(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】エキスパートレポートエディタ
(51)【国際特許分類】
G16H 15/00 20180101AFI20240213BHJP
G06F 40/186 20200101ALI20240213BHJP
【FI】
G16H15/00
G06F40/186
(21)【出願番号】P 2021514454
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(86)【国際出願番号】 AU2019050452
(87)【国際公開番号】W WO2019218005
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-11-22
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520445509
【氏名又は名称】インテックス ホールディングス ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス,ロジャー
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-033518(JP,A)
【文献】特開2012-155520(JP,A)
【文献】特開2008-257569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06F 40/00-40/197
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレートから、画像についてのレポートを生成するための
レポートエディタであって、
前記テンプレートは、データベースからの前記レポートに選択的に含まれる一連のステートメントを含み、
複数のレポートはデータベースに記憶され、
新しいレポートは、前記
レポートエディタの制御手段がユーザによる記憶済の前記レポートからの選択を受け付けた場合に、選択されたレポートに基づくものであり、
前記新しいレポートにおける前記ステートメントの選択項目は、前記制御手段が、選択された前記レポートにおける前記ステートメントの選択項目からコピーするか、又はユーザによる複数の記憶済のレポートからの選択を受け付けてコピーし、
前記ステートメントは、前記制御手段が、前記ステートメントが選択される可能性が高い確率に対応する順に提示し、
前記ステートメントが選択される確率は、他のステートメントの選択に基づくものであるか、又は他のステートメントのペアの選択に基づくものであ
り、
前記新しいレポートにおける選択されたステートメントは、編集されて前記データベースに保存され、
編集されたステートメントは、完成したレポートに含まれ、完成したレポートは前記データベースに保存され、
保存されたステートメント及び保存されたレポートは、前記データベースを更新することによって、後続する新しいレポートの後続するテンプレートとして使用可能となり、
完成した各レポートからの匿名化されたメタデータは、前記データベース内のステートメントのメタデータのライブラリに追加されて、後続する新しいレポートの生成に使用される、
レポートエディタ。
【請求項2】
前記ステートメントは、前記ステートメントの意味を改正する選択可能な修飾子を含む、請求項1に記載の
レポートエディタ。
【請求項3】
前記修飾子は、関連付けられる選択の確率に基づいた順に正しく選択されるようにするために、前記制御手段が提示する、請求項2に記載の
レポートエディタ。
【請求項4】
前記修飾子の選択の確率は、前記制御手段が修飾子の選択を受け付けたときに更新する、請求項3に記載の
レポートエディタ。
【請求項5】
前記制御手段は前記ユーザに記憶済のレポートの選択項目を提示し、前記新しいレポートは記憶済の前記レポートの選択項目に基づくものであり、記憶済の前記レポートは前記制御手段がスコアの順に提示し、前記スコアは前記新しいレポートのメタデータと記憶済の前記レポートのメタデータとのマッチングの程度によって前記制御手段が決定する、請求項1に記載のレポートエディタ。
【請求項6】
前記制御手段は前記ユーザに記憶済のレポートの選択項目を提示し、前記新しいレポートは記憶済の前記レポートの選択項目に基づくものであり、記憶済の前記レポートは前記制御手段がスコアの順に提示し、前記スコアは前記新しいレポートの画像と記憶済の前記レポートの画像とのマッチの程度によって前記制御手段が決定する、請求項1に記載のレポートエディタ。
