(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】医薬品の無菌提供を容易にする複合包装
(51)【国際特許分類】
A61F 2/78 20060101AFI20240209BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240209BHJP
A61J 1/14 20230101ALI20240209BHJP
【FI】
A61F2/78
B65D77/04
A61J1/14
(21)【出願番号】P 2022533536
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2020084340
(87)【国際公開番号】W WO2021110783
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】102019133076.9
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヘンケ
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0274809(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0098139(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03357444(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第19603476(DE,A1)
【文献】国際公開第2006/109668(WO,A1)
【文献】特表2014-508552(JP,A)
【文献】特表2013-516207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0071061(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0359376(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0060050(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0110879(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/02
A61F 2/78
B65D 77/04
A61J 1/14
A61B 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌医療機器用の滅菌包装であって、
二重滅菌包装として、
内側の第1の滅菌バリアと、
前記第1の滅菌バリアと分かれて独立しており、外側包装内に含まれている外側の第2の滅菌バリアと、を備えており、
前記外側包装は、
板紙と、少なくとも1つのコーティングまたはフィルムと、の複合材料で構成され、
前記複合材料の前記コーティングまたはフィルムは、前記滅菌包装の前記外側の第2の滅菌バリアを形成するように構成されて提供され、
少なくとも1つの滅菌医療機器が含まれる第1の滅菌バリアとして構成された
内側包装は、第2の滅菌バリアとして形成された前記外側包装が開封されるとき、突き出すことを特徴とする、滅菌包装。
【請求項2】
前記外側包装の一部は、ガス透過性であるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項3】
前記外側包装は、セロハンでさらに囲まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項4】
前記外側包装の前記複合材料は、板紙と、プラスチック・ホイルと、から作られる多層複合材料で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項5】
前記外側包装の前記複合材料は、板紙と、プラスチック・ホイルと、アルミ・ホイルと、の多層複合材料で構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項6】
前記多層複合材料は、内側から外側に向かって、ポリエチレン・フィルムの2つの層と、アルミ・ホイルの層と、続いてポリエチレン・フィルムの別の層と、紙/板紙の層と、ポリエチレン・フィルムの外層と、で構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項7】
