(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】裏面入射型半導体光検出素子
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
H01L31/10 A
(21)【出願番号】P 2022151347
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2018078642の分割
【原出願日】2018-04-16
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】田口 智也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 侑生
(72)【発明者】
【氏名】柴山 勝己
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-023417(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061898(WO,A1)
【文献】特開2010-098329(JP,A)
【文献】国際公開第2004/047178(WO,A1)
【文献】特開昭59-061973(JP,A)
【文献】特開2013-065911(JP,A)
【文献】特開2012-244124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0313204(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0128846(US,A1)
【文献】実開昭64-011556(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/10-31/119
H01L 31/0236
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向している第一主面と第二主面とを有している半導体基板を備え、
前記半導体基板は、第一導電型の第一半導体領域と、前記第二主面側に形成されていると共に前記第一半導体領域とでpn接合を構成する第二導電型の複数の第二半導体領域と、を有し、
前記複数の第二半導体領域それぞれは、テクスチャ表面を有している第一領域と、テクスチャ表面を有していない第二領域と、を有し、
前記第一領域が有する前記テクスチャ表面の縁領域は、前記第二領域の表面と連続していると共に、前記半導体基板の厚み方向に対して傾斜しており、
前記縁領域での前記第一領域の厚みは、前記第一領域から前記第二領域に向かって大きくなっており、
前記第一領域が有する前記テクスチャ表面は、前記半導体基板の前記厚み方向で、前記第二領域の前記表面よりも前記第一主面寄りに位置し、
前記第一主面が前記半導体基板への光入射面である、裏面入射型半導体光検出素子。
【請求項2】
前記テクスチャ表面の窪みの最深位置での前記第一領域の厚みは、前記半導体基板の前記厚み方向での、前記第二領域の前記表面と前記最深位置との間隔より小さい、請求項
1に記載の裏面入射型半導体光検出素子。
【請求項3】
前記半導体基板の前記厚み方向での前記第二領域の厚みは、前記半導体基板の前記厚み方向での前記第一領域の厚みより大きい、請求項
1又は2に記載の裏面入射型半導体光検出素子。
【請求項4】
前記第二領域に配置されていると共に、前記第二領域と接触している電極を更に備えている、請求項
3に記載の裏面入射型半導体光検出素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面入射型半導体光検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対向している第一主面と第二主面とを有している半導体基板を備えている裏面入射型半導体光検出素子が知られている(たとえば、特許文献1及び2参照)。特許文献2に記載された裏面入射型半導体光検出素子では、半導体基板は、第一導電型の第一半導体領域と、第二導電型の複数の第二半導体領域と、を有している。複数の第二半導体領域は、第二主面側に形成されていると共に、第一半導体領域とでpn接合を構成する。第一主面が、半導体基板への光入射面である。複数の第二半導体領域は、テクスチャ表面を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2012/0313204号明細書
【文献】特開2011-023417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、長波長域(たとえば、近赤外の波長域)での分光感度特性をより一層向上させる裏面入射型半導体光検出素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様に係る裏面入射型半導体光検出素子は、互いに対向している第一主面と第二主面とを有している半導体基板を備えている。第一主面は、半導体基板への光入射面である。半導体基板は、第一導電型の第一半導体領域と、第二導電型の複数の第二半導体領域と、を有している。第二導電型の複数の第二半導体領域は、第二主面側に形成されていると共に、第一半導体領域とでpn接合を構成する。複数の第二半導体領域それぞれは、テクスチャ表面を有している第一領域と、テクスチャ表面を有していない第二領域と、を有している。テクスチャ表面の窪みの最深位置での第一領域の厚みは、半導体基板の厚み方向での、第二領域の表面と最深位置との間隔より小さい。
【0006】
上記一つの態様に係る裏面入射型半導体光検出素子では、第二半導体領域の第一領域がテクスチャ表面を有している。長波長域の光は、短波長域の光に比して、吸収係数が小さい。したがって、第一主面から半導体基板に入射した長波長域の光は、半導体基板内を進み、テクスチャ表面に到達する。テクスチャ表面に到達した光は、テクスチャ表面で反射又は拡散し、半導体基板内を更に進む。長波長域の光は、半導体基板内を進む距離が長くなり、半導体基板に吸収される。この結果、上記一つの態様は、長波長域での分光感度特性を向上させる。
【0007】
光が半導体基板に吸収されることにより生じたキャリアは、第二半導体領域で再結合するおそれがある。第二半導体領域で再結合したキャリアは、検出感度に寄与しないため、分光感度特性が低下するおそれがある。第二半導体領域の厚みが大きい場合、第二半導体領域の厚みが小さい場合に比して、第二半導体領域でのキャリアの再結合が生じやすい。すなわち、第二半導体領域の表面からpn接合までの距離が大きい場合、第二半導体領域の表面からpn接合までの距離が小さい場合に比して、第二半導体領域でのキャリアの再結合が生じやすい。
【0008】
上記一つの態様では、テクスチャ表面の窪みの最深位置での第一領域の厚みが、半導体基板の厚み方向での、第二領域の表面と最深位置との間隔より小さい。この場合、テクスチャ表面の窪みの最深位置での第一領域の厚みが、半導体基板の厚み方向での、第二領域の表面と最深位置との間隔以上である場合に比して、テクスチャ表面からpn接合までの距離が小さい。したがって、半導体基板に入射した光に起因するキャリアの、第二半導体領域での再結合が抑制される。この結果、上記一つの態様は、長波長域での分光感度特性をより一層向上させる。
【0009】
上記一つの態様では、半導体基板の厚み方向での第二領域の厚みは、半導体基板の厚み方向での第一領域の厚みより大きくてもよい。
半導体基板に応力が作用した場合、光の入射に起因しないキャリアが生じるおそれがある。光の入射に起因しないキャリアは、暗電流を生じさせる。第二領域には、第一領域に比して、応力が作用しやすく、光の入射に起因しないキャリアが生じやすい。第二領域の厚みが第一領域の厚みより大きい構成では、第二領域の厚みが第一領域の厚み以下である構成に比して、第二領域では、光の入射に起因しないキャリアの再結合が生じやすい。したがって、本構成は、暗電流の発生を抑制する。
【0010】
上記一つの態様は、第二領域に配置されていると共に、第二領域と接触している電極を備えていてもよい。
本構成では、電極は、半導体基板の厚み方向での厚みが第一領域より大きい第二領域と接触する。電極と半導体基板とが接触している場合、電極を構成する材料と半導体基板を構成する材料とが合金化して、半導体基板にアロイスパイクが生じるおそれがある。アロイスパイクがpn接合に到達すると、アロイスパイクは、漏れ電流を増大させる。第二領域の厚みが第一領域の厚みより大きい構成では、第二領域の厚みが第一領域の厚み以下である構成に比して、アロイスパイクはpn接合に到達し難い。したがって、本構成は、漏れ電流の増大を抑制する。
【0011】
上記一つの態様では、第一領域のテクスチャ表面は、半導体基板の厚み方向で、第二領域の表面よりも第一主面寄りに位置していてもよい。
この場合、第一領域には応力が作用し難い。したがって、第一領域では、光の入射に起因しないキャリアの発生が抑制される。この結果、本構成は、暗電流の発生を抑制する。本構成では、たとえば、第二半導体領域にテクスチャ表面が形成される場合、テクスチャ表面からpn接合までの距離がより一層小さくなり得る。したがって、本構成は、長波長域での分光感度特性をより一層向上させ得る。
【0012】
上記一つの態様では、第一領域のテクスチャ表面の縁領域は、第二領域の表面と連続していると共に、半導体基板の厚み方向に対して傾斜していてもよい。
第一領域のテクスチャ表面が、半導体基板の厚み方向で、第二領域の表面よりも第一主面寄りに位置している場合、第二領域には、応力がより一層作用しやすい。第一領域のテクスチャ表面の縁領域が半導体基板の厚み方向に対して傾斜している構成では、第一領域のテクスチャ表面の縁領域が半導体基板の厚み方向と平行である構成に比して、第二領域に作用する応力が分散されやすい。したがって、第二領域に応力が作用する場合でも、第二領域への応力の集中が抑制される。本構成は、光の入射に起因しないキャリアの発生を抑制する。この結果、本構成は、暗電流の発生を抑制する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様によれば、長波長域での分光感度特性をより一層向上させる裏面入射型半導体光検出素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の平面図である。
