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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】吸入チャンバ
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021540495
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 FR2020050041
(87)【国際公開番号】W WO2020148499
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】1900302
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520286429
【氏名又は名称】スティプラスティック
【氏名又は名称原語表記】STIPLASTICS
【住所又は居所原語表記】62 Chemin des plantees, 38160 Saint Marcellin, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブリシエ-ビレット エティエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ゾゼック、ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】スアル、ルドヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ブルアール、ユーグ
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/181228(WO,A1)
【文献】特開2018-102349(JP,A)
【文献】米国特許第06494202(US,B2)
【文献】米国特許第06014972(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(10)及び支持体(13)を備える吸入チャンバ(1)であって、
前記本体(10)は、定量吸入器(2)の出口端部(20)に接続するのに適した入口オリフィス、およびマウスピース(30)またはマスク(3)に接続して患者の顔に適用するのに適した出口オリフィス(12)を有
前記支持体(13)は、前記定量吸入器(2)の出口端部(20)を受け入れるのに適しており前記本体(10)の前記入口オリフィスに開口し、前記吸入チャンバ(1)を片手で保持及び操作するためのハンドルを形成し、
前記入口オリフィスの軸(X)が前記出口オリフィスの軸(Y)と非同一直線上にあり、前記支持体が前記本体に固定されておらず、前記入口オリフィスの軸(X)の周りで前記本体(10)に対して旋回するように取り付けられていることを特徴とする、吸入チャンバ(1)。
【請求項2】
前記支持体(13)の枢動軸(X)と前記出口オリフィス(12)の軸(Y)とが直交している、請求項1に記載の吸入チャンバ。
【請求項3】
前記本体(10)が2つの分解可能なシェル(10a、10b)を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の吸入チャンバ。
【請求項4】
前記シェルの少なくとも1つが透明である、請求項3に記載の吸入チャンバ。
【請求項5】
前記支持体(13)が、前記定量吸入器の端部(20)と前記支持体(13)との間の漏れのない接続を確実にするのに適したエラストマー部分(14)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の吸入チャンバ。
【請求項6】
前記定量吸入器の傾斜を検出するように構成されたセンサをさらに備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の吸入チャンバ。
【請求項7】
前記センサは、測定された傾斜を許容可能な傾斜範囲と比較し、前記比較の結果に応じて発光インジケータ、可聴警告装置、および/またはバイブレータに向けられた信号を発するように構成された制御ユニットに結合するのに適している、請求項6に記載の吸入チャンバ。
【請求項8】
前記本体は、前記比較に応じて異なって点灯するように構成された少なくとも1つの発光インジケータを含む、請求項7に記載の吸入チャンバ。
【請求項9】
前記本体は、前記支持体の2つの反対の回転方向を示すために前記支持体(13)のいずれかの側に配置された2つの矢印形状の発光インジケータをさらに含み、前記制御ユニットは、前記許容可能な傾斜範囲に従って前記定量吸入器を傾斜させるために前記支持体に適用される前記回転方向に沿って前記インジケータの1つを点灯するように命令するように構成されている、請求項8に記載の吸入チャンバ。
【請求項10】
