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特許7433605グループ組織体間の転属支援システム、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】グループ組織体間の転属支援システム、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20240213BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023137600
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2023-08-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399124794
【氏名又は名称】株式会社ヒューマンシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 浩之
(72)【発明者】
【氏名】法本 将彦
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-264871(JP,A)
【文献】特開2002-175368(JP,A)
【文献】国際公開第2023/149334(WO,A1)
【文献】特開2003-337877(JP,A)
【文献】特開2004-054920(JP,A)
【文献】国際公開第2002/063520(WO,A1)
【文献】特開2021-157500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0294627(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
資本的又は事業的に関係する複数の組織体が集合したグループ組織体に所属する者がアクセス可能な情報サイトに、転属希望者が発信した転属申請データ及びいずれかの前記組織体で募集する職務ポジションの情報とを掲載する掲載手段と、
前記職務ポジションに関心のある応募者が操作する第1端末と当該職務ポジションを募集した組織体の担当者が操作する第2端末との間の連絡、及び/又は、前記転属申請データに関心のある組織体の担当者が操作する第3端末と当該転属希望者が操作する第4端末との間の連絡を監視制御する監視制御手段と、を備え
前記監視制御手段は、
前記応募者又は前記転属希望者の管理者が操作する第5端末からの指示の入力を契機に当該指示が解除されるまで、前記第1端末と前記第2端末との間の連絡又は前記第3端末と前記第4端末と間の通信を制限するとともに、前記第2端末の連絡先を前記第1端末から前記第5端末とし、又は、前記第3端末の連絡先を前記第4端末から前記第5端末とする、グループ組織体間における転属支援システム。
【請求項2】
前記転属申請データは、前記複数の組織体間で共通の評価基準で定めた行動特性に対する当該転属希望者の自己評価結果と当該転属希望者以外の者による他者評価結果とを含む、請求項1に記載の転属支援システム。
【請求項3】
前記第2端末又は前記第4端末には、前記指示が入力されているか否かを表す情報が表示される、請求項1に記載の転属支援システム。
【請求項4】
前記監視制御手段は、前記第1端末と前記第2端末、又は、前記第3端末と前記第4端末に、それぞれ選考の進捗状況を時系列に表す当該端末専用のステータス画面の閲覧を許容するとともに、前記第1端末、前記第2端末、前記第3端末又は前記第4端末による、自端末専用の前記ステータス画面への掲載データの記載、修正および削除を許容する、
請求項1に記載の転属支援システム。
【請求項5】
通信機能を有するコンピュータを、請求項1から4のいずれか一項に記載された転属支援システムとして動作させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資本的又は事業的に関係する複数の組織体が集合したグループ組織体における組織間の人材交流、特に職務単位の異動(転属)を支援する情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及により、転職希望者(求職者)と所望人材を探す組織体(求人者)とのマッチングを迅速・適切に行う技術が提案されている。例えば、特許文献1に開示されたマッチング装置では、求人者と求職者とをそれぞれ所定のパラメータ等を用いて特徴ベクトル化し、各特徴ベクトル同士の類似度に基づいて求人者と求職者とのマッチングの効率化と自動化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6369053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたマッチング装置に代表される既存の転属支援技術の場合、求職者が現在所属している組織体の事情が考慮されないという問題がある。有能な人材の流出は、多くの組織体にとって喫緊の経営課題である。
【0005】
また、M&A(Mergers and Acquisitions)により被買収会社がグループ会社の一つに組み込まれる場合、被買収会社に所属する社員の多くが離職を検討し、遅くとも3年内に離職がなされているという統計もある。これは、被買収会社に所属する社員にとって、買収後の組織体における自分の新たなキャリア形成の機会に関する情報が足りないことが要因の一つになっていると考えられる。
【0006】
