(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-09
(45)【発行日】2024-02-20
(54)【発明の名称】アルカリ洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 7/26 20060101AFI20240213BHJP
C11D 7/06 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
C11D7/26
C11D7/06
(21)【出願番号】P 2017209431
(22)【出願日】2017-10-30
【審査請求日】2020-10-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】竹本 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】野口 博章
【合議体】
【審判長】亀ヶ谷 明久
【審判官】安積 高靖
【審判官】門前 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-183697(JP,A)
【文献】特開2002-249800(JP,A)
【文献】特開平2-218798(JP,A)
【文献】特開2008-156389(JP,A)
【文献】特公平6-31423(JP,B2)
【文献】特開2011-79972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤(A)、
多糖類増粘剤(B)、
酸化防止剤(C)、及び、
水(H)を含
むアルカリ洗浄剤組成物であって、
前記アルカリ剤(A)は無機アルカリ剤であり、
前記多糖類増粘剤(B)は、キサンタンガム及び/又はカルボキシメチルセルロースナトリウムであり、前記アルカリ洗浄剤組成物全量に対する多糖類増粘剤(B)の配合量が0.3~1.3重量%であり、
前記アルカリ洗浄剤組成物の調合直後の粘度が20~200mPa・sであり、
調合後3週間経過時の粘度低下率が50%以下であり、
前記粘度低下率は、前記アルカリ洗浄剤組成物における[(調合直後の粘度-調合後3週間経過時の粘度)/調合直後の粘度]×100(%)で表されるものであり、調合後3週間経過時の粘度は、調合直後のアルカリ洗浄剤組成物を45℃のインキュベーター内で3週間保管した時の粘度であり、
前記粘度は、JIS Z 8803に準拠し、E型粘度計を用いて液温20℃、粘度計の回転数20rpmで測定され、
pHが12.5以上であ
り、液体であることを特徴とするアルカリ洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記酸化防止剤(C)は食品添加物である請求項1に記載のアルカリ洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記アルカリ洗浄剤組成物全量に対する前記酸化防止剤(C)の配合量が0.01~5.0重量%である請求項1
又は2に記載のアルカリ洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店、ホテル等の厨房、スーパーマーケット、食品工場における食品製造・加工・調理装置等の洗浄には、洗浄剤組成物が使用される。油汚れの洗浄に適した洗浄剤組成物として、アルカリ性が強いアルカリ洗浄剤組成物が使用される。
【0003】
洗浄対象面に対して汚れが強固に付着している場合、洗浄剤組成物を汚れに対して長時間接触させることで洗浄対象面から汚れを剥離させやすくなる。
ここで、洗浄対象面が垂直面や傾斜面のような液体が流れ落ちやすい面である場合、液体の洗浄剤組成物を洗浄対象面に付着させても流れ落ちてしまうため、洗浄剤組成物と汚れとの接触時間が短くなってしまう。
このような場合には、洗浄剤組成物の粘度を高くすることによって洗浄剤組成物が洗浄対象面から流れ落ちにくいようにして、洗浄剤組成物と汚れとの接触時間を長くすることが好ましい。
【0004】
特許文献1には、酸性多糖類を含有する水性溶液の高温における粘度低下を抑制するために、天然酸性多糖類を添加することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、アルカリ洗浄剤組成物について、洗浄対象面への付着性を向上させるために洗浄剤組成物の粘度を向上させることについて検討し、特許文献1に記載されているような多糖類を増粘剤として使用することを試みた。
そして、多糖類増粘剤を使用することでアルカリ洗浄剤の粘度が向上し、洗浄剤組成物と汚れとの接触時間を長くすることができた。
【0007】
しかしながら、このようなアルカリ洗浄剤組成物は、調合直後には適度な粘度を有していたものの、所定時間の貯蔵後に、特に、夏場等の温度が高い環境下での貯蔵後において、調合直後よりも粘度が低下してしまっていることが判明した。
【0008】
とくに、アルカリ洗浄剤組成物が強アルカリ性の洗浄剤組成物である場合、具体的にはpHが12以上のアルカリ洗浄剤組成物である場合に、貯蔵後の粘度低下が顕著に生じていた。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためにされたものであり、強アルカリ性の洗浄剤組成物であり、かつ、貯蔵後の粘度低下が抑制されたアルカリ洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、アルカリ剤(A)、多糖類増粘剤(B)、及び、酸化防止剤(C)を含み、pHが12以上であることを特徴とする。
【0011】
多糖類増粘剤は、アルカリ洗浄剤組成物に配合することで増粘作用を示し、洗浄剤組成物の粘度を向上させることができる。本発明者らは、多糖類増粘剤がpH12以上の強アルカリ性下においてアルカリ剤の作用により変性して増粘剤としての機能が低下することを見出した。
本発明者らは、アルカリ剤の作用による多糖類増粘剤の変性を抑制するための方法について検討した結果、アルカリ洗浄剤組成物中に酸化防止剤を加えることによって多糖類増粘剤の変性を防止することができ、貯蔵後の粘度の低下を抑制することができることを見出した。