前記出口オリフィスと流体接続して前記本体(10)に回転的に取り付けられたマスク(3)をさらに備えている、請求項1から9のいずれか一項に記載の吸入チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の薬、例えば喘息の治療を目的とした薬は、患者の肺に微粒子の形態で投与されるように設計されている。
【0003】
薬は、ユーザ(患者自身、または特に患者が子供である場合、第三者)によって加えられるアクチュエータへの圧力の影響下で、1回分の薬を微粒子の形態で高速(100km/hのオーダー)に排出する定量吸入器(頭字語MDIとしても知られている)内にパッケージされている。
【0004】
定量吸入器の作動と経口吸引とが完全に同期する可能性があるという難点があるため、またその結果、薬が患者の口腔内に沈着せずに肺胞に到達する可能性があるため、定量吸入器の出口端部がその内側に開口する入口オリフィスと、患者の顔に適用されるマウスピースまたはマスクと流体接続される出口オリフィスとを含む閉鎖容量を規定する装置である吸入チャンバを使用することが知られている。微粒子はこの閉鎖容量内に浮遊しており、これによって、患者は出口オリフィスを介して呼吸するだけで微粒子を吸入することができる。
【0005】
既知の吸入チャンバは管状の形状を有しており、入口オリフィスおよび出口オリフィスは、管の両端に配置されている。
【0006】
しかしながら、吸入チャンバの取り扱い、および患者の顔へのマウスピースまたはマスクの適用は比較的困難である。
【0007】
実際、管の長さのために、定量吸入器と患者の顔との間には重要な距離が存在する。したがって、患者またはユーザは、一方の手でマウスピースを保持し、他方の手で定量吸入器のアクチュエータを保持しなければならない。これは、患者が子供である場合は特に実用的でない。実際、マスクを適用している間、子供を安心させたり、頭を維持したりするために、ユーザは子供の頭の後ろに手を置く必要があることがよくある。吸入器のアクチュエータを操作する他方の手は、一方の手から特に遠く離れているため、顔にマスクを正しく維持することが困難になる。
【0008】
さらに、定量吸入器を垂直に向けて維持し、微粒子の出口端部を下部に配置し、アクチュエータの端を上部に配置することが推奨される。本文の残りの部分では、吸入器のこの位置は「垂直位置」と呼ばれる。
【0009】
ただし、場合によっては、この向きを維持するのが難しい場合がある。例えば、患者が横になっている場合、薬の投与中に吸入器を垂直に維持することは一般に不可能である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、より人間工学的であり、患者の状態/位置に関係なく、最も推奨されるように、すなわち垂直位置で定量吸入器を使用することを可能にする吸入チャンバを設計することである。
【0011】
この目的のため、本発明は、定量吸入器の出口端部に接続するのに適した入口オリフィス、およびマウスピースまたはマスクに接続して患者の顔に適用するのに適した出口オリフィスを有する本体と、定量吸入器の出口端部を受け入れるのに適した支持体であって、入口オリフィスに開口した支持体とを備え、入口オリフィスの軸が出口オリフィスの軸と非同一直線上にあり、支持体が入口オリフィスの軸の周りで本体に枢動可能に取り付けられていることを特徴とする、吸入チャンバを提案する。
【0012】
好ましい実施形態によれば、支持体の枢動軸と出口オリフィスの軸とが直交している。
【0013】
特に有利な方法では、本体が2つの分解可能なシェルを含む。
【0014】
好ましくは、シェルの少なくとも1つが透明である。
【0015】
一実施形態によれば、支持体が、定量吸入器の端部と支持体との間の漏れのない接続を確実にするのに適したエラストマー部分を含む。
【0016】
一実施形態によれば、吸入チャンバは、定量吸入器の傾斜を検出するように構成されたセンサをさらに備えている。
【0017】
前記センサは、有利なことに、測定された傾斜を許容可能な傾斜範囲と比較し、前記比較の結果に応じて発光インジケータ、可聴警告装置、および/またはバイブレータに向けられた信号を発するように構成された制御ユニットに結合するのに適している。
【0018】
一実施形態によれば、本体は、前記比較に応じて異なって点灯するように構成された少なくとも1つの発光インジケータを含む。
【0019】
特に有利な方法では、本体は、前記支持体の2つの反対の回転方向を示すために支持体のいずれかの側に配置された2つの矢印形状の発光インジケータをさらに含み、制御ユニットは、許容可能な傾斜範囲に従って定量吸入器を傾斜させるために支持体に適用される回転方向に沿って前記インジケータの1つを点灯するように命令するように構成されている。
【0020】
吸入チャンバは、出口オリフィスと流体接続して本体に回転的に取り付けられたマスクをさらに備え得る。