本発明の課題の一つは、上記の問題を解消し、グループ組織体における新たなキャリア形成を希望する者とその者の所属元の組織体を含むグループ組織体の双方に有益となる、転属支援の仕組みを提供することにある。本発明の他の課題は、本開示により明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様は、資本的又は事業的に関係する複数の組織体が集合したグループ組織体に所属する者がアクセス可能な情報サイトに、転属希望者が発信した転属申請データ及びいずれかの前記組織体で募集する職務ポジションの情報とを掲載する掲載手段と、前記職務ポジションに関心のある応募者が操作する第1端末と当該職務ポジションを募集した組織体の担当者が操作する第2端末との間の連絡、及び/又は、前記転属申請データに関心のある組織体の担当者が操作する第3端末と当該転属希望者が操作する第4端末との間の連絡を監視制御する監視制御手段と、を備え、前記監視制御手段は、前記応募者又は前記転属希望者の管理者が操作する第5端末からの指示の入力を契機に当該指示が解除されるまで、前記第1端末と前記第2端末との間の連絡又は前記第3端末と前記第4端末と間の通信を制限するとともに、前記第2端末の連絡先を前記第1端末から前記第5端末とし、又は、前記第3端末の連絡先を前記第4端末から前記第5端末とする、グループ組織体間における転属支援システムである。
【0008】
本発明の他の態様は、通信機能を有するコンピュータを、上記の転属支援システムとして動作させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本態様によれば、新たなキャリア形成を希望する者と、その者の所属元の組織体が資本的又は事業的に関係するグループ組織体の双方に有益な転属支援が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る転属支援システムの全体構成図。
図2】(a)は転属支援の第1態様例、(b)は第2態様例を示す模式図。
図3】採用活動情報DBに格納される情報の例示図。
図4】転属支援のための機能ブロック構成例を示す図。
図5】転属メニュー画面の例示図。
図6】募集ポジション画面の例示図。
図7】応募入力画面の例示図。
図8】転属申請データの入力画面の例示図。
図9】応募者専用のステータス画面の例示図。
図10】募集会社専用のステータス画面の例示図。
図11】転属希望者専用のステータス画面の例示図。
図12】関心会社専用のステータス画面の例示図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をグループ会社間の社員の転属を支援する転属支援システムに適用した場合の実施の態様例について説明する。グループ会社は、資本的あるいは事業的に関連付けられている組織体の集合、本例では一つの親会社の傘下で活動する複数の同一業種又は異なる業種の子会社の集合を想定する。以後の説明において、グループ会社を構成する個々の会社を区別する必要がある場合、これらの会社を「会社A」,・・・「会社X」という。
また、会社Aからみた会社Aを「自社」、会社Aからみた会社B・・・会社Xを「グループ他社」、会社A~会社X全体を「グループ会社全社」、グループ会社を構成するそれぞれの会社に所属する者を当該会社の「社員」等という。
【0012】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係るグループ会社間の転属支援システムの全体構成図である。便宜上、この転属支援システムを「本システム」と略す。一つの態様では、本システム1は、コンピュータネットワークの一例となるインターネットNWに接続されるWeb(World Wide Web)サイトとして動作する。すなわち、本システム1は、Web(World Wide Web)サーバ10、AP(Application)サーバ11及びDB(Database)サーバ12の各サーバ(コンピュータ)を含んで構成することができる。これらのサーバ10,11,12については、後で詳しく説明する。
【0013】
DBサーバ12には、グループ会社各社がそれぞれ自社の意思でグループ会社全社への開示を許容した当該会社の固有情報を格納した会社情報DB(DB群)13と、グループ会社間における社員採用活動に関する情報を格納した採用活動情報DB14とが、セキュリティ製品15を介して接続されている。セキュリティ製品15は、本システム1の外部アクセスの監視、制御、脆弱性管理などの機能を提供する製品である。セキュリティ製品15は、図示の通りではなく、Webサーバ10とAPサーバ11との間、APサーバ11とDBサーバ12との間、Webサーバ10とインターネットNWとの間に設ける場合もある。なお、アクセスとは、電子機器を通じて情報やデータ等に接近し、それらを閲覧又は入手しようとする態様をいうものとする。
【0014】
インターネットNWには、グループ会社を構成する会社A~会社Xの社員がそれぞれ操作する情報端末が適宜のタイミングで接続可能である。情報端末は、表示デバイスであるディスプレイ及び入力デバイスであるキーボードやタッチパネルを有するパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートフォン等であり、Webブラウザを通じて転属支援システム1との間で情報の受け渡しを行うことが可能である。
【0015】
本例では、便宜上、会社A,B,・・・Xにおいて、自社独自の情報の開示や社員採用権限を有する社員が操作する情報端末をそれぞれ会社A担当者端末20A、会社B担当者端末20B、会社X担当者端末20Xという。また、会社Aに所属する社員のうち、社員(1),社員(2),・・・社員(n)が操作する情報端末を、それぞれ会社A社員(1)端末30A1、会社A社員(2)端末30A2、・・・会社A社員(n)端末30Anと表現する。他の会社B・・・会社Xにそれぞれ所属する社員(1),(2),・・・(n)が操作する情報端末についても同様に表現する。すなわち、これらの情報端末を、端末30B1、端末30B2,端末30Bn,端末30X1,端末30X2,端末30Xnなどと表現する。
