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特許7433360PAH遺伝子移入のためのアデノ随伴ウイルス組成物及びそれらの使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】PAH遺伝子移入のためのアデノ随伴ウイルス組成物及びそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20240209BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240209BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20240209BHJP
   C12N 15/35 20060101ALI20240209BHJP
   C07K 14/015 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240209BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 38/44 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N7/01
C12N15/55 ZNA
C12N15/35
C07K14/015
A61K35/76
A61K48/00
A61K38/44
A61P3/00
A61P25/00
A61P43/00 105
【請求項の数】 28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022073374
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2020541862の分割
【原出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2022105105
(43)【公開日】2022-07-12
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】62/625,150
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520140811
【氏名又は名称】ホモロジー・メディシンズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アルバート・バーンズ・シーモア
(72)【発明者】
【氏名】シーミン・セヘル・アーメド
(72)【発明者】
【氏名】ジェーソン・ボーク・ライト
(72)【発明者】
【氏名】セリーナ・ニコル・ドリヴ
(72)【発明者】
【氏名】ヒラード・ルビン
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535729(JP,A)
【文献】特表2005-522517(JP,A)
【文献】特表2017-529854(JP,A)
【文献】特表2014-507154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0211094(US,A1)
【文献】国際公開第2003/093436(WO,A2)
【文献】Molecular Therapy: Nucleic Acids,2017年,Vol.7,pp.339-349
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Genbank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)AAVクレードFカプシドタンパク質を含むAAVカプシドと、
(b)PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む移入ゲノムと
を含む
複製欠陥アデノ随伴ウイルス(AAV)であって、
前記PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、AAV。
【請求項2】
細胞においてPAHポリペプチドを発現させるためのex vivoの方法であって、前記細胞に複製欠陥アデノ随伴ウイルス(AAV)で形質導入する工程を含み、AAVが、
(a)AAVクレードFカプシドタンパク質を含むAAVカプシドと、
(b)PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む移入ゲノムと
を含み、
前記PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、方法。
【請求項3】
前記細胞が、肝細胞、腎細胞、脳細胞、下垂体細胞、副腎細胞、膵臓細胞、膀胱細胞、胆嚢細胞、結腸細胞、小腸細胞又は房細胞である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
PAH遺伝子突然変異に関連する疾患又は障害に罹患している対象処置のための医薬の製造における複製欠陥AAVの使用であって、前記複製欠陥AAVが、
(a)AAVクレードFカプシドタンパク質を含むAAVカプシドと、
(b)PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む移入ゲノムと
を含み、
前記PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、使用。
【請求項5】
前記疾患又は障害が、フェニルケトン尿症であり、任意選択で、前記対象がヒト対象である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記PAHコード配列が、配列番号23に記載のアミノ酸配列をコードする、並びに/あるいは、
前記転写調節エレメントが、肝細胞、腎細胞、又は脳、下垂体、副腎、膵臓、膀胱、胆嚢、結腸、小腸若しくは乳房における細胞において転写を媒介することができ、
任意選択で、前記転写調節エレメントが、
CAGプロモーター、ヒトEF-1αプロモーター、ヒト肝制御領域1(HCR1)、ヒトα1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター、hAATプロモーターの肝特異的調節モジュール、SV40イントロン、及びマウス微小ウイルス(MVM)イントロンからなる群から選択されるエレメントのうちの1つ又は複数を含むか、
配列番号28~30及び32~41からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含むか、
配列番号28~30及び32~41からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、
5'から3'に向かって、配列番号29、30、及び31に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は、
配列番号32に記載のヌクレオチド配列を含む、
請求項1に記載のAAV。
【請求項7】
前記移入ゲノムが、前記PAHコード配列に作動可能に連結されたイントロンを更に含み、
任意選択で、前記イントロンが、
配列番号31又は35に記載の配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含むか、
配列番号31又は35に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は、
前記移入ゲノムが、5'から3'に向かって、非コードエクソン、前記イントロン、及び前記PAHコード配列を含むか、並びに/又は、
前記PAHコード配列の3'側にポリアデニル化配列を含み、任意選択で、
前記ポリアデニル化配列が、外因性ポリアデニル化配列であり、任意選択で、
前記外因性ポリアデニル化配列が、SV40ポリアデニル化配列であり、任意選択で、
前記SV40ポリアデニル化配列が、配列番号42、43、及び45からなる群から選択される配列を含む、請求項1又は6に記載のAAV。
【請求項8】
前記移入ゲノムが、配列番号47と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項1、6又は7のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項9】
前記移入ゲノムが、ゲノムの5'側に5'逆方向末端反復(5'ITR)ヌクレオチド配列を、及びゲノムの3'側に3'逆方向末端反復(3'ITR)ヌクレオチド配列を更に含む、
求項1及び6から8のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項10】
前記移入ゲノムが、配列番号52と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1及び6から9のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項11】
記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、又は
(e)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cである、並びに/あるいは、
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含み、
前記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、又は
(e)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cである、並びに/あるいは、
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含む、並びに/あるいは、
前記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Tであり、配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸68に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Vであり、配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Lであり、配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Tであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Qであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Yであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Kであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Lであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Sであるか、
(e)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであるか、
(f)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであるか、
(g)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、
(h)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、又は
(i)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである、並びに/あるいは
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含む、
請求項1及び6から10のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項12】
請求項1及び6から11のいずれか一項に記載のAAVを含む、医薬組成物。
【請求項13】
複製欠損AAVの組換え調製のためのパッケージング系であって、
(a)1つ又は複数のAAV Repタンパク質をコードするRepヌクレオチド配列と、
(b)請求項11に記載の1つ又は複数のAAVクレードFカプシドタンパク質をコードするCapヌクレオチド配列と、
(c)請求項11に記載の移入ゲノムと
を含み、細胞内で前記移入ゲノムを前記カプシドに封入して前記AAVを形成するのに有効である、パッケージング系。
【請求項14】
任意選択で、前記パッケージング系が、前記Repヌクレオチド配列及び前記Capヌクレオチド配列を含む第1のベクターと、前記移入ゲノムを含む第2のベクターとを含み、
前記Repヌクレオチド配列が、AAV2 Repタンパク質をコードし、任意選択で、前記AAV2 Repタンパク質が、Rep 78/68又はRep 68/52であり、並びに/あるいは、前記AAV2 Repタンパク質が、配列番号22に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み並びに/あるいは、
前記パッケージング系が第3のベクターを更に含み、前記第3のベクターが、ヘルパーウイルスベクターであり、任意選択で、
前記ヘルパーウイルスベクターが、独立した第3のベクターであるか、
前記ヘルパーウイルスベクターが、第1のベクターと一体になっているか、
前記ヘルパーウイルスベクターが、第2のベクターと一体になっているか、
前記第3のベクターが、ヘルパーウイルスタンパク質をコードする遺伝子を含む、及び/又は、
ヘルパーウイルスが、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、及びサイトメガロウイルス(CMV)からなる群から選択され、任意選択で、
前記ヘルパーウイルスが、アデノウイルスであり、任意選択で、アデノウイルスゲノムが、E1、E2、E4及びVAからなる群から選択される1つ又は複数のアデノウイルスRNA遺伝子を含むか、又は、
前記ヘルパーウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV)であり、任意選択で、HSVゲノムが、UL5/8/52、ICPO、ICP4、ICP22及びUL30/UL42からなる群から選択されるHSV遺伝子のうちの1つ又は複数を含む、請求項13に記載のパッケージング系。
【請求項15】
任意選択で、前記第1のベクター及び前記第3のベクターが、第1のトランスフェクトプラスミドに含有されるか、
前記第2のベクター及び前記第3のベクターのヌクレオチドが、第2のトランスフェクトプラスミドに含有されるか、
前記第1のベクター及び前記第3のベクターのヌクレオチドが、組換えヘルパーウイルスにクローニングされるか、又は、
前記第2のベクター及び前記第3のベクターのヌクレオチドが、組換えヘルパーウイルスにクローニングされる、請求項14に記載のパッケージング系。
【請求項16】
複製欠損AAVの組換え調製のためのex vivoの方法であって前記移入ゲノムを前記カプシドに封入して前記AAVを形成するのに有効な条件下で、請求項13から15のいずれか一項に記載のパッケージング系を細胞に導入する工程を含む、方法。
【請求項17】
前記PAHコード配列が、配列番号23に記載のアミノ酸配列をコードする、並びに/あるいは、
前記転写調節エレメントが、肝細胞、腎細胞、又は脳、下垂体、副腎、膵臓、膀胱、胆嚢、結腸、小腸若しくは乳房における細胞において転写を媒介することができ、
任意選択で、前記転写調節エレメントが、
CAGプロモーター、ヒトEF-1αプロモーター、ヒト肝制御領域1(HCR1)、ヒトα1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター、hAATプロモーターの肝特異的調節モジュール、SV40イントロン、及びマウス微小ウイルス(MVM)イントロンからなる群から選択されるエレメントのうちの1つ又は複数を含むか、
配列番号28~30及び32~41からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含むか、
配列番号28~30及び32~41からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、
5'から3'に向かって、配列番号29、30、及び31に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は、
配列番号32に記載のヌクレオチド配列を含む、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項18】
前記移入ゲノムが、前記PAHコード配列に作動可能に連結されたイントロンを更に含み、
任意選択で、前記イントロンが、
配列番号31又は35に記載の配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含むか、
配列番号31又は35に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は、
前記移入ゲノムが、5'から3'に向かって、非コードエクソン、前記イントロン、及び前記PAHコード配列を含むか、並びに/又は、
前記PAHコード配列の3'側にポリアデニル化配列を含み、任意選択で、
前記ポリアデニル化配列が、外因性ポリアデニル化配列であり、任意選択で、
前記外因性ポリアデニル化配列が、SV40ポリアデニル化配列であり、任意選択で、
前記SV40ポリアデニル化配列が、配列番号42、43、及び45からなる群から選択される配列を含む、請求項2、3又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記移入ゲノムが、配列番号47と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項2、3、17及び18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記移入ゲノムが、ゲノムの5'側に5'逆方向末端反復(5'ITR)ヌクレオチド配列を、及びゲノムの3'側に3'逆方向末端反復(3'ITR)ヌクレオチド配列を更に含む、
請求項2、3及び17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記移入ゲノムが、配列番号52と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項2、3及び17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、又は
(e)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cである、並びに/あるいは、
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含み、
前記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、又は
(e)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cである、並びに/あるいは、
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含む、並びに/あるいは、
前記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Tであり、配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸68に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Vであり、配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Lであり、配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Tであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Qであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Yであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Kであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Lであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Sであるか、
(e)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであるか、
(f)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであるか、
(g)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、
(h)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、又は
(i)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである、並びに/あるいは
