(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】インプリント装置
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20240209BHJP
B29C 59/04 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B29C59/02 Z
B29C59/04 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022114957
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2022-07-19
(32)【優先日】2021-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506084058
【氏名又は名称】奇景光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】翁 瑞優
(72)【発明者】
【氏名】郭 漢▲い▼
(72)【発明者】
【氏名】呂 引棟
(72)【発明者】
【氏名】蔡 瑞彬
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-531921(JP,A)
【文献】特開2007-019451(JP,A)
【文献】特開2013-119254(JP,A)
【文献】特開2011-183782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプリント装置であって、
インプリントプラットフォームと、
前記インプリントプラットフォームの上方に配置されたインプリントローラと、
転写フィルムを備える転写モジュールであって、前記転写フィルムが前記インプリントローラと前記インプリントプラットフォームとの間に位置している、転写モジュールと、
前記インプリントローラに連結され、前記インプリントローラを駆動して前記インプリントプラットフォームの法線方向に沿って移動させ、前記インプリントローラを選択的に加圧する昇降押圧機構と、を備え、
前記昇降押圧機構によって前記インプリントローラが第1の位置に移動されると、前記昇降押圧機構が、前記インプリントローラを加圧せず、前記インプリントローラが、前記インプリントプラットフォーム上に位置する前記転写フィルムに接触し、前記転写フィルムが、前記インプリントローラの重量によって押圧され、
前記昇降押圧機構によって前記インプリントローラが第2の位置に移動されると、前記昇降押圧機構が、前記インプリントローラを加圧し、前記インプリントローラが、前記転写フィルムに接触し、前記転写フィルムが、前記インプリントローラの重量と前記昇降押圧機構の圧力との組み合わせによって押圧され、
前記昇降押圧機構が、駆動源と、前記駆動源に接続されたベースと、前記インプリントローラの端部に配置され、前記ベース内に位置するホルダと、を備え、前記ベースが、下部と、上部と、前記下部と前記上部との間に位置し、前記下部と前記上部とに接続されたガイドポストと、を備え、前記ガイドポストが、前記法線方向に沿って延在し、前記ホルダが、前記ガイドポストに摺動可能に配置され、
前記昇降押圧機構が、前記ベースの前記上部に固定され、前記ベースの前記上部と前記ホルダとの間に位置する圧力センサをさらに備え、前記インプリントローラが前記第1の位置にあるとき、前記ホルダが、前記ベースの前記下部に接触し、前記ホルダと前記圧力センサとの間に隙間が形成され、前記インプリントローラが前記第2の位置にあるとき、前記ホルダが、前記圧力センサに接触して押圧する、インプリント装置。
【請求項2】
前記昇降押圧機構が、前記インプリントローラの両端部に位置する2つの水平度検出器を備える、請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項3】
フィルム分離モジュールおよび固定モジュールをさらに備え、前記転写モジュールがフレームを備え、前記転写フィルムが前記フレームに配置され、前記フレームが、前記固定モジュールによって前記フィルム分離モジュールに着脱可能に配置されている、請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項4】
前記固定モジュールが、前記フィルム分離モジュールに固定された第1の固定部材と、前記フレームに固定された第2の固定部材と、前記フィルム分離モジュールの第1の孔を通過し、前記第1の固定部材側に位置する第1の回転部材と、前記第1の固定部材を通過し、前記第1の回転部材と前記第2の固定部材との間に位置する第2の回転部材と、を備える、請求項3に記載のインプリント装置。
【請求項5】
前記第1の回転部材が、前記フィルム分離モジュールから露出したノブと、スロットを有する第1の本体と、前記第1の本体から前記ノブから離れる方向に延在する第1の阻止部材と、を備え、前記第1の本体が、前記フィルム分離モジュールの前記第1の孔を通過する、請求項4に記載のインプリント装置。
【請求項6】
前記第1の固定部材が、第2の本体と、前記第2の本体に形成され、前記第1の孔に対応する第2の孔と、前記第2の本体の表面から前記第1の回転部材に向かって突出する第2の阻止部材と、を備え、
前記第1の回転部材が元の位置に位置するとき、前記第1の回転部材の前記第1の阻止部材が、前記第1の固定部材の前記第2の阻止部材と位置合わせされ、それにより、前記第1の固定部材に向かう前記第1の回転部材の移動が前記第2の阻止部材によって制限され、前記第1の回転部材が、前記第1の阻止部材が前記第2の阻止部材と互い違いになる位置まで回転されるとき、前記第1の回転部材が、前記第2の本体の前記表面に向かって移動するように適合される、請求項5に記載のインプリント装置。
【請求項7】
前記第2の回転部材が、前記第1の阻止部材の前記第2の孔を通過し、前記第1の回転部材に近い第1の側面および前記第2の固定部材に近い第2の側面を有する第3の本体と、前記第3の本体の外面の前記第1の側面の近くに位置し、前記第1の回転部材の前記スロットに挿入される突出部と、前記第2の側面に位置する係止部と、を備える、請求項6に記載のインプリント装置。
【請求項8】
前記第2の固定部材が、内部空間と、前記内部空間に連通する位置決め孔と、を備え、
前記第1の回転部材が前記第2の本体の前記表面に向かって移動すると、前記第2の回転部材の前記係止部が前記位置決め孔を通過して前記第2の固定部材の前記内部空間に進入するように、前記第2の回転部材が前記第1の回転部材によって押圧され、その後、前記フレームがフィルム分離モジュールに係止されるように前記ノブを回転させることにより、前記第2の回転部材の前記係止部が、前記位置決め孔と互い違いの位置まで回転される、請求項7に記載のインプリント装置。
【請求項9】
前記固定モジュールが、前記第2の本体にスリーブが付けられ、前記係止部と前記第1の本体との間に配置された弾性部材をさらに備える、請求項8に記載のインプリント装置。
【請求項10】
前記転写フィルムの側面に配置された調整可能ロードセルをさらに備える、請求項8に記載のインプリント装置。
【請求項11】