また、社員のうち職務ポジションに応募する応募者が操作する情報端末を応募者端末、職務ポジションを募集した会社の担当者が操作する情報端末を募集会社端末、転属申請データに関心のある会社の担当者が操作する情報端末を関心会社端末、転属希望者が操作する情報端末を転属希望者端末、募集者又は転属希望者の現所属の管理者が操作する情報端末を管理者端末、これらの情報端末を区別する必要がない場合は、単に情報端末と表現する。
【0016】
本実施形態の転属支援システム1は、グループ会社各社及びそれぞれの会社に所属する社員に対して、グループ会社間における転属支援の場を電子的に提供する。ここでは、転属支援の一例として、ある会社のためのグループ他社からの社員募集を仲介する第1態様と、ある会社に所属する社員のためのいずれかのグループ他社への転属希望を仲介する第2態様との例について説明するが、本開示がこれら2つの態様に限定する趣旨ではない。
【0017】
第1態様の転属は、例えば、ある会社が新たなプロジェクトの実施、組織拡充、業態変更等に伴って必要となる職務ポジションに望まれる人材をグループ他社から迅速に確保したい場合などが契機となる。図2(a)は第1態様の一例を表す模式図である。図2(a)では、人材を募集するために当該会社の固有情報の開示権限を有する担当者が操作する情報端末を募集会社端末21、この募集に応募するいずれかの会社の社員すなわち応募者が操作する情報端末を応募者端末31としている。また、応募者の管理者(上長)が操作する情報端末を管理者端末33としている。
【0018】
第2態様の転属は、例えばグループ他社への転属を希望する社員、すなわち転属希望者が、転属申請データを本システム1を通じて自社を除くグループ会社全社に掲示して、自己のキャリアアップに挑戦したい場合などが契機となる。図2(b)は第2態様の一例を表す模式図である。図2(b)では、転属申請データに関心をもつ会社の社員採用権限を有する社員が操作する情報端末を関心会社端末22、転属希望者が操作する社員が操作する情報端末を転属希望者端末32、その転属希望者の管理者(上長)が操作する情報端末を管理者端末33としている。
【0019】
[各種DB]
転属支援に関して処理される情報は、会社毎に設けられた会社情報DB13と採用活動情報DB14とに格納され、適宜読み出され、処理される。会社情報DB13に格納される会社情報は、自社及びグループ他社の社員の閲覧を許容する固有情報であり、自社の社員のみが閲覧可能な自社向け情報と、グループ他社の社員が閲覧可能な他社向け情報とがある。後者には、募集ポジション情報と関連付けられている。
なお、会社情報DB13は、各会社に備えられている自社用DBの一部に対してAPI(Application Programming Interface)連携によってアクセス可能にすることもできる。
【0020】
採用活動情報DB14は、グループ会社各社と応募者や転属希望者との採用活動に関する様々な情報を格納する。図3は、採用活動情報DB14に格納される情報の例示図である。採用活動情報DB14に格納される情報は、例えば、転属希望者情報141、アプローチブロック情報142、募集ポジション情報143、応募者情報144、ステータス情報145、テンプレート情報146が含まれる。
【0021】
転属希望者情報141は、社員ID(識別情報)を含む転属希望者毎の個人情報であり、転属申請データの入力を契機に格納される。社員IDには、社員氏名又はニックネーム(当該社員が匿名を希望する場合は「匿名」の文字)とその社員との連絡手段(電子メール、電話番号等)が関連付けられている。
【0022】
アプローチブロック情報142は、職務ポジションの募集に興味をもった応募者、あるいは、転属希望者に対するグループ他社の人事担当者によるアプローチをブロックするかどうかを定めたタグ情報である。アプローチブロック情報142は、当該社員の現在の職務の重要性を考慮してその上長又は当該社員が現在所属する会社の人事担当者が登録する。このアプローチブロック情報142が登録されている社員については、そのタグ情報が解除されない限り、グループ他社から転属希望者への直接のアプローチが制限される。
【0023】
募集ポジション情報143は、募集する職務ポジションの情報と、募集会社における募集担当者IDと、を含む会社側の情報である。「職務ポジション」は、職務(責任をもって果たすべき業務(タスク)の内容、責任を負う範囲、付与される権限)の社内階級であり、その概要情報は、グループ会社各社で共通に認識し得る職位名で表現される。職務ポジションの詳細は「職務記述書」とその職務を全うしたかどうかの指標となる「評価基準」により示される。職務記述書と評価基準は、当該会社におけるキャリアパスの一つの指標となり得る情報である。募集担当者IDには、募集会社端末21の連絡手段(電子メール、電話番号等)が関連付けられている。
【0024】
応募者情報144は、募集ポジション情報に対する応募者の情報、すなわち応募者IDを含む応募者毎の個人情報である。応募者IDは社員IDとなる。ステータス情報145は、応募者と募集会社、転属希望者と関心会社との間の採用活動の進捗状況を示した案件毎の情報であり、当事者の情報端末からの連絡に基づいて適宜更新される。
