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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】仏用道具
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/00 20060101AFI20240213BHJP
   G10D 13/06 20200101ALI20240213BHJP
【FI】
A47G33/00 L
G10D13/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021189707
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023067662
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】521510062
【氏名又は名称】佐藤 貞雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貞雄
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3091199(JP,U)
【文献】実開昭53-097983(JP,U)
【文献】特開2011-087903(JP,A)
【文献】実公昭25-000324(JP,Y1)
【文献】国際公開第2020/212174(WO,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-0001070(KR,U)
【文献】特開2016-179148(JP,A)
【文献】実開昭60-006194(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
G10D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木魚と、
鈴と、
前記木魚及び前記鈴を支持する本体部と、
前記本体部に設けられた把手と、
前記鈴を打ち鳴らす打音部材と、
前記打音部材が打ち鳴らすための操作を行う操作部と、
を備え、
前記操作部は、前記把手を持つ手の指から操作可能な位置に配置されており、
前記本体部は棒状であって、
当該本体部の一端部に前記木魚を有し、他端部に前記把手を有し、
前記鈴は、前記木魚よりも前記把手側で支持されており、
前記操作部は、前記鈴の周囲で前記把手部側に配置されていることを特徴とする仏用道具。
【請求項2】
前記打音部材に前記鈴を打ち鳴らすための弾性力を付与する弾性部材を備え、
前記操作部は、操作により前記弾性部材に前記鈴を打ち鳴らすための前記弾性力を発生させることを特徴とする請求項1に記載の仏用道具。
【請求項6】
前記木魚を打ち鳴らす打ち棒の一端部が前記木魚の打音用であって、他端部が前記鈴の打音用となっていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の仏用道具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏用道具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、葬儀場やお寺で行われる仏事の場合、僧侶の眼前に用意された木魚や鐘(ケイス)が置かれて読経が行われる。
しかしながら、仏事は、常に、そのような環境下で行われるとは限らず、例えば、墓前等の屋外で行われる仏事や、立ったままの姿勢で行われる仏事など、木魚や鐘を設置することができない環境で読経を行う場合がある。
そのような状況を考慮して、従来は、棒状の把手の先端部に小型の木魚と鈴を並べて取り付け、読経の際には、片手で木魚と鈴の両方を持てるようにして、バイ(打ち棒)により、木魚と鈴とを打ち分けることを可能としていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭60-6194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、木魚と鈴を持つことで一方の手が塞がれ、片手で木魚と鈴とを打ち分ける必要があり、これらを同時に鳴らすことができなかった。
【0005】
本発明は、木魚と鈴とをより良好に鳴らすことが可能な仏用道具を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明は、仏用道具において、木魚と、鈴と、前記木魚及び前記鈴を支持する本体部と、前記本体部に設けられた把手と、前記鈴を打ち鳴らす打音部材と、前記打音部材が打ち鳴らすための操作を行う操作部と、を備え、前記操作部は、前記把手を持つ手の指から操作可能な位置に配置されており、
前記本体部は棒状であって、
当該本体部の一端部に前記木魚を有し、他端部に前記把手を有し、
前記鈴は、前記木魚よりも前記把手側で支持されており、
前記操作部は、前記鈴の周囲で前記把手部側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記構成により、木魚と鈴を据え置くことができない環境であっても、両手を使って木魚と鈴とを個別に自在に鳴らすことができ、木魚と鈴とを同時鳴らすなど、木魚のリズムを崩さずに鈴を鳴らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】仏用道具の全体構成を示す平面図である。