2つのロッドと2つの昇降機とを備える張力調整機構であって、前記2つのロッドの延在方向は、前記インプリントローラの延在方向と平行であり、前記2つのロッドは、前記転写フィルムに接触しており、前記転写モジュール
の固定フレームと前記インプリントプラットフォームとの間、および前記転写モジュール
の可動フレームと前記インプリントプラットフォームとの間にそれぞれ配置され、前記2つの昇降機は、前記2つのロッドの上昇した高さをそれぞれ調整し、前記転写フィルムは、前記2つのロッドによる上昇によって引っ張られて広がることで張力が発生する、張力調整機構
をさらに備える、請求項1から10のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項12】
前記ロッドの各々の長さは、前記転写フィルムの幅よりも長い、請求項11に記載のインプリント装置。
【請求項13】
前記張力調整機構は、前記2つのロッドと前記2つの昇降機との間にそれぞれ配置されて前記転写フィルムのリアルタイム張力を検出する2つの張力センサをさらに備える、請求項11に記載のインプリント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インプリント装置に関し、特に、本開示は、製品の歩留まりが比較的高いインプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ナノインプリント機でインプリントが完了した後、転写フィルムと製品との間の分離は、主に、インプリントプラットフォームの上方に位置する転写フィルムを持ち上げ、ゆっくりと引っ張って製品から分離することによって行われる。しかしながら、上記は、レジストおよび製品のパラメータ変化に適応できないため、インプリントされた製品構造は、フィルム分離プロセスに起因して損傷を受け、それによって製品のインプリント歩留まりを低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、インプリント歩留まりおよび操作の利便性を向上させるインプリント装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態によれば、インプリント装置は、インプリントプラットフォームと、インプリントローラと、転写モジュールと、昇降押圧機構とを含む。インプリントローラは、インプリントプラットフォームの上方に配置されている。転写モジュールは、転写フィルムを含み、転写フィルムは、インプリントローラとインプリントプラットフォームとの間に位置されている。昇降押圧機構は、インプリントローラと連結されており、昇降押圧機構は、インプリントローラをインプリントプラットフォームの法線方向に沿って移動させるように駆動し、インプリントローラを選択的に加圧する。昇降押圧機構によってインプリントローラが第1の位置まで移動すると、昇降押圧機構は、インプリントローラを加圧せず、インプリントローラは、インプリントプラットフォーム上に位置する転写フィルムに接触し、転写フィルムは、インプリントローラの重量によって押圧される。昇降押圧機構によってインプリントローラが第2の位置に移動すると、昇降押圧機構は、インプリントローラを加圧し、インプリントローラは、転写フィルムに接触し、転写フィルムは、インプリントローラの重量と昇降押圧機構の圧力との組み合わせによって押圧される。
【0005】
本開示の実施形態によれば、昇降押圧機構は、駆動源と、駆動源に接続されたベースと、インプリントローラの端部に配置され、ベース内に配置されたホルダと、を含み、ベースは、下部と、上部と、下部と上部との間に位置し、下部と上部とに接続されたガイドポストと、を含み、ガイドポストは、法線方向に沿って延在し、ホルダは、ガイドポストに摺動可能に配置されている。
【0006】
本開示の実施形態によれば、昇降押圧機構は、ベースの上部に固定され、ベースの上部とホルダとの間に位置する圧力センサをさらに含み、インプリントローラが第1の位置にあるとき、ホルダは、ベースの下部に接触し、ホルダと圧力センサとの間に隙間が形成され、インプリントローラが第2の位置にあるとき、ホルダは、圧力センサに接触して圧力センサを押圧する。
【0007】
本開示の実施形態によれば、昇降押圧機構は、インプリントローラの両端部に配置された2つの水平度検出器を含む。
【0008】
本開示の実施形態によれば、インプリント装置は、フィルム分離モジュールおよび固定モジュールをさらに含み、転写モジュールは、フレームを含み、転写フィルムは、フレームに配置され、フレームは、固定モジュールによってフィルム分離モジュールに着脱可能に配置されている。
【0009】
本開示の実施形態によれば、固定モジュールは、フィルム分離モジュールに固定された第1の固定部材と、フレームに固定された第2の固定部材と、フィルム分離モジュールの第1の孔を通過し、第1の固定部材側に位置する第1の回転部材と、第1の固定部材を通過し、第1の回転部材と第2の固定部材との間に位置する第2の回転部材と、を含む。
【0010】
本開示の実施形態によれば、第1の回転部材は、フィルム分離モジュールから露出したノブと、スロットを有する第1の本体と、第1の本体からノブから離れる方向に延在する第1の阻止部材と、を含み、第1の本体は、フィルム分離モジュールの第1の孔を通過する。
【0011】
本開示の実施形態によれば、第1の固定部材は、第2の本体と、第2の本体に形成され、第1の孔に対応する第2の孔と、第2の本体の表面から第1の回転部材に向かって突出する第2の阻止部材と、を含む。第1の回転部材が元の位置に位置するとき、第1の回転部材の第1の阻止部材は、第1の固定部材の第2の阻止部材と位置合わせされ、それにより、第1の固定部材に向かう第1の回転部材の移動が第2の阻止部材によって制限され、第1の回転部材が第2の阻止部材と互い違いになる位置まで第1の回転部材が回転されるとき、第1の回転部材は、第2の本体の表面に向かって移動するように適合される。
【0012】
本開示の実施形態によれば、第2の回転部材は、第1の阻止部材の第2の孔を通過し、第1の回転部材に近い第1の側面および第2の固定部材に近い第2の側面を有する第3の本体と、第3の本体の外面の第1の側面の近くに位置し、第1の回転部材のスロットに挿入される突出部と、第2の側面に位置する係止部と、を含む。
【0013】
本開示の実施形態によれば、第2の固定部材は、内部空間と、内部空間に連通する位置決め孔と、を含む。第1の回転部材が第2の本体の表面に向かって移動すると、第2の回転部材は、第2の回転部材の係止部が位置決め孔を通過して第2の固定部材の内部空間に進入するように第1の回転部材によって押圧され、次いで、フレームがフィルム分離モジュールに係止されるようにノブを回転させることによって、第2の回転部材の係止部が位置決め孔と互い違いの位置に回転される。
【0014】
本開示の実施形態によれば、固定モジュールは、第2の本体にスリーブが付けられ、係止部と第1の本体との間に配置された弾性部材をさらに含む。
【0015】
本開示の実施形態によれば、インプリント装置は、転写フィルムの側面に配置された調整可能ロードセルをさらに含む。
【0016】