前記滅菌包装の第2の滅菌バリアとして形成された前記外側包装は、所定の破壊点を有することを特徴とする、請求項1に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項8】
前記所定の破壊点は、前記滅菌包装の第2の滅菌バリアとして形成された前記外側包装の上部の3分の1に位置することを特徴とする、請求項7に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項9】
前記所定の破壊点は、ミシン目を入れられていることを特徴とする、請求項7に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項10】
前記外側包装の前記複合材料の前記多層複合材料の少なくとも1つの層は、ミシン目を入れられていないことを特徴とする、請求項
4に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項11】
前記外側包装の前記複合材料の前記多層複合材料の
最内層を除いて、前記多層複合材料のすべての層は、ミシン目を入れられていることを特徴とする、請求項
4に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【請求項12】
前記所定の破壊点は、プル・タブ/剥離タブをさらに備えていることを特徴とする、請求項7に記載の滅菌医療機器用の滅菌包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、好ましくは、内側の第1の滅菌バリアと、(必須の)外側の第2の滅菌バリアと、を備える滅菌包装に関し、外側の第2の滅菌バリアは、滅菌医療機器、特にインプラントを適切に包装するために、存在する可能性のある第1の滅菌バリアとは分かれて独立して形成される。
【背景技術】
【0002】
インプラントなどの医療機器は、使用するまで微生物による汚染を防ぐ適切な包装に保管する必要がある。一般に、DIN EN ISO 11607パート1およびパート2とEN868 2-10など、特定の公式基準が医療機器または滅菌製品の包装に適用され、その要件は、それぞれの医療機器に適合した適切かつ同時に安全な包装を確保するために、医療機器のメーカや病院などの医療施設によっても満たされる必要がある。例えば、DIN EN ISO 11607パート1では、材料と、滅菌バリア・システムと、包装システムの一般的な要件が記載されている。
【0003】
適切な包装を選択する場合、包装する医療機器の性質と、ユーザの要件と、構造条件と、輸送ロジスティクスなど、いくつかの側面が決定的な役割を果たす。しかし、対応する使いやすさと安全性の側面も非常に重要である。例えば、包装は、製品の充填と細菌気密密閉を容易にすると同時に、損傷を防ぐのに十分な堅牢性を確保する必要がある。包装または内容物の適切なラベル付けと包装の滅菌も可能でなければならない。医療機器の滅菌性の喪失は、輸送および保管中の外部の影響と衝撃よりも保管期間に依存しないため、医療機器の包装も、それぞれの医療機器の輸送および保管条件を考慮して選択する必要がある。例えば、透明な包装を繰り返し取り扱うと、材料の破損、密閉シームの緩み、チャネルの形成、または穿孔が発生する可能性がある。
【0004】
膝や股関節のインプラントなどのインプラントは、現在、通常、二重滅菌方式で包装されている。これは、それぞれのインプラントが2つの連続したブリスター、剥離ポーチ、両方の組み合わせ、または手術室で無菌提供を可能にする類似のものに包装されていることを意味する。実際には、手術中の二重滅菌包装医療機器の正しい無菌提供を行うには、最終的に患者に医療機器を挿入する、または手術中にその医療機器を使用する医師に加えて、2人の手術室看護師が必要である。2人の手術室看護師のうちの1人は、「非滅菌の役割」、即ち、二重滅菌包装の医療機器が含まれている既存の外側包装の開封と、第2の滅菌バリアとして形成される外側ブリスター、剥離ポーチなどの開封を担い、一方、2人の手術室看護師のうちのもう1人は「滅菌の役割」を担い、第1の滅菌バリアとして形成される内側ブリスター、剥離ポーチなどを正しく開封する責任がある。
【0005】