すなわち、本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、pHが12以上である強アルカリ性の洗浄剤組成物であって、かつ、貯蔵後の粘度低下が抑制されたアルカリ洗浄剤組成物である。
【0012】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物において、上記酸化防止剤(C)は食品添加物であることが好ましい。
厨房や食品製造装置の洗浄に使用する洗浄剤組成物には食品添加物として認められている成分を使用することが好ましい。
酸化防止剤が食品添加物であると、洗浄対象物の表面に洗浄剤組成物が残留しても実質的に問題が生じることがない。
【0013】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物において、上記多糖類増粘剤(B)は、キサンタンガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グアーガム、ペクチン及びグルコマンナンからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの成分は、食品添加物として認められている成分である。
【0014】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物においては、上記酸化防止剤(C)の配合量が0.01~5.0重量%であることが好ましい。
酸化防止剤の配合量が上記範囲であると、多糖類増粘剤の変性を防止する作用がより好適に発揮される。
【0015】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物においては、上記多糖類増粘剤(B)の配合量が0.1~2.0重量%であることが好ましい。
多糖類増粘剤の配合量が上記範囲であると、洗浄剤組成物の粘度が適度な範囲に調整される。
【0016】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、調合直後の粘度が20~200mPa・sであることが好ましい。洗浄剤組成物の粘度が上記範囲であると洗浄対象面に付着させた場合に流れ落ちにくく、汚れに対する接触時間を長くすることができる。
【0017】
また、本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、調合後3週間経過時の粘度低下率が50%以下であることが好ましい。
調合後3週間経過時の粘度低下率は、
[(調合直後の粘度-調合後3週間経過時の粘度)/調合直後の粘度]×100(%)で表される。
また、上記粘度低下率は、調合直後の洗浄剤組成物を45℃のインキュベーター内で3週間保管した後に測定して求める。45℃での保管は、粘度低下が生じやすい夏場での長期間の保管を加速的に模擬した条件である。
調合後3週間経過時の粘度低下率が上記範囲であるということは、貯蔵後の粘度の低下が抑制された、保管に適した洗浄剤組成物であることを意味する。
なお、アルカリ洗浄剤組成物の粘度の測定は、JIS Z 8803 に準拠し、E型粘度計を用いて行うことができる。
測定時の液温は20℃、粘度計の回転数は20rpmとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、強アルカリ性の洗浄剤組成物であり、かつ、貯蔵後の粘度低下が抑制されたアルカリ洗浄剤組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、アルカリ剤(A)、多糖類増粘剤(B)、及び、酸化防止剤(C)を含み、pHが12以上であることを特徴とする。
【0020】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物を構成する、アルカリ剤(A)、多糖類増粘剤(B)及び酸化防止剤(C)について、それぞれ説明する。
【0021】
アルカリ剤(A)としては、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、炭酸塩又は炭酸水素塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、ケイ酸塩(メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、セスキケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウム等)、アルカノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)が好ましい。
これらのアルカリ剤は、水和物となっていてもよい。
とくに、アルカリ金属水酸化物を使用することが好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択された少なくとも1種を使用することが好ましい。
アルカリ金属水酸化物を使用することによってpHが12以上である強アルカリ性の洗浄剤組成物としやすくなる。
これらのアルカリ剤は組み合わせて使用してもよい。
【0022】
アルカリ剤(A)の含有量は好ましくは0.1~10重量%であり、より好ましくは1~10重量%である。
アルカリ剤(A)の含有量が10重量%を超えると、外観が均一透明を保ちにくくなり、0.1重量%未満であると、汚れを充分に除去しにくい。
アルカリ剤(A)を複数種類含むときのアルカリ剤の含有量は、その合計量として定める。
また、本明細書における各成分の含有量は、純分としての含有量を意味する。
【0023】
多糖類増粘剤(B)としては、食品添加物であるものが好ましい。
具体的には、キサンタンガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グアーガム、ペクチン及びグルコマンナンからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中ではキサンタンガムを使用することがより好ましい。
【0024】
多糖類増粘剤(B)の含有量は好ましくは0.1~2.0重量%であり、より好ましくは0.1~0.5重量%である。
多糖類増粘剤の配合量が上記範囲であると、洗浄剤組成物の粘度が適度な範囲に調整される。