テンプレート情報146は、募集ポジション情報の登録申請画面、転属申請データの登録申請画面、応募申請画面、コンタクト申請画面等、各情報端末に閲覧させるステータス画面のレイアウトや、各画面に重畳表示される操作画像等であり、適宜、読み出され、編集して使用される。
【0025】
[各種サーバの構成]
次に、各種サーバ10、11,12の構成例を説明する。Webサーバ10は、Webサーバプログラムが導入されており、情報端末(Webブラウザ)からのアクセスに応じて、その情報端末のアクセス認証を行うとともに、アクセス認証に成功した情報端末に対して、転属支援に関する情報を掲示する。この情報は、情報が掲載されたWebページとして掲示することができる。
【0026】
APサーバ11は、システムの全体を統括的に制御するサーバであり、APサーバプログラムが導入されている。APサーバ11は、Webサーバ10を通じて情報端末へのWebページの表示と情報端末からの情報入力とを指示するとともに、DBサーバ12にグループ会社各社及び社員に関する情報の管理(=登録、検索、更新、削除)を行わせるアプリケーションサーバである。本実施形態では、主としてAPサーバ11の指令に従い、Webサーバ10、DBサーバ12が連携動作する。
【0027】
DBサーバ12は、グループ会社各社及び各社の社員により情報端末を通じて入力された情報を体系づけて記憶するRDB(Relational Database)が構築されているサーバである。DBサーバ12は、DBサーバプログラムが導入されており、APサーバ11の指示に従い、構築された会社情報DB13や採用活動情報DB14に対して登録、更新、参照、削除などを行う。
【0028】
図4は、本システム1における機能ブロック構成例を示す図である。本例ではAPサーバ11がAPプログラムを読み込んで実行することにより構築される、登録部111,情報掲載部112、認証部113、監視制御部114、主制御部115の機能ブロックの例を挙げる。
【0029】
登録部111は、本システム1を利用する者の情報を登録する。登録する情報は、グループ会社各社の固有情報と、グループ会社各社の社員の情報である。グループ会社の固有情報の一つは、グループ他社向けに募集する職務ポジションの情報であり、そのほかに自社に向けた自社向け情報が含まれていてもよい。固有情報が自社向け情報を含む場合、その情報に対するアクセス権限は自社社員についてのみ発行される。
【0030】
社員の情報は、本システム1へのアカウント情報、例えば社員名、所属会社、アクセス権限、職務経歴など一般的な情報であってよい。詳細情報は、応募又は転属申請の際に追加入力させればよいためである。各社員には社員ID(IDはidentificationの略、以下同じ)が付与され、アクセス権限情報は社員IDに紐付けられる。社員IDは、会社番号と社員番号とが含まれる一意のIDである。社員名は本名であってもよく、匿名又はニックネームであってよい。匿名の場合、それが表示等される場合、社員名が「匿名」と表現させることができる。社員の情報は、上記アカウント情報のほか、応募に必要となる応募情報、転属申請データ、アプローチブロック情報等が含まれる。
【0031】
職務ポジションの情報、応募情報、転属申請データは、それぞれ採用活動情報DB14に、独自のアクセス権限が設定されたストレージ領域に登録される。職務ポジション情報、応募情報、転属申請データ以外の情報は、本システム1を利用する者が所属する会社の会社情報DB13に登録される。
【0032】
情報掲載部112は、Webサーバ10の所定論理領域にグループ会社各社の社員がアクセス可能な情報サイトを形成するとともに、該情報サイトに転属希望者が発信した転属申請データ、いずれかのグループ会社で募集する職務ポジション、選考の進捗状況を表すステータス情報等を掲示する。アクセス権限が設定されている情報については、当該アクセス権限が入力された情報端末に対してのみ閲覧が許容される。
【0033】
認証部113は、グループ会社各社の社員が操作する情報端末(転属希望者端末、関心会社端末、応募者端末、募集会社端末、管理者端末を含む)のアクセス権限の認証を行う。認証は、登録時に定めたログイン情報(パスワードを含む)及びアクセス権限の入力と登録されているこれらの情報との照合により行う。認証された情報端末以外のアクセスについては制限する。認証部113は、アクセスした情報端末のアドレス情報及び認証結果を含む通信ログを図示しないストレージに蓄積しており、本システム1の利用状況を後で分析ないし解析することができるようになっている。
【0034】
監視制御部114は、認証された各情報端末からの入力データに対応する処理、例えば会社情報DB13や採用活動情報DB14への登録・修正・削除のDBサーバ12への指示、会社情報DB13や採用活動情報DB14に登録されている情報(募集ポジション/転属希望者/応募者/関心会社/該当社員/該当管理者等)の検索、各情報端末(募集会社端末/応募者端末/転属希望者端末/管理者端末/関心会社端末)との間の通信連絡、各情報端末を通じて入力されたデータの解析(分析を含む)、会社側及び社員側の面談を含む採用活動の監視とステータス情報の管理(記録・更新・削除)等を行う。
会社情報DB13や採用活動情報DB14に登録されている情報の検索には、グループ会社全体で使用されている用語や過去の採用活動の結果事例等を学習したデータを基に、募集ポジション、転属申請データに適合する情報を特定する人工知能搭載の検索エンジンを用いることができる。
【0035】
監視制御部114は、また、応募者又は転属希望者の管理者が操作する管理者端末からの指示の入力を契機に当該指示が解除されるまで、応募者端末に対する募集会社端末又は転属希望者端末に対する関心会社端末の通信連絡を制限する。
