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特許7433417高油脂含有量の安定したゲル組成物、その製造方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】高油脂含有量の安定したゲル組成物、その製造方法および使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/20 20160101AFI20240209BHJP
   A23L 29/10 20160101ALI20240209BHJP
   A23L 29/30 20160101ALI20240209BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240209BHJP
   A23D 7/00 20060101ALI20240209BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20240209BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240209BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240209BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A23L29/20
A23L29/10
A23L29/30
A23L5/00 L
A23D7/00 504
A23L33/115
A61K9/06
A61K47/42
A61K47/36
A61K47/44
A61K47/12
A61K47/24
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2022513135
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2020111647
(87)【国際公開番号】W WO2021037122
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】201910806809.6
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522072334
【氏名又は名称】仙楽健康科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】方素瓊
(72)【発明者】
【氏名】鄭奕鋭
(72)【発明者】
【氏名】陳文榮
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-088238(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109414052(CN,A)
【文献】国際公開第2018/008715(WO,A1)
【文献】特開昭63-157934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル組成物の総重量に基づいて、(1)ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、コンニャクガム、グアーガムからなる群から選択される1つまたは複数である第1ゲル化剤1~15wt%;(2)2~5wt%の硬化パーム油、パームステアリンまたは蜜蝋と0.2~1wt%のリン脂質との混合物である安定化剤2.2~6wt%;および(3)水添パーム油および/またはパームステアリン以外の他の油脂55~70wt%を含む、ゲル組成物であって、
当該ゲル組成物がチュアブルで食用する水中油型ゲル組成物であることを特徴とするゲル組成物。
【請求項2】
前記ゲル組成物が、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプンからなる群から選択される1つまたは複数である第2ゲル化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項3】
前記第1ゲル化剤がゼラチンであり、第2ゲル化剤がキサンタンガムであることを特徴とする請求項2に記載のゲル組成物。
【請求項4】
前記水添パーム油またはパームステアリンの融点が39~65℃であることを特徴とする請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項5】
前記油脂が不飽和脂肪酸またはそのエステルであることを特徴とする請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項6】
前記油脂が、動物油、植物油またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載のゲル組成物。
【請求項7】
前記油脂が、魚油、藻油またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項6に記載のゲル組成物。
【請求項8】
前記ゲル組成物が、甘味剤、酸性調整剤、充填剤、矯味剤、着色剤、抗酸化剤からなる群から選択される1つまたは複数である添加剤であって、医薬品、食品、ヘルスケア製品に使用できる添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項9】
前記甘味剤が、キシリトールおよび/またはソルビトールであり;前記酸性調整剤が、クエン酸およびその塩、および/またはリンゴ酸であり;前記充填剤が、難消化性デキストリンおよび/またはイヌリンであり;前記矯味剤が、油溶性エッセンスおよび/または水溶性エッセンスであり;前記着色剤が、油溶性色素および/または水溶性色素であり;前記抗酸化剤が、ビタミンE、ローズマリー抽出物および/またはポリフェノールであることを特徴とする請求項8に記載のゲル組成物。
【請求項10】
前記ゲル組成物の水相が、水溶性ビタミン、水溶性食物繊維、ミネラルからなる群から選択される1つまたは複数である水溶性活性成分をさらに含み;前記ゲル組成物の油相が油溶性ビタミンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のゲル組成物の製造方法であって、
(1)第1ゲル化剤を水で60~80℃に加熱して完全に溶解させること;
(2)安定化剤を油脂に加え、均一に混合すること;
(3)工程(1)で得られた混合物と工程(2)で得られた混合物を、60~80℃の温度で均一に混合し、3~8分間均質化、乳化すること;および
(4)工程(3)で得られた混合物を成形し、所望のゲル組成物を得て、前記成形が以下:
(a)工程(3)で得られた混合物をブリスターに注ぐ方式、
(b)工程(3)で得られた混合物をカプセルに充填する方式、および
(c)工程(3)で得られた混合物を、アルミプラスチック複合ポーチ、耐高温材料製包装容器から選択される1つまたは複数を含む包装材料に包装する方式
のうちの1つであること
を含む、ゲル組成物の製造方法。
【請求項12】
工程3が、均質化、乳化の後、以下の操作:
第2ゲル化剤を加えること;
さらに7~15分間均質化、乳化させること
をさらに含み、
ここで、前記第2ゲル化剤が、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプンからなる群から選択される1つまたは複数であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法
【請求項13】