【請求項7】
前記ステートメントが選択される確率は、レポート履歴の前記ステートメントの選択の頻度に基づくものである、請求項1に記載の
レポートエディタ。
【請求項8】
第2のステートメントが選択される確率は、第1のステートメントの選択と、前記第1のステートメントがレポート履歴で選択されているときの前記第2のステートメントの選択の頻度とに基づくものである、請求項1に記載の
レポートエディタ。
【請求項9】
第2のステートメントが選択される確率は、ステートメントのペアの選択と、前記ステートメントのペアがレポート履歴で選択されているときの前記第2のステートメントの選択の頻度とに基づくものである、請求項1に記載の
レポートエディタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察に基づいて、エキスパートレポートを生成するためのエディタに関する。本発明は、具体的には、放射線レポートを対象とするが、他の分野におけるレポート生成にも利用可能である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、本質的に、観察、論理的に導き出された結論及び推薦のリストであるレポートを速く生成するレポートエディタを提供する。本発明は、放射線レポートを対象にして開発されたものであり、係る文脈で議論されるが、本発明は、レポート(すなわち、観察、論理的に導き出された結論及び推薦)が同等のものである広範囲の技術領域にわたって適用可能であることを理解されたい。
【0003】
放射線レポートは、一般的に、患者履歴、使用される撮像技術の詳細情報、研究結果の詳細情報、結論、及び推薦を含む。係るレポートを作成するのに放射線科医のスキルが要求され、多くの場合、従来の文書処理ツールを使用してレポートを作るのに最大15分かかる可能性があり、または放射線科医の言語スキルに応じてさらに長くなる可能性がある。特定の身体部分及び特定の手法のレポートは、多くの場合、繰り返され、すなわち、具体的には、同様の人口統計学的情報を用いて患者に関する同じまたは同様の観察及び結論を含み、同様の症状を提示する。しかしながら、多くの観察ひいてはレポートは、基準のものから微妙に変化したものを含む。また、放射線画像に類似するものは、観察及び結論の繰り返しをもたらす。
【0004】
従来の放射線レポートシステムは、画像観察の構成を変えるために口述及び書き直しまたは音声認識に基づき、また、最終レポート及び画像解釈を構成する放射線科医が口述で書いた解剖学的構造、病状、及び撮像診断の予備知識に基づくものである。本方法は、レポートを作る放射線科医の(当てにならない)記憶及び(限られた)知識と、(間違いが発生しやすい)書き直しプロセスとに頼り、それ以外の場合、別の医療関係の熟練者によって直接解釈できる画像に値を追加することが意図される手書きのレポートを作る。本方法の制限は不正確な言語表現の予測のつかない変化を含み、これは、観察者間変動が生じる傾向があり、さらなる分類、特徴付け、または成文をしないで、画像解釈を改善することが意図されるいずれかの機械学習アルゴリズムの正確な入力データを形成することを容易に受け入れない。
【0005】
形式的またはテンプレートベースのレポートモジュールは、不正確なレポート表現に関する問題を減らすことによって、従来のレポート作成戦略を改善するが、スタイルの厳格性、制限範囲、または扱いにくい用語、テンプレート選択の複雑性、及び撮像するときにヒトの病状が現れる可能性があることによる多くの変更が厄介になり、従来のテンプレートベースの記述システムに「不適格な」現象をもたらす。従来のテンプレートは、限られた知識及び当てにならない記憶の問題に対処していない。いわゆる、ボイラープレートテンプレートは、放射線科医のそれぞれのレポートの好みに合わせて調節する能力が制限されている、またはその能力がない。
【0006】
多くの放射線学では、新しいレポートのテンプレートとして使用するための過去のレポートの収集が維持されている。観察の変動により、病状または病状の組み合わせごとに完全なテンプレートを保有することは非実用的であり、さらに、レポートを生成するために、かなりの時間が要求される。係るテンプレートの収集のメンテナンスは、標準的な用語または語句の訂正または改善が複数のドキュメントに対する修正を必要とし得るため面倒なタスクとなる。
【0007】
