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特許7433514腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液、その製造方法及び使用
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  • 特許-腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液、その製造方法及び使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/125 20160101AFI20240209BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240209BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240209BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20240209BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20240209BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20240209BHJP
【FI】
A23L33/125
A61K47/36
A61K47/26
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/46
A23L29/231
A23L29/256
A23L29/238
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023509722
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 CN2021134591
(87)【国際公開番号】W WO2022121739
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】202011419420.5
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】左 齊樂
(72)【発明者】
【氏名】韓 菲菲
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲シュアン▼
(72)【発明者】
【氏名】程 新平
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
(72)【発明者】
【氏名】石 麗華
(72)【発明者】
【氏名】張 文瑤
(72)【発明者】
【氏名】王 圓
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-188006(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110357986(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
100mlあたり、低メトキシルペクチン0.01~0.04g、κ-カラギーナン0.01g~0.1g、ローカストビーンガム0.01g~0.3g、キシリトール30g~60g、マルチトール5g~15g、ソルビトール1g~10g、水:残量を含み、前記低メトキシルペクチンはペクチン濃縮液であり、前記ペクチン濃縮液はクエン酸カルシウム15重量部、低分子量ペクチン60重量部、エチレングリコール85重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム5重量部及びクエン酸ナトリウム30重量部を含み、前記低分子量ペクチンは低糖質果物汁とレモン汁を含み、
pHが5~6.5、粘度が0.1~25mPa・Sであることを特徴とする腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液。
【請求項2】
低メトキシルペクチン、κ-カラギーナン、ローカストビーンガム、キシリトール、マルチトール及びソルビトールを水に溶解して、該甘味液を得るステップを含み、前記低メトキシルペクチンは、
洗浄した低糖質果物を密閉乾燥器に入れて、乾燥器に75体積%の二酸化炭素を導入し、12h~18h処理し、叩解してユズスラリーを得て、得た低糖質スラリーにpH1.5~2.0のレモン汁を加え、その後、温度85℃の条件下で連続的に加水分解し、スラリーを65min~80min抽出して、ペクチン抽出液を取得しておくステップ1と、
粒度180メッシュの活性炭と水とを1:5の質量比で混合して活性炭混合液を得て、活性炭混合液に80質量%の硝酸溶液を加え、加熱して100~110℃に昇温し、3h~3.5h蒸煮した後、加熱を停止し、65℃に自然降温し、撹拌を停止し、さらに室温に降温し、酸煮活性炭液を取得しておくステップ2と、
ステップ1で調製されたペクチン抽出液を160メッシュのガーゼで粗濾過した後、得た濾液を高速遠心機に入れて4500~5000r/minの回転数で遠心処理し、下層のゲルを収集した後、ステップ2で調製された酸煮活性炭液を下層のゲルに加えて、脱色温度を45℃に制御して35min~60min撹拌して脱色し、脱色ペクチン濾液を得るステップ3と、
上記の脱色ペクチン濾液を珪藻土で濾過して透析袋に入れ、脱イオン水で満たされた脈動加圧室に入れ、200minを1脈動周期として処理温度4℃脈動加圧処理を10h行い、低分子量ペクチンを得るステップ4と、
