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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】コンプライアントフォイルラジアル軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 27/02 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
F16C27/02 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022504325
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2019057313
(87)【国際公開番号】W WO2020192874
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521436739
【氏名又は名称】ブラドン ジェッツ ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パイ,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ニンマ,ヴァスデヴァ
(72)【発明者】
【氏名】へワード,フィリップ
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-087789(JP,A)
【文献】米国特許第05116143(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプライアントフォイルラジアル軸受であって、
それを通過して画成されたボアを具備するブッシングと、
前記ボアの半径方向内面に適合するように配列されたスプリングフォイルと、
ローターを回転可能に受けるための前記スプリングフォイルの半径方向内面に適合するように配列された流体フォイルと、を具備し、
前記スプリングフォイルは、前記ボアの前記半径方向内面の外側で、軸方向及び半径方向に延伸するように配列された1つ以上の保持部分を具備し、
前記スプリングフォイルは、1つ以上の軸方向に配向されたストリップを具備し、
隣接するストリップは、前記1つ以上の保持部分により結合される、コンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項2】
前記1つ以上の保持部分は、ループ形状で提供される、請求項に記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項3】
前記ストリップは、周方向に湾曲する、請求項1又は2に記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項4】
前記1つ以上のストリップと流体フォイルは、各ストリップが、第1及び第2の軸方向に配向されたブッシングの接触領域で、前記ブッシングの前記半径方向内面に接触し、前記第1及び第2の軸方向に配向されたブッシングの接触領域間内の軸方向に配向された流体フォイルの接触領域で、前記流体フォイルに接触するように配列される、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項5】
前記ストリップ間の周方向の間隔は、不均一である、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項6】
各ストリップの周方向幅と前記ボアの直径との比率は、2~12である、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項7】
前記ブッシングは、前記スプリングフォイルの1つ以上の保持部分を受けるためのシートを具備する、請求項1~6のいずれかに記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項8】
前記シートは、前記ブッシングの軸端面の内側で、軸方向に設置される、請求項に記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項9】
前記シートは、前記スプリングフォイルの周方向の変位を防止するための1つ以上の停止面を具備する、請求項7又は8に記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項10】
