(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
C13B 20/16 20110101AFI20240209BHJP
C12P 21/00 20060101ALI20240209BHJP
C12N 9/20 20060101ALI20240209BHJP
C12N 9/26 20060101ALI20240209BHJP
C12M 1/12 20060101ALI20240209BHJP
C13K 7/00 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
C13B20/16
C12P21/00 A
C12N9/20
C12N9/26 A
C12M1/12
C13K7/00
(21)【出願番号】P 2023509726
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2021134597
(87)【国際公開番号】W WO2023000578
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】202110821695.X
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】程 新平
(72)【発明者】
【氏名】陳 升榮
(72)【発明者】
【氏名】程 雨晴
(72)【発明者】
【氏名】韓 元龍
(72)【発明者】
【氏名】廖 承軍
(72)【発明者】
【氏名】羅 家星
(72)【発明者】
【氏名】汪 曉斌
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112210493(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101684504(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107090012(CN,A)
【文献】中国実用新案第212778785(CN,U)
【文献】特開昭62-111695(JP,A)
【文献】特開平04-271793(JP,A)
【文献】特公昭52-009739(JP,B1)
【文献】特開平06-062881(JP,A)
【文献】米国特許第05312739(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C13B 20/16
C12P 21/00
C12N 9/20
C12N 9/26
C12M 1/12
C13K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システムであって、
糖化タンクと、酵素製剤タンクと、第1板式熱交換器と、第2板式熱交換器と、プレートフレームフィルタと、緩衝タンクと、ドラムフィルタとを含み、
酵素製剤タンクは管路を介して糖化タンクの給液端に連通し、糖化タンクの給液端はまた、管路を介して糖化対象の液化液及び糖化酵素にそれぞれ連通し、糖化タンクの出液端は管路を介して第1板式熱交換器の1つの入口端に連通し、第1板式熱交換器の1つの出口端は管路を介して糖化タンクの給液端に連通し、糖化タンクの出液端はまた管路を介して第2板式熱交換器の1つの入口端に連通し、第2板式熱交換器の1つの出口端は管路を介してプレートフレームフィルタの入口端に連通し、プレートフレームフィルタで濾過された後の滓には回収対象のタンパク質が含有されており、プレートフレームフィルタの排滓端は管路を介してスクリューコンベアの入口端に連通し、タンパク質を含有する滓はスクリューコンベアによって輸送されてリサイクルされ、プレートフレームフィルタの出液端は管路を介して緩衝タンクの給液端に連通し、緩衝タンクの出液端は管路を介してドラムフィルタに連通し、ドラムフィルタの出液端は後の工程に連通していることを特徴とするタンパク質回収システム。
【請求項2】
循環ポンプ、糖液ポンプ及びシロップポンプをさらに含み、循環ポンプは第1板式熱交換器と糖化タンクの出液端を連通させる管路に設けられ、糖液ポンプは第2板式熱交換器と糖化タンクの出液端を連通させる管路に設けられ、シロップポンプはドラムフィルタと緩衝タンクの出液端を連通させる管路に設けられることを特徴とする請求項1に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システム。
【請求項3】
超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法であって、
請求項1又は2に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システムを使用し、該システムには1つ又は複数の糖化タンクが使用されており、
1つの糖化タンクが使用された場合、
1#糖化タンク供給弁aを開いて、撹拌を開始し、糖化対象の液化液を1#糖化タンクに入れながら、糖化酵素を添加し、1#糖化タンクの液位が100%になると、供給弁aを閉じるステップ(a)と、
ステップ(a)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止し、タンパク質のほとんどが1#糖化タンクの上部に浮くように静置するステップ(b)と、
ステップ(b)が終了した後、1#糖化タンクの排出弁bを開いて、糖液ポンプを起動させ、シロップを第2板式熱交換器を通過させて、蒸発フィードと熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタに入れて濾過し、濾液を緩衝タンクに送ってから、ドラムフィルタに入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得るステップ(c)と、
1#糖化タンクの液位が10~15%残ったときに、排出弁bを閉じて、排出を停止するステップ(d)と、
ステップ(d)が終了した後、リゾホスホリパーゼを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプを起動させて、弁gを開き、1#糖化タンクに送り、弁gを閉じるステップ(e)と、