病気の理解の進歩または撮像を含む新しい治療戦略は、いったん訓練が完了すると、テンプレートの知識ベースに適切な追加データを用いることがなく軽視され得る。一般的に、テンプレートは、教育または訓練の形式で、ユーザにフィードバックを提供しない。
【0008】
レポートを作る放射線科医による精度が足りないため、口述で書いたレポートは、多くの場合、誤った解釈がされやすい。レポート及び意見の形成を補助するのに利用可能であるほとんどのメタデータは、思い出した知識に基づいて、ある程度まで、レポートを作る放射線科医だけによって利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、放射線データの類似するものを利用して、個人差の記録を容易にしながらレポート生成を速くし、または少なくとも公衆に有用な代替を提供する、レポートエディタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、本発明は、テンプレートからの画像についてのレポートを生成するためのエディタであって、テンプレートはデータベースからのレポートに選択的に含まれる一連のステートメントを含む。
【0011】
ステートメントはステートメントの意味を改正する選択可能なクォリファイアを含み、クォリファイアは関連付けられる選択の確率に基づいた順に選択するために提示されるのが好ましい。クォリファイアの選択の確率は、クォリファイアが選択されるときに更新されるのが好ましい。
【0012】
好ましくは、複数のレポートはデータベースに記憶され、新しいレポートは記憶済のレポートから選択されたレポートに基づくものであり得、新しいレポートにおけるステートメントの選択項目は、選択されたレポートにおけるステートメントの選択項目からコピーされる。
【0013】
ユーザは、新しいレポートに基づいて記憶済のレポートを選択し得、複数の記憶済のレポートからの選択項目について新しいレポートをベースにし得る。
【0014】
ユーザに記憶済のレポートの選択項目が提示されるのが好ましく、新しいレポートは記憶済のレポートの選択項目に基づくものであり、記憶済のレポートはスコアの順に提示され、スコアは新しいレポートのメタデータを記憶済のレポートのメタデータとマッチさせることによって決定され、または、スコアは新しいレポートの画像を記憶済のレポートの画像とマッチさせることによって決定される。
【0015】
ステートメントは、レポート履歴のステートメントの選択に基づいて、ステートメントが選択される可能性が高い確率に対応する順に提示され得る。ステートメントが選択される確率は、他のステートメントの選択に基づいたものであり得る、または他のステートメントのペアの選択に基づいたものであり得る。
【0016】
上述の態様のいずれか1つが、上述の他の態様のいずれかの特性のいずれかを含み得、必要に応じて、下記に説明される実施形態のいずれかの特性のいずれかを含み得ることに留意されたい。
【0017】
本発明の好ましい特性、実施形態、及び変形形態は、本発明を行う当業者に十分な情報を提供する以下の「発明を実施するための形態」から判別され得る。「発明を実施するための形態」は、決して、前述の「発明の概要」の範囲を制限するものとして見なされない。「発明を実施するための形態」は、以下のいくつかの図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によって作られたステートメント選択ペイン(中間ペイン)及び放射線レポート(右ペイン)を示す本発明のエディタのスクリーンの一部を示す。
【
図2】クォリファイアを伴うステートメントを示すために展開したセクションを伴うエディタのステートメント選択ペイン(中間ペイン)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の以下の詳細な説明は添付図を参照する。可能な限り、同じ参照符号は、図面及び以下の説明の全体にわたって使用され、同じ要素及び同様の要素を指す。
【0020】