【
図2】本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
【
図4】テクスチャ表面を観察したSEM画像である。
【
図5】テクスチャ表面を観察したSEM画像である。
【
図8】本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の製造過程の一例を示す模式図である。
【
図9】本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の製造過程の一例を示す模式図である。
【
図10】本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の製造過程の一例を示す模式図である。
【
図11】本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子を備える電子部品装置の断面構成を示す図である。
【
図12】本実施形態の第一変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
【
図13】第一変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
【
図14】第一変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子を備える電子部品装置の断面構成を示す図である。
【
図15】本実施形態の第二変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
【
図16】第二変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
【
図17】本実施形態の第三変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
【
図18】の第三変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
【
図19】本実施形態の第四変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
【
図20】本実施形態の第五変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
【
図21】本実施形態の第六変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
【
図22】本実施形態の第七変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
【
図24】第七変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の製造過程の一例を示す模式図である。
【
図25】第七変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の製造過程の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1~
図6を参照して、本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の平面図である。
図2は、本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
図3は、本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
図4及び
図5は、テクスチャ表面を観察したSEM画像である。
図6は、一画素の断面構成を示す図である。
図6では、断面を表すハッチングが省略されている。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、半導体光検出素子1は、半導体基板11を備えている。半導体基板11は、シリコン(Si)からなる基板である。半導体基板11は、互いに対向している主面11aと主面11bとを有している。主面11aは、半導体基板11への光入射面である。主面11aが裏面であり、主面11bが表面である。半導体基板11は、平面視で、たとえば、多角形状を呈している。本実施形態では、半導体基板11は、平面視で、矩形状を呈している。半導体基板11の厚みは、たとえば、150μmである。半導体基板11の厚み方向は、たとえば、Z軸と平行な方向である。本実施形態では、半導体基板11の厚み方向は、主面11aと主面11bとが対向している方向と一致している。半導体基板11の厚み方向は、半導体基板11と直交する方向、主面11aと直交している方向、及び、主面11bと直交している方向と一致している。
【0018】
半導体基板11は、第一導電型の半導体領域13と、第二導電型の複数の半導体領域15と、第一導電型の半導体領域16と、を有している。各半導体領域15は、半導体基板11の主面11b側に配置されている。半導体領域16は、半導体基板11の主面11a側に配置されている。半導体領域16は、アキュムレーション層として機能する。第一導電型は、たとえば、n型である。第二導電型は、たとえば、p型である。半導体基板11がSiからなる場合、p型不純物は、たとえば、第13族元素を含み、n型不純物は、たとえば、第15族元素を含む。p型不純物は、たとえば、ホウ素(B)である。n型不純物は、たとえば、窒素(N)、リン(P)、又はヒ素(As)である。第一導電型が、p型であり、第二導電型が、n型であってもよい。
【0019】
半導体領域13は、低不純物濃度である。半導体領域15及び半導体領域16は、高不純物濃度である。半導体領域15及び半導体領域16は、半導体領域13よりも不純物濃度が高い。半導体領域13の不純物濃度は、たとえば、5×1012cm-3である。半導体領域15の不純物濃度は、たとえば、1×1019cm-3である。半導体領域16の不純物濃度は、たとえば、1×1015cm-3である。半導体領域15の最大厚みは、たとえば、5μmである。半導体領域16の厚みは、たとえば、1μmである。
【0020】
複数の半導体領域15は、半導体基板11と直交する方向から見て、二次元配列されている。本実施形態では、複数の半導体領域15は、互いに直交する第一方向及び第二方向に沿って配列されている。複数の半導体領域15は、M行N列(M,Nは2以上の整数)で並んでいる。複数の半導体領域15は、互いに直交する第一方向及び第二方向に沿って配列されている。第一方向は、たとえば、X軸と平行な方向である。第二方向は、たとえば、Y軸と平行な方向である。各半導体領域15は、半導体基板11と直交する方向から見て、たとえば、多角形状を呈している。本実施形態では、各半導体領域15は、矩形状を呈している。各半導体領域15は、半導体基板11と直交する方向から見て、円形状を呈していてもよい。本実施形態では、一つの半導体領域15が、一つの画素を構成している。半導体光検出素子1は、二次元配列されている複数の画素を有している。半導体領域13と各半導体領域15とは、pn接合を構成している。pn接合は、半導体領域13と各半導体領域15との境界に形成されている。各画素では、半導体領域15とpn接合とを含む領域が、光感応領域である。矩形状は、角が面取りされている形状、及び、角が丸められている形状を含む。
【0021】
半導体基板11は、第一導電型の半導体領域14を有している。半導体領域14は、半導体基板11の主面11b側に配置されている。半導体領域14は、主面11bと直交している方向から見て、枠形状を呈している。半導体領域14は主面11bと直交している方向から見て、複数の半導体領域15が配列されている領域を囲むように、主面11bの縁に沿って設けられている。半導体領域14は、チャネルストップ層として機能し、空乏層が半導体基板11の側面に達するのを抑制する。
【0022】
各半導体領域15は、テクスチャ表面TSを有している領域17と、テクスチャ表面TSを有していない領域19と、を有している。テクスチャ表面TSは、
図4及び
図5に示されるように、微細な凹凸が形成されている表面である。領域17は、表面に微細な凹凸が形成されている領域である。領域17の表面全体に、微細な凹凸が形成されている。領域17は、表面全体にテクスチャ表面TSを有している。テクスチャ表面TSは、たとえば、ウエットエッチングにより形成される。テクスチャ表面TSは、ドライエッチング又はレーザ照射により形成されてもよい。表面がテクスチャ表面TSである領域が、テクスチャ領域である。
図4に示されているテクスチャ表面TSは、ウエットエッチングにより形成されている。
図5に示されているテクスチャ表面TSは、ドライエッチングにより形成されている。
図3では、テクスチャ表面TSである領域を容易に理解するために、当該領域にハッチングが付されている。
【0023】
テクスチャ表面TSの凹凸は、不規則に形成されている。テクスチャ表面TSの凹凸が不規則であるとは、凹凸における頂の間隔が不規則に変化していること、及び、凹凸の高低差が不規則に変化していることの少なくとも一方を含む。本実施形態では、凹凸における頂の間隔が不規則に変化していると共に、凹凸の高低差が不規則に変化している。テクスチャ表面TSの凹凸における頂の間隔は、たとえば、0.1~1.0μmである。テクスチャ表面TSの凹凸の高低差は、たとえば、0.5~1.5μmである。テクスチャ表面TSの凹凸は、規則的に形成されていてもよい。
【0024】
領域17は、
図3に示されるように、半導体基板11と直交する方向から見て、領域19の内側に位置している。本実施形態では、半導体基板11と直交する方向から見て、領域17は、領域17の縁全体にわたって領域19に囲まれている。領域19の表面は、平坦である。領域19は、互いに連続している二つの領域19a,19bを有している。領域19aは、半導体領域15の縁に沿って位置している。領域19bは、半導体領域15の一つの角に位置している領域19bと、を有している。領域19aの表面と、領域19bの表面とは、同一平面上に位置している。領域17は、半導体基板11と直交する方向から見て、矩形の一つの角が矩形状に切り欠かれた形状を呈している。領域17と領域19bとは、