ステップ(e)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止するステップ(f)と、
ステップ(f)が終了した後、弁cと弁hを開いて、循環ポンプを起動させ、1#糖化タンク内のシロップを第1板式熱交換器で循環加熱して昇温し、1#糖化タンク全体の温度が所定の温度になると、循環加熱昇温を停止するステップ(g)と、
ステップ(g)が終了した後、耐高温αアミラーゼを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプを起動させて、弁gを開き、1#糖化タンクに送り、弁gを閉じるステップ(h)と、
ステップ(h)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止するステップ(i)と、
ステップ(i)が終了した後、1#糖化タンクの排出弁bを開いて、タンパク質を含む糖液を第2板式熱交換器を通過させ、蒸発フィードと熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタに入れて濾過し、タンパク質をプレートフレームフィルタに遮断し、濾液を緩衝タンクに送ってから、ドラムフィルタに入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得て、基質をすべて排出して液位0%とするステップ(j)と、
ステップ(j)が終了した後、排出弁bを閉じて、タンパク質が乾固になると、プレートフレームフィルタの下部のスクリューコンベアにタンパク質を排出して回収するステップ(k)と、を含み、
複数の糖化タンクが使用される場合、2つの糖化タンクを例にして、
1#糖化タンク供給弁aを開いて、撹拌を開始し、糖化対象の液化液を1#糖化タンクに入れながら、糖化酵素を添加し、1#糖化タンクの液位が100%になると、供給弁aを閉じて、弁dを開き、糖化対象の液化液、糖化酵素を2#糖化タンクに入れるステップ(A)と、
ステップ(A)が終了した後、すなわち供給弁aを閉じた後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止し、タンパク質のほとんどが1#糖化タンクの上部に浮くように静置し、2#糖化タンクは同様な操作を行うステップ(B)と、
ステップ(B)が終了した後、すなわち1#糖化タンクで静置した後、1#糖化タンクの排出弁bを開いて、糖液ポンプを起動させ、シロップを第2板式熱交換器を通過させて、蒸発フィードと熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタに入れて濾過し、濾液を緩衝タンクに送ってから、ドラムフィルタに入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得るステップ(C)と、
1#糖化タンクの液位が10~15%残ったときに、排出を停止し、まず、排出弁bを閉じて、次に、弁eを開いて、1#糖化タンクと同様にして2#糖化タンクで材料を排出し、2#糖化タンクから材料を排出する過程では、具体的にはステップ(E)、(F)、(G)、(H)、(I)の操作と同様にして1#糖化タンク基質について酵素製剤反応処理を行い、2#糖化タンク基質について酵素製剤反応処理を行う際には上記と同様に操作するステップ(D)と、
リゾホスホリパーゼを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプを起動させて、弁gを開き、1#糖化タンクに送り、弁gを閉じるステップ(E)と、
ステップ(E)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止するステップ(F)と、
ステップ(F)が終了した後、弁cと弁hを開いて、循環ポンプを起動させ、1#糖化タンク内のシロップを第1板式熱交換器で循環加熱して昇温し、1#糖化タンク全体の温度が所定の温度になると、循環加熱昇温を停止するステップ(G)と、
ステップ(G)が終了した後、耐高温α-アミラーゼを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプを起動させて、弁gを開き、1#糖化タンクに送り、輸送終了後、弁gを閉じるステップ(H)と、
ステップ(H)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後、基質を排出するために撹拌を停止し、具体的にはステップ(J)、(K)の操作と同時にして基質を排出し、2#糖化タンクでも同様な操作によって基質を排出するステップ(I)と、
1#糖化タンクが基質を排出する際には、他のタンクの排出弁を閉じて、1#タンクの排出弁bを開き、タンパク質を含む糖液を第2板式熱交換器を通過させ、蒸発フィードと熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタに入れて濾過し、タンパク質をプレートフレームフィルタに遮断し、濾液を緩衝タンクに送ってから、ドラムフィルタに入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得て、基質をすべて排出して液位0%とするステップ(J)と、
ステップ(J)が終了した後、排出弁bを閉じて、弁eを開き、残りの糖化済みのシロップを排出するとともに、1#糖化タンクへの供給を準備し、タンパク質が乾固になると、プレートフレームフィルタの下部のスクリューコンベアにタンパク質を排出して回収するステップ(K)と、を含むことを特徴とするタンパク質回収方法。
【請求項4】
ステップ(a)、(A)の前記糖化対象の液化液は温度58~61℃、pH5.0~5.4、DE値3.0~4.0であることを特徴とする請求項1に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法。
【請求項5】
ステップ(a)、(A)の糖化酵素添加量は0.30~0.35kg/トン(乾燥基準)であることを特徴とする請求項1に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法。
【請求項6】