つまり、管理者端末に対して上述したアプローチブロック情報の登録及び削除を許容し、アプローチブロック情報が抹消されていない限り、関心会社端末に対する転属希望者の通信連絡手段に関する情報をマスキングする。マスキングに代えて、関心会社端末に対する連絡先を管理者端末に編集してもよい。
【0036】
監視制御部114は、さらに、募集会社端末、応募者端末、あるいは、転属希望者端末と関心会社端末に、それぞれ採用活動の進捗状況を視覚化したステータス画面の閲覧を可能にするとともに、応募者端末、募集会社端末、転属希望者端末又は関心会社端末による、ステータス画面へのデータの記載、修正および削除の依頼を受け付ける。
【0037】
主制御部115は、Webサーバ10及びDBサーバ12と共にAPサーバ11の全体動作を制御する。すなわち、登録部111,情報掲載部112、認証部113、監視制御部114、主制御部115の機能ブロックを統括的に制御する。
【0038】
[運用形態例]
次に、上記のように構成される本システム1の運用形態例を説明する。ここでは、便宜上、グループ会社各社の社員が操作する情報端末に表示されるWebブラウザの画面遷移の内容に基づく本システム1の動作の一例を挙げる。なお、本システム1にアクセスする社員の情報端末は、それぞれWebブラウザのログイン画面を通じてすべて認証に成功しているものとする。
【0039】
<転属メニュー>
図5は、本システム1にアクセスした社員の情報端末に表示されるWebブラウザ500の転属メニュー画面(MENU)の例を示す。転属メニュー画面は、メインメニュー画面から遷移した下位層の画面である。図示を省略してあるが、メインメニュー画面には、その社員が所属する会社からの各種自社向け情報の閲覧メニュー画面、社員自身の登録情報の変更メニュー画面等、さまざまなメニュー画面への遷移リンクが用意されている。
図5の例では、転属メニュー画面には募集ポジション検索ボタン画像501、転属申請ボタン画像502、決定ボタン画像503、戻るボタン画像504が表示されている。
【0040】
Webブラウザ500を通じて募集ポジション検索ボタン画像501が選択され、決定ボタン画像503が操作されると、本システム1は、図2(a)に示した第1態様の支援処理を行う。他方、Webブラウザ500を通じて転属申請ボタン画像502が選択され、決定ボタン画像503が操作されると、本システム1は、図2(b)に示した第2態様の支援処理を行う。戻るボタン画像504が操作されると、Webブラウザ500の表示はメインメニュー画面に戻る。
【0041】
<第1態様>
図5において、募集ポジション検索に興味をもち、応募を試みる社員が応募者となり、その応募者が操作する情報端末が図2(a)に示した応募者端末31となる。応募者端末31のWebブラウザ500を通じて応募者が募集ポジション検索ボタン画像501を選択し、決定ボタン画像503を操作すると、本システム1は、応募者端末31のWebブラウザ500を図6に例示する募集ポジション画面に遷移させる。
【0042】
図6に例示される募集ポジション画面には、会社○ボタン画像611、職務ポジションボタン画像612、職務記述書ボタン画像613、応募ボタン画像614、会社□ボタン画像621、職務ポジションボタン画像622、職務記述書ボタン画像623、応募ボタン画像624が表示される。
【0043】
会社○ボタン画像611(あるいは会社□ボタン画像621、以下会社□について同様)を応募者が操作すると、当該会社のグループ他社向けの情報がWebブラウザ500に切替表示される。職務ポジションボタン画像612(622)を応募者が操作すると、当該会社で募集する職務ポジションの概要情報が切替表示される。概要情報は、グループ会社各社で共通に認識し得る職位名で表現することができる。応募者が職務記述書ボタン画像613(623)を操作すると、募集する職務ポジションの詳細が明記された「職務記述書」とその職務を全うしたかどうかの指標となる「評価基準」が表示される。
【0044】
応募ボタン画像614(624)を応募者が操作すると、Webブラウザ500は、図7に例示される応募入力の画面に遷移する。なお、図6では募集ポジションが2つの場合を例示しており、応募ボタン画像614(624)が実質的に応募者の当該時点での意思決定を間接的に表すが、Webブラウザ500の一つの画面では表示しきれないほど募集ポジションの情報が登録されていることがある。この場合、応募者は、Webブラウザ500のスクロール画像(図示省略)を操作して最後の職務ポジションを募集する会社の情報まで操作すると、図示しない戻るボタン画像が表示される。これにより、応募者は、現時点では転属を希望する職務ポジションが存在しないことを認識し、掲示されている2つの募集ポジションのいずれかあるいは双方を選択することになる。
【0045】
図7は、応募者端末31のWebブラウザ500に表示される応募入力画面の例示図であり、図6の応募ボタン画像614(624)が操作されたときに切替表示される。応募入力画面には、社員名(社員ID)入力領域701、現所属入力領域702、職務記述書613(623)に記述されている要求スキルに対する自己評価703、他者評価704、戻るボタン画像705、決定ボタン画像706が形成されている。戻るボタン画像705及び決定ボタン画像706が操作されたときの動作については、上記の場合と同じとなる。
【0046】
社員名(社員ID)入力領域701には、匿名希望も可能である。現所属入力領域702には現所属の会社名ないし会社コードが入力される。自己評価703には、例えば職務記述書613に定義されている要求スキルに対する自己評価、他者評価704には上記要求スキルに対する当該社員以外の他者、望ましくは上長の社員IDを伴う評価が入力される。これらの評価情報は、応募者の主観を客観化して、職務ポジションを募集した会社がその職務ポジションに適した人材かどうかを選考しやすくするための情報の一つである。
