(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】アクチニウムの精製
(51)【国際特許分類】
G21G 4/08 20060101AFI20240209BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20240209BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20240209BHJP
B01J 20/285 20060101ALI20240209BHJP
G01N 30/00 20060101ALI20240209BHJP
B01D 15/18 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G21G4/08 Z
G01N30/88 B
G01N30/26 A
B01J20/285 Z
G01N30/00 E
B01D15/18
(21)【出願番号】P 2021539976
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2020050879
(87)【国際公開番号】W WO2020148316
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-11-24
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517183340
【氏名又は名称】エスセーカー・セーエーエヌ
【氏名又は名称原語表記】SCK.CEN
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】マールテンス,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヘッケ,カレン
(72)【発明者】
【氏名】カルディナールス,トーマス
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-527731(JP,A)
【文献】特表2016-536593(JP,A)
【文献】特開昭47-023374(JP,A)
【文献】特表2007-512118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21G 4/00-4/10
G01N 30/00
B01D 15/18
B01J 20/285
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AcならびにRa、Pb、Po、BiおよびLaから選択される少なくとも1種の元素を含んで成る混合物からAcを精製するための方法であって、
前記方法はa.第1の分離を実施すること、およびb.第2の分離を実施することを含み、
前記a.第1の分離を実施することは、
a1.第1の樹脂および第1のマトリックス溶液に基づく第1の抽出クロマトグラフィーカラムに前記混合物を装填する工程、
a2.前記第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された前記混合物を第1の洗浄溶液で洗浄する工程、および
a3.前記第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された前記混合物を第1の溶離液で溶出して、第1の溶出液を得る工程を含み、ならびに
前記b.第2の分離を実施することは、
b1.第2の樹脂および第2のマトリックス溶液に基づく第2の抽出クロマトグラフィーカラムに前記第1の溶出液を装填する工程、
b2.前記第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された前記第1の溶出液を第2の洗浄溶液で洗浄する工程、および
b3.前記第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された前記第1の溶出液を第2の溶離液で溶出して、前記精製されたAcを含む第2の溶出液を得る工程を含み、
前記第1の樹脂はジグリコールアミド樹脂であり、前記第1のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、前記第1の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有しおよび前記第1の溶離液は1~4のpHを有し、ならびに
前記第2の樹脂はジアルキルリン酸樹脂であり、前記第2のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、前記第2の洗浄溶液は1~4のpHを有しおよび前記第2の溶離液は-0.8~0のpHを有する場合、または
前記第1の樹脂はジアルキルリン酸樹脂であり、前記第1のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、前記第1の洗浄溶液は1~4のpHを有しおよび前記第1の溶離液は-0.8~0のpHを有し、ならびに
前記第2の樹脂はジグリコールアミド樹脂であり、前記第2のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、前記第2の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有しおよび前記第2の溶離液は1~4のpHを有する場合、において、
前記第1の抽出クロマトグラフィーカラムと前記第2の抽出クロマトグラフィーカラムとの間を直列配置とすることにより、工程a3で得られた前記第1の溶出液を工程b1において前記第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直ちに装填することを特徴とする、方法。
【請求項2】
工程bの後、Acをさらに精製するための第3の分離を実施する工程cを含み、
前記工程c.は、
c1.第3の樹脂および第3のマトリックス溶液に基づく第3の抽出クロマトグラフィーカラムに前記第2の溶出液を装填する工程、
c2.前記第3の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された前記第2の溶出液を第3の洗浄溶液で洗浄する工程、および
c3.前記第3の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された前記第2の溶出液を第3の溶離液で溶出して、前記さらに精製されたAcを含む第3の溶出液を得る工程を含み、
前記第1の樹脂がジグリコールアミド樹脂である場合、前記第3の樹脂はジグリコールアミド樹脂であり、前記第3のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、前記第3の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有し、および前記第3の溶離液は1~2のpHまたは-0.9~-1.1のpHを有し、ならびに
前記第1の樹脂がジアルキルリン酸樹脂である場合、前記第3の樹脂はジアルキルリン酸樹脂であり、前記第3のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、前記第3の洗浄溶液は1~4のpHを有し、および前記第3の溶離液は-0.3~1のpHを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合物が、
i.RaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、ならびに
ii.PoおよびBiから選択される少なくとも1種の元素を含んで成る、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物が、照射ターゲットに由来する混合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物が、前記照射ターゲットを溶解することにより得られる溶液である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記照射ターゲットが、照射Raターゲット、好ましくはプロトン照射Ra-226ターゲットである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記AcがAc-225である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のマトリックス溶液および/もしくは前記第2のマトリックス溶液および/もしくは、存在する場合、第3のマトリックス溶液、ならびに/または
前記第1の洗浄溶液および/もしくは前記第2の洗浄溶液および/もしくは、存在する場合、第3の洗浄溶液、ならびに/または
前記第1の溶離液および/もしくは前記第2の溶離液および/もしくは、存在する場合、第3の溶離液は、HNO
3および/もしくはHClを含んで成る、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程aの前において、前記混合物からRa塩を沈殿させるさらなる工程を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物からRaを収集することおよび精製することをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