上記の低分子量ペクチン60重量部、クエン酸カルシウム15重量部、エチレングリコール85重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム5重量部、及びクエン酸ナトリウム30重量部を混合して密閉撹拌釜に入れ、550~600r/minの回転数で撹拌し、加熱して55~65℃に昇温し、撹拌釜にアンモニアガスを導入して、真空度-0.1kPaの真空蒸発機に入れて処理し、ペクチン濃縮液として低メトキシルペクチンを得るステップ5とによって調製されることを特徴とする請求項1に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法。
【請求項3】
ステップ1では、前記低糖質果物はユズ、チェリー及びグアバのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法。
【請求項4】
100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2g、キシリトール30g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含むことを特徴とする請求項2に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法。
【請求項5】
100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2g、キシリトール40g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水ことを特徴とする請求項2に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法。
【請求項6】
100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2g、キシリトール50g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含むことを特徴とする請求項2に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法。
【請求項7】
100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2g、キシリトール60g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含むことを特徴とする請求項2に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法。
【請求項8】
100mlあたり、低メトキシルペクチン0.01g、κ-カラギーナン0.01g、ローカストビーンガム0.01g、キシリトール60g、マルチトール5g、ソルビトール1g、100mlとなるまでの残量の水を含むことを特徴とする請求項2に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法。
【請求項9】
100mlあたり、低メトキシルペクチン0.04g、κ-カラギーナン0.1g、ローカストビーンガム0.3g、キシリトール40g、マルチトール15g、ソルビトール10g、100mlとなるまでの残量の水を含むことを特徴とする請求項2に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法。
【請求項10】
食品における使用を含むことを特徴とする請求項2~9のいずれか1項に記載の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法によって製造される甘味液の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は糖アルコールの使用の技術分野に関し、特に腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖アルコール系甘味料は現在、食品工業に広く応用されている典型的な機能性食品添加物であり、その主な品種はソルビトール、キシリトール、マンノトール、エリスリトールなどである。しかし、キシリトール、ソルビトール、マンノースなどは透過性が高いという特性があるため、大量に摂取すると、これらの高浸透性物質自体の浸透効果により、腸壁からの水や電解質の再吸収が阻害され、腸腔内に吸収されていない水溶性溶質が過剰に存在し、浸透性下痢が発生し、これは糖アルコール不耐現象である。開示番号CN109493974Aの特許は、糖アルコール及び機能性糖に対する人体の許容量を計算する方法を開示しており、その中でキシリトールの大量の摂取が下痢を引き起こす問題があることを説明している。
【0003】
製品は糖アルコールの総含有量が30gより大きい時に高糖製品となり、このような製品を食べると下痢の問題が生じやすく、糖アルコール不耐性現象が発生する。通常、代替糖製品開発では、腸内糖アルコール不耐症の発生を避けるため、高倍率甘味料を利用することにより、甘味度を高め、糖アルコールの使用量を減らす。例えば、開示番号CN111436495Aの特許において、脂肪を減らして痩身するためのスムージー固形飲料及びその製造方法が開示されており、キシリトールの添加量は1.3%程度であり、ほとんどの甘味度はスクラロース等の高倍率甘味料によって提供されており、キシリトールの総添加量は30gよりもはるかに低い。これは、過剰なキシリトール添加による下痢の発生を避けるための業界内の通常の手段でもある。