図3に示されるように、半導体基板11と直交する方向から見て、第一方向と第二方向とに交差する方向で隣り合っている。
【0025】
図6に示されるように、テクスチャ表面TSの窪みの最深位置での領域17の厚みTH1は、半導体基板11の厚み方向での、領域19(領域19b)の表面と上記最深位置との間隔D1より小さい。上記最深位置は、たとえば、全ての窪みのうち、最も深い窪みの最深位置である。上記最深位置は、全ての窪みのうち、任意の一つの窪みの最深位置であってもよい。上記最深位置は、全ての窪みの最深位置の平均位置であってもよい。
【0026】
半導体領域15の不純物濃度は、たとえば、
図7に示されるように、表面からの深さ(半導体基板11の厚み方向での、主面11bからの距離)に対して変化する。
図7は、不純物濃度の分布を示す線図である。
図7に示された不純物濃度分布は、以下の過程により不純物を熱拡散させたときの分布である。半導体領域15が形成された後に、テクスチャ表面TSが形成される。その後、不純物が、高温熱処理により熱拡散される。この過程は、本実施形態に係る半導体光検出素子1の製造過程として後述される。
【0027】
半導体領域15の不純物濃度は、所定深さ位置までは高い状態が続き、所定深さ位置から主面11aに向かうにしたがって徐々に低下する。半導体領域15は、不純物濃度の分布にしたがって、主面11b寄りに位置している領域R1と、領域R1より主面11a寄りに位置している領域R2と、を有している。領域R1と領域R2とは連続している。領域R1は、不純物濃度が高い領域である。領域R2は、不純物濃度が領域R1での不純物濃度から徐々に低下する遷移領域である。本実施形態では、上記所定深さは、たとえば、約3μmである。
【0028】
本実施形態では、テクスチャ表面TSの窪みの最深位置は、領域R1と領域R2との境界近傍に位置している。すなわち、最深位置は、半導体領域15の不純物濃度が低下し始める領域近傍に位置している。領域17では、領域R2が占有する割合が、領域R1が占有する割合より大きい。領域17は、領域R2のみで構成されていてもよい。
【0029】
半導体領域15(領域17,19)の厚みは、たとえば、表面から、半導体領域15の不純物濃度が半導体領域16の不純物濃度と同等となる深さまでの距離で規定される。この距離も、半導体基板11の厚み方向での距離である。この場合、厚みTH1は、テクスチャ表面TSの窪みの最深位置から、半導体領域15の不純物濃度が半導体領域16の不純物濃度と同等となる深さまでの距離で規定される。窪みの最深位置は、たとえば、全ての窪みのうち、最も深い窪みの最深位置である。この場合、厚みTH1は、領域17の厚みの最小値を示す。窪みの最深位置は、たとえば、全ての窪みのうち、最も浅い窪みの最深位置であってもよい。この場合、厚みTH1は、領域17の厚みの最大値を示す。窪みの最深位置は、たとえば、全ての窪みの最深位置の平均位置であってもよい。この場合、厚みTH1は、領域17の厚みの平均値を示す。厚みTH1は、たとえば、0.1~1.0μmである。
【0030】
半導体領域15(領域17,19)の厚みは、たとえば、半導体基板11の厚み方向での、表面から、領域R2が終わる位置までの距離で規定されてもよい。領域R2が終わる位置は、
図7から明らかなように、不純物濃度の低下が終わる位置である。この場合、厚みTH1は、テクスチャ表面TSの窪みの最深位置から、領域R2が終わる位置までの距離で規定される。
【0031】
間隔D1は、テクスチャ表面TSの窪みの深さである。最深位置が、最も深い窪みの最深位置である場合、間隔D1は、テクスチャ表面TSの窪みの深さの最大値である。最深位置が、最も浅い窪みの最深位置である場合、間隔D1は、テクスチャ表面TSの窪みの深さの最小値である。最深位置が、全ての窪みの最深位置の平均位置である場合、間隔D1は、テクスチャ表面TSの窪みの平均深さである。間隔D1は、たとえば、1.0~2.5μmである。
【0032】
半導体基板11の厚み方向での領域19(領域19b)の厚みTH2は、半導体基板11の厚み方向での領域17の厚みTH3より大きい。厚みTH2は、たとえば、5μmである。本実施形態では、厚みTH2は、半導体領域15の最大厚みでもある。
領域17の厚みTH3は、テクスチャ表面TSの凹凸に応じて変化する。厚みTH3は、たとえば、テクスチャ表面TSの窪みの最深位置での厚みである。この場合、厚みTH3は、厚みTH1と同等である。厚みTH3は、たとえば、テクスチャ表面TSの頂の位置での厚みであってもよい。厚みTH3が規定される頂は、たとえば、全ての頂のうち、最も高い頂である。最も高い頂は、半導体基板11の厚み方向で、最も主面11b寄りに位置している頂である。この場合、厚みTH3は、領域17の厚みの最大を示す。厚みTH3が規定される頂は、たとえば、全ての頂のうち、最も低い頂であってもよい。最も低い頂は、半導体基板11の厚み方向で、最も主面11a寄りに位置している頂である。厚みTH3は、たとえば、テクスチャ表面TSの凹凸の平均高さ位置から、領域R2が終わる位置までの距離であってもよい。厚みTH3は、たとえば、0.1~1.5μmである。
【0033】
テクスチャ表面TSは、半導体基板11の厚み方向で、領域19(領域19a,19b)表面より主面11a寄りに位置している。すなわち、テクスチャ表面TSは、領域19(領域19a,19b)の表面を含む仮想平面VPより主面11a寄りに位置している。主面11bは、領域17で窪んでいる。テクスチャ表面TSと領域19の表面とで、段差が形成されている。領域17のテクスチャ表面TSの縁領域TSaは、領域19(領域19a,19b)の表面と連続していると共に、半導体基板11の厚み方向に対して傾斜している。本実施形態では、縁領域TSaでの領域17の厚みが、領域17から領域19に向かうにつれて徐々に大きくなるように、縁領域TSaが傾斜している。
【0034】
半導体光検出素子1は、複数の絶縁膜21,23,25、複数のパッド電極31、複数のUBM(under-bump metal)33、及び複数のバンプ電極35を備えている。本実施形態では、半導体光検出素子1は、半導体領域15毎に、一つのパッド電極31、一つのUBM33、及び一つのバンプ電極35を備えている。半導体光検出素子1は、半導体領域14と電気的に接続されている電極(不図示)を備えている。半導体領域14と電気的に接続されている電極は、主面11b側に配置されている。
【0035】
絶縁膜21は、半導体基板11の主面11aに配置されている。絶縁膜21は、主面11a上に形成されている。絶縁膜21は、たとえば、酸化膜である。本実施形態では、絶縁膜21は、酸化シリコン(SiO2)からなる。絶縁膜21は、たとえば、シリコン熱酸化膜である。絶縁膜21は、窒化シリコン(SiN)からなっていてもよい。この場合、絶縁膜21は、たとえば、プラズマCVD(Plasma-enhanced Chemical Vapor Deposition)により形成される。絶縁膜21は、反射防止膜として機能する。絶縁膜21の厚みは、たとえば、0.1μmである。
【0036】
絶縁膜23は、半導体基板11の主面11bに配置されている。絶縁膜23は、主面11b上に形成されている。絶縁膜23は、たとえば、酸化膜である。本実施形態では、絶縁膜21は、酸化シリコンからなる。絶縁膜23は、たとえば、シリコン熱酸化膜である。絶縁膜23は、各半導体領域15の表面を覆っている。絶縁膜23は、テクスチャ表面TS全体を直接覆っている。絶縁膜23は、窒化シリコンからなっていてもよい。この場合、絶縁膜23は、減圧CVD(Low-pressure Chemical Vapor Deposition)により形成される。絶縁膜23は、酸化アルミニウム(Al2O3)からなっていてもよい。この場合、絶縁膜23は、ALD(Atomic Layer Deposition)により形成される。絶縁膜23の厚みは、たとえば、0.2μmである。
【0037】
絶縁膜25は、半導体基板11の主面11b上に配置されている。絶縁膜25は、絶縁膜23上に形成されている。絶縁膜25は、絶縁膜23と接触している。絶縁膜25は、たとえば、窒化膜である。本実施形態では、絶縁膜25は、窒化シリコンからなる。絶縁膜23は、半導体基板11と絶縁膜25との間に位置している。絶縁膜25は、半導体基板11上に、間接的に配置されている。絶縁膜25は、各半導体領域15の表面を間接的に覆っている。絶縁膜25は、絶縁膜23における領域17に対応する領域を直接覆っている。絶縁膜25は、テクスチャ表面TS全体を間接的に覆っている。絶縁膜25は、酸化シリコンからなっていてもよい。この場合、絶縁膜25は、たとえば、プラズマCVDにより形成される。絶縁膜25は、パッシベーション膜として機能する。絶縁膜25の厚みは、たとえば、0.1~0.4μmである。
【0038】
パッド電極31は、領域19に配置されている。本実施形態では、パッド電極31は、領域19bに配置されている。パッド電極31は、領域19b上と絶縁膜23上とに形成されている。パッド電極31は、絶縁膜23に形成されているコンタクトホールH1を通して領域19bと接続されている。パッド電極31は、領域19と絶縁膜23とに接触している。パッド電極31は、領域19b上に、直接配置されている。パッド電極31は、絶縁膜25と接触している。絶縁膜25は、パッド電極31の周縁を覆っている。パッド電極31は、導電性材料からなる。パッド電極31は、たとえば、アルミニウム(Al)からなる。この場合、パッド電極31は、スパッタ法又は蒸着法により形成される。
【0039】
パッド電極31は、
図3に示されるように、二つの電極領域31a,31bを有している。本実施形態では、パッド電極31は、二つの電極領域31a,31bからなる。電極領域31aは、領域19に配置されている。本実施形態では、電極領域31aは、領域19bに配置されている。電極領域31aは、領域19bと接触している。電極領域31aは、領域19b上に、直接配置されている。電極領域31bは、絶縁膜23における領域17に対応する領域の少なくとも一部に配置されている。電極領域31bは、絶縁膜23が領域17と電極領域31bとの間に位置するように、領域17に配置されている。電極領域31bは、電極領域31aと連続している。パッド電極31は、半導体基板11と直交する方向から見て、領域17と領域19bとの境界全体と重なっている。本実施形態では、電極領域31bは、半導体基板11と直交する方向から見て、領域19bと連続している縁領域TSaと重なっている。電極領域31bは、縁領域TSa上に、間接的に配置されている。