前記スプリングフォイルは、その対向する軸端部で、第1及び第2の組の保持部分を具備する、請求項1~9のいずれかに記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項11】
前記ブッシング内の1つ以上の対応する溝内に適合するように配列された1つ以上の保持部材を具備し、
前記スプリングフォイルは、前記ブッシング内の前記1つ以上の対応する溝に挿入される場合、前記1つ以上の保持部材の周りに巻きつくように配列された1つ以上の軸方向に配向された保持フックを具備する、請求項1~10のいずれかに記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項12】
第1及び第2のスプリングフォイル部分を具備する、請求項1~11のいずれかに記載のコンプライアントフォイルラジアル軸受。
【請求項13】
コンプライアントフォイルラジアル軸受のためのスプリングフォイルを作製する方法であって、
1つ以上のカットアウトを、平らなシートメタルの長方形部分内に形成することであって、前記カットアウトは、第2の長さを互いに連結する第1の長さを具備し、軸方向配向用の前記第1の長さは、前記コンプライアントフォイルラジアル軸受のブッシング内にあり、周方向配向用の前記第2の長さは、前記ブッシングの軸端部にある、形成することと、
前記第2の長さの外部で、軸方向に位置決めするための前記平らなシートメタルの面の外部で延伸する、1つ以上の保持部分を形成することと、を含み、
前記スプリングフォイルは、1つ以上の軸方向に配向されたストリップを具備し、
隣接するストリップは、前記1つ以上の保持部分により結合される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書記載の発明の対象は、一般的に、コンプライアントフォイルラジアル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロタービンは、分散されたエネルギー源で使用され得、コンプレッサー、燃焼器、タービン及び発電機を使用し、それによって、燃料を電力のローカル源に変換可能である。それらの設置面積が小さく、回転速度や作動温度が高いことから、含油静圧軸受等の従来型の軸受は、実用上問題がある。
【0003】
コンプライアント流体フォイルラジアル軸受は、ブッシング、ブッシングの内面に適合するコンプライアントスプリングフォイル、及びコンプライアントスプリングフォイルの内面に適合する流体上部フォイルを利用し、流体上部フォイルの内面は、ローターを受けるためである。
【0004】
スピンアップ前に、ローターに作用する重力は、ローターとブッシングの内面との間で、流体フォイルとスプリングフォイルを圧縮する。スピンアップ後は、非回転式の流体フォイルと回転ローターとの間に流体の薄い層が生じることで、ローターは、あたかも流体フォイルから離れて上昇し、流体力学軸受に低摩擦を生じ、さらに、流体が移動することにより、熱伝達が促進される。
【0005】
コンプライアント流体フォイルラジアル軸受は、したがって、高回転速度と高作動温度を考慮して、他の従来型のラジアル軸受に関連する実用上の問題点に対処するために、マイクロタービンに採用され得る。
【0006】
既存の流体フォイル軸受の設計は、一般的に、波形のスプリングフォイルと、該スプリングフォイルとブッシングとの間の締結機構を採用する結果、作製が過度に複雑になる。さらに、このような既存設計の低毎分回転数の有効性は、十分乏しいことから、過度な軸受摩耗が、スピンアップ中やスピンアップ後の通常の操作中においても生じる。このような既存設計の性能は、スプリングフォイルに関連する作製上の詳細項目に過度に依存する。最終的に、これら既存設計の摩擦特性の最適化の範囲は、限定される。
【0007】
したがって、既存設計における上述の不具合の1つ以上を解消する、流体フォイル軸受を提供することが望ましい。
【0008】
開示された配列は、以下に例として、また添付図面に準拠して、さらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、分解斜視図のコンプライアントフォイルラジアル軸受の実施例を示す。
図2図2は、ブッシングの軸に平行な方向から見た、図1の典型的なコンプライアントフォイルラジアル軸受を示す。
図3図3は、図1の典型的な流体フォイルのラジアル軸受中の保持部分とブッシングとの間の相互作用を示す。