本発明は機械学習アルゴリズムを使用する新規のレポートシステムを提供し、これは、生産性を上げエラーの確率を減らすために、先行技術の手動及び半自動のプロセスの制限の問題に対処するために開発されている。本システムの実用的な実施態様の開発では、AI学習アルゴリズムは、500,000を超える研究レポートから派生した150,000以上のセンテンスの変形を含む超大型データベースに適用されたものであり、このセンテンスの変形は、センテンスの意味を改正また修正する固定ステム及びモディファイアを含む。このセンテンスバンクは、画像研究のレポートのライブラリにおけるイベントの99%を超えるものを含む。センテンスは、一貫した方法で、トピックベースのレポートビルディングブロックのライブラリにグループ化される。これらのレポートブロックは、必要に応じて、1つの、いくつかの、または多くのレポートのタイプで利用される。すべてのセンテンスまたはセンテンスのグループは分類され、自動検索を可能にするためにインデックス化される。利用のパターンを正確に分析し、使用されるセンテンスが使用される組み合わせ及び順番で使用されるセンテンスの可能性は、すべての新しい完全なレポートによる利用の算出された確率を学習及び変更する数学アレイに入力される。
【0021】
患者(年齢、性別、主症状、臨床診断、身体検査)及び放射線科医の報告パターンのメタデータ分析に基づくAIは、新しい画像研究のそれぞれに要求されるセンテンスを予測するために使用される。予測アルゴリズムは、新規の予測戦略を使用して、稀に使用されるセンテンスの組み合わせと、共通の使用パターンとを正確に予測する。特定のステートメントが発生する頻度が低くなるほど、共通レポート内の他のステートメントが相関する可能性が高くなる。ステートメントが単一のインスタンスで使用されている場合、そのレポート内の相互のステートメントはそのステートメントに対して100%の頻度率がある。
【0022】
各研究レポートは、レポートに利用されるセンテンスバンクアイテムから派生するコードに基づく大量の追加メタデータを有する。画像類似スコアは、同じセンテンスバンクによってコード化された以前の画像とのコンピュータによる比較から導出される。この類似スコアは、報告される特定の研究で使用されているセンテンスの確率をさらに精緻化するために使用される。
【0023】
研修生が予測されたセンテンスパターンを使用して、これらを修正し、レポートの草案を作る場合、経験豊富な放射線科医は、より速くレポート分析を完了し得、選択されたセンテンスを容易に修正する。この理由として、このセンテンスが標準的な順番で標準的用語を用いて提示されるためであり、全てのユーザが、標準的ウェブベース技術及びセンテンスメタデータのクラウドベースストアに基づくインターフェースにアクセスする。経験豊富な報告者の修正は、全体的に、研修生がその草案の完全なフィードバックを受けることを可能にするために記憶され、研修生に利用可能になるように計画されたすべてのレポートに総合的な学習イベントログを生じさせる。研修生は、レポートの草案を生成する際に90~100%の精度を達成するくらい急速に改善する。
【0024】
ウェブインターフェースはインタラクティブであり、展開ナビゲーション補助によって様々なフォーマットのドラフトセンテンスデータを提示し、ほとんどの動作に対するキーストロークを制限し、マウスクリックをかなり制限することによって、選択されたセンテンスへのかなり速いアクセス及びその修正を容易にする。レポートの精度を最適にし、完了までの時間を最小にするために、レポートを作る放射線科医がセンテンスを選択または拒否するとき、センテンスの選択項目は連続的に修正される。
【0025】
完全なレポートのそれぞれからの非特定メタデータはセンテンスメタデータライブラリに追加され、今後作成される同様のレポートのコンテンツを良好に予測するために機械学習アルゴリズムによって使用される。
【0026】
追加センテンスはセンテンスグループに追加でき、新しいセンテンスグループは、既存のセンテンスバンクの要素に追加され及びそれと組み合わせでき、それにより、レポートシステムに含まれるモダリティの範囲及び画像研究の範囲が広がる。
【0027】
本システムは、連続的に、過去の利用パターンから学習し、そのパターンに基づいてセンテンス予測を改善する。稀な使用パターンまたは固有の使用パターンは、センテンスの全発生頻度に優先して共起頻度を使用する新規の選択アルゴリズムにより、より共通な使用パターンまたはかなり共通な使用パターンを可能な限り正確に再呼び出しされる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、異なるタイプのレポートの一連のテンプレートを利用する放射線レポートエディタが提供される。テンプレートは、特異的観察に従って挿入できる、多くの場合、修正できる適切な記述を提供する。