図3では、絶縁膜23,25の図示が省略されている。
【0040】
UBM33は、領域19に配置されている。本実施形態では、UBM33は、領域19bに配置されている。UBM33は、領域19b上と絶縁膜25上とに形成されている。UBM33は、絶縁膜25に形成されているコンタクトホールH2を通してパッド電極31と接続されている。UBM33は、パッド電極31と接触している。UBM33は、絶縁膜25と接触している。UBM33は、バンプ電極35と電気的及び物理的に接続が優れた材料からなる。UBM33は、たとえば、チタン(Ti)からなる層と白金(Pt)からなる層との積層体からなる。UBM33は、たとえば、積層蒸着法により形成される。
【0041】
バンプ電極35は、領域19に配置されている。本実施形態では、バンプ電極35は、領域19bに配置されている。バンプ電極35は、UBM33上に形成されている。バンプ電極35は、UBM33と接触している。UBM33は、パッド電極31とバンプ電極35との間に位置している。バンプ電極35は、領域19上に、間接的に配置されている。バンプ電極35は、パッド電極31上に、間接的に配置されている。バンプ電極35は、UBM33及びパッド電極31を通して、領域19b(半導体領域15)と電気的に接続されている。バンプ電極35は、はんだ材料からなる。バンプ電極35は、たとえば、インジウム(In)からなる。バンプ電極35は、たとえば、蒸着法により形成される。
【0042】
半導体光検出素子1では、半導体領域13は、バイアス電圧の印加により、完全空乏化状態とされる。すなわち、半導体領域15から広がる空乏層が、半導体領域13に到達する。半導体領域13は、完全空乏化されなくてもよい。
【0043】
次に、
図8~
図10を参照して、半導体光検出素子1の製造過程の一例を説明する。
図8~
図10は、本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子の製造過程の一例を示す模式図である。
図8~
図10では、断面を表すハッチングが省略されている。
【0044】
図8の(a)に示されるように、n型の半導体基板11が準備され、酸化膜51が主面11aに形成されると共に、酸化膜53が主面11bに形成される。酸化膜51,53は、たとえば、半導体基板11を酸素雰囲気中で加熱することにより形成される。
図8の(a)に示された状態では、半導体基板11は、半導体領域13からなり、半導体領域15及び半導体領域16を有していない。
【0045】
図8の(b)に示されるように、半導体基板11に、複数の半導体領域15及び半導体領域16が形成される。この過程により、半導体領域13と、複数の半導体領域15と、半導体領域16と、を有している半導体基板11が準備される。
半導体領域15は、以下のようにして形成される。開口53aが、酸化膜53がパターニングされることにより、酸化膜53に形成される。開口53aは、矩形状を呈している。p型不純物が、酸化膜53の開口53aを通して、主面11bから半導体基板11に添加される。添加されたp型不純物が、高温熱処理により、半導体基板11内に拡散する。半導体領域15は、主面11bから高濃度で拡散したp型不純物により形成される。上記高温熱処理により、酸化膜55が半導体領域15上に形成される(
図8の(c)を参照)。
半導体領域16は、以下のようにして形成される。n型不純物が、主面11aから半導体基板11に添加される。添加されたn型不純物が、上記高温熱処理により、半導体基板11内に拡散する。半導体領域16は、主面11aから高濃度で拡散したn型不純物により形成される。
【0046】
図8の(c)に示されるように、コンタクトホールH1が、酸化膜55がパターニングされることにより、酸化膜55に形成される。コンタクトホールH1が形成された後、窒化シリコン膜57が酸化膜51,55上に形成される。窒化シリコン膜57は、たとえば、減圧CVDにより形成される。
【0047】
図9の(a)に示されるように、酸化膜55に形成された窒化シリコン膜57と、酸化膜55とがパターニングされ、開口59が、半導体領域15の領域17に対応する位置に形成される。開口59は、たとえば、ドライエッチングにより形成される。
【0048】
図9の(b)に示されるように、テクスチャ表面TSが、半導体領域15の、開口59から露出している領域に形成される。テクスチャ表面TSは、たとえば、上述したように、ウエットエッチングにより形成される。
図9の(b)以降の図では、クロスハッチングが付されている領域が、テクスチャ表面TSが形成されている領域である。
【0049】
図9の(c)に示されるように、酸化膜61が、半導体領域15の、開口59から露出している領域に形成される。酸化膜61は、テクスチャ表面TSに形成される。酸化膜61は、たとえば、半導体基板11を酸素雰囲気中で加熱することにより形成される。酸化膜53,61が、絶縁膜23を構成する。
【0050】
図10の(a)に示されるように、窒化シリコン膜57が酸化膜51及び絶縁膜23(酸化膜53,61)上から除去される。窒化シリコン膜57の除去により、半導体領域15が、コンタクトホールH1を通して露出する。その後、パッド電極31が、半導体領域15の、コンタクトホールH1を通して露出している領域に形成される。パッド電極31は、絶縁膜23の、コンタクトホールH1周辺の領域上に位置するようにも形成される。酸化膜51は、絶縁膜21を構成する。
【0051】
図10の(b)に示されるように、絶縁膜25が絶縁膜23に形成された後、コンタクトホールH2が、絶縁膜25がパターニングされることにより、絶縁膜25に形成される。コンタクトホールH2の形成により、パッド電極31の一部が露出する。
【0052】
図10の(c)に示されるように、UBM33が、パッド電極31の、コンタクトホールH2から露出している領域に形成される。UBM33は、絶縁膜25の、コンタクトホールH2周辺の領域上に位置するようにも形成される。その後、バンプ電極35が、UBM33に形成される。これらの過程を経て、半導体光検出素子1が得られる。
【0053】
次に、
図11を参照して、半導体光検出素子1を備える電子部品装置EDの構成を説明する。
図11は、本実施形態に係る裏面入射型半導体光検出素子を備える電子部品装置の断面構成を示す図である。
【0054】
電子部品装置EDは、半導体光検出素子1と、半導体光検出素子1が実装される電子部品ECと、樹脂層RLと、を備えている。電子部品ECは、たとえば、配線基板又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んでいる。
【0055】
電子部品ECは、複数のパッド電極71、複数のUBM73、及び複数のバンプ電極75を備えている。複数のパッド電極71、複数のUBM73、及び複数のバンプ電極75は、半導体光検出素子1が備えている複数のバンプ電極35と対応する位置に配置されている。半導体光検出素子1は、互いに対応するバンプ電極35とバンプ電極75とが接合されることにより、電子部品ECに実装されている。半導体領域14と電気的に接続されている電極も、電子部品ECのバンプ電極(不図示)と接合されている。
【0056】
樹脂層RLは、半導体光検出素子1と電子部品ECとの間に配置されている。樹脂層RLは、アンダーフィル層として機能する。樹脂層RLは、半導体光検出素子1と電子部品ECとの間に形成される空間に充填された樹脂材料が硬化することにより、形成されている。樹脂層RLは、たとえば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、又はアクリル系樹脂を含んでいる。
【0057】
以上のように、半導体光検出素子1では、半導体領域15の領域17がテクスチャ表面TSを有している。長波長域の光は、短波長域の光に比して、吸収係数が小さい。したがって、主面11aから半導体基板11に入射した長波長域の光は、半導体基板11内を進み、テクスチャ表面TSに到達する。テクスチャ表面TSに到達した光は、テクスチャ表面TSで反射又は拡散し、半導体基板11内を更に進む。長波長域の光は、半導体基板11内を進む距離が長くなり、半導体基板11に吸収される。この結果、半導体光検出素子1は、長波長域での分光感度特性を向上させる。
【0058】
光が半導体基板11に吸収されることにより生じたキャリアは、半導体領域15で再結合するおそれがある。半導体領域15で再結合したキャリアは、検出感度に寄与しないため、分光感度特性が低下するおそれがある。半導体領域15の厚みが大きい場合、半導体領域15の厚みが小さい場合に比して、半導体領域15でのキャリアの再結合が生じやすい。すなわち、半導体領域15の表面からpn接合までの距離が大きい場合、半導体領域15の表面からpn接合までの距離が小さい場合に比して、半導体領域15でのキャリアの再結合が生じやすい。
半導体光検出素子1では、厚みTH1が、間隔D1より小さい。この場合、厚みTH1が、間隔D1以上である場合に比して、テクスチャ表面TSからpn接合までの距離が小さい。したがって、半導体基板11に入射した光に起因するキャリアの、半導体領域15での再結合が抑制される。この結果、半導体光検出素子1は、長波長域での分光感度特性をより一層向上させる。
【0059】
上述した製造過程では、テクスチャ領域(テクスチャ表面TS)が主面11bに形成される前に、複数の半導体領域15(複数の半導体領域152)が複数の予定領域に形成される。複数の半導体領域15が形成された後に、テクスチャ領域が形成される過程では、テクスチャ領域がpn接合に達するのを確実に防ぐ必要がある。テクスチャ領域がpn接合に達するのを確実に防ぐために、各半導体領域15の厚みを大きくすることが考えられる。しかしながら、各半導体領域15の厚みが大きい場合、上述したように、分光感度特性の向上が抑制されるおそれがある。