図4A図4Aは、スプリングフォイルを形成するためのブランクの実施例を示す。
図4B図4Bは、ブッシング内に挿入準備された平らなスプリングフォイルの実施例を示す。
図4C図4Cは、ブッシング内に挿入準備された湾曲したスプリングフォイルの実施例を示す。
図5図5は、スプリングフォイルを形成する方法とコンプライアントフォイルラジアル軸受を形成する方法の実施例を示す。
図6A図6A及び図6Bは、ブッシングとそれとともに使用するスプリングフォイルの第1の実施例を示す。
図6B】同上。
図7A図7A図7B及び図7Cは、ブッシングとそれとともに使用する代替のスプリングフォイルの第2の実施例を示す。
図7B】同上。
図7C】同上。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、それを通過して画成されたボアを具備するブッシング110と、ボアの半径方向内面に適合するように配列されたスプリングフォイル120、130と、ローターを回転可能に受けるためのスプリングフォイルの半径方向内面に適合するように配列された流体フォイル140、150と、を具備するコンプライアントフォイルラジアル軸受100の実施例を示し、スプリングフォイル120、130は、ボア内面の外側で、軸方向及び半径方向に延伸するように配列された1つ以上の保持部分160を具備する。
【0011】
図1の実施例において、スプリングフォイルは、第1及び第2のスプリングフォイル部分120、130を具備する。同様に、流体フォイルは、第1及び第2の流体フォイル部分140、150を具備する。この配列は、2つのローブ形のラジアル軸受と同等であるが、本明細書記載の本開示は、スプリングフォイルと流体フォイルが、1つ、3つ又はそれ以外の数の部分を具備する、1つ、3つ又は他の数のローブ形の軸受に同様に適用可能である。
【0012】
図1に表示のスプリングフォイル120、130を参照すると、スプリングフォイルの保持部分160は、ブッシング(軸受筒)110のボアに挿入される場合、ブッシング110のボアの外側で、軸方向及び半径方向に延伸することが認められる。
【0013】
ボアの内面は、ボア軸、ボア内面の半径及び対向して配置されるボア内面の軸端部を画成し得る。1つ以上の保持部分160は、ボア内面の半径の半径方向外側で、ボア内面の軸端部の軸方向外側で延伸し得、例えば、任意の1つの保持部分は、ボア内面の半径よりも大きい半径まで延伸し得、ボア内面の軸端部が及ぼす軸領域の外側の軸まで延伸し得る。保持部分160は、ボアの内面の外側で半径方向と軸方向に延伸する、軸方向に対向して配置される保持部分を具備可能である。
【0014】
スプリングフォイルは、軸受の操作のスピンアップ段階の前及び間の両方、さらに、その通常の操作中に、流体フォイルを弾性支持する。このため、ローターから半径方向外側の方向に作用する力は、スプリングフォイルを経由して、ブッシング内面に伝達され得る。
【0015】
流体フォイルは、ローターを回転可能に受けるための面を提供し、使用中、高速移動する薄い流体層は、流体フォイルの表面と、ローターが回転可能な低摩擦の環境を生じるローターとの間で形成される。保持部分が、臨界相互作用表面を含む、ボア領域のラジアル内面の外部で延伸することは、スプリングフォイルに関する作製上の詳細項目に対する性能の依存を低減するように作用する。流体層の流体力学的性質により、過度な温度上昇が防止される。さらに、保持部分を、臨界相互作用表面領域の外側に移すことは、臨界領域内の剛性特性と保持機構との間の相互依存を低減することで、臨界領域内の剛性特性の制御をさらに促進する。これらの流体フォイルラジアル軸受の特性により、流体フォイルラジアル軸受は、マイクロタービンの場合等で、特に、高温高回転用途における使用に適する。
【0016】
図1記載の実施例において、保持部材170及び180は、ブッシング110内に提供される対応する溝175内に適合し、それによって、組立後に流体フォイル部分を締め付ける。
【0017】
スプリングフォイルの保持部分160は、ブッシング110のボア内面の外側で、軸方向及び半径方向に延伸するように配列される。図1記載の実施例において、各スプリングフォイル部分120及び130は、その軸方向に対向する端部に配置された複数の保持部分を具備する。
【0018】