ステートメントは、それが一般的にレポートに現れるだろう順番でユーザに提示され、ユーザが、ステートメントのリストを下にスクロールし、関連のステートメントを選択することを可能にする。いくつかのステートメントは、ドロップダウンリストから選ばれた代替のクォリファイア(例えば、小さいもの/中間のもの/大きいもの)を選択することによって修正でき、提示されるデフォルトオプションは、過去のレポートで行われた選択に基づいて、最も可能性が高い選択肢である。レポートの各ステートメントは同じ内容で表され、レポートをより読みやすくし、機械解析を可能にする。レポートは、また、過去のレポートに基づいて、レポートのメタデータまたは画像の比較に従って選択され得る。新しいレポートのそれぞれは統計的観察によるレポート履歴のコーパスに追加されるのが好ましく、新しいレポートのそれぞれが過去のレポートを利用することを可能にする。
【0029】
本発明を説明する前に、本システムによって生成されるレポートの構造を説明する。最初に、本発明は、レポートを生成するために本システムとのユーザのインタラクションを説明することによって機能的観点から説明される。
【0030】
放射線レポートは多くのフォーマットをとることができ、多様な医学的状態及び様々な撮像技術を説明しているが、機械生成及び編集を可能にするために、レポートのフォーマットを標準化できる。本発明に関して、
図1の右側のようなレポートフォーマットが選ばれており、「タイトル」、「コメント」、「履歴」、「手法」、及び「研究結果の詳細」のセクションを含む。「タイトル」のセクションは研究のタイプを簡潔に識別し、「コメント」のセクションは、研究から得られた重要な結果及び結論の概要を提供し、「履歴」のセクションは患者の医療履歴を提供し、「手法」のセクションは着手した撮像を説明し、「研究結果の詳細」のセクションは研究からの観察を詳述する一連のステートメントである。本発明は、放射線科医がレポートの様々なセクションを生成するのに役立つ。「タイトル」、「履歴」、及び「手法」のセクションは、レポートのメタデータから容易に生成され、詳細に説明されるものではない。本発明の注目点は、放射線科医によって選択及び修正される一連の標準的なステートメントを含む「研究結果の詳細」及び「コメント」のセクションを追加することである。
【0031】
レポートを生成するとき、「変性の証拠がいくつか存在している」等のレポートに含まれ得る一連の標準的なステートメントがユーザに提示される。通常、ステートメントの1つ以上の語句は、他の文法的に交換可能である語句に取り換えできる。この場合、語句「いくらか(some)」は、「全くない(no)/多少(some)/弱い(weak)/強い(strong)」から選択されるフレーズのいずれかと交換可能である。ユーザに提示される様々なステートメントは、要望どおり、含まれまたは含まれなく、レポート内で移動できる。選択可能なステートメントの使用は、特に無力な人または英語スキルが不十分な人のために、タイピングを最小にし、またはさらになくし、レポート生成を速くする。ステートメントはメタデータ(例えば、デフォルトの選択)を有する。「研究結果の詳細」のセクションで選択されたステートメントは重要な観察結果としてタグ付けでき、これにより、そのステートメントはコメントの「セクション」にも現れる。
【0032】
新しいレポートを開始するために、レポートのメタデータはエディタに入力され、これは、互換性のある管理プログラムから、または従来のGUIコンポーネントの選択を使用するユーザによる手動でのいずれかで入力される。メタデータは、年齢及び性別等の患者の人口統計学的詳細情報と、患者の医療履歴と、研究の詳細情報(すなわち、撮像のタイプ及び標的領域(例えば、胸部X線))と、日付及び臨床医の詳細情報等の管理情報とを含む。
【0033】
いったんメタデータが入力されると、テンプレートをロードできる。テンプレートは研究のタイプのそれぞれ(例えば、胸部X線)に利用可能であり、その研究に適切なステートメントを含む。
【0034】
代替として、テンプレートを使用して新しいレポートを生成するために、新しいレポートは過去のレポートに基づき得る。ユーザは、過去のレポートを閲覧する、キーワードによってレポートを検索する、またはメタデータに基づいてレポートを検索するのいずれかを行い得る。いったんレポートの候補の最初の選択項目が識別されると、選択項目を精緻化するために、そのレポートからの画像を現在のレポートの画像と比較できる。
【0035】