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含む、
請求項2、3及び17から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記PAHコード配列が、配列番号23に記載のアミノ酸配列をコードする、並びに/あるいは、
前記転写調節エレメントが、肝細胞、腎細胞、又は脳、下垂体、副腎、膵臓、膀胱、胆嚢、結腸、小腸若しくは乳房における細胞において転写を媒介することができ、
任意選択で、前記転写調節エレメントが、
CAGプロモーター、ヒトEF-1αプロモーター、ヒト肝制御領域1(HCR1)、ヒトα1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター、hAATプロモーターの肝特異的調節モジュール、SV40イントロン、及びマウス微小ウイルス(MVM)イントロンからなる群から選択されるエレメントのうちの1つ又は複数を含むか、
配列番号28~30及び32~41からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含むか、
配列番号28~30及び32~41からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、
5'から3'に向かって、配列番号29、30、及び31に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は、
配列番号32に記載のヌクレオチド配列を含む、
請求項4又は5に記載の使用。
【請求項24】
前記移入ゲノムが、前記PAHコード配列に作動可能に連結されたイントロンを更に含み、
任意選択で、前記イントロンが、
配列番号31又は35に記載の配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含むか、
配列番号31又は35に記載のヌクレオチド配列を含むか、又は、
前記移入ゲノムが、5'から3'に向かって、非コードエクソン、前記イントロン、及び前記PAHコード配列を含むか、並びに/又は、
前記PAHコード配列の3'側にポリアデニル化配列を含み、任意選択で、
前記ポリアデニル化配列が、外因性ポリアデニル化配列であり、任意選択で、
前記外因性ポリアデニル化配列が、SV40ポリアデニル化配列であり、任意選択で、
前記SV40ポリアデニル化配列が、配列番号42、43、及び45からなる群から選択される配列を含む、請求項4、5及び23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記移入ゲノムが、配列番号47と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項4、5、23及び24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記移入ゲノムが、ゲノムの5'側に5'逆方向末端反復(5'ITR)ヌクレオチド配列を、及びゲノムの3'側に3'逆方向末端反復(3'ITR)ヌクレオチド配列を更に含む、
請求項4、5及び23から25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記移入ゲノムが、配列番号52と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項4、5及び23から26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
前記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、又は
(e)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cである、並びに/あるいは、
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含み、
前記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであるか、又は
(e)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cである、並びに/あるいは、
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含む、並びに/あるいは、
前記AAVクレードFカプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、
(i)配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Tであり、配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸68に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Vであり、配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Lであり、配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gであるか、
(ii)
(a)配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Tであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Qであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Yであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Kであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Lであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Sであるか、
(e)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであるか、
(f)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであるか、
(g)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、
(h)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、又は
(i)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである、並びに/あるいは
(iii)前記カプシドタンパク質が、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含む、
請求項4、5及び23から27のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年2月1日に出願した米国特許仮出願第62/625,150号の優先権を主張するものであり、これらの米国特許仮出願の全内容は、これにより参照により本明細書に組み入れられている。
【0002】
電子的に提出する配列表への参照
ASCIIテキストファイル(名称:HMT-025PC_SeqList_ST25.txt;サイズ:34,214バイト;及び作成日:2019年1月27日)により電子的に提出する配列表の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
フェニルケトン尿症(PKU)は、原因の大部分がフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)遺伝子の突然変異に起因する、常染色体劣性遺伝性障害である。PAH遺伝子は、多量体化時のL-フェニルアラニン(Phe)からL-チロシン(Tyr)へのヒドロキシル化を触媒する肝酵素をコードする。PAH活性の低下又は喪失は、フェニルアラニン蓄積、及びフェニルピルビン酸(フェニルケトンとしても公知)へのその変換につながる。フェニルアラニン代謝のこの異常は、ニューロン突然変異及びミエリン合成を損なわせ、その結果、精神遅滞、てんかん発作及び他の重篤な医学的問題が生じることになる。
【0004】
現在、PKUには治療法がない。標準的なケアは、大量のフェニルアラニンを含有する食物を最小限に抑えることによる食事管理である。出生時からの低フェニルアラニンの粉ミルクでの食事管理により、この障害の知的障害の発生が予防される。しかし、低フェニルアラニン食を摂っていても、小児は、やはり発達遅滞を患い、成人は、多くの場合、骨粗鬆症及びビタミン欠乏症にかかる。更に、生涯にわたる食療法の遵守は、特に小児が就学年齢に達すると、困難である。
【0005】
大型中性アミノ酸(LNAA)補給、補因子テトラヒドロビオプテリン療法、酵素補充療法及び遺伝子組換えプロバイオティクス療法をはじめとする、新たな処置戦略が、最近、浮上してきた。しかし、これらの戦略には欠点がある。LNAA補給は、低Phe食を遵守しない成人にしか適さない。補因子テトラヒドロビオプテリンは、一部の軽症型のPKUにしか使用することができない。PAHの代用品、例えばフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、の投与による酵素補充は、有効性を低下させる及び/又は副作用を引き起こす、免疫応答をもたらしうる。遺伝子組換えプロバイオティクス療法に関しては、PAL発現大腸菌(E. coli)の病原性が懸念されている。
【0006】
遺伝子療法は、PKUを治療するまたとない機会を提供する。レンチウイルスベクターをはじめとするレトロウイルスベクターは、核酸を宿主細胞ゲノムに組み込むことができ、ゲノムへのそれらの非標的化挿入のため、安全性の懸念を提起する。例えば、前記ベクターには、腫瘍抑制遺伝子を破壊すること又は癌遺伝子を活性化することによって悪性疾患を引き起こすリスクがある。実際、ガンマレトロウイルスベクターでCD34+骨髄前駆細胞に形質導入することによりX連鎖重症複合免疫不全(SCID)を処置する臨床試験では、10名のうち4名の患者が白血病を発症した(Hacein-Bey-Abinaら、J Clin Invest. (2008) 118(9):3132~42頁)。その一方で、非組込み型ベクターでは、多くの場合、in vivoでの発現レベルが不十分であり又は発現期間が不適当である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO 2009/130208
【文献】WO 2016/100575A1
【文献】米国特許第7,790,154号
【文献】米国特許第9,783,824号
【非特許文献】
【0008】
【文献】Hacein-Bey-Abinaら、J Clin Invest. (2008) 118(9):3132~42頁
【文献】Kramerら(Molecular Therapy (2003) 7、375~385頁
【文献】Sibleyら、(2016) Nature Reviews Genetics、17、407~21頁
【文献】Luら(2013) Molecular Therapy 21(5):954~63頁
【文献】Luら(2017) Hum. Gene Ther. 28(1):125~34頁
【文献】Savyら、Human Gene Therapy Methods (2017) 28(5):277~289頁
【文献】Remington's Pharmaceutical Sciences、現行版、Mack Publishing社、Easton Pa. 18042、USA
【文献】A. Gennaro (2000)「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、第20版、Lippincott, Williams, & Wilkins社
【文献】Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H. C. Anselら、第7版、Lippincott, Williams, & Wilkins社
【文献】Handbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A. H. Kibbeら、第3版、Amer. Pharmaceutical Assoc.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、PKU患者のPAH遺伝子機能を効率的に且つ安全に回復させることができる、改善された遺伝子療法組成物及び方法が、当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
細胞のPAH遺伝子機能を回復させることができるアデノ随伴ウイルス(AAV)組成物、及びPAH遺伝子機能の低下に関連する疾患(例えば、PKU)を処置するために前記組成物を使用する方法が、本明細書で提供される。アデノ随伴ウイルス組成物を作製するためのパッケージング系も提供される。
【0011】
したがって、一態様では、本開示は、細胞においてPAHポリペプチドを発現させる方法であって、前記細胞に複製欠陥アデノ随伴ウイルス(AAV)で形質導入する工程を含み、AAVが、
(a)AAVクレードFカプシドタンパク質を含むAAVカプシドと、
(b)PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む移入ゲノムと
を含む、方法を提供する。
【0012】
ある特定の実施形態では、細胞は、肝細胞、腎細胞、又は脳、下垂体、副腎、膵臓、膀胱、胆嚢、結腸、小腸若しくは乳房における細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、哺乳動物対象の細胞であり、AAVは、前記対象の細胞への形質導入に有効な量で前記対象に投与される。
【0013】
別の態様では、本開示は、PAH遺伝子突然変異に関連する疾患又は障害に罹患している対象を処置する方法であって、前記対象に複製欠陥アデノ随伴ウイルス(AAV)の有効量を投与するステップを含み、AAVは、
(a)AAVクレードFカプシドタンパク質を含むAAVカプシドと、
(b)PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む移入ゲノムと
を含む、方法を提供する。
【0014】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、フェニルケトン尿症である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒト対象である。
【0015】
別の態様では、本開示は、複製欠陥アデノ随伴ウイルス(AAV)であって、
(a)AAVクレードFカプシドタンパク質を含むAAVカプシドと、
(b)PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む移入ゲノムと
を含むAAVを提供する。
【0016】
以下の実施形態は、上述の態様の各々に当てはまる。
【0017】
ある特定の実施形態では、PAHコード配列は、配列番号23に記載のアミノ酸配列をコードする。ある特定の実施形態では、PAHコード配列は、配列番号24に記載のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、PAHコード配列は、サイレント変化を有する。ある特定の実施形態では、PAHコード配列は、配列番号25に記載のヌクレオチド配列を含む。
【0018】
ある特定の実施形態では、転写調節エレメントは、肝細胞、腎細胞、又は脳、下垂体、副腎、膵臓、膀胱、胆嚢、結腸、小腸若しくは乳房における細胞において転写を媒介することができる。ある特定の実施形態では、転写調節エレメントは、肝細胞又は腎細胞において転写を媒介することができる。ある特定の実施形態では、転写調節エレメントは、CAGプロモーター、ヒトEF-1αプロモーター、ヒト肝制御領域1(HCR1)、ヒトα1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター、hAATプロモーターの肝特異的調節モジュール、SV40イントロン、及びマウス微小ウイルス(MVM)イントロンからなる群から選択されるエレメントのうちの1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、転写調節エレメントは、配列番号28~30及び32~41からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、転写調節エレメントは、配列番号28~30及び32~41からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、転写調節エレメントは、5'から3'に向かって、配列番号29、30、及び31に記載のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、転写調節エレメントは、配列番号32に記載のヌクレオチド配列を含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、PAHコード配列に作動可能に連結されたイントロンを更に含む。ある特定の実施形態では、イントロンは、配列番号31又は35に記載の配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、イントロンは、配列番号31又は35に記載のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、5'から3'向かって、非コードエクソン、イントロン、及びPAHコード配列を含む。
【0020】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、PAHコード配列の3'側にポリアデニル化配列を更に含む。ある特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、外因性ポリアデニル化配列である。ある特定の実施形態では、外因性ポリアデニル化配列は、SV40ポリアデニル化配列である。ある特定の実施形態では、SV40ポリアデニル化配列は、配列番号42、43及び45からなる群から選択される配列を含む。
【0021】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号46~50、61、64、67、74、76、78、80、82、84、86、及び89からなる群から選択される配列を含む。
【0022】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、ゲノムの5'側に5'逆方向末端反復(5'ITR)ヌクレオチド配列を、及びゲノムの3'側に3'逆方向末端反復(3'ITR)ヌクレオチド配列を更に含む。ある特定の実施形態では、5'ITRヌクレオチド配列は、配列番号18に対して少なくとも95%の配列同一性を有し、3'ITRヌクレオチド配列は、配列番号19に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。ある特定の実施形態では、5'ITRヌクレオチド配列は、配列番号20に対して少なくとも95%の配列同一性を有し、3'ITRヌクレオチド配列は、配列番号21に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。ある特定の実施形態では、5'ITRヌクレオチド配列は、配列番号26に対して少なくとも95%の配列同一性を有し、3'ITRヌクレオチド配列は、配列番号27に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0023】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号51~55、62、65、68、75、77、79、81、83、85、87、及び90からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号51~55、62、65、68、75、77、79、81、83、85、87、及び90からなる群から選択されるヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号52に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0024】
ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gである。
【0025】
ある特定の実施形態では、
(a)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、又は
(e)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである。
【0026】
ある特定の実施形態では、カプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含む。
【0027】
ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gである。
【0028】
ある特定の実施形態では、
(a)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、又は