半導体光検出素子1の製造過程は、複数の半導体領域15が形成された後に、テクスチャ領域が形成される過程を含んでいるものの、半導体光検出素子1では、厚みTH1が間隔D1より小さい。したがって、半導体光検出素子1は、分光感度特性の向上を抑制し難い。
【0060】
半導体基板11に応力が作用した場合、光の入射に起因しないキャリアが生じるおそれがある。光の入射に起因しないキャリアは、暗電流を生じさせる。領域19には、領域17に比して、応力が作用しやすく、光の入射に起因しないキャリアが生じやすい。
半導体光検出素子1では、厚みTH2が、厚みTH3より大きい。したがって、半導体光検出素子1では、厚みTH2が厚みTH3以下である構成に比して、領域19では、光の入射に起因しないキャリアの再結合が生じやすい。この結果、半導体光検出素子1は、暗電流の発生を抑制する。
【0061】
半導体光検出素子1では、パッド電極31が、領域19(領域19b)と接触する。パッド電極31と半導体基板11とが接触している場合、パッド電極31を構成する材料(Al)と半導体基板11を構成する材料(Si)とが合金化して、半導体基板11にアロイスパイクが生じるおそれがある。アロイスパイクがpn接合に到達すると、アロイスパイクは、漏れ電流を増大させる。
半導体光検出素子1では、厚みTH2が、厚みTH3より大きいので、厚みTH2が厚みTH3以下である構成に比して、アロイスパイクはpn接合に到達し難い。したがって、半導体光検出素子1は、漏れ電流の増大を抑制する。
【0062】
半導体光検出素子1では、テクスチャ表面TSは、半導体基板11の厚み方向で、領域19の表面より主面11a寄りに位置している。すなわち、テクスチャ表面TSは、仮想平面VPより主面11a寄りに位置している。この場合、領域17には応力が作用し難い。したがって、領域17では、光の入射に起因しないキャリアの発生が抑制される。この結果、半導体光検出素子1は、暗電流の発生を抑制する。半導体光検出素子1では、上述した製造過程のように、半導体領域15にテクスチャ表面TSが形成される場合、テクスチャ表面TSからpn接合までの距離がより一層小さくなる。したがって、半導体光検出素子1は、長波長域での分光感度特性をより一層向上させる。
【0063】
半導体光検出素子1は、バンプ電極35を介して電子部品ECに実装される。したがって、半導体光検出素子1が電子部品ECに実装される際に、領域19(領域19b)に応力が作用する。テクスチャ表面TSが、仮想平面VPより主面11a寄りに位置しているので、半導体光検出素子1が電子部品ECに実装される場合でも、領域17には、応力が作用し難い。したがって、領域17では、光の入射に起因しないキャリアの発生が抑制される。半導体光検出素子1は、暗電流の発生をより一層抑制する。
【0064】
半導体光検出素子1が電子部品ECに実装される際に、バンプ電極35(又はバンプ電極75)が潰れた場合、潰れたバンプ電極35(又はバンプ電極75)が半導体光検出素子1のバンプ電極35以外の部位(たとえば、配線又はテクスチャ表面TS)と物理的に干渉するおそれがある。バンプ電極35(又はバンプ電極75)が他の配線と物理的に干渉した場合には、バンプ電極35(又はバンプ電極75)と他の配線とが短絡するおそれがある。バンプ電極35(又はバンプ電極75)がテクスチャ表面TSと物理的に干渉した場合には、テクスチャ表面TSが物理的なダメージを受けて、長波長域での分光感度特性が悪影響を受けるおそれがある。
半導体光検出素子1では、テクスチャ表面TSが、仮想平面VPより主面11a寄りに位置している。テクスチャ表面TSと領域19の表面とで段差が形成される。したがって、半導体光検出素子1が電子部品ECに実装される際に、潰れたバンプ電極35(又はバンプ電極75)が半導体光検出素子1のバンプ電極35以外の部位と干渉し難い。半導体光検出素子1は、バンプ電極35(又はバンプ電極75)と他の配線との短絡の発生を抑制すると共に、長波長域での分光感度特性が受ける悪影響を抑制する。
【0065】
バンプ電極35を形成する際に、バンプ電極35を形成する装置がテクスチャ表面TSと物理的に干渉するおそれがある。バンプ電極35を形成する装置がテクスチャ表面TSと物理的に干渉した場合、テクスチャ表面TSが物理的なダメージを受けて、長波長域での分光感度特性が悪影響を受けるおそれがある。
半導体光検出素子1では、テクスチャ表面TSが、仮想平面VPより主面11a寄りに位置している。したがって、バンプ電極35を形成する装置がテクスチャ表面TSと物理的に干渉し難い。半導体光検出素子1は、バンプ電極35を形成する際に、長波長域での分光感度特性が受ける悪影響を抑制する。
【0066】
半導体光検出素子1では、テクスチャ表面TSの縁領域TSaは、領域19(領域19a,19b)の表面と連続していると共に、半導体基板11の厚み方向に対して傾斜している。テクスチャ表面TSが、仮想平面VPより主面11a寄りに位置している場合、領域19には、応力がより一層作用しやすい。
半導体光検出素子1では、縁領域TSaが半導体基板の厚み方向と平行である構成に比して、領域19に作用する応力が分散されやすい。したがって、領域19に応力が作用する場合でも、領域19への応力の集中が抑制される。半導体光検出素子1は、光の入射に起因しないキャリアの発生を抑制する。この結果、半導体光検出素子1は、暗電流の発生をより一層抑制する。
【0067】
半導体光検出素子1では、領域19(領域19a,19b)は、テクスチャ表面TSを有していない。半導体光検出素子1では、領域19がテクスチャ表面TSを有している構成に比して、領域19(領域19b)へのパッド電極31の形成が容易である。
【0068】
テクスチャ表面TSの表面に達した光は、上述したように、テクスチャ表面TSで反射又は散乱する。テクスチャ表面TSで反射又は散乱した光は、平坦な表面で反射した光に比して、半導体基板11の厚み方向と交差する様々な方向に進む。したがって、テクスチャ表面TSで反射又は拡散した光が隣接する画素に進み、画素間でのクロストークが生じるおそれがある。クロストークは、ノイズの要因となる。
半導体光検出素子1では、テクスチャ表面TSは、半導体領域15毎に設けられている。テクスチャ表面TSは、主面11bの、半導体領域15以外の領域には設けられていない。テクスチャ表面TSが半導体領域15毎に設けられている構成は、テクスチャ表面TSが主面11b全体に設けられている構成に比して、クロストークの発生を制限する。したがって、半導体光検出素子1は、クロストークの発生を抑制する。
【0069】
半導体光検出素子1では、パッド電極31は、電極領域31aと、電極領域31bと、を有している。電極領域31aは、領域19(領域19b)に配置されている。電極領域31bは、領域17との間に絶縁膜23が位置するように領域17に配置されている。電極領域31aと、電極領域31bとは、連続している。すなわち、パッド電極31は、領域19bと領域17とにわたるように配置されている。この構成では、パッド電極31の面積は、パッド電極31が領域19bのみに配置されている構成に比して、大きい。UBM33及びバンプ電極35は、面積が大きいパッド電極31に配置される。したがって、半導体光検出素子1は、半導体領域15(領域19)とバンプ電極35との電気的接続の確実性及び安定性を向上させる。
【0070】
テクスチャ表面TS(領域17)の面積が大きい構成は、テクスチャ表面TS(領域17)の面積が小さい構成に比して、長波長域での分光感度特性を向上させる。したがって、長波長域での分光感度特性を向上するために、領域17の面積はできるだけ大きく、領域19(領域19b)の面積はできるだけ小さいことが求められる。
【0071】
パッド電極31は、コンタクトホールH1を通して、領域19bと接触する。コンタクトホールH1を容易に形成するために、コンタクトホールH1は、絶縁膜23の、領域19b上に位置している領域に形成される。領域19bの表面が平坦であるため、コンタクトホールH1は、絶縁膜23に容易に形成される。パッド電極31がコンタクトホールH1からずれて形成された場合、コンタクトホールH1を通して、領域19bが露出する。この場合、耐圧特性の劣化及び信頼性の低下が生じるおそれがある。したがって、パッド電極31の面積は、コンタクトホールH1の形成位置の精度、及び、パッド電極31の形成位置の精度を考慮して設定される。この結果、パッド電極31の面積は、大きくならざるを得ない。
【0072】
パッド電極31が電極領域31bを有していない構成では、パッド電極31と領域17とが、主面11bと直交する方向から見て、重ならない。この構成では、パッド電極31の面積を確保するために、領域19bの面積を拡大する必要があり、領域17の面積の縮小が求められる。したがって、パッド電極31が電極領域31bを有していない構成は、長波長域での分光感度特性を向上させ難い。
半導体光検出素子1では、パッド電極31が、電極領域31bを有している。すなわち、パッド電極31と領域17との少なくとも一部同士が、主面11bと直交する方向から見て、重なっている。したがって、パッド電極31の面積が確保される場合でも、半導体光検出素子1は、長波長域での分光感度特性を向上させる。
【0073】
半導体光検出素子1では、絶縁膜25がパッド電極31の周縁を覆っている。したがって、絶縁膜25は、パッド電極31の剥がれを抑制する。絶縁膜25は、バンプ電極35の材料成分がパッド電極31と絶縁膜23との界面から侵入するのを抑制する。絶縁膜25は、漏れ電流及び短絡の発生を抑制する。
【0074】
半導体光検出素子1では、絶縁膜25は、絶縁膜23における領域17に対応する領域を覆っている。絶縁膜23と絶縁膜25とにより構成される積層膜が、テクスチャ表面TS全体を覆っている。絶縁膜23の厚み及び絶縁膜25の厚みが所望の値に設定されることにより、積層膜(絶縁膜23,25)は、高反射膜を構成し得る。積層膜(絶縁膜23,25)が高反射膜を構成する構成では、長波長域での分光感度特性がより一層向上する。
【0075】
絶縁膜23は、酸化膜であり、絶縁膜25は、窒化膜である。したがって、積層膜(絶縁膜23,25)は、簡易に高反射膜を構成し得る。
絶縁膜23がシリコン熱酸化膜である場合、絶縁膜23が形成される過程の熱処理により、テクスチャ表面TSの凹凸が滑らかになる。テクスチャ表面TSの凹凸が滑らかである場合、パッド電極31を含むメタル配線の形成プロセスが容易である。