また、本開示の一実施形態では、インプリント装置はまた、張力調整機構を含む。張力調整機構は、2つのロッドと、2つの昇降機とを含む。2つのロッドの延在方向は、インプリントローラの延在方向と平行である。2つのロッドは、転写フィルムに接触しており、転写モジュールの固定フレームとインプリントプラットフォームとの間、および転写モジュールの可動フレームとインプリントプラットフォームとの間にそれぞれ配置される。2つの昇降機は、2つのロッドの上昇した高さをそれぞれ調整し、転写フィルムは、2つのロッドによる上昇によって引っ張られて広がることで張力が発生する。
【0017】
本開示の一実施形態によれば、各ロッドの長さは、転写フィルムの幅よりも長い。
【0018】
本開示の一実施形態によれば、張力調整機構はまた、2つの張力センサを含む。2つの張力センサは、2つのロッドと2つの昇降機との間にそれぞれ配置され、転写フィルムのリアルタイム張力を検出する。
【発明の効果】
【0019】
以上のことから、本開示のインプリント装置では、昇降押圧機構は、インプリントローラを駆動してインプリントプラットフォームの法線方向に沿って移動させ、インプリントローラを選択的に加圧する。昇降押圧機構によってインプリントローラが第1の位置まで移動すると、昇降押圧機構は、インプリントローラを加圧せず、インプリントローラは、インプリントプラットフォーム上に位置する転写フィルムに接触し、転写フィルムは、インプリントローラの重量によって押圧される。昇降押圧機構によってインプリントローラが第2の位置に移動すると、昇降押圧機構は、インプリントローラを加圧し、インプリントローラは、転写フィルムに接触し、転写フィルムは、インプリントローラの重量と昇降押圧機構の圧力との組み合わせによって押圧される。したがって、インプリント装置のインプリントローラは、より汎用的で柔軟な圧力を使用して、昇降押圧機構を介して転写フィルムおよびインプリントプラットフォームにインプリントすることができる。
【0020】
上記をより理解しやすくするために、図面を伴ういくつかの実施形態を以下に詳細に説明する。
【0021】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の一実施形態によるインプリント装置の斜視図である。
【0023】
【
図2A】
図1のインプリント装置におけるインプリントプラットフォームおよび白色光干渉計の斜視図である。
【0024】
【0025】
【
図3】
図1のインプリント装置の部分上面図である。
【0026】
【
図4A】
図1のインプリント装置の別の視野角からの部分拡大斜視図である。
【0027】
【0028】
【
図5A】
図1のインプリント装置のさらに別の視野角からの部分拡大斜視図である。
【0029】
【
図5B】第2の位置にある
図1のインプリント装置における転写モジュールの可動フレームを示す部分拡大斜視図である。
【0030】
【
図5C】フィルム分離モジュールが可動フレームを駆動して回転させるときの転写フィルムとインプリントローラとの間の動作の概略図である。
【0031】
【
図6A】本開示の別の実施形態によるインプリント装置の概略上面図である。
【0032】
【0033】
【
図7A】本開示の別の実施形態に係るインプリント装置の部分図である。
【0034】
【
図7B】異なる視野角を有する
図7Aのインプリント装置の部分図である。
【0035】
【0036】
【0037】
【
図8B】第1の位置に位置する
図8Aの昇降押圧機構の概略図である。
【0038】
【0039】
【
図8D】第2の位置に位置する
図8Aの昇降押圧機構の概略図である。
【0040】
【0041】
【
図9A】異なる視野角を有する
図7Aのインプリント装置の部分図である。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここで、本開示の例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同じまたは類似の部分を示すために、図面および説明において同じ要素記号が使用される。
【0047】
図1は、本開示の一実施形態によるインプリント装置の斜視図である。
図2Aは、
図1のインプリント装置におけるインプリントプラットフォームおよび白色光干渉計の斜視図である。
図2Bは、
図2Aの側面図である。
図3は、
図1のインプリント装置の部分上面図である。
図4Aは、
図1のインプリント装置の別の視野角からの部分拡大斜視図である。
図4Bは、
図4Aの側面図である。
図5Aは、
図1のインプリント装置のさらに別の視野角からの部分拡大斜視図である。
図5Bは、第2の位置にある
図1のインプリント装置における転写モジュールの可動フレームを示す部分拡大斜視図である。
図5Cは、フィルム分離モジュールが可動フレームを駆動して回転させるときの転写フィルムとインプリントローラとの間の動作の概略図である。なお、説明の便宜上、
図1、
図3、
図5Aおよび
図5Bは一部斜視図であり、
図2A、
図3、
図4A、
図5Aおよび
図5Bでは一部の部材を省略している。
【0048】
図1、
図2A、および
図3を併せて参照すると、この実施形態では、インプリント装置100は、インプリントプラットフォーム110、インプリントローラ120、転写モジュール130、およびフィルム分離モジュール140を含む。インプリントプラットフォーム110は、互いに対向する第1の側112および第2の側114を有する。インプリントローラ120は、インプリントプラットフォーム110の上方に配置されている。転写モジュール130は、転写フィルム132と、転写フィルム132の両側をクランプする固定フレーム134および可動フレーム136とを含む。転写フィルム132は、インプリントローラ120とインプリントプラットフォーム110との間に位置する。固定フレーム134は、インプリントプラットフォーム110の第1の側112の横に固定されており、可動フレーム136は、インプリントプラットフォーム110の第2の側114の横に配置される。特に、可動フレーム136は、固定フレーム134に対して水平方向に移動し、転写フィルム132の平坦度を変化させるように適合されている。フィルム分離モジュール140は、転写モジュール130の可動フレーム136に接続され、可動フレーム136を駆動して第1の位置P1(
図5Aを参照)から第2の位置P2(
図5Bを参照)に回転させ、それにより、転写フィルム132とインプリントローラ120(
図5Cを参照)との間に丸みを帯びた角Rが形成されるように適合されている。すなわち、この実施形態では、可動フレーム136で固定された転写フィルム132をフィルム分離モジュール140によって回転させ、複数の角度で変化させることがあり、それにより、インプリントされた製品構造が不適切なフィルム分離によって損なわれず、それにより、インプリント歩留まりおよび操作の利便性が向上する。
【0049】
具体的には、
図1、
図2Aおよび