(e)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである。
【0029】
ある特定の実施形態では、カプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含む。
【0030】
ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Tであり、配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸68に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Vであり、配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Lであり、配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gである。
【0031】
ある特定の実施形態では、
(a)配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Tであり、及び配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Qであるか、
(b)配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、及び配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Yであるか、
(c)配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Kであるか、
(d)配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Lであり、及び配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Sであるか、
(e)配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、及び配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであるか、
(f)配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mであるか、
(g)配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、
(h)配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、及び配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであるか、又は
(i)配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、及び配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである。
【0032】
ある特定の実施形態では、カプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含む。
【0033】
別の態様では、本開示は、本明細書で開示されるAAVを含む医薬組成物を提供する。
【0034】
別の態様では、本開示は、AAVの組換え調製のためのパッケージング系であって、
(a)1つ又は複数のAAV Repタンパク質をコードするRepヌクレオチド配列と、
(b)本明細書で開示される1つ又は複数のAAVクレードFカプシドタンパク質をコードするCapヌクレオチド配列と、
(c)本明細書で開示される移入ゲノムと
を含み、細胞内で前記移入ゲノムを前記カプシドに封入して前記AAVを形成するのに有効である、パッケージング系を提供する。
【0035】
ある特定の実施形態では、パッケージング系は、Repヌクレオチド配列及びCapヌクレオチド配列を含む第1のベクターと、移入ゲノムを含む第2のベクターとを含む。ある特定の実施形態では、Repヌクレオチド配列は、AAV2 Repタンパク質をコードする。ある特定の実施形態では、AAV2 Repタンパク質は、78/68又はRep 68/52である。ある特定の実施形態では、AAV2 Repタンパク質は、配列番号22のAAV2 Repアミノ酸配列に対して最小の配列同一性パーセントを有するアミノ酸配列を含み、前記最小の配列同一性パーセントは、前記AAV2 Repタンパク質をコードするアミノ酸配列の長さにわたって少なくとも70%である。
【0036】
ある特定の実施形態では、パッケージング系は、第3のベクターを更に含み、前記第3のベクターは、ヘルパーウイルスベクターである。ある特定の実施形態では、ヘルパーウイルスベクターは、独立した第3のベクターである。ある特定の実施形態では、ヘルパーウイルスベクターは、第1のベクターと一体になっている。ある特定の実施形態では、ヘルパーウイルスベクターは、第2のベクターと一体になっている。ある特定の実施形態では、第3のベクターは、ヘルパーウイルスタンパク質をコードする遺伝子を含む。
【0037】
ある特定の実施形態では、ヘルパーウイルスは、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、及びサイトメガロウイルス(CMV)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、ヘルパーウイルスは、アデノウイルスである。ある特定の実施形態では、アデノウイルスゲノムは、E1、E2、E4及びVAからなる群から選択される1つ又は複数のアデノウイルスRNA遺伝子を含む。ある特定の実施形態では、ヘルパーウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)である。ある特定の実施形態では、HSVゲノムは、UL5/8/52、ICPO、ICP4、ICP22及びUL30/UL42からなる群から選択されるHSV遺伝子のうちの1つ又は複数を含む。
【0038】
ある特定の実施形態では、第1のベクター及び第3のベクターは、第1のトランスフェクトプラスミドに含有される。ある特定の実施形態では、第2のベクター及び第3のベクターのヌクレオチドは、第2のトランスフェクトプラスミドに含有される。ある特定の実施形態では、第1のベクター及び第3のベクターのヌクレオチドは、組換えヘルパーウイルスにクローニングされる。ある特定の実施形態では、第2のベクター及び第3のベクターのヌクレオチドは、組換えヘルパーウイルスにクローニングされる。
【0039】
別の態様では、本開示は、AAVの組換え調製のための方法であって、移入ゲノム又は移入ゲノムをカプシドに封入してAAVを形成するのに有効な条件下で、本明細書に記載のパッケージング系を細胞に導入する工程を含む、前記方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A】pHMI-hPAH-TC-004ベクターのベクターマップである。
図1B】pHMI-hPAH-TC-025ベクターのベクターマップである。
図1C】pHMI-hPAH-TC-010ベクターのベクターマップである。
図1D】pHMI-hPAH-TC-011ベクターのベクターマップである。
図1E】pHMI-hPAH-TC-012ベクターのベクターマップである。
図2】pCOH-WT-PAH (「WT PAH」)、pCOH-CO-PAH (「CO PAH pCOH」)及びpHMI-CO-PAH (「CO PAH pHMI」)ベクターからのヒトPAHの発現を示す、ウェスタンブロットの画像である。5×105個のHEK293細胞に1μgのベクターで形質導入した。細胞の溶解物をトランスフェクションの48時間後に収集した。ヒトPAHの発現を、ウェスタンブロットにより、抗PAH抗体(Sigma社製HPA031642)で検出した。抗GAPDH抗体(Millipore社製MAB 374)により検出したときのGAPDHタンパク質の量を、負荷対象として示した。
図3A図3A及び図3Bは、体重1kg当たり、AAVHSCカプシドにパッケージングされたrAAV-CBA-mPAHベクターのベクターゲノム5×013個を、尾静脈経由で各々静脈内投与した2匹のpah-/-マウス(「マウスH1」及び「マウスH5」)の、血清中のPheレベルを示すグラフである。血清試料を経時的に採取した。PheレベルをBioAssay Systems ELISAキットEPHE-100(図3A)又は質量分析(図3B)で測定した。
図3B図3A及び図3Bは、体重1kg当たり、AAVHSCカプシドにパッケージングされたrAAV-CBA-mPAHベクターのベクターゲノム5×013個を、尾静脈経由で各々静脈内投与した2匹のpah-/-マウス(「マウスH1」及び「マウスH5」)の、血清中のPheレベルを示すグラフである。血清試料を経時的に採取した。PheレベルをBioAssay Systems ELISAキットEPHE-100(図3A)又は質量分析(図3B)で測定した。
図4】主要臓器で検出された細胞106個当たりのベクターゲノムの数を示すグラフ及び表である。AAVHSCカプシドにパッケージングされたrAAV-CBA-mPAHベクターを、pah-/-マウスに、体重1kg当たりベクターゲノム5×1013個の用量で、尾静脈経由で静脈内注射した。投与の4週間後にマウスの臓器を採取した。細胞106個当たりのベクターゲノムの数は、次の方法により測定した: (1)ベクタープラスミドの段階希釈を用いて作成した標準曲線を使用して、Taqman PCRにより、試料中のベクターゲノムの質量/体積濃度を測定した;(2)単一ベクターゲノムの質量を、ベクターの配列に基づいて算出した;(3)試料中のベクターゲノムの数/体積濃度を算出した;(4)マウス組織から単離したゲノムDNAの算出量の段階希釈を用いて作成した標準曲線を使用して、アポリポタンパク質B遺伝子のTaqman PCRにより、同試料中のゲノムDNAの質量/体積濃度を測定した;(5)試料中の細胞ゲノムの数/体積濃度を、ApoBのコピー数に基づいて算出した;(6)ベクターゲノムの数/体積濃度を細胞ゲノムの数/体積濃度で割り、その結果に106を掛けることにより、細胞106個当たりのベクターゲノムの数を算出した。
図5A図5A及び図5Bは、rAAV-CBA-mPAHベクターを投与したpah-/-マウスの血清中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを示すグラフである。AAVHSCカプシドにパッケージングされたrAAV-CBA-mPAHベクターを、pah-/-マウスに、体重1kg当たりベクターゲノム5x1013個の用量で、尾静脈経由で静脈内注射した。投与の4週間後に血清試料を採取した。ASTのレベル(図5A)及びALTのレベル(図5B)を、それぞれ、Sigma社製MAK055キット及びSigma社製MAK052キットを使用してELISAにより測定した。
図5B図5A及び図5Bは、rAAV-CBA-mPAHベクターを投与したpah-/-マウスの血清中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを示すグラフである。AAVHSCカプシドにパッケージングされたrAAV-CBA-mPAHベクターを、pah-/-マウスに、体重1kg当たりベクターゲノム5x1013個の用量で、尾静脈経由で静脈内注射した。投与の4週間後に血清試料を採取した。ASTのレベル(図5A)及びALTのレベル(図5B)を、それぞれ、Sigma社製MAK055キット及びSigma社製MAK052キットを使用してELISAにより測定した。
図6A図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6B図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6C図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6D図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6E図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6F図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6G図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6H図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6I図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図6J図6A図6Hは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、又はpHMI-hPAH-TC-012ベクターを投与した雄(図6A図6B図6E、及び図6F)又は雌(図6C図6D図6G、及び図6H)マウスの血清中のフェニルアラニン(図6A図6C図6E、及び図6G)又はチロシン(図6B図6D図6F、及び図6H)のレベルを示すグラフである。 図6I図6Jは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図6I)又は雌(図6J)マウスの血清中のフェニルアラニンのレベルに対する長期有効性を示すグラフである。
図7A図7A図7Dは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図7A及び図7B)又は雌(図7C及び図7D)マウスの血清中のフェニルアラニン(図7A及び図7C)又はチロシン(図7B及び図7D)のレベルを示すグラフである。
図7B図7A図7Dは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図7A及び図7B)又は雌(図7C及び図7D)マウスの血清中のフェニルアラニン(図7A及び図7C)又はチロシン(図7B及び図7D)のレベルを示すグラフである。
図7C図7A図7Dは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図7A及び図7B)又は雌(図7C及び図7D)マウスの血清中のフェニルアラニン(図7A及び図7C)又はチロシン(図7B及び図7D)のレベルを示すグラフである。
図7D図7A図7Dは、示されている用量のpHMI-hPAH-TC-025ベクターを投与した雄(図7A及び図7B)又は雌(図7C及び図7D)マウスの血清中のフェニルアラニン(図7A及び図7C)又はチロシン(図7B及び図7D)のレベルを示すグラフである。
図8A】pHMI-hPAH-TC-009ベクターのベクターマップである。
図8B】pHMI-hPAH-TC-013ベクターのベクターマップである。
図8C】pHMI-hPAH-TC-017ベクターのベクターマップである。
図9A図9A~9Bは、Huh7細胞(図9A)及びHEK293細胞(図9B)における示されているAAVベクターからのヒトPAH発現のウェスタンブロットの定量化を示す。
図9B図9A~9Bは、Huh7細胞(図9A)及びHEK293細胞(図9B)における示されているAAVベクターからのヒトPAH発現のウェスタンブロットの定量化を示す。
図10A】示されているAAVベクターを投与したマウスにおける血清フェニルアラニンレベルを示すグラフである。雄Pah-/- PAHenu2マウスの血清Pheレベルを経時的に示すグラフである。
図10B】示されているAAVベクターを投与したマウスにおける血清フェニルアラニンレベルを示すグラフである。雌Pah-/- PAHenu2マウスの血清Pheレベルを経時的に示すグラフである。
図10C】示されているAAVベクターを投与したマウスにおける血清フェニルアラニンレベルを示すグラフである。この研究における雄及び雌マウスの平均ベースライン血清Pheレベルを示すグラフである(1群当たりマウス55匹; ****は、p<0.05を示す)。
図11A】pHMI-hPAH-TC-018ベクターのベクターマップである。
図11B】pHMI-hPAH-TC-019ベクターのベクターマップである。
図11C】pHMI-hPAH-TC-020ベクターのベクターマップである。
図11D】pHMI-hPAH-TC-021ベクターのベクターマップである。
図11E】pHMI-hPAH-TC-022ベクターのベクターマップである。
図11F】pHMI-hPAH-TC-023ベクターのベクターマップである。
図12】CBAプロモーターの制御下で示されているAAVベクターをトランスフェクトしたHEK293細胞からのヒトPAH発現のウェスタンブロットの定量化を示す。
図13】示されているAAVベクターを投与した雄Pah-/- PAHenu2マウスの血清フェニルアラニンレベルを経時的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、細胞のPAH遺伝子機能を回復させることができるアデノ随伴ウイルス(AAV)組成物を提供する。アデノ随伴ウイルス組成物を作製するためのパッケージング系も提供される。
【0042】
I.定義
本明細書で使用される場合、用語「複製欠損アデノ随伴ウイルス」は、Rep及びCap遺伝子を欠いているゲノムを含むAAVを指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「PAH遺伝子」は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子を指す。ヒトPAH遺伝子は、Entrez Gene ID 5053により識別される。PAH mRNAの例示的ヌクレオチド配列は、配列番号24として提供される。PAHポリペプチドの例示的アミノ酸配列は、配列番号23として提供される。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「移入ゲノム」は、外因性転写調節エレメントに作動可能に連結されたコード配列を含む組換えAAVゲノムであって、前記外因性転写調節エレメントが、移入ゲノムが細胞に導入されたときに前記コード配列の発現を媒介するものである、前記組換えAAVゲノムを指す。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、細胞の染色体DNAに組み込まれない。PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む移入ゲノムの部分が、PAHコード配列の転写の向きに対してセンス方向で存在することもあり、又はアンチセンス方向で存在することもあることは、当業者には理解されるであろう。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「クレードFカプシドタンパク質」は、本明細書における配列番号1のアミノ酸1~736、138~736、及び203~736それぞれに記載のVP1、VP2、又はVP3アミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する、AAV VP1、VP2、又はVP3カプシドタンパク質を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、2ヌクレオチド配列間又は2アミノ酸配列間の同一性は、アライメントしている同一ヌクレオチド又はアミノ酸の数をより長いヌクレオチド又はアミノ酸配列の完全長で割ることにより決定される。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「PAH遺伝子突然変異に関連する疾患又は障害」は、PAH遺伝子の変異に起因する、PAH遺伝子の突然変異により憎悪される、又はPAH遺伝子の突然変異と遺伝的に関連付けられる、任意の疾患又は障害を指す。ある特定の実施形態では、PAH遺伝子突然変異に関連する疾患又は障害は、フェニルケトン尿症(PKU)である。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「コード配列」は、開始コドンで始まって終止コドンで終わる、ポリペプチドをコードする相補的DNA(cDNA)の部分を指す。遺伝子は、選択的スプライシング、選択的翻訳開始、及び集団内での変異に起因して、1つ又は複数のコード配列を有することがある。コード配列は、野生型であることもあり、又はコドン変化を有することもある。例示的な野生型コード配列は、配列番号24に記載のものである。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「サイレント変化を有する(silently altered)」は、遺伝子のコード配列又はスタッファー挿入コード配列の変化であって、前記コード配列又はスタッファー挿入コード配列によりコードされたポリペプチドのアミノ酸配列の変更を伴わない変化(例えば、ヌクレオチド置換によるもの)を指す。そのようなサイレント変化は、コード配列の翻訳効率を上昇させることができる点で有利である。
【0050】
本開示では、PAH遺伝子内のヌクレオチド位置は、開始コドンの第1のヌクレオチドを基準にして指定される。開始コドンの第1のヌクレオチドが1位であり、開始コドンの第1のヌクレオチドの5'側のヌクレオチドは、負の番号を有し、開始コドンの第1のヌクレオチドの3'側のヌクレオチドは、正の番号を有する。ヒトPAH遺伝子の例示的なヌクレオチド1は、NCBI参照配列NG_008690.1のヌクレオチド5,473であり、ヒトPAH遺伝子の例示的なヌクレオチド3は、NCBI参照配列NG_008690.1のヌクレオチド5,475である。開始コドンの5'側に隣接するヌクレオチドは、ヌクレオチド-1である。