多糖類増粘剤(B)を複数種類含むときの多糖類増粘剤の含有量は、その合計量として定める。
【0025】
酸化防止剤(C)としては、食品添加物であるものが好ましい。
具体的には、ビタミンE、亜硫酸ナトリウム、ビタミンC、イソアスコルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソールからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの成分は、食品添加物として認められている成分であり、強アルカリ性下で使用することができるために好ましい。
【0026】
酸化防止剤(C)の含有量は好ましくは0.01~5.0重量%であり、より好ましくは0.1~5.0重量%である。
酸化防止剤の配合量が上記範囲であると、多糖類増粘剤の変性を防止する作用がより好適に発揮される。
酸化防止剤(C)を複数種類含むときの酸化防止剤の含有量は、その合計量として定める。
【0027】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物には、その他の成分として、界面活性剤(D)、キレート剤(E)、可溶化剤(F)、溶剤(G)、水(H)、色素、香料又は防腐剤等を含有していてもよい。
【0028】
界面活性剤(D)の種類は特に限定されないが、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩(AES)、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホメチルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキルコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミノベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルアミノスルホベタイン等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0029】
界面活性剤(D)の含有量は好ましくは0.1~5.0重量%であり、より好ましくは1.0~2.0重量%である。
界面活性剤(D)の含有量が5.0重量%を超えると、外観が均一透明を保ちにくくなり、0.1重量%未満であると、汚れを充分に除去しにくい。
界面活性剤(D)を複数種類含むときの界面活性剤(D)の含有量は、その合計量として定める。
なお、界面活性剤(D)が塩の場合、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
【0030】
キレート剤(E)の種類は特に限定されないが、キレート剤(E)としては、ヒドロキシカルボン酸系、アミノカルボン酸系、ホスホン酸系、リン酸系、エーテルカルボン酸塩系等が挙げられ、これらを併用してもよい。これらの中では、ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤、及び、アミノカルボン酸系のキレート剤が好ましい。
キレート剤(E)の含有量は特に限定されないが、0.1~2.0重量%であることが好ましい。キレート剤(E)を複数種類含むときのキレート剤(E)の含有量は、その合計量として定める。
【0031】
ヒドロキシカルボン酸系のキレート剤としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸又はこれらの塩が挙げられる。
【0032】
アミノカルボン酸系のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA-OH)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられる。
【0033】
ホスホン酸系のキレート剤としては、ヒドロキシエチリデンホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)等が挙げられる。
上記キレート剤はホスホン酸部分の少なくとも一部が塩になっていてもよい。
【0034】
リン酸系のキレート剤としては、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸又はこれらの塩等が挙げられる。
【0035】
上記キレート剤における塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
また、キレート剤とキレート剤の塩がアルカリ洗浄剤組成物の中で混在していてもよく、キレート剤がアルカリ洗浄剤組成物に含まれている場合にその後にナトリウムイオン等が加えられることによって塩となっていてもよい。
【0036】
可溶化剤(F)としては、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、カプリル酸、カプリン酸、オクチル酸又はこれらの塩等が挙げられる。
可溶化剤(F)の含有量は特に限定されないが、1.0~3.0重量%であることが好ましい。可溶化剤(F)を複数種類含むときの可溶化剤(F)の含有量は、その合計量として定める。
【0037】
溶剤(G)としては、グリコールエーテル系溶剤、グリコール系溶剤及びグリセリンからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、グリコールエーテル系溶剤であることがより好ましい。ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
溶剤(G)の含有量は特に限定されないが、1.0~5.0重量%であることが好ましい。溶剤(G)を複数種類含むときの溶剤(G)の含有量は、その合計量として定める。
【0038】
水(H)は、他の成分以外の残部として配合され、その配合量は特に限定されるものではない。水(H)としては、とくに限定されるものではないが、水道水、蒸留水、純水及びイオン交換水等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0039】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、そのpHが12以上である。また、pHが12.5以上であることも好ましい。