図2Bを参照すると、本実施形態のインプリントプラットフォーム110は、プラットフォーム111およびウエハ113から構成され、例えば、限定はしないが、精密6軸インプリントプラットフォームである。インプリントプラットフォーム110とインプリントローラ120との間の平坦度は、インプリント構造体の均一な深さに大きく影響し得るので、本実施形態のインプリント装置100はまた、インプリントローラ120とインプリントプラットフォーム110との間の高さを検出するために、インプリントプラットフォーム110の第1の側112の横に別々に配置された2つの白色光干渉計150を含む。具体的には、本実施形態では、まず、インプリントプラットフォーム110上に載置された補正治具10を介して、2つの白色光干渉計150によって放射された光の焦点Fが、線を画定する2つの点として、インプリントプラットフォーム110と共に水平線P上になるようにまず調整されてもよい。次に、異なる波長の光を投射するために、白色光干渉計150を用いて、インプリントローラ120とインプリントプラットフォーム110との間の平坦度を補正する。白色光干渉計150は、異なる波長の光を投射することに加えて、インプリントローラ120とインプリントプラットフォーム110との間の転写フィルム132を検出してもよいし、転写フィルム132を貫通して上方のインプリントローラ120を検出してもよい。高さデータにより、インプリントローラ120は、インプリントプラットフォーム110と水平になるように調整され得る。
【0050】
簡単に言えば、本実施形態では、異なる波長の光を投射して透明物体(例えば、転写フィルム132)を透過する白色光干渉計150を用いて、インプリントプラットフォーム110およびインプリントローラ120の高さを検出することができる。白色光干渉計150は、2つの光源の焦点Fが直線を画定することにより、インプリントプラットフォーム110とインプリントローラ120との間の水平度を調整して確認する。白色光干渉計150は、一回水平度を調整すればよく、インプリントローラ120およびインプリントプラットフォーム110の高さは、インプリントの度に予め確認してもよい。また、白色光干渉計150の精度は±0.2μmに達するため、レベルの誤差は比較的小さい。
【0051】
さらに、
図3を参照すると、本実施形態の転写モジュール130の転写フィルム132は、固定フレーム134および可動フレーム136によってクランプされ、転写フィルム132は、その上に、インプリントローラ120を介してインプリントプラットフォーム110に転写されるように適合された複数のナノ構造を有する。固定フレーム134は、その名称が示すように、固定フレームであり、可動フレーム136は、固定フレーム134に対して移動可能なフレームである。具体的には、転写モジュール130の可動フレーム136は、第1の部分136aと、第2の部分136bと、複数の弾性要素136cとを有する。弾性要素136cは、第1の部分136aと第2の部分136bとの間に別々に接続されており、転写フィルム132の両側は、固定フレーム134と可動フレーム136の第1の部分136aとの間にクランプされている。ここで、弾性要素136cは、例えば、ばねを含むが、これに限定されない。すなわち、本実施形態の可動フレーム136は、撓み自在な別個の可撓性フィルム取り付け具とみなすことができ、治具上の弾性要素136cの張力によって転写フィルム132の平坦度が維持される。
【0052】
図1および
図3を併せて参照すると、本実施形態のインプリント装置100は、弾性要素136cの張力を効果的かつ正確に検出するために、可動フレーム136の第2の部分136bの横に配置され、弾性要素136cの張力値を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ160(例示的に示す2つのセンサ160)をさらに含む。センサ160は、例えば張力-圧縮センサであり、弾性材料(例えば、圧電材料)の変形に伴って物理信号を電気信号に変換して正確な測定を行う。ここで、センサ160は、可動フレーム136の弾性要素136cの張力値を効果的に検出するために、カバー165を介してフィルム分離モジュール140の載置部142に固定されてもよい。張力が要求値に達しているか否か、および左右の張力が一致するように調整されているか否かは、センサ160が検出して表示する張力値によって完全に判断される。すなわち、センサ160は、左右の転写フィルム132の張力が均一になるように検出および調整するのを容易にし、インプリント時に張力値が必要な力に維持されているか否かを検出するのを容易にし、また、可動フレーム136の第2の部分136bが第1の部分136aに対して相対的に操作されたときの張力の変化を観測する。センサ160は、加えられた力を電気信号出力に変換する。センサ160の精度は±0.3%ROに達しているため、検出される張力値の誤差は小さい。
【0053】
簡単に言えば、本実施形態では、転写モジュール130の可動フレーム136の弾性要素136cの張力が転写フィルム132の平坦度を維持し、張力が左側と右側とで同じであり、必要な張力値が達成され、それにより、優れた構造を有するインプリント製品がもたらされる。
【0054】
図4Aを参照すると、本実施形態のインプリント装置100はまた、移動プラットフォーム171と、第1の対のスライドレールS1と、移動モジュール170とを含む。第1の対のスライドレールS1は、移動プラットフォーム171上に配置される。移動モジュール170は、第1の対のスライドレールS1上にスライド可能に配置され、キャリア172と、キャリア172上に配置されたブラケット174とを含む。ブラケット174は、互いに対向する2つの第1のブラケット部分174aと、2つの第1のブラケット部分174aに接続される第2のブラケット部分174bとを有する。2つの第1のブラケット部分174aの各々は、載置スロット175を有し、インプリントローラ120の両端122および124は、載置スロット175内にそれぞれ配置される。製品の構造的深さを効果的に制御するために、この実施形態のインプリント装置100はまた、2つのセンサ180を含む。2つのセンサ180は、載置スロット175内にそれぞれ配置され、インプリントローラ120の両端122および124と載置スロット175との間に配置され、インプリントローラ120の圧力値を測定するように構成される。
【0055】
具体的には、移動モジュール170がインプリントローラ120を下方に駆動させてインプリントプラットフォーム110と嵌合させると、移動モジュール170を介してインプリントプラットフォーム110がインプリントローラ120に突き当たった状態が連続的に下方に形成される。しかしながら、インプリントローラ120の両側に取り付けられたセンサ180は、移動モジュール170が動作するにつれて下方に移動し続けるため、インプリントプラットフォーム110が当接するインプリントローラ120とセンサ180との間に反張力が形成され、反張力は、インプリントローラ120によってインプリントプラットフォーム110に加えられる下向きの圧力に等しい。ここで、センサ180は、例えば張力-圧縮センサであり、弾性材料(例えば、圧電材料)の変形に伴って物理信号を電気信号に変換して正確な測定を行う。すなわち、センサ180は、インプリントローラ120の作用力による変形を電気信号出力に変換することができ、インプリントローラ120の圧力値を効果的に検出し、製品の構造的深さを制御するためにインプリントローラ120の下向きの圧力の調整を容易にすることができる。
【0056】