メタデータに基づいてレポートを検索するために、ユーザは、その検索を基に、どのメタデータの基準かを選択し、重み付けを基準のそれぞれに与える。例えば、スポーツでのけがに関する膝部X線のレポートを開始するとき、ユーザは、研究タイプ及び患者の年齢に基づいて検索して可能性が最も高いものを選ぶだろう、そして、より高い重み付けを研究タイプに与える。過去のレポートとマッチさせるために使用されるメタデータは、研究タイプ、年齢、及び、性別を含む。また、過去のレポートの年齢に重み付けを与えられることができ、これにより、本システムが時間をかけて改善するので、新しいレポートの作成において本システムを利用するにつれて、本システムのより新しいレポートがより正確になる傾向がある。各レポートのスコアは、メタデータのマッチングの程度及びメタデータに与えられた重み付けに基づいて生成される。レポートのリストは、生成されるスコアの順にユーザに提示される。
【0036】
画像マッチングに基づいて検索するとき、画像マッチングアルゴリズムを使用して、現在の研究の画像を過去の同等の研究の画像と比較する。アルゴリズムは画像のいずれかの要素を認識する必要はなく、アルゴリズムは、マッチの程度に関するスコアだけを与える必要がある。画像マッチングスコアは、単独で、またはメタデータマッチングスコアと組み合わせて使用できる。次に、選ばれたスコアリング方式は、選ぶユーザに提示されるレポートの順番を決定するために使用される。
【0037】
レポートの候補は、選択されたメタデータ及びスコアを含むリストとして、閲覧するユーザに提示される。レポートの候補をリストから選択すると、レポートのコンテンツはユーザに示される。次に、ユーザは、新しいレポートに含まれるレポートのステートメントの選択項目の全てまたは数個を選択できる。複数の過去のレポートからのステートメントは、新しいレポートに含まれ得る。これは、複数の病状が存在する場合に特に有用である。
【0038】
いったんテンプレート、過去のレポート、または複数の過去のレポートからのステートメントの組み合わせが選ばれると、エディタは、3ペインインターフェースをユーザに提示する。概して、左側ペインは検索及びナビゲーションの補助を含み、中間ペインはレポートのコンテンツとして選択できる一連のステートメントを提供し、右側ペインは選択されたステートメントから作成されたレポートのプレビューを示す。中間ペイン及び右側ペインは
図1に示される。
【0039】
レポートを生成するためにテンプレートをロードするとき、いくつかのステートメントはデフォルトで選択され、レポートに追加される。これらは、一般的に、正常形態に対応する。ステートメントをレポートに追加するために、ユーザは、最初に、編集するレポートのセクションを選択し、選択するステートメントの表示を可能にする。関連ステートメントは、一般的に、サブセクションで一緒にグループ化される。
図1では、コメントセクションが選択されており、第1の非展開サブセクション及び第2の展開サブセクションを示している。非展開サブセクションをクリックするとそれが展開し、他のサブセクションは展開しない。サブセクション内のステートメントをクリックすると、そのステートメントをレポートの対応するセクションに追加する。
【0040】
レポートが編集され、ユーザがレポートのステートメントを選択するとき、テンプレートペインは自動的に更新され、ステートメントが生じたテンプレートのセクション及びサブセクションを示す。これは、同じセクションからステートメントを追加することを容易にし、過去のレポートに基づいてレポートを改正するときにまたはレポートを作成するときに特に有用である。
【0041】
図2は、選択されたステートメントが「説明されるような変形性関節症変化に進行がある」であるエディタを示し、そのステートメントはクォリファイア「進行」を含む。クォリファイアはユーザが容易に識別されるためにハイライトされている。クォリファイアに注目すると、代替のクォリファイアのドロップダウンリストは選択するために提示され、代替のものはクォリファイアを選択する確率に対応する順に提示される。クォリファイアを選択すると、ステートメントはエディタセクション及びレポートセクションで更新される。クォリファイアの選択確率はテンプレートに記憶され、クォリファイアを選択するたびに更新される。テンプレートを使用するたびに、テンプレートがクォリファイアを提示する精度が改善される。
【0042】