図2】仏用道具の側面図である。
図3】鈴周辺の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態である仏用道具10について図面に基づいて説明する。図1は仏用道具10の全体構成を示す平面図、図2は側面図、図3は後述する鈴周辺の平面図である。
【0010】
仏用道具10は、木魚11と、鈴12と、木魚11及び鈴12を支持する本体部20と、鈴12を打ち鳴らす打音部30と、木魚11を打ち鳴らす打ち棒であるバイ50とを備えている。
以下の説明では、図1及び図2に示した矢印方向を仏用道具10の前後左右上下とする。
【0011】
本体部20は、丸棒からなる棒状体であり、その前端部側には、木魚11が固定支持されている。また、本体部20の後端部には、把手21が設けられている。把手21は、例えば、本体部20の外周に設けられた筒状のゴムスポンジから構成し、握りに装着感を与えることができる。把手21は、本体部20の外周に接着等により固定されている。把手21は、握る手に摩擦力を与える樹脂などの他の材料で構成しても良い。また、把手21は、別部材ではなく、本体部20の他端部の素材の表面に縞又はメッシュ状の細かい凹凸から形成した滑り止めで構成してもよい。
【0012】
木魚11は、据え置き型のものより小型であって、片手で持ち続けることが可能な軽量なものを使用する。
鈴12は、金属製の鉢状のものを例示するが、同様の音色で打ち鳴らすことができる打音性の器具を使用しても良い。
【0013】
本体部20の前端部近傍であって木魚11のすぐ後側には、鈴12を上方で載置支持する土台部40が設けられている。
【0014】
図2に示すように、土台部40は、その下端部に設けられたリング部41により本体部20に取り付けられている。
リング部41は、棒状の本体部20を嵌入させることで、当該本体部20に固定することができる。
なお、リング部41は、本体部20を挿入する環状部の一部を分離し、ネジやボルトで締め付ける構造とし、ネジやボルトを緩めることで、本体部20を中心として回転することで木魚11に対する鈴12の向き又は配置を調節可能な構造としても良い。
【0015】
リング部41の上側には、第1フランジ42と軸部43とが固定して取り付けられている。第1フランジ42は、平板面が水平な円板であり、その中央部に軸部43が鉛直方向に立設されている。
第1フランジ42の上には、平面視六角形状の下座布団部材46が載置されており、当該下座布団部材46は、その中央を貫通する軸部43により保持されている。
【0016】
軸部43の上端部中央からは、鉛直上方に向かってネジ軸44が立設されている。軸部43の上端部には、第2フランジ45が載置されている。
第2フランジ45は、略円板状であって、その中心部にネジ軸44を通す貫通孔が設けられている。第2フランジ45は、図3に示すように、ネジ軸44を中心とする半径方向外側に支持腕部451が延出されている。支持腕部451の上面には、打音部30が立設されている。
第2フランジ45の上には、平面視略正方形状の上座布団部材47が重ねて配置されており、その中央には前述したネジ軸44が貫通されている。
第2フランジ45及び上座布団部材47を貫通したネジ軸44は、さらに、鈴12の底部を貫通し、その上端部にナット441が取り付けられている。ナット441は、第2フランジ45、上座布団部材47及び鈴12を締結して一体的に固定している。
【0017】
打音部30は、図2に示すように、鈴12の上部外周に衝突して打ち鳴らす棒状の打音部材31と、前述した支持腕部451の上面で打音部材31を弾性支持する弾性部材としてのコイルばね32と、打音部材31が鈴12を打ち鳴らすように指で操作を入力する操作部33と、打音部材31の上端部に設けられた錘としてのワッシャー34と、ワッシャー34を固定するネジ35と備えている。
【0018】
前述した支持腕部451の上面には、コイルばね32の下端部が固定され、当該コイルばね32の上端部は、操作部33の底面部に固定される。
操作部33は、略長方形状のプレートであり、ネジ軸44を中心とする半径方向に沿っている。操作部33の一端部(半径方向内側)における底面側に前述したコイルばね32の上端部が固定されている。そして、操作部33の一端部における上面側に、打音部材31が、その上端部が鈴12から幾分離れて固定されている。
操作部33の他端部(半径方向外側)の上面は、図2に示すように、把手21を握った手の親指をかけることができる。操作部33の他端部を親指で押し下げると、コイルばね32がたわみ、打音部材31は、上端部が鈴12から離れる方向に大きく傾斜する。コイルばね32がたわみ、弾性力を蓄えた状態で親指を急に操作部33から離すと、打音部材31は、コイルばね32の復帰力により鈴12側に勢いよく振られ、鈴12と衝突して打ち鳴らすことができる。操作部33は、把手21を握った手の親指が届く範囲に配置されている。
【0019】
前述したように、ナット441は、第2フランジ45、上座布団部材47及び鈴12を締め付けるように締結して一体的に固定している。そして、このナット441を緩めると、第2フランジ45は、ネジ軸44回りに回動させることが可能となる。
