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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】対象の運動疲労を軽減するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20240209BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240209BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A23L33/135
A61K35/747
A61P13/12
A61P21/00
A61P29/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021543437
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2020073752
(87)【国際公開番号】W WO2020156417
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】62/797,720
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM28632
(73)【特許権者】
【識別番号】519010189
【氏名又は名称】ベネド バイオメディカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,イン-ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,クオ-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー,チ-ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,チェン-チェン
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/014225(WO,A1)
【文献】特開2015-213501(JP,A)
【文献】Brain Research,2016, Vol.1631, p.1-12
【文献】Behavioural BrainResearch, 2016, Vol.298, p.202-209
【文献】Nutrients, 2016,Vol.8, 205
【文献】Chinese Journal of Physiology, 2018, Vol.61, p.163-170
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/00-33/29
A61K 36/00-36/9068
A61P 1/00-43/00
C12N 1/00- 1/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のDSMZアクセッション番号DSM28632で寄託されたラクトバチルスプランタルム亜種プランタルムPS128及びその担体を含む、対象の運動疲労を軽減するための組成物。
【請求項2】
さらに、前記対象の筋肉損傷を防止するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、前記対象の炎症を軽減するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、前記対象の腎臓損傷を軽減するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、前記対象の持久力を増加するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
さらに、前記対象の筋肉疲労を軽減するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
さらに、前記対象における酸化ストレスを軽減するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、前記対象の筋力回復を促進するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ラクトバチルスプランタルム亜種プランタルムPS128は、前記対象に1日あたり少なくとも10CFUの量で投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
栄養組成物又は医薬組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