【0047】
Webブラウザ500の応募入力画面で決定ボタン画像706が操作されると、本システム1は、入力された内容を採用活動情報DB14に格納するとともに、募集会社端末21へ応募内容を通知する。また、募集会社端末21から応募後の選考情報等を随時取得し、必要に応じて応募者端末31へ取得した選考情報等を伝達するとともに応募者端末31からの応答を取得する。
【0048】
募集会社端末21からの情報には、募集会社における選考経過や選考後の異動等の情報が含まれる。応募者端末31からの応答には、取下/辞退/応募継続の意思表示等の情報が含まれる。これらの情報は、セキュリティ性が高いものであるため、本システム1は、応募に関する応募者端末31と募集会社端末21との間で受け渡されるこれらの情報を機密に蓄積するための応募案件別の機密ファイルを作成して採用活動情報DB14に格納しておく。
【0049】
本システム1は、また、応募後の選考の進捗状況に応じて蓄積される機密ファイルに基づいて、応募者専用のステータス画面と、募集会社専用のステータス画面とを生成し、前者のステータス画面の閲覧の権限を応募者端末31のみに設定し、後者のステータス画面の閲覧の権限を募集会社端末21のみに設定して、Webページに掲示する。このとき、閲覧の権限のみならず、各専用ステータス画面への追記・修正・削除の権限を併せて設定してもよい。
【0050】
応募者端末31が閲覧可能となる応募者専用のステータス画面の例を図9に示す。図9では、募集ポジションに対して応募者が応募した状態を表す「応募中」のステータスに、受付済、取下/継続、最新更新日のデータが表示されている。また、応募者が取り下げずに継続している状態を表す「予備選考中」(書面審査)のステータスに、候補者数(応募者総数)、合否、辞退/継続、最新更新日のデータが表示されている。また、応募者が辞退せず且つ予備選考に合格した状態を表す「面接日検討中」のステータスに、面接の対象者数(面接対象者総数)、決(面接日決定)/未決(面接日未決定)、辞退/継続、最新更新日のデータが表示されている。また、応募者が辞退せず且つ面接日が決定した状態を表す「最終選考中」のステータスに、対象者数(最終選考に残った応募者数)、合否、辞退/継続、最新更新日のデータが表示されている。さらに、応募者が辞退せず且つ最終選考に合格した状態を表す「異動準備中」のステータスに、異動予定日、現況、最新更新日のデータが表示されている。
【0051】
図9に例示された各データは変動がある度に更新される。最後に更新された日時が最新更新日である。また、取下/継続は、取下あるいは継続のいずれか一方だけが示されるようにしてもよい。合否、辞退/継続、決/未決についても同様である。
また、図9に示されている応募者専用ステータス画面は、応募後、面接を終え、最終選考に合格した応募者のステータス例であり、例えば予備選考で不合格であった場合(合否が「否」)、その後のステータスは表示されないようにしてもよい。あるいは、現在のステータスだけが表示されるようにしてもよい。
【0052】
図10は、募集会社端末21が閲覧可能となる募集会社専用のステータス画面の例示図である。図10では、募集会社が職務ポジションをグループ他社に向けて募集した状態を表す「募集中」のステータスに、応募者数、取下/継続、最新更新日のデータが表示されている。また、募集会社が取り下げずに継続し、且つ、応募者に向けて連絡を行っている状態を表す「コンタクト中」のステータスに、ブロック有/フリー、応募者名、辞退/継続、最新更新日のデータが表示されている。ブロック有/フリーは、上述したアプローチブロック情報が設定されているかどうかを表す。フリーの場合、本システム1は、募集会社端末21と応募者端末31との通信連絡を仲介することになる。ブロック有の場合はアプローチブロック情報が設定されている状態であるため、本システム1は、募集会社端末21と管理者端末33との通信連絡を仲介することになる。
「コンタクト中」のステータスは、応募者毎に生成される。辞退/継続は、応募者が辞退又は継続の意思を示していることを表す。
【0053】
図10に例示された各データは、変動がある度に更新される。最後に更新された日時が最新更新日である。また、取下/継続は、取下あるいは継続のいずれか一方だけが示されるようにしてもよい。辞退/継続についても同様である。
また、図10には、「募集中」と「コンタクト中」のステータスだけが表示されているが、コンタクト後は、図9の「予備選考中」以降のステータスを募集会社用に生成して募集会社端末21に表示するようにしてもよい。
【0054】
<第2態様>
図5に戻り、Webブラウザ500の転属メニューにおいて、転属申請ボタン画像502が操作された場合の動作例について説明する。転属申請ボタン画像502が操作されると、本システム1は、図2(b)に示した第2態様の支援処理を行う。
【0055】
図5の例では、転属を希望する社員が転属希望者となり、その転属希望者が操作する情報端末が図2(b)に示した転属希望者端末32となる。転属希望者端末32のWebブラウザ500を通じて応募者が募集ポジション検索ボタン画像501を選択し、決定ボタン画像504を操作すると、本システム1は、転属希望者端末32のWebブラウザ500を図8に例示する転属申請データの入力画面に遷移させる。
【0056】