【0051】
本開示では、PAH遺伝子内のエクソン及びイントロンは、NCBI参照配列NG_008690.1のヌクレオチド5473である開始コドンの第1のヌクレオチドを包含するエクソンを基準にして指定される。開始コドンの第1のヌクレオチドを包含するエクソンは、エクソン1である。エクソン1の3'側のエクソンは、5'から3'に向かって、エクソン2、エクソン3等となる。エクソン1の3'側のイントロンは、5'から3'に向かって、イントロン1、イントロン2等となる。したがって、PAH遺伝子は、5'から3'に向かって、エクソン1、イントロン1、エクソン2、イントロン2、エクソン3等を含む。ヒトPAH遺伝子の例示的なエクソン1は、NCBI参照配列NG_008690.1のヌクレオチド5001~5532である。ヒトPAH遺伝子の例示的なイントロン1は、NCBI参照配列NG_008690.1のヌクレオチド5533~9704である。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「転写調節エレメント」又は「TRE」は、RNA分子を形成するためのRNAポリメラーゼによる作動可能に連結されたヌクレオチド配列の転写を調節する(例えば、制御する、増加させる、又は低減させる)シス作用性ヌクレオチド配列、例えばDNA配列を指す。TREは、転写を調節するために、転写因子等の1つ又は複数のトランス作用性分子に依拠する。したがって、1つのTREが、異なるトランス作用性分子と接触しているとき、例えば、異なる型の細胞内にあるとき、異なる方法で転写を調節することがある。TREは、1つ又は複数のプロモーターエレメント及び/又はエンハンサーエレメントを含むこともある。遺伝子内でプロモーターエレメントとエンハンサーエレメントが近い位置に存在することもあり、用語「プロモーター」がプロモーターエレメントとエンハンサーエレメントとを含む配列を指すこともあることは、当業者には理解されるであろう。したがって、用語「プロモーター」は、配列中のエンハンサーエレメントを除外しない。プロモーター及びエンハンサーエレメントは、同じ遺伝子又は種に由来する必要がなく、プロモーター又はエンハンサーエレメント各々の配列は、ゲノム内の対応する内因性配列と同一又は実質的に同一のどちらかでありうる。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「作動可能に連結された」は、TREと転写されるコード配列との間の接続を記述するために使用される。通常は、遺伝子発現は、1つ又は複数のプロモーター及び/又はエンハンサーエレメントを含むTREの制御下にある。コード配列は、そのコード配列がTREにより制御される又はTREによる影響を受ける場合、TREに「作動可能に連結されている」。TREのプロモーター及びエンハンサーエレメントは、所望の転写活性が得られる限り、コード配列からいずれの方向及び/又は距離にあってもよい。ある特定の実施形態では、TREは、コード配列の上流にある。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「ポリアデニル化配列」は、RNAに転写されたときにポリアデニル化シグナル配列を構成する、DNA配列を指す。ポリアデニル化配列は、天然の(例えば、PAH遺伝子からの)ものであることもあり、又は外因性であることもある。外因性ポリアデニル化配列は、哺乳動物ポリアデニル化配列であることもあり、又はウイルスポリアデニル化配列(例えば、SV40ポリアデニル化配列)であることもある。
【0055】
本明細書で使用される場合、「外因性ポリアデニル化配列」は、PAH遺伝子(例えば、ヒトPAH遺伝子)の内因性ポリアデニル化配列と同一でも実質的に同一でもない、ポリアデニル化配列を指す。ある特定の実施形態では、外因性ポリアデニル化配列は、同じ種(例えば、ヒト)の非PAH遺伝子のポリアデニル化配列である。ある特定の実施形態では、外因性ポリアデニル化配列は、異なる種(例えば、ウイルスの)のポリアデニル化配列である。
【0056】
本明細書で使用される場合、対象へのAAVの投与の文脈での用語「有効量」は、所望の予防又は治療効果を達成するAAVの量を指す。
【0057】
II.アデノ随伴ウイルス組成物
一態様では、PAH遺伝子機能の低下又は別様の欠陥がある細胞においてPAHポリペプチドを発現させるのに有用な新規複製欠損AAV組成物が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるAAVは、AAVクレードFカプシドタンパク質を含むAAVカプシドと、PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む移入ゲノムとを含み、これによりPAHの染色体外発現が可能になる。
【0058】
任意のAAVクレードFカプシドタンパク質又はその誘導体を、本明細書で開示されるAAV組成物に使用することができる。例えば、ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gである、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸626に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、配列番号2のアミノ酸718に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸296に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸681に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸687に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸346に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸501に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸706に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである。ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含む。
【0059】
例えば、ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gである、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸626に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、配列番号2のアミノ酸718に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸296に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸681に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸687に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸346に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸501に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸706に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである。ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含む。
【0060】
例えば、ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2のアミノ酸2に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Tであり、配列番号2のアミノ酸65に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸68に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Vであり、配列番号2のアミノ酸77に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸119に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Lであり、配列番号2のアミノ酸151に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸160に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Dであり、配列番号2のアミノ酸206に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、配列番号2のアミノ酸296に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Hであり、配列番号2のアミノ酸312に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり、配列番号2のアミノ酸346に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Aであり、配列番号2のアミノ酸464に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Nであり、配列番号2のアミノ酸468に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Sであり、配列番号2のアミノ酸501に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸590に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸626に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、G若しくはYであり、配列番号2のアミノ酸681に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Mであり、配列番号2のアミノ酸687に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Kであり、配列番号2のアミノ酸706に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり、又は、配列番号2のアミノ酸718に対応する前記カプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gである、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸2に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Tであり、配列番号2のアミノ酸312に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Qである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸65に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸626に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Yである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸77に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸690に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Kである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸119に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Lであり、配列番号2のアミノ酸468に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Sである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸626に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gであり、配列番号2のアミノ酸718に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Gである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸296に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Hであり、配列番号2のアミノ酸464に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Nであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸681に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Mである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸687に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸346に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Aであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rである。ある特定の実施形態では、配列番号2のアミノ酸501に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Iであり、配列番号2のアミノ酸505に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Rであり、配列番号2のアミノ酸706に対応するカプシドタンパク質中のアミノ酸は、Cである。ある特定の実施形態では、AAVクレードFカプシドタンパク質は、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含む。
【0061】
ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、2つ以上を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、又は17のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質を含む。
【0062】
ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号8のアミノ酸203~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号8のアミノ酸138~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号8のアミノ酸1~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号8のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号8のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号8のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号8のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号8のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号8のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、2つ以上を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号8のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号8のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号8のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質を含む。
【0063】
ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号11のアミノ酸203~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号11のアミノ酸138~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号11のアミノ酸1~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号11のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号11のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号11のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号11のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号11のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号11のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、2つ以上を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号11のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号11のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号11のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質を含む。
【0064】
ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号13のアミノ酸203~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号13のアミノ酸138~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号13のアミノ酸1~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号13のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号13のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号13のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号13のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号13のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号13のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、2つ以上を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号13のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号13のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号13のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質を含む。
【0065】
ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号16のアミノ酸138~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号16のアミノ酸1~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号16のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号16のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、1つ又は複数を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号16のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号16のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むクレードFカプシドタンパク質のうちの、2つ以上を含む。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、(b)配列番号16のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質、及び(c)配列番号16のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するクレードFカプシドタンパク質を含む。
【0066】
本明細書で開示されるAAV組成物において有用な移入ゲノムは、PAHコード配列に作動可能に連結された転写調節エレメント(TRE)を一般に含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、TRE及びPAHコード配列の5'側に5'逆方向末端反復(5'ITR)ヌクレオチド配列を、及びTRE及びPAHコード配列の3'側に3'逆方向末端反復(3'ITR)ヌクレオチド配列を含む。
【0067】
ある特定の実施形態では、PAHコード配列は、PAH遺伝子のコード配列の全て又は実質的に全てを含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号23をコードするヌクレオチド配列を含み、必要に応じて、PAH遺伝子のコード配列の3'側に外因性ポリアデニル化配列を更に含むことができる。ある特定の実施形態では、配列番号23をコードするヌクレオチド配列は、野生型(例えば、配列番号24に記載の配列を有するもの)である。ある特定の実施形態では、配列番号23をコードするヌクレオチド配列は、コドン変化を有する(例えば、配列番号25に記載の配列を有するものである)。ある特定の実施形態では、配列番号23をコードするヌクレオチド配列は、コドン変化を有する(例えば、配列番号69、70、71、72、又は73に記載の配列を有するものである)。
【0068】
ある特定の実施形態では、PAHコード配列は、PAHタンパク質のアミノ酸配列の全て又は実質的に全てを含むポリペプチドをコードする。ある特定の実施形態では、PAHコード配列は、野生型PAHタンパク質(例えば、ヒトPAHタンパク質)のアミノ酸配列をコードする。ある特定の実施形態では、PAHコード配列は、突然変異型PAHタンパク質(例えば、ヒトPAHタンパク質)のアミノ酸配列をコードし、この突然変異型PAHポリペプチドは、野生型PAHポリペプチドの機能的等価物であり、すなわち、野生型PAHポリペプチドのように機能することができる。ある特定の実施形態では、機能的に等価のPAHポリペプチドは、野生型PAHポリペプチドに見られない少なくとも1つの特性、例えば、PAHタンパク質(例えば、二量体若しくは四量体)を安定させる能力、又はタンパク質分解に抵抗する能力を、更に有する。
【0069】
移入ゲノムを使用して、任意の哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)においてPAHを発現させることができる。したがって、TREは、任意の哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)において活性でありうる。ある特定の実施形態では、TREは、広範なヒト細胞において活性である。そのようなTREは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター/エンハンサー(例えば、配列番号58と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)、SV40プロモーター、ニワトリベータアクチン(CBA)プロモーター(例えば、配列番号59と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)、ヒト伸長因子1アルファ(EF1α)プロモーター(例えば、配列番号40と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)、転写因子結合部委を含むマウス微小ウイルス(MVM)イントロン(例えば、配列番号35と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)プロモーター、ヒトユビキチンC(Ubc)プロモーター、ヒトベータアクチンプロモーター、ヒトニューロン特異的エノラーゼ(ENO2)プロモーター、ヒトベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモーター、ウサギベータ-グロビンエレメント(例えば、配列番号60と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)、及び/又はヒトメチル化CpG結合タンパク質2 (MeCP2)プロモーターを含む、構成的プロモーター及び/又はエンハンサーエレメントを含みうる。効率的な転写を駆動するために、これらのTREのいずれを、いずれの順序で組み合わせてもよい。例えば、移入ゲノムは、CMVエンハンサーと、CBAプロモーターと、ウサギベータ-グロビン遺伝子のエクソン3からのスプライスアクセプターを含むことがあり、これらは、CAGプロモーターと総称される(例えば、これは、配列番号28と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含む)。例えば、移入ゲノムは、CMVエンハンサーとCBAプロモーターのハイブリッド、続いてスプライスドナー及びスプライスアクセプターを含むことがあり、これらは、CASIプロモーター領域と総称される(例えば、これは、配列番号63と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含む)。
【0070】
代替的に、TREは、組織特異的TREであることがあり、すなわち、特異的組織及び/又は臓器内で活性である。組織特異的TREは、1つ又は複数の組織特異的プロモーター及び/又はエンハンサーエレメントを含み、必要に応じて、1つ又は複数の構成的プロモーター及び/又はエンハンサーエレメントを含む。組織特異的プロモーター及び/又はエンハンサーエレメントを、組織に特異的に発現された遺伝子から当技術分野において周知の方法により単離することができることは、当業者には理解されるであろう。ある特定の実施形態では、TREは、肝臓特異的(例えば、肝細胞特異的)である。例示的な肝臓特異的TREは、ヒトアルブミンプロモーター、ヒトトランスサイレチン(TTR)プロモーター(例えば、配列番号34と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)、ヒトAPOE/C-I肝制御領域(HCR)1若しくは2(例えば、配列番号29若しくは37と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)、ヒトAPOHプロモーター、及びヒトSERPINA1(hAAT)プロモーター(例えば、配列番号30若しくは38と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)又はこれらの肝特異的調節モジュール(例えば配列番号33と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一のヌクレオチド配列を含むもの)からなる群から選択される1つ又は複数のエレメントを含みうる。ある特定の実施形態では、hAATプロモーター領域は、配列番号66と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を含む。より多くの肝臓特異的プロモーターが、参照により本明細書に組み込まれているWO 2009/130208及びKramerら(Molecular Therapy (2003) 7、375~385頁)において開示されている。
【0071】
ある特定の実施形態では、TREは、腎臓特異的(例えば、腎上皮細胞特異的)である。例示的な腎臓特異的TREは、ヒトネフリンプロモーター、ヒト副甲状腺ホルモン受容体プロモーター、ヒトウロモジュリンプロモーター、及びヒトSLC12A1プロモーターからなる群から選択される1つ又は複数のエレメントを含みうる。ある特定の実施形態では、TREは、脳特異的(例えば、ニューロン特異的、グリア細胞特異的、星状膠細胞特異的、乏突起膠細胞特異的、ミクログリア特異的及び/又は中枢神経系特異的)である。例示的な脳特異的TREは、ヒトグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター及びヒトシナプシン1(SYN1)プロモーターからなる群から選択される1つ又は複数のエレメントを含み得る。より多くの脳特異的特異的プロモーターエレメントは、その全体が参照により本明細書に組み込まれているWO 2016/100575A1において開示されている。
【0072】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、上記で開示のTREのうちの少なくとも1つを必要に応じて含む、2つ以上のTREを含む。これらのTREのいずれをいずれの順序で組み合わせてもよいこと、及び構成的TREと組織特異的TREの組合せが効率的且つ組織特異的転写を駆動することができることは、当業者には理解されるであろう。例えば、ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、ヒトHCR1(例えば、配列番号29又は37と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)及びヒトEF-1αプロモーター(例えば、配列番号40と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)を含み、必要に応じて、前記ヒトHCR1は、前記ヒトEF-1αプロモーターの5'側にある。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号41に記載の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、ヒトHCR1(例えば、配列番号29又は37に記載のヌクレオチド配列を含むもの)及びヒトEF-1αプロモーター(例えば、配列番号40に記載のヌクレオチド配列を含むもの)を含み、必要に応じて、前記ヒトHCR1は、前記ヒトEF-1αプロモーターの5'側にある。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号41に記載の配列を含む。
【0073】
同様に、2つ以上の組織特異的TREについての組合せは、効率的且つ組織特異的転写を駆動することができる。例えば、ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、ヒトHCR1(例えば、配列番号29と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)及びhAATプロモーター(例えば、配列番号30と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)を含み、必要に応じて、前記ヒトHCR1は、前記hAATプロモーターの5'側にある。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号32に記載の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、ヒトHCR1(例えば、配列番号29に記載のヌクレオチド配列を含むもの)及びhAATプロモーター(例えば、配列番号30に記載のヌクレオチド配列を含むもの)を含み、必要に応じて、前記ヒトHCR1は、前記hAATプロモーターの5'側にある。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号32に記載のヌクレオチド配列を含む。
【0074】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、hAATプロモーターの肝特異的調節モジュール(例えば、配列番号33と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)、及びヒトTTRプロモーター(例えば、配列番号34と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)を含み、必要に応じて、前記肝特異的調節モジュールは、前記ヒトTTRプロモーターの5'側にある。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号36に記載の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、hAATプロモーターの肝特異的調節モジュール(例えば、配列番号33に記載のヌクレオチド配列を含むもの)、及びヒトTTRプロモーター(例えば、配列番号34に記載のヌクレオチド配列を含むもの)を含み、必要に応じて、前記肝特異的調節モジュールは、前記ヒトTTRプロモーターの5'側にある。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号36に記載のヌクレオチド配列を含む。
【0075】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、ヒトHCR1(例えば、配列番号29又は37と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)及びhAATプロモーター(例えば、配列番号30又は38と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)を含み、必要に応じて、前記ヒトHCR1は、前記hAATプロモーターの5'側にある。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号39に記載の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、ヒトHCR1(例えば、配列番号29又は37に記載のヌクレオチド配列を含むもの)及びhAATプロモーター(例えば、配列番号30又は38に記載のヌクレオチド配列を含むもの)を含み、必要に応じて、前記ヒトHCR1は、前記hAATプロモーターの5'側にある。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号39に記載のヌクレオチド配列を含む。
【0076】
ある特定の実施形態では、転移ベクターは、更に、PAHコード配列の5'側にイントロンを含むか又はPAHコード配列に挿入されたイントロンを含む。そのようなイントロンは、例えば、転写サイレンシングを低減させること及び核から細胞質へのmRNA核外輸送を増進させることにより、導入遺伝子発現を増加させることができる。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、5'から3'向かって、非コードエクソン、イントロン、及びPAHコード配列を含む。ある特定の実施形態では、イントロン配列は、PAHコード配列に挿入され、必要に応じて、前記イントロンは、2つの天然エクソンを連結するヌクレオチド間結合に挿入される。ある特定の実施形態では、イントロンは、天然のエクソン1とエクソン2を連結するヌクレオチド間結合に挿入される。
【0077】
イントロンは、PAH遺伝子の天然イントロン配列を含むこともあり、異なる種からのイントロン配列若しくは同じ種からの異なる遺伝子からのイントロン配列を含むこともあり、及び/又は合成イントロン配列を含むこともある。合成イントロン配列を、当技術分野において(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Sibleyら、(2016) Nature Reviews Genetics、17、407~21頁において)公知の任意のスプライシングモチーフを導入することにより、RNAスプライシングを媒介するように設計することができることは、当業者には理解されるであろう。例示的なイントロン配列は、それら全体が参照により本明細書に組み入れられている、Luら(2013) Molecular Therapy 21(5):954~63頁、及びLuら(2017) Hum. Gene Ther. 28(1):125~34頁に提供されている。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、SV40イントロン(例えば、配列番号31と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)又はマウス微小ウイルス(MVM)イントロン(例えば、配列番号35と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一のヌクレオチド配列を含むもの)を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、SV40イントロン(例えば、配列番号31に記載のヌクレオチド配列を含むもの)又はマウス微小ウイルス(MVM)イントロン(例えば、配列番号35に記載のヌクレオチド配列を含むもの)を含む。
【0078】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される移入ゲノムは、転写ターミネーター(例えば、ポリアデニル化配列)を更に含む。ある特定の実施形態では、転写ターミネーターは、PAHコード配列の3'側にある。転写ターミネーターは、転写を有効に終結させるいずれの配列であってもよく、そのような配列を、PAHコード配列の転写が所望される細胞において発現される任意の遺伝子から単離することができることは、当業者には理解されるであろう。ある特定の実施形態では、転写ターミネーターは、ポリアデニル化配列を含む。ある特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、ヒトPAH遺伝子の内因性ポリアデニル化配列と同一であるか、又は実質的に同一である。ある特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、外因性ポリアデニル化配列である。ある特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、SV40ポリアデニル化配列(例えば、配列番号42、43、若しくは45に記載のヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列を含むもの)である。ある特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、配列番号43に記載の配列を含む。
【0079】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、5'から3'向かって、TRE、必要に応じて非コードエクソン及びイントロン、PAHコード配列、並びにポリアデニル化配列を含む。ある特定の実施形態では、TREは、配列番号28~30及び32~41のうちのいずれか1つに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、イントロンは、配列番号31若しくは35に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、PAHコード配列は、配列番号25に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、並びに/又はポリアデニル化配列は、配列番号42、43、及び45のうちのいずれか1つに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有する。ある特定の実施形態では、TREは、配列番号28~30及び32~41からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、イントロンは、配列番号31及び35からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、並びに/又はポリアデニル化配列は、配列番号42、43、及び45からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、TREは、配列番号28に記載の配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、及び/又はポリアデニル化配列は、配列番号42に記載の配列を含む。ある特定の実施形態では、TREは、5'から3'に向かって、配列番号29に記載の配列、及び配列番号30に記載の配列を含み(例えば、TREは、配列番号32に記載の配列を含み)、イントロンは、配列番号31に記載の配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、並びに/又はポリアデニル化配列は、配列番号43に記載の配列を含む。ある特定の実施形態では、TREは、5'から3'に向かって、配列番号33に記載の配列、及び配列番号34に記載の配列を含み(例えば、TREは、配列番号36に記載の配列を含み)、イントロンは、配列番号35に記載の配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、並びに/又はポリアデニル化配列は、配列番号45に記載の配列を含む。ある特定の実施形態では、TREは、5'から3'に向かって、配列番号37に記載の配列、及び配列番号38に記載の配列を含み(例えば、TREは、配列番号39に記載の配列を含み)、イントロンは、配列番号35に記載の配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、並びに/又はポリアデニル化配列は、配列番号45に記載の配列を含む。ある特定の実施形態では、TREは、5'から3'に向かって、配列番号37に記載の配列、及び配列番号40に記載の配列を含み(例えば、TREは、配列番号41に記載の配列を含み)、並びに/又はポリアデニル化配列は、配列番号45に記載の配列を含む。