経口投与用に調製される、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運動のために対象を保護する方法、例えば、対象の運動に関連する有害な影響を防止し、運動疲労を軽減して、それによって対象の身体パフォーマンスを高め、抗疲労及び抗炎症効果を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌(Lactic acid bacteria、以下、LABともいう)は、宿主の腸内細菌叢を調節する能力があるため、腸の健康の予防又は治療の代替手段として認識されている。近年、LABは、宿主の健康にいくつかの有益な効果をもたらし、適切な量を投与すると、精神的ストレスに対する宿主の精神的及び肉体的反応の変化、アレルギー反応の改善、便秘などの機能性胃腸障害の予防又は治療などを含む治療手段として機能することができることがわかっている。
【0003】
運動中、筋肉の損傷が引き起こされることがよくある。損傷は、機械的ストレスや炎症性ストレスなどの運動関連のストレスの増加によって生じ、対象のパフォーマンスに影響を与える可能性がある。筋肉の損傷が最小限である状況であっても、筋肉の局所的に起こる代謝の急激な変化に起因する筋肉の疲労又は痛みが常にある。さらに、長時間の集中的な運動は、筋肉だけでなく、白血球の活性化、炎症、活性酸素種(ROS)の生成、腎臓損傷などの全身的な他の好ましくない影響を引き起こす恐れがある。
【0004】
したがって、運動に関連する筋肉の損傷又は疲労を軽減又は防止し、他の関連する悪影響から対象を保護し、それによって運動パフォーマンスを向上させることができる効率的な方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示において、乳酸菌株は、運動のために対象を保護するのに有効であることが確認されており、それにより、抗疲労及び抗炎症効果を有し、対象の運動パフォーマンスを増強する。本開示で提供される乳酸菌は、対象を保護し、対象の身体パフォーマンスを増強することに有用なラクトバチルスプランタルム亜種プランタルムPS128(以下、PS128ともいう)である。また、本開示は、対象に有効量のラクトバチルスプランタルム亜種プランタルムPS128を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。本開示の方法は、炎症及び腎臓損傷を軽減することに対する保護効果を提供するだけでなく、体力、能力又は持久力の増加を含む身体パフォーマンスを高め、運動疲労又は筋肉損傷を軽減する。
【0006】
本開示の一実施形態において、対象を保護し、それを必要とする対象の身体パフォーマンスを増強する方法も提供される。本開示によれば、この方法は、有効量のDSMZアクセッション番号DSM28632で寄託されているラクトバチルスプランタルム亜種プランタルムPS128及びその担体を含む組成物を投与することを含む。本開示の一実施形態においては、前記組成物は、それを必要とする対象に経口投与される。
【0007】
一実施形態では、対象に投与されるPS128の有効量は、少なくとも1×10CFUである。ほかの実施形態において、前記PS128の有効量は、少なくとも1×10CFU、少なくとも1×1010CFUあるいは少なくとも1×1011CFUであり、1×10CFU、2×10CFU、3×10CFU、4×10CFU、5×10CFU、6×10CFU、7×10CFU、8×10CFU、9×10CFU、1×1010CFU、2×1010CFU、3×1010CFU、4×1010CFU、5×1010CFU、6×1010CFU、7×1010CFU、8×1010CFU、9×1010CFU、1×1011CFU、2×1011CFU、3×1011CFU、4×1011CFU、5×1011CFU、6×1011CFU、7×1011CFU、8×1011CFU及び9×1011CFUを含むが、これらに限らない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、偽薬(placebo、プラセボともいう)グループ(n=4)及びPS128グループ(n=4)に分けられた対象のための例示的なスキームである。対象は、運動としてハーフマラソンを行う前に、カプセルを1日2回、合計3週間(週)服用するように要求された。7つの異なる時点(T0からT6)で、対象から血液と尿のサンプルが取得された。これらの時点は、T0:運動(ハーフマラソン)前24時間(h)、T1:運動直後、T2:運動後3時間、T3:運動後24時間、T4:運動後48時間、T5:運動後72時間、及びT6:運動後96時間であった。
図2図2A及び2Bは、異なる時点での偽薬グループ及びPS128グループにおける筋肉疲労に関連する生化学的指標のレベルである、アンモニアのレベル(図2A)及び分枝鎖アミノ酸のレベル(図2B)を示す。データは平均±SEMとして表される。p<0.05は、グループ間での比較である。p<0.05は、グループ内での比較である。
図3図3A図3Cは、異なる時点での筋肉損傷に関連する生化学的指標のレベルを示す。異なる時点での偽薬グループ及びPS128グループにおいて、図3Aではクレアチンキナーゼのレベルを、図3Bではミオグロビンのレベルを、図3Cでは乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のレベルを、それぞれ示す。データは平均±SEMとして表される。p<0.05及び**p<0.01は、グループ間での比較である。p<0.05、##p<0.01及び###p<0.001は、グループ内での比較である。