クラウンエーテル樹脂に基づく抽出クロマトグラフィーカラムおよび/またはジアルキルアルキルホスホネート樹脂に基づく抽出クロマトグラフィーカラムを使用するさらなる分離工程を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記クラウンエーテル樹脂に基づく前記抽出クロマトグラフィーカラムおよび/または前記ジアルキルアルキルホスホネート樹脂に基づく前記抽出クロマトグラフィーカラムを、前記抽出クロマトグラフィーカラムの前および/または前記抽出クロマトグラフィーカラムの後において、前記抽出クロマトグラフィーカラムと直列に連結する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プログラムがコンピュータによって実行される際に、該コンピュータに請求項1~11のいずれか1項に記載の方法の前記工程を実施させる命令を含む、コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Acを精製することに関し、より具体的には、Ac、ならびにRa、Pb、Po、BiおよびLaから選択される少なくとも1種の元素を含んで成る混合物からAcを精製することに関する。
【背景技術】
【0002】
Ac-225は、核医学の臨床応用、例えば、悪性腫瘍の放射線治療のために使用できることが知られている。Ac-225を生成する1つの方法は、Ra-226ターゲット(例えばRaCl2)にプロトンを照射することである。照射後、使用する前に、Ac-225がRaおよびその子孫(例えばPb、Po、Bi)から一般的に精製される必要がある。
【0003】
このような精製を達成するための1つの手法は、EP1987522B1に記載されている。この手法は、最初に、固体支持体上にコーティングされた第1の抽出剤システムに基づく抽出クロマトグラフィーによって、Ac-225をRa-226および他のRa同位体から分離することを含む。本明細書において、第1の抽出剤システムは、トリアルキルホスフェート中のカルバモイルホスフィンオキシド誘導体(例えば、TRU樹脂またはRE樹脂等のトリブチルホスフェート(TBP)中のオクチル(フェニル)-N、N-ジイソブチルカルバモイルホスフィンオキシド(CMPO))、およびN、N、N’、N’-テトラオクチルカルバモイルカルバメートまたはN、N、N’、N’-テトラ(2-エチルヘキシル)カルバモイルカルバメート、またはジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)から選択されるカルバモイルカルバメート誘導体であった。続いて、Ac-225が、固体支持体上にコーティングされた第2の抽出剤システムに基づく別の抽出クロマトグラフィーによってPo-210およびPb-210からさらに分離される。第2の抽出剤システムは、アルコール(例えば、Sr樹脂等の1-オクタノール中の4,4’(5')-ジ(t-ブチルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6)中の4(5’)、4’(5’)-ジ(アルキルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6である。
【0004】
それにもかかわらず、Acを精製するためのより良い方法の余地は依然当技術分野にある。特にAc-225の減衰時間は10日間と限られているため、精製プロセスの速度と性能が非常に重要になる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、Ac、並びにRa、Pb、Po、BiおよびLaから選択される少なくとも1種の元素を含んで成る混合物からAcを精製するための良好な方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、それに(または製品に;therewith)関連する良好な製品を提供することである。この目的は、本発明による方法、デバイス、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータ可読媒体によって達成される。
【0006】
本発明の実施形態の利点は、Acを複数のAcに(または元素に;thereto)関連する元素から分離することによって、Acを十分に精製できることである。関連する元素が化学親和力の範囲に及ぶことができることは、本発明の実施形態のさらなる利点である。
【0007】
本発明の実施形態の利点は、照射ターゲット(または照射されたターゲット;irradiated target)が、Acを精製するための供給源として使用され得ることである。本発明の実施形態のさらなる利点は、Acが、照射Raターゲット(例えば、プロトン照射Ra-226ターゲット)から精製されることである。本発明の実施形態のさらに別の利点は、Ra(例えば、Ra-226)が混合物から回収され得て、例えば、新しい照射ターゲットを形成するために再生利用されることができることである。
【0008】
本発明の実施形態の利点は、Acを迅速かつ比較的簡単なやり方で精製できることである。本発明の実施形態のさらなる利点は、これが、わずか10日のみの限られた半減期を有するAc-225を精製するのによく適していることである。
【0009】
本発明の実施形態の利点は、Acが中間フラクションを収集する必要なしにその後の精製工程を受けることができることである。
【0010】
本発明の実施形態の利点は、溶出工程の溶媒システムが、後続の装填工程の溶媒システムと互換性があり得ることである。
【0011】
本発明の実施形態の利点は、マトリックス溶液、洗浄溶液および溶離液が容易に入手可能な化学物質に基づくことができることである。
【0012】
本発明の実施形態の利点は、混合物中のRaの少なくとも一部が、さらなる分離工程を受けるに先立って混合物から沈殿させることができることである。
【0013】
本発明の実施形態の利点は、クラウンエーテル樹脂および/またはジアルキルアルキルホスホネート樹脂もまた使用することによって精製がさらに改善されることができることである。本発明の実施形態のさらなる利点は、クラウンエーテル樹脂系および/またはジアルキルアルキルホスホネート樹脂系の抽出クロマトグラフィーカラムもまた、他の抽出クロマトグラフィーカラムと直列配置(またはタンデム、または直列形態;tandem)に連結することができることである。
【0014】
本発明の実施形態の利点は、方法がデバイスによって実質的に完全に自動化され得て、実施を容易、迅速かつ簡単にすることができることである。
【0015】
第1の態様では、本発明は、AcならびにRa、Pb、Po、BiおよびLaから選択される少なくとも1種の元素を含んで成る混合物からAcを精製するための方法に関し、上記方法は(a)第1の分離を実施すること、および(b)第2の分離を実施することを含み、(a)第1の分離を実施することは、(a1)第1の樹脂および第1のマトリックス溶液に基づく第1の抽出クロマトグラフィーカラムに混合物を装填する工程、(a2)第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された混合物を第1の洗浄溶液で洗浄する工程、および(a3)第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された混合物を第1の溶離液で溶出して、第1の溶出液を得る工程を含み、ならびに(b)第2の分離を実施することは、(b1)第2の樹脂および第2のマトリックス溶液に基づく第2の抽出クロマトグラフィーカラムに第1の溶出液を装填する工程、(b2)第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された第1の溶出液を第2の洗浄溶液で洗浄する工程、および(b3)第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された第1の溶出液を第2の溶離液で溶出して、精製されたAcを含む第2の溶出液を得る工程を含む。本明細書では、第1の樹脂はジグリコールアミド(DGA)樹脂であり、第1のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、第1の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有しおよび第1の溶離液は1~4のpHを有し、ならびに第2の樹脂はジアルキルリン酸(HDAP)樹脂であり、第2のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、第2の洗浄溶液は1~4のpHを有しおよび第2の溶離液は-0.8~0のpHを有する、または第1の樹脂はジアルキルリン酸樹脂であり、第1のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、第1の洗浄溶液は1~4のpHを有しおよび第1の溶離液は-0.8~0のpHを有し、ならびに第2の樹脂はジグリコールアミド樹脂であり、第2のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、第2の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有しおよび第2の溶離液は1~4のpHを有する。第2の樹脂が最後のカラムである場合、pHは-0.9~-1.1でも可能である。上記方法は、工程a3で得られた第1の溶出液を、第1の抽出クロマトグラフィーカラムと第2の抽出クロマトグラフィーカラムとの間を直列配置とすることにより、工程b1において第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直ちに装填することを特徴とする。