【0080】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号46、47、48、49、50、61、64、67、74、76、78、80、82、84、86、又は89と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号46、47、48、49、50、61、64、67、74、76、78、80、82、84、86、又は89に記載のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号46、47、48、49、50、61、64、67、74、76、78、80、82、84、86、又は89に記載のヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号47に記載のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号47に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0081】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される移入ゲノムは、TREの5'側に5'逆方向末端反復(5'ITR)ヌクレオチド配列を、及びPAHコード配列の3'側に3'逆方向末端反復(3'ITR)ヌクレオチド配列を更に含む。任意のAAV血清型又はそのバリアントからのITR配列を、本明細書で開示される移入ゲノムに使用することができる。5'及び3'ITRは、同じ血清型のAAVからのものであることもあり、又は異なる血清型のAAVからのものであることもある。本明細書で開示される移入ゲノムにおける使用のための例示的なITRは、本明細書中の配列番号18~21、26、及び27に記載のものである。
【0082】
ある特定の実施形態では、5'ITR又は3'ITRは、AAV2からのものである。ある特定の実施形態では、5'ITRと3'ITRの両方が、AAV2からのものである。ある特定の実施形態では、5'ITRヌクレオチド配列は、配列番号18に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%)の配列同一性を有し、又は3'ITRヌクレオチド配列は、配列番号19に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%)の配列同一性を有する。ある特定の実施形態では、5'ITRヌクレオチド配列は、配列番号18に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)の配列同一性を有し、3'ITRヌクレオチド配列は、配列番号19に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)の配列同一性を有する。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号46~50、61、64、67、74、76、78、80、82、84、86、及び89のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列と、配列番号18の配列を有する5'ITRヌクレオチド配列と、配列番号19の配列を有する3'ITRヌクレオチド配列とを含む。
【0083】
ある特定の実施形態では、5'ITR又は3'ITRは、AAV5からのものである。ある特定の実施形態では、5'ITRと3'ITRの両方が、AAV5からのものである。ある特定の実施形態では、5'ITRヌクレオチド配列は、配列番号20に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%)の配列同一性を有し、又は3'ITRヌクレオチド配列は、配列番号21に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%)の配列同一性を有する。ある特定の実施形態では、5'ITRヌクレオチド配列は、配列番号20に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)の配列同一性を有し、3'ITRヌクレオチド配列は、配列番号21に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)の配列同一性を有する。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号46~50のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列と、配列番号20の配列を有する5'ITRヌクレオチド配列と、配列番号21の配列を有する3'ITRヌクレオチド配列とを含む。
【0084】
ある特定の実施形態では、5'ITRヌクレオチド配列及び3'ITRヌクレオチド配列は、互いに実質的に相補的である(例えば、5'又は3'ITR内の1、2、3、4、又は5カ所のヌクレオチド位置におけるミスマッチを除いて、互いに相補的である)。
【0085】
ある特定の実施形態では、5'ITR又は3'ITRは、Repタンパク質による分解を低減させるように又は無くすように修飾される(「非分解性(non-resolvable) ITR」)。ある特定の実施形態では、非分解性ITRは、末端分解部位のヌクレオチド配列における挿入、欠失又は置換を含む。そのような修飾は、移入ゲノムが感染細胞において複製された後のAAVの自己相補的な二本鎖DNAゲノムの形成を可能にする。例示的な非分解性ITR配列は、当技術分野において公知である(例えば、それら全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許第7,790,154号及び同第9,783,824号において提供されているものを参照されたい)。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号26と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号26と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号26に記載のヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、3'ITRは、配列番号27と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号27と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、3'ITRは、配列番号27に記載のヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号26に記載のヌクレオチド配列からなり、3'ITRは、配列番号27に記載のヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号26に記載のヌクレオチド配列からなり、3'ITRは、配列番号19に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0086】
ある特定の実施形態では、3'ITRには、野生型AAV2ゲノム配列に由来する追加のヌクレオチド配列が隣接している。ある特定の実施形態では、3'ITRには、野生型AAV2 ITRに隣接している野生型AAV2ゲノム配列に由来する追加の37bp配列が隣接している。例えば、Savyら、Human Gene Therapy Methods (2017) 28(5):277~289頁を参照されたい(この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれている)。ある特定の実施形態では、追加の37bp配列は、3'ITRの内側にある。ある特定の実施形態では、37bp配列は、配列番号56に記載の配列からなる。ある特定の実施形態では、3'ITRは、配列番号57と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、3'ITRは、配列番号57に記載のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、3'ITRのヌクレオチド配列は、配列番号57と少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%同一のヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、3'ITRのヌクレオチド配列は、配列番号57に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0087】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、5'から3'に向かって、5'ITRと;5'から3'に向かって、本明細書で開示の、TRE、必要に応じて非コードエクソン及びイントロン、PAHコード配列、及びポリアデニル化配列を含む、内部エレメントと;非分解性ITRと;前記内部エレメントに相補的なヌクレオチド配列と;3'ITRとを含む。そのような移入ゲノムは、感染後及び複製前に自己相補的な二本鎖DNAゲノムを形成することができる。
【0088】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、5'から3'向かって、5'ITR、TRE、必要に応じて非コードエクソン及びイントロン、PAHコード配列、ポリアデニル化配列、並びに3'ITRを含む。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号18、20、若しくは26に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、TREは、配列番号28~30及び32~41のうちのいずれか1つに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、イントロンは、配列番号31若しくは35に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、PAHコード配列は、配列番号25に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、ポリアデニル化配列は、配列番号42、43、及び45のうちのいずれか1つに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有し、並びに/又は3'ITRは、配列番号19、21、若しくは27に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有する。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号18、20、及び26からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、若しくはそのようなヌクレオチド配列からなり、TREは、配列番号28~30及び32~41からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、イントロンは、配列番号31及び35からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、ポリアデニル化配列は、配列番号42、43、及び45からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、並びに/又は3'ITRは、配列番号19、21、及び27からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、若しくはそのようなヌクレオチド配列からなる。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号18に記載の配列を含むか、若しくは配列番号18に記載の配列からなり、TREは、配列番号28に記載の配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、ポリアデニル化配列は、配列番号42に記載の配列を含み、及び/又は3'ITRは、配列番号19に記載の配列を含むか、若しくは配列番号19に記載の配列からなる。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号26に記載の配列を含むか、若しくは配列番号26に記載の配列からなり、TREは、5'から3'に向かって、配列番号29に記載の配列、及び配列番号30に記載の配列を含み(例えば、TREは、配列番号32に記載の配列を含み)、イントロンは、配列番号31に記載の配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、ポリアデニル化配列は、配列番号43に記載の配列を含み、並びに/又は3'ITRは、配列番号27に記載の配列を含むか、若しくは配列番号27に記載の配列からなる。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号18に記載の配列を含むか、若しくは配列番号18に記載の配列からなり、TREは、5'から3'に向かって、配列番号33に記載の配列、及び配列番号34に記載の配列を含み(例えば、TREは、配列番号36に記載の配列を含み)、イントロンは、配列番号35に記載の配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、ポリアデニル化配列は、配列番号45に記載の配列を含み、並びに/又は3'ITRは、配列番号19に記載の配列を含むか、若しくは配列番号19に記載の配列からなる。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号18に記載の配列を含むか、若しくは配列番号18に記載の配列からなり、TREは、5'から3'に向かって、配列番号37に記載の配列、及び配列番号38に記載の配列を含み(例えば、TREは、配列番号39に記載の配列を含み)、イントロンは、配列番号35に記載の配列を含み、PAHコード配列は、配列番号25に記載の配列を含み、ポリアデニル化配列は、配列番号45に記載の配列を含み、並びに/又は3'ITRは、配列番号19に記載の配列を含むか、若しくは配列番号19に記載の配列からなる。ある特定の実施形態では、5'ITRは、配列番号18に記載の配列を含むか、若しくは配列番号18に記載の配列からなり、TREは、5'から3'に向かって、配列番号37に記載の配列、及び配列番号40に記載の配列を含み(例えば、TREは、配列番号41に記載の配列を含み)、ポリアデニル化配列は、配列番号45に記載の配列を含み、並びに/又は3'ITRは、配列番号19に記載の配列を含むか、若しくは配列番号19に記載の配列からなる。
【0089】
ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号51、52、53、54、55、62、65、68、75、77、79、81、83、85、87、又は90に記載の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一の配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号51、52、53、54、55、62、65、68、75、77、79、81、83、85、87、又は90に記載の配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号52に記載の配列を含む。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号51、52、53、54、55、62、65、68、75、77、79、81、83、85、87、又は90に記載の配列からなる。ある特定の実施形態では、移入ゲノムは、配列番号52に記載の配列からなる。
【0090】
ある特定の実施形態では、複製欠損AAVは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメント: 5'ITRエレメント(例えば、配列番号26の5'ITR)、ヒトHCR1(例えば、配列番号29のHCR1)、hAATプロモーター(例えば、配列番号30のhAATプロモーター)、SV40イントロン(例えば、配列番号31のSV40イントロン)、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列(例えば、配列番号25のPAHコード配列)、SV40ポリアデニル化配列(例えば、配列番号43のSV40ポリアデニル化配列)、及び3'ITRエレメント(例えば、配列番号27の3'ITR)を含む、移入ゲノムとを含む;(b)配列番号16のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメント:5'ITRエレメント(例えば、配列番号26の5'ITR)、ヒトHCR1(例えば、配列番号29のHCR1)、hAATプロモーター(例えば、配列番号30のhAATプロモーター)、SV40イントロン(例えば、配列番号31のSV40イントロン)、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列(例えば、配列番号25のPAHコード配列)、SV40ポリアデニル化配列(例えば、配列番号43のSV40ポリアデニル化配列)、及び3'ITRエレメント(例えば、配列番号27の3'ITR)を含む、移入ゲノムとを含む;並びに/又は(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメント: 5'ITRエレメント(例えば、配列番号26の5'ITR)、ヒトHCR1(例えば、配列番号29のHCR1)、hAATプロモーター(例えば、配列番号30のhAATプロモーター)、SV40イントロン(例えば、配列番号31のSV40イントロン)、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列(例えば、配列番号25のPAHコード配列)、SV40ポリアデニル化配列(例えば、配列番号43のSV40ポリアデニル化配列)、及び3'ITRエレメント(例えば、配列番号27の3'ITR)を含む、移入ゲノムとを含む。
【0091】
ある特定の実施形態では、複製欠損AAVは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、配列番号24、25、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、61、62、64、65、67、68、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、89、若しくは90のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む移入ゲノムとを含む;(b)配列番号16のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、配列番号24、25、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、61、62、64、65、67、68、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、89、若しくは90のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む移入ゲノムとを含む;及び/又は(c)配列番号16のアミノ酸列を含むAAVカプシドタンパク質と、配列番号24、25、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、61、62、64、65、67、68、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、89、若しくは90のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む移入ゲノムとを含む。
