IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新華三技術有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図1
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図2
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図3
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図4
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図5
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図6
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図7
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図8
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図9
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図10
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図11
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図12
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図13
  • 特許-ルート通知方法及び電子機器 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ルート通知方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/16 20220101AFI20240209BHJP
【FI】
H04L45/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022579912
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 CN2021102541
(87)【国際公開番号】W WO2022267057
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】518056748
【氏名又は名称】新華三技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】NEW H3C TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】叶 金栄
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/063232(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112511444(CN,A)
【文献】IJ. Wijnands, Ed. et al.,Multicast Using Bit Index Explicit Replication (BIER),Request for Comments: 8279,Internet Engineering Task Force (IETF),2017年11月,https://www.rfc-editor.org/rfc/pdfrfc/rfc8279.txt.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルート通知方法であって、第1の自律システムASにおける第1の自律システムボーダールータASBRに適用され、第1のASBRは、前記第1のAS内の少なくとも1つの他のASBRと共に第2のASに接続し、第1のASBR及び前記少なくとも1つの他のASBRは、第1のビット転送ルータBFRグループのメンバであり、第1のASBR及び前記少なくとも1つの他のASBRは、指定されたサブドメインSD内の第1のBFRグループプレフィックスが配置され、前記第1のBFRグループプレフィックスは、第1のBFRグループを表し、
第1のAS内の各BFRのBFR識別子IDを収集するステップと、
ルート更新UPDATEメッセージを前記第2のASに通知するステップであって、前記UPDATEメッセージには、ネットワーク層到達性情報NLRI及びビットインデックス明示的複製経路属性BIER Path Attributeが付加され、ここで、NLRIは、少なくとも第1のBFRグループプレフィックスを含み、BIER Path Attributeは、少なくとも収集された各BFR IDと、前記第1のASBRを表す第1のBFRプレフィックスとを含み、それにより前記第2のAS内で前記UPDATEメッセージを受信した少なくとも1つのASBRが、対応するビットインデックス転送テーブルBIFT転送エントリをBIFTに追加し、前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知し、前記BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと転送ビットマスクF-BMとを含み、BFRネイバーは、前記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、少なくとも前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含むステップと、を含む、
ことを特徴とするルート通知方法。
【請求項2】
前記収集された各BFR IDに対応するBFRは、前記指定されたSD内にあり、及び/又は、
前記第2のAS内で前記UPDATEメッセージを受信した各ASBRは、前記指定されたSD内にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
本AS内の各BFRのBFR IDを収集するステップは、
第1のAS内でビット転送入口ルータBFIRとしてデプロイされたBFRのBFR IDを収集するステップと、
第1のAS内でビット転送出口ルータBFERとしてデプロイされたBFRのBFR IDを収集するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記BIER Path Attributeには、第1のTLVが付加され、前記第1のTLVは、少なくとも1つのフィールドペアを少なくとも含み、各フィールドペアは、対応関係を有するBFR IDフィールドとBFR ID範囲Rangeフィールドとを含み、
第1のTLVには、少なくとも1つのフィールドペアにより、前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDが付加され、各フィールドペアにおいて、BFR ID Rangeフィールドに付加されるパラメータは、値が連続したBFR IDセグメントを表すために用いられ、BFR IDフィールドには、前記BFR IDセグメントの開始BFR IDが付加される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記BIER Path Attributeには、第2のTLVが付加され、前記第2のTLVは、少なくともBFR-Prefixフィールドを含み、
前記BFR-Prefixフィールドには、前記第1のBFRプレフィックスが付加される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記BIER Path Attributeには、さらに、第3のTLVが付加され、
前記第3のTLVにおけるタイプフィールドは、前記第1のASBRがサポートするBIERカプセル化タイプを付加するために用いられ、
前記第3のTLVは、BIERカプセル化情報フィールドをさらに含み、前記BIERカプセル化情報フィールドは、前記第1のASBRがサポートするBIERカプセル化情報を付加するために用いられ、前記BIERカプセル化情報は、前記BIFT転送エントリのエントリ識別子を決定するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記BIER Path Attributeには、さらに、SD配置フィールドが付加され、
前記SD配置フィールドには、SD配置情報が付加され、前記SD配置情報は、少なくとも前記指定されたSDと、前記第1のASBRのBFR IDとを含む、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ルート通知方法であって、第2の自律システムASにおける第2のボーダールータASBRに適用され、第2のASBRは、第1のASにおける第1のASBRに接続し、第2のASにおける第2のASBR以外の少なくとも1つの他のASBRも第1のASに接続し、第2のASBR及び前記少なくとも1つの他のASBRは、第2のビット転送ルータBFRグループのメンバであり、前記第2のASBR及び前記少なくとも1つの他のASBRは、指定されたSD内の第2のBFRグループプレフィックスが配置され、前記第2のBFRグループプレフィックスは、前記第2のBFRグループを表すために用いられ、
第1のASにおける第1のASBRが通知したルート更新UPDATEメッセージを受信するステップであって、UPDATEメッセージには、少なくともネットワーク層到達性情報NLRI及び新たに追加されたBIER Path Attributeが付加され、NLRIは、第1のBFRグループプレフィックスであり、第1のBFRグループプレフィックスに対応する第1のBFRグループのメンバは、第1のASBRと、第1のASにおける前記第2のASに接続する少なくとも1つの他のASBRとを含むステップと、
対応するビットインデックス転送テーブルBIFT転送エントリをBIFTに追加するステップであって、前記BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと、転送ビットマスクF-BMとを含み、BFRネイバーは、第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも前記BIER Path Attributeに付加された前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含むステップと、