ゲル組成物の総重量に基づいて、(1)55~70wt%の油脂;(2)1~15wt%の第1ゲル化剤;(3)0.1~2wt%の第2ゲル化剤;(4)2.2~6wt%の安定化剤であって、該安定化剤が2~5wt%の硬化パーム油、パームステアリンまたは蜜蝋と0.2~1wt%のリン脂質との混合物である安定化剤;および(5)残部である水を含むことを特徴とするゲル組成物。
【請求項14】
前記ゲル組成物は、さらに医薬品用、食品用および/またはヘルスケア製品用の他の添加剤を含む、請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項15】
前記第1ゲル化剤が、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、コンニャクガム、グアーガム、他のゲル化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項16】
前記第1ゲル化剤が、ゼラチン、ゼラチンとペクチン、カラギーナンとコンニャクガム、またはカラギーナンである請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項17】
ゼラチンとペクチンとの質量比が2:1~12:1であり;
および/またはコンニャクガムとカラギーナンとの質量比が1:4~3:1である請求項16に記載のゲル組成物。
【請求項18】
前記第2ゲル化剤が、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプン、他のゲル化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される求項13に記載のゲル組成物。
【請求項19】
前記第2ゲル化剤が、キサンタンガム、アラビアガム、アラビアガムと加工デンプン、ローカストビーンガム、またはジェランガムである請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項20】
アラビアガムと加工デンプンとの質量比が3:1~5:1である請求項19に記載のゲル組成物。
【請求項21】
前記安定化剤が、質量比3~15:1の水添パーム油とリン脂質との混合物であり、ここで、前記ゲル組成物の総重量に基づいて、前記リン脂質が0.2~1wt%の範囲内であることを特徴とする請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項22】
前記パーム油が、水素化、精製、エステル交換、精留からなる群から選択される1つまたは複数の処理方法によって得られ、且つ融点が39~65℃であるパーム油製品であることを特徴とする請求項21に記載のゲル組成物。
【請求項23】
前記油脂が、不飽和脂肪酸またはそのエステルを含む油脂から選択される請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項24】
前記油脂が、動物油、植物油、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項25】
前記油脂が、魚油、藻油、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項13に記載のゲル組成物
【請求項26】
前記油脂が、医薬品、食品、ヘルスケア製品に使用できる1つまたは複数の他の添加剤を含むことを特徴とする請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項27】
前記他の添加剤が、
キシリトール、ソルビトールおよび他のアルジトールから選択される1つまたは複数の甘味剤;
クエン酸およびその塩、リンゴ酸および他の酸性調整剤から選択される1つまたは複数の酸性調整剤;
難消化性デキストリン、イヌリンおよび他の充填剤から選択される1つまたは複数の充填剤;
油溶性エッセンス、水溶性エッセンスおよび他の食品用エッセンスから選択される1つまたは複数の矯味剤;
油溶性色素、水溶性色素などの食用色素または着色果物/野菜ジュースから選択される1つまたは複数の着色剤;ならびに
ビタミンE、ローズマリー抽出物、ポリフェノールおよび他の抗酸化剤から選択される1つまたは複数の抗酸化剤
からなる群から選択される1つまたは複数を含むことを特徴とする請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項28】
前記ゲル組成物は、水中油型ゲル乳剤であり、水相がゲル化され、且つ活性成分を含み、油相が、不飽和脂肪酸またはそのエステルおよび/または油溶性活性成分を含むことを特徴とする請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項29】
前記水相の活性成分が、水溶性活性成分である請求項28に記載のゲル組成物。
【請求項30】
前記活性成分が、水溶性ビタミン、水溶性食物繊維、ミネラルまたはそれらの混合物からなる群から選択される請求項29に記載のゲル組成物。
【請求項31】
前記油溶性活性成分が、油溶性ビタミンからなる群から選択される請求項28に記載のゲル組成物。
【請求項32】
前記ゲル組成物が、チュアブル形態であることを特徴とする請求項13に記載のゲル組成物。
【請求項33】
請求項13~31のいずれか1項に記載のゲル組成物の製造方法であって、
(1)第1ゲル化剤を水で60~80℃に加熱して完全に溶解させること;
(2)安定化剤を油脂に加え、均一に混合すること;
(3)工程(1)で得られた混合物と工程(2)で得られた混合物を、60~80℃の温度で均一に混合し、3~8分間均質化、乳化させ、第2ゲル化剤を加え、さらに7~15分間均質化、乳化させること;および
(4)工程(3)で得られた混合物を成形し、所望のゲル組成物を得るこ
を含む、ゲル組成物の製造方法。
【請求項34】
前記成形が以下:
(a)工程(3)で得られた混合物をブリスターに注ぐ方式、
(b)工程(3)で得られた混合物をカプセルに充填する方式、および/または
(c)工程(3)で得られた混合物を包装材料に包装すること
を含む、請求項33に記載のゲル組成物の製造方法。
【請求項35】
前記包装材料がアルミプラスチック複合ポーチおよび耐高温材料製包装容器の1つまたは複数を含む、請求項34に記載のゲル組成物の製造方法。
【請求項36】
食品、医薬品またはヘルスケア製品における、請求項1~10または13~31のいずれか1項に記載のゲル組成物の使用。
【請求項37】
請求項1~10または13~31のいずれか1項に記載のゲル組成物を含む食用組成物であって、
食品、医薬品またはヘルスケア製品である食用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル組成物に関し、より具体的に、高油脂含有量の安定したゲル組成物に関する。また、本発明は、前記ゲル組成物の製造方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和脂肪酸エステル、特に多価不飽和脂肪酸エステルは、必須脂肪酸の重要な供給源である。現在、栄養補助剤として不飽和脂肪酸エステル(例えば、魚油など)が広く使用されている。しかしながら、魚油のような不飽和脂肪酸エステルの味や口当たりは耐え難いことが多い。したがって、不飽和脂肪酸エステルは通常、ソフトカプセルなどの形態で送達される。このようなカプセルの殻は、一般的に哺乳動物由来のゼラチン(例えば、ブタまたはウシ由来)で調製される。しかし、従来技術では、適切な用量の油脂を送達するために、ゲル組成物を含むカプセルは、一般的に、大きな体積に製造される傾向があり、そのような製造プロセスは、幼児や高齢者にとって嚥下困難の問題を引き起こす可能性がある。また、そのようなカプセルの摂取過程は、カプセル殻が口の中で破裂するという問題を伴うことが多く、その結果、カプセルにおける油脂内容物の不快な味が口腔内に放出され、摂取者にマイナスの印象を与え、カプセルを摂取する自発性を減らす。
