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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】フェイズドアレイテスラコイル防空システム
(51)【国際特許分類】
   F41H 11/02 20060101AFI20240213BHJP
   F41B 15/00 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
F41H11/02
F41B15/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024003645
(22)【出願日】2024-01-14
【審査請求日】2024-01-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593012963
【氏名又は名称】村上 博
(74)【代理人】
【識別番号】100205626
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博
(72)【発明者】
【氏名】村上 博
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-103520(JP,A)
【文献】特開昭62-164634(JP,A)
【文献】特開平03-160490(JP,A)
【文献】特開2010-127818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41H 11/02
F41B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部から供給された電力を用いて高周波信号を生成する高周波信号発生装置と、
前記高周波信号発生装置からの一対の出力端子のうちの一方に接続され、二つの導体端部が大気中に間隔をあけて配置されるギャップスイッチと、
前記高周波信号発生装置からの一対の出力端子のうちの双方に接続されるキャパシタと、
前記高周波信号発生装置が生成した高周波の位相を指定分ずつ変化させる位相器を有するコイル別制御部と、
1次コイル、2次コイル、及び3次コイルの順にコイルの巻き数が多くなり、前記高周波信号発生装置からの出力が前記1次コイルの一端である第1接続点に入力し、前記ギャップスイッチからの出力が前記1次コイルと前記2次コイルとの接続部分である第2接続点に入力し、前記3次コイルの出力側端部に棒状のリードディレイを介して球状の球体アンテナが接続されるテスラコイルが、複数個を2次元に配置する配置方法であるアレイ状に複数個配置されるアレイテスラコイルと、
所望の方向へのビーム形成に必要な位相変化量を前記テスラコイルごとに生成して対応する前記位相器に出力する位相制御装置と、
前記高周波信号発生装置に対する制御信号と、前記位相制御装置に対する制御信号と、を生成して出力する主制御部と、
を備えるフェイズドアレイテスラコイル防空システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防空システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球上において、戦争は絶えることがないのが現状である。そして、多くの戦争の場合、空を介して爆発物を敵の領内に送り込み、爆発させることにより敵国の装備や建物を破壊することが行われている。そして、多くの戦争に無関係な一般市民が犠牲となるのである。
【0003】
この点に関し、ニコラ・テスラ(Nikola Tesla:1856年7月10日-1943年1月7日)はかつて、自身の発明した、いわゆるテスラコイルを使用し、敵国の飛翔体に電子ビームを照射することにより飛翔体を破壊する旨を考案していた。ニコラ・テスラはテスラコイルを一つだけ用いてビームを形成することを想定していたらしい(例えば、非特許文献1。)。
【0004】
しかしながら、テスラコイルを一つだけ用いてビームを形成することは、実際には困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】「テスラ・ファイル - 謎の極秘研究-」(https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%83%89%E5%AE%9F%E9%A8%93/dp/B09RK36KZT/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB&qid=1705181624&s=instant-video&sr=1-1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、飛翔体を効率的に破壊できる防空システムを提供することである。
【0007】