前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを前記第2のAS内で通知し、それにより第2のAS内のBFRが前記第1のBFRグループプレフィックスに対応する複数のBIERルートを受信した時、ルート優先選択方法に従い、そのうちの1つのBIERルートを最適ルートとして選択するステップと、を含む、
ことを特徴とするルート通知方法。
【請求項9】
前記UPDATEメッセージに付加されたNLRIに対応するBIERルートを前記第2のAS内で通知するステップは、
前記BIER Path Attributeにおける第1のBFRプレフィックスを、前記第2のASBRを表すための第2のBFRプレフィックスに修正するステップと、
第2のAS内で前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを内部ゲートウェイプロトコルIGPにより再発行し、又は、前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを、内部ボーダーゲートウェイプロトコルIBGPにより、第2のAS内の指定されたBFRに通知するステップであって、前記BIERルートには、前記NLRI及び修正されたBIER Path Attributeが付加されるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
電子機器であって、プロセッサと機械可読記憶媒体とを含み、
前記機械可読記憶媒体は、前記プロセッサにより実行可能な機械実行可能命令を記憶し、
前記プロセッサは、機械実行可能命令を実行して、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法のステップを実施するために用いられる、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク通信技術の分野に関し、特にルート通知方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ビットインデックス明示的複製(BIER:Bit Index Explicit Replication)は、新規なマルチキャスト技術である。ここで、BIER機能をサポートするルータは、ビット転送ルータ(BFR:Bit-Forwarding Router)と呼ばれることができ、BFRからなるドメインは、BIERドメインと略称される。BIERドメインにおけるBFRは、ビット転送入口ルータ(BFIR:Bit-Forwarding Ingress Router)、ビット転送出口ルータ(BFER:Bit-Forwarding Egress Router)、BFIRとBFERとの間の中間BFRに細分される。マルチキャストパケットは、BFIRからBIERドメインに入り、中間BFRを介して少なくとも1つのBFERに伝送され、最終的に少なくとも1つのBFERからBIERドメインを出る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、IPv6に基づくBIERルート通知を実現するためにルート通知方法及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施例として、本発明は、以下の技術的解決手段により実現される。
【0005】
ルート通知方法であって、第1の自律システムASにおける第1のボーダールータASBRに適用され、第1のASBRは、前記第1のAS内の少なくとも1つの他のASBRと共に第2のASに接続し、第1のASBR及び前記少なくとも1つの他のASBRは、第1のビット転送ルータBFRグループのメンバであり、第1のASBR及び前記少なくとも1つの他のASBRは、指定されたSD内の第1のBFRグループプレフィックスが配置され、前記第1のBFRグループプレフィックスは、第1のBFRグループを表し、
第1のAS内の各BFRのBFR識別子IDを収集するステップと、
ルート更新UPDATEメッセージを前記第2のASに通知するステップであって、前記UPDATEメッセージには、ネットワーク層到達性情報NLRI及び第1のビットインデックス明示的複製経路属性BIER Path Attributeが付加され、ここで、NLRIは、少なくとも第1のBFRグループプレフィックスを含み、それによりBIER Path Attributeは、少なくとも収集された各BFR IDと、前記第1のASBRを表す第1のBFRプレフィックスとを含み、前記第2のAS内で前記UPDATEメッセージを受信した少なくとも1つのASBRが、対応するBIFT転送エントリをビットインデックス転送テーブルBIFTに追加し、前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知し、前記BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと転送ビットマスクF-BMとを含み、BFRネイバーは、前記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含むステップと、を含む。
【0006】
ルート通知方法であって、第2の自律システムASにおける第2のボーダールータASBRに適用され、第2のASBRは、第1のASにおける第1のASBRに接続し、第2のASにおける第2のASBR以外の少なくとも1つの他のASBRも第1のASに接続し、第2のASBR及び前記少なくとも1つの他のASBRは、第2のビット転送ルータBFRグループのメンバであり、前記第2のASBR及び前記少なくとも1つの他のASBRは、指定されたSD内の第2のBFRグループプレフィックスが配置され、前記第2のBFRグループプレフィックスは、前記第2のBFRグループを表すために用いられ、
第1のASにおける第1のASBRが通知したルート更新UPDATEメッセージを受信するステップであって、UPDATEメッセージには、少なくともネットワーク層到達性情報NLRI及び新たに追加されたBIER Path Attributeが付加され、NLRIは、第1のBFRグループプレフィックスであり、第1のBFRグループプレフィックスに対応する第1のBFRグループのメンバは、第1のASBRと、第1のASにおける前記第2のASに接続する少なくとも1つの他のASBRとを含むステップと、
対応するBIFT転送エントリをビットインデックス転送テーブルBIFTに追加するステップであって、前記BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと転送ビットマスクF-BMとを含み、BFRネイバーは、前記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも前記BIER Path Attributeに付加された前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含むステップと、
前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを前記第2のAS内で通知し、それにより第2のAS内のBFRが前記第1のBFRグループプレフィックスに対応する複数のBIERルートを受信した時、ルート優先選択方法に従い、1つのBIERルートを最適ルートとして選択するステップと、を含む。
【0007】
電子機器であって、当該電子機器は、プロセッサと機械可読記憶媒体とを含み、
前記機械可読記憶媒体は、前記プロセッサにより実行可能な機械実行可能命令を記憶し、
前記プロセッサは、機械実行可能命令を実行して、上記いずれか1つの方法のステップを実現するために用いられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の以上の技術的解決手段によれば、本発明では、第1のAS内で第2のASに接続する各ASBRが、同一のBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報(BIER Path Attributeが付加され、BIER Path Attributeは、少なくとも第1のAS内の各BFRのBFR IDを含む)を第2のASに通知し、第1のAS内のASBRが通知したネットワーク到達性情報を第2のAS内のASBRが受信した時、第1のAS内の同じBFRグループプレフィックスのBIERルート(第1のAS内の各BFRのBFR IDが付加される)を第2のAS内で通知し続け、これにより、第2のAS内の機器が第1のASの同じプレフィックスの複数のルートを受信し、ルート優先選択方法に従い、1つのルートを最適ルートとして選択することで、BIERルート計算の複雑性を低減させ、後続のメッセージ転送も保証する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例にて提供されるクロスAS BIERシナリオにおけるネットワーク図である。
図2】本発明の実施例にて提供される方法のフローチャートである。
図3】本発明の実施例にて提供されるEBGP UPDATEメッセージのフォーマット図である。
図4】本発明の実施例のBGP BIER Path Attributeフィールド構造図である。
図5】本発明の実施例のBFR ID Rangeフィールド構造図である。
図6】本発明の実施例のBFRネイバーのBFR-Prefixフィールド構造図である。
図7】本発明の実施例のBIERカプセル化情報フィールド構造図である。
図8】本発明の実施例の別のフローチャートである。
図9】本発明の実施例のネットワークの概略図である。
図10】本発明の実施例のIGPによる外部AS BIER情報の通知の概略図である。
図11】本発明の実施例のIBGPによる外部AS BIER情報の通知の概略図である。
図12】本発明の実施例にて提供される装置の構造図である。
図13】本発明の実施例にて提供される別の装置の構造図である。
図14】本発明にて提供される装置のハードウェアの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、図面に例示する例示的な実施例を詳細に説明する。以下の記述が図面に関する場合、特に示していない限り、異なる図面における同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を示す。以下の例示的な実施例に記述された実施形態は、本発明と一致する全ての実施形態を表すものではない。逆に、それらは、添付の特許請求の範囲に詳述されるように、本発明のいくつかの態様と一致する装置及び方法の例にすぎない。
【0011】