図4図4A図4Dは、ハーフマラソンの前後の炎症誘発性サイトカインのレベルを示す。偽薬グループとPS128グループにおいて、図4AではTNF-αのレベルを、図4BではIFN-γのレベルを、図4CではIL-6のレベルを、図4DではIL-8のレベルを、それぞれ示す。データは平均±SEMとして表される。p<0.05は、グループ間での比較である。p<0.05は、グループ内での比較である。
図5図5A図5Dは、ハーフマラソンの前後の腎臓損傷及び炎症関連マーカーのレベルを示す。偽薬グループとPS128グループにおいて、図5Aでは補体成分5a(C5a)のレベルを、図5Bではミエロペルオキシダーゼ(MPO)のレベルを、図5CではIL-10のレベルを、図5Dではチオレドキシンのレベルを、それぞれ示す。データは平均±SEMとして表される。p<0.05は、グループ間での比較である。p<0.05は、グループ内での比較である。
図6図6は、異なる時点での偽薬グループとPS128グループにおけるカタラーゼのレベルを示す。データは平均±SEMとして表される。p<0.05及び**p<0.01は、グループ間での比較である。
図7図7A図7Dは、ハーフマラソンの前後の無酸素及び有酸素運動能力を示す。偽薬グループとPS128グループにおいて、図7Aではピーク無酸素性パワーを、図7Bでは平均無酸素性パワーを、図7Cでは疲労指数を、図7Dでは力尽きた時間を、それぞれ示す。データは平均±SEMとして表される。p<0.05は、グループ間での比較である。p<0.05は、グループ内での比較である。
図8図8A及び図8Bは、異なる時点での下肢の力を示す。偽薬グループとPS128グループにおいて、図8Aではカウンタームーブメントジャンプ高さを、8Bではカウンタームーブメントジャンプ力を、それぞれ示す。データは平均±SEMとして表される。p<0.05は、グループ間での比較である。p<0.05は、グループ内でのT0との比較である。
図9図9A図9Dは、異なる時点での下肢の強度を示す。偽薬グループとPS128グループにおいて、図9Aでは膝伸筋のピークトルクを、図9Bでは膝伸筋の平均トルクを、図9Cでは膝屈筋のピークトルクを、図9Dでは膝屈筋の平均トルクを、それぞれ示す。データは平均±SEMとして表される。p<0.05は、グループ間での比較である。p<0.05は、グループ内でのT0との比較である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「一(a)」、「一(an)、」及び「当該、前記(the)」は、内容が明確に別段の指示がない限り、その複数形の参照を含む。
【0010】
本明細書で使用される場合、「疲労」とは、骨格筋の疲労及び/又は衰弱を指す。筋肉の疲労は、疲労の症状があるか、あるいは筋線維及び/又は筋肉機能に影響を与える、激しい又は繰り返される身体活動又は運動に起因する可能性がある。筋肉の疲労は、運動パフォーマンスの失敗として定義される。これは、運動ストレステストで評価し、特定のタスク(ウォーキング、ジョギング又はトレッドミルでのランニング)で失敗するまでにかかる時間として定量化できる。タスク失敗とは、続行できないことによる運動の終了として定義される。これは筋肉の疲労として定義されている。
【0011】
本明細書で使用される場合、「運動疲労の軽減」とは、血清中のアンモニア及び分枝鎖アミノ酸などの筋肉疲労に関連する生化学的指標の低下を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「筋肉損傷の予防」とは、運動後の血清ミオグロビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)又はクレアチンキナーゼ(CK)などの筋肉損傷指標の血中濃度の増加を抑制することを指す。CPK(クレアチンホスホキナーゼ)などの指標は、筋肉細胞に含まれる酵素であり、筋肉の損傷が発生すると血中に放出され、その後、回復に伴って血中濃度が低下する。したがって、CKなどのこれらの筋肉損傷指標の測定は、筋肉損傷の指標として使用できる。
【0013】
以下の実施例は、本開示を説明するために使用される。当業者は、これらの実施例から、本開示の他の利点及び効果を容易に理解できる。開示の精神から逸脱しない限り、本開示は、様々な修正及び変更によって実施できる。以下に提供される実施例は、単なる本開示の例示であり、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことが理解される。
【0014】
(実施例)
【0015】
実施例1:血液及び尿のサンプル分析により、PS128の保護、抗疲労、及び損傷軽減効果を示す。
【0016】
PS128は、培地に接種し、37℃で18時間培養し、遠心分離により回収することにより調製した。PS128を包埋し、保護剤と賦形剤を用いて凍結乾燥し、粉末1グラムあたり1×1011コロニー形成単位(colony formation nunit、すなわち、CFU)の最終濃度にした。凍結乾燥したPS128粉末をカプセルとしてカプセル化した。各カプセルには、3×1010CFUに相当する300mgの凍結乾燥細菌粉末および100mgの微結晶性セルロースの賦形剤が含まれた。偽薬カプセルは、微結晶性セルロースの400mgの賦形剤で充填された。