なお、上記の「背景技術」、および「発明が解決しようとする課題」に記載した内容は、本発明をするに至った契機(きっかけ)を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、また、本発明の技術的範囲の限定解釈を許容するものでもない(平成17年(行ケ)第10042号、及び出願日における特許庁審査基準第II部第2章 第2節3.2.1参照。)。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、交流電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部から供給された電力を用いて高周波信号を生成する高周波信号発生装置と、前記高周波信号発生装置からの一対の出力端子のうちの一方に接続され、二つの導体端部が大気中に間隔をあけて配置されるギャップスイッチと、前記高周波信号発生装置からの一対の出力端子のうちの双方に接続されるキャパシタと、前記高周波信号発生装置が生成した高周波の位相を指定分ずつ変化させる位相器を有するコイル別制御部と、1次コイル、2次コイル、及び3次コイルの順にコイルの巻き数が多くなり、前記高周波信号発生装置からの出力が前記1次コイルの一端である第1接続点に入力し、前記ギャップスイッチからの出力が前記1次コイルと前記2次コイルとの接続部分である第2接続点に入力し、前記3次コイルの出力側端部に棒状のリードディレイを介して球状の球体アンテナが接続されるテスラコイルが、複数個を2次元に配置する配置方法であるアレイ状に複数個配置されるアレイテスラコイルと、所望の方向へのビーム形成に必要な位相変化量を前記テスラコイルごとに生成して対応する前記位相器に出力する位相制御装置と、前記高周波信号発生装置に対する制御信号と、前記位相制御装置に対する制御信号と、を生成して出力する主制御部と、を備えるフェイズドアレイテスラコイル防空システムを提供する。


【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、飛翔体を効率的に破壊できる防空システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係るフェイズドアレイテスラコイル防空システムの構成を示すブロック図である。
図2】テスラコイルを示す回路図である。
図3】テスラコイルの分解側面図である。
図4】テスラコイル41の側面図である。
図5】主制御部の動作を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係るフェイズドアレイテスラコイル防空システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るフェイズドアレイテスラコイル防空システム(以下、防空システム1という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
【0013】
(システム構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る防空システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、防空システム1は、電力供給部11と、高周波信号発生装置12と、ギャップスイッチ13と、キャパシタ20と、コイル別制御部30と、アレイ状(2次元状)に配置されるアレイテスラコイル40と、主制御部19と、位相制御装置15と、合成器17と、信号処理装置18と、を備える。
【0014】
電力供給部11は、交流電力を供給する。
【0015】
高周波信号発生装置12は、電力供給部11から入力した電力を用いて、MHz~GHzの高周波信号を生成する。生成方法は、例えば従来のフェイズドアレイレーダにおいて用いられてきた公知の方法を用いることができる。この技術の詳細は、例えば、「レーダシステム入門」、メリルI.スコルニック(原著)、小椋 賢紀(翻訳)、プレアデス出版 、2023年7月25日。以下、参考文献1という。)などに記載されている。
【0016】
高周波信号発生装置12からの出力信号は、二つに分岐され、一方はギャップスイッチ13に、また他方は第1分岐点14を介してコイル別制御部30のそれぞれの位相器31に出力される。
【0017】
ギャップスイッチ13は、二つの導体端部、例えば導体金属によって形成される球体が、大気中に間隔をあけて配置され、出力側は第2分岐点16を介してアレイテスラコイル40のそれぞれのテスラコイル41の第2接続点B(図2参照。)に接続される。
【0018】
ギャップスイッチ13の入力側と高周波信号発生装置12の出力側には、ギャップスイッチ13の入力側と高周波信号発生装置12の出力側に接続端子がそれぞれ接続するキャパシタ20が設けられる。
【0019】
コイル別制御部30は、位相器31と、増幅器32と、サーキュレータ33と、制限器34と、を備える。