【0016】
本発明の実施形態の利点は、方法およびシステムが、比較的短い時間枠で高純度のAcを得ることができることである。
【0017】
本発明の実施形態の利点は、プロセスの自動化を可能にする方法およびシステムが提供されることである。
【0018】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の任意の実施形態による方法を実施するためのシステムに関する。方法は、第1の実施形態の任意の実施形態による方法の工程を実施するための手段を含み得る。システムは、混合物を受容するための投入手段、Acを取り出すための取出手段、および上記方法の工程aおよびbおよび上記方法で存在する場合に任意選択で工程cを自動実施するためのコントローラーまたはコントロール手段を有して成り得る。したがって、コントローラーは通常、第1の抽出クロマトグラフィーカラムと第2の抽出クロマトグラフィーカラムとの間を直列配置にすることにより、工程a3で得られた第1の溶出液が、工程b1の第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直ちに装填されることを制御するようにプログラムされる。したがって、このシステムは、第1の抽出クロマトグラフィーカラムと第2の抽出クロマトグラフィーカラムとの間の直列配置を含む。いくつかの実施形態では、システムは、第1の樹脂および第1のマトリックス溶液に基づく第1の抽出クロマトグラフィーカラム、および第2の樹脂および第2のマトリックス溶液に基づく第2の抽出クロマトグラフィーカラムを有して成り、第1の樹脂はジグリコールアミド樹脂であり、および第1のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、ならびに第2の樹脂はジアルキルリン酸樹脂であり、および第2のマトリックス溶液は1~4のpHを有する、または第1の樹脂はジアルキルリン酸樹脂であり、および第1のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、ならびに第2の樹脂はジグリコールアミド樹脂であり、および第2のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有する、のいずれか一方であり、第1の抽出カラムおよび第2の抽出カラムは、第1の抽出クロマトグラフィーカラムと第2の抽出クロマトグラフィーカラムとの間を直列配置にすることにより、第1の抽出カラムから得られた溶出液を第2の抽出カラムに直接装填できるようになっている。システムには、第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された第1の混合物を洗浄するための第1の洗浄溶液、および第2の抽出カラムに装填された第2の混合物を洗浄するための第2の洗浄溶液が設けられ、第1の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有し、および第2の洗浄溶液は1~4のpHを有する、またはその逆である。
【0019】
第3の態様では、本発明は、プログラムがコンピュータによって実行される際に、コンピュータに第1の態様の任意の実施形態による方法の工程を実施させる命令を含み、従って、コンピュータプログラム製品は、第1の抽出クロマトグラフィーカラムおよび第2の抽出クロマトグラフィーカラムとの間を直列配置にすることにより、工程a3で得られた第1の溶出液を工程b1の第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直ちに装填するための命令を含むものである。
【0020】
第4の態様では、本発明は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに第1の態様の任意の実施形態による方法の工程を実施させる命令を含むコンピュータ可読媒体に関する。
【0021】
本発明の特定かつ好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属クレームの特徴は、単にクレームに明示的に記載されているだけでなく、必要に応じて、独立クレームの特徴および他の従属クレームの特徴と組み合わせることができる。
【0022】
この分野におけるデバイスの絶え間ない改善、変更、および進化があったが、本コンセプトは、従来の慣行からの逸脱を含む、実質的な新しくおよび斬新な改善を表し、この性質のより効率的で安定した信頼性の高いデバイスの提供をもたらすと考えられる。
【0023】
本発明の上記および他の特性、特徴および利点は、例として本発明の原理を説明する添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は、本発明の範囲を限定することなく、例としてのみ与えられている。以下に引用する参考図は、添付の図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態によるフローチャートである。
【0025】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態によるフローチャートである。
【0026】
【
図3】
図3は、本発明の例示的な実施形態によるフローチャートである。
【0027】
【
図4】
図4は、本発明の例示的な実施形態によるフローチャートである。
【0028】
【
図5】
図5は、本発明の例示的な実施形態によるフローチャートである。
【0029】
異なる図において、同じ参照記号は同じまたは類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明は、それに限定されず、特許請求の範囲によってのみ説明される。記載されている図面は概略的なものであり、非限定的である。図面では、いくつかの要素のサイズは誇張されており、説明の目的で縮尺どおりに描かれていない場合がある。寸法および相対寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に対応していない。
【0031】
さらに、説明および特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも時間的、空間的、ランク付けまたは他の方法で配列を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示以外の順序で動作することができることを理解されたい。
【0032】
さらに、説明および特許請求の範囲における「上」、「下」などの用語は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下でそれらの反意語と交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または図示以外の方向で動作することができることを理解されたい。
【0033】
請求項で使用される「有して成る(comprising)」という用語は、その後に記載された手段に限定されるものと解釈されるべきではないことに留意されたい。他の要素や工程を除外するものではない。したがって、それは、記載された特徴、整数、工程または構成要素の存在を指定するものとして解釈されるべきであるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程または構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。それゆえ、「有して成る(comprising)」という用語は、記載された特徴のみが存在する状況、並びにこれらの特徴および1つ以上の他の特徴が存在する状況を包含する。したがって、「手段AおよびBを有して成るデバイス」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなるデバイスに限定されると解釈されるべきではない。これは、本発明に関して、デバイスの関連する構成要素のみがAおよびBであることを意味する。
【0034】
同様に、特許請求の範囲でも使用される「連結された(または結合された)(coupled)」という用語は、直接接続のみに限定されると解釈されるべきではないことに留意されたい。「連結された(coupled)」および「接続された(connected)」という用語は、それらの派生語とともに使用され得る。これらの用語は、相互の同義語として意図されたものではないことを理解されたい。したがって、「デバイスBに連結されているデバイスA」という表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接接続されているデバイスまたはシステムに限定されるべきではない。これは、他のデバイスまたは手段を含むパスであり得るAの出力とBの出力との間のパスが存在することを意味する。「連結された(coupled)」とは、2つ以上の要素が直接物理的または電気的に接触していること、または2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでも互いに協力的または相互作用することを意味し得る。
