合する、ターボジェットエンジン1の燃焼室内の静圧PSおよび、ターボジェットエンジン1の低圧タービン出口における温度Tの監視を開始する。
【0057】
ターボジェットエンジン1の燃焼室内の静圧PS、より正確にはその平均値付近の静圧の変動レベルを監視するために、検出装置2は、本明細書に記載の実施形態では、「ノイズカウンタ」とも呼ばれるカウンタCNTを使用する。このノイズカウンタCNTは、静圧PSの変動レベルを表すようにインクリメントおよびデクリメントされ、ターボジェットエンジン1の点火の検出およびターボジェットエンジン1に燃料を噴射する実際の許可の後に0に初期化される(ステップE20)。カウンタCNTの再初期化を引き起こす可能性がある他の事象については、以下により詳細に説明される。
【0058】
燃焼室内の静圧PSセンサ3Aによって瞬間t=nTeに取得されたPS(t=nTe)で表される各測定値について(ステップE30)、Teは、センサ3Aの取得期間を表し、nは0以上の整数であり、検出装置2の判定モジュール2Aは、その評価モジュール2A1によって、測定によって与えられた静圧PSの値PS(nTe)と、その瞬間に評価された静圧PSの平均(公称)値PSnom(nTe)との間のΔPS(nTe)で表される差を評価する(ステップE40)。すなわち、ΔPS(nTe)=PS(nTe)-(PSnom(nTe))である。
【0059】
センサ3Aによって取得された各測定値は、本発明の意味における静圧の経時的測定信号PS(t)の、瞬間nTeにおけるサンプルを構成し、tは時間を指定することに留意されたい。
【0060】
ここで説明する実施形態では、瞬間nTeにおける静圧の公称値または平均値PSnom(nTe)は、圧力センサ3Aによって供給される測定信号PS(t)をローパスフィルタによってフィルタリングすることによって得られる。このフィルタリングは、(その高周波成分を除去することによって)測定信号の圧力の変動を排除することを可能にし、換言すれば、測定センサ3Aによって取得された信号を「ノイズ除去」することを可能にする。ローパスフィルタのパラメータ(利得、次数、遅延など)は、有用な信号をフィルタリングするように選択される:それらの判定は、当業者にとっていかなる困難ももたらさないため、ここでは説明しない。
【0061】
差ΔPS(nTe)は、ここでは、判定モジュール2Aによって、サンプリング時点nTeに関連付けられて、その不揮発性メモリに記憶される。
【0062】
次に、判定モジュール2Aは、その計算モジュール2A2によって、瞬間nTeについて計算された差ΔPS(nTe)と、直前の瞬間(n-1)Teにおいて取得された静圧の測定のために計算された差ΔPS(((n-1)Te)との間のδ(nTe)で示される偏差を計算する(ステップE50)。ここで説明される実施形態では、偏差δ(nTe)は、以下の関係に基づいて計算モジュール2A2によって計算される。
δ(nTe)=|ΔPS(nTe)-ΔPS((n-1)Te)|
ここで、||は絶対値を示す。このようにして算出された偏差δ(nTe)は、瞬間nTeおよび(n-1)Teにおける、サンプル間の静圧の測定信号PS(t)の長さに相当する。
【0063】
ここで説明する実施形態では、次に、判定モジュール2Aは、燃焼室の静圧PS(nTe)の平均値付近の変動を引き起こす可能性のある、所定の事象が発生しているかどうかを判定する(試験ステップE60)。そのような事象の1つは、例えば、ターボジェットエンジン1の1つ以上の可変形状の位置の変化である。ターボジェットエンジンの可変形状は可動部材であり、その位置は、ターボジェットエンジンの挙動を制御するために、ターボジェットエンジン内の流体、例えば一次流内のガス流などの流体の循環に作用するように制御されることができる。可変形状は、二重スプールターボジェットエンジンの低圧圧縮機または高圧圧縮機に対するそれらの機能に応じて、例えばVBV(可変ブリード弁の場合)またはHBV(処理ブリード弁の場合)によっても一般的に指定される空気排出弁などの弁とすることができる。判定モジュール2Aがターボジェットエンジン1に搭載されているこのタイプの事象を検出した場合(試験ステップE60において肯定応答)、事象が検出される限り、ノイズカウンタCNTの更新は行われない(ステップE70)。換言すれば、可変形状の位置の変動が行われている全期間において、ノイズカウンタCNTの更新が保留される。