【0020】
位相器31は、入力される高周波信号の位相を位相制御装置15によって設定される位相シフト量だけずらして出力する。
【0021】
増幅器32は、位相器31から入力した高周波信号を増幅する。
【0022】
サーキュレータ33は、入力した信号を時計回りの次の出力端子から出力する。従って、増幅器32からの出力信号は、アレイテスラコイル40のそれぞれのテスラコイル41の第1接続点A(図2参照。)に入力される。
【0023】
また、サーキュレータ33は、アレイテスラコイル40のそれぞれのテスラコイル41の第1接続点Aから入力した受信信号を制限器34に出力する。
【0024】
制限器34は、過大な電力及び後続の装置に有害となる周波数をフィルタリングする。制限器34からの出力信号は、合成器17に入力される。
【0025】
合成器17は、それぞれのコイル別制御部30の制限器34からの周波信号を合成し、信号処理装置18に出力する。
【0026】
信号処理装置18は、合成された受信信号に施されていた変調を復調し、主制御部19が処理可能な信号に変換して主制御部19に出力する。
【0027】
主制御部19は、演算装置、記憶装置、入出力装置などを備える、いわゆるコンピュータを用いることができる。主制御部19は、高周波信号発生装置12に対する制御信号と、位相制御装置15に対する制御信号と、を出力し、信号処理装置18からの入力信号を用いて、入出力装置に画像出力するほか、次の攻撃態勢への縦鼻などを行う。
【0028】
なお、上記の各構成要素の形成方法や動作、並びに制御方法等は、上記の参考文献1に詳しく記載されている公知の方法等を用いることができる。
【0029】
(テスラコイル)
1.テスラコイルの構成
図2は、テスラコイル41を示す回路図である。図3は、テスラコイル41の分解側面図である。図4は、テスラコイル41の側面図である。
【0030】
図2から図4に示すように、テスラコイル41は、一端が第1接続点Aに接続し、他端が第2接続点Bを介してギャップスイッチ13及び2次コイル41Bに接続する1次コイル41Aと、一端がギャップスイッチ13及び2次コイル41Bに接続し、他端が3次コイル41Cに接続する2次コイル41Bと、一端が2次コイル41Bの他端に接続し、他端がリードディレイ41Dを介して球体アンテナ41Eに接続する3次コイル41Cと、一端が3次コイル41Cの他端に接続し、他端が球体アンテナ41Eに接続するリードディレイ41Dと、リードディレイ41Dの他端に接続する球体アンテナ41Eと、を備える。
【0031】
テスラコイル41の通電部分である1次コイル41A、2次コイル41B、3次コイル41C、リードディレイ41D、球体アンテナ41E、及びこれらを接続する接続線は、銅や金などの導体金属の単体または合金を用いることができる。1次コイル41A、2次コイル41B、3次コイル41C、及びリードディレイ41Dに用いられる各線材は絶縁被覆される。
【0032】
なお、1次コイル41A、2次コイル41B、3次コイル41C、リードディレイ41D、球体アンテナ41E、及びこれらを接続する接続線は、通常用いられる導体材料のほか、超電導材料を用いて形成することもできる。超電導材料は、例えばレアアース系高温超電導線材を用いることができる。
【0033】
レアアース系高温超電導物質としては、例えば、HgBaCaCuO、TlBaCaCuO、BiSrCaCuO、YBaCuOなどを用いることができる。レアアース系高温超電導物質は、液体窒素による冷却でも超電導状態を示す。また、従来の超電導物質、例えばMgB2、Nb3Snなども用いることができる。従来の超電導物質は液体ヘリウムによって冷却することにより超電導状態を示す。これらの線材は、例えば株式会社フジクラから既に市販されている公知のものを用いることができる。
【0034】
図3及び図4に示すように、1次コイル41Aの高さL4H、2次コイル41Bの高さL3H、及び3次コイル41Cの高さL2Hは、球体アンテナ41Eの直径とほぼ同じ長さであることが効率の点から望ましいが、それぞれ互いに異なっていても構わない。
【0035】
1次コイル41A、2次コイル41B、3次コイル41Cは、円筒形状をなす。1次コイル41Aの直径L4Dは2次コイル41Bの直径L3Dより大きく、互いに電磁誘導が生じない大きさより小さい。2次コイル41Bの直径L3Dは3次コイル41Cの直径L2Dより大きく、互いに電磁誘導が生じない大きさより小さい。3次コイル41Cの直径L2Dはリードディレイ41Dの水平切断面の平面視の直径より大きい。
【0036】
リードディレイ41Dの高さは、1次コイル41Aの高さL4H、2次コイル41Bの高さL3H、及び3次コイル41Cの高さL2Hより高さH1だけ高い。従って、球体アンテナ41Eは、全部が1次コイル41A、2次コイル41B、及び3次コイル41Cの外部に露出する。
【0037】