【0003】
近年、水相がゲル化され、油相が不飽和脂肪酸エステルまたは他の油溶性活性物質を含む水中油型チュアブルゲル組成物は、食品、医薬品およびヘルスケア製品の分野で使用されている。このようなゲル組成物は、通常、「オイルゲル」、「ゲルオイル」、「ストラクチャードオイル」または「リピッドゲル」などと呼ばれ、市販されている製品は、「魚油ゼリー」または「ゼリー魚油」と呼ばれることが多い。例えば、CN101389310Bは、油相成分を30~50重量%含む生理学的に許容される不飽和脂肪酸エステルを含むチュアブル乳剤を開示した。
【0004】
しかしながら、既存の「オイルゲル」または「魚油ゼリー」は、油脂含有量が比較的少ない(例えば、50重量%未満)という問題が多く、活性物質の送達効率が高くない。また、油脂含有量が多い組成物は、油水分離を起こしやすいため、保管時に製品表面へ油脂が析出するという問題がある。その結果、オイルゲル製品は、保存安定性が低下するとともに、質感がゆるく、咀嚼感が悪いなどの問題を伴う。
【0005】
したがって、組成物中の油脂の含有量をどのように増加させ、安定したゲル組成物を製造するかが、この分野で一般的な問題になっている。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、2つのゲル化剤の組合せに、安定化剤を特定の比率で配合することにより、オイルゲル製品の油脂含有量(例えば、50wt%以上に達す)および安定性を大幅に増加させ、油水分離による表面への油脂の析出を改善し、摂取時の油っぽさを低減し、製品の風味を向上させることを達成できることを予期せず見出した。また、製品の質感(硬度、弾力性および緻密性など)も改善し、送達効率がより高く、安定性がより良く、口当たりがより良好な組成物が得られる。
【0007】
上記の問題を解決するために、本願は、次の技術構成を提案する。ゲル組成物の総重量に基づいて、(1)ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、コンニャクガム、グアーガムからなる群から選択される1つまたは複数である第1ゲル化剤1~15重量%、(2)2~5wt%の硬化パーム油、パームステアリンまたは蜜蝋と0.2~1wt%のリン脂質との混合物である安定化剤0.1~7wt%、および(3)水添パーム油および/またはパームステアリン以外の油脂55~70wt%、を含むことを特徴とするゲル組成物。好ましくは、ゲル組成物は、咀嚼して食べることができる水中油型である。
【0008】
一実施形態において、前記ゲル組成物は、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプンからなる群から選択される1つまたは複数である第2ゲル化剤をさらに含む。
【0009】
一実施形態において、前記第1ゲル化剤はゼラチンであり、第2ゲル化剤はキサンタンガムである。
【0010】
一実施形態において、前記水添パーム油またはパームステアリンの融点は39~65℃である。
【0011】
一実施形態において、前記油脂は、不飽和脂肪酸またはそのエステルである。
【0012】
一実施形態において、前記油脂は、動物油、植物油またはそれらの組み合わせである。
【0013】
一実施形態において、前記油脂は、魚油、藻油またはそれらの組み合わせである。
【0014】
一実施形態において、前記ゲル組成物は、甘味剤、酸性調整剤、充填剤、矯味剤、着色剤、抗酸化剤からなる群から選択される1つまたは複数である添加剤であって、医薬品、食品、ヘルスケア製品に使用できる添加剤をさらに含む。
【0015】
一実施形態において、前記甘味剤は、キシリトールおよび/またはソルビトールであり;前記酸性調整剤は、クエン酸およびその塩、および/またはリンゴ酸であり;前記充填剤は、難消化性デキストリン(resistant dextrin)および/またはイヌリンであり;前記矯味剤は、油溶性エッセンスおよび/または水溶性エッセンスであり;前記着色剤は、油溶性色素および/または水溶性色素であり;前記抗酸化剤は、ビタミンE、ローズマリー抽出物および/またはポリフェノールである。
【0016】
一実施形態において、前記ゲル組成物の水相は、水溶性ビタミン、水溶性食物繊維、ミネラルからなる群から選択される1つまたは複数である水溶性活性成分をさらに含み;前記ゲル組成物の油相は、油溶性ビタミンをさらに含む。
【0017】
さらに、本発明は、
(1)第1ゲル化剤を水で60~80℃に加熱して完全に溶解させること;
(2)安定化剤を油脂に加え、均一に混合すること;
(3)工程(1)で得られた混合物と工程(2)で得られた混合物を、60~80℃の温度で均一に混合し、3~8分間均質化、乳化すること;および
(4)工程(3)で得られた混合物を成形し、所望のゲル組成物を得て、前記成形は以下の方式(a)~(c)のうちの1つであることを含む、上記ゲル組成物の製造方法を提供する。
(a)工程(3)で得られた混合物をブリスターに注ぐこと;
(b)工程(3)で得られた混合物をカプセルに充填すること;
(c)工程(3)で得られた混合物を、アルミプラスチック複合ポーチ(aluminum-plastic composite pouch)、耐高温材料製包装容器から選択される1つまたは複数を含む包装材料に包装すること。
【0018】
一実施形態において、工程(3)は、均質化、乳化の後、以下の操作:第2ゲル化剤を加えること;さらに7~15分間均質化、乳化させることをさらに含む。ここで、前記第2ゲル化剤は、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプンからなる群から選択される1つまたは複数である。
【0019】
さらに、本発明は、上記ゲル組成物を含む食用組成物を提供する。
【0020】
一実施形態において、食用組成物は食品、医薬品またはヘルスケア製品である。
【0021】
また、上記の問題を解決するために、本願は、水相がゲル化され、且つ活性物質を含んでも良く、油相が不飽和脂肪酸またはそのエステルおよび/または油溶性活性成分などの生物活性成分を含む、高油脂含有量の安定したチュアブルゲル組成物を提供する。一実施形態において、水相中の活性物質は水溶性活性成分であり、より好ましくは、前記活性成分は、水溶性ビタミン、水溶性食物繊維、ミネラルまたはそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数である。他の一実施形態において、油相中の油溶性活性成分は、油溶性ビタミンから選択される1つまたは複数である。
【0022】
本願の一実施形態において、ゲル組成物の総重量に基づいて、(1)55~70wt%の油脂、(2)1~15wt%の第1ゲル化剤、(3)0.1~2wt%の第2ゲル化剤、(4)0.1~7wt%の安定化剤、(5)必要に応じて、医薬品用、食品用および/またはヘルスケア製品用の他の添加剤、および(6)残部である水を含むゲル組成物を提供する。
【0023】