本発明で使用される用語は、特定の実施例を記述する目的のためだけであり、本発明を限定することを意図していない。本発明及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形態「1種」、「前記」及び「当該」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形態も含むことを意図している。
【0012】
本発明の実施例にて提供される技術的解決手段を当業者によりよく理解させ、本発明の実施例の上記目的、特徴及び利点をより明瞭でわかりやすくするために、以下、まず本発明の実施例に関連する技術用語を記述する。
【0013】
SD(サブドメイン、Sub-Domain)とは、BIERサブドメインを表すものである。1つのBIERドメインに少なくとも1つのBIERサブドメインが存在する。BIERドメインにおいて、BIERサブドメインを単位として、各BIERサブドメインにおいて指定されたBFRにBFR識別子(ID)を配置する。任意選択的に、指定されたBFRは、BFIR、BFERなどであってもよく、本実施例では、具体的に限定されない。
【0014】
BFRプレフィックス(BFR-Prefix)とは、BFRを表すために用いられるものであり、同一のSD内で、異なるBFRは、異なるBFRプレフィックスにより表される。具体的に実現する時、BFRのBFRプレフィックスは、BFRの1つのIPv4アドレス又はIPv6アドレスで表されてもよく、本実施例では、IPv6アドレスを例にとる。
【0015】
BIERカプセル化タイプ(BIER encapsulation type)とは、例えばMPLSタイプ、イーサネットタイプ、IPv6タイプ(BIER6と表記される)などのBFRがサポートするBIERカプセル化タイプを表すものである。
【0016】
BSL(Bit String Length)とは、BIERカプセル化におけるビットストリング(Bit String)の長さを表すものである。
【0017】
MAX SI(Set Identifier)とは、SIの最大数を表すものである。SIは、BIERカプセル化におけるビットストリングが属するセット(Set)のIDを表すものである。BFR IDの範囲がBSLの表せる範囲を超える場合、複数のSetで表す必要があり、各Setは、ユニークなIDを有する。例えば、BFR ID範囲が1~512、BSLが256であれば、2つのSetにより表す必要があり、SI=0は1~256を表し、SI=1は257~512を表す。
【0018】
ASがBIERをデプロイすること(BIERがデプロイされたASはAS BIERと表記される)を前提として、クロスAS BIERシナリオに適用されると、2つのASの間に2対以上のASボーダールータ(ASBR:Autonomous System Border Router)接続が存在することが多い。図1に示すように、AS1とAS2の間には、AS1におけるASBR1-1がAS2におけるASBR2-1に接続すること、AS1におけるASBR1-2がAS2におけるASBR2-2に接続すること、という2対のASBR接続が存在する。
【0019】
2つのASの間に少なくとも2対のASBR接続が存在することを前提として、いずれか1つのASについて、当該ASにおいて他のASに接続される少なくとも2つのASBRは、本AS内の各BFRのBFR IDを収集し、続いて収集された各BFR IDを本機器のBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報に付加送して、当該ネットワーク到達性情報を他のASに発行する。同じASにおける異なるASBRのBFR-Prefixは異なるため、上記各ASBRが発行したネットワーク到達性情報を他のASにおけるいずれか1つの機器が受信した時、BFR-Prefixが異なることに基づき、互いに独立したユニキャストルートとみなされ、BIERルート計算の複雑性が増加する。
【0020】
図1に示されたネットワークにおけるAS2を例にとると、ASBR2-1は、AS2における各BFRのBFR IDを収集し、収集されたBFR IDをASBR2-1のBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報に付加してAS1に通知する。ASBR2-2により実行する操作は類似する。AS1におけるASBR1-1は、ASBR2-1が発行したBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報を受信した時、AS1内で通知し続ける。同様に、AS1におけるASBR1-2は、ASBR2-2が発行したBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報を受信した時、AS1内で通知し続ける。しかし、ASBR2-1とASBR2-2とが発行したネットワーク到達性情報に対応するBFR-Prefixは異なるため、AS1内のいずれか1つの機器はASBR2-1が発行したネットワーク到達性情報及びASBR2-2が発行したネットワーク到達性情報を受信した時、互いに独立した2つのユニキャストルートとみなされ、例えばAS1内のR1-3がASBR2-1のBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報、及びASBR2-2のBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報を受信した時、ASBR2-1のBFR-PrefixとASBR2-2のBFR-Prefixとは異なるため、これら2つのネットワーク到達性情報が互いに独立した2つのユニキャストルートとみなされる。
【0021】
実際には、ASBR2-1のBFR-PrefixとASBR2-2のBFR-Prefixとは異なるが、ASBR2-1のBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報及びASBR2-2のBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報には、いずれも同じBFR ID(即ち、AS2における各BFRのBFR ID)が付加されるため、互いに独立したユニキャストルートとみなされるべきではない。従来技術では、2つのAS間に少なくとも2対のASBR接続が存在する時、いずれか1つのAS内のBFRは、同一の外部ASにおける各ASBRが発行した異なるBFR-Prefixに対応するネットワーク到達性情報を独立したユニキャストルートとみなし、それにより、例えばBFR IDに従ってルートを優先するなどのBIERルート計算の複雑性が増加し、後続のパケット転送にも影響を与える。
【0022】
上記技術的問題を解決するために、本発明の実施例は、図2に示す方法のフローを提供する。
【0023】
図2を参照すると、図2は、本発明の実施例にて提供される方法のフローチャートである。当該方法は、第1のASにおける第1のASBRに適用される。本実施例では、第1のASBRは、第1のAS内の少なくとも1つの他のASBRと共に第2のASに接続する。なお、第1のAS、第1のASBR、第2のASは、記述を容易にするために命名したものであり、限定のためのものではない。
【0024】
本実施例では、第1のASBRと第1のAS内の第2のASに接続された少なくとも1つの他のASBRとは、BFRグループのメンバである。ここでのBFRグループは、仮想BFRノードとも呼ばれることができ、以下、BFRグループを例にとって記述する。
【0025】
任意選択的に、1つの実施例として、本実施例では、同一のAS内で同一の外部ASに接続されたASBRを1つのBFRグループとして抽象することができる。依然として、図1に示されたネットワークを例にとり、本実施例に適用されると、AS1においてAS2に共に接続されたASBR1-1とASBR1-2とを1つのBFRグループ(BFRグループ1と表記される)として抽象することができ、AS2においてAS1に共に接続されたASBR2-1とASBR2-2とを別のBFRグループ(BFRグループ2と表記される)として抽象することができるなどにしてもよい。
【0026】
任意選択的に、1つの実施例として、本実施例では、同一のAS内で各外部ASに接続された全てのASBRを1つのBFRグループとして抽象することもできる。依然として、図1に示されたネットワークにおけるAS1を例にとり、本実施例に適用されると、AS1においてAS2に接続されたASBR1-1とASBR1-2、及びAS3(図1には図示せず)に接続されたR1-3とR1-4を、1つのBFRグループ(BFRグループ1と表記される)として抽象することができる。
【0027】
任意選択的に、本実施例では、同一のAS内の全てのBFR IDが0でない各BFRを1つのBFRグループとして抽象することができる。図1に示されたネットワークにおけるAS2を例にとり、AS2において、ASBR2-1、ASBR2-2、R2-3、R2-4、R2-5のBFR IDがいずれも0でない場合、ASBR2-1、ASBR2-2、R2-3、R2-4、R2-5を1つのBFRグループとして抽象することができる。なお、1つの実施例では、通常、BFIR又はBFERとしてデプロイされたBFRは、そのBFR IDが0ではない。
【0028】
本実施例では、各BFRグループについて、当該BFRグループのメンバは、いずれも同一のSD内の同一のBFRグループプレフィックスが配置される。任意選択的に、ここでのSDは、BFRグループにおける全てのメンバが所在する1つのSD、又は、後続に通知すべきルートが属するSDなどであってもよく、本実施例では、具体的に限定されない。
【0029】
任意選択的に、上記BFRグループプレフィックスは、上記BFRグループを表すために用いられ、異なるBFRグループは、異なるBFRグループプレフィックスにより表される。具体的に実現する時、上記BFRグループプレフィックスは、ある指定されたプレフィックス識別子であってもよく、例えば、IPv6ネットワークに適用されることを例にとると、BFRグループプレフィックスは、あるIPv6アドレスであってもよいなどにしてもよく、本実施例では、具体的に限定されない。
【0030】
上述に基づき、本実施例では、第1のAS内で第2のASに接続された第1のASBR及び少なくとも1つの他のASBRは、いずれも同一の指定されたSD内の同一のBFRグループプレフィックス(第1のBFRグループプレフィックスと表記される)が配置される。指定されたSDは、BFRグループにおける全てのメンバが所在する1つのSD、又は、後続に通知すべきルートが属するSDなどであってもよい。第1のBFRグループプレフィックスは、第1のBFRグループを表すために用いられ、IPv6ネットワークに適用されることを例にとると、第1のBFRグループプレフィックスは、あるIPv6アドレスであってもよいなどにしてもよい。なお、第1のBFRグループプレフィックスは、記述を容易にするために命名したものであり、限定のためのものではない。
