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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-08
(45)【発行日】2024-02-19
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20240209BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20240209BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240209BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20240209BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240209BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240209BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240209BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240209BHJP
【FI】
H01L33/54
F21V3/08
F21V5/00 510
F21V7/04 123
F21V19/00 150
F21V19/00 170
H01L33/00 H
H01L33/60
F21Y115:10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023571066
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2022048277
(87)【国際公開番号】W WO2023127897
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2021213359
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】堺 圭亮
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-138185(JP,A)
【文献】特開2019-61954(JP,A)
【文献】特開2008-41290(JP,A)
【文献】特開2007-180339(JP,A)
【文献】特開2009-135485(JP,A)
【文献】特開2011-9680(JP,A)
【文献】特開平7-297996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01L 25/075、25/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に実装されると共に第1LEDダイを有し、第1波長を有する光を出射する複数の第1発光素子と、
前記複数の第1発光素子を覆うように配置され、前記複数の第1発光素子から出射された光を透光する第1透光層と、
前記第1透光層を覆うように配置され、前記第1透光層を透光した光を透光する第2透光層と、
上方に膨らむように形成される湾曲面を前記第1透光層及び前記第2透光層が接する内壁の上部に有し、前記複数の第1発光素子を囲むように前記基板に配置され、前記第1発光素子から出射された光を反射する反射材と、を有し、
前記第1LEDダイの表面と前記第1透光層の表面との間の厚さTは、
T1 = LG1 / (2tanθc)
で示される厚さT1よりも厚く、
ここで、LG1は前記第1LEDダイの間の離隔距離であり、θcは前記第1透光層から空気に光が出射するときの臨界角であり、
前記第2透光層の上端が前記反射材の湾曲面に接する第2接触部と前記反射材の内壁の下端との間の水平方向の離隔距離は、前記第1透光層の上端が前記反射材に接する第1接触部と前記反射材の内壁の下端との間の水平方向の離隔距離よりも長く
前記第1透光層は、前記反射材の上部の近傍において前記第1接触部で前記湾曲面に接触し、
前記第1透光層は、前記第1接触部から、前記第1透光層の固化前の樹脂の反射材に対する接触角に前記第1接触部における接線方向に対応する角度だけ傾斜した方向に向けて延伸し、
前記複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央における前記第1透光層の厚さは、前記第1接触部における前記第1透光層の厚さよりも薄い、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第2透光層は、前記反射材の上部の近傍において前記第2接触部で前記湾曲面に接触し、
前記第2透光層は、前記第2接触部から、前記第2透光層の固化前の樹脂の反射材に対する接触角に前記第2接触部における接線方向に対応する角度だけ傾斜した方向に向けて延伸する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2透光層の上端が前記反射材の湾曲面に接する前記第2接触部の高さは、前記第1透光層の上端が前記反射材に接する前記第1接触部の高さよりも高い、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記反射材は、重畳して配置される複数の層を有する、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の層のそれぞれの幅は、前記複数の層のそれぞれと前記基板との間に配置される前記複数の層のそれぞれの幅よりも狭い、請求項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1透光層の厚さは、前記第1接触部から離隔するに従って薄くなる、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央における前記第2透光層の厚さは、前記第2接触部における前記第2透光層の厚さよりも厚い、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第2透光層の厚さは、前記第2接触部から離隔するに従って厚くなる、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1透光層は、前記複数の第1発光素子から出射された光を前記第2透光層に導光する導光層であり、
前記第2透光層は、前記導光層を導光した光を拡散する拡散層である、
請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第2透光層は、第1拡散材、前記第1拡散材と組成が異なる第2拡散材を含有する、請求項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記複数の第1発光素子は、青色光を出射する青色発光素子であり、
前記第1透光層は、前記複数の第1発光素子から出射された光を前記第2透光層に導光する導光層であり、
前記第2透光層は、前記導光層を導光した青色光を吸収することに応じて光を出射する蛍光体を含有する蛍光層である、
請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項12】
前記複数の第1発光素子のそれぞれの周囲を囲むように配置される白色樹脂を更に有する、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項13】
基板が準備される基板準備工程と、
第1LEDダイを有する複数の第1発光素子が基板上に実装される発光素子実装工程と、
反射材が前記複数の第1発光素子を囲むように配置される反射材配置工程と、
第1透光層が前記複数の第1発光素子を覆うように配置される第1透光層配置工程と、
前記第1透光層を覆うように第2透光層が配置される第2透光層配置工程と、を有し、
前記反射材は、上方に膨らむように形成される湾曲面を前記第1透光層及び前記第2透光層が接する内壁の上部に有し、前記複数の第1発光素子を囲むように前記基板に配置され、前記複数の第1発光素子から出射された光を反射し、
前記第1LEDダイの表面と前記第1透光層の表面との間の厚さTは、
T1 = LG1 / (2tanθc)
で示される厚さT1よりも厚く、
ここで、LG1は前記第1LEDダイの間の離隔距離であり、θcは前記第1透光層から空気に光が出射するときの臨界角であり、
前記第2透光層の上端が前記反射材の湾曲面に接する第2接触部と前記反射材の内壁の下端との間の水平方向の離隔距離は、前記第1透光層の上端が前記反射材に接する第1接触部と前記反射材の内壁の下端との間の水平方向の離隔距離よりも長く
前記第1透光層は、前記反射材の上部の近傍において前記第1接触部で前記湾曲面に接触し、
前記第1透光層は、前記第1接触部から、前記第1透光層の固化前の樹脂の反射材に対する接触角に前記第1接触部における接線方向に対応する角度だけ傾斜した方向に向けて延伸し、
前記複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央における前記第1透光層の厚さは、前記第1接触部における前記第1透光層の厚さよりも薄い、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2透光層は、前記反射材の上部の近傍において前記第2接触部で前記湾曲面に接触し、
前記第2透光層は、前記第2接触部から、前記第2透光層の固化前の樹脂の反射材に対する接触角に前記第2接触部における接線方向に対応する角度だけ傾斜した方向に向けて延伸する、請求項13に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2透光層配置工程は、
拡散材を含有する前記第2透光層の固化前の原材料を塗布し、
前記塗布された第2透光層の固化前の原材料を固化して、均一な厚さを有する前記第2透光層を形成する、
工程を含む、請求項13又は14に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2透光層配置工程の前に、前記複数の第1発光素子に電流を供給することに応じて前記第1透光層から出射される光の色度を測定し、
前記第2透光層から出射される光の色度が所定の色度になるように、前記塗布する第2透光層の固化前の原材料の量を決定する、
工程を更に含む、請求項15に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に配列されてモジュール化された複数の発光素子を有し、照明器具に取り付けられて照明器具の光源として機能する発光装置が知られている。発光装置に含まれる発光素子は、例えば、蛍光体で被覆されたLEDダイ、及び蛍光体で被覆されたLEDダイをパッケージ化したLEDモジュールであり、主に表面から光を出射する。また、多数の発光素子が配列される発光装置として、色別の区画を多数備えたカラーフィルタの区画毎に白色LEDパッケージを配置した発光装置が知られている。なお、発光素子としては、様々な小型の発光素子が採用可能であるが、本開示では、LEDダイが発光素子の一例として説明される。
【0003】
特開2006―86191号公報には、枠状の遮光部材で発光面を複数の区画に区分して、区分された区画に、LEDダイ及びLEDダイを被覆する蛍光体層を備えた発光素子を配置した発光装置が記載される。また、特許第6095479号公報には、暖色の光を出射するチップサイズパッケージ(CSP)と寒色の光を出射するCSPが互い違いに配列され、CSPの間に白色反射樹脂を充填した発光装置が記載されている。なお、CSPは、発光素子の一例であり、LEDダイの表面及び側面を被覆する蛍光樹脂と、底面に形成された電極とを備え、LEDダイと同程度の平面サイズを有する。
【発明の概要】
【0004】
特開2006―86191号公報及び特許第6095479号公報に記載された発光装置は、点灯状態であるとき、1m程度離れた観察者によって、発光素子が粒状に視認されることがある。発光装置と観察者との間に拡散板を配置することで、発光装置から出射された光の輝度分布が均一化し、発光素子が粒状に視認されることを防止できる。発光装置から出射される光は、発光装置と拡散板との距離を長くすること、及び拡散板の拡散度を増大させることで輝度が均一化されることが知られている。
【0005】
しかしながら、照明器具は、発光装置と拡散板との距離を長くすることにより大型化する。また、照明器具は、拡散板の拡散度を増大させることにより発光効率が低下する。本開示は、上記課題に鑑みて為されたものであり、より均一な輝度分布を有する光を出射可能な発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