簡単に言えば、インプリント時に、センサ180の構成により、インプリントローラ120の下向きの圧力値を検出し、インプリントローラ120が左右に及ぼす力が均一であるか否かを判定することが容易になる。さらに、センサ180を介して、インプリントローラ120の下向きの圧力を調整し、次いで製品のインプリント深さを制御することができる。また、センサ180は、作用した力を電気信号出力に変換し、センサ180の精度は±0.3%ROに達しているため、検出された作用力値の誤差は小さい。
【0057】
図4Aおよび
図4Bを併せて参照すると、インプリントローラ120の下向きの圧力をさらに調整するために、本実施形態のインプリント装置100はまた、第2の対のスライドレールS2および調整可能なリードスクリュ-185を含む。移動モジュール170はまた、キャリア172上に配置された支持プレート176を含む。第2の対のスライドレールS2は、支持プレート176上に配置され、第2のブラケット部分174bは、第2の対のスライドレールS2上にスライド可能に配置されている。第1の対のスライドレールS1の延在方向は、第2の対のスライドレールS2の延在方向に対して垂直である。調整可能なリードスクリュ-185は、第2のブラケット部分174bに接続され、ブラケット174とキャリア172との高低差を調整する。また、インプリント装置100は、ブラケット174の2つの第1のブラケット部分174aとキャリア172との間にそれぞれ配置された複数の弾性要素187を備えている。ここで、インプリントプラットフォーム110と移動プラットフォーム171との間に間隔Dが存在し、また弾性要素187は例えば圧縮ばねを含むが、圧縮ばねには限定されない。
【0058】
具体的には、ナノインプリント中、インプリントローラ120の下向きの圧力は、製品の微細構造に影響を及ぼすパラメータであり得る。本実施形態の移動モジュール170は、調整可能なリードスクリュ-185を介したインプリントローラ120の上昇または下降を制御し、次いで、インプリントローラ120によってインプリントプラットフォーム110に及ぼされる力を調整することができる。加えて、インプリント力は、製品の微細構造の深さを決定し、十分な下向きの圧力は、レジスト内の気泡を製品から追い出すので、インプリントされた微細構造は気泡の影響を受けず、それによって製品の歩留まりを高める。すなわち、この実施形態では、調整可能なリードスクリュ-185の上昇または下降に伴って、インプリントローラ120によってインプリントプラットフォーム110に下方に及ぼされる力が調整され、移動モジュール170が第1の対のスライドレールS1を通って移動して、インプリントを完了する。ここで、調整可能なリードスクリュ-185は、上下に10μmの微調整を達成するため、インプリントローラ120の下向きの圧力を精密に制御することができる。また、弾性要素187は、インプリントローラ120の片持ち変形の支持体となり、調整可能なリードスクリュ-185の昇降の減衰力を調整するように配置されている。簡単に言えば、インプリントローラ120は、調整可能なリードスクリュ-185の上昇または下降によってインプリントローラ120の下向きの圧力を調整し、それによって、気泡残留物を解消するのに十分な下向きの圧力でインプリントの力を制御する。
【0059】
さらに、
図5Aを参照すると、本実施形態のインプリント装置100は、インプリントプラットフォーム110の互いに対向する第3の側116および第4の側118の横に配置された1対のスライドレールSをさらに備え、フィルム分離モジュール140は、1対のスライドレールS上にスライド可能に配置されている。本実施形態のフィルム分離モジュール140は、載置部142および回転機構144を含む。転写モジュール130の可動フレーム136は、載置部142に組み付けられる。回転機構144は、2つの調整可能な本体部分144aと、2つの調整可能な本体部分144aにそれぞれ接続された2つのヒンジ部分144bとを有する。2つのヒンジ部分144bは、載置部142の両側にそれぞれ接続され、2つの調整可能な本体部分144aは、1対のスライドレールSに沿って第1の方向D1にスライドするように適合され、転写フィルム132とインプリントプラットフォーム110との間の間隔を調整するために、第1の方向に垂直な第2の方向D2に沿って移動するように適合される。
【0060】
具体的には、インプリント後の転写フィルム132にフィルム分離が必要な場合、再び
図5Aを参照すると、このとき、フィルム分離モジュール140の載置部142に接続された可動フレーム136は、第1の位置P1に位置する。次に、
図5Bおよび
図5Cを併せて参照して、フィルム分離モジュール140の回転機構144は、可動フレーム136と、可動フレーム136に固定された転写フィルム132とを、転写フィルム132とインプリントローラ120との間に角Rが形成されるように回転駆動し、可動フレーム136を第2の位置P2に位置させる。このとき、インプリントローラ120と回転機構144とが概ね同じ速度で左方向(すなわち、インプリントプラットフォーム110の第1の側112に対して)に移動し、転写フィルム132が製品20から離れる際の引張力を、丸みを帯びた角Rによって相殺することができ、転写フィルム132と製品20との構造をスムーズに分離することができる。すなわち、本実施形態のインプリント装置100は、自由に湾曲可能な可動フレーム136と、転写フィルム132を回転および湾曲させるとともに、角度/高さを調整して転写フィルム132と製品20との間を離間させるフィルム分離モジュール140と、インプリントローラ120と、を備え、インプリントローラの丸みを帯びた角Rが連続的に剥がれることで、激しい引張による分離によるインプリントされた製品20の損傷を防止し、インプリント歩留まりを向上させることができる。言い換えれば、この実施形態では、フィルム分離モジュール140の機械的設計により、大きな変動を伴うフィルム分離を実行することができ、最適なフィルム分離角度への調整を達成することができ、転写フィルム132による製品の微細構造への不適切な損傷を防止し、製品の歩留まりを向上させる。さらに、この実施形態では、転写フィルム132を回転させ、それを複数の角度で変化させることに加えて、フィルム分離モジュール140はまた、転写フィルム132とインプリントプラットフォーム110との間の間隔、すなわち回転機構144が上昇し得る高さを微調整するために第2の方向D2に移動する回転機構144と組み合わせて、様々なフィルム分離を調整してもよい。したがって、インプリントされた製品構造は、不適切なフィルム分離に起因して損傷されることはなく、それによってインプリント歩留まりが向上する。
【0061】