一実施形態において、第1ゲル化剤は、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、コンニャクガム、グアーガム、他のゲル化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数である。好ましくは、第1ゲル化剤は、ゼラチン、ゼラチンとペクチン、カラギーナンとコンニャクガム、またはカラギーナンである。好ましくは、ゼラチンとペクチンとの質量比は2:1~12:1である。好ましくは、コンニャクガムとカラギーナンとの質量比は1:4~3:1である。
【0024】
他の一実施形態において、第2ゲル化剤は、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプン、他のゲル化剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数である。好ましくは、第2ゲル化剤は、キサンタンガム、アラビアガム、アラビアガムと加工デンプン、ローカストビーンガム、またはジェランガムである。好ましくは、アラビアガムと加工デンプンとの質量比は3:1-5:1である。
【0025】
別の一実施形態において、安定化剤は、パーム油(水素化、精製、エステル交換、精留からなる群から選択される1つまたは複数の処理方法によって得られ、且つ融点が39~65℃であるパーム油製品)、リン脂質、フィトステロール、食用ワックス、同様の効果を持つその他の物質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数である。好ましくは、安定化剤は、水添パーム油、パームステアリン、蜜蝋、リン脂質、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数である。一実施形態において、安定化剤は、水添パーム油、パームステアリンおよび蜜蝋から選択される1つとリン脂質との混合物であり、例えば、水添パーム油とリン脂質との混合物である。例えば、安定化剤は、質量比3~15:1の水添パーム油とリン脂質との混合物であってもよい。好ましくは、ゲル組成物の総重量に基づいて、リン脂質は0.2~1wt%の範囲内である。
【0026】
別の一実施形態において、前記油脂は、不飽和脂肪酸またはそのエステルのうちの1つまたは複数を含む油脂から選択される。好ましくは、前記油脂は、植物油、動物油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数である。より好ましくは、前記油脂は、魚油、藻油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数である。さらなる実施形態において、前記油脂は、食品、医薬品およびヘルスケア製品に使用できる1つまたは複数の生物活性成分を含んでいてもよい。好ましくは、前記生物活性成分は、油溶性ビタミンなどである。
【0027】
また、別の一実施形態において、他の添加剤は、キシリトール、ソルビトールおよび他のアルジトールから選択される1つまたは複数の甘味剤;クエン酸およびその塩、リンゴ酸および他の酸性調整剤から選択される1つまたは複数の酸性調整剤;難消化性デキストリン、イヌリンおよび他の充填剤から選択される1つまたは複数の充填剤;油溶性エッセンス、水溶性エッセンスおよび他の食品用エッセンスから選択される1つまたは複数の矯味剤;油溶性色素、水溶性色素などの食用色素または着色果物/野菜ジュースから選択される1つまたは複数の着色剤;ならびに、ビタミンE、ローズマリー抽出物、ポリフェノールおよび他の抗酸化剤から選択される1つまたは複数の抗酸化剤からなる群から選択される1つまたは複数を含む。
【0028】
また、別の一実施形態において、ゲル組成物は、水相がゲル化され、且つ活性成分を含み、油相が前記不飽和脂肪酸またはそのエステルおよび/または油溶性活性成分を含む、水中油型ゲル乳剤である。好ましくは、水相中の活性成分は、水溶性活性成分であり、例えば、水溶性ビタミン、水溶性食物繊維、ミネラルなど、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数である。好ましくは、油相中の油溶性活性成分は、油溶性ビタミンからなる群から選択される1つまたは複数である。
【0029】
また、別の一実施形態において、ゲル組成物は、例えばチュアブル形態などの経口形態である。
【0030】
本願の別の一実施形態において、上記のようなゲル組成物の製造方法を提供する。
【0031】
一実施形態において、前記方法は、(1)第1ゲル化剤を水で60~80℃に加熱して完全に溶解させること;(2)安定化剤を油脂に加え、均一に混合すること;(3)工程(1)で得られた混合物と工程(2)で得られた混合物を、60~80℃の温度で均一に混合し、3~8分間均質化、乳化させ、第2ゲル化剤を加え、さらに7~15分間均質化させること;(4)工程(3)で得られた混合物を成形し、所望のゲル組成物を得ることを含む。好ましくは、前記成形は、以下の方法のうちのいずれかを含む。
【0032】
(a)工程(3)で得られた混合物をブリスターに注ぐこと;
【0033】
(b)工程(3)で得られた混合物をカプセルに充填すること;および/または
【0034】
(c)工程(3)で得られた混合物を包装材料に包装し、好ましくは、前記包装材料は、アルミプラスチック複合ポーチ、耐高温材料製包装容器から選択される1つまたは複数を含むこと。
【0035】
さらに、本願の別の一実施形態において、食品、医薬品またはヘルスケア製品における上記のようなゲル組成物の使用を提供する。
【0036】
一実施形態において、本発明は、上記のゲル組成物を含む食用組成物を提供する。
【0037】
一実施形態において、食用組成物は食品、医薬品またはヘルスケア製品である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、魚油(水添パーム油なし)の試験サンプル(粘性係数0.85)を示すグラフである。
図2図2は、魚油+水添パーム油の試験サンプル(粘性係数1.03)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の詳細な説明のために、特に断りのない限り、本願では、様々な代替の変更および工程順序が採用されることが理解されるべきである。さらに、任意の実例、または特に示されている場合を除き、例えば、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、特に断りのない限り、以下の明細書および特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本願で得られる所望の性能に応じて変化する近似値である。少なくとも請求の範囲に同等性原則の適用を制限することを意図するものではないが、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に基づいて、通常の丸め手法を適用して解釈されるべきである。
【0040】
本願における広い範囲で示されている数値範囲とパラメータは近似値であるが、特定の実施例に記載されている数値は、可能な限り正確に報告される。ただし、数値には本質的に、それぞれの検出・測定で見つかった標準偏差に起因する一定のエラーが含まれている。
【0041】
また、本明細書に記載されている任意の数値範囲は、その中に包含される全てのサブ範囲を含むものであると理解されるべきである。例えば、「1~10」の範囲とは、最小値1と最大値10の間のすべてのサブ範囲を含むものであり、すなわち、1以上の最小値と10以下の最大値を有する。
【0042】