本開示に係る発光装置は、基板に実装されると共に第1LEDダイを有し、第1波長を有する光を出射する複数の第1発光素子と、複数の第1発光素子を覆うように配置され、複数の第1発光素子から出射された光を透光する第1透光層と、第1透光層を覆うように配置され、第1透光層を透光した光を透光する第2透光層と、上方に膨らむように形成される湾曲面を第1透光層及び第2透光層が接する内壁の上部に有し、複数の第1発光素子を囲むように基板に配置され、第1発光素子から出射された光を反射する反射材と、を有し、第1LEDダイの表面と第1透光層の表面との間の厚さTは、
T1 = LG1 / (2tanθc)
で示される厚さT1よりも厚く、ここで、LG1は第1LEDダイの間の離隔距離であり、θcは第1透光層から空気に光が出射するときの臨界角であり、第2透光層の上端が反射材の湾曲面に接する第2接触部と反射材の内壁の下端との間の水平方向の離隔距離は、第1透光層の上端が反射材に接する第1接触部と反射材の内壁の下端との間の水平方向の離隔距離よりも長い。
【0007】
さらに、本開示に係る発光装置では、第2透光層の上端が反射材の湾曲面に接する第2接触部の高さは、第1透光層の上端が反射材に接する第1接触部の高さよりも高いことが好ましい。
【0008】
さらに、本開示に係る発光装置では、反射材は、重畳して配置される複数の層を有することが好ましい。
【0009】
さらに、本開示に係る発光装置では、複数の層のそれぞれの幅は、複数の層のそれぞれと基板との間に配置される複数の層のそれぞれの幅よりも狭いことが好ましい。
【0010】
さらに、本開示に係る発光装置では、複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央における第1透光層の厚さは、第1接触部における第1透光層の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0011】
さらに、本開示に係る発光装置では、第1透光層の厚さは、第1接触部から離隔するに従って薄くなることが好ましい。
【0012】
さらに、本開示に係る発光装置では、複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央における第2透光層の厚さは、第2接触部における第2透光層の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0013】
さらに、本開示に係る発光装置では、第2透光層の厚さは、第2接触部から離隔するに従って厚くなることが好ましい。
【0014】
さらに、本開示に係る発光装置では、反射材における最上層より下側に配置される層の少なくとも1つは、上方に膨らむように形成される湾曲面を表面として有し、反射材における最上層の頂部は、最上層の内壁が最上層の下方に配置される湾曲面を有する層の頂部よりも外側に位置するように配置されることが好ましい。
【0015】
さらに、本開示に係る発光装置では、複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央における第1透光層の厚さは、第1接触部における第1透光層の厚さと等しいことが好ましい。
【0016】
さらに、本開示に係る発光装置では、第1接触部は、最上層の下方に配置される層の湾曲面に接触し、第2接触部は、最上層の湾曲面に接触することが好ましい。
【0017】
さらに、本開示に係る発光装置では、複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央における第2透光層の厚さは、第1接触部における第2透光層の厚さと等しいことが好ましい。
【0018】
さらに、本開示に係る発光装置では、第1透光層は、複数の第1発光素子から出射された光を第2透光層に導光する導光層であり、第2透光層は、導光層を導光した光を拡散する拡散層であることが好ましい。
【0019】
さらに、本開示に係る発光装置では、第2透光層は、第1拡散材、第1拡散材と組成が異なる第2拡散材を含有することが好ましい。
【0020】
さらに、本開示に係る発光装置では、複数の第1発光素子は、青色光を出射する青色発光素子であり、第1透光層は、複数の第1発光素子から出射された光を第2透光層に導光する導光層であり、第2透光層は、導光層を導光した青色光を吸収することに応じて光を出射する蛍光体を含有する蛍光層であることが好ましい。
【0021】
さらに、本開示に係る発光装置は、複数の第1発光素子のそれぞれの周囲を囲むように配置される白色樹脂を更に有することが好ましい。
【0022】
また、本開示に係る発光装置の製造方法は、基板が準備される基板準備工程と、第1LEDダイを有する第1発光素子が基板上に実装される発光素子実装工程と、反射材が第1発光素子を囲むように配置される反射材配置工程と、第1透光層が第1発光素子を覆うように配置される第1透光層配置工程と、第1透光層を覆うように第2透光層が配置される第2透光層配置工程と、を有し、反射材は、上方に膨らむように形成される湾曲面を第1透光層及び第2透光層が接する内壁の上部に有し、複数の第1発光素子を囲むように基板に配置され、第1発光素子から出射された光を反射し、第1LEDダイの表面と第1透光層の表面との間の厚さTは、
T1 = LG1 / (2tanθc)
で示される厚さT1よりも厚く、ここで、LG1は第1LEDダイの間の離隔距離であり、θcは第1透光層から空気に光が出射するときの臨界角であり、第2透光層の上端が反射材の湾曲面に接する第2接触部と反射材の内壁の下端との間の水平方向の離隔距離は、第1透光層の上端が反射材に接する第1接触部と反射材の内壁の下端との間の水平方向の離隔距離よりも長い。
【0023】
さらに、本開示に係る発光装置の製造方法では、第2透光層配置工程は、拡散材を含有する第2透光層の固化前の原材料を塗布し、塗布された第2透光層の固化前の原材料を固化して、均一な厚さを有する第2透光層を形成する工程を含むことが好ましい。
【0024】
さらに、本開示に係る発光装置の製造方法は、第2透光層配置工程の前に、第1発光素子に電流を供給することに応じて第1透光層から出射される光の色度を測定し、第2透光層から出射される光の色度が所定の色度になるように、塗布する第2透光層の固化前の原材料の量を決定する工程を更に含むことが好ましい。
【0025】
本開示に係る発光装置は、より均一な輝度分布を有する光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】(a)は本開示に係る発光装置の概要を説明するための図(その1)であり、(b)は本開示に係る発光装置の概要を説明するための図(その2)である。
図2】第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図3図2に示すA-A´線に沿う発光装置の断面図である。
図4図2に示す発光装置の特性図である。
図5図2に示す透明層の厚さの説明図(その1)である。
図6図2に示す透明層の厚さの説明図(その2)である。
図7】第2実施形態に係る発光装置の平面図である。
図8図7に示す透明層の厚さの説明図(その1)である。
図9図7に示す透明層の厚さの説明図(その2)である。
図10】第3実施形態に係る発光装置の平面図である。
図11】第4実施形態に係る発光装置の平面図である。
図12】(a)は図11に示すC-C´線に沿う発光装置の断面図(その1)であり、(b)は図11に示す図11に示すC-C´線に沿う発光装置の断面図(その2)である。
図13】(a)は第5実施形態に係る発光装置の斜視図であり、(b)は(a)に示す発光装置の平面図である。
図14図13(b)に示すD-D´線に沿う発光装置の断面図である。
図15図14に示す導光層及び拡散層のそれぞれの表面が反射材に接触する接触部と導光層及び拡散層のそれぞれを形成する固化前の樹脂の表面の形状との関係を説明するための図であり、(a)は固化前の樹脂の表面が反射材に接触する接触部と固化前の樹脂の延伸方向との関係を示し、(b)は(a)に示す接触部C1で固化前の樹脂の表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す実測結果であり、(c)は(a)に示す接触部C2で固化前の樹脂の表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す実測結果であり、(d)は(a)に示す接触部C3で固化前の樹脂のそれぞれの表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す実測結果であり、(e)は(a)に示す接触部C4で固化前の樹脂のそれぞれの表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す実測結果である。
図16図14に示す発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
図17】(a)は第5実施形態に係る発光装置の試作品の断面図であり、(b)は反射枠の上部の近傍の拡大断面図であり、(c)は第1発光素子及び第2発光素子の近傍の拡大断面図である。
図18】比較例に係る発光装置及び図13に示す発光装置から出射される光の輝度特性を示す図である。
図19】(a)は第6実施形態に係る発光装置の断面図であり、(b)は(a)に示す反射材の構造を説明するための図である。
図20】(a)は第1変形例に係る発光装置の断面図であり、(b)は第2変形例に係る発光装置の断面図であり、(c)は第3変形例に係る発光装置の断面図であり、(d)は第4変形例に係る発光装置の断面図であり、(e)は第5変形例に係る発光装置の断面図である。
図21】(a)は第6変形例に係る発光装置の断面図であり、(b)は第7変形例に係る発光装置の断面図であり、(c)は第8変形例に係る発光装置の断面図であり、(d)は第9変形例に係る発光装置の断面図であり、(e)は(a)において矢印Dで示す部分の拡大図であり、(f)は(b)において矢印Eで示す部分の拡大図であり、(g)は(c)において矢印Fで示す部分の拡大図である。
図22】第10変形例に係る発光装置の断面図である。
図23】塗布される拡散層の固化前の原材料の量と色度のシフト量との関係を示す図である。
図24】第11変形例に係る発光装置の斜視図である。
図25】第12変形例に係る発光装置の斜視図である。
図26】第13変形例に係る発光装置の斜視図である。
図27図26に示す発光装置の製造方法を示す図であり、(a)は発光素子実装工程であり、(b)は枠材配置工程である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態について説明する。ただし、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。また、図面の説明において、同一又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。説明のため部材の縮尺は適宜変更している。
【0028】
(本開示に係る発光装置の概要)
図1(a)は本開示に係る発光装置の概要を説明するための図(その1)であり、図1(b)は本開示に係る発光装置の概要を説明するための図(その2)である。図1(a)及び1(b)は、本開示に係る発光装置の断面図である。
【0029】
発光装置1は、基板10と、第1発光素子11と、第2発光素子12と、反射材13と、導光層14とを有する。基板10は、セラミックス及びアルミニウム等の熱伝導率が高い部材で形成され、第1発光素子11及び第2発光素子12を実装する。第1発光素子11及び第2発光素子12は、LEDダイ及びLEDダイから出射された光の波長を変換して第1波長及び第2波長を有する光を出射する蛍光体が含有されたシリコーン樹脂等の封止材を有するCSP型の発光素子である。反射材13は、酸化チタン(TiO2)等の白
色の粒子が含有されたシリコーン樹脂で形成され、第1発光素子11及び第2発光素子12を囲むように配置される。導光層14は、第1発光素子11及び第2発光素子12から出射された光を透過するシリコーン樹脂であり、反射材13に囲まれた領域に充填される。発光装置1は、第1発光素子11及び第2発光素子12のLEDダイの表面と導光層14の表面との間の厚さTをT1以上であり且つT2以下とすることで、均一性が高い輝度を有する光を出射する。
【0030】
第1発光素子11のLEDダイの表面と導光層14の表面との間の厚さTの最小値T1は、第1発光素子11のLEDダイの間の離隔距離がLG1であり、導光層14から空気に光が出射するときの臨界角がθcであるとき、