3次コイル41Cの巻き数は2次コイル41Bの巻き数より多い。例えば、3次コイル41Cの巻き数を2次コイル41Bの巻き数より10倍~100倍多くすることができる。
【0038】
2次コイル41Bの巻き数は1次コイル41Aの巻き数より多い。例えば、2次コイル41Bの巻き数を1次コイル41Aの巻き数より10倍~100倍多くすることができる。
【0039】
1次コイル41Aの巻き数は、例えば1巻きでもよい。
【0040】
図4に示すように、1次コイル41A、2次コイル41B、3次コイル41C、リードディレイ41D、球体アンテナ41E、及びこれらを接続する接続線を、超電導材料を用いて形成する場合には、これらの部材を全て収容する冷却用機50を設置する。
【0041】
冷却用機50は、内部に図4に示すように1次コイル41A、2次コイル41B、3次コイル41C、リードディレイ41D、及びこれらを接続する接続線の全部、及び球体アンテナ41Eの少なくとも上半分を収容する。冷却用機50は、内部に液体冷却材を流入させる流入孔51と、気化した液体冷媒を放出する気圧弁52と、を備える。
【0042】
液体冷却材は、超電導材料を超電導状態になるまで低温に冷却できる液体、例えば液体ヘリウム、液体窒素などを用いることができる。
【0043】
2.テスラコイルの動作
テスラコイル41は、電磁誘導によって1次コイル41Aに入力した高周波信号を、2次コイル41B及び3次コイル41Cを用いて昇圧し、周波をより高周波にする。
【0044】
ところで、テスラコイル41には、ギャップスイッチ13とキャパシタ20が接続されているが、この動作は以下のようになる。
【0045】
地球の地殻のコアには鉄(Fe)が含まれている。つまり、地球は導体である鉄の球体と言える。そして、地球は自転しながら太陽と公転しているのだが、太陽には磁場があり、しかもこの磁場は磁気嵐などのようにしばしば変化する。
【0046】
鉄の球体である地球がこの磁場を移動する際には、地球の内部に誘導電流が発生する。そして、地球には絶縁体であり静電容量を有する大気に覆われている。
【0047】
つまり、地球は大きなコンデンサのような状態になっており、地殻には電流が存在し、大気は静電容量を蓄えている。
【0048】
ニコラ・テスラはこの地殻内の電流を発見し、定常波と呼んだ。
【0049】
ここで、キャパシタ20への入力電力が容量に達すると、キャパシタ20はギャップスイッチ13方向に放電する。
【0050】
ギャップスイッチ13は、この放電により二つの導体端部の間の大気がイオン化し、通電する状態になる。
【0051】
この時、大気が持っていた静電容量のうちの一部が、ギャップスイッチ13を介してテスラコイル41に流れ込む。
【0052】
従って、テスラコイル41は、ギャップスイッチ13からも電力の入力があるため、電力供給部11から供給される電力よりはるかに大きいスパークを放電することが可能である。
【0053】
(ビーム出力)
本実施形態の防空システム1は、フェイズドアレイレーダのビーム送信信号の生成方法と同様の方法によって、ビームスパークを所望の方向に照射する。
【0054】
ビームフォーミングの方法については、例えば参考文献1に詳細な例が記載されており、これらの公知の方法を用いることができる。
【0055】
(ビーム照射対象の補足)
本実施形態の防空システム1は、フェイズドアレイレーダの対象補足方法と同様の方法によって、ビーム照射対象の位置を特定する。
【0056】
フェイズドアレイレーダの対象補足方法については、例えば参考文献1に詳細な例が記載されており、これらの公知の方法を用いることができる。
【0057】
(破壊対象物の機器破壊方法)
爆発物を搭載した飛翔体などは、自国内における誤爆を防止するために、飛翔体自体を破壊する爆破装置を通常搭載している。
【0058】
そして、飛翔体が所望の起動を外れた場合などには、飛翔体に信号を送信し、飛翔体を爆破させる。
【0059】
ここで、この信号を受信するためにはアンテナが必要である。そして、このアンテナは、内部の回路において用いる高周波信号の周波数λに対してλ/4の整数倍の長さを有している。このアンテナは、周波数λの高周波信号を受け入れ、これ以外の周波数は反射する。
【0060】
従って、この周波数λによりスパークを照射すれば、強力な電力がアンテナから入力され、飛翔体を効果的に破壊することができる。
【0061】
図5は、防空システム1の主制御部19の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、ステップS101において、主制御部19は、高周波信号発生装置12に周波数を掃引するように指示する。掃引範囲は、通常通信に用いる周波数帯内である。
【0062】
ステップS102において、主制御部19は、掃引周波数ごとの受信信号の強度をモニタし、受信信号の強度が他の周波数より低くなる反射ギャップ周波数を検知する。
【0063】
ステップS103において、主制御部19は、反射ギャップ周波数をスパークの出力周波数にセットする。