【0076】
次に、
図12及び
図13を参照して、上述した実施形態の第一変形例に係る半導体光検出素子1の構成を説明する。
図12は、第一変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
図13は、第一変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
図13では、絶縁膜23,25の図示が省略されている。
図13では、テクスチャ表面TSである領域を容易に理解するために、当該領域にハッチングが付されている。第一変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じであるが、第一変形例は、半導体基板11の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と第一変形例との相違点を主として説明する。
【0077】
半導体基板11は、第一導電型の半導体領域20を有している。半導体領域20は、半導体基板11の主面11b側に配置されている。半導体領域20は、高不純物濃度である。半導体領域20の不純物濃度は、たとえば、1×1018cm-3である。半導体領域20の厚みは、たとえば、1.5μmである。半導体領域20は、主面11bと直交している方向から見て、格子形状を呈している。半導体領域20は、主面11bと直交している方向から見て、第一方向で隣り合う半導体領域15の間に位置していると共に、第二方向で隣り合う半導体領域15の間に位置している。半導体領域20は、半導体領域14と連続している。半導体領域20は、チャネルストップ層として機能し、画素間での空乏層の拡がりを抑制する。半導体領域20は、主面11bと直交している方向から見て、複数の領域に分割されていてもよい。
【0078】
半導体光検出素子1は、複数のパッド電極41、複数のUBM(under-bump metal)43、及び複数のバンプ電極45を備えている。
各パッド電極41は、半導体領域20に配置されている。各パッド電極41は、主面11bと直交している方向から見て、所定間隔毎に配置されている。パッド電極41は、絶縁膜23上に形成されている。パッド電極41は、絶縁膜23に形成されているコンタクトホールを通して半導体領域20と接続されている。パッド電極41は、半導体領域20と絶縁膜23とに接触している。パッド電極41は、半導体領域20上に、直接配置されている。パッド電極41は、絶縁膜25と接触している。絶縁膜25は、パッド電極41の周縁を覆っている。パッド電極41は、導電性材料からなる。パッド電極41は、たとえば、アルミニウムからなる。この場合、パッド電極41は、スパッタ法又は蒸着法により形成される。
【0079】
UBM43は、半導体領域20に配置されている。UBM43は、半導体領域20上と絶縁膜25上とに形成されている。UBM43は、絶縁膜25に形成されているコンタクトホールを通してパッド電極41と接続されている。UBM43は、パッド電極41と接触している。UBM43は、絶縁膜25と接触している。UBM43は、バンプ電極45と電気的及び物理的に接続が優れた材料からなる。UBM43は、たとえば、チタンからなる層と白金からなる層との積層体からなる。UBM43は、たとえば、積層蒸着法により形成される。
【0080】
バンプ電極45は、半導体領域20に配置されている。バンプ電極45は、UBM43上に形成されている。バンプ電極45は、UBM43と接触している。UBM43は、パッド電極41とバンプ電極45との間に位置している。バンプ電極45は、半導体領域20上に、間接的に配置されている。バンプ電極45は、パッド電極41上に、間接的に配置されている。バンプ電極45は、UBM43及びパッド電極41を通して、半導体領域20と電気的に接続されている。バンプ電極45は、はんだ材料からなる。バンプ電極45は、たとえば、インジウム(In)からなる。バンプ電極45は、たとえば、蒸着法により形成される。
【0081】
次に、
図14を参照して、第一変形例に係る半導体光検出素子1を備える電子部品装置EDの構成を説明する。
図14は、第一変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子を備える電子部品装置の断面構成を示す図である。
【0082】
電子部品装置EDは、第一変形例に係る半導体光検出素子1と、電子部品ECと、を備えている。電子部品ECは、複数のパッド電極71、複数のUBM73、及び複数のバンプ電極75を備えている。複数のパッド電極71、複数のUBM73、及び複数のバンプ電極75は、半導体光検出素子1が備えている複数のバンプ電極35,45と対応する位置に配置されている。半導体光検出素子1は、互いに対応するバンプ電極35,45とバンプ電極75とが接合されることにより、電子部品ECに実装されている。
【0083】
次に、
図15及び
図16を参照して、上述した実施形態の第二変形例に係る半導体光検出素子1の構成を説明する。
図15は、第二変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
図16は、第二変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
図16では、絶縁膜23,25の図示が省略されている。
図16では、テクスチャ表面TSである領域を容易に理解するために、当該領域にハッチングが付されている。第二変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じであるが、第二変形例は、半導体基板11の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と第二変形例との相違点を主として説明する。
【0084】
半導体基板11には、各画素を互いに隔てるように、トレンチTRが形成されている。トレンチTRは、主面11bに開口している。トレンチTRは、主面11bと直交している方向から見て、半導体領域20を分断するように形成されている。トレンチTRは、主面11bと直交している方向から見て、第一方向で隣り合う半導体領域15の間を通ると共に第二方向で隣り合う半導体領域15の間を通るように、格子状に形成されている。トレンチTRの開口の幅は、たとえば、5μmである。トレンチTRの深さは、厚みTH2より大きい。トレンチTRの深さは、たとえば、50μmである。トレンチTRは、たとえば、反応性イオンエッチング(RIE)により形成される。トレンチTRは、主面11bと直交している方向から見て、不連続に形成されていてもよい。この場合、たとえば、主面11bと直交している方向から見て第一方向に延在する複数のトレンチと、主面11bと直交している方向から見て第二方向に延在する複数のトレンチとが、半導体基板11に形成される。
【0085】
トレンチTRの内面(具体的には、側面及び底面)には、絶縁膜23が形成されている。絶縁膜23は、主面11b上からトレンチTR内に至っている。トレンチTRの内面形成された絶縁膜23には、絶縁膜25が形成されている。絶縁膜25は、主面11b上に位置する絶縁膜23上からトレンチTR内に至っている。トレンチTR内には、埋め込み層が配置されていてもよい。埋め込み層は、たとえば、金属からなる。この場合、埋め込み層(金属層)は、たとえば、CVD又は電解めっきにより形成される。
【0086】
トレンチTRは、テクスチャ表面TSで反射又は拡散した光が隣接する画素に進むのを抑制する。したがって、第二変形例は、クロストークの発生をより一層抑制する。トレンチTRは、キャリアが隣接する画素間を移動するのも抑制する。
【0087】
第二変形例に係る半導体光検出素子1は、
図11に示されるように、電子部品ECに実装されてもよい。この場合、電子部品装置EDは、第二変形例に係る半導体光検出素子1と、電子部品ECと、を備える。
【0088】
次に、
図17及び
図18を参照して、上述した実施形態の第三変形例に係る半導体光検出素子1の構成を説明する。
図17は、第三変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
図18は、第三変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
図18では、絶縁膜23,25の図示が省略されている。
図18では、テクスチャ表面TSである領域を容易に理解するために、当該領域にハッチングが付されている。第三変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じであるが、第三変形例は、パッド電極31の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と第三変形例との相違点を主として説明する。
【0089】
パッド電極31は、半導体基板11と直交する方向から見て、半導体領域15全体を覆うように配置されている。電極領域31bは、絶縁膜23における領域17に対応する領域全体上に、間接的に配置されている。電極領域31bは、半導体基板11と直交する方向から見て、領域19(領域19a,19b)と連続している縁領域TSa全体と重なっている。パッド電極31は、半導体基板11と直交する方向から見て、領域17と領域19との境界全体と重なっている。パッド電極31は、半導体領域15全体上に、間接的に配置されている。
【0090】
パッド電極31がAlからなる場合には、パッド電極31が、パッド電極31に達した光(たとえば、近赤外光)を吸収するおそれがある。パッド電極31での光の吸収は、長波長域での分光感度特性を低下させる。
半導体光検出素子1では、テクスチャ表面TSに配置されている絶縁膜23,25が、絶縁膜23,25に達した光を反射又は拡散させる。したがって、絶縁膜23,25を透過する光が減少する。この結果、半導体光検出素子1は、長波長域での分光感度特性の低下を抑制する。
【0091】
次に、
図19及び
図20を参照して、上述した実施形態の第四及び第五変形例に係る半導体光検出素子1の構成を説明する。
図19は、第四変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