T1 = LG1 / (2tanθc) (1)
で示される。また、第1発光素子11のLEDダイの表面と導光層14の表面との間の厚さTの最大値T2は、1つの第1発光素子11を挟んで配置される2つの第1発光素子11のLEDダイの間の離隔距離がLG2であるとき、
T2 = LG2 / (2tanθc) (2)
で示される。第1発光素子11のLEDダイの表面と導光層14の表面との間の厚さTは、1mm以上であり且つ1.5mm以下であることが好ましい。
【0031】
発光装置1は、第1発光素子11のLEDダイの表面と導光層14の表面との間の厚さTをT1以上とすることで、第1発光素子11から出射される光が導光層14の表面の全面に亘って出射される。また、発光装置1は、第1発光素子11のLEDダイの表面と導光層14の表面との間の厚さTをT2以下とすることで、導光層14の厚さが厚くなり発光効率が低下することを防止すると共に製造コストが上昇することを抑制することができる。第2発光素子12のLEDダイの高さは第1発光素子11のLEDダイの高さと同一であり且つ第2発光素子12のLEDダイの配置ピッチは、第1発光素子11のLEDダイの配置ピッチと同一である。
【0032】
発光装置1は、CSP型の発光素子が採用されるが、LEDダイを基板に実装するチップオンボード(COB)型の発光装置であってもよく、表面実装(SMD)型の発光素子を実装する発光装置であってもよい。
【0033】
発光装置2は、第1発光素子15及び導光層16を第1発光素子11、第2発光素子12及び導光層14の代わりに有することが発光装置1と相違する。第1発光素子15は、第1波長を有する光を出射するLEDダイである。導光層16は、蛍光体層17と、透明層18とを有する。蛍光体層17は、第1発光素子15から出射された光の波長を変換して第2波長を有する光を出射する蛍光体が含有されたシリコーン樹脂である。透明層18は、第1発光素子15及び蛍光体層17に含有される蛍光体から出射された光を透過するシリコーン樹脂である。発光装置2は、第1発光素子15の表面と導光層16の表面との間の厚さTをT3以上であり且つT4以下とすることで、イエローリングの発生を抑制する。
【0034】
第1発光素子15の表面と導光層16の表面との間の厚さTの最小値T3は、反射材13に隣接して配置される第1発光素子15と反射材13との間の離隔距離がLB1であるとき、
T3 = LB1 / tanθc (3)
で示される。すなわち、反射材13に隣接して配置される第1発光素子15と反射材13との間の離隔距離LB1は、Ttanθcよりも短い。また、第1発光素子15の表面と導光層16の表面との間の厚さTの最大値T4は、第1発光素子15の中で他の1つの第1発光素子15を介して隣接して配置される第1発光素子15と反射材13との間の離隔距離がLB2であるとき、
T4 = LB2 / tanθc (4)
で示される。すなわち、他の1つの第1発光素子15を介して反射材13に隣接して配置される第1発光素子15と反射材13との間の離隔距離LB2は、Ttanθcよりも長い。
【0035】
発光装置2は、第1発光素子15の表面と導光層16の表面との間の厚さTをT3以上とすることで、反射材13に隣接して配置される第1発光素子15から出射される光が反射材13に内接する導光層16の表面の外縁に出射される。発光装置2は、第1発光素子15から出射される光が反射材13に内接する導光層14の表面の外縁に出射されることで、蛍光体層17に含有される蛍光体から出射される光のみが導光層16の表面の外縁に出射されてイエローリングが発生するおそれはない。また、発光装置2は、第1発光素子15の表面と導光層16の表面との間の厚さTをT4以下とすることで、導光層16の厚さが厚くなり発光効率が低下することを防止すると共に製造コストが上昇することを抑制することができる。
【0036】
(第1実施形態に係る発光装置の構成及び機能)
図2は第1実施形態に係る発光装置の斜視図であり、図3図2のA-A´線に沿う断面図である。発光装置3は、基板20と、基板20の表面に実装された8個の第1発光素子21及び第2発光素子22と、第1発光素子21及び第2発光素子22の上部に配置されたシート状の導光層23とを備えている。シート状の導光層23の上面は平坦であるとより好ましい。発光装置3の製造方法は、よく知られているので、詳細な説明は省略する。
【0037】
基板20は、セラミック又はアルミベース基板等の反射率及び熱伝導性の高い絶縁基板であり、一対の角部に電源電極20aが形成され、他の一対の角部にネジ止め用の切欠き20bが形成される。第1発光素子21及び第2発光素子22は、基板20の表面に4×4のマトリクス状に配列される。また、第1発光素子21及び第2発光素子22は、市松模様状に配列される。導光層23は、シリコーン樹脂により形成され、第1発光素子21及び第2発光素子22を覆うように配置される。導光層23は、フィラーとも称される拡散材を含有しない。なお、図2において、電源電極20aと第1発光素子21及び第2発光素子22との間、及び第1発光素子21及び第2発光素子22のそれぞれの間を接続する配線は省略される。
【0038】
第1発光素子21及び第2発光素子22は、1.7mm×1.7mmの矩形の平面形状を有し、LEDダイ24と、蛍光樹脂25と、反射枠26とを含む。第1発光素子21に含まれるLEDダイ24及び蛍光樹脂25は第1LEDダイ及び第1蛍光樹脂とも称され、第2発光素子22に含まれるLEDダイ24及び蛍光樹脂25は第2LEDダイ及び第2蛍光樹脂とも称される。LEDダイ24は、1.0mm×1.0mmの矩形の平面形状を有し、青色ダイオードであり、上方に配置されるサファイヤ基板と、サファイヤ基板の下方に形成される発光層と、底面に配置されるアノード電極及びカソード電極を有する。LEDダイ24から出射される青色の光の主波長は、445nmと495nmとの間の範囲内であり、一例では450nmである。蛍光樹脂25は、YAG等の蛍光体を含有するシリコーン樹脂であり、LEDダイ24の表面及び側面を被覆し、LEDダイ24の発光の一部を波長変換する。反射枠26は、酸化チタン等の反射性微粒子を含有したシリコーン樹脂であり、蛍光樹脂25を囲み、LEDダイ24から出射された光を上方へ向かわせる。第1発光素子21及び第2発光素子22は、蛍光樹脂25に含有される蛍光体の含有率が相違し、第1波長を有する光及び第1波長と異なる第2波長を有する光を出射する。第1発光素子21から出射される第1波長を有する光は例えば色温度が5000Kである寒色の光であり、第2発光素子22から出射される第2波長を有する光は例えば色温度が2700Kである暖色の光である。
【0039】
第1発光素子21及び第2発光素子22は、基板20の表面にフリップチップ実装される。導光層23は、第1発光素子21及び第2発光素子22の表面に接着材を介して接着される。
【0040】
図4は、発光装置3の正面輝度と導光層23の厚さの関係を示す特性図である。発光装置3の正面輝度は、図2に示すA-A´線に沿って計測され、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光の輝度は同一となるように調整される。
【0041】
図4の縦軸は正面輝度のピークとボトムの変動幅を示し、横軸は導光層23の厚さ(mm)を示す。発光装置3から出射される光の正面輝度は、第1発光素子21及び第2発光素子22の直上で最大になり、第1発光素子21及び第2発光素子22の間の中間点上で最小になる。図4において、曲線W401は正面輝度のピーク値(最大値)とボトム値(最小値)の差である変動幅を示す。曲線W401で示す正面輝度の変動幅は、導光層23の厚さがゼロのとき、すなわち導光層23が配置されないときの値を100%として規格化される。
【0042】
第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光の正面輝度の変動幅は、導光層23が厚くなるに従って低下し、導光層23の厚さが1mmを超えると変化が小さくなる。
【0043】
図5は、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さの下限値の一例の説明図であり、図2に示すA-A´線に沿う発光装置3の断面図である。図5は、第1発光素子21及び第2発光素子22の間の距離が長くなるように誇張して記載される。図5において、導光層23の表面の位置は、第1位置23a、第2位置23b及び第3位置23cが示される。第1位置23aは下限値であるときの導光層23の表面の位置であり、第2位置23bは下限値よりも長いときの導光層23の表面の位置であり、第3位置23cは下限値よりも短いときの導光層23の表面の位置である。
【0044】
第1発光素子21のLEDダイ24と隣接する第2発光素子22のLEDダイ24の間の距離はLG1であり、隣接する第1発光素子21のLEDダイ24の間の距離はLG2であり、第1発光素子21及び第2発光素子22を介して離隔して配置される第1発光素子21のLEDダイ24と第2発光素子22のLEDダイ24の間の距離はLG3である。光線P1は、第1発光素子21の第2発光素子22に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。光線P2は、第2発光素子22の第1発光素子21に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。
【0045】
第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と第1位置23aである導光層23の表面との間の厚さはT1で示される。第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さT1は、導光層23から空気中に光が出射するときの臨界角θc及び第1発光素子21と第2発光素子22との間の距離LG1から、
T1=LG1/(2tanθc) (1)
で示される。
【0046】
第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1であるとき、第1発光素子21と第2発光素子22のLEDダイ24の間の中線と導光層23の表面とが交差する交差部27において、光線P1と光線P2とが交差する。
【0047】
導光層23の表面の位置が第2位置23bであり、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1よりも厚いとき、暗線は発生しない。第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1よりも厚いとき、交差部27において、導光層23の表面から外部に光が出射される。一方、導光層23の表面の位置が第3位置23cであり、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1よりも薄いとき、帯状の暗部が発生する。第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1よりも薄いとき、交差部27の近傍では、導光層23の表面から外部に光が出射しない。
【0048】
第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1以上であるとき、導光層23の表面の全体から光が出射し、発光装置3から出射される光輝度の均一化が向上する。第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1以上であるとき、輝度の均一性が高い光が出射されるので、拡散度の低い拡散板と組み合わせることで、発光装置3が搭載される照明器具から出射する光の輝度が更に均一化する。
【0049】
図6は、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTの最適値及び上限値の説明図であり、図2に示すA-A´線に沿う発光装置3の断面図である。
【0050】
光線P1は、第1発光素子21のLEDダイ24の第2発光素子22に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。光線P3は、光線P1を出射する第1発光素子21のLEDダイ24に第2発光素子22を介して隣接する第1発光素子21のLEDダイ24の第2発光素子22に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。導光層23の表面の位置が第4位置23dであり、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT2であるとき、光線P1及び光線P3は、導光層23の表面の交差部28で交差する。
【0051】