ステップ(b)、(B)では、1#糖化タンクで40~45h撹拌して反応させ、糖化酵素の添加量によって反応時間を決定し、5h以上静置し、ステップ(f)、(F)では、2h以上撹拌して反応させ、ステップ(i)、(I)では4h以上撹拌して反応させることを特徴とする請求項1に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法。
【請求項7】
ステップ(e)、(E)では、リゾホスホリパーゼを0.16~0.22kg/トン(乾燥基準)で添加することを特徴とする請求項1に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法。
【請求項8】
ステップ(g)、(G)では、温度は95~97℃に設定されることを特徴とする請求項1に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法。
【請求項9】
ステップ(h)、(H)では、耐高温αアミラーゼを0.36~0.44kg/トン(乾燥基準)で添加することを特徴とする請求項1に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法。
【請求項10】
ステップ(k)、(K)では、ガス供給を10~15min、水供給を2~5min、ガス供給を15~20minとし、タンパク質滓の乾湿度によって、時間を調整することを特徴とする請求項1に記載の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルトースシロップ製造の技術分野に属し、具体的には、超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超高マルトースシロップは、コーンスターチを原料として製造されたマルトース含有量が90%以上のシロップであり、デンプン糖の一種である。このシロップは水素化され、最終的に結晶マルチトールの製造に使用される。
【0003】
デンプンにはタンパク質の一部が含まれており(コーンスターチには0.3%のタンパク質が含まれる)、デンプンは液化すると凝集してくる。グルコースの製造工程において、プレートフレームフィルタ濾過(プレートフレーム濾過と略す)によりタンパク質を回収することができ、回収した粗タンパク質を飼料に加工することができ、価値を高めることができる。
【0004】
超高マルトースシロップの製造過程では、タンパク質は回収しにくく、その理由は、マルトースの含有量を増やすために、液化DE値をグルコースの製造の場合よりも低く制御し、<4のDE値が必要であり、低いDE値では、糖化対象の液化液中には多くの高分子デキストリンを含有するとともに、いくつかの油脂も含有し、このため、回収する時に、プレートフレームフィルタによる濾過が困難であり、運行時間はグルコースを濾過する場合の1/4しかなく、頻繁にプレートフレームフィルタを切り替えると、製造の連続性に影響し、そして、タンパク質滓が濡れて、シロップの損失を引き起こす。
【0005】
現在の技術はプレートフレーム加圧濾過あるいは回転ドラム濾過(主に珪藻土を濾過助剤とする)の方法を利用してタンパク質を直接除去することであり、濾過後のタンパク質と珪藻土とが混在するため、タンパク質のリサイクルができず、珪藻土を消費する必要があり、コストが増加し、例えば開示番号CN101684504A特許には、糖液中のタンパク質等の不溶性不純物を除去する方法記載されているようにする。開示番号CN107090012Aの特許において、ジャガイモを利用してハイマルトースシロップ(含有量70~80%)を製造することが記載されており、プレートフレーム濾過プロセスを利用してタンパク質を回収することから、プレートフレーム濾過がタンパク質の回収に利用できることが明らかになった。しかし、当該特許では、原料はジャガイモであり、かつ製造されるのはハイマルトースシロップであるため、液化、糖化プロセスは超高マルトースシロップと異なり、濾過が難しいという問題がなく、一方、コーンスターチを用いた超高マルトースシロップの製造にはこの問題があり、改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠陥を解決するために、超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システムであって、糖化タンクと、酵素製剤タンクと、第1板式熱交換器と、第2板式熱交換器と、プレートフレームフィルタと、緩衝タンクと、ドラムフィルタと、を含み、酵素製剤タンクは管路を介して糖化タンクの給液端に連通し、糖化タンクの給液端はまた、管路を介して糖化対象の液化液及び糖化酵素にそれぞれ連通し、糖化タンクの出液端は管路を介して第1板式熱交換器の1つの入口端に連通し、第1板式熱交換器の1つの出口端は管路を介して糖化タンクの給液端に連通し、糖化タンクの出液端はまた管路を介して第2板式熱交換器の1つの入口端に連通し、第2板式熱交換器の1つの出口端は管路を介してプレートフレームフィルタの入口端に連通し、プレートフレームフィルタで濾過された後の滓には回収対象のタンパク質が含有されており、プレートフレームフィルタの排滓端は管路を介してスクリューコンベアの入口端に連通し、タンパク質を含有する滓はスクリューコンベアによって輸送されてリサイクルされ、プレートフレームフィルタの出液端は管路を介して緩衝タンクの給液端に連通し、緩衝タンクの出液端は管路を介してドラムフィルタに連通し、ドラムフィルタの出液端は後の工程に連通している。
【0008】
超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法であって、前記超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システムを使用し、該システムには1つ又は複数の糖化タンクが使用され、
1つの糖化タンクが使用された場合、
1#糖化タンク供給弁aを開いて、撹拌を開始し、糖化対象の液化液を1#糖化タンクに入れながら、糖化酵素を添加し、1#糖化タンクの液位が100%になると、供給弁aを閉じるステップ(a)と、
ステップ(a)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止し、タンパク質のほとんどが1#糖化タンクの上部に浮くように静置するステップ(b)と、