このため、スプリングフォイルは、ブッシングの各軸端部に配置されるように配列された1つ以上の保持部分を備えられてよい。スプリングフォイルに、その軸方向に対向する端部での1つ以上の保持部分を提供することで、スプリングフォイルは、ブッシング110に入れ込むことができ、軸方向に対向する組の保持部分は、ブッシング110の半径方向内面の外側で、軸方向及び半径方向に突出し、それらの間で確実な適合を容易にし、スプリングフォイルが軸方向に変位する可能性を低減する。
【0019】
ブッシング110は、スプリングフォイルの保持部分の1つ以上を受けるためのシート165を備えられ得る。ブッシングは、スプリングフォイルの1つ以上の保持部分を受けるための1つ以上のシートを備えられ得る。ブッシングは、その各軸端部に1つ以上のシートを備えられ得る。
【0020】
図2は、コンプライアントフォイルラジアル軸受の正面図を提供する。本実施例に示す通り、流体フォイル部分140及び150の軸方向配向の長さは、流体フォイル保持部材170及び180の周りに巻きつかれ、ブッシング110内に提供された溝175内で流体フォイル部分140及び150を締め付ける。
【0021】
図2の実施例において、第1及び第2の流体フォイル部分140、150に関連する保持部分160を受けるための第1及び第2のシート165a、165bが与えられる。
【0022】
図2に示す通り、保持部分は、ブッシング110のボア内面の外側で、軸方向及び半径方向に延伸する。
【0023】
スプリングフォイルの保持部分を、ブッシング110のボア内面の外側で、軸方向及び半径方向に位置決めすることで、保持部分をブッシング110の内面の構造的機能で支持する必要がないため、ブッシング110の作製を大幅に簡略化することが容易になる。
【0024】
さらに、保持部分をブッシング110のボア臨界内面の外側に位置決めすることで、スプリングフォイルとブッシングとの間の保持が軸受性能に与える影響が低減し、その結果、作製上の詳細項目に関する軸受性能についての感度が減少する。
【0025】
図がスプリングフォイルの保持部分を受けるためのシートの提供を示す一方、本出願に開示の保持機構は、シートなしで提供されるブッシングの場合でも同様に適用されるであろう。この場合、保持部分は、ブッシングの軸方向外端部に設置されるであろう。
【0026】
図3は、スプリングフォイルの保持部分160とブッシング110との間の相互作用の詳細を提示する。
【0027】
記載の実施例において、保持部分は、ループ形状で提供される。ループは、ブッシング110のボア内面から外側で、半径方向に延伸するように配列される。保持部分をループ形状で提示することは、性能に関する軸受内の保持機構と臨界表面との間の分離を改良することを促進するものとして示された。
【0028】
再度図1を参照すると、本実施例において、スプリングフォイルは、軸方向に配向されたストリップを具備する。該ストリップは、ボア軸と同軸上に配置されるように配列され得る。図示の2つの部分の実施例において、第1の部分120は、軸方向ストリップ125を具備し、第2の部分130は、軸方向ストリップ135を具備する。
【0029】
図1は、保持部分160により相互接続される複数のストリップ125を具備する、スプリングフォイル部分120を示す。保持部分160を使用する接続ストリップ125は、各ストリップの独立した調整可能な剛性及び弾性を促進する。
【0030】
1つ以上のストリップを具備するスプリングフォイルにより促進される剛性及び弾性の態様は、図3に準拠して、詳細に記載される。
【0031】
スプリングフォイル120が、ブッシング110のボアの半径方向内面に適合する状態で、各ストリップは、ストリップ上の周方向に対向する半径方向の外側接触領域で、ブッシング110のボアの半径方向内面に接触する。ストリップのこれらの周方向に対向する接触領域間において、流体フォイル140は、スプリングフォイル120のストリップの半径方向内面に接触する。このように、ストリップは、周方向に対向する半径方向の外側接触領域で支持されるビームとして見なし得、流体フォイル140は、その半径方向内面でストリップに接触することで、周方向に対向する接触領域の間のビームを変形する。各ストリップとブッシンとの間、及び各ストリップと流体フォイルとの間の接触は、軸方向に配向された接触領域であり得る。これらの軸方向に配向された接触領域は、線接触であり得、又は軸に沿った共線の点接触であり得る。スプリングフォイルと流体フォイルとの間をこのように接触することで、クーロン摩擦を高めることにより、低毎分回転数でさえも優れた軸受性能を提供することが判明した。
【0032】