【0031】
上述に基づき、図2に示すように、当該フローは、以下のステップを含んでもよい。
【0032】
ステップ201において、第1のASBRは、第1のAS内の各BFRのBFR IDを収集する。
【0033】
1つの実施例として、第1のASBRにより収集されたBFR IDは、第1のAS内でBFIRとしてデプロイされたBFRのBFR IDと、第1のAS内でBFERとしてデプロイされたBFRのBFR IDとを含んでもよい。
【0034】
任意選択的に、第1のASBRのローカルに実行するIGP(Interior Gateway Protocol)プロトコルモジュール又はBIERルート管理モジュールは、IGPプロトコルにより本AS内の各BFRのBFR IDを収集することができる。本ステップ201まで実行すると、第1のASBRは、ローカルに実行するIGPプロトコルモジュール又はBIERルート管理モジュールから、例えば第1のAS内でBFIRとしてデプロイされたBFRのBFR ID、及びBFERとしてデプロイされたBFRのBFR IDなどの、第1のAS内の各BFRのBFR IDを収集することができる。
【0035】
ステップ202において、第1のASBRは、UPDATEメッセージを第2のASに通知し、UPDATEメッセージには、少なくともNLRI及びBIER Path Attributeが付加され、ここで、NLRIは、少なくとも第1のBFRグループプレフィックスを含み、BIER Path Attributeは、少なくとも収集された各BFR IDと、第1のASBRを表す第1のBFRプレフィックスとを含み、それにより、第2のAS内で上記UPDATEメッセージを受信した少なくとも1つのASBRが、対応するBIFT転送エントリをBIFTに追加し、第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知する。
【0036】
上記ステップ202で記述したように、第1のASBRは、第1のASBRが所在する第1のBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報をUPDATEメッセージにより通知する。任意選択的に、本実施例におけるUPDATEメッセージは、外部ボーダーゲートウェイプロトコル(EBGP:External Border Gateway Protocol)を拡張することで得ることができ、具体的には、拡張することでルート属性(Path Attribute)のEBGP UPDATEメッセージを得ることができる。ここで、新たに拡張されたPath Attributeは、即ち、上記ビットインデックス明示的複製経路属性(BIER Path Attribute)である。本実施例では、BIER Path Attributeは、EBGP UPDATEメッセージに新た追加されたPath Attributeと考えればよく、EBGP UPDATEメッセージにおける具体的な位置は限定されない。図3は、EBGP UPDATEメッセージの既存のフォーマットを列挙して示し、本実施例におけるBIER Path Attributeは、図3に示されたPath Attributesに新たに追加された1つのPath Attributeであってもよい。本実施例では、BIER Path Attributeは、TLV(Type-Length-Value)フォーマットを採用することができ、以下、列挙して記述するが、ここではその説明が省略される。
【0037】
本実施例では、上記UPDATEメッセージには、BIER Path Attributeに加えてNLRIも付加される。1つの実施例として、NLRIは、少なくとも第1のBFRグループの第1のBFRグループプレフィックスと、第1のBFRグループプレフィックスの長さとを含む。例えば、NLRIは、少なくとも2002:2:2F::200/128を含む。ステップ202及び上記NLRIから分かるように、本実施例では、いずれか1つのBFRグループのメンバは、いずれも同一のBFRプレフィックス、即ち、属するBFRグループのBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報を発行し、これにより、後続の他のAS内のBFRは、当該BFRグループにおける異なるメンバが発行した同一のBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報を受信した時、BFRグループプレフィックスが同じであるため、互いに独立した異なるユニキャストルートとみなされず、それぞれ独立してルート計算を行うこともない。以下、詳細に解釈するが、ここではその説明が省略される。
【0038】
なお、本実施例では、BIER Path Attributeに付加される第1のBFRプレフィックスは、第1のASBRが上記指定されたSDなどのあるSD内に配置された、当該第1のASBRを表すためのプレフィックスであり、第1のASBRのIPv6アドレスであってもよい。ここでの第1のBFRプレフィックスは、第1のASBRを表すために用いられ、上記第1のBFRグループプレフィックスとは異なる。
【0039】
上記ステップ202で記述されたように、第1のASBRがUPDATEメッセージを第2のASに通知すると、第2のAS内でUPDATEメッセージを受信した第2のASBRは、対応するBIFT転送エントリをBIFTに追加し、第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知する。
【0040】
任意選択的に、BIFT転送エントリは、少なくとも転送ビットマスク(F-BM:Forwarding BitMask)と、BFRネイバー(BFR-NBR:BFR Neighbor)とを含む。ここで、BFRネイバーは、上記第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられる。F-BMは、少なくとも上記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表す。ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを含む。
【0041】
任意選択的に、本実施例では、BFR IDに対応するSI組み合わせのビットマスクによりBFR IDを表すことができる。例えば、F-BMにおいて、上記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDに対応するビットは、第1の値、例えば1に設定され、残りのビットは、第2の値、例えば0に設定される。F-BMにおいて、ビットは、第1の値、例えば1に設定される場合、当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRにBFRネイバーを介して到達できることを表す。ビットが0に設定される場合、当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRにBFRネイバーを介して到達できないことを表す。以下、列挙して記述するが、ここではその説明が省略される。
【0042】
本実施例では、第2のASBRは、第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知する時、まず上記BIER Path Attributeを修正し、具体的には上記BIER Path Attributeにおける第1のBFRプレフィックスを、第2のASBRを表す第2のBFRプレフィックスに修正し、その後、第1のBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報(上記NLRI及び修正されたBIER Path Attributeが付加され、このとき、当該ネットワーク到達性情報は、BIERルートと略称されることができる)を第2のAS内で通知する。
【0043】
図2に示されたフローから分かるように、本実施例では、第1のASと第2のASとの間には少なくとも2対のASBRを介して接続される時、第1のAS内で第2のASに接続された各ASBRが通知したルート更新UPDATEメッセージのNLRIは、同じであり(いずれも同一のBFRグループプレフィックスを含む)、これにより、第2のAS内の各BFRは、第1のASの同じBFRグループプレフィックスの複数のルートを受信した時、当該複数のルートを独立したルートとして計算することはなく、ルート優先選択方法に従い、当該複数のルートから1つのルートを最適ルートとして選択し、従来の当該複数のルートを独立したルートとして計算することと比較して、BIERルート計算の複雑性を明らかに低減し、後続のメッセージ転送も保証する。
【0044】
例えば、図1のAS2におけるASBR2-1とASBR2-2は、同一のBFRグループPrefix(Group BFR-Prefix2と表記される)に対応するネットワーク到達性情報を発行し、AS1におけるASBR1-1は、ASBR2-1が発行した第1のBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報を受信した時、第1のBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報をAS1内で通知し続ける。同様に、ASBR2-2が発行した第1のBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報をAS1におけるASBR1-2が受信した時、第1のBFRグループプレフィックスに対応するネットワーク到達性情報をAS1内で通知し続ける。これにより、AS1内の機器、例えばR1-3などは、AS2内の同じBFRグループプレフィックスの2つのルートを受信し、AS1内の機器、例えばR1-3などは、AS2内の同じBFRグループプレフィックスの2つのルートを受信した時、互いに独立したユニキャストルートとみなされず、独立してルート計算を行うこともなく、ルート優先選択方法に従い、1つのルートを最適ルートとして選択することで、BIERルート計算の複雑性を低減させ、後続のメッセージ転送も保証する。
【0045】
以下、上記BIER Path Attributeを記述する。
【0046】
上述のように、BIER Path Attributeは、1つのTLV構造であってもよい。図4は、BIER Path Attributeの構造を列挙して示す。好ましくは、図4に列挙して示されたBIER Path Attribute構造におけるSub-TLVsフィールドには、それぞれ第1のTLV、第2のTLV、第3のTLVと表記された3つの新たに追加されたsub-sub-TLVが付加される。
【0047】