図8の転属申請データの入力画面には、社員名(社員ID)入力領域801、現所属入力領域802、希望するポジション803、自己評価804、他者評価805、決定ボタン画像806、戻るボタン画像807が表示されている。戻るボタン画像805が操作されると、Webブラウザ500の表示はメインメニュー画面に戻る。
【0057】
社員名(社員ID)入力領域801には、匿名希望も可能である。現所属の入力領域802には現所属の会社の所属名ないし所属コードが入力される。希望するポジション803には転属したい職務ポジションが明確であればそれが入力される。転属したい職務ポジションが不明の場合、あるいはどの職務ポジションでもよい場合は、「全て」を表す記号例えばアスタリスク記号が入力される。自己評価804には、上記要求スキルに対する自己評価、他者評価805には要求スキルに対する当該社員以外の他者、望ましくは上長の社員IDを伴う評価が入力される。自己評価804及び他者評価805は、採用活動情報DB14のテンプレート情報146から、それぞれグループ会社全社で共通の評価基準で定めた行動特性、例えば、目標設定と決断力、自己動力と意欲、行動の積極性、リーダーシップと人間関係構築力、柔軟性と適応力、コミュニケーションスキル、時間管理と優先順位の設定力・・・に関する複数の評価項目と、評価項目毎に用意された例えば10段階の数字及び自由記述欄とを有する評価用テンプレートを読み出して記入、保存した電子評価書とすることができる。あるいは、グループ会社全社で予め用意された紙媒体の評価リストに手書したものをPDF化したものであってもよい。他者評価については、上長による推薦状同等書面で代えることもできる。自社評価及び他者評価は、応募者の主観を客観化して、募集した会社が選考しやすくするための情報の一つである。
【0058】
転属希望者が、社員名(社員ID)入力領域801、現所属入力領域802、希望するポジション803、自己評価804、他者評価805への入力を終え、決定ボタン画像806を操作すると、本システム1は、入力された内容を採用活動情報DB14に格納するとともに、グループ会社各社の社員が閲覧可能なWebサイトに掲示する。このとき、転属希望者が所属する会社の社員についての閲覧を制限する態様であってもよい。
また、掲示された転属申請データの内容に関心のある会社があり、本システム1を通じて転属希望者にアプローチしようとする情報端末が図2(b)に示した関心会社端末22となる。本システム1は、この関心会社端末22と転属希望者端末32あるいは管理者端末33(アプローチブロック情報が設定されている場合)との通信連絡を仲介することになる。
【0059】
本システム1は、第2態様においても、関心会社端末22からのアプローチ後の転属希望者に対する選考の進捗状況に応じて蓄積される機密ファイルに基づいて、転属希望者専用のステータス画面と、関心会社専用のステータス画面とを生成し、前者のステータス画面の閲覧の権限を転属希望者端末32のみに設定し、後者のステータス画面の閲覧の権限を関心会社端末22のみに設定して、Webページに掲示する。このとき、閲覧の権限のみならず、各専用ステータス画面への追記・修正・削除の権限を併せて設定してもよい。
【0060】
転属希望者端末32が閲覧可能となる転属希望者専用のステータス画面の例を図11に示す。図11では、転属申請を行った状態を表す「転属希望中」のステータスに、受付済、関心会社数、取下/継続、最新更新日のデータが表示されている。また、転属希望者が取り下げずに継続しており且つ関心会社が本システム1を通じてコンタクトをとろうとしている状態を表す「コンタクト中」のステータスに、フリー/ブロック有、関心会社名、辞退/継続、最新更新日のデータが表示されている。「コンタクト中」のステータスは、コンタクトをとろうとしている会社毎に生成される。
【0061】
なお、「フリー」はアプローチブロック情報が設定されていない状態、すなわち、上長等を介さず関心会社とフリーでコンタクトをとることが可能な状態であることを意味する。「ブロック有」は、自分に対して会社(上長)が予めアプローチブロック情報を設定している(自分が会社で重要視されている)ため、関心会社が管理者端末33に対してコンタクトをとっている状態であることを意味する。
【0062】
フリー、あるいはアプローチブロック情報が解除された場合、転属希望者は、関心会社との間で、異動のための選考が行われることになる。この場合も転属希望者専用のステータス画面が生成され、本人のみの閲覧が可能になるが、そのステータス画面は、図9に示した応募者専用のステータス画面とほぼ同じ内容となる。
【0063】
図12は、関心会社端末22が閲覧可能となる関心会社専用のステータス画面の例示図である。図12では、転属希望者に対して関心会社がアプローチした状態を表す「アプローチ中」のステータスに、対象社員名、その対象社員に対する他の関心会社数、拒否/応募、最新更新日のデータが表示されている。他の関心会社数が多い場合、その対象社員に対するグループ他社の関心が高いこと、つまり高いスキルを持つ社員であることが推定される。「拒否」は対象社員が関心会社への転属を拒否したことを示し、「応募」は対象社員が関心会社への応募する意思があることを示している。「アプローチ中」のステータスは、対象社員毎に生成される。
【0064】
図12に例示された各データは、変動がある度に更新される。最後に更新された日時が最新更新日である。また、取下/継続は、取下あるいは継続のいずれか一方だけが示されるようにしてもよい。拒否/応募についても同様である。
また、図12には、「アプローチ中」のステータスだけが表示されているが、アプローチ後、その対象社員による応募の意思が確認された場合は、図9の「予備選考中」以降のステータスを関心会社用に生成して関心会社端末22に表示するようにしてもよい。