上述の、スプリングフォイル、ブッシング及び流体フォイル間の相互接続は、最適剛性特性を提供することで、低毎分回転数でさえも優れた軸受性能を促進する。さらに、流体フォイルを支持するためのストリップ内にピン間のビームを固定することで、スプリングフォイルの剛性特性を周方向に変化させ得る。これは、重力や他の因子により、流体フォイルラジアル軸受への負荷が、周方向に変化する傾向にあるため、特に有利なものとして留意し得る。この変化は、ストリップの物理的特性を周方向に変化させることで、補正可能である。
【0033】
ストリップは、周方向に湾曲し得る。例えば、ストリップは、半径方向外側に面する凹面を提示するように湾曲し得る。これは、ストリップ、流体フォイル及びブッシング間の上述の接触形式で相乗作用があり得、剛性特性と接触領域の制御をより大幅に促進する。
【0034】
図4Aは、スプリングフォイルを形成可能なカットアウト(切り欠き)422を有するシートメタルを具備する、ブランク420を示す。この実施例において、ストリップ425間に均一な間隔424が提供される。これにより、作製上の簡便性が高まる。しかしながら、上記で概説した理由により、ストリップ間に不均一な間隔を提供することは、弾性的な外形を周方向に変化させ得る点で、有利であると言える。
【0035】
スプリングフォイル420は、I形状のカットアウト422、例えば、その各端部で周方向配向用の垂直なクロスバー部分を備えた、軸方向配向用の部分を具備するカットアウトを具備し得る。クロスバー部分は、ブッシングの各軸端部で配置されるように配列され得る。I形状のカットアウト422を形成することで、各I形状のカットアウトの1つ又は両方の端部で保持部分を有するスプリングフォイル420を形成するための非常に簡便な作製方法が提供され、保持部分は、ボア内面から外側で、軸方向及び半径方向に配置されるように配列される。
【0036】
ブッシングは、長さ(L)が、ブッシングのボア直径(D)の0.5~3倍、すなわち、L/D=0.5~3で提供され得、直径(D)は、15~25mm又は20~23mmで設定され得る。ブッシング(D)のボア直径と各ストリップ(W)の周方向幅との比率-図4A中のストリップ幅を示す「W」の表示を参照、すなわち、その第1及び第2の軸方向に配向された端部との間の各ストリップの幅は、2~12、すなわち、D/W=2~12で設定され得る。ストリップ幅は、2mm~5mmであり得る。ストリップ幅をこの範囲内で与えることは、最適な剛性特性を提供することが判明し、特に、マイクロタービン内のコンプライアントラジアル軸受の使用で優れた軸受性能を促進する。フォイル(金属薄片、金属膜)の厚さは、0.01mm~0.2mmに設定され得る。上記の寸法は、ある範囲の用途に対し優れた性能特性を有する空気軸受を提供することが確認された。
【0037】
図4Aは、ストリップと保持部分160との間の間隔426を示す。この間隔426は、周方向に配置されたカットアウト部分の軸方向幅に一致し得る。この間隔426は、組立時に、軸方向に配向され、保持機構とボア内に設置されたストリップ425との間の分離を改善する。さらに、ストリップ425の荷重特性間の独立が、改善される。
【0038】
図4Bは、ブランク420から形成されたスプリングフォイル120を示す。1つ以上の保持部分160は、ストリップ125間内のカットアウト部分の端部で形成され、その中へ挿入時に、ブッシングの半径方向内面の外側で、軸方向及び半径方向に配置されるように配列される。1つ以上の保持部分160は、ブッシングとの軸方向配向用に配列されたカットアウト422の1つ又は両方の端部で、面外の曲げ又はループを形成することで、ブランク420内に形成され得る。
【0039】
図4Bは、I形状のカットアウト422と、ブッシング内に挿入準備された面外の保持部分160と、を具備する、シートメタルから形成されたスプリングフォイル160を示す。このようなスプリングフォイルは、複雑な波形加工手法等を要する既存のスプリングフォイル設計と比較して、作製の大幅な簡略化を促進する。
【0040】
オプションとして、図4Cに示す通り、略平らなシートメタルは、ブッシング内に挿入する前に、ブッシングの半径方向内面の形状にしたがって、湾曲され得る。このステップを省略することが、作製を簡略化する一方、スプリングフォイルの作製中に、このように平らなシートメタルを湾曲することで、スプリングフォイルのブッシング内への挿入に対する性能感度が促進される。
【0041】