【0092】
別の態様では、配列番号88、91、又は92に記載の核酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドが、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号88、91、又は92に記載の核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号92に記載の核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号88、91又は92に記載の核酸配列からなる。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号92に記載の核酸配列からなる。
【0093】
別の態様では、本開示は、本明細書で開示のAAVを薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、溶媒若しくは担体、又はこれらの組合せと共に含む、医薬組成物を提供する。「薬学的に許容される担体」は、組成物の活性成分と併せられたとき、前記成分が生物活性を保持できるようにし、意図せぬ免疫反応等の、問題を起こす生理的反応を引き起こさない、任意の材料を含む。薬学的に許容される担体は、水、リン酸緩衝食塩水、油/水型エマルジョン等のエマルジョン、及び湿潤剤を含む。そのような担体を含む組成物は、Remington's Pharmaceutical Sciences、現行版、Mack Publishing社、Easton Pa. 18042、USA; A. Gennaro (2000)「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、第20版、Lippincott, Williams, & Wilkins社; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H. C. Anselら、第7版、Lippincott, Williams, & Wilkins社;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A. H. Kibbeら、第3版、Amer. Pharmaceutical Assoc.に記載のもの等の、周知の従来的方法により製剤化される。
【0094】
別の態様では、本開示は、ヒトPAHタンパク質をコードするコード配列又はその断片を含むポリヌクレオチドであって、前記コード配列が、野生型ヒトPAH遺伝子と100%未満(例えば、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%又は50%未満)同一であるものを有するようなコドン変化を有する、前記ポリヌクレオチドを提供する。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号25に記載の配列を含む。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号25に記載の配列のヌクレオチド4~1359を含む。ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、修飾DNA、修飾RNA、又はこれらの組合せを含むことができる。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、発現ベクターである。
【0095】
III.使用方法
別の態様では、本開示は、細胞においてPAHポリペプチドを発現させるための方法を提供する。これらの方法は、一般に、本明細書で開示の複製欠損AAVで細胞に形質導入する工程を含む。そのよう方法は、PAH発現を回復させる効率が高い。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法は、本明細書で開示の複製欠損AAVで細胞に形質導入する工程を伴う。
【0096】
本明細書で開示される方法を、PAH遺伝子の突然変異を内在的に有する任意の細胞に適用することができる。Phe代謝において活性である細胞が特に興味深いことは、当業者には理解されるであろう。したがって、ある特定の実施形態では、方法は、肝臓、腎臓、脳、下垂体、副腎、膵臓、膀胱、胆嚢、結腸、小腸又は乳房における細胞に適用される。ある特定の実施形態では、方法は、肝細胞及び/又は腎細胞に適用される。
【0097】
本明細書で開示される方法を、研究のためにin vitroで行うことができ、又は治療のためにex vivo若しくはin vivoで行うことができる。
【0098】
ある特定の実施形態では、形質導入される細胞は、哺乳動物対象の細胞であり、AAVは、前記対象の細胞への形質導入に有効な量で前記対象に投与される。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、PAH遺伝子突然変異に関連する疾患又は障害に罹患している対象を処置する方法であって、本明細書で開示の複製欠損AAVの有効量を前記対象に投与するステップを一般に含む前記方法を提供する。対象は、PAH突然変異を有するヒト対象、非ヒト霊長類対象(例えば、カニクイザル)若しくは齧歯動物対象(例えば、マウス)、又はPAH突然変異型ヒト肝臓細胞を有する非ヒト霊長類対象(例えば、カニクイザル)若しくは齧歯動物対象(例えば、マウス)でありうる。適するマウス対象としては、限定ではないが、ヒト肝臓細胞(例えば、ヒト肝細胞)を生着させたマウスが挙げられる。PAH遺伝子突然変異に関連する任意の疾患又は障害を、本明細書で開示される方法を使用して処置することができる。適する疾患又は障害としては、限定ではないが、フェニルケトン尿症が挙げられる。
【0099】
ある特定の実施形態では、上述の方法は、(a)配列番号16のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメント: 5'ITRエレメント(例えば、配列番号26の5'ITR)、ヒトHCR1(例えば、配列番号29のHCR1)、hAATプロモーター(例えば、配列番号30のhAATプロモーター)、SV40イントロン(例えば、配列番号31のSV40イントロン)、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列(例えば、配列番号25のPAHコード配列)、SV40ポリアデニル化配列(例えば、配列番号43のSV40ポリアデニル化配列)、及び3'ITRエレメント(例えば、配列番号27の3'ITR)を含む、移入ゲノムとを含む、(b)配列番号16のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメント: 5'ITRエレメント(例えば、配列番号26の5'ITR)、ヒトHCR1(例えば、配列番号29のHCR1)、hAATプロモーター(例えば、配列番号30のhAATプロモーター)、SV40イントロン(例えば、配列番号31のSV40イントロン)、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列(例えば、配列番号25のPAHコード配列)、SV40ポリアデニル化配列(例えば、配列番号43のSV40ポリアデニル化配列)、及び3'ITRエレメント(例えば、配列番号27の3'ITR)を含む、移入ゲノムとを含む、並びに/又は(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメント: 5'ITRエレメント(例えば、配列番号26の5'ITR)、ヒトHCR1(例えば、配列番号29のHCR1)、hAATプロモーター(例えば、配列番号30のhAATプロモーター)、SV40イントロン(例えば、配列番号31のSV40イントロン)、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列(例えば、配列番号25のPAHコード配列)、SV40ポリアデニル化配列(例えば、配列番号43のSV40ポリアデニル化配列)、及び3'ITRエレメント(例えば、配列番号27の3'ITR)を含む、移入ゲノムとを含む、複製欠陥AAVを利用する。
【0100】
ある特定の実施形態では、上述の方法は、(a)配列番号16のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、配列番号24、25、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、61、62、64、65、67、68、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、89、若しくは90のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む移入ゲノムとを含む、(b)配列番号16のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むAAVカプシドタンパク質と、配列番号24、25、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、61、62、64、65、67、68、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、89、若しくは90のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む移入ゲノムとを含む、及び/又は(c)配列番号16のアミノ酸列を含むAAVカプシドタンパク質と、配列番号24、25、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、61、62、64、65、67、68、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、89、若しくは90のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む移入ゲノムとを含む、複製欠陥AAVを利用する。
【0101】
本明細書で開示される方法は、in vivoでもin vitroでも高効率で細胞においてPAHタンパク質を発現させることができる点で、特に有利である。ある特定の実施形態では、PAHタンパク質の発現レベルは、PAH遺伝子の突然変異を有さない同じ型の細胞における内因性PAHタンパク質の発現レベルの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%である。ある特定の実施形態では、PAHタンパク質の発現レベルは、PAH遺伝子の突然変異を有さない同じ型の細胞における内因性PAHタンパク質の発現レベルより少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10倍高い。ELISA、ウェスタンブロット法、免疫染色法、及び質量分析を含む、PAHタンパク質の発現レベルを決定する任意の方法を、利用することができる。
【0102】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示されるAAV組成物での細胞に対する形質導入を、本明細書で提供されるように行うことができ、又は当業者に公知の任意の形質導入方法により行うことができる。ある特定の実施形態では、細胞とAAVとを、50,000、100,000、150,000、200,000、250,000、300,000、350,000、400,000、450,000、若しくは500,000の感染多重度(MOI)で、又は細胞に対する最適な形質導入をもたらす任意のMOIで、接触させることができる。
【0103】
本明細書で開示されるAAV組成物は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、局所又は皮内経路を限定ではないが含む、任意の適切な経路により、対象に投与することができる。ある特定の実施形態では、組成物は、静脈内注射又は皮下注射による投与用に製剤化される。
【0104】
IV. AAVパッケージング系
別の態様では、本開示は、複製欠損AAVの組換え調製のためのパッケージング系を提供する。そのようなパッケージング系は、1つ又は複数のAAV Repタンパク質をコードするRepヌクレオチド配列と、本明細書で開示の1つ又は複数のAAVクレードFカプシドタンパク質をコードするCapヌクレオチド配列と、本明細書で開示のPAH遺伝子の発現のための移入ゲノムとを一般に含み、このパッケージング系は、細胞内で前記移入ゲノムを前記カプシドに封入して前記AAVを形成するのに有効である。
【0105】
ある特定の実施形態では、パッケージング系は、Repヌクレオチド配列及びCapヌクレオチド配列を含む第1のベクターと、移入ゲノムを含む第2のベクターとを含む。本明細書に記載のパッケージング系の文脈で使用される場合、「ベクター」は、核酸を細胞に導入するための媒体(例えば、プラスミド、ウイルス、コスミド、人工染色体等)である、核酸分子を指す。
【0106】
任意のAAV Repタンパク質を、本明細書で開示されるパッケージング系に利用することができる。パッケージング系のある特定の実施形態では、Repヌクレオチド配列は、AAV2 Repタンパク質をコードする。適するAAV2 Repタンパク質としては、限定ではないが、Rep 78/68又はRep 68/52が挙げられる。パッケージング系のある特定の実施形態では、AAV2 Repタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号22のAAV2 Repアミノ酸配列に対して最小の配列同一性パーセントを有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、前記最小の配列同一性パーセントが、前記AAV2 Repタンパク質のアミノ酸配列の長さにわたって少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)である、ヌクレオチド配列を含む。パッケージング系のある特定の実施形態では、AAV2 Repタンパク質は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を有する。
【0107】
パッケージング系のある特定の実施形態では、パッケージング系は、第3のベクター、例えば、ヘルパーウイルスベクターを更に含む。第3のベクターは、独立した第3のベクターであることもあり、第1のベクターと一体になっていることもあり、又は第2のベクターと一体になっていることもある。ある特定の実施形態では、第3のベクターは、ヘルパーウイルスタンパク質をコードする遺伝子を含む。
【0108】
パッケージング系のある特定の実施形態では、ヘルパーウイルスは、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)を含む)、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルス)、サイトメガロウイルス(CMV)、及びバキュロウイルスからなる群から選択される。ヘルペスウイルスがアデノウイルスである、パッケージング系のある特定の実施形態では、アデノウイルスゲノムは、E1、E2、E4及びVAからなる群から選択される1つ又は複数のアデノウイルスRNA遺伝子を含む。ヘルパーウイルスがHSVである、パッケージング系のある特定の実施形態では、HSVゲノムは、UL5/8/52、ICPO、ICP4、ICP22及びUL30/UL42からなる群から選択されるHSV遺伝子のうちの1つ又は複数を含む。
【0109】
パッケージング系のある特定の実施形態では、第1、第2、及び/又は第3のベクターは、1つ又は複数のトランスフェクトプラスミドに含有される。ある特定の実施形態では、第1のベクター及び第3のベクターは、第1のトランスフェクトプラスミドに含有される。ある特定の実施形態では、第2のベクター及び第3のベクターは、第2のトランスフェクトプラスミドに含有される。
【0110】
パッケージング系のある特定の実施形態では、第1、第2、及び/又は第3のベクターは、1つ又は複数の組換えヘルパーウイルスに含有される。ある特定の実施形態では、第1のベクター及び第3のベクターは、組換えヘルパーウイルスに含有される。ある特定の実施形態では、第2のベクター及び第3のベクターは、組換えヘルパーウイルスに含有される。
【0111】
更なる態様では、本開示は、本明細書に記載のAAVの組換え調製のための方法であって、移入ゲノムをカプシドに封入して本明細書に記載のAAVを形成するのに有効な条件下で、記載のパッケージング系で細胞にトランスフェクト又は形質導入する工程を含む、前記方法を提供する。AAVの組換え調製のための例示的方法としては、一過性トランスフェクション(例えば、本明細書に記載の第1のベクターと第2のベクターと必要に応じて第3のベクターとを含有する、1つ又は複数のトランスフェクションプラスミドでの)、ウイルス感染(例えば、本明細書に記載の第1のベクターと第2のベクターと必要に応じて第3のベクターとを含有する、1つ又は複数の組換えヘルパーウイルス、例えば、アデノウイルス、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルス)、ヘルペスウイルス(HSVを含む)、サイトメガロウイルス、又はバキュロウイルスでの)、及び安定した産生細胞株トランスフェクション又は感染(例えば、本明細書に記載の1つ若しくは複数のAAV Repタンパク質をコードするRepヌクレオチド配列及び/又は1つ若しくは複数のAAVクレードFカプシドタンパク質をコードするCapヌクレオチド配列を含有する、哺乳動物又は昆虫細胞等の、安定した産生細胞での、並びにトランスフェクトプラスミド又は組換えヘルパーウイルスの形態で送達される本明細書に記載の移入ゲノムでの)が挙げられる。
【実施例
【0112】
V. 実施例
本明細書で開示する組換えAAVベクターは、in vitro及びin vivoで高効率遺伝子移入を媒介する。以下の実施例は、本明細書で開示のAAVに基づくベクターを使用する、フェニルケトン尿症等のある特定の疾患の際に突然変異するPAH遺伝子の発現の効率的回復を、実証するものである。これらの実施例は、実例として提供するものであり、限定として提供するものではない。
【0113】
(実施例1)
ヒトPAH移入ベクター
この実施例は、ヒト又はマウス細胞におけるヒトPAHの発現のためのヒトPAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-004、pHMI-hPAH-TC-025、pHMI-hPAH-TC-010、pHMI-hPAH-TC-011、及びpHMI-hPAH-TC-012を提供する。
【0114】
a)pHMI-hPAH-TC-004
PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-004は、図1Aに示されているように、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメントを含む:5'ITRエレメント、CAGプロモーター、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列、SV40ポリアデニル化配列、及び3'ITRエレメント。これらのエレメントの配列をTable 1(表1)に示す。このベクターは、このベクターが形質導入される細胞(例えば、ヒト細胞又はマウス細胞)においてヒトPAHタンパク質を発現させることができる。
【0115】
【表1】
【0116】
b) pHMI-hPAH-TC-025
PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-025は、図1Bに示されているように、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメントを含む:切断型5'ITRエレメント、ヒト肝制御領域1(HCR1)、ヒトα1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター、SV40イントロン、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列、SV40ポリアデニル化配列、及び修飾3'ITRエレメント。これらのエレメントの配列をTable 2(表2)に示す。切断型5'ITRにより、ベクターは細胞への形質導入後に二本鎖AAVゲノムを形成することが可能になる。このベクターは、このベクターにより形質導入されるヒト肝細胞においてヒトPAHタンパク質を発現させることができる。
【0117】
【表2】
【0118】
c)pHMI-hPAH-TC-010
PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-010は、図1Cに示されているように、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメントを含む: 5'ITRエレメント、hAATプロモーターの肝特異的調節モジュール、ヒトTTRプロモーター、修飾マウス微小ウイルス(MVM)イントロン、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列、SV40ポリアデニル化配列、及び3'ITRエレメント。これらのエレメントの配列をTable 3(表3)に示す。このベクターは、このベクターにより形質導入される細胞(例えば、ヒト細胞又はマウス細胞)において、特に、肝細胞において高レベルで、ヒトPAHタンパク質を発現させることができる。