【0017】
この研究で採用された対象は、偽薬グループ(n=4)とPS128グループ(n=4)に分けられ、ハーフマラソンをする前に、1日に2回(1回に一個)、合計3週間カプセルを服用するように要求された。募集された対象は、試験期間中の不必要な干渉を避けるために、他のプロバイオティクスを摂取することが禁じられた。以下の表1及び図1に示されるように、血液と尿のサンプルは、7つの異なる時点(T0~T6)で、募集された対象から取得された。T0:運動前24時間(プレテスト、-24時間)、T1:運動直後(0時間)、T2:運動後3時間(+3時間)、T3:運動後24時間(+24時間)、T4:運動後48時間(+48時間)、T5:運動後72時間(+72時間)、及びT6:運動後96時間(+96時間)。得られた各血液及び尿サンプルについて、筋肉疲労、筋肉損傷、炎症、腎機能及び酸化ストレスを示す生化学的指標を分析した。
【0018】
表1:異なる時点でのサンプルおよびデータ収集
【0019】
【表1】
【0020】
図2A及び図2Bに示されるように、筋肉疲労に関連するアンモニア(図2A)及び分枝鎖アミノ酸(BCAA)(図2B)などの生化学的指標は、偽薬グループに比べて、PS128グループでは疲労が少ない(すなわち、より低いアンモニアのレベル及びより高いBCAAのレベル)ことが観察された。したがって、ロイシン、イソロイシン、バリンなどのBCAAがPS128によって調節されることが証明された。さらに、スレオニン、グルタミン、ヒスチジンなどの他のアミノ酸もPS128によって調節される。PS128グループの対象では、乳酸レベルの低下も観察された。
【0021】
また、図3A図3Cに示されるように、筋肉損傷の指標として機能するクレアチンキナーゼ(CK)、ミオグロビン及び乳酸脱水素酵素(LDH)のすべては、PS128グループでは有意な減少を示し、PS128グループで観察された筋肉損傷が少ないことを示している。
【0022】
さらに、偽薬グループに比べて、PS128グループでは、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、IFN-γ(インターフェロン-γ)、IL-6、及びIL-8などの炎症マーカーのレベルが有意に低下していることが観察され、PS128は、PS128サプリメントが投与された対象に抗炎症効果があることを示している。図4A図4Dに示されるように、T1時点での運動直後、偽薬グループと比べて、PS128グループでは、炎症誘発性サイトカインTNF-α(図4A)、IFN-γ(図4B)、IL-6(図4C)、及びIL-8(図4D)のレベルが有意に減少した。
【0023】
PS128サプリメントを使用したPS128グループでは、尿中において、C5a(図5A)のような腎臓損傷及び炎症関連マーカー、並びにミエロペルオキシダーゼ(MPO)(図5B)のような炎症関連マーカーのレベルは、有意に低いレベルを示すことが観察されたとともに、血清抗炎症サイトカイン(IL-10)が増加し(図5C)、より多くのチオレドキシン(TRX)(図5D)が排泄され、尿中に見られた。
【0024】
また、図6に示されるように、PS128サプリメントが投与された対象のグループでは、酸化ストレスから保護され、カタラーゼ(CAT)のレベルの分析によって良好な腎機能を有することが示され、同じ時点で、偽薬グループと比較した場合、PS128グループではCATのレベルが有意に上昇した。
【0025】
上記から、PS128は、抗酸化能力を高めることによって、TRXとMPOのレベルを大幅に調整した。一方、炎症誘発性メディエーターC5aは、PS128を介したIL-10産生によっても、有意に調節されている可能性がある。したがって、PS128は、炎症性サイトカインを減少させるだけでなく、抗炎症性サイトカインの産生も向上させた。このため、PS128は、炎症又は酸化調節に影響を及ぼした。さらに、PS128は、血漿サンプル中のBCAA含有量の有意な上昇も示した。
【0026】
運動後の異なる時点で、PS128グループではCKは有意に低かったことにも注目した。運動後の延長された時点で、PS128は、炎症性サイトカインのレベルを下げることに対する有益な効果を維持した。すなわち、PS128は、炎症性サイトカインのレベルの低下に持続的な効果をもたらすことによって、筋肉を損傷から保護した。
【0027】
実施例2:PS128サプリメントが投与された対象の身体パフォーマンスと回復の向上
【0028】
PS128グループと偽薬グループの両方の対象は、それぞれ、ウィンゲートプロトコルプロトコルとブルースプロトコルを使用して、無酸素及び有酸素能力について評価された。プロトコルの詳細は、当業者に周知されている。例えば、両方のグループの対象は、運動前24時間、運動後24時間及び運動後96時間に、ブルースプロトコルで有酸素パワーのVOmaxをテストし、ウィンゲートプロトコルで無酸素パワーをテストした。ウィンゲートプロトコルを使用した無酸素パワーの追加テストは、運動後3時間後、運動後48時間、及び運動後72時間に実行された。