ステップ(b)が終了した後、1#糖化タンクの排出弁bを開いて、糖液ポンプを起動させ、シロップを第2板式熱交換器を通過させて、蒸発フィードと熱交換し、プレートフレームフィルタに入れて濾過し、濾液を緩衝タンクに送ってから、ドラムフィルタに入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得るステップ(c)と、
1#糖化タンクの液位が10~15%残ったときに、排出弁bを閉じて、排出を停止するステップ(d)と、
ステップ(d)が終了した後、リゾホスホリパーゼを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプを起動させて、弁gを開き、1#糖化タンクに送り、弁gを閉じるステップ(e)と、
ステップ(e)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止するステップ(f)と、
ステップ(f)が終了した後、弁cと弁hを開いて、循環ポンプを起動させ、1#糖化タンク内のシロップを第1板式熱交換器で循環加熱して昇温し、1#糖化タンク全体の温度が所定の温度になると、循環加熱昇温を停止するステップ(g)と、
ステップ(g)が終了した後、耐高温αアミラーゼを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプを起動させて、弁gを開き、1#糖化タンクに送り、弁gを閉じるステップ(h)と、
ステップ(h)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止するステップ(i)と、
ステップ(i)が終了した後、1#糖化タンクの排出弁bを開いて、タンパク質を含む糖液を第2板式熱交換器を通過させ、蒸発フィードと熱交換し、プレートフレームフィルタに入れて濾過し、タンパク質をプレートフレームフィルタに遮断し、濾液を緩衝タンクに送ってから、ドラムフィルタに入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得て、基質をすべて排出して液位0%とするステップ(j)と、
ステップ(j)が終了した後、排出弁bを閉じて、タンパク質が乾固になると、プレートフレームフィルタの下部のスクリューコンベアにタンパク質を排出して回収するステップ(k)と、を含む。
【0009】
複数の糖化タンクが使用される場合、2つの糖化タンクを例にして、前記超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法は、
1#糖化タンク供給弁aを開いて、撹拌を開始し、糖化対象の液化液を1#糖化タンクに入れながら、糖化酵素を添加し、1#糖化タンクの液位が100%になると、供給弁aを閉じて、弁dを開き、糖化対象の液化液、糖化酵素を2#糖化タンクに入れるステップ(A)と、
ステップ(A)が終了した後、すなわち供給弁aを閉じた後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止し、タンパク質のほとんどが1#糖化タンクの上部に浮くように静置し、2#糖化タンクは同様な操作を行うステップ(B)と、
ステップ(B)が終了した後、すなわち1#糖化タンクで静置した後、1#糖化タンクの排出弁bを開いて、糖液ポンプを起動させ、シロップを第2板式熱交換器を通過させて、蒸発フィードと熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタに入れて濾過し、濾液を緩衝タンクに送ってから、ドラムフィルタに入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得るステップ(C)と、
1#糖化タンクの液位が10~15%残ったときに、排出を停止し、まず、排出弁bを閉じて、次に、弁eを開いて、1#糖化タンクと同様にして2#糖化タンクで材料を排出し、2#糖化タンクから材料を排出する過程では、具体的にはステップ(E)、(F)、(G)、(H)、(I)の操作と同様にして1#糖化タンク基質について酵素製剤反応処理を行い、2#糖化タンク基質について酵素製剤反応処理を行う際には上記と同様に操作するステップ(D)と、
リゾホスホリパーゼを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプを起動させて、弁gを開き、1#糖化タンクに送り、弁gを閉じるステップ(E)と、
ステップ(E)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止するステップ(F)と、
ステップ(F)が終了した後、弁cと弁hを開いて、循環ポンプを起動させ、1#糖化タンク内のシロップを第1板式熱交換器で循環加熱して昇温し、1#糖化タンク全体の温度が所定の温度になると、循環加熱昇温を停止するステップ(G)と、
ステップ(G)が終了した後、耐高温α-アミラーゼを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプを起動させて、弁gを開き、1#糖化タンクに送り、輸送終了後、弁gを閉じるステップ(H)と、
ステップ(H)が終了した後、1#糖化タンクで撹拌して反応させ、反応終了後、基質を排出するために撹拌を停止し、具体的にはステップ(J)、(K)の操作と同時にして基質を排出し、2#糖化タンクでも同様な操作によって基質を排出するステップ(I)と、
1#糖化タンクが基質を排出する際には、他のタンクの排出弁を閉じて、1#タンクの排出弁bを開き、タンパク質を含む糖液を第2板式熱交換器を通過させ、蒸発フィードと熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタに入れて濾過し、タンパク質をプレートフレームフィルタに遮断し、濾液を緩衝タンクに送ってから、ドラムフィルタに入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得て、基質をすべて排出して液位0%とするステップ(J)と、
ステップ(J)が終了した後、排出弁bを閉じて、弁eを開き、残りの糖化済みのシロップを排出するとともに、1#糖化タンクへの供給を準備し、タンパク質が乾固になると、プレートフレームフィルタの下部のスクリューコンベアにタンパク質を排出して回収するステップ(K)と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