簡単に言えば、本実施形態のフィルム分離モジュール140は、可動フレーム136で固定された転写フィルム132を回転させ、転写フィルム132を複数の角度で変化させることができ、インプリントされた製品構造が不適切なフィルム分離によって損傷を受けないように、最適なフィルム分離角度への調整を達成し、それによってインプリント歩留まりおよび操作の利便性を高める。さらに、この実施形態では、白色光干渉計150を介して、インプリントプラットフォーム110とインプリントローラ120との間のレベルが正確に達成され、センサ160を介して、転写モジュール130の可動フレーム136の弾性要素136cの張力を正確に検出することができ、センサ180を介して、インプリントローラ120の圧力値が効果的に検出され、インプリントローラ120の下向きの圧力が調整され、それによって製品の構造的深さが制御される。さらに、インプリントローラ120の下向きの圧力はまた、調整可能なリードスクリュ-185の上昇または下降によって調整され、それにより、気泡残留物を解決するのに十分な下向きの圧力でインプリントの力を制御することができる。すなわち、本実施形態では、インプリント装置100のインプリントおよびフィルム分離を最適化することにより、インプリント歩留まりを向上させ、インプリント装置100の操作の利便性を向上させることができる。また、本実施形態のインプリント装置100は、上記のような機械設計により、高い自由度でフィルム分離を調整し、製品20および転写フィルム132に対して最適な剥離方式を見出すことができる。さらに、多軸構造は、詳細な試験および微調整を容易にし、単一の方法での不適切なフィルム分離によるインプリント製品20への損傷を防止し、製品の歩留まりを高める。
【0062】
なお、上記実施形態における符号および内容の一部は、以下の実施形態で使用されることに変わりはなく、同一または類似の要素を指すために同一の符号が採用され、同一の技術的内容の説明は省略される。省略された部分の説明については、上記の実施形態を参照することができ、以下の実施形態では繰り返し説明しない。
【0063】
図6Aは、本開示の別の実施形態によるインプリント装置の概略上面図である。
図6Bは、
図6Aのインプリント装置の概略側面図である。説明を容易にするために、
図6Aおよび
図6Bには、部材の一部のみが概略的に示されており、省略された部分について上記の実施形態に対する関連図面を参照することができる。
図3、
図6Aおよび
図6Bを併せて参照すると、本実施形態のインプリント装置100aはインプリント装置100と同様であり、本実施形態のインプリント装置100aはまた、2つのロッド192および2つの昇降機194を含む張力調整機構190を含む点で、異なる。2つのロッド192の延在方向は、インプリントローラ120の延在方向と平行である。2つのロッド192は、転写フィルム132に接触しており、転写モジュール130の固定フレーム134とインプリントプラットフォーム110との間、および、転写モジュール130の可動フレーム136の第1の部分136aとインプリントプラットフォーム110との間にそれぞれ配置されている。2つの昇降機194は、2つのロッド192の上昇した高さをそれぞれ調整し、転写フィルム132は、2つのロッド192による上昇によって引っ張られて広がることで張力が発生する。すなわち、長手方向前後のロッド192を昇降機194(例えば、電動シリンダ)を用いて上昇させ、転写フィルム132を締め付けて張力を発生させてもよい。また、ロッド192の上昇高さに応じて、前後の転写フィルム132の張力の強さが独立して調整されてもよい。
【0064】
また、本実施形態の張力調整機構190はまた、2つの張力センサ196を含む。2つの張力センサ196は、2つのロッド192と2つの昇降機194との間にそれぞれ配置され、転写フィルム132のリアルタイムの張力を検出するように構成されてもよい。本実施形態において、ロッド192の長さLは、転写フィルム132の幅Wよりも長いことが好ましい。本実施形態では、ロッド192の長さLが転写フィルム132の幅よりも長く、ロッド192が転写フィルム132に接触して直線に沿って均一な張力を形成するため、張力は転写フィルム132の両側方(すなわち、
図6Aの矢印の方向に沿って)に均等に伝達され得る。
【0065】
簡単に言えば、本実施形態の張力調整機構190の機構では、転写フィルム132の長手方向前後に2つのロッド192を取り付け、ロッド192による持ち上げを利用して転写フィルムを引張して広げ、張力を発生させる。ロッド192の下方に、転写フィルム132のリアルタイム張力を検出するために張力センサ196をさらに取り付けることができ、締め付け(すなわち、張力)は、ロッド192の持ち上げ振幅で調整される。また、各ロッド192が一つの昇降機194に対応して配置されているため、転写フィルム132の長手方向前後を独立して調整することができる。また、ロッド192の長さLが転写フィルム132の幅Wよりも長いため、ロッド19が転写フィルム132を直線状に引っ張って広げることで、張力が直線に沿って形成されると共に、転写フィルム132の両側方に均等に分布する。
【0066】
図7Aは、本開示の別の実施形態に係るインプリント装置の部分図である。
図7Bは、異なる視野角を有する
図7Aのインプリント装置の部分図である。
図7Cは、
図7Aの昇降押圧機構の部分拡大図である。
【0067】
図7A~
図7Cを参照すると、本実施形態では、インプリント装置100bは、インプリントプラットフォーム110(
図7B)と、インプリントローラ120と、転写モジュール130(
図7B)と、少なくとも1つの昇降押圧機構200と、を含む。
図7Bに示すように、インプリントローラ120は、インプリントプラットフォーム110の上方に配置されている。転写モジュール130は、転写フィルム132を含み、転写フィルム132は、インプリントローラ120とインプリントプラットフォーム110との間に位置している。
【0068】
本実施形態では、少なくとも1つの昇降押圧機構200の数は2つであり、2つの昇降押圧機構200は、インプリントローラ120と連結されるように、インプリントローラ120の両端部122、124に位置している。すなわち、昇降押圧機構200は、インプリントローラ120をインプリントプラットフォーム110の法線方向D3に沿って移動させるように駆動し、インプリントローラ120を選択的に加圧する。なお、本実施形態では、2つの昇降押圧機構200は同一であるため、以下の説明では、いずれか一方の昇降押圧機構200にのみ言及する。
【0069】
具体的には、
図7Cに示すように、本実施形態では、昇降押圧機構200は、駆動源201と、駆動源201に接続されたベース202と、インプリントローラ120の端部122(
図8C)に配置され、ベース202内に位置するホルダ206と、を含む。ベース202は、下部203と、上部204と、下部203と上部204との間に位置し、それらに接続されたガイドポスト205と、を含み、ガイドポスト205は、法線方向D3に沿って延在し、ホルダ206は、ガイドポスト205に摺動可能に配置されている。ばね210は、ガイドポスト205上にスリーブが付けられ、ホルダ206の動きを安定させるようにホルダ206を押圧する。
【0070】
図8Aは、
図7Aの昇降押圧機構の部分側面図である。
図8Aを参照すると、インプリントローラ120(点線)は、インプリントプラットフォーム110(
図7B)上に位置する転写フィルム132の上方に位置しており、まだ転写フィルム132に接触していない。
【0071】
図8Bは、第1の位置P1’に位置する
図8Aの昇降押圧機構の概略図である。
図8Cは、
図8Bの断面図である。
図8B~