第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さT2は、導光層23から空気に光が出射するときの臨界角θc及び第2発光素子22を介して隣接する第1発光素子21のLEDダイ24の間の離隔距離LG2から、
T2=LG2/(2tanθc) (2)
で示される。発光装置3では、第2発光素子22から直上方向に出射される光は、導光層23の表面の交差部28近傍で導光層23の表面から外部に出射する。発光装置3は、導光層23の表面から全体に亘って均等に外部に光線を出射する。
【0052】
シリコーン樹脂で形成される導光層23の屈折率は1.4であり、臨界角θcは約45°である。また、第1発光素子21のLEDダイ24と第2発光素子22のLEDダイ24の距離LG1は1.0mmであり、第1発光素子21のLEDダイ24と第1発光素子21のLEDダイ24との間の距離LG2は3.0mmである。臨界角θcが45°であり、距離LG1が1.0mmであり、距離LG2が3.0mmであるとき、式(1)により算出されるT1は0.5mmである。また、式(2)により算出されるT2は1.5mmである。曲線W401は、導光層23の厚さTが1mmを超えると変化量、すなわち減衰量が小さくなり、飽和する。曲線W401に対応する正面輝度の変動幅は、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTがT2の3分の2の値で飽和する。
【0053】
第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さが0.5mm、すなわちT1であるとき、曲線W401の値は約80%である。第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さが1.5mm、すなわちT2であるとき、曲線W401の値は約75%である。
【0054】
発光装置3において、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTは、T1以上であるときに、出射される光の輝度の均一性が向上する。しかしながら、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTがT1の近傍であるとき、出射される光の輝度の均一性をより向上させるために、導光層23の上方に拡散層を備えるのが好ましい。
【0055】
また、導光層23は、厚さTが厚くなると、発光効率が低下すると共に、取扱性が低下する。一方、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTが1.0mm以上になると、正面輝度の変動幅は飽和する。第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さの上限は、T2´=LG3/(2tanθc)としてもよい。発光装置3において、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さは、T1以上であり且つT2´以下であることが好ましい。具体的には、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTは、0.5mm以上であり且つ2.5mm以下であることが好ましい。
【0056】
導光層23は、発光効率の低下を抑制するためには薄い方が好ましいので、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTは、T2が最適値である。第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さが0.5mmあるとき、すなわち(2/3)×T2の近傍から正面輝度の変動幅が小さくなるので、厚さTは、(2/3)×T2以上であり且つT2´以下であることが更に好ましい。
【0057】
図4~6を参照して、輝度の均一性が向上することが説明された。しかしながら、発光装置3は、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光の相対強度を調整することにより、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光の中間の色を有する光を出射できる。導光層23の表面における第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光の分布すなわち混色性を向上させることが望まれる。
【0058】
(第2実施形態に係る発光装置の構成及び機能)
図7は、第2実施形態に係る発光装置の平面図である。
【0059】
発光装置4は、実装される第1発光素子21及び第2発光素子22の数が発光装置3と相違する。実装される第1発光素子21及び第2発光素子22の数以外の発光装置4の構成及び機能は、発光装置3の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0060】
第1発光素子21及び第2発光素子22は、基板20の表面に7×7のマトリクス状に配列される。また、第1発光素子21及び第2発光素子22は、基板20の表面に市松模様状に配列される。
【0061】
図8は、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTの下限値の説明図であり、図7のB-B´線に沿った発光装置4の断面図である。
【0062】
1つの第2発光素子22を介して隣接する第1発光素子21のLEDダイ24の間の距離はLG1であり、1つの第1発光素子21及び2つの第2発光素子22を挟んで配置される2つの第1発光素子21のLEDダイ24の間の距離はLG2である。また、2つの第1発光素子21及び3つの第2発光素子22を挟んで配置される第1発光素子21のLEDダイ24の間の距離はLG3である。光線P1は、第1発光素子21のLEDダイ24の第2発光素子22に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。光線P2は、光線P1を出射する第1発光素子21に1つの第2発光素子22を介して隣接する第1発光素子21のLEDダイ24の光線P1を出射する第1発光素子21側の第2発光素子22に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。
【0063】
第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と第1位置23aである導光層23の表面との間の厚さはT1で示される。第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さT1は、導光層23から空気中に光が出射するときの臨界角θc及び1つの第2発光素子22を介して隣接する第1発光素子21のLEDダイ24の間の距離LG1と式(1)で示される関係を有する。
【0064】
導光層23の表面の位置が第2位置23bであり、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1以上であるとき、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光は、導光層23の表面の全面に亘って混色する。導光層23の表面の位置が第3位置23cであり、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT1よりも薄いとき、交差部27の近傍では、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光は、混色しない。
【0065】
図9は、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTの最適値及び上限値の説明図であり、図7に示すB-B´線に沿う発光装置4の断面図である。
【0066】
光線P1は、第1発光素子21のLEDダイ24の第2発光素子22に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。光線P3は、光線P1を出射する第1発光素子21に1つの第1発光素子21及び2つの第2発光素子22を介して隣接する第1発光素子21のLEDダイ24の光線P1を出射する第1発光素子21側の第2発光素子22に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。導光層23の表面の位置が第4位置23dであり、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さがT2であるとき、光線P1及び光線P3は、導光層23の表面の交差部28で交差する。
【0067】
第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さT2は、導光層23から空気に光が出射するときの臨界角θc及び、1つの第1発光素子21及び2つの第2発光素子22を介して隣接する第1発光素子21のLEDダイ24の間の離隔距離LG2と式(2)で示される関係を有する。導光層23は、発光効率の低下を抑制するためには薄い方が好ましいので、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTは、T2が最適値である。
【0068】
発光装置4は、第1発光素子21及び第2発光素子22のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さをT1以上であり且つT2以下とすることで、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光の混色性を向上させることができる。
【0069】
(第3実施形態に係る発光装置の構成及び機能)
図10は、第3実施形態に係る発光装置の平面図である。発光装置5は、デルタ配置され、それぞれがRGB色に対応する波長を有する光を出射する第1発光素子31、第2発光素子32及び第3発光素子33を第1発光素子21及び第2発光素子22の代わりに有することが発光装置3と相違する。第1発光素子31、第2発光素子32及び第3発光素子33以外の発光装置5の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置3の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0070】
第1発光素子31は、青色のLEDダイ24、及びCASN等の赤色の光を出射する蛍光体を含有し且つ青色のLEDダイを被覆するシリコーン樹脂により形成され、赤色の光を出射する。第1発光素子31から出射される赤色の光の主波長は、600nmと680mとの間の範囲内であり、一例では660nmである。第2発光素子32は、青色のLEDダイ24、及びYAG等の緑色の光を出射する蛍光体を含有し且つ青色のLEDダイ24を被覆するシリコーン樹脂により形成され、緑色の光を出射する。第2発光素子32から出射される緑色の光の主波長は、500nmと570mとの間の範囲内であり、一例では550nmである。第3発光素子33は、青色のLEDダイ24により形成され、青色の光を出射する。第3発光素子33から出射される青色の光の主波長は、445nmと495nmとの間の範囲内であり、一例では450nmである。なお、第1発光素子31に含まれるLEDダイ24は第1LEDダイとも称され、第2発光素子32に含まれるLEDダイ24は第2LEDダイとも称され、第3発光素子33に含まれるLEDダイ24は第3LEDダイとも称される。
【0071】
隣接して配置される第1発光素子31のLEDダイ24の間の距離はLG1であり、1つの第1発光素子31を挟んで配置される第1発光素子31のLEDダイ24の間の距離はLG2である。第1発光素子31、第2発光素子32及び第3発光素子33のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の厚さTは、隣接して配置される第1発光素子31のLEDダイ24の間の距離LG1から式(1)により算出されるT1以上である。また、第1発光素子31、第2発光素子32及び第3発光素子33のLEDダイ24の表面と導光層23の表面との間の1つの第1発光素子31を挟んで配置される2つの第1発光素子31の間の距離LG2から式(2)により算出されるT2以下である。なお、厚さTは、隣接して配置される第1発光素子31のLEDダイ24との間の距離が最も短い方向に隣接して配置される第1発光素子31のLEDダイ24の間の距離から式(1)により算出されるT1以上の値であってもよい。また、厚さTは、隣接して配置される第1発光素子31のLEDダイ24との間の距離が最も長い方向に隣接して配置される第1発光素子31のLEDダイ24の間の距離から式(2)により算出されるT2以下の値であってもよい。