本願では、特に明記しない限り、単数形の使用は複数形を含み、複数形の使用は単数形を含む。さらに、本願では、特に明記しない限り、「または」の使用は、「および/または」が場合によっては明示的に使用できる場合でも、「および/または」を意味する。また、本願において、特に明記しない限り、「1つ」または「1つの」の使用は、「少なくとも1つ」を意味する。例えば、「1つ」のポリマー、「1つ」の組成物などは、これらのものの任意の1つまたは複数を指す。
【0043】
本願の一実施形態において、チュアブルで食用する水中油型ゲル組成物を提供する。本願の別の一実施形態において、高油脂含有量を有する安定したチュアブルゲル組成物を提供する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「油脂」という用語は、医薬品、食品およびヘルスケア製品の産業における従来の意味を有し、即ち、脂肪酸トリグリセリドである。本願のゲル組成物に使用される油脂は、例えば、植物油、動物油、またはそれらの混合物のような、医薬品、食品およびヘルスケア製品分野で一般的に使用される様々な油脂である。一実施形態において、本願のゲル組成物に使用される油脂は、不飽和脂肪酸またはそのエステルが豊富な油脂であり、より好ましくは魚油および/または藻油である。さらなる実施形態において、油脂には、食品、医薬品および/またはヘルスケア製品に使用できる1つまたは複数の生物活性成分を含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「生物活性成分」という用語は、生物に対して特定の効果を発揮することができる成分を指す。本願のゲル組成物に使用される生物活性成分は、油溶性ビタミンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される場合、「高油脂含有量(high oil content)」という用語は、製品の油脂含有量が50wt%以上であることを指す。例えば、高油脂含有量とは、製品の油脂含有量が55wt%以上、60wt%以上、65wt%以上、70wt%以下、75wt%以下、80wt%以下、85wt%以下、90wt%以下、95wt%以下、さらに100wt%以下であることを意味する。本願の実施形態において、好ましくは、前記ゲル組成物は、50wt%~80wt%の油脂含有量を有し;より好ましくは、前記ゲル組成物は、55wt%~70wt%の油脂含有量を有する。上記の重量パーセントは、前記ゲル組成物の総重量に基いているものである。本願の一実施形態において、水中油型ゲル組成物は、水添パーム油および/またはパームステアリン以外の他の油脂を含む。好ましくは、このような油脂の含有量は55~70wt%である。
【0046】
本明細書で使用される場合、「安定(stable)」という用語は、製品が比較的長い貯蔵期間(例えば1年以上、好ましくは2年以上)の間に油水分離が起こらないことを意味する。例えば、本願の上記の「安定した」ゲル組成物は、例えば、医薬品、食品、またはヘルスケア製品の指定された貯蔵寿命またはそれ以上の期間で油水分離が起こらなく、表面に油脂が析出されない。このようなゲル組成物を服用すると、油っぽさを感じさせなく、製品の風味が改善される。さらに、このようなゲル組成物は、長期間にわたっても、改善された質感(硬度、弾性および緻密性など)を有することができるため、より良い口当たりを提供する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「チュアブル(chewable)」という用語は、医薬品、食品およびヘルスケア製品の産業における従来の意味を有する。本願の実施形態において、前記ゲル組成物は、咀嚼によって破壊または破砕され得る形態で存在する。本願の前記のチュアブルゲル組成物は、栄養補助剤に使用することができ、例えば、医薬品、食品またはヘルスケア製品として使用され、或いはそれらに使用される。好ましくは、本願の前記のゲル組成物は、「魚油ゼリー」または「ゼリー魚油」である。
【0048】
本明細書で使用される場合、「ゲル(gel)」という用語は、一定の条件下(例えば、ゲル化剤を使用した条件下)で溶液またはゾルから変換された特別な半固体状態を指す。ここで、ゲル化剤の使用により、構造空隙を分散媒としての液体が満たされている空間ネットワーク構造を形成する。本明細書で使用される場合、「ゲル化剤」という用語は、溶液またはゾルをゲル化することができる薬剤を指す。本願の実施形態において、前記ゲル組成物は、特別に選択されたゲル化剤を使用することによって形成される「水中油型」のゲル乳剤であり、ここで、水相が連続相としてゲル化され、油相が連続相の構造空隙に分散した不連続相としてゲル化される。適切なゲル化剤は、食品、医薬品および栄養補助食品の業界でよく知られている溶液/ゾル-ゲル変換が可能のものであり、ゼラチン、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、コンニャクガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、寒天、ジェランガムまたはゲル化剤の混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本願の一実施形態において、第1ゲル化剤を含むチュアブルで食用する水中油型ゲル組成物を提供する。一実施形態において、チュアブルで食用する水中油型ゲル組成物は、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプンからなる群から選択される1つまたは複数の第2ゲル化剤をさらに含む。
【0050】
本願の一実施形態において、ゲル化剤を含むゲル組成物を提供し、ここで、このゲル化剤は、第1ゲル化剤と第2ゲル化剤との組み合わせであってもよい。
【0051】
本発明の様々な態様において、第1ゲル化剤は、ゼラチン、カラギーナン、ペクチン、コンニャクガム、グアーガム、他のゲル化剤およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数であってもよい。好ましくは、第1ゲル化剤はゼラチンであってもよく、例えば、任意の哺乳動物のコラーゲンまたは任意の水生生物のコラーゲンから製造されたゼラチンであってもよい。好ましくは、前記第1ゲル化剤は、ゼラチンとペクチン、カラギーナンとコンニャクガム、またはカラギーナンである。好ましくは、ゼラチンとペクチンとの質量比は2:1~12:1である。好ましくは、コンニャクガムとカラギーナンとの質量比は1:4~3:1である。ゲル組成物の総重量に基づいて、第1ゲル化剤は1~15wt%であってもよく、好ましくは2~12wt%である。第2ゲル化剤は、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプン、他のゲル化剤およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数であってもよい。好ましくは、第2ゲル化剤は、キサンタンガム、アラビアガム、アラビアガムと加工デンプン、ローカストビーンガム、またはジェランガムであってもよい。好ましくは、アラビアガムと加工デンプンとの質量比は3:1~5:1である。ゲル組成物の総重量に基づいて、第2ゲル化剤は0.1~2wt%であってもよく、好ましくは0.2~1.0wt%である。好ましくは、本願のゲル組成物に使用されるゲル化剤は、ゼラチンとキサンタンガムとの組み合わせ、ゼラチンとアラビアガムと加工デンプンとの組み合わせ、ゼラチンとペクチンとアラビアガムとの組み合わせ、カラギーナンとコンニャクガムとローカストビーンガムとの組み合わせ、およびカラギーナンとジェランガムとの組み合わせである。