【0064】
そうでない場合(試験ステップE60において否定応答)、判定モジュール2Aは、その更新モジュール2A3によって、計算された偏差δ(nTe)を異なる閾値と比較して、この偏差に応じてカウンタCNTを更新する方法が判定される。
【0065】
より正確には、偏差δ(nTe)がターボジェットエンジン1の高圧圧縮機の不安定性に起因するノイズを表すかどうか、または、例えば、測定信号の取得ノイズ、または静圧の公称値を判定するために実行される測定信号のフィルタリングによって誘発される数値誤差に起因するノイズなど、圧縮機またはターボジェットエンジンの異常動作に厳密に関連していない他の現象に対応する摂動またはエラーに起因するかどうか(さらに言えば、回転ストールに起因するかどうか)を最初に判定する。本発明者らは、これらの摂動が、圧縮機の不安定性および場合によっては回転ストールの存在下で認められる偏差と比較して、測定信号のサンプル間のより小さい偏差を自然に引き起こすことに注目した。
図4Aは、回転ストールが存在する場合の、静圧の平均値に対するその偏差の変動の一例を示している。換言すれば、その平均値付近の静圧の変動の1つのサンプルから別のサンプルへのより小さい変動が示される。この挙動を考慮に入れ、したがって偏差δ(nTe)がターボジェットエンジン1の高圧圧縮機の不安定性に起因するノイズを表すかどうかを判定するために、更新モジュール2A3は、偏差δ(nTe)を閾値THR3(本発明の意味における第3の閾値)と比較し、これは実験的に容易に判定される(試験ステップE80)。
【0066】
偏差δ(nTe)が閾値THR3以下である場合(試験ステップE80において否定応答。この特定の場合を示す
図4Bも参照)、更新モジュール2A3は、この偏差が圧縮機の不安定性に起因するものでも、回転ストールに起因するものでもないとみなし、この場合、更新モジュール2A3は、ノイズカウンタCNTをデクリメントする(ステップE90)。
【0067】
一方、偏差δ(nTe)が閾値THR3よりも大きい場合(試験ステップE60において肯定応答。この特定の場合を示す
図4Cも参照)、更新モジュール2A3は、この偏差が圧縮機の不安定性に起因し、潜在的に回転ストールに起因するとみなし、この場合、更新モジュール2A3は、ノイズカウンタCNTをインクリメントする(ステップE100)。
【0068】
ここで説明する実施形態では、ステップE100においてノイズカウンタCNTをインクリメントするために用いられる値は、偏差δ(nTe)の値に依存する。ここでより詳細には、この値は、その増加関数に沿って偏差δ(nTe)の関数として線形に変化する。さらに、ステップE90においてカウンタCNTをデクリメントする可能性がある値は、カウンタCNTをインクリメントする値よりも小さくなるように選択されるため、ノイズカウンタCNTの値に静圧PSの大きな変動の痕跡が残ることが保証される。
【0069】
さらに、ノイズカウンタCNTが異常な値をとることを回避するために、最小値(例えば、0)未満にならず、最大値(例えば、100)を超えないようにすることを想定することができることに留意されたい。換言すれば、インクリメントおよびデクリメント中にカウンタの値が負になる場合、それは0に制約され、定義された最大値(例えば、100)を超える場合、それはその最大値に制約される。
【0070】