【0021】
本発明の他の特徴および利点は、以下の添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態による吸入チャンバの斜視図である。
図2図1の吸入チャンバの別の斜視図である。
図3】定量吸入器が垂直位置にある図1の吸入チャンバの側面図である。
図4】吸入チャンバが第1の別の向きにある図1の吸入チャンバの側面図であり、定量吸入器は依然として垂直位置にある。
図5】吸入チャンバが第2の別の向きにある図1の吸入チャンバの側面図であり、定量吸入器は依然として垂直位置にある。
図6】第2の実施形態による吸入チャンバの斜視図および上面図を示す。
図7】第3の実施形態に係る吸入チャンバの斜視図および上面図を示す。
図8】定量吸入器の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ある図から別の図への同一の参照記号は、同一の要素または少なくとも同じ機能を果たす要素を示す。
【0024】
この文では、ユーザと患者について言及している。ユーザは、吸入チャンバを操作し、定量吸入器を作動させる人である。患者は吸入チャンバから薬を吸入する人である。患者とユーザは、特に、ある用量の薬を自己投与することができる成人患者の場合、当然、同じ人であり得る。一方、自分で吸入チャンバを操作できない子供や大人の場合、吸入チャンバを操作するのは第三者である。
【0025】
本来的に知られているように、定量吸入器は、本体と、計量弁に面して本体内でスライド可能に移動可能なアクチュエータとを備えている。アクチュエータは、推進ガスと微粉化された薬の浮遊物とを収容するタンクの形状をしている。アクチュエータを押すことにより、ユーザは計量弁から決められた量の薬を放出する。計量弁は本体の出口端部に向かって開き、出口端部の軸はアクチュエータのスライド軸と非同一直線上にある。好ましくは、アクチュエータのスライド軸は、定量吸入器の使用中に垂直に維持されなければならない。
【0026】
図8は、本体21と、本体21にスライド式に取り付けられ、推進ガスおよび薬の微粒子を収容するアクチュエータ22とを備えた、そのような定量吸入器2の側面図を示している。本体は、アクチュエータ22のスライド軸に対して傾斜している微粒子出口端部20を含む。
【0027】
定量吸入器の形状、特に端部の形状および寸法は、製造元によって異なる。しかしながら、有利には、吸入チャンバは、特定の定量吸入器に限定されず、以下に説明するように、異なる市販の定量吸入器を受け入れることができる。
【0028】
吸入チャンバは、定量吸入器の出口端部に接続するのに適した入口オリフィスと、患者の顔に適用するためのマウスピースまたはマスクに接続するのに適した出口オリフィスとを有する本体を備えている。
【0029】
一実施形態によれば、マウスピースは本体と一体であり(例えば、本体と一緒に成形することができる)、マスクは、本体に取り外し可能に取り付けるのに適している。したがって、本体は、子供患者(マスクを使用)または成人患者(マウスピースを直接使用)のいずれかによって使用され得る。マスクは、患者が吐き出した空気を通過させる計量弁を含む。
【0030】
出口オリフィスには、体内への空気の戻りを防ぐ容量弁が設けられている。ダックビル弁は、患者による過度の努力なしに吸引中に大きく開き、その後、呼気中に体内に空気が入るのを防ぐために、漏れのない方法で閉じる能力があるため、特に好ましい。
【0031】
容量弁および計量弁は、有利には、医療グレードのシリコーンで作ることができる。
【0032】
有利なことに、マスクは、特に患者の位置に応じて、本体に対するマスクの向きを調整することを可能にするために、マウスピースに枢動可能に取り付けられる。
【0033】
本体は、入口オリフィスと出口オリフィスとの間に、粒子の浮遊を可能にするのに十分な大きさの閉鎖容量を規定する。この閉鎖容量の形状は、特に、浮遊した薬が保持または沈着しやすい領域の存在を最小限に抑えるための入口オリフィスおよび出口オリフィスの位置に応じて規定される。
【0034】
定量吸入器は、入口オリフィス内に開口する支持体によって本体に取り付けられており、定量吸入器の出口端部は、本体の入口オリフィスと流体接続されており、これによって定量吸入器の微粒子が体内に導入され得るようになっている。
【0035】
既知の吸入チャンバとは異なり、吸入器支持体は、本体に対して固定されておらず、本体に対して旋回し、出口オリフィスの軸と非同一直線上にある入口オリフィスの軸の周りにある。出口オリフィスの軸は、出口オリフィスによって形成される平面に垂直な軸を意味すると解釈される。
【0036】