【0072】
また、厚さTは、隣接して配置される第1発光素子31、第2発光素子32及び第3発光素子33のLEDダイ24との間の距離が最も長い方向に隣接して配置される第1発光素子31、第2発光素子32及び第3発光素子33のLEDダイ24のそれぞれの間の距離から式(1)により算出されるT1以上の値であってもよい。また、厚さTは、隣接して配置される第1発光素子31、第2発光素子32及び第3発光素子33のLEDダイ24との間の距離が最も短い方向に隣接して配置される第1発光素子31、第2発光素子32及び第3発光素子33のLEDダイ24のそれぞれの間の距離から式(2)により算出されるT2以下の値であってもよい。なお、発光装置5は、導光層23を覆うように配置され、導光層23を導光した光を拡散する拡散層を更に有してもよい。
【0073】
(第4実施形態に係る発光装置の構成及び機能)
図11は第4実施形態に係る発光装置の平面図であり、図12(a)は図11に示すC-C´線に沿う発光装置の断面図(その1)であり、図12(b)は図11に示す図11に示すC-C´線に沿う発光装置の断面図(その2)である。発光装置6は、基板40と、第1発光素子41と、反射材42と、導光層43と、拡散層44とを有する。基板40は、基板20と同様の構成及び機能を有する。第1発光素子41は、青色のLEDダイにより形成され、青色の光を出射する。第1発光素子41から出射される青色の光の主波長は、445nmと495nmとの間の範囲内であり、一例では450nmである。反射材42は、酸化チタン等の白色の粒子が含有されたシリコーン樹脂で形成され、第1発光素子41を囲むように配置される。導光層43は、蛍光体層45と、透明層46とを有する。蛍光体層45は、第1発光素子41から出射された光を吸収して黄色の光を出射するYAG等の蛍光体を含有するシリコーン樹脂である。シリコーン樹脂である。透明層46は、第1発光素子15及び蛍光体層17に含有される蛍光体から出射された光を透過するシリコーン樹脂である。
【0074】
拡散層44は、シリコーン樹脂にフィラーを含んだ拡散剤、拡散粒子を含有するシート、塗布された微小粒子粉体、及びプリズム等であり、前方散乱が多く、後方散乱の少ないものが好ましい。拡散層44は、表面又は裏面がシボ加工された光透過板であってもよい。拡散層44は、透明層46の表面における輝度及び混色の均一化を向上させる。また、拡散層44の表面の全体から光が出射されるため、発光装置6を照明器具に取り付けたとき、照明器具が備える拡散部材の拡散度を小さくでき、発光効率の低下が抑制される。なお、拡散層44は、省略されてもよい。
【0075】
第1発光素子41の表面と導光層43の表面との間の厚さTは、隣接して配置される第1発光素子41の間の距離から式(1)により算出されるT1以上である。また、1つの第1発光素子41を挟んで配置される2つの第1発光素子41の間の距離から式(2)により算出されるT2以下である。
【0076】
拡散層44の厚さTkは、0mmよりも厚く且つ第1発光素子41の表面と導光層43の表面との間の厚さTよりも薄いことが好ましい。拡散層44の厚さTkは、第1発光素子41の表面と導光層43の表面との間の厚さTの0.3倍よりも厚く且つ第1発光素子41のLEDダイの表面と導光層43の表面との間の厚さTの0.5倍よりも薄いことが更に好ましい。
【0077】
第1発光素子41の表面と導光層43の表面との間の厚さTが1.0mm以上であり且つ1.5mm以下であるとき、拡散層44の厚さを0.5mmとすると、第1発光素子41からの光の正面輝度の変動幅は、40%と良好な値になる。導光層43が配置されず且つ拡散層44の厚さが1.25mmであるとき、第1発光素子41からの光の全光束は、拡散層44が配置されない場合と比較して7.5%低下する。一方、導光層43の厚さが1.25mmであり且つ拡散層44の厚さが0.5mmであるとき、第1発光素子41からの光の全光束は、拡散層44が配置されない場合と比較して3.9%低下し、導光層43が配置されないときよりも全光束の低下が抑制される。第1発光素子41の表面と導光層43の表面との間の厚さTが1.0mm以上であり且つ1.5mm以下であるとき、拡散層44の厚さが0.5mmとすると、拡散層44の厚さTkは、厚さTの0.3倍よりも厚く且つ0.5倍よりも薄い範囲に含まれる。拡散層44の厚さTkを厚さTの0.3倍よりも厚く且つ厚さTの0.5倍よりも薄くすることで、第1発光素子41からの光の正面輝度の変動幅を減少させ且つ全光束の低下を抑制することができる。
【0078】
イエローリングは、第1発光素子41から出射される青色の光と、蛍光体層45に含有される蛍光体から出射される黄色の光とが混色せずに、反射材42の内壁の近傍に黄色のリングが発生する現象である。
【0079】
図12(a)において、反射材42に隣接して配置される第1発光素子41と反射材42との間の離隔距離はLB1であり、光線P4は、第1発光素子41の反射材42に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。第1発光素子41の表面と導光層43の表面との間の厚さTの最小値T3は、
T3 = LB1 / tanθc (3)
で示される。すなわち、反射材42に隣接して配置される第1発光素子41と反射材42との間の離隔距離LB1は、Ttanθcよりも短い。離隔距離LB1は、少なくとも2辺の一部が他の第1発光素子41に囲まれない第1発光素子41と反射材42との間の最小距離である。
【0080】
また、図12(b)において、他の1つの第1発光素子41を介して反射材42に隣接して配置される第1発光素子41と反射材42との間の離隔距離はLB2であり、光線P5は、他の1つの第1発光素子41を介して反射材42に隣接して配置される第1発光素子41の反射材42に対向する辺から出射し、導光層23の表面に臨界角θcで入射する。第1発光素子41の表面と導光層43の表面との間の厚さTの最大値T4は、第1発光素子41の中で他の1つの第1発光素子41を介して隣接して配置される第1発光素子41と反射材42との間の離隔距離がLB2であるとき、
T4 = LB2 / tanθc (4)
で示される。すなわち、他の1つの第1発光素子41を介して反射材42に隣接して配置される第1発光素子41と反射材42との間の離隔距離LB2は、Ttanθcよりも長い。
【0081】
(第5実施形態に係る発光装置の構成及び機能)
図13(a)は第5実施形態に係る発光装置の斜視図であり、図13(b)は図13(a)に示す発光装置の平面図であり、図14図13(b)に示すD-D´線に沿う発光装置の断面図である。発光装置7aは、第1発光素子21と、第2発光素子22と、基板40aと、反射材42aと、導光層43aと、拡散層44aとを有する。第1発光素子21及び第2発光素子22の構成及び機能は、図2及び3を参照して説明されたので、ここでは詳細な説明は省略する。基板40aは、基板20と同様の構成及び機能を有する。
【0082】
反射材42aは、酸化チタン等の白色の粒子が含有されたシリコーン樹脂で形成され、第1発光素子41を囲むように配置される。反射材42aは、重畳して配置される複数の層を有する。具体的には、反射材42aは、第1層45aと、第2層46aと、第3層47aとを有する。第1層45aは最下層であり、第2層46aは中間層であり、第3層47aは最上層である。最上層である第3層47aは、略半円形の断面形状を有する。第3層47aが略半円形の断面形状を有することで、反射材42aは、上方に膨らむように形成される湾曲面を内壁の上部に有する。第1層45a、第2層46a及び第3層47aのそれぞれは、内壁及び外壁が鉛直方向に直立するように配置される。しかしながら、実施形態に係る反射材は、2層又は4層以上の複数の層によって形成されてもよい。また、複数の層のそれぞれの幅は、複数の層のそれぞれと基板40aとの間に配置される複数の層の幅よりも狭くなるように配置されてもよい。複数の層のそれぞれの幅を複数の層のそれぞれと基板40aとの間に配置される複数の層の幅よりも狭くなるように配置することで、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光が拡散層44aを介して効率よく出射することができる。
【0083】
導光層43aは、第1透光層とも称され、導光層23と同様に、シリコーン樹脂により形成され、第1発光素子21及び第2発光素子22を覆うように配置されると共に、フィラーとも称される拡散材を含有しない。導光層43aの表面は、第1接触部とも称される端部が反射材42aの第3層47aに接触し、複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央に向かって高さが低くなる凹状の断面形状を有する。
【0084】
拡散層44aは、第2透光層とも称され、第1発光素子41から出射された光を拡散する拡散材を含有するシリコーン樹脂である。拡散層44aの裏面は、導光層43aの表面に接触するように配置され、導光層43aの表面と同様に、端部から複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央に向かって高さが低くなる凹状の断面形状を有する。導光層43aの表面は、第2接触部とも称される端部が反射材42aの第3層47aに接触し、複数の第1発光素子が実装される実装領域の中央に向かって高さが高くなる凸状の断面形状を有する。
【0085】
拡散層44aに含有される拡散材は、例えばシリカ(SiO2)及び酸化チタン(Ti
2)の少なくとも一方である。拡散層44aに含有される拡散材がシリカであるとき、
シリカとシリコーン樹脂との間の屈折率差が小さいため、散乱度を高くするためにシリカの含有量が増加して、拡散層44aの固化前の原材料の粘度が上昇して塗布性が低下する。一方、拡散層44aに含有される拡散材が酸化チタンであるとき、酸化チタンとシリコーン樹脂との間の屈折率差が大きいため、少ない酸化チタンの含有量で所望の散乱度が実現可能である。拡散層44aに含有される拡散材が酸化チタンであるとき、酸化チタンの含有量が少なくなるので。酸化チタンの分布が不均一であるとき、拡散層44aを介して出射される光の輝度及び色度が不均一になるおそれがある。また、酸化チタンの含有量が多くなると、酸化チタンで反射する戻り光の量が増加して、発光効率が低下するおそれがある。
【0086】
拡散層44aに含有される拡散材は、シリカ及び酸化チタンの双方であることが好ましい。シリカ及び酸化チタンの双方を拡散材として拡散層44aに含有することで、拡散層44aの固化前の原材料の粘度の上昇を抑制しつつ、所望の散乱度を有する拡散層44aを形成することができる。
【0087】
なお、拡散層44aに含有される拡散材は、シリカ及び酸化チタンに限定されず、所定の屈折率を有する第1拡散材、第1拡散材の屈折率と異なる屈折率を有し、且つ、第1拡散材と組成が異なる第2拡散材であってもよい。また、拡散材は、互いに組成が異なる3種以上の拡散材が拡散層44aに含有されてもよい。
【0088】
図15は、導光層43a及び拡散層44aのそれぞれの表面が反射材42aに接触する接触部と導光層43a及び拡散層44aのそれぞれを形成する固化前の樹脂の表面の形状との関係を説明するための図である。図15(a)は、固化前の樹脂の表面が反射材42aに接触する接触部と固化前の樹脂の延伸方向との関係を示す。図15(b)は、図15(a)に示す接触部C1で固化前の樹脂の表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す実測結果である。図15(c)は、図15(a)に示す接触部C2で固化前の樹脂の表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す実測結果である。図15(d)は、図15(a)に示す接触部C3で固化前の樹脂のそれぞれの表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す実測結果である。図15(e)は、図15(a)に示す接触部C4で固化前の樹脂のそれぞれの表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す実測結果である。図15(b)~15(e)に示す実測結果は、導光層43a及び拡散層44aのそれぞれを形成する固化前の樹脂の反射材42aに対する接触角は30°とした。なお、図15(a)に示す接触部C5で固化前の樹脂のそれぞれの表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示す図は省略した。
【0089】