【0035】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での「一実施形態において」または「実施形態において」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らないが、そうであり得る。さらに、特定の特徴、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0036】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を合理化し、様々な発明的側面の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図、またはその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、本開示の方法は、クレームされた発明が各クレームに明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、上記の単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、本明細書に明示的に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態としてそれ自体で主張する。
【0037】
さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴ではなくいくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあり、当技術分野の人らによって理解されるように、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれかは、任意の組み合わせで使用され得る。
【0038】
さらに、いくつかの実施形態は、コンピュータシステムのプロセッサによって、または機能を実行する他の手段によって実施することができる方法または方法の要素の組み合わせとして本明細書に記載されている。したがって、そのような方法または方法の要素を実行するために必要な命令を有するプロセッサは、方法または方法の要素を実行するための手段を形成する。さらに、装置実施形態の本明細書に記載の要素は、本発明を実施する目的のために要素によって実行される機能を実施するための手段の一例である。
【0039】
本明細書で提供される記載では、多くの特定の詳細が示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが理解される。他の例では、この説明の理解を曖昧にしないために、周知の方法、構造、および技法は詳細に示されていない。
【0040】
以下の用語は、本発明の理解を助けるためにのみ提供されている。
【0041】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「アルキル」置換基は、直鎖、分岐または環状(シクロアルキル)飽和炭化水素の一価置換基である。アルキル置換基は、例えば、1~100個の炭素原子、好ましくは2~50個、さらにより好ましくは3~20個、例えば5~10個を有し得る。実施形態において、単一の化合物内の異なるアルキル置換基は、互いに独立して選択され得る。上記の内容にもかかわらず、単一の化合物内の異なるアルキル置換基は、特に(例えば、好ましい)実施形態が等しくなるように選択され得る。
【0042】
第1の態様では、本発明は、AcならびにRa、Pb、Po、BiおよびLaから選択される少なくとも1種の元素を含んで成る混合物からAcを精製するための方法に関し、上記方法は(a)第1の分離を実施すること、および(b)第2の分離を実施することを含み、(a)第1の分離を実施することは、(a1)第1の樹脂および第1のマトリックス溶液に基づく第1の抽出クロマトグラフィーカラムに混合物を装填する工程、(a2)第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された混合物を第1の洗浄溶液で洗浄する工程、および(a3)第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された混合物を第1の溶離液で溶出して、第1の溶出液を得る工程を含み、ならびに(b)第2の分離を実施することは、(b1)第2の樹脂および第2のマトリックス溶液に基づく第2の抽出クロマトグラフィーカラムに第1の溶出液を装填する工程、(b2)第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された第1の溶出液を第2の洗浄溶液で洗浄する工程、および(b3)第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された第1の溶出液を第2の溶離液で溶出して、精製されたAcを含む第2の溶出液を得る工程を含む。本明細書では、第1の樹脂はジグリコールアミド(DGA)樹脂であり、第1のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、第1の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有しおよび第1の溶離液は1~4のpHを有し、ならびに第2の樹脂はジアルキルリン酸(HDAP)樹脂であり、第2のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、第2の洗浄溶液は1~4のpHを有しおよび第2の溶離液は-0.8~0のpHを有する、または第1の樹脂はジアルキルリン酸樹脂であり、第1のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、第1の洗浄溶液は1~4のpHを有しおよび第1の溶離液は-0.8~0のpHを有し、ならびに第2の樹脂はジグリコールアミド樹脂であり、第2のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、第2の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有しおよび第2の溶離液は1~4のpHを有する。第2の樹脂が最後のカラムである場合、pHは-0.9~-1.1でも可能である。
【0043】
実施形態では、混合物は、照射ターゲットに由来する(またはから得られる;derived from)混合物であり得る。実施形態では、混合物は、照射ターゲットを溶解することによって得られる溶液であり得る。実施形態では、照射ターゲットを溶解することは、照射ターゲットを酸性溶液、例えばpHが-0.8~0または1~4である酸性溶液に溶解することを含み得る。実施形態では、照射ターゲットは、照射Raターゲット、好ましくはプロトン(または陽子;proton)照射(または照射された;irradiated)Ra-226ターゲットであり得る。実施形態では、Acは、Ac-225であり得る。混合物は、有利には、プロトン照射Ra-226ターゲットを溶解することによって得られるAc-225を含んで成る混合物であり得る。
【0044】
実施形態において、ジグリコールアミド樹脂は、ジグリコールアミドに基づく樹脂であり得る。実施形態において、ジグリコールアミドは、以下の一般的な化学式を有し得る。
【化1】
R1、R2、R3およびR4は独立して選択されるアルキル置換基である。好ましい実施形態では、ジグリコールアミドは、N、N、N'、N'-テトラオクチルジグリコールアミド(TODGA;すなわち、R1=R2=R3=R4=n-オクチル)またはN、N、N'、N'-テトラ(2-エチルヘキシル)ジグリコールアミド(TEHDGA;すなわちR1=R2=R3=R4=2-エチルヘキシル)から選択され得る。
【0045】
実施形態において、ジアルキルリン酸樹脂は、ジアルキルリン酸に基づく樹脂であり得る。実施形態において、ジアルキルリン酸は、以下の一般的な化学式を有し得る。
【化2】
R5とR6は独立して選択されるアルキル置換基である。好ましい実施形態において、ジアルキルリン酸は、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)であり得る。
【0046】
実施形態では、方法は、工程bの後、Acをさらに精製するための第3の分離を実施する工程(c)を含み、工程(c)は、(c1)第3の樹脂および第3のマトリックス溶液に基づく第3の抽出クロマトグラフィーカラムに第2の溶出液を装填する工程、(c2)第3の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された第2の溶出液を第3の洗浄溶液で洗浄する工程、および(c3)第3の抽出クロマトグラフィーカラムに装填された第2の溶出液を第3の溶離液で溶出して、さらに精製されたAcを含む第3の溶出液を得る工程を含み、第1の樹脂がジグリコールアミド樹脂である場合、第3の樹脂はジグリコールアミド樹脂であり、第3のマトリックス溶液は-0.8~0のpHを有し、第3の洗浄溶液は-0.8~0のpHを有し、および第3の溶離液は1~2のpHまたは-0.9~-1.1のpHを有し、または(ならびに)第1の樹脂がジアルキルリン酸樹脂である場合、第3の樹脂はジアルキルリン酸樹脂であり、第3のマトリックス溶液は1~4のpHを有し、第3の洗浄溶液は1~4のpHを有し、および第3の溶離液は-0.3~1のpHを有する。
【0047】