【0004】
開示番号CN107616984Aの特許には抗下痢経腸栄養組成物が開示されており、下痢の発生を減少させる腸内用液体組成物が提案されており、この組成物には、低メトキシルペクチン及びプロバイオティクス又は糖アルコールのような物質が含まれている。該腸内栄養組成物は、消化管副作用を改善することができるが、ペクチンに対する要求が高く、エステル化度が5%~30%、粘度平均分子量が10000~150000のペクチンが必要であり、また、ペクチン単体では特定の粘度を達成するためには、ペクチンの使用量も多く要求される。開示番号CN110495609Aの特許は、等張大豆ペプチドゲル製品及びその製造方法を開示しており、この製品は浸透圧に敏感な人や嚥下困難な人にタンパク質を補給するのに適した物品であって、一部の食品ガムをゲル材料として使用することにより、等張性のタンパク質補給物品を達成するが、添加されている糖アルコールは単なる矯味剤であり、製品の主な役割はタンパク質補給である。
【0005】
糖アルコールを食品添加物、特に甘味料の分野でより広範に応用するには、従来技術の改良と改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、複数種の食品ガムを配合し、食品ガムの直接特性(親水性)及び相乗効果を利用して、食品ガムの使用量を減少させるとともに、食品ガム系と糖アルコールとを組み合わせることで糖アルコールの胃腸内での進行時間を減らし、糖アルコールの高透過性を平衡化し、高糖アルコール含有量による下痢の問題を緩和し、過剰な糖アルコールの腸内摂取による下痢の技術的課題を予防・緩和する腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液、その製造方法及び使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のように実現される。100mlあたり、低メトキシルペクチン0.01~0.04g、κ-カラギーナン0.01g~0.1g、ローカストビーンガム0.01g~0.3g、キシリトール30g~60g、マルチトール5g~15g、ソルビトール1g~10g、残量の水を含み、前記低メトキシルペクチンはペクチン濃縮液であり、前記ペクチン濃縮液はクエン酸カルシウム15重量部、低分子量ペクチン60重量部、エチレングリコール85重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム5重量部、及びクエン酸ナトリウム30重量部を含み、前記低分子量ペクチンは低糖質果物汁とレモン汁を含み、
pHが5~6.5、粘度が0.1~25mPa・Sである腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液を提供する。
【0008】
本発明は以下のように実現される。前記腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法を提供し、低メトキシルペクチン、κ-カラギーナン、ローカストビーンガム、キシリトール、マルチトール及びソルビトールを水に溶解して、該甘味液を得るステップを含み、前記低メトキシルペクチンは、
洗浄した低糖質果物を密閉乾燥器に入れて、乾燥器に75体積%の二酸化炭素を導入し、12h~18h処理し、叩解してユズスラリーを得て、得た低糖質スラリーにpH1.5~2.0のレモン汁を加え、その後、温度85℃の条件下で連続的に加水分解し、スラリーを65min~80min抽出して、ペクチン抽出液を取得しておくステップ1と、
粒度180メッシュの活性炭と水とを1:5の質量比で混合して活性炭混合液を得て、活性炭混合液に80質量%の硝酸溶液を加え、加熱して100~110℃に昇温し、3h~3.5h蒸煮した後、加熱を停止し、65℃に自然降温し、撹拌を停止し、さらに室温に降温し、酸煮活性炭液を取得しておくステップ2と、
ステップ1で調製されたペクチン抽出液を160メッシュのガーゼで粗濾過した後、得た濾液を高速遠心機に入れて4500~5000r/minの回転数で遠心処理し、下層のゲルを収集した後、ステップ2で調製された酸煮活性炭液を下層のゲルに加えて、脱色温度を45℃に制御して35min~60min撹拌して脱色し、脱色ペクチン濾液を得るステップ3と、
上記の脱色ペクチン濾液を珪藻土で濾過して透析袋に入れ、脱イオン水で満たされた脈動加圧室に入れ、200minを1脈動周期として処理温度4℃脈動加圧処理を10h行い、低分子量ペクチンを得るステップ4と、
上記の低分子量ペクチン60重量部、クエン酸カルシウム15重量部、エチレングリコール85重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム5重量部、及びクエン酸ナトリウム30重量部を混合して密閉撹拌釜に入れ、550~600r/minの回転数で撹拌し、加熱して55~65℃に昇温し、撹拌釜にアンモニアガスを導入して、真空度-0.1kPaの真空蒸発機に入れて処理し、ペクチン濃縮液として低メトキシルペクチンを得るステップ5とによって調製される。
【0009】
本発明は以下のように実現される。該甘味液の食品における使用を含む、前記腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法によって製造される甘味液の使用をさらに提供する。
【発明の効果】
【0010】