しかし、単純な滅菌包装は、組織接着剤などの特定の医療製品だけでなく、使い捨てメスや脊椎手術で使用される一部の製品にもまた良い。
【0006】
いわゆる複合包装は、現在、食品包装部門全体でほぼ使用されている。複合包装は、結合/複合材料から作られている。つまり、結合/複合材料は、個々の材料構成要素とは異なる材料特性を有し、個々の材料構成要素の特性を超えさえする、2つ以上の材料の結合物で構成されている。単一の材料では、すべての所望の特性を提供することはできないため、様々な材料は、所望の特性を有し、同時に食品業界の包装要件を満たす複合材料を形成するために組み合わされる。
【0007】
食品業界で最も一般的に知られている複合包装の例は、飲料用カートン、または飲料や液体食品用のそれぞれの使い捨て包装である。それらは、板紙、プラスチック、および多くの場合、アルミニウムの薄層で構成されており、表面全体に接着されており、手で分離できない。このような構造は、光と酸素から保護し、このようにして、酸化プロセスと、コールド・チェーン外の包装食品のビタミンとアロマの破壊と、を抑制し、またはそれぞれを遅くする。
【0008】
複合包装がその組成に応じて提供できる広範な利点を考慮して、複合包装または複合材料の使用は、医療機器の包装に課せられた多数の要件を効率的に満たすために、滅菌医療機器の包装、特にインプラント用の包装にも意味があるように思われる。
【0009】
(先行技術)
先行技術からの現在一般的な包装ソリューションは、医療機器の二重滅菌バリア包装である。このような滅菌包装は、医療機器メーカの大多数によって使用されており、内側の第1の滅菌バリアと、外側の第2の滅菌バリアで構成されており、ブリスター、剥離ポーチなどが、両方の滅菌バリアを形成/作成するために使用される。すなわち、包装される滅菌医療機器は、第1の滅菌バリアとして形成される内側ブリスター、剥離ポーチなどに入れられる。この内側ブリスター、剥離ポーチなどは次に、第2の滅菌バリアとして形成された外側ブリスター、剥離ポーチなどに挿入される。内側ブリスター、剥離ポーチなど、およびその内部にある滅菌医療機器を含むこの外側ブリスター、剥離ポーチなどは次に、外側カートンに入れられ、輸送中の保護を強化するためにさらにパッドを入れられてもよい。最後に、外側カートンはまた、保護のためにセロハンで囲まれてもよい。
【0010】
手術中に無菌的にこのような二重滅菌包装医療機器を提供するには、すでに述べたように、「非滅菌手術室看護師」と「滅菌手術室看護師」の両方が必要である。「非滅菌手術室看護師」は、最初に、包装を囲むセロハンが存在する場合、手術中に非滅菌区域でセロハンを除去し、包装を開封する、またはそれぞれ開き、二重滅菌包装医療機器を提供する。次に、「非滅菌手術室看護師」は、外側カートンから、二重滅菌包装医療機器、より正確には、第1の滅菌バリアとして形成された内側ブリスター、剥離ポーチなど、およびそれらの中に含まれる滅菌医療機器を含む第2の滅菌バリアとして形成された外側ブリスター、剥離ポーチなどを取り出す。これで、第2の滅菌バリアとして形成された外側ブリスターや剥離ポーチなどが、「非滅菌手術室看護師」によって無菌的に開封され、第1の無菌バリアとして形成された内側ブリスター、剥離ポーチなどは、滅菌区域にいる「滅菌手術室看護師」に引き渡される/提供される。次に、それらの中に含まれる滅菌医療機器を含む第1の滅菌バリアとして形成された内側ブリスター、剥離ポーチなどは、「滅菌手術室看護師」によって、第2の滅菌バリアとして形成された開封した外側ブリスター、剥離ポーチなどから取り出され、手術室の滅菌区域で開封される。次に、内部の滅菌医療機器が手術を行う医師に渡され、患者上および/または患者内で使用される。
【0011】
第2の滅菌バリアとして形成された外側ブリスター、剥離ポーチなどを開封するとき、「非滅菌手術室看護師」は、第1の滅菌バリアとして形成された内側ブリスター、剥離ポーチなどが不適切な取り扱いによって非滅菌にならないようにすることを確保する必要がある。さらに、滅菌されていない、および/または損傷した医療機器は、もはや患者に使用してはならない/すべきではないため、医療機器が滅菌されたままで、床に落ちたり、他の方法で損傷したりしないように、「非滅菌看護師」と「滅菌看護師」の両方が、上記のすべてのステップで細心の注意を払う必要がある。さらに、剥離ポーチなどの一般的な包装はしっかりと密閉されているため、開封することが非常に難しいか、ぐいと引くことでしか開封することができない。したがって、手術室看護師は、それらを開封するために比較的大きな力を加えなければならない。これらの状況および手術中のしばしば存在する時間的制約は、しばしば、医療機器の無菌提供におけるエラー、またはそれぞれ、医療機器の無菌提供の望ましくない複雑な問題につながる。