1)、第1のTLVについて、
本実施例では、第1のTLVは、上記第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを付加するために用いられる。任意選択的に、図5に示すように、第1のTLVは、少なくとも1つのフィールドペアを少なくとも含む。各フィールドペアは、対応関係を有するBFR IDフィールドとBFR ID範囲(Range)フィールドとを含む。本実施例では、第1のTLVには、少なくとも1つのフィールドペアにより、第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDが付加される。
【0048】
各フィールドペアにおいて、BFR ID Rangeフィールドに付加されるパラメータは、値が連続したBFR IDセグメントを表すために用いられ、BFR IDフィールドには、BFR IDセグメントの開始BFR IDが付加される。なお、第1のTLVが2つ以上のフィールドペアを含む場合、異なるフィールドペアにおけるBFR IDフィールドに付加される開始BFR IDは、異なる。例えば、上記第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDは、2つの部分に分けられ、一部が1~251であり、他の一部が260~512である場合、上記第1のTLVは、2つのフィールドペアを含んでもよく、1つのフィールドペアは、BFR IDフィールド1_1と、BFR ID Rangeフィールド1_1とを含み、もう1つのフィールドペアは、BFR IDフィールド1_2と、BFR ID Rangeフィールド1_2とを含む。BFR IDフィールド1_1には、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、1~251)の開始値1が付加され、BFR ID Rangeフィールド1_1には、251が付加され、値が連続したBFR IDフィールド(即ち、1~251)を表す(具体的に、値が連続したBFR IDフィールド、即ち、1~251において、251個のBFR IDが存在することを表すことができる)ために用いられ、BFR IDフィールド1_2には、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、260~512)の開始値260が付加され、BFR ID Rangeフィールド1_2には、253が付加され、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、260~512)を表すために用いられ、具体的には、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、260~512)において、253個のBFR IDが存在することを表すことができる。
【0049】
任意選択的に、図5に示すように、本実施例では、第1のTLVは、タイプ(Type)フィールドと、長さ(Length)フィールドとをさらに含む。そのうち、Typeフィールド、Lengthフィールドは、例えばTypeフィールドの長さが2バイト、Lengthフィールドの長さが2バイトであるなど、実際の状況に応じて設定されてもよく、本実施例では、具体的に限定されない。
【0050】
2)、第2のTLVについて、
本実施例では、第2のTLVは、上記第1のBFRプレフィックスを付加するために用いられる。任意選択的に、図6に示すように、第2のTLVは、少なくともBFR-Prefixフィールドを含んでもよい。ここで、BFR-Prefixフィールドには、上記第1のBFRプレフィックスが付加され、BGP UPDATEメッセージを受信したBFRが、当該第1のBFRプレフィックスを、第1のASBRにBIERパケットを転送するための宛先アドレスとすることを指示するために用いられる。
【0051】
任意選択的に、図6に示すように、本実施例では、第2のTLVは、Typeフィールドと、Lengthフィールドとをさらに含む。そのうち、Typeフィールド、Lengthフィールドは、実際の状況に応じて設定されてもよく、ここでは、一々限定されない。
【0052】
3)、第3のTLVについて、
本実施例では、第3のTLVは、第1のASBRがサポートするBIERカプセル化情報を指示するために用いられる。任意選択的に、図7に示すように、第3のTLVは、少なくともTypeフィールドと、Lengthフィールドと、及びBIERカプセル化情報フィールドとを含んでもよい。ここで、Typeフィールドは、例えばMPLSカプセル化タイプ、IPv6に基づくBIER(BIER6と表記される)などの、第1のASBRがサポートするBIERカプセル化タイプを付加するために用いられる。任意選択的に、Typeフィールドの長さは、2バイトであってもよい。Lengthフィールドは、実際の状況に応じて設定されてもよい。Lengthフィールドは、BIERカプセル化情報フィールドの長さ(例えば、2バイト)を表すために用いられる。BIERカプセル化情報フィールドは、第1のASBRがサポートするBIERカプセル化情報を付加するために用いられる。1つの実施例として、BIERカプセル化情報は、上記BIFT転送エントリのエントリ識別子を決定するように第2のASBRを支援するために用いられることができる。1つの例では、BIERカプセル化情報は、少なくともMAX SIと、BSLと、BIFT IDとを含んでもよい。
【0053】
ここで、MAX SIは、上記第1のASBRが所在する第1のAS内の最大BFR IDに対応するSIを表す。任意選択的に、MAX SIは、8bitを占有することができる。
【0054】
BSLは、上記第1のASBRがサポートするBIERカプセル化におけるビットストリングの長さを表す。任意選択的に、BSLは、4bitを占有することができる。
【0055】
BIFT IDは、第1のASBRのローカルBIFTの識別子を表す。
【0056】
任意選択的に、1つの実施例として、BIER Path Attributeには、さらに図4に示されたSD配置フィールドが付加される。ここでは、SD配置フィールドには、SD配置情報が付加される。ここで、1つの実施例として、SD配置情報は、少なくとも上記指定されたSDと、第1のASBRのBFR IDとを含む。
【0057】
以下、第2のASの第2のASBRの観点から、本発明の実施例にて提供される方法を記述する。
【0058】
図8を参照すると、図8は、本発明の実施例にて提供される別の方法のフローチャートである。図8に示すように、当該フローは、第2のASの第2のASBRに適用される。第2のASBRは、第1のASにおける第1のASBRに接続する。本実施例では、第2のASにおける第2のASBR以外の少なくとも1つの他のASBRも第1のASに接続し、第2のASBR及び当該少なくとも1つの他のASBRは、第2のBFRグループのメンバであり、第2のASBR及び少なくとも1つの他のASBRは、指定されたSD内の第2のBFRグループプレフィックスが配置され、当該第2のBFRグループプレフィックスは、第2のBFRグループを表す。本実施例では、第2のBFRグループプレフィックスは、1つの指定されたIPv6アドレスであってもよい。なお、ここでは、第2のBFRグループプレフィックスが属する指定されたSDは、上記第1のBFRグループプレフィックスが属する指定されたSDと同じか又は異なり、本実施例では、具体的に限定されない。
【0059】
図8に示すように、当該フローは、以下のステップを含んでもよい。
【0060】
ステップ801において、第2のASBRは、第1のASにおける第1のASBRが通知したUPDATEメッセージを受信し、UPDATEメッセージには、少なくともNLRI及び新たに追加されたBIER Path Attributeが付加され、NLRIは、少なくとも第1のBFRグループプレフィックスを含み、第1のBFRグループプレフィックスに対応する第1のBFRグループのメンバは、第1のASBRと、第1のASにおける第2のASに接続する少なくとも1つの他のASBRとを含む。
【0061】
本実施例では、第1のBFRグループプレフィックスは、上記第2のBFRグループプレフィックスと異なり、例えば、第1のBFRグループプレフィックスは、2001:1:1A::100/128であり、第2のBFRグループプレフィックスは、2002:2:2F::200/128である。
【0062】
第2のASBRは、第1のASにおける第1のASBRが通知したUPDATEメッセージを受信し、UPDATEメッセージにはBIER Path Attributeが付加されることを見出す場合、BIERルートを受信したとみなされる。その後、ステップ802を実行する。
【0063】
ステップ802において、第2のASBRは、対応するBIFT転送エントリをBIFTに追加し、BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと、F-BMとを含み、BFRネイバーは、第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくともBIER Path Attributeに付加された第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを含む。
【0064】
ステップ803において、第2のASBRは、前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを前記第2のAS内で通知し、それにより、第2のAS内のBFRが前記第1のBFRグループプレフィックスに対応する複数のBIERルートを受信した時、ルート優先選択方法に従い、1つのBIERルートを最適ルートとして選択する。
【0065】
図2に示すフローによれば、第1のAS内で第2のASに接続された各ASBRは、いずれも同一のNLRI(少なくとも第1のBFRグループプレフィックスを含む)が付加されるUPDATEメッセージを送信する。図8に示されたフローによれば、第2のAS内で第1のASに接続されたASBRは、同一のNLRI(少なくとも第1のBFRグループプレフィックスを含む)が付加されるUPDATEメッセージを受信し、第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知する。第1のASに接続された各ASBR以外の第2のAS内の各BFRも、第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知し、最終的に第2のAS内のBFRは、第1のASからの同一のBFRグループプレフィックス(即ち、第1のBFRグループプレフィックス)の複数のルートを受信する。当該複数のルートは、第1のAS内の同一のBFRグループプレフィックス(即ち、第1のBFRグループプレフィックス)に対応するため、この場合、第2のAS内の機器は、第1のASからの複数のルートを、互いに独立したユニキャストルートとみなせず、独立してルート計算を行うこともなく、ルート優先選択方法に従い、そのうちの1つを最適ルートとして選択することで、BIERルート計算の複雑性を低減させ、後続のパケットの転送も保証する。