<本発明の有益効果>
1、シロップを静置した後、タンパク質が糖化タンクの上部に浮くようになり、下部の液体が澄明になり、そのまま濾過に供してもよい。糖化タンクが材料を排出するときには、下部の液体が先に排出され、残りの液はタンパク質を含有する基質になる。タンパク質を含有するシロップの濾過が困難である理由として複数があるが、タンパク質に多くの大分子デキストリンや油脂が混在しているのはその1つである。タンパク質を含むこのような糖液を酵素製剤(リゾホスホリパーゼ及び耐高温α-アミラーゼ)で処理し、酵素製剤の反応条件によって、プロセスの流れを設計してパラメータを制御することによって、酵素製剤が大分子デキストリンや油脂をよく分解できるようにし、これによって、濾過効果を高め、プレートフレームフィルタによる濾過と組み合わせて、タンパク質を濾過して回収する目的を達成させ、これによって、超高マルトースシロップの製造過程においてタンパク質を回収するのが難しいという問題を効果的に解決する。材料を排出するとともに、蒸発フィードと熱交換することによって、蒸発フィードの温度を高め、熱エネルギーの損失を減らす。
【0011】
2、本発明は以下の効果がある。
1)タンパク質を回収する。乾燥基準でシロップ1トンあたり、0.015トン~0.02トンのタンパク質を回収することができ、回収コストは15元~20元/トン(乾燥基準)である。
【0012】
2)珪藻土の消費量を低下させる。乾燥基準でシロップ1トンあたり、珪藻土コストを25元/トン(乾燥基準)節約することができる。増加するコストには電力消費、酵素製剤及び滓排出コストが含まれ、合計約12元/トン(乾燥基準)である。全体的には、シロップ(乾燥基準)1トンあたり、約30元/トン(乾燥基準)が節約できる。
【0013】
3)シロップの品質を高め、水素化効率を向上させ、マルチトール結晶の収率を高め、製造コストを低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システムの原理概略図である。
【
図2】従来のマルトースシロップの製造過程の原理概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明が解決しよとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0016】
図1に示すように、本発明の超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システムの好適な実施例は、糖化タンク1と、酵素製剤タンク(酵素製剤槽)2と、第1板式熱交換器3と、第2板式熱交換器4と、循環ポンプ5と、糖液ポンプ6と、プレートフレームフィルタ7と、緩衝タンク8と、シロップポンプ9と、ドラムフィルタ10と、を含む。図中の矢印に示す方向は該システム中の材料(固体、液体及び気体を含む)の流動又は注入方向である。
【0017】
酵素製剤タンク2は管路を介して糖化タンク1の給液端に連通する。糖化タンク1の給液端はまた、管路を介して糖化対象の液化液及び糖化酵素にそれぞれ連通し、糖化タンク1の出液端は管路を介して順次循環ポンプ5及び第1板式熱交換器3の1つの入口端に連通する。第1板式熱交換器3の1つの出口端は管路を介して糖化タンク1の給液端に連通する。第1板式熱交換器3は流れる糖液を熱交換により所定の温度に昇温する。
【0018】
糖化タンク1の出液端はまた、管路を介して糖液ポンプ6及び第2板式熱交換器4の1つの入口端に順次連通する。第2板式熱交換器4の1つの出口端は管路を介してプレートフレームフィルタ7の入口端に連通する。第2板式熱交換器4による熱交換降温後の糖液はプレートフレームフィルタ7に入って濾過され、糖液中のタンパク質を除去される。プレートフレームフィルタ7の入口端はまた、管路を介して圧縮空気及び精製水にそれぞれ連通する。
【0019】
プレートフレームフィルタ7で濾過された後の滓には回収対象のタンパク質が含有されており、プレートフレームフィルタ7の排滓端は管路を介してスクリューコンベア11の入口端に連通し、タンパク質を含有する滓はスクリューコンベア11によって輸送されてリサイクルされる。図においては、タンパク質は車両で輸送される。プレートフレームフィルタ7の出液端は管路を介して緩衝タンク8の給液端に連通し、緩衝タンク8の出液端は管路を介してシロップポンプ9及びドラムフィルタ10に順次連通し、ドラムフィルタ10の出液端は後の工程に連通する。この後の工程はドラムフィルタ10の出液端で得られたシロップに対して脱色、イオン交換、蒸発処理を順次行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得ることである。
【0020】
循環ポンプ5は第1板式熱交換器3と糖化タンク1の出液端を連通させる管路に設けられ、糖液ポンプ6は第2板式熱交換器4と糖化タンク1の出液端を連通させる管路に設けられ、シロップポンプ9はドラムフィルタ10と緩衝タンク8の出液端を連通させる管路に設けられる。
【0021】
図1に示すように、該システムは2つの糖化タンク、すなわち、1#糖化タンク1と2#糖化タンク1′を有し、また、プレートフレームフィルタ7及び7′の2つのフィルタを含む。
【0022】
本発明のプレートフレームフィルタ7には濾過助剤及び吸着剤が添加されており、ドラム濾過10は珪藻土を濾過助剤とする。
【0023】
図1に示すように、本発明はまた、前記超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収システムを使用する超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法を開示し、該システムには1つ又は複数の糖化タンクが使用されている。
【0024】
1つの糖化タンクが使用された場合、前記超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法は、以下のステップ(a)~ステップ(k)を含む。
【0025】