Acの良好な(例えば、高速で信頼性の高い)分離戦略はいくつかのタイプの抽出クロマトグラフィーカラムを連結することから利益を得るということが、本発明の範囲内で実現された。この点で、DGAおよびHDAPの抽出クロマトグラフィーカラムの組み合わせ(いずれの順序においても)に基づくAc分離戦略が、特に、マトリックス溶液、洗浄溶液、および溶離液のpHが本明細書に提供されるように選択される場合、特に良好な結果をもたらすことが驚くべきことにわかった。さらに、これらのDGAおよびHDAPの抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、DGA/HDAP/DGAもしくはHDAP/DGA/HDAPシステムの形式、またはDGA/HDAP/DGA/HDAPもしくはHDAP/DGA/HDAP/DGAシステム等でさえも)を交互に使用することで、分離をさらに改善できる。
【0048】
実施形態において、工程a3で得られた第1の溶出液は、第1の抽出クロマトグラフィーカラムと第2の抽出クロマトグラフィーカラムとの間を直列配置にすることにより、工程b1の第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直ちに装填し(または入れる、またはロードする、または投じる;load)得る。工程cを含む実施形態において、工程b3で得られた第2の溶出液は、第2の抽出クロマトグラフィーカラムおよび第3の抽出クロマトグラフィーカラムとの間を直列配置にすることにより、工程cの第3の抽出クロマトグラフィーカラムに直ちに装填され得る。実施形態において、第1の溶離液は、工程b1における装填と互換性(又は対応あり;compatible)があり得る。工程cを含む実施形態において、第2の溶離液は、工程cにおける装填と互換性があり得る。第1および/または第2の溶出液を別々に収集するのではなく、代わりに次の抽出に直接装填することにより、例えば、方法(またはメソッド;method)の実行速度を有利に改善することができる。さらに、溶出工程で使用される溶媒システムは、次の装填工程を実行する前に変更する必要がないという利点がある。
【0049】
実施形態では、混合物は、(i)RaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、および(ii)PoおよびBiから選択される少なくとも1種の元素を含んで成り得る。PoおよびBiは、Ac含有溶出液を溶出する(または溶離する;eluting)際に、DGAの抽出クロマトグラフィーカラムに吸着されたままであることが有利である。RaおよびPbは、DGAまたはHDAPの抽出クロマトグラフィーカラムのいずれかから有利に容易に洗い流すことができる。
【0050】
実施形態において、1つ以上のマトリックス溶液(すなわち、第1のマトリックス溶液および/または第2のマトリックス溶液および/またはもし存在する場合、第3のマトリックス溶液)は、水溶液であり得る。実施形態では、1つ以上のマトリックス溶液は、一価の強酸(例えば、HNO3またはHCl)または一価の強酸の混合物(例えば、HNO3およびHCl)を含んで成り得る。好ましい実施形態では、すべてのマトリックス溶液(すなわち、第1のマトリックス溶液および第2のマトリックス溶液、ならびにもし存在する場合は第3のマトリックス溶液)は、一価の強酸または一価の強酸の混合物を含んで成り得る。第1の樹脂がDGA樹脂である実施形態では、第1のマトリックス溶液は、1~6M(例えば1~4M、例えば1~3M等)の一価の強酸濃度を有し得て、および/または第2のマトリックス溶液は、0.0001~0.1M(例えば0.01M)の一価の強酸濃度を有し得て、および/または存在する場合、第3のマトリックス溶液は、1~6M(例えば1~4M、例えば2M等)の一価の強酸濃度を有し得る。第1の樹脂がHDAP樹脂である実施形態では、第1のマトリックス溶液は、0.0001~0.1M(例えば0.001~0.1M、例えば0.01M等)の一価の強酸濃度を有し得て、および/または第2のマトリックス溶液は、1~6M(例えば2~6M、例えば2M等)の一価の強酸濃度を有し得て、および/または存在する場合、第3のマトリックス溶液は、0.0001~0.1M(例えば、0.01M)の一価の強酸濃度を有し得る。実施形態では、1つ以上のマトリックス溶液は、Fe(III)を含んで成り得る。実施形態において、Fe(III)濃度は、50~2000mg/Lであり得る。実施形態では、Fe(III)を含んで成る1つ以上のマトリックス溶液は、一価の強酸としてHClを含んで成り得る。例えば、第1の樹脂は、DGA樹脂であり得て、第1のマトリックス溶液は、HCl(例えば、4MHCl)およびFe(III)(例えば、50~2000mg/L)の溶液であり得る。
【0051】
実施形態では、1つ以上の洗浄溶液(すなわち、第1の洗浄溶液および/または第2の洗浄溶液および/または存在する場合は第3の洗浄溶液)は水溶液であり得る。実施形態では、1つ以上の洗浄溶液は、一価の強酸(例えば、HNO3またはHCl)または一価の強酸の混合物(例えば、HNO3およびHCl)を含んで成り得る。好ましい実施形態では、すべての洗浄溶液(すなわち、第1の洗浄溶液および第2の洗浄溶液、ならびにもし存在する場合は第3の洗浄溶液)は、一価の強酸または一価の強酸の混合物を含んで成り得る。第1の樹脂がDGA樹脂である実施形態では、第1の洗浄溶液は、1~6M(例えば3~6M、例えば4M等、または、例えば1~3M、例えば1M等)の一価の強酸濃度を有し得て、および/または第2の洗浄溶液は、0.0001~0.1M(例えば0.001~0.1M、例えば0.01M等)の一価の強酸濃度を有し得て、および/またはもし存在する場合、第3の洗浄溶液は、1~6M(例えば、4M)の一価の強酸濃度を有し得る。第1の樹脂がHDAP樹脂である実施形態では、第1の洗浄溶液は、0.0001~0.1M(例えば0.001~0.1M、例えば0.01M等)の一価の強酸濃度を有し得て、および/または第2の洗浄溶液は、1~6M(例えば2~6M、例えば4M等)の一価の強酸濃度を有し得て、および/またはもし存在する場合、第3の洗浄溶液は、0.0001~0.1M(例えば0.001~0.1M、例えば0.01M等)の一価の強酸濃度を有し得る。実施形態では、1つ以上の洗浄溶液は、Fe(III)を含んで成り得る。実施形態では、Fe(III)濃度は、50~2000mg/Lであり得る。実施形態では、Fe(III)を含んで成る1つ以上の洗浄溶液は、一価の強酸としてHClを含んで成り得る。例えば、第1の樹脂はDGA樹脂であり得て、第1の洗浄溶液はHCl(例えば、4MのHCl)およびFe(III)(例えば、50~2000mg/L)の溶液であり得る。実施形態では、洗浄溶液は、初期酸性度および/または組成物および/または濃度を最初に有し得て、酸性度および/または組成物および/または濃度は、洗浄工程(すなわち、工程a2またはb2またはc2)中に変化し得る。
【0052】
実施形態では、1つ以上の溶離液(すなわち、第1の溶離液および/または第2の溶離液および/またはもし存在する場合は第3の溶離液)は水溶液であり得る。実施形態では、1つ以上の溶離液は、一価の強酸(例えば、HNO3またはHCl)または一価の強酸の混合物(例えば、HNO3およびHCl)を含んで成り得る。好ましい実施形態では、すべての溶離液(すなわち、第1の溶離液および第2の溶離液、ならびに存在する場合は第3の溶離液)は、一価の強酸または一価の強酸の混合物を含んで成り得る。第1の樹脂がDGA樹脂である実施形態では、第1の溶離液は、0.0001~0.1M(例えば、0.01M)の一価の強酸濃度を有し得る。および/または第2の溶離液は、1~6M(例えば1~4M、例えば2M等)の一価の強酸濃度を有し得る。および/またはもし存在する場合、第3の溶離液は、0.01~0.1M(例えば、0.01M)または8~12M(例えば、10M)の一価の強酸濃度を有し得る。第1の樹脂がHDAP樹脂である実施形態では、第1の溶離液は、1~6M(例えば2~6M、例えば2M等)の一価の強酸濃度を有し得る。および/または第2の溶離液は、0.0001~0.1M(例えば、0.01M)または8~12M(例えば、10M)の一価の強酸濃度を有し得る。および/またはもし存在する場合、第3の溶離液は、0.1~2M(例えば、2M)の一価の強酸濃度を有し得る。実施形態において、溶離液は、最初に、初期酸性度および/または組成物および/または濃度を有し得て、酸性度および/または組成物および/または濃度は、洗浄工程(すなわち、工程a3またはb3またはc3)中に変化し得る。
【0053】
実施形態では、方法は、混合物からRa塩を沈殿させるさらなる工程を含み得る。実施形態では、Ra塩を沈殿させるさらなる工程が、工程aの前に実行され得る。実施形態では、Ra塩を沈殿させることは、Ra(NO3)2(例えば、6M以上のHNO3溶液等の濃HNO3溶液中に)またはRaCl2(例えば、6M以上のHCl溶液等の濃HCl溶液中に)を沈殿させることを含み得る。
【0054】