図20は、第五変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
図19及び
図20では、絶縁膜23,25の図示が省略されている。
図19及び
図20では、テクスチャ表面TSである領域を容易に理解するために、当該領域にハッチングが付されている。第四及び第五変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じであるが、第四変形例は、半導体領域15の構成に関して、上述した実施形態と相違し、第五変形例は、半導体領域15及びパッド電極31の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と第四及び第五変形例との相違点を主として説明する。
【0092】
領域19bは、
図19に示されるように、半導体基板11と直交する方向から見て、半導体領域15の中央に位置している。領域19bは、領域19aと離間している。領域17(テクスチャ表面TS)は、半導体基板11と直交する方向から見て、領域19aと領域19bとの間に位置している。電極領域31bは、半導体基板11と直交する方向から見て、領域19bと連続している縁領域TSa全体と重なっている。パッド電極31は、半導体基板11と直交する方向から見て、領域17と領域19bとの境界全体と重なっている。
【0093】
図20に示されるように、領域19bは、第四変形例と同じく、半導体基板11と直交する方向から見て、半導体領域15の中央に位置している。パッド電極31は、第三変形例と同じく、半導体基板11と直交する方向から見て、半導体領域15全体を覆うように配置されている。電極領域31bは、半導体基板11と直交する方向から見て、領域19aと連続している縁領域TSa全体と、領域19bと連続している縁領域TSa全体とに重なっている。パッド電極31は、半導体基板11と直交する方向から見て、領域17と領域19aとの境界全体と、領域17と領域19bとの境界全体とに重なっている。
【0094】
領域19bが半導体領域15の中央に位置している構成では、領域19bが半導体領域15の一つの角に位置している構成に比して、キャリアの移動距離が短く、光が入射してから信号が出力されるまでの時間が短い。したがって、第四及び第五変形例の各半導体光検出素子1は、応答速度を向上させる。
【0095】
次に、
図21を参照して、上述した実施形態の第六変形例に係る半導体光検出素子1の構成を説明する。
図21は、第六変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の構成を示す平面図である。
図21では、絶縁膜23,25の図示が省略されている。
図21では、テクスチャ表面TSである領域を容易に理解するために、当該領域にハッチングが付されている。第六変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じであるが、第六変形例は、半導体領域15の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と第六変形例との相違点を主として説明する。
【0096】
領域17と領域19bとは、半導体基板11と直交する方向から見て、第一方向で隣り合っている。領域17及び領域19a,19bは、半導体基板11と直交する方向から見て、矩形状を呈している。領域19bは、領域19aの外側に位置している。領域19aの縁を構成する一辺と、領域19bの縁を構成する一辺とが、接している。半導体基板11と直交する方向から見て、領域19bの面積は、領域19aの面積より小さい。パッド電極31は、領域17(テクスチャ表面TS)上には位置していない。半導体基板11と直交する方向から見て、パッド電極31は、テクスチャ表面TSと重なっていない。第六変形例では、半導体基板11が半導体領域20を有しているが、半導体基板11が半導体領域20を有していなくてもよい。領域17と領域19bとは、半導体基板11と直交する方向から見て、第二方向で隣り合っていてもよい。
【0097】
次に、
図22及び
図23を参照して、上述した実施形態の第七変形例に係る半導体光検出素子1の構成を説明する。
図22は、第七変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の断面構成を示す図である。
図23は、一画素の断面構成を示す図である。
図23では、断面を表すハッチングが省略されている。第七変形例は、概ね、上述した実施形態と類似又は同じであるが、第七変形例は、半導体領域15の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と第七変形例との相違点を主として説明する。
【0098】
半導体領域15の領域17は、テクスチャ表面TSに沿って形成されている。領域17と半導体領域13との境界面は、テクスチャ表面TSの凹凸形状に対応した凹凸形状を呈している。領域17と半導体領域13との境界面は、たとえば、テクスチャ表面TSの凹凸形状より緩やかな凹凸形状を呈している。半導体領域15の領域19は、主面11bに沿って形成されている。半導体基板11の厚み方向での領域19の厚みTH2と、半導体基板11の厚み方向での領域17の厚みTH3とは、同等である。領域17は、上述したように、テクスチャ表面TSに沿って形成されている。したがって、厚みTH3は、テクスチャ表面TSの凹凸に応じて変化し難い。第七変形例では、厚みTH3は、たとえば、略一定である。テクスチャ表面TSの窪みの最深位置での領域17の厚みTH1は、厚みTH2及び厚みTH3と同等である。厚みTH1、厚みTH2、及び厚みTH3は、たとえば、0.5μmである。
【0099】
半導体基板11は、第一変形例と同じく、半導体領域20を有していてもよい。半導体基板11には、第二変形例と同じく、トレンチTRが形成されていてもよい。パッド電極31は、第三変形例と同じく、半導体領域15全体を覆うように配置されていてもよい。領域19bは、第四及び第五変形例と同じく、半導体基板11と直交する方向から見て、半導体領域15の中央に位置していてもよい。領域17と領域19bとは、第六変形例と同じく、半導体基板11と直交する方向から見て、第一方向又は第二方向で隣り合っていてもよい。
【0100】
次に、
図24及び
図25を参照して、第七変形例に係る半導体光検出素子1の製造過程の一例を説明する。
図24及び
図25は、第七変形例に係る裏面入射型半導体光検出素子の製造過程の一例を示す模式図である。
図24及び
図25では、断面を表すハッチングが省略されている。以下、上述した実施形態での製造過程と第七変形例での製造過程との相違点を主として説明する。
【0101】
酸化膜51が主面11aに形成されていると共に酸化膜53が主面11bに形成されている半導体基板11が準備される(
図9の(a)を参照)。すなわち、半導体領域13を有している半導体基板11が準備される。半導体基板11は、複数の半導体領域15を形成する複数の予定領域PRを主面11b側に有している。
図24及び
図25では、一つの予定領域PRのみが図示されている。
【0102】
図24の(a)に示されるように、半導体基板11に、複数の半導体領域15
1及び半導体領域16が形成される。各半導体領域15
1は、複数の予定領域PRのうち対応する予定領域PRに形成される。半導体領域15
1は、上述した実施形態での半導体領域15の形成過程と同じ過程により形成される。半導体領域15
1は、主面11bから高濃度で拡散したp型不純物により形成される。半導体領域16は、上述した実施形態での半導体領域16の形成過程と同じ過程により形成される。
【0103】
図24の(b)に示されるように、コンタクトホールH1、窒化シリコン膜57、及び開口59のそれぞれが、上述した実施形態での各形成過程と同じ過程により形成される。
【0104】
図24の(c)に示されるように、テクスチャ表面TSが、上述した実施形態での各形成過程と同じ過程により、半導体領域15
1の、開口59から露出している領域に形成される。すなわち、複数のテクスチャ領域が、主面11bのうち、上述した複数の予定領域PRに含まれる面に形成される。テクスチャ領域は、表面がテクスチャ表面TSである領域である。テクスチャ表面TSの形成により、半導体領域15
1の、開口59から露出している領域が除去される。半導体領域15
1の、開口59から露出している領域は、必ずしも完全に除去される必要はなく、当該領域の一部が残っていてもよい。
図24の(c)以降の図では、クロスハッチングが付されている領域が、テクスチャ表面TSが形成されている領域である。
【0105】
図25の(a)に示されるように、半導体基板11に、複数の半導体領域15
2が形成される。半導体領域15
2は、テクスチャ表面TSに沿って形成される。すなわち、半導体領域15
2は、テクスチャ領域の表面形状に沿って形成される。各半導体領域15
2は、複数の予定領域PRのうち対応する予定領域PRに形成される。半導体領域15
2は、上述した実施形態での半導体領域15の形成過程と同じ過程により形成される。半導体領域15
2は、主面11bから高濃度で拡散したp型不純物により形成される。p型不純物は、半導体基板11の厚み方向と直交する方向にも拡散する。したがって、半導体領域15
2は、半導体領域15
1と連続して形成される。半導体領域15
2と半導体領域15
1とは、一体化して、半導体領域15を構成する。半導体領域15
2は、領域17を構成する。半導体領域15
1は、領域19を構成する。すなわち、この過程により、複数の半導体領域15が、半導体基板11に形成される。半導体領域15
2を形成するための高温熱処理により、酸化膜61がテクスチャ表面TS上に形成される(
図25の(b)を参照)。酸化膜53,61が、絶縁膜23を構成する。
【0106】
図25の(b)に示されるように、窒化シリコン膜57が酸化膜51及び絶縁膜23(酸化膜53,61)上から除去される。窒化シリコン膜57の除去により、半導体領域15(半導体領域15
1)が、コンタクトホールH1を通して露出する。その後、