従来技術と比較すると、本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液、その製造方法及びその使用では、甘味料の調製に専用の低メトキシルペクチンを合成し、この低メトキシルペクチンと他のいくつかの食品ガムを配合し、食品ガムの直接特性である親水性及び相乗効果を利用して、糖アルコールの過剰摂取による下痢(すなわち糖アルコール不耐症の現象)を減少させ、製品の使用における糖アルコールの安全性と実用性を向上させる有益な効果を得ることができる。製品の糖アルコール含有量が全体的に30g以上を超える高糖比率の製品に応用される場合、甘味と品質に一定の要求がある製品に使用することができ、特にジュース、ケーキ類食品に使用することができる。食品ガムの使用量を減らすとともに、食品ガムシステムと糖アルコールの組み合わせを使用して、糖アルコールの胃腸内での進行時間を減らし、糖アルコールの高浸透性をバランス平衡化し、高糖アルコール含有量による下痢の問題を緩和し、最終的に高糖アルコール含有量甘味料による糖アルコール不耐症を予防、緩和する目的を達成させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1~4及び比較例1~3で製造された甘味液について検証実験を行ったSDラットの下痢率の統計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明が解決しよとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0013】
本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の好適な実施例では、該甘味液は、100mlあたり、低メトキシルペクチン0.01~0.04g、κ-カラギーナン0.01g~0.1g、ローカストビーンガム0.01g~0.3g、キシリトール30g~60g、マルチトール5g~15g、ソルビトール1g~10g、残量の水を含み、前記低メトキシルペクチンはペクチン濃縮液であり、前記ペクチン濃縮液は、クエン酸カルシウム15重量部、低分子量ペクチン60重量部、エチレングリコール85重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム5重量部、及びクエン酸ナトリウム30重量部を含み、前記低分子量ペクチンは低糖質果物汁とレモン汁を含み、
pHが5~6.5、粘度が0.1~25mPa・Sである。
【0014】
本発明はまた、低メトキシルペクチン、κ-カラギーナン、ローカストビーンガム、キシリトール、マルチトール及びソルビトールを水に溶解して、該甘味液を得るステップを含む前記腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法を開示する。前記低メトキシルペクチンは、
洗浄した低糖質果物を密閉乾燥器に入れて、乾燥器に75体積%の二酸化炭素を導入し、12h~18h処理し、叩解してユズスラリーを得て、得た低糖質スラリーにpH1.5~2.0のレモン汁を加え、その後、温度85℃の条件下で連続的に加水分解し、スラリーを65min~80min抽出して、ペクチン抽出液を取得しておくステップ1と、
粒度180メッシュの活性炭と水とを1:5の質量比で混合して活性炭混合液を得て、活性炭混合液に80質量%の硝酸溶液を加え、加熱して100~110℃に昇温し、3h~3.5h蒸煮した後、加熱を停止し、65℃に自然降温し、撹拌を停止し、さらに室温に降温し、酸煮活性炭液を取得しておくステップ2と、
ステップ1で調製されたペクチン抽出液を160メッシュのガーゼで粗濾過した後、得た濾液を高速遠心機に入れて4500~5000r/minの回転数で遠心処理し、下層のゲルを収集した後、ステップ2で調製された酸煮活性炭液を下層のゲルに加えて、脱色温度を45℃に制御して35min~60min撹拌して脱色し、脱色ペクチン濾液を得るステップ3と、
上記の脱色ペクチン濾液を珪藻土で濾過して透析袋に入れ、脱イオン水で満たされた脈動加圧室に入れ、200minを1脈動周期として処理温度4℃脈動加圧処理を10h行い、低分子量ペクチンを得るステップ4と、
上記の低分子量ペクチン60重量部、クエン酸カルシウム15重量部、エチレングリコール85重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム5重量部、及びクエン酸ナトリウム30重量部を混合して密閉撹拌釜に入れ、550~600r/minの回転数で撹拌し、加熱して55~65℃に昇温し、撹拌釜にアンモニアガスを導入して、真空度-0.1kPaの真空蒸発機に入れて処理し、ペクチン濃縮液として低メトキシルペクチンを得るステップ5とによって調製される。
【0015】
ステップ1では、前記低糖質果物はユズ、チェリー及びグアバのうちの少なくとも1種を含む。
【0016】
以下、具体的な実施例によって本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法をさらに説明する。
【0017】
<実施例1>
本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法の第1実施例では、該甘味液は、100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2g、キシリトール30g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含む。
【0018】
<実施例2>
本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法の第2実施例では、該甘味液は、100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2g、キシリトール40g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含む。