支持体の内部形状は、支持体と端部との間の漏れの気密性を確実にするような方法で、一般に円形または長方形である定量吸入器の出口端部の形状に有利に適応可能である。好ましい実施形態によれば、支持体は、接続の漏れ気密性および機械的強度の両方を確保するために、定量吸入器の端部の形状に従って変形可能なエラストマー部分を含む。支持体は、2つの異なるプラスチック材料、本体との接続を確実にする剛性材料、および定量吸入器の端部との接続を確実にするエラストマー材料の注入によって製造することができる。
【0037】
枢動軸は出口オリフィスの軸と非同一直線上にあるため、支持体を単純に枢支することにより、患者の位置に関係なく、定量吸入器を垂直に向けたままにすることができる。
【0038】
好ましい実施形態によれば、枢動軸は、出口オリフィスの軸に直交している。
【0039】
本体に対する支持体の動きは、単一の軸の周りの回転に限定されない場合がある。任意選択で、スイベル・ジョイント(図6を参照)またはガセット(図7を参照)によって追加の回転自由度が提供され得る。
【0040】
マウスピースまたはマスクに対して横方向に、本体の片側に配置することにより、支持体は、ユーザが簡単に操作できるハンドルを形成する。支持体の外形は、ハンドルの人間工学を改善するために規定することができる。
【0041】
一般に、ユーザは、日常業務で優先的に使用する手(右利きの場合は右手、左利きの場合は左手)で、支持体/ハンドルの高さに吸入チャンバを保持する。したがって、支持体は、患者の右手または左手で保持できるように回転させることができ、その一方で、両方の場合において、定量吸入器を垂直に保存することができる。
【0042】
さらに、出口オリフィスに対する支持体の位置は、ユーザが患者であるか第三者であるかに応じて変更され得る。実際、後者の場合、ユーザは一般に、吸入チャンバの取り扱いが逆になるように、自分自身を患者に向けて配置する。
【0043】
支持体の旋回により、定量吸入器を患者または第三者であるかどうかにかかわらず、ユーザにとって好ましい側に配置することが可能であり、定量吸入器は、下部の出口端部に対して垂直に向けられたままである。
【0044】
前記支持体/ハンドルはまた、従来技術の吸入チャンバ内よりも患者の顔に近い。したがって、吸入チャンバを片手で使用することができる(支持体/ハンドルで吸入チャンバを保持しているユーザは、アクチュエータを作動させながら、マウスピースまたはマスクを患者の顔に正しく適用できる)。したがって、他方の手は、例えば、前記患者が子供であるときに患者を安心させるために、自由のままである。
【0045】
出口オリフィスの軸の軸と非同一直線上にある軸の周りに吸入器の支持体を配置することの別の利点は、微粒子の流れに本体内のL字型の軌道を課すことである。この軌道は、微粒子の速度を低下させ、最大の微粒子(患者が吸入してはならない)が入口オリフィスの反対側の本体の面にぶつかり、出口オリフィスから出てくる代わりに重力によって本体の底に落下することを可能にする効果がある。
【0046】
本体は帯電防止素材で作られている。特に有利な方法では、これらの材料の少なくとも1つは、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)などの透明な熱可塑性材料である。したがって、ユーザは本体内の微粒子を視覚化し、容量弁の動作を観察することができる。
【0047】
好ましい実施形態によれば、本体は、ユーザによる手動解体を可能にする任意の適切な手段(例えば、インター・ロック、スナップ・フィットなど)によって解体可能な方法で組み立てられた2つのシェルから形成される。これにより、吸入チャンバ使用後の本体内の洗浄・乾燥が容易になる。
【0048】
有利なことに、前記シェルは、定量吸入器の支持体の枢動軸を含む平面に沿って組み立てられる。出口オリフィスを含むシェルは不透明な帯電防止材料でできていてもよいのに対して、反対側のシェルは透明な帯電防止材料でできていてもよい。これら2つの機能に適したABSのグレードが存在する。
【0049】
一実施形態によれば、定量吸入器の支持体は、垂直に対するアクチュエータのスライド軸の傾斜を測定するのに適した傾斜センサを含む。前記センサは、測定された傾斜を垂直の周りの許容可能な傾斜値の範囲と比較することを可能にする制御ユニットに結合されている。
【0050】
制御ユニットは、測定された傾斜が前述の範囲外であるときに作動する、例えば本体に配置された発光インジケータ、可聴警告装置、および/またはバイブレータに結合することができる。
【0051】
一実施形態によれば、本体は3つの発光インジケータを含み、主インジケータは、定量吸入器の傾斜が正しい場合は緑色で、傾斜が正しくない場合は赤色で点灯するように構成される。他の2つのインジケータは、支持体の両側に配置された2つの矢印の形式であり、それぞれが支持体の枢動軸を中心とした異なる回転方向を示す。メインインジケータが赤の場合、矢印の1つが点灯して、支持体を回転させる方向を示し、定量吸入器の正しい傾斜を取得する。これにより、移動が行われると、メインインジケータが緑に切り替わる。
【0052】