レポートが生成されているとき、バックグラウンドで実行中のプロセスは、一貫性及び冗長性に関して選択されたステートメントを分析する。これは、相互に対して選択されたステートメントのテキスト及びメタデータと、レポートのメタデータとを比較することによって達成する。例えば、サブセクションからステートメントが選択され、ステートメントが常に正常の場合にデフォルトのステートメントとしてそのメタデータでフラグが立つ場合、デフォルトのステートメントとしてそのメタデータでフラグが立たない同じサブセクションからさらに選択されたステートメントは、潜在的に誤りのあるものとしてハイライトされるだろう。
【0043】
エディタは、また、異なるユーザにログインを提供し、各ユーザのアクティビティを追跡する。エディタインターフェースは、各ユーザによってレポートになされた変更のカウントを含み、各ユーザに基づいて、各ユーザによって、追加、削除、または修正をハイライトできる。一般的に、レポートは、上級の放射線科医によってレビューされ、その放射線科医によってなされる必要がある変更の数は、最初のエディタの精度の良好な測定を提供する。レビューされた後にレポートを再考するとき、最初のエディタは、なされた変更を確認し、ひいては、レビューした放射線科医から学習できる。
【0044】
エディタはユーザの観点から説明されているが、選択可能なステートメント及び取り換え可能な語句を編集し得る管理モードでも使用され得る。一般的に、適切なステートメントが利用可能ではない場合、手近でレポートに対応するスーパーバイザによって新しいセンテンスを追加し、また、今後作成されるレポートに利用可能である。必要に応じて、ユーザは、また、フリーテキストをレポートの様々なセクションに追加し得る。
【0045】
選択するためにユーザに提示される標準的なステートメントは選択の確率の順に提示され、確率はレポート履歴に基づいて予測戦略から導出される。予測戦略は以下の3つの異なる要素から成る。すなわち、第1に、共通レポート内で発生するステートメントの相対頻度を構成するデータベースと、第2に、予測を生成できるいくつかの開始ステートメントを提供するためのいくつかの手段と、第3に、利用可能であるステートメントから成るベクトル内のステートメントごとに、複数の異なる相対頻度から判定するための方法であって、各ステートメントの集約される可能性はまた選択されたステートメントと併せて発生する、方法と、から成る。
【0046】
予測戦略の第1の要素はステートメントの相対頻度を構成するデータベースまたは頻度配列であり、これは、レポートが1つのステートメントを含む場合、レポートは、また、別のものを含む可能性を含み、すなわち、値(j,k)は、jも含むレポートで現れるkの可能性を表す。したがって、その配列は、固有のステートメントの数に等しい大きさの四角形配列である、またはステートメントの数に等しい長さのベクトルであり、ベクトルの各要素は同じ長さである。
【0047】
頻度配列を作成するために、各ステートメントに対応する頻度ベクトルを見つける。ステートメントjのそれぞれに関して、jを含む全てのレポートを返す。他のすべてのステートメントkに関して、kに対応する頻度は、返されたレポートの数に対する返されたレポート内のkの発生数の割合である。例えば、jが10個のレポートで発生し、kがそれらのレポートのうちの2つで発生する場合、全てのレポート内でkが発生する回数に関わらず、(j,k)=0.2である。これはステートメントのペアに展開でき、すなわち、上記の手順に従うが、jをi,jのペアと取り換えることになる。これは、超大型のデータベース及び算出要件に費用を負担することで発見された関連性において、より高い構造安定性をもたらす。
【0048】
予測戦略の第2の要素は、予測を生成するために、最初のステートメントを使用する、またはステートメントにシード値を設定する。これは、センテンス内のキーワードをマッチングさせることによって行われ、解剖学的特性または病状ごとにステートメントを分類する。これはシンプルなアプローチであり、結果として生じる分類リストは不完全及び不正確であるが、目的に対して十分である。これらの分類されたステートメントを入力として使用して、入力ステートメントが発生するレポートに対して結果として生じる予測を確認することによって、予測精度の平均値が分かる。これは、予測の範囲内でも分かるレポート内のそれらのステートメントの平均割合である。
【0049】