【0066】
これで、図8に示されたフローが完了した。図8に示されたフローにより、第1のASと第2のASとの間には2対以上のASBRを介して接続された時、第1のASに接続された第2のAS内の各ASBRは、いずれも第1のAS内のASBRが通知した、同一のNLRI(少なくとも第1のBFRグループプレフィックスを含む)が付加されるUPDATEメッセージを受信し、この前提で、第1のASに接続された第2のAS内の各ASBRは、受信されたUPDATEメッセージに付加された第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知し、最終的に、第2のAS内の機器は、第1のASからの同一のBFRグループプレフィックス(即ち、第1のBFRグループプレフィックス)の複数のルートを受信する。当該複数のルートは、第1のAS内の同一のBFRグループプレフィックス(即ち、第1のBFRグループプレフィックス)に対応するため、この場合、第2のAS内の機器は、第1のASからの複数のルートを、互いに独立したユニキャストルートとみなせず、独立してルート計算を行うこともなく、ルート選択方法に従い、そのうちの1つを最適ルートとして選択することで、明らかにBIERルート計算の複雑性を低減させ、後続のパケットの転送も保証する。
【0067】
以下、1つの具体的な実施例により、本発明を列挙して記述する。
【0068】
図9を参照すると、図9は、本発明の実施例のネットワークの概略図である。図9に示されたネットワークは、2つのAS、即ちAS_901、AS_902のみを例にとって記述するが、これらに限定されるものではなく、他の場合も類似である。
【0069】
本実施例では、AS_901内のBFR ID範囲計画は、1~256(本実施例では、1~4のみを列挙する)であり、AS_901内の各BFRの配置は、表1に示すとおりである。
【0070】
【表1】
【0071】
図9に示されたネットワークでは、AS_901とAS_902との間には、2対の接続されたASBRが存在し、即ち、AS_901内でASBRとされるR901_1がAS_902内でASBRとされるR902_1に接続され、AS_901内でASBRとされるR901_2がAS_902内でASBRとされるR902_2に接続される。図9において、R901_1とR901_2は、BFRグループ_1のメンバに配置される。R901_1、R901_2は、指定されたSD(SD1を例にとる)内のBFRグループプレフィックス(GBFR-Prefix)が配置され、当該GBFR-Prefixは、2001:1:1A::100であり、BFRグループ_1を表すために用いられる。表2は、R901_1とR901_2に配置されたGBFR-Prefixを列挙して示す。
【0072】
【表2】
【0073】
本実施例では、AS_902内のBFR ID範囲は、257~512(本実施例では、260~264のみを列挙する)として設定され、AS_902内の各BFRの配置は、表3に示すとおりである。
【0074】
【表3】
【0075】
図9に示されたネットワークでは、AS_902内でASBRとされるR902_1とR902_2は、BFRグループ_2のメンバに配置される。R902_1とR902_2は、同一の指定されたSD(SD1を例にとる)内のBFRグループプレフィックス(GBFR-Prefix)が配置され、当該GBFR-Prefixは、2002:2:2F::200であり、BFRグループ_2を表すために用いられる。表4は、R902_1とR902_2に配置されたGBFR-Prefixを列挙する。
【0076】
【表4】
【0077】
本実施例では、AS_902のBIER情報をAS_901に通知することを例にとって記述する。
【0078】
図9に示すように、AS_902内において、R902_1は、本機器のIGPプロトコル又はBIERルート管理モジュールからAS_902内のBFR ID(BFR-IDsと略称される)を収集する。本実施例では、収集されたBFR-IDsは、主に、260と、261と、262と、263とを含み、BFR-IDsは、「260,4」で表すことができ、具体的には下記表5を参照されたい。ここで、「260」は、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、260~264)の開始値を表し、「4」は、値が連続したBFR IDセグメント(即ち、260~264)におけるBFR IDの数が4であることを表す。
【0079】
R902_1は、GBFR-Prefixが2002:2:2F::200に対応するネットワーク到達性情報であることを、EBGP UPDATEメッセージ(メッセージa1と表記される)により通知する。ここで、メッセージa1には、NLRI及びBIER Path Attributeが付加される。図3図7に示されたBGP UPDATEメッセージ構造に基づき、メッセージa1に付加されたNLRI及びBIER Path Attributeは、表5に示すとおりである。
【表5】
【0080】
表5において、NBR BFR-prefix:2002:2:2F::1は、R902_1のBFR-Prefixであり、メッセージa1を受信したネイバーASBR、例えばR901_1が、BIER6パケットをR902_1に転送する時のIPv6宛先アドレスとして用いられる。
【0081】
類似的に、R902_1に類似し、AS_902内において、R902_2も、本機器のIGPプロトコル又はBIERルート管理モジュールからAS_902内のBFR ID(BFR-IDsと略称される)を収集する。ここで、収集されたBFR-IDsは、上述したとおりであるので、その説明が省略される。その後、R902_2は、GBFR-Prefixが2002:2:2F::200に対応するネットワーク到達性情報であることを、EBGP UPDATEメッセージ(メッセージa2と表記される)により通知する。メッセージa2には、NLRI及びBIER Path Attributeが付加される。図3図7に示されたBGP UPDATEメッセージ構造に基づき、メッセージa2に付加されたNLRI及びBIER Path Attributeは、表6に示すとおりである。
【表6】
【0082】
表6において、NBR BFR-prefix:2002:2:2F::2は、R902_2のBFR-Prefixであり、メッセージa2を受信したネイバーASBR(R901_2)が、BIER6パケットをR902_2に転送する時のIPv6宛先アドレスとして用いられる。
【0083】
AS_901におけるR901_1がメッセージa1を受信し、メッセージa1にはBIER Path Attributeが付加されることを見出す場合、BIERルートを受信したとみなされ、以下の表7に示された転送エントリをBIFT IDが2001(対応するBSL/SD/SIは、それぞれ3/1/1である)であるBIFTに追加する。
【0084】
【表7】
【0085】
表7において、F-BMにおけるビットが1に設定されると、上記表7におけるBFR-NBRにより、当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRに到達できることを表す。逆に、F-BMにおけるビットが0に設定されると、上記表7におけるBFR-NBRにより、当該ビットによって表されるBFR IDに対応するBFRに到達できないことを表す。例えば、表7において、F-BMは、「1111000」であり、右から1番目のビットの「1」は、BFR IDが260であることを表し、2番目のビットの「1」は、BFR IDが261であることを表し、順次類推される。また、R901_1は、さらに上記BIER Path AttributeにおけるNBR BFR-Prefixを2002:2:2F::2から2001:1:1A::1に修正し、上記Group BFR-prefix(即ち、2002:2:2F::200/128)のプリフィックスルートをAS_901内で通知し、上記修正されたBIER Path Attribute(このとき、当該プリフィックスルートは、BIERルートと表記されてもよい)を付加する。AS_901内の他のBFRは、R901_1が公告した2002:2:2F::200/128のプレフィックスルートを受信し、AS_901によるルート通知類似の方式で2002:2:2F::200/128のプレフィックスルートを通知し続ける。
【0086】
類似的に、AS_901のR901_2がメッセージa2を受信し、メッセージa2にはBIER Path Attributeが付加されることを見出す場合、BIERルートを受信したとみなされ、以下の表8に示された転送エントリをBIFT IDが2001(対応するBSL/SD/SIは、それぞれ3/1/1である)であるBIFTに追加する。
【0087】
【表8】
【0088】
表8におけるF-BMは、表7に類似するので、その説明が省略される。同様に、R901_2も上記Group BFR-prefix(即ち、2002:2:2F::200/128)のプレフィックスルートをAS_901内で通知し、上記修正されたBIER Path Attributeを付加する。AS_901内の他のBFRは、R901_2が公告した2002:2:2F::200/128のプレフィックスルートを受信し、AS_902によるルート通知類似の方式で2002:2:2F::200/128のプレフィックスルートを通知し続ける。
【0089】
AS_901内のBFRがAS_902の同一のプレフィックスである2002:2:2F::200/128の2つのルートを学習した時、従来のルート優先選択方法に従い、1つのルートを最適ルートとして選択する。例えば図9に示されたR901_3がAS_902の同一のプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)の2つのルートを学習すると、例えば最短経路アルゴリズムなどの従来のルート優先選択方法に従い、次ホップがR901_1であるルートを最適ルートとして選択する。AS_901内のBFRが最適ルートを決定すると、最適ルートに対応する転送エントリをBIFTに追加する。図9に示されたR901_3が同一のプレフィックスである2002:2:2F::200/128の2つのルートを学習した後、次ホップがR901_6であるルートを最適ルートとして選択することを例にとり、BIFT IDが2001(対応するBSL/SD/SIは、それぞれ3/1/1である)であるBIFTに追加された転送エントリは、表9に示すとおりである。