【0064】
ステップS104において、主制御部19は、反射ギャップ周波数以外の周波数である反射周波数によって破壊対象物を追跡する。
【0065】
ステップS105において、主制御部19は、発射指示があったかを判定する。主制御部19は、発射指示があったと判定した場合(ステップS105のY)、ステップS106に進み、発射指示があったと判定しない場合(ステップS105のN)、ステップS105に戻る。
【0066】
ステップS105において、主制御部19は、位相制御装置15にスパーク照射方向へのビームを生成させる位相を計算させ、それぞれのコイル別制御部30の位相器31に位相変化量を送信させる。そして、主制御部19は、高周波信号発生装置12に対してハイパワーの反射ギャップ周波数の高周波の出力を指示する。
【0067】
生成されたハイパワーの反射ギャップ周波数の高周波信号は、コイル別制御部30を介して位相が調整された状態により各テスラコイル41に入力されるとともに、キャパシタ20の放電によってギャップスイッチ13がON(通電可能状態)になり、大気中に蓄えられた電力がギャップスイッチ13から流入してくる。
【0068】
そして、テスラコイル41は位相調整されたスパークを対象物にビーム状に照射し、対象物は破壊される。
【0069】
以上述べたように、本実施形態の防空システム1は、交流電力を供給する電力供給部11と、電力供給部11から供給された電力を用いて高周波信号を生成する高周波信号発生装置12と、高周波信号発生装置12からの一対の出力端子のうちの一方に接続され、二つの導体端部が大気中に間隔をあけて配置されるギャップスイッチ13と、高周波信号発生装置12からの一対の出力端子のうちの双方に接続されるキャパシタ20と、高周波信号発生装置12が生成した高周波の位相を指定分ずつ変化させる位相器31を有するコイル別制御部30と、1次コイル41A、2次コイル41B、及び3次コイル41Cの順にコイルの巻き数が多くなり、高周波信号発生装置12からの出力が1次コイル41Aの一端である第1接続点Aに入力し、ギャップスイッチ13からの出力が1次コイル41Aと2次コイル41Bとの接続部分である第2接続点Bに入力し、3次コイル41Cの出力側端部に棒状のリードディレイ41Dを介して球状の球体アンテナ41Eが接続されるテスラコイル41が、アレイ状に配置されるアレイテスラコイル40と、所望の方向へのビーム形成に必要な位相変化量をテスラコイル41ごとに生成して対応する位相器31に出力する位相制御装置15と、高周波信号発生装置12に対する制御信号と、位相制御装置15に対する制御信号と、を生成して出力する主制御部19と、を備える。
【0070】
従って、本発明によれば、飛翔体を効率的に破壊できる防空システムを提供することが出え切るという効果がある。
【0071】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る防空システム1の構成を示すブロック図である。以下、第1の実施形態との差分のみを説明する。
【0072】
本実施形態においては、ギャップスイッチ13の出力側と各テスラコイル41の第2接続点Bへの入力端子との間の第2分岐点16の後段に、位相器31に指示される位相変化量を位相制御装置15から入力し、指示された位相変化量に基づいてギャップスイッチ13から入力した高周波信号の位相を変化させる位相器31Aをさらに備える。
【0073】
従って、本発明の第2の実施形態に係る防空システム1によれば、ギャップスイッチ13からの入力信号も位相を揃えることができるため、より効率的に対象物を破壊することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0074】
1 防空システム
11 電力供給部
12 高周波信号発生装置
13 ギャップスイッチ
14 第1分岐点
15 位相制御装置
16 第2分岐点
17 合成器
18 信号処理装置
19 主制御部
20 キャパシタ
30 コイル別制御部
31 位相器
31A 位相器
32 増幅器
33 サーキュレータ
34 制限器
40 アレイテスラコイル
41 テスラコイル
41A 1次コイル
41B 2次コイル
41C 3次コイル
41D リードディレイ
41E 球体アンテナ
50 冷却用機
51 流入孔
52 気圧弁
A 第1接続点
B 第2接続点
【要約】
【課題】飛翔体を効率的に破壊できる防空システムを提供する。
【解決手段】テスラコイル41をアレイ状に配置し、位相を制御した高周波信号と、ギャップスイッチ13からの入力電力をビーム状のスパークに形成して対象物に照射する。テスラコイル41は超電導材料を用いることができ、この場合には液体へイルムなどの液体レイク薬剤を用いて冷却する。ギャップスイッチ13からの入力電力を位相器31Aによって位相を揃えてもよい。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6