【0029】
ウィンゲートプロトコルの場合、対象は、ウォームアップ段階の終了後、タイムリーな励まされで30秒間自転車で最善を尽くすように要求された。固定式自転車でのウィンゲート無酸素運動テストの30秒間のテスト期間中に、自転車は、対象のラップ数、生成されたワット数、ピーク無酸素性パワー(PAP)、平均パワー(MEP)、及び疲労指数(FAI)を記録して分析し、これらはすべて先行技術に記載されており、当業者に周知されている。
【0030】
結果は、PS128グループは、PAP(図7A)及びMEP(図7B)を増加させ、FAI(図7C)を減少させたので、偽薬グループに比べて、より良い身体パフォーマンス及び回復率を有することを示した。
【0031】
ブルースプロトコルの場合、VOmaxの耐久性テストは、Cortexガスアナライザーと固定式自転車で実行された。対象には、テストを受ける前に、ウォームアップするための所定の期間と休息時間が与えられた。個々のVOmaxによって調整された85%VOmax速度は、耐久性評価のために力尽きまで個々の対象に適用された。図7Dに示すように、PS128グループ力尽きた時間は、運動の前後の両方で、偽薬グループよりも有意に長く、PS128の投与が対象の身体的持久力を改善することを示した。したがって、PS128は、対象に、より良い身体パフォーマンスを提供した。
【0032】
対象の大腿四頭筋とハムストリングの筋電図(EMG)活動も、上記のように、T0~T6の7つの時点すべてで記録された。例えば、ハムストリングと大腿四頭筋の周波数の中央値(MF)と最大随意等尺性収縮(MVIC)を両方のグループで記録し、身体パフォーマンスを評価した。研究において、EMGにより得られたMF値は、大腿四頭筋とハムストリングの動員特性を理解するために使用されている。そのために、EMGの正規化は、EMGの研究では、個人内及び個人間の変動を減らすことによって信頼性を向上させるためによく使わられており、また、最大随意等尺性収縮(MVIC)は、対象、日数、研究と筋肉との間の参照標準として使用される正規化の一般的な方法である。結論として、PS128は、MVIC及びEMGのパフォーマンスに寄与し、筋力の回復を促進することを示した。
【0033】
図8A及び図8Bに示されるように、PS128グループでは、PS128サプリメントが投与された対象の身体パフォーマンスを増強することが示された。例えば、対象は、上記のように7つの時点のすべてで、体力と能力を評価するために、カウンタームーブメントジャンプを行うことも要求された。この場合も、偽薬のみが投与された対象に比べてて、PS128グループでは、PS128サプリメントが投与された対象の筋力を増強し、より高いカウンタームーブメントジャンプ高さ(図8A)及びより大きなカウンタームーブメントジャンプパワー(図8B)を有することが示された。
【0034】
また、二重エネルギーX線吸収(DEXA)を使用して測定された対象の身体組成は、運動(ハーフマラソン)の前後に評価された。さまざまなエネルギーのX線が骨と軟組織を透過した後、さまざまな組織のX線吸収又は減衰は、吸収率計の組み込み式によって計算された。この場合も、PS128グループでは、PS128サプリメントが投与された対象の筋肉量を増強することが示された。
【0035】
図9A図9Dに示されるように、身体パフォーマンスは、異なる時点でPS128グループと偽薬グループの下肢の強度を測定することによって、さらに評価された。膝伸筋のピークトルク(図9A)及び膝伸筋の平均トルク(図9B)は、PS128グループでは、偽薬グループよりも有意に高い値を示した。図9C及び図9Dは、運動後のいくつかの時点で、膝屈筋のピークトルク及び膝屈筋の平均トルクは、PS128グループでは、偽薬グループよりも有意に高いことを示した。
【0036】
対象の無酸素及び有酸素運動能力は、運動による疲労によって消耗される可能性があり、そうではない場合、対象のパフォーマンスを維持できた可能性がある。したがって、PS128は、運動による疲労を軽減し、身体パフォーマンスを高めることにより、対象の健康を改善するための潜在的なエルゴジェニックエイドであり得る。
【0037】
PS128グループの対象は、PAP、MEP、及びFAIの値で示されるように、より優れた運動能力、持久力、及び回復力を持っていることは明らかになった。さらに、PS128は、運動前のデータに比べて、運動後もMEPとFAIが維持できることが注目された。これらの調査結果は、PS128が運動パフォーマンスの維持と回復に有益な効果を発揮する可能性があるという点で、スポーツ科学の分野に潜在的な利益をもたらす可能性がある。したがって、PS128は、能力だけでなく生理学的適応のための栄養補給の代替オプションと見なすことができる。
【0038】
本開示の実施形態のいくつかは上記で詳細に説明されてきたが、当業者は、本開示の教示及び利点から実質的に逸脱することなく、示された実施形態に様々な修正及び変更ができる。それらの修正及び変更は、添付の特許請求の範囲に記載されるように、開示の精神及び範囲に含まれる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D