【0065】
[運用形態による利点等]
以上の通り、本システム1は、グループ会社各社の社員がアクセス可能な情報サイトに、転属希望者(社員)が発信した転属申請データ及びいずれかの会社で募集する職務ポジションの情報とを掲載する掲載手段と、前記職務ポジションに関心のある応募者(社員)が操作する第1端末(応募者端末)と当該職務ポジションを募集した会社の担当者が操作する第2端末(募集会社端末)との間の連絡、及び/又は、前記転属申請データに関心のある会社の担当者が操作する第3端末(関心会社端末)と当該転属希望者が操作する第4端末(転属希望者端末)との間の連絡を監視制御する監視制御手段とを備えたので、社員にとっては、自社以外のグループ他社でのキャリア形成の機会が与えられ、グループ会社にとってもグループ会社外への人材流出を抑制することができるという効果を奏することができる。
【0066】
特に、職務ポジションの情報を通じてグループ会社全社におけるキャリアパスの指針を明確に示すことで、現時点では転属を希望しない社員であっても、自身のキャリアパスの方向性を理解し、現在の所属においても職務に意欲的に取り組むことができ、グループ会社全体において長期的なキャリアを築く意欲を高めることが期待される。これにより、グループ会社各社と社員の双方に有益となる、転属支援が可能になる。
転属希望者にとっては、グループ会社間での異動なので、例えばM&Aにより被買収会社がグループ会社の一つに組み込まれても被買収会社に所属する社員が買収会社のグループ会社での新たなキャリア形成の機会を創設できることが期待される。
【0067】
本システム1において、転属希望者が発信する転属申請データを、例えば、グループ会社全体で共通の評価基準で定めた行動特性に対する当該転属希望者の自己評価結果と当該転属希望者以外の者による他者評価結果とを含む態様にすることができる。この場合、グループ他社で転属希望者が自社の職務に適合するスキルを有する者かどうか、あるいは、その転属希望者を自社における選考対象者にするかどうかの判断が容易になることが期待される。このように行動特性を予め公表しておくことにより、社員に対するグループ会社全体におけるキャリアパスを明確にすることができる。
【0068】
本システム1では、前記監視制御手段が、前記応募者又は前記転属希望者の管理者が操作する第5端末(管理者端末)からの指示の入力を契機に当該指示が解除されるまで、前記第1端末あるいは前記第4端末に対する前記第2端末又は前記転属希望者に対する前記関心会社端末の通信を制限する構成にすることができる。このような構成では、応募者又は転属希望者が現所属から突然(不意に)グループ他社へ転属してしまう事態を回避することができる。
【0069】
本システム1では、前記監視制御手段が、前記第1端末と前記第2端末、又は、前記第3端末と前記第4端末に、それぞれ選考の進捗状況を時系列に表す当該端末専用のステータス画面の閲覧を許容するとともに、前記第1端末、前記第2端末、前記第3端末又は前記第4端末による、当該端末専用のステータス画面への掲載データの記載、修正および削除を許容する構成にすることができる。これにより、採用活動の当事者間で、現在の進捗状況を明確に把握することができ、採用活動を円滑に進めることができる。
【0070】
[変形例]
図5の例では、社員が自分の情報端末のWebブラウザ500で募集ポジション検索501のボタン画像を操作した時点で、既に登録されている募集ポジションの情報を表示させる例について説明したが、募集ポジションの登録の有無にかかわらず、社員が興味をもつ職務ポジションを監視制御部114の検索(AI検索)機能を用いて探索し、探索された職務ポジションの会社の情報端末との通信連絡を仲介するようにしてもよい。
【0071】
あるいは、転属申請データの有無に関わらず、転属を希望する社員の一覧をグループ会社各社の情報端末へ掲示し(閲覧を許容し)、当該一覧表示された社員に関心がある関心会社端末と対象社員が所属する会社の情報端末との通信連絡を仲介するようにしてもよい。これらの場合、ステータス画面の閲覧権限は、アクセスした情報端末に付与される。
【0072】
本実施形態では、本システム1をWebサーバ10、APサーバ11及びDBサーバ12の各サーバ(コンピュータ)を含んで構成する場合の例を説明したが、通信機能とストレージ機能とを有する一つの情報処理装置と、この情報処理装置に上記の機能を実現させる一つのコンピュータプログラムとを用いて本発明を実施することもできる。
【0073】
本実施形態では、また、グループ組織体がグループ会社であり、グループ組織体を構成する個々の組織体も会社であることを前提としたが、グループ組織体あるいは組織体の一部に大学、研究所その他の非法人やグループを含む場合であっても、本発明は実施が可能である。
【要約】
【課題】グループ会社における新たなキャリア形成を希望する者とその者の所属元の会社を含むグループ会社の双方に有益となる、所属変更(転属)支援の仕組みを提供する。
【解決手段】グループ会社間の転属支援システム1は、グループ会社のいずれかの会社に所属する社員がアクセス可能な情報サイトに、転属希望者が発信した転属申請データ及びいずれかの前記組織体で募集する職務ポジションの情報とを掲載し、転属申請データに関心のある組織体の担当者が操作する関心会社端末22と転属希望者が操作する転属希望者端末32との間の連絡、及び/又は、職務ポジションに関心のある応募者が操作する応募者端末31と当該職務ポジションを募集した会社の担当者が操作する募集会社端末21との間の連絡を監視制御する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12