選択された2つの分類のタイプの有効な値によって、配列は、示されている予測を最も有用になるように与えるように作成される。第1に、分類タイプごとの最高割合の20個のステートメントが分かる。それぞれからの上位3個は新しいベクトルの第1の6つ要素として挿入され、分類タイプの範囲内に3つよりも少ないステートメントがあるとき、対応するベクトル要素は空のままである。ベクトルの残りの要素は、順に、いずれかの分類タイプから、最も予測性が高いステートメントで満たされる。
【0050】
選択された分類入力に対応するステートメントのペアが容易に設定されるため、マトリクスのペアを使用することは、シード値が設定されたステートメントの生成の可能性を示し、これは、また、年齢、履歴、性別、またはステートメントで維持できるいずれかの他の情報等のメタデータの他の形式に展開し得る。
【0051】
予測戦略の第3の要素は、また選択されたステートメントと併せて発生する各ステートメントの確率を決定することである。ステートメントのそれぞれに関して、予測は、最高の頻度率のステートメントに対応する。選ばれたステートメントを含む全てのレポートが第2のステートメントも含む場合、第2のステートメントの頻度率は1であるはずであり、このステートメントは予測として返される。nの所望の予測に関して、n番目に高い予測の割合に対応するステートメントが返される。予測を生成するための基準として複数のステートメントを使用するとき、対応する予測の割合を平均化することによって形成されるベクトルを作成し、予測は最高の平均比から返される。
【0052】
本方法は、予測に基づいて使用される値がレポートのフルセットの範囲内で比較的低い全発生頻度があるときに最も有用であり、特定のステートメントが発生する頻度が低くなるほど、何らかの方法で共通レポート内の他のステートメントが相関する可能性が高くなる。ステートメントが単一のインスタンスで使用されている場合、そのレポート内の相互のステートメントはそのステートメントに対して1の頻度比があるだろう。そして、そのステートメントが入力として使用される場合、予測の出力は、その過去のレポートになるだろう。逆に、ほぼ全てのレポートで発生するステートメントをただ1つの入力として使用する場合、返される予測は、本質的に、最も共通するステートメントのリストになるだろう。
【0053】
本発明の好ましい実施形態は、ユーザインターフェースを生成し、プルーフリーディング等の様々なサービスを提供するクライアントアプリケーションと、レポート及びテンプレートをデータベースから記憶及び読み出すためのサーバアプリケーションとを含む。クライアントアプリケーション及びサーバアプリケーションの実施態様は、コンピュータ科学の技術分野で周知されているような様々な形態を取り得る。プログラミングの詳細情報よりも本発明に関連するものは、レポート及びテンプレートの構造と、関連付けられるメタデータである。
【0054】
ここで、読者は、本発明がレポート生成を速くすることを容易にするレポートエディタを提供することを認識する。ユーザは、ほとんどの場合、いかなるタイプのものを必要することなくレポートを生成し、ユーザが無数の利用可能なステートメントによって促進されるとき、ユーザは、また、ユーザが他の方法で行うだろうものよりも正確なレポートを作る可能性が高くなる。本システムは時間をかけてレポートを蓄積するにつれて、本システムは、新しいレポートに基づいて良好なマッチングレポートを供給し、ステートメントのクォリファイアを選択される可能性が最も高い順に提示することが可能である。
【0055】
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に対してさらなる利点及び改善をかなり良好にもたらし得る。本発明が最も実用的で好ましい実施形態になるように考えられた内容で示され説明されているが、本発明の範囲内で本実施形態から逸脱し得ることが認識され、本発明は本明細書に開示される詳細に限定されないが、いずれの及び全ての同等のデバイス及び装置を含むように、「特許請求の範囲」の全範囲内に収まるように従ったものである。本明細書の全体にわたる先行技術のいずれかの説明は、決して、係る先行技術が広範囲に知られている、またはこの分野における共通の一般知識の部分を形成すると認めたものと見なすべきではない。
【0056】
本発明の明細書及び請求項(存在する場合)では、用語「備える(comprising)」及びその派生語(「備える(comprises)」及び「備える(comprise)」を含む用語)は、規定された整数の1つを含むが、1つ以上の整数の含有を除外しない。