反射材42aの内壁が鉛直方向に延伸する接触部C1で固化前の樹脂の表面が接触したとき、固化前の樹脂は、鉛直方向から接触角に対応する角度だけ傾斜した方向L1に向けて接触部C1から延伸する。接触部C1よりも高い湾曲面に位置する接触部C2で固化前の樹脂の表面が接触したとき、接触部C2における接線方向が傾斜するため、固化前の樹脂は、接触角に接触部C2における接線方向に対応する角度だけ傾斜した方向L2に向けて接触部C1から延伸する。接触部C2で固化前の樹脂の表面が接触したとき、固化前の樹脂の延伸方向は、接触部C1で固化前の樹脂の表面が接触したときよりも水平方向に近づく。
【0090】
接触部C2よりも更に高い湾曲面に位置する接触部C3で固化前の樹脂の表面が接触したとき、接触部C3における接線方向が更に傾斜するため、固化前の樹脂は、接触部C2から延伸するときよりも更に水平方向に近い方向L3に延伸する。接触部C3よりも更に高い湾曲面の頂部に位置する接触部C4で固化前の樹脂の表面が接触したとき、固化前の樹脂の延伸方向は、水平方向よりも上側の方向L4に延伸する。
【0091】
上方に膨らむように形成される湾曲面に固化前の樹脂の接触部が接触するとき、接触部の高さを高くすることに応じて、固化前の樹脂の延伸方向は、鉛直下方向から水平方向に近づき、水平方向を超えて鉛直上方向に近づく。拡散層44aの樹脂の接触部の高さを導光層43aの樹脂の接触部の高さよりも高くすることで、導光層43a及び拡散層44aのそれぞれの表面の延伸方向を相違させることが可能になる。導光層43a及び拡散層44aのそれぞれの表面の延伸方向を相違させることで、導光層43aの厚さは、第2接触部から離隔するに従って厚くなる。第1発光素子21及び第2発光素子22が実装される実装領域の中央における導光層43aの厚さは、第2接触部から離隔するに従って厚くなり、表面が反射材42aに接触する接触部における導光層43aの厚さよりも厚くすることができる。また、図15(a)に示す接触部C5で固化前の樹脂のそれぞれの表面が接触したときの固化前の樹脂の中央部の厚さは、図15(a)に示す接触部C4で固化前の樹脂のそれぞれの表面が接触したときの固化前の樹脂の断面形状を示した図15(e)の中央部の厚さよりも更に厚い。
【0092】
接触部C1~C4のそれぞれは、導光層43aの上端が反射材42aに接する第1接触部の例である。また、接触部C2~C5のそれぞれは、拡散層44aの上端が反射材42aの湾曲面に接する第2接触部の例である。接触部C1が導光層43aの上端が反射材42aに接する第1接触部であるとき、導光層43aの上端が反射材42aに接する第1接触部である接触部C1と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離は、「ぜロ」である。反射材42aの内壁の下端P0は、反射材42aの内壁が基板40aに接触する部分である。接触部C2が拡散層44aの上端が反射材42aの湾曲面に接する第2接触部であるとき、接触部C2が拡散層44aの上端が反射材42aの湾曲面に接する第2接触である接触部C2と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離は、W1である。第2接触部である接触部C2と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離W1は、第1接触部である接触部C1と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離「ゼロ」よりも長い。
【0093】
接触部C1及びC2の何れか一方が導光層43aの上端が反射材42aに接する第1接触部であるとき、接触部C1及びC2と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離は、「ゼロ」及びW1である。接触部C3が拡散層44aの上端が反射材42aの湾曲面に接する第2接触部であるとき、接触部C3と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離は、W2である。第2接触部である接触部C3と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離W2は、第1接触部である接触部C1及びC2と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離「ゼロ」及びW1よりも長い。
【0094】
接触部C1~C3の何れか1つが導光層43aの上端が反射材42aに接する第1接触部であるとき、接触部C1~C3と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離は、「ゼロ」、W1及びW2である。接触部C4が拡散層44aの上端が反射材42aの湾曲面に接する第2接触部であるとき、接触部C4と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離は、W3である。第2接触部である接触部C4と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離W3は、第1接触部である接触部C1~C3と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離「ゼロ」、W1及びW2よりも長い。
【0095】
接触部C1~C4の何れか1つが導光層43aの上端が反射材42aに接する第1接触部であるとき、接触部C1及びC2と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離は、「ゼロ」、W1、W2及びW3である。接触部C5が拡散層44aの上端が反射材42aの湾曲面に接する第2接触部であるとき、接触部C5と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離は、W4である。第2接触部である接触部C5と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離W4は、第1接触部である接触部C1~C4と反射材42aの内壁の下端P0との間の水平方向の離隔距離「ゼロ」、W1、W2及びW3よりも長い。
【0096】
図16は、発光装置7aの製造方法を示すフローチャートである。
【0097】
まず、基板準備工程において、基板40aが準備される(S101)。次いで、発光素子実装工程において、第1発光素子21及び第2発光素子22が基板40a上に実装される(S102)。次いで、ワイヤボンディング工程において、第1発光素子21及び第2発光素子22のそれぞれが、基板40a上に配置される二対のアノード電極及びカソード電極のそれぞれに、不図示のボンディングワイヤを介して電気的に接続される(S103)。
【0098】
次いで、反射材配置工程において、反射材42aが1発光素子21及び第2発光素子22を囲むように配置される(S104)。まず、第1層45aの固化前の原材料が配置され、次いで第2層46aの固化前の原材料が配置され、次いで第3層47aの固化前の原材料が配置される。そして、基板40aが加熱されることに応じて第1層45a、第2層46a及び第3層47aの原材料が固化することで、反射材42aが形成される。発光装置7aでは、導光層43aの表面の端部である第1接触部が第3層47aで反射材42aに接触するので、第1層45a及び第2層46aに加えて第3層47aを積層した後で、導光層43aの固化前の樹脂を充填することができる。
【0099】
次いで、導光層配置工程において、導光層43aが配置される(S105)。まず、導光層43aの固化前の原材料が配置される。次いで、基板40aが加熱されることに応じて導光層43aの原材料が固化することで、導光層43aが形成される。
【0100】
そして、拡散層配置工程において、拡散層44aが配置される(S106)ことで、発光装置7aの製造工程は、終了する。まず、拡散層44aの固化前の原材料がスプレーによって導光層43a上に塗布することで配置される。拡散層44aの固化前の原材料をスプレーによって塗布することで、導光層43aの表面の形状が平坦形状、上側に湾曲する凸形状、又は下側に湾曲する凹形状の何れの形状でも拡散層44aが形成される。
【0101】
図17(a)は第5実施形態に係る発光装置7aの試作品の断面図である。図17(b)は反射材42aの上部の近傍の拡大断面図であり、図17(c)は第1発光素子21及び第2発光素子22の近傍の拡大断面図である。
【0102】
第5実施形態に係る発光装置7aの試作品において、第1発光素子21の表面と導光層43aの表面の底部との間の厚さTは、隣接して配置される第1発光素子21の間の距離から式(1)により算出されるT1以上である。また、第2発光素子22の表面と導光層43aの表面の底部との間の厚さTは、隣接して配置される第2発光素子22の間の距離から式(1)により算出されるT1以上である。また、基板40aの表面から導光層43aの表面の底部までの高さH3は、反射材42aの高さH2よりも低い。また、基板40aの表面から拡散層44aの表面の頂部までの高さ(H3+H4)は、反射材42aの高さH2よりも高い。
【0103】
また、発光装置7aの試作品において、反射材42aに隣接して配置される第1発光素子21及び第2発光素子22と反射材42aとの間における第1発光素子21の表面と導光層43aの表面の底部との間の厚さTは、式(3)により算出されるT3より厚い。式(3)における離隔距離LB1は、反射材42aに隣接して配置される第1発光素子21及び第2発光素子22と反射材42aとの間の離隔距離である。
【0104】
発光装置7aでは、導光層43aの厚さは、第1接触部から離隔するに従って薄くなる。発光装置7aでは、導光層43aの厚さが第1接触部から離隔するに従って薄くなるので、第1発光素子21及び第2発光素子22が実装される実装領域の中央における導光層43aの厚さは、第1接触部における導光層43aの厚さよりも薄い。また、発光装置7aでは、拡散層44aの上端が反射材42aの湾曲面に接する第2接触部の高さが導光層43aの上端が反射材42aに接する第1接触部の高さよりも高いので、拡散層44aの厚さは、反射材42aから離隔するに従って厚くなる。拡散層44aの厚さが反射材42aから離隔するに従って厚くなるので、第1発光素子21及び第2発光素子22の密度が高い実装領域の中央部における拡散層44aの厚さが最も厚い。また、第1発光素子21及び第2発光素子22の密度が低い実装領域の外縁部における拡散層44aの厚さが最も薄い。発光素子の密度が高い領域において拡散層44aの厚さを厚くすると共に、発光素子の密度が低い領域において拡散層44aの厚さを薄くすることで、発光装置7aは、出射する光の輝度及び色度の均一性を向上させることができる。
【0105】
図18は比較例に係る発光装置及び発光装置7aから出射される光の輝度特性を示す図である。図18において、横軸は図13(b)のD-D´線に沿う断面における反射材42aの間の位置を示し、縦軸は輝度を示す。また、W101は表面が平坦な導光層を有し且つ拡散層を有さない発光装置の輝度特性を示し、W102は発光装置7aの輝度特性を示す。
【0106】
拡散層を有さない発光装置では、発光素子が配置される領域の輝度が高い一方、発光素子が配置されない領域の輝度が低く、発光素子が配置される領域の輝度と発光素子が配置されない領域の輝度の差が大きい。一方、発光装置7aでは、輝度の最大値は拡散層を有さない発光装置の輝度の1/3程度であるものの、輝度の均一性が向上している。
【0107】
また、発光装置7aでは、導光層43aの表面の端部である第1接触部が第3層47aで反射材42aに接触するので、第1層45a及び第2層46aに加えて第3層47aを積層した後で、導光層43aの固化前の樹脂を充填することができる。導光層43aの表面の端部が第2層46aで反射材42aに接触する場合、導光層43aを形成した後に、第3層47aが配置されるので、発光装置7aでは、製造工程を簡略化できる。
【0108】
(第6実施形態に係る発光装置の構成及び機能)
図19(a)は第6実施形態に係る発光装置の断面図であり、図19(b)は図19(a)に示す反射材の構造を説明するための図である。図19(a)は図13(b)に示すD-D´線に沿う断面図に対応する断面図である。
【0109】
発光装置7bは、反射材42b、導光層43b及び拡散層44bを反射材42a、導光層43a及び拡散層44aの代わりに有することが発光装置7aと相違する。反射材42b、導光層43b及び拡散層44b以外の発光装置7bの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置7aの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0110】