【0019】
<実施例3>
本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法の第3実施例では、該甘味液は、100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2g、キシリトール50g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含む。
【0020】
<実施例4>
本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法の第4実施例では、該甘味液は、100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2g、キシリトール60g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含む。
【0021】
(比較例1)
該比較例では、製造された甘味液は、100mlあたり、低メトキシルペクチン0.02g、κ-カラギーナン0.05g、ローカストビーンガム0.2gを含み、100mlとなるまでの残量の水は、キシリトール、マルチトール及びソルビトールを含まない。
【0022】
(比較例2)
該比較例では、製造された甘味液は、100mlあたり、キシリトール30g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含み、低メトキシルペクチン、κ-カラギーナン及びローカストビーンガムを含まない。
【0023】
(比較例3)
該比較例では、製造された甘味液は、100mlあたり、キシリトール60g、マルチトール10g、ソルビトール5g、100mlとなるまでの残量の水を含み、低メトキシルペクチン、κ-カラギーナン及びローカストビーンガムを含まない。そのキシリトール含有量が比較例2よりも高い。
【0024】
実施例1~実施例4及び比較例1~比較例3の成分を表に示すと、表1が得られる。
【0025】
【表1】
【0026】
以上の実施例1~実施例4、比較例1~比較例3で製造された甘味液について以下の対照実験を行って、その効果を検証した。
【0027】
検証実験方法は以下のステップを含む。
【0028】
1)6~8週齢以上のSD雄ラットを適応的に1週間飼育した後、合計70匹、10匹ずつ体重によって7群に等分した。
【0029】
2)毎日の9:00amに、ヒトとラットの体表面の面積の換算式により7群のラットをそれぞれ強制胃内投与し、その後水を自在に飲用させ、摂食させた。
【0030】
3)体重によって、対応する用量の試薬を強制胃内投与した後、各群のラットの下痢の状況を強制胃内投与後の4~8時間内に2回観察して記録し、例えば朝の9:00に強制胃内投与すると、午後の13:30、16:30に2回観察し、ラットの肛門口、ベースを観察したり、尾部を引いて排泄を促進したりするなどによって下痢したか否かを判断し、各群の下痢ラットの概率を計算し、以下の表2に示す実験結果及び図1に示す実験対照図を得る。
【0031】
【表2】
【0032】
表2及び図1から分かるように、比較例1で調製された甘味液はラット下痢を引き起こすことがなく、実施例1~実施例4では、キシリトールの使用量が30gから60gに徐々に増大するに伴い、対応するSDラットの下痢率はキシリトールの使用量の増加に伴い上昇したが、同じ使用量の糖アルコールを配合した場合、実施例1及び比較例2、実施例4及び比較例3に示すように、甘味液には所定量の低メトキシルペクチン、κ-カラギーナン及びローカストビーンガムの混合物が添加されているので、ラットの下痢率は全て低下しており、それぞれ45%から5%、90%から60%に低下した。このことから、該甘味液は所定の配合比の食品ガムと糖アルコールとの組成物によって、糖アルコールの胃腸内での進行時間を減らしたり、糖アルコールの高透過性を平衡化したりすることで、高糖アルコール含有量による下痢の問題を予防・緩和し、ラットの高糖アルコール含有量混合物への耐性を向上させる役割を果たし、糖アルコール系甘味剤の製品用途の安全性と実用性を向上させる。
【0033】
<実施例5>
本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法の第5実施例では、100mlあたり、低メトキシルペクチン0.01g、κ-カラギーナン0.01g、ローカストビーンガム0.01g、キシリトール60g、マルチトール5g、ソルビトール1g、100mlとなるまでの残量の水を含む。
【0034】
<実施例6>
本発明の腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法の第6実施例では、100mlあたり、低メトキシルペクチン0.04g、κ-カラギーナン0.1g、ローカストビーンガム0.3g、キシリトール40g、マルチトール15g、ソルビトール10g、100mlとなるまでの残量の水を含む。
【0035】
本発明はまた、飲料、お粥食品又はジャム類の食品における使用を含む、前記腸内糖アルコール不耐症を予防・緩和する甘味液の製造方法によって製造された甘味液における使用を提供する。
【0036】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨及び原則内で行われる全ての修正、等同置換及び改良などは全て本発明の特許範囲に含まれるものとする。
図1