(a).1#糖化タンク1の供給弁aを開いて、撹拌を開始し、温度58~61℃、pH5.0~5.4、DE値3.0~4.0の糖化対象の液化液を1#糖化タンク1に入れながら、糖化酵素を添加量0.30~0.35kg/トン(乾燥基準)で添加する。1#糖化タンクの液位が100%になると、供給弁aを閉じる。
【0026】
以下の実施例に使用される糖化酵素はβ-アミラーゼ(Maiteer Biotechnology Co., Ltd.社M-100)、プルラナーゼ(ノボザイムズ社製novozymesのPromozyme D6)、マルトゲナーゼ(ノボザイムズ社製novozymesのMaltogenase 2XL)を、1:1:1の質量比で含む。
【0027】
(b).ステップ(a)が終了した後、1#糖化タンク1で40~45h撹拌して反応させた後、撹拌を停止し、タンパク質のほとんどが1#糖化タンク1の上部に浮くように5h以上静置する。反応時間は酵素添加量によって決定される。
【0028】
(c).ステップ(b)が終了した後、1#糖化タンク1の排出弁bを開いて、糖液ポンプ6を起動させ、糖液を第2板式熱交換器4(2#板式熱交換器と略称する)を通過させ、蒸発フィード(蒸発前液)と熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタ7に入れて濾過し、濾液を緩衝タンク8に送ってから、ドラムフィルタ10に入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得る。
【0029】
(d).1#糖化タンク1の液位が10~15%残ったときに、製造の経験によれば、15%液位のシロップ中、98%以上のタンパク質が含有されている。排出弁bを閉じて、排出を停止する。
【0030】
(e).ステップ(d)が終了した後、リゾホスホリパーゼを酵素製剤タンク2に秤取し、0.16~0.22kg/トン(乾燥基準)で添加し、ダイアフラムポンプ12を起動させて、弁gを開き、1#糖化タンク1に送り、輸送終了後弁gを閉じる。
【0031】
酵素製剤タンク2及びその管路を洗浄する必要がある場合、酵素製剤タンク2に水を加え(水添加量の体積は輸送管路の体積以上)、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、さらに水を加え(水添加量の体積は輸送管路の体積以上)、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、酵素製剤タンク2及び酵素製剤管路の洗浄に用いる。
【0032】
以下の実施例に使用されるリゾホスホリパーゼはノボザイムズ社製novozymesのFinizym(登録商標) Wリゾホスホリパーゼである。
【0033】
(f).ステップ(e)が終了した後、1#糖化タンク1で2h以上撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止する。
【0034】
(g).ステップ(f)が終了した後、弁cと弁hを開いて、循環ポンプ5を起動させ、1#糖化タンク1内の糖液を第1板式熱交換器3(1#板式熱交換器と略称する)で循環加熱して昇温する。蒸気弁の開度を調整して、板式熱交換器の材料排出温度を95~97℃に設定した。1#糖化タンク全体の温度が所定の温度になると(耐高温α-アミラーゼの最適な酵素分解温度)、循環加熱昇温を停止する。
【0035】
(h).ステップ(g)が終了した後、耐高温αアミラーゼを酵素製剤タンク2に秤取し、0.36~0.44kg/トン(乾燥基準)で添加し、ダイアフラムポンプ12を起動させて、弁gを開き、1#糖化タンク1に送り、輸送終了後、弁gを閉じる。
【0036】
酵素製剤タンク2及びその管路を洗浄する必要がある場合、酵素製剤タンク2に水を加え(水添加量の体積は輸送管路の体積以上)、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、さらに水を加え(水添加量の体積は輸送管路の体積以上)、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、酵素製剤タンク2及び酵素製剤管路の洗浄に用いる。
【0037】
以下の実施例に使用される耐高温α-アミラーゼはデュポン社のSPEZYME(登録商標) POWERLIQであり、その活性が30099LU/g以上である。
【0038】
(i).ステップ(h)が終了した後、1#糖化タンク1で4h以上撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止する。
【0039】
(j).ステップ(i)が終了した後、1#糖化タンク1の排出弁bを開いて、タンパク質を含む糖液を2#板式熱交換器を通過させ、蒸発フィード(蒸発前液)と熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタ7に入れて濾過し、タンパク質をプレートフレームフィルタ7に遮断し、濾液を緩衝タンク8に送ってから、ドラムフィルタ10に入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得る。基質をすべて排出して液位0%とする。
【0040】
(k).ステップ(j)が終了した後、排出弁bを閉じて、プレートフレームフィルタ7に対してガス供給を10~15min、水供給を2~5min、ガス供給を15~20minとする洗浄を行い、タンパク質滓の乾湿度によって時間を調整する。タンパク質が乾固になると、タンパク質をプレートフレームフィルタ7の下部のスクリューコンベア11に排出して回収する。
【0041】
プレートフレームフィルタ7による濾過過程では、流量が要件を満たさないか、又は圧力>0.4MPaである場合、プレートフレームフィルタ7を交換する。
【0042】
複数の糖化タンクが使用される場合、2つの糖化タンク(1#糖化タンク1と2#糖化タンク1′)を例として、前記超高マルトースシロップの製造過程におけるタンパク質回収方法は、以下のステップ(A)~(K)を含む。
【0043】
(A).1#糖化タンク1の供給弁aを開いて、撹拌を開始し、温度58~61℃、pH 5.0~5.4、DE値3.0~4.0の糖化対象の液化液を1#糖化タンク1に入れながら、糖化酵素を添加する(添加量0.30~0.35kg/トン(乾燥基準))。1#糖化タンクの液位が100%になると、供給弁aを閉じて、弁dを開き、糖化対象の液化液、糖化酵素を2#糖化タンクに入れる。