【0090】
【表9】
【0091】
上記実施例から分かるように、AS_901とAS_902との間には2対のASBRにより接続されても、いずれか1つのAS(AS_902を例にとる)について、AS_902内でAS_901に接続された各ASBRであるR902_1とR902_2が通知したUPDATEメッセージのNLRIは、同じであり、いずれも同一のBFRグループプレフィックスである。AS_901内の各ASBR(即ち、R901_1とR901_2)がAS_902内の各ASBR(即ち、R902_1とR902_2)が通知したUPDATEメッセージを受信した時、上記UPDATEメッセージに付加されたNLRIを通知し続け、かつ上記UPDATEメッセージに付加されたBIER Path Attributeを付加し、それによりAS_901内の他のBFRがAS_902の同じNLRIの複数のルートを受信する。AS_901内のBFRがAS_902の同じNLRIの複数のルートを受信した時、ルート優先選択方法に従い、1つのルートを最適ルートとして選択することで、AS_901内のBFRは、外部ASであるAS_902内の各ASBRが通知したネットワーク到達性情報を、互いに独立したユニキャストルートとみなせず、独立してルート計算を行うこともないことを実現し、ルート選択方式に従い、そのうちの1つを最適ルートとして選択することで、BIERルート計算の複雑性を低減させ、後続のパケットの転送も保証する。
【0092】
以上、図9に示された実施例を記述する。
【0093】
任意選択的に、本実施例では、上記ステップ803において、第2のASBRが、UPDATEメッセージに付加されたNLRIに対応するBIERルートを第2のAS内で通知することは、実現方式が多い。以下、2つの実現方式を列挙して記述する。
【0094】
第1の方式について、
第1の方式で、第2のASBRは、第2のAS内で外部ASのBIERルートをIGPにより再発行する。任意選択的に、第1の方式で、第2のASBRは、上記BIER Path Attributeにおける第1のBFRプレフィックスを、第2のASBRを表すための第2のBFRプレフィックスに修正し、IGPを拡張することにより、上記NLRI及び修正されたBIER Path AttributeをIGPに導入して、第2のAS内でフラッディング(この場合、フラッディングされたルートは、BIERルートと略称されることができる)し、それにより、第2のAS内のBFRが対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加する。依然として図9に示されたネットワークを例にとり、AS_901のR901_1は、AS_902のR902_1が通知したEBGP UPDATEメッセージを受信した時、EBGP UPDATEメッセージに付加されたBIER Path AttributeにおけるR902_1のBFRプレフィックスをR901_1のBFRプレフィックスに修正し、IGPを拡張することにより、EBGP UPDATEメッセージに付加されたプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)、及び上記修正されたBIER Path AttributeをIGPによりAS_901内でフラッディングする。同様に、AS_901のR901_2は、AS_902のR902_2が通知したEBGP UPDATEメッセージを受信した時、EBGP UPDATEメッセージに付加されたBIER Path AttributeにおけるR902_2のBFRプレフィックスをR901_2のBFRプレフィックスに修正し、IGPを拡張することにより、EBGP UPDATEメッセージに付加されたプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)、及び修正されたBIER Path AttributeをIGPによりAS_901内でフラッディングする。図10は、2002:2:2F::200/128に対応するルートフラッディングの実施例を列挙して示す。これにより、AS_901内のBFRは、AS_902内の同一のプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)の2つのルートを学習する。AS_901内のBFRが、AS_902内の同一のプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)の2つのルートを学習した時、従来のルート優先選択方法に従い、1つのルートを最適ルートとして選択する。例えば、図9に示されたR901_3がAS_902の同一のプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)の2つのルートを学習すると、例えば最短経路アルゴリズムなどの従来のルート優先選択方法に従い、次ホップがR901_6であるルートを最適ルートとして選択し、表9に示された転送エントリをBIFT IDが2001(対応するBSL/SD/SIは、それぞれ3/1/1である)であるBIFTに追加する。
【0095】
第2の方式について、
第2の方式で、第2のASBRは、第2のAS内で外部ASにおける第1のBFRグループプレフィックスのBIERルートをIBGPにより指定されたBFRに通知する。任意選択的に、第2のASBRは、上記BIER Path Attributeにおける第1のBFRプレフィックスを、前記第2のASBRを表すための第2のBFRプレフィックスに修正し、IBGPプロトコルを拡張することにより、即ち拡張IBGPプロトコルにより定義されたIBGP UPDATEメッセージにより、上記NLRI及び上記修正されたBIER Path Attributeを指定されたBFR(第2のASBRの等価物として)に通知し、それにより第2のAS内の上記指定されたBFRが対応するBIFT転送エントリをローカルBIFTに追加する。依然として、図9に示されたネットワークを例にとり、AS_901のR901_1は、AS_902のR902_1が通知したEBGP UPDATEメッセージを受信した時、EBGP UPDATEメッセージに付加されたBIER Path AttributeにおけるR902_1のBFRプレフィックスをR901_1のBFRプレフィックスに修正し、IBGPを拡張することにより、EBGP UPDATEメッセージに付加されたプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)、及び修正されたBIER Path AttributeをIBGP UPDATEメッセージによりAS_901内の指定されたBFR(事前に指定され、図9に示されたR901_4を例にとる)に通知する。類似的に、AS_901のR901_2は、AS_902のR902_2が通知したEBGP UPDATEメッセージを受信した時、EBGP UPDATEメッセージに付加されたBIER Path AttributeにおけるR902_2のBFRプレフィックスをR901_2のBFRプレフィックスに修正し、IBGPを拡張することにより、EBGP UPDATEメッセージに付加されたプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)、及び修正されたBIER Path AttributeをIBGP UPDATEメッセージによりAS_901内の指定されたBFR(事前に指定され、図9に示されたR901_4を例にとる)に通知する。図11は、IBGP UPDATEメッセージの通知実施例を列挙して示す。R901_4は、R901_1とR901_2が通知したIBGP UPDATEメッセージを受信すると、AS_902の同一のプレフィックス(即ち、2002:2:2F::200/128)の2つのルートを学習し、その場合、1つのルートを最適ルートとして選択し、例えば最短経路アルゴリズムなどに従い、次ホップがR901_1であるルートを最適ルートとして選択する。その後、転送エントリをBIFT IDが2001(対応するBSL/SD/SIは、それぞれ3/1/1である)であるBIFTに追加し、具体的には、表10に示すとおりである。
【0096】
【表10】
【0097】
以上、本発明の実施例にて提供される方法を記述した。以下、本発明の実施例にて提供される装置を記述する。
【0098】
図12を参照すると、図12は、本発明の実施例にて提供される装置の構造図である。当該装置は、第1のASに適用され、図2に示されたフローに対応し、具体的には、
第1のAS内の各BFRのBFR IDを収集するための収集ユニットと、
ルート更新UPDATEメッセージを第2のASに通知するための第1の通知ユニットであって、UPDATEメッセージには、NLRI及びBIER Path Attributeが付加され、ここで、NLRIは、少なくとも第1のBFRグループプレフィックスを含み、BIER Path Attributeは、少なくとも収集された各BFR IDと、第1のASBRを表す第1のBFRプレフィックスとを含み、それにより第2のAS内でUPDATEメッセージを受信した少なくとも1つのASBRが、対応するBIFT転送エントリをBIFTに追加し、第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを第2のAS内で通知する第1の通知ユニットと、を含んでもよい。
【0099】
BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーとF-BMとを含み、BFRネイバーは、第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくとも前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDを含む。
【0100】
1つの実施例として、上記収集された各BFR IDに対応するBFRは、前記指定されたSD内にあり、及び/又は、第2のAS内で上記UPDATEメッセージを受信した各ASBRも前記指定されたSD内にある。
【0101】
1つの実施例として、上記収集ユニットは、本AS内の各BFRのBFR IDを収集することは、
第1のAS内でBFIRとしてデプロイされたBFRのBFR IDを収集するステップと、第1のAS内でBFERとしてデプロイされたBFRのBFR IDを収集するステップと、を含む。
【0102】
1つの実施例として、BIER Path Attributeには、第1のTLVが付加され、前記第1のTLVは、少なくとも1つのフィールドペアを少なくとも含み、各フィールドペアは、対応関係を有するBFR IDフィールドとBFR ID Rangeフィールドとを含み、