このようなゲル化剤の組み合わせは、組成物の保水能力および油水界面の安定化効果を著しく向上させ、油水分離を改善する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「安定化剤」という用語は、組成物に使用されると、組成物の安定性(例えば光安定性、熱安定性、貯蔵安定性)などを改善することが実験的に見出された添加剤を指す。例えば、水添パーム油は、実験により、油脂を硬化させる効果があることがわかっており、その効果は、回転式レオメーターを使用して粘度試験によって検出することができる。結果は、水添パーム油が油脂の粘度を高めることで、系内の油脂の安定性を改善することができることを示した。試験した結果、魚油(水添油なし)の粘性係数は0.85であり、魚油と水添パーム油の粘性係数は1.03である(試験グラフを図1と2に示す)。具体的に、ハック回転レオメータ(Hack Rotational Rheometer)を使用して粘度測定を行い、温度を25℃に設定し、CRモード(せん断速度制御)に設置し、測定サンプルを試験台に配置し、設定されたパラメータに従って粘度を測定する。測定プローブを回転してサンプルを剪断させ、力検出ユニットに介してソフトウェアに送信し、せん断速度に対応するせん断応力を定量的に示す。図1で使用されたサンプルは純粋な魚油であり、図2で使用されたサンプルは、魚油+5%水添パーム油を60℃~80℃の温度で加熱して溶解し、冷却して得られたた均一な混合物である。上記の方法で粘度を測定した。なお、X軸はせん断速度を表し、Y1軸はせん断応力を表し、Y2軸は粘度を表す。2つのサンプルの粘性係数は、カーブフィッティングによって得られ、値が大きいほど、対応する粘度が高くなる。
【0053】
本願の実施形態において、本願のゲル組成物に使用される安定化剤は、パーム油(水素化、精製、エステル交換、精留からなる群から選択される1つまたは複数の処理方法によって得られ、且つ融点が39~65℃であるパーム油製品)、リン脂質、フィトステロール、食用ワックス、同様の効果を持つその他の物質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数であってもよい。好ましくは、安定化剤は、水添パーム油、パームステアリン、リン脂質、蜜蝋、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数である。より好ましくは、安定化剤は、水添パーム油、パームステアリンおよび蜜蝋から選択される1つとリン脂質との混合物である。例えば、安定化剤は、水添パーム油とリン脂質との混合物であってもよい。一実施形態において、安定化剤は、質量比が3~15:1である水添パーム油、パームステアリンまたは蜜蝋とリン脂質との混合物であってもよい。好ましくは、本願に使用される安定化剤は、質量比が(5~10):1である(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋):リン脂質の混合物である。例えば、ゲル組成物の総重量に基づいて、リン脂質は0.2~1wt%の範囲内であるが、これらに限定されない。或いは、ゲル組成物の総重量に基づいて、水添パーム油、パームステアリンまたは蜜蝋は2~5wt%の範囲内であり、例えば2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%、4.5wt%である。このような安定化剤は、油脂を固化する効果を達成し、油脂の安定性に重要な役割を果たし、ゲル組成物の安定性を改善することができる。さらに、ゲル組成物中のリン脂質の使用は、組成物の流動性を改善することができる。
【0054】
一実施形態において、水中油型ゲル組成物は、0.1~7wt%の安定化剤を含む。一実施形態において、前記安定化剤は、2~5wt%の水添パーム油、パームステアリンまたは蜜蝋と0.2~1wt%のリン脂質との混合物である。
【0055】
本願のゲル組成物には、医薬品、食品および/またはヘルスケア製品に使用できる他の添加剤を含んでいても良く、例えば甘味剤、酸性調整剤、充填剤、矯味剤、着色剤、抗酸化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
一実施形態において、甘味剤は、キシリトール、ソルビトールおよび他のアルジトールからなる群から選択される1つまたは複数であってもよい。好ましくは、甘味剤は、ゲル組成物の総重量の10~30wt%であってもよい。
【0057】
一実施形態において、酸性調整剤は、クエン酸およびその塩、リンゴ酸および他の酸性調整剤のうちの1つまたは複数であってもよい。好ましくは、酸性調整剤は、ゲル組成物の総重量の0.05~0.5wt%であってもよい。
【0058】
一実施形態において、充填剤は、難消化性デキストリン、イヌリンおよび他の充填剤からなる群から選択される1つまたは複数であってもよい。好ましくは、充填剤は、ゲル組成物の総重量の0~5%であってもよい。
【0059】
別の一実施形態において、矯味剤は、例えば、油溶性エッセンス、水溶性エッセンスおよび他の食品用エッセンスからなる群から選択される1つまたは複数のエッセンスであってもよい。好ましくは、矯味剤は、ゲル組成物の総重量の0~5wt%であってもよい。
【0060】
また、別の一実施形態において、着色剤は、例えば、油溶性色素、水溶性色素などの食用色素からなる群から選択される1つまたは複数の食用色素または着色果物/野菜ジュースであってもよい。好ましくは、着色剤は、ゲル組成物の総重量の0~0.5wt%であってもよい。
【0061】
本願の実施形態において、ゲル組成物は、ゲル組成物を100wt%まで補充する水を含み、即ち、残部は水である。一実施形態において、例えば、水は、ゲル組成物の総重量の10~30wt%であるが、これに限定されない。
【0062】
本願の別の一実施形態において、前記のチュアブルで食用する水中油型ゲル組成物の製造方法を提供する。前記ゲル組成物は、第1ゲル化剤、安定化剤と油脂と均一に混合すること;および得られた混合物を成形することを含む方法によって、製造することができる。
【0063】
一実施形態において、製造方法は、
(1)第1ゲル化剤を水で60~80℃に加熱して完全に溶解させること;
(2)安定化剤を油脂に加え、均一に混合すること;
(3)工程(1)で得られた混合物と工程(2)で得られた混合物を、60~80℃の温度で均一に混合し、3~8分間均質化、乳化すること;および
(4)工程(3)で得られた混合物を成形し、所望のゲル組成物を得て、前記成形は以下の方式(a)~(c)のうちの1つであることを含む。
(a)工程(3)で得られた混合物をブリスターに注ぐこと;
(b)工程(3)で得られた混合物をカプセルに充填すること;
(c)工程(3)で得られた混合物を、アルミプラスチック複合ポーチ、耐高温材料製包装容器から選択される1つまたは複数を含む包装材料に包装すること。
【0064】
製造方法は、工程(3)で均質化、乳化した後、以下の操作をさらに含んでいてもよい。第2ゲル化剤を加えること;さらに7~15分間均質化、乳化すること;ここで、前記第2ゲル化剤は、キサンタンガム、寒天、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、加工デンプンからなる群から選択される1つまたは複数である。
【0065】
本願の別の一実施形態において、前記のゲル組成物の製造方法を提供する。前記ゲル組成物は、第1ゲル化剤、安定化剤と油脂とを均一に混合すること;その後、第2ゲル化剤を加え、均一に混合すること;および、得られた混合物を成形することを含む方法によって、製造することができる。