図8Cを参照すると、昇降押圧機構200によってインプリントローラ120が第1の位置P1’まで下方に移動されると、インプリントローラ120は、インプリントプラットフォーム110上に位置する転写フィルム132に接触する。
【0072】
図8Cに示すように、昇降押圧機構200は、ベース202の上部204に固定され、ベース202の上部204とホルダ206との間に位置する圧力センサ207をさらに含む。インプリントローラ120が第1の位置P1’にあるとき、ホルダ206は、ベース202の下部203に接触し、ホルダ206と圧力センサ207との間に隙間G1が形成される。すなわち、第1の位置P1’では、インプリントローラ120は、圧力センサ207を介して昇降押圧機構200のベース202の上部204によって加圧されておらず、インプリントローラ120は、自然に転写フィルム132およびインプリントプラットフォーム110上に配置され、転写フィルム132およびインプリントプラットフォーム110は、インプリントローラ120の自重のみまたは主に自重によって押圧される。圧力センサ207は、押圧されていないため、圧力センサ207の検出値はほぼ0である。
【0073】
本実施形態では、ホルダ206と圧力センサ207との間の隙間G1は、インプリントローラ120が上方に移動するための空間を提供する。したがって、インプリントプラットフォーム110のトポグラフィに応じて、法線方向D3に沿ったインプリントローラ120の位置が調整可能であり、その結果、転写フィルム132およびインプリントプラットフォーム110は、インプリントローラ120によって均等に押圧されることができる。
【0074】
図8Dは、第2の位置P2’に位置する
図8Aの昇降押圧機構の概略図である。
図8Eは、
図8Dの断面図である。
図8D~
図8Eを参照すると、転写フィルム132上およびインプリントプラットフォーム110上に適用されたインプリントローラ120の重量が十分でない場合、インプリントローラ120は、昇降押圧機構200によって第2の位置P2’まで下方に選択的に移動される。第2の位置P2’では、インプリントローラ120は、圧力センサ207を介して昇降押圧機構200のベース202の上部204によって加圧される。
図8Eに示すように、圧力センサ207がホルダ206に接触して押圧するため、圧力センサ207の検出値はゼロではない。ベース202の下部203の間には、隙間G2が形成されている。
【0075】
すなわち、インプリントローラ120が第2の位置P2’にあるとき、昇降押圧機構200のベース202の上部204がインプリントローラ120を加圧し、その結果、転写フィルム132およびインプリントプラットフォーム110は、インプリントローラ120の重量と昇降押圧機構200の圧力との組み合わせによって押圧される。
【0076】
したがって、本実施形態では、インプリントローラ120は、昇降押圧機構200を介して、転写フィルム132およびインプリントプラットフォーム110に対してより汎用的かつ柔軟なインプリント圧力を付与することができる。
【0077】
図7Aに戻ると、本実施形態では、昇降押圧機構200は、インプリントローラ120の両端部122、124に位置する2つの水平度検出器208をさらに含む。2つの水平度検出器208は、インプリントローラ120の水平度を測定するために使用される。
図7Cに示すように、ネジ209は、水平度検出器208およびベース202の上部204に対して傾斜しており、その結果、ネジ209の水平度検出器208に接触する表面は、水平度検出器208の基準面を形成する。さらに、水平度検出器208は、インプリントローラ120の端部122、124の高さ情報を取得するように、インプリントローラ120の端部122、124に接触し、その結果、インプリントローラ120の水平度が取得されることができる。
【0078】
図9Aは、異なる視野角を有する
図7Aのインプリント装置の部分図である。
図9Bは、
図9Aの固定モジュールの部分拡大図である。
図9Aおよび
図9Bを参照すると、インプリント装置100bは、フィルム分離モジュール140bおよび固定モジュール220をさらに含み、転写モジュール130は、フレーム138を含み、転写フィルム132は、フレーム138に配置されている。フレーム138は、転写モジュール130の第2の部分136bとすることができるが、フレーム138の種類はこれに限定されない。フレーム138は、固定モジュール220によってフィルム分離モジュール140bに着脱可能に配置されている。本実施形態では、固定モジュール220は、迅速な組み立ておよび迅速な解放機能を有するツールレスモジュールであり、詳細な説明は後述する。
【0079】
図9Cは、
図9Bの固定モジュールの分解図である。
図9Cを参照すると、固定モジュール220は、フィルム分離モジュール140bに固定された第1の固定部材221と、フレーム138に固定された第2の固定部材230と、フィルム分離モジュール140bの第1の孔146を通過し、第1の固定部材221側に位置する第1の回転部材240と、第1の固定部材221を通過し、第1の回転部材240と第2の固定部材230との間に位置する第2の回転部材250と、を含む。
【0080】
本実施形態では、第1の回転部材240は、フィルム分離モジュール140bから露出したノブ242と、スロット246を有する第1の本体244と、第1の本体244からノブ242から離れる方向に延在する第1の阻止部材248と、を含む。第1の本体244は、フィルム分離モジュール140bの第1の孔146を通過している。
【0081】
第1の固定部材221は、第2の本体222と、第2の本体222に形成され、第1の孔146に対応する第2の孔224と、第2の本体222の表面223から第1の回転部材240に向かって突出する第2の阻止部材225と、を含む。
【0082】
第2の回転部材250は、第3の本体251と、突出部254と、係止部255と、を含む。第3の本体251は、第1の阻止部材248の第2の孔224を通過し、第1の回転部材240に近い第1の側面252と、第2の固定部材230に近い第2の側面253と、を有する。突出部254は、第3の本体251の外面223の第1の側面252寄りに位置し、第1の回転部材240のスロット246に挿入される。このため、スロット246と突出部254との係合により、第2の回転部材250は、第1の回転部材240とともに回転されることができる。さらに、係止部255は、第3の本体251の第2の側面253に位置している。
【0083】
第2の固定部材230は、内部空間232と、内部空間232に連通する位置決め孔234と、を含む。
【0084】
図10A~
図10Dは、
図9Bの固定モジュールのロックプロセスの概略図である。まず、
図10Aを参照すると、第1の回転部材240が元の位置にあるとき、第1の回転部材240の第1の阻止部材248は、第1の固定部材221の第2の阻止部材225と位置合わせされ、その結果、第1の回転部材240の第1の固定部材221に向かう移動は、第2の阻止部材225によって制限される。したがって、第1の回転部材240は、第1の固定部材221に向けて押圧されることができない。
【0085】
さらに、