従って、図3に示すように、ナットを緩めて第2フランジ45をネジ軸44回りに回動させることで、支持腕部451上の打音部30をネジ軸44回りの円周に沿って移動させることができ、打音部30(操作部33)の位置を自在に調節することが可能となる。例えば、把手21を左手で握る場合、打音部30(操作部33)が把手21の右側に位置する方が打音部30の操作が容易となるので、支持腕部451を把手21の右側に移動する、あるいは、把手21を右手で握る場合、打音部30(操作部33)が把手21の左側に位置する方が打音部30の操作が容易となるので、支持腕部451を把手21の左側に移動する等のように、操作性の向上を図ることができる。
【0020】
バイ50は、図1に示すように、棒状の本体部51の前端部に木魚11を打つ球状の頭部52、後端部近傍となる位置に握り部53、後端部に鈴12を打つ打音部54を有する。
バイ50は、全体が木製であり、頭部52は、木魚11を保護するために布、革等で表面が被覆されている。
握り部53は、丸棒状であって、握りやすいように、本体部51よりも太くなっている。また、握り部53の途中箇所には滑り止めの周溝が形成されている。握り部53は、滑りが生じにくいゴムや樹脂で形成しても良い。
【0021】
打音部54は、木材、金属などからなり、頭部52よりも硬質であり、金属製の鈴12を打ち鳴らすのに適している。打音部54は、鈴12のみを利用する場合に使用するためのものであり、バイ50を反対向きに持ち替えて使用する。
【0022】
上記構成からなる仏用道具10は、葬儀場やお寺以外の場所で行われる仏事等、据え置き型の木魚と鈴が用意されない簡易な仏事や屋外で行われる仏事において、木魚11を前方に向けて、把手21を片手で握り、反対側の手でバイ50を持つ。そして、読経の際には、バイ50により木魚11を所定のリズムで打ち鳴らし、把手21を握る手の親指で操作部33を操作し、打音部材31で鈴12を打ち鳴らす。
このように、仏用道具10では、打音部30の操作部33が、把手21の隣に配置されており、把手21を持つ手の指から操作可能な位置に配置されているので、木魚11と鈴12とをそれぞれ別々の手で自在に打ち鳴らすことができ、同時に鳴らすことも可能なので、木魚11のリズムを乱すことなく鈴12を鳴らすことが可能となる。
【0023】
また、仏用道具10は、コイルばね32に対して操作部33の指の操作により弾性力を蓄えるので、操作部33の操作により軽快に鈴12を打ち鳴らすことが可能となる。
【0024】
また、仏用道具10は、棒状の本体部20の一端部に木魚11を有し、他端部に把手21を有するので、前方に差し出すように木魚11を持つことができ、木魚11を打ち鳴らし易いという利点がある。
特に、鈴12は、木魚11よりも把手21側で支持されているので、鈴12が邪魔にならず、木魚11をさらに打ち鳴らし易くなる。
さらに、操作部33は、鈴12よりも把手21に近い位置に設けられているので、把手21を持つ手の指で操作部33をより容易に操作することが可能となる。
【0025】
また、仏用道具10は、操作部33が第2フランジ45を通じてネジ軸44を中心として回動し、本体部20に対して、把手21を挟んだ左右の両側に位置変更可能であることから、左右いずれの手で仏用道具10を持つ場合でも、鈴12を打ち鳴らす操作を容易に行うことが可能となる。
【0026】
また、仏用道具10は、鈴12が本体部20に対して、下座布団部材46、上座布団部材47を介して支持されているので、鈴12を弾性的に支持することができ、鈴12の音に響きを加えることが可能となる。
【0027】
また、仏用道具10は、バイ50の一端部が木魚11の打音用の頭部52であって、他端部が鈴12の打音用の打音部54を有するので、木魚11を使用せず、鈴12のみを使用する場合に、バイ50を利用することができる。
【0028】
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、実施形態において、単一の部材により一体的に形成された構成要素は、複数の部材に分割されて互いに連結又は固着された構成要素に置換してもよい。また、複数の部材が連結されて構成された構成要素は、単一の部材により一体的に形成された構成要素に置換してもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0029】
例えば、本体部20や把手21は、棒状でなくともよい。例えば、把手を環状として、内側に指を通して手に持つ等の構造であってもよい。
また、本体部20における木魚11や鈴12の配置は任意に変更可能である。例えば、これらを横並びに配置してもよい。
また、打音部材31は、棒状でなくともよく、板状、ブロック状等でもよい。さらに、打音部材31は、コイルばね32の弾性を利用して打音を行っているが、梃子等を利用して指の力で打音する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 仏用道具
11 木魚
12 鈴
20 本体部
21 把手
30 打音部
31 打音部材
32 コイルばね(弾性部材)
33 操作部
40 土台部
41 リング部
42 第1フランジ
43 軸部
44 ネジ軸
45 第2フランジ
451 支持腕部
46 下座布団部材
47 上座布団部材
50 バイ
51 本体部
52 頭部
53 握り部
54 打音部
図1
図2
図3