【0044】
(B).ステップ(A)が終了した後、すなわち供給弁aを閉じた後、1#糖化タンク1で40~45h撹拌して反応させた後、撹拌を停止し、タンパク質のほとんどが1#糖化タンクの上部に浮くように5h以上静置する。2#糖化タンク1′は同様な操作を行う。反応時間は酵素添加量によって決定される。
【0045】
(C).ステップ(B)が終了した後、すなわち1#糖化タンク1で5h以上静置した後、1#糖化タンク1の排出弁bを開いて、糖液ポンプ6を起動させ、糖液を2#板式熱交換器を通過させ、蒸発フィード(蒸発前液)と熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタ7に入れて濾過し、濾液を緩衝タンク8に送ってから、ドラムフィルタ10に入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得る。
【0046】
(D).1#糖化タンク1の液位が10~15%残ったときに、製造の経験によれば、15%液位のシロップ中、98%以上のタンパク質が含有されている。排出を停止する。まず、排出弁bを閉じて、次に、弁eを開いて、1#糖化タンク1と同様にして2#糖化タンク1′で材料を排出する。2#糖化タンク1′から材料を排出する過程では、具体的にはステップ(E)、(F)、(G)、(H)、(I)の操作と同様にして1#糖化タンク1基質について酵素製剤反応処理を行う。2#糖化タンク1′基質について酵素製剤反応処理を行う際には上記と同様に操作する。
【0047】
(E).リゾホスホリパーゼを酵素製剤タンクに秤取し、0.16~0.22kg/トン(乾燥基準)で添加し、ダイアフラムポンプ12を起動させて、弁gを開き、1#糖化タンク1に送り、輸送終了後、弁gを閉じる。
【0048】
酵素製剤タンク2及びその管路を洗浄する必要がある場合、酵素製剤タンク2に水を加え(水添加量の体積は輸送管路の体積以上)、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、さらに水を加え(水添加量の体積は輸送管路の体積以上)、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、酵素製剤タンク2及び酵素製剤管路の洗浄に用いる。
【0049】
(F).ステップ(E)が終了した後、1#糖化タンク1で2h以上撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止する。
【0050】
(G).ステップ(F)が終了した後、弁cと弁hを開いて、循環ポンプ5を起動させ、1#糖化タンク1内の糖液を1#板式熱交換器で循環加熱して昇温する。蒸気弁の開度を調整して、板式熱交換器の材料排出温度を95~97℃に設定する。1#糖化タンク1全体の温度が所定の温度になると(耐高温α-アミラーゼの最適な酵素分解温度)、循環加熱昇温を停止する。
【0051】
(H).ステップ(G)が終了した後、耐高温α-アミラーゼを酵素製剤タンクに秤取し、0.36~0.44kg/トン(乾燥基準)で添加し、ダイアフラムポンプ12を起動させて、弁gを開き、1#糖化タンク1に送り、輸送終了後、弁gを閉じる。
【0052】
酵素製剤タンク2及びその管路を洗浄する必要がある場合、酵素製剤タンク2に水を加え(水添加量の体積は輸送管路の体積以上)、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送する。さらに水を加え(水添加量の体積は輸送管路の体積以上)、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、酵素製剤タンク2及び酵素製剤管路の洗浄に用いる。
【0053】
(I).ステップ(H)が終了した後、1#糖化タンク1で4h以上撹拌して反応させ、基質を排出するために撹拌を停止する。製造の具合に応じて基質を排出する時間を合理的に設定し、基質を排出する操作は具体的にはステップ(J)、(K)と同様である。2#糖化タンク1′でも同様な操作によって基質を排出する。
【0054】
(J).1#糖化タンク1が基質を排出する際には、他のタンクの排出弁を閉じて、1#糖化タンク1の排出弁bを開いて、タンパク質を含む糖液を2#板式熱交換器を通過させ、蒸発フィード(蒸発前液)と熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタ7に入れて濾過し、タンパク質をプレートフレームフィルタ7に遮断し、濾液を緩衝タンク8に送ってから、ドラムフィルタ10に入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得る。基質をすべて排出して液位0%とする。
【0055】
(K).ステップ(J)が終了した後、排出弁bを閉じて、弁eを開き、残りの糖化済みの糖液を排出するとともに、1#糖化タンク1への供給を準備する。プレートフレームフィルタ7に対してガス供給を10~15min、水供給を2~5min、ガス供給を15~20minとする洗浄を行い、タンパク質滓の乾湿度によって時間を調整する。タンパク質が乾固になると、タンパク質をプレートフレームフィルタ7の下部のスクリューコンベア11に排出して回収する。
【0056】
プレートフレームフィルタ7による濾過過程では、流量が要件を満たさないか、又は圧力>0.4MPaである場合、プレートフレームフィルタ7を交換する。
【0057】
実施例1:1つの糖化タンクを例にする。
図1に示すように、2つの糖化タンクが例示されており、本実施例では、そのうちの一方の糖化タンク(即ち1#糖化タンク1)を例とする。
(11).1#糖化タンク1(体積260m
3)供給弁aを開いて、撹拌を開始し、温度60℃、pH 5.0、DE値3.5の糖化対象の液化液を1#糖化タンク1に入れながら、糖化酵素を添加量0.32kg/トン(乾燥基準)で添加する。糖化タンクの液位が100%になると、供給弁aを閉じる。
【0058】
糖化酵素はβ-アミラーゼ(Maiteer Biotechnology Co., Ltd.社M-100)、プルラナーゼ(ノボザイムズ社製novozymesのPromozyme D6)、マルトゲナーゼ(ノボザイムズ社製novozymesのMaltogenase 2XL)を1:1:1の質量比で含む。