図5は、スプリングフォイル500を形成する典型的な方法を示し、I形状のカットアウトであり得る、1つ以上のカットアウトをシートメタル501に形成すること、各カットアウトの1つ又は両方の端部で配置され得る、1つ以上の面外の保持部分503を形成すること、を含む。該カットアウトは、ブッシング内への挿入時に、ブッシングの軸に平行な方向に延伸するように配列され得る。1つ以上の保持部分は、スプリングフォイルのブッシング内への挿入時に、ブッシングの半径方向内面の外側で、軸方向に配置されるように配列され得る。
【0042】
図5はまた、スプリングフォイル500を形成する方法後に実行され得る、コンプライアントラジアル軸受550を形成する典型的な方法を示し、スプリングフォイルを、ブッシング505の半径方向内面に挿入するステップと、流体フォイルを、スプリングフォイル507の半径方向内面に挿入するステップとを含む。図示されていないが、該方法は、1つ以上の流体フォイル保持部材を、ブッシングの溝内に挿入することをさらに含み得、それによって、流体フォイルを、またオプションとして、スプリングフォイルをブッシング内に保持する。
【0043】
図示されていないが、コンプライアントラジアル軸受を作製する方法は、1つ以上のカットアウトを、シートメタルに形成すること、例えば、図4A記載のように、シートメタルをブッシングに挿入すること、及び1つ以上の保持部分を、スプリングフォイル内にその軸端部部分で形成すること、を含み得る。このため、保持部分は、シートメタルが一旦ブッシングに挿入されると、形成され得る。
【0044】
図6Aは、停止面668を提供する、周方向に対向して配置されるシート665を有するブッシング610の実施例を示し、停止面は、スプリングフォイルの保持部分160とシート665の停止面668との間の相互作用により、スプリングフォイルの回転を防止する。ブッシング610は、その中に流体フォイル保持部材を受けるための軸方向に配向された溝を有する。
【0045】
ブッシングシートの図示の実施例は、ブッシングの軸端面の軸方向内側の位置に設置されるシートを示す。ブッシングシートは、ブッシングのラジアル内面の軸端部で、ブッシングの軸端面の内側で軸方向に設置され得る。これにより、保持部分が、ブッシングの端面を越えて軸方向に伸延することを防ぎ、軸受の操作特性が改善される。
【0046】
図6Bは、図6Aのブッシングで使用に適するスプリングフォイル620の部分の実施例を示す。図示の通り、ストリップ625は、均一の周方向長さ627が備えられ、作製の簡便性を促進するが、不均一の周方向長さは、周方向のスプリングフォイルの荷重特性を変化させる能力を与えるように提供され得る。
【0047】
図7Aは、停止面のないシート765を有する、代替のブッシング710の実施例を示す。スプリングフォイル720は、スプリングフォイル保持部材170、180を単一又は複数使用して、スプリングフォイル720の端部挟持領域768を締め付けることで、回転が防止される。この配列により、ブッシングの作製上の複雑さの低減が促進される。
【0048】
図7Bの実施例において、スプリングフォイルは、流体フォイル保持部材等の保持部材を受けるためのブッシング710の、軸方向に配置された溝175内に受けられる、その端部で、軸方向に配向された挟持フック768が備えられる。このように、スプリングフォイルは、流体フォイルを適切に締め付けるために使用される、流体フォイル保持部材であり得る、1つ以上の保持部材を使用して、ブッシング内で回転が防止される。このため、保持部材は、流体フォイル及び/又はスプリングフォイルを固定するため、保持部材を受けるための溝に挿入するよう提供され得る。
【0049】
図7Bは、半径方向外側の凹面を具備する軸方向に配向されたフック768を具備する、スプリングフォイル720を示す。
【0050】
図7Cは、半径方向内側の凹面を具備する軸方向に配向されたフック778を有する、スプリングフォイル720を示す。
【0051】
本明細書開示の実施例の各々は、請求項記載の実施例を含め、ガスタービンシステム、例えば、任意の1つの実施例に係る流体フォイルラジアル軸受を具備するマイクロタービンシステムで提供され得る。このような流体フォイルラジアル軸受をガスタービンシステムで採用することは、摩擦損失や熱の管理の改良を提供するガスタービンシステムを与える。
【0052】
本明細書開示の実施例は、限定的ではなく、多くの修正や置換が可能であることを認識されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C