更新モジュール2A3によって最新の状態に保たれたノイズカウンタCNTは、その平均値に対するターボジェットエンジン1の燃焼室内の静圧PSの変動のレベルを反映する。それは、検出装置2の第1の比較モジュール2Bによって閾値THR1(本発明の意味における第1の閾値)と比較されて、このレベルの変動が許容可能であるか、または逆にターボジェットエンジン1の高圧圧縮機の不安定性の兆候であるかどうかを判定する(試験ステップE110)。閾値THR1は、実験的に容易に判定されることができる。それは、誤検出のリスクを回避するのに十分な大きさに選択される。
【0071】
ノイズカウンタCNTが閾値THR1以下である場合(試験ステップE110において肯定応答)、センサ3Aによって取得された静圧PSの新たな測定値を用いてステップE30~E110が繰り返される。
【0072】
第1の比較モジュール2Bは、ノイズカウンタCNTが閾値THR1よりも大きいと判定した場合(試験ステップE120において否定応答)、静圧ノイズインジケータと呼ばれるインジケータI1を起動し、ターボジェットエンジン1の高圧圧縮機の不安定性が疑われることを示す(ステップE120)。ここで説明する実施形態では、この起動は、インジケータI1を値1に位置決めすることから構成される。
【0073】
次に、センサ3Aによって取得された静圧PSの新たな測定値を用いて、ステップE30~E120が繰り返される。
【0074】
前述のように、本発明は、回転ストールのいくつかの挙動シグネチャの監視に依存する。したがって、ターボジェットエンジン1の燃焼室内の静圧の変化に加えて、検出装置2は、本明細書に記載の実施形態では、ターボジェットエンジン1の低圧タービン出口温度Tも監視する。過剰温度Tは、閾値THR1を超えるその平均付近の静圧PSの変動レベルと組み合わされて、回転ストールの検出をトリガする。
【0075】
静圧PSの変動レベルを監視するステップE20~E120と並行して、検出装置2は、その第2の比較モジュール2Cによって、温度センサ3Bによって取得された温度Tの各測定値(ステップE130)を、例えば瞬間nTeにおいて、所定の閾値THR2(本発明の意味における第2の閾値)と比較する(試験ステップE140)。閾値THR2は、圧縮機の故障の兆候であり、回転ストールの存在に起因するターボジェットエンジン1の過熱現象に起因する可能性がある、ターボジェットエンジン1の低圧タービン出口における過剰温度を検出するように固定される。この閾値THR2は、実験的に判定されることができる。それは、誤検出のリスクを回避するのに十分な大きさに選択される。
【0076】
温度T(nTe)が閾値THR2以下である場合(試験ステップE140において肯定応答)、何の動作も行われず、新たな測定が考慮される。
【0077】
一方、温度T(nTe)が閾値THR2よりも大きい場合(試験ステップE140において否定応答)、I2で示される過剰温度インジケータが作動される(ステップE150)。ここで説明する実施形態では、この起動は、インジケータI2を値1に位置決めすることから構成される。
【0078】
ここで説明する実施形態では、検出装置2の検出モジュール2Dは、2つのインジケータI1およびI2が同時に起動されているかどうかを判定する(試験ステップE160)ように、換言すれば、所与の瞬間に、2つのインジケータI1およびI2が双方とも値1に位置決めされているかどうかを検出するように構成される。
【0079】
逆の場合(試験ステップE160において否定応答)、検出装置2は、低圧タービン出口における温度および燃焼室内の静圧の変動の監視を継続する。
【0080】
検出モジュール2Dは、2つのインジケータI1およびI2が起動されていると判定した場合(試験ステップE160において肯定応答)、ターボジェットエンジン1の高圧圧縮機に悪影響を及ぼす回転ストールの存在を検出し(ステップE170)、この回転ストールを処理するための動作をトリガするために、例えばその入力/出力手段10を介してそれを通知する(ステップE180)。そのような処理は、それ自体公知であり、ここでは詳細に説明されない。
【0081】
回転ストールの処理に続いて、インジケータI1およびI2は、ノイズカウンタCNTと同様に0に再初期化される(ステップE190)。