反射材42bは、酸化チタン等の白色の粒子が含有されたシリコーン樹脂で形成され、第1層45bと、第2層46bと、第3層47bとを有する。第1層45b、第2層46b及び第3層47bのそれぞれは、球面状の湾曲面を表面として有し、第1層45b、第2層46b及び第3層47bの順に重畳して配置される。第3層47bは、頂点の上面視における位置が第2層46bの頂点の位置よりも外側に位置するように配置される。導光層43bの端部である第1接触部は最上層である第3層47bの下方に配置される第2層46bの湾曲面に接触し、拡散層44bの端部である第2接触部は第3層47bの湾曲面に接触する。
【0111】
導光層43bは、導光層43aと同様に第1透光層とも称され、表面が水平方向に延伸することが導光層43aと相違する。第1発光素子21及び第2発光素子22が実装される実装領域の中央における導光層43bの厚さは、第1接触部における導光層43bの厚さと等しい。表面の延伸方向以外の導光層43bの構成及び機能は、導光層43aの構成及び機能と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0112】
拡散層44bは、拡散層44aと同様に第2透光層とも称され、表面が水平方向に延伸することが拡散層44aと相違する。表面の延伸方向以外の拡散層44bの構成及び機能は、拡散層44aの構成及び機能と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0113】
導光層43bでは、導光層43bの外縁である第1接触部の高さは、調整することで導光層43bの表面が水平方向に延伸するように調整される。また、拡散層44bでは、拡散層44bの外縁である第2接触部の高さは、調整することで拡散層44bの表面が水平方向に延伸するように調整される。導光層43b及び拡散層44bの双方の表面が水平方向に延伸するので、第1発光素子21及び第2発光素子22が実装される実装領域の中央における拡散層44bの厚さは、第1接触部における拡散層44bの厚さと等しい。
【0114】
(変形例に係る発光装置)
図20(a)は第1変形例に係る発光装置の断面図であり、図20(b)は第2変形例に係る発光装置の断面図であり、図20(c)は第3変形例に係る発光装置の断面図である。図20(d)は第4変形例に係る発光装置の断面図であり、図20(e)は第5変形例に係る発光装置の断面図である。図20(a)~20(e)は、図2に示すA-A´線に沿う断面図に対応する断面図である。
【0115】
第1変形例に係る発光装置8aは、反射材50及び導光層51を導光層23の代わりに有することが発光装置3と相違する。反射材50及び導光層51以外の発光装置8aの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置3の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0116】
反射材50は、反射材42と同様に、酸化チタン等の白色の粒子が含有されたシリコーン樹脂で形成され、第1発光素子21及び第2発光素子22を囲むように配置される。導光層51は、反射材50によって囲まれた領域に充填されたシリコーン樹脂であり、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光を透過する。導光層51は、固化前の樹脂材が反射材50に充填された後に、基板20を加熱することで固化前の樹脂材が固化して形成される。発光装置8aは、反射材50を有することで、導光層51の表面から指向性が高い光を出射することができる。なお、発光装置3~5は、反射材を有さないが、複数の第1発光素子を囲むように基板に配置され、第1発光素子から出射された光を反射する反射材を更にしてもよい。
【0117】
第2変形例に係る発光装置8bは、拡散層52を有することが発光装置8aと相違する。拡散層52以外の発光装置7bの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置8aの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0118】
拡散層52は、拡散層44と同様に、拡散粒子を含有するシート、塗布された微小粒子粉体、及びプリズム等であり、裏面を導光層51の表面に接着することで、導光層51に接続される。発光装置8bは、拡散層52を有することで、輝度の均一性及び混色性が高い光を出射することができる。なお、発光装置3~5は、拡散層を有さないが、導光層を覆うように配置され、前記導光層を導光した光を拡散する拡散層を更にしてもよい。
【0119】
第3変形例に係る発光装置8cは、拡散層53を拡散層52の代わりに有することが発光装置8bと相違する。拡散層53以外の発光装置8cの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置8bの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0120】
拡散層53は、第1発光素子21及び第2発光素子22の上方に拡散部53aが形成されることが拡散層52と相違する。発光装置8cは、出射される光の輝度が高い第1発光素子21及び第2発光素子22の上方に拡散部53aが形成されることで、輝度が高い光を効率的に混色して、発光効率の低下を抑制しながら輝度の均一性及び混色性が高い光を出射することができる。
【0121】
第4変形例に係る発光装置8dは、導光層54及び拡散層55を導光層51及び拡散層52の代わりに有することが発光装置8bと相違する。導光層54及び拡散層55以外の発光装置8dの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置8bの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0122】
導光層54は、表面の形状が凸状に湾曲することが導光層51と相違する。拡散層55は、導光層54の表面の形状に応じて中央部が上方に突出するように湾曲した形状を有することが拡散層53と相違する。発光装置8dは、中央部が上方に突出するように湾曲したレンズ形状を導光層54及び拡散層55が有するので、指向性が高い光を出射することができる。
【0123】
第5変形例に係る発光装置8eは、枠材56及び接着層57を反射材50及び導光層51の代わりに有することが発光装置8aと相違する。枠材56及び接着層57以外の発光装置8eの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置8aの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0124】
枠材56は、拡散枠58と、導光部59とを有する。拡散枠58は、第1発光素子21及び第2発光素子22を囲むように配置される側部と、第1発光素子21及び第2発光素子22の上方を覆う上部とを有し、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射された光を拡散して外部に出射する。拡散枠の導光部59の側面を覆う側面は、導光部の表面を覆う拡散部よりも厚さが厚くなることで、反射枠として機能する。導光部59は、シリコーン樹脂等の第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光を透過する部材で形成され、拡散枠58と一体化される。接着層57は、シリコーン樹脂等の第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光を透過する部材で形成され、枠材56を基板20に接着する接着部材である。
【0125】
発光装置8eは、枠材56が拡散枠58及び導光部59を有するので、ダム材とも称される反射材を配置しないので、製造工程の簡素化が可能である。また、発光装置8eでは、拡散枠58及び導光部59は、枠材56により一体化されるため、導光部59の厚さを均一に製造することが容易である。また、発光装置8eでは、拡散枠58の拡散度を調整することで、所望の拡散度を有する拡散層を容易に形成することができる。なお、枠材56は、導光部59の側面の厚さを厚くすることで反射枠として機能させるが、実施形態に係る発光層装置では、反射率の高い材料を導光部59の側面に配置してもよい。
【0126】
図21(a)は第6変形例に係る発光装置の断面図であり、図21(b)は第7変形例に係る発光装置の断面図であり、図21(c)は第8変形例に係る発光装置の断面図であり、図21(d)は第9変形例に係る発光装置の断面図である。図21(e)は図21(a)において矢印Dで示す部分の拡大図であり、図21(f)は図21(b)において矢印Eで示す部分の拡大図であり、図21(g)は図21(c)において矢印Fで示す部分の拡大図である。図21(a)~図21(d)は、図2に示すA-A´線に沿う断面図に対応する断面図である。
【0127】
発光装置8fは、白色樹脂60を有することが発光装置8bと相違する。白色樹脂60以外の発光装置8fの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置8bの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0128】
白色樹脂60は、反射材42と同様に、酸化チタン等の白色の粒子が含有されたシリコーン樹脂で形成され、第1発光素子21及び第2発光素子22の間に配置される。発光装置8fは、白色樹脂60が第1発光素子21及び第2発光素子22の間に配置されることで、基板40に吸収される光量を抑制して、発光効率を向上させることができる。なお、反射材50及び拡散層53は、省略されてもよい。
【0129】
発光装置8gは、第1発光素子61及び第2発光素子62を第1発光素子21及び第2発光素子22の代わりに有することが発光装置8fと相違する。第1発光素子61及び第2発光素子62以外の発光装置8gの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置8fの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0130】
第1発光素子61及び第2発光素子62は、第1発光素子61及び第2発光素子62が有する蛍光樹脂の側面が直立せずに上方に向かって外側に開くように配置されることが第1発光素子21及び第2発光素子22と相違する。発光装置8gは、第1発光素子61及び第2発光素子62の間に白色樹脂60が配置されることで、白色樹脂60が反射材として機能して、発光効率を更に向上させることができる。なお、反射材50及び拡散層53は、省略されてもよい。
【0131】
発光装置8hは、白色樹脂60aを白色樹脂60の代わりに有することが発光装置8fと相違する。また、発光装置8hは、透明樹脂60bを有することが発光装置8fと相違する。白色樹脂60a及び透明樹脂60b以外の発光装置8hの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置8fの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0132】
白色樹脂60aは、第1発光素子21及び第2発光素子22との間に透明樹脂60bが配置される凹部が形成されることが白色樹脂60と相違する。凹部が形成されること以外の白色樹脂60aの構成及び機能は、白色樹脂60の構成及び機能と同一なのでここでは詳細な説明は省略する。透明樹脂60bは、第1発光素子21及び第2発光素子22と白枠63との間に配置される。透明樹脂60bは、第1発光素子21及び第2発光素子22の蛍光樹脂25の側面に沿って配置され、側面が上方に向かって外側に開くように配置される。
【0133】
発光装置8iは、白枠63及び枠材64を反射材50、導光層51、拡散層52及び白色樹脂60の代わりに有することが発光装置8fと相違する。白枠63及び枠材64以外の発光装置8iの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置8fの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0134】
白枠63は、白色樹脂60よりも剛性が高い白色の樹脂材で形成され、第1発光素子21及び第2発光素子22のそれぞれが挿入される複数の挿入孔が形成される。枠材64は、導光層65と、導光層65に接着される拡散層66とを有する。導光層65は、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光を透過する透明シートであり、拡散層66は、第1発光素子21及び第2発光素子22から出射される光を拡散する拡散シートである。