【0012】
先行技術による二重滅菌包装医療機器はまた、かなり大きな全体的な包装作業を有し、比較的多くの包装量を占める。
【0013】
しかし、単一の滅菌バリアの場合でも、滅菌包装された医療機器は、好ましくは板紙から作られる追加の再配布/外側包装に包装され、全体的な包装作業が増加する。
【0014】
したがって、滅菌医療機器、特にインプラント用の単一および二重滅菌バリア包装が必要であり、これにより、手術中の滅菌医療機器のより単純であまり複雑でない無菌提供が可能になり、同時に、先行技術の同等の滅菌包装よりも大幅に少ない包装量で済み、包装廃棄物が少なくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、上記の問題を考慮して、本発明の基本的な目的は、滅菌医療機器、特にインプラント用の単一または二重滅菌バリアを備えた滅菌包装を提供することであり、これは、追加の外側包装にもかかわらず、全体的な包装材料および/または包装作業を節約し、したがって、一方では包装廃棄物を、他方では医療機器の包装および包装プロセスのために製造業者が負担するコストを大幅に削減する。
【0016】
本明細書において、本発明のさらなる目的は、より実用的な開封機構を使用して、包装された滅菌医療機器の無菌提供を簡素化し、医療機器の複雑な開梱を回避することである。同時に、本発明は、「非滅菌手術室看護師」の個々の開梱ステップを減らすことができ、それは、作業負荷を最小化し、手術中の時間を節約する結果となる。さらに、開梱ステップの削減と簡素化された開封機構はまた、開梱プロセス中に医療機器が落下、損傷、または一般に滅菌されなくなるリスクを低減する。
【0017】
この目的は、特許請求項1の特徴を有する滅菌包装によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明の核となるアイデアは、(内側の)第1の滅菌バリアと、好ましくは(外側の)第2の滅菌バリアと、を有する滅菌包装であって、先行技術で提案されているように、対応する外側包装に含まれている滅菌包装を提供することのみではなく、さらに、該当する場合には、外側包装の特別な構造を使用して、外側の第2の滅菌バリア(存在する場合)と外側包装のそれぞれの特性と機能を組み合わせることである。
【0019】
言い換えれば、滅菌包装の外側包装は、例えば飲料カートンの意味での複合包装として設計されている。このようにして、いくつかの機能を外側包装によって実現することができ、さらに、(単に)存在するそれぞれを、外側の第2の滅菌バリアを二重包装する場合に外側包装に形成することができる。これにより、一方では、手術中の滅菌包装に含まれる医療機器の無菌提供が簡素化され、包装量と包装材料も削減される。
【0020】
具体的には、滅菌医療機器、特にインプラント用の滅菌包装が提供され、これは、(内側の)第1の滅菌バリアと、該当する場合には、外側の第2の滅菌バリアと、を備えており、第2の滅菌バリアは、第1の滅菌バリアと分かれて独立しており、外側包装に含まれている。本発明によれば、外側包装は、とりわけ板紙と少なくとも1つのコーティングまたはフィルムとの複合材料から作られており、単一の外側の第2の滅菌バリア、二重滅菌包装の場合には滅菌包装の外側の第2の滅菌バリアを形成するように構成されて提供される。さらに、本発明による滅菌包装は、他の滅菌製品にも使用され得る。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、外側包装がセロハンでさらに囲まれている場合に有利である。他のプラスチックと比較して、セロハンは化石原料ではなく再生可能原料から製造されており、堆肥化可能である。これにより、セロハンは一般に、包装に使用される従来のフィルムよりも環境に優しいものになる。セロハンは一方で防水性を有するが、水が蒸気分子として通過できるという利点も有しており、滅菌包装内に水が蓄積することを防ぐ。透明性に加えて、それは、優れた印刷性能も有し、通常のインクで印刷され得、一般的な包装材料として、または包装用の追加コーティングとしてそれぞれ適している。
【0022】