第1のTLVには、少なくとも1つのフィールドペアにより、前記第1のASBRが前記第1のAS内で収集したBFR IDが付加され、ここで、各フィールドペアにおいて、BFR ID Rangeフィールドに付加されるパラメータは、値が連続したBFR IDセグメントを表すために用いられ、BFR IDフィールドには、前記BFR IDセグメントの開始BFR IDが付加される。
【0103】
1つの実施例として、BIER Path Attributeには、第2のTLVが付加され、前記第2のTLVは、少なくともBFR-Prefixフィールドを含み、BFR-Prefixフィールドには、前記第1のBFRプレフィックスが付加される。
【0104】
1つの実施例として、BIER Path Attributeには、さらに、第3のTLVが付加され、第3のTLVにおけるタイプフィールドは、第1のASBRがサポートするBIERカプセル化タイプを付加するために用いられる。
【0105】
第3のTLVは、BIERカプセル化情報フィールドをさらに含み、BIERカプセル化情報フィールドは、第1のASBRがサポートするBIERカプセル化情報を付加するために用いられる。ここで、BIERカプセル化情報は、BIFT転送エントリのエントリ識別子を決定するために用いられる。1つの実施例として、BIERカプセル化情報は、少なくとも、
第1のAS内の最大BFR IDに対応するSIを表すMAX SIと、
サポートするBIERカプセル化におけるビットストリングの長さを表すBSLと、
ローカルBIFTの識別子を表すBIFT IDと、を含む。
【0106】
1つの実施例として、上記BIER Path Attributeには、さらに、SD配置フィールドが付加され、
SD配置フィールドには、SD配置情報が付加され、前記SD配置情報は、少なくとも上記指定されたSDと、前記第1のASBRのBFR IDとを含む。
【0107】
これで、図12に示された装置の構造図が完了した。
【0108】
図13を参照すると、図13は、本発明の実施例に提供される別の装置の構造図である。当該装置は、第2のASにおける第2のASBRに適用され、当該装置は、上記図8に示されたフローに対応する。
【0109】
図8に示すように、当該装置は、
第1のASにおける第1のASBRが通知したUPDATEメッセージを受信するための受信ユニットであって、UPDATEメッセージには、少なくともNLRI及び新たに追加されたBIER Path Attributeが付加され、NLRIは、第1のBFRグループプレフィックスであり、第1のBFRグループプレフィックスに対応する第1のBFRグループのメンバは、第1のASBRと、第1のASにおいて前記第2のASに接続された少なくとも1つの他のASBRとを含む受信ユニットと、
対応するBIFT転送エントリをBIFTに追加するためのエントリユニットであって、BIFT転送エントリは、少なくともBFRネイバーと、F-BMとを含み、BFRネイバーは、第1のBFRプレフィックスを格納するために用いられ、F-BMは、前記BFRネイバーを介して到達可能な各BFRに対応するBFR IDを表し、ここで、F-BMによって表されるBFR IDは、少なくともBIER Path Attributeに付加された第1のASBRが第1のAS内で収集したBFR IDを含むエントリユニットと、
前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを前記第2のAS内で通知し、それにより第2のAS内のBFRが前記第1のBFRグループプレフィックスに対応する複数のBIERルートを受信した時、ルート優先選択方法に従い、そのうちの1つのBIERルートを最適ルートとして選択するための第2の通知ユニットと、を含んでもよい。
【0110】
任意選択的に、第2の通知ユニットは、前記UPDATEメッセージに付加されたNLRIに対応するBIERルートを前記第2のAS内で通知することは、
前記BIER Path Attributeにおける第1のBFRプレフィックスを、前記第2のASBRを表すための第2のBFRプレフィックスに修正するステップと、
第2のAS内で前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを内部ゲートウェイプロトコルIGPにより再発行し、又は、前記第1のBFRグループプレフィックスに対応するBIERルートを内部ボーダーゲートウェイプロトコルIBGPにより第2のAS内の指定されたBFRに通知し、前記BIERルートには、前記NLRI及び修正されたBIER Path Attributeが付加されるステップと、を含む。
【0111】
本発明の実施例は、上記図12又は図13に示された装置のハードウェア構造をさらに提供する。図14を参照すると、図14は、本発明の実施例にて提供される電子機器の構造図である。図14に示すように、当該ハードウェア構造は、プロセッサと、機械可読記憶媒体とを含んでもよく、機械可読記憶媒体は、前記プロセッサにより実行可能な機械実行可能命令を記憶し、前記プロセッサは、機械実行可能命令を実行して、本発明の上記例において開示された方法を実施するために用いられる。
【0112】
上記方法と同様の出願の考えに基づき、本発明の実施例は、機械可読記憶媒体をさらに提供し、前記機械可読記憶媒体は、いくつかのコンピュータ命令を記憶し、前記コンピュータ命令がプロセッサにより実行された時、本発明の上記例において開示された方法は実施されることができる。
【0113】
例示的に、上記機械可読記憶媒体は、任意の電子的、磁気的、光学的、又は他の物理的記憶装置であってもよく、実行可能命令、データなどの情報を含み、又は記憶することができる。例えば、機械可読記憶媒体は、RAM(Radom Access Memory、ランダムアクセスメモリ)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、ストレージドライブ(例えばハードディスクドライブ)、ソリッドステートドライブ、任意のタイプのストレージディスク(例えば光ディスク、dvdなど)、又は類似の記憶媒体、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0114】
上記実施例で説明したシステム、装置、モジュール又はユニットは、具体的には、コンピュータチップ、又はエンティティにより実現されてもよく、又は何らかの機能を有する製品により実現されてもよい。典型的な実現機器は、コンピュータであり、コンピュータの具体的な形態は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、カメラ付き電話、スマートフォン、携帯情報端末、メディアプレーヤ、ナビゲーション機器、電子メール送受信機器、ゲーム機、タブレット型パソコン、ウェアラブル機器、又はこれらの機器の任意のいくつかの組み合わせであってもよい。
【0115】
なお、記述の便宜上、以上の装置を記述する時、その機能に応じて各ユニットに分けて記述する。当然ながら、本発明を実施する時、各ユニットの機能を同じ又は複数のソフトウェア及び/又はハードウェアで実現することができる。
【0116】
当業者には、本発明の実施例が、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供され得ることが理解される。したがって、本発明は、全体的にハードウェアの実施例、全体的にソフトウェアの実施例、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施例の形態を採用することができる。さらに、本発明の実施例は、コンピュータ使用可能プログラムコードを内部に含む1つ又は複数のコンピュータ使用可能記憶媒体(磁気ディスク記憶装置、CD-ROM、光学記憶装置などを含むが、これらに限定されない)で実施されるコンピュータプログラム製品の形態を採用することができる。
【0117】
本発明は、本発明の実施例による方法、機器(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して記述される。フローチャート及び/又はブロック図における各フロー及び/又はブロック、並びにフローチャート及び/又はブロック図におけるフロー及び/又はブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実現され得ることが理解されるべきである。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、又は他のプログラマブルなデータ処理機器のプロセッサに提供されてもよく、汎用コンピュータ又は他のプログラマブルなデータ処理機器のプロセッサにより実行された命令が、フローチャートの1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するための装置を生成する。
【0118】
さらに、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルなデータ処理機器に指定された方式で動作するように指導することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、当該コンピュータ可読メモリに記憶された命令が、命令装置を含む製造品を生成し、当該命令装置は、フローチャートの1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する。
【0119】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルなデータ処理機器にロードすることもでき、一連の操作ステップがコンピュータ又は他のプログラマブルな機器で実行されて、コンピュータで実現される処理を生成し、それによりコンピュータ又は他のプログラマブルな機器で実行される命令が、フローチャートの1つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0120】
以上の説明は、本発明の実施例にすぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、当業者にとって様々な変更及び変形が可能である。本発明の精神及び原理内で行われた任意の修正、等価置換、改良などは、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【0121】
以上の説明は、本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と原則内で行われた任意の修正、等価置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14