pHが高い強アルカリ性の洗浄剤組成物とすることによって、油汚れに対する洗浄力の高いアルカリ洗浄剤組成物とすることができる。
pHの測定は、市販のpHメーター等を用いて行えばよいが、例えば、堀場製作所製、D-21型を用いて測定することができる。
【0040】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、調合直後の粘度が20~200mPa・sであることが好ましい。
洗浄剤組成物の粘度が上記範囲であると洗浄対象面に付着させた場合に流れ落ちにくく、汚れに対する接触時間を長くすることができる。
【0041】
また、本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、調合後3週間経過時の粘度低下率が50%以下であることが好ましい。そして、調合後3週間経過した後のアルカリ洗浄剤組成物の粘度が20~100mPa・sであることが好ましい。
調合後3週間経過時の粘度低下率の算出法は上述の通りである。
調合後3週間経過した後の洗浄剤組成物の粘度低下率が50%以下であり、調合後3週間経過した後の粘度が上記範囲であると、長期間保管した後に洗浄剤組成物を使用した場合であっても、洗浄剤組成物を洗浄対象面に付着させた場合に流れ落ちにくく、汚れに対する接触時間を長くすることができる。
【0042】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、任意の方法で製造することができる。
例えば、アルカリ剤(A)と、多糖類増粘剤(B)と、酸化防止剤(C)と、必要に応じてその他の成分とを添加し、攪拌混合すればよい。通常は水(H)をともに混合して、アルカリ洗浄剤組成物のpH及び粘度を調整する。
アルカリ剤(A)と多糖類増粘剤(B)が混在し、酸化防止剤(C)が混在しない期間が長いと、多糖類増粘剤(B)の変性が進むおそれがあるので、アルカリ剤(A)と多糖類増粘剤(B)と酸化防止剤(C)を混在させるようにすることが好ましい。
例えば、あらかじめ多糖類増粘剤(B)と酸化防止剤(C)を混合した混合物を作製し、この混合物をアルカリ剤(A)と混合するようにするとよい。
【0043】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、飲食店、ホテル等の厨房、スーパーマーケット、食品工場における食品製造装置等の洗浄に使用することができる。
また、洗浄対象物の材質としては、ステンレス、鋳鉄、鉄鋼、ステンレス、メッキ鋼板、アルミニウム、陶器、プラスチック等が挙げられる。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物で洗浄する汚れとしては、油汚れを中心とした汚れが挙げられる。油汚れに加えて、タンパク質汚れやデンプン汚れが混在した汚れであってもよい。
【0044】
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、洗浄対象物に塗布して使用してもよく、スプレーガン等を用いて洗浄対象物にスプレーして使用してもよい。
本発明のアルカリ洗浄剤組成物は適度な粘度を有しており、汚れとの接触が良好に維持されるので、アルカリ洗浄剤組成物を汚れに対してスプレーし、しばらくの間放置してからふき取るようにすると、汚れ落ちを促進させることができる。
また、本発明のアルカリ洗浄剤組成物をスポンジやウェス等に塗布し、スポンジやウェスで洗浄対象物を拭くようにして使用してもよい。
【実施例】
【0045】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例において、特に断らない限り「部」は「重量部」を「%」は「重量%」をそれぞれ意味する。
【0046】
(アルカリ洗浄剤組成物の調製)
表1に示す処方に従い、各成分を混合して、各実施例及び比較例に係るアルカリ洗浄剤組成物を得た。
なお、表中に示す成分は全て純分換算した重量であり、各成分としては以下のものを用いた。
水酸化ナトリウム:(株)大阪ソーダ製 液体苛性ソーダ
水酸化カリウム:三京化成(株)製 液体苛性カリ
メタケイ酸ナトリウム:日本化学(株)製
キサンタンガム:(株)カーギルジャパン製 SATIAXANE CX930
カルボキシメチルセルロースナトリウム:和光純薬工業(株)製 試薬
ビタミンE:東京化成工業(株)製 試薬
亜硫酸ナトリウム:キシダ化学(株)製 試薬
ジブチルヒドロキシトルエン:東京化成工業(株)製 試薬
カテキン(カテキン水和物):東京化成工業(株)製 試薬
AES(アルキルエーテルカルボン酸塩):テイカ(株)製 テイカボールNE1230
LAS(アルキルベンゼンスルホン酸塩):東京化成工業(株)製 試薬
グルコン酸ナトリウム:扶桑化学工業(株)製
キシレンスルホン酸ナトリウム:テイカ(株)製 テイカトックスN1140
オクチル酸ナトリウム:東京化成工業(株)製 試薬
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:KHネオケム(株)製 ブチセノール20
【0047】
(pHの測定)
各実施例及び比較例の調合直後の各アルカリ洗浄剤組成物に対し、pHメーターを用いてpHを測定した。結果を表1に示した。
【0048】
(粘度評価)
各実施例及び比較例の調合直後の各アルカリ洗浄剤組成物に対し、JIS Z 8803 に準拠し、E型粘度計を用いて粘度測定を行った。測定時の液温は20℃、粘度計の回転数は20rpmとした。
【0049】
調合直後のpH及び粘度を測定したアルカリ洗浄剤組成物60gを、100mL容器に入れて45℃のインキュベーター内で静置保管した。1週間経過毎に取り出して粘度を測定した。1週間後~4週間後までの粘度を測定し、各粘度測定の結果を表1に示した。
粘度測定の評価は、調合後3週間経過時の粘度低下率が50%以下であるものを○と表記した。調合後3週間経過時の粘度低下率が50%を超えるものを×と表記した。
【0050】
【0051】
表1の結果より、本発明のアルカリ洗浄剤組成物は、pHが12以上と高い強アルカリ性の洗浄剤組成物であり、貯蔵による粘度低下が抑制されていることが分かる。