【0135】
図22は、第10変形例に係る発光装置の断面図である。発光装置6aは、導光層47を導光層43の代わりに有することが発光装置6と相違する。導光層47以外の発光装置6aの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置6の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。導光層47は、蛍光体層48を蛍光体層45の代わりに有することが導光層43と相違する。蛍光体層48は、第1発光素子41の周囲近傍に偏在する。蛍光体層48は、蛍光体の沈降、塗布、電気泳動等によって形成される。
【0136】
第1発光素子41の表面と導光層47の表面との間の厚さTは、隣接して配置される第1発光素子41の間の距離から式(1)により算出されるT1以上である。また、第1発光素子41の表面と導光層23の表面との間の1つの第1発光素子41を挟んで配置される2つの第1発光素子41の間の距離から式(2)により算出されるT2以下である。
【0137】
発光装置6aは、第1発光素子41から出射される光、及び第1発光素子41の周囲近傍に偏在する蛍光体層48に含有される蛍光体から出射される光を透明層46を介して出射することで、混色性が高い光を出射することができる。
【0138】
発光装置6aは、発光装置7aの製造方法と同様の製造方法によって製造されてもよい。まず、基板準備工程において、基板40が準備される。次いで、発光素子実装工程において、第1発光素子41が基板40上に実装される。次いで、ワイヤボンディング工程において、第1発光素子41のそれぞれが、基板40上に配置される一対のアノード電極及びカソード電極のそれぞれに、不図示のボンディングワイヤを介して電気的に接続される。次いで、反射材配置工程において、反射材42が第1発光素子41を囲むように配置される。次いで、導光層配置工程において、導光層47が配置される。そして、拡散層配置工程において、拡散層44が配置されることで、発光装置6aの製造工程は、終了する。
【0139】
なお、拡散層44の厚さを調整することで、発光装置6aから出射される光の色度を調整してもよい。導光層47を配置する導光層配置工程が終了しした後、且つ、拡散層配置工程の前に、第1発光素子41に電流を供給することに応じて透明層46から出射される光の色度が測定される。
【0140】
次いで、測定された色度と所望の色度との間の差に応じて、配置される導光層47の厚さが決定される。スプレー等によって塗布された拡散層44の固化前の原材料を固化することで、拡散層44が形成されるとき、塗布される拡散層44の固化前の量を決定することで、配置される導光層47の厚さが決定される。塗布される拡散層44の固化前の原材料の量は、塗布される拡散層44の固化前の原材料の量と色度のシフト量との関係を示すテーブルを参照して決定される。
【0141】
図23は、塗布される拡散層44の固化前の原材料の量と色度のシフト量との関係を示す図である。
【0142】
塗布される拡散層44の固化前の原材料の量が増加されると、形成される拡散層44の厚さが厚くなる。形成される拡散層44の厚さが厚くなると、拡散層44で反射して蛍光体層48を透過する戻り光の量が増加する。蛍光体層48を透過する戻り光の量が増加すると、蛍光体層48に含有される蛍光体によって青色から黄色に波長変換される光の増加することで、図23において矢印で示される方向に発光装置6aから出射される光の色度がシフトする。
【0143】
発光装置6aから出射される光の所望の色度までのシフト量が少ない場合、拡散層44は厚さが薄くなるように配置され、発光装置6aから出射される光の所望の色度までのシフト量が多い場合、拡散層44は厚さが厚くなるように配置される。
【0144】
また、拡散材に加えて拡散層44に蛍光体を含有させることで、形成される拡散層44の厚さによる出射光の色度調整の自由度が向上する。
【0145】
図24は、第11変形例に係る発光装置の斜視図である。
【0146】
発光装置9は、基板70と、第1発光素子71と、導光層72と、コネクタ73とを有する。基板70は、例えばガラスエポキシ基板であり、第1発光素子71とコネクタ73とを接続する配線パターンが形成される。第1発光素子71は、SMD型の発光素子であり、基板70の表面の中央部に4×4のマトリクス状に配列される。導光層72は、シリコーン樹脂により形成され、第1発光素子71を覆うように配置される。
【0147】
導光層72の厚さ、すなわち第1発光素子71のLEDダイの表面と導光層72の表面との間の厚さは、隣接して配置される第1発光素子71の間の距離から式(1)により算出されるT1以上である。また、第1発光素子71のLEDダイの表面と導光層72の表面との間の1つの第1発光素子71を挟んで配置される2つの第1発光素子71の間の距離から式(2)により算出されるT2以下である。
【0148】
発光装置9は、SMD型の発光素子を使用して、COB型の発光装置と同様の光学特性を実現することができる。また、発光装置9は、基板70に実装される複数の電子部品を有し、複数の第1発光素子等の発光を制御する制御回路を更に有することにより、ディミング等の種々の制御が可能な発光装置を単一の基板上に実装することができる。
【0149】
図25は、第12変形例に係る発光装置の斜視図である。
【0150】
発光装置9aは、基板80と、第1発光素子81と、第2発光素子82と、枠材83と、電子部品84とを有する。基板80は、アルミベース基板又はCEM3基板であり、一対
の電極80aが配置されると共に、第1発光素子81、第2発光素子82及び電子部品84と一対の電極80aとの間を接続する配線パターンが形成される。第1発光素子81及び第2発光素子82は、第1発光素子21及び第2発光素子22と同様に、CSP型の発光素子であり、寒色及び暖色の光を出射する。枠材83は、反射部85と、反射部85と一体成形される導光層である導光部86とを有する。反射部85は、第1発光素子81及び第2発光素子82から出射される光を反射する合成樹脂で形成される枠材であり、第1発光素子81及び第2発光素子82を囲むように配置される。導光部86は、第1発光素子81及び第2発光素子82から出射される光を透過する合成樹脂で形成される枠材であり、第1発光素子81及び第2発光素子82を覆うように配置される。電子部品84は、抵抗、コンデンサ、MOSFET及び半導体装置等を含み、フリッカ抑制及びディミング等の種々の制御を実現する。
【0151】
図26は、第13変形例に係る発光装置の斜視図である。
【0152】
発光装置9bは、基板90と、第1発光素子91と、枠材92と、白色樹脂93と、透光層94とを有する。基板90は、基板80と同様に、ガラスエポキシ基板、アルミベース基板又はCEM3基板であり、一対の電極90aが配置されると共に、第1発光素子91と一対の電極90aとの間を接続する配線パターンが形成される。第1発光素子91は、LEDダイ24と同様に、青色ダイオードであり、青色の光を出射する。枠材92は、白色の枠状の部材であり、第1発光素子91の周囲を囲むように配置される。白色樹脂93は、白色の樹脂であり、第1発光素子91のそれぞれの周囲を囲むように配置される。白色樹脂93は、第1発光素子91の高さよりも高い。透光層94は、蛍光体を含有するシリコーン樹脂である。透光層94に含有される蛍光体は、単一の蛍光体であってもよく、2種類の蛍光体であってもよい。透光層94が2種類の蛍光体を含有するとき、第1発光素子91のそれぞれに対応するように、2種類の蛍光体を別個に配置してもよい。
【0153】
図27は発光装置9bの製造方法を示す図であり、図27(a)は発光素子実装工程を示し、図27(b)は枠材配置工程を示す。
【0154】
まず、発光素子実装工程において、第1発光素子91が基板90上に実装される。次いで、枠材配置工程において、一体成形された枠材92及び白色樹脂93が基板90に配置される。そして、透光層形成工程において、透光層94が形成される。透光層94は、透光層94の固化前の樹脂を枠材92の内部に充填した後に、基板90を加熱することで、透光層94が形成される。
【0155】
発光装置7aでは、第1発光素子21及び第2発光素子22は、CSP型の発光素子であり且つ拡散層44aが配置されるが、実施形態に係る発光装置では、CSP型の発光素子及び拡散層44aの代わりに青色発光素子及び蛍光体層が配置されてもよい。CSP型の発光素子及び拡散層44aの代わりに青色発光素子及び蛍光体層が配置されることで、発光装置は、リモートフォスファー構造型の発光装置とすることができる。なお、拡散層44aの代わりに配置される蛍光体層において、樹脂に含有される蛍光体を固化前に沈降させて、透光層との界面に蛍光体を配置してもよい。
【0156】
また、第1発光素子21及び第2発光素子22のそれぞれにおいて青色のLEDダイ24の表面に蛍光体層を配置するときに、静電塗布により蛍光体層を青色のLEDダイ24の表面に配置してもよい。静電塗布により蛍光体層を青色のLEDダイ24の表面に配置するとき、フリップチップ接続される青色のLEDダイ24の電極を接地することで、青色のLEDダイ24が静電破壊することを防止することができる。静電塗布により蛍光体層を青色のLEDダイ24の表面に配置するとき、実装基板上で静電塗布処理を実行してもよく、塗布基板上で静電塗布した後に実装基板上に青色のLEDダイ24を実装してもよい。
【0157】
本開示に係る発光装置は、所定の厚さを有する導光層を発光素子と拡散層との間に配置することで、光束の減少量を抑制しつつ混色性が高い光を出射することができる。本開示に係る発光装置は、導光層を有することで、出射される光の輝度の変動幅を、導光層を有さない場合と比較して20%~30%程度抑制することができる。また、本開示に係る発光装置は、導光層に加えて拡散層を有することで、導光層を有さない場合と比較して40%~60%程度抑制することができる。
【0158】
また、本開示に係る発光装置は、導光層を有することで、出射される光の色度の変動幅を、導光層を有さない場合と比較して3%~30%程度抑制することができる。また、本開示に係る発光装置は、導光層に加えて拡散層を有することで、導光層を有さない場合と比較して45%~75%程度抑制することができる。
【0159】
なお、説明される発光装置では、導光層はシリコーン樹脂で形成されるが、本開示に係る発光装置では、導光層は、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリスチレン樹脂等の合成樹脂によって形成されてもよい。また、説明される発光装置では、導光層は単一の樹脂であるシリコーン樹脂で形成されるが、屈折率が異なる複数の合成樹脂を積層することによって形成されてもよい。導光層が屈折率が異なる複数の合成樹脂を積層することによって形成されるとき、導光層の厚さは、式(1)~(4)の式を樹脂層毎に演算して決定される。
【0160】
また、本開示に係る発光装置では、反射層は、基板に重畳して配置される複数の反射層によって形成されてもよい。反射層が基板に重畳して配置される複数の反射層によって形成されるとき、最上段に配置される反射層の中心部は、他の反射層の中心部よりも外側に配置されてもよい。最上段に配置される反射層の中心部は、他の反射層の中心部よりも外側に配置されることで、導光層の固化前の樹脂を反射材の内側に充填するときに、導光層の固化前の樹脂は、最上段の反射層まで這い上がることはなく、平坦な導光層が形成可能である。
【0161】
これまでの説明で使用してきた発光素子は、青色発光するLEDダイ24等を蛍光樹脂等で被覆したものであった。カラーフィルタを備える発光装置では、カラーフィルタの一の色で区画された領域に一の白色LED、他の色で区画された領域に他の白色LEDを配したとき、1つの区画とそこに配された白色LEDの組が発光素子にされる。カラーフィルタ全体及び白色LEDの集合は、発光素子に対応する。カラーフィルタを発光素子として使用する発光装置は、式(1)~(4)を参照して説明された関係が成立する。また、微細な発光部が配列したマイクロLEDや有機ELも同様に、式(1)~(4)を参照して説明された関係が成立する。
【0162】
また、個別の発光素子の発光量を独立して制御できるとき、本開示に係る発光装置は、ディスプレイとして使用してもよい。しかしながら、本開示に係る発光装置は、分解能を低下させることなく、出射する光の輝度の均一性及び混色性を改善することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図14
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図25
図26
図27