実施形態では、方法は、混合物からRaを収集することおよび精製することをさらに含み得る。実施形態では、(例えば、RaCl2の溶液の形態で)精製されたRaは、蒸発乾固して、RaCl2固体を生成することができる。実施形態では、Raを収集することおよび精製することは、第1の洗浄工程a2の後に得られたフラクションを収集することおよび精製すること、ならびに/または沈殿したRa塩を収集すること、および精製することを含み得る。実施形態では、第1の洗浄工程a2の後に得られたフラクションを収集することおよび精製することは、RaをPoおよび/またはFe(III)から分離することを含み得る。実施形態では、RaをPoおよび/またはFe(III)から分離することは、DGAの抽出クロマトグラフィーカラムの使用を含み得る。実施形態では、RaをPoから分離することは、0.001~0.1MのHClまたは1~5MのHCl溶液でDGAの抽出クロマトグラフィーカラムを洗浄することを含み得る。このようにして、PoをDGAの抽出クロマトグラフィーカラムに残したまま、RaをDGAの抽出クロマトグラフィーカラムから有利に定量的に除去することができる。実施形態では、RaをPoおよび/またはFe(III)から分離することは、DGAの抽出クロマトグラフィーカラムの使用を含み得る。実施形態では、RaをFe(III)から分離することは、DGAの抽出クロマトグラフィーカラムを1~5MのHCl溶液で洗浄することを含み得る。このようにして、Fe(III)をDGAの抽出クロマトグラフィーカラムに残したまま、RaをDGAの抽出クロマトグラフィーカラムから有利に定量的に除去することができる。実施形態では、沈殿したRa塩を収集することおよび精製することは、Ra塩を濾過することを含み得る。実施形態では、Ra塩がRa(NO3)2である場合、沈殿したRa塩を収集することおよび精製することは、Ra(NO3)2をRaCl2に変換することを含み得る。いくつかの実施形態では、Ra(NO3)2をRaCl2に変換することは、Ra(NO3)2をRaCO3として(再)沈殿させ、RaCO3をHCl(例えば、0.1~1MのHCl)に溶解し、得られた溶液を蒸発乾固させて、RaCl2固体を生成する。他の実施形態では、Ra(NO3)2をRaCl2に変換することは、Ra(NO3)2を陽イオン交換体に装填し、陽イオン交換体を(残留硝酸塩を除去するために)0.001~0.1MのHCl溶液でリンスし、および1~10MのHCl溶液を使用する陽イオン交換体からRaCl2溶液を溶出することを含み得る。
【0055】
実施形態では、方法は、クラウンエーテル樹脂に基づく抽出クロマトグラフィーカラムを使用するさらなる分離工程を含み得る。第1の樹脂がDGA樹脂である実施形態では、クラウンエーテル樹脂に基づくさらなる分離工程は、工程aの前、または工程bの後、および工程c(存在する場合)の前に実施され得る。第1の樹脂がHDAP樹脂である実施形態では、クラウンエーテル樹脂に基づくさらなる分離工程は、工程aの後、および工程bの前、または工程c(存在する場合)の後に実行され得る。実施形態では、クラウンエーテル樹脂は、18-クラウン-6系であり得る。実施形態では、18-クラウン-6は、ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、好ましくはジ(アルキルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6であり得る。実施形態では、ジ(アルキルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6は以下の一般的な化学式を有し得て、
【化3】
R
7とR
8は独立して選択されるアルキル置換基である。好ましい実施形態では、ジ(アルキルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6は、以下の一般的な化学式を有するジ(t-ブチルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6であり得る
【化4】
。
実施形態では、ジ(t-ブチルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6は、4-4'-ジ(t-ブチルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6または4-4'-ジ(t-ブチルシクロヘキサノ)-18-クラウン-6またはそれらの混合物であり得る。
【0056】
実施形態では、方法は、ジアルキルアルキルホスホネート樹脂に基づくさらなる分離工程を含み得る。実施形態では、ジアルキルアルキルホスホネート樹脂に基づくさらなる分離工程は、工程aの後工程bの前、または工程bの後工程c(存在する場合)の前に実施することができる。第1の樹脂がHDAP樹脂である実施形態において、ジアルキルアルキルホスホネート樹脂に基づくさらなる分離工程は、工程c(存在する場合)の後に実施され得る。実施形態では、ジアルキルアルキルホスホネート樹脂は、ジアルキルアルキルホスホネートに基づく樹脂であり得る。
【化5】
R
9、R
10およびR
11は独立して選択されるアルキル置換基である。好ましい実施形態では、ジアルキルアルキルホスホネートは、ジペンチルペンチルホスホネートであり得る。
【0057】
実施形態では、クラウンエーテル樹脂に基づく抽出クロマトグラフィーカラムおよび/またはジアルキルアルキルホスホネート樹脂に基づく抽出クロマトグラフィーカラムは、抽出クロマトグラフィーカラムの前および/または後に直列配置に連結され得る。実施形態では、クラウンエーテル樹脂およびジアルキルアルキルホスホネート樹脂に基づくさらなる分離工程が、両方とも工程bの後および工程c(存在する場合)の前に、または両方とも工程c(存在する場合)の後に行われる場合、クラウンエーテル樹脂に基づく分離が、ジアルキルアルキルホスホネート樹脂に基づく分離工程の前に実施され得る。
【0058】
実施形態では、第1の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、独立して、任意の他の態様の任意の実施形態について対応して記載される通りであり得る。
【0059】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の任意の実施形態による方法の工程を実施するための手段を有して成るデバイスに関する。
【0060】
実施形態では、装置は、(i)混合物の投入(または投入部、またはインプット;input)、(ii)精製されたAcの取出し(または取出部または排出、またはアウトプット;output)、および(iii)工程a、b、および存在する場合はcを自動化するための手段を含み得る。
【0061】
実施形態では、工程a、b、および存在する場合、cを自動化するための手段は、適切なマトリックス溶液、洗浄溶液、および溶離液を選択および使用するためのポンプ、バルブ、およびコントローラーを含み得る。
【0062】
実施形態では、工程a、b、および存在する場合、cを自動化するための手段は、第1、第2、および存在する場合は第3の抽出クロマトグラフィーカラムを連結および脱連結するためのバルブおよびコントローラーを含み得る。
【0063】
実施形態では、工程a、b、および存在する場合、cを自動化するための手段は、溶出されたフラクションの組成を(例えば、分光学的に)分析するための機器を含み得る。実施形態では、第2の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、独立して、任意の他の態様の任意の実施形態について記載されるようにすることができる。第3の態様では、本発明は、プログラムが実行される際に命令を含むコンピュータプログラム製品に関し得る。コンピュータによって、第1の態様の任意の実施形態による方法の工程をコンピュータに実行させる。
【0064】
実施形態では、コンピュータプログラム製品は、第2の態様の実施形態によるデバイスを制御するためのものであり得る。
【0065】
実施形態では、第3の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、独立して、任意の他の態様の任意の実施形態について対応して説明される通りであり得る。
【0066】
第4の態様では、本発明は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに第1の態様の任意の実施形態による方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体に関する。
【0067】
実施形態では、第4の態様の任意の実施形態の任意の特徴は、独立して、任意の他の態様の任意の実施形態について対応して記載される通りであり得る。
【0068】
本発明は、本発明のいくつかの実施形態の詳細な説明によって説明される。本発明の他の実施形態は、本発明の真の技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ制限されることは明らかである。
【実施例】
【0069】
[実施例1]DGA/HDEHP(/DGA)ルートを使用するAcの精製
実施例1a
ここで、この実施例のフローチャートを示す
図3を参照する。
【0070】
プロトン照射Ra-226ターゲットを最初に1~6MのHNO3溶液に溶解した。
【0071】
任意選択で、濃HNO3溶液(例:≧6MのHNO3)内でRa(NO3)2の沈殿により、Raをこの溶液から分離することができる。ろ過後、このRaは、例えばプロトン照射用の新しいRaターゲットを作るために再生利用(またはリサイクル;recycle)されることができる。
【0072】
溶解直後または任意選択の沈殿工程の後、Acサンプルを、フィード調整システムを介して、ジグリコールアミド(DGA)の第1の樹脂と1~4MのHNO3のマトリックス溶液に基づく第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填した(工程a1)。この装填は、任意選択のクラウンエーテル抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、Eichromから市販されているような、Sr樹脂に基づく)を最初に通過することによって任意選択で生じた。この任意選択のカラムは、好ましくは、第1の抽出クロマトグラフィーカラムと直列に連結された。任意選択のクラウンエーテル抽出クロマトグラフィーカラムは、Ra、Ac、およびBiを通過する間に、サンプルに存在し得るPoおよびPbの大部分を止めるのに有利に役立つことができる。