図25の(c)に示されるように、パッド電極31、絶縁膜25、UBM33、及びバンプ電極35のそれぞれが、上述した実施形態での各形成過程と同じ過程により形成される。これらの過程を経て、第七変形例に係る半導体光検出素子1が得られる。酸化膜51は、絶縁膜21を構成する。
【0107】
半導体領域15
2の不純物濃度は、たとえば、
図26に示されるように、表面からの深さ(半導体基板11の厚み方向での、テクスチャ表面TSからの距離)に対して変化する。
図26は、不純物濃度の分布を示す線図である。
図26では、図示の都合上、テクスチャ表面TSと、半導体領域15
2と半導体領域13との界面とが、平坦として示されているが、実際には、テクスチャ表面TSと、半導体領域15
2と半導体領域13との界面とは、上述したように、微細な凹凸を呈している。
【0108】
半導体領域152の不純物濃度も、所定深さ位置までは高い状態が続き、所定深さ位置から主面11aに向かうにしたがって徐々に低下する。半導体領域152は、不純物濃度の分布にしたがって、領域R1と領域R2とを有している。すなわち、第七変形例では、領域17は、領域R1と領域R2とを有している。半導体領域152(領域17)では、領域R2が占有する割合が、領域R1が占有する割合より大きい。第七変形例では、テクスチャ表面TSの窪みの最深位置は、領域R1の厚み分、半導体領域15の不純物濃度が低下し始める領域から離れている。第七変形例では、上記所定深さは、たとえば、約0.45μmである。
【0109】
第七変形例での製造過程では、テクスチャ領域が主面11bに形成された後に、複数の半導体領域15(複数の半導体領域152)が複数の予定領域PRに形成される。複数の半導体領域15が形成された後に、テクスチャ領域(テクスチャ表面TS)が形成される過程では、テクスチャ領域がpn接合に達するのを確実に防ぐために、各半導体領域15の厚みを大きくせざるを得ない。したがって、テクスチャ領域が形成された後に、複数の半導体領域15が形成される過程では、複数の半導体領域15が形成された後に、テクスチャ領域が形成される過程に比して、各半導体領域15の厚みが小さくされ得る。この結果、第七変形例に係る半導体光検出素子1は、長波長域での分光感度特性をより一層向上させ得る。
【0110】
第七変形例での製造過程では、半導体領域152(領域17)が、テクスチャ領域の表面形状に沿って形成される。この場合、半導体領域152(領域17)の厚みがより一層小さくされ得る。したがって、半導体光検出素子1は、長波長域での分光感度特性を確実により一層向上させ得る。
【0111】
第七変形例での製造過程では、半導体領域152(領域17)は、予定領域PR内にp型不純物が添加されることにより形成される。この場合、既存の手法を利用して、半導体領域152が簡易に形成される。
【0112】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0113】
テクスチャ表面TSは、半導体基板11の厚み方向で、領域19の表面より主面11a寄りに位置していなくてもよい。すなわち、テクスチャ表面TSは、仮想平面VPより主面11a寄りに位置していなくてもよい。たとえば、テクスチャ表面TSの頂が、仮想平面VPと同じ位置であってもよい。テクスチャ表面TSは、仮想平面VPより主面11a寄りに位置している場合、上述したように、半導体光検出素子1は、暗電流の発生を抑制する。
縁領域TSaは、領域19の表面と連続していなくてもよい。たとえば、縁領域TSaは、領域17と領域19とで形成される段差から離間していてもよい。たとえば、テクスチャ表面TSを有していない領域が、領域17と領域19とで形成される段差と、縁領域TSaとの間に位置していてもよい。この場合、たとえば、半導体基板11と直交する方向から見て、縁領域TSaの全体が、テクスチャ表面TSを有していない領域に囲まれていてもよい。領域17は、たとえば、テクスチャ表面TSを有していない領域を有していてもよい。
縁領域TSaは、半導体基板の厚み方向と略平行であってもよい。縁領域TSaが、半導体基板11の厚み方向に対して傾斜している場合、上述したように、半導体光検出素子1は、暗電流の発生をより一層抑制する。
バンプ電極35は、パッド電極31上に、直接配置されていてもよい。この場合、半導体光検出素子1は、UBM33を備えていない。
【0114】
本明細書は、以下の付記を開示する。
(付記1)
互いに対向している第一主面と第二主面とを有している半導体基板を備え、
前記半導体基板は、第一導電型の第一半導体領域と、前記第二主面側に形成されていると共に前記第一半導体領域とでpn接合を構成する第二導電型の複数の第二半導体領域と、を有し、
前記複数の第二半導体領域それぞれは、テクスチャ表面を有している第一領域と、第二領域と、を有し、
前記テクスチャ表面の窪みの最深位置での前記第一領域の厚みは、前記半導体基板の厚み方向での、前記第二領域の表面と前記最深位置との間隔より小さく、
前記第一主面が前記半導体基板への光入射面である、裏面入射型半導体光検出素子。
(付記2)
前記半導体基板の前記厚み方向での前記第二領域の厚みは、前記半導体基板の前記厚み方向での前記第一領域の厚みより大きい、付記1に記載の裏面入射型半導体光検出素子。
(付記3)
前記第二領域に配置されていると共に、前記第二領域と接触している電極を更に備えている、付記2に記載の裏面入射型半導体光検出素子。
(付記4)
前記第一領域の前記テクスチャ表面は、前記半導体基板の厚み方向で、前記第二領域の前記表面よりも前記第一主面寄りに位置している、付記1~3のいずれか一つに記載の裏面入射型半導体光検出素子。
(付記5)
前記第一領域の前記テクスチャ表面の縁領域は、前記第二領域の前記表面と連続していると共に、前記半導体基板の前記厚み方向に対して傾斜している、付記4に記載の裏面入射型半導体光検出素子。
(付記6)
前記第二領域は、テクスチャ表面を有していない、付記1~5のいずれか一つに記載の裏面入射型半導体光検出素子。
付記1の実施形態では、第二領域は、凹凸が形成されている表面を有していてもよい。第二領域は、たとえば、テクスチャ表面を有していてもよい。第二領域は、たとえば、テクスチャ表面とは異なる態様の凹凸が形成された表面を有していてもよい。
第二領域が、凹凸が形成されている表面を有している場合、第二領域の表面の位置は、以下のように規定してもよい。
第二領域の表面の位置は、全ての窪みのうち、最も深い窪みの最深位置であってもよい。第二領域の表面の位置は、全ての窪みのうち、最も浅い窪みの最深位置であってもよい。第二領域の表面の位置は、全ての窪みのうち、任意の一つの窪みの最深位置であってもよい。第二領域の表面の位置は、全ての窪みの最深位置の平均位置であってもよい。
第二領域の表面の位置は、全ての頂のうち、最も高い頂で規定してもよい。第二領域の表面の位置は、全ての頂のうち、最も低い頂で規定してもよい。第二領域の表面の位置は、全ての頂のうち、任意の一つの頂で規定してもよい。第二領域の表面の位置は、全ての頂の平均高さ位置であってもよい。
第二領域が、凹凸が形成されている表面を有している場合、第二領域の厚みは、表面の凹凸に応じて変化する。この場合、第二領域の厚みは、第二領域の最大厚みであってもよく、第二領域の最小厚みであってもよい。第二領域の厚みは、第二領域の平均厚みであってもよい。
第一領域でのテクスチャ表面の窪みの最深位置と、第一領域の厚みとは、上述した実施形態と同様に規定してもよい。
付記1の実施形態では、第二領域は、凹凸が形成されている表面と、平坦な表面とを有していてもよい。この場合、第二領域の表面の位置は、凹凸が形成されている表面で規定してもよく、平坦な表面で規定してもよい。第二領域の表面の位置は、凹凸が形成されている表面と平坦な表面との平均高さ位置であってもよい。
【0115】
本明細書は、以下の付記も開示する。
(付記7)
互いに対向している第一主面と第二主面とを有している半導体基板を備え、
前記半導体基板は、第一導電型の第一半導体領域と、前記第二主面側に形成されていると共に前記第一半導体領域とでpn接合を構成する第二導電型の複数の第二半導体領域と、を有し、
前記複数の第二半導体領域それぞれは、テクスチャ表面を有しており、
前記テクスチャ表面の窪みの最深位置での前記第二半導体領域の厚みは、前記半導体基板の厚み方向での、前記テクスチャ表面の頂と前記最深位置との距離より小さく、
前記第一主面が前記半導体基板への光入射面である、裏面入射型半導体光検出素子。
付記7の実施形態では、最深位置は、以下のように規定してもよい。
最深位置は、全ての窪みのうち、最も深い窪みの最深位置であってもよい。最深位置は、全ての窪みのうち、最も浅い窪みの最深位置であってもよい。最深位置は、全ての窪みのうち、任意の一つの窪みの最深位置であってもよい。最深位置は、全ての窪みの最深位置の平均位置であってもよい。
付記7の実施形態では、テクスチャ表面の頂は、以下のように規定してもよい。
テクスチャ表面の頂は、全ての頂のうち、最も高い頂であってもよい。テクスチャ表面の頂は、全ての頂のうち、最も低い頂であってもよい。テクスチャ表面の頂は、全ての頂のうち、任意の一つの頂であってもよい。テクスチャ表面の頂は、全ての頂の平均位置であってもよい。
付記7の実施形態では、半導体基板の厚み方向での、テクスチャ表面の頂と最深位置との距離は、以下のように規定してもよい。
上記距離は、凹凸の高低差の最大値であってもよく、凹凸の高低差の最小値であってもよい。上記距離は、テクスチャ表面での任意の位置における、凹凸の高低差であってもよい。上記距離は、凹凸の高低差の平均値であってもよい。
付記7の実施形態では、各第二半導体領域の表面全体が、テクスチャ表面であってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…裏面入射型半導体光検出素子、11…半導体基板、11a,11b…主面、13,15…半導体領域、17…テクスチャ表面を有している領域、19…テクスチャ表面を有していない領域、31…パッド電極、D1…テクスチャ表面を有していない領域の表面とテクスチャ表面の窪みの最深位置との間隔、TH1…テクスチャ表面の窪みの最深位置での厚み、TH2…半導体基板の厚み方向でのテクスチャ表面を有していない領域の厚み、TH3…半導体基板の厚み方向でのテクスチャ表面を有している領域の厚み、TS…テクスチャ表面、TSa…テクスチャ表面の縁領域。