図10Aでは、第2の回転部材250の係止部255は、垂直方向に沿って延在し、第2の固定部材230の位置決め孔234は、水平方向に沿って延在している。すなわち、第2の回転部材250の係止部255は、まだ第2の固定部材230の位置決め孔234に位置合わせされていない。
【0086】
図10Bを参照すると、第1の回転部材240が、第1の阻止部材248が第2の阻止部材225と互い違いになる位置まで回転されるとき、第1の回転部材240は、第2の本体222の表面223に向かって移動するように適合される。
図10Bでは、第2の回転部材250の係止部255が水平方向に沿って延在するように、第2の回転部材250が回転される。第2の回転部材250の係止部255は、第2の固定部材230の位置決め孔234に位置合わせされている。
【0087】
図10Cを参照すると、第1の回転部材240が第2の本体222の表面223に向かって移動すると、第2の回転部材250の係止部255が位置決め孔234を通過して第2の固定部材230の内部空間232に進入するように、第2の回転部材250が第1の回転部材240によって押圧される。
【0088】
図10Dを参照すると、ノブ242を回転させることにより、第2の回転部材250の係止部255は、位置決め孔234と互い違いの位置まで回転され、その結果、フレーム138は、フィルム分離モジュール140bに係止される。したがって、フレーム138は、固定モジュール220によってフィルム分離モジュール140bに迅速かつ容易に着脱可能に配置されることができる。
【0089】
さらに、
図9Cに示すように、固定モジュール220は、第2の本体222にスリーブが付けられ、係止部255と第1の本体244との間に配置された弾性部材260をさらに含む。弾性部材260は、第1の回転部材240および第2の回転部材250の位置を
図10Cから
図10Bに戻すために使用される。したがって、フレーム138をフィルム分離モジュール140bから取り外したい場合、ユーザは、第1の回転部材240を
図10Dの位置から
図10Cの位置まで回転させればよく、
図10Cの第1の回転部材240および第2の回転部材250の位置は、自動的に
図10Bの位置に戻されることができ、その結果、フレーム138は、フィルム分離モジュール140bから係止解除される。
【0090】
図11は、
図9Aの調整可能ロードセルの部分拡大図である。
図9Aおよび
図11を参照すると、本実施形態では、インプリント装置100bは、転写フィルム132側に配置された調整可能ロードセル270をさらに含む。本実施形態では、調整可能ロードセル270の数は2つであるが、これに限定されない。調整可能ロードセル270は、転写フィルム132の張力を検出するために使用され、調整可能ロードセル270によって測定された値は、工具、例えば六角レンチ274(
図11)を使用することによって手動で較正されることができる。
【0091】
具体的には、六角レンチ274により、調整可能ロードセル270と可動プレート272との隙間G3の大きさが調整されることができる。したがって、調整可能ロードセル270によって測定された値が較正され、互いに同様にすることができる。転写フィルム132の全体的な張力は、調整可能ロードセル270によって測定された値をより一貫したものにするために後で調整されることができる。
【0092】
以上をまとめると、本開示のインプリント装置では、昇降押圧機構は、インプリントローラを駆動してインプリントプラットフォームの法線方向に沿って移動させ、インプリントローラを選択的に加圧する。昇降押圧機構によってインプリントローラが第1の位置まで移動すると、昇降押圧機構は、インプリントローラを加圧せず、インプリントローラは、インプリントプラットフォーム上に位置する転写フィルムに接触し、転写フィルムは、インプリントローラの重量によって押圧される。昇降押圧機構によってインプリントローラが第2の位置に移動すると、昇降押圧機構は、インプリントローラを加圧し、インプリントローラは、転写フィルムに接触し、転写フィルムは、インプリントローラの重量と昇降押圧機構の圧力との組み合わせによって押圧される。したがって、インプリント装置のインプリントローラは、より汎用的で柔軟な圧力を使用して、昇降押圧機構を介して転写フィルムおよびインプリントプラットフォームにインプリントすることができる。
【0093】
本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、開示された実施形態に対して様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。上記を考慮して、本開示は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入るという条件で、修正および変形を包含することが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本開示のインプリント装置は、種々の形態のインプリント機またはナノインプリント機に適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
10 補正治具
20 製品
100,100a,100b インプリント装置
110 インプリントプラットフォーム
111 プラットフォーム
112 第1の側
113 ウエハ
114 第2の側
116 第3の側
118 第4の側
120 インプリントローラ
122,124 端部
130 転写モジュール
132 転写フィルム
134 固定フレーム
136 可動フレーム
136a 第1の部分
136b 第2の部分
136c 弾性要素
138 フレーム
140,140b フィルム分離モジュール
142 載置部
144 回転機構
144a 調整可能な本体部分
144b ヒンジ部分
146 第1の孔
150 白色光干渉計
160,180 センサ
165 カバー
170 移動モジュール
171 移動プラットフォーム
172 キャリア
174 ブラケット
174a 第1のブラケット部分
174b 第2のブラケット部分
175 載置スロット
176 支持プレート
185 調整可能なリードスクリュ-
187 弾性要素
190 張力調整機構
192 ロッド
194 昇降機
196 張力センサ
200 昇降押圧機構
201 駆動源
202 ベース
203 下部
204 上部
205 ガイドポスト
206 ホルダ
207 圧力センサ
208 水平度検出器
209 ネジ
220 固定モジュール
221 第1の固定部材
222 第2の本体
223 表面
224 第2の孔
225 第2の阻止部材
230 第2の固定部材
232 内部空間
234 位置決め孔
240 第1の回転部材
242 ノブ
244 第1の本体
246 スロット
248 第1の阻止部材
250 第2の回転部材
251 第3の本体
252 第1の側面
253 第2の側面
254 突出部
255 係止部
260 弾性部材
270 調整可能ロードセル
272 可動プレート
274 六角レンチ
D 間隔
D1 第1の方向
D2 第2の方向
D3 法線方向
L 長さ
F 焦点
G1 隙間
P 水平線
P1,P1’ 第1の位置
P2,P2’ 第2の位置
R 丸みを帯びた角
S スライドレール
S1 第1の対のスライドレール
S2 第2の対のスライドレール
W 幅