【0119】
【表3】
【0120】
d)pHMI-hPAH-TC-011
PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-011は、図1Dに示されているように、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメントを含む: 5'ITRエレメント、ヒトHCR1、ヒトα1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター、修飾MVMイントロン、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列、SV40ポリアデニル化配列、及び3'ITRエレメント。これらのエレメントの配列をTable 4(表4)に示す。このベクターは、このベクターにより形質導入されるヒト肝細胞においてヒトPAHタンパク質を発現させることができる。
【0121】
【表4】
【0122】
e)pHMI-hPAH-TC-012
PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-012は、図1Eに示されているように、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメントを含む: 5'ITRエレメント、ヒト肝制御領域1(HCR1)、修飾ヒトEF-1αプロモーター、サイレント変化を有するヒトPAHコード配列、SV40ポリアデニル化配列、及び3'ITRエレメント。これらのエレメントの配列をTable 5(表5)に示す。このベクターは、このベクターにより形質導入されるヒト肝細胞においてヒトPAHタンパク質を発現させることができる。
【0123】
【表5】
【0124】
サイレント変化は、発現ベクターpCOH-WT-PAH、pCOH-CO-PAH及びpHMI-CO-PAHの比較により実証されるように、PAHタンパク質の発現を有意に向上させる。pCOH-WT-PAHベクターは、配列番号24に記載の野生型PAHコード配列に作動可能に連結されたCAGプロモーターを含む。pCOH-CO-PAH及びpHMI-CO-PAHベクターは、各々、配列番号25に記載のコドン変化を有するヒトPAHコード配列に作動可能に連結されたCAGプロモーターを含む。pCOH-CO-PAH及びpHMI-CO-PAHベクターは、非常に類似している。各ベクターを、PAHが天然に欠乏しているHEK 293細胞にトランスフェクトした。図2に示されているように、VG-GT-CO-PAH (「CO-hPAH」)は、VG-GT-PAH (「WT-hPAH」)より数倍高いヒトPAHの発現レベルを生じさせた。
【0125】
本明細書で開示するベクターを、AAVHSC5、AAVHSC7、AAVHSC15又はAAVHSC17カプシド等の、AAVクレードFカプシドに、パッケージングすることができる。パッケージングされたウイルス粒子を、野生型動物、PAH欠損動物、又はPAH突然変異に起因するフェニルケトン尿症に罹患している患者から得たヒト肝細胞を有する再構成動物に投与することができる。遺伝子移入効率は、肝臓試料を採取すること、及びPAH陽性細胞(例えば、ベクターからの特有のヌクレオチド配列を有する細胞、野生型PAHタンパク質を発現する細胞、又はPAH発現ベクターを投与していない対照動物からの細胞におけるPAH活性より高いPAH活性を有する細胞)のパーセンテージを定量化することによって、測定することができる。PAH発現ベクターの有効性を示す、フェニルアラニン代謝の回復は、血液中のPheレベルを測定することにより、及びマウスの毛色を観察することにより、評定することができる。ウイルス粒子投与の安全性は、血清中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを測定することにより評価することができる。
【0126】
(実施例2)
マウスモデルへのマウスPAH遺伝子移入
この実施例は、野生型マウスPAHコード配列を、コドン変化を有するPAHコード配列の代わりに用いたことを除いて、実施例1で説明したヒトPAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-004と同様である、マウスPAH移入ベクターrAAV-CBA-mPAHを提供する。このベクターは、このベクターにより形質導入される細胞(例えば、ヒト細胞又はマウス細胞)においてマウスPAHタンパク質を発現させることができる。
【0127】
手短に述べると、隔離飼育器に接触式の床敷(contact bedding)を入れて透明ポリカーボネート製ケージでPah-/- (PAHenu2)マウスを飼育した。Picolab Mouse Diet 5058を動物に不断給餌した。1N HClで酸性化して2.5~3.0の目標pHにした湧き水又は水道水を不断給餌した。AAVHSC15カプシドにパッケージングされたベクターを、35mM NaClと1%スクロースと0.05% Pluronic F-68とを補給したPBS(Ca及びMg含有)中で調製した。この製剤を尾静脈経由で静脈内注射した。
【0128】
PAH移入ベクター投与(0週目;投与前)の後、週1回、顔面静脈穿刺又はテールスニップにより、血液試料を採取した。試料を室温で少なくとも30分間放置して凝固させ、周囲温度で10分間、最低1000xgで遠心分離し、血清試料を抽出した。血清試料を-70℃で保管した。血清フェニルアラニン及びチロシンレベルをタンデム質量分析により測定した。
【0129】
組織試料の採取のために、動物に食塩水での心灌流を施した。肝臓(尾状葉)、腎臓(左)、脳、心臓、及び筋肉(四頭筋)組織を液体窒素で急速凍結し、-70℃で保管した。急速凍結組織を、液体窒素中、乳鉢及び乳棒で粉砕して粉末にし、分割量に分割して、qPCRによりベクターゲノム生体内分布についてPAH発現を検査した。
【0130】
rAAV-CBA-mPAHベクターの安全性を、処置動物におけるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを測定することにより評定した。ウイルス粒子の投与前及び投与の1週間後に血清試料を採取した。AST及びALTレベルを、Sigma社製MAK055及びSigma社製MAK052 ELISAキットにより測定した。
【0131】
Pah-/-マウスは、フェニルケトン尿症を明示し、野生型マウスより薄い毛色を有した。図3A及び3Bに示されているように、rAAV-CBA-mPAHベクターの投与は、1週間以内に血清中のPheレベルの有意な低下をもたらし、そのPheレベルが4週間続いた。毛色も1週間以内に褐色から黒色へと変化した。
【0132】
mPAHの発現は、組織試料においても観察された。図4に示されているように、rAAV-CBA-mPAHベクターのDNAを多くの臓器で検出することができ、細胞106個当たりのウイルスゲノムの数は、肝臓、心臓及び腎臓で最も多かった。
【0133】
AAV投与の安全性に関しては、AST及びALTレベルは、投与後も低いままであり(図5A及び図5B)、これは、rAAV-CBA-mPAHベクターが肝臓に対して毒性でないことを示唆した。
【0134】
(実施例3)
マウスモデルへのヒトPAH遺伝子移入
この実施例は、実施例1で説明したPAH移入ベクターが、マウスモデルにおいてPAH遺伝子欠乏に起因する表現型を有効に逆転させることを実証する。マウスモデル、AAVパッケージング及び製剤、並びに遺伝子移入効率を調査する方法は、実施例2で説明したものと同一であった。
【0135】
表現型を逆転させる点での5つのPAH移入ベクターの有効性を調査するために、雄マウスについては体重1kg当たりベクターゲノム2.6×1013個の単一用量、又は雌マウスについては体重1kg当たりベクターゲノム6×1013個の用量。pah-/-マウスは、血清中のフェニルアラニン(Phe)レベル上昇及びチロシン(Tyr)レベル低下を明示した。図6A図6Hに示されているように、5つのベクターのうちのいずれか1つの投与は、1週間以内にPheレベルの有意な低下及びTyrレベルの上昇をもたらした。この有効性は、雄マウスで少なくとも12週間、雌マウスで少なくとも6週間続いた。pHMI-hPAH-TC-004以外の全てのベクターは、調査した期間中、血清Pheレベルの完全な低下を維持した。
【0136】
PAH遺伝子欠乏に起因する表現型を逆転させる点でのpHMI-hPAH-TC-025の長期有効性を調査するために、体重1kg当たりベクターゲノム2.6×1013個の単一用量を雄マウスに投与した、又は体重1kg当たりベクターゲノム6×1013個の単一用量を雌マウスに投与した。図6I及び図6Jに示されているように、pHMI-hPAH-TC-025ベクターの投与は、1週間以内にPheレベルの有意な低下をもたらした。この低下は、雄マウスで少なくとも48週間、雌マウスで少なくとも46週間持続した。加えて、AAVの投与後2週間以内に、pHMI-hPAH-TC-004を投与したマウスの毛色は、褐色から黒色へと変化した。注射の4週間後に採取したこれらのマウスの肝臓試料では、AAVベクターを投与しなかったマウスに比べてPAH mRNAの増加が、ddPCRにより認められた。肝臓試料でのPAH酵素活性の増大は、質量分析によっても検出された。
【0137】
pHMI-hPAH-TC-025ベクターの異なる用量についての有効性を更に評定した。体重1kg当たりベクターゲノム2.6×1011個、2.6×1012個、又は2.6×1013個の単一用量を雄マウス及び雌マウスに投与し、Phe及びTyrの血清レベルを測定した。図7A図7Dに示されているように、雄対象と雌対象の両方において、体重1kg当たりベクターゲノム2.6×1013個の用量は、2つのより低い用量よりPheレベルを低下させ、Tyrレベルを上昇させ、調査した期間中、血清Pheレベルの完全な低下を維持した。
【0138】
(実施例3)
更なるヒトPAH移入ベクター
この実施例は、ヒト又はマウス細胞におけるヒトPAHの発現のためのヒトPAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-009、pHMI-hPAH-TC-013、及びpHMI-hPAH-TC-017を提供する。ベクターマップを図8A図8B、及び図8Cにそれぞれ示す。
【0139】
a)pHMI-hPAH-TC-009
PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-009は、図8Aに示されているように、5'から3に向かって次の遺伝子エレメントを含む: 5'ITRエレメント、CMVエンハンサー、CBAプロモーター、ウサギβ-グロビンエレメント、ヒトPAHコード配列、ポリアデニル化配列、及び3'ITRエレメント。これらのエレメントの配列をTable 6(表6)に示す。このベクターは、このベクターにより形質導入される細胞(例えば、ヒト細胞又はマウス細胞)においてヒトPAHタンパク質を発現させることができる。
【0140】
【表6】
【0141】
b)pHMI-hPAH-TC-013
PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-013は、図8Bに示されているように、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメントを含む:5'ITRエレメント、CASIプロモーター領域(CMVエンハンサー、CASIプロモーター、及びユビキチンCエンハンサーエレメント(hUBCエクソン)を含むもの)、ヒトPAHコード配列、ポリアデニル化配列、及び3'ITRエレメント。これらのエレメントの配列をTable 7(表7)に示す。このベクターは、このベクターにより形質導入される細胞(例えば、ヒト細胞又はマウス細胞)においてヒトPAHタンパク質を発現させることができる。
【0142】
【表7】
【0143】
f)pHMI-hPAH-TC-017
PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-017は、図8Cに示されているように、5'から3'に向かって次の遺伝子エレメントを含む:5'ITRエレメント、hAATプロモーター領域(ABMPエンハンサー(ATGの5'側の、肝臓に高度に発現する9番染色体上の遺伝子に隣接するエンハンサー領域)、TTRエンハンサー、hAATプロモーター、及びMVMイントロンを含むもの)、ヒトPAHコード配列、ポリアデニル化配列、及び3'ITRエレメント。これらのエレメントの配列をTable 8(表8)に示す。このベクターは、このベクターにより形質導入される細胞(例えば、ヒト細胞又はマウス細胞)においてヒトPAHタンパク質を発現させることができる。
【0144】
【表8】
【0145】
この実施例に記載するベクターを2つの異なる細胞株において発現について検査した。5×105個のHEK293細胞(腎臓;非肝臓)及び5×105個のHuh7細胞(肝臓)に、次のベクターの各1ugで形質導入した: pHMI-hPAH-TC-004 (PAH-004); pHMI-hPAH-TC-009 (PAH-009);pHMI-hPAH-TC-010 (PAH-010); pHMI-hPAH-TC-011 (PAH-011);pHMI-hPAH-TC-012 (PAH-012);pHMI-hPAH-TC-013 (PAH-013);pHMI-hPAH-TC-025 (LP1);pHMI-hPAH-TC-017 (PAH-017)。細胞の溶解物をトランスフェクションの48時間後に収集した。ヒトPAHの発現をウェスタンブロットにより抗PAH抗体(Sigma社製HPA031642)で検出した。抗GAPDH抗体(Millipore社製MAB 374)により検出したときのGAPDHタンパク質の量を、負荷対象として使用した。全てのベクターのPAH発現レベルを、pHMI-hPAH-TC-004発現レベルに正規化した;データを複数の独立したトランスフェクションから収集して図9にプロットした。図9Aは、Huh7細胞における示されているベクターの正規化PAH発現レベルを示す。図9Bは、HEK293細胞における示されているベクターの正規化PAH発現レベルを示す。
【0146】
図10A及び図10Bは、雄及び雌ホモ接合体Pah-/-PAHenu2マウスの血清フェニルアラニンレベルをそれぞれ経時的に示すグラフである。AAVHSC15カプシドにパッケージングされたpHMI-hPAH-TC-010(hPAH-TC-010)、pHMI-hPAH-TC-025(hPAH-TC-025)、pHMI-hPAH-TC-004(hPAH-TC-004)、pHMI-hPAH-TC-011 (hPAH-TC-011)、又はpHMI-hPAH-TC-012(hPAH-TC-012)ベクターを、雄及び雌マウスにそれぞれ2e13vg/kg及び6e13vg/kgの用量で投与した。投与後週1回、次いで隔週で、血清試料を採取した。血清フェニルアラニン濃度をLC-MS/MSにより評定した。図10Cは、この研究における雄及び雌ホモ接合体Pah-/- PAHenu2マウスについての平均ベースラインフェニルアラニンレベルを示すグラフである。データは、1群当たり合計55匹のマウスを表す。
【0147】
図10に示されているように、ある特定のベクターの投与は、投与から1週間以内にPheレベルの有意な低下をもたらし、この低下が少なくとも45週間持続した。図10は、PAH移入ベクターの一部がマウスモデルにおいてPAH遺伝子欠乏に起因する表現型を有効に逆転させたことを実証する。マウスモデル、AAVパッケージング及び製剤、並びに遺伝子移入効率を調査する方法は、本明細書の実施例2で説明したものと同一であった。AAVベクターのサイズは、次の通りであった:pHMI-hPAH-TC-010 (hPAH-TC-010): 2391bp;pHMI-hPAH-TC-025 (hPAH-TC-025):2351bp;pHMI-hPAH-TC-004 (hPAH-TC-004):3781bp; pHMI-hPAH-TC-011(hPAH-TC-011):3158bp;及びpHMI-hPAH-TC-012(hPAH-TC-012):3799bp。
【0148】
(実施例4)
更なるヒトPAH移入ベクター
この実施例は、PAH移入ベクターpHMI-hPAH-TC-018、pHMI-hPAH-TC-019、pHMI-hPAH-TC-020、pHMI-hPAH-TC-021、pHMI-hPAH-TC-022、及びpHMI-hPAH-TC-023を使用して、PAHタンパク質発現に対するPAH遺伝子CpG含量の効果を調査する。ベクターマップを図11A図11B図11C図11D図11E、及び図11Fにそれぞれ示す。これらのPAH移入ベクターは、Table 9(表9)に記載の配列及びエレメントを含む。
【0149】
【表9】
【0150】
この実施例に記載するベクターを、HEK293細胞における、しかしCBAプロモーターの制御下での、発現について検査した。5×105個のHEK293細胞に、次のベクターの各1ugで形質導入した:pHMI-hPAH-TC-004(PAH-TC-004);pHMI-hPAH-TC-009(PAH-TC-009);pHMI-hPAH-TC-018(PAH-TC-018); pHMI-hPAH-TC-019(PAH-TC-019);pHMI-hPAH-TC-020(PAH-TC-020);pHMI-hPAH-TC-021(PAH-TC-021);pHMI-hPAH-TC-022(PAH-TC-022); pHMI-hPAH-TC-023(PAH-TC-023)。細胞の溶解物をトランスフェクションの48時間後に収集した。ヒトPAHの発現をウェスタンブロットにより抗PAH抗体(Sigma社製HPA031642)で検出した。抗GAPDH抗体(Millipore社製MAB 374)により検出したときのGAPDHタンパク質の量を、負荷対象として使用した。全てのベクターのPAH発現レベルを、pHMI-hPAH-TC-004発現レベルに正規化した;データを図12にプロットした。
【0151】
図13は、雄ホモ接合体Pah-/- PAHenu2マウスの血清フェニルアラニンレベルを経時的に示すグラフである。AAVHSC15カプシドにパッケージングされたpHMI-hPAH-TC-018 (hPAH-TC-018); pHMI-hPAH-TC-019 (hPAH-TC-019); pHMI-hPAH-TC-020 (hPAH-TC-020); pHMI-hPAH-TC-021 (hPAH-TC-021); pHMI-hPAH-TC-022 (hPAH-TC-022); pHMI-hPAH-TC-023 (hPAH-TC-023);及びpHMI-hPAH-TC-025 (hPAH-TC-025)ベクターを2e13vg/kgの用量で雄マウスに投与した。投与後週1回、血清試料を採取した。血清フェニルアラニン濃度をLC-MS/MSにより評定した。
【0152】
図13に示されているように、ある特定のベクターの投与は、投与から1週間以内にPheレベルの有意な低下をもたらし、この低下が少なくとも25週間持続した。マウスモデル、AAVパッケージング及び製剤、並びに遺伝子移入効率を調査する方法は、前に本明細書の実施例2で説明したものと同一であった。ベクターのCpG含量は、次の通りであった:pHMI-hPAH-TC-018 (hPAH-TC-018):2;pHMI-hPAH-TC-019 (hPAH-TC-019):7;pHMI-hPAH-TC-020 (hPAH-TC-020):22;pHMI-hPAH-TC-021 (hPAH-TC-021):10; pHMI-hPAH-TC-022 (hPAH-TC-022): 7; pHMI-hPAH-TC-023 (hPAH-TC-023): 23;及びpHMI-hPAH-TC-025 (hPAH-TC-025): 60。
【0153】
(実施例5)
代替ITRヒトPAH移入ベクター
この実施例は、ヒト又はマウス細胞におけるヒトPAHの発現のためのヒトPAH移入ベクターpHMI-01004及びpHMI-01008を提供する。ベクターマップを図14A及び図14Bにそれぞれ示す。これらのPAH移入ベクターは、Table 10(表10)に記載の配列及びエレメントを含む。
【0154】
【表10】
【0155】
本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態により範囲が限定されることにならない。実際、記載するものに加えて本発明の様々な修飾形態が上述の説明及び添付の図から当業者に明らかになるだろう。そのような修飾形態は、添付の特許請求の範囲に記載の範囲に入るように意図されている。
【0156】
本明細書に引用した全ての参考文献(例えば、公表文献又は特許又は特許出願)は、個々の参考文献(例えば、公表文献又は特許又は特許出願)各々が、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれていると具体的に且つ個々に示されている場合と同程度に、それら全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている。他の実施形態は、下記の特許請求の範囲の範囲内である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13
【配列表】
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