医療機器の包装の要件を満たす堅牢な外側(第2の)滅菌バリアを確保するために、本発明の別の態様による外側包装の複合材料は、例えば、板紙とプラスチック・フィルム、特にポリエチレン・ホイルとから作られた飲料用カートンの意味での多層複合材料から構成される。板紙は、複合材料に形状と安定性を与え、滅菌包装に印刷するための滑らかな表面も提供する。二重滅菌包装の場合、ポリエチレン・ホイルは、第1の滅菌バリアとして形成された内側包装とその内部にある医療機器を湿気から保護する。本発明のさらなる態様によれば、外側包装の複合材料はまた、板紙と、プラスチック・フィルム、特にポリエチレン・ホイルと、アルミ・ホイルとから作られる多層複合材料を備えていてもよい。この場合、ポリエチレン・ホイルは、湿気に対する保護としてだけでなく、板紙とアルミ・ホイルとの間の接着層としても機能する。アルミ・ホイルの目的は、内容物、すなわち、外側包装内の医療機器、または該当する場合は、第1の滅菌バリアとして形成された内側包装内の医療機器を、極端な温度などの外部の影響から保護することである。滅菌包装は、具体的には次のように構成することができる。多層複合材料は、内側から外側に向かって、板紙と、ポリエチレン・ホイルの2つの層と、アルミ・ホイルの層と、続いてポリエチレン・ホイルの別の層と、紙の層と、ポリエチレン・ホイルの外層とで構成されている。最も外側のポリエチレン・ホイルはさらに、板紙を浸水から保護し、多層複合材料のバリア特性を向上させる。あるいは、多層複合材料はまた、異なる構造またはそれぞれ異なる配置を有していてもよく、その機能に応じて様々に設計されてもよい。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、ガンマ滅菌などの一般的な滅菌方法に加えて、エチレンオキシドによる滅菌などの他の一般的な方法を可能にするために、多層複合材料におそらくガス透過性領域も統合することである。
【0024】
外側包装を開封して、そこに保管されている滅菌医療機器を取り出すことができるようにするために、滅菌医療機器は、第1の滅菌バリアとして形成された内側包装に入れられてもよく、おそらく滅菌包装の第2の滅菌バリアとして形成された外側包装は、本発明の一態様による所定の破壊点を有する。本発明のさらなる態様によれば、所定の破壊点は、おそらく滅菌包装の第2の滅菌バリアとして形成された外側包装の上部の3分の1に位置する。これに関して、本発明のさらに別の態様によれば、所定の破壊点はミシン目を入れられている。これにより、「非滅菌手術室看護師」は、比較的簡単に、および複雑な問題なく、外側包装を開封し、または曲げることができる。外側包装のそのような開封機構は、同時に、第1の滅菌バリアとして形成された内側包装にあってもよい滅菌医療機器が床に落下して損傷し、したがって使用できなくなるというリスクを低減する。
【0025】
ミシン目を入れられている所定の破壊点が無傷の単一または二重滅菌バリアを損なうことを防ぐために、ミシン目はすべての層を含んではならない。したがって、本発明の一態様によれば、外側包装の複合材料の多層複合材料の最内層を除いて、多層複合材料のすべての層がミシン目を入れられている。あるいは、多層複合材料のより少ないまたは特定の層のみがミシン目を入れられてもよい。言い換えれば、最内層だけでなく、多層複合材料のより多くの層は、ミシン目を有していなくてもよい。
【0026】
本発明の別の態様によれば、所定の破壊点は、プル・タブ/剥離タブをさらに備えていてもよい。所定の破壊点に加えて外側包装に組み込まれたプル・タブ/剥離タブは、滅菌包装のより簡単であまり複雑でない開封のための効率的な代替手段を提供する。
【0027】
最後に、二重滅菌包装の場合、少なくとも1つの滅菌医療機器が含まれる第1の滅菌バリアとして構成された内側包装は、第2の滅菌バリアとして形成された外側包装が開封される/曲げられるとき、本発明のさらなる態様によれば、突き出る。すなわち、第1の滅菌バリアとして形成された内側包装の上部は、第2の滅菌バリアとして構成された開封した/曲がった外側包装の上に突き出ている。このようにして、第1の滅菌バリアとして形成された内側包装は、外側包装内に手を伸ばす必要なく、「滅菌手術室看護師」によって単純および簡単に取り外され得る。
【0028】
この時点で、上記の態様は、個別に、また互いに任意の組み合わせで、述べられた目的を解決することができ、したがって、本出願の範囲内で個別にまたは任意の組み合わせで請求可能であることが意図されていることを明示的に指摘する必要がある。