【0066】
一実施形態において、製造方法は、
(1)第1ゲル化剤を適量の水で加熱して完全に溶解させ、温度を維持すること;
(2)安定化剤を油脂に加え、均一に混合し、温度を維持すること;
(3)工程(1)および工程(2)で得られた混合物を60~80℃で均一に混合し、ホモジナイザーで5~10分間程度均質化、乳化した後、第2ゲル化剤を加え、さらに10~15分間程度均質化、乳化すること;および
(4)工程(3)で得られた組成物を成形し、所望のゲル組成物を得ることを含む。
【0067】
さらなる実施形態において、製造方法は、
(1)第1ゲル化剤と、必要に応じて甘味剤、酸性調整剤、着色剤、水溶性矯味剤とを、適量の水に、60~80℃で加熱して完全に溶解させ、温度を維持すること;
(2)安定化剤と、必要に応じて抗酸化剤、油溶性矯味剤とを油脂に加え、均一に混合し、温度を維持すること;
(3)工程(2)で得られた混合物を工程(1)の混合物に加え、60~80℃で均一に混合し、ホモジナイザーで5~10分間程度均質化、乳化した後、第2ゲル化剤を加え、さらに10~15分間均質化すること;および
(4)工程(3)で得られた組成物を成形し、所望のゲル組成物を得ることを含む。
【0068】
ここで、工程(4)のおける成形は以下の方式(a)~(c)のうちの1つを含んでいてもよい。
(a)工程(3)で得られた混合物をブリスターに注ぐこと;
(b)工程(3)で得られた混合物をカプセルに充填すること;および/または
(c)工程(3)で得られた混合物を包装材料に包装すること。
【0069】
好ましくは、前記包装材料は、アルミプラスチック複合ポーチ、耐高温材料製包装容器から選択される1つまたは複数を含む。
【0070】
本願の他の実施形態において、食品、医薬品またはヘルスケア製品における前記のゲル組成物の使用を提供する。前記の食品、医薬品またはヘルスケア製品はチュアブル形態であってもよい。
【0071】
以下、実施例を参照して、本願をさらに詳しく説明するが、当業者は、これらの実施例が説明のために提供されるものであり、本願を限定するものではないことを理解すべきである。
【0072】
実施例
以下、実施例を挙げて本願の実施形態を詳しく説明するが、当業者は、以下の実施例が本願を説明するためにのみ使用され、本願の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解する。実施例に特定の条件が示されていない場合は、従来の条件または製造元が推奨する条件に従って実施する。実施例に製造元が示されていない場合、使用される試薬や機器は、すべて市販品である。特に明記されていない限り、記載されているすべての量は、総重量に基づいて重量部で記載されている。本願は、記載されている具体的な実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0073】
製造方法:
1.水相:キシリトール、ソルビトール、クエン酸カリウム、難消化性デキストリン、第1ゲル化剤(例えば、ゼラチン、カラギーナン)を、適量の水に、60℃で加熱して、完全に溶解させた。
【0074】
2.油相:混合トコフェロール、レモンエッセンス、水添パーム油、リン脂質を油脂(例えば、魚油)に加え、均一に混合した後、60℃で保温した。
【0075】
3.油相を水相に加え、均一に攪拌した後に、ホモジナイザーに入れ、60℃で10分間均質化させ、得られた組成物をブリスターに注いで成形した。或いは、均質化させた後、第2ゲル化剤(例えば、キサンタンガム、アラビアガム)をさらに加え、再び10分間均質化させ、得られた組成物をブリスターに注いで成形した。
【0076】
上記の製造方法に従って、ゲル組成物1~25を作成した。それらの具体的な成分を以下の表1に示す。
【0077】
測定方法:
【0078】
質感測定:
テクスチャーアナライザーを使用し、TPA法に従って、作成したゲル組成物について質感測定を実施した。各ゲル組成物から20個の並列サンプル(parallel sample)を採取し、測定した値の平均値を測定した。その結果を以下の表1に示す。
【0079】
なお、質感測定は以下のように実施された。
1.テクスチャーアナライザーを利用してTPA法(texture profile analysis)によって質感測定を実施した。この方法は本分野で質感特性を測定する一般的な方法であり、二次咀嚼試験とも呼ばれ、測定プローブでサンプルに二次圧縮して、力検出ユニットで指標の定量化をじっしするものである。
【0080】
2.測定プロセス:サンプルを試験台の中央に置き、TPA法を選択し、測定ボタンを押して測定を行った。なお、並行で20個のサンプルを繰り返して測定した。
【0081】
3.データ処理:各サンプルの測定結果は、機器の力検出ユニットによって記録された後、ソフトウェアで処理され、最終的に具体的な値として表示された。20個の並列サンプルの各指標の平均値を結果として出力し、採点・評価を行った。
【0082】
油脂析出試験:
遠心分離機を使用して、得られたゲル組成物の油脂の析出の程度を検出した。同量のエマルジョンを量り、高速で遠心分離して層状化させた。析出した油層を分離して秤量した。各ゲル組成物から3つの並列サンプルを採取し、測定値の平均を測定結果として使用した。結果は以下の表1に示す。
【0083】
なお、油脂析出試験は以下のように実施された。
1.試験条件:装置は遠心分離機であり、保持温度は55℃であり、回転速度は8000rpmに設定され、遠心分離時間は5minであった。
【0084】
2.測定プロセス:成形前のエマルジョンを一定の質量で秤量して遠心分離管に入れ、エマルジョンと遠心分離管の総質量を記録した。次に、遠心分離機に対称的に配置された遠心分離管に同量の水を加え、上記の試験条件下で遠心分離を行った。遠心分離後、ピペットを使用して上層の油脂を吸い出した後、遠心分離管と残りのエマルジョンの総質量を秤量した。なお、3つのサンプルを並行して測定した。
【0085】
3.データ処理:上記測定した質量の差を算出して、油脂の析出量を求めた。さらに、その単位をg/10gに変換し、3つの並列サンプルのデータを結果として出力し、採点評価を行った。
【0086】
測定されたゲル組成物の質感測定および油脂析出試験のデータを等級分けして採点し、統一的に点数で表された。最後に、各点数を加算して、合計点数で各実施例の効果を総合的に評価した。
硬度(g):<6500を1点とし;6500~6999を2点とし;7000~7499を3点とし;7500~7999を4点とし;8000~8499を5点とし;8500~8999を4点とし;9000~9499を3点とし;9500~9999を2点とし;≧10000を1点とする。
弾力性:<0.60を1点とし;0.60~0.69を2点とし;0.70~0.79を3点とし;0.80~0.89を4点とし;0.90~0.99を5点とし;1.00~1.09を4点とし;1.10~1.19を3点とし;1.20~1.29を2点とし;1.30~1.39を1点とする。
緻密性:<0.50を1点とし;0.50~0.59を2点とし;0.60~0.69を3点とし;0.70~0.79を4点とし;0.80~0.89を5点とし;0.90~0.99を4点とし;1.00~1.09を3点とし;1.10~1.19を2点とし;1.20~1.29を1点とする。
油脂析出量(g/10g):≧0.90を1点とし;0.80~0.89を2点とし;0.70~0.79を3点とし;0.6~0.69を4点とし;<0.6を5点とする。
表1-1

表1-2
表1-3
表1-4

表1-5

表1-6

表1-7