【0073】
次に、Acサンプルを装填したDGAの第1の抽出クロマトグラフィーカラムを、最初に3~6MのHNO3溶液、続いて1MのHNO3溶液を第1の洗浄溶液として使用して洗浄した(工程a2)。このようにして、主に残留するRaおよびPbを洗い流すことができ、このフラクションは、Raの再生利用のために任意選択的に収集することができた(上記を参照)。
【0074】
次に、DGAの第1の抽出クロマトグラフィーカラムを、第1の溶離液として0.01MのHCl溶液で溶離した(工程a3)。これにより、DGAの第1の抽出クロマトグラフィーカラムに残った残留PoおよびBiに対してAcを選択的にストリッピングすることができた。次に、そのようにして得られたAc含有第1の溶出液を、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)の第2の樹脂および0.01MのHClの第2のマトリックス溶液に基づく第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填した(工程b1)。好ましくは、第1の溶出液を中間的に収集することなく、工程a3の溶離および工程b1の装填が同時に起こるように、DGAの第1の抽出クロマトグラフィーカラムおよびHDEHPの第2の抽出クロマトグラフィーカラムを、直列に連結した。任意選択で、工程b1の装填は、任意選択のジアルキルアルキルホスホネートの抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、Eichromから市販されているように、UTEVA樹脂に基づく)を通過することによって生じた。この任意選択のカラムは、中間フラクションを収集する必要がないように、第1の抽出クロマトグラフィーカラムおよび/または第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直列配置で連結することが好ましい。
【0075】
次いで、第1の溶出液が装填されたHDEHPの第2の抽出クロマトグラフィーカラムを、0.01MのHClの第2の洗浄溶液を使用して洗浄した(工程b2)。このようにして、任意の残留するRaとPbをさらに洗い流すことができた。
【0076】
次に、HDEHPの第2の抽出クロマトグラフィーカラムを第2の溶離液として2MのHNO3溶液で溶離した(工程b3)。このようにして得られた第2の溶出液は、十分に精製されたAcにすでに対応する。そのため、第2のエレート(または溶出液)を収集し、この時点で精製を停止することが可能であった。
【0077】
それにもかかわらず、さらに精製するために、第2の溶出液を、DGAの第3の樹脂および2MのHNO3の第1のマトリックス溶液に基づく第3の抽出クロマトグラフィーカラムに任意選択で装填することができる(工程c1)。好ましくは、HDEHPの第2の抽出クロマトグラフィーカラムおよびDGAの第3の抽出クロマトグラフィーカラムは、第2の溶出液を中間的に収集することなく、工程b3での溶出および工程c1での装填が同時に起こるように、直列に連結された。任意選択で、工程c1の装填は、任意選択のクラウンエーテルの抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、Sr樹脂に基づく)および/または任意選択のジアルキルアルキルホスホネートの抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、UTEVA樹脂に基づく)を通過することによって生じた。これらの任意選択のカラムは、中間フラクションを収集する必要がないように、第2の抽出クロマトグラフィーカラムおよび/または相互に(両方を使用した場合)および/または第3の抽出クロマトグラフィーカラムに直列に連結することが好ましい。クラウンエーテルカラムとジアルキルアルキルホスホネートカラムの両方を使用した場合、第2の溶出液は通常最初に前者を通過し、次に後者を通過する。
【0078】
次に、第2の溶出液が装填されたDGAの第3の抽出クロマトグラフィーカラムを、4MのHNO3の第3の洗浄溶液を使用して洗浄した(工程c2)。
【0079】
次に、任意の残留Pb、Po、Bi、またはLaに対して選択的に、0.01MのHCl/HNO3溶液または10MのHNO3溶液のいずれかを第3の溶離液として用いてDGAの第3の抽出クロマトグラフィーカラムを溶出した(工程c3)。第3の溶出液は(さらに)十分に精製されたAc溶液に対応した。
【0080】
実施例1b
ここで、本実施例のフローチャートを示す
図4を参照する。
【0081】
プロトン照射したRa-226ターゲットは、最初に1~3MのHCl溶液に溶解した。
【0082】
任意選択で、濃HCl溶液(例:≧6MHCl)でRaCl2を沈殿させることにより、Raをこの溶液から分離することができる。ろ過後、このRaは、例えばプロトン照射用の新しいRaターゲットを作るために再生利用できる。
【0083】
溶解直後または任意選択の沈殿工程の後(または直後)、Acサンプルをフィード調整システムを介して、DGAの第1の樹脂、および50~2000mg/LのFe(III)を有する4MのHClからなる第1のマトリックス溶液に基づく第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填した(工程a1)。この装填は、任意選択の(例えば、Eichromから市販されているSr樹脂に基づく)クラウンエーテル抽出クロマトグラフィーカラムを最初に通過することによって任意選択で生じた。この任意選択のカラムは、好ましくは、第1の抽出クロマトグラフィーカラムと直列に連結された。任意選択のクラウンエーテル抽出クロマトグラフィーカラムは、Ra、Ac、およびBiを通過する間に、サンプルに存在する可能性のあるPoおよびPbの大部分を止めるのに有利に役立つ。
【0084】
次に、Acサンプルを装填したDGAの第1の抽出クロマトグラフィーカラムを第1の洗浄溶液として最初に50~2000mg/LのFe(III)を含む4MのHCl溶液、続いて3~4MのHNO3溶液、そして最後に1MのHNO3溶液を使用して洗浄した(工程a2)。このようにして、主に残留するRaおよびPbを洗い流すことができ、このフラクションは、Raの再生利用のために任意選択に収集することができた(上記を参照)。
【0085】
次に、DGAの第1の抽出クロマトグラフィーカラムを第1の溶離液として0.01MのHCl溶液で溶出した(工程a3)。これにより、DGAの第1の抽出クロマトグラフィーカラムに残った残留PoおよびBiに関してAcを選択的にストリッピングすることができた。次に、そのようにして得られたAc含有第1の溶出液を、HDEHPの第2の樹脂および0.01MのHClの第2のマトリックス溶液に基づく第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填した(工程b1)。好ましくは、DGAの第1の抽出クロマトグラフィーカラムおよびHDEHPの第2の抽出クロマトグラフィーカラムは、第1の溶出液を中間的に収集することなく、工程a3の溶出および工程b1の装填が同時に起こるように、直列配置に連結された。任意選択で、工程b1の装填は、任意選択の(例えば、Eichromから市販されているような、UTEVA樹脂に基づく)ジアルキルアルキルホスホネートの抽出クロマトグラフィーカラムを通過することによって生じた。この任意選択のカラムは、中間フラクションを収集する必要がないように、第1の抽出クロマトグラフィーカラムおよび/または第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直列に連結することが好ましい。
【0086】
次に、第1の溶出液が装填されたHDEHPの第2の抽出クロマトグラフィーカラムを、0.01MのHClの第2の洗浄溶液を使用して洗浄した(工程b2)。このようにして、残留するRa、Pb、Feをさらに洗い流すことができる。任意選択で、アスコルビン酸または別の還元剤を第2の洗浄溶液に添加して、残留Fe(III)をFe(II)に変換することができる。Fe(II)は抽出剤に対して親和性がない。
【0087】
次に、HDEHPの第2の抽出クロマトグラフィーカラムを第2の溶離液として2MのHNO3溶液で溶出した(工程b3)。このようにして得られた第2の溶出液は、すでに十分に精製されたAcに対応した。そのため、第2のエレート(または溶出液)を収集し、この時点で精製を停止することが可能であった。
【0088】
それにもかかわらず、さらに精製するために、第2の溶出液を、DGAの第3の樹脂および2MのHNO3の第1のマトリックス溶液に基づく第3の抽出クロマトグラフィーカラムに任意選択で装填することができる(工程c1)。好ましくは、HDEHPの第2の抽出クロマトグラフィーカラムおよびDGAの第3の抽出クロマトグラフィーカラムは、第2の溶出液を中間的に収集することなく、工程b3での溶出および工程c1での装填が同時に起こるように、直列に連結された。任意選択で、工程c1の装填は、任意選択のクラウンエーテルの抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、Sr樹脂に基づく)および/または任意選択のジアルキルアルキルホスホネートの抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、UTEVA樹脂に基づく)を通過することによって生じた。これらの任意選択のカラムは、中間フラクションを収集する必要がないように、第2の抽出クロマトグラフィーカラムおよび/または相互に(両方を使用した場合)および/または第3の抽出クロマトグラフィーカラムに直列に連結することが好ましい。クラウンエーテルカラムとジアルキルアルキルホスホネートカラムの両方を使用した場合、第2の溶出液は通常最初に前者を通過し、次に後者を通過する。