【0029】
本発明は、添付の図面を参照して好ましい構成例を使用することにより、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の第1の構成例による、滅菌医療機器用の滅菌包装を示す図である。
【
図2】本開示の第1の構成例による、滅菌医療機器用の開封された滅菌包装の上面図を示す。
【
図3】本開示の第1の構成例による、滅菌医療機器用の開封された滅菌包装の正面図を示す。
【
図4】本開示の第2の構成例による、滅菌医療機器用の滅菌包装を示す図である。
【
図5】本開示による滅菌包装の外側包装の典型的な構造の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の構成例を、関連する図に基づいて以下に説明する。同一または機能的に同等の特徴は、個々の図で同じ参照符号で提供される。
【0032】
図1は、滅菌医療機器、特にインプラント用の未開封の滅菌包装1を示し、滅菌包装1は、
図1に示されない内側の第1の滅菌バリア2と、第1の滅菌バリア2と分かれて独立して形成されており、外側包装4内に含まれる外側の第2の滅菌バリア3と、を有する。外側包装4は、
図1に詳細に示されない複合材料から構成され、板紙5と、少なくとも1つのコーティングまたはフィルムと、を含み、滅菌包装1の第2の滅菌バリア3を形成するように構成されて提供される。
【0033】
さらに、滅菌包装1の第2の滅菌バリア3として形成された外側包装4は、外側包装4を開封するように機能する所定の破壊点9を有する。
図1の外側包装4はまだ開封していない/閉じているため、所定の破壊点9と外側の第2の滅菌バリア3の両方は、まだ無傷である。所定の破壊点9は、滅菌包装1の第2の滅菌バリア3として形成された外側包装4の上部の3分の1に配置されており、第2の滅菌バリア3として形成された外側包装4内に位置する第1の滅菌バリア2として形成された内側包装11の取り出しを容易にする。
図1の第1の構成例によると、所定の破壊点9は、外側包装4のミシン目によって達成される。予めミシン目が入れられている場合に外側の第2の滅菌バリア3を危険にさらさないために、および外側包装4内に含まれる医療機器の滅菌性を確保するために、予め入れられるミシン目は、すべての層を含んではならない。即ち、少なくとも複合材料の最内層は、ミシン目を入れられていない。したがって、本発明によれば、外側包装4の複合材料の多層複合材料の最内層を除いて、多層複合材料のすべての層は、ミシン目を入れられている。しかしながら、あるいは、多層複合材料のより少ないまたは特定の層のみが、ミシン目を入れられてもよい。言い換えれば、最内層だけでなく、多層複合材料のより多くの層は、ミシン目を入れられていなくてもよい。
【0034】
さらに、滅菌包装1は、
図1にさらに示されていないが、セロハンで囲まれ/被覆されてもよく、セロハンは、撥水性により滅菌包装1を湿気からさらに保護し、滅菌包装1の内部に水が蓄積することを防ぐ。実際には、「非滅菌手術室看護師」は、外側包装4を囲んでもよいセロハンを除去し、外側包装4を所定の破壊点9で曲げ/破壊して開封することによって、第2の滅菌バリア3として形成された外側包装4を開封する。このようにして、外側の第2の滅菌バリア3はまた、同時に破壊されて開封される。
【0035】
図2では、
図1の本開示の第1の構成例による滅菌包装1は、上から開封状態で示されている。第2の滅菌バリア3として形成された外側包装4を所定の破壊点9で開封する、または曲げることによって、第1の滅菌バリア2として、例えば、滅菌ブリスター、剥離ポーチなどの形態で形成された無傷の内側包装11が露出され、「滅菌手術室看護師」によって取り出され得る。
【0036】
図3は、正面から見た