【0087】
上記の表からわかるように、本願ゲル組成物(第1ゲル化剤(ゼラチン)と第2ゲル化剤(キサンタンガム)との組み合わせおよび安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋+リン脂質)を含む)は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する各指標のほとんどが優れたこと(5点)を示し、わずかな指標のみが4点になり、優れた総合性能(総合点数は20点満点に近いか等しいである)を示した。なお、本願ゲル組成物の油脂含有量は、組成物の総重量の最大70wt%に達することができる。
【0088】
第1ゲル化剤(ゼラチン)および第2ゲル化剤(キサンタンガム)のみを使用し、安定剤を使用しなかった場合、組成物が55wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する点数のほとんどが低レベルまたは中レベル(1~3点)の程度のみに達することができ、わずかな指標のみが4点に達し、総合点数が中程度または不良(8~12点)であった。
【0089】
第1ゲル化剤(ゼラチン)および一部の安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋)のみを使用し、第2ゲル化剤(キサンタンガム)および一部の安定化剤(リン脂質)を使用しなかった場合、組成物が55wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する点数が中レベル(3~4点)の程度のみに達することができ、総合点数が中程度(12~13点)であった。
【0090】
第1ゲル化剤(ゼラチン)および一部の安定化剤(リン脂質)のみを使用し、第2ゲル化剤(キサンタンガム)および一部の安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋)を使用しなかった場合、組成物が55wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する点数が低レベルまたは中レベル(2~3点)の程度のみに達することができ、総合点数が中程度(11~12点)であった。
【0091】
第1ゲル化剤(ゼラチン)および安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋+リン脂質、且つ水添パーム油:リン脂質の質量比が5~10:1)のみを使用し、第2ゲル化剤(キサンタンガム)を使用しなかった場合、組成物が55wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する指標のほとんどの点数が中レベル(4点)であり、わずかな指標のみが3点であり、総合点数が中程度または良好(15~16点)であったが、本願のゲル組成物の点数よりも低い。
【0092】
第1ゲル化剤(ゼラチン)のみを使用し、第2ゲル化剤(キサンタンガム)および安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋+リン脂質)を使用しなかった場合、組成物が55wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出の面で、いずれも不良であり、わずかな指標のみが中レベルに達し(1~3点)、総合点数が不良(わずか8点)であった。
【0093】
水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋の代わりに、性質の近いモノアシルグリセロールを一部の安定剤としてゲル組成物に添加し、第1ゲル化剤(ゼラチン)、第2ゲル化剤(キサンタンガム)および一部の安定化剤(リン脂質)と組み合わせて使用した場合、組成物が55wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出の面で、いずれも低レベルまたは中レベル(1~3点)の程度のみに達し、総合点数が不良または中程度(7点および15点)であった。
【0094】
水添パーム油の代わりに、蜜蝋を一部の安定剤としてゲル組成物に添加し、第1ゲル化剤(ゼラチン)、第2ゲル化剤(キサンタンガム)および一部の安定化剤(リン脂質)と組み合わせて使用した場合、組成物が55wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出の面で、いずれも高レベルまたは中レベル(4~5点)であり、総合点数が優良(17~18点)であった。
【0095】
水添パーム油の代わりに、パームステアリンを一部の安定剤としてゲル組成物に添加し、第1ゲル化剤(ゼラチン)、第2ゲル化剤(キサンタンガム)および一部の安定化剤(リン脂質)と組み合わせて使用した場合、組成物が55wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出の面で、いずれも高レベルまたは中レベル(4~5点)であり、総合点数が優良(17~18点)であった。
【0096】
第1ゲル化剤(ゼラチン)、第2ゲル化剤(アラビアガムおよび加工デンプン)および安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋+リン脂質)を使用した場合、組成物が60wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する点数が、中レベルまたは高レベル(4~5点)の程度に達することができ、総合点数が優良(17点)であった。
【0097】
第1ゲル化剤(ゼラチンおよびペクチン)、第2ゲル化剤(アラビアガム)および安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋+リン脂質)を使用した場合、組成物が60wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する点数が、中レベルまたは高レベル(4~5点)の程度に達することができ、総合点数が優良(17点)であった。
【0098】
第1ゲル化剤(カラギーナンおよびコンニャクガム)、第2ゲル化剤(ローカストビーンガム)および安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋+リン脂質)を使用した場合、組成物が60wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する点数の殆どが、中レベル(4点)の程度に達することができ、わずかな指標のみが5点および3点であり、総合点数が良好(16点)であった。
【0099】
第1ゲル化剤(カラギーナン)、第2ゲル化剤(ジェランガム)および安定化剤(水添パーム油またはパームステアリンまたは蜜蝋+リン脂質)を使用した場合、組成物が60wt%の同じ油脂含有量を有する条件下では、得られたゲル組成物は、質感(硬度、弾力性、緻密性)および油脂析出に関する点数が、中レベルから上レベル(3~5点)の程度に達することができ、総合点数が良好(16点)であった。
【0100】
上記のことから、本願は、特定のゲル化剤の組み合わせと安定剤を使用することにより、油脂の安定性を改善し、組成物の質感を改良する効果を達成したことが明らかとなった。特に、組成物の安定性は、特別に選択された安定剤の添加比は、組成物の安定性をさらに最適化することができる。また、特定の比率で第2ゲル化剤を添加すると、組成物の保水能力がより良くなるため、油水分離が改善され、より高い油脂含有量を有する組成物が得られる。
図1
図2