【0089】
次に、第2の溶出液が装填されたDGAの第3の抽出クロマトグラフィーカラムを、4MのHNO3の第3の洗浄溶液を使用して洗浄した(工程c2)。
【0090】
次に、任意の残留Pb、Po、Bi、またはLaに対して選択的に、0.01MのHCl/HNO3溶液または10MのHNO3溶液のいずれかを第3の溶離液として用いて、DGAの第3の抽出クロマトグラフィーカラムを溶出した(工程c3)。第3の溶出液は(さらに)十分に精製されたAc溶液に対応した。
【0091】
この装填は、任意選択のクラウンエーテルの抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、Eichromから市販されているSr樹脂に基づく)を最初に通過することによって任意選択で生じた。この任意選択のカラムは、好ましくは、第1の抽出クロマトグラフィーカラムと直列に連結された。任意選択のクラウンエーテル抽出クロマトグラフィーカラムは、Ra、Ac、およびBiを通過する間に、サンプルに存在する可能性のあるPoおよびPbの大部分を止めるのに有利に役立つ。
【0092】
[実施例2]HDEHP/DGA(/HDRP)ルートを使用したAcの精製
ここで、本実施例のフローチャートを示す
図5を参照する。
【0093】
プロトン照射したRa-226ターゲットを最初に0.001~0.1MのHCl溶液に溶解した。
【0094】
次に、Acサンプルをフィード調整システムを介して、HDEHPの第1の樹脂と0.01MのHClの第1のマトリックス溶液に基づく第1の抽出クロマトグラフィーカラムに装填した(工程a1)。
【0095】
次に、Acサンプルを装填したHDEHPの第1の抽出クロマトグラフィーカラムを、第1の洗浄溶液として0.01MのHCl溶液を使用して洗浄した(工程a2)。このようにして、残留するRaおよびPbをさらに洗い流すことができ、このフラクションは、Raの再生利用のために任意に収集することができる(上記を参照)。
【0096】
次に、HDEHPの第1の抽出クロマトグラフィーカラムを第2の溶離液として2MのHNO3溶液で溶出した(工程a3)。次いで、そのようにして得られたAc含有第1の溶出液を、DGAの第2の樹脂および0.01MのHClの第2のマトリックス溶液に基づく第2の抽出クロマトグラフィーカラムに装填した(工程b1)。好ましくは、HDEHPの第1の抽出クロマトグラフィーカラムおよびDGAの第2の抽出クロマトグラフィーカラムは、第1の溶出液を中間的に収集することなく、工程a3の溶出および工程b1の装填が同時に起こるように、直列に連結された。任意選択で、工程b1の装填は、任意選択のクラウンエーテルの抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、Eichromから市販されているSr樹脂に基づく)および/または任意選択のジアルキルアルキルホスホネート抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、Eichromから市販されているように、UTEVA樹脂に基づく)を通過することによって生じた。これらの任意選択のカラムは、好ましくは、第1の抽出クロマトグラフィーカラムおよび/または互いに(両方が使用された場合)および/または第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直列に連結され、その結果、中間フラクションを収集する必要がない。クラウンエーテルカラムとジアルキルアルキルホスホネートカラムの両方を使用した場合、第1の溶出液は通常、最初に前者を通過し、次に後者を通過する。
【0097】
次に、第1の溶出液が装填されたDGAの第2の抽出クロマトグラフィーカラムを、4MのHNO3の第2の洗浄溶液を使用して洗浄した(工程b2)。
【0098】
次に、0.01MのHCl/HNO3溶液または10MのHNO3溶液のいずれかを第3の溶離液として用いて、任意の残留Pb、Po、Bi、またはLaに対して選択的に、DGAの第2の抽出クロマトグラフィーカラムを溶出した(工程b3)。第2の溶出液はすでに十分に精製されたAcに対応する。そのため、第2のエレートを収集し、この時点で精製を停止することが可能であった。
【0099】
それにもかかわらず、さらに精製するために、第2の溶出液を、HDEHPの第1の樹脂および0.01MのHClの第1のマトリックス溶液での第3の抽出クロマトグラフィーへと任意選択で装填することができる(工程c1)。好ましくは、DGAの第2の抽出クロマトグラフィーカラムおよびHDEHPの第3の抽出クロマトグラフィーカラムは直列に連結され、その結果、工程b3での溶出および工程c1での装填は、第2の溶出液を中間的に収集することなく同時に起こった。
【0100】
任意選択で、工程c1での装填は、任意選択のジアルキルアルキルホスホネート抽出クロマトグラフィーカラム(例えば、UTEVA樹脂に基づく)を通過することによって生じた。この任意選択のカラムは、中間フラクションを収集する必要がないように、第1の抽出クロマトグラフィーカラムおよび/または第2の抽出クロマトグラフィーカラムに直列配置で連結することが好ましい。
【0101】
次に、第2の溶出液が装填されたHDEHPの第3の抽出クロマトグラフィーカラムを、0.01MのHClの第3の洗浄溶液を使用して洗浄した(工程c2)。このようにして、残留するRaとPbをさらに洗い流すことができる。
【0102】
次に、DGAの第3の抽出クロマトグラフィーカラムを、第3の溶離液として2MのHNO3溶液のいずれかで溶出した(工程c3)。そのようにして得られた第3の溶出液は、(さらに)十分に精製されたAc溶液に対応した。任意選択で、工程c3の溶出は、最終精製Acを収集する前に、任意選択(またはオプション;option)のクラウンエーテル抽出クロマトグラフィーカラム(Eichromから市販されているSr樹脂に基づく)および/または任意選択のジアルキルアルキルホスホネート抽出を通過することによって行われた。クロマトグラフィーカラム(例えば、Eichromから市販されているUTEVA樹脂に基づく)。これらの任意選択のカラムは、中間フラクションを収集する必要がないように第3の抽出クロマトグラフィーカラムおよび/または相互に(両方を使用した場合)好ましくは直列で連結する。クラウンエーテルカラムとジアルキルアルキルホスホネートカラムの両方を使用した場合、第3の溶出液は通常最初に前者を通過し、次に後者を通過する。
【0103】
[実施例3]Ac-精製デバイス
任意選択で、実施例1a、実施例1bまたは実施例2のいずれかは、それゆえ適合されたデバイスを使用して有利に実施することができる。そのような装置は、Ac含有混合物を投入(または注入、または投入物;input)として受け入れることができ、それらの間の工程の多くまたはすべてを自動化しながら、精製されたAc混合物を取り出すことができる。
【0104】
例えば、適切なポンプ、バルブ、および(例えば、適切なコンピュータプログラム製品によってコンピュータ制御され得る)コントローラー(または制御部、または操作部;controller))を使用して、デバイスは、(例えば、所望の組成と濃度、またはその場で混合および/または希釈されたものを有するように事前に調製されたストック溶液から)適切なマトリックス溶液、洗浄溶液、および溶離液を自動的に選択および導入するようになり得る。同様に、デバイスは、例えば、隣接する抽出クロマトグラフィーカラム間の接続を自動的に切り替えるようになっている。それにより、溶出フラクションを分離すること(例えば、装填および洗浄工程中)と、そうでなければ溶出フラクションを次の工程に導くこと(例えば、溶出液を次の装填工程で別のカラムに装填するように導くこと)のいずれかを切り替える。
【0105】
デバイスは、溶出されたフラクションを分析するためのツール(例えば、分光光度計)をさらに有して成ることができ、この情報を使用して、ある工程から次の工程にいつ切り替えるかを決定することができる。例えば、デバイスは、洗浄工程から溶出工程まで現在溶出しているフラクションの特定の化学種を監視し、上記の種の濃度が閾値を下回ったら、切り替えを行うことができる。あるいは、適切なスイッチング時間をデバイスに事前にプログラムすることもできる。
【0106】
好ましい実施形態、特定の構造および構成、ならびに材料が、本発明によるデバイスについて本明細書で論じられてきたが、範囲および本発明で技術的教示から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更または修正を行うことができることを理解されたい。例えば、上記の式は、使用できる手順の代表的なものにすぎない。ブロック図に機能を追加または削除し得て、機能ブロック間で操作を交換でき得る。工程は、本発明の範囲内で説明される方法に追加または削除し得る。さらに、実施例は限定的ではなく、この方法は、Ra-226から始まる(例えば、Ra-226(ガンマn)Ra-225からAC-225へ、例えばRa-226(n、2n)Ra-225からAc-225へ、例えばRa-226(d、3n)からAc-225等へ)すべての種類のAC-225の生産に適用可能であることに留意されたい。