図2の本開示の第1の構成例による開封された滅菌包装1を示している。この観点から、第2の滅菌バリア3として形成された外側包装4の上部の3分の1における所定の破壊点9の配置が、第1の滅菌バリア2として形成された内側包装11を取り出すことにどの程度有利であるかどうかが明らかになる。包装量、およびしたがって、包装廃棄物の発生を減らすために、第1の滅菌バリア2として形成された内側包装11と第2の滅菌バリア3として形成された外側包装4は、包装されている医療機器に応じて、サイズ/寸法に関して互いに適合される。これは、医療機器のサイズに適した第1の滅菌バリア2として形成された内側包装11内に含まれるかなり小さい医療機器が、第2の滅菌バリア3として形成された不釣り合いに大きい外側包装4内に含まれないことを意味する。これにより、第1の滅菌バリア2として形成された内側包装が、第2の滅菌バリア3として形成された開封された外側包装4を超えて突き出る、またはそれぞれ、第2の滅菌バリア2として形成された開封された外側包装4を超えて突き出ることができる。第1の滅菌バリア2として形成された内側包装11は、存在する突き出しにより、「滅菌手術室看護師」により簡単に取り出され得、滅菌医療機器は、第1の滅菌バリア2として形成された内側包装11を開封した後、主治医に手渡され得る。
【0037】
図4は、本発明による医療機器用の滅菌包装1の第2の構成例を示している。
図1から
図3の第1の構成例と同一の要素および/または構成要素には、同じ参照符号が付されており、以下では、第1の構成例と第2の構成例との相違点のみが説明される。この構成例では、滅菌包装1は、所定の破壊点9にプル・タブ/剥離タブ10をさらに備えている。所定の破壊点9に加えて、プル・タブ/剥離タブ10は、先行技術で可能であったよりも簡単に滅菌包装1を開封することがさらに可能であるように機能する。プル・タブ/剥離タブ10を引っ張ることによって、第2の滅菌バリア3として形成された外側包装4は、複雑な問題なく、および比較的大きな力を加えることなく、所定の破壊点9で引き裂かれて開封され/開封され得る。
【0038】
図5は、本開示による滅菌包装1の外側包装4の典型的な構造を示している。本発明によれば、外側包装4は、いわゆる複合材料から構成される複合包装として、例えば、飲料カートンの態様で構成される。
図5では、外側包装4の複合材料は、板紙8と、プラスチック・フィルム6、特にポリエチレン・ホイル6と、アルミ・ホイル7と、から作られる多層複合材料から構成される。しかしながら、外側包装4の複合材料は、代替的に、板紙5と、プラスチック・フィルム6、特にポリエチレン・ホイル6と、から作られる多層複合材料のみから構成されてもよい。本明細書では、個々の材料構成要素が様々な機能を果たす。板紙8は、複合材料の形状と安定性を提供し、滅菌包装1に印刷するための滑らかな表面もまた提供する。次に、プラスチック・フィルムまたはポリエチレン・ホイル6は、第1の滅菌バリア2として形成された内側包装11と、その中に入れられた医療機器を湿気から保護し、板紙5とアルミ・ホイル7との間の接着層として機能する。次に、アルミ・ホイル7は、第1の滅菌バリア2として形成された内側包装11内にあり、外側包装4に入れられた医療機器を、極端な温度などの外部の影響から保護する。材料構成要素の個々の機能を効率的に組み合わせるには、多層複合材料は、内側から外側に向かって、ポリエチレン・ホイル6の2つの層と、アルミ・ホイル7の層と、続いてポリエチレン・ホイル6の別の層と、紙または板紙8の層と、ポリエチレン・ホイル6の外層と、から構成されてもよい。あるいは、多層複合材料は異なる構造を有していてもよく、その機能に応じて様々に設計されてもよい。
【0039】
要約すると、本発明は、滅菌医療機器、特にインプラント用の滅菌包装1に関し、滅菌包装1は、内側の第1の滅菌バリア2と、第1の滅菌バリア2と分かれて独立しており、外側包装4内に含まれる外側の第2の滅菌バリア3と、を有する。本発明によれば、そのような滅菌包装1の外側包装4は、紙/板紙8と、少なくとも1つのコーティングまたはフィルムと、を含む複合材料から構成され、滅菌包装1の第2の滅菌バリア3を形成するように構成されて提供される。
【0040】
要約すると、本発明は、滅菌医療機器、特にインプラント用の滅菌包装に関し、滅菌包装は、少なくとも1つの、または複数の滅菌包装の場合には少なくとも内側の第1の滅菌バリアと、第1の滅菌バリアと分かれて独立しており、外側包装内に含まれる外側の第2の滅菌バリアと、を有する。本発明によれば、そのような滅菌包装の外側包装は、とりわけ板紙と、少なくとも1つのコーティングまたはフィルムと、から作られる複合材料から構成され、滅菌包装の第2の滅菌バリアを形成するように構成されて提供される。
【符号の説明】
【0041】
1 :滅菌包装1
2 :内側の第1の滅菌バリア
3 :外側の第2の滅菌バリア
4 :外側包装
5 :複合包装
6 :プラスチック・フィルム/ポリエチレン・ホイル
7 :アルミ・ホイル
8 :紙/板紙
9 :所定の破壊点
10 :プル・タブ/剥離タブ
11 :内側包装