あるいは、制御ユニットは、携帯電話などのスクリーンを備えた電子機器と通信して、垂直に対する定量吸入器の傾斜をスクリーン上に表示することができる。矢印を画面に表示して、ユーザの指示を取得し、誤った傾斜の可能性を修正することもできる。
【0053】
一実施形態によれば、吸入チャンバはまた、患者の呼吸状態の改善または悪化の監視を実行できるような方法で、患者によって吸入される空気の速度および/または流量を測定するのに適した装置を備えている。
【0054】
例えば、前記装置は、定量吸入器支持体の周りに閉じた空洞を作り出し、その空気入口が吸入空気の速度/流量を測定するための手段を含む付属品を備えていてもよい。この解決策は、定量吸入器と患者の口との間の薬の経路を妨げることを回避することを可能にする。
【0055】
同様の解決策を使用して、計量弁の上の患者の呼気速度および/または流量を測定することができる。
【0056】
図1から図5は、吸入チャンバの第1の実施形態を示している。
【0057】
チャンバ1は、本体10と、本体内に開口し、定量吸入器2の出口端部を受け入れるのに適した支持体13と、本体の出口オリフィス12と流体接続されたマスク3とを備えている。軸Xおよび軸Yは、それぞれ、本体に対する支持体13の枢動軸および本体の出口オリフィス12の軸である。
【0058】
本来的に知られているように、例えばダックビル式の容量弁(図には見えない)が出口オリフィスに配置されている。マスクはさらに、計量弁30を含む。
【0059】
本体に対する支持体の位置のために、前記軸は非同一直線上にあり、有利には直交している。
【0060】
本体10は、支持体13の枢動軸を含む接合面に沿って組み立てられた2つのシェル10a、10bを含む。好ましくは、出口オリフィスを含むシェル10aは、帯電防止ABSなどの不透明なプラスチック材料でできているのに対し、シェル10bは、帯電防止ABSなどの透明なプラスチック材料でできている。シェル10a、10bは、それらの周囲に相補的な形状を含み、漏れのない嵌合を共に可能にし、摩擦による維持、例えば、スナップ・フィット閉鎖システム11を可能にする。したがって、それらは、洗浄されて再組み立てされることを視野に入れて、接合面に垂直な方向へのユーザの牽引力によって容易に分離され得る。
【0061】
各シェルは、円筒形のスリーブの半分で構成されている。シェルを組み立てた後、支持体13は、前記スリーブにしっかりと圧入される。スリーブおよび支持体に対向する表面は、(ユーザによる十分な力の適用による解体を可能にしながら)支持体13の望ましくない解体を回避する一方で、スリーブの周りの支持体の回転を可能にするように設計されている。前記回転は、自由であるか、またはスナップ・フィット・システムによって潜在的に指標付けされ得る。
【0062】
支持体13は、その形状に適応しながら、端部との漏れのない接続を確実にすることを可能にするエラストマー部分14を、定量吸入器の端部を受け入れることを意図したその下面に含む。
【0063】
図3では、吸入チャンバは、座っているまたは立っている患者への適用に適した位置に示されており、図4および図5は、半座位の患者に適した傾斜位置にある同じ吸入チャンバを示している。見られるように、支持体の旋回は、定量吸入器の垂直方向を維持することを可能にする。図3から図6では、支持体13の枢動軸は、シートの平面に垂直である。
【0064】
図6は、吸入チャンバの第2の実施形態を示している。
【0065】
前の実施形態と比較して、本体10は、第1の端部に出口オリフィス12を含み、第1の端部とは反対側の第2の端部に、定量吸入器の支持体13を本体10に結合するスイベル・ジョイント15を含む細長い形状を有している。したがって、前記スイベル・ジョイントにより、身体に対して支持体を方向付けるための追加の自由度が提供される。この機構のおかげで、定量吸入器は、患者の位置に関係なく、垂直位置に維持することができる。
【0066】
この構成では、本体10は、好ましくは透明である帯電防止プラスチック材料の成形によって一体に作製され得る。次いで、スイベル・ジョイントが、吸入チャンバの洗浄および乾燥を可能にするために、好ましくは取り外し可能な方法で、本体10の第2の端部に挿入される。
【0067】
用途に応じて、本体10の第1の端部に可逆的にマスク3が取り付けられ得る。
【0068】
図7は、吸入チャンバの第3の実施形態を示している。
【0069】
本体10の構造は、第2の実施形態の構造と実質的に同一である。
【0070】
この代替案では、定量吸入器の支持体13は、少なくとも2つの軸に沿って変形され得るガセット16によって本体に結合されている。
【0071】
特に有利には、ガセット16は、吸入チャンバの洗浄および乾燥を可能にするために、本体から分解され得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8