【0059】
(12).ステップ(11)が終了した後、1#糖化タンク1で45h撹拌して反応させた後、撹拌を停止し、5h静置する。
【0060】
(13).ステップ(12)が終了した後、1#糖化タンク1の排出弁bを開いて、糖液ポンプ6を起動させ、糖液を2#板式熱交換器を通過させ、蒸発フィード(蒸発前液)と熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタ7に入れて濾過し、濾液を緩衝タンク8に送ってから、ドラムフィルタ10に入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得る。
【0061】
(14).1#糖化タンク1の液位が15%残ったときに、排出弁bを閉じて、排出を停止する。
【0062】
(15).ステップ(14)が終了した後、リゾホスホリパーゼ1kgを酵素製剤タンク2に秤取し、ダイアフラムポンプ12を起動させて、弁gを開き、1#糖化タンク1に送り、輸送終了後弁gを閉じる。
【0063】
酵素製剤タンク2及びその管路を洗浄する必要がある場合、水10Lを酵素製剤タンク2に入れて、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、次に水10Lを加え、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、酵素製剤タンク及び酵素製剤管路の洗浄に用いる。
【0064】
リゾホスホリパーゼはノボザイムズ社製novozymesのFinizym(登録商標) Wリゾホスホリパーゼである。
【0065】
(16).ステップ(15)が終了した後、1#糖化タンク1で2h撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止する。
【0066】
(17).ステップ(16)が終了した後、弁cと弁hを開いて、循環ポンプ5を起動させ、1#糖化タンク1内の糖液を1#板式熱交換器で循環加熱して昇温する。蒸気弁の開度を35%とし、板式熱交換器材料の排出温度を95℃に設定し、1#糖化タンク1全体の温度が95℃になると、循環加熱昇温を停止する。
【0067】
(18).ステップ(17)が終了した後、耐高温αアミラーゼ2kgを酵素製剤タンクに秤取し、ダイアフラムポンプ12を起動させて、弁gを開き、1#糖化タンク1に送り、輸送終了後、弁gを閉じる。
【0068】
酵素製剤タンク2及びその管路を洗浄する必要がある場合、水10Lを酵素製剤タンク2に加え、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、次に水10Lを加え、ダイアフラムポンプ12によって1#糖化タンク1に圧送し、酵素製剤タンク2及び酵素製剤管路の洗浄に用いる。
【0069】
耐高温α-アミラーゼはデュポンのSPEZYME(登録商標) POWERLIQであり、その活性が30099LU/g以上である。
【0070】
(19).ステップ(18)が終了した後、1#糖化タンク1で4h撹拌して反応させ、反応終了後撹拌を停止する。
【0071】
(110).ステップ(19)が終了した後、1#糖化タンク1の排出弁bを開いて、タンパク質を含む糖液を2#板式熱交換器を通過させ、蒸発フィード(蒸発前液)と熱交換をして降温させ、プレートフレームフィルタ7に入れて濾過し、タンパク質をプレートフレームフィルタ7に遮断し、濾液を緩衝タンク8に送ってから、ドラムフィルタ10に入れて濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得る。基質をすべて排出して液位0%とする。
【0072】
(111).ステップ(110)が終了した後、排出弁bを閉じて、プレートフレームフィルタに対してガス供給10min、水供給3min、ガス供給15minの洗浄を行い、タンパク質が乾固になると、タンパク質をプレートフレームフィルタ7の下部のスクリューコンベア11に排出して回収する。
【0073】
比較例1:1つの糖化タンクを例にする。
図2に示すように、2つの糖化タンク、すなわち1#糖化タンクsと2#糖化タンクs′が例示されており、本比較例では、そのうちの一方の糖化タンク(即ち1#糖化タンクs)を例とする。
(d1).1#糖化タンクs(体積260m
3)の供給弁aを開いて、撹拌を開始し、温度60℃、pH 5.0、DE値3.5の糖化対象の液化液を1#糖化タンクsに入れながら、糖化酵素を添加量0.32kg/トン(乾燥基準)で添加する。糖化タンクの液位が100%になると、供給弁aを閉じる。
【0074】
糖化酵素はβ-アミラーゼ(Maiteer Biotechnology Co., Ltd.社M-100)、プルラナーゼ(ノボザイムズ社製novozymesのPromozyme D6)、マルトゲナーゼ(ノボザイムズ社製novozymesのMaltogenase 2XL)を1:1:1の質量比で含む。
【0075】
(d2).ステップ(d1)が終了した後、1#糖化タンクsで45h撹拌して反応させた後、撹拌を停止し、5h静置する。
【0076】
(d3).ステップ(d2)が終了した後、1#糖化タンクsの排出弁bを開いて、糖液ポンプtを起動させ、糖液をドラムフィルタuで濾過し、得られたドラム濾液について脱色、イオン交換、蒸発処理を行い、最後に、超高マルトースシロップ完成品を得る。全て液位が0%となるまで排出する。
【0077】
比較例1では、ドラムフィルタも珪藻土を濾過助剤とする。
【0078】
実施例1及び比較例1の珪藻土の消費量及びタンパク質の回収量を表1に示し、実施例1では珪藻土の消費量が明らかに低下し、プレートフレームフィルタ7による基質濾過はスムーズに行われ、カラム圧は0.1~0.2MPaであり、収集したタンパク質は塊状であり、明らかな水がなく、タンパク質は排出されやすく、市販用に適している。
【0079】
【0080】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨及び原則内で行われる全ての修正、等同置換及び改良などは本発明の特許範囲に含まれるものとする。